ブラックペッパーチキンカレーを作って、あらためて黒胡椒というスパイスの個性を識る。無自覚・無意識に「塩、コショウ」をするなかれ!

2018年2月 5日 from 食材

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週末のどちらかは昼にパスタ、夜にカレーを僕がつくるのが我が家の正しい過ごし方になっている。インフル明け&出張明けのこの週末は、ブラックペッパーチキンカレー。なぜかというと、出張行き帰りにJAL便だったのだけど、機内誌にこれが出ていたからだ。

ANAの「翼の王国」では関西の門上さんが「二度目の」シリーズを書いておられるのを楽しみにしている。なんつったって写真がハリー中西さんなので素晴らしいのだ。でもここ最近はJALの機内誌「Skyward」が楽しみ。カレースターの水野仁輔君が、カレーレシピの連載をしているからだ。彼らしい軽妙な語り口で、実に旨そうなカレーを1Pで表現している。このレシピは苦労しているだろうな、字数がない中でこんな複雑そうなカレーをよくまとめられるな、といつも感心している。

で、2月号はブラックペッパーチキンカレーだった。黒コショウが主役になった料理ってなかなか無いと思うけど、これはその極地だろう。

コショウはインドの熱帯地方を原産とする植物だ。辛み成分であるピペリンは防腐作用を持つので、大航海時代には列強各国がコショウを求めて船を世界中に差し向けた。金と同じくらい価値があった時代もあるといわれる、全スパイスの中でももっとも存在感のあるスパイスだ。

黒コショウは完熟前のコショウを摘み取って発酵と乾燥をさせたものでピリッと辛みが効いている。白コショウは完熟した実の皮と果肉を取りさって乾燥させたもの。辛みは柔らかで、香りの方が強く感じる。

肉や魚の下ごしらえをするときによく「塩・コショウを少々」という定番の言い方がある。僕はこれがあまり好きではない。というのは、下味をつける際に欠かせないセットとして、何も考えずに使われているからだ。

コショウは、それ単体でとても個性的な調味料でありスパイスである。嘘だと思うなら、豚肉の薄切りを買って二つにわけ、片方は塩だけ、片方は塩とコショウをかけてしばらく置き、焼いて食べ比べてみて欲しい。きっとコショウの強い香りと味わいに驚くだろう。

素材にいやな匂いがあるときには、コショウはその匂いを取り除く役割を果たしてくれる。逆に繊細な味の素材のときは、コショウの香りが強くなりすぎて味わいを損ねるかもしれない。まして、牛肉などの食べ比べをしようとする際にコショウをかけてしまうと、余分な味わいがついてしまうからやってはいけない。つまりコショウを用いる際には必ず「コショウを味付けに使うんだ」と意識しながら使わなければいけない、そんな調味料なのだ。

さて、荷物が多かったのでJAL機内誌を持って帰ってくることはやめておいた。3~4人分のレシピで黒コショウを大さじ2ほども使い、フェンネルシードも多めに使うのがポイントとわかったので、あとは自己流ですることにした。

黒コショウは贅沢にもカンボジアのクラタペッパーを大さじ2。フェンネルシード小さじ2、クミンシード小さじ1、カルダモンパウダーとクローブパウダーをひとつまみずつ。カレーリーフとバイマックルーふたつまみ。これをミルで粉砕してパウダーに。

鶏肉は大地を守る会の骨付き地鶏肉と手羽中を600gほど。ヨーグルトにさきのパウダースパイスとニンニク、ショウガすり下ろしを入れて、鶏肉によくまぶしてマリネして寝る。

翌日、マスタードシードとタマネギをタイコウゴマ油で炒め、チリパウダーをほんのひとつまみ。ホールトマトを200gほど入れて水気がなくなったらマリネしておいたチキンを入れて炒める。水を入れて40分ほど煮込み、魚醤で味付け。

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いやー 黒コショウって素晴らしいスパイスですな! チリのカプサイシンの刺激とは違い、ピペリンのジワッとやってくる辛み、香りがいい。これは美味しいなあ。しかも二日目になっても香りが飛んでいない。スパイスカレーでも二日目により楽しめる、かもしれない。

またやろうと思います。クラタペッパー買わなきゃな。