やまけんの出張食い倒れ日記

フルーツ王子・江森さん率いる中央林間「メゾンジブレー」はほんとうにフルーツのことを考えたスイーツで満たされている!自腹で産地に足を運び生産者と継続的な関係性を構築する彼のスイーツが美味しいだけでなく素晴らしい!

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江森さんを初めてみたとき「松潤ぽい顔だ、、、」と思ったのが第一印象だ(笑)

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なかなかに美男子な江森宏之シェフとの出会いはうちの会社が事務局を務める青果物の研究会で、彼を講師にお呼びしたときのこと。まだ江森さんが自分の店を持つちょっと前ので、全国のフルーツ産地を歩き回っているところだったので、講演をしに来てもらうには最適なタイミングだったのだ。

江森さんのフルーツを見る目は、仲卸の目とはまったく違う部分もあり、講演にはみな引き込まれていた。大成功!

その江森さんが中央林間に「メゾンジブレー」を開いた。なかなか足を運べなかったけど、ようやくいくことが出来たのだ!

日大の授業が終わってから中央林間に駆けつけた。駅から歩いて5分程度か、とてもいい立地だ。でも、なんだかこの道、歩いたことあるなー。あれ?あのお城みたいな建物はなんだ!?と思ったら、、、

あらまあ、中央林間のひとたちに愛され、テレビなどでもロケによく使われていた「ラ・パレット」の建物ではないか! ラ・パレットのオーナーシェフは僕が非常勤講師で通っている日大藤沢校のご出身であり、その当時、息子さんが学生として僕の授業を受講していたこともあって、楽しく会食させていただいたことがある。地元の人達に惜しまれつつ弊店されたのだが、まさかその物件が江森さんの「メゾンジブレー」となるとは!

めぐりあわせの妙を感じてしまった!

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そんな素晴らしい建物だから、メゾンジブレー、とても素敵なお店です。

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江森さんの代名詞はアイスケーキなのだけれども、お店ではケーキやクッキーなど焼き菓子が中央にだだーんと並ぶ。この日ぼくは18時頃にいったこともあって、もう品数はまばらだ。

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「午前中にきていただければよかったのに!」と江森さんに言われたが、ほんと、次回はそうしますね。

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店にはイートインスペースがあり、8人程度は座ってスイーツとお茶を楽しむことができる。とりあえず目に付いた美味しそうなケーキを片っ端からオーダー!

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手前は宮崎県西都市のマンゴーを贅沢に使ったマンゴープリン、奥は静岡はクラウンメロン部会のアールスメロンをふんだんに盛り込んだパンナコッタ。

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この日もとても蒸し暑かったこともあって、このヒヤッとした水物であるプリン、パンナコッタがやたらと美味しい!

マンゴープリンはここ10年くらいで食い飽きるほど食べたので、なんとなく濃ゆくてべたっとくる味と香りを予想してしまうのだが、その予想を嬉しく裏切る爽やかな美味しさなのだ。

そしてクラウンメロンのパンナコッタがまた、素晴らしい。メロンはどんな使い方もせず、メロンのまま食べるのが一番おいしいのだ、と思ってきたけれども、メロン果肉をつつむジュレの品のある味わいが素晴らしくて、メロン果肉そのまま食べるよりも一段階アゲてくれる美味しさなのだ!

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そして、看板メニュー的といえるのだろう、通年で提供できるという、北海道は十勝の農園の銀龍イチゴをドドドドッと盛り込んだタルト。

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この時期そろそろイチゴには厳しい気温条件になってくる。通常品種より現時点では味が一段劣る四季成り品種かもしれないが、まったくそれを感じさせない甘さとフレグランス。実に美味しいイチゴです。

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でもそれ以上に、お菓子にしたときのバランスがいい。イチゴの邪魔をせずほどよいコクを与えるカスタード、美味しい。タルト生地には微妙に傾斜が点いているようで、ケーキの先の方は果肉をしっかり味わい、縁のほうではタルト生地のサクサク感とコクを味わえる。しかもタルト生地の油脂が実に香り高く軽く、質のいいものをつかっていることがうかがえる!

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奥は沖縄産のボゴールパインとピーチパインのタルト。西表島からの二種の美味しいパイナップルを使っている。パイナップル好きの僕としては、入店したときから目が釘付けになっていたメニューだ!

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桃のような香りがすると言われるピーチパイン(色が白っぽい方)と、スナックパインとも呼ばれるボゴールパイン(果肉が黄色い方)、それぞれが主張する甘さだ。沖縄のものは完熟果が流通するので、輸入パインよりも味わいが強く薫り高い。カスタードとタルトとの関係性はここでも発揮されており、お菓子としての魅力が素晴らしく高い!

ちなみにこのタルト、700円という普通なら「高いっ!」と思われるかも知れない値付けだが、国産パインの価値と、このタルトの上質な味わいがあるならば、圧倒的に適正価格といえると思います。

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手前はフリッソンルージュ。レモン風味のムースとベリーのジュレ、イチゴとホワイトチョコの生クリームを複雑に組み合わせたものに、ベリー類をちらしている。

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割ると中はこんな世界が詰まっている!

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ここでビックリしたのが(ビックリすることではないが)スポンジの旨さだ!

「江森さん、スポンジ旨いっ!」

「あの、やまけんさんは僕のことをアイス職人と思ってるみたいですけど、洋菓子全般作れるんですよ~」

大変失礼いたしました。ふんわり軽やかながらしっかりと香りが立つスポンジが絶品だ。ホワイトチョコ入りのクリームがまた素敵。

「あ、これおそらくかなりレアなんですけど、栃木県産のバニラを使ったタルトバニラです。バニラビーンズは醗酵させて使うのが普通ですが、これは醗酵させてないもので、それでも香りが出るんですよ!」

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んー マジ? そんなことできるの? と思ったが、、、

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うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

素晴らしい!

感動レベルとしては不本意ながらパイナップルを上回ってしまった!

実にたおやかなバニラの香りが、ホワイトチョコとクリームベースと甘く溶け合っている。栃木県産のバニラ、いいじゃないかいいじゃないか!

それと、コイツが気になっていたのですよ。

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そう、野菜をつかったスイーツ。

あのですね、正直にいいますが、野菜スイーツは基本的に好きになれません。よく「トマトのジェラートがすっごく美味しいの!」とか「小松菜とバジルのソルベが絶品」とか出されますし、食べますけどね。基本的に美味しいとは思ってません。グルタミン酸とかイノシン酸とかの、どっちかというとおかず味を想起させるうまみを持ったものをスイーツにしても、どうしても美味しいと思えないと言うのが実情。

それをどう江森さんが料理してるのかなーと思いつつ食べてみました。

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食べてみて、あ、なあるほど、と思った。何がなるほどかというと、、、

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甘さは、上部を覆うカラメル部のみが担っているのだ。トウモロコシ部分の味付けはごくミニマムで、砕いてムースにしたという感じのシンプルさ。高糖度コーン特有の柔らかな甘さと香ばしさにカリカリのキャラメルの甘さとほろ苦さが加わることで、実に立体的で面白い味わいである。ああ、これはアリかも知れない。

なにより、7種のケーキを食べ進めて「かなり甘さが溜まってきた!」というところに食べると、実にホッとする味わいだ!

「やまけんさん、ジェラートも食べてみて下さいよ!ケーキいっぱい買っていただいたからお茶とこっちはご馳走しますから!」

ありがとう!ということで、やはりこの店の売りであるジェラートも味わっておかないとね。

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これ、見えないけど1カップに二段入っていて、計10種です(笑)

イチゴ&パッションフルーツ、ピニャコラーダ、ハスカップ、クラウンメロン、ココナッツ、ブルーベリー、サワーチェリー、北海道ミルク、アスパラガス、トウモロコシ。

カルビジャーニの高級マシンをぶん回して作ったジェラート、素晴らしく美味しい! しかも空気で儲けようとして無くて、どれもギュッと果実が詰まった味わいだ。

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ジェラートで儲けようとおもったら、空気をどんどんいれて膨らませ(オーバーランという)ればいい。もとの素材の150%くらいの容積まで膨らませたら、ふんわり口溶けもいいし、空気を売ってるようなもんだから儲かるわけだ。でもそれでは香りや味わいのアタックも薄くなるので、けっきょく香料を入れて香りを増強したりして。いったいなにを売ってるジェラートなのかわからなくなる。

メゾンジブレーのジェラートは果肉がごっちゃりと入ってます。

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僕が一番すきになったのはピーニャコラダ味! やっぱりパインがふんだんに使われていて、エキゾチックテイストで、極めつけに美味しい!

いやー食べました。

あ!

勘違いしないで欲しいんですけど、私一人で上記のすさまじい量のスイーツを食べたわけじゃありませんぞ!

こんど弊社に学生アルバイトとしてきてくれることになった二人を、スイーツ食べ食べ部隊として投入。

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「もっと食べられますー」

と言っていたので頼もしい限りです(笑)

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お店の閉店時間になるまで、客足は途切れること無し。すごい、地元から愛されていると実感しましたねー。

江森さん、基本的に産地には自腹で足を運んでいる。スポット的な関わりではなく継続して果物をとることで、さまざまな要望を聞いて貰えるように関係性を構築しているのだ。

そういうと「みんなそうなんでしょ?」と思うかも知れないが、なかなかできるこっちゃありません。ちょっと売れてるシェフやパティシエには、食材卸などが「ご案内しますから」とお仕着せの産地ツアーが持ち込まれることが多い。それで知り合った農家さんと安易に取引していれば、話題性もそこそことれるし、楽だ。でも、そんな仕組まれた出会い以上のものを自分で切り拓こうとしている江森さんは、本当に佳いフルーツ生産をしている生産者の大いなる味方だと思う。

あ、もちろん美味しくないものはハッキリ言う人だと思いますけどね。それがいいんです。

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それにしても江森さん、遅くなりましたが、開店おめでとうございます。素晴らしい店です、メゾンジブレー!

MAISON GIVRÉE|メゾンジブレー <神奈川県大和市中央林間4-27-18 >
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