やまけんの出張食い倒れ日記

今年オープンした佳いお店、銀座のど真ん中で勝負に出た、高良康之シェフの「ラフィナージュ」がすばらしかった!

2018-11-10-19-47-28
Panasonic GF9 + 42.5mmf1.7

いやー年末になってようやく時間ができたので、年内に書けていなかったいろいろ書こうっと。今年新しくオープンした佳い店、いくつか行きました。フレンチでいうと、元銀座レカンのシェフだった高良康之さんがとうとう独立して開店した「ラフィナージュ」ははずせない。

高良シェフはほんとうに俠(おとこ)気のある人だ。僕はこれまで仕事で、いわて短角牛、土佐あかうし、香川のオリーブ牛、そして赤肉サミットと、さまざまな仕事でご一緒させていただいた。

「あのう、、、」とおずおずとお願いをするのだが、高良さん、ほとんどの場合、即断で「やりますよ!」とお返事を頂くことが多かった。「生産者さんのためになることなんでしょ、やりましょう!」と。だから、触れあった人達全員が高良ファンとなるのだ。

高良シェフとのお仕事の過去ログ

■4人のシェフが高知で土佐あかうしを料理した、、、家畜市場のセリ見学の後、シェフ達は高知食材とこうやって向き合ったのだ! 前編 - やまけんの出張食い倒れ日記
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2012/02/2469.html

■4人のシェフが高知で土佐あかうしを料理した、、、家畜市場のセリ見学の後、シェフ達は高知食材とこうやって向き合ったのだ! 完結編 - やまけんの出張食い倒れ日記
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2012/02/2471.html

■銀座レカン高良シェフ、香川県が世界に誇るオリーブ牛を愛でて、焼き、教える!! - やまけんの出張食い倒れ日記
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2015/03/10338.html

■昨年に引き続き、銀座レカン高良シェフによるオリーブ牛セミナーin香川開催! 熱きニクヤキスト日本代表・高良康之の技さえまくる! - やまけんの出張食い倒れ日記
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2015/11/10485.html

■なんだこの高貴で強烈な香りは!?純国産アールグレイの登場を予感させる国産ベルガモットを観に行きたいと銀座レカンの高良シェフが言うので、高知県の春野町で一緒に遊んできた顛末! - やまけんの出張食い倒れ日記
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2015/12/10497.html

■プロ向け赤肉サミット終了! 高良シェフ、服部学園、出品者そして参加者のみなさまに感謝! - やまけんの出張食い倒れ日記
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2015/01/10312.html

その高良さんがとうとう独立した!ちょっと長めの準備期間中、いろんなところから声をかけられてシェフイベントをしたり、産地ツアーをしたりされていたが、しっかり準備をされていたわけだ!

僕はシェフにすこしまえから話を伺っていたのだが、銀座のど真ん中のど真ん中。コアビル裏手にあるA5ビルである。すげーリッチな立地だ!

2018-11-10-17-49-22

2018-11-10-17-49-32

この日は広角レンズの代わりに魚眼レンズを持って来てたので、ゆがんでますがスミマセン。雰囲気だけみてください。

2018-11-10-21-53-22

店内は広すぎず、でもプライバシーはきちんと守ることができる空間配置。

2018-11-10-21-53-09

しかしなんといっても、この店いちばんの特徴は白木一枚板のカウンターだ!

2018-11-10-17-53-48

レカン時代は厨房と客席がしっかりと離れたクラシックスタイルだったわけだが、お客の顔を見て、コミュニケーションをとってということを念頭においた店作りだ。

2018-11-10-17-55-31

オープンキッチンは流れでもあるが、客からみて全てがあらわになるというのは、想像以上にプレッシャーになるはずだ。でも、このスタイルを選んだ高良さん、客とのダイレクトな関係を作りたかったのだろう。

2018-11-10-17-54-32

この日は、それはもうカウンターに座らせていただきました! 高良さん、おめでとう!

2018-11-10-18-04-59

2018-11-10-18-06-09

価格的に、銀座のこの場所で、そしてこの内容であれば納得の値段です。だって高良さんだからね!

2018-11-10-17-57-20

ちなみに、訪れた人の多くがSNSなどにアップしているのですでに有名だけど、シンボル的にカウンターに鎮座しているのがエシレの発酵バターの、樽に入ってきたやつ。

2018-11-10-17-54-29

これを、お客ひとりひとりの顔を見ながら、スプーンで綺麗に巻いてとりわけてくれる。

2018-11-10-18-20-32

これ、マジで樽なんですか、と尋ねたら「ちょっと待ってて!」と言って、持って来て下さった!

2018-11-10-18-19-49

初めてみたなぁ、これがエシレの樽か!

2018-11-10-18-20-06

2018-11-10-18-20-16

いやはや、この店一軒でものすごい量を使うんだろうな。

2018-11-10-18-20-29

僕がいろんなフランス料理店の内側をみせていただいて実感するのは、とにかくバターを使う量が半端ないということだ。鍋にあてた火の熱を素材に媒介するための油としての役割だけではなく、ブールブランソースやオランデーズソース、ベアルネーズソースのように、ソースの中核として使われる場合も含め、とにかくバターは登場回数が多い。

2018-11-10-18-26-37

数年前にシャロレー牛の生産現場を訪ねた際、案内人のオリヴィエの持つ池でキャンプしたときのランチで、彼らがバゲットに山のように発酵バターを塗って齧り、一口ごとにまた山盛りに塗り直し、というのを観たとき、こりゃ食文化が違う!と実感したものだ。

ということで、遠慮無くタップリ塗っていただく!

2018-11-10-18-27-06

ちなみにパンは、元ブーランジェリーレカンでパンを焼いていた方が独立し、東日本橋で人気を集めているBEAVER BREADのものだ。これが最高に旨い!まだなんも来てないのにパンで腹を満たしてしまいそうだ。

2018-11-10-18-23-05

白い土台がカブのブラマンジェ、緑色のはカブの葉のソルベ、そしてほのかにベルガモットが香る。このベルガモットを観に、一緒に高知に行ったのでした(笑)

2018-11-10-18-23-37

2018-11-10-18-36-57

2018-11-10-18-34-24

■トラフグとロックフォールチーズ

2018-11-10-18-37-51

いやーーー
この一皿目が一番、好きかもなー。

2018-11-10-18-38-24

ほどよい〆加減のトラフグの身、塩を打ってハーブの香りをまとわせるだけで十分美味しいけど、それじゃあフレンチのグランメゾンとしての料理にはならない。

image

そこにあろうことか青カビロックフォールですよ! そんなクセの強いのいいの?と思うが、これがドはまりしていて、フグの新しい魅力を発見してしまったかのような印象。しかもマリネ時にほんのり香りをつけたコリアンダーの風味が実に生きている。

その横にはしっかり軽やかなフリットが。

2018-11-10-18-38-32

もう手で食べるしかない(笑)最高です。

image

■フォアグラのパヴェと開きトリュフのコンポジション

2018-11-10-18-57-49

フォアグラはそれほど惹かれる食材ではないのですけれどもね、、、これはすばらしかったなぁ、デザートのように甘く、軽やか。

そして、フォアグラが苦手な妻のためには、おいおいこっちの方が旨そうじゃん!という一皿が。

2018-11-10-18-58-08

ズワイガニとリンゴとキャビア。一口もらったけど、繊細にして濃密なフレッシュ感。美味しい!

ラフィナージュの料理、あたりまえだけど、レカンとまったく方向性が違うのですね。やっぱり軽さは意識しておられる。けど、軽いだけじゃない、ちゃんと一本、しっかり芯が通った味わいが立ちのぼる。

2018-11-10-19-03-44

料理は、奥にあるスチームコンベクションと、目の前にあったサラマンドルを駆使して火入れ調整していた。

2018-11-10-19-04-12

2018-11-10-19-09-12

■クロアワビのコンポートと秋トリュフのコンポジション

2018-11-10-19-24-14

トラフグも美味しかったけれども、この一皿が僕の中ではかなり記憶に残っている。

image

8時間も蒸し煮で火入れされたアワビの身は、表面に付いた焼き目の香ばしさの後にムチムチキュイッと歯に心地よい弾力を与えてくれる。緑のたまりでわかる肝を伸したソースにトリュフ、その下には温泉卵で、かなり濃密度の高いソースなのかと思いきや、これがまた実に風味軽やかなのだ。

image

ああ、やっぱり高良さん、レカンでつくっていたのはレカンの料理であって、高良さんが志向していた味わいとはまた違うのだなということがハッキリわかったのだった。

2018-11-10-19-41-50

■アンコウのロースト、こがし玉ねぎのソース

2018-11-10-19-46-33

2018-11-10-19-46-49

2018-11-10-19-46-49_002

2018-11-10-19-46-51

2018-11-10-19-47-07

実に美しい一皿です。

2018-11-10-19-47-28

アンコウのロースト、芯まで火が入りながらも、まったくバサバサしておらずしっとり仕上がり、うま味が最大限に発現している。こがし玉ねぎの香り豊かなソースがまた軽やかでよい。

2018-11-10-19-52-06

これが、ソースに使われているシェリービネガーだそうです。風味強烈!

2018-11-10-19-59-32

さあそしてメインは、、、

2018-11-10-20-02-50

■エゾジカのロースト、ポワブラードソース

2018-11-10-20-13-47

もちろんこのシカは、北海道は十勝の食肉加工集団であるエレゾ社がてがけたものだ!
ガルニチュールはアピオスとマッシュルーム。高良さんのところにはすばらしい生産者、すばらしい素材が集まるようになっているのだ。

それにしても、、、

2018-11-10-20-14-14

やはり高良さん、オールラウンドだけれども、とくに肉焼きストとしての技量は天下一品である!!!!!

2018-11-10-20-16-31

いやもう、ただただ最高です。

フレンチのフルコースを食べてからチーズを愉しむということをあまりやらなくなったけど、この日は手を出してしまった!

2018-11-10-20-43-55

2018-11-10-20-47-57

2018-11-10-21-08-09_002

■アヴァン・デセール

2018-11-10-21-14-11

フロマージュ・ブランで作るふわぐわチーズケーキであるクレームダンジュの上に、ごく薄い膜のようなゼリー、なにかハーブのエキスを感じる、が載っている。だから、ヒヤッとした食感と清涼感のある甘さのあとにチーズの油分が感じられる。ピオーネの香りとヨーグルトの泡の酸味が合わさり、豊かにして爽やかなデザート!

のあとに、ショコラとバニラ、うーん、しっかり甘味で攻めてくる!

2018-11-10-21-23-49

お茶菓子は、近年はやりのカカオニブの上に。

2018-11-10-21-37-03

いやーーーーーーーー 最高!

すばらしい料理だった、、、これが高良スタイルなんですな。

2018-11-10-22-08-00

「メイン食材とソースとガルニチュール。フランス料理のフォーマットと言えるこの形式は守りつつ、食材の味わいを感じられるような火入れをし、ソースは軽めに。でも、しっかりそのソースの味わいは守りたい。そういう方向性で料理を作っているんです」

というポリシーがよーーーーく体現されたコースだった!

2018-11-10-21-17-52

とっても食後感の爽やかなフレンチでしたね。高良さん、こんなすばらしい店をオープンして忙しいだろうけど、また一緒に仕事させてくださいね。

2018-11-10-22-13-40_1

ごちそうさまでした!