やまけんの出張食い倒れ日記

「専門料理」肉特集号にバーンと載った、リーズナブルに寝かせた赤身の肉と旨いパスタを満喫できる西永福「ムーグルモン」!カルネヤと祥瑞で腕を磨いた中森くんを劇場スタイルで眺めることができる小体な楽しいお店。肉もさることながら極太2.2mmのボッタルガかけまくりパスタの旨かったこと!

2019-06-29-20-34-19_thumb_thumb

ここ10日ほど、気づけばまったく時間がなく、ブログ書いてる余裕がありませんでした。さて、今月号の専門料理は、一年を通じてもっとも売れるといわれる肉焼き特集!

僕の連載「やまけんが聞く!」のインタビュー相手は、、、なんとこの方!

2019-05-20-16-45-15_thumb_thumb

そう、小山薰堂さんです。あの伝説的番組「料理の鉄人」の舞台裏から、料理界の若手登竜門となったRED U-35の話まで、色んな話を伺ってます。そのあと、身の回りのいろんなものを撮らせていただいたのだけれども、、、

2019-05-20-17-30-29_thumb_thumb

なんといっても写真好き、カメラ好きとしては、こいつが極めつきに羨ましかった。ライカのくまモンスペシャルバージョン!値段がつけられませんな、、、

さて、その専門料理の肉特集で、第二特集ページ的なところで紹介されていたのが「ムーグルモン」。京王井の頭線の西永福駅から歩いて3分というなかなかに興味深い立地にできた、ステーキを中心としたイタリアン。あの牛込神楽坂「カルネヤ」が露出しまくり始めの時期に厨房でガッツリ修行し、その後、ステーキの「揚げ焼き」スタイルで有名な乃木坂「祥瑞」で修行。今年2月に「ムーグルモン」をオープンした。最近、さまざまなメディアで採り上げられているので、調べたらすぐ出てきますよ。

専門料理のページにあったボッタルガのパスタの極太麺ぶりが旨そうで、これは行かなきゃ、と思っていたところに、大阪の悪友ニシガイチが「おう、東京行くぞ、肉食いたい」という実に明瞭なメッセージを送ってきたので、それじゃあということになったわけだ。

2019-06-29-18-51-12_thumb_thumb

西永福駅というのは初めて降りたなあ。笹塚の商店街みたいとか既視感を覚えながらあるくと、すぐに見つけることができた。

ちなみにこの時間にはまだ開いてなかったが、この店の隣(画面左奥)に「N・Y・ワイシャツガールズ」というガールズバー?的な店?があって、それがまた実になんというかソソル看板だったんだけど、そういうそこはかとない味わいも実に佳しなロケーション。

2019-06-29-21-11-28_thumb_thumb

店はコの字カウンターなのだけれども、店の奥に行くにしたがい段差で降りていく変形スタイルの物件。こりゃ、元はラーメン屋だろうなと思ったら案の定そんなかんじらしい。面白いね!

2019-06-29-19-36-41_thumb_thumb

中森くん、カルネヤ時代にあったことあるよな、、、となんとなく思ってはいたが、なにせすぐに人の顔を忘れる僕のこと、無難に「はじめまして」と言ったら「何度も会ってます!なんなら、赤肉サミットで肉も焼きました!」と!申し訳ない~

2019-06-29-18-51-59_thumb_thumb

もちろんメインの肉は、塊肉を客が選べるスタイル。常時三種程度は肉のバリエーションを持たせているようだ。この日はすべて短角牛! サカエヤ新保さんが熟成した岩手のとあるレアな産地の短角ロースと、同じく岩手県の久慈市山形町産の短角ロース、そしてもうひとつは北海道のエレゾが熟成した、北大静内牧場の短角の内モモだ。

そりゃもう、3種盛り合わせでお願いしますよ。

12席あるこの店だが、そんなにパンパンには入れないポリシーらしい。お一人様でもお二人でも楽しめるとは思うが、3人~4人で来るのがちょうどいい感じかもしれないね。

2019-06-29-18-57-46_thumb_thumb

飲み物はワイン中心で、どうやら40種ていど置いているらしい。それ以外はそれほどバリエーションはありません。ビールは川越のコエドビールの毬花(まりはな)!日本人にも合う、アルコール度数低めのセッションIPA!

2019-06-29-18-58-12_thumb_thumb

それにしても、、、

2019-06-29-21-50-04_thumb_thumb

安い!

パスタ1000円とか、どーしたのって感じ。飲んで食って客単価7~8000円程度でおさめられる使い勝手の佳い店を目指しているのでしょう。ガンガン食べてあげて下さい。

2019-06-29-19-02-07_thumb_thumb

トウモロコシのスープ。

2019-06-29-19-03-10_thumb_thumb

スーパースイートコーンを皮ごと火で焼いて、それを絶妙に粒感が残る感じでミキシングさせた、素材感ぶっちぶち残ったスープが、美味しい! これ、なんと300円です(笑)

2019-06-29-19-07-54_thumb_thumb

ラディッキオとアンチョビのサラダ。ほろ苦い結球野菜であるラディッキオを美味しく食べるためには、苦さを凌駕するバキッとした味わいが必要だが、アンチョビ感がガシッと強めで合う!

2019-06-29-19-08-42_thumb_thumb

ニシガイチと、某代理店で部長に登り詰めた小澤も「ほんとだ、これうまーい!酒が飲める!」とヨロコビの顔。

2019-06-29-18-52-05_thumb_thumb

ブッラータ(Lサイズ)はアメリカのものだそうです。美味しい。

2019-06-29-19-14-39_thumb_thumb

トマトもしっかりした甘みと酸味。素材でよいものを仕入れて、仕立てはミニマムに。そんなポリシーが透けてみえます。

そして専門料理の記事で観て「ほほーう」と興味があったのが短角牛のリエット。

2019-06-29-19-18-25_thumb_thumb

「これ、ロースのネック側とかの硬くてゼラチン多い部位を、ほとんど塩だけで煮て作ってます。脂も足してません」

2019-06-29-19-18-49_thumb_thumb

というこのリエット、すばらしく美味しい。リエットと言うよりコーンドビーフのようなほぐれ感、これだけでワインもビールも進むでしょう。ちなみに、自家製パン300円を頼むと、網焼きした旨そうなパンがついてきます。

手前はパテドカンパーニュだけど、これまた豚肉感みっちりなパテカン。

2019-06-29-19-18-46_thumb1_thumb

どちらも大変美味しいので、盛り合わせで頼みましょう。

メニューにマッシュルームのオムレツとマッシュルームのサラダがあったので、「もしかしれこれは八幡平ジオファームのマッシュルーム?」と聞いたら、ビンゴ!

八幡平で競馬の競走馬を引退した馬を飼育して、その馬糞を堆肥にしてマッシュルームを栽培している八幡平ジオファーム。マッシュルームは堆肥で栽培するのだが、日本で主流の牛糞ではフランスのようなマッシュルームにならないのである。

「じゃ、オムレツを!」と頼み、凝視。

2019-06-29-19-33-20_thumb_thumb

マッシュルームは薄切りではなく4つわりの食感重視なプレゼンテーション! これを強火でソテーしておいて、手前でちいさなココット様のフライパンを熱し、といたたまごをジュパっと溶きいれたところへこのマッシュルームを投入し、、、

2019-06-29-19-36-48_thumb_thumb

こうなって出てきた!

2019-06-29-19-38-34_thumb_thumb

いや、これがまた、ブラボーな美味しさ。肉だけじゃありませんねこの店は。

そうこうしているうちに肉焼きが始まる。

2019-06-29-19-50-33_001_thumb_thumb

どうやら、肉をカットしたら台下のオーブンに入れ、肉全体を軽くあたためているようだ。温度設定は聞かなかったが、仕上げの火入れに要する時間が短そうだったので、100度から120度くらいにはしているのだろうか。

その肉を油を満たしたフライパンにいれ、ジュワーーッという音をさせながら、油をかけ回す。「祥瑞」が広めた、ステーキの揚げ焼きスタイル。

カルネヤでは炭火焼きだが、炭火は長時間安定させるのが大変だし、だいいちこの物件で炭火を使う許可はなかなか下りないだろう。祥瑞スタイルは肉の表面のメイラード反応を出すのが容易で、短時間で火入れが可能なので、これを採用したのではないだろうか。

2019-06-29-19-53-49_thumb_thumb

はい、来ました!

2019-06-29-19-54-34_thumb_thumb

三種の肉は左から、北海道大学の牧場で育った短角牛をエレゾ社が熟成した内モモ、真ん中が岩手県久慈市山形町の短角牛を店で1週間ほど枯らしたもの、左は滋賀県のサカエヤ新保さんが熟成した岩手の短角牛。

2019-06-29-19-54-40_thumb_thumb

ここのところ短角牛を食べる機会が多く(って、いつもだけど(笑))、じゃっかん食傷気味で、サカエヤ熟成の黒毛を食べたかったのだけれども、この日は短角牛の三連星だった。いや、とても楽しめましたね。

エレゾの短角は風味の淡い内モモだが、しっかり熟成させていることで締まりが緩まっていて(変な表現ですが)、味も濃厚。岩手の山形町産はいつもの安定の国産飼料の味わい。そしてサカエヤ新保さんが手当てしたレアな短角は、サカエヤ熟成ならガツンとくるかと思いきや、軽やかな香りと味わい。

「サカエヤさんも、料理人の好みに合わせて熟成してくれるんで、僕向けにはそんなに香りブンブンしたのは送ってこられません。あ、肉はいつも「お願いしまーす」とオーダーする感じで、新保さんが選んでおくってくる感じです。」

とのこと!

短角牛も産地と熟成によってまったく味わいが違うということを、小澤もニシガイチも味わってくれたようだ。

2019-06-29-20-49-12_thumb_thumb

2019-06-29-20-26-51_thumb_thumb

ちなみに、ワインもかなり楽しめた。

2019-06-29-20-26-58_thumb_thumb

外苑前の酒屋さんにお願いしているとのことだが、面白いワインをトクトクトクと注いでくれる。

さあそして、〆のパスタだ!ボッタルガの大盛りをオーダー!

2019-06-29-20-34-12_thumb_thumb

カルネヤで出しているように、極太2.2mm麺を中心に。「これが美味しいと思うので、、、」そうだよな、おれも大好きだよ、極太乾麺!

2019-06-29-20-35-04_thumb_thumb

もうね、言うことナシ! 最っ高に旨い! 絶妙なゆで加減の極太麺にオイルの旨さミニトマトの酸味を吸わせたところにボッタルガの魚卵味と塩味がからみついて、たまらねーよっ!独り占めして食いたかった!

ちなみに、カチョエペペ、ボッタルガ、アマトリチャーナ、カルボナーラなどあるが、「えーっと、じゃあ三種類!」とかいうのはやめてあげましょう。ひとつ作るのに20分かかるから、全部たべるのに一時間かかります。

2019-06-29-21-00-25_thumb_thumb

ドルチェのブラマンジェは、なんと高知県産「吉本牛乳」を使用したものだ!冷蔵庫開けたときにあのパッケージがあったのを素早く観てしまった。このホヤンホヤンとした柔らかなブラマンジェ、素晴らしい出来でした。

2019-06-29-21-10-47_thumb_thumb

ということで、西永福、住民以外はあまり足を運ばないところかもしれないけど、肉好きにはいいスポットになると思う。

2019-06-29-21-12-51_thumb_thumb

中森くん、遅くなったけど独立おめでとう! 今度はパスタ二種食べたいぞ!