さて、絶品土佐ジローの鶏舎を訪ねた後は、高知に戻っての夜。
高知での泊まりは、交通の便のよさから、西鉄インはりまや橋に泊まることが多い。便利なのよね、ここ。
はりまや橋といえばはいこの小さな橋!それを渡って、ちょっと歩いて対岸へ渡ります。
ここから150メートルほど歩いけば、高知の夜で絶対のお薦め、「かもん亭」がみえてくる!
こんな小さな居酒屋然とした店だけれども、出てくる料理のセンスは本当に素晴らしい!店主の伊藤さん、ますますの精進ぶりが目立つ。
早くも、いつものメンバーが揃っております。小松夫妻も、遠い畑山から出てきてくれました。
この日の食材の多くが持ち込み。土佐ジローササミの先付けです。
そして衝撃!!なんてこった、シンコとブシュカンを用意してくれていた!
シンコというのは、江戸前ずしのコハダの稚魚ではありません。高知でシンコと言えば、ソウダガツオのこの時期の若いもので、身が硬直していないやつのこと!
クヌンクヌンというなんともいえない身肉の歯触りと、熟成の正反対、活きている細胞を噛む心地よさがある。そこへ、これまだ高知だけで言う柑橘・ブシュカン(いわゆる佛手柑とは違うのです)をダバダバと絞っていただくのだ。
シンコとブシュカンについてはこちらをご参照!
■高知でしか食べることのできない、シンコにブシュカンかけて食べるのを初めて味わえた!グミとマシュマロを足したような超絶魅惑食感とブシュカンの酸味に悶絶うおおおおおおおお! 本文も画像も新規追加!
- やまけんの出張食い倒れ日記 http://bit.ly/2mLbKeL
もちろんカツオの塩タタキも用意されとりま!
そして出ました土佐ジロー料理!しかもみてください、ジローのモモ肉に下味をつけてあぶり焼きしたものと、土佐ジロー卵を煮卵にしたのが一緒に盛り込まれている!
「卵の黄身まで齧ってから、肉をかんで下さい」という細かい指定あり!
なるほど、ジロー卵の濃い黄身の風味、白身に染みこんだ割り下の香りを味わいながら、ジロー肉のハッキリした食感と噛みしめる度に湧き出る旨みを溶かし込んでいくと、絶妙な口腔調理となる! すばらしいじゃないか伊藤さん。
ところで、この日はこの男の歓送会も兼ねていた。
さきごろ高知では大きな出来事があった。高知県内の多くのJAが合併して「JA高知県」という巨大JAが誕生したのだが、そこに旧:全農高知も吸収されたのだ。全農高知といえば、高知市の牛のと畜を一手に引き受けてきた食肉市場を所管する。つまり、食肉市場もJA高知県の管轄となったのだ。
この男は全農高知時代、肉牛のセリを仕切っていたブンちゃんである。このブンチャンが、、、
「あー やまけんさん、俺、やめるんっすよ、、、」
えっ マジで!? お前が辞めたら相場どうなるの!?
経済学の原理としては、相場というものは需要と供給のバランスで粛々と決まるものだ、ということになっているが、実際にはそんなこたあない。セリ人がどう働きかけるかによって、価格は大きく変動するものだ。ということをあんまし言ってると市場操作か?と言われるのでくわしくはよう言わんけど、とにかく牛を出荷する生産者からすれば、自分の牛のことをわかって発句(セリのスタート価格)を決めてくれるセリ人でなければイヤだし、買う精肉店や卸にとっても、自分達の事情(今日はぜったいに買って帰らなければならない!とか)を理解して、なんなら調停に入ってくれるセリ人には頭が上がらない者だ。
ブンちゃんはそういう意味では、生産者からも買参人からも感謝される人だった。事情を訊いて納得。そして、今後の生き方についても納得。我が道を行って下さい!
その、ブンちゃんも支えてきた土佐あかうしの肉焼き。いいねえ、いい火入れだよ伊藤さん!
これで終わりかと思ったら鮎まで出てきた!ちなみに釣ったのは、、、
肉より魚釣りのほうに忙しい、三谷ミートの三谷専務(写真右)です(笑) いい型の鮎でしたねぇ、旨かった!
という、悲喜こもごもの夜。土佐ジローと土佐あかうしの未来と、ブンちゃんの今後の活躍を祈ります!
「やまけんさーん、そのあかうしTシャツ、買いたいんです!」いやごめん、もう遅いわ、来年まで待ってね、、、
つうことで伊藤夫妻、またよろしくねーん
■かもん亭
〒780-0822 高知県高知市はりまや町2丁目3−13
088-885-0855