やまけんの出張食い倒れ日記

札幌のとんかつスタンダード店「玉藤」は美味しくて、ちょっと豊かな気分になる佳いお店!

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大学院の通学で札幌に滞在しているとき、地味に困るのが夕食だ。そもそも札幌は一大観光地なので、飲みを前提とする店が多い。でも、こちらは遊びに来てるわけじゃないので、ハレとケで行くとケの食をしたいわけだ。自分のすきなおかずとごはんと汁を頼める、いわゆる定食屋があればいいんだけど、北大周辺には意外とない。学生向けドカ盛り店みたいなのはあるけど、もすこし落ち着いた感じがいいんだよな、と困っている。

そんな中、「トンカツ食べたい」と思ってしまった。ブログ書くスピードの100分の一くらいのスピードでしか進まない論文を書いて疲れた頭が、猛烈にカツを要求している。うーん、でも東京でも行けるチェーン店とかはヤダよ。そう思っていたら、どうやら完全に札幌というか北海道資本のローカルなとんかつチェーンをみつけた。

■とんかつ玉藤

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札幌内に10店舗、北大近くであれば札幌駅隣接の商業ビルであるエスタの10階飲食店街に入っている。豚肉はフレッシュなものではなく18日間の熟成を施しているようで、直系60cmの銅鍋でたっぷりの油で揚げるということが書かれている。なんかいいじゃん、と思い9月の訪問で一度行った。

カウンターに座ると4基の銅鍋が鎮座。それ以上に驚いたのは、パン粉を店内で、客の目の前で挽いていたことだ。食パンの原木が並び、それの耳部分を丁寧にカットしたものを並べ、定時ごとにパン粉を挽いていた。

うーむと唸りつつ、肩ロースを使用する、もっともボリュームがあって上等な「熟成」上ロースカツ定食をオーダー。この時は渇望していたので240g(2343円)をオーダーした。

見事な厚みの肉を切り分け、フカフカの挽き立て生パン粉を丁寧につけ、海のように油を湛えた鍋に投入。

網に乗ってきた熟成上ロースカツは、実にすばらしいものだった、、、いやぁこれだよこれ、こんな上質なトンカツ、東京の専門店だと3000円超すなあ、こんなのが札幌で食べられるなんて嬉しいなあ、、、と感動しきりだった。

で、先月も再訪。

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飲食店街だからまわりに色んな店舗があるなか、人気があるようでお客さんも多い。

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ほれこのとおりの迫力だ。

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なんと、ごはんは白ごはんと五穀ご飯、そして月替わりの炊き込みごはんを頼むことができる!

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この日はマイタケごはん。うれしいことにおかわり自由で、しかも一杯目を炊き込みごはん、おかわりを白ごはんというのも可能だ。どこまでサービスいいんだろう。

ただし炊き込みごはんは限定のようで、19時くらいに僕がいただいたのち、他の席に座った単独の女性が「炊き込みごはんは品切れでして」といわれたら「えっ それじゃ帰ります」といって席を立っていった。この店の炊き込みごはん目当ての人もいるということだろう。おねえさんゴメンね、僕が食べてしまって、、、

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オーダーを終えて運ばれるのが三種の漬物。梅柴漬け、ダイコン漬け、小ナス漬け。これをポリポリやりながら待つ。手前にあるのは小さなすり鉢とゴマ。こういう趣向だ。

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なお、ソースは辛口と甘口がある。

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両方いただいたが、甘口は甘すぎる、、、自分的には辛口一択です。

ただ、前回は職人さんをジーッと観てて、肩ロースが運ばれた瞬間に職人さんが「塩で食べるのも美味しいですよ」と、岩塩を別皿に入れて手渡してくれた。これがまた、とてもマッチして美味しかったのである!

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これがパン粉用のパン群。そのうしろには、、、

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耳をカットし、ミキサーに入れる前の状態。丁寧に、水分が飛ばないように袋に入れられている。これを、どういうタイミングでかはわからないが、職人さんが挽いている。

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ちなみに夜に三回足を運んでいるが、職人さんはすべて同一人物。ベテランの揚げ手なのだろう。

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衣漬けは粉とたまご、パン粉と通常の流れだが、卵液はバッター粉の工夫がしてあるかもしれない。

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このときは開放感に包まれていたので、牡蠣フライ単品2個、海老一本、そして180gのカツとした。そんなわがまま注文もできる。東京の名店だと「ええっ!?」という金額になるけど、玉藤価格ならちょっと背伸びくらいの範囲に収まってくれる。

揚がったら油切りバットに置かれ、十分に油を切り、また余熱を回してからカット。カットはまた別の職人さん。内部の火入りをみて、少しピンクがかっている場合、包丁を油にいれて熱し、それを切り口にあててジュワーッと火を通す、とんかつ店独特の作法をやっていた。そう、火が通っているピンクでも、嫌がる人はいるので、とんかつ店はそういうところに気を回すものなのだ。

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ところでおもしろいのは写真の上部に、おそらく味噌汁で使っているであろう味噌など食材が並んでいる。この玉藤という店、パン粉の原料パンも含め、使用食材をどうどうと見せている。この姿勢も気に入った。まあ、知ったところで一緒のものを作れるはずもなく、そんなことをする意味もないしね。

さて、到着!

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夢のような布陣である、、、味噌汁も3種から選べるが、この日は豆腐とワカメの白味噌仕立てにしておいた。

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トンカツはさきの通り、通常のテーブルミート(家庭用)としての豚肉よりも、だいぶ長めに冷蔵熟成をしている。豚肉は長めに置いておくことで顕著に肉質がシットリ柔らかくなる。はたして、肉を肉叩きでバンバン叩いて筋切りしていた気配はないのに、シクッと肉の存在感を確認できつつも、スーッと歯が通る肉質だ。くどい香りになりがちな焙煎ごま油なども使っていないこともあって、実に軽い食べ心地。ちなみに業界の人ならわかるであろう、ナタネ・コーン・パーム油のブレンド油だが、その最上級グレードのものを鍋に入れていた。

それにしてもパン粉の具合がとてもいい。バリバリ立ちすぎておらず、それでもってサク感が心地よい。塩だけで食べたくなるスッキリした味わいに留まり、シツコサがない。ベテラン職人さんの揚げの技術、さすがである。

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牡蠣も海老も楽しむ。海老はタルタルソースとレモンで。ここでは海老より牡蠣がいいなあ。

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もちろんキャベツもおかわり自由。ドレッシングは2タイプ置いてあるのだが、ぼくはトンカツのキャベツこそ、ソースで食べる派である。トンカツとはソースを美味しく食べる料理だと思っているので(笑)

いや、大満足、大満足。レジで会計をする際に男性社員さんと「本当に美味しいですよね、、、東京にも出店してくださいよ」とお話をして、店を出た。

その2日後、、、また足を運んでしまった!なぜかというと、、、

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これが気になったからだ! ぼくはカツカレーはあまり好きではないほうだ。なぜなら、カレールーはごはんの友であって、カツはあくまでソースで食べたい。それなのに、カツカレーの出る店は、カレールーでカツをたべさせようとする店が多いからだ。あ、金沢系はソースがカツにかかってくるけど、そもそも美味しいと思う店が少ない。

でも、ここのカツカレーは、ソースがカツにかかっておらず、別々の組み合わせとして食べられそう。これは食べたい、、、と。店内にはいると、2日前にすこし立ち話をした男性が「あっ」と。「今日も来ていただけたんですね!?」「カレーが気になってね、、、」と(笑)。

あの凄腕の職人さんも、軽く頭を下げて挨拶してくれる。やっぱり好きになった店は通わないとね。

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この日のカツは、160gをオーダー。

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来ました、、、ちゃんと、キャベツも別添えでついてきます。おかわり自由。

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みてくださいこのカレールーのタップリ具合。そして、できあいの加工品カツではなく、トンカツ専門店が揚げた、クオリティの高いトンカツ片の説得力を!

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しかもですね、嬉しい誤算。

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ルーが美味しい!オリジナルな味わいです。 もちろん100%手造りなんて幻想は持ちませんが、S&Bやハウスの業務用ルーそのままの味ではなく、ベースとなったルーにきちんと手を入れて、この店なりの味をだしてくれている気がする(いや、違ってたらゴメン)。これは素晴らしいね!サラサラ系で、具はほとんどありません。これぞトンカツを食べるために特化されたカレールー!

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前にも書いたように僕はカツカレーのカツにもソースで味をつけたい派であります。ルーでカツを食べられる例外は帯広インデアンカレーのみです。

いやそれにしてもここのカツカレー、美味しい!このメニューは夜だけらしいが、じつに素晴らしいです。

そして、もっと驚くのは、、、

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なんと、ルーもおかわり可能なのですよ!

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それも、たぁっぷりと!

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もうね、ぼくは札幌に行くたびに、玉藤に来ようと思いました。

いや、決して東京に溢れる超高級トンカツと伍する店だといってるわけではありません。だってここ、地元民に支持されるフツーのとんかつ店なんだから。でも、それでこのグレードのカツがでてくるのかっ!と瞠目してしまう。

しかもですね、、、

サービス最高。

店員さんのホスピタリティ、素晴らしい。居て心地よい。「先日もきていただけましたので」とお茶いただいちゃいました。ごちそうさまでした。

そして会計をした後。先ほどは書かなかったけれども、、、

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この店、手が空いてるときは、ということだろうけど、店員さんがのれんの外まで見送ってくれるのだ!

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美味しい、腹一杯食べられる、手頃価格、素晴らしいホスピタリティ。

玉藤、佳い店だ!今月も行くぞ。