京都で行きたい店は多々あれども、日本料理の名店に伺う前にひとまずは気兼ねなくプハッと呑み食べしたい。と思ってすぐに連絡したのがここ「大鵬」だ。
2017年、「熟成肉バイブル」に収録する「瓢亭」高橋義弘くん、「又三郎」大森シェフ、「カルネヤ」高山いさ巳くんという顔ぶれの座談会のために京都入りした際に、編集のサイトウくんがセットしてくれた店だ。といっても、そこをお薦めしたのは弊社の柿本さんで、彼女はたしか当時京都に在住だった神吉ねえさんにきいたと言ってた記憶がある。違ってたらゴメン。
当時はコロナがこんなになるとはまったく思ってなかったなー それにしてもスゲえ面子だ。
当然ながらその打ち上げは大盛り上がりになって、大フィーバーで食いまくった。
しかし!
その時ぼくらは頼んでいたコースでお腹いっぱいになってしまって、肝心のてり丼を食べ逃してしまったのだ!ということでさっそく向かいましたよ。
京都駅からもほど近い二条駅へ、今回はバスでさーっと移動。本当に駅チカ、裏通りの「ここかよ!?」という場所に輝る看板。
さてこの大鵬、「てり丼きんし」なる豚の焼肉を錦糸卵といっしょに白飯に載せた丼が有名で、多くの客はそれと一品みたいなかんじで腹一杯のごはんを食べに来る人達だ。ほれ、店頭に貼ってあるメニューにも筆頭にてりどんシリーズが!
しかし、この店の真価は次代を担う若き料理人・渡辺幸樹クンが繰り出す一品料理! あらかじめ「お任せするからいろいろ食べさせて!」とお願いすれば、でてくる出てくるすごいのが!という店なのだ。
相変わらず元気そうだねー幸樹クン、、、 ん!? あれれっ ちょっと違うゾ!?
2017年の幸樹クン。
今年の幸樹クン!
「そうなんですよ、コロナで店を閉めざるを得なくなったときに、やることがないんでとにかく身体を鍛えてたら、痩せちゃいました!」
す、すげえ!
ということでスリムになった幸樹くん、味のセンスまで磨かれていた!
ゆでだこの青ネギ山椒山葵ソース。キュッとしまっているかと思いきや、ホヤッホヤに柔らかいタコの身に載せたソースの旨いことよ。
京都・ミルクファーム杉山のモッツァレラチーズのピータン、四川漬物、卵黄味噌漬け添え、四川漬物のシャクシャクした歯触り、卵黄味噌漬けの塩味に油分がモッツァと合う!
そしてこの宝牧場の近江牛の経産牛スネ肉を八角などと茹でて燻製にしたのだろう、とてもおいしい!
それにしても中華料理店で「経産牛」という言葉を観ることになろうとは思っていなかったぜ!
新子針イカのサクサク唐揚げ! 妻がグルテンアレルギーということを伝えておいたら、ひよこ豆の粉で揚げてくれた!
「アレルギー、可能な限り対応しますのでなんでも言って下さい!」とのこと。心強い!
そしてこの日最大のびっくり。
「えー、岩手県の柿木牧場さんの短角牛をクレソンと煮込みましたスープです」
ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
京都まできてカッキーの牛に出合うとは!
しかもですね、このスープがすばらしくおいしいのだ。
メニューにはハラミと書かれていたけど、ハラミかなあ、ナカバラ肉のどこかではないかとおもうけど、白濁したスープがとてもよい味わい。グルソー使用せず、素材の美味しさを存分に引き出している。コラーゲン質の染み出したスープは舌に存在感を残し、スッときれいに消えていく。文句なし、とてもおいしい!
なーんか嬉しくなっちゃったので、酒呑もうっと。と思ったら!下の写真の酒の棚に、「えっ なんでこの酒が!?」!!!!!
なんと、2010BYです。
「竹鶴、お燗つけられるの!?」
「もちろんです!」
いやーーーーーーー なんてこった。今日はこれで行くぞ。ちなみに、チェイサーは大鵬的ハイボール。
シロップ漬けしたクコの実一杯、紹興酒ベースのハイボール、呑みやすくて美味!
蒸しナスはへしことガーリックで蒸してある! 四川ならハムユイなんでしょうか、でもここは京都だからへしこですよへしこ!
旨い、、、 やはりグルソーを使用しないので、その代わりに中華といったらみんなが思い出すあの味のアタックをどう出すか、ということを研究しているのだろう。発酵で生成された香りを旨く使って、舌も鼻も満足する味わいを生み出している! 激烈好感であります。
そして来ました!
なんとこれ、カッキーの短角牛のタン!を惜しげも無く使った青椒肉絲!
いやーーー 控えめに言って最高だね!
広東省田舎煮込みのモロヘイヤスープ。
たっぷりのモロヘイヤ、ピータン、アヒル卵の塩漬け、春雨などが入っている。
塩卵のコックリした塩味を溶かしながら食べるのがいい!
そして、また来ましたカッキーの短角牛の、、、
内臓肉テッチャンの生青トウガラシ・青山椒炒め!
きけば取引先の肉屋から短角牛の提案があって使ってみたらすげーよかったとのこと。なんだよ、産地に連れて行きたいな、と思ったら「再来週に行くんですよ!」とのこと。いい旅になることを祈るよ!
それにしてもこのテッチャン炒め最高。内臓の臭み一切無し、下ごしらえが素晴らしいのだろう。そしてテッチャン特有のブリンブリンした歯触りと、青トウガラシの容赦ないビリ辛さ!そしてまだ青い山椒がドッサリ入ってて、シビれるシビれる、カラシビです!!!!!
トウモロコシ炒め、とおっても美味しい。
そしてうれしい麻婆豆腐、これで白飯食いてえ!
自家製の豆板醤とトウチの旨さ香りが前面に出ていて素晴らしい。
ハクサイのハージャン(蝦味噌)炒めを挟んで、、、
今日は絶対に食べる!と宣言しておいたてりどんきんし!
なんとハーフにわけて持って来てくれる、、、うーん、心遣いありがとう、でもどかーんと一皿で食べたかったよーん(次回は言っておこう」。
いや、すばらしく美味しいですね。さすがは名物になる理由おおありだね。次回は地獄盛りで行きたい。
杏仁豆腐もまったく手抜きなし、爽やかな杏仁の香りとギリギリの塊加減が最高。
ということで、最高の中華の夜!
ありがとう幸樹クン!