ざんざ亭は、信州は伊那市の山の中にある、古民家を移築した宿泊施設。和風オーベルジュといってもいいですかね。
そのざんざ亭と縁ができたのは2011年。主にして料理人であるはせやんこと長谷部晃さんが、主に地域で穫れる鹿や猪などの野生鳥獣を料理して出す宿のメシが最高に美味しいことで、話題になっていた。
そのはせやんの料理の中でも、ひときわ「すげえ、旨い!」と唸ったのが鹿肉カレーである。
このカレーのことについては過去ログを見て欲しいが、、、
■そして、これが鹿肉カレーの美味しさの秘密なのです。
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2011/09/2344.html
そう、各種スパイスに加え、酒粕が入っているのがおいしさの秘密! それにしてもちょっと心が震えるほどに美味しかったのを昨日のことのように覚えている。
そのはせやんから「レトルト作ったので食べて下さい~!」と。
そうだよな、ざんざ亭は宿泊してもらうことで収益が出る施設だから苦労しているだろうな。今彼は、宿泊施設としてのざんざ亭をいったん閉じて惣菜製造の拠点として許可をとり、クラウドファンディングなどを活用して資金を集めて、レトルト食品の製造ができるようにしたのだ。
そんで生まれたのが鹿カレー!
ジャケットの裏面のはせやん写真がまたイケる!
こうして造られた鹿カレー、アミノ酸も酵母エキスも使用せずに味わいを造っている、立派な裏面表示である。百貨店のコレクションに置いてもいいくらいの内容だ。
あ、だけどね、美味しそうなジャケ写真でカレーの上にポンと載ってる鹿肉ソーセージは付属していない。はせやん、これちょっと不親切だよ~。ぜったい鹿ソーセージ食べたくなるもん。付属したバージョンも作ってくれ!
やっぱり特筆すべきは鹿肉! かなり大ぶりの肉片がごろごろっと入っている!
はせやんは以前、自分でも猟をしていたくらいで、料理人として「美味しい」と思える鹿肉しか使用しない。以前はざんざ亭のある長谷地区の最寄りの処理場で目の届く範囲でとれた鹿肉を使用していたが、いろいろあって処理場が使えなくなったそうで、現在はちょっと離れた処理施設で、仲間の猟師がとった鹿の肉を料理しているそうだ。
レトルトゆえに、肉の鹿感は飛んでしまっているのではないかと思ったが、製造段階で調整したのだろう、正体不明な肉というかんじではなく、鹿肉感が残っている。特筆すべきはグレービー(ルー)で、アミノ酸を添加していないのにしっかり旨みがあり、そしてあのタダモノではない感の源である酒粕の風味がほのかにある。もちろん、ざんざ亭で食べた時のような甘やかな香りは消えているが「これなんの風味?」とあたまに?マークが残る感じ、あれが残っている!
この鹿カレー、最寄りの道の駅など直売施設で販売しているようだが、大手の流通はまだしていない。関心のある方はざんざ亭に直接連絡をしてみて欲しい。5個とか10個とか宅配で購入してもいいと思えるものに仕上がっている。
野生鳥獣による農林産品の被害は大きく、ジビエの活用はいま真剣に取り組むべき問題だ。だが、肝心の肉が美味しくなければ、誰も食べてくれない。美味しくジビエ活用をできるはせやんのような存在が日本に100人くらい居た方がいいだろうな、と思う。
はせやん、よく造ったなあ。美味しいよ。またざんざ亭で語り明かしましょう。