やまけんの出張食い倒れ日記

種子島から絶品の安納芋届く。とろ~りあま~い、そのまんまデザートな、まさに甘藷です。いまサツマイモ産地で猛威を奮う基腐れ病の脅威に負けないで欲しい!

2022-01-07-18-31-33

種子島の長野広美先生からうれしいお便り。沖が浜田の伝統的な製法による黒糖と、安納芋をいただいた。

パナソニックのコンパクトオーブンで、200度設定で45分ほど焼いてしばし放置。20分後に取り出すとネットリ、よく焼き芋屋さんが「蜜」とよぶシメーッとした液体が漏れ出てくる焼け具合に。写真撮った後にかぶりついたが、トロットロで熱く、そして限り無く甘いマグマが舌を焼く! おいしい!

安納芋は安納紅(皮の色が赤い)と安納こがね(皮が白い)の二種がある。こがねの方は、紅の枝変わり品種だそうだが、どちらも固有のおいしさがある。実に愉しませてもらった。

長野先生にお礼の電話をすると「いまね、安納芋の生産者さん、大変なの、、、」と。実はここ数年、サツマイモ産地に基腐れ(もとぐされ)病という病害に置かされるケースが激増しているそうだ。基腐れ病はカビの一種が引き起こすもので、地上部は立ち枯れてしまい、塊茎(イモね)は褐変し、腐敗してしまう。僕も入手したイモが基腐れ病だったことがあり、病変部をカットして、色が変わっていない部分だけ焼いて食べてみたのだが、苦い味がして食べられたものではなかった。

基腐れ病が発生したほ場の芋は収量がほぼ半減するのが特徴で、対策をしないでそのままでいるとどんどん胞子が増えて、そこではサツマイモ栽培ができなくなるようだ。恐ろしい病害で、これが西日本のみならず、北海道までしまっている。種子島島内の生産者さんも「もうだめだ」とサトウキビに転換するような状況になっているそうだ。

恐ろしいのは、「これをやればバッチリ効く!」という対策がまだ見つかっていないこと。試験研究機関から出ている防除指針を観るとZボルドーやジーファインなどの銅剤が推奨されているのだが、農家さんいわく「あまり効いてない気がする、、、」という声もある。たしかに、ボルドーで食い止められるようななま易しいもんじゃないだろうねえ、、、

いまのところ焼き芋などの単価が爆上がりしているということもなさそうだが、このまま抜本的な対策ができないままに拡がるとどうなってしまうのか。かなり怖い。

ここ2年間で、僕ら人間はウイルスの恐ろしさを知ったわけだが、作物や動物の世界でも同じように未知の病害がでている。サツマイモが今後も食べられるように祈るばかりだ。

ちなみに写真の安納芋の生産者は花木ファームの花木美恵子さん。弟さんが肉牛の繁殖農家であり、そこで出る牛糞堆肥をほ場に投入。種子島では、芋を収穫したあとはまた別の作物を植えるのだが、花木さんは地力回復のため、安納芋の収穫後には作物は植えないそうだ。来年も花木さんのおいしい安納芋に逢いたいと心から願う。