年末の金沢での取材時、最終日は早朝から工場の撮影をした後、地元農協にて、街の名人さんの撮影をすることにしていた。ちょっと時間が空いたのだが、その農協の直売施設にゆっくりできるスペースもあるだろうと思っていたら、そんなのはなかった。うーん、コーヒー飲めるだけでいいんだけどな、と思ったら、編集者くんが「Googleマップみたら、100メートルほど隣にカフェがありますね」と。重量級の機材(ローラーバッグ、カメラバッグ、リュック)を転がしながらなので、間違えると痛い。ホントにやってるの!?と思いつつ移動したら、ちゃんとやってました。
NOEL fusion、ノエルフュージョン? よくわからないけどコーヒーショップと書いてるから、コーヒーは飲めるだろう。と思ったら、なんか「ターバンカレー」というのぼりがかかっている。あらま、金沢カレー源流の一角であるターバンカレーの店も併設してあるの!?
中に入って「おおおおおおおお~!」となった!
なんとなんと、ここは生ライブの店じゃないかぁああああああ もしかして店名からすると、フュージョン(いまも音楽ジャンルとしてあるのだろうか)専門のお店?
お水を持って来てくれたマダムに聴くと「いえ、もともとNOELっていうライブハウスが街中にあるんです。ここはその二号店で、店名にFusionとつけているんです。」
という。そうなのか、、、それにしても、、、
ちょっと腰を据えて聴きたくなってしまうセットじゃないか!
広々とした店内には、近所の会社員といった感じの人達がランチを食べにきている。かなりしっかりしたランチが出るお店である。ただしわれわれは軽く食べて来たので、コーヒーをいただいたのだが、これがまたちゃんと美味しいコーヒーであった!
そうそう、ターバンカレー! 「はい、ここでターバンカレーをお出ししてます」 そうなんですね!
つまりターバンカレーはルーなど原料供給をいろんなところにしているわけですな。
ということで、、、
デザートにいただきました。黒っぽい濃厚なルー、福神漬けにキャベツの千切り。じつはターバンカレーは初めて食べたのだが、実に美味しかった!
ちなみに金沢カレーだと、この上にカツを載せてるのがよく観る光景だけど、僕はあんまり好きじゃない。カレーはルーをご飯で食べるのが美味しいのであって、カツを載せると、かつがルーを消費してしまうので、ご飯と競合してしまう。だからぼくは金沢カレーの店に行っても、だいたいこのご飯とルーという布陣で食べることが多い。
ターバンのルーはとても気に入りました。帯広インデアンカレーにおけるインデアンルーのような、この地域の人達にとっての母なる味なのだろうという、、、
僕らは次の取材まで1時間くらいあったので、超ゆっくりさせていただいてしまった。
「長居してスミマセン」
「いえいえ、ゆっくりしていってください!」
繁忙な時間が終わったのか、カウンターの端に、ダンディなマスターが座られた。カレーなど料理を造っていたのはこの方だろう。マダムが「東京から取材にやって来られて、このスピーカーの音がいいっていってくださったわよ」と伝えてくれたのだろう。
「東京から取材? 僕も雑誌編集の仕事をしていたんですよ。」と! 有名な出版社の雑誌の仕事をされていたそうで、ビックリ!
マスターも楽器を演奏されるんですか?と尋ねると、一瞬間を置いて「ジャズピアニストになりたかったんです。ビル・エバンスを弾きたかったんですよ」と、なぜか過去形で仰る。隣でマダムが意味深にふふふ、と笑う。この人、こんなこと言ってるけど、すっごくお上手なのではないだろうか、、、
いや、楽しかった! この日も泊まりだったら、夜に来てライブを観たかったなあ。次回の宿題にしておこう。その時はビールを飲みながらターバンカレーで決めるぞ。