ひとりの英国好きとして、この度のエリザベス女王陛下の崩御の報に触れ、深く哀悼の意を表します。エシカルな食のあり方に関する学位と著書は、英国の存在無しには実現しなかったことです。
こんなタイミングで、三越伊勢丹で英国展が開かれているのはなにかの縁だろうか。週明け月曜日までなので、ぜひ足を運ばれたい。
ただし!
むちゃくちゃに混んでます。僕は先週の月曜日に、「土日を外せばそこそこの人出だろう」と思って行ったのだが、まあすごい混みようでありました。お目当ては本場のスコーンとクロテッドクリームだったのだが、まずは腹ごしらえと思ってフィッシュアンドチップスのミラーズへ並ぶ。のだが、、、
この注文カウンターまで優に20分並びました。ひええええ
イートインスペースは8人くらいしか座れず、ボックスを持ち帰りで屋上などで食べてねという感じだったが、ラッキーなことに前が空いて座れました。
フィッシュアンドチップスのLサイズ。
んん!? フィッシュの形がちょっと、、、うーんハズレだな、、、でもまあ仕方ない。楽しみにしていたのは、このフィッシュが、英国でも使われるハドック(タラの一種)であること。コッドも好きだけどね。
味わいはとてもよかったです。ただ、モルトビネガーが、衛生面の問題からか、瓶ではなくハインツのラミネートパックでの提供。
「お金払うのでビネガー二つ下さい」とお願いしたけど、できませんでした(涙) フィッシュアンドチップスはビネガーかけまくって食べるものでしょう、残念です。
けど、ついてきたミラーズ特製のたっぷりの香草入りのソースが実においしかったので、よかった!
なお、1600円也の英国製ビーフのバーガーもいただきましたが、、、
うん、パティは実にヨーロッパ的でおいしい。が、バンズが、、、んー
ということで、イートインコーナーを離れ、いざクロテッドクリームとスコーンを買おうと売り場に出たんだが!!!!
期待していたクロテッドクリームがほとんど売り切れ!!!!!!!!
まじかよ、何のために来たんだ、、、
クロテッドクリームは、生クリームを低温で煮詰めたもの。トルコのカイマックとも少し近いかな。これをどっちゃりスコーンに乗せて食べるのが快楽なのにな、、、
スコーンも英国から色んな店が出しているが、まずは行列の少ないコッツウォルズのハフキンスに、、、と思ったら! 行列は中継点をはさんで階段下まで伸びていた! 仕方ないので最後尾に並んで30分ほど。ようやく5つ買えました。
その時点でもうクタクタ。他の列にまた並ぶのもキツイと思いつつ、エレベーター近くでベイクウェル・プティングと田舎風スコーンを購入して、力尽きる。
これが小一時間あまりの戦果です。
心からの忠告ですが、エリザベス女王陛下の崩御もあり、英国展、すさまじく混むことと思うので、絶対に買いたいものがあるなら、三越の英国展Webサイトのオンラインショッピングで購入することをお勧めします。マジで。売場の人も「オンラインでも同じものが買えまーす」って言ってたもん。
なお、スコーンもおいしかったけど、この写真手前にあるベイクウェル・プティングが最高に美味しかったです。
さて、スコーンとクロテッドクリームのお話し。
スコーンは1500年代にスコットランド地方で生まれたと言われている。じつは日本ではお菓子という扱いですが、英国ではパンとして分類されているそう。アメリカでもスコーンと呼ばれるお菓子があるけど、こちらはビスケットのような製法だそうで、ちょっと違うものと言われている。
日本でも英国式のスコーンはいろんなところで売っている。英国式のアフタヌーンティーを楽しめるカフェや、洋菓子店でスコーンを出す店は多く、そして美味しい店も多い。でも、やっぱり英国のスコーンはちょっと味が違う。それは、素材が違うから。なかでも、乳製品の味は英国と日本で大きく違う。
日本では、国土が狭いこともある、酪農で牛に食べさせる飼料は穀物を配合した飼料と牧草。カロリーの中心となるのは穀物だ。一方、英国では栄養価の高い牧草を中心に与えている。
そのせいか、牛乳やクリームの味わいが大きく違う。日本ではコックリした、脂肪分の強い味わいがありますが、英国では爽やかな風味で飲み口が軽い牛乳なんです。それを凝縮したクリームも、アッサリしていながら甘くてコクがあるという感じだ。そんな乳製品でスコーンを作るからか、スコーンの味が日本で作るものと大きく違うように思う。
僕が今まで食べた中で一番美味しいスコーンは、ロンドンから80キロほど北西にいったところのミルトンキーンズという町でいただいたものだ。
北大の博士課程におけるエシカル消費の研究のため、酪農家のナイジェルさんという方を尋ねて、イギリスの酪農家が直面している問題についてインタビューをした。
100頭以上の牛を放牧させている横で、ベッド&ブレックファストという簡易的な宿泊施設も運営しているナイジェル家は、絵本に出てきそうな綺麗なお家だった。
そこでインタビューをしている最中に、なんと、、、わたしの妻のお腹がグーーーーッと鳴ってしまったのだ! マジで、その音は居合わせたすべての人の耳に届いていた。
そうしたら、ナイジェルさんが「これはいかん!」と思ったのだろう。紅茶とスコーン、そしてスコーンに塗るクロテッドクリームとジャムを持って来てくれたのだ。うわあ、お腹の音を聞かれちゃったなあ、と恥ずかしい思いをしながらいただいたそのスコーンが最高だったのだ。
温められたスコーンを半分に割って、そこにクロテッドクリームを山のようにのせて、ジャムを載せていただくと、甘くてコッテリした香りのよいクリームと、バサッとしたスコーンの食感が合わさって、最高だ!!!
粉物だけど、紅茶を口に含むと、そのバサッとした粉が一気に滑らかになる。素晴らしい食べものだと思いましたねぇ、、、
そして、妻のお腹の音を聞いて、なんもいわずにササッとこんなすばらしいものを用意してくれたナイジェルさん、これこそ英国紳士だと妻は顔を赤らめながら感心していましたとさ。
このスコーンもクロテッドクリームも、ナイジェル家の手造りか?と思ったら「ううん、近くで買ってきたんだよ」とのことだったけれども、マジでこの時のスコーンを超える体験はまだない(笑) ナイジェルさん、ありがとうございました!
ナイジェル家の客間に飾ってあった、養豚の種豚コンテストの画。
1893年! これこそ歴史を感じるというものだ。
ということで、エリザベス女王陛下のことを偲びつつ、英国展を堪能されたい。くれぐれも人混み対策をしていって下さいませ。