「まぁじゅん」とは沖縄の言葉で「いっしょに」という意味だそうだ。石垣島の最終日、比屋根恵さんが「どうしても連れて行きたいから!」と向かったのは、まぁじゅん牧場。冒頭の写真のように、海を望む運動場にジャージー牛たちが放牧されていた。
「あー、ようこそいらっしゃいました、まさかやまけんさんがおいでになるとは、、、」
と迎えてくださったのが田中英信さん。なんと、僕のNHKラジオ「全国食べ物うまいもの」を聴いて下さっているそうなのだ~、ありがとうございます!
なんとなく名前からわかるだろうが、うちなーんちゅではなく本州の出身だそうだ。北九州で生まれ、野菜農家や北海道の酪農家で働いた後、スイスやフランスでチーズづくりも学ぶ。そして新規就農しようと来たのがここ石垣島なのだそうだ。
「本来は、ジャージー牛のような暑さに強くない牛を沖縄に連れてくるのはかわいそうなことだったのかもしれないのですが、逆に沖縄にしかない魅力もありましたので、、、」
なるほど、北海道は酪農王国ではあるが、冬場になるとこのような緑は失われて、雪の世界になってしまう。沖縄での乳業というのも、面白い視点だ。
ジャージー種の母牛の頭数は24頭。少人数でしっかり体調をみてまわることができる頭数だけに搾っているのだそうだ。
ごらんのように搾乳牛たちが暑さを凌ぐことができるよう、開放系の木造牛舎は風の通りがよく、また換気扇が効果的に回って暑気を払っている。
給餌時に首を固定するスタンチョンも、首を縦に振ることができるもので、しかも首が当たるところは木の枠をつけている。これって田中さんがやってるんだろうな。牛さんのことを考えた上でのやり方なのだろう。給餌の時以外は、冒頭にあった運動場などに自由に行けるようになっているそうだ。
まあしかしジャージーの子牛はめちゃんこ可愛い!
油断してると寄ってきてベロベロベロベロなめられる!
特に牛ちゃんはカメラが気になるようで、カメラを舐めてくる、、、(笑)
そんなまぁじゅん牧場、飼料にも特徴がある。がんばって採草しているだけではなく、なんとデントコーンも栽培して、子実給餌も見据えているそうだ。
そして牛の腸内環境がよくなる発酵飼料も与えている。
これも米ぬかや廃糖蜜をつかった、つまり石垣島オリジナル飼料だ。こんな小さな島で高い飼料自給率を実現しているのはすばらしいことだと思う。
このように牛さん達の快適さを考えた経営をしていることから、さきごろ日本のアニマルウェルフェア認証団体であるAWFCのアニマルウェルフェア飼育農場という認定を取得した! 沖縄で初の事例となったのである。
「これ、やまけんさんに飲んでいただこうと思って、、、」と用意してくださったのむヨーグルト。
正直言うと僕は、ジャージー牛の牛乳は、そのまま飲むにはクドくなることが多く、あまり好みのものに出会ってこなかった。
しかし! まぁじゅん牧場ののむヨーグルトは、、、
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお クドくない! コクのある酸味がパァッと口の中で花開き、爽やかだ!
「ていうか、酸っぱいでしょ? もっと砂糖を入れたら甘くなるんですけど、それだと他の物と同じになっちゃうかと思いまして」
とおっしゃるように、かなり酸味が強く際立つ味わい。もちろん糖は入っているのだが、それより断然酸味が強い。おいしいですよ、これ、、、
後日、田中さんからあらためてのむヨーグルトと、なんと貴重なジャージーバターを送っていただいた。
このジャージーバターがまた旨い! バターは乳脂肪なのだからコッテリだろうと思いきや、こちらも口溶けの佳い、そしてコックリした風味がおいしい、素晴らしいバター!
田中さんの牧場への訪問は小一時間だったが、強烈な印象が焼き付いた。田中さんの優しいながら強い意志を感じたのだ。覚悟を持って臨むアニマルウェルフェア、しっかり消費側が受け止めないと、と思った次第。田中さん、またお会いしましょう。ごちそうさまでした!
まぁじゅんさんのオンラインショップで購入できるので、いろいろ試してみてほしい。
■https://maajun2.shop-pro.jp/