やまけんの出張食い倒れ日記

アクアパッツァから満を持して独立された直井シェフの「701」、秋葉とお茶の水の間の絶好なロケーションに誕生! これからが楽しみな正統派イタリアンを楽しんだ!


日大の僕の講義の受講生で、そのままグッドテーブルズのバイトをしてくれていた二人が社会人となって4年目。卒業してからの仕事のことなどいろいろ訊きたいこともあって、食事に誘った。お店、どこにしようかなあ、、、

あ! そうだ、事務所のほどちかくにアクアパッツァにいた直井さんが自分の店を出したのだった。まだ行けてないのでこの機に、と予約をしたのであった。


秋葉原からだと万世橋の手前の大通りを、お茶の水方面へ坂を登っていったところ。丸ノ内線お茶の水駅から相生坂を下っていくのが一番近いか。こんな近くに小体で粋な店ができるのはとても嬉しいね!



これまで、土佐あかうしや短角牛のイベントで会場にさせてもらうなど、アクアパッツァさんには大変お世話になってきた。そのほぼすべてに直井さんは日高さんの片腕として関わってくれてきた。


店内は肩肘張らずに気軽に入れる造り。開店間も無いいま、アラカルトはなく5000円と9000円のコース2本だ。この日はせっかくなので9000円のコースで。

店に入るとヨーロッパカボチャ(トランペットペポカボチャ?)がディスプレイされていた、ピンと来た。

「これ、チャヴィペルトの野菜だよね?」

「はいそうです! 自宅がチャヴィさんからすぐなので、収穫もさせてもらったりしています」

チャヴィペルトはご存じの方もいるだろうが、埼玉県草加市の駅から徒歩7分という好立地に突如現れる有機農場&デリ直売所である。アクアパッツァの野菜の多くがここから供給されている。直井さんの店も当然、チャヴィの野菜を食べることができるのだ。


■北海道共和町産青肉メロンのスープと生ハム

実に甘く、そしてうま味のあるメロンの前菜。


北海道共和町の青肉メロンで、糖度が高いだけではなく香りがいい。


パリパリに焼いた生ハムを崩して冷製スープに混ぜ込んでいただくと、塩気とハムの芳香とまざりあってメロンが最高のスターターとなった!



カウンターからシェフが客席を覗いて、なにかあると「この食材は、、、」と説明しに来てくれる。こういう店は、シェフとの距離感が最高だね。

 

■白茄子とオリーブ・アイコトマト・ブッラータ・アンチョビ・フレッシュトマトソース


チャヴィペルトお得意の白茄子に良質な油を吸わせて甘い果肉をトロリとさせたところへ、みっしりした味わいのミニトマト、アイコ、オリーブ、アンチョビの塩気を乗せた一皿。崩してトマトソースに絡めて食べたら、これが文句なしにうまい!


ワインも各種揃っています。シチリアの爽やかな香りのを所望。


バイト卒業生のMは洋菓子の商品開発を経ていまはウェブデザインの仕事に。でも、また洋菓子に戻って欲しいなあ。Sの方はご覧のメーカーの営業に。かなりの活躍をしている模様で嬉しい! 

■愛知県産アマダイのスープ仕立て


シロアマダイのホロッとした身肉とサルサベルデの青っぽい味わいがいい。

■ムール貝とカヴァテッリ


ムール貝のうま味たっぷりなジュースと、万願寺とうがらしのほろ苦みを手打ちのカヴァテッリが吸い、上から振ったボッタルガの塩気で仕上がる!


そして、パスタをいろいろ食べたいというリクエストでこの魅惑的な一皿が!

■溺れ真蛸のスパゲットーニ


マダコの強いうま味が引き出されたソースを吸わせているのは、グラニャーノの極太2.7mm麺!


「この麺を茹でるには20分かかるのですが、強い味のソースなので、これくらいの太さでないと釣り合わないんです」

というが、これほんとベストマッチ!このぶっとさがタコのうま味を100%受け止めている。文句なしの旨さだね!

 

そして、嬉しいサプライズ。僕がいま応援している鹿児島県の農業法人さかうえが生産している里山牛がメインのセレクトにあるのだ。

■鹿児島県里山牛のサーロイン

小体な店だが、炭火焼きで肉を出してくれる! そのお肉がさかうえなのだから最高だ。みてくださいこの表面のバリッと焼きに、内部の見事な火入れ加減。

    

さかうえは、鹿児島県の内外の和牛農家にデントコーンサイレージを販売している。ありあまるデントコーンを、自社でも牛を飼って食べさせれば、100%粗飼料多給の黒毛和牛を育てられるじゃん、ということで実践しているのだ。


その模様は「専門料理」の僕の連載でも採り上げたが、特筆すべきは味。牧草ではなくデントコーンサイレージ多給した黒毛の味わいは素晴らしい。おそらく日本でもここにしかない味わいだ。


まだ里山牛を仕入れる店はそれほど多くない。直井さん、いい肉に目をつけた。他の、ごくふつーの黒毛和牛は、仕入れなくていいと思うよ。

これにあわせたトスカーナの赤。


素晴らしい奥行き! これがグラスで楽しめるのは嬉しい!

「ちょっと無理して置くことにしました。」

とのことなので、ぜひ飲んであげて下さい。

 

■梅のグラニータ


■パイナップルのキャラメリゼ バニラアイス添え



コロナが明けた(かな?)いいタイミングで独立された直井さん。まだまだ認知されていないから、このスタート時期を頑張って乗り切ってほしい。

おいしかった!

個人的には、これに加えて「これぞナオイ節だ!」と言う、鮮やかな色が出てきたらいいなと思う。当たり前だけど、いまは長く修業されたアクアパッツァの王道路線。そこに「おおお、そんなことやっちゃうの!?」という驚きが乗ってくると最高にドライブするだろう。


信じた道を、突き進んでください! ご馳走様~

701


 

じつはこの店の立地だと、いい2軒目がある。ノンアルコール、またはロウアルコールのカクテルを楽しむことができる「Low-Non-Bar」だ。万世橋の高架下に展開されているマーチエキュートの端っこにあるこの店で、低アルコールカクテルで乾杯。


ノンアルでも低アルでも、実に香りと味わいが複雑なカクテルを出してくれる。お酒には弱いけど、おいしいドリンクを味わいたい、そしてバーの素敵な雰囲気を味わいたい人には最高な選択肢だ。


教え子と呑めるのはやっぱりかけがえのない喜び。頑張れよ~!

いい夜だった!