やまけんの出張食い倒れ日記

あなたも土佐あかうしのオーナーに!? 6人の料理人があかうしを料理した翌日、土佐あかうしの枝肉価格が黒毛のA5を超える瞬間を見た! そし4頭のあかうし子牛はぜーんぶ嫁ぎ先が決まった! youtube動画も完成だよん。

いやほんと、遅々としてブログが進まず申し訳ありません。マジで時間が、、、

で、狂乱の高知の夜のエントリは見ていただけたかと思います。その翌日。またもやバスに乗り込み、産地見学。


肉、とくに牛肉は強いコンテンツではあるのだけれども、肉塊をドンと出すだけでは食卓は終わらない。そこに、やはりその牛が育った産地でとれた野菜や果物といったものもほしいのがシェフという生き物なのである。ということで、高知県の産地ツアー二日目となったのである。


さて、最初は土佐ジローの鶏卵生産の現場を観に行く。場所は土佐山へ。バスを降りると、この片田舎の風景をみなが楽しんでくれている。


高知の田舎の風景は、なマイナスイオンに包まれた最高なものなのだ。


さてここからマイクロバスが入れない山道へ、小さい車でピストン輸送。


こんな風景が拡がる山の上へ。


このブログでは何度も登場しているが、土佐ジローは高知県が育種した、れっきとした地鶏品種。ただ、ふつうは地鶏と言えば肉を利用することが多いのだが、この土佐ジローはあまりに身体が小さいので、肉鶏としては極めて効率が悪い。そしてその鶏卵もまた小さいのだが、その小ささと黄身の濃い味わいが受けて、鶏卵を産む地鶏として評価を得ている、極めて稀な鶏なのだ。


その生産方式は土佐ジロー生産組合によって定められているのだが、おそらく全国の地鶏のなかでも上位に入るアニマルウェルフェア度。


むちゃゆったりした面積で飼われています。鳥インフルの問題がこんなに悪化する前は、鶏舎の外に放し飼いする農家も多かったくらいなのである。


その土佐ジロー生産に若くして参入した赤尾さんに説明してもらう。


これが土佐ジロー卵。これではサイズがわからないかもしれないが、、、


ホラごらんの通り。ちなみに僕の手はふつうの人より小さいのです、、、って、本物をみせないとわからないか!



実は既に、この写真に写っている「瓢亭」の高橋義弘君は、土佐ジロー卵のヘビーユーザーである。瓢亭の本店で出される瓢亭たまごはジロー卵なのだ!


さてそこに、赤尾君のお師匠さんが登場。大崎裕一さんである。


大崎さんは、土佐山開発公社という法人を率いる方だ。土佐ジロー卵の生産のみならず、高知県でも珍しい有機認証を取得してのショウガ栽培、それを使った飲料の製造など、多岐にわたる事業を営んでおられるのだ!


「ちょうどみなさんの分を持って来ましたから、、、」と!


これが土佐山の生姜を使ったジンジャーエールである!


さすがに製造工程の有機JAS認証まではとっていないが、それでも価値はむちゃくちゃ高い! 糖分は国産ビートグラ100%である。


みな ぐびグビッといただく!



「あ゛ぁ~ けっこうビリッと辛いですね!」という顔! そうです、辛口はかなりビリッときます!ショウガがふんだんに使われてるわけです。


でも、この日はショウガではなく、高知県特有の産物である四方竹(しほうちく)の畑に連れて行ってくれるという。


大崎さんが持って居るのは、昨年の四方竹シーズンに収穫して水煮したもの。実は僕も、四方竹が生えているところはみたことが無い!

じつはこの場所こそが、土佐山開発公社が丹精込めて育てている四方竹園なのである。



「あれです、あそこに竹林みたいなのが見えるでしょう?あれが四方竹。」



橋を渡って、うっそうと茂る竹林へ!



「こ、これが四方竹、、、」


パッと観てもわからないかもしれないが、下の写真の角度で観るとわかるだろうか? 四方竹とは、断面が正方形に近い、角張った竹なのだ!


いやーーーーー生えてる時から四方竹! この竹が若い段階で収穫して、水煮加工をして保存し、1年中これを使って煮物にしたり、田舎寿司の具にしたりするわけだ。

四方竹の田舎寿司、これです。


下こんなふうな田舎寿司にして楽しめるわけでありまーす!



みんな、高知にしかない竹を満喫。



大崎さん、ありがとうございました!

さて、そこから一路、あたらしくリニューアルされた食肉センターへ。


その名も「ミートプロこうち」へと変貌を遂げたのだ!


まずは昼飯、先日報じた「鳥心」のチキン南蛮をテイクアウトで人数分! 三谷ミートの専務が買ってきてくれました、、、ありがとうございます!


そのチキンのデカさにみな「え~ でっかいな、、、」とこわごわしつつ。


高知のチキン南蛮特有の、オーロラソース状のタルタル(じゃないけどね)ソースを堪能。


さあそして、センター内へ!



枝肉庫で、今日これから上場され、セリにかけられる牛さん達と対面。



こちらが土佐あかうし。いい感じの赤さとサシのバランス。


んで、こちらが黒毛和牛。


さあ、セリ値はどうなるか!


建て替え前は手ゼリといって、指を上に向けることでセリに参加する方式だったが、そうしたアナログ対応はやめになり、ごらんの通り電子ゼリに。ちなみに、買参人は先の枝庫に事前に入場して下見をして、自分が欲しい枝肉にアタリをつけ、競り落とすための価格を脳内でシミュレーションしているわけだ。

ここで、歴史的な瞬間を見てしまった、、、

土佐あかうしの枝肉価格が、らく~に黒毛のA5の単価を上回った!


高知のあかうし生産のエース、池地さんの育てた28ヶ月齢のA4が2904円!


山田さんのA4が2828円!

ちなみに、黒毛はA5で2400円台であった。この現象がいまも続いており、とうとう10月、11月には枝で3000円を超すようになった!

それに対して、黒毛は10月があかうしより800円安、11月は600円安という価格に。僕が高知県の畜産振興アドバイザーに就任した2009年には考えもつかなかった状況が、いま到来しているのだ!


池地さんのうれしそうなお顔を囲んで。

ただ、この状況を手放しで喜べるわけじゃないです。けっきょく、需要と供給のバランスで、あかうしがまだまだ少ないから高くなっているのだろう。対する黒毛は、高知以外でも余りまくっているのだから、価格が着くわけがない。あかうしの頭数が多くなっていけば、いずれ需要と供給がバランスし、供給過多になれば安値に陥る局面も出てくるだろう。これからのあかうし生産者は、このバランスを見極めることが必要である。

また、A4出現率が高いのもやっぱり問題だ。

結局、土佐あかうしはA3がうまいんじゃ! 東京や大阪であかうしを購入してくれているシェフたちは、A4の霜降りあかうしなんか求めてないんじゃ! 高知の生産者はそれをわかってるのかな? これ以上A4あかうしが溢れる状況になったら「霜降り肉なら黒毛でけっこう」となって、見限られる可能性があることを、まったく気にしてないのかな。

そう、心から思うのですが。


さあ、最後の行程、三谷ミートへ!


まずは三谷ミートのメイン品目(笑)である手羽先をみんなでいただきまーす!




なんと高山君、これに備えてビールを用意していた!


このあと、三谷ミートの冷蔵庫視察をしてから、高知龍馬空港へ。


無事、全行程が終了したのでありました。

で、、、

この産地ツアーを経て、津野山畜産公社で用意した4頭の共同オーナー希望者向け子牛たちは、すべて行き先が決まりました! 完売!

しかもですな、1頭はなんと、、、あの、、、という人が買ってくれることになったのだ。これは次のエントリでお伝えしよう。

それはともかく、この旅の様子をまとめた動画、フルバージョンが完成したので、ぜひご覧いただきたい。時間のあるときにネ。