やまけんの出張食い倒れ日記

アイラブ ユリ科植物! ギョウジャニンニク、アスパラガス、アマユリの饗宴 その1


NHKラジオのビュッフェ131でアスパラガスをとり上げるため、グリーンとホワイトの双方を産地から直送してもらった。ホワイトアスパラガスは北海道は中富良野町のとある農場、グリーンは岩手県の金ヶ崎のものだ。

みな知っていると思うけど、ホワイトアスパラガスは、アスパラガスに陽光をあてないように土を盛り上げて遮光・軟白させたものだ。種が違うと思っている人もいるようだが、陽をあてるかあてないかで変わるというものだ。

今回、中富良野の農園のものを買わせて頂いた。ここは最近レストランからの注文が多いため、「名前は出さないでください」ということだった。また、走りの時期だったので、太い2L以上の規格は払底しており、L~Mのサイズしかないということだった。
アスパラガスは太いほど価値が高い。「太いと筋張っているんじゃないの?」と言われることがあるのだけど、全く関係ない。太い方があの食感をダイナミックに楽しめるし、旨みの蓄積量も多くなるので、迷わず太いのを選ぶことをお勧めする。

それにしても綺麗だ。よく目をこらすと節ごとに笹や竹のようにハカマが付いている。シンメトリーの美しさがここにもある。

日本ではグリーンアスパラはホワイトよりも後に食べられるようになった野菜だ。ホワイトアスパラの缶詰が輸入品として入ってきたことで、それがアスパラだと認知されていたのだろう。

ちなみにアスパラは一年中食べることが出来る。しかし国産の最良のものを食べることが出来るのは4月~8月あたりまでで、それ以降はだんだんと輸入物にシフトする。アスパラの美味しさを規定するのは何よりも鮮度だ。鮮度に関して輸入物は国産を超えることは難しい。そう考えると、まさに出盛りになっているこの時期に、食べられるだけ食べるべきだ。

ホワイトアスパラはピーラー(皮むき器)で表面の皮をシャッシャッと剥き、ちょっと強めの塩を入れた湯で茹でる。どの程度茹でるかはお好み次第だ。僕は若干歯触りが残るくらいに茹でる。ゆでたてを食べるのが旨いという人と、茹でてから少し茹で汁に漬けてなじませた方がいいという人がいるが、僕はゆでたて派だ。ていうか目の前に旨そうなのがあって待てるわけがない!

アスパラガスは卵の黄身との相性がバッチリだ。半熟卵の黄身をなすりつけながら食べるか、もしくはマヨネーズ。これほどマヨネーズと相性のいい野菜もない。ここ1週間でもう60本以上食べたのではないだろうか。なぜなら、NHKラジオの放送後、北海道からドドッと大量のホワイトが送られてきたのだ。

この写真を撮ったのが一昨日。そしてもうほぼなくなりかけている。分けてあげられなかった近所の皆さん申し訳ない。食っちゃいました。

ホワイトアスパラにはほんのりと苦みがある。この苦みが旨いわけだが、茹でたものは苦みが少し湯に溶けてあまり感じられなくなる。皮を少しだけ剥いたものをトースターなどで焼き色が付くまで焼いて食べると、水分に溶出しない分、味が強くほろ苦みもビシッとビターだ。どちらをお好みか自分で判断して欲しい。

茹でたやつを根本から噛むと、中のジュースがビュワッと口中にあふれ出し火傷しそうになる。しかしそのジュースの馥郁(ふくいく)たる甘みと、軟白野菜特有の幼い香りがたまらない。焼いたのに塩をふって、富士酢を振りかけてマリネしたのを囓ると、ジャキッという歯触りと強い食感、そしてほろ苦さが舌を刺激する。こんなにも旨いものがあったのか!と感動してしまう味なのだ。

ちなみにアスパラガスは絶対に冷蔵庫内に寝かせておいてはダメだ。茎が太陽に向かってのびようとするので、寝ている状態から90°首をもたげようとする。それで体力を使ってしまうから、味がぬけてスカスカになってしまう。これは本当なので、買ったらすぐに食べきるか、ぬれ新聞で巻いて冷蔵庫にたてておいておくようにすることだ。

さてアスパラガスはユリ科作物だ。そう考えると、春はこのユリ科作物の大饗宴といえる状態だということに気づいた。実は山形県朝日町から、僕も初めて口にするすさまじい食材が、それも山に生えているものが届いたのだ!

(続く)