やまけんの出張食い倒れ日記

イギリスではいま、スーパーの宅配事業が盛り上がっている。日本と違うその背景とはなにか。

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イギリスでは、我々が単独で行動しているのではなく、敏腕日本人コーディネーター(イギリス在住)のHさんという女性にアテンドしていただいている。アポ取りからなにからなにまで世話になっていて、彼女がいたからこそ二年間の調査が可能になったと大感謝している。

そのHさんと最近のイギリスの買い物事情の話題になったとき、興味深い話しがあった。

「ここのところスーパーの宅配事業が伸びてます。逆に言うと宅配をやらないスーパーはこれからは流行らなくなるでしょう。イギリスも高齢化してますし、また共働きをするのが普通ですから、買い物に行く手間をとれなかったり、時間が無くなってきているんです。そこでスーパーが宅配してくれるようになっているんですね。」

というのは、日本と同じじゃん、と思うかもしれないのだが、ちょっと違う。何が違うかというと、イギリスではいまだに日本のような手厚い宅配サービスがないということだ。

「イギリスでは郵便しか、ものを届ける手段はありません。しかもその郵便が、とても信頼に足るものでは無いんです。しばらく前にこんなこともありました。郵便局がサービスとして実施しているものにパスポートの発行サービスがあるんですが、そのサービスで移送中の大量のパスポートが、どこかに消えてしまったというんです。もうあきれましたね。ほんとうに物が届かないということがよくあるんです。もちろんクール便なんてありません。日本は本当にすごいですよね。」

なんとなんと、そうなのかイギリス!

「そこにスーパーが宅配サービスを展開し始めているんです。それまでスーパーマーケットのランクとしては下位だったチェーンが、宅配で先行することで順位を上げてきていて、トップだったテスコやセインズベリーが宅配の後発組になってしまって、業績を落としているようですよ。」

これは面白い、、、

そう思って走る高速道路の車窓を観ていたら、ほんとだ!スーパーのトラックがたくさん走ってる!

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こちらはテスコ。

そしてこちらは、、

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ウエイトローズだ!

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このほかいろんなスーパーの宅配用と思われる輸送車とすれ違う。またロンドン市内でもスーパーの宅配サービス社がほんとうに目の前に停まって荷物を運んでいるシーンにも出くわした。

きけば、こうしたスーパーの宅配はネットから申し込むのだが、多くのスーパーに共通するのが、「在庫がなかった場合、類似品を発送する」という選択肢があることだそうだ。というのは、例えばリーペリンソースを1本頼んだとして、それがたまたま店頭在庫になかったとする。その場合、「ありませんのでゴメンナサイ欠品したままきました」というよりも、「違うメーカーの商品ですが、持ってきました」のほうがいい場合もある。例えばパーティーの時間が迫っている場合、買い直すチャンスがないから、代替品でも助かるわけだ。だから、「その商品が無い場合、あきらめる」か「代替品でいいから持ってきて欲しい」という選択肢をどちらかチェックするのだそうだ。

そして、チェーンによっては「在庫切れがないことを保証します!」というところもあるらしい。そして、そういうチェーンの方が伸びているという。それはそうだよね。そして極めつけは実店舗をもたないネット専業店も出てきているという。amazonみたいなもんだね。

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こちらの広告は総合的な食材サービス、ただし何が入ってくるかはサービス側が決めるという方式。つまり日本で言えばらでぃっしゅぼーやか。

こんなふうに、いろんなサービスが乱立している気配。興味深いですな。

運送事情は国によって大きく違う。そして、それで食品流通のあり方も変わるんだな、といまさらながら認識したのであった。