やまけんの出張食い倒れ日記

新潟県が誇る伝統野菜・長岡巾着茄子を蒸かしナスにする。これほどナスの味わいそのものを愉しめる食べ方はないと思うこの頃。

_SDI0436
sd Quattro 18-35mmf1.8

新潟県長岡市のカネヘイ青果・神保君より、長岡巾着茄子が届いた。新潟県はナスの生産量は全国トップクラスなのに、市場への出荷量はベストテンにも入らない。なぜか?それは新潟県民がナス好きで、ほとんど地元で食べてしまうからだという。たしかに8年ほど前の市場統計を調べたらそうと言える内容だったので、ほんとうに驚いたものだ。

その新潟県の、ことに中越地方のナス好きが夏の間たべるのが長岡巾着茄子だ。巾着袋を絞ったような形状になるのは、先に挙げた過去ログや、いま発売中の週刊現代の号での連載「奇跡の食材」をみていただければばっちり写真にあるとおり。この長岡巾着茄子、通常のナスよりも樹上にならせておく期間が長く、その分、みっしりと緻密な肉質になる。だから柔らかくジューシーなナスがほしい人には向かない。

では巾着を美味しく食べる方法は?といえば、僕的にはほぼ一択で蒸かしナスだ。作り方は、というのも気が引けるほど簡単。まずはピーラーで皮を剥く。

_SDI0431

皮を剥かなくてもいいのだが、皮の味わいと身肉の味わいはことなるものなので、複雑になる。僕は、剥いた方が純粋にナスの味わいがあって、好きだ。

これを半分に割って、蒸籠などで蒸かす。レンジでチンはしたことがないので、美味しいかどうかわからない。やっぱり水蒸気もうもうで蒸かした方がいいでしょう。

_SDI0433

竹串がスッと通るまで、とやると、15~20分くらいはたっぷりかかる。ふつうの千両ナスや長ナスだとそんなにはかからないので、どれだけこのナスの肉質がシッカリしているかがよくわかる。

_SDI0434
sd Quattro 18-35mmf1.8

蒸かし上がったら、これを冷やす。きっと熱い状態でも美味しいのだろうけど、この蒸かしナスは冷やして食べることが圧倒的に多いようだ。夏の食べ物ですからね。

_SDI0439

これを刺身のように切って、カラシ醤油でいただく。なんとシンプル!ここでカラシ醤油なのがポイント。長岡ではショウガ醤油でいただく人も多いらしいが、僕はカラシ醤油が美味しいと思うなあ。

_SDI0444

樹上で成りの期間が長いため、ご覧のようにしっかりと種ができ心室数が多くなる。それがトロリとした肉質につながっている様な気がする。そして、身肉は他のナスでは味わうことができない滑らかな食感。ほかの柔らかいナスだと溶けてしまうのでこうはならないのだ。そして、生で囓ってもまったく感じられないが、蒸かすと甘い。カラシ醤油のツンとくる刺激と相まって、やみつきになる。

この長岡巾着茄子、ちょっと嬉しいことにお盆を過ぎると価格がドンと下がる。お盆近辺では長岡に里帰りしてくる人達が多く、巾着茄子もバンバン売れるので最も高くなるのだ。しかしそこを越すと、みな夏の間にさんざん食べたのか飽きてくるらしいのだ。

気になる人は、長岡の伝統野菜に強い仲卸であるカネヘイ青果の神保君(kaneheiseika@outlook.jp)に連絡して、買ってみて欲しい。ある時と無い時があるけど、枝豆の目利きでもある。一緒にお任せで頼むのもよいかもしれない。

今発売中の週刊現代にも写真・文章を書いているので、ぜひお読み下さい。