後編!丹後半島を日本のサン・セバスチャンにするという情熱と行動を興した飯尾醸造のレストラン「アチェート」は静かに、しかし着実に進化を続けていた!お待たせしました、あの伝説のペスカトーレの復活です。

2018年1月11日 from 出張

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というわけでオープンしたアチェートは、「宮津でこんな本格イタリアンをしても、お客なんか来ないんじゃないの?」という心配の声を軽くはねのけながら、毎日満席!というわけではないけれども、ちゃんとそこそこの集客をしながら営業を続けている。

なぜこのタイミングで行けたかというと、翌日に福知山市に視察の仕事が入っているので、前泊を宮津にしたというわけだ。頑張れば21時くらいの終電で福知山にも行けるみたいだ。

じゃ、お待たせしました! あのペスカトーレを含む、1月のアチェートの模様をお届けしましょう!

 

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ハートランドではちみつ入り紅芋酢を割った特製ビールで乾杯。

ガルバンゾ豆の粉を練ってカリフワに揚げたものに、イカスミのラグーをチョイ乗せしたアミューズ。

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そして宮津の海の幸、ホウボウのレモンソース。

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えっ、飯尾醸造のお酢じゃなくていいのかよ、というと「もちろんもちろん!食材の性質に合わせるのが一番ですから」と。

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そう、優しい味わいの魚の身肉には、レモンの柑橘の酸の方が飽和せずに合うのです。

お次はカワハギ。身肉をほぐしてシメジなどとサラダ仕立てにして、肝は油を加えて滑らかなソースにしている。

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イヤおいしいね! ただ、シメジいらないなあ。食感のアクセントなんだろうけど、むしろない方がいいと思います。カワハギの淡麗ながらしっかりした味わいを楽しめる。肝ソースは抜群!

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鹿肉とリーフのサラダ。葉っぱはケールだというのだけど、これマジでケール?なんか違うような感じの葉っぱですが、シッカリした葉肉の味と香りでおいしいです。

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鹿肉はイタリア流のしっとりした仕上がりになる長時間ローストか、もしくは煮込み。やはり飯尾醸造のお酢だろうか、酸味が使われていて薄切りになっているので、肉食べた~満足という感じではなく、前菜の軽さ。甘めのドレッシングとの相性がいい。

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小さなカップにこっくりとしたミネストローネ。

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重はブロード名人でもある。今回は鶏のダシでしっかりめの味をちょびっとということだけど、鶏のダシでなくてもよかったかな。重が得意とする野菜のブロードでアッサリでもよかったと思う。なんていってるけど、超うまい。

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さて、前の記事でもおとどけした、飯尾醸造の仕込み玄米を使ったリゾット!

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これを食べた、農家の白岩君「おいしい!魚の味が詰まってますね」とビックリしてました。

さてここからめくるめくパスタの世界です。

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初っぱなからきました、地元では安く買えるおやつ感覚の「こっぺガニ」の身肉と味噌タップリつかった一皿!

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カニミソだけじゃなく、うちこもたっぷり。蟹のうまみと香りをパスタがしっかり吸っていて、極楽であります。

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ワインも当然シチリア産が中心!飲むとシラクーサの潮風が吹きぬけるような爽やかさを味わうことができる!

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さあ、そして、、、出ました重康彦の代名詞、ペスカトーレ!

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このビジュアルをみて懐かしいと思うひとも多いだろう!
ただ、じつはこのペスカトーレも宮津風に変わっているのだ。

「こっちじゃアサリが獲れないんだよ。だから、アサリ以外の貝や魚を使ってる。以前とは少し違う味だと思う」

とのことだ。たしかに以前、東京で料理をしていた頃の重のペスカトーレは、アサリにマテ貝、タコイカ魚肉がふんだんに入った、「どうだドウダどーだうんまいだろ、コンニャロめ!」と押しまくるペスカトーレだったように思う。

東京は全国の漁港から魚が集まるから、地域性を無視してとにかく旨いネタをぶちこんで、ぐうの音も出ない味を構築するということが賞賛すべきポイントにもなる。

けれどもここは丹後の宮津。日本海の、宮津漁港に揚がる魚を使わなければ意味がない。それが制約にもなるけれども、新鮮さや、地元価格が安い分、ふんだんに使えるというメリットを最大限に活かした料理を創るのが命題なのだ。

その命題を受けて彼が今の宮津で作ることができるペスカトーレがこれなのだ。

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ていうか、すんばらしく旨いです! なにも制約など感じません。あえていえばエビカニイカの味わいが濃かった昔に比べると、魚肉のうまみが中心となっている気がする。トマト風味控えめにすることによって、魚介食べてる感が前面に推し出てくる。

「す、すごく美味しいです、、、こんなに魚の味が凝縮したパスタ、初めてかも知れません、、、」と農家の白岩君も目を丸くしていた。

まだ終わりません。

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ラビオリ出てきました~。絡めてあるのはイノシシのラグーです。

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イノシシもシカと同様、この辺の処理施設でむちゃ安で売っているのを買い込んで、メニュー開発にいそしんでいる次第。これがまた、本当に臭み無く美味しいので、漁師さんも、処理施設の運営者の腕もいいのだろう。

ちなみにこのラビオリの具材もちゃんと宮津の味をふまえている。

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ラビオリが包むリコッタチーズは、輸入物ではありません。丹後でジェラートを直売しているジャージー牛牧場があるのだが、そこの生乳を仕入れ、酸凝固させてつくった自家製リコッタなのである。イタリアの技術を宮津で開花させたラビオリなのである!

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ヤリイカと、なんだっけこのグリーンのジェノベーゼ風。忘れたゴメン、でもイカの鮮度が抜群でホント美味しい。

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そろそろ腹が満ちてきたよと思ったら、ドン!

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鹿ハンバーグ! 肉の周りはガッチリかりっとするくらいに焼き目をつけ、内部は絶妙に、じんわり火が入るように加熱。小さい店なのにスチコンがあるからね、芯温の管理ちゃんとできてます。

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十分内部温度はとれているがトロッと感もある火入れ。鹿のブロードでこっくり食べさせます。

いや、おいしかったねー と平和な気分でいたら、ダメ押し。

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羊です。どうやら無二路時代の俺の胃袋をまだ記憶しているらしい。もう食えねぇよ、と思いつつ美味しくいただいちゃいました。

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ここまで全部食べられるのは、やはりというかなんというか、どの皿にも絶妙にお酢が使われていて、それとわからない形で酸味を使っているから。脂のくどさが消え、舌も都度リフレッシュされるのだ。

ドルチェ(ゴメン写真撮ってません)をいただきながら、重も来て、宮津の食材の未来について4人で楽しく意見交換。

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こうしてアチェートの夜は更けていきました。

宮津・丹後がサン・セバスチャンのように食の街として認知されるかどうか。和食に関しては「縄屋」がある。

やまけんの出張食い倒れ日記:こんなスーパーがあったんかい!?と驚く品揃えの「いととめ」を経由し、丹後市の至宝と飯尾彰浩君が絶賛する「縄屋」にて、地のもの料理の真髄をありがたく味わう!

これにイタリアンのアチェートがあって、飯尾醸造としてはもう一店お寿司やさんを出そうとしている(もう店はできていて、職人さん待ちだ。希望者ぜひ連絡してみてください!)。

あとは活きのいいフレンチがあったら、かなりフルに揃ってくるのではないかと思う。ぜひこのムーブメントに参戦しようという料理人さん、まずはアチェートと飯尾醸造を訪ねてみてください。

そしてわれわれ消費者は、ぜひ丹後半島に足を運んでみようではありませんか。

さあ、次はいつ行こうかな。