さてさて、ようやくメシ編です。 スペインの片田舎、ピレネー山脈近くのちょっとした町にて、視察を終えて2時くらい。前の記事で書いた黄色いリボンがあちこちにはためいています。
ちなみに移動はバス。15人程度の人数で、50人のりの大型バスをチャーターしているので、ゴージャスに席を使っています。ただ、その図体ゆえヒョイと停めることができないので、停めておける広場から歩きます。
ここが昼食場所! 「Fa Uns Anys,,,」という店名、Google翻訳したらカタルーニャ語(っていうのがあるんだね!)で「数年前、、、」だそう。「、、、」の残心の部分がとてもお洒落です。
Fa Uns Anys
+34 973 66 01 60
11 Calle La Font, 25500 La Pobla de Segur, Spain
引率は、木香書房の有福先生。「鶏の研究」「自然と農業」を出版されており、また有機認証機関を率いてもおられる、とくに有機の畜産物のスペシャリストであられます。
「視察もできましたし、かるく呑みましょう」
ということでカヴァを。
「前菜3品をとりわけで、メインは三種から選んでいただきます」
とのことで、メインにはチキン、バカリャウ、豚足が選べる。おお!それは豚足だろう、と思うのだが、一方で本場のバカリャウを食べてみたいという気持が強かったのでバカリャウに。あ、バカリャウは干しダラを戻した料理です。ポルトガルでも国民食だよね。
サラダ、スペインではあまりこうした野菜に溢れているという感じではないらしいんだけど、色とりどり。レタスなどの鮮度はそんなにバリバリ高い!という感じではないけど、よし。甘めのバルサミコとオイル、塩と胡椒で和えたかんじのシンプルなサラダ。美味しい。
そして、次の一皿が「ピッツァみたいな、野菜とチーズを小麦の記事ののせて焼いたもの」ということだったんだけど、みんなが思い描いていたものと全然違うのが出てきた!
生地はイタリアのピッツァのように柔らかさのあるものではない。中力の全粒粉をパリッパリに焼き上げたようなクリスピーな食感で、生地にちゃんと風味がある。
そんで、野菜はパプリカ、おそらくアブラナ科の青菜、ズッキーニなどがクッタクタに煮込まれたものをソース様にのせており、真ん中に羊かヤギ乳のチーズ!
チーズを崩して周りと馴染ませながら口に運ぶ。オリーブ油で煮込まれたクッタクタ野菜のやさしい甘さと羊の香りのするチーズのクセとうまみ、そして風味の強い小麦生地のクリスピー食感がマッチして、とても美味しい! なんじゃこりゃ、その辺の定食屋じゃないね!
「このお店、現地に近いガイドさんにきいてお勧めしてもらったんですよ」とは、今回のツアーの旅行会社であるベストワールドの石田君。そうだよね、識ってる人にきかないとね。この店を選んでくれて感謝!
おつぎはほうれん草のミンチを包んだカネロニ。周りはベシャメルとチーズになんか溶かしてます。これも美味しい。スペイン人も平パスタを食べるのですな。
そしてこいつが、また最高であった!
ムール貝、なんか刺激的に美味しいシーズニングスパイス和え!
ムール貝自体はこぶりなものだったが、からの廻りに着いているスパイスがなんか刺激的な香りとアタックで舌を攻めて来て、これは素晴らしい。
さあそしてメインのバカリャウです!
もともとは、凶器にもなるくらいの硬さ(?)の干しダラを何日かかけて戻して、それを煮たり焼いたりほぐしたりしていろいろな料理に使うという、生活の知恵である保存食であるバカリャウ。日本でいえば身欠きニシンですかね。でもこうやって観るとほんとうに干してたの?という感じ。見事に戻ってます。ソースはアイオリと言っていたけど、火が入っているのでこんな感じに。
うまいっ!
バッツンと塩が効いてます。実はホワッホワ、バターでコクが足され、アイオリのかすかなニンニク風味が舌を単調にさせない。美味しいですねぇ。
こちらが魅惑の豚足。おとなりのマルハニチロ岩崎さんのを撮らせてもらいました。
端っこを一口いただきましたが、いやこれも見た目通り、おいしいですねぇ!柔らかく茹で上げてからカリッと焼き付けたのかな。ソースに適度な酸味があって、コラーゲンっぽさをくどくさせない。
スペインでも豚は丸ごと一頭、どの部位も食べるとさきのと畜場で言っていたけど、本当にそうなんだな、と実感。食べ方がとても巧い!
舌鼓をうちつつ、デザート。
自家製ヨーグルトに、なんと青いソースがかかっている。ブルーハワイみたい(笑) 自家製ヨーグルト、柔らかな酸味でこれも美味しい。サービスもきどらず優しく、素晴らしい料理をだしてくれるレストランでした。
ツアー発起人の上田金穂さん。北海道は足寄と音別の北十勝ファームで、日本最大級(500頭規模!)の短角牛の肥育をしている。
その上田さんのもとで牛飼い修行を重ね、このたび「はなゆき牧場」という牧場で独立(といっても北十勝といっしょにやっていくようだけど)した、中村こずえちゃん。
彼女はなんとオーガニック畜産に取り組みます。そう、あの牧場ならそれができる。いいぞ、いいぞ!
関東の巨大生協・コープデリの小川さん。全国+世界のあちこちを廻っている!
渦中のらでぃっしゅぼーやの畜産担当の倉島さん。「やっぱりこれからは安全安心だけじゃないよね、味だよね」と共鳴。
そして、日大藤沢で牛への愛にめざめ、東京都食肉市場に就職してしまった牛娘、清水えり。
愛知をベースに、醤油粕や大豆粕などの食物残渣を飼料として販売する青山商店の青山さん。科学的論拠に裏打ちされたすさまじい飼料設計理論を持つ。
他の方はおいおい紹介していきましょう。なにせすごい面々のツアーでした。
それにしてもヨーロッパでいつも思うのは、空の写りのズルさ。なんにも設定してないのに、青空の青さ加減がすごい。
それにしても味のある街です。
ピレネーを背景にこずえちゃん。
さて、3時間かけて一路バルセロナに戻ります。