やまけんの出張食い倒れ日記

スペイン・カタルーニャ州のピレネー山脈のふもとにオーガニック畜産を視察に行く。カタルーニャの人達は優しく温かく、そして郷土愛に厚い!町のあちこちでみかけた黄色いリボンに祖国への愛を感じた。

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昼食を食べに出るまでの間、いろんなところでみかけたのがこの黄色いビニールテープというかリボンというか、が結ばれている光景。これ、実はカタルーニャの民衆による政治的なメッセージなのだ。

 

スペインは9つの州から成るが、カタルーニャ州は農業生産が盛んで、工業国でないスペインの中ではもっとも稼ぎ頭の州。税金の条件も他の州より高く設定されている。それならば福祉や医療面で優遇されるなどのメリットがあってもいいだろうが、実際には逆で、病院にかかったときに受けられる保険の比率などは他州より低く、厳しいという。ガイドさんいわくだが、スペインの中央政府は「儲かってるんだからいいでしょ?」という態度だそうだ。

昔は独立国だったカタルーニャの人達はもともと連帯意識が強く、スペインに統合されてからも政府に対しいろいろと意見をすることが多かった。「税金が高くても仕方が無い、僕らはどんどん働こう。けれども、保険や福祉にお金が他州並みに廻ってこないのはおかしい」と言い続けてきた。それでも中央政府はカタルーニャには冷たかった。

そういう背景が、昨年中に日本でもニュースとなったカタルーニャ独立の機運につながっているという。

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でもカタルーニャ州はスペインの稼ぎ頭であり、もし分離独立ともなれば、赤字債権国であるスペインはやっていけないことが明白。だから中央政府は、カタルーニャ州で「独立か否かの住民投票をする」と言うこと自体を許可しなかった。州政府が具申してものらりくらりとかわしつづけ2年が経った。そこで州政府は業を煮やし、州議会の権限でアンケートという形の投票をすることとした。

しかしこれを中央政府は徹底的に弾圧。武装した軍事警察を送り込み、投票所を制圧して中には入れないようにしたり、投票箱を警官が盗んで没収することで投票の無効化をはかったそうだ。けれども、そんなことをしても、投票結果は(当然ながら)独立希望の方が多かった。

そこで中央政府は一転、カタルーニャ州での希望政党に投票させるということを提案。政党によって独立・反独立が分かれているので、それで意思表示になるでしょうということ。当然のように投票日までの間、政府によるさまざまな宣伝工作が繰り広げられる。

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しかし!

結果はカタルーニャ独立をかざす政党が圧倒的に勝利。投票率は9割を超えたという。

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ただし、先の弾圧の際に、カタルーニャ州議会の主立った議員がなんらかの理由をつけられて投獄された。州議会の最高権力者はこれを予見してベルギーに滞在して投獄を回避。中央政府はベルギーに議員の身柄拘束と引き渡しを要求するが、ベルギーは「そんなの、逮捕の理由にならない」と拒否。幾多の血をみながら民主主義を確立したヨーロッパらしい。

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長くなりましたが、いまだに牢獄から帰ってこない議員達を「返せ!」という声をこめて、カタルーニャの民衆が町のあちこちに結んでいるのがこの黄色いリボンなのだそうだ。

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上の写真、建物の柱に、人の顔が描かれた黄色いポスターが貼られているが、議員さんの顔だ。「彼らをわれらのもとに返せ!」というメッセージ。熱い!

下の写真の、上の窓にかけられた★と黄色と赤の旗がカタルーニャ州の州旗だ。これが貼られている建物の多かったこと!日本では国旗だって国の休日にしかかからないけど、何もない日にこうやって州の旗(国旗はどこにもかかってなかった(笑))がかけられているというのは、本当に州を愛しているということだろう。

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こういう人情に厚いお国柄にはちょっと涙腺が緩んでしまう。

なお、ガイドさんのお話を記憶を掘り起こしながらのことなので、間違いがあったらゴメンナサイ。きっとスペイン全体から見ると違う論点もあるのだろう。でもね、とりあえずとりあえず州議員さんが戻ってくることを祈ります。