外食産業のみなさん、とりあえず緊急事態宣言が解けて、本当によかったですね。傷はすぐには回復しないでしょうが、様々な施策も注入されることですし、ぜひ生き残って下さることを祈っています。
さて、この2ヶ月間で飲食店が取り組んだことがテイクアウト販売だろう。ただしいろんなところで言われているように、簡単なことではない。いつも店で出している料理をそのまま包んでしまえばいい――というのは早計で、フランス料理など精緻に火入れした素材を芸術的な盛り付けに組み上げる料理では、物理的にテイクアウトは難しい。つまりテイクアウト向けの商品を設計し直さねばならないわけだ。
だから、この苦境の中でそれなりに成功(ここでは平常時の売上の5割以上としましょうか)を納めた店は、さまざまな工夫をしている。
その一軒が三田の焼鳥 嘉とうだろう。
北千住の名店「バードコート」の野島さんのもとで修行し、独立を果たした加藤君。しばらく前に高知の安芸市、土佐ジローの生産をする小松夫妻のもとへも、加藤君は来てくれたのだ(その際のレポートはまた後日しようと思う!)。
加藤君の偉いところは、バードコートで学んだ技術をベースに、いわゆるバード系の主流とはすこし違う焼鳥のスタイルを採っていること。
バード系のファンなら「うんうん、これだよね」とうなずく串がでてくるとおもったら、「えっ なにこれ!?」と驚くようなものも出てくる。
この、戦略的に焦がした芽キャベツもまた絶品。
内部の水分は保たれ、芽キャベツの旨みが凝縮している。美味しい!
フランス系のうずらが産んだ卵を絶妙な火加減で焼き、熟成チーズをおろして胡椒を挽いた「エルフランス」には唸るばかりだ。
鶏は、バード系がメインに使用する奥久慈軍鶏ももちろんあるが、それだけではない。部位によっては別の地鶏や銘柄鶏を使用するという、幅のある焼鳥を貫いている。
とまあ、こんな感じの素晴らしい店なのだが、コロナで店を閉めるか!?という状況で、早い段階で彼はテイクアウト中心の業態を構築。しばらく店を閉めて、テイクアウトに向く料理を開発した。詳しくは同店のFacebookなどで確認して欲しい。
その嘉とうのテイクアウトが、なんと明日5月28日までとなった。
ここのテイクアウト弁当は食べる価値がある。無くなってしまうと聞くとちょっとさびしい。ということで紹介しておこう。
この日は山手線田町駅で降りて、慶應義塾大学に向かう途中の「嘉とう」へ徒歩で移動。もちろん予約時に着時間も伝えてある。そのまま自宅に帰ってすぐ食べられるように!
二人がマスクしながらもにこやかに迎えてくれます。
包みをもって速攻で帰宅!
この日は、そぼろ弁当に焼鳥&野菜串7本セットにしておこうと思ったんだけど「ちょうどいま、鶏シュウマイが蒸し上がったんですけど、いかがですか?」と言われちゃって「あっ そう、それじゃあもらおうかな」と買ってしまった。この商売上手め!
焼鳥類は、バルミューダのトースターで軽くあたためます。
「焼鳥は、持ち帰りで最大限に美味しくなるように組み立てたものですので、お店とはちょっと違いますので、、、」と加藤君いってたが、わかってますよ~。
軽くリベイクした焼鳥は、期待以上の美味しさ!ああ、店で食べなくても、ちゃんとプロの仕事、プロの焼いた味がする。それぞれのしたごしらえ、味付けの違い、すべて際立っています。
で、鶏シュウマイだけど、これは買ってよかったわ、とても美味しい。
商売上手とかいってゴメン!
特に赤米をまぶしてある方のものには、台湾でたべる料理に香るハーブのような風味が。聞いたところ「五香粉を使ってるんですよ!」と。
そして本命のそぼろ弁当だが、これはじつにしっかり作られている。しかも、可能な限り彼が平常時に付き合っている生産者の商品をちりばめている。錦糸卵は奥久慈軍鶏のたまごだし、シイタケの甘煮は彼が店で使っているシイタケ三兄弟のものだ。
「できるだけ、これまで関係をつくってきた生産者さんが困らないようにしたい」という彼の思いが伝わる。
ゴボウの副菜からしてちゃんと美味しい。
ウズラの卵の火入れがこんな絶妙だなんて、割ってみないとわからない(笑)
いやもう、食べる価値ありまくりだ。
じつはとある焼鳥店の店主さんが「嘉とうさんのテイクアウト弁当はレベルがよそと違いますね。ほんと、ダメな店が多い中、あそこはレベル高く仕上げてきました。勉強させていただきましたよ、、、ちなみにわたしは2回買いに行きました」と言っていた!
6/2からは店内での営業が再開する(もちろん大幅に席数を減らして)そうだが、このテイクアウト、終えてしまうのもったいないね。もし明日の夕食をまだ決めかねていて、間に合うようなら先のFacebookをよく読んで予約をどうぞ!