やまけんの出張食い倒れ日記

きました丑年!コロナを吹っ飛ばすためにも、今年も佳い牛のお肉とはなにかを追求していきます。そして今年は粗飼料多給の土佐あかうしと、長期肥育の短角牛を販売予定!今年もよろしくお願いいたします。

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あけましておめでとうございます。

昨年中はいろいろありすぎてブログ更新がなかなかできない一年でした。

コロナ禍に見舞われる食の現場についての発信を各所から求められましたが、その現場に立ち入ることが出来ない状況が続き、現場感を大切にしている身としては大変に仕事がしにくい一年でした。今年は少しでもこの状況が変わることを祈るばかりです。

ところで、改めて言うことでもありませんが、なんといっても今年は丑年です。私とグッドテーブルズという会社では、今年も日本人が再発見すべき新しい牛肉の世界観を発信し続る所存です。

2007年に短角牛を所有することになってから、岩手県とは長い付き合いが続いています。また、高知県の土佐あかうしともずーっと関わり続けています。今年はなんとこの短角牛と土佐あかうしの二頭をお肉にします。

やまけん所有の土佐あかうし柿衛門くんは草を食べて育っている!

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現在、弊社は高知県の津野山畜産公社に土佐あかうしを預託する形で、去勢牛の柿衛門君のオーナーになっています。

■土佐あかうし・柿衛門くんのオーナーになりました!預託契約を締結、粗飼料多給、2シーズン放牧で36ヶ月育てるあかうしはどんな味になるのか、誰も食べたことのない肉を創り出す実験開始!そんな牛のお肉を2年後に食べたい人、いますか?
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2019/09/29926.html

ご存じの通り、高知県では土佐あかうしの赤身のおいしさを評価するための新基準「TRB」という格付を発表し、施行しています。サシと歩留まりで評価される現行の食肉格付では評価することの出来ない「土佐あかうしらしさ」を評価するためのものです。ただ、そうはいっても農家としてはサシを入れる意欲が高く、なかなか「おいしい赤身の育て方はこれだ!」という技術体系が根付いていません。

そもそも農家は一頭出荷していくら、というシビアな商売をしているので、彼らが積極的にうまくいくかどうかわからない技術開発をできるわけがないのです。そこで、わたしおよび弊社のようなよくわからん存在が実験をする意味がでてきます。柿衛門くんは通常の育て方ではなく、粗飼料とよばれる草主体の餌を多給されて育っています。四国の在来品種であるヒエのサイレージがメインの餌となるのですが、これをたくさん食べることと、可能な限りみどり豊かな四国カルストという放牧環境で育てることを公社にお願いしてあります。

この趣旨に賛同してくれた畜産試験場のスタッフ、主には尾石さんと秋澤君におんぶにだっこなのですが、彼らが要所要所で診てくれており、いまのところ順調に育っています。もちろん肉牛の肥育をしている人ならみておわかりの通り、肥育牛か!?と驚くほどすっきり痩せたお尻なのですが(笑)

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この柿衛門君が3月で30ヶ月齢となるので、十分な肥育期間かなと思っているのですが、肉のつき具合によってはもうすこしそだててお肉にしたいと思います。ですので、4月~7月あたりの間でお肉にする可能性が高いと言うこと。意図的にやることはほとんどない、粗飼料多給のTRB格付を狙った土佐あかうしのお肉、販売しますので期待していてください。

やまけん所有の短角牛の状況

次に、わたしの岩手県での短角牛の状況ですが、最初に所有した母牛ひつじぐもちゃんの娘である、いなほちゃんが元気に毎年子牛を産んでくれています。2020年3月に生まれたのはメスでしたが、漆原さんがよい価格で購入してくれました。現在わたしがお肉にするために育てているのは、なぜか彼に会いに行くと嵐の日が多いので名づけた「大嵐」くん。久慈市山形町の下館進さんに預けて、育ててもらっています。

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下館さんにひきとられる時点でデカかった大嵐君、その後も順調にデカくなっているようで、いつ電話しても「やまけんちゃん、あんたの牛はデカくなるわー」といってもらえています。ただし、岩手でもコロナが頻発している状況のため、久慈市にもなかなか行きにくい状況。出荷までに大嵐君に会いたいなと思います。

大嵐君は2019年3月生まれ。下館さんにはこれから、通常の配合飼料ではなく発酵飼料をベースにした飼料をベースに育ててもらうことでお願いしました。もうすでにかなり大きく育ってくれているので、肉質をよくするための肥育期間とします。なので、カロリーが高く脂になりやすい配合を与えるのではなく、そこそこのエネルギーで、痩せずに肉の味わいが蓄積されていくように育てます。

大嵐君には短角牛としては長めの28~30ヶ月齢時点で出荷する予定で、6月から8月の間にお肉になってもらう予定。もちろん大々的に販売しますのでよろしくお願いします。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

北海道のオーガニックをめざすビーフ達

これらに加えて、弊社が応援しているのがオーガニックビーフを目指す牧場です。北海道にはHOBAという組織があり、北海道の土地や資源を活かしたオーガニックビーフの生産を振興しています。ここに所属する牧場へのさまざまな形での応援を、今年もしていきます。

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足寄町と音別町で短角牛を育てる北十勝ファームのみなさんにとって、今年は特別な年になります。それは、隣接地に「はなゆき牧場」というオーガニックビーフ専門の牧場を建てたこと。オーガニック生産が軌道に乗るまでの支援をコープデリ生協が英断し、実現となった。来年中に初のオーガニックビーフが出荷される見込みだ。飼養環境はあまり変わらないだろうが、餌については根本的に変わるので、これまでの北十勝ファーム短角牛とはまたちがう味わいになることを楽しみにしている。

そして、昨年の「ガイアの夜明け」の牛肉編で登場した「釧路生まれ、釧路育ちのオーガニックビーフ」については、また春以降に子牛の肥育が始まる。

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釧路の榛澤牧場でも、北海道産飼料をメインに食べたアンガスビーフの生産が続く。

加えて、襟裳の高橋牧場もオーガニック生産の生産を見据えた新牧場を立ち上げる。

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これらの動きもひきつづき応援していく!

今年こそくるか!?おいしい経産牛の波

それはともかく、昨年がコロナでしっちゃかめっちゃかになってしまったので、今年の牛状況がどうなるかというのは不透明なのだけれども、個人的にはおいしい経産牛肉の登場に期待している。

飼育する時間が長くなればなるほどに、肉の味わいは増していく。ならば、メス牛に何頭か子牛を産んでもらい、そこから肥育をかけて美味しく仕上げる経産牛の肉にはかなり期待が出来る。ただ、日本では母牛はとにかく極限まで産んでもらい、10歳以上になってから肉にするので、痩せたままの状態で「廃用牛」という悲しい名前で出荷されることが多い。もったいないはなしである。

フランスやイタリアでは、経産牛の方が味わいが佳いという考え方があり、処女牛や去勢牛よりもよいもの、と評価されることが多い(もちろん地域によってそうでないところもあるが)。日本でも、経産牛の肉を美味しく再肥育したものにもっと陽が当たってよいと思う。これを言い続けてきたけど、そろそろ本当に「経産こそおいしい!」となって欲しいところですね。

さて、今年の牛肉食べ初めはこんなお肉。

今年も北海道は十勝のソフィアファームから、グラスフェッドビーフが届いた!

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これぞ本当の赤身肉、ですな。テレビとかSNSで、どうみても4等級以上の霜降りが入った牛肉を「赤身ですね~」と言っているのをみかけるけど、そんなの赤身じゃないって(笑)

基本的に、肥育段階で濃厚飼料を多給して運動制限をして育てていれば、サシは入るもの。やはり赤身というのはこういう、ロース芯に白い脂がみえない肉を言うのではないでしょうかね。この赤身肉は北海道で有機農業の一つの源流といえるバイオダイナミック農業をしているソフィアファームの牛肉。牧草と農産物の残渣などで育てたほぼほぼグラスフェッドのビーフです。

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じっくり時間をかけて焼きました。今回、ジャージー種のオスを肥育したものと、黒毛和牛のなんと種雄牛の肉が売りに出ている。マニアは種雄牛の味を食べてみるのも一興。そうでない人はジャージー種の肉をどうぞ。11月中にと畜しているというが、と畜したてのようにブリンブリンしていて、驚いてしまった!むちゃくちゃ健全に育ったんだろうね、たんぱく質が密で、なかなか分解されないのだろうか。とても味わい深い肉です。ヨーロッパの人達からすると「うん、これが牛肉だよね」という味だと思う。

■ソフィアファームのオンラインショップ
https://sophiafarm-community.stores.jp/

ということで、今年の書き初めならぬ肉初め。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。