やまけんの出張食い倒れ日記

Dari Kのインドネシア産カカオと型が入った自分で一からチョコレートを作る「カカオ豆からチョコレート・キット」は、学校教育の場に活用したらいいんじゃないか、いやその前に大人もやろうぜ!こんなにシンプルでこんなに時間がかかって、できたチョコはマジ感涙ものの美味しさだぜ!


さてそのDari K(前回エントリをご覧あれ)だが、丸ノ内オアゾ店にはトリュフチョコやカカオラテ以外の商品も並んでいる。


こちらは店内製造ではないものの、カカオサンドはマジ旨い(お土産で好評いただき済み)し、京都店で製造したトリュフもある。日持ちを考えるならこちらの製品群をどーぞ。

その端っこにこんな商品がある。


あれ、ブックレットにある名前とプライスカードの商品名が違うぞ、「カカオ豆からチョコレート・キット」なのかな、それとも「カカオ豆からてづくりチョコレートキット」なのかな(笑)

これ、インドネシアのカカオ、それも生産者ごと(顔写真が入ってます)の豆を発酵・乾燥させたものが入っている。それと、シリコン製のチョコレート用型、作り方マニュアルという内容だ。

じつは、はじめてDari Kを率いる吉野慶一君と初めて会ったのはCCCのエシカルフードラボの代官山蔦屋でのスモールスタートイベントの時のこと。「やまけんさん、これプレゼントです」と手渡されたのだ。自宅で開封して「えっ、、、チョコレートってすんげー設備とか道具がないとできないんじゃなかったっけ?」と拍子抜けしたほどにシンプルな内容。よし、次に会うときまでに作っとこうと思ったのだが、インタビューのときには間に合わなかった。

マニュアルには2時間~3時間ほどでできると書いてあったので、トライしてみた!


まずはカカオ豆をよく洗います。ボウルで洗うと、けっこう、ぬめりや汚れが出てくる。そりゃそうだよね、果実が周りについてて、発酵させたカスがついてるんだもの。

そうしたらこんどは焙煎。フライパンにいれて、弱火で煎ります。


これは、コーヒー豆を焙煎したことのあるひとなら感覚的にわかりやすいかもしれない。が、わかりやすく爆ぜるわけではないので、煎りすぎず、かといって生焼けにならないように煎らないといけない模様。これをオーブンでローストする手もあるのだろうけど、より自分でやってる感が欲しかったので、フライパンでじっくり煎りました。

みきわめは、一粒を手で割ってみることで。皮がパリッと弾け、中身もしっかり火が通っていることを確認!


一旦粗熱を取ります。右に見えているのがシリコンの型ね。


そしたら皮を剥いていきます。


いわゆるカカオハスクとカカオニブに分けていくということね。



綺麗に剥いてカカオニブだけにしたら、すり鉢へ。



さあ、ここからが時間のかかるパート!


すりこぎで、できる限り細かくカカオニブを摺っていく。


実はこの段階をミキサーやフードプロセッサーで行う方が楽なのだが、、、なんとなく「一からやってやるぜ~」と気負って、やってみました。

後悔しました(涙)

ぜんぜん摺れねえ、、、

夫婦二人で頑張って小一時間ずりずりやって、ようやくこんなです。


ぜんっぜんイメージと違う、、、本当はもっと細かく挽けてないといけない。これから取り組む方は、フードプロセッサーである程度回してからすりこぎというのをお薦めしたい。

まあでももう限界だな、と思って、次の工程に進みました。それは、すり鉢ごと湯煎するというもの。カカオのオイルの融点は40度以上と高めだ。そこで、温度をかけながらさらに摺っていく。下の写真ではわからないだろうけど、鍋に弱火でお湯を温めた中に、すり鉢を入れている。


そうすると、じんわりと脂が溶け出してきた!


おおっと感動! 変化が見えるというのは大切ですな。

でもぜんぜん粒子が粗いので、ひたすら摺るのだが、これってすり鉢の目の粗さの問題かもな。限界、、、ということでここで砂糖投入。


ひたすら練り込んでいきます。


ここで、生クリームを入れたり、香料を追加したりということをチョコレートメーカーはやっているのだろうが、今回はとにかくシンプルなチョコを味わいたいので、このままで、、、


もうこれで限界かな、というところで、シリコン型にチョコペーストを流し入れていく。


手前の方には、US産のクルミを入れてある。ウォルナッツチョコにするぞー


これを、冷蔵庫に入れて冷やす。ここまでやって3時間(笑) 放心状態でジムにでかけてトレーニングして、帰ってきたら、、、


固まっていた!

シリコン型から抜くと、意外や意外、あんなに粒子が粗いチョコペーストだったのに、照りが出ている!


もちろん、テンパリングがもっとちゃんとできてたら、輝くようなチョコレートになったとは思うけど、なんかこれでも大満足。


ティアドロップ型のチョコに、チョコレートバータイプもできました。

余っていたペーストを、セルクルでチョコにしといたのを試食。


断面をみると、ざらざらしてる!


口に入れると、、、ザリッザリッとした食感! そして、そのペーストが口の温度で溶けていくと、今度はインドネシアカカオ特有のフルーティーな香りが立ちのぼってくる! そして特徴的な酸味が心地よい。

旨い! むちゃチョコレートじゃん!

でもなんかこれ、どっかで食べたことがある食感と味だな、と思ったら、、、

あっ これ、シチリアのボナユートで食べたチョコに似てるぜ!

■陽光の国・シチリア食い倒れ見聞記 峡谷の街・モディカで伝統的チョコレートの世界と出会った後、生命の危険を感じたのだった 前編 - やまけんの出張食い倒れ日記
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2005/02/568.html

いやーーーーー そういうことだったか、あのザリザリ感は!と得心がいったのである。

後日、米澤文雄シェフが西麻布に開いたNoCodeにて、会食の時。


無謀にも、吉野君にこのチョコを食べていただく!


「うーん、焙煎がとても丁寧にできてます!おいしいですよ~!」と。いやいやいや、リップサービスありがとう。

でもね、本当に感動しましたね、このキット、オトナも子供も楽しめること間違いない。そして、超加工品となっているチョコレートという商品を、一から作る(ホントはカカオからでしょうが)ことができるという、素晴らしいもの。

しかも嬉しいのは、箱ごとに生産者が違うらしい。つまり「今回の●●さんの豆と、前回の▲▲さんの豆の味がちょっと違うね」という風に楽しめるのだ!


あ、写真はNoCodeの料理です(笑) 米ちゃんの仕事ですから、もちろん最高に美味しいですよ~。


米ちゃん、トリュフを試食。


忌憚ない評価をくれて、吉野君との話が弾む!


米澤くん、「明日、さっそく丸の内オアゾ店に行ってマイカカオラテ飲みます!」と。

「あ、それじゃ僕もいるようにします」と吉野君。マジで二人の邂逅となったのでした。

ということで、、、


このキット、ぜひ試してください。あ、時間のあるときじゃないと手をつけてはいけませんよ、、、(笑)

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