さて、雪の飛騨路の続きを書こう。この日は、翌日の取材でお世話になるJAのみなさんと会食をさせていただいた。ちなみにこの地のJAというと、JAひだである。
一次会は「京や」。民芸調の古民家、白漆喰が期待感を高める!
立派な囲炉裏を囲んでの一席。
郷土料理の盛り合わせ!
なんといっても、簾に豆腐を巻いて、内部にスが入るまで茹でた「こも豆腐」のたたずまいが佳い。
だしの味が染みて、フカッとした食感が好きなのだ。
そしてここでも出ました飛騨牛。
漬物ステーキも見参!
山国の飛騨路だが、現在は冨山から新鮮な魚が流通される。でも昔はそんなものはなかったわけで、その時代に食べられていたのが塩ブリ。
塩蔵した魚ってのは、独特のフレーバーが出ていて、とてもおいしいものだよ。
いや、一件目でもう、かなり素晴らしい味わいに囲まれた! ちなみにお酒のラインナップが充実していて、しかもほぼすべて飛騨地方のお酒でまかなわれていた。どれも料理に合う味わいで、素晴らしいものでしたね、、、
ご馳走様でした!
さて、JA飛騨の課長さんに「実はこの後、お茶漬け一茶に行きたくて、、、」と話すと「ご一緒しましょう。でも、まだ開いてないかも」と。
この日はこんな雪だったんですよ。まだ一番街は宵の口、開いていない店も多かった。
「いや、コロナで閉めちゃってるところも多いんです。人出はまだまだ、戻ってきていませんね。」
と課長が仰る。そうか、、、とはいえ、やっぱりこんな明るい看板が並ぶ光景をみると、ちょっと嬉しい。
じつは密かに、この一番街に再訪するときはぜったいに足を運びたいところがあった。それが半弓(はんきゅう)道場。小型の弓、半弓で矢を的に向かって射ることのできる店だ。そんなの、全国の繁華街でここにしかないんじゃないか!?
残念ながらこの日はお休み~!(涙)
「しばらく前に、もともと経営されていた方が引退されて、よく通っていた常連のかたが引き継いだんです。ただ、わりと休みも多いようですね。」
そうだよな、人が来ないと開けてもしょうがないしね。次回はぜひ観光客が押し寄せている時に行くぞ!
さて、肝心の「一茶」はやはりまだ開いていない。ということで「私たちがよく行くお店で一息入れましょう」と寿司「お多福」へ。
マイタケの天ぷら、美味なり!
ネタがデカくて嬉しすぎます、、、
いや~旨かった! 一茶がお休みだったら、ここで最後までネタを握ってもらってたな。
さて、いよいよ一茶へ!
変わらねぇ~!
ガラッと引き戸を開けると、変わらぬ笑顔でえーちゃん、お姉さん、お母さんの吉川ファミリーが迎えてくれた!
高山の繁華街にあるこの一茶、地元の人達は〆のお茶漬けを楽しみに来るが、じつはそうした一般のお客が足を運ぶ夜の店の人達が、仕事が終わってからご飯を食べに来る店でもある。つまりそれは旨いってことです!
僕より少し上のえーちゃん、洋食店で修業してからこの店を引き継いだ。コロナ禍で大変だった頃もくじけず、しっかり対策を講じた上でライブを(この店で!?と驚くが)開催するなど、意欲的に街の明かりを灯し続けてきた。
飛騨牛のミンチを使い、飛騨牛の脂を入れた油で揚げたコロッケ。極めて美味です。線キャベツではなくコールスローなのが嬉しい!
「やまけんさん、焼きナス覚えてる?」
もちろんだよ!!!!
ナス一本を豪快に焼き、そのお腹を割いて味噌とねぎ、鰹節をたっぷりと、、、夏場ならナスは大ぶりの飛騨ナスなのだが、冬なので長ナス。でも旨い!
生イカのフライには、口がさっぱりする線キャベツ。ちゃんとペアリングを考えた構成なのだ。
揚げ油も、肉ものと魚ものでは匂いがついてしまうので替えているという丁寧さ。
みればおわかりのとおり、油の色がむっちゃ綺麗だ。洋食店や定食屋で「油はずっと継ぎ足しだから、旨みが蓄積されていくんだよ」という、まっ茶色の油で揚げ物をする店もあるが、僕は古い油に弱いようで、行きすぎた酸化油を摂取すると気分が悪くなるか、腹が下る。ここはそんな心配がない、まっとうなお店です。
そして、ひさしぶりに会えたぜ、一茶のオムレツ!
今回、はじめて食べたのが「つけ揚げ」、または「揚げづけ」。
「こっちではよく食べられてる食材なんだけど、ようするに味をあらかじめつけておいた油揚げね。焼くだけで美味しいんだよ。」
ほんとだ、これはなかなかに乙な味!
一次会でも食べたけど、漬物ステーキと再会!
ちょっと酸っぱい白菜などの切り漬けと半熟卵と油のマッチングが最高である!
「そうだやまけんさん、ねぎ味噌の天ぷらって識ってる?」
なにそれ、しらない!
「油が汚れるから、最後の方でまかないみたいな感じでしかやらないんだけど、天ぷらの記事に味噌を混ぜて、ネギを揚げるんだよ。」
ええええええっ なにそれ!?
こういうことかぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
これは新発見、衣に味噌が入っているので、一口目から味噌の香りが爆発! 油で脱水と加熱がされているから、味も香りも凝縮している!
さらに長ネギがトロトロトロンと甘くとろけていて、これはもう天ぷらと別物の天ぷらです。スゲー安くつく料理だけど、極めて旨い!
この日の〆は焼きそば。そういや初めて食べる!
いやもう、いちいち旨いし、仕事してるな、この店は。
全国を出張で歩いて来たけれども、なぜか心に残る店の最右翼、それが高山市の「一茶」だ。
この店に行くためだけに、高山へ行くのでもいい。そう思わせる温かさがここにはある。いや、それだけじゃない、マジで旨い料理の数々が待ち構えている。
今年はぜひ、飛騨路へお運びください。それと半弓道場が開いてたら、ぜったいに入ってみて欲しい。そして、21時を過ぎたら「一茶」で〆。後悔しないルートですよ。