やまけんの出張食い倒れ日記

新宿~中野~高円寺をつなぐまったりビーフカレー文化圏。愛する「カフェハイチ」から彷徨が始まった。その1

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大学生の頃(もう30年も前だ!)、新宿で習い事をしていて、週に2日は藤沢から小田急線で通っていた。その帰りによくたべていたのがカフェハイチのドライカレー。当時、カフェハイチは新宿だけで何店舗かあって、僕は本店や青梅街道沿いの2号店?を行き来していた。月に3回くらいは確実にたべていたと思う。メニューはドライカレーに加えてペパーポット、カリビアンソースなどの変化球もあったけれども、たまに浮気するくらいで基本はドライカレー。これ、中毒性のある味と香りで、他にはないものなのだ。

そのカフェハイチ、しばらく前に新宿の本店ブランドが畳んでしまったのだが、のれん分け的にハイチカレーとして営業している店がいくつかある。ひとつは新宿センタービル内にあるが、本流といえるのは中野にあるカフェハイチ。

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この意匠を観ると、新宿の店を識っていた者の胸にいろんな思い出が去来するのである。

といっても中野駅からすぐというところではなく、8分ほど歩いたところにある。だいぶ奥まった小さな商店街のはずれで、これがまた我が新渡戸文化短期大学の臨床検査学科キャンパスのすぐ近所にある。

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東高円寺のフードデザイン学科キャンパスからは15分ほどかかるが、歩けない距離ではないので、たまに足を伸ばすようにしている。ちなみに、上の写真で手前にあるバグダッドというバーも昼間にスパイスカレーを出していて、いろんなトッピングが載るこいつがまたけっこう美味しい(笑)

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日替わりメニュー的なのもあって営業努力すげーと思うが、とりあえず初めての人はドライカレー一択だからね。

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ドライカレー大盛り。大盛といっても、ささやかな大盛。むかしは「特盛り」といってご飯がすげー量になるのをたべていたけど、コメ価格のこともあるので自粛してます。

新宿に通っていたときはこんなオーダーができるとは思っていなかったが、オプションで温玉のせも可能だ。

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画面にはないがホットソース(いまはタバスコが出る。昔はみたこと無いホットソースが出てたときもあった)を、これでもか!というくらいにかけ回し、福神漬けをまんべんなく配置した上でいただくのが吉。ああ、また食べたくなってきた。

写真だけみれば「普通のキーマカレー、または喫茶店のドライカレーと変わらないでしょ」と思うかもしれないが、まったく違う。カフェハイチのドライカレーにしか感じたことのない香り、フレーバーがある!

一度たべただけだと「うん、まあまあおいしいんじゃない?」。2回目「うーん、なんか独特のあじわいがあるよね」3回目「なんかヤバい、やっぱこれおいしくない!?」そしてクセになる。そういう類いのカレーである。ちなみによくある話だが、ドライカレーはハイチ料理ではない(笑) ただしこの店のコーヒーはすばらしく美味しいので、ぜひセットで飲むべし。

さて、話はここからだ。

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いま中野のカフェハイチで働くのは、2名の女性スタッフだ。金曜日は仕込みの日で営業はしていない。それ以外の日を代わる代わるワンオペで回している。

メガネをかけたベテランの女性は、はえぬきである。なんつっても昔の新宿店で製造までやっていた方なのだ。当時のカフェハイチはスタッフがまったくもって塩対応で、フレンドリーさゼロ。それにしてはお冷やがちょっとでもなくなると注いで回ってくれるサービス精神はあったのだが、話しかけてもかなり塩。だが、中野店のこの女主人は昔話に付き合ってくれる。

「アーあの頃の2号店はそんな感じでしたねー 忙しかったんですよ」

等々、他の客がいないのを見計らっていろんな話を聞ける。

「この辺のカレー、いろいろ食べに行ってます?」

「いや僕、ここ数年しか中野に来てないから、まだ初心者ですねー。この界隈で好きなカレーってあります?」

と聞いたら、じっと考え込んで、、、

「わたしにとっては、高円寺駅前のタブチは聖域ですね。あの値段であの味を出して、おそらく中国の方だけど、女主人さんもいい接客するし、感動的です。」

おお、高円寺! 実は僕のあまりしらない地域である。

「それと、イマサ11(イレブン)ですかねー。あそこのビーフカレー、あの値段で出せるってすごいことです。」

えええええええええええええええええええええ イマサ11 !? 新宿駅南口の地下にある京王線の改札から伸びている地下街に、大昔からあるカレー店。昭和の日本のカレー屋はこうだよなというコの字型カウンターのみの店。なんどかたべてるけど、そんな「おいしい」って感じだったっけ!?

「ふふ、私の作るビーフカレーを食べていただくと、私の好みの傾向がわかるかもしれませんね。その二店にも共通している味があるんですよ」

「えっ ハイチにビーフカレーなんてあったっけ? ドライカレーしか食べないからわからなかった!」

「ありますよー」

「じゃ、それたべます」

「えっ ホントですか?」

と言って2杯目にGo!

写真はないが、落ち着いた味わい、香味野菜を炒めて控えめ量小麦粉をルーにして伸ばし煮込んだ、深みのあるビーフカレーだった。

え? タブチとイマサ11はこんなカレーだったっけ!?

「ちょっとその両店、しっかりたべてくるわ」

と言って会計。僕は久し振りに提出課題をもらった気分になったのである。

まずはイマサ11だ。だって新宿駅は毎日、学校に行くのに通るんだもん。そこから、自分自身想像もしていなかった固め打ちイマサ通いが始まるのである。