今年から新渡戸文化短大で始まった食生活デザインコースには、目玉授業がいくつもある。そのうちの一つがフードデザイン論。フードプ3Dリンターの世界では日本でも先駆者である緒方胤浩(おがた・かずひろ)先生に受け持っていただいている。
緒方先生といえば、京都工芸繊維大学の研究でフード3Dプリンターを自宅へ持ち込み、三食すべてをフードプリントしたものを食べるということを2ヶ月間続けたという、おそらく日本で唯一の人である。その体験をベースに、師匠である教授と共に書いたのがこちらの本。
これを読んで「緒方先生に、食生活デザインコースに加わってもらえないだろうか、、、」というところから、全てが始まったのだ。
この講義、おそらく他に類をみない内容となっている。まずは3Dモデリングを行うCADソフトを使うことから始まる。
みなこれを使いこなし、グリグリといろんな形をモデリングしている。この3Dデータをフードプリンターに転送して、出力する。ちなみに、フードプリンターはfoodiniというスペイン製のものだ。
フードプリンターも基本的には3Dプリンターと同じで、素材を射出するのだが、構造上いまはペースト状のものをカートリッジに入れて、それを押し出すという形でプリントする。
この、中に入れる素材はぜんぶ自分達で調整しなければならない。もちろんそこからクリエーションなのだ!
米粉のパンケーキ生地や、、、
焼きナスのペーストなど、ここをうまく作らねばフードプリントできない。実はここで求められるのが、おいしいということだけではなくて、ノズルの径とプリントスピードに合わせた粘度・粒度にするということだ。ここでみな四苦八苦。
そうして調整した食材をカートリッジにいれて装着し、モデリングしたデータを転送して射出する!
今回、グループに分かれての最終課題出力があったので、いくつか掲載。
米粉パンケーキ&バナナとクリーム、おいしくできました!
作品はもちろん、緒方先生を中心に、おいしくいただきます。
こちらの班はヴィーガンシュークリーム!
これもおいしかったですねぇ、、、
そして、こちらの班は、いまこのフードプリンタでできるすべてをぶっ込んだ!と言うような作品。
枝豆、焼きナス、アボカド、ツナマヨ、あとひとつなんだっけ(白いの)?の5層構造!
クレープの上にこれを出力する。ペーストばかりだと食感が退屈なので、カリカリのフライドオニオンを追加。
いいじゃないか!
これ、先週の段階でも味見させてもらったのだが、ペーストばかりだとやや単調な味わいになってしまう。しかし、食感に変化を付けるものを加えて、ソースで酸味も足したことで、おいしく食べられるフードプリンタ料理に昇華された!
この日は、食の映像作家である志賀元清先生に撮影をお願いしていたのだが、一口食べて「こんな、少し前に最先端の三つ星シェフが実験的にやってたことを、短大1年生の学生がやってるなんて!完全にイノベーティブ料理ですよ!」と。
なんといっても、4月に入学したばかりの子達ですよ。ちょっと、感動しちゃいますね。
こんな感じで、学生達の可能性にいつも元気をもらっています。来週はどんな作品ができるのかな!?