やまけんの出張食い倒れ日記

バルバレスコの隣地にあるワイナリーカッシーナ・リエートにて、ヒロトさんと理恵ちゃんが育むワインを、この旅で最高のビステッカと共に味わった! その3 ついに登場、ファッソーナ牛のビステッカ!

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大変お待たせしました。月イチ以下の頻度になってしまって申し訳ない。いよいよ、二件のお店で購入した肉と、カッシーナ・リエートのワインの夕餉です!

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キッチン中央には理恵ちゃん、ではなくヒロトさんが陣取る! さすがは長年、イタリア全土の食材を買い付け、日本にコーディネートしてきたヒロトさん、素敵です。

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夫婦あうんの呼吸で食卓の準備が進む。いや、それにしても理恵ちゃんが幸せそうで、それがなによりも嬉しいことである。

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リビングの窓からは夕焼けと、ブドウの段々畑が見える。なんと素敵な風景なのだ!

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「じゃあ食べましょう!」

わーお! ヨーロッパの旅でちょっと不足するのが野菜なので、嬉しい! 

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白インゲンをあしらったサラダに、パプリカピーマンの皮を焼き切ってオリーブオイルでマリネしたペペロナータ。最高である。

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サラミやチーズ、パンなどは、車をひとっ走りさせて、イタリアの国境こえてフランスあたりに買い出しに行くそうだ。

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これらのセレクトがまた最高である。パンも旨いがバターの香りがまた素晴らしい。

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「今日の食事に合わせるのが、センサツィオーネというワインです。これは、さっきみてもらったコルテーゼとモスカータを完全に発酵させきったワインです。」

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このセンサツィオーネ、すばらしい食中酒である! 複雑な組成を感じさせる酸味と奥行きのある味わい。うま味の総量が多く、舌の上だけではなく、上顎部までが反応する。ワインだけでいただくというよりも、口内に料理を含んだまま口にして、味の世界をひろげたいと思う、日本酒のお燗のような味と香りなのだ。

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これは食中、食中、、、と思っていたらブレザオラが! すぐさま肉とワインを交互に口に含む。思った通り、強めの塩味、肉のうま味をワインがドカンと増幅して、口中のしあわせ度が倍化する。すばらしい!

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キッチンではヒロト劇場が進む。あのピエモンテーゼ、ファッソーナ牛のドライエイジドのTボーンに塩とオリーブオイルをすり込む。

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イヤー最高の眺めだ!

「ここはIHヒーターなので、どうやったら肉をおいしく焼けるか、いろいろ試行錯誤したんですよ」

その結果、IH対応のこの鋳鉄の鉄板に、ウインドスクリーンで油はねをおさえるというシステムらしい!

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その間に、やはりファッソーネ牛のウチモモ極薄切りでカルパッチョをば!

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生肉を正々堂々と食べることができるイタリアの食文化と衛生技術に敬礼。

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ヒロトさんの塩の振り加減がほぼプロである。

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オリーブオイル、レモン果汁を振って、、、

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うまいっ!

うまいよぉおおおおおおお

いかんいかんこんなペースで食べてたら腹が満ちてしまう、、、なんてことはありません! ファッソーネは見えるようなサシが入っていないので、本当にマグロ赤身を食べているような負荷の軽さ。うま味はしっかり深いのだが、食後感が軽くて、いくらでもイケてしまうのだ!

そうこうしているうちに、、、

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IHで試行錯誤した焼き方というのが、、、

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素晴らしいっ! バリッバリである。

ここでいったんホイルでくるんで休ませるが、きっちり芯温計で内部温度を測るという試合巧者ぶり!

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「うーん、もうちょっと内部をレアめにしたかったな」とおっしゃるが、いいんです僕あまりレア好きではありません。

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休ませた肉を、表面をカリッとさせるため、強火の鉄板に!

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ビステッカはね、塩をバッツリと振るがいいんだよ。

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さて!

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きました~!

す、す、すばらしい、ヒロトさんによるビステッカ・ア・ラ・ファッソーネ!

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マジで素晴らしい火入れである。もう、ビステッカ専門店で食べてるんじゃないかってクオリティ。ほぼ無言で肉にナイフを入れ、かぶりつく。

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ヨーロッパでステーキを食べる体験をすると、フランス、イギリス、スペイン、ドイツなど、どこでも「違う」味わいや流儀がある。ただ、イタリアのそれは体験としてまったく他の国と違う。それは牛肉とはこうあるべきだという姿が、他と違うからだろう。

調理科学的に完全なるステーキの焼き方と言えば、中心部のレアな赤身部分と、火に当たってグレーとなった部分の中間が、できる限り柔らかなグラデーションを描くように、グレーバンド(灰色の層)ができないようにと言われるものだ。でもね、そうしてやけた”完璧な”ステーキが本当においしいかどうか?というと、また別もの。対して、イタリアでよく出会うビステッカはそんなデリケートなものではない。表面から数ミリはガッチリと火が入り、表面はガリッと焦げに近い焼き加減になっている。グレーバンドはハッキリしていて、その下は一気にピンク色の層があり、中心部はなまめかしいロゼが照り輝く。

こいつが最高に旨い!

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まず食感がサクサクと音が立つような、心地よいものである。このサクサク感はいったいなんなのだろう、、、そして、噛みしめると清々しい肉のジュースが染み出てくる。ドライエイジドしていても、しっかり細胞レベルに湛えられた水分が染み出すのだ。

そして、ファッソーネのうま味が、これでもかこれでもかと言うほどに来る。これまた最高なオリーブオイルをかけて油っけを補充して食べる。素晴らしい!

いやーーーーー 夢中で肉を噛み、センサツィオーネを口に含み、嚥下するのに夢中で、写真撮れてないゴメンです。

そして、ヒロト&リエが醸したセンサツィオーネは、ビステッカとベストマッチングである! 赤身肉の持つ拡がりあるうま味と、そこに刺激的な香りを足すオリーブオイルの組み合わせで支配された口でワインを含むと、いきなり世界がひとまわりもふたまわりも拡がったような変化を感じる。それが、口中での食材と酒の出逢い、口中調味である。

いやー参った! 今回のイタリア旅行で食べたベストディナーは、カッシーナ・リエートでの一夜であった。

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多くの日本人が、海外でワイナリーを経営する時代になった。ここイタリアにもいろんな人がそこに挑戦しているだろうが、ヒロトさんと理恵ちゃんが取り組むカッシーナ・リエートには、素晴らしい価値がある。まず、名産地であるバローロのすぐ近くに、こんなワイナリーを建てられるということは、イタリアでの立ち位置が、イタリアの食業界からしっかり認められているということである。ヒロトさんの長きにわたる活動のたまものだろう。そしてそこに、長くワイン販売の世界で活躍してきた理恵ちゃんの突進力が加わった。

すでにカッシーナ・リエートのワインは世界絨から取引先が殺到し、完売している状態だと思うが、もしあなたに機会があるならば、ぜひ呑んでほしいワインだ。その時は、ぜひヒロトさん特製のビステッカの味を想像しながら、エアーでマリアージュを試みて欲しい。

あ、カッシーナ・リエーテでは働き手を募集しているそうだ。日本人ももちろん大歓迎。部屋はあるので、シーズン中は住み込みをして働くというのも手だろう。また、二年後には本格的にアグリツーリズモのお宿としての開業も目指している。そうなったら、たちまち人気が出て予約困難になること間違いない。ぜひ早いうちにアクセスしておくことを薦める。

理恵ちゃん、イタリアで会えてうれしかったよ! ヒロトさんと末永くお幸せに。また行きます!