茨城の鳥山さんといえば、食関連業界では知る人の多い熱い男だ。興味が湧いた人には「会いたい!」という光線を発しまくって必ず会い、そして友達になってしまう。そして「あのさ、これ最高に旨いんだよ!」と自分には一銭の得にもならないのに取引先を紹介してあげたりする、超絶親切にして超ウザい(笑)おっちゃん。それが鳥山雅庸(まさみち)さんだ。
彼の本職は某大手コンビニに卸すパンを作るパン工場の社長さん。といっても、北関東一円をカバーする店舗に納品する、ベーカリーと言うにはあまりに巨大な食数を作る、大規模工場だ。ふつう、そんな規模だと、よい食材を使うとか、地場産の食材を投入するということは難しいものだ。だって、一日に軽く数万個とか造ることになるんだもん。大手流通の一般品で揃えなきゃ無理。
そんな常識を彼はひっくり返し、地元産の素晴らしい食材を入れた極上パンを、コンビニパンというフォーマットで実現してきた。このブログ過去記事でもそれはレポートしてきたとおりだ。
その鳥山さんが率いるリバティフーズの工場が昨年、新設された。「すんげーオーブン入れたよ、日本では初だよ、すげー投資しちゃったからやばいよ!」と言っていたので、一度訪ねてみたかったのだ。ようやくそれが叶った!
その工場は予想以上にすごかったのだ。
いつもパワフルな笑顔の鳥山さん。工場の最寄り駅はTXのつくば駅からさらに30分ほど。
今頃の時期は麦が植わっているのと、田植え前の水を張った田んぼが拡がる風景をビュンビュン走っていると、、、うわっ いきなり目立つ赤い建物が!
堂々の偉容!これがリバティフーズの製パン工場です。 赤が映えて格好いい!そうそう、工場ってなんとなく無機質なイメージあるけど、かっこよくなきゃあね!
この敷地内に生やしている草も、芝生ではなくて栃木大学の先生が研究しているクラピアという植物。「芝より繁殖力が強いんだよ!」と。
また道路に面した花壇には、地域の人達がみて楽しめるようにと、ラベンダーやローズマリーなどを植えている。
この「経営理念と行動指針」をみただけでも熱いのが伝わるよね~。
工場内にも配慮が。
「うちの工場ね、無機質なのはイヤだから、従業員が移動時に田んぼとかがちゃんと見えるように窓を作ってるの。」
明るい会社内。
そして自社で製造したてのパンがいくつも積み上げられている。
「これ、検品用?」と尋ねたら、「違うよ、社員が好きなのを食べていいように置いてあるの。」と! まじかよっ
「でもさあ、新工場になって以前より美味しいパンができるようになっちゃったから、みんなついつい食べ過ぎちゃうんだよ。それで、体重増えちゃう人が多くてさ。」
と!
地元愛のつよい鳥山さんが出してくれたコーヒーは、やはり茨城で全国的に知られたサザコーヒーのもの。美味しいです。
さて、工場内はいくつか秘密もあり、また取引先に迷惑がかかるといけないので、数枚のみ。
いやーーー すごいです。
とくにオーブンが超絶すごかったんだけど、そこは企業秘密なのでゴメンナサイ。
でもね、感動し、同時に「いかんよなあ」と思ったのがこのシーン。
これ、なんだかわかりますか?
ベルト上に流れている黄色い粒はコーンです。そう、これ↓にのっているコーンです。
このコーン、綺麗な粒ばかりのってますよね。
それ、なんでかっていうと、選別されてるからなんですよ! それも、はねてるのをみせてもらったら、単にコーンが潰れたり変形しているもの。そんなの、全然いいでしょ!?
「クレームが来ることがあるんですよ、、、」
いや、日本は本当に終わってると思う瞬間だね。これを「日本のパン工場はここまでやっている!」という美談と思っちゃいけないと思う。本当に社会的に余分な負荷。また、そのクレームをメーカー・ベンダー側に伝達して、修正させる売り手側も問題だと思うよ俺は。
さて、それはそれとして、リバティフーズのみなさんの努力の結晶たるパン。
チーズを生地に詰めるのは手作業!これが今回一番美味しかった!
スコッチ系のリッチな生地のパン。
たまご系のパンは、フィリングはもちろん外注だろうけど、異様に旨い。
やばいねこりゃ。
そして、コンビニパンでこれが作れるのか!というクオリティのクロワッサン。
そのまま食べるのではなくトースターでリベイクすること。そうすると、驚きます。
ほんとは鳥山さん、これもバターでやりたいだろうなあ。全量バターで焼いたら、すげーことになるだろうなぁ、、、
いわゆるあれ。これも、某ドーナツ店とタメを張るくらいの出来である。
以上は店頭に並んでいる商品。
けど、やはり鳥山さんはすごい。
「あのさ、一番食べて欲しいのはこれ!」
といって、コンビニでは並んでいない開発商品を。試食させてくれた。
それは、おかず系に使えるであろう、比較的リーンな生地のパン。
うん、正直、コンビニ向け原料でここまで出来るんだ、と思いました。オーブンの性能に負うところもあると思うけれども、成形、焼きの質が半端ないです。もちろんこれもそのまま食べるのではなくて、カットしてからトースターで焼き目をつけるのがよい。自宅に持って帰って焼いて食べたら、嫁さんと二人して「これはすごい!」と目を丸くする出来だったのだ。
いやーーー 聞きしに勝る素晴らしい設備とワークフローの設計でした。鳥山さんありがとう。それにしても、鳥山さんに、いい素材を使って、例えば店頭単価350円くらいかけたパンを作らせてあげたい。そうすりゃ街のベーカリーが驚くようなのを作ってくれると思うんだけどな。