やまけんの出張食い倒れ日記

イタリア滞在、キャンティ・クラシコの地を訪れてます。有名なダリオ・チェッキーニの店でビステッカを堪能! (中編)

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ダリオ・チェッキーニさんの店でいただくビステッカを楽しみに、予約の時間に店へいくと、なんか中でライブでもやってるかのようにわーーーっと盛り上がっている!

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しまった見過ごした! ダリオさんの肉切りパフォーマンスでもやっていたのか!

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「あの左端の肉、あの中で一番旨そう!」と興奮している金城さんのむこうに、カメラに向かってサインしてくれているダリオさん。グレートショーマンですな。

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ビステッカ用にカットされた肉がずどどどーんと並んでいるのだけれども、実に真っ赤で、ヨーロッパを感じさせる肉。当然ながら牧草主体の餌なのだろうけれども、脂は白い。

それにしても水分量の多い牛肉だ。

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こんなふうに断面に水が浮いている。あと、ヒレ部分の大きさにも金城さんが驚いていた。

「こんなにヒレがデカいなんて、どんな牛なんだ!」

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何代も続く肉屋の息子として生まれたダリオさん、肉の全ての部位が美味しいのだから、ロースやヒレとばかりいうのではなく、全部位を美味しく食べさせる店が必要だ、だから自分のところで肉を食べさせる店を作ってしまえという発想でレストラン部門を立ち上げたという。

これは実に生産者側に立った発想だ。日本ではパーツ買いの輸入牛肉が多いこともあって、好きな部位だけを買うという考え方があるが、本来は牛は一頭単位で買われているもの。全部位を買ってもらわなければ割に合わない。それでも、レストランは「ロース」と「モモ」しか買ってくれないことが多く、バラなどの部位が残ってしまいがちだ。それでは生産者や一次卸は困ってしまう。

またそうしたリスクは稀少品種ほど高くなる。大量に出回っている品種の場合は、バラならバラだけ、ネックならネックだけ集めて商品化することもできなくはないが、稀少品種の場合はそうした売りにくい部位を貯めようにも加工ロットに達するまで時間がかかるので、難しい側面もある。

基準に沿って育てられた5~8歳くらいの牛の肉を選んで買うというダリオさん、全部位を売り切る手法としてショーマンシップに徹しているのだろう。

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ちなみに今回は、フランスの人気店ル・セヴェロで修行していた柳瀬さんが話をしてくれていたこともあって、我々は明日、産地見学もさせていただくことになっている。挨拶にいった柳瀬シェフ、みていたらかなり長いこと話し込んでいた!

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後から聞いたら、「あいつ知ってるか?あーやっぱり知ってる?」という感じで次から次へと共通の友人がいることがわかった(日本の肉業界の繋がりとも似てるね)ということだった。

「じゃあ、そろそろ二階にご案内しましょうね」と。そうなんですよ、いったいどこで飯食えるの?と思っていたら、通用口みたいなところを通って階段を上がると、こんな素敵なテラス席が!

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店内にもテーブルがしつらえてあるのだけれども、天気がよく過ごしやすい日は野外テーブルでやるのだそうだ。肉焼きを間近でみることはできないけど、これはまたヨーロッパ的で楽しい!

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ということで、肉の焼き場を見せてもらいました。やはりというかなんというか、炭火でございます。

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そこに、ドスンドスンと肉塊を置いていく。

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それにしても店のスタッフはみんな超・超・超フレンドリー! みんな「魅せる」ことを念頭においている感じで、そーっと「写真撮っていい?」という感じで行ったけど、「あっ カメラ持ってるならここで撮れよ!」という感じ。ありがたい。

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肉はロースだけではなくモモからなにからいろいろ焼いている。

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個人的には、もっと焼き場は広いのかと思っていたのだけれども、集熱性もよさそうで効率がいいのだろう。それに、小さい肉ではなく、一塊が3kgはあるからね!これで前席分まわせるのだろう。

さて宴の始まり。

席に着くと、ワインは「好きに呑めよ!!」的な感じで置いてある。じつはこの数時間前にワイナリーでテイスティングしていたこともあって、僕はワインはパス。

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さあ始まりはもちろん生肉!

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リモーネと乗せたタルタル!

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いやこのタルタルがまた美味しかった!

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ダリオの店でも売っているこの特製シーズニングソルトで和えているんだろうか、シットリして爽やかで、新鮮な肉を食べているという心地よさ。

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「おー、食べ方教えてあげるよ!」的な感じであんちゃんがやってくる。

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「まずはこの俺たちの最高な塩を皿に入れてね、、、そこにここらへんで搾った最高に旨いオリーブオイルを注ぐ!」

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うあーーーあぶねー飛び散りそう!でもこれもやり慣れてるんだろう、皿にツツーッと混ざっていきます。

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これにつけて食べろ、と。うん、確かに美味しい! 辛み、渋みなど刺激のあるオリーブオイルが、刺身状のタルタルにいいアクセントを加えてくれる。

「はい次のお肉よ~」

と、早くもタタキ状に焼いたモモがやってくる。

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そんで、みるからに腹に溜まりそうな、白インゲン豆とニンニクのオリーブオイル煮!

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さあてこの辺で、この店名物の「ビステッカができたよ口上!」向こうの方で店のスタッフが「肉を高々と掲げて口上を述べるのだ!

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何しゃべってるのかぜんぜんわからないけど、とりあえず「みんなが待ってたお肉、やけちゃったよーん!たらふく食べるんだぞ!」的な感じだと思う(笑)もう会場全体が大盛り上がりです。

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肉はカットして大皿に盛り込まれ、サーブされる。

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もちろん人によって部位が変わる。

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あ、僕のところには脂が噛んだいい感じの部分がきた!

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いただきます。

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ああ、美味しい! 想像していたよりもよい味わいのお肉です。

というのも、これまでテレビとかでこの店の映像をみていて、肉自体はそれほど長期に熟成させているわけでもないし、あっさりしたものなんだろうなと思っていた。また、さっきのカットした肉の表面に浮き出てきた水分をみて、こりゃあ、刺身みたいな肉だろうな~と。

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でも、いい感じに裏切られました。多くの人が「グラス臭がする」と言ってしまうような匂いはまったくなく、熟成は短くともしっかり味がある。それはおそらく日本のように30ヶ月齢前後の肉ではなく、何産かした経産牛の肉だからだろうと推察。長期肥育しているから、フレッシュな肉であっても味と香りがある。

そんなお肉はお腹にもたれることがない。先ほど観たようにサシは一片もはいっていないので、肉を食べて脂を感じない。それどころか、オリーブオイルで脂を補充して食べるのが美味しい。黒毛和牛の霜降り肉にオリーブオイルをかけるともう食べられません!となるけど、それとはまったく違う。

そして、キワに着いている脂身はバターのよう、とよく言われるけれども、本当にそうだ。風味の正体があって、まろやかで美味しい。赤身を食べ、脂を食べ、という往復をしてしまう。

ちなみに、肉はわんこそばのようにどんどん追加されていく(笑)

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これ、脂の部分。実にまろやかである!

柳瀬シェフのところには骨が!

「一番美味しいところよ」とウェイターのお姉ちゃんがいうが、ぜったい柳瀬シェフのこと気に入ったんだと思う(笑)

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焼き場にどんなふうに焼いているのかを観に行った。

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骨の熱伝導を活かして、肉の内部から温めていくのだろう、Tボーンの骨側を下に置いて焼き始めている。

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あれ?いまのタイミングでこんなでっかいの焼いてるの!?

「なにいってんだ、Tボーンはこれからだぞ!」

あああああああああああああああ、そうか、まだ前菜だったのか!(笑)

この店に来るときはマジでお腹すかせとかないとダメ。

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ちなみに、席はごらんのとおり長いテーブルなので、自然とまわりの人達とも交流ができる。

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こちらの一家はアメリカはコネチカットから来ているそうだ。

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僕の右隣のグループはなんとロシアから2週間かけて車で少しずつ移動して、ここに来たというニコライ&マリアン夫妻。マリアンさんが映画女優みたいに美人です。

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その隣にはまたロシア人一家がいて、じつにチャーミングな姉妹が。お姉さんは英語堪能のベジタリアン(野菜メニューばかり食べていた!)、おくの可愛い妹さんはなんとフィギュアスケートをしているそうで、羽生くんの大ファンだそうだ。

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このロシア人グループ、と思ってたら、ニコライ夫婦と奥の一家は「いまここで出会ったんだよ-」とのこと!僕の英語は本当にひどいんだけど、それでもニコニコしてれば仲良くなれるぞ。楽しい。

「あのね、モスクワにおいでよ。うちには三部屋余ってるから、泊めてあげるから!」と30回くらい言われた(笑)

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熱々のローストジャガイモにリエットのような、味付きラードを乗せて食べる。ここで炭水化物か、と思っていたらいきなりまたビステッカ口上。

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やけちゃったよーん どうだっ!!!!!

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もうかなり胃袋に来てる状況だけど、遠慮会釈なく肉が盛り込まれます。

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さすがに僕もかなりイナフです。

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オレンジビールの香る素朴なケーキが出て、カッフェーを楽しんで、コースもようやく終了。

あのですね、これで全部コミコミ50ユーロなんですよ。安くないですか? 日本でいきなりステーキ系ではないステーキレストランにいくと15000円、ヘタすれば3万円以上になることが多いけど、ここは腹一杯たべてこの値段。まあ、移動コストは無視しますけどね。

なにより店の皆んながグレートショーマンです。だれもがちゃんと客と対話している。日本人とみるや「肉バンザイ!」と言ってくれる(笑)

とても素敵な時間でした。

さて、ここまでのダリオさんの店の様子はこれまでもよくブログで書かれてきたと思うけど、今回はちょっと違う。なんと明日の朝、ダリオさんが契約しているキアニーナ牛の生産農家さんを訪問できるのだ!

ほんもののキアニーナと会える!いまから愉しみである。