映画「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」を観た人なら、みんな「た、食べたい!」と思ってしまうキューバンサンドイッチ。
三つ星シェフだが、来店したインフルエンサーと大げんかして問題になり、店をクビになってしまった主人公が息子のために作るチーズメルトサンドイッチや、フードトラックで作るキューバンサンドイッチは、日本ではあまりみることのないハイカロリーで誘惑タップリのアメリカンフードだ。
日本でも食べてみたいなと思っていたら、なんとあの映画に触発されてアパレル業界を脱サラし、店を立ち上げてしまった人がいるという。それも中野の新井薬師前という、都会とローカリティが絶妙に交わる地域に!
みてのとおりアメリカンテイストです。きっと店主さんはフードトラックでやりたかったんだろうけど、日本ではいろいろ難しいですからね。
訪ねたのは13時45分と、微妙にランチタイムが終わりかけで落ち着いているだろうと思って行ったのだが、テイクアウト待ち四名で「順番にお造りしていきますので20分ほどいただきます!」と明るく言われる。そりゃ待ちますよ、、、
テイクアウトはそのまんま、店内で食べる場合は、チャージの代わりにドリンクまたはスープ(400円)をオーダーすることになっているとのこと。店内で、オニオンスープでお願いします。
店主さんはアパレル業界にいたというのが納得のお洒落さん。しかも屈託のない笑顔でお客さんに話しかけるので、10分以上の待ち時間でも店内のお客さんはみな佳い顔して待ってます。
キューバンサンドイッチはローストポークやチーズ、スライスハム、マスタードなどを重層的にパンに挟み込んで、パニーニなどを焼くことができる、パンを上下の熱源で挟み込んで焼くプランチャーで焼いたものだ。焼きながら溶かしバターをタップリ塗り込んでいくのが特徴の一つ。つまりホットサンドの豪華版ですな。
前掲の映画では、具となるポークが、特製のマリネ液で味をつけ、じっくり低温で火を入れたものとなっていて、むちゃくちゃに美味しそうだったのである。
注文がたてこんでいたので、まずは比較的早くできるチーズサンドイッチをオーダー。これも映画では、グリルにバターをタップリ溶かしたところにパンを載せて、バターをタップリ吸わせながら焼く。
そこにたっぷりのチーズを載せて(チェダーとグリュエルチーズの組み合わせかな)焼くという凶悪なしろもの。
さて、、、
出来上がって参りました!
ああ、いいですね。意外に軽やかな味わい。バターって、実は油としてはぜんぜん重くないよね。といいつつカロリーはすごいんだろうけど、そうは思わせないカリカリ感とシットリしたチーズ。これ一つで終わらせるというよりは、この店ではこのチーズサンドを前菜にするというのがよいかと思います。
背景になっているオニオンスープ、しっかり炒められた飴色オニオンがタップリで、これまたよし。本当はビールで行きたいところだけど仕事があるので残念無念。
そして、入店してから30分以上待ち、できあがったのは、通常のキューバンサンドではなく、ダブルダブルという、具材がエクストラで入っているキューバンサンドイッチ。
柔らかなパン一本分を縦にカットしたスタイルはとても見栄えがよい!
この重層感が溜まらない!通常のキューバンもいいと思うけどやっぱり具がボリューミーなのを食べたかったのよ!
「通常のキューバンサンドイッチは、具をセットしたパンを用意して焼くのですぐに提供できるのですが、ダブルダブルですと、具が多いので、あらかじめセットする方式ですと火の通りが通常の倍かかるんです。ですので、オーダーをいただいてからポークに火を通したりと、ちょっと時間がかかってしまうのですが、、、」
ということで、時間がない方はダブルダブルではなく、通常バージョンを選んだ方がよいかと思います。
ご覧の通り、ポークも二種類、特製のソースにマスタード、ピクルスにチーズがこれでもか!と重ねられていて、実にワクワクする出来である!
この縦にカットしているのが、口に入れやすく、食べやすい! アメリカンフードは柔らかいのが特徴!のとおり、ポークはハム状のものもローストポークもどちらも柔らかく、ハーブの香り漂うソースとの相性すばらしく、そしてピクルスの食感と酸味、マスタードのピリッとしたアクセントが組み合わさって、とてもよい!
実に美味しいじゃないですか。
サービス精神旺盛、よく話してくれる店主さんが実に佳いです。
「店内装飾はじっさいにロスで買ってきたんです。そしたら、主役をサポートするスーシェフ役で出てたジョン・レグザイモが通りかかったんですよ!みたらすぐわかるオーラみたいなの出てましたね!「僕はあなたの映画を観て魅了されて、実際にキューバンサンドイッチ屋を出店するんだ」っていったら、「おおそうか!」と喜んでくれました!!!」
おお、ジョン・レグザイモ!
彼は、医療ドラマのERにも出てきた、キレのあるいい感じの演技をする俳優。「シェフ」では主人公の後を追って三つ星店を辞めてマイアミまで手伝いに来るという、実に人情味ある役を演じている。
このジョンに、アメリカに行ったその日に会えるなんて、店主さんもミラクルを持った男だ。
こんな話をしている間に、小学生らしき子供が入ってきた。「おー、おかえり!今日はどうだった?」と世間話。おそらく500円玉ワンコイン握りしめて、ハーフサイズを持ち帰るのでしょう。
「新井薬師っていう、都会の中だけど、けっこう地域の人の繋がりが濃い場所性と、キューバンサンドっていう気取らないサンドイッチが合うと思ったんですよね。」
というが、実にマッチしてますよ!
この店、応援したいところ。次回はぜひビールを飲めるタイミングでお邪魔したいと思うのでした。美味しかったよ、ごちそうさま!
ちなみに全然関係ないけど、、、
映画に出てくる、主人公が在籍した三つ星店のホールの責任者で、主人公の恋人(?)役を演じているスカーレット・ヨハンソンがすっごく綺麗。最初の方にしか出てこないのが残念なんだけどね、、、
この映画、エンタメとしてだけではなく、アメリカのローカルフードの情報(しかも実在する)てんこもり。本物のBBQも出てくるので、食関係者は必見ですよ。