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(記事訂正)ストップしていた宮崎県の食肉処理施設が、特例で操業開始するという。 
とは書いたものの、申し訳ない、これは情報の吟味が足りなかった!
これからは、口蹄疫への関心を「継続」いていくことが求められる。
口蹄疫はまったく収まっていないよ!大規模和牛生産をする尾崎畜産の尾崎社長自ら現状を発信する。 おそらくメディアでは採り上げられていないことも含め、インタビューを速攻でアップする。 宮崎からの客人を迎える際にどのようにインタビューの下準備・後処理をしたか。
口蹄疫は全く収まっていないよ! 20km圏内の搬出制限区域からの声・尾崎さんのインタビュー後編です。
宮崎県に来ています。困っているのは畜産だけではない。観光・飲食・物販全てが落ち込んでいる。「口蹄疫は国を滅ぼす」という言葉は、色んな意味で真実だ。
尾崎さんのインタビュー 数カ所訂正 それにしても、鳩山さんの宮崎訪問は壮大な無駄に終わったのだろうか。そうではないと信じたい。そして僕は空港でガンジスカレーを食べて、帰着しました。
宮崎の肉をどうしたら買い支えることができるのか?という問いにどう答えるのかが難しい。
これが本当の緊急事態、、、とうとう恐れていたことが起こってしまった。日本最大級の畜産の大産地・宮崎県都城市に口蹄疫が。 農林水産副大臣の篠原さんに俺は期待する。
口蹄疫 とうとう恐れていたことが起こってしまった 宮崎県内ほぼ全域に拡がってしまいつつある。これは、本当に九州全体に波及する恐れがある。 僕らにできることは「予算いくらかかってもいいから封じ込めよう」と言うこと、そして「宮崎県産お断り」という風評被害を無くすこと。
口蹄疫関連エントリはこちらです。
宮崎県内での口蹄疫への防除態勢の崩れに思うこと 宮崎県内の人たちの緊張が切れようとしており、他方では緊張自体が存在していないという矛盾
口蹄疫との戦いは続いている。先が見えてきたのか?そして宮崎の財政状況が気になる。
口蹄疫終息までまだもう一息、、、 支援の場を見に行った。そして、大手マスコミが語らないことの多さに愕然とした。
篠原孝 農林水産副大臣の口蹄疫談話 農政ジャーナリストの会
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2010年05月17日

第一次産業に逃げ場はないのですよ。宮崎県の口蹄疫発生状況に、言葉が出ない、、、 我々にできることはなんなのだろう。

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ここのところあまりに繁忙だったので、口蹄疫のことについて書こう、書こうと思いながらずいぶんと時間がたってしまった。

、、、そして、事態は予想以上に恐ろしく深刻な事態になってしまった。宮崎県の畜産はすさまじいダメージを受けてしまったのである。16日には被災農場が100を超した。すでに殺処分をしなければならない患畜が8万頭(!)を越している。

このニュースが一般にはあまりうまく伝わっていない。どうも、情報があまり出てこないので報道管制が敷かれているのではないかという勘ぐりもあるようだけど、それは違うでしょう。鳥インフルエンザの時に、発生した農場にずけずけと無断立ち入りしたマスコミがあったが、ああいうことをされたらすぐに他地域に感染してしまう可能性が高い。だから取材や交通を制限しているので、あまり情報がでてこないのは当然なのである。

またマスコミは過剰にエキサイティングなニュースを報道したがるので、国家的陰謀とかそういうことを勘ぐりがちだ。先日もあるラジオ局から「情報もらえないすかねー」という問い合わせがあったけど、どうも口ぶりからそういうパニックをあおるような報道をしたがっているようなにおいを感じたので、何もお話しすることはないと断った。

本件については、客観的事実などが知りたければとりあえば宮崎県のWebを見るべきだ。発生数等については把握することができるようになっている。

原因がなんなのか、どこが感染源なのかという犯人捜しもひそかに行われているようだけれども、まだ確定した情報はない。本当かどうかはともかくあそこだろうという情報は、5つほど耳にした。けど、もうそれをとやかく言ってもしょうがない。今はとにかく感染が外に広がらないようにすることに力をさくべき時だ。

ちなみに
最悪の事態は、口蹄疫が日本の他地域にも伝播してしまうことである。そうなると、国産の牛・豚肉の存亡の危機となる。これはオーバーな表現じゃない。それに全滅が免れたとしても、たとえば今後、いろんな人たちが進めようとしている金持ち国への輸出というのができなくなる。口蹄疫のリスクがある国からは輸入しないというのが普通だからだ。

だから、国民にできることは、、、 とにかく邪魔をしないということじゃないかな。対策費用としてばんばん税金が投入されることになるけど、それに文句を言ってると、マジで国産肉が食べられなくなる可能性がある。「いいじゃん、輸入すれば」という極論は国を滅ぼすよ。そしてもし無体な取材をしようとしているマスコミがあればテレビ局に電話して「そっとしておいて、対策に専心させてやれ」と言うとかね。

今回の件は、規模や意味も違うけれども、阪神大震災に被災した人たちに対して向けたいたわりと同質な目線が必要だ。だって、どんな補助金を見舞われたとしても、患畜を出してしまった農場は現在飼っている家畜をすべて殺処分しなければならない。その頭数たるやすさまじいものである。

自分のところでは出てないけど、隣の農場で出たという場合も、10km以内の距離だと移動制限がかかる。つまり出荷できない!工業製品の在庫は倉庫代金しかかからないけれども、家畜の場合はいきているからえさ代が毎日かかっていく。それも、いつまで滞留させればいいのかというめどもつかない。出荷適齢期を超えて飼うと、脂肪ばかりついて価格が下がる。畜舎もいっぱいになって、あふれてしまう。

補填金が出たとしても、それは「殺処分した家畜に対して、ある程度の補填」でしかない。次にまた再起することができるかどうかというと、これはもう果てしなく可能性は低い。畜産が野菜などの耕種部門とは大きく違うのは、初期投資がむちゃくちゃにかかるということだ。牛舎・豚舎どちらも数千万円規模の投資になる。いまただでさえ不況なので、運転資金を借りるのも大変なときだ。そんな状況で、新たに育てようと家畜を導入する資金を借りられる可能性はきわめて低い。そんな状況だから、「宮崎県の畜産が壊滅するかしないかの危機」なのだ。

農業や畜産業も自由競争の世界で経営を先進化させようという論調がこれまでもあったけれども、あきらかに間違いだと再認識した。食品の素材となる一次産品を生産する農林水産業は、工場生産や飲食店のように、「国内が手に入らなければ海外から」などと選択する逃げ場を持たない、どん詰まりの産業なのである。だから「守らなければならない」のは当然のことだ。


■種雄牛に口蹄疫が感染した

こんな状況のなか、とうとう昨日の時点で、宮崎県の家畜改良事業団の農場からも患畜が出てしまった。日本全国で和牛などの優良な血統の種牛が育成されている。おもに県ごとに育てているのだが、全国の和牛産地に子牛を提供している宮崎には55頭の種牛がいた。そのうちなんと49頭が殺処分の対象になってしまったのだ。残る6頭は事前に、万が一の状況をかんがみて西都市に避難させていたもので、これらは移動前の時点では感染していなかったことが確認されている。

それにしても、種牛から採取する精液がなければ優良な血統の牛を生産することは難しいわけで、その選択肢の9割がいきなり消えたというのは恐ろしい事態だ。もちろん他の地域から精液を購入することも可能だけど、各県が育成している種雄牛の精液は基本的に県外不出なので、入手は困難だろう。民間ブリーダーから買うにしてもおそらく高騰が続くことが予想される。

なにより宮崎牛というブランド自体がどうなるということが心配だ。
宮崎の黒毛和牛はどうも僕のあまり好まない、A5に近くなることを優先した牛が多いけれども、それとこれとは別問題である。


■頭数の数的な把握について

8万頭という規模があまりぴんとこない人も多いだろう。いま宮崎で発生している口蹄疫についていうと、肉用牛と酪農用の牛、そして養豚において出ている。口蹄疫は偶蹄類(ぐうているい)のみが発症する病気なので、鶏は罹ることがない。

罹患してしまった経営体すべてが深刻な状況だが、意味的により深刻なのは肉用牛と養豚だ。
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肉用牛の場合「繁殖経営」と「肥育経営」の二種がある。「繁殖」はメス牛を持ち、優秀な種オス牛の精液を購入してメスに人工授精し、将来肉牛となる子牛を育て出荷する経営だ。「肥育」はこの繁殖農家が出荷した子牛を買って餌を食べさせ、体重が700~800kg程度になるまで育てて出荷する経営だ。

だいたい繁殖農家は小規模で、一軒で10頭~30頭程度というところが多い。肥育農家になると規模がどかんとデカクなり、100~200頭規模でやるところが多くなってくる。

宮崎県は繁殖農家が多く、全国トップの鹿児島に次いで子牛を全国に出荷する有力な産地だ。いま、発生農場の内訳を見ていると肉用牛では圧倒的に繁殖農家の率が高い。つまりこれからの子牛市場の価格・量に大きな影響が出るだろう。

次に養豚だ。これは全く持って大変な状況である。当然のことだけど、一般に家畜は個体が大きければ単価も高く、小さいものは単価が低い。だから小さい個体であるほど頭数をたくさん飼わなければ経営に見合った収益がでない。
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豚は中型家畜であり、一経営体に肥育豚が少なくとも300頭以上いるのが普通だ。今回の発生農場の内容を見ていると、肥育豚だけではなく母豚など含めて5000~7000頭レベルの大農場も発生していることがわかる。


■畜産農家と関係者のみなさんのココロのダメージを心配する

とにかくこれに尽きる。
農家は先述の通りだけど、それ以外にも獣医師や消毒にかり出されている人たちが大変だ。殺処分といっても、正式なと畜場のように、命をいただく様式がきちんと設備的に整っているところとは違い、獣医師が一頭一頭に注射をしていくというかなりアナログな対応をしなければならない。牛ともなると個体がでかいから、運搬からなにから非常に労力がかかる。

それに、鳥インフルの際にやらざるを得なかった殺処分で精神的に不安定になった関係者が多数でた。極限状態で命をいただく仕事を続けなければならなかったのだから当然だ。今回はしかも小型家畜の鶏とは違い、見た目にも大きな牛と豚だ。命を救う仕事をしたい獣医師が、命を奪わねばならないのだから、ストレスは甚大だろう。

昔、台風によるマンゴー被災の際にこのブログを通じて義援金を募ったことがあるけれども、今回は規模があまりにでかすぎるし、すでに周知のところなのでそうした行動はとらない。
宮崎県のホームページや、いろんなところで募金の窓口があるようだ。便乗して詐欺的な行為をしようとしているところではないかきちんと確認した上で、応じられる人はぜひ応じていただきたいと思う。

また本件については書くことがあるだろう。
消費者にいまできること、、、 宮崎県産の畜産物(特に牛・豚)があったら買うこと、そして売り場に無ければ「宮崎を応援するために入荷して!」と売り場担当者に言ってあげることだろうか(その上できちんと買わないと意味がないけどね)。

13:12

2010年05月19日

口蹄疫のこと その2

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宮崎県ではとうとう非常事態宣言が発令された。「非常事態宣言」というものに法的な根拠はないようだが、未曾有の惨事を目の前にして有効な法的根拠のある措置が他にあるわけではない。日本が初めて体験する非常に重要な宣言と受け止めたい。

いまはまだ8万頭の殺処分数だが、1997年に台湾で発生した時は、最終的に牛が100万頭、豚に至っては300万頭もの殺処分となった。この被災、放っておくとどんどん日本の各地に飛び火してしまう。宮崎県の隣の鹿児島県は、日本における畜産の最重要拠点でもある。

宮崎県内だけではなく全国的に非常事態であることは間違いない。消費者や他産業の人たちも、まず「理解」をしてくれるだけでもいい。そして応援できることを探してくれればさらにありがたい。

■「宮崎県産の肉は扱いません」というスーパーは悪いスーパーです!

報道をみて信じられなかったのだが、やはりいくつかの小売店では「当店では宮崎牛・豚は扱っていません」というような措置を執ったらしい。

ばっかじゃないの!? そんなスーパー・百貨店なんか、潰れちまえと真剣に思う。

「消費者心理を考えて、できるだけ不安を抑えるために措置しました」

と他人事のように言う担当者の顔が思い浮かぶ。でもさ、それは「消費者心理」じゃなくて、アンタがそう煽ったことで「あ、やっぱりスーパーが販売をやめるってことは、人間にも危ないモノなのね!」と思わせてしまう、超ネガティブキャンペーンである。

口蹄疫は、人間にはほぼなにも影響がありません。「ほぼ」と書いたのは、ものすごく低い確率だけども、ごくごくまれにうつる可能性も否めないということで書くであって、日本のような健康に恵まれた国で発症することはまずない。

それにですよ。 もしかすると今回の被災により、いま市場に出ている宮崎県産の牛肉については「今後、この種牛から生まれた肉牛は出回らない」という、本当に幻になってしまうものもあるかもしれないのだ。幻になる前に買い求めて食べたいくらいである。

スーパー・百貨店の人間は「お客様が不安を持つものは、、、」と、必要もないようなことまで先走ってしまいがちだ。しかしそれよりも問いたいのは、果たして「不安はありません」ということをきちんと説明してますか?ということだ。小売業は元来、商品を消費者に説明して販売する業態であるはずだ。けれども、特にスーパーに顕著だが、商品を並べて値段をつけるだけの場所貸しに終わっている店のなんと多いことか。口蹄疫についてのことをなにも説明せずに「宮崎県産の肉は、扱いません」とやっているような店は、社会の害悪である。

もしこれをお読みの読者さんで、お近くの小売店で「宮崎県産の牛・豚は扱いません」というところがあったら、担当者に「宮崎県産の肉は安全なのに、なぜ扱わないの?」と申し入れていただきたいと真剣に思う。不買運動とは、消費者が不利益を被るものに対してだけではなく、こういう大義を損ねる対象に対して行われるべきだと思う。


■「清浄国」をとりもどすために

これまで日本は口蹄疫の清浄度ではもっとも高いランクを獲得していた。それを「清浄国である」というのだが、残念ながらこれはしばらく謳うことができない。清浄国で口蹄疫が一度発生すると、清浄国であるがゆえにまったく免疫を持たない家畜ばかりな訳で、それが今回のように爆発的に蔓延する一因にもなる。でも、ウイルスの封じ込めをして制圧し、その状態を一定期間保つことができれば日本はまた「清浄国」に返り咲くことができる。だから、いまできることはすべて、オーバースペックといわれてもやるべきだといえるだろう。

かつて日本でBSE(いわゆる狂牛病)が発生するまでは、関係者も他国の大騒ぎはまったく自分に関係ないことだと思っていた(一部、ダウナー牛などの挙動不審牛を多数みてきた関係者はすでに自国でのBSE発生を疑っていたにしても)。しかし、発生が確認された後、覚えておいでの通りの大騒ぎが繰り広げられた。あのときもいろんなことが後手後手に回る中、発症件数は増えていき、関係者は総じて青ざめた。

だから今回の口蹄疫が宮崎県内で食い止められる、という期待は今の時点ではせ
ず、日本全国に飛び火する可能性があるということを考えた上で、いくらお金がかかろうが、国家予算で封じ込めをはかるべきだ。

今回、蔓延を遅らせることができる可能性のあるワクチンを使うか使わないかが議論されていたようだが、即刻使った方がいい。ワクチンを打った家畜は殺処分することになるので、また頭数が増えるがやむを得ないだろう。残念だが「清浄国」はしばらく返上し、再び獲得できるようにするべきだろう。

※といってるうちにワクチン使用が決まった。まずは迅速な実行を祈りたい。

■宮崎の畜産農家の危機は、他地域に住む一般人の危機でもある

「たかだか畜産農家の危機くらいで膨大な予算を使うな」という思いを持つ人もいるかもしれない。けれども、これは一軒一軒の農家の責任でもないし、また畜産農家がダメージを負うだけの話ではない。畜産農家への貸し付けをしている金融機関の危機でもあり、地域の飼料メーカーの危機でもあり、市場やと畜場などの流通業者の危機でもある。つまり下手をすると宮崎県の地域経済の一部が破綻する。

日本のどこかの誰かのお金が回収不可能になったら、そのしわ寄せは間接的に我々他地域にすむ一般人にも及ぶのだ。ギリシャ経済破綻とかリーマンショックで、世界の金融危機については想像しやすくなっている反面、自国内での出来事には鈍感になってしまっているのではないだろうか?

金融機関やダイエーが経営破綻しても「つぶすわけにはいかない」とどこからともなく資金が注入される。つぶしてしまったら国レベルが危うくなるような危機が訪れるからだ。けれども今回の場合、大きな組織1社ではなく畜産に関わる大中小の農家・業者が対象なので、救済もまた後手後手に回るだろう。

そうなったときに、いろいろな意味で身動きをとれず自ら命を絶つ道を選ぶ関係者が多くなることを、真剣に恐れている。封じ込めに大きな対策費が必要だからいまいろんなところから支援の道ができてきているが、一方で被害にあった当事者たちの生活費に充てたりという基金も必要なのではないだろうか。阪神大震災などの被災とは違い、住居などはそのまま残っているから危機的状況がわかりにくいけれども、支えてあげなければならない人たちがこれから大量に出る。


■いま県内で行われている処理はこんなふうだ。

宮崎の県や市町村職員は例外なく防疫作業にかり出されている。僕の知人から詳細なレポートが来たので許可をえて引用する。

口蹄疫の現場作業処理 車両消毒班…畜産農家への搬入車両を消毒します。       3交代制で24時間消毒を行っています。

家畜埋設班…口蹄疫が発生した牧場に出向き処理をします。
 全体処理計画…県の家畜保健所職員が全体指示をします。
 ①ブルーシートでの目張り(→地域住民に見えないように覆います) 
 ②汚染区域の確定(→バイオハザードエリアの確定)
 ③家畜の誘導(→家畜にとってはデスロードです)     
 ④家畜の殺処分(→獣医師が殺処理をします。電殺、薬殺、ガス殺
         と複数の処理法があります)
 ⑤死体家畜の運搬(→足に紐をひっかけてブルドーザーで引きます)
 ⑥死体家畜の埋設(→自衛隊職員が穴掘り作業、その穴に埋めます。
 ⑦畜舎・周辺清掃(→畜舎内の清掃をします。これが一番きつい)
 ⑧薬剤消毒(→アルカリ剤を畜舎環境全面に散布します。) 
 ⑨石灰散布(→石灰粉を薬剤と同様、全面散布します。これも辛い)
 ⑩人員消毒(→人間の消毒を終えて終了)
  
以上の流れで動いています。ここ1週間は県外からの支援もあり、人
員が増えているようですがそれ以上に被害が広がっているようです。

作業は辛いの一言につきますが、それ以上に農家さんの心情を思うと
涙が出そうになります。ここ数年、飼料(餌)が高騰しており、和牛
繁殖農家、和牛肥育農家、酪農家、養豚農家全ての経営体が困窮して
いる状況下の惨事です。
この口蹄疫では殺処分した牛豚のみが被害の対象となっており、国が
価格保証するとありますが、被害はそれだけに留まりません。このエ
リアにいる畜産農家全体が搬出制限の状態であり、出荷できず餌代が
かさみ収入が無い状態が続いています。これは口蹄疫にかかっていな
い農家も同じ状態です。いつ自分の農場も当該病気が出るかの不安や
経営的な不安などが重なっており、いろんな面で追い詰められている
状態だと思います。
 
先日も酪農家への処分に行って参りましたが、農場主立会いのもと、
処分を行いました。ご存知な方もいらっしゃるかもしれませんが、
畜産農家にとって家畜は家族同然といっても過言ではありません。
和牛繁殖農家では生まれた子牛がセリに出て行くまでわが子のよう
に可愛がり、養豚農家は一貫経営(繁殖、肥育)のため、長い時間
飼育し、赤ちゃん豚、母豚等混在した中での営農です。また、酪農
家はホルスタイン牛を養っていますが、牛一頭、一頭の健康状態など、
様子を伺いながら搾乳します。動物ですので言葉で話し合えない分、
観察の目、愛情の目を持って接しているわけです。そんな実状を知っ
ているとその畜産農家のメンタリティを知らない人に伝えたい気持ち
でいっぱいになります。

引用終わり


■他の県にも厳戒態勢が敷かれている。

さらに宮崎から遠い他県の関係者からもこんな連絡をいただいた。

○○県も繁殖牛が多く、他県にも子牛を出荷しておりますが、 5月は、市場も延期となりこのまま続くと(早く終息しなければいけませんが) 県内だけでなく全国の畜産農家に多大な影響が出ることとなります。 本県でも、ここ数日中に対応策(消毒や融資対策など)が 示されることとなるでしょう。

宮崎の状況については、本県から派遣された職員の復命で知りましたが、
現場のたいへんな状況は、想像を絶するものです。

この地であのような状況になったら・・・
考えただけで、恐ろしくなってしまいます。

従事されている職員の疲労もピークに達しているのではないでしょうか?
10年前の教訓が生かされているのかよく分かりませんが、
初発からかなりの日数(約1月)がたっており、
口蹄疫封じ込めにもっと対応できることがないのかと思ってしまします。

心配しても、何もできませんが
横峯さくらさんがゴルフの賞金を義援金にするなどのニュースもあり
支援の輪が拡大してほしいところです。

すでに他県でもかなり事前対策が始まっている。

■島根県の例
http://www3.pref.shimane.jp/houdou/press.asp?pub_year=2010&pub_month=5&pub_day=19&press_cd=079DFF65-24D9-4F1F-ABC1-F8900E327ADC

考えてみたら、、、遠い岩手県で発生しないという確証はない。ぼくがオーナーとなっているかわいい4頭の短角牛の身の上が心配になる。春になり、ちょうど先週末に彼らは牧野に上がったばかりなのである。

■全国の有機農家達の使う堆肥が枯渇し高騰する?

一方、畜産だけではなく、畜産に関連する野菜・米農家からも悲鳴が聞こえてくる。「え?関係ないんじゃないか?」と思ったアナタ、意外なところで連関している
のです。

とても酷い状態になってますね。実はウチの父親の実家が乳牛を営んでおりまして人ごとではないです。子どもの頃、よく牛舎に行っては怒られました。「病気にかかるから汚い格好で 行くな」ってね。間違いなく、この問題は全国に波及すると思います。

口蹄疫という病気だけでなく、種豚、種牛の不在により全国の畜産農家が経営できなくなり、最終的には有機栽培農家が堆肥を購入できなくなると言う、2次、
3次の弊害が出てきそうです。ウチが扱っている○○牛も、このまま宮崎の仔牛生産が滞れば牛舎に牛が不在となり、堆肥の生産?が出来なくなるそうです。
今となっては遅いですが、ほんと初動が悔やまれます。何でこうなんですかね。平和ぼけだけでは済まされません。
何の為の法律なんだか、ある意味危機感を持たない、知識だけの素人集団になってきてしまっているのでしょうか?


有機農業や、有機ではないにしろ減化学肥料を実践する農業では、堆肥はいうまでもなく重要なもので、いってみれば車にとってのガソリンのようなものだ。それが供給されないとなると大変だ。

一般人には知られてないかもしれないが、化学肥料の国際的な価格はしばらく前から上がっている。リン鉱石の不足などで、世界的に需給が逼迫しているのだ。グローバルな調達でなんでも引っ張ってこられると思ったら大間違いなのである。これもまた、食料危機のきっかけになりうる問題なのである。


とりあえずこんな感じだ。
この被災に関しては、短期間では確実におわらない。先述の宮崎県内にいる友人「完全に落ち着くまでに二年はかかるでしょう。」
と言っていた。

宮崎市内の最有力な商店街である「一番街商店街」で、先月から正式オープンしたイベント「街市」が22日に開催される予定だったが、県内の集会・イベントへの自粛要請を受けて延期となった。これとて、イベントのために参加者が準備していたことがすべて白紙になって無駄になってしまう。いろんなことに影響が波及している。

他人事ではないのだ。同じ日本に住む者として、宮崎県にたいして何ができるものか、考えたい。

13:12

2010年05月20日

口蹄疫の被害を理解するために 養豚とはどんな仕事なのかを識ろう。 梅山豚の塚原牧場代表・塚原 昇社長との一問一答から見えてくるのは、大きな設備投資、膨大な運転資金、でも収益はなかなか上がらない大変な仕事だと言うこと。

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今回の口蹄疫発生・伝播を巡って、いろんなところで取りざたされているけれども、本当に腹立たしいと思うのは政治的な駆け引きの道具にも使われているようだということだ。

しかし、この先だれが政権を取ったとしても、口蹄疫の罹患国であるということは国際貿易の中で非常にマイナスになることであることを忘れてはならない。政治や経済やもろもろのことをおいてでも、とにかく早く収束させなければ国益を大きく損ねる話なのである。威勢よく「日本が誇る和牛を輸出しましょう!」などと言っていた人たちもいるが、それができなくなりますよ。

昨日、僕のブログを読んでくれたTさんからこんなメールがあった。ご本人の了解をいただいて引用する。

今回の宮崎の口蹄疫の件、発生が報道されてから、注意をして報道を見ておりました。

数年前、韓国において口蹄疫が発生した際、私、韓国ではないですがフィリピンへ出張しておりました。その帰途、成田空港にて「韓国における口蹄疫発生のため、韓国からの肉製品(豚肉と記憶していました)の持込は一切禁止いたします。入管の際申告してください」との掲示を見ました。(全て没収だったはずです。)

もしかすると、今、世界中でこれと同じことが、日本を対象に行われているのでしょうか?

日本といえども、高級和牛などを輸出する農家・業者があると聞きます。肉製品を輸出する業者なども打撃を受けているのではないかと危惧しております。

関係者の心労も如何ばかりかと思います。私達にできることは、いたずらに騒がず、宮崎県、国の方々の行うことを応援(バックアップすること)なのでしょう。それしかできないことがもどかしい気もします。言葉は悪いですが、何とか宮崎県の中で済むよう、これが九州、そして、本州へと拡がらないことを関係者の努力に願うばかりです。

そして、関係者、処分に関わった方々の心のケアも忘れずに行って欲しいと思います。今日、口蹄疫に関するブログをよみ、思わずこのメールを書いてしまいました。突然のメール、また、乱筆乱文失礼いたしました。


はい、そういう心配があるわけです。本当に世の中というものはシナリオ通りに回ってはくれない。どんな事態が起こるかわからない。だから、日本という最小の単位の中で、せめて食べ物が自給できるようにしておくことは必要だということが、よくわかるわけです。

こんな話をしている最中に、塚原牧場の塚原昇社長からメールがあった。塚原牧場とは、あの梅山豚(めいしゃんとん)を飼育する日本で唯一の養豚業者さんである。

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公蹄疫のブログも読ませていただきました。「いつ書くのかな~」と思っていました。やまけんさんも生産者の一人ですから、生産者の気持ちを分かっていただいて嬉しいです。

しかし、本当に大変な事になりました。宮崎だけの問題ではありません。おっしゃるとおり、和牛は全国に向けた子牛供給基地ですし、豚は第2位の生産県です。

鹿児島と並ぶ畜産大国ですから、屠畜場や食肉業者や設備業者、運送業者や飲食や弁当業者に至るまで畜産業界で生活している人は沢山いるんですよね。畜産業者だけでなく、困っている人は多いでしょう。

うちも口蹄疫用の消毒薬もやっと手に入れました(品薄で入手できませんでした)。豚肉相場も上がってきました。が、しかしこれも口蹄疫の影響かと思うと嬉しくありません。兎に角、自分の衛生対策をレベルアップし、終息を祈るばかりです。

何か私にできる事ってあるんでしょうか?

あまりの被害ですし、私もアクションを起こさなければ という気になります。なんかブログを拝見し、いてもたってもいられない気持ちで、支離滅裂なメールになってしまいました。

このメールをいただいてすぐに電話して、こう話した。いま、口蹄疫がどうなっているというニュースがいろいろ流れているけれども、その被害がどんなものなのか、一般の人にはそのつらさがわからないと思う。それはひとえに日本の畜産業という仕事がどんなものなのかが伝わっていないからだ。だから、養豚とはどんな仕事で、どんな損失があるものなのかを、養豚家の眼からお話しいただけないか?ということだ。

塚原さん、真夜中に僕から出した質問に対話文を書いてくださった。養豚という仕事がどんなものなのかを理解して、今回の口蹄疫により被災した方々か今後どのような状況になってしまうのかをきちんと「想像」していただきたい。

 

塚原さん、全国で養豚に携わっている経営体は、農水省の統計によればH19年度で6,450戸。これは増えているのでしょうか、減っているのでしょうか?もし減っているとすればなぜでしょう?

ご想像通り、養豚の経営体はものすごいペースで減少しています。
日本養豚協会の最新の養豚経営動向調査によると、平成21年8月1日現在の養豚経営農家戸数は5272戸と、前年に比べ11%(651戸)も減少しています。毎年10%減少すると、5年で41%も減少する計算です。

 

ものすごい減少率ですね!

次に、全国の豚の飼養頭数は9,258,000頭。一戸あたり飼養頭数は平均で1,453頭ということになるそうです。この規模が大きいかどうかと言うことなのですが、たとえば肉牛と比較することにしましょう。和牛肥育農家の一戸あたり飼養頭数は93頭。豚とは10倍以上も規模が違います。そうなると、口蹄疫の疑似患畜が出たら、被害額はむしろ和牛経営よりも甚大だと思うのですが、いかがでしょうか?

 


和牛肥育農家は、通常子牛を購入して2年以上育てて出荷します。飼養頭数の約半分がその年に出荷されますので、年平均出荷数は47頭と推定されます。金額は仕上がり(格付け)によってばらつきますが、例えば平均80万円の場合、37百万円が年収(利益ではなく売上)となります。


養豚農家は、一般に自分で種豚を交配して肉豚を生産しています。平均的には100頭の種豚を保持していると、半年で約1200頭の肉豚にする子豚が生産されます。約半年で肉豚は出荷されますので、年間2400頭の出荷となります。

金額は和牛同様仕上がりによって格付けされますが、その金額は和牛のようには1頭あたりの差がありません。1頭当たり平均2万8千円、年収67百万円というのが平均でしょうか。
およそ養豚は和牛に比べて2倍の規模と言えます。さらに近年、養豚は規模の大型化が進んでいます。

 

うーむ
養豚農家の規模の大きさは一般の人にはちょっとわかりにくい。なぜならいま、町中に養豚場があるケースが少なくなっているからだ。牧歌的な、家の近くに小さな養豚場があった風景はどんどん無くなり、一件あたり数千頭という大規模な養豚場が、山の中に建っているというのが最近の光景だ。


それにしても驚きませんでしたか? 豚って一頭あたり平均でたったの2万8千円でしか売れないのだということに!そう、豚って本当に安いのだ。

母豚100頭もっていれば、年収6700万円程度という数字だけを観ると「すげーリッチじゃん!」と思われるかもしれないが、それは「売上」である。えさ代などのランニングコストを抜くと、平均農業所得は848万円(H19)。それでもサラリーマンよりいいじゃん、と思うだろうか?でも畜産って、お休みがないのですよ!?


さて、そんな養豚業を始める際にはどれくらいの初期投資がかかり、そして日々どんなランニングコストがかかるのでしょうか?また、そうした資金を養豚農家はどのようにして調達しているのでしょうか?補助金等はあるのでしょうか?

 


平均的な100頭の種豚を有して養豚を行う場合は以下のようになると思われます。


設備費として、

①主豚舎:約1000万円 (母豚が住むところ)
②分娩舎:約1000万円 (母豚が子豚を産むところ)
③離乳舎:約700万円 (子豚を母豚から離して、一定期間住ませるところ)
④肥育舎:約1300万円 (子豚を出荷可能な肉豚に育てるところ)
さらに、出てくる糞尿を処理する堆肥舎や飼料タンク、餌や糞を移動させたりする重機や備品に約1000万円は必要です。

つまり初期投資が計5000万円程度。

ランニングコストとしては、

①飼料費:種豚に年500万円、肥育に年5000万円が必要でしょう。
②衛生費:ワクチンや消毒に、年500万円程度かかると言われています。
③堆肥処理費:様々ですが年400万円程度は必要です。
④燃料費:分娩舎の暖房や、重機の燃料など年間200万円はかかります。
⑤人件費:家族経営では必要ないというのは間違いです 家族3人で働いて550万円は必要です。
⑥その他:保険・車検・税金など少なくとも150万円は必要です。

以上、ランニングコスト計6800万円

よって、年2400頭の出荷では1頭あたり28333円、さきの平均的な販売金額が28000円程度ですから、このコストでは赤字になります。


資金は、肥育豚を販売することで上記ランニングコストを支払っています。基本的に補助金などは全農家分はありません。販売先が全農の場合、飼料も全農から、薬品や燃料も全農から購入しています。資金も全農から借りることができます。しかし、全て全農取引となると独立性もなく、そこからはなかなか抜け出せませんね。

 

養豚の平均的な頭数である母豚100頭規模の経営だと、一頭あたりの平均販売額が28000円なのに、コストが一頭あたり28333円かかってしまう!完全な赤字。だから、大規模化せざるを得ないわけです。でも、大規模化すればするほど、ランニングコストは膨大な金額になります。何かが起こって出荷ができなくなった瞬間に、膨大な損失が出てしまう、、、


では自分の豚舎から口蹄疫などの疾病(しっぺい)が出てしまった場合、どのような損失があるのでしょうか?殺処分をした後に、彼らは再起できるのでしょうか?

 

口蹄疫がでたら全頭殺処分です。
そして、政府保証があるまで、それまでの飼料費や衛生費や燃料費を支払う必要があります。 政府保証も飼育していた豚に対して行われるでしょうが、種豚を資産として肥育を行う経営は、交配から出産まで約4ヶ月、出産後出荷まで6ヶ月という10ヶ月から約1年の期間が必要です。畜産は時間のかかる仕事なのです そうしたことから、再起は非常に難しいと言えるでしょう。

 

現場の情報が知りたいというマスコミが多いようですが、豚は衛生状態に非常にデリケートな動物なのですよね。立ち入りなどはもってのほかと思いますが、一般市民が知っておくべきこととして、詳しく教えていただけますか?


口蹄疫に代表されるウイルスは、人の動きとともに広がるといわれています。農場内に入場する車両、例えば飼料運搬車、燃料給油車、薬品の運搬車などは、停車位置で充分消毒後入場となります。

別の農場からの直入場はできません。

人は、基本シャワーを浴びてから 入場着からパンツまでこちらでご用意しています。別の農場に行った経歴がある人は、1週間は入場を控えさせていただいています。厳重なようですが、目に見えないウイルスと戦うための方策です。

僕もこれまでいろんな養豚経営と出会ったが、大規模になるほどに衛生管理は徹底している。電話口で「中に入って見学していいですか?」と尋ねると、だいたい一拍おいて「うーん、、、ちょっと検討させてください」と言われる。運良く入れてもらえるということになったとしても、「ではシャワーを浴びてください」と言われ、初めての時は本当に驚いた。全身を石けん・シャンプーで洗い、出て先方が用意してくれていた衣服を着用してやっと中にいれてくれる。出るときにはまた再度風呂に入る。

今でも忘れられないが、山形県で高品質豚を生産する農場に行ったとき、「入らせてもらうことはできるんでしょうか」と尋ねると、すかさず「一億円もらってもダメです。」と言われたことがある。その眼は真剣だった。


だから再度書くが、マスコミはぜーーーーーったいに勝手に畜産農家の敷地内に無断で入らないように! 取り返しのつかないことになるんだぞ。

さて、今後、口蹄疫などを発生させないためには、ウイルスが付着している恐れのあるものをシャットアウトしなければならないはずです。今回の口蹄疫発生の原因の可能性も言われていますが、稻わらや餌なども疑われていますね。現状、養豚で使われている餌にどのようなものがあり、それらがどこから来ているのか、そして理想的にはどこで作られたどんな餌が必要と思われるか、教えていただけますか?

養豚の餌は、半分がコーン、約10%が大豆粕です。残りの40%に何を食べさせたか?で「○○豚」という名前をつけられたりしています。たとえば飼料米を食べさせたら「おこめ豚」みたいな感じです。ただし、日本の養豚の餌は約95%が輸入です。特にアメリカから、、、
円安や、中国などの新興国需要で、世界的に飼料穀物の価格がまたもや高騰する危険性が言われています。

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理想的には、飼料をできるだけ国で自給することが大切と思っています。現実、稲わらは日本の田んぼに沢山捨てられているのに、海外から稲わらを輸入してもいます。もっと国産飼料の検討をしていくべきと考えています。


最後に、養豚農家が考える、一般市民にできる養豚への支援を教えてください。


豚肉は55%程度が輸入と言われています。デフレのあおりもあり、割高な国内産が売れていないようです。また、円高で輸入豚肉単価も下落しています。できれば、国産豚肉を買っていただきたいと思います。需要の増加が生産者を元気にします。

 

国産豚肉を買う。それが一番、養豚業者への応援になる。

「でも、どこに買いに行っても国産豚肉ばかりじゃない。」と誤解している人も多いだろう。たしかにスーパーなど小売店で豚肉を買おうとすると、国産のものが並んでいる。しかし、ハムやベーコン、ソーセージなどの加工品や、外食・弁当を買った場合、その中に入っているトンカツ等に使われているのはほぼ外国からの輸入豚肉だ。だって、おかしいと思わないですか?カレーに乗っているカツがなんであんなに安くできるのか、、、

つまり、国産豚肉の応援をというのは、「生の豚肉を買って家庭で料理して食べること」なのである。みなさん、今晩は豚汁と豚のしょうが焼きを食べましょう。そして肉屋さんで「宮崎県産の豚肉はないの?買って応援したいんだけど」と言いましょう。それが最大の応援だ。

ということで、、、塚原さん、本当にありがとうございました。
どうだろうか?養豚という仕事の抱える大きなリスクと、それにあまり見合ってるとはいいにくい収益構造の一端を少しはご理解いただけただろうか。
長くなったので、ひとまずはここで投稿します。

10:55

マスコミは口蹄疫対策の邪魔をしてはいけませんよ! まさか大新聞の記事がこんな取材によって書かれているとは思わなんだ。

昼頃、親友のNからメールが来た。

もう口蹄疫はそっとしておく段階を遙かに超えた。その重要性をメディアにちゃんと理解してもらう必要があると思う。中央のマスコミの報道はまったくだめだ。阪神淡路大震災の初期状態みたいに、危機が理解できていない。民主の失態隠しに風評被害対策が利用されている。

という内容のものだった。彼も農業関係者で、信頼できる友の言葉だけども、とりあえず目の前に本の執筆〆切があったので、そちらを優先して作業した。

さて一服、、、と思って、Nが「これをみてみろ、東国原知事の会見の模様がニコ動でやっている。このとき質問してるメディアがひどい。」と、アドレスを送ってくれた動画をみた。

まさしくぶっ飛んでしまった! 
10分くらいの気分転換のつもりが、前編後編の1時間分を全部観ることとなってしまった。「ニコニコ動画 東国原 口蹄疫 会見」で検索すると出てくると思うので、時間のある人は観た方がいい。

僕は今まで東国原知事に対して、さほど感情移入してこなかった。けれども今回の会見を観ると、実にきちんとした知識を持ち、正当な対応をしていると感じた。家畜に関する膨大な法律条文を読み込み、理解をしているように思う。あまりにも裾野の広い畜産の世界のことを短期間で理解するのは難しい。ちょっとだけ足を踏み込んでいた僕などが考えるだけでも、すさまじい攻防が繰り広げられるであろう関係各所の調整、膨大にかかるであろう予算、農家の心情を勘案し、そして県の他産業への影響も配慮しつつ、口蹄疫対策を実行するというのは大変なストレスがかかることだと思う。

その知事に対して、マスコミの質問のレベルの低さはいったいなんなのだ。揚げ足をとろうとしているのか同じことを手を変え品を買えて延々と繰り返し質問したり、わけのわからないいちゃもんをつけたり、知事を怒らせてなにか決定的発言を漏らさせようとしているのか、とにかく不快だ。特に南日本新聞の記者と、朝日新聞の記者。

それに、、、全般的に、とにかく責任問題を追及し、誰かが悪いんですという言質を取りたがっているように見える。しかし、今の時点で責任とか犯人捜しは、しても意味がない。たとえば、赤松農相に責任があるとか、東国原知事に責任があるとか、現場の獣医師に責任がとか追求をして、その相手が辞めることになった場合、政治的にも行動的にも空白ができてしまう。伝染病はそんなことを斟酌せずにどんどん伝播してしまうわけだ。だから、すべてが終わってから犯人探しや責任追及をすべきである。

また、
「(全頭処分などのタイミングについて)ご決断されているのではないですか?それはいつ頃になりそうなのでしょうか?」
という質問も手を変え品を変えながら繰り返された。そのたびに知事、「またかよ」と内心では思っているんだろうけど、説明する。言えるわけないじゃん、そんな大事なこと、、、と思ってしまう。

まあ、そんな僕の怒りなど青いもので、もしかすると彼らはなんらかの政治的な流れの中で、意図的にあんな質問をしているのかもしれないですね。さらに大事に至らせて誰かが辞めざるを得ないように追い込もうとしていたりするのだろうか?

言語道断、そんなことで足を引っ張るのは辞めてほしい。いまは畜産農家と関係者のこと、他地域に伝播しないようにすることが重要だ。記者会見で知事の足を引っ張るのはもう辞めてください。

それにしても、記者もまさかこんな風に、自分の質問しているところが記録され世間にさらされているとは思わなかったろう。僕も驚いた。こんな大事な記事を担当している新聞記者が、こんなに阿呆なのか。昨日は、僕が食について信頼している朝日新聞の記者さんのインタビューに答えたばかりだ。この映像に出てくる、最初から最後まで同じことばっかり聴いてる、非常に不快な記者が同じ会社だとはとても思えない、、、まあ、怒らせることで本意を引き出そうとするテクニックもあるだろうけど、度を超してますな。

畜産業界の、僕の師匠的存在からのメール引用。

 少なくとも、ワクチン接種、殺処分・埋却等一連の衛生対策が終了してから、次の飼育再開まで、少なくとも畜舎の度重なる消毒、ウイルス分離等の清浄度の検査、さらに囮家畜の飼育で、清浄化を完了して初めて本格的な飼育の再開になるわけですが、この間、少なくとも最も早くても6ヶ月、1年以内で再開できれば良いかと考えられます。  その後養豚では種豚の導入、交配、分娩、出産、肥育豚の出荷まで、1年半から2年。全体で収入があるまでざっと3年はかかるものと想定されます。  酪農・肉牛に至っては5年かかるかもしれません、この間の農家の生活保障を考えると暗澹たる思いがするのです。  この点からも行政の責任は非常に重いものがあります。

頼みますよマスコミさん。世の中を佳くするための報道をお願いします。

20:38

2010年05月21日

口蹄疫のこと、もうすこし書きます。 わかって欲しいことと報道のありかたについて

先日ここでお届けした梅山豚の塚原社長との対話で書き忘れたことがある。塚原社長の一言だ。

「台湾で発生した時、豚は300万頭を殺処分と書かれていましたが、あれは要するにほぼ”全滅”だったんです。」

「300万頭」と「ほぼ全滅」では受け取る側の意味が大きく変わる。日本でいま起こっていることもまさにそうなる可能性があることだ。口蹄疫が全国的に拡がった場合、最悪のシナリオとして日本に住む家畜としての牛・豚がすべていなくなってしまう可能性があるということだ。それはつまり金融資産が消えるということでもある。


リーマンショックなどの金融危機では、自分が持ってる株券や債権の換金・回収ができなくなって、「あるはずのお金」が忽然と消えてしまうという事態が起こったわけで、コトの重大さがわかりやすかった。でもね、家畜の生産にも数多くの人や会社が関わり、まだ支払われていないであろう膨大なお金が動いている。それがこの日本からフッと消えたら、やはり経済に対して大きな損失となる、、、んですよね?僕はそう考えるのですが。


そろそろ口蹄疫のことじゃなくて、美味しそうな料理の写真載せろよ、と思う人も多いと思いますが、なかなかそんな気になれない。もう少しおつきあいください。

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今朝、コーヒー豆を買いに近所のカフェ・デザール・ピコへ行ったら、腰を下ろすと同時に署名用紙が出てきた。

「私たちもできることからやらないと、ね。」


という田那辺夫妻。


それにしても、驚くのは宮崎県外の一般市民には、あまりこの口蹄疫の問題の重大さが伝わっていないゾ、ということだ。ピコにアルバイトにくる主婦Aさんは
「うーん、牛肉、豚肉が食べられなくなるのかなって思うんだけど、いまのところ売ってるみたいだし、、、よくわからないんです。」
とのこと。それはそうだよな、報道の側も鳥インフルのようにやたらとパニックを煽るようなことは自粛する方向になっている。これは一つの成熟でもある。けれども、そのレベルとは別に、口蹄疫の問題が国家的重大事であるということはきちんと伝えていかなければならないはずだ。その部分までシュリンクしているようだと、これは逆に「なにか意図があって伝えていないのか?」と勘ぐってしまう。

 

■新聞の世論形成の元だねを作るという役目は終わったのか?

昨日の東国原知事の記者会見の存在を教えてくれたNからの、今朝のメール。

やまけんへ


今日の朝日に、○○さんの書いた記事が載ってたな。でも、驚くことに、口蹄疫についての記事はそれ「だけ」。宮崎の現状の記事は全くなし。

これも、危機感の無さ、もしくは、意図的な情報隠しが分かる例だよ。

共同通信の配信の方で、地方紙には、現地との協議難航ということが出ていた。この書き方も、ぎりぎりのラインでアンフェアとはいえないが、テレビの放映は、たいてい、地元町長の「保障がはっきりしてないので同意は難しい」というコメントの次に、山田副大臣の「ワクチン接種の必要性は分かってもらえた。同意を得られるよう説得を続ける」という順番で終わってる。

これは「同意してない方」(地元の市町村)が悪い、と取られかねない編集になってる。

こんなところでトロトロしてるヒマはないと思うが、政府はまったくそれを分かってないよ。もし仮に分かってて(自民宮崎への嫌がらせで)放置してるのなら、犯罪だよ。行政の不作為以上の犯罪行為になり得ると思うぜ。


いま大河ドラマでやってる龍馬伝は、少し前に「攘夷決行」という回があって、幕府が朝廷に表向きは攘夷決行の期日を約束し、それを長州だけが実行し、イギリスにこてんぱんに返り討ちにあった、それを幕府はほくそ笑んでたシーンがあった(うるさい長州の力が削がれたから)。

まさに、国家的な問題のときに、こういう内輪で足の引っ張り合いをやって、メディアを代表に世論もまったく「日本」という単位で考えてない状態が幕末にそっくりだよ。

遅ればせながら僕も近所のコンビニで目についた大手の新聞を買ってきた。

読売新聞、5カ所の記事。
ただしこれも、Nが書いているように「ワクチン、同意せず」と、地元に問題があるような見出し。俺なら「ワクチン、同意できず」とするね。たった一言で意味が変わるね、日本語って。その横には「農家の損失全額補償」とある、これだけみると、ああ、これで農家は生活も大丈夫になるのね、と読めてしまうが、その横に小さいポイントで「自民、来週に法案提出」とある。つまり全額補償が確定したわけじゃなくて、まだ法案提出の段階ですよ。あんたは東京スポーツか?俺なら「農家の損失全額補償の法案提出へ」と書くよ。

朝日新聞には、Nが書いている特集記事が生活面にある(ちなみに僕のコメントも載っている)ほか、口蹄疫についての関連記事が4カ所あった。もしかするとNが住む地域の版と違うからだろうか。見出しの内容も読売と比べると全く違う。
「口蹄疫 農水省不信任法案自民提出の方針」読売が東スポなみの書き方した部分も「口蹄疫対策 自公が法案」。ワクチン不同意問題は「ワクチン開始できず -地元、補償に不安-」とわかりやすい。その横には「子牛がきていない -相次ぐ競り中止 生産の現場混乱-」と、宮崎からの子牛を買い入れて生産する他県の和牛産地の混乱についての記事。この紙面は評価できる。

日経新聞、、、コーヒー飲みながら読ませてもらったので箇所数はわからず。まあ、日経は農業解体派の新聞だから期待してません。

東京新聞。「「口蹄疫」宮崎に善意続々」他県からの支援についての記事。それだけだけど、首都圏のブロック紙だから仕方がないか。

僕は家に日本農業新聞しかとってないから、ちょっと新聞事情にはボケてしまっていると思う。けれども、今回の読売と朝日とで、まったく受止められ方が変わってしまうということがわかった。
パニックにする必要はないが、しかし識っておいてもらった方がいいことだと思うので、どういうさじ加減で報道してもらえればいいのか、僕もはっきり意見めいたことはいえない。しかし、「もう大丈夫そう」とか「地元、わがままだな」と思わせるような見出しはちと違うのではないか、と思う。

 

■ワクチン不同意は感情の問題も大きい。でも感情は重要なものだよ

普通、ワクチンを投与すると牛や豚が感染からまぬがれて、生き続けることができると思うところだ。しかし今回のワクチンはそうではない。ウイルスの拡散を押さえるためのワクチンであり、投与された家畜は全頭殺処分となる。

「うちの家畜にはまだ患畜が出ていないのに」

というところも含め、設定された範囲内の畜産農家さんの家畜を対象に投与・殺処分することとなる。悲しい話だけれども、進めるべきことだと思う。実はワクチンがビシッと効くかどうかは、やってみなければワカラナイ。けれども、効くかもしれない。だからこれはやるべきだと思う。
で、読売の見出しの書き方だと「地元の市町村がワクチン投与をわがままに拒否してるわけ?」と思えてしまうが、これまでの経緯を考えれば彼ら(拒否している人)の気持ちもわかる。日本農業新聞に、防疫の陣頭指揮をとっているJA尾鈴の黒木組合長のインタビューが掲載されている。ワクチンについての部分を引用させていただきます。

一ヶ月がたち、なぜ、今更という気持ちがある。JAや農家は1例目が分かった時から素早く動き出し、感染拡大に全力を尽くしている。その中で再三、国などに対策や支援を訴えたが、約束を実行してもらえなかった。日本の畜産業を考えれば素早い対応かもしれないが、この地区に限って言えば遅い。


「一生懸命守った挙げ句に殺処分か」「今までやってきた防疫対策は何だったのか」という意見がある。これだけの感染スピードの中、感染を防いできた農家の気持ちは分かる。われわれも農家。農家が農家から家畜を奪うことはできない。県や町から説明を果たしてほしい。

殺処分がおいついていない。埋却地の選定だけでも大きな問題になっている。もし全頭殺処分なら町やJAは対応できない。国が最後の埋却までしっかりやってほしい。
(殺処分した家畜への奨励金の話について)新聞報道を観て知った。

日本農業新聞 5月20日朝刊より

まあ、これを読んで「農業新聞はJAグループの新聞だからなぁ、額面通りには受け取れない」という人もいるだろうけど、そういうのはおいといて、二つの事柄が透けて見える。
一つは、少なくともワクチン投与で行われる殺処分について、当事者に説明が果たされてされていないということに起因する、感情の問題によって同意が得られていないということだ。これを誰がやるべきかということで、県と国の間で責任のキャッチボールになってしまっているのではないだろうか。


まあしかしですよ、これはやはり政府筋と県職員と市町村の職員の連名でお願いに上がって、頭下げて「ごめんなさい」というべき問題なのだろうな、と思う。彼らは筋を通してくれ、といっているのだ、と思う。


もう一つは「地元の関係者に情報が伝わっていない」ということだ。奨励金の話を新聞で知ったというところを読んで、彼のやるせなさを感じてしまった。とりあえず偉い人が頭を下げておくべきじゃないだろうか。筋を通して、とにかく迅速にワクチン投与をすべきだろう。

それにしても、そういうことをするための人員もいない、ということが問題だったりもする。



■現場では圧倒的に人員が足りない!

先の東国原知事の会見の中でも再三彼が訴えていたが、県の職員や関係者を総動員しても、人員が足りない。それはそうだ、新聞記者は簡単に「隣の農場が感染したということについて、情報がこないという農家がいます。そうしたことに配慮して、感染事例が出たら周辺農家に連絡してあげるという配慮はないのですか」というようなことを言う。しかしいま、消毒処理と殺処分、埋却とかけずり回って、獣医も人も足りないという状況でそんなことできる余裕があるわけない。だから、一軒一軒を回って説明を行うということができないのもまあ仕方がないと思う。


だとするならば、人員の派遣をできないだろうか?宮崎県内の人員はもう動員できる者はすべてしている。JAグループも全国から人員を派遣しているようだ。だから他地域からやるしかない。それを動かせるのは、まず国と他県の首長である。


岩手県で短角牛に関わっていた、ある獣医師免許をもつ人からのメール。


さて、話は変わりますが、19日付けのブログを見ました。本県にも、県民から「同じ畜産県として、何とか、宮崎を支援出来ないのか。」の様な、知事宛の県政提言が、多く来ています。
本県も、現在、家保の獣医師を、3名派遣していますが、そんな程度しか、応援できません。昼のニュースでも、「ワクチンは確保したが、獣医師が足りない為、ワクチン接種は、明日以降となる。」旨、報道がありました。
(ペーパーではありますが、)獣医師として、何も出来ない自分を、情けなく思っています(組織の人間なので、勝手な行動も取れないのですが・・・)

もちろん他県としては、口蹄疫が飛び火してくるかもしれないわけで、自分の守りを固めることが優先である。財政緊縮の折、動ける余剰人員がいるわけもない。そんな中、街の開業医の獣医師さんがボランティア的に宮崎に駆けつけたりしているようだ。こうした人員派遣への支援がなにかできないだろうか。つまり、獣医師さんが宮崎にボランティア的に行くための滞在費・活動費に充ててあげられる支援とか、、、などいろいろ考えてしまう。


■西都市でも感染疑いが出た、、、

まだ感染と確定はしていないが、種雄牛(しゅゆうぎゅう)6頭を避難させた西都市でも「感染疑い」が出た。おそらく種雄牛を隔離している畜舎はウインドウレス(窓がない)方式など、外部からの一切の侵入がないようなところに匿っているものと推測されるけれども、ウインドウレス鶏舎でも鳥インフルエンザの感染事例は出たので、予断を許さない状況だ。

アクセスログを見る限り、一昨日からTwitter経由でのアクセスが非常に多いようだ。Twitterをやる端末では、もしかして画像があるとアクセスしにくいですか?使ってないからわからないので、もしなにかあれば教えてくださいね。
では仕事に戻ります。

追記:
とうとう西都市の感染疑いが「疑似患畜」となってしまった、、、
kokubaru.JPG

12:30

2010年05月22日

口蹄疫のエントリに関して、リンクはご自由です。許可をとっていただく必要はありませんので、いろんなところに関心の輪を拡げてください。ただし、行動は慎重に。どんな後方支援ができるのかを考え、冷静に行動しましょう! 宮崎牛の生産者・尾崎さんの声が久しぶりに聴けてよかった。

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表題に書いたとおりです。リンクの許可をというご連絡を沢山いただきますが、ご自由にどうぞ。Twitterってすごいですね、三日前くらいからもの凄いアクセス数です。iPhoneがソフトバンク以外のキャリアから出るなら速攻で使わせていただくところですが、そうはなっていないので、ポリシーとして使えないのが残念です。

さて、ご存じの方も多いだろうが、宮崎県の種雄牛(しゅゆうぎゅう)のエース格6頭を避難させた中から、疑似患畜が出た。通常なら、他の5頭も殺処分対象となってしまうところだが、さすがにそうしてよいのかどうか。相当な攻防が繰り広げられているが、僕には何とも言えない。

とりあえず、宮崎の牛肉の写真を載せておこう。二年ほど前に宮崎県の有名な生産者である尾崎さんの店で、ご本人の解説付きでいただいたものだ。

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その尾崎さんが、宮崎県の農業法人経営者協会のWeb上で、映像を交えながら現地レポートをしている。ということは、いまのところ尾崎さんの経営はまだ大丈夫ということかと、ホッとする。大手養豚業者である間さんからも昨日、無事を知らせるメールがあった。知らぬ人たちのことももちろん気にかかるが、顔を見知った方々のことを思うと、なんともできない自分がいらだたしくなる。

 

■宮崎県農業法人経営者協会
http://www.power-miyazaki.net/hojin/

 

一昨日からかなりいろんな情報を寄せてくれる人が多くなった。ただしその中には確認のとれないものや、高度に政治的な話が入り交じっていて、僕のレベルで出していいものかわからないものが多すぎる。

とにかく、これ以上現場および政治を混乱させることだけはよくないと考える。赤松大臣の姿勢は確かに評価できないけれども、それでも彼がいま辞めることで事態が進むかというと、その空白時の判断ができないことの方がロスになるのではないだろうか。

こう言うときに、一般市民が声を上げる意味があるのだと思う。放っておくと本当に宮崎県だけの問題ではなくなる。僕は本気でそろそろ、高知県の畜産試験場にいる、僕が名を付けた土佐あかうし二頭(強力くんと優男くん)と、岩手県にいる僕が所有する短角和牛4頭の身の上が心配になってきている。

ちなみに事業仕分けでは畜産分野への補助が大きく削られている。そうして削った予算が一帯どこへ行くのかは、これから我々市民がよーく監視していかなければならない。

劇場型政治になってなんとも嫌な感じだが、しかし観客の声援やブーイングが舞台にたつ役者を動かしうるのであれば、いまその力を行使するしかないと思うのだ。

14:08

宮崎から帰還した獣医師の言葉 「テレビカメラが発生農場に入っているけど、あのカメラは本当に消毒されたの?」本当に不安です。 「知る権利」よりも「見守る義務」の方がいま、大切なんじゃないか。

岩手県と秋田県の畜産関係者と話しをした。いまのところ、ウイルスの伝播はもちろんないものの、すでに家畜市場で子牛の価格がいつもより5万円近く値上がりしているということだった。圧倒的に頭数の多い宮崎県からの子牛出荷がいきなりなくなったからである。高いから買うのやーめた、と言うわけにはいかない。トンカツ屋さんが、キャベツが一玉500円になったとしても、仕入れなければならないのと同じだ。こうしてまたじわじわと畜産から離れる人が増えてくるだろう。

関東圏の家畜市場ではその倍額の値上がり幅も珍しくないようだ。友人農家より。

やはり、思った以上に本州も混乱しています。昨日、肉牛肥育農家の方から連絡有りまして、一昨日、口蹄疫が出てから初めての競りに参加したそうです。

本来ですと、九州産と本州産が50:50の割合で入ってきているそうですが、もちろん九州産は入ってこない状態で競りが行われ、競売価格も上昇し低価格の仔牛(通常30万円台)の相場が50万円台、高額の仔牛が60万台円とやはり高騰しているそうです。

これだけなら仕方ないと思われますが、今までにない事として肥育農家の方が嘆いていたのが、九州の他の生産県の方達が本州産の仔牛を買い占めに走っていると言うことです。もちろん商売なので近隣の巨大生産県が生産できなくなれば他の産地で調達するしかないのですが、思った以上に早く本州産の仔牛の枯渇を懸念されていました。本当に体力が無いところは、速いペースで淘汰されると心配されています。そこは若い後継者(20代の息子さん)も入ると言うことで喜んでいた矢先にこのようなことになり、とても困惑されていました。

不況の中、牛肉価格の下落、あらぬ噂から始まる風評被害、畜産業者同士の競争、責任無き自由経済って見直す時期になってきたのですかね。
涙が出てきます。

その後、とある県から宮崎へ支援活動として派遣された獣医師の友人と電話が繋がった。彼が現地にいたのは1週間以上前の話なので、そこからさらに現場の状況は進展していると思うがという前置きの上で読んで欲しい。

獣医師の仕事は殺処分だけではなく、検疫業務もあります。感染がないか調べるわけですが、午前中に一つの農場に入ったら、午後は他の農場にはいきません。もちろん感染を防ぐためです。ですから、班分けをして交代で農場の検疫をし、空いた半日は数km圏内の他の農場に電話をします。

電話の内容はもちろん「なにか気になる症状の家畜はいますか?」ということですが、その際に「こんな電話してる暇があったらさっさと仕事しろ!」と怒られるのがつらいですね。理由を説明しても、先方も興奮されているし極限状態なので、お互いにつらいです。なかには号泣されたりする方もいらっしゃいます。大変な状況でした。

犯人がだれだとか政党間の争いをしている場合じゃないです。個人的には、この拡がり方を見ると、隣接県もすべて危ないのではないかと思います。

今回の口蹄疫ウイルスは非常に強力です。結果的に克服できていないのですから、、、われわれは徹底的に車両や人の消毒をします。獣医師はみな一度、裸になって紙パンツなどを着用したうえで現場に入ります。車両も念入りに消毒します。

けれども、タイヤの溝に詰まった泥の奥まで消毒液が浸透するかどうかはわからない。完全な消毒はしようがないのです。

そういう状況で気になったのは、何社かのテレビ局が発生農場の映像を流していることです。私がみたのでは、川南町の映像がありました。農家にカメラを渡して撮影してもらった、と断りがありましたが、これをみて思ったのは

「そのカメラ、ビルコン(消毒薬)で消毒済みなのか?農場から持ち出すときも消毒したのか?」

ということです。みんな、簡単に考えすぎているのではないかと思います。そのカメラが消毒なしで移動していたら、ウイルスがついていると考えるのが自然です。

いま、獣医師の仲間達で、基本的にやらないといけない防疫対策について映像を作っています。現場では混乱していて、情報がきちんといきわたっていない。たとえば、石灰を播いたところへビルコンを散布している方もいるようですが、残念ながら石灰に触れるとビルコンは効力を失います。そんなことも伝わっていない状況なので、僕らにもできることをやろうと思います。

消費者の方にできること、、、宮崎県に義援金を送って上げてください。いくらあっても足りないでしょう。

ということだった。僕はその、発生農場に入ったカメラの映像をみていないが、、、やめてくれよーと思う。それにカメラを消毒するくらいなら、それを他の消毒へ回して欲しい。

よくテレビは消費者の「知る権利」のためにカメラを回していますという言い方をするけれども、それ本当? 消費者はその映像を求めているの? いまはそれより、円滑に対策がなされるための後押しをしましょうよ。

今回の事態で、本当にマスコミのあり方について思うことが多いこの頃です。

それはともかく 時間があれば、和牛のことについて今夜、書いてみたいと思います。これから農水の人と会ってきます。

18:27

2010年05月23日

スーパー種雄牛「忠富士」陽性・殺処分 悲しいことだがもう、「特例中の特例」は認めない方がいいかもしれない。 僕は真剣に、熊本あかうしの無事を案ずる。

残念なことに、宮崎県が有する黒毛和種の種雄牛のエース格の一頭である忠富士から陽性反応が出て、殺処分となった。獣医師数人と意見交換をしたが、どの人も所見としては「隔離する前に感染していたのだろう」と。潜伏期間があるので、すぐさま発症するとは限らないのである。それが、今回の口蹄疫が人の心をこうまでかき乱す性質なのだ。

しかし、こうなったのであれば、残る5頭の安否が気になるところではあるけれども、これはもう殺処分しかないのではないだろうか、と思う。 え? なんで? と言われるかもしれないけれども、もうコトは最悪の事態を考えながら進むべきで、隣県を巻き込む可能性がでてきたということだ。

その場合、僕が恐れるのは熊本県にいる褐毛和種(通称 肥後あかうし)の安否である。

えー いまから書くことは絶対に誤解しないで欲しいのですが、、、

今の時点では、隔離避難した他のスーパー種雄牛は、特例中の特例として毎日経過をみることとして、殺処分はしないということになっているらしい。しかし、、、それはかなりヤバイ橋のような気はする。もし忠富士が隔離の前に感染していたとしたら、他の牛にも潜伏している可能性があるからだ。

僕の大好きな養豚のブリーダーKさんから、こんなメールが来ていた。

スーパー種牛感染は本当に残念です。

が、しかし、あれ(隔離を許したこと)は重大なルール違反。
家畜伝染病予防法違反で告発されるべきだと思う。

宮崎の宝だから超法規だということは
種は違えど、ブリーダーとしてよーーーくわかるが
今回、超法規でやるべき重大なことがほかにいっぱいあったはずだ。

んー 全ては結果が出ないとわからないことだけれども、現在進行形の口蹄疫渦のなかで、他地域で戦々恐々としている人たちから見れば「頼むから、疑わしきは殺処分してくれ」という気持ちだろう。

ちなみによく「宮崎牛」と呼ばれているけれども、これは品種の名前ではなくブランド名だ。品種は黒毛和種。黒毛和牛と呼ばれるアレだ。

宮崎牛の系譜が一時とぎれたとしても、それは黒毛和種という牛の一流派の途絶であり、他地域から系統を導入して育成をしていけば再興も可能だ。もちろんその道のりは極めて厳しいし、これまでかけてきた労力を考えるとむなしくなるわけだけれども。

しかし、熊本県にいる褐毛和種(熊本種)に関しては、ほぼ熊本県内にいる個体で全てなのだ。だからもし熊本に飛び火したりした場合、貴重な褐毛和種(←ちなみに”あかげわしゅ”と呼びます)の熊本種がいなくなるということなのである。

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誤解しないでね、というのは「褐毛が大事だから黒毛である宮崎牛は無くなってもいい」などと言っているわけではないですよ。ただし、和牛品種の一つの県ブランドが無くなることと、ある品種自体が無くなってしまうということを比べた場合、後者の方が意味的な重要度が高いのではないか、ということだ。

 

■「和牛」には4種類あるのです。実は黒毛和種は最も頭数の多い和牛品種なのです。

このブログには何度も書いていることだけれども、「和牛」には4種類ある。黒毛和牛のことを和牛というのです、という輩がいっぱいいる(特に流通業界)けど、事実は違う。

黒毛和種
褐毛和種(熊本種と高知種の二種が存在する)
短角和種
無角和種

この4種が和牛品種である。どの品種も日本にある程度の昔からいたり、高麗などから渡来してきた在来種をベースに、明治~昭和初期にかけて海外から輸入した肉用品種を交配して、肉用として優れた系統を選抜してきた結果に成立したものだ。

そういう意味では、完全に日本の純血在来牛です、というものは「和牛」の中にはない。わずかに見島牛と口之島牛という在来種が残っているだけだ。

しかし、どの牛も日本ならではの特質を持つ牛で、それぞれ全く肉質が違う。さて、なんで褐毛和種の熊本種を僕が心配するかというと、次の表を見て欲しい。

 

○品種別種雄牛の頭数(単位:頭)

  黒毛和種 褐毛和種 無角和種 日本短角種 アンガス種 ヘレフォード種 シャロレー種 その他
H20年 1885 119 1 116 45 5 1 33

※中央畜産会調査資料より抜粋

これは割とレアな資料なのだが、、、 ご覧いただければお分かりの通り、黒毛和種の種雄牛は1885頭。それも全国各県に散らばっている。それに対して褐毛和種は119頭。そのうち、熊本種の種雄牛は、熊本県に67頭。岩手と秋田の家畜改良事業団のセンターに4頭いるだけである。つまり、品種絶滅のリスクが半端じゃなく高いのである。
最もご覧の通り、もっとも品種絶滅の危機に貧しているのは無角和種であるわけだが、、、これは山口県にいる。

 

ついでに、肉牛の現場を知ってもらうために、日本で育てられている肥育牛(精液をとる種雄牛や、母となる繁殖牛を除き、肉用に育てられている牛のことです)の直近の数を見て欲しい。

 

○品種別肥育牛の頭数(単位:頭)

  黒毛和種 褐毛和種 無角和種 日本短角種 アンガス種 ヘレフォード種 交雑種 その他 ホルスタイン種
H20 8,12,127 11,869 161 3,342 1,048 51 512,147 19,458 422,203

パーセンテージでグラフで見ると、ビックリしますよ。ほら。

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なーんと、45%が黒毛和種なのであります。褐毛和種はたったの1%。 そしてエクセル2007でふつうにグラフ化したら、われらが短角とか無角とかは「0%」になっちまった。小数点以下を表示する方法がわからんのでこれでご勘弁ください。こういう状態だから、牛肉の業界の人たちまでが「和牛と言ったらそれは黒毛のこと」と言ってしまうわけだ。

僕が真剣に褐毛和種の熊本種の心配をするわけがわかってもらえただろうか。さきの養豚ブリーダーの声のように、宮崎県のスーパー種雄牛は、残念だが全頭殺処分するしかないのではないか、と思う。もちろん、最もよいのは「感染していませんでした!」という知らせなのだが、、、

 

■ブランド牛ってなんなのさ?という問いに対して

さて、一昨日のTBSラジオの朝の番組で、僕がブランド牛について説明するのを聴いてくれた方もいると思う。先に書いたように、「宮崎牛」というのはなにかということや、宮崎の子牛が本州に渡って、松阪牛や米沢牛といったブランド牛になって出荷されるということが、一般の人にはなんのことやらわかりにくいらしい。

たとえ話をすると、ある人を表すときに「どこでうまれたの?」・「いまどこに住んでるの?」・「あなたの肩書きは?」という三点を聴けば、極めて大枠的ではあるけれども見えてくるものがある。最後の「肩書き」には、例えば「○○物産に務めてます」とか「錦糸町で居酒屋やってます」とか、いろいろあるだろう。

この最後の「肩書き」がブランドだと思えば佳いんじゃないかと思う。

つまり肉牛のブランドは、あまり出生地やどこで子牛時代を過ごしたかについてはあまり問われないことが多い(もちろん、厳密に問うところもあるにはある)ということだ。米沢牛や前沢牛、飛騨牛などを検索して、地元の生産者団体が作った「定義」をみてみればわかるが、一定期間を当地内で肥育していること、というのは謳っているけれども、それ以前のことは書いていない。どこからどんな血統の黒毛和種を買ってきてもよいということなのだ。

肉牛農家には二種類ある。よい血統の種雄牛の精液を買ってきて、雌牛に人工授精して子牛を産ませてそれを出荷するのが「繁殖農家」。その子牛を買って、太らせて肉牛に仕上げて出荷するのが「肥育農家」だ。 もちろん、繁殖と肥育を一貫してやっている経営もあるが、多くの場合は分かれている。

そして、宮崎県や鹿児島県といった南九州の畜産県には歴史的に繁殖農家が多く、子牛市場に出荷される子牛の頭数は全国トップ2なのである。したがって、宮崎の子牛は全国に買われていき、立派に「○○牛」になって育っていくのである。愛媛県で生まれ落ちた僕が埼玉県で育ち、いま東京にいて仕事をしているということと同じことなのです。

口蹄疫でこんな事態になることは本当に悲しいことですが、世間の関心が高くなっているこの時期に、畜産のことをもっと知ってもらうことが、僕にできる後方支援かなと思います。

ということで そろそろ眠りたいと思います。現場の皆さん、本当にお疲れ様です。

02:40

2010年05月24日

(記事訂正)ストップしていた宮崎県の食肉処理施設が、特例で操業開始するという。 


※本エントリを書いてから、再稼働する食肉処理施設が発生源から10Km圏内にあるということを確認(というか、見落としていた)しました。これ以上の拡散を防止するためには種牛の殺処分もやむを得ないでしょう、と書いた昨日のエントリと矛盾します。自分の処理能力の低さに愕然。ご指摘いただいたTさんありがとうございました。

そういう事情をかんがみて本エントリをご覧ください。

詳細まで調べ切れていないが、どうやら食肉処理場が稼働を始めることができそうだ。

いま、宮崎県内で移動制限区域内にある畜産農家は、口蹄疫が出ていなくても出荷できない状態でいる。家畜には牛も豚も出荷適齢期があって、それを超えると必要以上に脂肪が蓄積されたり、あまりいいことはない。しかも、毎日膨大な頭数分のえさ代が上乗せされていくので、本当に苦しい状態になる。

また出荷した肉の評価は、先に述べたような品質低下もあり、いい格付けにならないことが予想される。でも出荷しないと、農家は干上がってしまう。

宮崎県に対して市民ができることは、義援金を送ることが第一。ただし義援金は口蹄疫対策に使われる。一方で、いまその渦中で生きる宮崎県の畜産農家を支えることも重要だ。それにはこれから宮崎県産の牛・豚肉を食べることだ。ただでさえ「宮崎の肉は出さないでよぉ」などと無神経なことを言う客がいるときく。そうした客の横にいたら静かにビシッと「オヤジ、俺は食べるよ宮崎の肉」とかっこよくオーダーしよう。

一番いいのは、口蹄疫発生で苦しんでいる地域で、出荷可能な肉を抱えている農家を支援できることなのだが、、、それには、地元の食肉流通業者さんとつながらないといけない。ちょっといま対応を模索中なので、何かできそうなことがあればここでも載せていきたい。

週末、いろんな情報や意見をメールで寄せていただいた方々に感謝。さすがに分量が多すぎて個別に返信ができません!申し訳ありません。

これから原稿に集中するのでしばらく御免。

12:05

とは書いたものの、申し訳ない、これは情報の吟味が足りなかった!

んー 参った。

下のエントリで食肉処理施設の稼働再開のことについて書いたが、その詳細情報を精査していなかった。ていうか見落としていた。この食肉処理場は発生源から10Km圏内だという。つまり移動・搬送による感染リスクがあるということだった。それは、これ以上の拡大可能性のある処理はダメでしょう、と先に書いたエントリと矛盾したことを書いているわけだ、俺。

ということで、下のエントリは無効です。申し訳ない。Tさん、ご指摘ありがとうございました。

予想はしていましたが、昨日、宮崎に残る種牛は殺処分しないとだめでしょう、ということを書いてから、ダダーッと様々な反応が来ました。

「おまえは宮崎県の畜産農家のみかたじゃなかったのか!?」
「悠長に黒毛和牛の解説なんかしている場合じゃないでしょう」
「現場があんなに不安で渦巻いているのに、逆なでするようなことを書くな」
「批判されない安全圏からの話ばかりですね」
「あなたにはこの複雑な口蹄疫の問題は無理です」

まったくね。
しかし、そうはいっても僕に書けることを書くしかない。ごめんなさい。

19:52

2010年05月25日

これからは、口蹄疫への関心を「継続」いていくことが求められる。

現場ではハードな殺処分で、獣医師さんや防疫にかり出された人たちが頑張っている。ワクチン投与が決まったから、あとはよい結果が出ることを祈りつつ、経緯を見守らなければならない。

その周辺では、政府と宮崎県、民主と自民、官僚と政治、といった対立軸でわいわいがやがやとしている。今回の話が明らかに参院選の布石になるし、だいいち現政権の大きな失点になるわけで、大きな争いになっている。

昨日、ちょっとぼやいたけれども、本当に両極に振れた情報が飛び込んでくるから、定見をつくることができない状態だ。それでも、ヒステリックもシニカルもさっぴいた時に、これはさすがになあ、と残るものはある。

Nがこんなことを言っていた。

民主党は、ブッシュ政権がアフガン戦争時に世論操作のために使っていたようなPR会社を使っているようだな。たぶん欧米のPR会社か、その手法を使う日本の会社。PRって、「Public Relations」の略だけど、日本ではほんとの意味を知られてないよな。
これは要するに、世論を「スピン」させる=空転させるとかバイアスをかけるとか、そういう意味な。イラク戦争などで話題になったがPR会社が戦争に対する世論誘導したことについて『戦争広告代店』という本が出てる。

今回の宮崎での恐ろしい状況が全国版マスコミでは非常に冷静な扱いになっていることが、非常に不思議だった。BSEの際の過熱報道で牛肉がさっぱり売れなくなったいわゆる風評被害を回避するためで、つまり成熟したのだというとらえ方もある。

けれども一方ではこれもすでに識られるところだろうけど、自民党の江藤議員の国会質問の際に、記者席はがらんとしていたという映像。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm10790348
彼に浴びせられるヤジのことが取りざたされているけれども、それよりもメディアの無関心にいったいなんで?と思う。江藤さんは目立ちすぎたからもういい、という判断なのだろうか?

ただし、、、
今回の話しについて大手新聞の記者をしている友人に話を聞いた時、意外な言葉が出てきた。

新聞メディアに関しては鳩山政権をつぶしたい側だから、民主に有利な報道はしないはずだよ。メディアが宮崎に冷たいというのは無いと思う。結果的にそうなっているとしたら、単に中央にいる記者やデスクが実態をわかっていないということなんじゃないかと思うよ。

うーむ 真実はどこにあるんだろう。わからない、、、

けれども、一つだけわかっていることがある。それは、この問題は長期化するということだ。現場の人たちには長い長い数年間が待っている。その間、生活ができるのかどうか。宮崎県としてはものすごい膨大な支出を、どうやって財政立て直すのか。

つまり、これを外から見守っている人たちは、この期間だけではなく継続的にこの問題に関わっていくということを覚悟するべきなのだ。義援金はいま必要なものだが、マスメディアがこの問題を報道しなくなってからも関心を持続できるかどうか、ということだ。

被災にあった農家の人たちが、再起する意欲と資金を得ることができるかどうか。その支援は今ではなく数ヶ月後になるだろう。果たして僕らはその時に関心を持続できているだろうか。

マスメディアは「消費者が知りたいこと」をとりあげるという。ならば、マスメディアが書かないと言うことは消費者が関心無くなったと言うことだ。「無関心」は立派な行動なのだな、とも思う。

BSE問題が世間を恐怖に陥れていたのはほんの数年前のことだ。僕なんかBSEの驚異はまだ終わってないと思ってますよ。アメリカ産牛肉を明示的に扱っている吉野屋には行かないしね。「科学的に安全」といったって、科学は時代とともに言うことが変わるのですよ。よいと言われていたものが数年後に毒だと言われる世の中なのだからね。

それはともかく
先日来、いろんなところから「何かできることはないか」という話が来る。会を立ち上げようとか、宮崎の畜産物を買い支えよう、など。もちろん重要なことだが、いま打ち上げ花火のようにするのではなく、今後息長く支援が継続できるようにしておかなければならない、と思う。

僕も考えた。感染していない農場の牛・豚肉を優先的に購買できる仕組みを作れないものだろうかと。けれども、畜産物の流通の難しさはよーくわかっているので、おいそれとできるものではないということもわかっている。これについてはもっと時間をかけて考えていきたい。

すでに義援金をかたる詐欺も出てきているようだし、ちゃんと行く先を見極めて協力するようにしましょう。

ということで、このブログも通常の「食い倒れ」コンテンツをぽつぽつ戻していこうと思います。口蹄疫に関するエントリを、「口蹄疫を考える」カテゴリにまとめました。Twitterなどで流してくださっている場合、こちらのアドレスにリンクしていただく方が、余計なデータのダウンロードがなく快適になると思います。

■口蹄疫をかんがえるカテゴリ(日付が若い順にリストされます)http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/cat18/index.html

11:48

2010年05月31日

口蹄疫はまったく収まっていないよ!大規模和牛生産をする尾崎畜産の尾崎社長自ら現状を発信する。 おそらくメディアでは採り上げられていないことも含め、インタビューを速攻でアップする。 宮崎からの客人を迎える際にどのようにインタビューの下準備・後処理をしたか。

19:28 獣医氏の松本大策先生より、間違いご指摘あり。修正しています。

実はこの土曜日、緊急に尾崎さんと会った。関係省庁や議員、週刊誌などの取材の合間を縫って、ぜひ宮崎の現状を識って欲しいということで打診があり、会うことになった。

下記を読んでいただければわかるとおり、尾崎さんが口蹄疫ウイルスを運んでくる可能性は低い。けれども、僕は他県に足を踏み入れることが多い人間であり、尾崎さんとの接触を気にするところも多くなるはずだ。そこで、獣医師の松本大策先生に「消毒をどのようにすればいいですか」と聴いたところ、下記の返答をいただいた。

やまけん様

尾崎さんならきちんと話せば理解されるはずですから、
薬局でN95マスクを購入して着用し、会談後はミツカン酢の100倍液で頭から20秒ほど身体全体をぬらしておくと口蹄疫ウイルスは不活化するはずです。

マスクをはずすときは、ビニール袋にそっと入れて焼却(マスク表面はより危険と言えるので)しましょう。

衣類は、お酢の100倍液につけてから洗濯したらOKです。
本当は、尾崎さんが上京する前に、ご自分をお酢で消毒して
新しい衣類に着替え、空港ででもお酢原液で靴底の消毒をするのが望ましいのですが。


※やまけん注:尾崎さんはインタビューにあるように、毎日複数回自分を消毒しているとのことでした。

ICレコーダーやカメラはどうすればいいかということを電話で聞いたら、さすがにお酢希釈液を全面塗布すると壊れてしまうかもしれないので、消毒用アルコールを含ませた脱脂綿でよく拭いて、その脱脂綿をすぐ焼却すること、とアドバイスいただいた。消毒用アルコールだと、エンベローブという強い外皮を持つ口蹄疫ウイルスは死滅しないそうだ。
※間違いごめんなさい!
大策先生よりご指摘。
「アルコールで不活化できるのがエンベロープという被膜を持ったウイルスで、口蹄疫ウイルス(ピコルナウイルス科のアフトウイルス属)はエンベロープを持っていないのでアルコールでは消毒できないんです。それにカプシドという強い殻を持っているから手強いのだけど、酸とアルカリには弱いんです。いろんな人が見てるから修正お願いします。」
大策先生申し訳ありませんでした、、、

でも、丁寧に拭けば脱脂綿に付着するので、それを焼却すると言う方法が有効であるという。

このアドバイスに従ってマスクを購入し、着用の上で尾崎さんに会った。もちろんマスク着用するからね、ということは仲介をしてくれた星野さん経由でお伝えしておいた。

さて、ここから尾崎さんの話を可能な限り忠実に、前後関係だけいれかえたりしながらまとめてみた。ただし、短時間のインタビューでICレコーダーで拾えなかった言葉などもあり、不正確な記述があることはあらかじめお断りしておく。ご本人の訂正も随時いれていくので、いまアップするのは「Ver.1」である。

「ブログみて訂正箇所あったらいいますから」とのことなので、以後、内容が変わる可能性があることはお含み置きください。

本記事を含め、口蹄疫関連のエントリはリンク許可不要。こんなことが進行しているということをもっと多くのかたに識って欲しいと思います。

P5290286

■尾崎さんを取り巻く現状 そしてなぜ僕が外に出ているのかということ

25年前に結婚したときに繁殖経営を始めた。子牛が生まれたらまず嫁の名前をつけて、この子がお母さん牛になったときに産まれたメスに長女、次に次女、次に三女、こうして4頭の優秀な繁殖牛を得るのに25年かかった。オスは息子の名前をつけた。その、家族の名前を付けた大切な繁殖牛を失うことになった。

P5290292 

尾崎畜産には本場(1500頭)と佐土原にある分場(100頭)がある。分場には僕にとって一番重要な妊娠牛達がいる。その分場から8.5kmのところにある養豚農家さんのところで感染が出た。これで分場はワクチン対象となり殺処分となることになった。とても残念だけど、それより問題なのは本場はどうなるの?ということ。

本場は分場から遠く離れた立地だけど、農水の見解としては「違う敷地であっても、同一経営者の場合は移動の可能性があるので殺処分が望ましい」という見解だった。すぐに農水に問い合わせをして検討した結果、実際の管理者が別であれば問題ないはずということになった。その時僕は営業の仕事で本場にも分場にもいなかったので、この時点で僕自身は分場にも本場にも接触しないということにした。幸い、どちらにも営業マンなどがいるので、申し訳ないけどそのスタッフ達に飼養管理をお願いしている。

幸いなことに去年、本場の敷地内にあった自宅を会社の寮にして、自宅は敷地から離れたところにあつらえた。従って今は、毎朝自宅で着替え・消毒をしてから防疫業務と募金活動をしている。帰宅して消毒して、という毎日。これで農水から、佐土原分場でもし出たとしても活動してよしというOKをもらった。

ワクチン接種は抗体を作るので患畜にするということになる。10km以内は患畜だらけになるので、人間の出入りもダメということになる。なので、ワクチン接種の4日前後からは農場に完全に出入りしないということとしている。

僕が東京に来たりいろいろ来ていることに対して心配している人もいるだろうけど、そういうことです。
10km圏内の人たちの気持ち、20km圏内の搬出制限内の人の気持ち、それを農水の人や政治家さんや、一般の人にわかってもらわないといけない。
圏内の農家で、自分の家畜を埋めてる人間は出てこられない。自分が感染源になると周りに迷惑がかかるから、とスーパーに買い物にも行けず、毎日おびえながら家の中で暮らしている。そんな状況から早く脱するために、迅速に対策を打たなければならない状況だということをもっと伝えたい。
おそらく俺しか当事者として動ける人間はいないと思うから、こうやって出てきているんです。

■「ワクチン接種&殺処分は可愛そう」と言っている場合じゃないんだ。

僕は全国に4000頭仔牛を飼っている。妊娠牛も1000頭送っている。宮崎牛の価値を一番知っているのは僕だと思うよ。但馬牛の血が二代入っているから小ザシがはいる。それなのに、一番大事な妊娠牛をワクチン接種&殺処分しなければならないし、本場にいる牛も早期出荷しろという。早期出荷といっても、おそらく値段はつかないだろうし、妊娠牛や仔牛などこれからの牛もすべて出荷しろと言われるから、結局全滅ということになるわけ。

けれども、口蹄疫を食い止めるためにはこれは仕方がないこと。僕は自分の大切な牛たちにワクチン接種をして、少しでも早くこの事態を終息させないといけないとおもっています。
ワクチンをうった牛は殺処分しないといけない。いままでうたなかったのは、使用すると汚染国になるから。中国・韓国はすでに汚染国。国際的な協定で、清浄国は汚染国からの輸入を断ることができた。けど汚染国になったら、他の汚染国から輸入牛豚肉が来ることになる。断る根拠が無くなる。
だからワクチネーションはすべきだ。

なぜかというと、日本の畜産は世界のルールをで戦わないといけないのに、ルールを破ったらいかんからよ。
本当に口蹄疫の怖さをわかってるなら、最初に都濃町で発生したときになんで種牛を動かさなかったのかっちゅうこと。たかはるの試験場にも同じ施設があるんだから、そちらに半分でも避難させればよかったと思う。その点では宮崎県にも責任がある。

■国にも責任があるけど、宮崎県の初動にも問題がある。

宮崎県の初期動作はよくなかった。口蹄疫が昔出たときにはまだよかった。ウイルスが違うと言われている。今回のが本当の口蹄疫と言われている。前回はうちは5km圏内。その時は議員さんが畜産のことをよく知っている人だったから、4000億の予算をとった。社団法人にプールしていた4000億があったから。それを背景に県に対して「どーんと対策をやれ」と言って後押ししてくれた。
そこで県としては、家伝法では20km圏内となっている範囲をを50km圏内に拡大して、徹底的な消毒をした。前回は通行する全車両の消毒をやった。県民もおおごとと思ってくれて協力した。結果、最終的には30億の支出で済んだ。この辺の判断は当時の県が英断をしたと考えている。

今回は全然、前回の学習が機能していなかった。
10年前は宮崎の養豚も和牛繁殖・肥育もぽつんぽつんと少なかった。本当は速攻で10km県内の通行封鎖して、殺処分すべきだった。今回の県の初動はやはり認識の甘さがあったと思う。

消毒についても国道10号線で徹底的にやるべきだった。僕はここまでおおごとになる前に早い段階で提案をしていた。それは、10号線そのものに消毒ポイントを設けるのではなくて、そこから伸びる幹線の入り口のアスファルトの表面をはがし、そこに消毒液を流し込む。そこを速度を落として通過してくれれば、とりあえずタイヤの消毒はできるわけ。それを提案したところ、国土庁はOKしてくれたのに、なんと宮崎県警が「GW中だから大渋滞する」といって停めた。
それにあの頃風は北に向かっていたので、宮崎方面に来るはずがない。けれども人の流れはでっかいイオンがある宮崎市内に来るのは当然。僕は人の動きがウイルスを運んでいると思っている。

 

■本当にやらねばならない超法規的措置は埋却地の確保! 現場の農家は罪もな  いのに苦しんでいる。

県内の農家はみな自分の圃場周りを消毒している。でも、目の前の道路には消毒していない車がどんどん通る。これはおかしな話よ。

県が消毒しろというからやる。ふとみたらエサを食わん豚がいる。家畜保健衛生所に報告にいく。獣医が来て診察し、検体を国に送る。陽性になる。
そうするとFAXが来る。「殺処分対象なので準備しなさい」と。ここからが問題。家伝法では、埋却に必要な土地は農家が準備しなければならないとなっている。
けれども、それができない農家はどうすればいいのか?

最初は牛ばかりに口蹄疫が出た。牛をやる場合は、自家粗飼料(牧草など)の畑を農場周辺に持っているのがふつうなので、そこらに埋めなさいとなる。頭数規模も牛の場合はそれほどでかくはないから、なんとかなる。

けれども、豚は頭数規模がでかい。それにほとんどの農家は粗飼料生産はせず、配合飼料中心で生産をするのがふつう。養豚農家は養豚場だけしかもっていないから埋却する場所がない。それなのにいきなり「殺処分の場所の準備をしろ」といわれてもなんともいえない。

農家の仕事は生きている豚の管理と消毒。家伝法では自分で農地を確保しろといわれる。すでに初期投資の借金を抱えているけど、必死で借金して買おうとする。
しかし、追い打ちをかけるように「埋却地の周りの同意をとってくれ」とFAXが来る。そんなの、同意なんかとれるはずがないでしょ?牛でも同意がとれないのにどうやって同意をとるのか。そうして、同意がとれないままに殺処分が遅れている。

豚はウイルスを牛の1000倍放出する。だから豚に感染があると最悪なの。殺処分をスムースに進めないと大変なことになってしまう。

台湾はたったの2週間で蔓延した。それを宮崎では4週間、他地域への発生くいとめている。どれだけみんな頑張って消毒しているのかがわかる。みんな感染させないように買い物にもいかずに頑張っている。
こう言うときに超法規的な措置が必要なんじゃないか?農家に罪や責任があると思いますか?埋却地の確保と同意については国が先頭に立ってやってくれなければ無理です。

 

■いま必要なものは冷凍コンテナ そしてボランティアの方への募金。

最初は味方だった宮崎県民が、敵になっていくのが怖い。
例えば養豚農家からみれば、種牛を残すことを非難している。この気持ちは抑えきれないと思う。だって、養豚農家も種豚を断腸の思いで殺処分している。殺処分は獣医師にしかできないけど、殺処分の最前線にくる獣医師さんの中には、現場に不慣れな人もいる。豚舎に入って豚に注射を打つときに、血管をうまく見つけられなかったり、種豚が大きくて怖いから遠いところからうまく殺処分できず苦しめてしまう。そういうのを泣きながら見ている養豚農家からすれば、種牛避難の問題は許し難いと思う。

個人的には、県が特例措置で6頭を避難させたとき、心の中で感謝をした。けれどももう守れない。これは仕方がないことだと思う。

まだ消えてない火(ウイルス)をどう消すかということが重要。まだ感染が拡大しているわけだから。それには、冷凍コンテナが必要です。

なんで冷凍コンテナが必要か。
実は今、殺処分が2週間くらいずれている。本当は発症して次の日に埋められれば拡がらない。けれども今はそれができていない。二週間は牛豚がいきている状態。先も述べたように埋却用の土地が入手できなかったりするからだ。

問題は、殺処分がくるまでの二週間に子豚が死ぬ。口蹄疫は口などがただれてエサや乳を飲めなくなり、栄養失調で死んでしまうという病気。その子豚が死ぬと埋めるところがない。一頭の豚が10頭以上の子豚を産むから、数が多いわけ。だから、子豚のうえに石灰を播いて放置するしかない。それが数日経つと腐って悪臭が出る。それをカラスが食べて蔓延するのが一番怖い。どこに飛んでいくかと言うことが怖い。

だから、冷凍コンテナを圏内に5基くらいは配備して、そこで埋却地確保まで、子豚を冷凍保管しなければならないということです。

いま、そういう嘆願書を持って関係するところを飛び回ってます。

P5290297

(とりあえずここまで。できるだけ早く続編をアップします)

13:14

2010年06月01日

口蹄疫は全く収まっていないよ! 20km圏内の搬出制限区域からの声・尾崎さんのインタビュー後編です。

前回エントリの続きです。土曜日の段階での話なので、時点が古くなっている情報があるのはご容赦ください。すべて尾崎さんの仰ったことをできるだけ手を入れずにかいたつもりですが、文責は私にあります。前回同様、尾崎さんの意図と違うことを書いている可能性もあり、ご本人から指摘が会った場合には速攻で修正しますのでご了承ください。

その前に、宮崎県出身の友人が、google earth上に口蹄疫発生場所をプロットしたものを作成してくれました。

5/30時点でのOIEの口蹄疫発生状況のデータを取り込んで見ました。
グーグルマップの上部メニュー「ファイル>開く」でファイル名として下記のURLを入力します。
http://miyazaki.nagatomo.com/fmd.kml
OIEの発表している221件を全てマッピングしてあります。このデータが宮崎支援、口蹄疫の対策に役に立てれば幸いです。

ただ、OIEへの登録の際の農水側ミスか、2,3変なデータがあります。

変なデータ。
ID 12998
ID 12771

上記の変なデータもOIEでも同じ座標を示しています。

image

とのことだ。僕はgoogle earthをつかってないので、試しにブラウザでGoogleMapのほうを開いて、検索欄に上記URLを貼って検索ボタンを押すと、二次元でもちゃんと表示されます。Google earthだとこれが三次元になるらしい。

こんな風に発生しているのだ、ということが視覚的にわかるかと思います。ちなみにえびの市の完成事例は、封じ込めに成功しているようです。関係者の努力に頭が下がります。

上記の@dogenkasentoさんも出身地宮崎のためになにかしないと、と思っていた人です。最初の発症事例の時から僕に連絡くれていました。ありがとうね、Nさん。

では尾崎さんのお話です。

 

■リングワクチネーションでとにかく早期に終結させなければ、さらなる悲劇が起こる

とにかく重要なのは、できるだけここ数週間で封じ込めなければいけないということ。これから夏の暑い時期になって現場の人間がつらいこともあるけど、それ以上に天候が変動するのが怖い。梅雨で雨が降る。それを越すと台風が来る。台風なんかきたら、ウイルスが全国へ飛んでしまうのではないかと非常に怖い。九州だけの問題ではなくなってくるだろう。

現実的な方法としてはリングワクチネーションで感染拡大を停めなければいけない。これまでは国も県も現場も、力の使い方がうまくいってなかった。ようやく特措法が成立したので、これからはとにかく早く対策を進めて欲しい。

image

■口蹄疫対策は、各県の単独予算で対応できるような問題じゃない

対策に使う予算があるよという背景が無ければ、どういう対策を実施しますということが言えるわけがない。宮崎のような貧乏県が費用を用意できるはずがないでしょ。一週間前に首相が対策本部長になって1千億用意したと報道ができたが、よみうりテレビが財務省に確認したら100億という。
うーん なんなのよそれ。 右往左往している。全く機能していない。だから特措法が決まって本当によかった。

 

■搬出制限区域の畜産農家たちの悲劇

さて現場はともかく、
残りの20キロ圏内は搬出制限区域。出荷をしたらダメ。新富にでたから、そこから20km圏内に入るので出荷を止めてくれと言われた。

うちの場合は会社の運営に3000万/月かかる。ほとんどがえさ代と人件費。すぐに支払いがあるところとしか付き合わないから、運転資金の枯渇はこれまでなかったけど、牛が売れなければもうどうにも金がまわらない。
銀行に行って月末の人件費・えさ代を貸してくれと言ったら、「今回は貸すけど、企業努力もしてくださいね」と言われた。銀行のいう経営努力は人を切ること。
うちで昔から働いてくれている事務員が4人いるけど、3人の首を泣く泣く切った。牛も財産だが人間も財産。それを手放さざるを得ない。

搬出制限区域の人たちには、感染しなくとも一日一日経費が発生する。それをどうしたらいいんやというのが心情。本当の悲劇はその辺にある。殺処分のケアだけではなく、ちゅうぶらりんになっているところのケアも本当は考えなければならない。だって、彼らは好んでそういう事態になっているわけではない、法に基づいてそうさせられているのだから。

現在すでに貯まっている17000頭の牛を処理するのに、一日60頭のと場で早期出荷できるわけがない。子牛も妊娠牛もいる。本当はお腹にいる子牛や育成中の子牛は商品になるまで持っておきたい。妊娠牛もぜったいに殺したくない。一番つらいんだよ。

 

■補償は「元の経営ができるようにしてくれ」

しかも補償の内容もほとんど決まっていない。僕は15億の借金をしているけど、もれきこえてくる査定額でいうと9億しか出せませんねと言っているわけ。ワクチンして埋めたら3年間は何もしたらいかんと言われている。そうしたらどう生きていけばいいのか。うちでは23人現場でも雇用している。

再起しようといっても、いきなり元の1500頭入れましょうということはできない。月に30頭ずつのローテーション出荷をするのに4年かけた。でも、いまこの状況で社員を2/3は切らないといけない。それが何よりもつらい。

うちのスタッフはみんな優秀だから、全国どこの牧場に紹介してもひけをとらない自信がある。で、うちの経営が元に戻るまでに3年かかる。そうなったときに、彼らは3年後にはそれぞれ再就職した牧場でチームリーダー格になってるはず。それを帰ってこいとは言えないわけです。

牛は、母牛から考えると出荷までに5年かかる。うちの尾崎牛プレミアムというのは、うちの牧場の母牛で産んだものだけなので出荷までに48ヶ月かかる。国は全額補償といってるけど、その「全額」の根拠がない。実体は牛の個体そのものだけの補償に留まっているでしょ。人件費などはまったくない。尾崎牛を送り出すまでに長いことかかっている。原材料だけ全額補償となる。工場の償還とかはどうなるのかというと、それは知りませんということになる。

そういうことになると、怖いのは、感染牛らしい兆候の牛が出たとしても隠蔽しようとする人も出てくる。だって、出たらもう自分は絶対に廃業、もしかすると破産するかもしれない。周りからも非難される。そうなったときに、正直に「うちから出た」って言える自信があなたにはありますか?

だから、補償額の詳細については、細部を早々に詰めるというよりは、100頭飼ってるところにはまた100頭飼えるだけの手当をしてやってください、としか言えない。

 

■現行の家伝法の不備と今後のマニュアル化の重要性。イギリスはウイルスに対テロ組織を投入したのに。

家伝法は諸外国の法律をとりあえずもってきたようなもの。だから、他国のように広大な面積があることが前提になってるんだ。しかし日本には土地がないんだよ。だから現実的でないということになっているわけ。

いまから宮崎版マニュアルみたいなのをを作らないといけない。いままでは日本をとりまく海がウイルスを停めてくれていた。でもいまはアジアから観光客が来てる。その靴の裏の泥までは対応できないでしょ。

ウイルス対人間の戦争なんですよ。イギリスで口蹄疫が発生した場合は、時の首相は対テロ組織を投入したんだよ。だって、イギリスは牛や豚に加えて、綿羊(ウール)とかもあって、もしこれが全滅したら国家予算が成り立たないっていう判断があった。だから、いくらかかっても根絶しないと国が潰れるっていう覚悟でやっている。日本だって、全国に蔓延したらどれだけの国家的損失になるか。

ちなみに
イギリス韓国の場合は殺処分になった農家には、翌日は補償金の半額が仮渡しされた。だから農家も素直に応じたわけ。日本では再生産できない金額しか出ないとなると、さっきも言ったように動かないよ。だから、。口蹄疫が出たらすぐ報告させるような背景となる金額を出すしかありません。

■尾崎牛のこれから

45年やってこれかということになってる。思えばいままで、牛肉自由化、BSEで被った借金がやっと半分になったと思ったら、口蹄疫でまた借金。牛でお金持ちになれん。子供にやれともいえんから、うちは子供に継げと言ってないよ。

でも、僕はもう一回チャレンジしようと思っている。宝物のような社員をなんとかしたい。昔、BSEのときには、取引先からキャンセルの電話がかかってきた。
「やっぱり消費者が嫌がるから」ってね。
けど、今回は違うんだ。「早く送ってくれ」と言う。なんでこんな状況なのに買ってくれるの??といったら「当たり前よ」と言ってくれる。うちは肉の作り手・使い手とちゃんと繋がってきたから売ることができた。
復活するのに今回は最悪、3年かかるかもしれないといったら、いまある在庫ぜんぶちょうだいと言われた。3年間、尾崎牛の味を忘れんように、毎日冷凍庫から一切れずつ切って出すと言ってくれる。

農家はみんな「あんた達の牛・豚が欲しい」といってくれないとやる気が起きない。もうこんな仕事、やりたくないと思っている。だから心の支援をお願いしたい。

口蹄疫はまだまだ現在進行形。その次の話ではない。
偶蹄類ってのはほとんどが家畜です。それがぜんぶやられるということ。その国が滅ぶということ。国産の家畜が全滅したら、外国のものをむこうの言い値で仕入れないといけなくなる。「口蹄疫は国を滅ぼす」というのはそういうことなんです。

宮崎県の半分側に、牛と豚が一頭もいなくなる。これから宮崎県が一番欲しい人材は、この地域で再生産計画を作ることができる人。宮崎のブランド復興をできるだけの人材が欲しいんです。

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■ボランティア募金

最後に、いま僕が所属している宮崎県農業法人経営者協会に宮崎県の弁護士会が協力してくれて、ボランティア支援基金を設立してくれました。弁護士さんたちが積み立ててきた400万円500万円を、出してくれたんです。

いま、県外からボランティアが来てくれているけれども、彼らはどこに泊まるか、どう移動するかということでぜんぶ自費でやることになっちゃう。対策費は現場にしか下りないですからね。そうなったらせっかくボランティアしにきてくれたのに、十分に動けないでしょう。そういう人たちの宿泊とかの基金にするための募金です。

口蹄疫が終わってから配分される募金も重要だけど、いま使える募金がないといけないんです。ご協力をお願いしたいと思います。

■【宮崎県弁護士会緊急ボランティア支援基金】創設のお知らせ
http://www.power-miyazaki.net/hojin/2010/05/post_186.html

(以上)

 

「このあと、また人に会わんといかんから」と、尾崎さんと星野さんはすぐに席を立った。見送った後、なるべくそっとマスクを外してビニール袋に入れ、ギュッと縛って帰宅。家に入ったら速攻で風呂にひっさしぶりに買ったミツカンの雑穀酢をどぼどぼ入れ、100倍希釈と教えてもらったけれども80倍希釈くらいの濃さにして着衣を全て漬け、僕も頭から漬かった。靴底も酢水につけて表面も酢水を含ませて拭く。持参したカメラやICレコーダーはすべて殺菌用アルコール(純度75%)を含ませた脱脂綿で拭いた後、脱脂綿をコンロの火で燃やす。アルコールランプみたいなものだからよく燃えた。

ここまでやってどっと疲れた。こんな、なんちゃって防疫・消毒でこれだけ手間がかかり、神経を使うのに、本格的な防疫業務についている人はどんなに大変だろう、と思う。特にこれから暑くなっていく南国・宮崎での不快指数はすさまじいことになるだろう。現場の方々の心身の健康状態が本当に心配だ。せめて、生活に心配がないだけの措置をしてあげたいと心から思う。

明日(というか今日ですね)から一泊で宮崎に行きます。といっても家畜関係の仕事ではないので、宮崎市内から一歩も出ません。けれども、上記と同じような消毒処理をして、飛行機に乗る前に全身を消毒スプレーかけて乗ろうと思います。

今週後半に出張する他県にも「僕が宮崎から帰ってすぐにそちらに行きますので、畜産関係者さんで気になる方はいらっしゃらない方がいいかもしれません」と予告しておく。もちろん、宮崎に着ていったもの、同じ靴は絶対に履かないつもりだ。

口蹄疫がどんな風に伝播するのかよくわかっていない以上、自分自身に疑ってかかるしかない。

今日もある雑誌社の記者さんが来て、口蹄疫についての取材をされていった。そして途方に暮れていた。和牛のことだけを理解するにも一日以上かかるのに、養豚のことも理解しないといけない。その生産のことだけじゃなく流通のことまで。僕は15年かけて農と食の業界の理解をしてきた。それをどんなにはしょっても、数時間では伝えきれない。数年経ったら他の部署に異動させられてしまう、農と食のバックボーンのない記者さんが、きちんとした記事を書くのは大変だ。

マスコミのおかしな報道は、もしかすると単に「よくわからない」から、起こっていることなのかもしれないな、と思ってしまった。

さて、一ヶ月ぶりの宮崎の空気がどんな風になっているだろうか。そろそろ寝ます。

01:42

2010年06月02日

宮崎県に来ています。困っているのは畜産だけではない。観光・飲食・物販全てが落ち込んでいる。「口蹄疫は国を滅ぼす」という言葉は、色んな意味で真実だ。

■観光・飲食・物販すべてがストップしている

「これから夏の暑い時期になって現場の人間がつらいこともあるけど、それ以上に天候が変動するのが怖い。梅雨で雨が降る。それを越すと台風が来る。」宮崎空港をおりると、物々しい雰囲気。そうか、総理が来るんだったっけ。僕が空港から車で市内へ移動する最中、おそらくあれが首相が乗っている便であろう飛行機が着陸態勢に入っていた。

「県の人間はいま口蹄疫対策で人員も足りずしっちゃかめっちゃかなのに、総理が来るとまたその警護やらなにやらで大変なんですけどね」

と迎えに来てくれたKさん。いま、宮崎県で深刻なのは、畜産農家以外の宮崎経済への打撃だそうだ。例えば観光関連でホテル宿泊は8割減だそうだ。あるホテルなど2ヶ月先までの1000件くらいの予約がキャンセルになったらしい。大きなコンベンションなどは軒並み中止で、運動会などのイベントも取りやめ。だから、それに伴うお弁当や物販もすべてキャンセル。橘通りを歩いても、如実に人が少なくなっていることがわかる。

「宮崎県庁の広報がらみの部署はいま大変です。なにかというと、全国から『宮崎県は何をやってるんだ!』というクレームの電話が殺到しているんです。その対応でおおわらわですよ。」

うーん 気持ちはわかるが、、、県の職員も農協などもみな、一人でも現場対応に送り出さなければならない状況なのだから、クレーム電話なんて無駄なことは辞めていただきたいものだ。この事象は、まだ起こっていないどこの他都道府県でも起こりうる話なのだから。まだ口蹄疫が発生していないみんな、運がいいだけなんですよ。

宮崎県がいまいろんな体験をしているが、しかるべき時期にきちんと頭から検証し直して、マニュアル化しなければならないというのは本当だ。しかしもちろん、その時期は今ではない。

 

■「水が出る」ということ

雨が降っている。不快指数が上がっている。先に書いた尾崎畜産の尾崎社長の言葉で、重大な見落としをしていた。後編の冒頭にこんな言葉がある。

「これから夏の暑い時期になって現場の人間がつらいこともあるけど、それ以上に天候が変動するのが怖い。梅雨で雨が降る。それを越すと台風が来る。」

実はここに、もう一文、重要な言葉が入っていた。

「これから夏の暑い時期になって現場の人間がつらいこともあるけど、それ以上に天候が変動するのが怖い。梅雨で雨が降る。水が出る。それを越すと台風が来る。」

赤字で示したように「水が出る」という一言があったのだ。けれども、それよくわからんなぁ、きっと雨が降ってそれが溜まるとかいう意味だろうな、と流してしまっていた。実は、宮崎の広い範囲でそうらしいのだが、梅雨の季節に地面を掘ると、水がジュクジュクと滲みだしてくるらしい。それがいちじるしく土木などの作業性を損なうらしく、そのことを尾崎さんは言っていたのだ!

 

■お酢について

先日僕が尾崎さんに会うときにしていたマスクの対応、お酢の殺菌について、福岡県のTさんより注意があった。それは、目や鼻の粘膜にもウイルスは付着するよ、ということ。つまりマスク&お酢の希釈液での殺菌も、効果の限りがあるのだから過信してはいけないと言うことだ。うんそうだろう、僕も、耳の穴とかは洗えないもんなぁ、と思ってはいた。だから防疫にあたるひとたちは防護服を着たり、耳まで隠せるキャップをかぶって、素肌の露出を極力抑えているわけだ。

ただし東京のど真ん中でさすがにそれをしながらスターバックスに入るのは難しい。できる限りのことしかできなかったことは事実です。先日のエントリでは、今後、口蹄疫にみまわれている当事者と会うことがある人への参考になればと思って、大策先生のアドバイスについて書いたけれども、あれですべてOKという考え方はしないでいただきたい。本当はやはり、防護服なんだろうなぁ。

 

■先日の「冷凍コンテナ」について

また尾崎さんがいう「冷凍コンテナが必要」の話しに対しても、こういう意見が寄せられた。

ウイルスは宿主が死んだら、急速に体内のPHが代わり、それによって死滅する(ただし埋設は不可欠)。けれども冷凍してしまうと、PHが保たれてしまうのでウイルスの不活性かは無理ではないでしょうか?ウイルスの不活性化が確認されないうちは、「とっとと冷凍」という発想はいけないと思います。

http://ss.niah.affrc.go.jp/disease/FMD/japan/murakami.html

表5.口蹄疫ウイルスの生存期間(1) という表の上の文章あたりになりますかね。
冷凍すれば、ウイルスの生存期間が長くなるのですよ。その後の取り扱いも難しくなります。やっと埋設が本格化するようですが・・まずは患畜殺処分後、直ちに冷凍、というのはこの場合、保管を厳重にしないと問題だと思います。

なるほど、冷凍することによってウイルスは保持されてしまうらしい。であれば、子豚の亡骸を冷凍コンテナに移す場合、ウイルスが死滅する十分な期間をおいてからでないと意味がなさそうだ。ただその期間は上の表を見る限り1~3日なので、腐敗するギリギリのところで冷凍に移すことができるかもしれない。 貴重なご意見ありがとうございました。

 

これから仕事に出て、午後に宮崎を発ちます。こちらは雨が酷い。作業に出ておられる方々のつらさを思うと、やりきれない。

09:08

尾崎さんのインタビュー 数カ所訂正 それにしても、鳩山さんの宮崎訪問は壮大な無駄に終わったのだろうか。そうではないと信じたい。そして僕は空港でガンジスカレーを食べて、帰着しました。

尾崎さんのインタビューについて下記修正しました。各エントリには修正済みです。

前編
ワクチン接種4日前から → ワクチン接種後

後編
イギリスでは保証金が半分 → イギリスではなく韓国の話し
弁護士会からの義援金が400万 → 500万園の間違い

そして追加情報。

「もしボランティアに来ていただけるなら、1週間は来て欲しい。そしてその後1週間は出歩かない
で欲しい。ウイルス拡散防止のためです」

なかなか厳しい条件になりますが、このためにもボランティア基金が必要になるわけだ。なお、残念ながら今現在、ボランティアの窓口が色々あって、全ての窓口がこのボランティア基金の振り向け先になっているわけではないことに注意して欲しい。

ということを尾崎さんと電話で話していたのが朝。コンサルの仕事が終わり、昼飯を食って次のお客さんと会ったとたんに「鳩山さん、辞任だね。いま号外出てる」と言われ、呆然とした。

昨日の宮崎訪問は、、、 警護や現場の人が来庁するための準備やあれやこれやは何だったのだろう。と思っていたら、尾崎さんがTwitterで一言。

「昨日の鳩山総理大臣訪宮の意味 - 残り少ない総理の任期を宮崎の口蹄疫対策を国が責任を持っておこなう。と、念を押しにわざわざチャーター機を使って来てくれたのだと心から思いたい! 」(@ozakibeef)

そうですね、ホントそう願いましょう。

今朝書いたように、宮崎市内のホテルはキャンセル続出でどこも大変な状態らしい。僕が愛用するエアラインホテルで今朝、朝飯を食う。よくあるビュッフェスタイルだけど冷汁などの郷土の味もあって、気に入っている。ウェイトレスさんがものすごくフレンドリーで、おかずをいろいろとってくれたり、冷や汁の具のことまで厨房で聴いてきてくれる。フレンドリーなのは宮崎の県民気質だろう。いいホテルが稼働しないのはもったいないな。

いっそ、ボランティアに来てくれた人が、終了後の一週間を防疫体制バッチリな状態で、ボランティア基金から補助も出て泊まれるホテルなんてのがあったらいいのではないか?なんて思った。

さてここからは食い倒れ日記。昼飯は一番街商店街のろじうらにあるキッチンノブ(nob)。Y氏が「カレーが旨い」と押してくれた。

 

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シノワで一切を漉した、サラサラのルーのみ。それを補う具材として野菜コロッケが載っている。

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手間暇をかけた欧風カレー、おちついた味で佳し。しかも「ルーが足りなかったら足しますので」といってくれる。ご飯は300g。もちろんルーを足してもらった。

それだけじゃつまらないので本日のパスタ。芝エビで作ったソースアメリケーヌのパスタだという。

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うん、素晴らしい。アメリケーヌといっても濃度があるものではなく、さらりと仕上げている。けど、柔らかなエビの甘みと旨みが凝縮されたパスタです。芝エビは素揚げされているのか、殻も食べてしまえますということだけど、先端の角の部分はちょっと堅いので、よく噛まないと胃が痛くなるかもよ。

このたびめでたく宮崎県内の某道の駅の指定管理者に就任したU氏に空港に送ってもらい、空港2階の喫茶コーナーへ。実はここで食べられる「ガンジスカレー」680円が異様に旨い。

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キッチンノブとは対照的にどろりとかなりの濃度を誇る小麦ルー系だけど、細かく切られた肉、まろやかな甘み、実に素晴らしい!

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実は宮崎にはローカルなカレー屋が結構ある。まだ攻めてないところばかり。はやくばんばん圏内の移動ができるようになって、いろいろ攻めてみたいと思う。

さて、明日から北海道だ。

19:49

2010年06月07日

宮崎の肉をどうしたら買い支えることができるのか?という問いにどう答えるのかが難しい。

ここ数日、政権がらみのごたごたで口蹄疫についての報道がまたみられなくなってきているけれども、口蹄疫の拡大は続いている。6月6日時点で疑似患畜が児湯にて出ているのである。世間は「そろそろ封じ込めできてるんだろうなぁ」と思っているかもしれないけれども、現在進行中です。それにしても、えびの市はよく守りきったなぁ。

で、ここ一週間ほどでいろんなところからこんな話が飛び込んできている。
「これから早期出荷になる、搬出制限区域内の牛・豚の肉を買ってあげるようなキャンペーンをしたい」
「宮崎の牛・豚を優先的に買い支える仕組みを作りたい」
で、具体的にどうすればいいの?と言う話だ。これ、とっても難しい話しではある。

「早期出荷」というのは、出荷適齢期を迎えていなくても、また普通は出荷しない繁殖用の家畜であろうともと畜してしまえということだ。そうなると、食肉としての適正がないものも当然含まれる。若齢牛や若齢豚は、個体重量も少なく、味だって乗っていない。だから、と畜され格付けされる際にはほとんど二束三文の評価がなされてしまう。それでも、搬出制限区域内の家畜を一掃してしまうことで、さらなる感染を防ぐためにやらなければならないということになっている。

当該畜産農家としては非常に大きな損害を被るわけで、これを買い支えたいということは非常に健全な思考だと思う。ただ、これを実行するのはちと大変なスキームでもある。例えば飲食店一店が購入できる量はたかがしれているわけで、牛一頭350kgくらいの肉をどうやってずばっと配分するかというのはかなりの力業になる。それも、先に僕が所有している短角和牛「さち」の肉の配分を示したエントリがあったが、部位があんなに分かれている。飲食店では普通、ステーキなどの用途にロース(リブロースやサーロイン)やヒレ、煮込みようにスネ、カルパッチョ用にモモなどを必要とする。でも、それ以外の部位はどうなる?ということにもなるわけだ。

例えば東京都内の飲食店100店が「買う!」と言ってくれても、そのすべてが「ロースちょうだい」と言った瞬間に、単なる迷惑集団になってしまう可能性がある。いや、もちろんそのロースをかなーり割高に買ってくれるならいいんだけどね。

あと、「特定の業者に頼むと、その業者の系列の生産者のものしか買えなくて、広範に支援したい人には向かないのではないか」という危惧から、複数生産者との直接取引のような形を模索する人もいるようだ。しかし、それはどうだろうか。畜産とくに牛のような大型家畜の流通は、野菜の産直のように生産者と需要者がダイレクトに結びついてどうこうというのがやりにくい。それこそ尾崎さんは最初からそれを志向してビジネスを組み立ててきているからできるけれども、多くの生産農家は販売業務までやる余裕が無く、それを引き受けているのが解体後の部分肉を引き取り、卸売販売する業者さんたちだ。彼らが在庫リスクを引き受けることで、食肉流通は成り立っている。だから、どこかの流通と組む方が、まずは広範な被災農家への支援たりうるのではないかと僕は考えている。もちろん、そうした流通業者を通さずに独自の販路を築いている独立系畜産業者さんもいるので、そうした人たちを直接支える仕組みも必要である。というわけで、あまりに範囲は手広くなっちゃうのですよね。

いま、僕自身もいくつかのルートで販売協力の道を模索している。なにか決まったら、またここで告知します。

そうそう、今後、疫学的なことで疑問が出た場合、このサイトを参考にしていただくと、きちんとした情報に出会えるかもしれません。

■(有)シェパードがおくる松本大策のサイト
http://www.shepherd-clc.com/
daisaku.jpg

ここでもリンクしているけれども、「みんなで食べよう宮崎の牛」というイベントを、鳥取県米子市の焼き肉店が開催する。第一弾に入荷するのは日南市の牛ということで、早期出荷のものとは違うけれども、非常に勇気ある行動だと思う。

20:01

2010年06月10日

これが本当の緊急事態、、、とうとう恐れていたことが起こってしまった。日本最大級の畜産の大産地・宮崎県都城市に口蹄疫が。 農林水産副大臣の篠原さんに俺は期待する。

昨日、帯広から帰京するさなかに友人から一報。都城で口蹄疫「疑い」が発生と、、、誤報であって欲しいと願う友人の言葉であり、全国の畜産関係者が、今日の朝に発表される結果が陰性であることを祈ったはずだ。しかし、陽性だっった。

都城という地は、僕が初めて宮崎に渡った際にお世話になった、とても近しい街である。そして養鶏・養豚の農家の知り合いがいる街でもある。つい二週間前に、都城で大規模養豚をしている社長さんと連絡を取り交わしたばかりだ。口蹄疫がおさまったら、東京で呑もう、と。

すでにいろいろと報道されているが、都城の畜産の規模は全国トップクラスである。牛も豚もとにかく頭数が多いメガファームが集中している。そして、鹿児島県は目の前だ。とにかくこれ以上拡がらないようにと祈ります。

そして、内閣ごたごたの中で、農林水産副大臣に就任された篠原孝さんが、口蹄疫対策のトップとして宮崎入りしたという記事を見た。実を言うと、この篠原さんがいるから僕は民主党に票を入れた。世間では農水大臣になった山田さんの人となりのエピソードが伝えられているけれども、僕としては「副」の篠原さんに注目したい。

篠原さんは農林水産省のキャリアの第一線にいた方で、「環境保全型農業」という言葉を作った張本人だ。農水の人なのに、環境と共生する農業を進めたり、大地を守る会やらでぃっしゅぼーやなど、いわゆる有機農業ネットワークとも近しい、非常に珍しいスタンスの方だった。それゆえに農水省の本道にいづらくなったのだろうか、政治の道に入られた。実は彼を識る人は皆、「いつ篠原さんが前に出てくるんだ!?」とやきもきしていたものだ。僕も、なんで彼を農相にしないんだとズーッと憤っていた。

こんなごたごたの中で「副」として出てくるのはもったいないような気がするが、この国家的な非常事態である口蹄疫(まだみんなそう思ってないみたいだけどね、、、)をスパッと采配していただきたいと思う。

とにかく頼むからおさまってくれーーーーーーー口蹄疫。

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12:35

口蹄疫 とうとう恐れていたことが起こってしまった 宮崎県内ほぼ全域に拡がってしまいつつある。これは、本当に九州全体に波及する恐れがある。 僕らにできることは「予算いくらかかってもいいから封じ込めよう」と言うこと、そして「宮崎県産お断り」という風評被害を無くすこと。

まだ公式ニュースには載っていないと思うが、とうとう宮崎市内を含む数カ所での疑似感染が出たもようだ。ここまでよく保ったとも思うが、結局全域に拡がっている。そして、このウイルスには潜伏期間があることを考えると、まだこれでは終わらない可能性が高い。事態は最悪の状況に向かいつつあるけれども、それは「宮崎県にとっての最悪」であり、それを超えると次は「九州にとっての最悪」、そして「本州」、「全国」に波及する可能性がある。

まだこの口蹄疫の問題を大事と受け取っていないメディアがあるようで、口蹄疫がらみのニュースはだんだん枠が小さくなり、責任問題追及とかそういったところに収束していくような方向性だ。けれども、そん~な話ではないからね。この日本から数兆円の産業がスパッと消えてしまう可能性の大きい話なんだからね。

何かが消えて、新しい何かに転換されるという話しではない。畜産という大きな産業に携わる生産者、ブリーダー、飼料メーカー、配送業者、と畜業者、精肉業者といった人たちのメシの種が瞬間的に消えるということだ。これらに携わる膨大な人数が仕事を辞めざるを得なくなった時、それを吸収できる雇用の口はあるのだろうか?多くの失業に伴い、地域に落とされるお金も減り、消費が減退するだろう。

「たかが畜産という産業が無くなるだけだろう?」と言うくらいの認識しか無い人は、考えを改めた方がいい。いろんな意味でこの国にとって大きな致命傷になる可能性が大きいのだ。

だから、口蹄疫の撲滅については予算はいくら使ってもいいよ、いいから早く封じ込めしよう。という世論はとても重要なことなのだ。政治問題や家畜愛護の問題をどうこう言う前に、まずそこだろう。

そしてもう一つ、宮崎県の経済は畜産以外のすべてがいま停滞している。先日も書いたとおりホテルや旅館は、宿泊キャンセルからイベントの中止で大変なことになっている。飲食店もまたしかり。宮崎県内では自治体の会議までが中止になっているらしい。

それに追い打ちをかけているのが、他地域での「宮崎県産お断り」の波だ。牛・豚肉とは関係のない青果物でさえ、超大手スーパー(名前を書いて非難してやりたいが、さすがにそれはしないでおく)が「半額にしてくれないと売らない」などと圧力をかけていたりする。食肉市場では宮崎ナンバーはお断りとなっているらしい。気持ちは分かるが、、、

政府の補償がどうなるかまだわからんが、牛・豚関係以外には回らないだろうというのが大方の予想。宮崎県人が全員干上がってしまったら、この国の良心が問われるよ、と思う。

この問題は、都道府県どこで起きても不思議はないのだ。自分の住む街にそんなことが起こったらということを15秒でもいいから考えて、スーパーや飲食店に宮崎産のものがあればそれを褒め称え、なければ「なんで仕入れないの?」と詰め寄る。そんなことだけでも後押しになると思う。

ちなみに
同じ九州は福岡の繁華街では、宮崎県産の素材を使った料理が割びきになり、かつその料理の価格の何割かが義援金に廻るというような支援をしている店が100店舗超えているらしい。九州の痛みは九州がわかるってことか。でも本当は、食料の自給にほとんど貢献していない東京のごとき存在が、食糧基地である地方を率先して支援するべきだと思う。

まだ終わってないどころか、これからが本当の危機です。書くことしかできないことがいらだたしい。

ブログを書くならBlogWrite
19:03

2010年06月17日

口蹄疫関連エントリはこちらです。

口蹄疫関連はこちらからどうぞ。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/cat18/index.html
しばらく、トップにこのエントリがくるように設定しますね。

01:35

宮崎県内での口蹄疫への防除態勢の崩れに思うこと 宮崎県内の人たちの緊張が切れようとしており、他方では緊張自体が存在していないという矛盾

文中に赤字で示す部分を追記しました。

本日付の日経新聞では「農水省 口蹄疫に対する防疫指針を見直し」と、なんだかもはやこの件が終わったような記事がでているけれども、まだ拡大しているんですよ、、、昨日、国富町ででた疑似患畜はすべて陽性。

宮崎の知人の話を聞いていた時のこと。

「いま、県内では小さな会合なども延期して、できるだけヒトの移動がないようにしてしまっている。けれどもそれじゃあ、地域の経済が動かない。防疫はできるだけのことをしたうえで、人の移動やビジネスは機能するようにしないといけない」

とおっしゃっていた。

これ、非常に重要な問題だ。今、宮崎県内で起こっている事態は口蹄疫による悪影響の第二段階だといえる。以前にも書いたとおり、畜産とは関係のない仕事をしている人たちまでもが口蹄疫によってダメージを被っている。それも、一週間程度ならともかく、いまや一ヶ月を超えようとしている。畜産関係者はすでに凄まじい額の被害をこうむっているけれども、観光や飲食といった「ヒトの移動」が前提となっている仕事に就く人たちの受ける打撃もきわめて大きい。むしろ、そちら方面へは何の補償もないので、そっちの方が深刻といえないこともない。

そうした畜産関係者以外の人たちが、「ふざけんじゃないよ口蹄疫、ふざけんじゃないよ畜産関係者!」というマインドになってしまうのが非常に怖い。防疫への協力も、長期化すれば「もうやってらんないよ」という人も出てくるだろう。そのいらだたしい気持ちが十分にわかるだけに、どうしたらいいのかと思う。

実際、福岡のTさんからの情報によれば、口蹄疫被害農場に泥棒が入り、備品が盗難されているという状況らしい。

「泥棒は消毒などしませんし、物品がどこへ流れているやら予測もつきません。」

とのことだが、本当にゾッとする。その泥棒行為も、食っていけずやむにやまれずの行為なのだとしたら、あまりに切ない。

だから、「防疫はできるだけのことをしたうえで、人の移動やビジネスは機能するようにしないといけない」というのは正論である。しかし問題は、いまだに防疫がしっかりしていないポイントが多いということだろう。週の初めに、宮崎からの友人を迎えて会食。その際に県内の状況についていろいろ聴いたのだが、うーん、と思うことがあった。

「今日、上京のために宮崎空港に入ったんですけど、どこにも消毒マットや防疫のための設備がないんですよ。せめて入り口に消毒マットを敷いて置くべきだと思うんですけどねぇ」

本エントリ投稿後に、宮崎空港では正面玄関と従業員通用口に消毒用マットを敷いているという情報を教えていただきました。どうもありがとうございました。その友人が気付いていないと言うことは、さりげなくおいておくという状態だったのでしょうか。それはそれで、「もう少し派手にやったほうがいいのではないか」という気もしますね。

それ以外にも、県内の要所と思われるポイントで必ずしも消毒・防疫が徹底されていないような状況だという話だった。確かに気になる。

僕は畜産県に出張にガンガン行かなければならない都合上、できるだけ宮崎に行く時も口蹄疫の発生していない地域だけを選んで行っている。けれども、冒頭の友人の言葉のように、どうも県内でも防疫に対して熱心な地域と層でない地域の温度差があるようだ。鹿児島県の知人の話を聞くと、もうすでに水際防止作戦が発動していて、ものすごい予防的消毒をして廻っているそうだ。おそらく一頭でも発症したら躊躇なく広範囲の殺処分を行うのではないだろうか。

いま、宮崎はもう暑くて蒸してて、ただでさえ不快指数が高い状況だと思う。そんな中で緊張状態を続けていれば、どんなにタフな人間でも精神的に持たないだろう。だからとても「よりいっそうの防疫意識の徹底を、などと軽々しくは言えない。

いったん拡がってしまった口蹄疫に対して、持続可能で効果的な口蹄疫対策をどうすれば講じられるのだろうか、その範となる事例はこの国の過去にはない。だから、いまから宮崎をどう支えられるかということが、周りで見守るしかない僕らの考えるべきことだろう。糸井さんがツイッターでつぶやかれたようだが、「宮崎のものを率先して消費する」というのは、いま直接的にできる一つの取り組みであることは間違いない。

あとは、宮崎産を扱っていないところに疑義を呈するということも必要だろうな。いくつかのスーパーの大チェーンが、宮崎産の青果が売れないからと大幅な値下げ要求を露骨にしていると言う話はいまだにある。「宮崎産」を差別から守ることは、消費者が売り場で「宮崎のものが無いのはなんでなの?応援したいのに」と言うしかないのだ。

どんな大チェーンでも一つの店舗でお客さんが10人くらい「なんで宮崎県産のものがおいてないのよ!」と声を上げれば、それは報告事項として上にあがる。それが多発的に起これば、チェーン全体で「宮崎応援フェアでも開催するか」という話しにつながる可能性がある。不買運動というのは消費者が行使しうる強い意思表示だが、それ以上に強いのは「買う」という行為なのだ。

宮崎県の経済が潰れるということは、このさき、同じように口蹄疫が発生した地域の経済もまた潰れるということだ。人の往来にストップをかけることができない本州に発生したら、文字通り全滅だろう。そうなった時には誰も日本という国を支えられない。まさに国が滅ぶ。

いま発生している宮崎県でどのような防疫をすれば有効で、どのようにしなければ広まってしまうのかということを我々は学ばせてもらっている。冒頭に掲載したようにいま農水省で、防疫指針の改定をするようだが、それは今回の宮崎ケースが発生していなかったら、行われていないはずだ。言い方を変えてみれば、宮崎県が偶発的に選ばれ、身を切るような思いをしながら実体験してくれているとも言えるのだ。だから、彼の地の経済を少しでも支えなければならないと思う。せめてそのことを忘れてはいけないし、マスコミもちゃんとそういう報道をして欲しい。

PS ちなみに僕が宮崎にいくと必ずと言っていいほど食い倒れにつきあってくれる飼料業者さんは、そのお客さんのほとんどが牛と豚の畜産農家だったため、98%の収入ダウンを余儀なくされ、本気で廃業というか業態の転換を考えている。98%ですよ98%。食っていけませんね。

 

13:39

2010年06月30日

口蹄疫との戦いは続いている。先が見えてきたのか?そして宮崎の財政状況が気になる。

宮崎へ派遣されていた某県の獣医師の友人が「自分は今日で終了」という連絡があった。

「今日にもワクチン接種農場の殺処分を終える勢い。携わったものとしてはあと数日残ってケリをつけたいところだが、県から却下されたので帰ります」

とのことだった。このところ公式発表では発生件数がゼロという日が10日間続いていることもあって、終息が見えてきたか?という雰囲気が流れ始めている。報告されていないような事例があったりするのではないか、とか野生動物は大丈夫か、などなど、不安はあるものの、確実に進展はしているようにみえる。

実際、現場で防疫・殺処分を担当していた人たちが言っているのが、「初期の混乱期からずいぶん手順が洗練されてきつつある。やはり日を追うごとに経験値が上がり、それを他のスタッフに伝える手段も講じられているからだと思う。」ということだ。

いま問題になっているのは、家畜自体ではなく、その糞尿の問題だ。家畜は毎日糞尿をうみおとすわけで、口蹄疫ウイルスはその中で条件によっては数日~数十日生き延びる可能性がある。しかし現状では糞尿の適切な処理までは手が回っていない。口蹄疫発生農場には糞尿をシートで覆うなどの処理を始めているが、発生はしていないがワクチン接種をした農家までは手が回っていないのが現状らしい。しかし「なんだ早く処理しなよ」と無責任に言うわけにもいかない。糞尿処理は畜産においてもっとも重労働で、清潔度を守ることが難しい作業だからだ。

畜糞はどんなものでも、産み落とされた生の状態から数日間で発酵を開始する。初期の段階で90度以上まで温度が上がる。このあたりで発酵の状況によってひどい悪臭が発生することが多く、ハエなども寄ってくる。大変だろうが、ぜひ乗り切っていただきたい、と何の力にもなれないコメントをするしかない。作業の大変さを想像しつつ、ほんと、早く終わって欲しいと願うばかりだ。

本日付の日本農業新聞の特集「抑えろ口蹄疫(下)」では、携帯電話にもウイルス付着の可能性があるため、ビニール袋に包んで携帯・使用し、作業後の消毒時に袋ごと消毒液につけることができるようにすること、という実際的なことが写真入りで解説してある。こうしたことも、実際の現場からでないと産まれない話だ。今回の口蹄疫がきちんと終息した段階で、ものすごい防疫技術のデータベースができることだろう。

それはともかく、宮崎県の苦悩はこれからだ。以前に、心配していたとおり、県内で口蹄疫のワリをくって客足が遠のき、深刻な経営難に陥った他産業のひとたちが「俺たちも補償してくれないのか?」という憤りを感じている状況は実際に多いらしい。いろんな話が聞こえてくる。

僕が気になっているのは宮崎県の財政の状況だ。しばらく前に、県の口座に24億円程度しか残っていないという話がきこえてきた。他県の関係者からすれば「それはほぼ何もできないといっても過言でないほど、逼迫した状態」だそうだ。さらに農協関係者から訊いたところによれば、今年度の補正予算等では農林水産業でなんらかの事業が行われる可能性は低いということ。つまり口蹄疫対策でほぼ県の財政を使い切ってしまっているということだ。

まず、今の段階でまだ宮崎県に国からろくにお金が行ってないらしいというところが「?」というところだ。山田農水大臣、できるかぎりのことはするとかいう曖昧な言葉ではなくて、はやく払ってあげなよ。こういう状況が続くと、一部の人がささやいている「参院選で民主党に入れない限り、お金あげないよ」という示威行動ではないのかという噂が、本当なのではないかと思われるんじゃないだろうか?僕はもしかするとそういうえげつない行為をしているのかもしれないなぁ、となかば信じつつあるのだけれども。

18:06

2010年07月15日

口蹄疫終息までまだもう一息、、、 支援の場を見に行った。そして、大手マスコミが語らないことの多さに愕然とした。

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駅弁を食べつつ、鹿児島へ移動。豪雨のため徐行運転となり、40分遅れでの運行となる。温暖化による異常気象の影響は全国的にあるが、とくに南の地方ほどその影響を真っ先に受ける。鹿児島・宮崎は今年、満足に米が穫れるだろうか。穫れはするだろうが、こんなにもめちゃくちゃな日照と風と雨に翻弄されて、一等米の比率は恐ろしいほどに下がるだろう。ちまたには「温暖化など来ていない、錯覚だ」などという人がいるらしいけれども、少なくとも農業生産の分野では間違いなく影響が出ているよ。どんな世界でもアンチなことを言うと世間からある程度認められるものだけれども、そいつはどうだろうかね。

そして頼みの綱の畜産はこんなにも圧迫されているのだから、本当に地方としての力を取り戻すのは大変だと思う。

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鹿児島駅で買い求めた駅弁「えびめし」850円。岡山名物えびめしみたいな真っ黒な焼きめし、ではなく、なかなか美しいお弁当。しかもちらし寿司なのかなと思いきや、ご飯は和風のだしの味。なかなか意外性があっていい。しかも付け合わせもきちんとご飯を食べ勧められる、ちゃんとしたおかずばかりだ。都市部の駅の、不味いくせに1000円する弁当は見習って欲しい。

鹿児島から宮崎へ向かう在来線特急(残念だが新幹線は宮崎に停まらない)が走り始めて20分くらいのところで、家の裏の川というか濠(ほり)の水辺の空き地に、にわとりが二匹いるのでおおおっ?と眼がいった。白色系の鶏ではなく、立派な毛色と模様の、観賞用かと思うようなにわとり。そんな風景、30年前には珍しくなかっただろうに。

さて宮崎駅に着いて、レタス巻き元祖の店 「一平寿司」の村岡さんと合流。

「まずやまけんさんに観てもらいたいところがあるんだ」

と連れて行ってくれたのは、宮崎の繁華街にある商業ビル「カリーノ」。一階には蔦谷書店(ここ、実にセンスのいい本屋である)とタリーズが入っている。この7Fを借り切って「がんばろう宮崎 Doまんなかプロジェクト」という口蹄疫支援のスペースが設置されているのだ。

■がんばろう宮崎! Doまんなかプロジェクト
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http://www.ganbarou-miyazaki.net/
宮崎市橘通東3丁目2-14 よってンプラザ内
e-mail:info@ganbarou-miyazaki.net / tel:080-3902-1420 (休館日を除く)

Doまんなか(どまんなかと読む)は、宮崎市橘通りの商店街の団体だ。活気を失っていた中心市街地でイベントをうったりすることで、地域全体を盛り上げる活動をしてきた。今回の口蹄疫に関して、宮崎県内いや市内でも、まだ常設で口蹄疫関連の情報や支援活動をバックアップする仕組みは、他にないのではないだろうか。もし口蹄疫について関心があり、かつ宮崎を訪れる人にはこのカリーノ7Fを訪れてみて欲しい。

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7階に降りるとまず、左側に設置された特徴的な壁画が迎えてくれる。

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これ、お分かりだろうか。ぐぐっと寄ってみると、、、

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描かれているのは、10万匹の豚さんと牛さんなのである。近くのモニタには、いま殺処分された家畜の数が表示されている。

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数字だけみてもその規模は余りビビッドに伝わってこない。しかしこうやって視覚的に10万匹がどんなものかを観ると、圧巻である。そして「こりゃ、埋却が進まなかったのもわかるよね」という実感に繋がる。

デザイナーさんがこれを作ったらしいが、実に素晴らしいアイデアだと思う。

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中にはいるとこんな風に、防疫状況の写真や資料が展示されている。

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展示されている写真は、まだ見たことがないものばかりだ。さすがに殺処分対象となった家畜の写真などは、いろんな配慮もあってだろうか、展示されていない。

「新聞社さんもいろいろ考えてくれたんですが、やはりまだ出さない方がいいだろうということで。でも、ものすごく好意的で、資料写真を提供していただいているんですよ。」

というのが、ここに7月いっぱい詰める予定の大古殿さん。ちなみに大古殿さんはoblivion dust、ラルク アン シエールのボーカルHYDE BANDのドラマーだった方で、音楽好きの人ならよーく識ってるだろう人である。

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とこんな風にいろんな支援コーナーがあるのだが、僕がオオッと思ったのは入り口近くにある、地元紙「宮崎日日新聞」のブースだ。

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口蹄疫発生からの全ての紙面がここにある。順を追って読むことが出来るようになっているのだ。僕はここで紙面を観て、宮崎日々新聞の情報量と見識に「おおっやるじゃん」と思ってしまった(地元紙だから当たり前といえば当たり前ではあるけどね)。

ちなみに昨日、口蹄疫がらみで全国紙に出ている問題と言えば、ある農家が所有する種牛を殺処分することを拒否し、県がそれを容認し国に対して特別措置で助命して欲しいと直訴している件だろう。全国紙を見ると、まあさらりと「どう考えても宮崎県が駄々をこねてるよな、山田農水大臣の対応は毅然としてオトナだよな」と読んでしまうような論調だ。

しかし、どの新聞もみてみぬふりというか全く追求していないことを宮崎日々新聞は書いている。

■宮崎日日新聞 「激震 口蹄疫」 7月14日付け
「法律と実態、危機意識… 知事と農相深まる溝」
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http://www.the-miyanichi.co.jp/special/kouteieki/index.php?id=1&paging=1

これをみると、この種牛問題を論じた後に、東国原知事がなぜ国に対してこんなにも不信に満ちた言動をするのか、その一つの答えであろう話が載っている。引用させていただく。

「 東国原知事の一連の不満には山田農相の言動以外にも要因がある。口蹄疫対策特別措置法で費用の国負担が「全部または一部」と明記された点だ。12日には「よく国会で通しますよね。どういう見識してんだろう」と怒りの矛先は国会にも向けられた。

口蹄疫対策で県は多額の基金を取り崩しており、国から12月にも交付される特別交付税(特交)での穴埋めを見込んでいる。しかし、特交の総枠は約1200億円。他県で大規模災害が発生した場合などは、それに充てる必要もあり、県が当て込む147億円が全額手当てされるか不透明だ。「県の財政がつぶれる」と東国原知事はこぼす。

山田農相は13日の会見で「違法な状態を、知事はあえてやっているということにしかならない」とあらためて批判。東国原知事は「実態に合わない」と家畜伝染病予防法や特措法の不備を指摘し、柔軟な対応を求める姿勢を崩さない。児湯地域の移動・搬出制限解除予定が16日に迫る中、両者が歩み寄る気配はない。」

つまり、当初 「国がやります」 「金については皆さんが心配しないように」 と言っていたにも関わらず、法律上は「全部または一部」という、訳のわからない表記だがつまり「全部かもしれないけど一部かもしれないよ」的な文言にしてしまった。民主は参院選挙に大敗したけど、その腹いせが宮崎に向けられるかもしれない、なんてことはないよね?ということを東国原知事はツイッターで吐露しているけれども、本当に心配だ。

このような国の対応と両論併記されれば、県側だけがオカシイという認識ではなくなるが、ほぼ全てのマスコミがそういう報道をしていないのはなぜなのだろう。宮崎日日新聞さん、本当に頑張っていらっしゃると思います。せっかく無料でネット上に公開しているのだから、われわれ他地域の人間は、激震地からの報道を観ておく必要があると思う。

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ちなみにこれはPETボトルを切り落として、柄を描いたチップ。これをオーブンで焼くと、、、

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こんなビーズ玉になるそうだ!実はこれ、このスペースに学生が授業のあとに集まって、ボランティアで作っているそうだ。これを300円で販売し、義援金に充てている。

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もちろん僕は3つ買いました。ブレスレッドなんてしたことないけどね、、、(笑)これは着けようと思う。

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このプロジェクトスペースの立ち上げ人お三方。左から大古殿(おおふるとん)さん、村岡さん、そして青年会議所の松田さんだ。なんとこの三人、同級生だそうである、、、

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防疫の現状などがきちんと観られる資料的意味、そして宮崎日日新聞のデータベース。このスペース、しばらく残して欲しいと思う。

口蹄疫終息に向けて、もう一息。ホント頑張ってください。

09:12

2010年08月23日

篠原孝 農林水産副大臣の口蹄疫談話 農政ジャーナリストの会

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農政ジャーナリストの会という組織がある。農と政治に関わるジャーナリストが名を連ねる組織で、僕も長いこと在籍させていただいている。月に一回の勉強会があって、集中的にあるテーマに関する人を呼んで話を聞くのだが、この数ヶ月のテーマは「口蹄疫」。

 

ただし、原則的にオフレコで話を聞くことになっていて、これまでもあまり書けなかったのだが、今回はなんとオンレコ。それも話者である篠原孝さんの希望でオンレコということ。さすがだ。

篠原さんについては過去にも書いたかもしれないが、、、農林水産省のキャリアとしてGATTウルグアイラウンド交渉などに従事し闘った後、農水省直轄のシンクタンクである農林水産政策研究所の所長になられた。いまは普通に使われている「環境保全型農業」という言葉は、この篠原さんが作った言葉である。

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篠原さんが政策研所長だった時代、僕は農産物流通のベンチャー企業へ転職したてで、ある人の紹介で篠原さんに会いに出かけたことがある。そのとき、僕の経歴や話を聞いた篠原さんがまじまじと僕をみながら放った一言に、僕は心底びっくりしたのだ。

「君、うちの研究所に転職しなさい。それがいい。いや、そうしなきゃダメだ!いますぐその会社辞めてて来なさい。」

ムチャクチャである。だって俺、転職したてだもん。 もちろん丁重にお断りしたけど、それ以降ことあるごとに「あのとき来いって言ったのに」と何回か言われた。ホント、ありがたいことである。
(ただし本当に研究員になってたら、いろいろ問題を起こしてすぐに辞めていたことだろう(笑))

その後、いきなり篠原さんが政治の世界に出馬(長野一区)されると聞いてこれまた驚いた。見事当選して民主党議員になられたわけだが、その後は有機農業推進法の立法に関わった以外、農林水産政策にどのようにコミットしているのか、あまり伺えなかった(僕の情報収集が足りないだけだが)。

それが、赤松農林水産大臣体制が崩れた後、いきなりの副大臣招集である。うーん このタイミングでか!とちょっと首をかしげるところもあるけれども、でも嬉しくなったのも事実である。識っての通り口蹄疫の現地対策委員長になり陣頭指揮を執っていた立場から、今回の会では話をしてくれたのだった。

要点だけ備忘録的に書いておく。

※ただし僕の理解が及ばず、篠原副大臣の意図と違うことを書いているかもしれないので、あらかじめお断りしておく。

  • 日本は災害への対応は立派で、国民も心の準備ができている。しかし安全保障がらみは官民とも鈍感。
    • どうも消費者にも官にも食のリスクに備えるという観念が発達していない。
    • 欧米の畜産先進国では、消費者もリスク管理に費用がかかることや、実際に病害が発生してからの規制や防疫には協力する意識が高い。
    • 今回の宮崎では防疫態勢を検討する際、県内の他部署が「全車両の消毒などもってのほか」というように消毒の徹底をしなかったりした。また消費者も途中までは自分の車に消石灰をかけられたりすることに拒否反応を示していた。事態が進むにつれて理解が広まったが、今後は広く国民に理解してもらう必要がある。

 

  • 無視される動物・植物検疫 ・ 人畜共通感染症の脅威にもっと敏感になるべき
    • オーストラリアなどの畜産大国では、他の国で農場に入ってすぐに入国する人には非常に敏感で、入国時に消毒を求められたりする。
    • アメリカのカリフォルニア州では、オレンジなどの柑橘に大被害をもたらすウリミバエが発見された場合、航空機などの乗客は徹底的に荷物検査させられる。考えてみればそれが当たり前。日本はこれまでリスクに対して鈍感だったけど、今後はそうはいかないだろう。
    • 欧米諸国では畜産関連の大学や学部を拡充し、そこで感染症などへの研究を行っている。つまり投資しているということ。日本では削減削減といい、そうした部分を切り捨てまくっている。こうした部分は改めていかなければならない。

 

  • 口蹄疫特措法・家畜伝染病予防法は改正が必要。国の責任を明確化すべき
    • 今回、数十年前に外国の法律を翻訳してできた古い法律がそのままになっていたことで、いろんな齟齬が起きた。例えば埋却地の確保を農家自身がすべきというのは、頭の農家が外に出られない状況ではナンセンス。
    • また宮崎県が責任を負うようなことはあってはいけない。口蹄疫のような重大な伝染病への対応は国が責任を持って行うべきことである。
    • ただし、決定は国がするけれども、実際に現場で動くのは地元宮崎県の人たちである。行動に際しては宮崎県の現場の方々の判断を最優先で尊重すべき。今回、例えば読売新聞が「口蹄疫隠し」のような記事を載せたとき、私(篠原)はそれは違うぞと声明を出した。伝播を最も恐れている現場の人間が「口蹄疫症状ではない」という判断をしている訳で、それを最優先すべき。現場に居ない人間が対策を遅らせるようなことをしてはいけない。
    • 今回、種牛を残すか残さないかでもめたが、公式見解として言えば現行の法律の内容で判断し、速やかな殺処分をすべきだったと思う。ただし個人的には、農家さんとも話し合ったが、残してあげたいと思っていた。
    • 諸外国では黒毛和牛のような特殊な品種が存在しないため、種牛の価値は相対的に低い。だから種牛も他と同様に殺処分することに抵抗がないが、日本における黒毛和牛の種牛の価値は比較しようもなく高い。
    • したがって、特措法や家伝法は速やかな見直しが必要。すでに検討に着手している。

 

  • 日本型畜産の問題
    • 日本における畜産は、唯一の選択的規模拡大に成功した分野。というのは、規模を数千・数万・数十万に拡大しようとしても、法的な規制はほぼ存在しないのである。
    • 日本の畜産は超過密飼育。EUは環境保全の観点から、1haあたりの面積に2頭の成牛、焼く10頭の豚が飼育の限度と定めている。また動物福祉の観点からは飼育時に畜舎内だけではなく外へのアクセスもできるようにしている。そうした考え方はまだ日本ではきちんとなされていない。
    • 昔書いたことがあるが、鹿児島に接岸するタンカーで飼料穀物を運んでくるなら、帰り便には九州地方の過密畜産で出た糞尿を持ち帰ってもらわないといけない。糞尿はチッソ分であり、そのチッソ分はもはや国内の土地に還元できないほどの量になっている。
    • 自給飼料をできるだけ用い、放牧なども取り入れた畜産が日本で実行できるようにしなければならないのではないか。

まだまだいろんな話があったのだけど、僕の耳に残ったのはこんな感じ。中でも最後の「日本の超過密型畜産はオカシイ」というくだりを聞いて、僕は安堵した。

ああ、やっぱり篠原さんは篠原さんだ。この、浮世離れしているとも言われそうな態度を、ぜひ貫いていただきたいと強く願うのだ。

18:36