やまけんの出張食い倒れ日記

晴天の下、高らかに土佐あかうしの産地を巡るシェフツアー開催! この素晴らしきメンツがそれぞれ土佐あかうしと高知食材を得意料理に仕立ててくれた!

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さて、大変長らくお待たせしました、って、半年以上引っ張っちゃったゴメン!

高知県の檮原町に九名のシェフを連れて土佐あかうしを育てる津野山畜産公社に行ったのである。もちろんシェフを連れて物見遊山するだけじゃ終わらない!シェフ達によるすばらしい競演と饗宴が開催されたのである!!!!!!

ちなみに参加したのはこんな奇跡的な顔ぶれだ!

① 五十嵐大輔([銀座 奥田ご出身、和食「香嵐」を銀座に開業)

② 遠藤光宏(先月、銀座小十をご卒業、横浜で独立「光円」を開業)

③ 大下龍一(春日「シチリア屋」で高知のベルガモットを使ったパスタが大好評!)

④ 進藤佳明(ロブション出身、白金「ラリューム」を率いています)

⑤ 高山いさ己(カルネヤ、シシニボタンなど主宰、ステーキ店「NASQUILLO」が話題)

⑥ 長屋英章(話題の渋谷宮下公園最上階にイノベーティブ「SOAK」をご開業)

⑦ 松田美智子(料理研究家・料理道具プロデュース、クロワッサンなど連載・ご著書多数)

⑧ 米澤文雄(TheBurnを昨年末にご卒業、NO CODE開業! 肉グリル&ヴィーガン料理のエキスパート)

⑨ 渡辺幸樹(京都の大人気中華・「大鵬」若旦那、短角牛の稀少部位を使う中華炸裂。綾部市の山奥に「田舎の大鵬」を開業!)

どーですか、素晴らしいメンツでしょ!?

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さあ、この人達がいよいよ、檮原の町役場内にある調理室に集って、あかうし料理をしてくれるのである。事前にみんなに「何作る?どんな部位が欲しい?」とアンケートをしていたので、三谷ミートの三谷専務が準備万端、相応しい肉を用意してくれている。

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五十嵐君は薄切りのしゃぶしゃぶ用スライス!

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進藤君は、赤身の濃い部位のブロック!

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渡辺幸樹くんは、あかうしと黒毛のひき肉!

そうした土佐あかうしの肉に加えて、高知県各所から気になる食材が集まっている。

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これらを駆使して、料理を完成してもらうと言う趣向である!

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さあ、料理開始!

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しっかし、本当にこんな顔ぶれで料理するの、どうなるんですかねいったい!?

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やっぱり、期待していたのは料理人同士の横の繋がりが出来ること。

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もともと知っている同士もいるけれども、おおむねほぼ初見という人達を集めてある。

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それは、料理人同士の出会いによる化学反応を見たいからだ!

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さて五十嵐君、ミョウガを刻みつつ、昆布出しをとっています。やっぱり和食「香蘭」を率いる彼として、出汁は欠かせないと言うことだといいつつ、料理は予想外の方向へ行く!乞うご期待。

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カルネヤ、ナスキロ、シシニボタンといまや売れっ子の高山君は、過去にアクアパッツァ日高シェフや当時レカンだった高良シェフらと共に、あかうしを料理するイベントに参加してもらったことがある!

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今回声をかけたら「もちろん行くっす!」と二つ返事。嬉しかったですねえ。

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その高山君が作るのは「スユッ」。茹でた肉を薄切りにしてヤンニョムなどと食べる料理で、豚肉で出てくることが多いけど、これを土佐あかうしでやってくれるという!

あらかじめトモズネなど、筋のある部位を所望していたのだが、それを薄切りにしたものを圧力鍋で煮て柔らかくするようだ。その鍋中をご覧下さい。

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なんかもう、色々入ってる!すでにスープじゃん! 旨そう、、、

そして、今をときめく米澤シェフ!

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米ちゃんらしい、みんなが見たことないの作ってよ、とリクエストしておいたのである。

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塊じゃ無く、ひき肉にカットしていく、、、どうなるのか!?

そして、今回「ぜひ参加したいです!」と熱望してくれたのが、白山「シチリア屋」の大下さんだ。

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「できれば黄柚子を、、、」というのだが、じつはこのツアーは3月に開催だったので、すでに普通は黄柚子は無い状態だったのだが、立派に美しい黄柚子をJAが手配してくださっていた!

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その果汁を使うのかと思いきや、こんな風に皮だけを切り出している、、、さて、どうなるのか!?

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そして注目の「光円」遠藤君!この時は銀座 小十を卒業し、開店までの準備期間中だ。奥田さんの秘蔵っ子といっていいだろう。「香蘭」五十嵐君の弟分、ここは肉を焼いてもらおうということで、サーロインをガッチリ焼いていただく!

さてこの日、もっとも誰よりも声を出し、そして色んな人につっこみまくり自分でぼけまくっていた芸人いや料理人がこの人!

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京都の中華の名店「大鵬」の渡辺幸樹クンだ。いま彼は、京都の二条駅ちかくの本店ではなく、綾部の山奥に「山の大鵬」を開いている。いま一番いきたい店のひとつである。

この日は「土佐あかうしと、黒毛和牛と、僕がいつも使ってる交雑種の三種の牛肉で、麻婆豆腐を作って食べくらべしませんか?」という最高の企画!

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調味料理もぜーんぶ自分で仕込んで持って来てくれた!

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さあ、これらがフライパンの中に入り油が豆板醤やらトウチやらを炒めるにつれ、調理室内が香りで支配される!

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みんな「こうやって作るのかぁああああああ」と激写!

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なお、豆腐は檮原の、実に堅めで旨そうな木綿豆腐を!

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そして、これは高知県で開催するメリットでもあるのだが、葉ニンニクを使いたい放題である!

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うーーーーーんこれこそ本当の麻婆豆腐!

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ということで、一番味の濃そうな麻婆豆腐がいのいちばんにできあがってしまった(笑)

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料理はすみやかに試食室に運ばれ、試食の段となる。

ほどなくあかうしバージョンも運ばれて、食べくらべ!

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なるほど、黒毛のひき肉を使うと、黒毛の脂の香りも加わってかなり豪華絢爛。そして、あかうしの場合は香りよりもたんぱく質のうま味優位の味わいとなる。面白い!

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さて、高山君のこの姿に何かを思い出す人はいないだろうか。

そう、2010年(なんときっかり10年前か!)の来訪のさいに、彼はこの葉ニンニクをすりこぎで摺って味噌と合わせる「葉ニンニクぬた」を学んだのである!

■4人のシェフが高知で土佐あかうしを料理した、、、家畜市場のセリ見学の後、シェフ達は高知食材とこうやって向き合ったのだ! 前編
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2012/02/2469.html

その成果がここで披露されるとは、、、(涙)

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さあ、高山君の「スユッ」の完成である!

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あの煮込み用の汁だけで旨そう、というスープで柔らかく炊かれたスネ肉にニンニクぬたをのせ、そこに高知のおいしい野菜をまとわせて、うえからまたタレをかけている。

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この料理、あまりの美味に、秒速でなくなっていた!

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こんな風になるのかあ、とみんながよってたかって食べる!

そのころ、調理室の屋外では直火が焚かれていた、、、

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さあ、満を持してネクスト世代の肉焼き番長候補、遠藤君があかうしの肉を焼く!

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ある程度やいたらアルミホイルに包んで余熱で火を入れる、理にかなった焼き方でどんどん肉塊に火を入れていく!

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これが、銀座 小十の奥田さんの懐刀・遠藤君の肉焼きである!

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お見事!!!!!!

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素晴らしき火入れ、日本料理の枠にとどまらない技術である!

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兄弟子分である五十嵐君も「うんうん」と食べていた、、、

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さて、こんなお祭りですからね、この男もガンガン攻めて来ます。

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白金「ラリューム」の進藤君!

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この程よいマーブリングのウチモモを、、、

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うすーく切り出して、、、

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細かく刻んで、、、

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おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ

あ、わかった これ、ハンバーグの元ダネですね?

はい、ここから加熱して、みごとおいしいハンバーグになりました。ということで、諸般の事情で完成写真はありません‼

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さあ、そんな中、イタリア?の中粒米を茹で始めている人がいて、誰これ!?と見回してみると、、、

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この人でした!

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いまや料理人がいちばん気にする料理人、米澤文雄くん!

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何か面白い中東ぽいのを!というリクエストに万全に応えてくれました。

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細かくカットした肉と中粒米を混ぜたものを油でサッと揚げて、、、

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出ました伝家の宝刀、デュカスパイス!

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フムス様のペーストと共に、、、

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いきなり国が変わった!というエキゾチックな味わいと香りである!おいしい~!!!

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さあ、そんな状態をみている高山君がまた動いている。

あっ!

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もしかして、、、、

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そう、ナスキロ焼きである!

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外は炭化してるくらいにガリガリに焦がし焼きに、しかし中は実にちょうどいいあんばいのウェルダンに!

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カリサクの表面と内部のうま味が活性化した味わいが実に印象的‼ここで食べられるとはなあ~

そんな肉焼きどもの動きを見ていて刺激を受けたのだろうか、進藤君!

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ロブショングループで肉マスターとしてならした彼が黙っているわけがない。

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やっぱり絶妙名肉焼きを披露してくれたのである!

このとき、おそらく米澤くんだと思うんだけど、中南米のアサード料理に欠かせないチミチュリソースをつくってくれていた。

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こいつを乗せて肉を食べるともうヘブン!!!!!!!

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さあ、そして試食ブースに素敵なしつらえが。

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料理家の松田美智子先生が、土鍋を持ち込んできてくださったのである!

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「あのねやまけんさん、土鍋で焼くとフライパンで焼くよりもふっくら焼けて、おいしいのよ」

えええええっ それ、ぜひ実演していただけませんか?とお願いしたところ、ご快諾をいただいたのだ!

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この土鍋、松田先生がプロデュースする「自在道具」のひとつで、香味焼き鍋という。この厚みがスゴい!

この厚みによって、遠赤外線効果が発生し、火の入り方がまったく変わるのだ。

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じつは僕は、松田家にお呼ばれしたとき、この土鍋で焼いた肉と、炭火グリルで焼いた肉の違いを食べくらべた。炭火だって遠赤外線あるよね、と思っていたが、なんとこちらの土鍋焼きのほうがあきらかに肉の細胞全域にじんわりした火が入っており、ふくよかでおいしかった!

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ちなみにさすがだと思ったのは、松田先生、みんなが料理の準備をしている中で、一人だけ直売施設「とさの里」で買い求めた花や木の枝を活けてくださった!

「やっぱりしつらえも大事じゃない!」

いやまったく仰るとおりです!

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多くの人がこの土鍋焼きの効果を思い知ったはずだ!

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この土鍋に興味あるかたはぜひ松田先生のWebをご覧あれ!

■自在道具
https://www.m-cooking.com/cookingitem/

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さあ、たんぱく質が続き、ちょっと炭水化物欲しいなと思ったところで、シチリア屋大下シェフが満を持して動く!

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なになになになにこれ!?

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「これはですね、パスタを茹でて、柚子を加えて、茹で汁ごとマンテカーレして仕上げようと思ってます」

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みよ、このネットリパスタ茹で!!!!

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マンテカーレマンテカーレ!

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あの大量の柚子皮を入れて!!!!!

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大注目のなか、完成!

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みてください!

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こんな美しいパスタ、あり!?

じつはこのパスタ、シチリア屋では高知産ベルガモットの皮で造られているスペシャリテなのだ! ただしこの時期、どうやってもベルガモットは手に入らない。ということで柚子皮でやったのだ!

「シチリアではこんなパスタの作り方するのか!」とシェフ連中も驚きの一皿であった!

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さあそんな中、怪しげな動きを見せるのが五十嵐君だ。

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弟分に手伝ってもらって、高知の茶を(たしか碁石茶だったか!?)煮出したのを漉している。

かと思えば、和食の基本である一番出汁をそこに加えた!

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そのお茶出汁を調味して、なんとトロトロにとろみをつけている!

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この中にあかうし薄切り肉ををしゃぶしゃぶと。

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その上に、なんと美しくナバナを散らして、、、

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さきのトロトロ出汁をかけまわして、、、

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もうみんなたまらず激写である!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

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出ました、ぜんぜん「しゃぶしゃぶ」なんて簡単なものじゃないじゃん!

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いやーーーーーーーこの料理とてつもなくおいしかった!また食べたいよ、香蘭で出してよ!

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檮原町長、三谷ミート専務、うなりながら食べておられました。

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さあ、肉肉肉ばっかりたべていたから、ちょっと胃が疲れたな、そういやデザート無いんだっけ、、、と思っていたら!

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この長屋シェフが飛び道具!

「僕、じつはシェフ兼パティシエでもあるんですよ。みんなが肉焼くだろうとおもって、僕は甘いのでいきます!」と。

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なんて、素敵なデセールが!

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しっかり柚子風味が乗ってます!

これにて全員の料理が完了!

素晴らしかった!!!!!!!!!!!!!!

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町長も大喜び(だったと思う)。これだけのシェフがよってたかって檮原生まれ、檮原育ちのあかうしを料理してくれたんだもん。

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それより最高だったのは、やっぱりこんなすばらしい面々が繋がれたこと。コロナもなんとかなってきたし、来年は君たちの年だ!

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という、会が無事終了した後、二次会がホテルちかくのお店にて開催されたのだが、、、

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ここでも座の中心はなぜか大鵬・渡辺幸樹クンだったのである。

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楽しい夜だった。みんな、遅くなってゴメン、本当に思い出すだけで嬉しくなる体験でした。ご馳走様でした!