宮津に降り立つのは今年の2月に引き続き二度目だ。京都府、ではあるが、日本海に面したこの地には京都駅からさらに特急で2時間かかって辿り着くという長旅で、座りすぎで腰に少し負担がかかることは否めない。プラットフォームに降り立ち、週刊アスキーの連載用に「やっと着いたぜ」カットを撮影。

改札をくぐると、飯尾醸造の五代目見習いの飯尾彰浩君が迎えに来てくれている。

「どうも、お待ちしてました!」
飯尾醸造は、何回かこのブログでも登場しているお酢を醸造する蔵だ。日本では本当に少なくなってしまった静置醗酵という手法でのお酢作りを守る蔵である。その跡取り息子の彰浩君との出会いは、昨年中に仲間の農業経営者達と実施した「就農塾」である。彼は就農塾に応募し、第一期生として毎回宮津から上京し、20回の講義を修了したのだ。塾への参加応募のメールをみた僕は驚愕した。
「こ、これって、、、富士酢の醸造元じゃないか!」
「富士酢」は、自然食品店やオーガニック系のスーパー等では必ずおいてある名門酢である。僕も藤沢で一人暮らしをしていた大学時代に愛用していた。独特の濃く強いパンチの効いた香りがする酢で、当時はまっていたウルメイワシの酢じめに使うとビシッと決まったものだ。その富士酢の醸造元が、我々の就農塾に、、、
ぐわっ
ダメだ、あんなオーガニック系のお酢の雄といえる存在がいらっしゃるような場では、、、
と思いながら数回メールを交わしたが、「お酢の原料米を契約農家さんと、蔵の人間で栽培しているのですが、それに少しでも役立てたい」という強い参加意思があり、ご参加いただいた。そして来たのが、当年31歳の若い跡取り息子である彰浩君であったわけだ。実にまじめな性格の男で、なぜか彼が上京している時に僕は東京駅周辺の道ばたで「あれっ?」と出会ったりする、不思議な縁がある相手なのだ。むろんそれは望むところだ。とても気持ちの良い男なのだ。
「やまけんさん、今回まず昼食に、この町でかなり人気を集めている洋食屋の「精養軒」にご案内します」
上野精養軒と関係があるのか無いのか定かではないが、路地の中にひょっこり現れたその店は、いい感じに煮染めた感と、なぜかギリシャ遺跡ような意匠の石柱を持つ、強烈な印象の店構えだった。

店は通常、二階席から埋まっていくようだったが、二階はすでに満杯で、キッチン横の一階のテーブルに陣取った。メニューを見ると、ABCDの4通りのランチが画用紙に書かれている。この内容がむちゃくちゃ魅惑的なのだ!

「実はメニューの中にはいろんな洋食があるんですけど、ほとんどのお客さんがこのランチを頼むんです。僕はCが好きなんですけどね」
そりゃそうだろう!
Cランチの内容は、海老フライ・ポークカツ・ハンバーグ・チキンソテー・ロースハム・カニサラダ・野菜サラダで1650円である。ゴージャスリッチだ!
「いやー旨そう。でも洋食屋だからきっとハヤシライスも旨いぞ!これ、ご飯をハヤシにできないかなぁ」
おばちゃんに頼むと
「いいですよ、どれかの具をハヤシに交換するか、料金アップでハヤシを追加するか選べますよ」
「あー もうそれは絶対追加で。」
とお願いしたんである。
「この店は、洋食を仕出しするので、冠婚葬祭でよく使われているんですよ。うちの父と母も若い頃にはここによくご飯を食べに来たそうです。」
なんとまあ時の流れの中にある洋食屋だ!
と感心していたら、来た!

いやぁ 最高! ぐあっと迫ってくるこのボリューミーな洋食攻撃!

海老フライはかなり立派な海老で、オリジナルのタルタルソースがかかっている。ポークカツにはカレーソースがかかっており、その下にはチキンソテーが眠っている。ハンバーグは豚肉中心のようで、ふんわり柔らかく美味しい!しかし、何よりいいのは、クリーム系のソースもほぼ手作りのようで、加工食品的な味がしない。
そしてハヤシがまた、いい味出してる!

この、クタッと煮込まれたタマネギ表面に鈍く光る油脂と小麦粉由来のドミソースのテラテラしたテクスチャが佳い! 一口匙で口に運ぶと、トマト香りと甘さ、そしてドミソースの、深すぎない旨さ。ここで徹底的なドミソースだと、重すぎて高級洋食になってしまうのだけど、ほどよい深さでイイ。
「いやぁ~ 旨いな、旨いよ!」
とはしゃぎながら食べていると、おばちゃんが「そんなに喜んで貰ってどうしよう、あれ、出しちゃおうかな、、、」とつぶやきながら、厨房からカレーソース入れにベージュの粘性のソースを入れて持ってきてくれた。

「これね、自家製マヨネーズ。本当はこれ有料なんだけど、おまけするから食べてみて!」
おおっ
自家製マヨネーズは僕も作るが、ここのは非常に白い!生クリームを入れているか、油脂分を多めにしているのか、上品に白くトロトロした流体となっている! これを野菜サラダにかけて食べると、強めの酸味と大メーカのマヨとは全く違う切れのある風味、そして口の中にあまり残らない堅さが実にいい!
実はこの店、創業から55年経つという。初代が和食をしていたそうだが、途中から洋食店に切り替え、成功したそうだ。以降、万博の時にちょっと改築し、あとは壁紙の張り替えなどはするものの、基本的には変わっていないらしい。
「もう本当にね、真心で手作り。タンシチューなんか最高に美味しいわよ!今度来たときにたべてみてね!」
と言ってくれる。よしゃ、次回はぜひ!
会計をして次に向かうのは、あまりにも有名な日本を代表する観光名所の一つ、天橋立(あまのはしだて)だ。おみやげ屋さんや飲食店の並ぶ参道付近は、ウィークデーの中途半端な時間ということもあり、それほど混んではいなかった。
一週間が早い、、、
明日から日曜日まで、京都府宮津市の飯尾醸造で、お酢の原料米の稲刈りなどを観に行ってきます。

実は飯尾醸造には今年の2月、まだ雪がちらちらと降っている時期に仕込みの見学をさせていただきに行っている。しかしチャンスを逃してブログに書けないまま今に至るのだが、ようやく今回の取材と連結させて、壮大なお酢ロマンを書けるゾ!
ちなみに、飲用のお酢が人気だそうだ。確かに黒酢の清涼飲料水などをよく見かけるが、、、
それを買っている人は、その原料酢がどんなお酢だかをきちんと調べて買っているのだろうか。
安いお酢は、穀物などの原料コストを抑えるために、醸造用アルコールをぶち込んでいる。また、本来はアルコールが酢に変わるまで静置しておいておくと、熟成に4ヶ月くらいはかかるものなのだけど、タンクにエアーを送り込んで強制的に醗酵を促し、1週間くらいで酢にしてしまう。そうしてできた酢は、ツンとした刺激があるものの、旨みの含有量が少ないものだ。
実直に昔ながらの酢を作っている、「お酢バカ二代」がどんな仕事をしているのか、きっちりと観てきたいと思う。
ちなみに京都府とはいっても、日本海側の宮津には京都駅から2時間かかる、、、
遠いぜ。
サツマイモの時期がやってきた。

一部では話題になったが、実は昨年2005年は、甘藷(かんしょ)が琉球に伝来して400年、それがサツマイモとして鹿児島に伝来して300年という記念すべき年だったのだ。
サツマイモは乾燥に強く、痩せた土壌でも育つ(というより、肥沃な土壌では上手く育たない)ため、救荒作物と言われてきた。事実、青木昆陽が江戸時代に幕府に進言して、栽培方法のパンフレット(おそらく和紙だったろうけど)まで作って各地に伝授した結果、サツマイモのおかげで飢饉を乗り切ったという地域が多数あったという。
当然、第二次大戦時中にもサツマイモは優先的に作付けされ、主食となったわけだ。そのせいか、今でも、戦時中にサツマイモをいやと言うほど食べてきた人は「みるのもイヤなんだ、、、」とおっしゃることが多い。これは戦後に育った僕らにはわからない感覚だが、非常に重みを感じる話だ。現代人は太陽が明日も昇るがごとくに食料が潤沢に供給されると思いがちだが、自給率40%(穀物に関しては25%程度。これは先進国では最下位だ)のこの国では、国際的にバランスを欠けばすぐに輸入が寸断する可能性を秘めている。また芋が重要になってくる可能性もあるわけだ。
とはいえサツマイモの世界も非常にバラエティに富んできた。
鹿児島県を中心に、サツマイモ新品種は多数産み出されている。
通常の生食用品種のみならず、βカロテンを含む、ニンジン色の品種や、アントシアン色素の紫色の芋、干し芋専用品種などかなり面白い品種が世に出ている。
が、そうした新品種がスーパーなどの店頭で、明確に名前を付与されて売っているのをあまりみないのはなぜだろうか、、、ある種小売業者の怠慢ではないかと思う。
この国では「○○金時」と呼ばれる芋が多いが、その多くは高系(こうけい)14号という、この国の生食用サツマイモのスタンダード品種か、その系統をくむ品種である。この味ですり込みができているためか、なかなか高系品種にバトンタッチできないでいるという状況なのだ。
でも、店頭でも新品種芋の性質をきちんと説明するPOPをたてて販売してみれば、面白そうだと手に取る人もいるだろう。そろそろそうした努力をして、新しいマーケットを創り出すべきだと思う。
個人的には、「クイックスイート」という品種を推している。実は僕は芋はそれほど好きではないが(ここまで書いてなんだ!といわれるかもしれないが)、そんな僕でも美味しく食べられた。純粋に糖度だけでみればベニアズマや高系14号の比ではないと思う。
さて
関西では「○○金時」が主流だが、関東では少し事情が違う。千葉県でメインに作付けされている「ベニアズマ」が主流品種となっているのだ。
ベニアズマは高系14号に比べると長細い姿形になりやすく、焼き芋には使いやすい。石焼きや蒸かしで加熱したときの食味はネットリ感と甘味が強く、骨太な味を楽しめる。ただし、果肉がやや黒ずむ傾向があり、見た目を気にする料理用途では使われないことも多い。

個人的には、ベニアズマの石焼き芋は最高に旨いと思う。高系14号の代表ブランドである鳴門金時は、徳島県鳴門市に特有の砂地土壌で栽培されるという特殊条件のせいか、上品で美しい香りがする。サツマイモの女王という感じなのだが、ベニアズマにはそういう美しさよりも、野太いコクがあるのだ。
どちらを好むかは人によって違うので、金時好きにはごめんなさい。
で、このサツマイモ、レンジでチンでは美味しく食べられない。芋はデンプンが糖に変わるので甘くなるわけだが、サツマイモのデンプンが糊化(こか)して、βアミラーゼという酵素が糖に変化させるのには60-75℃くらいの温度帯をしばらく保ってやる必要がある。電子レンジは内部温度を一気に上昇させるため、このじんわりした温度帯がないのである。従ってぼそぼそと旨くない芋になってしまう。
ちなみに先述した「クイックスイート」という品種は、レンジで加熱しても美味しい芋になるそうだ。これは、糊化する温度が50℃程度からと範囲が広くなっているからだそうで、理屈としてはその分レンジ加熱でも糊化する率が高まるから、、、だと思う。
まあしかし
面倒かもしれないが、家庭では蒸しをお奨めする。蒸し器がないひとでも、普通の鍋に入れる金属製の蒸し網などを使えば大して面倒ではない。秋の味覚を味わうのだから、一手間かけてみようではないか。

昨年もお世話になった大分県臼杵市からカボスが送られてきた。
大分におけるカボス伝来の土地で、とにかく市長さんが率先してカボス振興に取り組む産地である。
みての通り、晩夏から収穫する緑色のカボス。過去ログにも書いてきたが、これは実はまだ未成熟な青い段階で収穫したものであり、樹のうえにおいておけば冬には黄色に成熟する。これはスダチも同じだ。緑色のままで成熟するということはないのでご注意を。
ただし、柑橘を若採りすると、香気成分が非常に強くでるので、香りを楽しむ分にはいい。成熟すると香りは穏やかになり、その分、味の深みが増してくるのだ。そう言う意味では、先鋭的な香りを楽しむタイミングは今だ。
カボスやスダチの香りを楽しむ食べ方で、この時期のベストの組み合わせと言えば、、、
やっぱりこれしかないだろう!

昨年に引き続き今年も秋刀魚は大豊漁のようだ。いままさに太平洋側を南下している秋刀魚は、これから数週間の間にますます肥え太り、旨くなる。DHAやEPAといった身体によい成分を多量に含んでいるが、そんなのがなくたって良質の脂を採ることのできる素晴らしい食材だ。しかしその味は旨みの傾向と脂の濃さから、酸味と辛みがあるともっと際だつものだ。辛みはダイコンおろし。そして酸味は、、、レモンを足すところが多いが、輸入レモンは香りと深みに乏しすぎる。ここはぜひ国産のカボスかスダチを添えるべきだろう。

この日は、NHKの放送でも秋刀魚を扱ったため、カボスとスダチという、香り柑橘の両巨頭が揃った。ベリーゴージャスリッチだぜ!
カボスとスダチを一緒に食べるとよくわかるのだが、全くの別物的性質である。スダチはなりが小さいのに、独特の清涼感と高貴さを感じる香りだ。門前仲町の寿司処 匠では、白身には天然塩とスダチを使うが、スダチでなければならない理由というのがわかる。料理を上品に際だたせるのだ。対してカボスはスダチよりも庶民的な味と香りといっていいかもしれない。スダチより物理的に大きいため、果汁をたっぷりかけると酸味が際だつ。香りはスダチのようなとんがりはないが、レモンよりも秋刀魚の身肉に寄り添う感じがする。
どちらにせよ旨い!
これから週2回は秋刀魚を食べようと思う。
それと、カボスの楽しみといえばこれ。

味噌汁に絞り入れる!
もしかするとこれこそ最高のカボス料理なんじゃないだろうか、、、
完熟カボスの時期が待ち遠しい。
折良くも、10月4,5日は大分県に講演&講習で出張だ。今回は何を食べられるだろうか。ふっふっふ
一点のみ。
車でお越しになる方は、必ず「お酒を飲まない、運転担当者さん」を連れていらっしゃるか、もしくはご本人がお酒を飲まないようにしていただく必要があります!
飲酒運転の罰則強化から、オフ会自体が「酒酔い運転を幇助した」と見なされると、今後会を行うことができなくなってしまうかもしれませんから、、、
この辺、私自身には法律知識があまりないのですが、とにかく車でいらっしゃる方はご留意いただき、法規を守っていただくようお願いいたします。
、、、とはいっても、まだ車でという方はほとんどいらっしゃいませんが。
ちなみに昨日から今までで55名程度のお申し込みいただいてます。
静岡からの連絡で、東京側でもう10名程度増やしても大丈夫だとのことでしたので、定員70名程度。まだ余裕はあります。
今回はご家族やご夫婦が多いようですね。楽しみです!
上記をご指摘いただいた札幌のOさん、ありがとうございました!
10月22日(日)に開催される富士宮オフ会の募集を開始します!
で、過去数回オフ会を開催していますが、このような現地集合型オフ会でご注意いただきたい点を書いておきますね。
まず食い倒れ日記のオフ会は、お客さんとなって楽しむツアーではありません。
真摯に食に関わっている生産者や食品事業者の皆さんが、採算度外視で「富士宮の食を県内外の人たちに知って欲しい」という気持ちで提供してくださるものです。参加費を観ていただければお分かりの通り、確実に赤字になる会です。ちなみに、スタッフとして運営をしていただく方々は皆さん完全ボランティア。県の職員の方であったり、民間企業の方であったりと様々ですが、自費で参加し、来場する人のために運営をしてくださる方々です。
そうした人たちの気持ちをきっちりと受けとめ、食を通じた佳い交流を出来る方のみご参加ください。サービスではなく気持ちの交流をする、という方にのみご参加いただきたいです。この辺は、ご友人等を誘われる場合にも、きちんと伝えていただければと思います。幸い、これまでのオフ会はこうしたことをきちんとわかってくださっている人に参加していただいています。今回もぜひ、佳い会にしましょう!
「やまけんの出張食い倒れ日記オフ会IN富士宮」
<富士山の国・食の交流会>
<目 的>
ヤマケンのプログファンの方々に、食材王国「富士宮」を食い尽くしてもらい、食を通じての交流、富士宮市の食文化の情報発信を図る。
<概 要>
日 時:2006年10月22日(日) 10時~16時
場 所:静岡県富士宮市「まかいの牧場」
主 催:(株)グッドテーブルズ、富士宮市フードバレー推進協議会逸品会
募集人数:120名(首都圏60名、静岡県内60名)*応募の関係で増減有り
交通手段:
※今回、東京駅からのバスチャーターはしません。かなりの混雑で5時間以上乗り続けることになることが予想されますので、、、 なので、新幹線等で新富士駅に集合とします。
①新富士駅集合後、バスで現地へ移動。(9時出発)
②自家用車の場合は現地集合
参加費:5,000円(新富士駅までの交通費除く) 子供(小学生以下)半額
+新富士駅~現地までのバス代1000円
持ち物:エプロン、ビニールシート、ビニール袋(手提げ)
内 容<仮>
(1部) 食づくり体験(アイスクリーム・バターなど)
(2部) 食の青空サミット(食育を考える、食による地域おこし 他)
ヤマケン VS 小室富士宮市長
(2.5部)富士宮新名物<富士宮親子丼>お披露目会
(3部)大昼食会(飲めや歌えの大宴会)
「食の集い」 富士宮の味を食い尽くせ 司会:岩澤(仮)
(1) 乾杯:富士宮市フードバレー推進協議会会長
<主な食材>
地酒(富士高砂)、地ビール、富士宮やきそば、駿河シャモ、朝霧牛、朝霧放牧豚(ルイビ豚)、乳製品(チーズ・アイス等)、ニジマス(マスバーガー等)、茹で落花生、有機高原野菜、 その他
*屋台方式によるバイキング
(4部)牧場探検、ジャンケンオークション
応募者は下記を明記の上、off1@goodtables.jpあてにメールでご連絡ください。
メールの表題: 富士宮オフ会参加
内容:
・御名前
・参加希望人数(お子様の参加有無も)
・交通手段(新富士駅からの送迎バスを使うか使わないか)
・一言アピール
応募期日はいちおう10月6日とさせていただきます。
さあて こんなに大きい規模の会はそうそうできないので、ぜひふるってご応募くださいね。

さて今回のオフ会会場は、富士宮の朝霧高原にある「まかいの牧場」である。
■まかいの牧場
http://www.makaino.com/
ここ、非常に大規模なロードサイドの観光牧場で、敷地も広く、そして施設も充実しまくり。かなり成功している商業施設だが、園内に入ればしっかりと緑地が広がっていて、なにせ多人数イベントにはもってこいの場所である。
「やまちゃん、この屋根付きのイベントスペースで学校形式で試食をしたらどうかと思うんだよ」
と岩澤さんが仰るのだが、巨大テントの下にずらりとテーブルがならぶ施設内よりも、屋外で芝生を楽しみながら美味しいモノを食べた方がきっと気持ちがいいだろうと思った。
「外でやれませんかね?」
「外かぁ、、、うーん、やれないことはないね!」
ということで、冒頭に掲載した画像のように拡がる屋外スペースで、飲めや食えやの大食材大会を催すことにしたのである。
さてまかいの牧場にて軽食をいただいた後、いよいよ今回のメインイベント的なものを観に行ったのだ、、、
それは「放牧豚」だ。
放牧豚がどんなものであるか。過去ログをごらんいただきたい。
■ぼんぼり京橋店に放牧豚を持ち込んで食べた!http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2006/02/post_755.html
通常、豚は豚房とよばれる施設内で飼育する。子豚が生まれてから体重によってグルーピングし、生育ステージごとに、生育度合いをみながら群を組み替え、そして肉豚として出荷可能な日齢に達したところで出荷する。商業養豚の世界ではこの間、外の世界に放たれることは滅多にない。
放牧豚とは、読んで字のごとく放牧で飼われた豚のことだ。電柵などで囲った一定面積以上の土地の中で豚を放し飼いするのである。放牧豚はその空間内に生える草や虫、小動物を食べながら育つ。むろん、通常と同じ濃厚飼料も給餌するが、その量は豚舎内で飼うのとは大きく違う。そうして放牧された豚は、あまりサシの入らない肉となる。そして、全ての放牧豚がそうなのかはわからないが、僕が味わったものに関していえば非常に肉質がきめ細かく、素直で臭みのない味だった。多くの関係者が指摘するのは、放牧豚にはストレスがあまりかからず、それが肉質に反映されているはずだということだ。僕もその影響が大きいのだろうと思う。
この放牧豚の世界を代表する一人が、富士朝霧で放牧場を立ち上げてきた松沢さんだ。

僕が以前にいただいた放牧豚の肉も、彼が育てた豚だった。放牧豚という、技術的になにも日本では蓄積のなかった分野を、一から切りひらいてきた開拓者である。残念ながらこの日、松沢さんは不在だったが、その放牧場をじっくり見学させていただいた。

豚は臆病な生き物なので、人間が近寄ると怖がるのだが、この放牧場の豚たちはヒトをあまり怖がらないようだ。近くまで寄っても恐慌をきたすことがなかった。
残念ながら僕には見た目で豚の品種を言い当てるほどの蓄積がないが、通常の肉豚品種であるLWDだけではない、毛並みの違うヤツが数匹いることくらいはわかった。
「ふふふ ヤマちゃん!今回はものすごい豚を食べることが出来るよ! 静岡県内でも有数の種豚業者さんが味方についてくれたからね!」
種豚とは、オスの、精液つまり種を提供してくれる豚ちゃんのことである。通常、豚は人工受精ではなく自然交配(つまりエッチ)をさせるが、ここ富士宮には人工受精を目的として多種多様な世界の豚品種を飼っているところがあるんだそうだ。それが(農)富士農場サービスという会社だ。

ここには、獣医師であり畜産の育種研究技師である岩澤さんでさえも「みたことないよ」という世界の豚品種が多数、飼育されている。従って、無数に飼っている世界の品種を掛け合わせて、新しい肉質の豚を産み出すことが出来るのである。
「はい、そうした中で最もうちがお奨めするのが、「LYB豚」。これ、「ルイビトン」と読みます(笑)」

なぬ? ルイビトンとは恐れ入ったが、LYBという組み合わせは僕も初めて訊く。
「これはですね、ランドレース(L)の♀と中ヨークシャー(Y)の♂を掛け合わせて生まれた♀子豚に、バークシャー(B)の♂を掛け合わせた三元交配の豚です。」
ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
LYB!
これはものすごい交配である。
ランドレースは、今日最も一般的な肉養豚品種だが、それに中ヨークシャーをかけるというのがすごい。中ヨークシャーは、いまは失われた血統といわれる神奈川県の「高座豚」がたしか中ヨークシャーだ。これを復活育成している養豚場で肉を食べさせていただいたことがあるが、絹のような女性的・美麗な肉質であった。
「そうです女性的な味なんです。しっとりとして甘味がある。この食味は本当に素晴らしいんですね。そしてそこに、食感と濃厚な味が人気の黒豚用品種「バークシャー」を掛け合わせたわけです。」
そう、中ヨークという女性的な上品な食味の品種に、野趣のある肉に濃厚で芳醇な脂身をもつバークを掛けるという、なんとも贅沢な三元豚。これは本当に贅沢である!
「こ、この豚をオフ会で出してもらえるんですか?」
「ええ、すでに松沢さんのところで飼って貰っていますから、10月22日には万全の状態で出せると思いますよ!」
おおっ さっきの放牧場で観たあの豚たちの中に、LYBちゃんが居たのである!ぐわー眼で確認したかったぁ!
どうだろうか?こんなLYBという、一つの究極といえる組み合わせの豚を食べられる機会は滅多にない。きけば、やはり大規模に流通している事例はないそうだ。そりゃそうだ、おそらくLWDのようにどんどん太って、バカバカと子供を産み、頑健に育ってくれるという品種ではないだろう。畜産農家からすればやりにくいに違いない。
しかもそれの放牧豚である。あまりにもレアな機会といえるだろう。
骨付きロースを炭火で炙って、塩を振ってかぶりつきたい!ぬあっ 食欲がっ
と、荒れ狂う胃袋を押さえ込みながら富士農場サービスを辞する。実はこの日、社長さんが不在のうえ、農場で子豚が一匹逃走した(笑)らしく、場内の人たちが探索にでかけている大変なときだったのである。お騒がせしました、、、
さてこの日、夜に講演を三島でする必要があったため、時間をみながら移動。
「ちょっとソフトクリーム食べていこうか」
と、ちょっと街道を奥にはいったところにある直売所のある牧場へ。当然ながらジェラートやソフトクリームが売られている。
「ちょっと食べてごらん。その辺の道の駅なんか吹き飛ぶ旨さだよ!」

一口舐めて、それは本当のことだと激しく実感!
ジェラートはもともと脂肪分を外から加えないヘルシーな造りだが、それだけに生乳に含まれる乳脂肪の質で味が決まるといっていいだろう。このジェラート、牛乳特有のミルキーな風味が濃厚に感じられたあとにスゥッと風味が消えて、切れのある甘さが残る。質の悪いアイスようなベタッとした油分やクドさが全く感じられない!
「ここもジェラートを出してもらえるように交渉してみようかね」
ぜひぜひぜひぜひ!
正否が決まるまで名前は控えさせていただくが、農家直売のアイスクリームでこれまで食べた中では最高峰に旨い一つだと思ったのである。
「さてさて これ以外にもたぁくさん、フードバレー推進協議会の人たちの作物があるんだけど、一日じゃ回りきれないから、あとはオフ会会場でのお楽しみとしようか」
そうですね。富士宮には本当に色んな食材があるので、こうして現場を回っていると1週間以上は欲しいくらいだ。講演もあるので在来線の駅へと向かう。
しかし!
俺は富士宮焼きそばが食べたい。
どうしても本場の富士宮焼きそばが食べたい。
「ええ!? もう昼時も過ぎちゃったからなぁ、、、うーん じゃあ俺たちが地元で旨いっていってる店によろうか」
と青木さんが、地元でも評価の高い店に車を差し向けてくれるが、、、
「ああぁ~ 定休日か!」
なぜかその日に限ってふられるのである。焼きそば屋さんはたくさんある。しかし、地元の人がこれぞと思う店はそんなにないのだ。
「まあ、地元の衆は食い飽きてるくらい食ってるからね。味がいいとかそういうことより、食べ慣れた味かどうかが問題なんだよ」
というが、、、 このまま食わずに帰るのか?それはあまりにも悲しい。
しかしぐるぐる富士宮を回って疲れても居たので、半分あきらめた。その矢先!
「おおっ ここがあった! ここの焼きそば旨いですよ。よっていきましょう!」

店の名前は大阪屋であるが、純然たる富士宮焼きそばを出してくれる店だという。
ありがたいことに店内には鉄板とオババの最良な組み合わせが!ぐあっ嬉しい!

もう速攻でミックス焼きそば大盛りである。
おばちゃん、麺を炒め、ヤカンにはいった水かスープかを回しかけると、ブワッと蒸気が上がる。

肉カスが投入され、ソースが混ぜ込まれ、だし粉と青のりをかけられ、目玉焼きをのせて完成されたのがこれだぁっっ

ぐあーーーーーーーーーーーーーー
もう書いてて腹が減ってくる! 現在時刻17:25だが、無性に焼きそばが食いたい!

富士宮焼きそばの麺は中太でストロングな麺である。これに肉カスの旨み、絶妙なソースが絡み、だし粉と青のりが風味を添えるのだ。

推定時間3分ですすりこむ。 旨い!
「富士宮焼きそばはね、絶対に出しますよ。ご安心ください。」
よっしゃあああああああああああああ
何はなくとも焼きそばである。
究極の富士宮親子丼、LYB豚のBBQ、そして富士宮焼きそば。それだけでもいいやって思うくらいなのに、それ以外にも目白押しの旨いもんがならぶオフ会なのである。
時間がないのでここでアップするが、いよいよ募集にかかります。東京からは60名です。複数人数参加OK(ただしキャンセルは勘弁してくれー)。いまからご準備を!

9月23日、小池君と、お相手の麻美ちゃんの結婚式である。場所は東京の丸ビルの高層階!こんなに見晴らしのいい結婚式会場もそうないだろう。

式の15分くらい前から、だんだんと人が集まってきた。お馴染み、東京バルバリのスタッフの面々もエスカレータを降りてくる。この日の一つの焦点は、いつも東京バルバリ1Fでボルサリーノ帽をかぶって仕事をしているテッペイが、果たして結婚式も帽子をかぶってくるかどうかということだったのだが、、、

あっさりとかぶってきたのであった!
スタッフは、この写真先頭の池田君、テッペイ、その後ろにいるのが、イケメンだけど仕事開始時間に間に合うように起きることができないリュウイチ。そしてオーナーである小林さんの4名だ。

テッペイと池田君がいつもかけていないめがねをかけている。あれ?と思ったら、
「いや、二人ともダテめがねです。頭良さそうにみせたいんで」
ということであった、、、

結婚式は人前式形式で執り行われた。写真を撮るために席を立ってふと後ろをみると、、、
そこに白い蝶野が居た!

し、白タキシードかよ!いったいなんの職業の人かわからないじゃないか!
迫力満点の入場をする小池君だったのである。
この白いタキシードについては嫁さんとこんなやりとりがあったそうだ。
「俊ちゃん(小池君のこと)、もう秋だし、茶色のタキシードとかがいいんじゃない?」
「いんや、おいはぜーんぶ白がよかと!」 (←彼はプライベートでは佐賀弁らしい)
そして試着をした時、にやっとして彼はこうつぶやいたそうだ、、、
「ふふっ 矢沢や、、、」
知らなかった。矢沢ファンだったのか、、、

それとは好対照に笑顔のまぶしい麻美ちゃん。お似合いの二人だ。本当によかった、おめでとう!

さて披露宴は、丸ビル36Fにあるレストラン「モナリザ」である。日本のフレンチシーンではあまりにも有名な先達、河野シェフの名店だ。

「河野さんの店は、僕の後輩も修行してたんですけど、とにかく厳しい。レベルがあまりにも高すぎるんですよ。でも河野さんのお店で通用した人間はどこに行っても大丈夫と言われるくらいなんです」
と小池君が言っていた店だ。
今回は前日まで小池君が「お願いしますねー」と店に挨拶にいっていたらしく、料理の内容も期待してほしいということだった。なにせ50人以上の人数に一度にサーブをするのだから、そこでどれくらいの味が期待できるのか、そこが楽しみ。


ちなみにこの日のウェルカムボードやメニューのデザインと出力はすべて東京バルバリの池田君の手によるものだ。


実は東京バルバリのスタッフの多くは、飲食業出身ではない。草門去来荘のエントリで書いたように、オーナーの小林さんはいまも現役の店舗デザイナーである。そして池田君はそもそも、そのデザイン会社の社員として雇用された人間なのだが、人材不足ということもあって東京バルバリに回されてしまっているという、そういう状況なのである!(笑) そういうわけなので、ウェルカムボードやメニューは池田君の手によるものです。あっぱれ!
さて料理だが、さすがにすばらしい内容だった!
3人くらいできてコースとして食べるのと全く同じと思える、高レベルで安定した味の料理ばかりだった!
■アミューズブーシュ ツブ貝のジュレ寄せの上にカボチャのムース

■蟹のフランとフカヒレのあんかけ風ロワイヤル

■ホタテのロースト マリニエールソース

■金目鯛と手長海老のブイヤベース

■宮崎産牛フィレ肉のグリエ 季節のキノコ仕立て


これにデザート二種。結婚披露宴の食事で食べられるものとして極上レベルといっていいだろう。
というか、フレンチ界の大御所であられる河野シェフの料理について僕ごときがとやかく言っても意味がない。この日は河野シェフご当人が腕をふるっておられ、そしてなんとウェディングケーキはシェフご自身が運んできてくださっていた。

小池君にもいつか、こんなすばらしい店を創っていただきたいと心から思う。
暖かい雰囲気の披露宴の後、銀座ZSTにて二次会。ここでもどんなかっこ?というミズ玉シャツ。

まさに番長の風格である。
しかしビックリしたのは、佐賀県から大量上京を果たした小池君のご親族、女性陣がみなすばらしい美人ばっかりなのである!ビックリしました。今度ぜひ佐賀県食い倒れを企画したいと切に思いました。
小池君とにかくおめでとう、これからもすばらしい料理を産み出してください。けど、お互い食べ過ぎないよう、身体には気をつけるようにしましょう。末永くお付き合いください。
ちなみに10月22日の静岡・富士宮オフ会には東京バルバリ組、一挙参加である。
いやー
昨日お集まりいただいた皆様、どうもありがとうございました。80人くらいになったようですね。本当に盛況で、すごく嬉しかったです。

話の内容は前半が日本の食と農の現状、そして消費者がどのように行動すれば食の世界を買えていくことが出来るか、そして後半が食い倒れ日記ばなしでした。
八重洲ブックセンターの皆様(+宮崎)、すばらしい舞台をご提供いただき本当にありがとうございました。
すんごいポスターを作ってくださった和田さん、最高でした!
写真家の宮濱ちゃん、かけつけてくれてありがとう!
最後に誠文堂新光社の敏腕編集員・ミソノ氏、いつもほんとうにありがとう。また一冊本出しましょう!
今日はけっこう虚脱状態です。オフ会のエントリ、ちょっとまってね。
もうすでに応募メールが来てますが、もうちとまってちょうだいねん。
告知が遅くなってしまったけど、またもや大オフ会in静岡をやります。今回は、焼きそばで有名な富士宮市!
ある日、電話がかかってきたのだ。
電話の主は本ブログではお馴染み、中小家畜試験場の岩澤さん。
「あのさぁ、富士宮の市長さんがヤマちゃんのブログを観て、『富士宮でオフ会やれ』って言ってるってさぁ。」
と言うことらしいのだ。そもそも富士宮で養鶏を営む青木さんが中心になり、富士宮周辺の食材の生産者さんなどをまとめてやりたいということでまとまったらしい。
富士宮市、、、
なにはなくとも焼きそばが有名なことはご存じだろう。昨年開催された全国のB級グルメの祭典であるB1グランプリで見事優勝を勝ち取ったことでもう全国区であることが認められた名物料理であるが、実はそのベースとなっているのは農林水産業、中でも畜産業だ。
富士宮焼きそばを富士宮焼きそばたらしめている一つの要素が「肉カス」で、これはラードを製造する際に豚の脂を搾ったあとのカスを乾燥させ粉砕したものだ。これが味をいい具合にコッテリさせる隠し味になるわけだが、こういう肉カスが生まれるラード工場があるくらい、この辺では畜産業が盛んなのである。養豚、酪農、養鶏(肉・卵)、肉牛といった畜産における基本的なものが揃っていて、しかもレベルが高い。もちろん畜産が営まれているわけだから良質な堆肥ができ、野菜や果物もたくさん生産されていることは言うまでもない。
これは面白いオフ会になるかもしれない!
ちょうど、三島市において静岡県内の生産者さん達に講演をさせていただく機会があったので、そのついでに富士宮に足を伸ばしてきた。当日どんな食材に囲まれるだろうか、ということのプレビューとして観ていただきたい。
某日、朝早い便で新幹線こだまに乗車。東京駅から最寄りの新富士駅までは一時間とちょっとだ。改札を出ると岩澤さんと青木さんが待ってくれていた。
「よう、お疲れ! じゃ まずは市長に挨拶にいこうや」
いきなり市長に挨拶である。
富士宮市長の小室さんは、食に造詣が深く、富士宮を「フードバレー」と位置づけて地域興しをはかろうとしている面白い方だと聴いていた。が、予想を遙かに上回る積極的な方だった。
「いやー これはぜひ面白いイベントにしたいね!もちろん僕も参加しますよ。ヤマケンさんとトークすればいいんだね、やろうやろう。」
そう言いながら、予想もしなかった企画が彼の口から出てきた!
「あのね、富士宮って言うと焼きそばが有名なんだけど、それだけじゃないんだよ!富士宮を象徴するなにか名物を作りたいんだけど、、、親子丼ってどうかな? 鶏肉と卵は本当に同じ鶏舎のものを使って「親子」にして、他の具材もきちんと富士宮のものを使う。そういうのやりたいんだよ!」
おお!なんと積極的な市長さんだろうか!
「ええと、醤油とか酒とか、そういう調味料の製造をしている業者さんは富士宮にいらっしゃるんですか?」
地産地消的なメニュー作りだから、どうせなら徹底的に富士宮の素材を使うべきだ。そう思って聴くと、
「もちろんあります。醤油も酒造もあるし、富士宮には富士宮市フードバレー推進協議会っていうのがあるんで、食材はぜーんぶ揃うでよ。」
と岩澤さん、青木さんが仰る。なるほど、それは面白そうじゃん!
「じゃあ、親子丼楽しみにしてますよ!」
と、最初の話とかなり結論が変わってしまったけど、市長さんもご機嫌よくお別れした。さすがに写真を撮るのがはばかられたので撮影はしてません。
「いやー なんか面白い市長さんだなぁ」
「うん、食に関心が強くて積極的な方なんで、助かってます」
しかし本当に親子丼の企画を練らないとイケナイな。
「大丈夫、我々富士宮市フードバレー推進協議会の方で、きっちりやってみせますよ。」
そうそう その富士宮市フードバレー構想ってのがかなり気になるのだが、検索してみたら立派な協議会であることが判明。青木さんはここの会員さんなのである。
■フードバレー構想
http://www.foodvalley.jp/index.html
さて車は富士宮郊外のロードサイドにある、青木さんの養鶏直売所へ。

「うちはね、養鶏やってて、スーパーさんとの取引よりも直売の方に力を入れてるんですよ。」
野菜や果物と違って、鶏肉は市場経由ではなく養鶏業者と直接取引をすることがある。一定規模以上の養鶏業者さんだと自前の加工設備を持っていることが多いこともある。青木さんはかなり大きな規模で養鶏を営んでおられるので、それができるのだ。

店内では、それこそ落としたてのフレッシュな鶏肉や卵を買うことが出来る。

この新鮮なモツを観よ!
しかも共感できるのは、廃鶏といわれる、卵を産まなくなったヒネ鶏の肉も丸ごと一羽分を販売していることだ。

「ホントはね、昔の鶏ってこういう鶏だったんですよ、堅くて締まっちゃってるけど、よく噛んでると味が出てきて美味しいですよね。こういうのが鶏だったんであって、いまみたいに太らせて肉を採るっていう感じじゃなかった。」
こういう廃鶏を一羽分買い求めて、鍋に醤油と酒でぐつぐつ煮て食べるのが鶏の楽しみ方だったわけだ。うん、やってみたい。ブロイラーでは全然美味しくないはずである。

ちなみに青木さんは大規模養鶏を営む傍らで、あの駿河若シャモの生産もしている。それもかなり大きい規模だ。

「シャモは大規模と言っても難しいですね。ブロイラーと違って、一羽あたりを飼うときの面積が決まっていますので、たくさん飼おうとするとそれだけの面積の鶏舎が必要になります。でもね、そのための鶏舎もいま建てているんですよ!」
おお、それはぜひ見せていただきたい!
というわけで、建設中の駿河若シャモ専用鶏舎に向かう。

これはでかい~ 完成すれば、間違いなく駿河若シャモについては最大規模の鶏舎となること間違いない。

ちなみに若シャモは地鶏として認定を受けることを想定している。
「地鶏」とは、日本ではきちんとJASの認定を受けなければ名乗ってはならない規格である。これについては後日もっと詳細に書いていきたいと思うが、地鶏と称するためには、ブロイラーとは全く違う、健全な飼育方法と長期間にわたる飼育期間を経たものでなければならない。いわば「絶対に美味しくなる」ための飼育がなされるものなのだ。だから、通常の鶏肉より高いのは当たり前なのである。
それにしてもこの鶏舎はすごい。何がすごいのかも後日書いていきたいが、開放型であるにもかかわらずきちんと衛生面の管理ポイントがクリアされるように構築されている。
「当日はここも見学にきたいですね!」
「えっほんとですか?それじゃあ建築のスピード上げないとな、、、」
なんと、この鶏舎はすべて青木さんと会社の人たちが手作りで自作しているのだそうだ!
「もちろん基礎工事は業者さんにやってもらいましたけどね。」
いやそれでもすごい!
農家さんというのは、機械を使わないとやっていけない。だからいろんな機械を駆使してモノを作るのが当たり前の職業なのだけど、こんな立派な鶏舎を自前で建てるというのは、ものすごいことである。
「さて、昼飯も食いたいし、そろそろオフ会の会場にしようと思っている『まかいの牧場』に移動しましょう」
む、いよいよ当日の会場視察である。

しかしこのオフ会プレビュー版でもそうとうなボリュームがあるなぁ、、、この後もてんこ盛りなのだ。
いったんここでアップするけど、オフ会の詳細も書いておきますので、観ておいてくださいませ。
参加募集はまた改めて近日にやります!
(続きは下記↓をクリック)
「やまけんの出張食い倒れ日記オフ会IN富士宮」
<富士山の国・食の交流会>
<目 的>
ヤマケンのプログファンの方々に、B級グルメの王国「富士宮」を食い尽くしてもらい、食を通じての交流、富士宮市の食文化の情報発信を図る。
<概 要>
日 時:2006年10月22日(日) 10時~16時
場 所:静岡県富士宮市「まかいの牧場」
主 催:(株)グッドテーブルズ、富士宮市フードバレー推進協議会逸品会
募集人数:120名(首都圏60名、静岡県内60名)*応募の関係で増減有り
交通手段:
①新富士駅集合後、バスで現地へ移動。(9時出発)
②自家用車の場合は現地集合
参加費:5,000円(新富士駅までの交通費除く) 子供(小学生以下)半額
+新富士駅~現地までのバス代1000円
持ち物:エプロン、ビニールシート、ビニール袋(手提げ)
内 容<仮>
(1部) 食づくり体験(アイスクリーム・バターなど)
(2部) 食の青空サミット(食育を考える、食による地域おこし 他)
ヤマケン VS 小室富士宮市長
(2.5部)富士宮新名物<富士宮親子丼>お披露目会
(3部)大昼食会(飲めや歌えの大宴会)
「食の集い」 富士宮の味を食い尽くせ 司会:岩澤(仮)
(1) 乾杯:富士宮市フードバレー推進協議会会長
<主な食材>
地酒(富士高砂)、地ビール、富士宮やきそば、駿河シャモ、朝霧牛、朝霧放牧豚(ルイビ豚)、乳製品(チーズ・アイス等)、ニジマス(マスバーガー等)、茹で落花生、有機高原野菜、 その他
*屋台方式によるバイキング
(4部)牧場探検、ジャンケンオークション
今年は、前半が気象異常からくる低温に悩まされ、農産物全般に生育が遅れることとなった。その影響は果実のような、一年をかけて生育するものには顕著に出てくることとなる。今年の夏の果物は、どれも前半は味がのらずサイズも小さく、非常に品質が低下したものが出回っていたように感じる。
、、、だから、例年に比べるとあまり果物を食べなかったのだ。しかしそれは実は大失敗。夏後半にはぐんぐんと上昇する気温下、糖度も酸度も高く品質のよい果実がかなり出てくるようになっていたのだ。それに気づいたときはもう遅し。桃とブドウについては「ぐわー もっとたべときゃよかったよー」という結果になってしまったのだ。残念。
先日、友人が関西から来たときにくれた、福島県の産直農家の桃三種。

上から川中島白桃、黄金桃、あと一種なんだっけ?
これが全て絶品!
出回りの初期に食べた黄金桃と川中島白桃にガッカリしていた身としては、完全に出遅れた結果となってしまった。黄金桃の、黄桃特有のネットリした果肉とまとわりつくような風味が素晴らしい。白桃二種も繊細でセクシーで蠱惑的な食感だった。ああ、桃は本当に何個食べても食い尽くせない。
そして僕の農業の師匠である、神奈川県藤沢市遠藤地区の専業農家である飯島農園から、葡萄「ふじみのり」が届く。

「もうこれで葡萄は終わり。今年は後半は美味しいのが出てきましたよ!」
うーむ
これもまた素晴らしい味。
葡萄は糖度よりも重要なのが奥行きのある旨みと香りだ。旨み成分が乗っていないと薄っぺらい食味に感じられるのと、それに加えて品種特有の香りがプワンと薫らないと、その旨みも生きてこない。糖度と旨みと香りの三位一体のバランスが重要なのだが、飯島農園のものはその3者すべてが標準値を遙かに超えているのである。

ああ、、、
5回は食べたかった。
さてこれから秋だ。
気を取り直して、日々運動に励み、そして素晴らしい秋の味覚を摂取するぞ!
今週の木曜日18:30~、東京駅前の八重洲ブックセンターにて、先頃出た本の出版記念講演をすることになっているというのは先週告知したとおりだ。
ちなみに八重洲ブックセンターのWebのイベント情報を観ると、僕の講演の後日にはなんと山本一力先生(たしか深川近辺に住んでいらっしゃるはずだ。いつかお見かけしたいものだ)が講演をされる。そっちのほうはなんも告知しなくても満杯になるんだろうけど、僕のミニ講演なんざ、おそらく定員に全然満たない状態だとおもう。
しかし、八重洲ブックセンターの関係者の皆様も、そして出版社のミソノ氏、デザイナーのワダ氏、みな頑張ってくださっている!これに報いるためにも、ぜひ恥ずかしくない人数にきていただきたい、と思うのだ!
そこで、、、
ニンジンをぶら下げたいと思います。

ご来場いただいた皆様には、わたしやまけんが世界一旨い!と思っている焼き肉のタレ「とむらのタレ」の特選・小瓶を、少なくとも30名の方にプレゼントします!
これは、宮崎県日南市にある、地元の超有名店・焼き肉のとむらのスペシャルダレだ。こないだ週刊アスキーの取材で宮崎編をやったときに、とむらの社長さんが「まあ、東京の人に配ってくださいよ!」と段ボール7ケース、本数にして150本ほどの焼き肉のタレ&ドレッシングをくれたのだ(笑)
以来、アルキメーデオフ会等で配っているのだが、絶賛の嵐である。この焼き肉ダレ、肉の旨さとか関係なく、タレの旨さで肉が食えてしまうというもので、つまり「素材の旨さを活かす」とかそういう軟弱な話は一切なしのストロングダレなのだ!(笑)
これを大放出したい。人数が多かったら抽選です。僕と会場じゃんけんで決めましょう。
ということで、「おお!焼き肉のタレのために行こう!」という方、いますぐ八重洲ブックセンターに申し込みを。
ビジネスパーソンを応援する 八重洲ブックセンター特別講座
山本謙治先生講演会
「日本の食と農が直面する危機」
-トレーサビリティの彼方へ&食い倒れ日記-
【日 時】 2006年9月21日(木) 18:30~20:30予定(開場:18:00)
【場 所】 八重洲ブックセンター本店 8Fギャラリー
募集人員:100名(申込先着順)
申込方法:1階レファレンスコーナーにて承ります。 お電話のお申込みも承ります。(03-3281-7797)
参 加 費 :無料
※定員になり次第、締め切らせて頂きます。

畜産関連の団体職員であるY氏から、「ブラウンスイス種の肉が手にはいるけど、食べたいならとっておきますよ」という連絡があった。そりゃぁ食べないわけにはいかないでしょう!ということで虎ノ門に所用を作っていただきに上がる。
ブラウンスイス種とは乳牛の品種だ。
■参考:畜産ZOO鑑
http://zookan.lin.go.jp/kototen/rakuno/r422_4.htm
「乳牛を食べたりするの?」
と思われる方もいるかもしれないが、酪農で乳を搾っている乳用牛も、もちろん牛肉になっている。というより、比較的価格が安い牛肉は、乳用種であることが多い。牛肉になる牛は大別すると下記の通りだ。
■肉用牛(黒毛和牛など) → メス → 生まれたときから肉用に飼われる。
オス
↓
オスは肉が堅くなるので去勢される → メスと同じく育てられる
■乳用牛(ホルスタイン、ジャージー等)
→ メス → 乳牛として飼われる → 高齢になると廃用
オス ↓
↓ ↓
オスは肉が堅くなるので去勢される → 肉用牛として出荷
このほか、乳用牛に和牛の種を掛け合わせたF1というのもある。
乳用種と肉用種は大きく肉質が違う。乳用種は健康に頑健に育って、たくさん子を産み、たくさん乳を出してくれることが望ましい。だから、草を中心に食べさせて骨格をしっかりさせることが重要だ。したがって肉の歩留まりは悪い。また、日本人が好きなサシもあまりはいらない。当然肉としての評価は、現行の格付け制度下では高くない。
肉用牛は全く反対のベクトルで、サシが入って肉の歩留まりが高ければ格付けが上がるため、骨は可能な限り細く、肉がたくさんつくように、人間でいえばそれこそステーキのような、栄養価の高い濃厚飼料(コーン中心だ)をやたらと食べさせ、つまり極めて不健全に育てる。サシがバンバンに入るということはつまり生きている牛としては凄まじい高カロリー生活をしているということだ。そのアオリで出荷前の肉用牛は目が見えなくなってしまっていたりするらしい。これは仕方がないことで、サシの入った牛肉をありがたがる人が多いから、生産者もそうして育てているのだ。
で、乳用牛の肉は現行の格付けでは評価が低いのだけど、本当はそれはおかしい。冒頭の写真をみていただければお分かりの通り、赤身中心の極めて健全な肉質だ。(もちろん全ての乳用牛がそうだというつもりはないよ!)
サシが入っていない分、味覚が脂分でマスキングされないため、赤身肉の旨みをきちんと味わうことが出来る。サシが入っていないから相対的に肉が堅いと感じる向きもあるかもしれないが、それは廃用牛という、乳のでなくなった、年齢を重ねた肉を食べているからだろう。肉用にして適切な時期の乳用牛を食べても、堅いという感想をほとんど持たない。
しかも今回いただいた肉は、日本では希少なブラウンスイス種の肉だ!これは興味深い。
「やっぱりバターでさっと焼いて醤油で食べるのが一番ですよ。牛肉の最高のソースは醤油ですから」
とY氏が言う。確かにそうだ!ということで早速食べた。

この肉はレアで食べても意味がないはずなので火をしっかり目に通して、ニンニクバターと炒めて醤油で味を付けて食べた。肉を口に運ぶと、存外に柔らかい。どうやら廃用牛ではなく肉用に餌を食べさせていたらしい。ジュワッと脂があふれ出すことはないが、かみしめるごとに肉の旨みがギシッギシッとしみ出てくる。しみじみ旨い。
和牛ブームはそろそろ見直すべき時に来ている。
牛は人間数十人が生きていけるだけの穀物飼料を食べて生きている。その穀物飼料(特にコーン)はほとんどが輸入だ。日本の食糧自給率は40%(先進国中で最下位だ)だが、穀物だけに絞ってみると、なんと20%台後半という低い率になる。コーン、大豆、小麦はほとんどが輸入であり、その中で畜産飼料に占める割合は非常に高い。
今までは豚肉を主に食べていた中国でも、牛肉食ブームがきて、穀物の純輸入国になってしまった。今年は、全世界的にトウモロコシが豊作だったにもかかわらず、価格は高騰している。なぜか?中国の輸入量増大と、エタノール燃料への転用のためだと思われる。つまり今後、飼料の価格は高騰していくので、食生活を肉に依存していると大変なことになる。
ただ、肉をたべちゃぁイケナイ、という話はナンセンスだ。だから現実的な解として、日本が他の国に迷惑をかけない範囲で、例えば家畜に食べさせる餌の50%くらいは自給をして、その範囲で育てられる肉を食べるにとどめた方がいいんじゃないか、と僕は考えている。
そのとき、牛や豚に率先して食べさせるべきは、濃厚飼料と呼ばれるコーンなどではなく、粗飼料(そしりょう)と呼ばれる草だ。乳牛や短角牛は基本的に粗飼料と濃厚飼料を健康バランスに留意して給餌する。だから健全な肉(サシがあまり入らない)が出来る。
正直なところ、日本人は肉を食べ過ぎなのだ。ほんの20年前までは肉はご馳走だった。今はどうだろう?普通に食べている。しかしこの「普通」は普通ではなくて、地球環境や他の国々にいろいうと負荷をかけながら得ているモノなのだ、という意識を持つことが、この時代では必要なのではないか。
むろん、僕も焼き肉などの牛肉料理が大好きだ。不健全といいながらサシの入った牛肉も食べる。ただし「ありがたい」と思う頻度に押さえているつもりだ。だから、今回食べたブラウンスイスは滅法旨かった。
ちなみにこのブラウンスイス種の肉は、島根県の超・名門乳業メーカである木次乳業(きすきにゅうぎょう)の乳用牛らしい。さすがはノンホモパスチャライズ牛乳の先駆者である木次乳業の牛である。本当に味わい深いものだった。
ごちそうさまでした。
先日書いた、僕の母校である自由の森学園高校の日本一の学生食堂のエントリには、少なからず反響があった。いろんな人からメールをいただいたし、何より嬉しかったのは音信不通だった卒業生からメールなどいろいろ反応があったことだ。同時に、食育の研究者などからも問い合わせをもらったりした。やはり中学・高校の学生食堂でこれだけのことをやっている事例はあまりないのだろう。
で、エントリ中にいくつか誤字があったので修正させていただいた。
「美術の授業では、絵画や木工だけではなく染色」
→「染織」の間違いでした!
染色だけではなく織物も授業にあるのです。なので染織なのです。
「三宅島の神付木遣り太鼓」→「神着木遣り太鼓」の間違いでした!
ちなみに「かみつききやりだいこ」と読みます。三宅島の神着という村に伝わっている太鼓なのです。
あー
また食べに行きたい、、、
先日はまだ熟し切っていなかった日本カボチャ「鹿ヶ谷カボチャ」だったが、茶色が全体に回ってきて、次第に追熟されてきた。

威風堂々たる姿形だ。ちなみに前回、収穫直後でまだ熟していなかった時に撮影したのがこちら。
2週間くらいでだいぶ変わってくるということだ。
この鹿ヶ谷カボチャは、甘くポクポクした西洋種ではないため、料理での使い方も違うということに注意する必要がある。どちらかと言えば純日本料理として、出汁などを煮含めるような感じで扱うことが望ましい。他の日本カボチャである菊座カボチャといわれるものも同じだ。
しかし種としては日本カボチャでありながら、全く違う味わいのものもある。その代表格といっていいのが、「バターナッツ」というカボチャだ。

この写真は、縦に半分切ってしまったものを皿にのせて撮影しているのでご注意願いたい。断面はこんな感じである。

鹿ヶ谷カボチャもそうなのだが、ひょうたん型になっている場合は、下の部屋に種が集中している。また、研究者に訊いたところ、味は下の種のある部位の方がよいという。
このバターナッツ、食べ物の図鑑の一部では「ペポカボチャである」とされているのを見かけたことがあるが、僕は育種の先生から「日本カボチャ(東洋カボチャ)」であると教わったので、日本カボチャということで書かせていただく。
バターナッツは、その名の通りバターのようなネットリとした果肉に油分のような滑かさ、そしてナッツのごとき濃い旨みと香りを有している。これを美味しく食べるための料理法はずばりポタージュだ。造り方は簡単。まず味のベースとしてタマネギを軽くオイルで炒める。茶色になるまでやらなくてもいい(甘くなりすぎる)。

そこへ、小口に切ったバターナッツを投入。皮付きでいい。

バターナッツの表面に油が回ったら、ひたひたくらいの少なめの水を加えて煮る。スープキューブを一つ落としてもいいが、できれば野菜のみでとったブイヨンキューブがいい。5~7分くらいでバターナッツが柔らかくなってくるので、それをミキサーにかけて滑らかにする。

滑らかになったら鍋に戻し、牛乳を入れて伸ばす。濃さは味を見ながら自分の好みで調整して欲しい。塩分が足りなければ塩、こしょうを。これで完成だ!

このバターナッツポタージュ、簡単にできるわりに、味はかなり複雑だ。バターナッツの旨みと香りが強いのに、タマネギもプラスしているからだ。もっとシンプルなのがいいならばタマネギすら抜いてもいいが、僕はストイックではないのでタマネギを使う。


ちょうど、稲作農家にして経営コンサルタントである友人・ひろっきいが、山形は置賜の名物・ニンニク風味のラスクを持ってきてくれたので、これに掬って食べる。むむむ、最高ではないか!

カボチャはポクポクとしていて好きじゃない、という同輩はたくさんいると思う。
しかし!
カボチャはポクポク甘いものばかりではないのだ。
品種によって楽しみ方が違う。
スーパーでも、最近は地方の産直産地から他種多様な作物を仕入れているところも多い。そうしたところには観たこともないようなカボチャが転がっていることがある。先日は東急東横店地下の林フルーツで、ヘチマのようなカボチャが売られていた。御徒町のアメ横側の出口を出たところにある「吉池」の地下では、新潟の直売所から農家の名前入りの色とりどりのカボチャが販売されていた。
とにかく変なカボチャを見かけたら、とりあえず買って試してみてはどうだろうか。包丁を入れなければカボチャは数週間は保つ。煮て食べる。味噌汁の具にする。カレーの具にもうまい。最後の手段でポタージュにして食べる。と、いろいろと遊べるのである。
昨今スーパーではカボチャの1/4カットやスライスで販売されているのが主流だが、たまには一個丸ごとフンパツしてみようではないか。その存在感、満足度たるや一級品の作物なのだ。
実はまだ釧路には行ったことがない。
しかし釧路には友達がいる。バーテンダーの相田君だ。バーテンダーの「フレアーテンディング部門」日本チャンプであり、記念すべきヘルシンキ世界大会に出場したのが彼である。
■世界バーテンダー協会 FCC部門出場者 相田君はどう戦ったか!
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2005/10/fcc_1.html
その彼が釧路市にレストランをオープンするという話は聞いていた。折しも東京に来るというので、じゃあオーパ門前仲町店で会おうということになったのだ。
久しぶりに会う相田君。前日は、日本バーテンダー協会の東京支部の人たちに、フレアーテンディングの講習会をしていたそうである。それも新宿御苑で、、、 御苑で、大道芸のごとく瓶を放り投げる集団が展開していたとは、ぜひ観に行きたかった!
さて彼が釧路に開くレストランは下記のような店だそうだ。
Bistro Bar
Berge Aone(ベルジュ・エーワン)
釧路市川上町2-2-12
0154-65-7788
営業17:00-24:00
A-oneとは、彼のバーの名前でもある。
「Aクラスの、ナンバーワンを目指したい、そう思って名前をつけました」
という、彼らしい強い意志が現れた店名。それを今回のレストランにも付けたということだ。
もちろん彼にはバーがあるので、レストランには常駐しないということだが、仕事には厳しくタフな彼のことだ、いいシェフを見つけたんだろう。
ああ、釧路に行きたいなぁ!
「やまけんさん、ちょうど来年のNBA(日本バーテンダー協会)の大会は北海道ですよ! 遊びに行きがてら、釧路に行ってみたらどうですか?」
と水澤君が言う。おお、そうだね!そういえば来年の日本大会は札幌なのであった!
うまくすればオーパからは内藤君もしくはさつきちゃんという精鋭が出場する可能性がある、、、はずだ。
よし、来年は北海道、そして釧路に足を運ぼう!
釧路ご在住の皆さん、相田君のお店に足を運んであげてくださいませ。
このブログには、僕だけのルールや基準がいくつかある。例えば気合いを入れたエントリを集中的に書いたあとはしばらくその店からは離れる、というのもその一つだ。あまり同じ店が出すぎると「どうせお金貰ってんでしょ」といわれたりするし(もちろんそういうことはブログ開設以来、一切ない。)、また他の同じような業態の店に行って、本当にあの店は飛び抜けて旨いのか?ということを自分に確認させる時間を作るためでもある。こうしたことは最近、読者の人からちらほら「褒めすぎだよ~」と言われることがあるので、割と自分に厳に命じているところだ。
しかし、東京バルバリのお料理ジャイアンこと小池シェフに関しては、その禁を破らざるを得ない感じだ。
「もう、やまけんさんには二度と同じ料理を出したくないんですよ! 毎回、ご来店の全日は何を食べさせようか考えてます!」
と言ってくれるのは嬉しいんだけど、本当に同じ料理を食べたことがあまりない!
定番のあぐーカツレツとかはもちろん毎回頼むわけだけど、最近は「料理は任せるから、予算はこれくらいで」とお願いすると、思いもよらないコースが仕立てられていたということがあまりに多いのだ。
自分の味覚を確認するために料理関係者を連れて行っても「う~ん なんでこんな価格でこんな料理が出せるのかわかりません」と言われる。唯一の欠点は「ガツン系の料理」ばかりでちょっとキツイということだったのだけど、「わかりました、さっぱり系の野菜中心のものを入れましょう!」と克服してきている。
そういうことで、今回は静岡県の中小家畜試験場の岩澤さんと養鶏家の青木さんが上京してきたので、食べに行ったのだ。以下、料理名はメニューとは違うと思うが(料理名が長いんですよ、、、)ご容赦。
■前菜 名古屋コーチンの生ハム、フルーツトマトと黄色トマトのガスパチョ ジュンサイのせ

若シャモの育種をしている岩澤さんと、プロ養鶏家である青木さんだけにピクッと反応。コーチンの弾力強い胸肉を、塩分で脱水して生ハム化しているらしい。通常のトマトと黄色トマトの二色ガスパチョが、適度な酸味を肉に与えていていい塩梅だ。もちろんここにも得意技であるジュンサイが使われていて、ソースに粘りけを演出している。
「うーん ほんとに生ハムだ、、、これ、うちでもやってみようかな。」
と青木さんが唸っている。
そして次に運ばれてきた一皿の見目鮮やかさには一同ビックリ!
■鮭一匹丸ごと 鮭の切り身に白子のムース、イクラのせ

サイズの見当がつかないかもしれないが、切り身が10センチ程度の長さなので、かなりでかい鮭であること間違いない。軽く塩された身に乗っているムースが、白子のマイルドなうま味の生きたクリーミーなムースだ。

切り身でこのムースとイクラを巻いて食べる。フレッシュな鮭の風味に爽やかに濃いムースのうま味、そしてイクラが炸裂してビュっと飛び出てくるジュースによってまさに鮭全体の味が確定していく。
「これ、鮭一匹丸ごと仕入れてるな、、、」
と思ったら、後できいたらまさしくそうだった。
「一匹買って腹捌いて、イクラを採って、、、あ、白子はオスからとってます」
ということだった。うーん、今まで肉、肉、肉!!!!という料理が多かったのできつかったんだけど、この流れは素晴らしいゾ。
と思っていたら、すごい美麗な一皿が運ばれてきた!
■あん肝とラルド、パイ皮で挟んだレモンマヨネーズソースかけ

おおおっ と一瞬どよめく一同。
お料理ジャイアンのくせに、なんでこんなに美しい料理を創り出せるのだ?

サックリとナイフを入れ、できるだけ全要素が一口ではいるようにバクリといただく。パイのサックリ感とあん肝の上質な油分を含む旨さ、そしてあきらかに自家製のレモンマヨネーズの上品でさわやかな酸味が、一瞬にして口の中で咀嚼され、嚥下されていってしまう!こいつぁ、、、言うことがない。
後でシェフに恐る恐る訊いた。
「パイ皮の生地は冷凍をつかったり、、、」と言ってる途中で、
「ンなわけないでしょ! あのね、もう寝ないで毎日つくってるんですよ。ホント、大変なんですから!」
、、、大変失礼いたしました、、、
この一皿を作るためのパイ生地、あん肝の蒸し、レモンマスタード、ラルド全てを小池シェフが手で造っているのである。商業ベースの創作系居酒屋とは思えないワザだ。
■茄子と秋刀魚のなんとか。酸味のある煮浸しのような料理(←笑 すみません)

この料理についている秋刀魚の肝のペーストに注目。

これはよく彼が多用するもので、肉でも魚でも、それ自身の内臓を使ってこくを出したりするためのプラスアルファをしていくのだ。この料理、オイルで煮てあるくどいものかとおもったら、酸味のある煮汁で実に清々しくたべることができた。
■坊ちゃんカボチャのラザーニャ

■バルバリ鴨の瞬間燻製

店名にも由来するバルバリ鴨は西崎ファームのもので、ジューシーで臭みもなく、実に味わい深い品質のものだ。強めの塩をし、内面をロゼに仕上げ、肉汁がまんべんなく全体に還元されるベンチタイムをおいてからグワッと瞬間的に燻製をかけるらしい。

燻煙香をまとったバルバリ鴨は、内側の血の香りと燻煙香の合体と、皮目のパリっとした食感と血の滴りそうなしっとり感との対比と融合で、すんばらしく濃厚に旨い!
付け合わせもクリームマッシュされたポテトのような感じの練られた物体が楽しく、野菜も甘い。
さてそしてこの日、最高に僕らを驚かせ、笑わせたのがこの一品だ。
■短角牛のメンチカツバーガー

うわああああああああああああああああああああああああああああああああ
このタイミングで(もう腹が結構きついのに)こんなんがきたかぁ!
しかしコレは笑える。古くからの読者の方も笑えるはずだ。
過去、三浦半島の長島農園で数回のダッチオーブンパーティをしてきた。
その中で忘れられないエピソードとして、北千住バードコートの皆さんが、奥久慈シャモの照り焼きチキンバーガーなどという凄まじいものをつくってくれたのだ!おそらく今後二度とできないだろうが、、、
■そのときのエピソードはココ
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2004/11/post_403.html
実は先日、東村山の草門去来荘に行くみちすがら、小池君に「いやー あのバーガー、ホントに旨かったんだよ!バーガーもああいうふうにやれば素晴らしい料理になるんだねぇ」と話をしたのだ。彼のことだ、「よっしゃバーガーか、じゃあ次回はやまけんサンにこいつをぶつけよう」と虎視眈々と狙っていたに違いないのだ。

味?
旨いに決まっている!
短角牛の赤身中心の身からは、料理番組のような不条理なまでに流れる油のようなしみ出るものはないが、肉に内包するうま味は黒毛和牛の数倍ある。このメンチカツも見た目の重さほどはしつこさが全くなく、純粋に牛肉の強い香りと肉の旨みが前面に出てくる仕上がりだ。もちろん、バーガーバンズも小池シェフが焼いたものである。ちょっともう脱帽。
しかもそれに添えてあるのが、松茸のコンソメである。

実は彼はあの小さい厨房で、コンソメを夜な夜な引いている。ありえないレベルの店だ、、、
この後、例のハモと鮎のパスタ大盛りとドルチェ盛り合わせ。お二人が静岡に最終便で帰るので、急いでがつがつと平らげて店を出ようとすると、小池君が三階に上がってきてくれた。

「どうですか、おいしかったですかぁ~?」
岩澤さん青木さんもムチャクチャ喜んでくれているみたいで、よかったよかった、、、

実はこのジャイアン、今月結婚式を挙げることになっている。不肖ワタクシめもスピーチをさせていただくことになっているのだけど、それもあるんだろうか?最近の彼の腕の冴えは尋常じゃない。
とにかく、一番すごいのは、可能な限り既製品を使わず、自分の手作りでおこなっているということだ。毎晩客が引けてからコンソメとか燻製類とかの仕込みをして夜遅くに帰宅。しかし昼の営業もあるから、10時前には出てくるというヘビーローテーション、身体のことが心配だ。
そんな身を削っている小池シェフの料理だ。僕と同じように食べたいのであれば、必ず予約をして、その際に「やまけんさんに出してるような感じでセレクトして欲しいんですけど」と言うことだ。
ただし!
そういう頼み方をする際にはきちんと予算を明確にしておこう。ここに挙げた料理を食べようと思っているならそれなりの価格になるので、ちゃんとその辺はきっちりしていただきたい。僕はこの店にはきちんともうけて貰って、スタッフも潤沢に入って、無理なく高いレベルの料理をずっと楽しみたいのだ。だから、そんなに安くなくていいと思っている。
ともあれ、東京バルバリのカウンターに座ったなら、ジャイアンに「結婚おめでとう!」と言ってあげるといいと思う。まだちょっと先の話だけどね。
ある番組(まだオンエア前だから言えないけど)の食材で、水茄子の一種である馬場茄子が出てきた。
これは僕も観るのが初めてだったのだけど、素晴らしい茄子!

水茄子とは姿形が違い、どちらかと言えば千両型の体躯で、先が大蔵ダイコンのように詰まっている。ぱっとみではあまり水茄子っぽいイメージはない。しかし、この茄子の果肉は、先頃紹介した泉州水茄子とは性質が違い、緻密な果肉なのに危ういほどの柔らかさを持っている。

どれだけ柔らかいかというと、、、
収録後に持ち帰るために手提げ袋をいただいたのだが、自宅に帰ってから茄子を出すと、なんとその布地の編み目がついているのである!

もちろん自重だけではなくいろいろ荷物をいれたからそれに押されたのだろうけど、それにしても茄子の表皮に編み目がつくというのはなかなかみられない。一度産地で樹を見せていただきたいものだ、と思う。なにわ野菜も奥が深い。
錦糸町「井のなか」で奈良漬けを造るプロジェクトの続報。工藤ちゃんが携帯カメラで撮影し、送ってくれた。こっから先は板長の五十嵐君にお任せしっぱなしなのだが、、、

陰干しが終わった白瓜。
これに酒粕を塗りつける。酒粕は、板粕といわれる水分のない板状のものにザラメを加え、焼酎も足したりするレシピがみかけられるが、僕らは島根県の「扶桑鶴」の練り粕という、最初からネットリ熟成された上級品を使う。だから、あまりザラメとか入れなくていいんじゃないの?と五十嵐君に言っておいたところ、
「はい、じゃあ作り分けましょう」
ということになった。で、こちらがザラメ入りらしい。


酒粕を塗りつけて保存。
そうするときつめにしておいた塩分が酒粕で抜かれるので、頃合いを見計らってまた新しい酒粕に入れ替え。これを繰り返すうちに塩加減がちょうどよくなり、逆に酒粕の成分が瓜の組織内に入り込み、いつしかあのベッコウ色になるという算段のはずである。

ザラメ無しのも漬け込んでもらう。

塗りつけられたら、これを樽に保存。空気を出来るだけ抜く。

この状態で一晩おいたのをみると、奈良漬けの浅漬けになっている!お見事。

実は最初に、ブログ読者さんからいただいた、そのお母さんによる奈良漬けは、薄茶色のもので古漬けの一歩手前くらいのつけ加減だった。これが絶品で、ご飯が進んでしょうがないものだった。だから、中途段階で浅漬けのものをいただくというのが楽しみでいる。

ちなみにこれに平行し、我が家でも白瓜8本分を漬け込んだ。うちのは練り粕自体が2年もの(昨年ののこり)なので、相当に熟した味になるはずだ。ただし塩加減は、干した瓜の全体に塩が吹くくらいにきつめにしたので、当分食べられないだろう。
さて、ここからは持久戦だ。本格派を目指す奈良漬けプロジェクト、どうなることやら。

静岡には、独特なおでん文化があることはご存じだろう。
真っ黒な煮汁の中にダイコンなどのオーソドックスなネタのみならず、牛すじやモツ、黒はんぺんの串が沈んでいる。それに青のりとだし粉という削り節の微粉をかけて食べるあれだ。
僕は大学院生の頃、製茶メーカである葉桐の専務に連れられて茶市場を見学した折、朝飯を食べるために定食屋にいったのが初体験だ。鍋から自分で好きなだけ串をとり、茶飯とともに食べる。ムチャクチャ旨いとかそういうのではなくて、じんわりと日常の、ハレとケでいえば完全にケの食だなぁと思った者だ。確か会計は3人で数百円だった。
そんな静岡おでんも昨今はご当地グルメで人気が出ているようだ。ブームはすぐに去るものだけど、昔からの郷土食にスポットが当たることは悪いことではないと思う。さてこの日は、静岡案内人のTにマニアックな店に連れて行ってもらった。
「もうね、 すんごーくいい味出してる店。ガイドブックとかには書きようがないんじゃないかなってくらいの。」
なんだかさっぱりワカランが、行ってみようではないか。
静岡駅からはちょっと離れた、普通の市街。駐車場が空いていないので一回店の前を通り過ぎると、たしかに店全体を茶渋で煮染めたようなたたずまいだ。

氷と大やきいもというのがのれんに書かれているが、おでんという文字は見あたらない。
「おでん屋じゃないの?」
「いや、おでん屋とかそういう、専門的な上等なもんじゃないんですヨ。何でもあります」
ますますわからん。

どうやら焼き芋が名物の店らしいのだが、秋以降でないと焼き芋は売っていないらしい。当たり前か!

店にはいると一番最初にどんと見えるのがおでんの机だ。

ああもうすでに漆黒の空間である。
黒はんぺん、牛すじ、豚モツ、卵、ゴボウ巻き、こんにゃくなどが入っているが、ダイコンは入っていない。どれも一本60円くらい(だったと思う)である。これらは特に店のおばちゃんに断るでもなく、とにかくセルフで好きな串をとってだし粉をかけ、席で食べる。

いやもう
味についてコメントするのは愚というものだろう。真っ黒な汁だが、しみこんだ味はごくごくあっさりとしたものだ。豚モツ串はややモツ臭さが残っていてワイルド。

僕はこの静岡名物黒はんぺんが大好きだ。
黒はんぺんは愛媛のじゃこ天とも福岡の天ぷらとも、鹿児島の薩摩揚げとも違う濃い風味があるのだ。こいつにパン粉をまぶしてフライにしたものに中濃ソースをかけて食べるのがたまらなく旨いのだ!

ちなみに飲み物もセルフ。
「これ、貴重ですよ! みかん果汁が一滴も入っていない『みかん水』」
おおおぉ~
しかも「オウカンカゴメ」という紛らわしいメーカー名だ(笑)
もちろう飲む。炭酸も入っていない、香料と砂糖だけで造ったような味で、これはこれで味がある。

それにしても、味があるといったらこの店のたたずまい自体が味だらけだ。
店内にしつらえられた焼き芋用の竈(かまど)や暖簾がたまらない風情だ。しかもひっきりなしにおばちゃんや小中高生、家族連れがふらっと入ってくる。何も言わずにおでんを2,3串皿にとってつまんで、勘定して出て行く。
「わぁ~ おでんだぁ!」とか「かき氷だぁ!」とか声を上げるわけではない。日常の一こまとして黙々と食べて、長居をせずにすっと出て行く。僕のように異邦人がきて、その雰囲気を味わうのは、この店の流儀からすれば全くはずれた行為なのだなぁ、と思ってしまう。とにかくこの店は本当にこの近隣の人たちの日常の場として成立しているのだ!

かき氷の「レインボー」を頼む。練乳かけてもらって300円程度。果たしてこの店で一人3000円以上使える人はいるんだろうか。

ちなみになんとこの店、「大やきいも」という暖簾がたくさんあったのでそれが名物かと思っていたら、なんと店の名前が「大やきいも」だそうだ。実に味わい深い店であった。静かな心持ちになって店を出る。
駐車場まで歩いていく途中に、カレー屋さん「六文銭」という店を発見。どうも気になる。

「カレーくらい食えるよな?」
ということで入店。これが当たった!

昼飯時間を過ぎていたのでゆったり食べることが出来たが、バンダナを巻いた精悍なマスターによってきちんと仕込まれた感のあるカレーだった。こちらはキーマ。


野菜カレーも物足りなさのない仕上がりだった。

実は僕が、永住するならどこがいいかなと思ったとき、静岡か宮崎がいいな、と今の時点では思っている。それはどちらにもソウルフード的空間と、新興食文化の交錯する地点があるからだ。この日は静岡のローカルフードの底知れぬ広がりの一端を見た思いがした。黒はんぺんと上ジャコを買って新幹線に乗り、少しうとうとしたと思ったら、もう東京についていた。なんだか名残惜しい午後だったのだ。
東京駅八重洲南口の真ん前の八重洲ブックセンターにて、こんな掲示が出ている。
お恥ずかしいけど、一人も集まらなかったら寂しいので告知させてください。
ビジネスパーソンを応援する 八重洲ブックセンター特別講座山本謙治先生講演会
「日本の食と農が直面する危機」
-トレーサビリティの彼方へ&食い倒れ日記-【日 時】 2006年9月21日(木) 18:30~20:30予定(開場:18:00)
【場 所】 八重洲ブックセンター本店 8Fギャラリー
募集人員:100名(申込先着順)申込方法:1階レファレンスコーナーにて承ります。 お電話のお申込みも承ります。(03-3281-7797)
参 加 費 :無料
※定員になり次第、締め切らせて頂きます。
山本謙治「先生」は本当にお恥ずかしいのですが、、、
今まで、農業関連の世界では講演をたくさんしてきているのだけど、一般の人向けの講演はよく考えてみたらこれが初めてかもしれない!?
トレーサビリティに関する本の出版記念イベントでもあるのだけど、内容的にはそれじゃ面白くないと思うので、日本の農と食の現状という、まじめな話から始まりつつ、後半は食い倒れ日記的なお話をしていくという流れにして行きたいと思います。
ので、お時間のある方はぜひ。本を買っていただいた方にはもちろんサインもさせていただきますよ~
本日いままさに、錦糸町「井のなか」の工藤ちゃんから奈良漬けの経過報告がきた。

一昨日の段階ではかなり強めの塩をして一度水分を抜き、さらに塩漬けにしておいたものだ。

本当に信じられないくらいに水がでて(瓜は大半が水分だからね)、脱水された瓜。



これを日陰で干してさらに脱水して酒粕の床に漬け込んでいく。


今日はここまで!いい感じで脱水できるといいな。

このブログでは何回も登場している、静岡県の中小家畜試験場。畜産とくに豚については名門といわれている試験場で、優秀な銘柄豚を輩出してきたところだ。その試験場が4年をかけて育種してきた銘柄豚候補が、都内でお披露目会をするという。幸いなことに、県が主催するお披露目イベントの案内をいただいたので行ってきた。
いつもはふぐ屋である「助とら」には椅子が50脚並べられ、講演会場のようになっていた。料理関係のジャーナリストさんなど顔見知りもちらほら。県がこうした食材の試食を兼ねた会をするというのはなかなかいいものだと思う。
さて大入り満杯で店内が蒸し暑くなるくらいの熱気の中で口上が始まった。

この方が、豚の育種担当(というか育種一筋って感じの方だ)さんで、JD3Xの特徴を説明してくださった。
”JD3X”とは、金華豚(ジンホヮ)と、フジロックを3回掛け合わせたという意味のコードネームだ。フジロックがなぜDなのかというと、銘柄名としてはフジロックなのだけど、その品種はデュロックという、強健性・産肉性に優れる品種だからDなのである。3回掛け合わせるというのは、まずJ×Dを掛けると、子豚が多数生まれる。その中で、金華豚の優れた肉質に関与する遺伝子と、フジロックの黒い毛を司る遺伝子を持っている子豚をDNA鑑定(血をちょこっと抜いて検査する)し、特定された子豚を育てる。
そしてその子豚が成長したらフジロックを掛け合わせる。その子豚を再度DNA鑑定し、また優良遺伝子を保持するものを選抜し、そこに再度フジロックを掛け合わせる。こうして生まれた豚がJD3Xとなるのである。複雑だけどおわかりになっただろうか?
J×D → 子豚をDNA鑑定し選抜
↓
JD×D → 子豚をDNA鑑定し選抜
↓
JDD×D → JD3X
ということである。
こうした豚の育種も、DNA鑑定という技法がなければ無尽蔵に時間がかかってしまうところを、かなりの効率化ができるようになった。(DNA鑑定は遺伝子操作ではないのでご注意を)。
さて金華豚はご存じ金華ハムの原料となる中国の豚で、その肉質はうま味成分を多量に含み、サシも入る優れたものだ。この金華豚を導入し、日本向け品種に改良するということを静岡県中小家畜試験場では取り組んでいる。実は、一昨年の段階では金華豚の血が1/4入ったクォーター品種というのを試験的に育種していて、その肉を僕は食べたことがある!その過去ログも残っているが、非常に旨い豚だったのだ!
■金華豚とフジロックの掛け合わせ銘柄豚は、凄まじく旨かった!(前)http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2004/05/post_232.html
■金華豚とフジロックの掛け合わせ銘柄豚は、凄まじく旨かった!(後)http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2004/05/post_233.html
で、今回おめみえのJD3Xは、金華豚の血が1/8である。血が薄くなったと言われるかもしれないが、DNA解析で、金華豚のうま味成分や肉質を決定づける遺伝子が特定されており、その遺伝子を受け継いた子豚を母豚にしているということで、確実に金華豚の旨さが継承されているということなのである。
ここで素直に考えると一つの疑問が生まれるだろう。
「なんで金華豚をそのまま育てないの?そしたら1/1で純血で一番美味しいじゃん」
そう、その通りである。しかし、金華豚が導入されたとしても日本では経営が成り立たないだろう。純血の金華豚は、産肉性が低い、つまり肉がちょびっとしかとれないのである。脂身の部分が分厚く、精肉になる部分が極めて小さい。また、体重の増加スピード、子供を産む数(産子数)、病気への耐性(強健性)などにかなり問題がある。沖縄の在来豚である”あぐー”も同じだ。肉の旨さは誰しも認めるが、一頭からとれる肉の歩留まりが悪いのである。
参考までに、これがJD3Xのロースと肩ロースのキワの部分だ。

ごらんの通り脂が分厚く、芯の部分はそれほど大きくない(とはいっても、通常のトンカツ等に利用する部位としては並レベルについていた)。産肉性に優れるデュロックを3回掛け合わせて改良したのでもこういう傾向があるわけだ。純血の金華豚ではちょっと採算が合わないのである。
「でも、ブランド豚なら高く売れるのでは?」
といわれるかもしれない。でも、今までそう言う試みをしてきて、消費者はきちんと受け止めてくれなかった歴史があるから、このように育種をするのである。それと、公的な格付けでブランド価値を加味して評価してくれればそれも出来るだろうが、格付けは肉の目方などできっちりつけられてしまう。さきのJD3Xも格付け上はBランクになってしまうのだ(!)
そう言うわけで、肉を大きくし、成長するまで死なないように強健性をつけることが重要なのだ。養豚場を見学にいくと、いかに多くの子豚が成長せず死んでいくかを観ることが出来る。家畜も野生動物と同じく、常に死の危険に瀕しているのだ。
というわけで掛け合わせというのがある。
しかし、先の過去ログにある、いわばJD2Xが非常に旨かったので、JD3Xにはかなり期待できる。
これがJD3Xの肉(ロース)だ!

きめ細かいサシが入り、柔らかな肉質であることがみてとれる。しゃぶしゃぶ用肉にしてあるので柔らかいのも当然かもしれないが、もう少し厚い肉も食ってみたかった。

こちらはバラ。脂の質が素晴らしい金華の血がどれだけ入っているかを知りたい。

さてこの肉はコラーゲンしゃぶしゃぶという料理で食べるのだそうだ。

ぷるんぷるんの煮こごりは、JD3Xの豚足や顔、骨などからとったコラーゲンタップリのスープだそうだ。これでしゃぶしゃぶをするのである。

料理人さんによれば、「脂身が指で持っているだけで溶けちゃうんですよ!」ということだ。融点の低い、さらさらした油質なんだろう。

さてしゃぶしゃぶを何もつけずに味わってみる。
端麗だ、、、
なるほどね、こういう味だったか。僕の予想とは少し違った。金華ハムのあのまったり拡がるうま味を受け継いで、濃厚な味がする豚になっているのかと思ったが、育種の方向性としてはきめ細かい食感と、端麗で上品な味わいを求めていったようだ。確かにくせが全くなく美味しい。しゃぶしゃぶ用豚としては非常に優れているのではないか。
ただ、僕が期待していたのは濃厚なうま味を持ち、もう少しガツンとアタックのくる豚肉だった。そういうのも育種の方向性にあるとうれしかったな。
ただしこの辺は、飼養管理方法でそうとうに変わってくる。特に肥育日数と餌の中身で味は変わる。今回は試験的に育てているだけなので、今後に期待だ。ポテンシャルはムチャクチャ高いので、相当旨い豚になることは間違いない。くどさのない、溶けるような肉質の豚肉に、僕が飽きてしまっているというだけなのである(贅沢な話だが、、、)。
静岡茶の風味で煮た豚足。

濃厚なゼラチン質を持つ豚足もあっさりと仕上がっていて、上品。下品さが全くないので、豚肉の女王という感じがする。
メロンソースで食べるローストポーク。

料理法によって評価が変わるが、このように水分を抜いて焼き上げる料理だと、豚の力強さが欲しい。いまのJD3Xでは少し味が優しすぎる感がある。やはり現時点ではしゃぶしゃぶ用が最適だろう。個人的にトンカツで試してみたいが、、、

なんとモツ煮も出ていた!
やはりこれからは精肉だけではなくて、内臓も含めて提案できないとおもしろみがない。
モツはムチャクチャ旨かった。臭みがほとんど無いのが功を奏していて、食感も上質、非常に上品に食べられる。この日はレバーが無かったが、それこそトロケル旨さだろう、、、
コラーゲンのジュレをかけた竹炭練込みうどん。

ジュレ自体には濃厚なうま味があるだろうとおもったが、結構これも端麗な味だ。

やはり改良の方向性としては、ガツンと濃い味をどこかに発現して欲しいなとおもったのである。
ちなみにこの方が、試験品種であるJD3Xを育てている、名養豚業者であり精肉屋さんでもある「とんきい」の鈴木さんだ。

こんなところでお会いできて光栄だ。率直な感想を述べさせていただいた。
「うーん そういう意見もあるんですね、、、」
と考え込まれておられたが、一般的にはすごい豚だと思います。あくまで私のようなガツンとしたのが好きな人間の意見だということでお受け取りください、、、
ちなみにこの日、JD3Xだけではなく、もうこのブログではおなじみの駿河若シャモも料理されていた。

この若シャモは非常にうま味の濃い鶏なので、好評を博していたと思う。
なんにせよ、これからは品種の深化の時代だ。
面白い品種が世に出て、それをいろんな人が評価するという流れを創り出していくことが、この国の食材の未来に繋がる。ということで、新しいものが売り出されてたら、みんなで買って食べて、あーだこーだ言いましょうね。
一昨年にブログ読者の方から自家製奈良漬けをもらったのが滅法旨くて感動して以来、自分で本格的な奈良漬けを漬けるのが悲願となってきた。昨年までは奈良漬けというよりは酒粕をつかった浅漬けという感じのものをつくっていたのだが、今年は本格的にやりたいなと思っていた。そこで、錦糸町「井のなか」の工藤ちゃんを巻き込んで、いい酒粕を使ってやってみようよ、ということになったのだ!
奈良漬けには白瓜という作物を使う。青瓜というのもあるのだが食感がざくざくしすぎていて、あまり美味しくないといわれている。白瓜は緻密な果肉で、色も上品に仕上がるのだ。しかし、本来であれば8月中旬くらいで白瓜のメイン産地は終了。いつもながら後手後手になってしまう僕の癖が出て、今年も調達には苦労した。山梨県産のものがかろうじて入手できたので、一箱18本入れのものを使う。サイズがMで小さいのだが、まあいいだろう。
酒粕は例年通り、島根県の桑原酒場(くわはらさかば)が醸す「扶桑鶴」の大吟醸練り粕だ。鮭が旨ければ粕も旨い。しかも、「端麗辛口」とか「水のごとき」というようなキーワードから対極にある、純食中酒といえる扶桑鶴だ。この練り粕で作った奈良漬けはご飯にあう旨いものになるだろう!と期待する。

「井のなか」のイケメン料理人・五十嵐君もこれは初めての試みとのこと。
早速仕込みを始める。

白瓜は半分に割り、中の種部を(キュウリのようになっている)スプーンでくりぬいていく。

くりぬいた部分にたっぷりめの塩を盛り込む。これで脱水するわけだが、瓜はほとんどが水分だから、出てくる水の量たるやすごいものである。

いったん水分を抜いたのを捨てて、再度塩で漬け込み、ガシガシにしょっぱく漬けたら陰干しして水分を飛ばして、酒粕に漬ける。酒粕にはザラメなどを混ぜ込んだり、焼酎を足したりといろいろあるようだが、粕が旨いのであまり手を掛けないでやろうか、と相談。これは後日の工程なので、再度リポートしたい。今日はここまで。
「やまけんさん、新作料理があるんで食べてってください!」
という五十嵐君、やおら一塩を振っておいたイワナを冷蔵庫から取り出す。

ふうん、なんだろうな?
としばし待っていると、、、

こう来たか!

イワナの腹の部分に、おからだろうか?フィリングを詰め、塩焼きしている。
そして、これに添えるパテのようなものがついている。

これは、、、
これまでの手法を観ていると、絶対にイワナの肝のパテであろう。
「そうです。味噌と一緒にパテにしてみました。それを身につけて食べてください!」
はい了解!

パテを身に乗せて口に運ぶ。
ハラに詰めたフィリングがおとなしい味付けのせいか、イワナらしい香気は消えておらず、かつ川魚特有の独特のにおいが消え、食べやすい。パテは味噌が少し強いかもしれず濃いけど、ここは居酒屋。酒のアテにはちょうどいいあんばいかもしれない。
「いや、これは予想を大きく裏切ったね!こういう路線で来たかぁ!」
「川魚が苦手って言う人にも食べていただけるような料理にしたかったんですよ!」
うん、そのねらいであればばっちり当たっていると思う。
後日、この店で会をするのだけど、そのときにもこれを出して欲しいとお願いする。
「日取り的にイワナが入るかどうかぎりぎりですけど、がんばってみますよ!」
ということだ。
それまでに井のなかに行く人があれば、頼んでみてはいかが。これは美味しいですよ。ただし一人で呑む人は、これだけで腹一杯になっちゃったらいかんね。2人以上で食べるといいと思う。
特製粕漬けが仕上がるのは数ヶ月後、完全に仕上がるのは1年後くらいになると思うが、そういえばその粕漬けは店で出すんだろうか、、、美味しかったら出してくれてもいいなぁ、、、
で、またもや東京バルバリつながりの話だ。
「日本橋ぼんぼり」、「東京バルバリ」のオーナーである小林さんは、これまでの本職は建築デザイナーだ。実は彼は、かの際(きわ)グループの黎明期から店舗デザインを手がけてきた人なのだ。彼が手がけてきた店を観るとけっこうビックリする。ZSTなどのおしゃれでレトロ民芸モダン調の建造物は、彼がデザインした店達だったのだ。そのアートワークは下記Webに納められているので関心のある人はどーぞ。
■tokiz intension
http://www.tokizintension.com/
その彼が、「コレはね、際にいる時代の最後の超大作です。」と写真をみせてくれた店がある。それは、いったい何坪の敷地なんだからわからないくらいに巨大な空間を、見事なまでにモダン民芸調に仕立て上げた総合空間芸術的な店だった。
「草門去来荘(そうもんきょらいそう)っていうんですよ。東村山の、八坂っていう駅のそばにある、ちょっと都心からは行きにくい店なんですが、こんなの他には中々無いと思うんで今度行きましょう!」
と言われていたのだ。
なんだかんだで全然暇がなかったので行けてなかったのだけど、週末にようやく時間をひねり出せたので、小林さんカーで出陣したのである。

もちろん、お料理ジャイアン小池シェフも同道である(笑)
車中、小林さんの昔ばなしや、際グループの破竹の快進撃のエピソードなどを聞きながら、青梅街道をぐんぐん西へと向かう。日本橋から1時間40分ほどで、東村山の目的地へと着いた。

細い道の踏切を渡ったすぐのところに、いきなり大仰な門がそびえている!
「ここなんですよぉ、、、600坪くらいの広さの敷地なんで、この中がどうなってるのか見えないけどちょっとすごいんですよ。」

たしかに門をくぐり駐車場までが60メートルくらいある。その駐車場からは瀟洒な洋館の三角屋根が見える。
「あれが洋館なんですが、その奥にでかい日本家屋のようなのを建ててるんですよ。洋館はお茶を飲めたり、陶器や着物を販売しているスペースです」
なんと!この建物は単なる喫茶スペースなのかよ!

駐車場を抜けて先の門の前の入り口から敷地に入る。

敷地内には茶室がなんと二軒も建っている。なんちゅう豪華な、、、

そして、、、これがメインの建物なのだ!超・度迫力である!

あまりに大胆な意匠に、しばし呆然。
いつの時代の建築様式なんだか全然わからないけど、使っている木材は古民家の材だったりして、なぜか懐かしく感じてしまう要素が多々入っている。

手前の囲炉裏(いろり)は実際に使えるそうだ。粉雪がしんしんと降る中、この囲炉裏で猪鍋なんか出来たら最高だろうな。
ちなみにこの奥の建物から先の洋館を観るとこんな感じだ。

こちらの洋館内も中にはいると日本の古民家風の建築になっていて、ムチャクチャ居心地がいい。しばしこのスペースでくつろいでから、いよいよ食事をとる間に移る。
僕は建築のことはよくわからないからコメントは控えたいと思うが、、、
とにかくこんな空間は初めてだ!



上の3点の写真は、あくまで建物の半分のスペースの1Fに過ぎないことにご注意。
L字型になっているので、逆の方にも大きなテーブル中心の客間がある。こちら側の1Fは畳の座敷。外のエントランスと繋がっている開放的なスペースだ。

我々の席は二階。背の低めのテーブルに、あぐらをかいても余るくらいの広い、重心の安定した椅子。これがなかなか心地よい。

「話をしたいときはここがいいんですよ」
という小林さん。しかしそれにしてもすげぇ建物だ。
さてこの店、こんな大仰な建物で何を食べさせるのか。際グループだし、中華か?と思いきや、正統派和食を食べさせる店なのであった。

5800円から小刻みに15000円までのコースがある。この日の僕たちは8000円のコースを選ぶが、けっこうボリュームがありそうだ。
まずは椀から。結果的には、この椀が一番印象に残る物だった。

黄色い満月のようなお団子は、カボチャの裏ごしで鴨肉の丸を包んだ物だった。

団子を崩し汁と一緒にすする。
強めにとられた一番出汁とカボチャのでん粉質、そして鴨の丸のうま味が重なって、見た目の美しさだけではなくかなりカチッとパンチの効いた椀だ。
「そうですね、やっぱり際なんで、味付けや盛りつけはパンチが効いているはずなんですよ」
と小林さんが言うとおりだ。
お作りは戻りガツオと鯛。

やはり盛りつけにパンチあり。
そして、いろんな物が盛り込まれた八寸がまた気に入った。

壬生菜(みぶな)寿司、秋刀魚の湯葉巻き揚げ、ごぼうと椎茸の天ぷら、レンコン素揚げ、茄子煮浸し、イクラ、銀杏などがちりぢりに置かれていて綺麗。薄紫の実はアケビだ。ネットリした果肉をほおばると種の部分にほろ苦さとえぐみがあり、これが舌の奥と胃袋を刺激してくれる。
牛ほほ肉と栗のワイン煮か、と思いきや、大和煮。

ほほ肉にはあまりパンチがないけど、ご高齢のお客さんにはいいのだろう。
事実、お客さんのほぼ7割が中高年以上の集団だ。たしかにこの店の個性としてはそっちを狙った方がいいだろう。しかし、この空間で飯を食えるというので、ムチャクチャにデート向けスポットだと思うのだが!
秋鮭の西京焼き。もうちょっと味噌風味を浸透させているほうが旨いと思う。

これは面白い一皿だった、梨の白和え。

梨には火が通っていて透明感がでているのだが、歯触りはシャキシャキ。そこに、ごま風味の白和え衣を乗せていて、これを一緒に食べると実に旨い。煮た梨は甘みがいい具合に抜けていて、ドライな食感と果汁が白和え衣にマッチする。
「あ、これは旨いな」
と小池シェフがつぶやく。お料理ジャイアンのことだ、何かこの系統の料理をいつか繰り出してくるに違いない。
〆は松茸ご飯と西京味噌の味噌汁。


松茸ご飯はもちろん美味しいが、味噌汁がふくよかに美味しいものだったので気に入った。
そしてデザートは何とぼた餅。

ぼた餅なんて何年ぶりだろうか。昔はおばあちゃんがよく作ってくれたものだけど、、、こういうのを正々堂々と出してくるのは好感がもてる。餡はあまり甘くない、小豆感たっぷりのものだった。中のご飯餅も潰しすぎておらず、いいあんばいだった。
総じて、突出して旨い!というようなものではなく、純和風のセンスのよい食卓。しかしそれをこの空間内でゆったり食べているということが全てかもしれない。満足度は100%である。サービスも悪くなかった。
これはやっぱり、デートの回数を重ねた恋人同士が行くべき店かもしれない。落ち着いた店だから、両家の親対面の席としてもいいかもね!料理もしっかりしているし、場所の静かに圧倒されるパワーは凄まじい。一日ぼんやりしていたいと思う建築だったのである。
食後、さきの洋館の喫茶スペースで和菓子とお茶をいただく。


これ↓フォンダンショコラではなくわらび餅だ。カカオの風味がしたように思うので、きっと餡に仕込まれていると思う。

「いやー 建築、すごいですよ!」
と小池シェフも感動している模様。この空間が日本橋周辺に欲しいね、と言うと、「とてもじゃないけどこんな敷地、絶対にペイしない」とのこと。ま、そりゃそうだろうな。

いやー
建築をこんなに心からムチャクチャ堪能したのは久しぶりだ。
食事をとるとき、その環境は人の意識に大きく影響を与える。それはわかっているつもりだけど、なかなかここまで圧倒されることはないというくらいにいいものを見せてもらった。
俺も家を建てるときは小林さんにこんな家を設計してもらおう、、、(笑)

外に出ると、日がすっかり暮れて、庭が幽玄の世界になっていた、、、
と、いつもならこの辺で終了するところなのだが、、、
食後一時間。通常の料亭などよりはパンチの効いた味と量の和食だったのだけど、それでもハラがこなれてきた。
「ちょっと小腹が減りましたね」
「あ、やまけんさん俺もですよ!」(by小池)
実はくる時の車中で、小林さんがラーメン好きだということで一時盛り上がっていた。
彼がいま気に入っている店の中でかなり上位にあるのが、環七にある「せたが屋」だという。
「魚系のスープが効いてて、旨いんですよ」
おお!魚系は大好きだ。
そのイメージがなぜか心と胃袋に去来し、たまらなく食べたくなる。
「せたが屋行きましょう!」
「マジ?今から行きますか?」
ということで一路店へと向かう。
「回転はいいんだけど並びますよ」
というだけあって確かにすでに店には15人くらいが並んでいた!

しかも、並び初めて後ろを見ると、短時間のうちに一気に20人以上が並んでいる!
交差点の対角にもラーメン店が林立しているというのに、なんとも超人気店ではないか!
15分ほどで店内に通される。
「ラーメンだったら『せたが屋ラーメン』てのが、トッピング全部盛りです。」
よしゃ、じゃあまずはそれ。でも、その横に「つけ麺」ボタンがあるのもチェックしてしまった。
「あー つけ麺も人気ありますね。麺が二種類あって、平打ち麺も選べるんですよ」
というので、平打ちつけ麺も食べることにした!
ラーメンができあがるまで、店主の口上を書いた紙を眺める。材料の説明が書かれているのだが、感心したのは、とある銘柄鶏のことを「○○銘柄鶏」ときちんと表示していたことだ。この鶏、けっこう「地鶏」として認知されているのだけど、地鶏という表示をするためのJAS規格をとっていないものだったと記憶している。それを地鶏として書いている店がしばらく前まで結構あったのだが、せたが屋ではきちんと「銘柄鶏」と称してあった。それだけのことなのだけど、店主さんのきちんとした性格がかいま見えるようだ。
「今日はおやじさんはいませんね。これがまた、肝の据わった人なんですよ」(by小林)
さてせたが屋ラーメンが運ばれてきた!

もちろん魚介系スープにはタマネギみじん切り山盛り投入でしょう!

ラーメンについては僕は造詣が深くないのでコメントは差し控えるが、中太麺によく絡み、十分な強さを感じるスープだ。僕が大好きな門前仲町「こうかいぼう」のスープをもっとガツン系にしたような感じだろうか。煮干しの味と香りが前面に出ていて、鶏や豚のスープは背後に回ってうま味成分として働いているという感じだ。トッピングに載っているアオサ海苔も磯臭さが無く、美味しい。豚トロの煮たのが結構入ってくるが、全部入りにするとちょっと多すぎてしまうが、それ以外は非常に美味しいラーメンだと思った。
しかも面白いのは、これに投入する独自配合のカレー粉があるということだ!

名付けてガツンカレー粉。これ、配合がまったく読めないのだけど、スープのコクが一瞬にして上がり、その刺激でさらに麺をすすり込むパワーを供与してくれる、なかなか面白いカレー粉である。
そしてつけ麺が運ばれてくる。

結論からいうと、つけ麺の方が好きだ!
麺は平打ちにしたが、ノーマルの中太麺でも旨いんじゃないだろうか。このつけ麺にも終盤、カレー粉を投入。ラーメンスープより酸味が際だつこのスープに特製カレー粉の組み合わせは実に最強。ますます麺をすするスピードが上昇する!
ズバババババッ
ズルルルルルルッ
と食っていたら、ラーメン大盛りを頼んだ小林さんや小池君よりも早く食べ終わってしまった(笑)
店を出るとき、小池君は店の女の子に「あの人の食べ方すごいね~、いったい何者?」と訊かれたらしい、、、(実話)
満足!
いやー 大規模建造物の下でゆったり愉しむ純和食と、瞬間的に爆発猛撃スピードですすり込む魚介系濃厚スープのラーメン。堪能した!
東東京に住んでいる身としては、月に数度は出向きたいと思ってしまう地域である。西東京を最高に愉しんだ一日だった!小林さん、小池シェフ、どうもありがとう!
あまりにも見事ないでたち。これは、かの有名な伝統野菜である鹿ヶ谷(ししがたに)かぼちゃである。もともとは東北・青森あたりで栽培されていた菊座かぼちゃの種子を持ち帰り、京都の鹿ヶ谷で栽培したところ、変異種が発生してひょうたん型になったといういわれがあるが、実際のところはどうだろうか。実はこのひょうたん型というのは、かぼちゃではそれほど珍しい物ではない。だから個人的には、あらかじめこのような形質になることが決まっていたのではないかという気がしている。
さてご存じの人がどれくらいいるかわからないが、かぼちゃには数種類ある。
こんにちスーパーなどで販売されている、果皮が濃緑色で果肉が真っ黄色、食味はポクポク粉質で甘いものは西洋かぼちゃという。しかしこれは実は日本では後発組といえるかぼちゃである。
実はそれ以前は、鹿ヶ谷かぼちゃに代表される日本かぼちゃ(東洋かぼちゃとも言われるが、僕は育種の先生から日本かぼちゃと習ったのでこう称することにしたい)が日本でのかぼちゃのメインストリームだったのだ。ただし日本かぼちゃとは言っても、古来から日本で自生していたわけではない。ポルトガル船がカンボジアから種子を持ち込んだため、「カンボジア○△×」→「かぼちゃ」になったのだというのが一般的な説だ。そうするとますます東洋かぼちゃと称するほうがいいのだろうけど、まあよしとしていただきたい。
日本かぼちゃは中南米原産といわれ、カンボジアで生産されていたことを考えても、高温地帯での栽培に向いている。日本に渡来してからはやはり西日本中心で栽培されていたということである。しかしそうなると陸奥の国(青森)から鹿ヶ谷かぼちゃの原種を持ち帰ったという説がなんなのだろうかということになってしまうが、まあ日本かぼちゃが伝来してから徐々に栽培産地が北上し、青森でも育つように改良されてきた歴史があったのだろう。
対する西洋かぼちゃは南米の高地原産であり、冷涼な気候を好む。日本に持ち込まれてすぐの頃は北海道や東北を中心につくられていたようで、たしかに西洋かぼちゃの古い品種はいまでも北海道の直売農家が種を守っていることが多い。例えば「まさかり」というかぼちゃがある。これは、果皮が極端に堅くなる品種で、実際に僕も試したことがあるが、包丁では出刃だろうが何だろうが刃が立たない。まさかりでも使わないと割れない、ということから着いたネーミングだ。実際には堅い床に思い切りたたきつけて割るというのが簡単な方法で、いったん割って加熱すると、ホクホク感と絶妙な甘さがたまらない名品種である。が、北海道以外ではあまりみかけることはない。このように関東などでは作られていないような古い、しかし美味しい品種が北海道ではまだまだ流通しているのである。
さてこの鹿ヶ谷かぼちゃ、写真のものは実はまだ若い実である。完熟するともっと全体が茶色くなり粉を吹く。ヘタの部分もまだ緑色が残っているところをみても、早めに収穫したものである。しかし型は非常にいい。さすがは京都を代表する卸売業者である京果経由の商品だ。この日本かぼちゃは保存が利くので、もう少し熟させてみる。
実はこの鹿ヶ谷かぼちゃ、NHKラジオのビュッフェ131で紹介するために取り寄せたものだ。かぼちゃは11月くらいにはいるとニュージーランドなどの輸入物にシフトしていく。いまごろが、多種多様な国産かぼちゃの世界を愉しむ最終ラウンドなのだ。

鹿ヶ谷を縦に割ると、みてのとおり種が下の部屋に集中している。これも、同型のかぼちゃと同じ性質だ。

この三種がラジオで紹介した品種。手前左が西洋かぼちゃ。おそらく九十栗という品種。ホックリ甘い肉質だった。右側が鹿ヶ谷。そして奥に見える変な物体がそうめんかぼちゃを半分にくりぬき茹でた物だ。

鹿ヶ谷かぼちゃを茹でた物は、実にえもいわれぬ美しさだ。粉質ではないので、切り口が崩れず、色落ちもせず、このレモンイエローをくすませたような肉質のまま煮上がる。実は日本料理で出汁を煮含ませるように仕上げるのはこの種のかぼちゃである。

手前は日本かぼちゃ、奥は西洋かぼちゃ。あきらかに肉質の違いがわかるだろう。
さて、日本かぼちゃと西洋かぼちゃの他にも極めてユニークなかぼちゃ類がある。それは「ペポカボチャ」だ。「なんだそりゃ?」といわれるかもしれないが、例えば身近な例を挙げると、ズッキーニはペポカボチャだ。
「えっ ズッキーニってキュウリとか茄子の仲間じゃないの?」
といろんな人に言われるが、、、かぼちゃの類なのだ。ペポかぼちゃ。なんとも名前がいいではないか。ペポ。可愛い。
そのペポカボチャで非常にユニークなのがこれ、そうめんかぼちゃ。楕円形のラグビーボールのような形状で、割ると中心には種が詰まっている。これを取り除き、レンジやオーブン、もしくは茹でなどで加熱する。頃合いを見計らって、種の詰まっていたあたりをフォークや箸でかき混ぜると、、、

かぼちゃの実がそうめん状にほぐれて麺になるのだ!
初めて観たときはそりゃあ驚いた。
生の状態の時によく見てみると、たしかに繊維状に、紐状に実が折りたたまれている。しかしなぜこんな麺状になっているのかは知らない。ご専門の方、ぜひ教えてくださいませ。
ちなみに
10年前くらいまではかぼちゃはスーパー店頭でも一個売りが当然のものだった。
しかし今や、4分の1カットや、もっとすごいのはスライスされたパックが販売されている。平均的な世帯構成員が縮小しているから、一家庭で消費しきれないからという理屈はあるだろうが、生産側も販売側も手間ばかりかかって少ししか売れないのでかなり大変だ。かぼちゃは、きっちり作られていればある程度日持ちがする(包丁で切れ目を入れちゃったらダメよ)。むしろ収穫したてのものよりも、低温下でしばらく保存したもののほうが甘くなり美味しくなる。ぜひ一玉かって、いろんな愉しみ方を試して欲しい。
「日本橋ぼんぼり」から「東京バルバリ」に改称して、それまでのグランドメニュー重視型から一気にお料理ジャイアンこと小池シェフの「本日のお奨め」中心の店に変わっていった。どう見てもものすごい技巧が凝らされたイタリアンなのに、値段は居酒屋価格というアンバランスさを魅力に進撃が続いている。
この日は昼飯にも小池君にお願いをして、小さいコースを作ってもらった。山梨から凄腕プログラマーであるひでぼさんが上京していたからだ。
「こんなのはうちの方じゃ出す店がないなぁ」
と喜んでいただいた。さて夜の部はいかに。
■昆布〆めした平目、フレッシュトマトソースとジェノベーゼ、ケイパー添え

フルーツトマトとオリーブオイルのシンプルなソースと、ジェノベーゼを併用するのは小池君が多用する組み合わせだ。平目も刺身の状態では全く起伏が無く面白くないはずだが、塩を含めた昆布締めによってソースとの相性が出て絶妙に食欲をそそる。
■パプリカで包んだメジマグロとアボカドのタルタル

柿の実か?と思ったがパプリカ。これを崩さないように包んでいただく。これまた彼が多用するジュンサイの食感が面白い。そして、添えられている菜をかじってにわかにビックリした!

これ、わさび菜じゃんか!
「あっそうです。わさび菜です、面白い味ですよね」
わさび菜は、リーフ野菜なのだがわさびのような大根のような、イソチオシアネートの辛みと揮発性の香り成分が含まれているものなのだ。最近、癖のあるリーフ野菜の食べ比べをしたのだけど、このわさび菜は、ミキシングしてジェノベーゼ・ソースに出来るほどの強い味を持っているのだ。こんなの使うとは、小池君もマニアックである。
そして次のさらがこの日一番のお気に入りとなったのだ!
■だだちゃ豆のパンナコッタとトマトのムース 蟹肉をのせて

これは素晴らしい!
だだちゃ豆をフードプロセッサーでどろどろにしたものにミルクを加えてパンナコッタにし、セルクルで抜いたトマトのムースのうえに乗せ、蟹肉どさっ、トンブリとシブレットを乗せる。薄緑色のパンナコッタを口に含むと、だだちゃ豆特有の香りと濃厚なうま味、それをトマトの酸味が立体的にふくらませてくれる。最近食べた中でピカイチの一皿だ。
■早松茸とハモのインボルティーニ

具を魚や肉で包みコロッケのように料理したものをインボルティーニと言うが、こんな豪華なインボルティーニは初めてだ!

早松茸のブリブリした食感と、まだ控えめな香りがハモの荒い肉と合う。コンソメベースのソースだとイノシン酸のうま味が強すぎるので、もうちょっと昆布ベースのグルタミンを含むソースにしてもらえるともっと旨いと思う。
■バルバリ種の鴨のソテー

この料理、詳細な説明は聞けていないのだが、ムチャクチャに手の込んだ皿だ。表面と皮目を強めに焼き上げた後、ベンチタイムを置いてロゼにしあげた鴨(茨城県の西崎ファームのバルバリ鴨だ)を大きめのさいころに切ったものに、ジャガイモ、そしておそらく鴨肉のレバーや内臓、セセリなどをミンチにしたものをさらに炒め、ソースのベースに混ぜている。もはや何料理だか全くワカラン。
が、
旨い。
みてのとおり鴨の絶妙な熱の通り加減、ミンチ肉のそぼろが含んだうま味の相乗効果、構成要素に見当のつかないソース、どれもこれもがオリジナルだ。
しかしこの重い一皿の次に出てくるのが、これなのだ!
■青森の短角牛のカツレツ

2切れに押さえているのが彼の良心だろうか(笑)
「パスタはどうします?山芋のニョッキがありますけど」
うん、食べるよ、と言うと、また法外な分量が出てきた。
■山芋のニョッキ

ニョッキは数個で、その周りがすごいじゃないか!
鮫の軟骨がタップリ入って、クリクリした食感とスープを吸った濃厚な味わい。山芋ニョッキは表面がカリっ中がトロンとして、不思議な食感。
そして、僕が最近一番気に入っている料理、鮎とハモのスパゲッティが出てきた!
■鮎とハモのスパゲッティ たで酢添え

これ、一度食べたときに思わず立ち上がってしまった一品だ。鮎とハモがちらされたさっぱり目のアーリオ・オーリオと思いきや、あまりにも濃厚な味わい、ケイパーの酸味がしっかり効いた、シチリアっぽいパスタだった! ほのかな苦みとうま味は、鮎のはらわたから出ているんだろう?と訊いたら、小池君がニヤっと笑って厨房から茶色のペーストが詰まった瓶を出してくる。
「鮎を大量にさばいて、はらわたを塩漬けにしてるんですよ」
うるかとアンチョビの双方のいいところをとったようなペーストである。これを味のベースに使っているのか!
しかもこのパスタに着いてくるたで酢をかけると、さらに酸味とさわやかな苦みがプラスされて、味の広がりが一気に三段階くらい上がるのだ。
こいつはマジ旨。〆のパスタはコレに決定だ。ただ、この日は小池君がはりこみすぎて「鮎の実二匹分ぶち込みましたから!」というのだが、逆に魚のタンパクが多すぎてバランスが悪かった。具は少なめの方が旨いようだ。
デザート盛り合わせは栗のアイスクリーム、黒ごまのトルタ、紅芋酢のジェラートなど。栗のアイス旨し!

いや
やはり小池節はすごい。考えられないような組み合わせの料理がポンポンと出てくるのだ。
実は小池君、もうすぐ結婚が控えている。不肖わたくしめもスピーチをすることになっているのだが、光栄なことだ。京橋の奇跡といえるこの店、ずっと続けていって欲しいと思う。

ウィルコムの新しい端末であるW-ZERO3[es]は、大人気でバカスカ売れているそうだ。たしかにPDAの機能てんこもりで、新規で30000円で買えるのだからこれは売れて当たり前だ。
残念なのは、前機種であるW-ZERO3では、「やまけんの赤いシャーポン仕様」が出来たのだが、今回は表面にディンプル加工という処理がされているので、塗装が出来ないのである。ま、それはいいか。
個人的にはOSが最初からATOKを搭載しているので、予測変換が効くというのが一番の大きな出来事だ。音声通話は僕の場合は京ぽん2でやっているのでこの端末ではつかわない。その部分の利便性がもっと上がれば、最強の端末になるだろう。
さて
週刊アスキーのレポート記事執筆のためにこのesで食べ物を撮影してみたのだけど、あまり期待していなかったのに、写真品質がムチャクチャいいので驚いた!
下に挙げる写真はすべてesで撮影したものである!
■まあどんな会 佐藤洋子さんの 薄皮丸茄子の漬け物

■泉州水茄子の浅漬け

このときは、さんさんと陽光が降り注ぐリビングで、自然光で撮影した。PCに転送して閲覧したら、一眼レフで撮ったんだっけ?と間違えてしまった。雑然とした印象の画質だった初代ZERO-3の写真画質とは大違いである。
おそらくはカメラユニットが変わったわけではなく、画像処理が変わっただけだと思うのだが、この品質であれば完全にブログ掲載用としては問題がない。あとは撮影時にいかに旨く光を取込むかだ。
それにしても、先日のアルキメーデオフ会の会場や、講演先会場などで、ウィルコムユーザに声をかけられることが多くなってきた。確実にユーザが増えてきているな。うれしいことである。