明日から岩手三連戦。ここしばらくですっかり二戸との縁が深くなった。何でかということについては、近日中にこのブログで告知することになると思うけど、、、
写真は、新潟の長岡巾着ナスに焼きナス、そしてイタリアから持ってきた種を育成したらしいシチリアナス、ズッキーニ(カボチャみたいなの)、そしてかなり美味しい産地のタマネギ。野菜まみれの日々を過ごしている。これは僕にとってはとてもちょうどよい。読者さんの中には、僕が毎日毎日凄まじい食い倒れをしていると思っている人が多いらしいが、そんなことはないッス。そんなの死んじゃいマス。基本、山のような野菜。
でも明日の夜は、短角牛の焼肉にまみれてきます。
さーて 東北新幹線はやて一号 朝6時56分発に乗るためにも今日は早めに寝るのダ。
うーん
感慨深い夜だった、、、
まず、食い倒れには関係ないけど、夕暮れ時に東スポの見出しで「カール・ゴッチ逝く」を見たときに、一つの時代が終わっちゃったんだなぁ、と悲しみにくれてしまった。
カール・ゴッチはプロレスの神様と言われた人で、ジャーマン・スープレックスの創始者だ。
小学校時代、柔道の道場から帰るとすぐに新日本プロレスの中継にチャンネルを合わせていた頃、僕や友達が最も熱心に読んでいた漫画は梶原一騎「プロレススーパースター列伝」であった。当時は初代タイガーマスクである佐山タイガーの全盛期であったが、佐山はゴッチの弟子であり、その美しいジャーマンを体現できる存在だった。猪木のジャーマンも当時はまだまだ説得力があり、彼らの背後にいるゴッチの存在が偉大なる山脈のように思えたものだ。
ちなみに誰との対戦かはっきり思い出せないが(おそらく猪木だ)、ゴッチがジャーマンをしている映像の記憶がある。投げるというよりも、相手をホールドしたままブリッジをしたら、相手がストンとマットに逆さまに落ちていった、という感じで、相手をモロに投げるジャーマンとは全く別の印象を受けたことを思い出す。これを再現しようと、高校時代に友人を体育館のマットで投げた際、自分の頭頂部でブリッジすべきところを一瞬の躊躇で後頭部がマットに着いてしまい、結果、相手の全体重が顔面にブシャッとかかり、自分の歯で唇が裂傷を負ってしまったことがある。悔しくてそれから毎日ブリッジの練習をしたことを思い出す。アホだったなぁ、、、
しかしゴッチを本当の意味で神格化したのはなんといってもUWF系の選手達だろう。U系が盛り上がるにつれ、その精神的支柱であるゴッチは本当に神様と化していった。この国の総合格闘技の前段階、非常に血湧き肉躍る時代である。
そして、日本が世界から選手を集めて開催していた総合格闘技イベントPRIDEが一頓挫し、アメリカのUFCにお株を奪われ、格闘技ファンがこれからどうなるんだろうという不安を抱えているこのタイミングで、ゴッチが逝った。なんともやりきれない。ともあれ、カール・ゴッチ氏のご冥福をお祈りいたします。日本の格闘技界を見捨てないでくださいね。
そして、「バンビーノ!」を愛読しているビッグコミックスピリッツを手にしてまたビックリ。「美味しんぼ」に無農薬リンゴの木村さんが登場しているでないの。
木村さんについては、テレビでも採りあげられ、最近では各所で講演会が開催されているので、知っている人も多いだろう。日本ではほぼ不可能といわれた無農薬でのリンゴ栽培を成し遂げた人だ。また無農薬だけではなくほぼ無肥料という栽培方法のため、長らく理解されなかった人だ。ちなみに、飯尾醸造の果実酢ラインナップにはこの木村さんのリンゴを原料にしたりんご酢がある。木村さんがこんなに有名になる前から飯尾醸造は良好な関係を築いていたわけである。さすが、、、
テレビもきっかけになっているとはいえ、この木村さん人気はスゴイ。しかしこの文脈は面白いなあ時代は変わっているのかなぁ、と思ったのだ。
僕が農業との関わりを持ち始めた高校時代後半の頃、まだまだ世の中は「有機農業なんてできやしない」という偏見に充ち満ちていた。すでに市民運動としての有機農業・産直運動や、大地を守る会・らでぃっしゅぼーやといった団体が設立されていた頃にもかかわらず、である。その頃の有機農業は畜糞ベースの堆肥中心で、まだまだ有機の質として植物性か動物性かというところまで問われることはなかったように記憶している。
でも、いまでは有機農法であったとしても、その「有機」の質が動物性の畜糞なのか、植物性か、植物性でもその中身がなんなのか、というようなところまで細分化されて評価されるようになってきている(まだまだその世界はマニアックではあるが)。つい先日もその評価軸で生きる人と出会い、ちょっとした衝撃を受けた。
おりしも昨年、有機農業推進法が成立したばかりだ。これからまた、有機農業の新しい時代が拡がるのかも知れない。そういえば昨日の参院選で、比例代表で僕が投票したのは、この有機農業推進法を推し進めたリーダーであるツルネンマルテイ氏である。受かって佳かったよツルネンさん、これからも頑張ってください。
さてそんなことをつらつらと考えながら、新宿駅近くのカフェハイチ本店へと向かう。この日最大の衝撃がここで僕を襲おうとは思いも寄らなかった。カフェハイチについては今更いうまでもなく、名物のドライカレーが麻薬的旨さを醸し、ファンを離さない名店である。最近は色んなところに出店しているようだけど、僕は一貫して新宿西口の本店が好きだ。何と言ってもドライカレーのルーが旨いのは当然として、常に品質が一定したあの旨い白飯が素晴らしい!大学2年生の時から、新宿のヨガ教室に通い続けて今日まで14年、すくなくとも一ヶ月以上このドライカレーを食べないと言うことはなかったと思う。
今日もいつもと同じように「ドライカレー大盛り、コーヒーはホット」とオーダー。
運ばれてきたドライカレーを一口食べてから、ホットソースをまんべんなくルーの上にかけ、スプーンの背でならしてから福神漬けをその上に拡げ、ルー、白飯、福神漬けが均等にスプーンに乗るように配分しながら口に運ぶ。ああ、至福の時。
ちなみに僕は大盛りを食べてもちょっと不足を感じてしまう。もう少し盛りがよければなぁ、、、
(↑これ、伏線です)
あらかたたいらげるとハイチコーヒーが来る。このハイチコーヒーが絶品な訳だが、アイスコーヒーにしてしまうと香りと味が立たなくなるので、どんなに暑い日でもホットが望ましい。これについてくるブランデーを正確に12滴垂らす。僕が長年かけて辿り着いた黄金律だ。ホットソースでビリッとなっている舌に、熱いコーヒーが追い打ちをかける。うーん堪らない。
といういつものパターンを味わいながら、お冷やをついでくれた女の子に、何気なく聴いてみた。
「あのさ、ドライカレーって大盛りよりもっと盛りをよくしてもらうことってできるの?」
「ええ、『特盛り』っていっていただければ、200円増しでもっと大盛りになりますよ」
なにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
訊くんじゃなかった!
どうしてくれるんだ この空白の14年間を!特盛りなるものができるなんて全く知らなかった!
おもえばこの店、店員さんと仲良くなるような雰囲気ではないから、そんな柔軟なオプションがあるなんてつゆほどにも思わなかったんだよなぁ。もうね、本当にビックリしましたよ。もっと早く訊けばよかった、、、
でもいいさ。まだ俺には明日がある。これからは迷わず特盛りでオーダーするしかない。
そんな風に心に衝撃を受けながら店外に出ると、激しい雨が降っていた。
とまあ、色んなことが夜に集中した一日だったのである。
いやー ほんとにいい天気で佳かった。それに尽きる土曜日だった。

東京バルバリで屋形船一艘借り切りでの隅田川花火大会。いつもは一人1万円くらいの屋形船乗船料金が、花火の日は25000円になってしまう。それにプラスして小池シェフの特製お重付きで10000円という高額のイベントなので、ほぼ集まらんだろうと思っていたら、結局船は満杯。景気の見方がよくわからなくなってきたのである。
それにしても屋形船の乗船はなぜか木場~門前仲町あたりが多いため、地元住民の僕としては本当に嬉しい。ほぼ2年ぶりの浴衣姿で船着き場に向かったのである。

集合・乗船はなんと午後3時。
花火大会の日は船が場所をとるのが先着順なので、早めに出るのだ。だからこの時点ではまだ全然、明るい。花火が始まるのが夜の7時だから、4時間たっぷり時間を潰さないといけないのである。
しかーし!
最大の時間つぶしアイテムがこれ、小池シェフの特製お重である。きけば前日から徹夜で作っていたという、、、その品書きも凄まじい内容だ。


レバーパテ
あぐーバラ肉のリエット
大山鶏モツ煮込み
自家製バゲット

宮崎牛ヒレ肉グリル夏野菜添え シェフのフォンドヴォーと飯尾さんのお酢ソース

奥久慈卵焼き
かも麩とキュウリとミミガーのさっぱり
オマール海老のチリソース

カンパチの甘酢マリネ
おちか産イサキとお米のサラダ

ホタテ・生ウニのオーブン焼きアメリケーヌソース
宮本さんの新奈良漬け
炭火で焼いた鰻とフォアグラのテリーヌ

個人的にはこの日最大の獲物がこの鰻とフォアグラのテリーヌだ。

脂っこそうな二つの素材だが、テリーヌには油脂がたっぷり入っているものが多く、違和感なし。実に旨い一品だった。
今帰仁村あぐーロースのメンチカツ
短角牛のバロティーヌ ルイジアナの香り
西崎ファームバルバリー鴨 甘味噌で
ヴァンデ産小鳩のつくね
ホロホロ鶏と縮緬キャベツ煮込み
イベリコ豚シューマイ
大沼さんのジャガイモサラダ
ゴボウのコンソメ煮浸し

これも個人的に気に入ったのが、イベリコ豚シューマイ。そんなんにイベリコかよ!
おいなりさんシェフスタイル
新サンマとゆかりご飯の太巻き

このおいなりさんが、なんと中身はカレー酢飯。その場ではみんな「うーん、、、」と微妙な顔をしながら食べていたが、余ったのを貰って帰って翌日食べたら、落ち着いて非常に美味しいおいなりになっていた!


とまあこんな感じである。
これに屋形船で供される刺身・前菜・つまみ類・深川飯・天ぷらが付くのだ、、、って、普通の人なら食えるわけがない。
本当に、この特製お重を食べきったのは僕ともう一人しかいなかった。
そのもう一人とは、ブログ「食い道を行く」で有名なヒロキエさんである。ブログで見せている怪人ぶりをこの眼で見せていただいて楽しかった(笑)
ちなみに僕はこのお重と刺身一通り、深川飯、シェフのいなり寿司数個と太巻きを食べた後、余っていた特製お重をもう2/3程度食べました。
ちなみにこの日、屋形船から出た深川飯は、白飯にあさりの吸い物をかけるというスタイル。

これが実に旨かった。船のおねーちゃんに聴いたら、これが最初のスタイルだったのだそうだ。

船に揺られて酔ってしまった人など多数出たが、なんとか集合場所に到着。

ようやく始まった花火大会。


花火自体は見応えがあったが、ちょっと距離があったかな。
迫力は、東北の北上花火大会や、長岡の花火大会のほうがあるかも。
まあしかし、6時間物長丁場を舟の上で一緒に過ごした皆さんとの思いでが一番。

皆さんお疲れ様でした!
東京バルバリの皆さん、徹夜で素晴らしいお重を仕込んでくれてありがとう!
ごちそうさまでした!!

いやもう言葉もない。
タイトルに書いたとおりだ。地下鉄豊洲駅の真上という超・好立地で、気取らぬ大盛りガテン系ながら、かなり高品質な中華を、しかもムチャ安な価格で提供しつづけてきたあの「秀栄」が本日25日をもって閉店するという。
この情報は、T洋経済新報社の、門仲にて数回遭遇させていただいたブログ読者さんであるY田さんからもたらされた。
僕はと言えば、納豆の登喜和食品さんのエントリに気合いが入りすぎて、通常なら1時間以上はかけないと自分で決めているブログ執筆時間を大幅に超過し2時間半くらいを費やしてしまい、かなり茫然としている時間帯であった。あーもう今週あたらしいエントリを書く気力ないな、、、と思っていたら、とんでもないニュースで本当にビックリしてしまったのだ。
よくわからないうちに、いまや埼玉県議となったモロイさんに連絡。もとはといえば彼が秀栄に連れて行ってくれたのである。
「え、まじ? 聴いてない聴いてない。俺からも連絡しておくよ」
そして秀栄に連絡。店長の小林君に「どーなってるの?」と聴くと、、、
「そうなんです。いろいろありまして、店を閉めます。もしお時間があるならぜひいらっしゃってください。写真もバンバン撮って下さい!」
と言う。これはもう訳がわからないけど行くしかない。しかし秀栄は超・盛りのいい店である。一人でいっても数皿で撃沈してしまう。ということで嫁さんを連れて自転車をとばし、豊洲の交差点脇の秀栄に入店したのであった。

明日、僕はエコール辻でのナスの食べ比べ会があるため、駆けつけることができない。
とにかく今日が食い納めだ。時間をかけてゆっくりこの店の料理を味わおう、という静かな決意を持っていた。ていっても、この店の盛りは価格対比でいえば半端ではない。一品料理で1000円を超えるのは数品。麺もご飯ものも量が多いというのがこの店のいいところだ。
「とりあえず食いたいものをガンガンいくぞ!」
ということで回鍋肉、唐揚げチリソース、四川サラダ、謎のメニューである「あれ」をオーダー。
「はいよっ!」
と店長が厨房に声を掛けてからわずか4分、回鍋肉が仕上がってくる!激速である!

甜麺醤の香りと甘辛さが絡んだ、豚肉とキャベツたっぷりのホイコーローである。この時点で飯が食いたいけど我慢!
このホイコーローを2口たべた時点で、四川サラダ到着。各種野菜の上にピータンが載り、甘辛い四川風ドレッシングがかけられたものだ。

このサラダの奥にあるホイコーローの皿をみれば、あまり減っていないことがおわかりだろう。激速で出てきたのである。
さらに!
そこにたたみかけるように「あれ」到着!

メニューにもちゃんと「あれ」と載っているこれは、豚ヒレ肉をカリッと揚げ、タマネギのみと合わせた黒酢酢豚なのである。
本当にあっという間に三品集結。

僕もかなり食べるの早いほうなんだけど、この店のスピードにはついていけない。
しかも味もきっちりとアタリがついている。
「まあウチは、どれか一つが美味しいっていうんじゃなくて、どれ食べても飯をガンガン食べられる味にしてますから!」
と店長が言う。
そう、ここは中華の一流名店ではない。
とにかく我々、飢えたやつらの満腹欲を満たす、ガッツリ濃い味大盛り系の名店なのである。
と言ってるうちにチリ唐揚げ到着。

ああ、最後だからと思って、定評のあるこの店の鶏から揚げをと思ったのだけど、色気を出して普通の唐揚げではなくてチリソースがけを頼んでしまった。

甘いスイートチリソースがかかったこれも旨いが、カリッと揚がった薄い衣の下からジュワッと肉汁が沸いてくる、この店のプレーンな唐揚げにしたほうが佳かった。うーむ失策。
続いて海鮮塩炒め。

この店、ガッツリ系と先ほどから書いているけど、実はこうしたあっさりめの味付けでも美味しい。
飾り切りされたイカの油通し加減が実にクニュクニュと素晴らしいのである。本当はXO醤炒めで濃ゆく食べたかったが、嫁さんが「あっさり系がいい」というのに負けた。これも旨い。けど、今から考えると万事濃い系で攻めるべきであった、、、
そして究極の選択!
僕の大好きなナス&肉料理をどうするか。麻婆ナスにするか、ナス味噌炒めにするか、、、
しばし悩む。そう言えば今思い出したけど、初めてこの店にモロイさんと来たときも同じ悩みをしたんだった!そして小林店長に「どっちがお奨め?」と尋ねると、彼は「どっちかというと、、、ナス味噌の方がご飯には合います!」と断言してくれたのだった。今回も同じ答えが返ってきた!
「ナス味噌が旨いと思いますよ、個人的には。」

うーむ
やっぱりこれだ!

ナス味噌の味噌は、甜麺醤ではなく八丁味噌のような(違うと想うけど)どろりと濃い味噌をベースに、海鮮醤のような甘辛めの味がからんだものだ。正直、この一皿でドンブリ二杯分の白飯を食える推進力をもった、強力な米消費用エンジンなのである。
いやーしかし
さすがに僕もこの辺で失速してきた。
白飯を一口食った瞬間に、胃袋にズシーンと来たのである。
「当たり前ですよ、うちで一人2000円も払えば絶対満腹するはずなのに、今日のヤマケンさんのペースは凄まじいです、、、」
でもこれが最後なんだもーん、、、
ということで何とかもう一皿!
「あっさりした麺が食べたい」
という嫁の願いに負け、エビそば。

広東麺的ねっとり片栗餡のスープでまったり。これはこれで美味しい。でもさすがにここでスタミナ系肉そばとかは頼めなかった。残念無念!

超満腹である。
あーもっと色々食べたかったなぁ、、、カガヤや竹にも連絡する間もなく来てしまったし、モロイさんも来られないわけだけど、もっと多人数で来れば全メニュー制覇もできたかも、、、
と思っていたら!
ブーンと自動ドアが開いて 「おっヤマケンさん!」
あーーーーー
某最大手データベース企業であるO社の敏腕営業であり、僕の大学の後輩であるミッチー夫妻が登場である! 彼はこの近くに住んでいるのであった、、、
「なんだよ 君たちあと30分早く来てくれたらさぁ、、、」
と本気で嘆いたのであった。
「あ、ヤマケンさん、うちの社長です。」
おおお!
小林店長のお父さんであられる社長さんがいらっしゃった!初対面が最後の訪問になるとはなぁ、、、
「いやぁ 本当に申し訳ありません、、、 ”諸事情で”としか言えないんですが、辞めざるを得なくなりました。この店はお客様も沢山入っていただけて、経営的にも全く問題はないんです。でも、、、 仕方がないんです。」
うーん うーん 詳細はわからないのだけども、どうにも仕方がないことらしい。
「うちは昭和47年から店をやってました。今年で35年ですか、、、前の店舗はこんなに綺麗な店じゃなかったんですけど、豊洲の再開発でこうして綺麗な店にして。」
え、昭和47年創業!? 俺の一つ下ってことだ、、、
「でもね、うちはとにかく『美味しい店』ていうよりも「『どこよりも盛りが多くて、安い、そんで速い!』という店にしようと思ってたんですよ! だからね、うちは中華鍋は常にガンガンに火を当てて、注文が入ったらすぐさま料理できるようにしてます。そのせいで、普通なら一年くらいは使っていられる中華鍋が、数ヶ月でベコベコになって穴があいちゃう。そんな店なんです。」
なるほど!
激速で料理が出てくるのは、ちゃーんとこの店を貫くポリシーだったのだ!常に鍋を温めておくことでとにかく初動を速くすることができているという訳だったのである。
しかも、この店の揚げ物や炒め物を食べても、劣化した油のいやな風味がしないし、あまり胃がもたれることがない。これは油が新しいからだと思っていた。
「はい、うちはとにかく一杯食べていただいて、回転をよくして、ていうかんじでやってますから、、、」
そう、美味しくて安いということでお客さんがどんどん入る。利は薄いかも知れないけど、材料も回転していつも新鮮、中華の質の大部分を決める油も、酸化しないうちに使い切ることが出来るという訳だろう。
「本当はあんまりお客さんには言わないで、静かに閉めようとおもってたんですけどネ。やっぱりもういいや、やまけんさん、書いてくださいョ。明日は夜の12時くらいまでは店を開けますんで」(社長)
「そうそう、ばーんと話を大きくしておいてくださいね(笑)」(店長)
ということで、ここに告知である。
豊洲の宝物のような店 「秀栄」 が本日で閉店である。ガッツリ系に別れを告げるなら今日しかないようです。心おきなく食べられますよう、、、「12時までやってる」というのはおそらく変動する(材料がなくなったりね)はずなので、遅くなりそうならお店に確認の連絡をした方がいいと思います。
最後に小林親子を記念撮影。

「社長、もう店、やらないんですか?」
「うーん 今はね、気持ちが下向いちゃってます。けどね。しばらくして、こうグワッと気持ちが持ち上がってきたら、、、私もまだまだ引退には速いですし、、、やってみたくなるかもしれません。」
小林社長、そして店長。豊洲でなくても、この味と盛りと激速を体現する店をまたオープンするのであれば、駆けつけますよ! 一ファンとしてその日を夢見ています。
それにしても
豊洲での秀栄伝説は今日でいったん終わりを告げる。素晴らしい店でした。
スタッフの皆さん、お疲れ様でした。最後の一日、有終の美を飾ってください。ありがとうございました。

登喜和食品は、府中にあるが国分寺から車でも10分かからない場所にある。登喜和食品の建物の二階スペースに蕎麦の看板がかかっているが、なんとこれは社長の息子さんが始めた蕎麦屋だそうで、昼はここで食事をさせていただくことになっているのである。
「いやどうも、遠いところをありがとうございました」
とお迎えいただいたのが 遊作 誠 社長だ。「ゆうさく」という素敵な名字、初めて見た!
ちなみに登喜和食品では、消費者向けの小売・通販は行っていないが、唯一この製造工場での直売だけはやっている。

ここには扱い商品がずらりと並んでいるのである。

僕が溝口さんからいただいた商品以外にも、大豆の違いやパッケージ違いなど含めるとアイテム数が30以上はあるようにみえた。

見ていると、けっこう近所の人や務め人が買いに来ているようだ。納豆製造の現場って、あまり生活に身近なイメージがない。けれども、近所のローカルスーパーで見慣れない納豆商品の裏を見ると、けっこう近くに工場があったりする。いつかそういう、ナショナルブランドではない納豆工場を観たいと思っていたのだけど、今回は本当にそれが叶ったという感じだ。

遊作社長は、元々は土建技術者をしていたが、お母さんが営んでいた納豆工場を継ぐ形でこの業界に入ってきたという。
「やってるとね、すごく楽しくなっちゃってね。どうせやるならどこにもない納豆を作ってみようと思ったんですよ」
ちなみに登喜和食品には、モットーというか約束事がある。
このうち、薫煙炭火造りという製法についてはこの時詳しく訪ねることができなかったのだが、どうやら室で発酵させる段階で炭火を焚くことによって酸素濃度を低くし、納豆菌が胞子の状態になろうとするのを促進する。この胞子が多いほど納豆の食味がよくなるという寸法。そして炭火で燻煙することで、アンモニア臭などのマイナス要因を取り去るという手法らしい。
それはともかく、
いまどき国内産で無農薬・低農薬の原料「のみ」で納豆を作るということを宣言するのは大変なことだ。一般の人はそうしたものがゴロゴロ転がっていると思うようだが、稲作の減反政策で大豆に転作した農家は多いものの、無農薬・減農薬で栽培している良心的な大豆を集めようと思ったらそれなりにコストがかかる。納豆のような日用品的な位置づけの食品をそれで製造するというのはかなり大変なことだ。
「まあ、まずは工場内を見ていただきましょうね。ただし、お見せできない部分もいくつかありますので」
ということで、いよいよ工場内だ。白衣を着て帽子を被り、エアーでホコリを除去し、粘着ローラーで衣服の上からゴミを取り去り、アルコール消毒をした上で内部に入る。

そこで目に入ったのがテンペだ。
インドネシアなどで食べられている、テンペ菌による大豆発酵食品「テンペ」。その健康的な要因から最近かなり有名になってきた食材だ。

「あっ 普通の大豆のテンペだけじゃなくて、黒豆のテンペも作ってるんですか」
「そうなんですよ、これが最高に美味しいんです。あとで食べてくださいね!」
というやりとりをしながら、いよいよ工場内へ!

これが納豆の製造ラインである。
「まず、こちらが豆を煮る釜です。」

大豆は厳密に時間を計って浸水されるが、それがこのフロアの一階上に溜められている。それを、釜に入れて蒸すのである。

ちょうど、別の釜に挽き割り納豆の原料を補給するタイミングになったので、みせていただく。


こんな風に、太い管を伝って浸漬された大豆がゴゴゴッと釜に入れられるのである。

ちなみに、プロの納豆作りでは、大豆を煮るのではなく蒸す。別冊ダンチュウ誌上の納豆作り記事では、一般家庭で簡単に作れるようにと、圧力鍋で煮る方法を採用したが、蒸した方が大豆の旨みが逃げないので美味しいそうである。ということで、プロはだいたい、蒸し器を使っている。
「さて蒸し上がりましたよ、これが熱いうちに納豆菌を振りかけるわけです」
蒸し上がた大豆が盛大な湯気を放ちながら容器に移される。

この蒸し上がり大豆を食べさせていただく。

むむっ!
やはり煮るのとは違い、蒸したものは確かに豆の味が濃い。煮汁に旨み成分が溶けないからであろう。
「そうなんですね、やっぱりこの段階では豆の味をいかにして逃がさないかということを気をつけますね。蒸しでも、流れてくる煮汁には旨みが沢山詰まっているんです。それどころか、大豆を水に浸漬した段階で、旨みはたくさん流出するんですよ。ほら、さっきの挽き割り納豆の釜の下のバケツを見てください。」

おおっ
もの凄い泡にまみれた水である!
この泡は、大豆サポニンを多量に含んでいるとおもわれる。
「この水を飲んだら、美味しいですよ。やっぱり挽き割りにしちゃうと、その分、大豆の旨みが流出しちゃいますね。」
そういえば、先ほどの丸大豆の釜の下にあったバケツにはこんなに泡が流出していなかった。
「ですからね、お寿司屋さんとかでも、本当にこだわっているところは納豆巻きをつくるときに挽き割りで
はなく、ご自分で丸大豆納豆を叩きますよね。私も味の面では丸大豆がいいと思います。ただ、食感が好きとか、そういうお客様が沢山いらっしゃるので、挽き割り納豆も作っているわけなんですよ」
うーむ
しかし加熱するまえの段階であんなに旨みが流出しちゃうとは、、、もったいない!
大豆にはグルタミン酸が多量に含まれている。イソフラボンやサポニンも含まれている。あの浸水の残りを毎日飲んだらスゴイかも!?いや、大豆のアクも含んでるから、そうもいかないか。
さて、蒸された大豆が熱々の温度のうちに、水に溶かした納豆菌をしゅっしゅっとノズルから吹きかける。

一般家庭で納豆を作る際には、この、大豆が熱々のうちにやるというのが最も重要なポイントだ。
納豆菌は強い菌だが、納豆を作る際に他の雑菌が入り込むと、納豆に悪影響が出る。だから、雑菌が入り込めない熱々の段階で熱に強い納豆菌をまぶすのである。
登喜和食品の工場内は徹底的に減菌されているはずだが、やはり蒸し上がった豆にいのいちばんで納豆菌を散布するのであった。
ちなみに、先に蒸し豆を容器に移したときに使った機器なども、なんとこの会社で手作りしているのだそうだ。土木技術者をやっていた遊作社長のキャリアがこんなところにも生きているのである。

さて納豆菌をまんべんなく振られた蒸し豆は、パック詰めの商品については自動充填機にかけられる。


カップ納豆のラインはこうして製造されているのである。
こちらは、例のこだわりタレ&芥子だ。


「芥子につかうマスタード種子だけはね、品質の問題から、カナダ産なんですよ。もちろんきちんと生産者も栽培過程のデータもキッチリ採っています」
ということだった。

こうしてカップ納豆が完成する。もちろんこの後に、カップ納豆を3つ口にしてまとめる工程がある。

ちなみに、登喜和食品では商品製造段階でのトレーサビリティシステムがきちんと構築されている。

出来上がった納豆のパッケージには日時とロット番号、原料番号が刻印される。これによって万が一、事故が発生した場合には、いつの製造ラインでどの原料に問題があったのかを追跡することが可能である。

さて、いよいよ僕が見たかった、わらづと納豆の製造ラインである!

まず、わらづと納豆を作って大丈夫なの?という話しを聴いてみる。
「はいはい、本物の藁を使って製造をする許可はなかなか下りないんですが、弊社は保健所にきっちりと納得していただいて、製造許可を得ているんですよ。おそらく東京ではうちだけだと思います。藁にはサルモネラ菌が付いている可能性があり、これは芽苞菌(がほうきん)という熱に強い菌であるため、消毒技術が必要になるんです。うちではもちろん薬剤を使わず、温度と気圧をかけて消毒処理をするんです。この方法をきちんと保健所にも開示して、お墨付きをいただきました。」
とのことである!
しかしその殺菌処理の段階で、藁に付いている納豆菌まで減ってしまうのではないだろうか?という疑問がある。
「ええ、納豆菌もかなり死んじゃいます。けど、3匹くらいは残るんですよ。少ないッt恵思われるかも知れませんが、それがどんどん2乗ずつ増えていきますから、少し残れば納豆ができるんです。」
なるほどぉ!
昔読んだドラえもんに出てきた「バイバイン」というクスリがある。なにかに掛けるとそれが一定時間ごとに倍になるというもので、マンジュウ(だっけ?)にかけて、地球が埋もれるくらいになっちゃっいそうになるという話だが、それを思い出す。菌の増殖ってとても速いのだ。

殺菌された藁づとは、束の状態でこのように容器の中に湯に浸されて保管されている。ビニールをかぶせているのは「天上からの水滴などにあたって雑菌が入る可能性を避けるため」。本当に徹底しているのだ!
このわらづとをぐいっと開き、中に程よい空洞を造り、そこに計量された大豆をシュコッと入れる。

これが一瞬のことなので、撮影するのが非常に大変!

これを外側の藁をかぶせて包みこんでわらづと納豆の仕込み完成なのである。


こちらは経木(きょうぎ)に包み込む納豆の製造だ。

こんな風にして、機械による充填または人の手による充填作業を経て、納豆菌をふりかけられた蒸し豆がパッケージに収まる。次は、これを納豆菌が繁殖するのによい条件下で、発酵させるのである。
が、その発酵室の写真はありません。
「すみません、ここが一番の機密が詰まっているので、写真はご勘弁下さい」
ということだ。同業者の人にも見せられないノウハウが詰まっているらしい。
ちなみに書いても構わない部分を述べると、醗酵室は複数ある。発泡スチロールの容器や紙カップ容器のものと、わらづと納豆や経木納豆の発酵条件は違う。それぞれの条件にあわせて湿度や温度を管理するため、醗酵室がいくつかあるのである。それだけではなくそれぞれの室には仕掛けがしてあるのだが、、、これは絶対的機密である。僕も見ただけではよくわからなかったが、ものすごい室なのであった。
さて室から出た納豆は、保冷庫で発酵を落ち着かせる(適切な表現かわからないが)処理をして、パッキングされ、出荷となる。


納豆は出荷時点ですでに醗酵が進んでいるわけだけど、正直いって僕は醗酵が一般より進んだもののほうが美味しいと思う。ナショナルブランド品の納豆を買ってすぐに食べてもなにか味気ない。それを1週間ばかりおいて、ちょっと色味が濃くなってからのほうが旨いと思うのだ。アンモニア臭は増えるが、旨みも増える。登喜和食品さんでも、この熟成庫で適切な味になるまでコントロールしているわけだ。
工場内を出た後、資材スペースへ。
「やまけんさん、うちで一番高い資材はこれかもしれませんよ」
といって見せていただいたのが、、、

そう、稲藁である!

なんとこの稲わらも、無農薬品にこだわり、契約農家から買い取っているのだそうだ。
「そりゃそうです、無農薬の大豆を原料につかっても、藁に農薬がかかってたら意味がないですから」
とこともなげに言う遊作社長。しかし無農薬の藁は結構高いぞ、ということを知っている人間としては、聴いててちょっと心配になる。だって一束で50円以上にはなってしまうのだから。
「主には新潟県の上越で無農薬の棚田をやってるところから送ってもらってます。25年くらいの付き合いになりますね」

しかも、藁もいろいろな種類を持っていて、通常の白米を作る藁と、古代米の藁など数種類をそろえていた。なんともマニアックなわらづと納豆なのである。
このわらづと納豆は400円近くしたはずだが、そういうところまでこだわって作られているのだ。納得の価格である。
こんな感じで工場見学が終了したのである。いやー納豆の香りでお腹いっぱい。
「見ていただいた素材の中で、唯一芥子だけが国外のものですが、それ以外はすべて国産品です。そっちのほうが自然でしょ?お金はかかりますけど、生産者と顔を合わせながら信頼関係を結んでやってくってのがうちのやり方です。」
素材だけではない。300平米の工場敷地には、おびただしい量の炭を埋設し、工場内に常に陽圧がかかるように空気も調整している。
「うちの工場内にいると健康になりますよ(笑)」
というが、本当に気を配っているのが見て取れた。
ちなみに今回最も面白かったのが、納豆菌の話だ。
納豆は誰にでも創れるわけだが、商業的に納豆を創る際には、藁などに生息している納豆菌を使っていると安定した品質が出ない。このため、納豆菌を専門に培養している業者があり、日本で代表的なものが3つある(詳しくはダンチュウ別冊を読んでください(笑))。
これはパンで言えば天然酵母のようなものだ。
僕も大学生の頃は自分でパンを焼いていたけど、市販されているホシノ酵母を使うか、バックフェルト酵母を使うか、はたまた自分で干しぶどうを水につけて発酵させ、培養した酵母を使うかで味が全く変わる。
そういう風に、納豆菌も代表的な三種だけではなくいろんなバリエーションがあっていいんじゃないか?ということだ。その質問には、驚くべき答えが返ってきた!
「実は東京都で新しい納豆菌を研究しているんですよ。ある作物から発見した菌なんですが、それが非常にいい納豆を創り出すんです。都の研究が進んでいるので、いずれうちでも製品に使えると思います。それを楽しみにしてて下さい!」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
それは面白い!
納豆菌は誰でも創れるものではなく、やはり専門的な分離と培養技術が必要らしい。
その専門機関で現在、東京都が研究中ということだったのである。これは楽しみだなぁ、、、
「さあ、じゃあうちの息子の蕎麦を食べてやってください」
ということでランチタイムである!
登喜和食品の建物の2階の一部が蕎麦やさんになっているわけだ。
■そば処 厨(くりや)
http://www.tokiwa-syokuhin.co.jp/mise/index.html
〒183-0046
東京都府中市西原町1-10-1 (登喜和食品 大豆の里2階)
Tel:042-361-3171


明るい店内でメニューを見るが、天ぷら系が非常にリーズナブルだ。

しかも、当然ながら登喜和食品の納豆・テンペ製品を食べることが出来る。
例えばテンペの天ぷら。これが実に旨い!

登喜和食品のテンペは豆の味がしっかり残っていて、大豆食品として非常に美味しい。
なので、テンペも同じく美味しいのである。
こちらは生のテンペ。

このまま食べても全然美味しい。大豆ようかん?という感じである。
さて蕎麦だ!
鴨南蛮そば、美味しゅうございます。

これに加えてジャンボ天ざる。

大海老が二本ついて1500円はリーズナブル。

しかも蕎麦の味がいい。
二八そばだそうだが、粉もきちんと国産、もりづゆの辛さも程よい。
「いやー旨いですよ!」
店主である遊作社長の息子さん(まだお若い!)、「まだまだ研究中ですので」と謙虚である。

デザートに黒豆テンペアイスをいただく。
黒豆のアミノ酸が糖分と乳脂肪とマッチしてこれまた予想外にいける。

いやいや
蕎麦とテンペで大満足である。改めて登喜和食品の志を感じてしまった。

納豆は、毎日食卓にのるような日用品である。
一パック60円程度、もしくは3パック100円という安値が普通という意識になっているだろう。しかしこれは、安い輸入大豆を使う前提の価格だ。穀物の国際価格が高騰している現在、じりじりと値段が高くなっていくだろう。
しかし一方で、まっとうな材料で、まっとうな製法で納豆を作っているところもある。そのばあい、価格も「まっとうな」ものになる。それを高いと思う人もいるだろう。しかし僕から見れば、納豆の基準価格はこちらのほうなのである。もし関心がある人がいれば、お近くの丸井百貨店(食品売り場があるところね)で、登喜和食品の納豆を買い求め、スーパーの100円3パックの商品と味比べをしてみたらいいと思う。いや、ぜひやってみて欲しい。
うーん書いててまた納豆が食べたくなってきた、、、
遊作社長、登喜和食品の皆様、そして丸井の溝口さん、どうもありがとうございました!
一番好きな食べ物は何か、と言われると「うーん その都度変わるからなぁ」といわざるを得ないのだが、もし食べるものを一つだけ選べと言われれば「納豆ご飯」と答えるだろう。小学校低学年までは食べられなかったのだけど、ある日の給食で出た納豆を旨いと感じ、それ以来、愛情に近いものを抱いている。

過去にも数回書いたと思うが、北海道の富良野にある「富士食品」の納豆との衝撃的な出会いもあり、かなり納豆については理解したつもりになっていた。
■富士食品との出会い(過去ログ)
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2004/07/post_284.html
最近では、ダンチュウの別冊で発酵食品特集号が出ているが、そこに納豆造りを教わるという記事を書かせていただいている。
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先日書いたエントリで「愛国納豆」を紹介したが、その作り手である三井田さんに教わりながら納豆を作ったのである。実に目から鱗のおちる体験をさせていただき、面白い時間を過ごさせていただいた。
■三井田さんと愛国納豆
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2007/04/post_988.html
しかし実に世間は広い。
なんと足下の東京都内に、素晴らしき納豆製造業者さんがいらっしゃるのである。
それを教えてくださったのは、過去二回開催した静岡オフ会にも参加してくださったブログ読者である溝口さん。実は彼は百貨店である丸井の食品担当をしている方だ。

僕も溝口さんとの出会いまで知らなかったのだが、丸井は衣料品で有名だが、実は都内の数店舗が食品を扱っていて、そこではこだわり品の取り扱いにかなり力を入れている。話を聴いていると、その力を入れる方向性が実に健全なのだ。
「生産者さんが真面目な仕事が出来るようなお付き合いをしたい」
と、仕入れ単価が高いであろう独自商品を共同開発し、きちんと売り切っている。漬物なども可能な限り添加物を添加せず、グルソーを一切使わない商品ラインナップまで揃えている。
「でね、登喜和食品さんっていう、府中の会社で作っていただいている納豆が素晴らしいんですよ!国産大豆なのはもちろん、納豆につけるタレや芥子にもこだわっているところなんです」
と、その商品を分けてくださった。

店頭でもよく見かける藁苞(わらづと)納豆。稲ワラに包んで発酵させるものである。稲わらには天然の納豆菌が棲んでいるので、熱々の煮豆をそこに包み込んで、一定の温度・湿度下に置いておくと発酵して納豆になる。納豆菌が分離・固定されるまでは、ずっとワラで納豆が作られていたわけである。
しかし、これを剥いてみて驚いたのだ。

これは本当にわらづと納豆ではないか!?
何がおかしいかというと、、、
実はこの藁苞納豆を製造してよい業者は、茨城県の水戸や、その他数カ所に限定されているはずだ。藁を使用するのが衛生的に問題があるとして、保健所レベルでの規制があると聴いたことがある。だから、許可が下りていない地域でわらづと納豆が売られている場合、その藁を剥いてみると、しっかり藁と納豆の間にビニールが巻かれていて、きちんと包装されていたりする。これはつまり藁が包装紙の役目しか果たしていないということだ。
しかしこの登喜和食品の納豆は藁にダイレクトに納豆が詰まっている。ということはわらづとで発酵させた本物の納豆なのか?そんなことを思いながら食べてみると実に端麗、綺麗な風味の納豆である。

しかも添付されているタレはきちんと醸造された醤油をベースにしたものだ。

いやもうこれには脱帽。
急速にこの製品を生み出している登喜和食品さんに関心が沸いてきた。
「じゃあヤマケン、一緒に見学に行きましょうか!?」
と溝口さんのご厚意により、登喜和食品視察をさせていただくことになったのである。
某日、府中では小雨が降っていたが、超こだわり納豆作りの現場を一目見ようと、むんむん熱気を放つ一団が集結したのである。

■登喜和食品
〒183-0046 東京都府中市西原町1丁目10番地の1
Tel:042-361-3171
http://www.tokiwa-syokuhin.co.jp/

(続く)
ちょっと体調不良だったのだけど、山形へ出張。14:30からの会合の前に、かなり昔にいって感動した「一寸亭」に寄ることにする。
山形には「冷たい肉そば」というジャンルのそばがある。これは他県にはないもので、ドンブリにキンキンに冷たい汁が張っており、これまた冷たく締めたそばが入り、そこに鶏肉の煮染めた肉片が浮いているのである。
汁はかけそば用の甘汁ではなく、鶏ガラなど肉からとった出汁が配合されていて、こくがある。しかし脂は冷やした段階で取り去ってしまうようで、一片も浮いていない。肉系のスープだがキンキンに冷えており、くどいところはほとんどなく、腰のあるそばにビシッとマッチする非常に美味しいそばである。
これを初めて食べたときは本当に感動して、
「山形県人は天才だ!」
と思ったものだ。その、初体験が山形駅からタクシーで1200円程度の「一寸亭」なのである。
5年ぶりくらいにのれんを潜り、ランチセット(ミニ天丼がつく)の肉そばを頼む。5年ぶりにたべるそれは、しかしちょっと期待値が高かったのか、やや満足感を覚えぬものであった、、、
うーむこれはどういうことだろうか。やけに汁があっさりしていて、細めの麺との絡みがそれほどよいと思われない。全体的に満足感を感じない。
同じく肉そばだが、非常にこゆい味で有名な朝日町の「太郎亭」の味に慣れてしまったからだろうか?
やや不満だったので板そばも頼んでしまう。
中太の仕上がりの麺、まずまずである。
何とも釈然としない気持ちのままに山形キャッスルホテルへ。
本日は「山形97号ブランド戦略会議」という、かなり大変なイベントに出席していたのである。
これは、山形県で育種された米の新品種「山形97号」をどう売り出していくか、という戦略を練る会議である。なぜか僕も委員に任命されたのだが、他のメンバがそうそうたる顔ぶれであった。第一、県知事が最初から最後まで3時間近くも列席したというところに、山形県としての強い意気込みを感じる。だいたい、メンバの中には、今をときめく庄内の「アル・ケッチャーノ」の奥田シェフや、「吉兆」の徳岡総料理長(この日は欠席)までが名を連ねているのである。
山形の主力品種といえば「はえぬき」である。また駅弁「牛肉どまんなか」で有名になった「どまんなか」もその一つだ。しかしどちらも、全国的には販売面で思わしい結果を残しているとはいえない。はえぬきは銘柄米の世界では5位なのだけど、コシヒカリのダントツ1位はいいとして、上位の米からは相当に水をあけられている。
ちなみに「はえぬき」は素晴らしい食味の米である。これは間違いない。
余り知られていないが、某最大手コンビニエンスストアのおにぎりの米は「はえぬき」である。
ただし、はえぬき米として明示的に販売されていることが少ないため、消費者の認知度は低い。また、優秀な農家の作ったはえぬきは最高だが、沢山の農家から集荷し混ぜて作られる米商品には、今ひとつ評価できないものも見受けられた。
しかし今回の山形97号は、食味計値からするとコシヒカリを超える可能性があるのである。
実際にコシと比較して試食したところ、香り、粒の揃い、粘り、食感といった点で、コシを越えるというよりもかなりオリジナルな上質さを感じた。端的に言って美麗に旨い。コシのように油脂や塩分が強いおかずと合わせるよりも、日本型、それこそ山形の漬物などに合わせると引き立ち合う味だと感じた。
いろいろお話しをして、解散。
NHKラジオの来週分の原稿提出を忘れていて、喫茶店で40分で書きあげて送信。その他もろもろの処理は帰りの電車に持ち越す。晴れて自由の身になり、山形県庁内でも有名なそばマニア・芳賀さんに連絡。
「じゃあ、やまけんさん好みの太めのそばを廻りましょう。」
まず連れて行っていただいたのが「水車」。

板そばを頼むと、つゆと薬味、漬物が出てくる。

あれれ?山形ではこの時期、小ナスの漬物が出てくることが多いんだけど、、、
「やまけんさん、コスト削減ですよ。蕎麦屋も景気に左右されるんです。」
うーんそうか、残念!
板そばはかなり立派な盛り。
そばに何もつけずにすすり込む。ブワッとした香りは立たないが、ぎしぎしと噛み込んでいくうちに香りがほどけてくる。なかなかに佳し。

ちなみに山形では薬味に一味が好まれる。これを、そばの上に一文字に線を引いていくのである。

こうすると、辛みよりも唐辛子のツンとした香りが薬味となり食を増すのである。
さて時間があるのでもう一軒。
大きな国道の脇にある、ドライブイン的外観の店「そうえもん」。



「こんな造りで、けっこうポピュラーな店ですけど、なかなか旨いですよ」
と芳賀さんが仰るのでかなり期待。
確かに旨し!
そばの香りの強さはこちらのほうがハッキリ感じられる。
それにしても板そば、しかも太めの麺のはしごは、後半戦に勢いが無くなりすすりにくくなる!
しかし芳賀さんはリズミカルに「ズッズッ、ズー ズズッ」という一定のパターンでそばを順次すすり込む。
太麺でそれをやるのは至難の業なのにな。さすがはご自身でも打たれる山形そば試合巧者である。
車中、今回の山形97号に限らず、育種の話をいろいろ伺う。芳賀さんはいまは県庁本体にいるが、もともとは農業改良普及員で、現場でバリバリに技術指導をしていた方である。山形県内にはいろいろと面白い品種があるにもかかわらず、宣伝がヘタだ。これは東北のどの県にも共通することなのだが、、、
さて山形47号、今後どうなるのだろうか。次回の会議は9月の予定。いまから楽しみだ。

「万願寺とうがらしが穫れてきたんで、もし東京にいらっしゃるなら送りますよ」
と、京都府宮津のお酢メーカ、飯尾醸造の5代目見習いである彰浩君から嬉しい連絡があった。宮津の旨いものをなんやかやと送ってくれるので恐縮だ。先日発刊された別冊ダンチュウの発酵食品特集にも、大々的に飯尾醸造の造りの風景が掲載されているので、読んだ方も沢山いるだろう。飯尾醸造は原料の米作りから自ら棚田を借り受け、蔵人達が耕している希有な醸造業者である。だから折々の陸の恵みを自前で調達している。

「この万願寺も、うちの祖母が丹精こめて栽培しているものです」
という。
ちなみに飯尾家にお邪魔すると、まるで料理屋か?と思うばかりの旨いもんがずらっと並ぶのだが、僕が一番旨いと思ったのは、焼き豆腐とニンジンの煮付けと、この万願寺をこっくりと炊いたものだ。これさえあれば何杯でもメシが食える。

今回はレシピも入れてくれたので(あまりに僕が旨い旨いと食い過ぎたからか!)、自宅にてチャレンジである。
ところで万願寺は、余程の大当たりがない限り、際だった辛みがない唐辛子である。辛みのない唐辛子とピーマンの違いは何か?実はあまり違いはない。このヘタ部写真をみても、形状はほぼピーマンと同じである。

種の部分もほとんど同じ。

というより、ピーマンのそもそもの成り立ちは、「世界に数ある唐辛子の中の、辛みのない品種群のひとつのまとまりをピーマンという」というものだからだ。ちなみに唐辛子は中南米の熱帯原産といわれるナス科植物だ。
日本の唐辛子は、土質のせいだろうとおもうけど、やたらと直線的に辛い。韓国の唐辛子は味に丸みと奥行きがあり、辛みが脳の後ろのほうにヅーンと残る感じだが、日本の唐辛子の辛さはグワッと額あたりに火が点いて燃え上がる感じだ。そしてハラペーニョやハバネロといった殺人的辛さの南米系唐辛子は、舌と口腔内の全体が燃え上がり、100メートル走のスプリント力が長時間持続するような恐ろしい体験を味わせてくれる。
しかし万願寺は、同じ唐辛子とは思えない穏やかな旨さを味わせてくれるのである。
早速今晩、炊いてみよう。飯尾君、ありがたくいただきます。


過日、短角牛と雑穀の町である二戸市を再訪した。
前日の大雨で増量した川がごうごうと音を立てて流れている。

「朝、行きますね」
と女将の安藤さんに伝えていたこともあって、この地域の伝統食を用意してくれていた。

メインディッシュはこの凍み大根の煮物だ。

凍み大根(切り干し大根と同じ)には様々なバリエーションがあるが、東北のそれはかなりおおぶりなカッティングである。切り干し大根の盛んな宮崎県の農家の軒先では、縦に細くカンナで削ったものを干していたが、こちらでは大ぶりな大根を紐を通してつるしておくのをよくみかける。この煮物に使われているのも輪切りした大根を半分に切っただけの無造作な形だ。これを冬に寒干しすることで、夜には凍り、昼には解凍され、ということを繰り返すうちに完璧に脱水されるのだ。
なかなかこっくりとした出汁でに含まれていたので、何を使っているのかを尋ねる、意外や意外、昆布出汁に煮干し出汁を合わせているとのこと。鰹出汁では弱く感じるのだそうだ。やはり岩手県の食は、ダイナミックである。

それにしても
この店のキラーアプリはなんといってもこの雑穀おにぎり。キビやヒエが一緒に炊き込まれたおにぎりの中に、味噌漬け大根が入っていて、これがなんとも堪まらないのだ。
それと、これも美味しいのが雑穀冷麺。

麺に雑穀が練り込まれているのでこういう色味なのだ。

この麺を暖かいスープでラーメンにしたのも旨いが、ひんやりした喉越しと、トロロやモロヘイヤなどのネバネバが気持ちよい冷麺をお勧めしたい。
いつものごとく、岩手編で水先案内を務めてくれるS藤さんがやってきて、「これ、食べてよ!」とくれたのが、田野畑村の生産者グループが造っているみそだれ。

にんにくと唐辛子がグワッと効いて、しょっぱくて、パワフルで旨い!
「うちはこれを冷や奴につかって愉しんでます」
という通りにやってみたら実に最高であった。うーん ニンニク味噌は色々観て試してみたけど、これはかなり上位に入りますな。
さて新幹線の時間が迫っているが、どうも気になる店があった。「ビートバーガー」という、あまりにきいたことのない独立系丸出しのハンバーガーショップらしきものが、駅前の交差点に面してあるのだ。営業しているのかどうかわからない風だったが、店内には電気が点いている。どうも気になるので、電車まで20分しか残ってなかったけど、入ってみた。

ファーストフードというより、お母さんが立ち働くお洒落な(?)定食屋という感じ。
それにしてもメニューを見るとあまりの安さに驚く。

ちなみにお母さんに聴いたところ、ビートバーガーというのはツナを使ったバーガーだそうだ。
面白いがハンバーガーも食いたいので、ビートハンバーガーという、ハンバーグとツナ双方が入っているものをオーダー。4分ほどで出てきたのがこれだ。


レタスたっぷりと、ハンバーグパティの下に厚切りハムが挟まれている。その下にツナが挟まれているのである。

ハンバーグの照り焼きソースの甘さでよくわからないが、ツナとハムのコンビは悪くない。
既製品を挟み込んだファーストフードだが、二戸で出会ったニッチなビートバーガー、悪くないなと思った。
店を出て急いで駅に向かうが、駅前のロータリーの入り口にどうしても気になる果物屋がある。

旬のさくらんぼがどわっと置いてある。
一番いい等級のものが3500円というので実家に送る。
ああ、あと5分で電車がきちゃうよ、と急いで出ようとしたときに、その軒先にぶら下がっているものを発見してしまった!

これがただしき凍み大根の姿である。先ほどの輪切りの半割よりさらにでかい。完全に脱水しているのでかさかさと軽く風に揺れている。ああ、岩手は佳いなあ、、、
雨の翌日だからか、帰り道、新幹線の車窓からの景色はいつもよりくっきり青空が気持ちよかった。

二戸で実現するかもしれないビッグプロジェクトが成就するように祈りながら、帰京の途に着いたのだった。
ドイツ人の友達Wolfgangから、「きっとケンジは喜んでくれるだろう」とプレゼントされたものは、僕が10数年ぶりに出会う味だった!

瓶詰めのドイツソーセージ。瓶に入っていて、通常のソーセージのようにケーシングで包まれ一本一本になっているわけではないのだけど、「Wurst」と書いてあるから、ソーセージと言ってよいのだろうと思う。白いのはレバーソーセージ。そして赤いのは、、、豚の血のソーセージである!
いやー これを食べたくて食べたくて、ここ10年ほどいろんなソーセージ工房を廻っていたのである。
血のソーセージは、豚をと畜する時に採取した血に、背脂や舌や皮などの部位の角切りと各種スパイスを混ぜ込み、豚の胃袋などに詰めて固めるものだ。
豚の血のソーセージというと、多くの日本人が「うぇえええ」という顔をする。しかし、これほどに旨いものもないんじゃないか、というくらいに美味しいものだ。もちろんゲテモノぽい味は皆無。みな、血のソーセージと聴かなければ、コクがあってネットリした、レバーの入ったソーセージ?と思うような味である。しかも、プチプチと入っている皮部の角切り部分が歯応えよく、また美味なのである。
僕がこのソーセージに出会ったのは大学にいた頃のことだ。
僕の通う大学キャンパスは神奈川県藤沢市にあったのだが、その隣町に日大農獣医学部(現在は生物資源科学部)があり、知己を得て畜産関連の研究室によく遊びに行かせていただいていた。ある時、教授が「山本君、藤沢からすぐ近くの養豚業者さんの娘さんにインターネットを教えてあげてくれないか?」といわれ、いいバイトになるなぁ、と家庭教師を引き受けたのだ。
その養豚業者さんというのが、実に日本の養豚業界を代表するところだったのである。神奈川で昔飼われていた高座豚という、中ヨークシャー種をブランドに掲げる、大規模な養豚場を持つところだった。しかもその豚をハム・ソーセージに加工直売する設備までもったところだったのだ。そこに週一回、インターネットってどういうものですということを教えにいった。もちろん、まだダイアルアップ接続の頃だ。
帰り際になると、「ソーセージもってく?」と、ぎっしりとソーセージ類をいただいた。高座豚のソーセージやハム、ベーコン。思えば本当に贅沢な学生時代だった、、、
その中にあるとき、血のソーセージがあったのだ。「うお、これが血のソーセージか!」とおっかなびっくり口にしたのだが、、、ケーシングを外してパンにのせ(そういえばその頃僕は自分でパンを焼いていたのだった!)て少しオーブンで炙って食べる。熱ですこし、凝固した血がトロリとしたところをかぶりつくと、コクのある血の風味と、皮や背脂の触感があいまって実に美味しい! 少しも下品な味がしない、むしろ上品なのに味が濃いという、なんともいえない印象を持ったのだ。
ビックリして、その業者さんに「あれ、いつもあるんですか?」と尋ねたが、「いやー あまり売れないからごくたまにしか作らないんだよ。あれが気に入るとはなぁ~」と笑われた。以後、血のソーセージをそこでみかけることはなかった。幻の一回限りのソーセージだったのである。ドイツに行ったこともないし、日本国内のハム・ソーセージ業者さんのところにいくと必ず「ないんですか?」と聴くのだが、どこにいっても「売れないんですよ」と言われるばかりだった。

そう言うわけで10年ぶりに食べた血のソーセージ、素晴らしい味です。ドイツパンと合わせなきゃ、と思って、プンパーニッケルとライ麦50%のパンを買って愉しむ。ニュルンベルグ出身のWolfgangが、「僕らの国では、ザウアークラウトとマッシュしたポテトといっしょに食べるよ。でもね、正直言うと僕は血のソーセージは好きじゃないよ!(笑)」と言う。ザウアークラウトは日本では缶詰しか手に入らないのでパスして、ジャガイモのマッシュとともにいただいた。レバーソーセージももちろん美味しいけれども、やっぱり血のソーセージが旨い。ドイツではRotwurstと言うらしい。感動です。Wolfgangに感謝。
もし誰か、日本国内のハム・ソーセージ職人さんで、血のソーセージを造っているところ知ってたら教えてください!

今年2月に実施した「料理人のための食材研究会」は盛況のうちに終了した。っていうのをエントリ化してなかったのを今思い出したのだけど、さすがは日本が世界に誇る調理学校・辻グループ。エコール辻国立校の日本料理学科の先生達の手により、数々の大根がきっちり同じサイズ・同じ部位でサンプルがとられ、同じ形に刻まれ、煮られ漬けられと完璧な条件下でテイスティングを行うことができたのだ。







さて
そしてこの夏、ていうか今月の25日に、第二回を開催することになったので告知!
今回は、僕がこれまで開催してきた「食材塾」でも実施したナスをテーマにします。
ただし!
とりあげる品種は過去に実施したものとは若干違います。第二回食材塾の模様はこちらをご参照。
今回は、在来種として大阪の貝塚市馬場地区の「馬場茄子」と、新潟県では知らぬ者の居ない、その名も「焼き茄子」をラインナップに加えます。
馬場茄子は、泉州水ナスのルーツではないかとも言われている稀少な品種。

形状は千両型の、長卵形なのだけど、これがきっちりと水ナスなのである。


しかも、僕的には泉州水ナスより繊細で美味しいと思う。皮が非常に薄くもろいので、流通過程で傷がついてしまいやすく、扱いが難しいために稀少品種になってしまったのではないか、と思う。
焼き茄子は、実にデカイ、しかし果肉はやたら膨満で、見た目より軽い品種だ。

もちろん手前のデカイのが焼き茄子。
果肉が膨満だから揚げたりすると油が浸みすぎて手が付けられない。しかし、焼き茄子にしたときの食味は最高なのだ。

すぐに身肉の中心まで火が通り、果汁は甘く香ばしく、そして料理しやすさという点で重要な、皮の剥きやすさが素晴らしいのだ。
この他、薄皮丸茄子や、

当然のごとくに長岡巾着茄子も出ます。

ちなみに、泉州水茄子や長岡巾着茄子に関しては、「東京でも手に入る」という人もいるかもしれないが、それは現地における最上級品ではないことが多い。特に水ナスはそうだ。今回の研究会では、当然ながら第一級のA品を揃える。いったいそれはなぜなのか?ということも含め、当日は流通の問題も含めてお話しをしたいと思う。
以下、説明。詳しくは問い合わせ先からよろしくお願いします。
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第二回「料理人のための食材研究会」
近年、料理における食材の位置づけがこれまで以上に高まっております。流通手段の多様化や、インターネットなどを利用した産直仕入の拡大、品種改良による新素材や伝統的なブランド野菜の登場など、食材知識も以前にも増して求められるようになっております。
このような問題意識のもと「料理人のための食材研究会」を立ち上げ、1月18日に「大根」をテーマに第一回を開催いたしました(詳細は月刊専門料理4月号に採録)。
今回は「ナス」をテーマに取り上げます。研究会は二部構成で、第一部では、月刊専門料理で「識っておこう、農産物の基礎知識」を好評連載中の農産物流通コンサルタント山本謙治氏による、「ナス」の品種特性や流通(入手方法)など基礎知識の講義、第二部では第一部の講義で取り上げる8種類の「ナス」をエコール 辻 東京教授陣の提供により、「生」、「煮る」、「揚げる」などの基本的な調理方法で試食していただきます。
このように、講義と試食を通じて「ナス」についての基本的知識の習得、料理への活かし方を探求します。そして、プロの料理人の方々を対象といたしますので、料理人どうしならではの意見交換を通じ「ナス」についての理解を深め、情報の共有を目指します。
募集要項とカリキュラムは下記の通りです。お早めにお申込下さい。
日 時:2007年7月25日(水)13:00~16:00(30分前より受付開始)
場 所:エコール 辻 東京(東京都国立市富士見台2-13-3)
定 員:30名
講師・スタッフ:山本謙治氏、エコール 辻 東京教授陣、柴田書店編集者
受講料:10,000円(テキスト・税込)
〔講師・スタッフ紹介〕
● エコール 辻 東京
大阪あべの辻調理師専門学校・グループ校<エコール 辻 東京>。1991年に開校したプロの調理・製菓のスペシャリストを養成する専門校。フランス・イタリア料理課程、日本料理課程、製菓課程の3コースがあり、多くの卒業生を輩出、各地で活躍している。
今回の「料理人のための食材研究会」では、日本料理課程の満園聖(みつぞの・きよし)教授、
岡田 裕(おかだ・ゆたか)教授、上野賢一郎(うえの・けんいちろう)助教授ほかのスタッフが全面協力。
(http://www.tsujicho.com)
【申込み方法】
下記の受講申込書に必要事項をご記入の上、郵送またはFAX、E-mailにてお送り下さい。
こちらから受講票、会場地図をお送りいたします。
なお、ご記入頂いた個人情報は、事務連絡および、小社からの刊行物・セミナーのご案内、講師にお渡しする名簿作成に使用させて頂きます。小社からのご案内が不要の場合は、下記の通信欄の□に✔ 印をつけて下さい。
ここ2週間、ものすごい勢いでサクランボをいただきまくっている。
山形県産、山形県産、秋田県産、山形県産、岩手県産と、極上品がばらばらと届いて、我が家は至福の時間を迎えている。
それにしてもサクランボの食味向上はここ20年くらいで劇的に進んだと思う。
僕が子供の頃、こんなにサクランボは旨くなかった(という記憶がある)。嫁さんとも話していたのだけど、昔はアメリカンチェリーのでかさと甘さに驚愕したものだ。やっぱり洋物はいいな、と思っていたけれど、いまやそんなことはつゆほどにも思わない。
今回、様々な産地のものをいただいたのだけど、山形の東根周辺から送っていただいた佐藤錦はさすがの味。しかし意外だったのが、写真のもので、これは秋田の十文字のものだ。
サイズは3Lだと思う。ぷっくりと大きく(今年見た中で一番の大玉だ)、しかも表面がツヤツヤである。もちろんワックスなどではないよ。品種がわからないけど、佐藤錦とは違うだろう。味は糖度だけではなく酸味も有していて、バランス重視派。とっても美味しいものでした。
今、岩手の二戸に来ているのだけど、「つぶっこまんま」の安藤ママからも立派なサクランボをいただいた。これは安藤家の農園謹製の佐藤錦。
「岩手でこんなのが穫れるとは思わなかったでしょ?」
うん、思わなかった。家に帰って速攻でいただきます。
今年は受粉をするハチの働きが悪く、あまり大玉が出ないらしい。
さくらんぼは、販売に苦戦するフルーツのなかでは珍しく、出荷量が増加している品目だ。やはり洗ってそのまま食べられるのがいいのだろう。けれどもサクランボの世界でも異変が起こり始めている。
温暖化に関連すると思われるが、気温上昇によって産地が北上しつつあるらしい。岩手県の北部でも収穫ができるということは、やはりそういうことなのではないだろうか。山形の有名なサクランボ業者が、北海道の某所に農地を買ったという噂も訊いた。本州の気温の昼夜寒暖差がだんだん小さくなってくると、フルーツの美味しさはのらなくなってくる。そうなると、北へ北へと産地が移動を始める。
地球環境問題は複雑に糸が絡み合っているが、その結果は明白だ。日本では食べ物が不味くなる可能性が高い。この旨いサクランボを維持していくために、やらないといけないことは何なのか。いや、「捨てないといけないもの」が多いのだろうか。
そんなことを考えながら、ありがたく大粒のサクランボをおしいただくのだ。

今年も最重要イベントの一つを無事、終えることが出来た。
それは、らっきょうの甘酢漬けの仕込みである。

可能な限り、保存食は自分で仕込みたいと思っているが、なかなかそうもいかない。
しかしらっきょうは、大好きであることと、市販されている安いものはほとんどが中国産であり、飲食店で(特にカレー屋さんで)国産らっきょうを使っているところなどほぼ皆無だから、自分で漬けるしかない。
漬ける時は必ず、大地を守る会の泥付きらっきょうを買う。らっきょうのごとき土物は堆肥などの有機肥料を使っているものの味が抜群によくなるからだ。これを塩水で一週間、荒漬けする。一週間後、水で塩を少し抜き、上部と根をカットし、鱗片を一枚分ペリペリ剥がして、煮沸消毒した広口瓶に詰めていく。
例年、甘味の少ない酸味の強いものにするのだけど、今年はちょっと甘味が勝ったものを作ろうと思い、富