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2007年08月28日

デュカスのワンダーランド 青山「ブノワ」にてゴージャスナイト!


たまには嫁さん孝行をしなければ、ということで、青山の「ブノワ」へ。ブノワはアラン・デュカスのグループの店で、パリの老舗ビストロとしてフランスで営業していた同店をデュカスグループで展開している店だ。ビストロとは言ってもれっきとしたレストラン。以前に潜入レポしたADF辻のケイ・コジマシェフも「ぜひ、いって味わってみてください」と、あの落ち着きすぎた口調で言ってくれたので安心してGo!である。

■ブノワ
東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山 10F
tel 03-5468-0881
http://www.benoit-tokyo.com/

青山の国連大学横のタワーを上って、エントランスに入る。エレベータを下りたところにすでにサービスの人がいて、2階へ誘導してくれた。2階?そう、受付階はカフェスタイルのカジュアルなカウンターとテーブル数席だ。カジュアルフレンチというコンセプトはこちらなのかな。で、今回の予約テーブルはその上なのである。

レストラン階はきっちりとシック。男女のカップル、食事会的男二人女二人テーブル、男性サラリーマン団体客、外国人女性グループなどがシックに食事をしている。どこもシックに食事してるけど、男性サラリーマンの一群はゲラゲラ笑ったり非常にうるさし。まあ、いいか。

予約時に「写真とっていいですか?」と聴いたら、「ではあまり目立たない席にご案内しますね」とご配慮いただいた。ただ、その時にストロボを使っても大丈夫そうかを聞き忘れていたので、給仕さんに聴いたら「ストロボはちょっと難しいですね、、、」とのこと。了解、感度を上げてISO800で撮影しましょう。

2007082203.jpgいま観て驚いたんだけど、ブノワのWebには完全なメニューのPDFがある!こういうのって嬉しいネ。いつもきちんとメモしないから助かるぜ。

今は夏のメニューということでオードブル2品にメインディッシュ2品にデセール、コーヒーというコースでお願いすることにする。でも、嫁さんがスペシャリテとして掲載されている「海の幸のプラトー」お二人様5200円に目を留めて「これ美味しそう~」と言うので、食べてみることにする。要するに海の幸を蒸したり茹でたりしたものを、氷を載せた鉢で提供するという軽いシーフード前菜のようだ。ふうん、まあいいんじゃないの?という感じでお願いした。また、前菜メニューの中に旨そうなのがまだあったので、一皿追加。すると、、、

「んー ちょっと多すぎると思います」

と、フランス人の給仕さんであるザヴィエルさんからアドバイスが、、、

「うちの一皿のポーション、結構多いです。きっと食べきれません。」

と言うので、じゃあ食べ進みながら判断することにしましょう、ということになった。そんなに多いのか!?ワクワクドキドキである。ちなみにフレンチの一皿は、通常の定食屋でご飯を食べるのとは訳が違う。下ごしらえからキッチリと塩や油脂が使われているので、通常の満足感とは違う、心地よい疲労を伴う満腹さが得られる。だから、確かに頼みすぎだったかもなぁ、と思ったわけだ。

テーブルにセットされたアミューズ。
2007082201.jpg
リエットかなと思ったが、肉の風味ではない。聴いてみたら「クルミのペースト」とのこと!
2007082202.jpg
このクルミのペーストが実に実に、、、持って帰りたいくらいに美味しいものだった。植物性とも動物性ともつかない、ネットリ舌に拡がる油脂のうまみ。デュカスお得意のパリパリの薄パンにタップリ塗って食べる。至福なり。

さてアミューズに出てきたパンをかじりながら待っていると、スタッフの方がなんとこんな耳打ちをしてくださった!

「ストロボなのですが、店内では他のお客様にご迷惑なので、裏手の部屋で撮影していただけるようにいたしました。」

えええええええええええええええええ
いいんですかそんなこと!?

「はい、どうせなら綺麗に撮影していただきたいですし、、、 ヤマケンさんですよね? いつもブログ観てます。ぜひ、うちの料理を美味しそうに撮ってやって下さい!」

うわーお!
なんとこの方、ブノワの支配人さんであった!! 桑畑さんどうもありがとうございました。
食い倒れ日記、書いていてよかった、、、

こうして、運ばれてきた皿を一端、裏のスタッフルームにて撮影。そこからテーブルに戻って実食という、面倒なオペレーションを店に強いることになってしまった次第だ。本当に恐縮です。そのかわりきっちり撮影しましたよん。

■アミューズ トマトのロワイヤル

ロワイヤルは言ってみれば茶碗蒸し、、、だけど、このアミューズが実に気が利いていて旨かった!
濃いトマトの風味、まるい酸味、滑らかな口当たり、もったり舌に残る粒子。
最近の料理界ではトマトの水分をできる限り加熱脱水(ローストやコンフィ)するか、もしくはトマト水のように水分のみを抜いて透明な液体ソースとして使うことが多い。このロワイヤルも、入念に下ごしらえした上で卵などと合わせられているのだろうけど、これ、できればブランデーグラス一杯分くらい食べたい(笑)アミューズだ。

そして、くだんの「海の幸プラトー」が出てきた!
冷たくさっぱりした皿だから最初にでてくるのだそうだ。

ひえええええええええええええええええええ
こんなにスゴイものだとは思わなかった!
海老数種、ウニ、貝類数種が盛り合わされ、コライユ(海老のミソ)ソース、レモンマスタードソース、アイオリ、それにライ麦パンが添えられている。

けっこう、単なる海の幸の盛り合わせでしょ?と脱力してたのだけど、一つ一つの素材が個別に調理されていて、味わいが全く違う賑やかさだ。これは手間かかるでしょう、、、間違えてなければ9種の素材が使われて(ホタテ、トコブシ、アサリ、ツブ貝、ムール貝、海老三種、ウニ)いて、どれもその個性を引き出す味わいがある。これは予想外に嬉しかった。中でもレモンソースをかけて食べるさいまき海老がイイ。

いやー 前菜旨いと心が躍るね!

■ズワイガニのアスピック と 鴨のフォアグラ チェリーのマルムラード

ズワイガニのアスピックは、アミューズと重なるロワイヤル仕立てだけど、蟹の風味がきちんと伝わってくる作りで、印象はまったく重ならない。手前の鴨のフォアグラが実にネッチリと濃厚。小さくて十分な満足感を得ることができる。

■アボカドと小エビのカクテル & イトヨリのエスカベッシュ

うちの嫁さんが頼んだのはこちら。

この写真を観ていただくとわかるが、アボカドのタルタルと小エビの間にグレープフルーツを非常に薄く切ったものが挟まれている! この一枚のグレープフルーツの膜が絶妙な酸味とほろ苦み、そして香りを添加している。どちらかというともったりと鈍い印象のアボカドが、この酸味でにわかに切れのいいソースになるのだ。これは秀逸。

エスカベーシュに使われているイトヨリは生のものだった。エスカベーシュは揚げてあるものと思っていたけれどもそうではないらしい。酢漬けという意味なのでしょうか。

■エスカルゴ プチグリ種 クルトン添え

久しく食べていなかったエスカルゴ、これも実にナイス。そういえばフランス映画「クリクリのいた夏」で、主人公が貨物列車の荷台に乗せて貰って山へエスカルゴを獲りに行くシーンがあった。エスカルゴを入れる籠はどんなものだろうと思っていたのだけど、そこで初めて観た記憶がある。アレを観てから無性にエスカルゴを食べたくなったのだけど、ようやくありつけた。

ニンニクがタップリと効いたエスカルゴバターがフツフツと沸いている瞬間に、口の火傷を気にせず放り込むのが吉。絶品に旨い! 日本でこれなのだから、フランスで獲れたてを食べるともっと旨いのだろうか。うーむ やっぱり飯を食いに行きたいぜフランス。

■さつまシャモのドディーヌ ゼリー寄せ

ザヴィエル君が「多すぎますよ」と言って停めた肉料理だったけど、食べちゃう。
材料がシャモでも、特有の噛み応えはほぼ無力化され、柔らかく仕上がっている。

さてここからメインの皿。

■甲殻類と貝類のソテー フヌイユの芯のフォンダン ブイヤベースのスュック

こちらは嫁さんが頼んだもの。
非常にきちんと味が揃った印象だが、前菜があんなにさっぱりと美味しい魚介だとは予想できてなかったので、その印象にとらわれて今ひとつ満足できなかったみたいである。でも、少し分けて貰ったのを食べたが、十分に美味しいできばえだと思ったゾ。

■子牛のリード・ヴォー ニンジンのミジョテ 酸味の効いたジュ


胸腺肉リード・ヴォーは僕の大好物だ。フォンの旨みと酸の効いたソースでこっくりした味。俺はこれをご飯に載せて掻っ込みたいね、、、

そして、やっぱり頼んでしまいましたもうひと皿。

■仔羊のキャノン ア・ラ・ブロッシュ エスカルゴバターでリエした野菜

ブロッシュは串焼きの意味なので、中央にある胡椒で飾りをつけているあたりに串が刺されていたのだろう。フレンチラックを凧糸で巻いて焼くんだろうか。これがデュカス流儀だと思うのは、形がビシッと決まって崩れないことだ。見た目の完成度も含めてデュカスなんだろう。

わかりにくいと思うが、ラックの背の脂の部分の切りそろえ方がまたビシッとしていたのだ。写真だとわからないな、残念。そういう、見た目と機能性のバランスがとれているのが、デュカスっぽい。精密機械のように、けれども熱く包丁を入れていたコジマシェフを思い出す。

ちなみにこのブノワのシェフはマッシモというイタリア人だそうだ。ぜんぜんイタリアンぽくない!

■デセール 沖縄産 エキゾチックフルーツ ソルベ パッションフルーツ/グァバ

■パリブレストとアイスクリーム

いやーーーーーー
食った食った!盛大に食った!

「おおぅ、、、本当に全部食べましたネ、、、」

とザヴィエル君が笑う。ふふふ 日本人も沢山食べる人、いるのよ!

それにしても大満足。なんといっても小部屋を使わせていただいて、ストロボを使った写真を撮らせてくれたことが嬉しい。お店への御礼の意味も含め、全料理掲載しました。肩の凝らないカジュアルフレンチはカフェ階で、レストラン階ではきっちりシックに楽しむことが出来る。2ヶ月に一回はこういう店で自分に緊張感をつけないといかんな、と実感したのであった。

ブノワさん、写真撮らせていただきまして、本当にありがとうございました!

Posted by yamaken at 10:23 | TrackBack

2007年08月24日

練馬の南欧料理レストラン ラ・毛利がなんと保谷駅前から大泉の市民農園横に移転! 本物の農園レストランになってしまった!


西武線の保谷駅といえば、農地の少ない東京における貴重な貴重な市民農園・加藤義松さんの農園がある場所だ。その加藤さんの農場にあるキッチンスペースを舞台に貸していただいて、これまで何回も「やさい畑」(家の光協会刊)誌上での野菜食べ比べの連載を書いてきた。

やさい畑 2007年 10月号 [雑誌]やさい畑 2007年 10月号 [雑誌]


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ちなみにこれ↑は今季号(僕は書いていない)だけど、とても面白い内容!
家庭菜園家むけの本だけど、野菜の栽培の初歩の疑問に答える内容になっているので、万人にお勧めできる。ちなみに版元である「家の光」を「なんか宗教団体みた~い」という人が多いんだけど、これ、れっきとした農協の出版グループなのですぞ。

そのやさい畑での食べ比べ企画に、シェフの立場から参加して貰っていたのが毛利さん。保谷駅そばに南欧食堂「ラ・毛利」という粋な店を出していた。自分でも市民農園で数年野菜を作って、店でも出していたという野菜好きだ。

■ラ・毛利の過去ログ
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2004/01/la.html

そのラ・毛利が移転を考えているという連絡をもらったのは、10ヶ月くらい前のことだ。

「あのさぁ、白石さんの体験農場の脇に移ってこないか、っていうんだよ。どうしようかなぁ、勝負時かなぁとも思って居るんだけど、、、」

ええええええええええ
それは色んな意味で決断が必要な話しだなぁ、と、すぐには返答できなかったことを思い出す。
白石好孝さんは、東京は大泉の専業農家であり、都市農業の全国的な牽引役として著名な方だ。そして一部の農地を市民農園として提供していて、周辺住民に農作業の指導をしている。僕が住んでいる江東区では望むべくもない素晴らしい食農教育の場が大泉には用意されているのである。

しかし!
白石農園は周辺に駅がない場所にある。

都営大江戸線光が丘駅 バス15分 
西武池袋線大泉学園駅 バス15分 
東武東上線和光市駅 バス15分

という、正直言ってアクセスは非常に悪い立地なのだ。
うーん
大丈夫?

「んー 俺も迷ってるんだけど、、、 もう少し考えてみるよ!」

というやりとりがあったのだけど、結局彼は決断し、新天地へと旅だったのだ。
そして今月オープン。 初日から大繁盛して、今に至っても満席で予約なしでは入りにくい店になっているという。このたび、「やさい畑」の編集をしていたカンキ女史が「行ってみようよ!」と誘ってくれたので、陣中見舞いに行ってきたのである。


大江戸線光が丘駅からタクシーで1000円少しの場所、街道沿いにひょこっと店が見える。

街道沿いからの風景だと、大きく「ラ・毛利」の看板が見えるのでご安心を。

■ラ・毛利のWeb
http://www.la-mouri.com/index.html

住所 東京都練馬区大泉町1-54-11
電話番号 03-6750-7001


木が多用され、明るい雰囲気の店内は非常にいい。28席ということで、保谷時代の店舗から大昇格という感じだ。その分、ホールスタッフも、厨房内でのヘルプも増えて5人程度の女性が立ち働いていた。
毛利さんも、開店時から休んでいないようでちょっと疲れてる風だったが、店自体がうまくいっているからか、表情は明るい。

それにしてもなんといってもこの店の「売り」は、すぐ隣に拡がる農場である。

こんな風景なのだ!

「どうする? 前菜盛り合わせと数皿だしてみようか?」

「うん、どかどか出して!」

というやりとりのもと、どかどかと料理が出てきたのである。

ちなみにこの店のパンはすべて毛利シェフの手作り。

木の芽たっぷりのこのパンが美味しいので、結構バクバク食べてしまう。要注意!

イワシを軽く揚げて甘酸っぱいソースに絡めたもの。

前菜盛り合わせ。

農園レストランとはいうものの、毛利さんはガッツリ男飯タイプの人なので、野菜野菜した食べ応えのない料理ばかりというわけではないのだ。

「じゃ、そろそろ野菜ね。ちょっとこないだまで美味しい品種のトマトが出てたんだけど、切り替わっちゃったみたい。味、みてくれる?」

と言いながら出てきたトマト。

白石さんの農場やその近隣農場からやってくる野菜で、季節ごとに品種が切り替わるので、同じメニューでも日によって味が変わるわけだ。

おそらくサカタの品種だと思われるが、生食用トマトのジューシーな食感に自家製ベーコンのしっかりした塩分と燻煙香が混じり合って旨い。手の込んだ料理ではないけど、このロケーションで食べたいものといえばこういうもののはずだ!

「ほい、ニンジンと長イモ(→だったかな)のポタージュ。」


おっとこれは旨い!
見た目にはわからないが、ニンジンのパルプがザクザクと残った、ざらざらした舌触りを残したポタージュなのだ。

だいたいこういうのを出すときには滑らかになるまでミキサーにかけてしまうけど、パルプがざっくりのこっている方が”野菜感”が強くなる。カンキさんと某誌編集者Fさんも「美味しい!美味しい!」とすぐさま飲み干していた。

「はいよ、豚スペアリブとオレンジの煮込み、これはヤマケン盛りだよ!」


おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
豚とオレンジ、これぞ南欧って感じの太陽一杯な感じの一皿である。

ホッコリ崩れるくらいに煮込まれた豚肉とオレンジをざくっと切って一緒に口に運ぶ。

「!」

これは旨いね! オレンジはかなり柔らかくなるまで煮込まれているが、甘さではなくアクセントとしての香りが残っていて、その酸が適度に豚肉に旨みを与えている。

「いやー これは実は偶然の産物でできた料理なんだけどね。ディスプレイ用に飾ってたオレンジがもったいないから、スペアリブの煮込みの鍋にいれてみたら旨かったんだよ!」

ま、マジ?もう少し苦心の上でのレシピかと思ったぞ。けれども実は煮込む際に秘密のスパイスが使われていて、この料理の要は別のところに、繊細にあるということだった。

暑い盛りが旬の空芯菜のパスタ。

基本的にこの店では、通常はニンニクを使わないでパスタを仕上げるそうだ。

「なんかね、うちにくるお客さんがみんなニンニクを抜いてっていうんだよ。だからニンニクが欲しい人は最初に言っていただいた方がいいね。」

そのせいか非常に柔らかくあっさりした味わい。保谷駅前の時からの毛利さんの味だ。

ナスと挽肉のトマトソース

この時期はちょうど夏野菜の端境期で、畑にはあまりカチッとした作物がない。それこそ菜っ葉やツルムラサキといったものしか残っていないので、あまり野菜がガツーンという感じではなかった。けれども、毛利さんに相談すると、メニューに載っていないものも楽しむことが出来る(彼の手が空いていれば、だけど)。

「毛利さん、四角豆ある?」

「あるある。食べたいならパパッと作るよ!」

といって出てきたのがコレだ。

四角豆は「しかくまめ」とそのまま読む。沖縄あたりで作られているが、タイやベトナムで見かけた人もいるだろう。写真のはちょっと小さめで収穫したものだ。カンキさんが「四角豆って美味しいわよねぇ」というのに、僕が「そうかぁ?あまり味家のない豆だと思うけどなぁ」といったので、美味しい美味しくないの大論争に。でも毛利さんが出してくれたこの料理があまりに美味しくて、「ほら見なさい やっぱり美味しいでしょ」ということに落ち着いた。たしかに小さい四角豆にはアスパラのような香りがあり、美味しい。しかもトリュフソースがまたよく絡んで、豆の風味に合う! この店ではこうやって、季節の野菜をそれだけでなにか手をかけて貰って食べるというのがいい楽しみ方かもしれない。

いやー満腹。
腹ごなしに裏の農園へ。


市民体験農園は、一坪づつに区画されており、白石さんのところではみんなが同じ作物を同じように植える。

ちゃんと講義を受けてその通りに実習するという形なのだ。
なんとこの農園では豚も鶏も飼っている。

豚って元来、こうやって農園の脇で、間引きした野菜くずなどを食べさせて太らせるものなのだ。畜産の原風景。

こちらは鶏。

こんな環境の中にレストランがひょこっと建っている。

いままで東京ではきちんとした農園レストランというのは望むべくもなかったが、ラ・毛利はその第一歩を踏み出したといえる。秋の黄金期といえる収穫期には、もっと多様性のある素晴らしい野菜料理が並ぶことだろう。
それにしても
サポートがあるとはいえ料理をすべて毛利さんが作っているから、厨房がなかなか大変そうだ。

「いやー どっか行こうよヤマケン。美味しい店教えて! 刺激が欲しくてさ!」

おうおう、行きましょう! とりあえず身体をこわさない程度にやってくださいな。
ちょっとアクセスは悪いけど、練馬近辺に住んでいる人はぜひ足を運んで欲しい。
野菜をタップリ食べたいな、という方は、この店でシェフにいろいろ相談してみるといいだろう。
頑張れ毛利さん!

Posted by yamaken at 11:12 | TrackBack

2007年08月21日

今週は激烈スケジュールにて

エントリ書くの細々になりそうです。

それはそうと オリンパスのE-410を大満足で使っていますが、キヤノンが昨日発表したEOS 40Dはすさまじいスペックですね! EF-Sレンズも一通り持っているので、思わずほしくなりました。ボディもほしいしレンズもほしい。デジタルカメラの沼は本当に深いな、、、

このブログを始めたころの2003年とか2005年くらいまで、一眼レフカメラを使ってない頃なんて、画質もへったくれもないけど、きれいな写真をとることに関心が出てくると、本当に泥沼です。

ところで
自分を奮い立たせるために書いておきますが、10月に新書を出します!
9月中には絶対に書きあげるぞ!

ということで
メシ食って仕事だ!

Posted by yamaken at 11:26 | TrackBack

2007年08月17日

食べものも家具も同じだ! ”100年使える机を持て” ウサミ木工の超弩級ワーキングデスク到着!


しばらく前になるが、事務所を引っ越した。独立してからしばらくは八重洲のレンタルオフィスを利用していたのだけど、さすがに手狭になってしまった。そこで、数社の同じような悩みをもつ仲間と一緒に、日本橋小舟町に20坪のオフィスを借り、シェアすることにしたのだ。会議室もきっちりしたデカイのを創ったし、かなり快適。

オフィス家具も買わないといけないなぁ、と思い、友人がいるIKEAで揃えようかなぁと思っていた矢先に、しんのすけの会社で働いている宇佐見君と出会った。宇佐見君は株式会社音別の社員だが、実家がなんと北海道の帯広。ご両親はウサミ木工という、北海道の木材にこだわった家具屋さんなのである。

■ウサミ木工
http://www.usami-mokkou.com/

※ちなみに、ウサミ木工のWebデザインは、僕の食い倒れ日記のMTの管理をしてくれているウエダ君なのである。


「えっ やまけんさんデスクが欲しいんですか。」

「うん、このね、IKEAのワークステーションっていうのがいいかなって思うんだよね、これで29800円だと安いしね。」

そう、ここで僕は、日頃食べものについて「安い食べものには理由がある!安さだけをものさしにして食に向かってはいけない!」などと言っているにもかかわらず、家具を選ぶ際のモノサシとしは結局「安さ」で評価をしていたのだ!

そのことに気づかされたのは、宇佐見君のお父さん、つまり宇佐見社長から、後日申し入れをいただいた時のことだ。宇佐見君が伝えてくれたのだけど、僕の心の中では社長の口から出た直接の言葉として響いている。

「あんなに「佳い食」を求めるようなことを書いているやまけんが、数年しか保たない、外材ばかり使った家具を使っちゃダメじゃないか! 家具に使われる木材も食材と同じように考えないと。 ちゃーんと100年くらい保つような家具を使わないと、やまけんの主張は信用できないぞ!」

ガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

と衝撃を受けた!
全くその通りではないか!

いやIKEAの家具が悪いということは全くないのだけど、それがIKEAであるからということではなく、何より割安さという点に惹かれて、選ぼうとしていたのだ。食べものを自国の中で生産することの大切さについて語っている人間が、安さとかっこよさを尺度にしてモノを選ぼうとしていた!という現実を目の前に突きつけられ、吹っ飛びそうな衝撃を受けてしまったのだ。

「で、ですね、やまけんさん。どうせならウサミ木工に『食い倒れデスク』を創らせてください。いま、うちではストーリー家具という造り方をしていて、その家やオフィスのストーリーに沿ったデザイン、素材で家具を創るということをし始めているんです。その一環で、モニター価格で造りますよ!」

おおおおおおおおおおおおおおお
なるほどぉ ストーリー家具か!

ちなみにストーリー家具の第一弾は、しんのすけの長女・もゆに向けて造られたちゃぶ台、名付けて「もゆちゃぶ」。

■もゆちゃぶ
http://www.usami-mokkou.com/story/moyu.html

「こんな感じで、やまけんさんが欲しいと思う机をプランニングしていきましょう!」

ということでデスク作りがスタートしたのだ。

僕がデスクに求める要素は下記のようなものだ。

・とにかく広い。
・前のパーティション代わりに、目の前にコルクボードとホワイトボードを立てる。
・横のパーティション代わりに、本棚をつける。

シェアオフィスのメインスペースには、特にパーティションはない。そのため、数台並べているだけなので、よくいえばオープン、悪く言えばプライバシーが無く、集中できない感があったのだ。でもパーティション一枚で数万円するので、だったらいいやと思っていた。

ただ、アメリカで流行ったような一人一人が小部屋のようなキューブ内で仕事をするような、閉塞的な環境はいやだ。だから、前と右の二方だけをクローズドにするようなイメージを伝えた。

ほどなくして、ウサミ社長からFAXの設計メモが届いた。

ほぼ、これでOKである!

ウサミ木工もかなりの人気なようで、それから二ヶ月ほど待つ。その間、細かい採寸や仕上げの色について情報を交わす。

そして、凄まじくでかくて重い木材梱包が、オフィスに届いた!
組み立てを自分でやらねばならないとしたらかなり途方にくれる重量である。他の通販家具じゃではこんな分厚い材は使わないだろ、という感じだ。

「100年使える家具」は伊達じゃない。

セットが届いた翌日、宇佐見社長、奥様、若手社員さんが「商談で上京したついでなんで」と、じきじきに組み立てに来てくださった。

荷をほどき、ものすごいスピードで組み立てが始まった!


これが、正面につくパーティション代わりの板。ぶ、分厚いぜ!

この板の僕側には、このようにホワイトボードとコルクボードがついているのだ。
僕は、考え事をまとめる時によくホワイトボードを使う。コルクボードは備忘録代わりにメモや付箋を貼る。それが目の前にあるというのは、超・理想的な環境なのである。

そして右側面には、立派な本棚が着くのだ。

収納とパーティションの二役をこなす、素晴らしいアイデアである。本棚の固定板は机の面と同じ高さになっているので、考え方によっては机の延長としても使うことが可能だ。

完成!

ひゃあああああああああああああああ
写真ではわからないかもしれないが、実に威風堂々、軍艦のような堅牢さをもった机である!

樹脂製のオフィスデスクとの質感の違いたるや、比べものにならない、、、
本物の木を使った机というのが、これほどに心地よさを与えるものだとは思わなかったというのが実感だ。

社長もご満足の様子。

「いやーどうですか? 造っててね、かなりいいモノになるぞって思ったんですよ! こんなデザインは今のところどこにもないですね。とにかくホワイトボードとコルクボードはやまけんさんのオリジナルですよ!」

そう、なんといっても目の前の空間がこのデスクのポイントだ。

ホワイトボードでプランニングをし、ToDoを書き留めておく。コルクボードには目の保養や郵便物など、処理すべきものを留めておくという算段だ。

で、こちらが現状。

いや正直、もうちっと散らかっているのだけど(笑)

本棚が横にあることで、いちいち参考文献をあたる際に壁の本棚まであるく必要がなくなったのが大きい。ここ1ヶ月利用しているが、文句は全くない! 

あ、一点だけあった。ホワイトボードにマグネットがつかないのである(笑) 次にだれかに造るときはマグネット対応にしないといけませんぜ。

ちなみにこのデスク、僕に造ってくれた仕様そのままだと20万円を超えるくらいの金額だ。一緒にシェアオフィスをしている仲間に訊いてみると、「あの質感でその価格なら全然安い」と言う。でも、材を贅沢に使っているので、もう少しパーツを薄く、ライトな造りにすれば10万円程度で造ることが可能なのではないだろうか。そんなことをウサミ君と話しているところだ。

もちろん僕は今回、モニターということで格安の支払いに負けていただいた。そういうこともあって、本稿はウサミ木工を強力に推すエントリである。いやー オーダー家具ってホントにスゴイですね。自分にぴったりどころの騒ぎじゃありません。いい仕事をしなきゃ!というモチベーションが上がります。

ウサミ木工は帯広の会社だけど、東京支部営業マンでもある息子のウサミ君が説明・相談に伺うそうなので、関心のある人はWebから連絡されたい。

「ブツをみたい」という方は、僕のオフィスへどーぞ(笑)。
ウサミ木工さん、素晴らしいデスクをありがとうございました!

Posted by yamaken at 12:07 | TrackBack

2007年08月16日

埼玉県飯能市の自由の森学園の食堂で全メニュー食べ & 飯能銘菓といえばコレ! 四里餅にほっぺを落とす!

母校である自由の森学園高校の生徒に、「日本の食の現状と今後」ということで授業をしてきた。大教室に集まった生徒が静かに聴いてくれるかどうか心配だったが、生徒達はそこそこの集中力を発揮して聴いてくれていた。しかも、ハッとするようなひらめきを見せる生徒も居て、うんうん、やっぱり我が母校、と嬉しくなった。

「ありがとうやまけん、昼飯は食堂でなんでも食っていってくれ!」

と校長の鬼沢さんが言うので食堂に勇んでいく。自由の森学園の食堂は、「食生活部」という部門で運営される、全国的に極めて珍しい中高生に対する食育を20年以上続けてきた食堂だ。詳しくは過去ログをどうぞ。

■日本最高峰の学食は、僕の母校にある。 埼玉県飯能市・自由の森学園の素晴らしい食への取り組みをみていただきたい。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2006/08/post_867.html

今度、僕が所属する食生活ジャーナリストの会という組織の勉強会の一環として、この自由の森学園の食堂を見学・食事をさせていただくという会を、10月~11月の平日のどこかで企画している。一般の方も、数人くらいは参加出来る可能性あり。午前中から行くので、仕事に就いている人は難しいかも知れないが、もし希望されるひとがいれば僕にメールをいただければと思う。食堂のバックヤードや、保存食なども見られるはずなので、貴重な会になると思う。

さて食堂にいくと、泥谷(ひじや)さんが待ちかまえていて、「さあ、やまけんちゃんには全部食べて貰うわよ!」と、その日のメニュー全てをお盆に載せてくれた!

この日のメニューはポークソテー、筑前煮、甘塩鮭(自由の森の塩鮭は実に高品位のものが使われていて旨い!)。これに、カレーとスパゲティカルボナーラという布陣だ。生徒は食券機で食べたい定食や単品を買い求め、列に並ぶということになる。

もちろんパスタなどに使用される原材料もすべて吟味されている。目の前に座った高校生達にも分けてあげながら、ワイワイと食べた楽しい昼食だった。

さてその帰り道、タクシーで飯能駅まで(自由の森学園から飯能の駅までは車で15分。つまり歩くと1時間、山道を進むことになるのだ!)向かう最中に、「あ、運転手さん停めて停めて!」と叫ぶ。

飯能銘菓である「四里餅(しりもち)」を買うためだ。

運が悪いと午後早めに売り切れてしまうこともあるのだけど、この日は3時近くなっても残っていた!
こしあんと粒あんの双方入りを買い求める。10個入りで950円くらいだったかな。これ、伝説的に旨いお菓子なのだ。

極めてフカフカと柔らかい餅。その中には程よい甘さの餡が詰まっている。

この餅の部分が、本当に本当に柔らかい!
あまりに魅惑的な食感!
自由の森学園卒業生の多くが、この味を忘れられないで居るのだ。

餅、みよ~んと伸びるの図。
ああ、俺は飯能にいってきたんだな、と強く実感する瞬間だ。

ちなみに一つ伝説がある。大学2年生くらいの時、同期の本城しんのすけをこの自由の森の公開研究会という、外部の人たちにオープンして授業内容などを公開するイベントに呼んだことがある。思えばしんのすけはこの時から教育を主な関心事としていたのだなぁ。

その帰り道、同行していたうちの母が、「しんのすけ君に四里餅かってあげるわよ」と、たしかこの10個入りを(20個いりだっけ?)買ってあげた。そこで別れたんだけど、夜飯は腹一杯、飯能で食べたにも関わらず、その夜のうちに「旨い!旨い!」と全ての餅を食べてしまったのだという。あれ10個一気食いはどうかと思うぜ、しんのすけ。

でもまあ、気持ちはわかる、それだけ旨いんだ、四里餅。飯能にはまだまだ一杯、旨いものがある。住田屋のつけ麺とかね。今後もちょびちょびと書いていくことにしよう。

Posted by yamaken at 11:50 | TrackBack

2007年08月14日

やっぱ凄いわ 辻グループ! 大阪は阿倍野にてその組織力を間近で見たのである。

週刊アスキーの誌面を見ていただいた人もいると思うが、関西・大阪食い倒れ編に突入している。いままであまり大阪には馴染みがなかったので、一から勉強と思いつつ、食べ歩きをし、書いている。そこでとにかく思うのは、いい店だなぁ、と思って店主さんに尋ねると、たいがい「辻調理学校の出身です」という答えが返ってくることだ。

東京ではエコール辻 国立校という学校があって、フレンチ、イタリアン、日本料理、そして製菓のコースがあるわけだが、本場・大阪の規模はものすごい。今回取材で伺ってきたのだけど、かなり圧倒されてしまった。

キャンパスは、辻グループ校(いくつかコースがあるのでそう呼称するらしい)というくくりで4-5棟くらいあるのだけど、それが阿倍野界隈に集中している。本校のビルは写真をごらんの通り極めて現代的な建物で格好いい!

教室は40人定員で、当然ほぼすべてにキッチンが完備している環境だ。

実技のクラスでは当たり前のように、全員が料理実習に取り組む。絞り袋を持つ生徒に加減を教えている先生。どのクラスでも、指導する先生の熱意がダイレクトに伝わってくる!
生徒の年齢層は幅広く、一度社会人になった人も入ることがあるらしいが、それでもメインは高校を卒業後に料理人を志して入ってくる子達だ。だから、実はまだイタリアンやフレンチの高級店に自分で行ったことがあまりない人が多い。そう言う子達がこの学校で初めてレストランの料理と出会い、造っていくというのはなかなか大変だろうなぁ、とも思う。

しかし、講義はむちゃくちゃ面白い!
フレンチのクラスを見学させていただきながら、思わず「俺も入学したい、、、」となかば本気で思ってしまった。調理師免許を取得することが出来る調理学校のコースでは、衛生のクラスなどの座学も多いのだけど、免許の取得はないけれども、その分毎日実技に当てるというエコール辻というコースでは、とにかく実技実技、実技の繰り返しになる。フレンチ・イタリアン、日本料理、中華、製菓と極めて実践的なのだ。

製パンのクラスを覗いたが、本気で「ここはパン屋か!?」と思った。
うーむ まさに料理の虎の穴、といっていいだろう。

「やまけんさん、この1年制の調理学校を出た後、さらに技術を高めたい人が進む、いわば大学院課程のようなものがあるんですよ。技術研究所、略称「技研」と言います。そこで昼食をいただきましょう。」

と、広報部の松本しのぶさんが連れて行ってくれた技研とは、徹底して現場感を養うための環境だ。
クラスでは毎日、調理班とサービス班、そして試食(客)班に分かれ、毎日交代で造り・サーブし・食べる。客に回った生徒は味やサービスをきっちりと評価するという次第だ。

フレンチ・イタリアン、日本料理、中華のクラスがあり、それぞれの階に調理場と、店舗を模した実食スペースがある。例えばこちらは日本料理の「店舗」スペース。

これが本日の品書き。もうきっちりとしたコースである。

こっちが調理場。オーダーが入ってきてから分担で造る。まさに店の動きそのものである。

「もちろん、実際に就職した先の店の流儀が違うことが多いんで、100%そのまま実践というわけではありませんが」

と先生方が恐縮されていたが、カメラを構えて入っていった僕たちに対するビシッとした挨拶といい、体育会的な礼儀作法もきちんと行き渡っていた。

で、昼食はイタリアンをいただいたのだが、、、
そこいらへんのトラットリアで食べるコースよりも美味しいでないの!

フォアグラのテリーヌの前菜

リゾット・ペスカトーレ

仔羊の煮込みポルチーニのソース

この後にドルチェとコーヒー、プティフルールまでサーブされる。隣に座った生徒さんが、
「毎日こういうものを食べるので、夜は日本食が恋しくなります」と言っていたのが笑った!
けれども、彼らは入校後すぐさま就職活動を始める。彼も関西の有名イタリアンに入店が決まっていた。1年は短い。授業で料理をして、夜は有名店を食べ歩く毎日だそうだ。

いやー 圧倒された!
俺、本当にこの学校に通いたくなってしまった。
大阪に仕事ないかなぁ、、、

さて夜は、辻調理学校の卒業生の営む、気鋭の創作おでん屋さん「わか芽」へ。



アテンドしてくださったのは同校の重鎮・肥田先生(右側)だ。

「ここはねぇ、なかなか気の利いたおでんを出してくるんですよ。素材によって煮汁や火加減を変えてくるので、面白いですよ!」

というお言葉通り、おでんという枠ではおさまらない旨いもん屋であった。

夏だから、ハモからスタート。

何の変哲もないナスの揚げ浸しが、トロッとしていて旨い!

豚肉と水菜のハリハリ

こいつが驚いた。なんと「レタスのおでん」。

火を通したレタスが旨いのは中華などで周知の通りだが、黒胡椒の利いた薄味の出汁で火を通されたレタスの、ほのかな苦みとシャクリとした歯触りが堪らなくイイ! 本日最大のサプライズ皿。

これが定番だという、トマトのおでん。

おそらく中に丸が入っているのだろうなぁ、と思ったらやっぱり。

気が利いている、としか言いようがない!店も満杯で、それほど立地がいいわけではないのに客が入れ替わり立ち替わり入る。「いつもこんなじゃ無いんですけどねぇ」と先生が仰るが、ものすごい混みようだった。

飲みながら肥田先生が仰った言葉が心に残っている。

「もっとねえ、もっと、、、教えられると思うんですよ! 学校を卒業して入店したら、即、すごい働きができる子達を、もっと輩出できるはずなんです。それは授業の力でできるはずなんです。それをどうしたら実現できるか、、、そんなことを考える毎日なんです。」

辻グループ校は、とにかく先生が熱いのだ!
その熱さに当てられた一日だった。
うーむ 本当に一年ここで学びたいと思うけど、身体が幾つあっても足りない。残念だ、、、
辻グループ校の皆さん、大変にお邪魔してしまいました。そして美味しい食事をごちそうさまでした!

Posted by yamaken at 09:39 | TrackBack

2007年08月13日

二戸との出会い、そしてこの美しい生き物に惹かれた訳 その3

さて、岩手県二戸市は、本当に綺麗なところだ。
仕事柄、日本中の農業の産地を訪れる。あたりまえのことだけど、地方都市の駅前には農地はない。平地部でも中山間部でも、車で少し走らせたところに素晴らしい景観が拡がっている。そういう風景はたくさんみてきたけれども、今年の2月に初めて講演のために訪れた二戸の佇まいには感動した。駅から車で3分で、味わい深い山と川と田んぼの風景が拡がっているのだ。

■二戸駅前。東北新幹線が停まる駅である。それなのに、駅前ロータリーから大通りに出る交差点に、信号がない!なんとものどかなり。

■田んぼの風景。駅から10分くらいの間、山間地に入る前にこういう、見晴らしのよい場所がある。でも、それが結構あるので、いちいち車を停めてたら大変だ。


でも僕は、こういう風景が好きなのだ。完全な山間部ではなく、自然と人為が釣り合いしているような風景。

今年は温暖化の影響で、稲の生育も早まっているかと思ったが、初期の曇天が効いているのか、例年並みだということだった。


■山間部の農地にはいると、こんな風景だ。そこに人はいないけれども、人の営みがある。

■中程に見える、うす緑色の作物がなんだかお分かりだろうか。

これ、実はたばこの葉だ。
あたりまえのことだけど、たばこは植物なのです。二戸は国内最大級のたばこ産地。たばこは食べられないし、第一僕は一切たばこを吸わないので、個人的には全く価値のない作物。けれども二戸の農業の中では、実に重要な作物なのである。

さて
なんで山に向かっているかというと、とうとう二戸市浄法寺の短角牛担当の杉澤さんから、嬉しい連絡が届いたのだ。

「やまけんさん。大清水牧野農業協同組合で、正式にやまけんさんをオーナーとして迎え入れることが了承されましたよ。牛を観に来ますか?」


よーし!
とうとう、僕と短角牛との正式なお付き合いが始まろうとしているのである。

(つづく)

Posted by yamaken at 10:38 | TrackBack

2007年08月10日

暑くて死にそうです。 俺たちが寿命をまっとうするまで地球は保つんだろうか。

最近、僕たちの世代で地球は終わってしまうのではないだろうかと、なかば本気で思うようになってきた。毎日毎日、アスファルト上で熱波を感じる。東京だけかと思いきや、岩手の二戸でも32度。山の上に登っても暑いのには参ってしまった。その暑く強烈な日差しの中で、短角牛の子牛が暴れるのを押さえて予防接種をしたりしている杉澤さんらには頭が下がる。

温暖化の進行によって、今後は日本の農産物の産地が変わっていくだろう。ある品目の栽培に適する土地を「好適地」というが、昭和から平成の現在にかけて、基本的な作型というものが定義されてきた。つまり、関東では耐病総太り系大根の播種(種蒔き)はいつ頃がよくて、収穫はいつごろ、、、というカレンダーだ。しかし、数年前からそうしたカレンダー通りにはいかなくなってきている産地が多いようだ。今日もある大根産地の方々が来ていたのだけど、「今年の播種時期をどうするか、みな迷っている」ということだった。

温暖化を止めるためには電力消費やCO2排出量を削減することが重要と言われているが、さすがに僕もそうは思いつつ、ここ数日の暑さでは日中の冷房をとめることが難しい。でも元来、人間は食べ物で熱さ対策をしてきた。夏野菜の中でも、とくに瓜類は体を冷やす作用が大きい。キュウリ、スイカ、メロンなどはてきめんだ。ナス科の果菜類、トマトやナスもそうだ。夏場に体を冷やしすぎると、秋頃から腎臓が重く感じて調子が悪くなるのだけど、でもこういう暑さが続くと、そんなことも言っていられない。

P7270139s.JPGで、キンキンに冷たくて旨いものを食べるのが吉、というわけだ。賀茂ナスが届いていたので、分厚くカットして、高温の油で素揚げし、タッパーに濃いめの下地を満たした中に漬けて一晩寝かす。生そばを茹で上げて、これもキンキンに冷やした水で〆て、キンキンに冷えた汁で冷やかけそばにする。油と出汁を吸った賀茂ナスのとろけそうな食感と香りがたまらないご馳走だ。写真に撮る間もなく、ナスの断面が美しい一杯目食べてしまい、お代わりにナスの端っこ部分を乗せたのが写真。ほんとは中央部を分厚く切った賀茂ナスがいいんだけどね。

明日からは藤沢から送られてきたスイカを食べる。その分、ちょっとでも冷房を止められることを祈るばかりだ。

Posted by yamaken at 18:16 | TrackBack

2007年08月08日

二戸との出会い、そしてこの美しい生き物に惹かれた訳 その2 ちょっとお勉強パートが長いけど、後半に焼き肉ショット満載どす。

さて、
僕がオーナーになるのは短角牛のメス牛である。なんと、二戸の短角牛では、メスは肉用にまわされることはなく、ひたすら子牛を産む役目を負うことになる。そしてこのメス牛が順調にいけば9~10産してくれるという。子供が生まれたら、通常はその子を市場に出荷する。もしくは自分で肥育農家に委託して、自分用の肉にしてもいい(食べきれないけどね)。

P7050036.jpg
つまり、素牛(もとうし、と読みます)の購入代金と、各種の手続きの代金、そして日々の餌代、管理代金を合わせた額が支出。そして産まれた子牛を販売して得られるのが収入。収入が支出を上回れば、生産農家に利益が出るわけである。この辺の具体的な数字もおいおい開示していきたい。ま、ハッキリ言って一頭のオーナーになるくらいでは、利益は数回の東京~二戸間往復運賃程度である。

でも、短角のオーナーになるというのは、そんなお金では測れない価値がある、と僕は思うのだ。

「えーそれでは。牛を飼う、というときに、避けて通ることが出来ないいくつかの制度や決まり事があります。」

このくだり、
牛を家畜として飼うということがどういうことなのかを知るのにはちょうどよい話なので、ここに来るまでの間に杉澤さんと交わしたメールやりとりも踏まえてまとめてみよう。

今回必要となる論点は下記の4つだ。

1.牛の登録登記について
 牛の登録登記とは、牛の住民票になるわけですが、現在は大清水牧野の組合長の名義で登録されておりますが、これをやまけんさんの名義に登録します。これによって、やまけんさんの所有する牛が誕生します。


→つまり、日本における家畜としての登録は僕の名義でできそうだということだ。


2.個体識別情報について
 牛には全国でその牛にしかない、10桁の番号がつきます。これを個体識別番号といいます。インターネット上にその情報公開データベースがあり、検索するとその牛の様々な情報が閲覧出来るシステムです。日本で産まれた肉牛は全てこのデータベースに登録することが必要となります。
 ただし、大清水牧野のオーナー牛制度は、牛舎を所有しない方が牛を所有する特殊な制度であるため、個人の名前では登録出来ないということになっているようです。しかし、飼養管理者である大清水牧野名義であれば、登録は可能となります。


→個体識別情報とは、牛肉トレーサビリティ法で記録と表示が義務づけられた10ケタの番号のことだ。スーパーでパック入りの牛肉を買うとき、国産の牛であれば必ずどこかにこの10ケタの番号が付いているはずだ。
 個体識別番号はインターネット上でも検索できるようになっており、ここで検索したら僕の情報が出てくる!という風にしたかったのだけど、ここには所有者ではなく直接の飼養管理者を登録しなければならないらしい。残念!


3.共済制度について
 共済制度とは、牛の保険制度です。牛が怪我をした場合や、事故等により死亡した場合等に摘要されるものです。これに加入できないと怪我の治療に要した経費は自己負担となりますし、死亡した場合の保証は無しとなってしまいます。
 これに関しては飼養管理者である大清水牧野として加入できる見込みです。


→生き物や植物を扱う農林水産業では共済制度が非常に重要になる。とくに牛はそのライフサイクルの中で医者にかかることが非常に多く、その全てを普通に個人負担で支払っていたら大変なことになってしまうのだ。


4.安定基金制度について
 安定基金制度とは、子牛市場で平均販売価格が国の基準より安かった場合、販売者に対して支給される補給金制度です。これには国や県の補助金が使われているのですが、他県の方への摘要は出来ないという回答が、関係機関からありました。このため、何らかの原因により価格が下落した場合であってもの保証は無しとなります。これについては、大清水牧野で加入ということは出来ないため、ご了承願うこととなります。


→今回の重要なポイントはここだ。
安定基金に加入できないということで、子牛の市場価格が変動し、格安になってしまった場合、加入農家であればいくばくかの損失補填を受けることが出来るが、僕は損失をそのまま受け止めるしかない。投資信託が元本割れしてしまうのと同じようなものだ。


このように制約は多々あれども、おおもとといえる登録を僕の名前ですることができるならばOK!である。損失が出たときにモロにそれを被ることになる、、、結構です。僕はこのオーナー制度を通じて、日本で牛を飼うこととはどんなことか、を体感したいと思っている。そこには数々の喜びがあると思うのだけど、一方で悲しみ・苦しみも多々あることだろう。それらの一切合切をひっくるめて負いたいと思っているのだ。

「あ、でもまだ決まったわけではないんですよね?」

「はい、まあ何とか大丈夫とは思うんですけど、、、ちょっと待ってて下さいネ、調整しますから。」


P7050039.jpg実はこの時、杉澤さんからこういう提案を受けた。

「やまけんさん、実際には僕が登録をして、僕の口座にやまけんさんが各種の経費を振り込むという、代理人形式での、いってみればバーチャルなオーナーということになってもいいですか?それならば共済、安定供給基金も問題なく加入できますし、組合内部でも問題はまったく無くなって、話が早いんです。」

なるほど、そういう手はある。
けれども僕は聴いた瞬間から、それはないな、と思っていた。

バーチャルなオーナー、では正直、自分が牛の生命を預かっているという実感がわいてこないのではないか。むしろ、価格安定の補償などを持たず、ヒリヒリするような感覚で出荷を決心したり、実際に市場価格の乱高下の影響で損をするくらいじゃなければ、自分の中に畜産に対する主体的なスタンスが出来ないじゃないか。そう思ったのである。

「杉澤さん、安定基金に入れなくても、自前でオーナーになる道を選びたいと思います」

「そうですか、わかりました。じゃあ、なんとか組合内部でOKとなるように頑張ります。」

と、力強く頷く杉澤さん。

「私個人としては、ヤマケンさんがオーナーになってくれるのは大歓迎です。岩手県は短角の最大の産地ですが、黒毛和牛の人気に押されて、その頭数はどんどん減少しています。広大な牧野を維持していくためには、空きスペースをつくるより、ちゃんと牛がいて育つことが何より必要です。
 でも、どこの誰でもいいという訳にはいきません。和牛商法ではないかと思われる人もいるかも知れません。また、安定基金の問題などをちゃんと理解していただき、リスクがあることをわかってもやりたい、という人でないと我々も飼養管理を受託できません。
 その点、ヤマケンさんは短角の特性を理解した上でオーナーになりたいと仰ってる。これは有益な新しい試みだと思います。私も真剣に、組合の皆さんに話してみますから!」

そう言って、力強く笑ってくれたのだ。杉澤氏、かなりのナイスガイである。

P7050037.jpg続いて二戸の振興局のお二人からは、牛肉トレーサビリティ法での個体識別番号の詳細についてレクチャーをしていただいた。
とにかく農林水産業の中でも、牛という大型畜種については非常にいろんな機関が関係しているのである。


ちなみに、このテーマで僕がこれから書くエントリを読む際に、予め了承して欲しいことがある。それは、このオーナー制度はどこでもやっているわけではない、ということ
また、県外人であり非農家である僕がこのようにオーナーになるというのは、現状ではかなり特別な例であるということだ。

上記1~4に記した各種制度については、杉澤さんが関係機関にすべて打診をし、公式見解をもらいつつ調整した結果である。ただし一般の人が同様に制度を活用できたり、飼養管理を委託できるかということは現在では未明であることを、ご理解いただきたい。

逆に言えば、僕がこのオーナー制度で問題を起こさずにやっていけたら、オーナー制度の一般への門戸も開かれるかもしれない。そんな、いいモデルケースになれるように頑張ろうと思う次第だ。

「さあて じゃあ短角牛を食べに行きますか!」

ざぶざぶの雨を避けながら車に乗り、ふもとまで降りる。浄法寺まで20分、浄法寺から二戸まで30分程度で、二戸駅近くにある奇跡の焼肉店「短角亭」へ。

■短角亭
〒028-6103 岩手県二戸市石切所字荷渡56-2
(二戸市合同庁舎から徒歩1分 )
電話番号 0195-23-0829
営業時間 11:00~22:00
http://www.yamacho-meat.com/eat/index.html

日本全国を見ても、短角牛に特化した焼肉店はここしかないだろう。
しかも、通常メニューには掲載されていないが、運がよければ短角の内臓肉を食べることが出来る店なのである。しかも、都内の焼肉店の単価から比べると、凄まじく激安、、、 焼き肉好きの皆さん、東北新幹線で東京~二戸間往復を負担する価値は絶対にあると思いますヨ!

短角牛の肩ロース!
赤身中心とはいうが、もちろんサシも入るのである。

これはハラミ。
短角のハラミなんてそうそう食べられないのですぞ。


出た!世にも貴重な短角のモツである。

上からギアラ、ホルモン、レバー。実は写真には撮らなかったけど、タンがまた最高なのである。
そしてこれがまた珍しい、ハツもと。

心臓の脇の大動脈、つまり血管である。
凄まじく心地よい歯応え。モツ臭さは皆無。軟骨のハード版という感じだろうか。


これら短角にベストマッチなのが、浄法寺地区の特産であるヤマブドウで醸造した「浄法寺ワイン」。杉澤さんが持ち込んでくれた。
このマークは、浄法寺にある天台寺の住職に就いていた瀬戸内寂聴さんの手によるものだ。

こちらは白。白いヤマブドウはないのでこれは違う国産品種だが、リースリングっぽい爽やかな甘さが食前にいい。肉をバンバンたべる食中は、ヤマブドウを原料にした赤がいい。

予想では、失礼ながら大した酒質ではないだろうと思っていた。
間違っていた! この濃厚な山の風味、短角牛の肉質とベストマッチである! 余り本数がないようだが、もし二戸に訪れることがあれば試してみて欲しい。ただし、短角亭には常備されているわけではないと思うので、ご注意を。

センマイはきちんと皮を剥いて白センマイに。変な臭みナシ。

とにかく短角牛の内臓は手に入りにくい。
これについては後日詳述したいが、牛の流通とは極めて複雑怪奇なのである。
だから、この短角亭でも、予め頼んでおいたとしても入らない場合がある。

岩手で焼き肉の〆といえば、そりゃ冷麺でしょう。こちらのは盛岡冷麺をベースにしているから、韓国のガッチリとしたコシのある麺とはちがい、プルンとした麺である。

もちろんビビンパにはユッケを。赤身肉のもも肉を叩いたのがたっぷり載ってくる。


ああ、素晴らしき肉に埋もれた一夜であった。
あとは杉澤さんに組合内部の意見をとりまとめていただき、僕を短角牛オーナーとして受け入れていただけるように祈るばかりなのである。

そして約1ヶ月後、またもや二戸を訪れることになったのである。

(つづく)

Posted by yamaken at 03:27 | TrackBack

2007年08月07日

情熱のトロピカリア! パッションフルーツが南から来る


種子島の長野センセイから、パッションフルーツが届いた。
長野センセイは、種子島出身で、ハワイ大学卒業後にNYでバリバリ働き、NPOなどを切り盛りしていた女性である。その後、故郷の種子島に帰り、町議となって現在に至る。種子島の至宝・沖ヶ浜田の黒糖の最大の理解者であり支援者である。

亜熱帯植物であるパッションフルーツの樹は種子島あたりではきちんと結実してくれる。
また、比較的作りやすい品目であり、無農薬での栽培が可能である。今回送ってくれたのも、無農薬(おそらく無化学肥料でもある)だ。

このパッションフルーツ、種子島や奄美大島では「時計草(とけいそう)」と呼ばれている。
昔、奄美大島に旅行に行った際に、その辺の八百屋の店先に、45リットルのゴミ袋大のビニール袋に一杯これが詰められ、2000円とかいう捨て値で売られていたのをみてビックリした。高級フルーツ店でみかけるのとは大きな違いがそこにある。

それにしてもパッションフルーツの実は、エロチックである。

いま、エロティックと書いてから、まてよ”ティ”より”チ”の方がなまめかしいな、と思って書き直した!
そう思わんですか?

さて極めて強力でユニークな香りを持つこのドロッとした果肉を、スプーンですくってそのまま味わうのも旨いけど、いまじぶんであれば果肉を潰して炭酸で割って飲むのがまた旨い。

パッションスカッシュ、一杯目は砂糖の入っていない炭酸で割って飲む。

二杯目は三ツ矢サイダーで割る。
そういえば最近、東北ではローカルなメーカが作るサイダーが流行っているらしい。確かに岩手のコンビニでも5種類くらいの瓶入りサイダーが並んでいた。こんど二戸にいったら全部買ってみよう。
そんなことを思いながら厳しい暑さをこうしてしのぐ日々である。
長野さん、ごちそうさまでした!

Posted by yamaken at 10:47 | TrackBack

2007年08月06日

今、気づいたんだけど、、、

一つ前のエントリ↓の短角牛の写真を見ると、牛ちゃんにも「つむじ」があるのがわかる、、、
可愛いなぁ、と和んでしまった。

Posted by yamaken at 15:07 | TrackBack

二戸との出会い、そしてこの美しい生き物に惹かれた訳


前のエントリで書いたとおり、このたび短角牛の母牛のオーナーとなった。
色んな人がメールをくれて、

「肉にするときは呼んでね!」

というのだけども、誤解しないでね、僕がオーナーになったのは母牛ちゃんです。短角牛の場合、メスが産まれると基本的に肉にはせず、母牛として育てます。母牛は順調であれば生涯で10産くらいしてくれます。だいたい一年一産くらいだろうか。では、その産まれた子牛をどうするのか。それを出荷することになるのです。

母牛を育てて子をとり、その子牛を家畜市場の開催にあわせて出荷し、買って貰う。これを「繁殖農家」といいます。

その子牛を買い取り、成体となるまで餌を食わせ込むことを「肥育」といい、出荷に足る体重に達した牛を肉牛として販売する農家を「肥育農家」といいます。

酪農や豚の場合はこの繁殖と肥育を一つの経営体が行う「一貫経営」が中心なのですが、日本の肉牛の場合は通常、繁殖と肥育という二つのステージに分かれています。僕がオーナーになったのは「繁殖」の方です。

では僕の母牛ちゃんから産まれた子牛をどうするつもりなのか、、、ということが重要なのですね。

さて
僕と短角牛との出会いは、岩手県久慈市山形村という、岩手なのに山形という、なかなかに混乱する名前の村との関わりがその端緒となった。この山形村では、こだわり農産物・食品の宅配ネットワークである「大地を守る会」に村ぐるみで短角牛を供給している。山形村の短角といえば、下記エントリに登場したアレである。

■2006年11月27日 岩手県山形村の短角牛を使った「日本一高い牛丼の会」開催。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2006/11/post_937.html

実際にはこのエントリを書く前の2005年に、このエントリに出てくる「山藤」の料理長の梅田さんと共に山形村を訪れている。今年も行った。昔からの伝統的な食文化がきちんと残っている素晴らしい村で、生涯お付き合いをしたいと思ったのだ。

だから短角についてもこの山形村で突っ込むことになるだろう、と思っていた。

しかし、面白いことに今年、二戸で講演をした際の岩手大旅行で、大きな出会いがあったのである。それが、短角牛オーナー制度である。

■2007年02月14日 岩手県北を巡る旅 浄法寺・短角牛の素晴らしき世界を観た!
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2007/02/post_967.html

実はこのエントリで、せんだって二戸市と合併した浄法寺という町の短角牛農家さんを回らせていただいたわけだが、記事には書いていないがそこで「オーナー制度」を実施している牛舎を訪れたのだ。

オーナー制度とは、自分の家に短角牛を飼うことが出来ない人が出資し、各種の世話を組合に肩代わりしてもらうことで牛を所有する制度だ。これを実施しているのが、浄法寺の農家さんたちが立ち上げた「大清水牧野農業協同組合」である。

この時、案内してくれた杉澤さんは浄法寺の役場の畜産担当職員で、農家ではない。でも、

「俺もここで一頭の牛を所有しているんですよ」

と言う。

「それって、僕でもオーナーになれるんですか?」

と尋ねると、杉澤さんはうーんと難しい顔をしてこういった。

「一応、市外の方はお断りしています。それと、和牛商法問題とかが過去にありましたので、いろいろとトラブルがあってもいけないと言うことがあるので、非農家の方にオーナーになっていただくのは難しいということになってるんですよ。」

なるほど、それはそうかもしれないな、とその時僕は半分諦めた。
でも、「もし空きが出て、しかも市外人でもいいというご意向が出てきたらぜひお願いします!」と言って帰ってきたのだ。

数ヶ月後、その杉澤さんから「もしかしたら、オーナーになっていただけるかも知れない」と話が来たのだ。杉澤さん自身は、どんどん減少していく短角牛の将来と、協同牧野という組織の今後を考える中で、僕のような人間が短角のオーナーに取り組むということがプラスになるのではないか、と考えてくれていたようなのだ。

「おおまかな考え方としては、組合のキーパーソンに了承してもらいました。もし都合がよければ、母牛候補を観に来ませんか?」

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
マジですか?

と昂奮しながら7月の5,6日に二戸を訪問した。
僕は基本的に晴れ男なんだけど、この日は豪雨。二戸駅から、日本で唯一の短角牛専門焼肉店である「短角亭」の槻木(つきのき)専務が運転してくださる車で、40分ほどの時間をかけて大清水牧野へ登っていく。ぐんぐんと山道を登り、雨でけぶる風景がダイナミックな平原に変わってきたところに、牧野の監守さん達が暖をとる事務所があり、そこに杉澤さんが待っていてくれた。

「そこに、母牛候補の二頭を追い込んでおきましたから、まずは見てください。」


通常は広大な牧野を移動している牛たちの中から二頭、僕向けの牛を二頭選抜してくれていたのだ。その二頭がこの子達だ。

「牛を選ぶ際には、骨格と肉付きを見ます。僕としてはこちらの牛をお奨めします。」


残念ながら僕には素性のよい母牛を選ぶ眼がない。ここは杉澤さんにお願いするしかない!

「じゃあ、この子をお願いします!」

「わかりました!」

この子がその牛ちゃんである。

両耳に耳標(じひょう)が付いている。これは牛肉トレーサビリティ法(本当の名称はもっと長いのですが)によって定められた10ケタの「個体識別番号」を記載する耳標と、10ケタでは覚えられないので、牧野で独自に管理する番号を記載したものだ。

とにかく凄まじくどしゃぶる雨の中、まだまだ実感のわかない対面であった。
でも、別れの間際にこの子の体にそっと触れた手が、実に生暖かかった。体温がある、動物なのだ。この子のオーナーとなるというのは、とてつもない責任を負うことでもあるのだなぁ、と思ったことを記憶している。

「雨じゃなんですから、ちょっと小屋に行って話しましょう」

ちょっと離れたところにある小屋に移動。ふーと息をつく。なぜかわからないがこの時、二戸の振興局の方もご参加。

さてこの人が浄法寺役場の杉澤さんである。
前回案内して貰ったときに比べて、髪を切ったせいか爽やか度が非常にアップしている!

しかしその爽やかフェイスから出た一言は、はやる気持ちをちょっとダウンさせるものだった。

「実はヤマケンさん、昨日までは、本当に昨日までは順調に進んでいたんですが、ちょっと再度、組合内の意見を調整しなければならない状況になりました。」

やはり部外者、それも県外の非農家がオーナー制度を利用することに難渋を示す組合員さんもいるようなのである。

「ハッキリとダメとかそういうことではありませんので、組合としてきちんと話をして決めたいと思います。ですからもう少し時間を下さい。その間に、今回のオーナー制度がどのようなものかを理解していただくことが必要だと思いますので、少々レクチャーさせていただきます。」

(つづく)

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2007年08月03日

二戸とのビッグプロジェクト始動! 僕は日本短角牛のオーナーになりました。

感無量!
僕は日本短角牛のオーナーになった。

数ヶ月前から二戸を訪れ、その景観の素晴らしさ、郷土食の見事さに惚れてしまった岩手県二戸市浄法寺地区。二戸駅から40分ほど、車で山を登ると、牧野(ぼくやと読みます)という牧草地帯が現れる。そこには春から秋まで短角牛が放たれ、彼らは自由気ままに草を食べながら移動する。
P8020143.jpg
ここは、自分の家で繁殖用の短角牛を飼えない農家のための、協同牧野という組合組織が運営する牧草地帯なのだ。

数ヶ月前に二戸を訪れて、この短角牛オーナー制度というものを知り、僕は熱烈に「短角牛を一頭所有し、『牛を育てるということ』を体感したい」とラブコールを送ってきた。数人のキーマンが動いてくださったおかげで、とうとう、市外どころか県外人であり、非農家である僕に「オーナーになってもらっていいですよ」という許可が下りた!

この子が僕の牛です。
P8020181.jpg

詳しくは東京に帰ってからゆっくり書こうと思う。
日本で牛肉を生産するということがどんなことなのか、を身をもって体感していきたいと思っている。
P8020185.jpg
僕を受け入れてくれた大清水協同牧野の皆さんに感謝します。
本日は盛岡によって帰京予定!

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