美味サライ編集長の尾崎さんから、「ヤマケンブログの読者さんへも伝えてあげて下さい」とのことなので告知。
プレミアム短角牛の焼き肉セットとステーキセットをプレゼントしてしまうと言う!
プレゼントじゃなくて買ってもらえばいいのに、と思うけど、大盤振る舞いをしてしまうのがサライの社風なのだろうか。ちなみにステーキセットは1名、焼き肉セットは2名にプレゼントとなるようだ。
■美味サライ
http://serai-bimi.jp/
ステーキセットは、ロース850gとヒレ150g、計1kgのセット。
正直、4人でも5人でも十分な量だと思う。僕は厚みのある肉の方がステーキによいと思っていたが、監修に入った三國シェフが、食べやすいステーキカットはこれだ、という指定をしてくださったとのこと。こんな旨そうな写真をみると、「うーむこれでいいのだ」と納得させられてしまう。
これが13000円というのは、相場からいえば安い! 週刊アスキーの一頭丸買い通販の際には、プレミアムではない通常の短角牛のステーキセットがあったが、それと余り変わらない価格。
そしてこちらが焼き肉セット。

焼き肉用の様々な部位のミックスセットが700gに、ハンバーグ用挽肉が300g。こちらは何と言っても ハンバーグのレシピでしょう。美味サライの写真を見るべし!
プレゼントの応募は、トップページの「お知らせ」欄に書いてあるのでご覧いただきたい。でもね、本当はこれ、プレゼントをあ手にするんじゃなくて、買った方がいい。だってプレゼント期間終了後に、落選して買おうと思っても、売ってないかも知れないからね、、、ステーキセットは30セット以下、焼き肉セットだって200セットあるかないか、だ。
ちなみにどちらのセットも、お届け日が6月20日(土)のみとなる。在庫が沢山あるわけではなく、プレミアム短角牛一頭をと畜して、カットして、ピンポイントで発送するので、不自由だけれどこれは仕方がない。もっと短角牛がたくさん買われるようになれば、需給バランスが整って解消される話なのだ。みんなでこの食材を買い支えましょう。
僕はここのところ短角食傷気味なんだけど、買います(笑) だって、今年度分の岩泉のプレミアム短角牛は、これで打ち止めなのですよ。だれか、短角牛パーティーやりましょう。
今回の仕事では、広島から車で小一時間かかる大和町での、とある商品の製造工程を視察した。それについてはしかるべき時期にどかーんと書くけど、とてもとても佳い食品。やっぱり、生産者の心が入っているものには、感情移入してしまう。
大和町は稲作地帯だ。他の商品はあまりない。従ってみるべきものは田んぼだけである(笑)
視察の合間に畦道を歩く。畦に咲く、さもない草花が大好きなのだ。
D700に60mmマクロF2.8をつけて歩く。
「花マクロ 」という、花をドアップできれいに撮るジャンルがあるが、うまい人は皆、超絶な写真を撮るのであこがれていた。けど、ドアップで撮ると僕の場合だいたい失敗する。修行が足りない!
今回は結構絞り込んでF9くらいでモノに迫る。そうするとけっこう僕の意図通りに撮れる殊に気がついた。
オリンパスのフォーサーズシステムで撮影をすると、ボケの量がフルサイズより少なくなる。D700はニコンの35mmフルサイズ機なので、ボケの量が圧倒的だ。F9に絞ってこれなら、僕にはこれで十分だ。
さてその後、この人と合流。
竹鶴酒造の杜氏・石川達也である。
実は竹鶴の代表的な商品に、地元・広島産の雄町米を使った酒があるが、その一つの産地がこの大和町なのである!
「あ~ やまけんがいるなら、生産者さんのところに寄って、その後うちにメシでも食いに来いよ」
と言ってくれたのである。
「それにしてもやまけんが大和町に来るとはなぁ、、、 ここは松田さんという方の田んぼなんだ。」
これが酒造好適米である雄町の姿だ。松田さんの田は一枚が6反歩と広い。効率的に作業ができそうである。
「よく来てくれましたな」
と松田さんがご登場。この人が、竹鶴の酒を支えている。
大和町での農業の四方山話を聞いて、辞去する。土間の黒板に「インカのひとみ」とかかれていたので「あれ、インカのひとみ栽培するんですか?と聞くと、「うちの妻がね」とおっしゃる。
インカのひとみは、果肉が黄色く栗のような薫りのするジャガイモ「インカのめざめ」のいとこのような品種だ。収穫後、貯蔵に気をつけないとすぐに芽が出てしまいますからね、と話しておいた。
さて一路、酒の町・西条へ。広島を代表する酒・賀茂鶴酒造がある町だ。タツヤンのおやじさんはこの賀茂鶴の偉いさんだったこともあって、彼の実家はここにある。
なぜか石川家に来ると、自分が醸した竹鶴を飲むのかとおもいきや、だいたいタツヤンが最近オオッと思った酒を飲むことになる。石川達也には自分のことよりも、佳い仕事をしている他の倉の酒を応援することの方が大事らしい(笑)
今回はこれだ!
「開春」は島根県の酒。右側のラベルは読みにくいが、「開春山口」と読む。
実は大和町からずっと山口君という、とてもひとの好さそうな(そして事実好い男だということだ)男が同道してくれていた。
「やまけん、実はこの山口君は、神亀酒造でわしが辞めた後にちょうど入れ替わりのタイミングで入ってきたんだけどな、島根県の酒造に杜氏として入ってて、ものすごい酒を造っているんだよ!」
とタツヤンが太鼓判を押す男である。彼こそが、この「開春」の蔵の杜氏なのである。僕が「君」付けで書くということは、、、そう、彼も僕と同い年!またいたぞ同年代頑張ってる組!
この二本、どちらも 生もと(きもと)での仕込みである。僕が苦手な無濾過生原酒。しかも今年の新酒。 あ~、それ、苦手。俺は一年は寝かせてある、火入れが終わった落ち着いた酒がいいんだよなぁ、、、 と思いながら杯を口に運んでビックリした!
素晴らしい! 実に立ち姿の綺麗な飲み口に、複雑なうま味だ! 竹鶴の生もともそうだけど、なんでこの造り方をした酒はどれも穏やかなうまさと複雑さを秘めて居るんだろうか。
かなりビックリしてしまった。
「これを燗にしたらもっと旨いんだよ!」
とタツヤンがまるでわがことのように言う。全くこの人は、、、
でもその気持ちもよくわかる、素晴らしい酒である。実は僕は晩酌はほとんどしない、というか皆無である。酒を飲むなら、その分のカロリーのご飯一杯分や料理に回したいと思ってしまうくらい、酒よりメシ優先派である。しかし、この酒は買っておきたいと思う。熟成させたらとんでもないことになるんじゃないかと思うからだ。
「はーい、じゃあ早めのご飯にしましょうね」
と、石川達也夫人である良枝ちゃんのこころづくしをいただく。
タコは自分の家で茹でるのが普通らしい。香りがパアッとたってふくよかなお味。
うれしいのはベラ。
えーと、広島ではなんていうんだっけ。こいつを塩焼きにしたのを、甘酢に焼き浸しにしたやつが旨い。瀬戸内の名物だ。
食後は、タツヤンが最近はまっている阿波番茶。
これは阿波番茶の茎茶だ。
阿波番茶を知らない人もいるだろう。国内では珍しい発酵茶である。日本の茶は紅茶やウーロン茶のように発酵させない緑茶が主体だが、徳島の阿波番茶の産地では、茶葉を乳酸発酵させて造る。
それはきっと、茶が最初から含んでいる酵素の力でそうなるんだろうと思っていたら、違うらしい。
「阿波番茶の発酵は微生物によるものなんだよ。そして工程の中に「茶を摺る」というのがあって、生もとの酒造りと関係があるんじゃないかと思って見に行ったんだよ!」
ということだった。茶葉を摺った後、密閉して嫌気性醗酵にする。2つ前のエントリで、デントコーンサイレージの乳酸発酵について書いたが、ここでも同じようにするのだ。いにしえの日本人の知恵とと経験と工夫は驚くばかりなのである。
「もうほとんど残りがないんだよなぁ~」
葉の部分の茶はもうすこし濃い色になるはずだが、茎の部分を煮出したのはこういう色になる。緑茶と発酵茶の中間色か。濃い山吹色である。
これは実に佳い、、、
緑茶と違って何杯も飲んでいたいと思うような、健康的なまろみがある。
煎茶を愛飲する人も多いだろうが、過剰な窒素を投入して造られた茶にあたったりすると、調子を悪くする人もいる。農薬の害について言う人がいるが、僕はそんなものよりも窒素肥料の過多による害の方が多いと思う。
なんと阿波番茶の茶の木は、まったく肥料も農薬もやらない放任栽培なのだという。
「いや、『栽培』って言っていいのかなぁ、、、なにもせんのよ。」
うーむ、それは素晴らしい。商売にはならないだろうが、この阿波番茶、僕も一度は見に行ってみたい文化である。
濃厚なプリンのおやつ。
相変わらず綺麗な、石川家の嫁・良枝ちゃん。
ハードな出張スケジュールの合間だが、実にいい時間を過ごさせてもらった。
どうもありがとうございました!
今週はこれで明日、群馬に行くだけだ。来週は北海道。
これからホテルを出るのでほんのちょっとだけ。広島にいるが、なんとも不思議なタイ料理屋さんでご飯をいただいた。
家族経営で、お父さんがタイの家具などの輸入商。その娘姉妹がサービスと料理を担当しているという店。広島市街地からは車で30分以上かかる立地。でも、出てくる料理は美味しい!
青い未熟パパイヤの料理ソムタムは、あまり辛みがない。プリッキーヌーを使わないらしい。けど、きっちりソムタム。
春雨のサラダ、ヤムウンセンもごくごく押さえた味。けど、日本の味というのでもない。
エビの薩摩揚げっぽい揚げ物トートマン・クン。
こいつがえらく旨かったタイ風オムレツガイ・ヤッサイ。中にカレーパウダーをからめた具材が入っている。
鶏のグリーンカリーであるゲーン・キョウワーン・ガイと、赤いエビカリーであるゲーン・ペッ・タレー。
そしてこれは日本ではここしか食べられないんじゃないかという名物がある。それは、生の玄米麺を使ったパッタイだ。
これ、絶品。実はこの麺に秘密があるのだが、ソースも一般的なこってりしたパッタイソースとは違っている。上品!
そして、店員さんとも盛り上がったのが、豪勢な蟹カレーであるプーパッポンカリーだ。
これが、極めつけに旨い!!!!!!!!!!!!
プーパッポンカリーといえばソンブーンだよね、という話をしたら、店員のオネエサンが「ああああああああ 実はうちのはソンブーンのプーパッポンカリーに通い詰めて、あの味を再現しようと頑張って作ったんです!」という。やっぱり!?
ソンブーンの脂ぎとぎとのに対して こちらは脂控えめ、けれどもこちらのほうがヘルシーで日本人は喜ぶはず。蟹はワタリガニじゃなくてタラバ。うーん 優れている、、、
左がシェフで、妹さん、右がサービスを担当するお姉さん。
なんと、彼女たちのお師匠さんは、タイ北部のチェンマイの有名な料理家だという。
「だから、うちの料理はあまり辛くないんです。チェンマイの料理はとても上品ですから、、、」
なるほどなるほど!この味はかなり癖になりそう。とくに生米麺のパッタイとプーパッポンカリーは出色のできばえだった!
「ぴぃすぅあ」
082-814-5554
広島県広島市安佐北区可部8-14-10
んじゃ、今日のお仕事に行ってきます!
ちょうどいま、店頭に並んでいる「美味サライ」を手に取った方は居るだろうか。
サライの増刊号で、食のことだけに注力した特別号だ。実はこの編集長の尾崎さんが、昨年度に開催された、藤田千恵子さんの醗酵リンク大会で僕の話を聴いてくれていて、「ぜひあの話を誌面で展開したい」ということになり、少しだけ力をお貸しすることになった。
それはまあいいんだけど、尾崎さんがえらいのは「日本の食が佳くなって、しかも生産者さんが幸せになれるように、サライで力をお貸しできることはありませんか?」といってくれたことだ。じゃあ、面白い食材がありますよ、と言うことをお話しした。
「プレミアム短角牛」である。
「おお!じゃあそれ、一頭まるごとサライで買って、読者のかたに提案したい!」
ということで、スペシャルページが実現。
以前、週刊アスキーでも誌上通販をしたが、今回はプレミアム短角である。しかも、なんと念の入ったことに、三國シェフの短角牛レシピつきなのである!
一頭まるごとだから、ウデやスネといった硬い部位もある。そうした部分はハンバーグである! 実は三國シェフに、事前にサンプルを送付する際に、肉の部分と脂身の部分を双方送り、「最適な割合を指示してくれ」とお願いした。その結果連絡いただいた赤身と脂身の割合で、挽肉を造っているのだ。
ということで、プレミアム短角牛の小売に関しては、このサライとあと一社、某有名百貨店の贈答用だけで並ぶことになる。でも、美味サライの通販の方が安いと思います(笑)ぜひ買ってあげて下さい。
で、もうひとつ、このプレミアム短角牛が銀座のベージュ東京にて、期間限定で食べられることになった。
プレミアム短角牛については、このブログで過去、イヤと言うほど(笑)採り上げてきたので、まだ識らない人は右上にある検索窓から「プレミアム」と入力して検索してみていただきたい。いろいろ記事が出てくるが、一言で言えば「日本の国産飼料を7割以上食べて育った和牛」である。
牛は、デントコーンという飼料用コーンを食べて育つ。日本の黒毛和牛は、出荷されるまでに2トン以上のコーンを食べる。そしてそれはほとんどが米国産の輸入コーンだ。畜産に限らず第一次産品(米・野菜・肉・魚)はすべて、「何を食べたか」で味がかなり変わる。その一番重要な部分を海外に依存しているのが、日本の食の現状だ。
しかしこのプレミアム短角牛は、幼い子牛の頃は放牧で草を食べ、牛舎に入ってからの餌の7割を、同じ岩手県で栽培されたデントコーンが給餌される。これはすごいことである。
昨日の記事をみてくれればおわかりのとおり、短角牛は幼年期を牧野という広大な草地で育つ。
半年ほど草と乳のみで育った後、草が枯れる秋に牛舎に入り、肥育という段階に入る。
この肥育段階では、通常は配合飼料を与えて育てる。配合飼料とは飼料メーカーが畜種ごとに最適な栄養設計をして造ったパッケージ商品である。そしてその50%以上が輸入穀物で造られている。
でも、プレミアム短角牛は、岩手県内で育てられたデントコーンという飼料用コーンを食べて育つのだ。
これが、デントコーンの種まきをしている風景。
デントコーンの種と肥料を同時に播く特殊なアタッチメントをつけたトラクターで、不耕起栽培を行うのである。
コーンの種が赤いのは、消毒薬が塗布されているからなので、これを食べてはいけませんよ(笑)

これを農家さんが集まり、大きな圃場に播いていたのである。
で、これが伸びてあのトウモロコシの実を付けるのだが、葉の先が茶色になるくらいまで完熟させた後に、これまた特殊な大型機械で刈り取る。トウモロコシの樹を茎から葉から実まですべて細かく裁断して、それを巨大なラップで七重くらいに包んで、巨大なタイヤのようにしてくれる機械だ。北海道などで黒や白の巨大タイヤのようなオブジェが並ぶシーンをみたことあるひとがいるだろうが、あれは牧草なのである。
ああしておくと、きっちり密閉されているので、中の植物が自分が持っている水分で醗酵する。外気と遮断されているので嫌気性醗酵になる。つまり乳酸発酵になる。それがこれだ。
これがまた、実にすばらしい漬物の香り!そう、ぬか漬けのような香りと味なのである。
僕の尊敬する獣医師の松本大策先生は、「牛に与える餌は、必ず自分でも食べて確認する」と仰っている。ので、僕もこのデントコーンサイレージを食べた。茎の部分も実の部分も。これが本当に、漬物の味!きっちり醗酵した古漬けの味なのである。感動してしまった!
このおばあちゃんが、プレミアム短角牛の生産農家のお母さん。「ご隠居さんなのよ、わたし」と言うが、第一線バリバリである
この肉を昨日、ベージュ東京のシェフであるジェロームと一緒に視察に行ったわけである。
ジェロームが握手している方が、今回ベージュ東京で食べるプレミアム短角牛を生産した農家さんである!ていうか、上のおばあちゃんの息子さんね。
岩泉のプレミアム短角牛の販売を一手に担う岩泉産業開発という会社の人達にふるまわれた短角の肉、焼き加減と塩加減はジェロムが見極める!
牛舎では牛たちと積極的にコミュニケーション!
こんな濃密な旅をした彼が、今日食関係のプレス向けに、試食会を開催した。僕も、岩手県の担当の高橋さんもプレゼンテイターとして出席。皆さんより先に、試食させてもらったのである。
サーロインを岩塩に載せてオーブンでギリギリの火加減で焼いたもの。
ソースも何も無しで、塩のみで食べたが、実に絶妙な味!さすがの火入れである。とはいっても、はやりの低温調理とは全く違う。きっちりと肉の旨味を引き出していた。
二品目はこれ。

ラビオリ、、、実は中に入っているのは、ウデ肉である。牛はサーロイン だけで出来ているわけではない。様々な部位のなかで、西洋料理ではあまり歓迎されない硬い部位もある。でもそこもきちんと引き取って料理してくれるのが彼のウデである。
これにパルミジャーノチーズの薄切りが乗って完成!
具のウデ肉はリエットのようにほぐされて、バジルなど香草とともに詰められている。ソースもフォン・ド・ブフ。牛のフォンを煮詰めたものだ。

あんまり味について言う必要もないだろうけど、、、素晴らしい! ウデ肉がほぐされて再構築されているが、その旨味は黒毛では絶対に出し得ないものだ。
そして、、、これがメインだ!
プレミアム短角牛のウェリントン風!

支配人の石田さんいわく 「ジェロームがこの料理をベージュでやる気になったのは、短角牛と出会ったからこそですね」とのこと。黒毛ではこんな料理したって美味しくならないということが、イヤと言うほどわかっていたのである。
味は、、、 何も言う必要、ないですよね。もう、とてつもない火入れです。フォアグラが、なぜかこのプレミアム短角牛のサーロインとすさまじくマッチ。脂の美味しさではなく、肉の旨味を増幅し合うのだ。
さて、試食終了後、プレスの方々(そうとう選び抜かれています)がご来場。
僕も高橋さんも説明をさせていただきながら、かなりハイテンションに試食が進んだ。
プレスの方々も大満足してくれたと思う。
ベージュ東京のWebにも、このプレミアム短角牛の件については書いてある。
■http://beige-tokyo.com/j/mailmag/40th/
これじゃあよくわからないかもしれないが、基本的にはアラカルトで供することになる。ので、コース6500円ではありませんよ!それと、ウェリントン風はかたまり肉で焼かなければならないので、複数人のオーダーが必要になる。なので、是非食べたい向きは、予約をお願いします。
えーと、基本的にそうお安い店ではありません。銀座のシャネルビルですからね。けど、食べる価値はあると思う!
実はオフ会をやろうかとも考えた。けど、会期中に全然日程がない(出張ばっかり)。なので、関心のある人はぜひベージュ東京に連絡を。
そして、自宅でステーキやハンバーグを食べたいという人は、発売中の「美味サライ」をお買い求めいただき、内容に協賛していただけるなら、ぜひ通販のご利用を。
まあこの肉、美味しいことは間違いないですよ。それは、信じていただいて佳いと思う。日本人が食べて佳い肉。それは、少なくとも50%以上は日本でできる餌を食べて育った肉ではないだろうか、と思うのである。
さて明日は広島。玄米の米麺を旅してきます。
二戸と並ぶ、短角牛のふるさとである岩泉に、フレンチレストラン「ベージュ東京」のシェフであるジェロームと一緒に遊びに行ってきた。
どの牛にも個性があり、それぞれに美しい。
これは、母牛が子牛に乳をやっているところ。なぜかこういうフォーメーションになる。
おとなしい性質をもつ短角牛とはいえ、人が近づくと逃げるのが普通なのだが、彼らと視線をあわさず、ゆるりと近寄り、そののち彼らの目線よりも下に寝転がって静かにしていると、安心するのか逃げないで留まっていてくれる。
これだけでも迫力のある構図なのだが、なんと目の前の牛が僕に興味を持ったらしく、近づいてくる!
うぎゃああああああああああああああああ
レンズフードにシットリした鼻をツンとつけて挨拶してくれた。ここまで接近してきてくれるのはブラウンスイス種くらいだと思っていたが、、、この牧野の看守さんや、農家さんがこの子達を可愛がっているんだろう。人間を余り怖がらない。
遊びに行っていた、と書いたが、ほんとうは遊びじゃない。
銀座のシャネルビルの上にあるベージュ東京アラン・デュカスにて、プレミアム短角牛を食べるスペシャルコースが明日から登場する。僕がベージュ東京に対して食材のリコメンドを行う、コラボレーションコースを、これから不定期で行うことになったのだ。
詳細はまた明日にでも書きたい。今日は朝7時半の新幹線で東京~盛岡、そこから県庁の車で2時間かけて岩泉の牧野へ、最後は櫃取湿原を山歩きしまくって、また盛岡へ戻り、新幹線で東京へ。日帰り行は疲れる、、、でも、ジェロームがナイスガイなので助かった。
ところでまったく関係ない話だけれども、僕が日々チェックする、ウィルコムのPHSマニア達が集う情報サイト「UseWill.com」の管理人であるふぇちゅいん君がめでたく結婚式を挙げた。
おめでとう!
でも幸せだからって更新をさぼっちゃいけないよ!
松山で最もにぎわう界隈、といえば大街道(おおかいどう)周辺だ。夜の繁華街もこの辺りに集まっているが、大街道自体は健全なアーケード街。僕も松山における夕飯はこの辺でお世話になることが多い。
そしてその入り口に、松山を代表する商業施設とい うかビルがある。
なんと「ラフォーレ原宿」である。しかもですよ、正式名称は
「LAFORET HARAJUKU・MATSUYAMA」
!
ラフォーレ松山 じゃなくて ラフォーレ原宿・松山 なのである! なんじゃそりゃっ!
「原宿の空気感をも漂わせる店、ということでつけたんでしょうねぇ」
とK野さんが言うが、、、そういうこと?
ともあれ、このラフォーレは松山を代表する待ち合わせ場所、もっといえば合コン待ち合わせ場所であるそうだ(愛媛で出会った多数の人がそういっている)。たしかに大街道の入り口だし、このオレンジ色の建物がわからんという人はあまりいないだろう。
このラフォーレが残念なことに閉館してしまった。もう昨年の話だから、そろそろ取り壊されているだろうと思いきや、まだ再開発計画が整っていないらしく、建物自体はそのまんまである。ということは、待ち合わせ場所としては機能しているんだろうか。
と疑問を抱きつつ大街道を下っていくと、80メートルほどいった右側に、小さい入り口の店がある。
ここが、愛媛県を代表するカフェ「Naturel」だ。店の名前はフランス語読みで「ナテュレ」というらしい。「ナチュレ」と表記してはダメ!な、はずだ。
このナテュレ、実は僕も存在を知らなかった。そもそもこんな小粋なカフェなんぞ、僕には全く似合わない世界だしね。けど、ナテュレのオーナーである藤山さんは、僕のブログを長いこと観てくださっていて、数年前にメールで写真の撮影方法について質問をしてくれたことがある方だったのだ。先日、大洲市で生産者さんたちに対する講演を開催したときに、わざわざ松山から足を運んでくださり、声をかけてくれたのだ!
「当店にぜひおいで下さい!」
その翌日、早速うかがった。そう、前のエントリで書いたとおり、カメラのバッテリーが上がってしまった時だ。
このナテュレ、というか藤山さんは実に有名な方で、柴田書店のバカ売れ雑誌である「Cafe&Sweets」にも連載をしていたことがある。コーヒー豆をはじめ、使う食材はきちんとフェアトレードすることに気を配っている本物な人なのである。
この日はお昼時に来店。ていうか瓢太の中盛りラーメン食べた後である(笑)
藤山さんは地元の専門学校で飲食店経営についての講座を持っていて、そこでの講義を終えて後ほど戻ってくるということだった。ので、その間にご飯をいただく。
サービスでいただいた愛媛の温州みかんのストレートジュース。ストレートジュースは果実の味がダイレクトに出てくるからごまかしがきかない。トゲや引っかかりのない、佳い味でした。
この日のランチプレート。うん、女性に人気なの、わかる。野菜はすべてきっちり下味がつけられていて、ただの生野菜ではなく(火が通っている具材もちりばめられている)美味しい。ほんとはこれに加えてカレーを頼もうと思ったのだが、残念ながら15時からのメニューだそうだ。残念。
そうこうしているうちに藤山さんのご帰還!
柔らかい笑顔。ソフトな物腰かと思いきや、じつに熱く語る、熱血の人なのである!
「以前は某大新聞の記者・カメラマンでして、、、仕事の関係もあってオーストラリアに数年滞在していたんですが、むこうでカフェブームにやられましてね。もう、本当にグレードの高いカフェがいっぱいあったんですよ。それで自分でもやってみたくなって、帰国して実家の近くであるこの大街道で店を始めたんです。」
大街道の近隣が実家というのがまずすごい立地だ!
店は評判を呼び、毎日若い女性中心に高速回転をしている。素晴らしい と思うのは、マイナーであっても佳い食材は積極的に採用して、お客さんに訴求していることだ。
たとえば稲の若葉ってきいたこと、あるだろうか?大麦若葉という、大麦の葉を粉末加工したものが青汁などの原料としてよく使われているが、その稲の葉のバージョンだ。
「この稲若葉を、栄養価を高めて製造する技術を愛媛のとある方が開発されたんです。素晴らしいものなので、これを広めようと店で積極的に出しています。うちの若いスタッフがメニューをいろいろ開発しているところなんですが、人気が非常に高いのが、これなんです!」
「緑のもっちりパンケーキ」というと、抹茶ケーキ?と思うかもしれないが、この緑が稲若葉の粉末なのである。
苦みはほとんどなく、稲の葉とはわからない香ばしい薫り。これが練り込まれたパンケーキなのだが、本当に美味しい。
このほかにもシフォンケーキなど、様々なメニューに稲若葉が使われている。
そんな藤山さんがいま非常に懸念しているのが、オーガニックシロップのことだ。
「うちではカナダ産の、フレーバードシロップを使っているんですが、この輸入ロットがなかなかはけないため、輸入元が取り扱いをやめることになりそうなんです。これはとても恥ずかしいことでね、、、もし取りやめになったら、先進国の中で日本だけが、オーガニックシロップを使っていないということになるかもしれません」
シロップでオーガニック?それはなかなか大変だ、、、原料となる砂糖の原料(さとうきびや甜菜)をオーガニック基準で育て、精糖も一般のものとは分別して行い、バニラなどの各種フレーバーの元もオーガニック基準を満たしている必要がある。日本ではまったく造られていない商材だ。そしてその需要さえも日本ではないということか。
実はこの話を聞いて、じゃあ日本でもオーガニックシロップ造ろう!ということで、ある産地に声をかけている。うまくいけば、藤山さんに紹介したいと思っているところだ。
そうそう、肝心なことを言い忘れていたが、コーヒーはとても旨い!
「大手のカフェチェーンなんかだと、大量に処理しなければならないから、豆のピッキングも市内ケースが多いんです。へいきで酸化の進んだ豆をつかったりもする。豆の品質を比べるなら、買ってきた豆をバットに広げて比べてみるといい。劣化した豆がそのまま入っているところのは、誠実なものではありません。そして、きちんと産地とレベルを選んでピッキングをした場合、コーヒー一杯の価格はそれなりになります。でも、それが本当はお客様のためにもいいはずなんです」
と藤山さんは言う。僕も大賛成だ。コーヒーに関して言えば、本当にビックリしてしまう品質のものが正々堂々と売られていることが多い。スーパーに並んでいるパックされた商品なんか、かなりヤバイ。本当にいいコーヒー呑みたければ、最低でも450円くらいはするはずなのだ。手でドリップしているなら、なおさらだ。
お店のバックヤード、この日いたお店のスタッフ全員と。いちばん後ろにいる眼鏡の彼女が、フード担当。実に美味しゅうございました。今度はカレー食べさせてね!
藤山さんの熱がスタッフにもよく伝わっていて、気持ちのよい接客でした。松山で憩うならここである。
まあご存じの方も多いだろうが、愛媛県ではいろいろと「甘い」ものが多い。スイーツのことではない。関東なら塩がきいてる料理が、なぜか砂糖いれすぎのように甘いということがままある。
「やまけんさん、松山で根強いファンがいる『甘~いラーメンを食べましょう!」
と、大洲市役所のプロレスとラーメン好きK野さんが言う。この方はプロレス好きが高じて、大洲市に本当に団体を招聘して興行の立役者になったりした趣味人だ。そしてなにより、実に仕事のクオリティが高い。役場の人はかくあるべきという、大洲市をよくしたいという熱意にあふれた御仁なのである。
そのK野さんが推すんだから旨いのだろうと、前回の愛媛行の際に訪れた。その際にはなんと初めてニコンD700のバッテリーが尽きてしまい(前夜から電源入れっぱなしだったのがまずかったか!)、撮影できなかったのである。K野さん、それが残念だったらしく、「今回リベンジしますか?」と聞いてくる。
「んー まあ別に、いいですよ」
と生返事をしたら、かなりがっかりしたような表情を0.3秒くらいしたので、その後0.2秒で「いや行きましょう」と反応し、行くことになったのである。
まったく気取りのない店構え。どちらかというと飲み屋の呈だ。
これが、じっと観ているとビジネスマン4人組とかだけじゃなく、若い女性が入っていったりしている。かなり広範に支持されている店らしいのである!
ラーメンは普通・中盛り・大盛り。まあ普通は中盛りであるらしい。
これが中盛りである。
豚骨醤油系?なのだろうか、一見濃そうなスープにメンマ・チャーシュー、青ネギというシンプルな布陣だ。
麺は中太、なめらかなテクスチャーで僕の好みに合う。しかしこのラーメンで存在感が大きいのはチャーシュー。
よくある煮豚ではなく、ガチッと堅く、きっちりと味のしみこんだ、とても美味しいチャーシューが塊で入っている。厚みがイイ!
で、、、
全体の味だが、ホントーに、甘い。 いや、これは、、、 ありなのか? と問いたくなるほどに、甘い。ウソでしょ?と思うほどに甘い。もちろん醤油ベースの甘辛なのだけれども、どちらかといえば甘さの方が強く感じるスープである。ワンアンドオンリーな味! かというと、そうではないそうだ。
「愛媛のラーメンには”瓢系”というジャンルがあるんですよ。他にも数店、甘いラーメンがあります。けど、私はここがイチオシですねぇ」
というK野さん。そうですか、そうですか。これ、一派をなしているのですね。
美味しいか美味しくないか。これは好みの問題に帰結するだろう。で、僕の感想としてはとても美味しいです。世界観がギュギュっとまとまっていて、麺や具材のレベルも高い。「甘い」という先入観だけではなく全体性を観なければならないな、と思う。
佳い郷土食をいただきました、、、
和歌山に来ています。和歌山市からみかんの産地である有田へ、卸売業者の津田君の車で移動。
「なんか食いたい食いたいのある?「丸三」の中華でもいっとく?」
と聞いてくれるが、ラーメンという気分ではない。ガッツリご飯ものが食いたいな、、、
「じゃあ、しばらく前に開拓したすげぇ店に行こう!」
と向かったのが、すばらしきネーミングの店であった!
なんと
「フライヤ」である!
なにがメインの店なのかわかりやすい!全編カタカナというのがなんとも昭和の旅情を誘う。フォントもいい感じ漂いまくりだ!
店内は正しき洋食屋の呈。面白いのは、テーブルの並んだ客席スペースよりも厨房の方が広く、しかもオープンキッチンというか、中が丸見えである。
写真ではちょっとわかりにくいが、右の方にもっと奥行きがあり、若い衆がきびきびと立ち働き、清潔な印象が漂う。
さてこの店の名物はタンシチュー1300円(単品)。
「ほぼ7割は、タンシチューにライスをとって食べとるねぇ」と津田君が言う。
じゃあ、じゃあ、タンシチューは食おう!でもフライヤだから他にもね、、、ということで、どどどんと食ってしまった。
■カツカレー
これぞ洋食屋のカレー!黄色みの強いルーはまさに小麦粉から炒めたのが明白。しかし、各種スパイスの香りはかなり強く深く、「家庭のカレーの味」とは一線も二線も画す。
そして、洋食の命であるドミグラスの味の傾向を知りたいのでハヤシライスを頼もうかと思ったんだけど、なんとなく「特製オムライス」が気になる。通常のオムライスの300円増しの違いは何だ?
■特製オムライス
うん、かっこいい!
けど、普通のオムライスとの違いはわからずじまいだな、、、一緒に頼まないと違いはわからんね(笑)
ほどの佳いチキンライス(ハムライスらしいが)は単品でも食べられるようだ。よーくあおって炒めてあるようでぱらりと切れがいい。
しかし出色なのは上にかかっているドミソース! これがまた、小麦粉を極限の二歩手前くらいまで炒めた、もう少し行くとコゲ香と成りそうな、ぎりぎりの炒り加減。強い香りと粘度の高い、まさに白飯を食い進めるためのパワフルドミグラスである!
そしてこのドミソースをフルに使って、分厚い牛タンを三枚煮込んだのがこいつだ!
■タンシチュー
うーむ
外観、最高! テリテリに輝くのはドミソースの衣だ。角度を変えてもう一枚。
この盛りは東京ならば1800~2000円は行くな。奥の黄色いのはキャベツのピクルス。スパゲティにはマヨネーズソースがからめてある。
タンは箸で切れてしまうほど柔らかく、、、では、ない!
実に噛み応えのある程度の強い食感が残されている。これはたぶんに戦略的にこうしているんだろう。飯を食べる時に、柔らか過ぎると満足感がないもんね。タン特有のしっかりシコシコした食感がイイのだ。
それにしても最高なのは、くどいようだけどドミグラス。
この粘性の高さがご飯との相性になっている。ハムライスとのマッチングもばっちり。やばい、次回も再訪したい!
■ミンチカツ
フライヤだからね、やっぱり揚げ物を、、、
どでかい俵型のが一個くるかと思ったら、中型のが二個。
うん、これはまあ、王道の味。衝撃度はタンシチューだな。ちなみに揚げ物のトップに書かれていたのはビフカツ。きっと旨いんだろう。
いやー、満腹。本来は小食の津田君にいつもつきあってもらっていて申し訳ないのだが、チョイス最高。和歌山はかなり食い倒れで遊べる!
そして一路、有田へ。
みかんの会という出荷団体にて近況をききつつ、サンドポニクスという砂を培地に使った養液栽培栽培で大葉(青しそ)を栽培する生産者さんの圃場を視察。
サンドポニクスという名前の通り、培地は隔離ベッドに入った、20センチ程度の砂の層。あまり深く根を張るものはできないが、葉物のならOK。
これが養液チューブ。むちゃくちゃ細い!
ここから点滴のように養液をおとして栽培するのである。
こう書くとはやりの「植物工場」と間違える人もいるかもしれないけど、全然違いますからね。人間の手で肥料の濃度や水分調整をする、技術集約型農業です。
いま、植物工場がフィーバーしているようだけど、経産省の補助が付いて、営業に躍起になっている施設メーカーに踊らされる他産業が非常に哀れだ。正面からいってもうまくいくわけないのに、、、
季節はみかんの花の開花時期。
果樹の中では、みかん類は最も可憐な花を咲かせると思う。本当に可愛いし香りがいい。
めしべの根本に緑色のボールが見えるが、あれがみかんに成長するのである。
ほら、ね。植物の生長と分化は不思議で、精妙だ。
夜のうちにマグロ養殖で沸く串本に移動。今日は船に乗ってきます。暑い一日になりそうだ、、、
昨晩、「情熱大陸」の裏番組である「素敵な宇宙船地球号」を観た方はいるだろうか。いきなり番組のアドバイザーとして僕が出てきたのを見た人はビックリしただろう。
テレビのたぐいは、NHKしか出ないこととしていたのだけれども、番組制作会社のスタッフの姿勢がとてもよくて、協力することにした。
企画は「地球号食堂」というもので、佳い農畜産物・海産物を取り上げて、それを使って、実際にお店でメニューを作り、お客さんに食べていただくというものだ。
僕なりに「国産であること、自給率を上げること、正しい造り方をしていること」を訴求した素材を提起し、それをつかってある飲食店が実際にメニュー化する。第一回目は卵である。
「こめたま」は、僕の本「日本の食は安すぎる」などを読んだ人や、朝日新聞の記事を読んだ人ならご存じだろうが、玄米をメインの餌として食べた鶏の卵だ。映画キング・コーンのエントリにも書いたが、日本の畜産業の餌はほぼ輸入コーンである。青森のトキワ養鶏の石澤さんは「これでは、国際価格の乱高下によっては餌の輸入が絶える可能性がある」と危機感を持ち、国産の餌の追求を始めた。その解答が「米を餌にする」ということである。
畜産の餌は、飼料設計をして、必須の栄養価が満ちていればよい。従って国際的な穀物の需給によって、コーンや大豆、小麦やマイロなどを由来とする飼料の内容は変動するのが常だ。昨年は同時多発的食料危機のせいでトウモロコシが高騰し、畜産農家は大打撃を受けた。
でも、そもそも輸入飼料に頼りすぎた畜産業であることも問題なのである。飼料米の取り組みは一昨年からかなり拡がりつつあるが、このトキワ養鶏こそがパイオニアといっていいだろう。
飼料米を高い割合で与えた卵は、こんな色になる。
とっても淡い淡い黄身なのだ。 市販のオレンジがかった卵を並べると信じられないくらいに淡い。この辺のからくりは時間ができてからゆっくり書こう。
ちなみにこの「こめたま」で卵焼きを作ると、真っ白くなる。実演してみましょう、と思ったのだけど、、、
もうしわけない、僕は甘めの卵焼きが好きなので、みりんを入れて強火で焼くのだが、そうなると焼き目がついてしまって白さがわからない!
まあ、焼き目をつけないオムレツにすると、白いのですよ。
この「こめたま」、現在は一部の生協や飲食店に限定された販売なのだが、、、なんと都内で買えるようになった!
取り上げたのは、なんと百貨店のマルイ。 北千住の駅に隣接したマルイの食品売り場で販売開始している。一玉100円で、6玉入りが600円。 これを高いと思う人は、食についてなにが安くて何が高いかを、じっくり考えてみることをお奨めする。
ちかじか、某有名レストランでもこの「こめたま」を採用する見込み。時代は「内実」に目を向けつつある。ま、そりゃそうだ。この「こめたま」は意味的に面白いだけではない。
「美味しい」のである。日本食のような出汁のような味。ぜひ、市販の卵と並べて食べ比べていただきたい。
淡路島に行くのは結構大変で、新神戸で下車した後、地下鉄で三宮に移動、そして長距離バスで淡路島へと渡る。三宮からのバスの発着は30分間隔。夜、時間があれば、自前の冷蔵庫で長期間熟成した肉を炭火焼きステーキにしてくれる「みやす」か、大好きな中華「楽園」にいきたいところだが、時間はそんなに無い。
こういうときに頼りになるのが、関西の食についての水先案内人であるニシガイチ君である。しんのすけの嫁さんであるあやちゃんのダチという繋がりだが、しりあって以降は素で通じ合う仲になっている。
「おー 三宮にきとんのか。じゃあ、関東にはなさそうな餃子くってってよ!」
教えてくれたのは「ひょうたん」という店。言われたとおりに5分ほど歩き、ガード下の雑然とした飲食店街のなかに、その店はあった。
「この店はな、ご飯すらなくて、ひたすら餃子しかないから。二人やったら3人前とか頼んで食ってみてくれ。特製味噌ダレをつけてたべるんやけど、これが美味しいのよ!」
ということ。その道の「専門店」は、よほど旨くないと成り立たないわけだから、期待してしまうではないか!
店内は期待通り、むちゃくちゃ無愛想な造り(店員さんが無愛想なわけじゃない)。席を見繕って座ると、すぐにカウンター内のあんちゃんから「何個焼きますか?」と声をかけられる。餃子しかないから、「何個」なのである。とりあえず3人前頼んでビール。
これがそのあまりに限定的なメニュー(笑)
餃子以外はのみもの。ビールは瓶。五加皮ってなに?と思ったが、おそらく漢方薬草の酒だろう。
ちなみにこれがニシガイチの言っていた「味噌ダレ」だ。
実は僕が高校時代に通っていた埼玉県飯能市の繁華街(でもないけど)「飯能銀座」に「らんしゅう」というラーメン店がありここの名物が餃子だった。その餃子にもピリ辛でニンニクの香りのする味噌をつけて食べるのが旨くてよく通った。社会人になってから同じようなのが東京にはあるかとおもいきや、なかなか出会えずに飯能に帰ったときには移転した同店でよく食べている。
しかしこの「ひょうたん」の味噌ダレはまた独特! 八丁味噌のような、非常に奥行きのあるパンチのきいた味噌がベースになっている。しかし、八丁味噌のあの強すぎるコクは抜けていて、あっさりともいえる仕上がり。
「あれはよほど熟成させてると思う」
とニシガイチが分析したのは的を得ているように思う。それとこれ、肉味噌なのだ!つぶつぶの挽肉がはいっていて、これが旨味を醸成している。ご馳走的な肉味噌である。
さてしばし待っていると餃子が運ばれてきた!
皮は厚め、しかしノソノソとはしていない、実に滑らかふんわりとした焼き上がりだ。これを味噌ダレにドブッとつけてまみれさせていただく。
うん、美味し~い!
具材が全くしつこくなく(肉含量が低い?)、フッカリした皮の食感が楽しく、そして何より熱々過ぎないのでぺろりといけてしまう。肉味噌も、濃い色味に反してそれほどくどさがないので、餃子とはベストマッチ。
醤油や酢、ラー油といった基本セットもあるので店の女の子に聴いてみたところ、
「肉味噌に混ぜていただいても美味しいです」
ということでトライ。
醤油は必要ないかもしれんが、酢がはいると引き締まった味になって佳し。自家製らしくトウガラシ沈殿物の多いラー油も、奥深く重たい風味があって佳い。
いやー
さすがに餃子味わいマイスターのニシガイチ。素晴らしい店でした。この後、淡路島で夕食だったので一人1.5人前だったが、これなら僕一人で4人前は頼みたかった。次回はぜひそうしたいところだ。
どうもありがとう、ガイチ!
■撮影データ
ボディ:D700
レンズ:AF-S 24-70mmf2.8 タムロン90mmマクロDif2.8
餃子写真はタムロンの90mmマクロ。花などのマクロ写真用の名玉といわれているのを、バルク品が25000円で売っているのをみて買ってしまった。90mmだと、テーブルの上の一点ものを全部いれて撮影するにはちょっと長い焦点距離。ニコン純正の60mmマイクロは手放さない方がいいな。タムロンマクロの描写はとてもいい。けど、僕のように料理については被写界深度を深めにする場合は、ちょっとぼけすぎるかも知れない、と思ったのだった。
いま、淡路島に向かう車中。三宮から乗り換えて二時間ほどかかるらしいが、、、乗った新幹線に、社内で使える無線LANがあった! ワイヤレスゲートというサービスを使っているのだが、それでログインできるようなので試してみたらつながった。座席位置によって快適なスピードとはいえないときもあるようだけど、つながるというのは精神衛生上とてもよろしい。
と書いていたけど、ブツブツ切れる。んー 結局このエントリは投稿できなかった!残念。
先日、山形の朝日町の阿部さんと、白鷹町の佐藤洋子さんからあいついで山菜を送っていただいた。我が家はしばらくの間、まさに山菜フィーバー。
コシアブラ。特有の香気が堪らない。
コゴミ。最も美しい山菜のひとつだろう。
アイコ。山のアスパラという人もいる。アクもなく実に美味しい山菜。
「でも、山菜ってどうやって食べるの?」
と聞かれることが多いけれども、、、簡単だよ! ゆでりゃいいんだよ茹でりゃ。迷ったらおひたし。ごまクリームとかあったら醤油と砂糖を加えたので和えて、ごま和え。たいがいの山菜はそれで美味しい。天ぷらもいいけど、面倒なら茹でればいいのである。
ちなみにアイコ(上)はマヨネーズとの相性がいいので、マツダのマヨネーズタイプと飯尾醸造の紅芋酢、醤油で和えた。
茎の部分のみずみずしさ、葉の部分の香りがたまらない。やっぱりアイコ大好き。
コシアブラはちょっと手抜きして、大地を守る会の万能だしつゆで和えただけ。山菜自体の香りが強いからこれで十分。
阿部さん、洋子さん、ごちそうさまでした!
島根県の反田組の若頭から連絡があって、実は先日書いたごぼうがあと一ヶ月くらいで収穫だそうだ。ので、もしかすると都内でも買えるかもしれない。その際はまたここに書こう。
ちなみに現在の牛蒡はこうなっているようだ。
すでにビニールのトンネルは取りさられ、大きく成長フェーズになっている。素晴らしい!収穫が楽しみである。
さて
一夜明けて、同じホテルに泊まった木次乳業の佐藤社長に見送られながら、講演時間まで産地を廻らせていただく。
まずはJA斐川(ひかわ)。斐川町は松江と出雲の間にある街。斐伊川という、宍道湖に流れ込む大きな川があるため、肥沃な土地がしかも平野で拡がっている、農業にはとても条件のよい地域だ。
そしてこの街は、農協が新しい商品を企画・開発し、農業者を引っ張っているよい事例に数えられるのである。
この方が営農部長の石川さん。昔、食品関連の展示会に参加したときに、斐川にはなーんも売るもんがない!そしてなーんにも顧みられない!ということに衝撃を受け、米などを漫然と造るだけじゃなく、積極的に商品開発に関わらなければならないと開眼したという。
そこから試行錯誤を続け、さまざまな斐川のキラーコンテンツが産まれたという。いま、非常に人気が高いのがハトムギ。斐川では全国的にトップレベルの作付け(100ha!)をしており、最近、雑穀商品で有名なメーカーであるベストアメニティ社の契約栽培をしているという。

ハトムギは漢方の「よくいにん 」という立派な効果をもつ作物。これを発芽させたもので麦茶にしている。
味も芳ばしくてよし、しかも発芽しているので栄養成分も期待が出来る。発芽ハトムギと通常ハトムギでは3倍程度の有効成分量の差があるということだ。

営業一課の飯塚さん。
この農協の人達は、眼がとても活き活きしている。
第一、事務所内の女性達がはきはき、シャキシャキと仕事をしておられた。

僕はいろんな農協に行っているが、女性事務員達の挙動、挨拶の対応のしかたなどでだいたい、その農協で働く人達のモチベーションがみてとれるようになった。やっぱりやりがいのある、責任を持たせる仕事の仕方をする農協は、勢いがいい。適度なハリが、事務所内の空気に満ちているのだ。 ここ、佳い農協だと思う。
実際、隣接した直売所には毎朝開店前に行列ができるほどだという。
「山本さん、実はうちのもう一つの名物がこれなんですよ!」

なんと、ひまわり(向日葵)油 である!
最近、菜種油などの国産油脂植物に多分に関心を持っている僕だけれども、向日葵油はなかなかお目にかからない。そう、実は向日葵は観賞用でもあるけれども、油脂植物なのである。
このいかにも高級そうな一品は日清オイリオのギフトに選ばれた商材だという。日本で500円! うん、それくらいしていいと思う。

これ、僕の事務所にも贈っていただいたので、後日ぜいたくに揚げ物に使ってみたい。その際にはレポートしよう。
その他にも、向日葵油を塗った手延べうどんやそうめんなど、つぎつぎと開発商品が出てくる。これは面白いなぁ! 課長さんも、展示会で得たショック・屈辱を昇華してバネにして、いろんな食品メーカーと対峙して、ここまで来たという。いい顔の農協職員がいる地域は、農業も活気があるのである。「農協って悪いんでしょう?」という単純な二元論は、役に立たないのである。
さて次の産地への移動中、あまりにいい感じの風景に車を停めていただき、撮る!
気持ちいい景観だなぁ、、、
農業を守らなければならない理由として僕は何より、この農村風景に価値があるという一点を重視したい。東京の荒涼とした風景の中にしか生きられなかったら、僕は死んじゃう、、、出張の多さで、こうした景観に触れることでかなり気持ちのリフレッシュを出来ていることは否めない。
さて次は「今在家(いまざいけ)」という地域の農業生産法人だ。

平野部ながら、稲作農家が集まって集落営農をしている組織だ。
稲作主体で、組合員の土地を区切って再配置しながら作付けしている。

ただし稲作だけでは、、、ということで、観光ぶどう園・いちご園を展開している。そこで年に数回、消費者向けイベントを 行う際に「だんだんネギ焼き」というのを造るそうだ。うわーーーーーーーそれ食べたい!と思ったけど今日は無理とのこと。残念だ!

こちらのネギは典型的な青ネギ。
これをたっぷり使ったお好み焼きのようなものらしい。今度はぜったいに食べるぞだんだんネギ焼き!
さてここが直売施設。

いちご園は高設ベンチでの栽培。

選果場内では組合員のお母さん方が選別作業をしている。

品種、なんだったっけ。章姫だったかな、、、
「この辺が美味しいから、食べてご覧!」
とお母さんが声をかけてくれる。
中までしっかり完熟していて美味しい! コクのある甘みである。イチゴは糖度よりもコクだよね。
こちらがぶどう園。かなりいろんな種類のぶどうがハウス別に植えられていた。
視察時はまだ若芽が出るくらいの時期だったが、今頃はもうそろそろ花から実に変わりつつあるだろうか。

さてここから会場に向井、講演開始。
そして次回は、、、久しぶりにサシのたっぷり入った黒毛和牛を食べることになる。しかしながら絶品!きちんとした血統できちんとした肥育をかけた黒毛は旨いというのを再認識したのである。
こうご期待!
これから淡路島に行って参りま~す。
さて島根の一日目は反田組を訪問したのみでタイムアップ。気持ちよい時間を過ごさせていただいた。そして夜は、、、
木次乳業の佐藤社長にお誘いいただき、飲みである。いやー嬉しい!
木次乳業(きすき乳業、と読む)は、畜産農家の集まりが発展的に乳業メーカーになったという経営体だ。規模的には決して大メーカーではない。しかし、乳業の世界で木次の名前を知らない者はないだろう。ノンホモ・パスチャライズ牛乳や山地酪農の取り組みではパイオニア的な存在である。
また、高品質なチーズも生産していることで有名。出雲のチーズといえばこいつである。
チーズの素となるカードを食べさせてもらったことがある。ほやほやの豆腐みたいで、美味だった!
「木次」(きすき)は地域の名前だ。この辺は本当に自然豊か。他県の人からすると島根県のイメージはあまりないかもしれないが、僕にとって内陸部は美しい里山の風景、そして沿岸部は美味しい白身魚のイメージである。
山地酪農の農場では、チーズに最適と言われているブラウンスイス種の乳牛が放牧されている。ご覧の通り山地である。
ブラウンスイス種はとても人なつっこい牛で、人にワワワワーと寄ってくる。そしてべろんとザラザラの舌でなめる!
牛のような大型動物が急傾斜の山で生活するなんて、、、と思うかも知れないが、もともと牛は野生状態では山地にも生きていたわけなので、どうってことはない。ただし乳牛用に改良を重ねてきたホルスタインではこうはいかないが、、、
もちろん、山地酪農だけでは生乳の量を確保できないので、メインの商品はホルスタインの生乳で造っている。
もちろんホルスタインの飼育も契約農家さんに委託しており、餌から何から追跡可能な状態になっているのである。
この木次乳業を現在率いているのが、佐藤貞之社長である。
「この店はね、うちのチーズやらなにやら使ってくれてるから、美味しいと思うんだよ」
と呼んでいただいた店は「旬菜Dining 漁人」(出雲市今市町2070 MARUIBOX2F)。出雲市駅の目の前にある和風創作料理店だ。
突き出しの椀も泡系、サラダのドレッシングも泡系。
もちろん、島根の美味しい魚もバッチリ!
ちなみに、僕が木次乳業にお世話になる際は、いつも窓口を加納さんがつとめてくださる。首都圏などで販促イベントを行う際にいつもこの方がいらっしゃるので、識っている人も多いかも知れない。
加納さん、なんとなく桃井かおりに似てると思うけど、、、どうかしらん。「わたし、生粋の木次生まれの木次育ち、もちろん今も木次暮らしなんですよ!」という。
地方の佳いメーカーの商品が拡がるときに、有能なPRや取引担当者は絶対に必要。木次乳業はその点でも恵まれていると思う。
さて、〆の一品。

なんだろう、、、よく見てみると、牛肉 の上にカリカリしたチーズのようなものが乗っている。
「木次乳業の牛のお肉に、木次のチーズをカリカリに焼いたものを載せてみました。」
ということ。お肉はもちろん、木次の牧場で育ったブラウンスイス種である!
ブラウンスイスを乳牛として飼うとき、どうしても1/2の確率でオスが産まれる。そのオスは、広島との県境にある200ha(!)規模の放牧場に放ち、完全に粗飼料(つまり草など)のみを食べさせて育てる。もちろんサシはほとんど入らない!究極の赤身肉に仕上がって、今ではごく一部の消費者に届けられている。この肉、非常に美味しい。サシの全く入っていない、噛み応え満載の肉なのである。
それにカリカリチーズが乗って、美味しくないはずがない。予約すればこうした料理も出してもらえるようだ。興味のある人は足を運んで欲しい。
「さて、やまけんちゃん、次は何が食べたい?」
おおっと来た!
最近、僕は一軒では満足しないということが知れ渡ってしまっているようで嬉しかったり困ったり、、、
「うーん じゃあやっぱり魚を、、、」
「ん、じゃ寿司だ!」
と、出雲市の繁華街に足を踏み入れたのである。
ここからは一気呵成!
美しく上品な脂ののったノドグロ! 絶品なり!
ホンモノのエンガワ! ぐうの音も出ない、、、
ブリンブリンの天然ブリ!
うーん 食い過ぎました、、、二個づけで出てくるからなぁ、、、でも食っちゃうんだよな、、、大変美味しゅうございました!
食べてる最中の僕を、佐藤社長が撮影。
ぼけててよかった、、、
さて明日は、さらに出雲に分け入る! (つづく)

島根県で、とある生産者向けの会で講演を依頼された。どうせ島根に行くならば、と前日泊にして、いろいろとご案内をいただくこととなった。最近こういうパターンで、自治体の方にアテンドしてもらって、地域の篤農家さんを廻ることが多く、ありがたい話だ。
やっぱり、いい農家さんという存在をもっとも把握しているのはなんだかんだいって自治体だったりする。僕の情報源は県の農業改良普及員さんのネットワークだけどね。
この日お相手をしてくださった県の皆さん。県の担当者が熱ければ、取り組みも熱くなる!自治体批判が多いけど、頑張ってる職員さんはたくさん居る。最近、自治体の会計とかの締め付けが厳しいけれども、あんましそうすると、彼らのモチベーションが下がっちゃうんじゃないだろうか? 僕は国の官僚も含め、十分な報償を得て欲しいと思う。そうじゃないといい仕事する気にならないんじゃないかねぇ?
この日は折り悪く、大陸からの黄砂がものすごい量、ふりそそぐ日だった。おかげで写真を撮っても鮮鋭な画像にならない。上の写真もどうもくすんだ感じだが、これは黄砂の影響だ。

こころなしか水平線もはっきりしない。
そんな中、県南に向かう。上野写真の中央のひげの御仁、僕と同じ山本さんは、なんと農業試験場出身で、かなりいろんな作物の育種に取り組んできた人だ。中でも、島根の酒米品種である「佐香錦」の育種に携わっていたというので、車中で盛り上がってしまった!
そんな彼らがいま取り組んでいるのが、稲作の「除草剤ゼロ運動」だ。稲作において最大の作業が除草つまり草取りだ。田植えと稲刈りは機械化が可能だが、除草作業は完全な機械化が難しい。やったことのない人にはわからないだろうが、じっとり蒸し暑い田の中で、ちくちく突き刺さる稲の葉にかゆくなりながら、田の土に足を取られないように移動して草を取るのはかなりの重労働なのである。従って、除草剤という強烈な効き目の農薬をふることで、おおかたの雑草を枯らせてしまう。
いまは稲作では収入が少なく生きていけないので、週末だけ田の世話をするという農家が多い。そうなると、手で除草するよりも除草剤の力を借りるなってしまうのが当たり前の流れだ。
それに対し、島根では「除草剤を使わないで米を作る」という取り組みをしているのだ。実にあっぱれである。第一その方が農薬の購入費もいらないし、健康面のリスクも少なくなる。とはいえ、除草作業は過酷を極めるので、大変だ。
こういうことを県が推進する場合、本当にそれを実行しても問題ないかどうかということを極めて厳密に証明する必要がある。つまり試験研究機関が除草剤ゼロで行った場合の作業体系を吟味し、農家のリスクを最小限にできるとなった上で、推進できるのだ。彼らの苦労は並大抵ではなかったろうと思う。
「ま、そういうこともやっておりますが、今日は面白い農家さんを訪ねようと思います。まず一件目は、他産業の、土木業からの参入組です、、、」
ん、、、とテンションが下がる。
もう何回も書いているからおわかりだろうけど、他産業からの農業参入に関しては、僕はあまり肯定的にみていない。
「あ、でもやまけんさん、ここの人に会えばわかると思いますけど、よくある参入組ではないんですよ、、、」
という謎かけをもらいながら、出雲空港から1時間半程度かけて移動した先に、その農業主体「反田組」があった。
「反田組」は土木工事をしていた土建屋さんだ。その二階の事務所に通されると、活きのいい若い男性がお茶を運んでくれる、、、と思ったら、この人が農業部門の責任者である反田孝之さんだったのである!
話を聴いていて、さっき「参入組かよ、、、」と心の中で舌打ちしたのを撤回した。この人は、決して「他産業からの参入」ではない。お父さんが起こした建設業の会社を継ぐために入ってはいたが、昔からどうしても農業をやりたくて、有機農業家に師事。その後、千葉県に単身移住して畑を借り受け、夜は街で仕事をして朝昼は畑で様々な作物の栽培実験に明け暮れたという。その上で島根に戻り、桜江オーガニックファームという農業部門を立ち上げたというのだ。きけば、なんとこの人も僕と同い年! 最近、とみに同い年ネットワークが充実しつつある、、、
反田組の主力商品はゴボウ。この地域は砂質土壌の土地があって、柔らかくアクの少ないゴボウが出来るのだそうだ。感動したのは有機JASを取得していることだ。この国の有機JASは大変なのだ。佳くやっておられると思う。最近、「有機農産物だって安全とは言えない」みたいなことをあげつらう識者がいるけれども、だからなんだよ、と思ってしまう。有機農業はやっぱり尊いものですよ。なんだかんだ言って、この世で最も管理・監視の目にさらされるのが有機農業なのだから。
この「はんだ牛蒡」、僕もお土産にいただいたが、確かにアクが少なく繊維感が柔らかい。ただし、アクがコッテリ入っていて、しかもゴリゴリした食感の牛蒡が好きな僕としては「もっとハードで佳い」と思う。それを伝えたら、
「うーん 難しいですよね。お客さんの多くは柔らかいのがいいと言うし、またアクが少ないことに関心をひかれるんです。でも、僕も実は悩んでます。アクがないけど、旨味があるという状態をどうやって作り出すか、チャレンジですね」
もちろんこのはんだ牛蒡、通常レベル以上の味なので、ぜひ試してみられたい。とはいっても、もうシーズンが終わったのでこの夏が過ぎてからね。青山の紀伊国屋スーパーに並ぶそうだ。ご立派!
もう一つ感動したのが、独自開発商品の「赤ずいき漬け」。

サトイモなどの茎部をつけたものだ。実はこの赤い色は全くの天然色。塩で漬けるだけでこの色が出るそうだ。しかも乳酸発酵しており、梅干しと間違うほどに酸っぱい!
「嫁さんがこれの製造責任者なんですけど、けっこう評判いいんです。」
それはそうだろう、乳酸発酵した本漬け(古漬け)の地位ががたがたに低くなっている今、こんな本格的な味はなかなか出会えない。
「じゃ、圃場をみていただきますか」
と出発。はんだ牛蒡の圃場は、大きな川の横にある河川敷圃場であった。
「ここの牛蒡はコンディションが佳くないから、あまり見せたくないんですけど、、、」
「葉が巻いちゃってるでしょう、これ、気温が上がりすぎて水分不足になっちゃってるんです。トンネルのビニールを開けて通気しなきゃいけない。」
たしかに、葉面がくるっと巻かれている。この日は異様に好天だったのが災いしたらしい。
「有機農業に惹かれていろんな人がやってくるけど、作業自体は地味で反復作業が多くて、大変。特にこの辺は夏の暑さが半端じゃないから、覚悟がないとやっていけないんですよ。社員が何人か居ますが、新入りが来たときには『ようこそ地獄の一丁目へ!』と言って迎えるんです(笑)」
という。
その通り、農業生産は派手な仕事ではない。畑の広さの分だけ、反復作業の連続である。家庭菜園や、それに毛が生えたくらいの面積で野菜を楽しく造っていただけではわからないつらさがそこにはあるのだ。
土を握りしめてみると、本当に砂質だ。さつまいもなんかも佳いんだろうなぁ。反田組では牛蒡のほか、サトイモや麦も植えている。
それにしても、こんな人物の農業を「他産業からの参入組かよ」と侮ってしまった自分が恥ずかしい。とても正道を貫く、農業バカであった。実に立派だ。
いま僕の会社で開発している農作業日誌アプリケーション「畑のあしあと for W-ZERO3」についても、これからもっとブラッシュアップしていきたいと思っているので、彼のアドバイスをもらえるようにお願いをして、別れを告げた。いや、強烈であった。(つづく)
映画「キング・コーン」がイメージフォーラムシアターで上映されている。「食に関心がある」という人であれば、まず観ておくべき映画だと思う。
朝日新聞をとっている人は、先日この映画評が大きく載り、その紙面に僕のコメントもちょこっと載ったのを読んでいただいたかと思う。あの記事を書いたN沢さんに「やまけんさんに観て欲しいから、試写会に招待して!って映画の配給会社さんに言っておきました!」と誘われて、試写を観に行ったのである。
物語のあらすじは冒頭の画像をクリックしてサイトを見てもらえればわかるが、大学生の二人が、食べものについて調べたいと思う。DNAの検査をしたところ、身体の大半がコーンに由来する食物から出来ているらしいという結果が出たのに驚き、彼らはコーンを巡る旅を始める。アイオワ州のコーン畑を1エーカー借り受け、地域の人達に教えてもらいながらコーンを生産する。そして、その収穫物がどのように食物に変容しているか、を探る旅に出る、、、というものだ。
面白かったのは、上記したように、ある検査機器を使うと、自分の身体を構成する分子レベルで、何に由来する食べ物からできているかということがわかるというシーンだった。現代日本人は何によって出来ているんだろうか。米・麦・大豆・コーンの穀物のうち、どれが最も多いのか、、、
アメリカで生産されているのは、我々が夏に美味しく食べているスイートコーンではない。デントコーンという、飼料用の品種である。実は世界で最も作付けされているのがこのデント種で、ほぼ食用にはならない。エタノール燃料になるのもこれ。つまり、普通に暮らしているとスイートコーンこそがトウモロコシだと思っている人が多いだろうけど、スイートコーンは世界中で生産されているトウモロコシの数%に過ぎないのだ。
もうひとつ。
日本人は知らないうちに大量のコーンを食べている。「え?私はそんなにトウモロコシを買わないよ」という貴方。
鶏肉・豚肉・牛肉・卵・牛乳は食べませんか? 食べる? それならば貴方は間接的にコーンを摂取していることになるのです。
つまり、日本での畜産の餌は、半分以上がデントコーンでできているのである。黒毛和牛の場合、肥育段階で4トン程度の飼料を食べるが、そのうち2トンはデントコーンである。通常、畜産を行う場合は、その国で最も安価に生産できる穀物を与えて育てるものだ。アメリカではコーン、ヨーロッパでは麦など、オーストラリアでは草。しかし日本だけは、終戦後のアメリカの嗜好コントロールによって、米国産コーンをたっぷり食べさせた肉が好きになってしまった。むろんアメリカのせいだけではなくて、生産コストを安くしろという様々な声から、安く買えた輸入飼料を使う方向へとシフトさせられたのだ。いまや、牛乳を搾るホルスタインであっても、高カロリーなコーンを食べないと生乳をたくさん出せないようにチューニングされてしまっている。
しかし、エタノール燃料などの関係でコーンが値上がりし、飼料価格は高くなってしまった。いまは落ち着きつつあるとはいえ、世界の穀物在庫量は依然として減少傾向にある。本来的には、日本は米国産コーンに頼るべきではないのである。
「でも、国産の飼料はコストが高くなるから、難しい」
と言う声が多数だ。でも、、、 もともと肉や卵、牛乳といった畜産物は、高くて当たり前なものではなかっただろうか。終戦直後の日本で卵はとても貴重なタンパク源だったはずだ。だいいち、今は肉や油の摂りすぎで成人病罹患率が高くなっている世の中だ。畜産物が高くなれば、自然にみな摂取率が下がるから、国民の健康にもいい。佳いことずくめだと思うけど。
話題を映画に戻すが、この映画が米国で創られたと言うことが実に興味深い。僕の学生時代からの盟友である、愛媛大学の野崎がいうには、「今、アメリカでも食に関する新しいドキュメンタリーの潮流が産まれつつある。若い世代は、アジテーションではなく、ファッショナブルは受け入れやすい形でのテーゼを行っている」という。
映画の中で彼らが直面するのは、自分達の生活のなかに、知らないうちにコーン由来のものが溢れていたということだ。日本でも同じだが、でん粉はコーンスターチとなり、コーンシロップになる。コーンシロップというと「そんなの、うちでは使ってないよ」と言うかも知れないが、「果糖」といえばどうだろうか?清涼飲料水や加工食品にはコーン由来の果糖が使われていることが多い(正式名称は高果糖コーンシロップ)。映画の後半では、清涼飲料水やジャンクフードの摂りすぎで糖尿病を発症したタクシー運転手との対話が出てくる。アメリカでもコーンシロップには害がある、とする説が多いのである。
彼らは、自分たちが生産しているコーンは、社会のために役に立っているのだろうか?と悩む。肉牛生産の現場も観に行くが、そこは見渡す限り牛がコーンを食べながら育つ風景だ。
そして物語の最後、彼らは自分たちのコーン畑を、、、
ここは書かないでおこう。結末は観てのお楽しみだ。
総じていい映画だったと思う。ただ、ドキュメンタリータッチだけど、どうみてもドキュメンタリーじゃねえな、仕込みがあるな、というシーンはある。けどまあそんなことはどうでもいいや、と思える説得力は、ある。
僕が一番よかったと思うシーンは、アメリカのコーン農家の補助金に関するくだりだ。主人公が近隣の農家にぼやくのだ。
「コーンの収穫を集荷業者に売ったんですけど、赤字なんです。」
それを聴いた隣人の農家はニヤッと笑う。
「で、政府の(補助金)プログラムからの支払で、黒字になるだろ!?」
というシーンだ。つまり、世界中の穀倉となっているアメリカのコーン生産は、収穫物を販売した価格だけでは成り立たない産業なのである! 補助金があって初めて成り立つのがアメリカ農業の屋台骨なのである!
日本では「農業は補助金漬けだ」とか「保護がなければ成り立たないものは産業ではない」などと言われるけれども、世界的に見れば、食料という戦略的なものに保護・補助を全くつけない国なんてないのだ。経済人・財界、そして日経新聞の農業関連記事を書く記者はこの事実をどう思っているんだろうか。
もちろん日本の農業構造において、適切な補助金が適切な人に渡っているかどうかということは考えていかなければならない問題だ。米の生産調整についても、おそらくここ数年で相当議論がおこるだろう。しかし、それと「補助なんかしなくていい」ということは全くリンクしないのである。この映画は、アメリカの事情を知ることによって、逆にそうしたことを明るみに出させてくれるものだと感じた。だから、僕はこの映画を推薦したい。
それともう一つ。この映画の中で、重要なシーンがある。それはコーンシロップの精製だ。彼らはコーンシロップ製造工場に片っ端から連絡をして、製造過程を見学させて欲しいと頼む。そして片っ端から断られる。で、彼らは自宅でコーンシロップを精製するのだ! ひゃーーーーーーーー これはスゴイ。硫酸やらなんやら、危なそうな化学実験が繰り広げられる。よく出来たなぁ、、、
ということで、、、この映画は、みる価値がある。そして、このような映画は、日本でも作られるべきだな、と痛切に感じたのである。ぜひ期間中にイメージシアターフォーラムに足を運ばれたい。
■シアター・イメージフォーラム
http://www.imageforum.co.jp/theatre/index.html
ところで。
イメージシアターフォーラムにはすげー久しぶりに行った、、、
実は、大学生の頃、文化人類学の授業の中で、トリン・T・ミンハというヴェトナムのドキュメンタリー映画監督の作品を「観てこい」と先生に命じられた。しかし、「姓はヴェト、名はナム」というその映画はあまりにもマニアックなもので、どこも上演などしていない。その映画について書いておられた文化人類学者の今福龍太先生に連絡させていただき、映画の配給はイメージシアターだから連絡してご覧、と教えていただいた。
イメージフォーラムに電話すると「あら偶然ね、ある相手に試写しないといけないから、○月○日に観に来なさい」と言ってくれたのである。その日、みそっかすのように端っこでみせてもらったが、イメージフォーラム社長のおばちゃんの存在感はものすごかったことを佳く覚えている。「あんた達、ラッキーだったね」と。いまもこのおばちゃん、お元気でイメージフォーラムを引っ張っておられるそうだ。あのときはお世話になりました。
で、肝心のトリンTの映画だが、、、
始まって20分くらいで、耐えきれず寝てしまった。んー おれにはドキュメンタリー映画は無理だ、、、スミマセン。
実は京タンクロの会の前に、昼食を松本大策さんと一緒にいただいた。大策さんにはいろいろとお世話になっているので、ご馳走しないと!ということで、バードコート野島さんに連れて行っていただいた「千ひろ」のお昼をお願いした。
菜花と稚アユの酢味噌で幕開け。
この前菜をみて、酒を飲みたいという気分をぐっとこらえる。うーむ拷問である。この日最高だったのは、新鮮なホタルイカを叩いたこれ。
まさに日本酒の燗が呑みたくなる味だったのである!
いつものお刺身は、極上の鯛とタイラギ貝。
そして絶品のマグロ。
「ええ時期に間に合いましたなぁ」
と出してくれたのが、タケノコの椀。とてつもなく美しい、体液と親和性のある出汁にタケノコがつかっているのが、贅沢だ。
奥にあるのは卵豆腐、とおもいきや、ごま豆腐の要領で卵を葛で固めたもの。驚きが美味しい、、、
コシアブラとエビのかき揚げ。コシアブラの香りがとても強い!
このコシアブラ、どこの?と聴くと、若い料理人さんが「私の家の近くの野生のを摘んだのを分けてもらいまして、、、」と、見 せてくれる。
松のような強い香りとプリッとしたエビの食感がいい。
そして分厚いカレイの焼き物。エンガワからジュジュジュッと清冽な脂がほとばしる、素晴らしい白身だった。
分厚く切った鯖の酢の物。ここの鯖は超・旨し。
そして締めは、本番にはまだちょっと早いけど、ウスイエンドウの豆ご飯。
いろんな豆ご飯があるけど、ここのは豆をたーっぷり入れた王道。薄く塩味のついたウスイ豆が実にほっくり炊けていて美味しい。おもわずおかわりをいただきました。 あと、写真に取り忘れたけれども、千ひろは香の物がやけに美味しい。できれば香の物もおかわりしたかった。
恒例のフルーツジュースで〆。
前日までに予約しておけば、夜と同じクオリティで昼を楽しむことができる(お値段も同じだけどね)。次はハモの時期にいこうかな。ごちそうさまでした!
■撮影データ
ボディ:ニコンD700
レンズ:AF-S24-70mmF2.8
本来なら60mmマクロで撮影した方がよかったと思うが、この日は荷物を少なくするために、24-70mm一本だけしか持参していなかった。24-70mmだと、もう少し寄れればと思うシーンも多いが、望遠端の70mmの描写は非常にいいので、引きの写真は満足。
千ひろでは写真は「どうぞどうぞ」と言ってくれるのだけど、さすがに他のお客さんがいるときはストロボは焚かない。この日、昼は僕らだけだったのでストロボを使わせてもらおうかと思ったけど、白木のカウンターに無粋なものを置くのもなんだな、と思い、地明かりだけで撮影。ISO感度を上げてF4~F5.6くらいがちょうどいいところかと思う。
実はこの店で地明かりで撮る場合、オリンパスのE-3に25mmF2.8のセットで撮るほうがキレイに撮れる。何でかな、、、
さて一夜明けて、福山から京都に移動だ。実は、僕も松本大策さんもともに招かれている会があったのだ。それは、短角牛や近江牛を一頭丸ごと仕入れしている、産地ときちんと取り組みをしている京都の焼き肉屋「南山」の楠本社長からの依頼だ。
それは、「京タンクロ」という交雑種の牛肉を世に広めるためのブランド化事業の、専門委員に就任してくれというものだった。「タンクロ」とは、短角牛の雌に黒毛和牛の精液を掛け合わせて生まれた牛のことをいう。
日本では「和牛」と呼べるのは、黒毛・褐毛(あかげ)・短角・無角の四種の牛。それ以外は「国産牛」と表示することになっている。ちなみに国産牛で圧倒的に多いのはホルスタインの雄を去勢した、通称「ホルオス」。次に多いのが、ホルスタインに黒毛和種の精液をつけた交雑種。これをF1(エフワン)と呼ぶ。
では、先に挙げた4種の和牛同士を掛け合わせたものは、一体何と呼ぶか。答えは「和牛」。和牛同士の交雑は、分類としては和牛と呼んでよい。ただし、一般的ではないので特に「和牛間交雑」と呼ばれる。つまり、「タンクロ」は短角と黒毛の交雑なので、和牛間交雑である。
サシの多い黒毛と、赤身の旨い短角を交雑させたら、両者のよいとこどりになって、美味しい肉ができるのではないか!?と思われるだろう。まさしく狙うのはそのよいとこどり。この試みを実践しているのが、京都の丹後半島にある日本海牧場。実は建設業から和牛生産に参入した、企業参入組である。ここで生産されるタンクロを「京タンクロ」と名付け、京都の食品事業者からでた食物残渣などを与えて育てようというのが、今回の京タンクロの趣旨だ。
専門委員として招聘されたのは肉のエキスパートたち。こんな中に僕がいるというのもおかしい気がするけど、末席に加われたのはありがたいことである。中でも、和牛を一頭まるごと仕入れして提供するというスタイルで有名な焼き肉「牛心」の伊藤社長は以前からその名前を識っており、この日会うことができてうれしかった!また、三重県のモクモクファームの社長さんもお会いすることができた。なんと僕のブログの読者さんだという、、、ありがたいことです。
楠本さんは、まだ海のものとも山のものともわからないプレミアム短角牛を一頭丸ごと仕入れするという、産地にしてみればありがたい取り組みを続けてきた人だ。ぼくもなにがしかの貢献ができればと思う。委員会では、これから取り組むべき課題が次々と提起された。
委員会のあと、南山のはなれにて早くもお披露目会が開催される。
もちろんお披露目式だけでは終わらない!「タンクロを食べる会」もきっちり開催されたのである。冒頭の挨拶はなんと京都府知事! 南山の常連客なのだそうだ!
もちろん出てくる料理はタンクロゆかりのものばかり。
そしておまちかね、短角・タンクロ・近江牛の食べ比べセット!
上から短角・タンクロ・近江牛の順番である。同一部位のサシの入り方と肉の大きさ(短角とタンクロは隠れていてわかりにくいけど)がよくわかるだろう。短角牛は濃い赤身。放牧で育てられる期間が長いため、骨が太く、ロースが大きくならない。手前の近江牛はサシがぴっしり入っており、肉の歩留まりも他の二種より大きい。そしてタンクロは見事にその二者の中間に位置している。
ここでしっかり食べ比べをできてよかった。タンクロは中間の味か、とおもいきや、ことはそう簡単ではない。
異なる種同士を掛け合わせるとき、メスとオスの組み合わせでも性質は変わる。タンクロは短角のメスに黒毛のオスをかけたものだ。この場合、実はオスの精液の性質が強く反映されるようで、タンクロにはどちらかというと黒毛っぽい味が前面に出ている。
同席した人たちと食べながら話をしたが、やはりみな同意見のようで、「タンクロはより黒毛っぽいね」という感想がでていた。もちろん、餌の内容や飼養管理によってこの辺は変わってくるはずだ。できれば、もっと短角よりの味になればいいのにな、と思う。
ただし、この感想は短角牛を認知しており、かつ大好きな人の意見。おそらく黒毛和牛の味が好きな人にとっては、黒毛的なサシのうまさと、赤身肉のうまさのバランスがとれたタンクロは非常にど真ん中の味だろう。事実他のテーブルでは、タンクロが旨いという声が多く上がっていた。
京タンクロは、これから餌や飼養管理設計を変えていく段階にある。今年中に現地訪問も控えており、非常に楽しみだ。しばらく後を追っていきたいと思っている。
ところでこの日、いい出会いがあった。
近畿地方では文句なしの有名ブランドになっている近江牛だが、その中でも選りすぐった生産農家の最高級格付けのものを扱っている卸・精肉業を営む「サカエヤ」の新保社長だ。
「うーん やまけんさんってずっと聴いたことあるなぁ、と思ってたけど、油屋の青木エマちゃんからこないだ聴いたんですわ!」
あ、エマちゃんから! いやーなるほどなるほど! この日、新保社長から貴重なレトルトカレーをいただいてしまった。
「近江牛の偉大な母牛がいたんですけど、昨日、19歳にして亡くなりました。その肉を使ったレトルトカレーなんです。不思議なことに、できた直後はまずくてまずくて食べられませんでした。が、日を追うごとに味がなじんで、今では絶品です。どうぞお試し下さい」
19歳の牛!堅くてくさくてまずそう、と思われるかもしれないが、真実は全く違う。経産牛はたしかに未経産牛よりは肉質が締まるけれども、それはほどよい食感ということ。そして、香りと味は未経産とは比べものにならないほど深くなるのである。このカレー、後日しっかり味早生手いただこうと、持ち帰ったのである。
この日の締めは黒ハヤシ。京都市内の有名洋食店の名物だそうだ。しかしこの時点で僕は東京行きの新幹線に向けて、飛び出さねばならない時間。大急ぎで一盛りだけいただく。
「あわただしい人ねぇ、、、」
とあきれられながら、ダダダダッとかっ込んでごちそうさま。美味しかった!
京タンクロを見守ることは、日本における交雑種を考えることである。以降、また取り上げていきたいと思う。
江口洋介が主役を務めるテレビドラマ「木枯らし紋次郎」が放映された。感想はまた述べるとするけど、ドラマの作り自体は非常によかったと思う。なによりもよかったのは、テーマ曲が往年と同じ、上条恒彦の謳う「だれかが風の中で」だったことだ。あのオープニングを聴くだけで、僕の心は紋次郎に夢中になった頃に向かう。
ふぁんふぁんふぁんふぁんふぁふぁーん たたたったたたたたたたー
どぉ~こかで~ だぁ~れかがぁ~ きぃ~いっとまあって~ いてぇ くれる~
いや、もうたまらない。
「木枯らし紋次郎」は1972年に放映された、大ヒットテレビドラマだ。その頃ぼくはまだ1歳。従って僕が観たのはどうかんがえても再放送か再々放送だ。
暗い、映画調の画面に、どんよりした効果音。無表情の紋次郎が長い楊枝を噛みながら、
「あっしにゃ、関わりのねえことでござんす」
と言って去っていく。
トレードマークの長い楊枝をプッと吹くと、木の幹にカッと刺さったりというあり得ないシーンがかっこよく、僕も木を割いて長い楊枝(のようなもの)を造り、くわえたものだ。しかし、どうやってもプッと吹くことはできなかった。あたりまえか。
しかし、僕が紋次郎に熱中したのは、子供の頃のテレビドラマによってではない。実は、原作である笹沢佐保氏の小説「木枯らし紋次郎シリーズ」に出会ってからのことだ。
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なんと、amazonでももう新刊は出てないのか、、、
何回目の再版ものだったのかはしらないけど、僕が手に取ったのは1997年。大学院卒業後、初めて社会人になった頃だ。社会の厳しさに翻弄され、まったく歯が立たなかった。つまらないプライドをずたずたにされていた頃に、当時住んでいた日吉の書店でふとみかけ、手に取った。
「あっしには関わりのないことでござんす」
を無性に聴きたくなって買い求め、喫茶「コラージュ」(オールドブレンドの美味しいコーヒーを楽しめる名店だ)で読み始めた。あまりに面白く、コーヒーおかわりしながら3時間ほどで読み終わってしまった。読み終わり、呆然とした。今の自分に、この虚無感、やるせなさは最高のセラピーだ。そうして、毎月1冊ずつ出たこの紋次郎シリーズをすべて文庫でそろえることになったのである。当然ながらドラマも観た。
ドラマは、もちろん最高だ。なんといっても監督が市川昆なのだから。リアリズムの極地といってもいい。凝ったアングルに、殺陣のリアル感。無宿渡世の世界で、きれいな剣法などあるはずがないという考証のもと、突きやなぎ払いというような、泥臭い剣の使い方での殺陣がくりひろげられる。実にリアルなのだ。
しかしながら、ものすごいのは、ドラマはすべてオリジナルの笹沢佐保氏の原作を忠実に再現しているということだろう。だから、本を読んでいれば「あ、あのストーリーね」とわかるのである。それだけ完成度が高く、劇場的要素を含んだ原作だったのである。
僕のお薦めは、木枯し紋次郎〈12〉奥州路・七日の疾走。
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大前田栄五郎の若い衆30人を相手に、当時は渡世人は入ってはいけない奥州にて、切った張ったが繰り広げられる。一話完結を旨とした紋次郎シリーズの中で、初めて連作が意識された作品だ。
さて、そんな紋次郎だったけれども、今回の江口洋介の演じた紋次郎は、残念ながらいまひとつだった。一言でいえば、江口洋介には虚無感がないのである。中村敦夫があの当時持っていたクールさ、まったく希望を持っていないという静かな眼が、江口洋介にはない。そりゃぁそうだよな、あんなカワイイ森高千里を嫁さんにして子供と幸せに暮らしてるんだから。だから、一つ一つのシーンでどうしようもなく「希望」や「気力」がほとばしってしまう。あれでは紋次郎じゃないんだよなぁ。あと、殺陣に泥臭さがなかったのも残念。もっともっと、カメラも一緒になってドタドタと動きながらのシーンにして欲しかった。
それでもドラマは楽しめた。効果音、BGMがなんとも秀逸。前半、「パリ、テキサス」のようだったり、デヴィッド・シルビアンの「ゴーン・トゥ・アース」の後半部のような、ロバート・フリップの音実験のような雰囲気の音楽が森の中で奏でられていたのが印象的。かなり、前作を勉強した人が手がけたのだろう。
それと、秀逸だったのが渡辺いっけいの演じる源之助。あの狂気に満ちた眼がたまらない。あと、金蔵を演じる小澤征悦もまたよかった。この俳優はもっと観てみたいと思うなぁ。しかしなんといっても最高なのは、若村麻由美の演じたお市の悪女ぶり!あれは素晴らしかった!
ぜひ紋次郎シリーズはまたやっていただきたいと思う。江口洋介は、外見的にはOKなので、あとはひたすら虚無・虚無・虚無感を身につけていただきたいと思う。
ごちそうさまでした、、、