
そば好きならば落合にあるgreen glassはご存じだろう。まだ行ったことがないなら、「眠庵」や「らすとらあだ」、「もりいろ」といった名店に並んで、行くべきお店の一つだ。
2022年の「そばうどん」の特集記事で、品種別・年度別のそば食べ比べをできる店を回り取材したのだが、その中でも出色といえるそばの味わい、料理の素晴らしさに唸ってしまい、なんどかお邪魔している。
大通りから「え、まじでこっちでいいの!?」と戸惑ってしまうような住宅街に入り、路地も路地、裏路地をいくことしばし。いちおう店だなという構えを探すわけだが、この辺が「らすとらあだ」に近い感触だ(笑)
そんな立地なのに予約制なので、なかなか入りにくいということはあるだろう。たしかランチも予約のみなのではなかったかな。でも、2産地、3産地のそば食べ比べをしっかり楽しめるのはなかなか無い。あ、価格は下の写真から改定されていると思うのでちゃんと問い合わせてください。
大将と女将の2人で営むこのお店、関根美德さんのセンスがビビビと唸る。
夜はコースのみなのだが、素晴らしいのが品種別・産地別・年代別食べ比べができることだ。
多くのファンがいる眠庵(神田)で働いていた経験をベースに、全国のそば産地を歩き、仕入をして、大きな冷蔵庫で保管・熟成。お客の顔を思い浮かべながら、どの組み合わせで出そうかなと思案し予約当日に粉を挽く。その品種別の食べ比べが最高なのだ。
しかも最高なのは「酔って味が分からなくなる前に」と、そばの食べ比べがしょっぱなに出てくることだ! そう、前菜からいって焼き物いただいて、、、ってやってると、最後の締めのそばでもうベロンベロンにできあがっちゃう。ここはそうではない。つきだしをいただいたらすぐそばである。
今回は二産地。これがですねえ、厨房から女将が持って来てくれて、「はい」と皿を手渡してくれる時にはもうすでにブンブンとそばの香りが漂うのだ。
よく「うーんそばの香りが」というけれども、大体の場合は、奥歯で噛み込んで咀嚼し、嚥下するあたりで蕎麦の香りがほのかに喉の奥にへばりつく、と言う感じが多い。
しかし!
green glassのそばはまったく違う!
ほんとうに、Ⅰメートル先からブンブンとそばの香りが立ちこめるのだ。対面で食べていた市村が「ボク、そばの香りを感じたの、これが初めてです、、、」ともらしたくらいだ。
ここからの料理がまた最高。
なにはなくとも静岡おでん!
関根さん、静岡出身なのである。県内の洋食店で料理人として働き、そばの道を志すようになってからも、厨房では料理を担当することが多かった異色の存在。
だから、そば前というよりも料理が本当においしい。
何げなく盛られた煮物もぜんぜん何げないことなくて、極めておいしい。
とうぜんお酒も静岡のものばかりだ。
黒板に静岡の酒がズラッと並び、在庫があるところに○がついている。
でもまあ、女将に「こういうのがいい」と好みを伝えるのが一番無難だ。
そばがきも美味。
そして脅威の一杯!
極細の冷や蕎麦。この写真の器、丼じゃありませんよ、お猪口をすこし大きくしたくらいの鉢。つまり、なかの蕎麦がきわめつけに細いのだ!
生粉打ちの細打ちといえば、朴念仁の石井さんの一派が最高にすばらしいが、目測だとそれより細い。そばの細さはすなわち味わいで、つゆのふくみ方が大きく変わり、啜り込むと空気を抱き込んでクリーミーな印象になる。すばらしく旨い!
トマトソースそばがきで驚いたあとは、おとくいのラーメン的温そばかとおもいきや!
「襟裳岬の高橋牧場の短角牛をつかった温そばです」と!
まじかぁ~! 高橋さん、こんなところで使われてるよ。
コース後半はもうお酒で味覚もしっちゃかめっちゃかなので、温そばはかなり遊んでいる。でも、すばらしく美味しいよ!
〆は釜揚げそば。
そばの香りが匂い立ちますね、ほんとうに。
ボクはもう一杯、花巻をいただきました。
いや~
久し振りに来たけど、ぜったいに失いたくないお店。
なお、なんで店名がgreen glassかというと、、、関根さんは大の馬好き。料理修業の傍らで、馬を飼っている厩舎でも働いたそう。それで、名馬であるGreen Grassをもじってのものらしい。
とにかく、お薦めです。噛まずとも感じるそばの香りを味わってみたければこのお店へ!