
いやー ムチャ面白い店だった!
教えてくれたのは、定期的に「やまけんさんをお連れしたい店があるんです!」と誘ってくれるUG君だ。医療関係の仕事をしながら、全国を食べ歩いている、僕よりもいろんな店を冒険している彼が「きっと驚きますよ」というその店が、埼玉県の和光市にあるという。
「でも、成増駅から歩いて行くルートがオススメです。一緒に行きましょう!」
ということで、久し振りにお誘いに乗ることにした。
成増で集合すると、相変わらずUG君は自転車をコロがしている(笑)。彼は全国どこでも自転車でいってしまうのだ。
「ちょっと歩きますよ、20分程度」
というのだが、本当に20分歩いてしまった! 成増から大通りをぐんぐん下って、和光市側へ渡り、なんだか飲食店なんかないでしょ!?という住宅街に入る。
「あー、あそこですよ」というがドコのことかまったくわからない。
「ほろよい」か、、、
「違います違います、それはおそらく前にここに入ってたお店で、いまは「食堂かぶら」です!」
ん?そのわりには、出てる看板は喫茶店「かぶらのおやつ」だけどな、、、ふふ、二毛作店なんだね。
ここに書かれているスイーツも実においしそうだし、ヴァシュラン(1400円!)とか本格的だぞ。
L字カウンター、手作り感あふれる内装の厨房に、存在感ある二人の若者。
パティシエールの津村みいなさんに、當島(とうしま)修弥くん。彼ら二人の経歴も面白い。瀬戸内出身の津村さんの作る菓子に惚れ込んだ(いや、惚れたのは菓子だけでは無いと思うが)當島くんが一緒に始めた店。當島くんは食に関わる一次産業からレストラン、海外までいろんなところで学びながら渡り歩いてきた。「えっマジであそこに!?」という星付き店も含む。この写真を見た感じ、居酒屋の若大将にしか見えないと思うけど(笑)
なお、コース1本です。まずはトウモロコシのスープから始まり。(もう秋だけど、店に行ったのは夏まっさかりです)
のみものとデセールは津村さん、料理は當島君の分担。
日本酒狂のUG君が通うのだけあって、素晴らしい酒が並んでいる。
ちゃんと燗独鈷があって、すべてのお酒を温めてくれる。
おっ、 京の春うらなぎ(向井酒造)がある!
いいセレクトです。
ノンアルな方にも、津村さんが調合したフルーツや茶のカクテルをいただけます。
なんか存在感のある焼き場があるなと思ったら、、、
そこで、分厚い魚のカツを焼き始めた!
「これは友人の漁師からおくってもらったオオニベです。」
おお、ダイナミック!これを大皿で出すのかなと思っていたらさにあらず。
美しく仕上げてくれた!
これがおいしいのなんのって、魚肉がホックホクのいい塩梅に加熱されていて、繊維感を感じつつもホロホロとほぐれる。油脂ばっていないタルタルソースが和の味わいを感じさせる。
お次は何かと思っていたら、パレルモ!
イタリア原産の辛くない唐辛子、つまりパプリカです。
真っ黒になるまで焦がして皮を剥いて、、、
これも自家製だったかな?シャルキュトリと合わせる。
シンプルゆえ、双方がおいしくないと成り立たない、、、パレルモになにやら塗ってあるのがポイント。
パレルモから熱いジュがブシュッと染み出す。その甘酸っぱいジュが塩漬け豚の脂と塩分とあわさって最高においしい。
いっぽう、焼き台では赤ムツかな?が、焼きで。
巻き寿司である。シャリの脇にレタス。この組み合わせがまた素晴らしい。ムツ(?)に塗られたツメのようなタレが和とも洋ともとれる、ユニバーサルな味わい。
うーむむ、おいしい。そして食べでがあるゾ! いろいろちまちま出してきて、いっこうにお腹がいっぱいにならない店もあるが、ここはだしっぷりがいい。
焼きナスはぶっくり身の太った牡蠣と合わせて、、、
これまた旨いです。
そしてふたたびおおにべがもうもうと白煙を上げながら焼かれる。
おおにべの炭火焼き。このソースがまた、説明を聞いても覚えきれないのだけれども、和とも洋ともとれない、ふしぎにおいしいソース。
「いろんなところで修業させてもらってきたので、それこそ北欧フレンチなんかも厨房に入らせていただきましたけど、とにかく素材の美味しさを壊したりしたくないんですよね」
というとおり、先ほどから出てくる素材は超一流、市場経由のものではないのが多い。それに合わせるタレやソースが、意外感があって美味しさを増幅してくれる。なんとも不思議な料理人だ。
通底しているのが、酒と合う料理だということである。
その酒は、どんなものもしっかり津村さんが温度を見極めて供される。
こんどは、肉玉が並んだぞ!
ハンバーグのうえに載せているのはほぐしたそうめんカボチャだ!
俺ももう、酔いが回っちまって、どんな肉だったか覚えてません。でもこれがまた、黒毛のA4とかではまったくなくて、たしかくまもとあか牛だったかな? そうめんカボチャをあわせるところがミソで、シャクシャク感が口をリフレッシュさせてくれる。
當島君、調味料も自分で作る。こちらは醤(ひしお)。
調理技術の追求ブームがひとまわりして、いま、料理の要素すべてを自分でまかなう、つまり調味料も自作するという料理人が増えている気がする。面白いアプローチだよね。
さあて 〆のご飯です。
なあんと、先のパレルモたっぷりと、ひしおが入った混ぜご飯。
いや、すばらしく旨いね! おかわりしましたもちろん!!!
さて、ここで終わりではありません。
ここから、當島君から津村さんへ主導権が入れ替わります。そう、デセールの時間。店の奥にあるショーケース内に、彼女が用意したデセールが並んでいる。その解説を一品一品してくれる。
腹パンになっている人も、ここで「わーっ わたしはタルトとチーズケーキ!」みたいに復活。
なかでもこのキンカンとナッツのタルトは出色のできばえだったな、、、
「彼女のスイーツは本当においしいんですよ! 間違いなく天才です」と當島君が惚れ込むだけある。なにせ、このスイーツだけを買いに来る常連客(しかもご老人)がいるくらいで、、、といっていたら、本当にその常連さんがやってきて「残ってるの、全種類買うから」と買っていった!
コーヒーはしっかり温度を測ってのハンドドリップ。おいしゅうございました!
いやぁ~ 本当においしかった!
「この店、徐々に知られてきているので、そのうち入れなくなりますよ」というUGくん、ほんとうにそうだね!
若き二人が営む「食堂かぶら」。不定休で予約必須ですが、UG君も私もお薦めです。ぜひ出かけてみてください。