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2005年09月09日

宮崎県西都市のアップルマンゴー・ピーマン農家さんへ義援金を送りたい。

宮崎県西都市のアップルマンゴーのエントリを見て、実際に取り寄せて食べた人は多かったと思う。美味しかったでしょう?

■宮崎マンゴー大襲来 あと少しで旬が終わる!http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2005/06/post_566.html

ずっしりと重く、香しいルビーの玉。これを育てるためには、ハウスを建ててマンゴーの木を定植し、気温の低い時期は重油のボイラーを焚き、というように百~千万単位の莫大な投資をしなければならない。このアップルマンゴーが一玉2000円~3000円、高いという人もいるが、あの味を出すには相応のコストがかかっている。

その産地は今、大変な苦境に陥っている。先日の台風は、例年以上に凄まじく農村を破壊した。宮崎の弟分、沼口君からの便りだ。

アニキ

電話見舞い有難うございました。

台風一過から、JA、市役所、普及センターの3機関で災害状況調査を行いました。台風の影響は風害よりも水害がひどくて、5箇所以上の堤防が決壊したみたいです。それによって多くの家屋浸水と土砂によるハウス倒壊が発生しました。残念なことに同市では避難し遅れた2名の方が命を失いました。


農業被害はマンゴーハウス(西都市の二つの地域に集まっている)が水没し、約3ヘクタール位は損害をこうむりました。10aあたり1千万以上する施設も濁流の水圧によって鉄骨が歪んでしまいました。来年の収穫見込みは全く検討もつかないようです。

施設野菜はハウスピーマンの苗の水没、ハウスの倒壊が見られ、風によって飛ばされるのを防ぐために満タンにしていた重油タンクが水没したため、その比重によって重油が周辺集落に流れ出てしまいました。悪臭が酷く、しばらくは周辺の住民が悩まされるのではないかと思います。


その他、露地野菜は胡瓜が数割被害を受け、ジュース用の加工人参は芽が出たばかりでほぼ壊滅状態と悲惨です。

今日、マンゴーハウスの状態を見に行ったところ、アニキの披露宴にマンゴーを快く提供してくれたマンゴー部会長のハウスも完全に倒壊し、呆然としてしまいました。私たちが出来ることは生産者への励ましや、災害復興のお手伝いですが、それすら十分に出来ない状況です。

可能であれば、アニキのブログで義援金を募って頂きたいと思ったのですが、そちらの都合などもあろうかと思いますので、また返事でも頂ければと思います。

近年、大きな地震など災害の絶えない国内ですが、こんな状況を目の当たりにするのは鹿児島水害依頼でした。今回はチョット悲惨です。添付写真はマンゴーハウスの被害状況です。近くに行っての写真撮影は気分的に出来ませんでした。

それではまた

この便りの他、僕が責任編集している農業用センサーのブログ「agrisensor」にも、彼のレポートを掲載しているので合わせてご覧いただきたい。

■agrisensor
宮崎県西都市より 『ハウスの土を測定してみました、だがしかし!(その2)』
http://blog.agrisensor.org/archives/2005/09/post_9.html

文中にもあるように、沼口君は僕の披露パーティに、最高級マンゴー15kgも届けてくれた。あっという間に来場者の口の中に消えてしまったそのマンゴーを育ててくれた部会長さんのハウスも倒壊しているという。おそらく、先日ぼくを宮崎に呼んでくれたピーマン農家の菅原さんのハウスも大変なことになっているだろう。

僕はあまりWeb上での被災支援等に真剣に向き合ってこなかった。しかしこれは人生で縁が出来た人への、最低限やるべきことだと思う。マンゴー部会、そしてピーマンの生産者さんへの義援金を、何らかの形で届けたいと思う。このWebサイトを見ている方でも、応援したいという方は、ぜひご協力をお願いします。

そこで読者さんの中で知っている方にお聞きしたいのですが、義援金をどこかの口座に安全に振り込んでもらう仕組みってあるのでしょうか。私の個人口座?それとも現地の人の口座?もっと客観的な口座があった方がいいと思うのですが、、、そういう個人口座以外の形で義援金を募る仕組みってあるのでしょうか。ご存じの方、教えて頂ければ幸いです。

口座等がきちんとでき次第、告知をさせて頂きたいと思います。
かといって、これは私の個人的動機から行うものですから、あくまで宮崎のマンゴー、ピーマンに少しでも愛情を感じて、なにか応援したいと思っている方のみ、ご賛同いただければと思います。

日本の農業が衰退していく中、「日本でコストが合わないなら海外から輸入をすればいい」という人も居ると思います。でも、海外から輸入したら、日本の円は海外に行ってしまって返ってこない。日本の生産者が作る農水畜産物を食べることは、日本の中でお金を環流させていくことでもあります。だから僕は日本の第一次産業に対して可能な限り応援をしていきたいと思っています。少なくとも、台風の爪痕・農業の厳しさを見ておくことは、消費の側に身を置く人たちにも意味のあることだと思っています。

では。

2005年09月14日

宮崎県西都市のマンゴー部会に義援金を。

読者様 しばらくこのエントリをトップに掲載させていただきます。 (やまけんより)
先のエントリにも書いたとおり、過去にこのブログでも採りあげた、宮崎県の極上アップルマンゴーの生産者の皆さんへの義援金を、私的に送りたいと思います。志を同じくする方は、ぜひご一緒しましょう。なお、どのように先方にお渡ししたかというところまできちんとこのブログでお伝えします。

実は宮崎県内の農業関係者の間でも、マンゴーハウスの惨状はあまり伝わっていなかったようで、僕のエントリをみて、あまりのひどさに呆然とされた方が多かったそうです。こうした農村の被害については、マスコミの報道も一部分になってしまうので(仕方のないことですが)その惨状は暫くすると記憶の彼方へと忘却されがちです。

しかし本当の被害はこれからなのですね。

(お話し続きは下記↓をクリックしてくださいね)

今回被害にあったハウスは、マンゴー農家さんが、10aにつき1千万円かけて作った物です。その資金は農協や県の助成などから借りている訳ですが、当然、毎年のマンゴーの売上げから返していかなければならないものです。来年度以降、本当に返していけるアテがあるのかどうか、今の段階では何とも言えない状況なのです。だって、復興するにはまた10aあたり1千万ちかく必要になるのだから、、、

農業の大変なところは、このように設備投資がかかるということです。工業の設備であれば、台風に負けないがっちりとした施設を組めますが、農業施設とくにハウスは、ビニールハウスなど自然のエネルギーを得ることも必要なため、強度はそれほど高くないことが宿命づけられています。また工業製品に比べると、農産物の価格は市況に合わせて乱高下するため、安定した収入を得ることが非常に難しい。しかも最近では「乱高下」はなく、「乱下」しかないのです。100円ショップで野菜が買えると知った消費者は、野菜も100円が標準価格だ、と思ってしまう。従って市場にはこれから一層の下げ圧力がかかるからです。これでは農家は収益を得ることが不可能です。

ということで、実は今回の義援金をお渡ししたとしても、マンゴー部会長さんが来年も生産を行うことができるかどうかはわからない。そのことはお伝えしておきます。でも僕は、彼ら彼女らを応援する都市部の人間が居るということを、志として伝えたいために、義援金を送ります。

僕のブログではたまにこうしたシリアスなネタも混ぜてきましたが、今後も不定期に書いていきたいと思います。いよいよこの国の農業の形が大きく変わらざるを得なくなってきているからです。読みたくない人は飛ばして下されば幸い。


で、義援金についてご賛同いただける方は、こちら↓をお読み下さいネ。

義援金の口座ですが、いろいろ考えたのですが新しい口座を作る時間的余裕がないので、とりあえず私の銀行口座に振り込みをしていただくことにしました。アドバイスを下さった皆様、ありがとうございました!

東京三菱銀行 新橋支店 
普通口座 4448027
口座名義 山本謙治

です。

つきましては、「振り込んだよ」というメールをkuidaore@goodtables.jpまで送って下さい。差し支えなければ、お名前のみを先方にお知らせします。お名前を先方にお伝えしていいかどうかもお伝え下さい。

では、よろしくお願いします!

2005年09月26日

宮崎県西都市のマンゴー部会長さんに、義援金が手渡されました。

表題の件で奔走している、西都市農協の沼口君から連絡が来たので、下記掲示します。
今回の義援金にご協力いただいた方々には、心から厚く御礼申し上げます。
そして農村・農業という不確実性に翻弄される産業に対して、今後も継続的にご関心と意志を持っていただければ、これほど嬉しいことはありません。

マンゴー部会が来年以降どうなるかわかりませんが、その道のりは不定期にここでレポートしていきたいと思います。どうか今後も意識をつないでいただければと思います。

では、以下沼口君からのメッセージです。

----------------------------------------

アニキへ

先日、島地部会長の都合に合わせて義援金を渡しに行ってきました。その顛末を報告いたします。


『義援金に協力して頂いた方々へ心から感謝の意を…』

謹啓 台風14号にて被災した宮崎県西都市マンゴー部会の方々へ義援金をご協力頂き誠に有難うございました。先日、マンゴー部会長の島地良次さんに皆様より預かった義援金を渡して参りました。台風被災その後の状況とともに報告させて頂きたいと思います。

~義援金を渡した当日~
実は被災した数々のマンゴーハウスの内、島地部会長のハウスは全壊したハウスの1つでした。堤防が決壊して溢れ出た土石流が押し寄せ、その水圧は完全に彼のハウス倒壊させてしまったのです。そのため、彼のハウスはいまだ手付かずの状況であり、精神的にも落ち着けない状態が続いているのでは無いかと車中で思いながら、彼のもとに車を走らせました。島地部会長は2箇所でマンゴーを栽培しており、あと1箇所は被災を免れていました。

彼は被災を免れたハウスで奥さんとともに防除作業をされている最中で、2週間ぶりにハウスに入れたと言ってましたが、快く作業を止めて頂き、話をする事が出来ました。

彼はマンゴー部会長という立場であるため、台風被災後は生産者への支援活動を指揮する傍ら、行政への災害助成金など要請活動をずっと続けられているようでした。

マンゴーは亜熱帯作物であるため、寒さにあうと枯れてしまいます。寒くなるまでには生き残ったハウスの復旧を終えなければなりません。そのため、行政支援をお願いして一刻も早く復旧を終えるしかないとのことでした。そのためにはあまり時間が残されていないと心配していました。

私は都会に住む方々から多くの支援が寄せられたことを彼に伝えました。被災した方の殆どが何から手を付ければ良いのか分からない状況であり、部会長自身もそのような気持ちが続いてるようでした。ここは気持ちをシンプルにして『来年もマンゴーを届けたいっ!』この気持ちで乗り越えましょうと励ますことしか出来ませんでした。
bukaichou2.jpg

今回、山本氏により集めて頂いた義援金はあくまで個人的な繋がりで成り立っていることを伝えると凄くビックリされていました。また、多くの方がマンゴーを楽しみに待ってますョと重ねてお伝えした次第です。
被災後、ため息が止まらないと仰ってた奥さんは、この義援金の話を聞きながら部会長の隣でニコッとされたのが凄く印象的でした。近いうちにマンゴー部会全員の集会を行う予定で、その場で生産者全員に報告させて頂きますとのことでした。心から感謝の意とともに来年に向けて出来る限りの復興に努めていきますとのことです。

※写真は当日の写真です。島地部会長夫婦です。

今回、山本氏のブログの場をお借りして義援金に協力して頂いた皆様方、お見舞いの言葉を頂いた方々には厚く御礼申しあげます。また、今後の復興状況はこの山本氏のブログを通じて随時、報告させて頂きたいと思います。来年の生産量は定かではない状態ですが、必ず復活すると思います。それではまた。     

敬具

沼口明典より

2006年04月27日

河北新聞の「ニッポン開墾」に

宮城県を中心に、東北でかなりのシェアを誇る新聞社「河北新報」の特集記事である「ニッポン開墾」で、僕のところに取材に来て頂いた。その内容が記事になっている。本日紙面が届いたが、Webにもアップされていた。関心のある方は観て下さいね。

http://blog.kahoku.co.jp/kaikon/archives/2006/04/post_63.html#more

このこっぱずかしい写真は、事務所のある八重洲の通りで、意味もなくノートPCを拡げ(しかもステッカーが恥ずかしい)話をしている僕である。滑稽だ、、、

2006年07月20日

信濃川の氾濫の沈静と小林さんの畑の復旧を願う

長岡のジンからショックなニュースが飛び込んできた。

ここ連日の雨で信濃川が警戒水域を超え、河川敷の畑・水田は残らず冠水しました。 もう解除されましたが信濃川に架かる長生橋も通行止めになってたくらいですから、近年では珍しいくらいの増水です。

小林さんの畑はちょっと高い位置にあるのですが、完全に水没してます。
今日で水が引けばまだ何とかなるかもしれませんが、当分巾着ナスは絶望的です。

なんと、数エントリ前で書いた小林さんの畑が完全に水没してしまったということなのだ、、、
ナスは生命力が強いので、すぐに水が引いて太陽がでれば、樹勢が回復すると思うのだが、どうだろうか。もしかすると、小林さんの今年の巾着茄子の収穫が、もうゼロということもありうる。これが自然に隣接する環境で営む農業の恐ろしさなのだ。農家は常に、1かゼロかの瀬戸際にいる。

小林さんの畑が復旧することを心から祈っています。もし復旧したら、新潟県外にも通販をしてくださいね。ジン、続報を待っています。

08:52 | TrackBack

2006年12月14日

白菜や大根、産地廃棄を「よくない! なんとかしたい!」と思うなら、、、一つだけ方法がある。

IMG_2915.JPG
熱は相変わらず下がらない。うーん、、、視界がボヤッとするのが非常につらい。
でも少しだけ鼻が通るようになったので、夕食のおかずの香りがきちんと味わえた!これだけでもかなり前進。昨日のおかずは白菜と豚肉の重ね蒸し、これをポン酢で食べるのだけども、あまりに白菜が旨いので何もつけずに何口も食べてしまった! 当然だ、白菜は今年、最適な栽培条件の中でたっぷりの太陽光を浴びて育ったのだから、、、

白菜は今年、買いなのだ。

さて
実は2週間ほど前、いきなりあるラジオ局の番組から電話があり、インタビューを録音することになった。テーマは「大根や白菜を産地で廃棄しているっていうけれど、どうなの?」ということだ。アナウンサーの男性に繋がると、こんな感じのやりとりになった。

「いやねぇ、白菜も大根も美味しいじゃありませんか。なんで廃棄なんてしちゃうんだろう?」

(山)「そうですねもったいないですが、出荷される量に比して買われる量が少ない場合には、市場原理で価格が下がってしまうんですよ。今年後半は天候がかなり理想的に推移したので、収穫量が増加してしまったんですね。しかも暖冬気味(当時)なので、鍋物需要が動かないのか、売れないんですよ。そうなると、産地としては出荷しても赤字になるだけなので、収穫を手控えるんです。」

「うーん わかりますけどねぇ。 でも食べ物ですよぉ。 生産者はなんとも思わないんですか!?」

あ、来た! こういう質問をしてくる人たちの常套手段だ。生産者に責任や悪役を押しつけようとしている。申し訳ないがこういう手合いには荷担できないのだ。

(山)「いや、悔しいに決まってるでしょ。あのですね。生産者さんがいちばん困ってるし悲しいんですよ。自分が生産したものが販売できないんだから。でもね、いま出荷しても、市場までの運賃や箱代にもならないんですよ。出荷するだけ損をするんです。生産者を責めるのはおかしいですよ。」

「うーん そうですか、、、 でもね、漬物にするとかできないの? 白菜の漬け物、美味しいでしょ?」

(山)「産地では大量に白菜が出来ているわけですから、個人的に漬物にするくらいじゃ無くなりませんね。漬物業者はいま、フル稼働で生産していると思いますよ。けど、生の白菜が売れていないのに、白菜の漬物が売れるってこと、ありますかね?問題解決にはならないんですよ、、、」

「それとか、困ってる人にあげるとか、、、」

うわーーーーー 出た!
究極のキーワードである。

(山)「ええとですね、困っている人に届けるという役目を誰がやってくれるのか、ということが問題になりますね。段ボールに詰めて出荷するだけでも赤字になるというのがいまの状態です。で、困っている人にあげるというコストを、産地にもてというのでしょうか。難しいと思いますよ。」

「うーん じゃあどうすればいいんでしょうか?」

そして僕は、彼や番組制作者さんがおそらく予想していなかった、そしてあまり望ましくない答えを述べるのだった。想像通り、「なるほどぉ!それは名案ですね!」とは言われなかった。

そして先日、ある大学で農業の今後に関する講演をしたときのことだ。ある男子学生が僕のところに来て、義憤に満ちた顔で、さきのアナウンサーのような質問をしてくれた。

「困っている人にあげるとか、どこかに送るとかできないんですか?」

(山)「それにかかる予算を誰がお金出したらいいと思う?」

「うーん、、、国とか、、、」

彼にも僕はある答えを述べた。 「うーーーん」 といいながら彼は頷いて帰って行った。
ちなみに彼は真摯な態度。さすが加藤先生の大学の生徒であると思った。

さて
そうしてさきほどある新聞社から、同様の質問が来たのである。熱があって上手くはなせないので明日以降にしてくださいと連絡したのであった。


さて
産地で大量に野菜が廃棄されているというニュースを見ている人は多いだろう。トラクターなどで潰される野菜の映像をみて、胸の内で「食べ物が廃棄されるなんてもったいない」と思う、これは至極当然のことだ。僕も悲しくなる。

しかし問題は、その悲しみが、あらぬ方向へ怒りとなって向くことが多いことだ。そして、生産している側に矛先が向くことが非常に多い。

「農家はいったいなにをしているんだ!」

そして先ほどのやりとりのような話になるのだ。
しかし、農家の立場は先に書いたとおりだ。彼らが一番苦しいのだから、そうやって責めることは全くなんにもポジティブな結果を生まない。

ちなみに農家がなぜ廃棄しているかというと、農水省が定める重要野菜緊急需給調整事業における処理だ。ごくごく簡単に省略して説明するが、国として定めた野菜の重要品目というのがある。国民生活上、この野菜が一気になくなったらマズイだろう、という品目群で、とうぜん大根とキャベツも入っている。

この法律では、その重要野菜の需給が逼迫、つまり不作で市場である程度以上の高値をつけるほどになった場合(数年前にキャベツが異常な高値になった、ああいう場合)には、事業に参加する農家に補助金で補填をするので、安く市場に放出するようにということになる。

そして今年はその逆だ。農家が、まったく生活できないほどのダメージになるくらいの安値が市場でついてしまった場合、廃棄処分をすることで需給を調整し、農家には補填金が交付されるというものだ。ただしその交付金で食っていけるというレベルの高額なものではない。農水省のWebなどに事業の内容があるので、関心のある人は読んでみるといいだろう。

農家の仕事では、毎月定収入が入ってくるということはありえない。
米の生産なんざ、一年に一回しか収穫できないわけだから、収入のタイミングも一年一回なのだ。それではあまりに大変だから、農協という組織が前渡し金というのを払い、米を収穫・販売したときにそこから差し引くという制度ができているのだ。

キャベツや大根が、今年のように豊作になりすぎると、一作分を放棄することになる。最近の産地は巨大化しているから、その年キャベツがダメならもう後半の収入はほぼ無しという人だっているかも知れない。そうした人たちが泣く泣く潰すのがあの光景なのだ。それを理解して欲しい。

残念ながら現在の科学では、今年が不作になるか豊作になるかということを予測することは不可能だ。半年先の天気予報がビシッと当たるようになればこんなことは回避できることになるだろう。だから産地廃棄をイヤだと思う人は素晴らしい気象予報士になってください。

で、 消費者ができる、産地廃棄をなくすための方法が、一つある。 それは誰にでも可能なことだ。

それは、、、


白菜や大根等、豊作になっているものを、いつもなら一つ買うところを2つ買うこと。


だ。

ずっこけた人もいるだろうが、、、
そもそも 野菜の価格は需給のバランスによって決まる。買う人がいないからこのようなことになっているのだ。だから、今年は積極的に白菜と大根を食べまくって欲しい。実はそれが最良の方法なのだ。

でもきっとこういわれるだろう。

「一人(または二人)暮らしなのに大根2本、白菜2個なんて食べきれない!」

「料理をする暇なんか無い!」

「余らせて腐らせちゃう、、、」

と仰るなら、産地廃棄という行為を憎む矛先を、自分にも向ける必要があるのではないだろうか。

食べきれなくても買うことによって支えられるものがあるのだ。
家で腐ってしまった白菜は、でも産地で腐るよりも尊い。生産者にいくばくかのお金が渡るからだ。
そして、「白菜一個売れた」という実績が、スーパーなどのPOSデータに残る。
10万人の消費者が、いつもより余計に白菜を1つ多く買えば、10万個の白菜消費になり、絶望していた市場が活性化する可能性がある。

また、「料理をしないから」というのが実に難しい問題だ。

実は白菜や大根が売れ残るのは豊作だからというだけではない。料理をする家庭が減り、大根一本、白菜一個という単位で買い求める家庭が無くなってきているからということが大きいのだ。今、東京圏で白菜を丸ごと売っているスーパーは少ない。半分もいい方で、1/4カット、悪くすると1/8カットが主流だろう。
最近の主婦は「食材が余るともったいない」という感覚が強くなってきているそうだ。僕からすれば、余ったら翌日のおかずに回すか、白菜なら塩をふって浅漬けにすればいいじゃん、と思うのだが、そう言うことを実行する人はあまりいないらしい。

ということで丸ごとの野菜が売れていないのだ。外食・中食を自分の食の中心にしていると、どんなに野菜メニューを中心にとっても、野菜を食べる量は知れている。野菜をたっぷり食べる、と言う行為は、究極的には家庭でしか為し得ないことだと僕は思う。

料理といったって、この時期には「鍋」という方法がある。白菜と大根と豚肉だけで鍋は成立するではないか。

それに白菜や大根を漬物にするのは死ぬほど簡単だ。でかいボウルか綺麗なバケツに、重量の3%の塩をふった白菜・大根を入れて、上に重しを載せておいておくだけだ。日の当たらないベランダに置いておけば温度もちょうどいい。

、、、と一気に書いていて疲れてしまったのでこの辺にするが、とにかく産地廃棄をよくないと思う人がいたら、その品目を少しでも多く食べて欲しい。根本的にはそれ以外の方法はない、と僕は思っています。

日本の農業生産者は凄まじい勢いで減少しつつある。儲からないんだから当然だ。このままいくとおそらく10年後、国産農産物というものがすごい高嶺の花になり、他国の野菜や穀物ばかり並んだスーパーばかりになる。たしか日本人は、BSE騒動や鳥インフルエンザ騒動の時に「食の安全を!」と叫んだはずだ。

あれは幻だったんだろうか? そうでないと思いたい。

17:17 | TrackBack

2006年12月18日

悲しい知らせ。山形県の蕎麦文化向上に人生を捧げた蕎麦の神様が逝く。ご冥福を祈ります。

僕も大好きな山形県の蕎麦を、質のいいそば粉を供給するということから支え続けた”神様”がいる。いや、居た。

鈴木製粉所の鈴木彦一社長さんが、12月11日に亡くなられた。享年68歳、まだ早い、、、心からご冥福を祈ります。

山形にて、鈴木さんにお会いしに行ったエントリは下記。ぜひご覧ください。

■山形遊行編その2 幻の蕎麦を幻の達人の手で打っていただいた!「蕎麦打ち虎の穴」の巻
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2004/02/post_155.html

山形蕎麦の関係者さんから、異口同音に聴くのが、鈴木製粉がなければ山形県の蕎麦の質と、技術向上はなかっただろうということだ。鈴木さんは、一般向けには決して蕎麦を打たないという。製粉所という立場上、お客さんは蕎麦業者さんとなる。その蕎麦業者さんを飛び越えて消費者に蕎麦を打つことは営業妨害になるから、ということらしい。

そして鈴木さんは蕎麦屋の有志に、蕎麦打ちを教えていた。つまり彼は、そば屋に技術を教えるという、蕎麦の超グランドマスターだということになる。僕が先のエントリにあるように、素人ながら教えていただいたことが行幸だと思う。江戸前のその技術で打たれたその蕎麦を、僕は都合4枚くらい食べた。それまでに、自分や同行の人たちが売った蕎麦を5枚食べていた。食べ比べてみて愕然とした。粉もなにもかも同じなのに、打ち方だけでこんなにも、香りのほどけ方や舌触り、全体の印象が変わるものなのか、、、

まさに神業を見た思いだった。

最後までひょうひょうと力み無く、そして淡々と対応してくださった鈴木さんに、改めて感謝を捧げたい。
生前の鈴木さんの蕎麦を食べることの出来たことを幸運に思う。

心からご冥福を祈ります。天国でも素晴らしい蕎麦を打ってください。

19:14 | TrackBack

2008年03月24日

そろそろ日本の農業を守るということについて、真剣に書いていこうと思う。 世界では、食料の輸出をストップする国がたくさん出てきているということをご存じですか?

めでたく本も出たので、これまで出版までは封じていた、時事問題とくに農業関連のお話を書き進めていきたいと思う。僕の新しい本のタイトルは「日本の「食」は安すぎる」というものだ。
このタイトルに僕はどういう意味を込めているのか。
07_09_14119.jpg
最近、食の安全関連の本がよく見かけられるようになったが、その多くが「どうすれば安全な食品を、、、」とか「○○○はいけない」とかそういう内容であるようだ。それらの本は無意識的に「消費者のために世の中をどうすればいいか」を書いているように感じられる。

しかし、そういうアプローチは世の中を何も変え得ないのではないか、と思う。
つまり、これから必要なのは「消費者どのように変わるべきか」ということなのではないか、と問いたいのだ。

その一番わかりやすいアプローチが「価格」だ。

日本の食品の価格は、実は世界的にみても、安いといえるかどうかはともかく、「高くはない」といえる。よく、諸外国の物価と比較して、日本の食品が高いということが言われるが、年収や家計費との食費の関連でみていくと、実はそれほど「高い」とはいえないはずだ。

それに、ここ10数年の食品価格は明らかに安かったと思う。それは、内外価格差で安く買うことができる輸入食品が原材料になることで実現しえた価格だからだ。その辺は改めて言うまでもないと思う。
akitakomachi.jpg
しかし、状況は変わった。

・いままで輸入していた先、つまり輸出国の力が相対的に強くなってきている。
・また、国際的に原油と穀物の価格が上昇している。

これによって、今までのような安い価格では食品を製造販売することができなくなっている。
日本の食品は、原油と輸入穀物にかなり依存している。たとえば日本の畜産は8割以上の飼料を外国に依存しているのである。それら輸入原料が高騰することで、原価が上がっている。
s-IMG_0045.jpg
しかし消費者はこれまでの価格(輸入品ベースで安くなった価格)をゼロと考える。輸入品がたとえば30円上がったとすれば、ゼロ+30円と考えるだろう。けれども実際は、国産コストは輸入品より高いため、ゼロではなくたとえば20円程度の元々のコストがかかっている。これに高騰分を足して50円でようやく元がとれるということになる。しかし、それを理解する消費者がどのくらいいるだろうか。

そうした考え方から、スーパーなども価格をなんとか据え置きにしようと、メーカーや納品業者に対して強いプレッシャー(価格を上げるなという)をかけている。そのプレッシャーに勝てず、もうやっていけないと廃業するメーカー、生産者は非常に多い。日配品、たとえば豆腐や納豆の業界はひどいもので、10年前の業界の顔ぶれが相当に変わってしまったという話だ。

本でも書いているけれども、そんな追い詰められたメーカーや生産者が、まじめに安全な食を作り続けるということを遵守できるだろうか?彼らからすれば、正当な価格を支払ってくれない非情な顧客に、そんな義理を立てる必要があるのか?と思うのではないだろうか。

そう、安全なものを求めることは庶民の権利だ。
でも、安全なものを作る人たちを支えることは庶民の義務なのではないか。

だから、まず「日本の食をなんとかしたい」と思うのであれば、まずは純粋に「価格を上げる」ということころから始めなければならない。それを実行できるのは消費者しかいないのである。
IMG_0082.jpg


すくなくとも日本の食を考えるということであれば、ここらへんを出発点とするのが妥当だと思う。そんなことを細かく書いたのが僕の本である。

もちろん、ここへ来て株価の話やら社会格差とかいろんな話が出てきているので、日本という国を総合的に考えなければならない。が、あまりにも一般の空気が「消費者は保護されるべき存在」のままなので、あえて本書をぶつける次第だ。

ちょっと話題を変える。
日本農業新聞という新聞をご存じだろうか?農畜産業の業界では最大の新聞で、実は1月1日からこの紙面で「やまけんの舌好調」という食エッセイを、土曜日を除く毎日連載していたりする。
こんなのだ↓
WS000012.jpg
まあ僕の連載はどうでもいいのだけど、この日本農業新聞は、食に関心のある人にはもっと読んでいただきたい新聞である。

実を言うと、、、、僕は現在、この新聞しかとっていないのである。そのことを連載担当の方にお話ししたら

「ええっ 業界関係者とはいえ、ヤマケンさんみたいな非農家でうちの新聞しかとってないってひとは、初めてかも、、、」

とびっくりされてしまった(笑)

しかし、実は日本で広範に食に関係する情報を採ろうと思ったら、この新聞は外せないのである。考えて欲しいのだが、加工食品や外食の情報は、日経MJ等の、どちらかといえばマーケティングよりの紙面から情報を得ることができる。しかし、加工食品や外食などの根幹である「素材」「原料」の情報を採ることができるだろうか? 一般紙では現実的に難しいだろう。

もちろん、本当の原料事情は、たとえば米とか麦とか大豆の専門誌(そういうのもあるのだ)をみなければならず、しかもそういうメディアは専門用語に彩られていて、正直いって素人には歯が立たない。その点、日本農業新聞は紙面を見ていただければわかるが、非情に平易に書かれていることが多い。和牛の評価の記事なんかは専門用語びっしりだけど、1ヶ月読み続けていればなんとなくわかってくるものも多い。

それ以上に、記事執筆の視点で、重要なものが多い。
たとえば、現在農業新聞で連載中の特集「食ナショナリズム」は多くの人が読むべき情報だ。
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実は現在、世界で進行しているのは、穀物の輸出国であった国が、自国の食料消費をまかなうために輸出をストップしているという事態だ。少なくとも8カ国が禁輸に踏み切っている。詳しくはリンク先をみていただきたい(本当は紙面を買ってあげて欲しいのですけど)。

それが、当たり前なのだ。
世界的に天候が不安定になり、エタノール燃料にコーンを使われることになり、食べ物が枯渇していくかもしれないという状況で、自国の食料確保を優先するのは、当然のことなのだ。

一方で、多くの日本人が「太陽が明日も昇るように、食べ物もどこからか手に入るさ」と思っている。

しかし、まだ気づいていないようだが、日本はもう「国産が高ければ海外から買えばいい」とは全然言っていられない状態なのである。

こんなことに関する情報を、わざわざ記者を各国に派遣して特集記事として書いている新聞がほかにどれだけあるだろうか(いや、僕が読んでいないだけかもしれないので、すでに取り組んでいる新聞社さん、すみません。)。ということで、農業新聞、お奨めである。

もちろん、日本の経済の根幹を成り立たせている製造業、とくに輸出でその糧を得ている自動車産業などを優先しなければならない事情がある。それを考えないで食をどうしろこうしろというのは無責任であることも承知だ。
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しかし、、、オーストラリアの大干ばつ、米国のコーン需要の増加、荒れ狂う異常気象によって減産が続く諸外国の穀物、そして気温上昇とともに頻発するようになった家畜や作物をおそう伝染病、、、

今後、おそらくいや確実に、世界の食はもっと高くなっていくのである。製造業に頑張ってもらい、お金を稼いでいただく一方で、足下の自国の食状況を改善することに本気で着手しなければならないはずだ。

そして、その改善の方向性について言いたいことがある。

いま、メディアなどで農業などについて「こうすべきだ」と盛んに言われている事柄群がある。
たとえば、

「農業は株式会社組織が中心となってやったほうがいい」とか、
「土地を集約して大規模化した方がいい」とか、
「農協という存在が悪なのだ、もう農協はいらない」とか、
「卸売市場はもういらない、中抜きをして流通の効率化をすればいい」とか、
「農家は儲かってる。車もたくさん持ってるし、、、」とか。

誰でも上記にあげたうちのいくつかは「え、そうなんじゃないの?」って思うだろう。

でも、第一次産業に少しでも身を置いた人なら、「そんなに単純な話じゃないよ!」と思うはずだ。

たとえば「農協組織が悪」だなんておかしい話だ。農協組織の○○がよくない、という話ならわかるが、とにかく農協を潰せば農業がよくなるという論には、「あんた何をもってそういうワケ?」と問わざるを得ない。僕の経験からすると、農協不要という人に限って「なんでそう思うの?」と聴くと、「えーっと、、、」と口ごもって、具体的な問題点を言えないことが多い。

農協が足かせとなって農家の活動や収益が制限されていることはたくさんある。しかし、その逆に農協があることによって農家の経営が成り立っていることも、制限されていることと同じかそれ以上にあるのだ。そうしたことをもっときめ細かく識り、理解するところから始めなければならないのではないだろうか。

しかし今やもっと重大な問題は、先に挙げたようなステレオタイプな農業批判を隠れみのに、もっと重要なことがなおざりにされているということだ。先に挙げた輸出国の禁輸状況もしかり。マスメディアや経済界は意図的に、本質的な問題から的をずらし、国民に間違ったメッセージを送っているいるというのは思いこみ過ぎだろうか。
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今、高齢化が進んで耕作を放棄せざるを得ないような農地を、巧みに間接的に買い集めているような新興企業がけっこう出てきているという。そうしたところに、かなりの銀行などのマネーが注入されているようだ。

こうした状況が、僕は非常に怖い。そんな輩に日本の食料生産を任せてしまっていいんだろうか。
この国は本当に今、岐路に立っている。そしてそのことは、国民に知らされていない。

だから、これから遠慮無く、こういったことについて書いていきたいと思う。食い倒れ的エントリしか読みたくねーヨ!という方には目障りかもしれませんがね。申し訳ありませんね、これは私の個人的メディアなので、書きたいことは書かせてくださいね。

そんな決意表明をしながら、明日は宮崎県の地鶏調査に行って参ります。


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2008年10月27日

「農業ビジネス」はくそくらえだ。 その3

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ずいぶんと間が空いてしまったけれども、このテーマについて今しばらく書きたい。

先日、母校の学部の授業に招かれて、日本の食に関する講義をしてきた。以前、母校の工学部で授業をしたときは、みな死んだ魚のような眼をしている連中ばかりだったが、今回の商学部の学生達はなかなかに活きた眼をした子達で、ちょっと明るい気分になった。

で、講義が終わってから、数人の学生が質問をしにきてくれた。その中の一人の女の子が、「農業ビジネスに興味があるんです」という。

「ふうん、でも農業はビジネスにはならないよ。」

と言うと、彼女はこう切り返してきた。

「でも、会社運営して、大規模化して効率化していけば、大丈夫なんじゃないですか。」

あ、やっぱりここでも、その辺の駄マスコミや経済人が流布している通説いや俗説が信奉されているのだな、、、と思い、暗澹たる気持ちになった。とりあえず彼女には参考文献を教えて、それを読んだ上で質問したいことがあったら連絡してね、といっておいたのだけども、果たして彼女から質問はくるだろうか。楽しみだ。

さて
僕は農業ビジネスという言葉が大嫌いだ。そこには、「いままで産業として成立していなかった農業という暗黒大陸を、俺たちがきちんとビジネスに仕立ててやるぜ」というような驕りを感じるからだ。

驕り、というだけではおとなしすぎるかも知れない。はっきり言ってしまえば無知であるし、もしかしてその人間が確信犯にやろうとしているならば、悪だと言えるからだ

農業は、いろんなところで期待されているようなビジネスには成り得ないものだ。その理由は下記に示すとおり。

 

1. 農産物価格が安すぎて収支が合わない
そもそも90年代後半から、農産物の価格が安くなりすぎてしまった。中国などからの輸入食品をベースに食品価格が設定されるようになったからだ。今、輸入食品の安全性が云々されているにも関わらず、国産品をベースにした食品価格に戻すという動きはない。「安全じゃないとイヤだけど、値段は安くなきゃ買わない」というわがままな消費者ばかり居て、その消費者に対して安値を武器に販売している小売・外食事業者しかいないのに、農業が儲かるはずがないのである。

 

2. 天候に代表される気象条件に左右されるため、計画通りに進まない
昨今のビジネスでは短期的に収益を出すことが求められる。経営計画があり、それに沿って運用されることが望ましい。でも、その時点で農業には合わない。農業は依然として気象という複雑系に左右されるからである。
「天候が悪かったから計画通りに栽培ができませんでした。」または、「天候がよくて栽培はうまくいったが、全国で豊作だったので、相場が安くなり、期待していた収益が出ませんでした。」ということが当たり前なのである。
だから、天候に左右されない施設栽培にしようという企業は多い。閉鎖系の植物工場を作って、一年中葉物野菜を作ります、という新規参入企業のニュースがけっこう耳に入ってくる。でも、残念ながら植物工場で生産された野菜で、美味しいものに出会ったことがない。
ある僕の友人のバイヤーが
「やまけん、先日うちの近くで新規参入してきた会社が植物工場でみず菜を作って持ってきたんだけどね。『一束で450円で販売します!』なんて馬鹿な値段(高い)つけてきたんだよ!つきあいがあるから一回は置いてあげるけど、絶対に売れるわけない。食べ物を舐めすぎてるよ」
という話をしていた。机上の計算だけをして農業ビジネスを組み立てようとするからこういうことになるのである。

 

3. 大規模化・効率化はこれ以上難しい
さて、先の学生さんの質問にもあったが、企業化して大規模化や効率化をしていけば、農業がビジネスとして成り立つのではないかという話がよくされている。これを頭から否定する気はない。僕の識っている人にも、関東で20haの稲作をしている人や、東北で大規模な園芸品目の運営をしている農園がある。
しかし、それらは簡単に企業がポンと参入して実現できるようなものではない。まず、「大規模化」なんてそんなに簡単にはできない。日本の農地は戦後、マッカーサーによって農地解放され、それまで小作人だった農民にも小さな面積がばらばらと分け与えられた。それによって、まとまりのない、飛び地主体の農地が日本のベースとなってしまった。
じゃあ、これを集約して大規模化しようということだが、、、仮にとある区画の農地の権利者全員から合意をもらって、土地を一本化できたとする。しかし、それが平地であるということは滅多にない。この日本は元来、起伏に富んだ地形の国なのだ。
「大規模化・効率化」というからには、区画を一枚の畑なり田圃にして、それが例えば10ha程度の面積になっている。そうすると大型機械を走らせて、効率的な農業運営ができる。それは確かだろう。
しかし、その前提として、その10ha程度の面積が平らでなければならない。畑作ならそんなこともないけれども、稲作であれば湛水をするわけで、水平がでてなければならない。そうなったときに、大規模化に伴う土木工事の予算は、10haを平準化する場合、数千万円から、ヘタすると億単位になっちゃうのではないだろうか。
実はもう70~80年代に、こうした大規模な畑地灌漑事業はすでに行われた。もちろん膨大な国家予算を投入して、、、だ。いまの日本の田圃や畑の一枚あたりの面積は小さい、などと言われているが、それでもその灌漑事業前と比べると大規模化しているのである。では、これ以上の大規模灌漑事業を、この日本で行うだけの国家予算て、あったっけ?国家事業としてはもうこれ以降、農地にかけるものは少ないはずだ。だとすれば、参入しようとしている企業が投資してやることになる。本当にできるかぁ?ということだ。

 

ずいぶん端折ったので、つっこみどころはあると思うが、農業ビジネスなんか成立しないと僕が言っている理由の代表的な問題は上記のとおりだ。

このなかで一番大きな理由はなんといっても1なのである。農産物が安すぎる。価格を生産者が決めることができない。だから、農業ビジネスなんてのをやるまえに、農産物を高く売ることができる飲食店や小売店を成立させて欲しい。そうすれば、それにあった生産を行う農場を運営するということができるわけだから。

生産側、流通側から入ってこようとしている企業は、一歩ふみとどまって考えるべきである。

ところで、日経新聞などの経済マスコミや経済諮問会議で、株式会社が農地を取得できるように規制緩和を進めるという議論が、あたかも既成事実のように語られている。けれども、非常にこれは危険だと思う。

僕には、そういっている経済人・財界人が本当に農業を発展させるために、そんなことを言っているようには思えないからである。それについては後日書こう。

そういえば、僕がこのタイトルで記事を書き始めてから、「おいおいやまけん、そんなこと書いて、農業ビジネスやろうとしているところから仕事が来なくなったらどうするの?」という声を何回も聴いている(笑)

当初から読んでもらえればわかると思うのだけど、、、きちんとしたビジョンで農業に取り組むつもりのある企業さんには、もちろんきちんと応対している(数件、連絡が無くなったところがあるのは事実だ)。むしろ、「もっと詳しく聞きたい」というようにレスポンスしてくれる企業の方が多いかもしれない。でも、「ぜひ情報交換を」と言いながら、まったく情報も何も持ってこずに話だけ聴こうとする輩が多いというのも、また事実だが。

16:09 | TrackBack

2008年11月24日

ふたつの専門流通団体 「大地を守る会」 と 「らでぃっしゅぼーや」の立ち位置を考える

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土曜日の朝日新聞朝刊にて、大地を守る会の藤田会長がどでーんと大きく掲載されたらしい。藤田会長とは、僕が大学生の時からおつきあいさせていただいているので非常に長いのだが、最近では社会起業家として、いろんなメディアを賑わせているようだ。

そして、いやー とうとうかぁ、、、というニュースが、先日もたらされた。

らでぃっしゅぼーやがJASDAQ上場の最終段階に入ったということだ。

同じ時期に、この二者が、対照的なニュースとして採り上げられているのが興味深い。

特にこの時期、このタイミングでらでぃっしゅが上場というのは、今後の食の業界の動向をうらなう意味でも非常に大きな意味を持つと思う。

 

らでぃっしゅぼーやの動静に関しては、ここ数年ホットだった。もともと日本リサイクル運動市民の会というNPOの活動から生まれたこの会社は、有機・特別栽培農産物や、無添加食品等をメインの商材として、創業当初から個人宅への宅配サービスを行ったパイオニアだ。

この業界で最も古くからそうした事業を展開しているのは、「大地を守る会」だが、大地の方は当初、生協のようなステーション制(地域でグループを組んで、そこに一括してドサッと荷物を届ける。グループのなかで分配する)だったと聴く。宅配に重点を置いたのはらでぃっしゅだったということだ(もちろん現在では大地も宅配中心だ)。

初期のらでぃっしゅぼーやの代表を務めていたのは高見さんという人と、徳江さん。徳江倫明さんは僕の師匠のような人であることはこれまで再三述べたとおりだ。その徳江さんが離れた後のらでぃっしゅぼーやは、青汁のキューサイに買われることとなった。その時、新しく社長に就任した緒方さんに、徳江さんと一緒にお会いしたことがある。博多のイカの活け作りを食べたが、やたらめっぽう旨い店だった。なかなか味には確かな方であった。

その後、2006年にキューサイからMBOの形で独立。筆頭株主はなんとベンチャーキャピタルのJAFCOである。このあたりで、以前から有機・無添加食品の関係者の人達から、

「そりゃぁ やばいよなぁ、、、ベンチャーキャピタルなんて、高く売ることしか頭にないんだから、、、らでぃっしゅぼーやの理念とか、どうなるんだろ?」

とささやかれた。この間、いろいろとリストラがあったり、昔から付き合いの深かった事業者が離れていったりということもあったようだ。現に僕も、「らでぃっしゅとはもう付き合いたくない」と離れていったメーカーさんを知っている。

らでぃっしゅの内部にいる同世代の友達と会って話をしている時も、

「うーん、、、 俺たちにできることは、いまやるべきことをやるだけだよ」

というなんとも辛そうな言葉が出てくることが多かった。それでも、以前かららでぃっしゅぼーやを支えてきたコアな若手メンバーはきちんと残っていて、踏ん張っているようだ。

先日、らでぃっしゅの生産者団体であるRadixの会の東北集会に行ったとき、僕は変わろうとしているらでぃっしゅと、その変化にどう対応しようかと牽制する生産者の丁々発止のやりとりを観た。それはある意味、健全なやりとりだったと思う。僕の友人でもあるらでぃっしゅの農産課長は、数字をあげなければならないという会社の方針と、生産者たちとの信頼関係をなんとか両立させていこうと、ズタボロになりながら歩いていこうとしているようだった。

生産者団体であるRadixの会の代表である河野和義さんがこんなことを言っていた。

「我々はらでぃっしゅぼーやと取引をしているんじゃない。取り組みをしているんだ!」

単なる物品の売買ではなく、佳いものを作ることと、その生産を支えることを組ませるということだ。僕はこの言葉に感動した。Radixの会は日本でも有数の生産者団体だと思った。

らでぃっしゅぼーやの商品配送を行うRadicleの会の素晴らしさにも触れた。らでぃっしゅの会員9万6000会員への配送は、数社の運送会社が分担している。その運送会社がRadicleというチームを組んでいるのだが、単なる配送だけではない、ココロの配送とでも言うべき取り組みをしていた。

らでぃっしゅぼーやが上場することを待ちわびてきた株主達も多いだろうけれども、らでぃっしゅぼーやの素晴らしい要素が上場によって無くならないように、心から祈るばかりだ。

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「安心できる食」を販売する企業が上場するということは、いったいよいことなのだろうか?と考えたときに、まず頭に浮かぶのは大地を守る会の立ち位置だ。

学生時代に藤田会長に会ったとき、こんなことを話してくれた。

「大地を守る会はね、3者から成り立ってるんだ。まず消費者、そして生産者。そしてこの中間で両社を取り持つ大地。そして、消費者も生産者も、まずは大地の一口株主になってもらう。そうすれば、株主のために大地が働くということになり、消費者も生産者も等価として、双方のために働くことになるんだよ。」

僕はこの言葉にドキューンとしびれた。

今、この日本では、誰も疑問に思うこともなく「消費者のために」という言葉が舞い踊っている。けれども、そんな消費者中心主義はここ20年くらいの間に醸成されてきたものであって、おかしなものだ。「消費者のため」を追求すれば、全てのモノやサービスはタダとなるしかない。そしてどんな企業活動も成り立たなくなる。まさに今、そうなろうとしている。「新鮮で、美味しくて、しかも安全で、それでいて安いモノ」なんて存在しないのに。

けれども大地の理念は、「消費者」だけでもなく「生産者」だけでもない。まして「流通」だけでもない三者の関わりとしてあるのだ。

ちなみに、この一口株主制は現在ではとられていないようだ(商法上難しいらしい)が、理念としては変わっていないはずだ。

 

上場するということは、「株主のために」事業をするということになる、と僕は認識している。株主にはいろんな人達がいるだろうけれども、JASDAQに上場するという場合、純粋に経済活動から得ることができる利潤を期待する人達がメインの株主になるのだろう。

そうなった場合に、「安心できる食」を提供することや、「生産者との正しい関係性の維持」といったものが第一義になるのか、非常に不安である。これまで多くの企業が利益追求の末、そうした旨を捨てていっている状況をみれば、この不安は根拠のないものではない。

そういうわけで、らでぃっしゅぼーやが上場した後、これまで通りのらでぃっしゅぼーやであり続けるのか、もっと良くなるのか、そうではないのか、非常に注目すべきことだと思う。

個人的には、たくさんの友達がいることもあり、いい上場になって欲しいと願う。

頑張れ、モリサキ。

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2009年03月27日

石川県の元気な農業者紀行 超ド級に面白い農家達がこんなにいるのであった!

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石川県に呼んでいただいて、就農希望者や農業者さん達に講演することとなった。以前、和太鼓メーカーの浅野太鼓店に寄らせてもらったりした過去ログがあるが、その時はアグリファンド石川という、石川県内で元気な農業をしている生産者の集まりで呼ばれたのであった。その事務局担当者として、いろんなところに案内していただいたのが田中さん。JAバンク石川という、県レベルで農業者に資金を融資したりする金融機関の方である。車中でいろんな話をして、なんともまじめでナイスガイな方だった。今回、小松空港に降り立つと、その田中さんが車で迎えに来てくれていた。

「県の事業ですが、今日一日は視察されるということで、案内させていただきます。」

なんと休暇を使って案内してくださるという。一週間のコンプライアンス休暇というのをとらないといけないので、ちょうどいいんですと笑ってくれていたが、本当にありがたいことだ。

そして、石川の元気な農家巡りが始まったのである。

■「風来」 西田さんの野菜を観る

さてまず連れて行ってくれたのは、前回の講演の時に最前列できいてくれた西田さんの農場だ。と思ったら、自宅兼作業場兼、自然食品店になっている!

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「山本さん、どうもお久しぶりです!」と握手。西田さんはバーテンダー、ホテルマンなどのサービス業を経て、就農した人だ。しかもその農業スタイルが非常に面白いのだ。

何が面白いかというと、、、持っている畑がたったの3反歩なのだ!

3反歩というのは、900坪ということになる。だいたい、日本の農家の平均的な面積が1ha程度だが、その1/3くらいだろうか。その面積で、先の写真にあるように他種類の野菜を作付けしているわけだから、それぞれの量は多くない。

これが、彼の畑。

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ちょうど春作物に切り替わる前の端境期(はざかいき)だったため、作物は少ない。

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メインのハウスが3棟で、その残りを露地野菜用のスペースとしているようだ。それら野菜を複数品目、宅配パックにしたてて販売しているのがメイン。ちなみに栽培は無農薬であり、化学肥料使用しない。有機JASなどは取得しないでやっている。

それにしても3反歩で野菜というのはなかなかにすごい。「よくそれで食っていけますね!」と驚くと、彼は言うのだ。

「家族が食べていけるだけの分しか栽培しません。それ以上やって儲かると言うことは、つまり働き過ぎってことですよ。」

もちろん、生産した野菜はすべて自力で販売する。県内の農場で研修した後、まずは自分で生産した野菜をリヤカーに乗せての振り売り(行商)から始めたそうだ。

「新規就農する人には、まず振り売りをしろと言いたいですね。振り売りができるようになったら、何でも売ることができます。」

京都などではまだ振り売り文化があるが、金沢でもやるんだぁ、と思ったが、最近は少ないそうである。そこで振り売りができるようになれば、一人前のコミュニケーション能力を持つことができるということなのだ。

「あと、野菜をそのまま売っているワケじゃありません。うちの母がキムチを付けるのが得意で、うちの白菜やキュウリなどをキムチにして販売します。奈良漬けや、鯖のこんか漬け(へしこ)なども。やっぱり、野菜だけではなくて、加工したものも織り交ぜないと。」

という言葉通り、店内のショーケースには自家製の漬物類が並んでいた。
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「さてさて、じゃあ昼ご飯にしましょう、今日はうちでお昼を食べていってください!」

おおっと アグリファンドの田中さんの方で、粋な計らいをしてくれていた。お店で食べるのも嬉しいけれども、農家のご自宅のご飯ほど旨いものはなかなかないのである。

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西田さんの奥様こころづくしの手料理。こいつがまた美味しいのである!
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みごとな押し寿司!この辺じゃみんな造りますよ、ということだが、なかなか手が込んでいる。笹の葉にくるまれているのをとると、下にも油揚げなどが押されている。そして、米が美味しい!

「うん、うちの田んぼで自家用の米ですけどね」

おそらく、親戚に農家がいる人以外は食べられないだろうけど、農家の自家用米は美味しいものばかりなのである。
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豚のショウガ焼きかと思ったら、ローズマリーと炒めた塩味。これがまた、アクのないスッキリとした豚肉で、非常に質がいい。仲間の養豚農家さんのものだそうだ。

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美味しかったのがこのフォカッチャ。これは後述する、井村さんという麦農家さんの小麦を使ったものだそうだ。薫り高いし、だいいち焼き加減が絶妙。奥様、かなりの料理上手である。

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紫キャベツと春キャベツの炒め物。食べてみると、独特の癖のある、旨味の強い調味料が使われている。おおおっと、これは魚醤の風味。そしてここは北陸ということは、、、

「これ、いしるが使われてません?」

「ピンポーン!いしるをさっと回しがけしてます」

いしるは、イカを原料とした魚醤だ。数ある魚醤のなかでも、イカの香りが強く出る、独特の風味だ。マイルドなキャベツが、非常にエッジの効いた味になる。

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風来のキムチと牡蠣、卵とニラのスープ。実にこっくりとしていて美味しい!いや、やはり農家の食事は最高である。

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「農家は面白いですし、食のことを伝える役目も持っていると思う。だから、うちはできるだけ消費者とコミュニケーションをとるようにしています。」

例えば、小さな畑にいろいろ植えられているのをマップにして宅配ボックスに入れている。

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そうすると、それをみたお客さんが「観に行きたいな」と思い、実際に足を運んでくれることもあるという。いちど来たお客さんは、精神的な絆ができるから、ファンになってくれるのである。

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料理上手の奥さんも一体になり、風来は頑張っている。このようなミニマムな営農形態で、きっちり食べていける農業を展開しているのは非常に面白い。野菜やキムチを食べてみたい人は、彼のWebを訪問して欲しい。

■無農薬野菜 風来 http://www.fuurai.jp/

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(ちなみに、上の写真左側の笑顔の方は、後で登場されるので説明はしないでおきます)

さて美味しい昼食をいただいた後、一路 平松牧場へと向かう。

平松牧場は、加賀市で酪農を営みつつ、ジェラートハウスを併設し、牛乳のみならず加工乳やアイスクリームなどにして、直接販売するという経営をしている。

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実は今、最も大変な農畜産業といえば、酪農である。トウモロコシなど、畜産の餌となる穀物が高騰している一方で、乳価は安く引き下げられている。これから少しは乳価が揚がるが、それでも店頭でミネラルウォーターよりも安い価格で牛乳が販売されている現状はおそらく改善されないだろう。

だから、酪農の経営では、生乳をせいさんして乳業メーカーに売るというこれまでのスタイルから、自分で加工して価値を高めて販売するという方向に転換しようとしている経営体が多いのだ。

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ジェラートやソフトクリームなどを作るのが、なんとこの牧場の息子さんと娘さん。家族経営は強い!
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ジャージー種とホルスタイン種の生乳をブレンドした牛乳をいただく。もちろんパスチャライズ殺菌なので、美味しい。ジャージャー種の乳100%だとちょっとくどいが、ブレンドすると非常に美味しく飲める。
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ラムレーズンのジェラートも美味しゅうございました。

「あらセンセイ、ようこそいらっしゃいました!」と顔を出してくださったのが、農場長の奥様である。

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さっそく、隣りにある牛舎を見学させていただく。DSC_6845

観光農園としても機能しているからか、牛以外にもいっぱいいる!こいつはロバ。

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ウサギも可愛い!

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そしてホルスタイン。DSC_6854

実は、いろんな牛の品種があるけれども、ホルは神経質なのが多い。けれどもこの平松牧場のホルスタインは気のよさそうな子ばかりだ。ストレスを与えない飼い方をしているからだろうか。

そしてジャージーちゃん。とっても可愛い品種なのである。

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しかも人なつっこい。カメラを舐めんばかりに近づいてくる!
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ひえっ危ない!カメラが舐められるところであった、、、

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「そうだねぇ、うちはもう、濃厚な餌を与えて、たくさん乳を絞ってというやり方に疲れちゃったんだよね。だから最小限の頭数で、いい乳を絞るってことを考えてやっているから、牛も健康ですよ!」

と、平松牧場の長・忠利さんが仰るのである。

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畜産業は、野菜や稲作よりもリスクが大きな業種だ。なぜなら、生き物を飼うという非常に不確定な要因と、牛舎や牛の導入など、初期投資の大きさが桁違いなのだ。みな莫大な借金を抱えて経営をしているのに、乳価は自分たちで決められず、生産原価を割ってしまう勢い。このままだと日本の酪農はどんどん減っていくだろう。事実、昨年と今年で、離農する酪農家が非常に多いのである。

だから、乳を自分で売っていくという方向性に梶を切りたい農家さんも多い。しかしそれもまたリスクである。そのリスクを背負って勝負に出ている酪農家を、応援してあげて欲しい。ナショナルブランドの、何が入っているのかわからないアイスクリームを買うのではなく、ちょっと足を伸ばして、酪農家が経営するアイスクリーム屋さんで買うだけでも十分だ。

■平松牧場のWeb http://w2272.nsk.ne.jp/~kaoru.h/

さてお次は米を中心とした生産法人である六星。ここはものすごく可能性を秘めた法人である!

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以前、この六星から送られてきたかぶら寿司のことを掲載したことがある。かぶら寿司とは、北陸を代表する魚である鰤(ブリ)の切り身を大きなカブに挟み、麹でつけ込んだもの。日本で最も美しい漬物といえるであろう一品である。詳しくはこちらを。

■2006年01月04日 明けましておめでとうございます! (かぶら寿司)
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2006/01/post_708.html

つまり六星というこの生産法人は、米を中心にしながら野菜も積極的に生産し、なおかつこんな大きな直売所と工場まで建てて、加工品まで手がけているのである。

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この生産法人の若き社長が、この軽部さん。DSC_6900
実は東京出身で、結婚を機に、嫁さんの実家を継ぐ形でこの六星に来た方である。もちろん他業種からの転身。だから、経営マインドをもって農業に取り組んでいる。

「あのですね、最近メディアが簡単に農業参入を謳ってます。ニートは農業をやれ、とかね。でもね、そんなに甘い産業なわけがないですよ!無責任にあおらないで欲しいですね。」

という。実に実に同感! 最近のメディア(テレビ・雑誌)は本当に無責任にそして無根拠に、農業ビジネスがイイなどと書いているように見える。書かれていることの多くが空虚である。ま、それはまた今度書こう。

で、この六星には、僕の大切な友人カップルが在籍している。川嶋タケ君と、菜穂ちゃんカップルである。農大出身の彼らは、全く躊躇無く就農を志す。どこにどんな農業者がいるのか情報がまったくないまま、全国を探している中で出会ったのが、この六星の会長さんだという。つまり軽部社長の義父さんだ。

実はこのカップルとの出会いが、数年前に僕と仲間達とで運営した「就農塾」のヒントになっている。「就農希望者向けの情報や講座が少ないんですよ」ということだったのだ。今では色んなところが就農希望者向けの情報を提供しているが、3年前はまだそんな状況ではなかったのである。

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この日、タケはなんと僕と入れ替わりで横浜に出張。残念!久しぶりに会う菜穂ちゃんは実に充実した顔だったので、一安心である。

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六星ではいま、お弁当の販売も行っている。いずれはイートインも、ということだそうだ。とてもいいと思う。なぜなら六星の農産加工品はことごとく美味しい。数年前に大根を送ってもらい、十数種類の大根の食べ比べをしたことがあるが、実はこの六星の大根がぶっちぎりで好評だったのである。

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六星の強みは、社員に若い世代が圧倒的に多いことだ。10人ちかくの30代以下バリバリ若手が居る。そして社長も若い! 今後、大いに期待である。

■六星のWeb http://rokusei.se.shopserve.jp/

 

さぁて 長くなるのでいったんこの辺で。

18:28

2009年04月02日

また一つすばらしきメーカーが消えた。富士食品の納豆を懐かしく思う。食べ物が「安いこと」はそんなによいことか?生産者・メーカーが存続できないほどに安いことは、社会の悪ではないだろうか。

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ショッキングなニュースが飛び込んできた。北海道の富良野市にある、すばらしき納豆メーカーである富士食品が倒産したというのだ。また一つ、良心的なメーカーが、スーパーなどの購買者と消費者によって潰されてしまった。とても残念だ。

過去ログ
■2004年07月09日 こんなに旨い納豆があったのか! 富良野編完結 「富士食品」http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2004/07/post_284.html

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富士食品との出会いは、過去ログにもあるように、非常に偶発的なものだった。その後、週アスで連載していた旅三昧の取材で、社長とも仲良くさせていただいたものだ。

北海道産の大豆を使った商品を積極的に出し、あくなき追求心で佳い商品を追っていた納豆メーカーだ。

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納豆バカ一代である会長からは、

「あのね、ツーッと納豆をつまんで引っ張ったときに、伸びた糸に節ができないのがいい納豆だよ」

という名文句をいただいたものである。

富士食品を語る上で欠かせない商品がある。それが「なうぴー」。

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モナカの皮に味を付けた納豆を入れたものだ。

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地元の学校給食で普通に出ていたというこのナウピー、初めて食べたときの衝撃は忘れられない。

他にもいろいろあるのだけど、なっとうちょこには参った。

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これがまた、旨いのである。変な味ではない。最近ではやはり大豆の発酵食品であるテンペをお菓子風にしているのをよくみかけるが、そんな感じ。

とにかく納豆を美味しく、ということに意欲を燃やしたメーカーであった。

その富士食品が、倒産してしまったという。周辺の人たちに連絡をして話を聞いた。結局、納豆や豆腐、こんにゃくなどのいわゆる「和日配」は本当に大変な状況なのだ。

日配(にっぱい)というように、毎日食卓に上るような食材であり、鮮度が要求される商品は、消費者が価格に非常に敏感だ。特売で一円でも安いスーパーに客が殺到するのは見慣れた光景だ。だから、スーパーや飲食店、給食などもとにかく価格を安くするということに腐心する。

農産物と同じで、日配商品もまた、その価格決定を支配するのは買う側だ。スーパーのバイヤーが「うーん、やっぱこの商品は128円でしょ」という風に、どれだけのコストがかかっているかとは関係なく決めてしまうことも多い。

そんなの断ればいい、と言うかもしれないが、断れるものなら断っているところだ。日配商品は薄利多売の世界だから、売場を持っている取引先を断ることが難しい。豆腐業界の社長さんの話では、工場のライン単位で取引先が決まっている場合、取引停止になると明日から赤字になる。だから、なんとしても食い下がるしかない。取引先も巧妙で、「活かさず死なさず」という絶妙なラインで手綱を握ってくるという。

それに輪をかけているのがこの不況だ。もはや、「よい大豆を使って、安心できる納豆を」ということは価値として認められない。とにかく4個パック98円以下でなければ売れない、というようなぎりぎりの値下げを強要されるのである。

「だったらいいよ、安い材料仕入れて、保存料とか駆使して、安く造るからね」

という割り切りをできるメーカーであれば、よかったかもしれない。けれどもまじめなメーカーは、割り切ることができずこだわりを通そうとして、倒れてしまうことになるのだ。ちなみに北海道ですでに5軒の納豆メーカーが倒れているという。

こうした状況を造りだしているのは、第一に安いモノばかり買う消費者、第二に食品価格を叩く小売や外食などの販売業者、そして第三に消費者におもねるマスコミである。

中でもマスコミがたちが悪い。新聞やテレビなどのメディアで食の問題を報道する際に、無意識的に「消費者が弱者である」というようなメッセージを流しているからだ。この消費者中心の社会では、本当の弱者はメーカーや流通業者だと僕は思う。それなのに、不景気になると彼らは「消費者のために、食品は安くあるべき」という間違ったメッセージを造りだしている。そして富士食品のような佳いメーカーが潰れる。青果物を流通する市場の卸売業者の営業利益率も、なんと平均0.5%程度だという。そんな薄利でよくやっていられるものだと思うし、異常なことだと思う。

不景気のもとでは、消費者も苦しいけれども、ものをつくるひと、運ぶひと、売るひとも一様に苦しいのである。消費者を立たせれば、生産者・メーカーが潰れる。それが続けば、どうしたって佳いものは造られなくなる。

「でも、現実的に食品が高くなるのは困る」

という人も多いだろう。なぜかこの国の消費者は、節約というと真っ先に食費を削ろうとする。携帯電話には一万円近く支払っているのに、毎日口にする豆腐や納豆、調味料には10円の差を大きく感じる。本当に不思議な話だ。毎日食べるということは、その食品が身体をダイレクトに構成している、根本的な要素になっているということだ。そんな大事なものに投資をせず、10円単位の差額をケチって、レベルの劣る食品を選択する。値段には意味がある。安いモノには安い意味があると僕は思う。安くするために払う犠牲は、多くの場合は身体に影響を及ぼすものだ。

「そんなこといっても、所得の低いひとはどうすればいい?」

ということをよく訊かれる(そういう質問をしてくる人自身は、所得が低いわけではないことが多いのが、非常に苛立つのだが)。でも、ご存じだろうか、この国ではエンゲル係数はもうながいこと25%以上になっていない。お金の使い道は、おもに食べ物以外に振り向けられているのだ。エンゲル係数40%以上になってしまっている人であれば「困る」と言うのは当然だろうが、そうでもないのに「値上げが困る」というのはオカシイは梨ではないか。消費者のエンゲル係数よりも、いまはメーカーや生産者の利益率の方が低い状況なのだから。

納豆が3個一パックで98円程度の普及価格帯のものがあるとする。一方で、国産の大豆を使用した納豆が50円増しの148円で売っているとしよう。だれもが「50円なんて高い!」と言うかも知れないが、、、3人家族がウィークデーの朝食に納豆を食べるとして、50円×25日程度=1250円である。たったの、と言ってはいけないけれども、1250円の差額にしかならない。スターバックスのコーヒーが300円前後。それを4回節約すれば佳い納豆を求めることができる。

消費者の選択は消費者自身が決めるべきことだ。でも、その選択によっては、佳いものが産み出される構造を壊してしまうこともある。それを消費者は、自覚すべきだと思う。

 

さて富士食品がなくなってしまったのはとても残念だけれども、でも当事者の皆さんは、いつか再起をと思っているらしい。ぜひ、何らかの形で再起して欲しいと心から願う。会長、社長、ぜひ頑張って下さい。何かできることがあれば、やります。

20:15

2009年04月10日

食べ物の安売りは、世の中を佳くはしない。小売業者のやり方には、憤りを覚える。

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イオンが新聞広告に「反省文」を出したことは、人から聞いた。流通業界のトップであるイトーヨーカドーとイオンは、どちらも相次いで主力商品の値下げを敢行している。そして、西友が298円弁当を発売するという。

これらのプロモーションを観て、消費者はいったいどういう感想を抱くのだろうか。

「イオンは反省しているんだな、偉いぞ!」

「298円弁当は、一括調達や効率的な生産で、内容は変わらず安くなるんだってさ。素晴らしいね!」

などと受け取っているのだろうか。

僕には、腹立たしく思えてならない。小売業界は、食べものの価値をまた下げようとしている。しかも、彼ら自身は「頑張ってます」というメッセージを出しているけれども、真実は、彼らの前にいる生産者やメーカー、流通業者を絞り尽くすことで、これを実現させているからだ。

小売業者が「いいこちゃんぶって」いるケースはこれまでも多々あった。例えばよく「台風落下リンゴ」というのが販売されることがある。収穫直前に台風を受けてしまい、落下して傷つき、売り物にならなくなってしまったリンゴを、私たちは無駄にしません!買ってください!というアレだ。「あ、これは買ってあげなきゃ」と思って手に取った人もいるだろう。

でも、それは実は生産者のためにはなっていない。

台風落下リンゴの価格は安い。「安くても、売り物にならないものなんだから、ちょっとでも助かるでしょ?」と思うなら、大間違いだ。安いということは、生産者に渡されるお金だって安いのだから。スーパーは、断言するけれども、自分自身は損をしないように利益を載せている。または、それ自体で収益がでなくても、集客の目玉になれば、告知効果になるからそれでいい。

もっとまずいことは、格安で販売される台風落下リンゴの横にある、ぴかぴかの、高い値段がついている無傷のリンゴが売れなくなることだ。生産者という存在をマクロにとらえてみたら、台風で落下したリンゴを安く仕入れられ、それが売れることでもともと高く売れるはずだった佳い品物が売れなくなるという状況のほうが困るのだ。

だから、本当に台風や雹(ひょう)害で困る地域を助けたいと思うならば、落下リンゴではなくて、産地表示をみて、その産地のリンゴを買ってあげる方がいくぶん貢献できるはずだと僕は思う。

まあ、これは一例だ。小売業者(だけではないけれども)は、巧妙に消費者を欺き、自分の利益を最大化しようとする。企業活動としてはもっともなことだけれども、言い換えてみれば、生産や流通の段階の知識をあまりもたない消費者をだましているということに他ならない。

そしてこの時期に来た「値下げ」だ。値下げの犠牲になっているのは、イオンやイトーヨーカドーではない。中間にいる流通業者と生産者、製造業者である。

先日、納豆メーカーの富士食品が倒産してしまって悲しい、というエントリを書いたら、思いもかけず、いろんなところから連絡をいただいた。その多くが食品メーカー、農協、そしてなんと小売業者ご自身!

「大手スーパーは「消費者の味方,価格据え置き・応援値下げ」なんてやっていても
自分のマージンは確保していることがみえみえで、余りおつきあいしたくありません。
最近は「イオンはダイエー化しつつある」なんてことを聞いたりしますね。」

「やまけんさん!「富士食品」書いていただきありがとうございます。あんな良い会長の会社が潰れるなんて、悔しいです。」

「今日のブログは、私たちの今の悩みそのものでした。まさしく和日配の現実です。」

まだまだあるのだけれども、、、

メーカーは、怒ってますゾよ。

「美味しくて、新鮮で、栄養があって、安全で、、、そういう食べものを、安くちょうだい!」

などというわがままな消費者と、その消費者におもねって、とにかく「消費者がこの価格じゃないと買ってくれないんだから」という理由で、価格を押しつける小売業者。これが続くと、常識はずれの安値にするために、劣悪な材料や、膨大な添加物や、偽装といったことをする業者が現れる。それは、本当は消費者と小売業者自身がつくり出したものなのに、一方的に非難・糾弾され、退場を迫られる。

そして、この国には大手のメーカー数社しか残らない、寡占状態になる、、、この状況が長く続けば、そうなってしまう。おそらく想像力のない人は「それでいいじゃん、何が悪いの?」と言うだろうが、、、

西友の298円弁当、怖くて僕は食えない。イオン、イトーヨーカドー店頭でも、安売りしているモノは買いたくない。僕は生産者・流通業者叩きに荷担したくないからだ。

14:10

2009年04月17日

うどん用国産小麦のニューフェース・「きたほなみ」のうどんを食べてみた。北海道は北見農協のきたほなみを、望月製麺所がうどんに試作してくれた!

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ラーメンサラダ「ラーサラ三郎」が好評の望月製麺の泉田さんから、「ホクレンの寺尾さんからきたほなみが届いたので、試作したのを送りまーす」という連絡がとどいた。

きたほなみは、北海道で開発されたうどん用小麦品種だ。従来つくられていたホクシンという品種は、味はよいものの、少し黒ずんだ色になり、コシもまだ十分ではないという評価だった。それを克服し、さぬきうどんにも使われているオーストラリアの純白系コシがやたら強いASW品種に負けないものを創ろうということで育種された品種だ。

ホクレンで僕を札幌の旨いもん漬けにする張本人である寺尾さんは、この4月から北見支所に異動。北見といえば飲食店の裏に積んである「北見F1たまねぎ」という段ボールを見たことがある人も多いはずだ。北見のタマネギは一大産地である。しかしきたほなみも創っているとは知らなかった!

さっそく、釜揚げを溶き卵に投入する「釜玉」と、冷水で締めて醤油で食べる二通りで試食してみた。釜玉といえばさぬきうどんの山越だなぁ。うーん あれは旨かった!

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で、結論からいうと、きたほなみのうどんは実にイケル! 釜玉うどんにすると、水で締めていないのでやわやわになってしまうかと思いきや、湯との境界部分は柔らかく、しかし噛みしめるとブリンとしたコシがきちんと通っていて、気持ちよい。

きたほなみを試食した友人の話では「灰分が少ないこともあって、香りにはやや欠ける」という評価だったけれども、香りが少ないと感じることもなかった。実に美味いうどんではないか!

さてお次は冷やして醤油うどんで。

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む、、、

釜揚げの方が旨い、、、

さぬきうどんの冷や冷やの旨い店は、うどんの芯がブリンとしたコシになっているけれども、こちらは全面的に均一なコシ状態で、歯ごたえはあるものの、ちょっと退屈な食感である。

しかし、それは製法によるものであった。上記を望月製麺の泉田社長に連絡したら、こうお返事があったのである。

 

真空ミキサーで練っているので小麦粉と水が均一に結着しているのでそうなり、それが手打ちとの違いになります。(ミキサーを使用している側からすると、良い事です)
私が試食した時は腰があり、食感的には「外麦(プライムハード)」に近づけようとしてますね!確かに「香り」「味」は現在の道産小麦より弱い感じがしました。「北ほなみ」のスペックは判りませんが、「小麦たんぱく」が多くなると私的には「味」は無くなるように思われます。ただ、「タンパクの内容」にもよりますので、そこが難しい所です。
今回は5kしかありませんでしたのでこれだけでは判断できません。いろいろ練る時間、水の量、塩の量などまだ、調整して行かなければ結論は出せませんが…

ふうむなるほど!

泉田さんが言うように、コシの元となる蛋白質が多くなったことで、逆に香り成分は減少しているようだ。しかし、香りがブワッと立つパンやパスタに比べ、うどんにしたときには、近年では食感やのどごしが優先して評価される傾向にある。そういう文脈では、きたほなみはかなりイイ線いってること間違いない。

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とにかく僕は、日本の伝統的なたべものであるうどんのほとんどが、外国産麦で出来ているという状態が気持ち悪いのである。自分の国で創られた麦で美味しいうどんが出来ること。それを食べると言うことが、ようやく本当に「日本のうどんを食べた」ということになるのではないか、と思う。

きたほなみに、ひきつづき期待をしたい! 寺尾さん、泉田さん、ありがとうございました!

12:33

2009年05月11日

島根県は実は超・立派な農業県! 意欲的な生産者さん達に会ってきた! その3

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島根県の反田組の若頭から連絡があって、実は先日書いたごぼうがあと一ヶ月くらいで収穫だそうだ。ので、もしかすると都内でも買えるかもしれない。その際はまたここに書こう。

ちなみに現在の牛蒡はこうなっているようだ。

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すでにビニールのトンネルは取りさられ、大きく成長フェーズになっている。素晴らしい!収穫が楽しみである。

さて
一夜明けて、同じホテルに泊まった木次乳業の佐藤社長に見送られながら、講演時間まで産地を廻らせていただく。

まずはJA斐川(ひかわ)。斐川町は松江と出雲の間にある街。斐伊川という、宍道湖に流れ込む大きな川があるため、肥沃な土地がしかも平野で拡がっている、農業にはとても条件のよい地域だ。

そしてこの街は、農協が新しい商品を企画・開発し、農業者を引っ張っているよい事例に数えられるのである。

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この方が営農部長の石川さん。昔、食品関連の展示会に参加したときに、斐川にはなーんも売るもんがない!そしてなーんにも顧みられない!ということに衝撃を受け、米などを漫然と造るだけじゃなく、積極的に商品開発に関わらなければならないと開眼したという。

そこから試行錯誤を続け、さまざまな斐川のキラーコンテンツが産まれたという。いま、非常に人気が高いのがハトムギ。斐川では全国的にトップレベルの作付け(100ha!)をしており、最近、雑穀商品で有名なメーカーであるベストアメニティ社の契約栽培をしているという。

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ハトムギは漢方の「よくいにん 」という立派な効果をもつ作物。これを発芽させたもので麦茶にしている。

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味も芳ばしくてよし、しかも発芽しているので栄養成分も期待が出来る。発芽ハトムギと通常ハトムギでは3倍程度の有効成分量の差があるということだ。

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営業一課の飯塚さん。
この農協の人達は、眼がとても活き活きしている。
第一、事務所内の女性達がはきはき、シャキシャキと仕事をしておられた。

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僕はいろんな農協に行っているが、女性事務員達の挙動、挨拶の対応のしかたなどでだいたい、その農協で働く人達のモチベーションがみてとれるようになった。やっぱりやりがいのある、責任を持たせる仕事の仕方をする農協は、勢いがいい。適度なハリが、事務所内の空気に満ちているのだ。 ここ、佳い農協だと思う。

実際、隣接した直売所には毎朝開店前に行列ができるほどだという。

「山本さん、実はうちのもう一つの名物がこれなんですよ!」

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なんと、ひまわり(向日葵)油 である!
最近、菜種油などの国産油脂植物に多分に関心を持っている僕だけれども、向日葵油はなかなかお目にかからない。そう、実は向日葵は観賞用でもあるけれども、油脂植物なのである。

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このいかにも高級そうな一品は日清オイリオのギフトに選ばれた商材だという。日本で500円! うん、それくらいしていいと思う。

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これ、僕の事務所にも贈っていただいたので、後日ぜいたくに揚げ物に使ってみたい。その際にはレポートしよう。

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その他にも、向日葵油を塗った手延べうどんやそうめんなど、つぎつぎと開発商品が出てくる。これは面白いなぁ! 課長さんも、展示会で得たショック・屈辱を昇華してバネにして、いろんな食品メーカーと対峙して、ここまで来たという。いい顔の農協職員がいる地域は、農業も活気があるのである。「農協って悪いんでしょう?」という単純な二元論は、役に立たないのである。

さて次の産地への移動中、あまりにいい感じの風景に車を停めていただき、撮る!

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気持ちいい景観だなぁ、、、
農業を守らなければならない理由として僕は何より、この農村風景に価値があるという一点を重視したい。東京の荒涼とした風景の中にしか生きられなかったら、僕は死んじゃう、、、出張の多さで、こうした景観に触れることでかなり気持ちのリフレッシュを出来ていることは否めない。

さて次は「今在家(いまざいけ)」という地域の農業生産法人だ。

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平野部ながら、稲作農家が集まって集落営農をしている組織だ。 
稲作主体で、組合員の土地を区切って再配置しながら作付けしている。

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ただし稲作だけでは、、、ということで、観光ぶどう園・いちご園を展開している。そこで年に数回、消費者向けイベントを 行う際に「だんだんネギ焼き」というのを造るそうだ。うわーーーーーーーそれ食べたい!と思ったけど今日は無理とのこと。残念だ!

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こちらのネギは典型的な青ネギ。

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これをたっぷり使ったお好み焼きのようなものらしい。今度はぜったいに食べるぞだんだんネギ焼き!

さてここが直売施設。

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いちご園は高設ベンチでの栽培。

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選果場内では組合員のお母さん方が選別作業をしている。

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品種、なんだったっけ。章姫だったかな、、、

「この辺が美味しいから、食べてご覧!」

とお母さんが声をかけてくれる。

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中までしっかり完熟していて美味しい! コクのある甘みである。イチゴは糖度よりもコクだよね。

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こちらがぶどう園。かなりいろんな種類のぶどうがハウス別に植えられていた。

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視察時はまだ若芽が出るくらいの時期だったが、今頃はもうそろそろ花から実に変わりつつあるだろうか。

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さてここから会場に向井、講演開始。

そして次回は、、、久しぶりにサシのたっぷり入った黒毛和牛を食べることになる。しかしながら絶品!きちんとした血統できちんとした肥育をかけた黒毛は旨いというのを再認識したのである。

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こうご期待!
これから淡路島に行って参りま~す。

12:47

2009年06月18日

京都府の宮津市・飯尾醸造の田んぼが綺麗です

丹後にある、短角牛と黒毛和牛の交雑種(F1)を生産している牧場の視察があるのだが、それなら手前の宮津で一泊と思い、飯尾醸造さんを訪れています。

まずは恒例の「こんぴらうどん」にて食事。

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この店の超絶な出汁の美味しさを知るためにも、何も入れない「かけ」は食べておくべき。

キュッと冷水で締めて冷やした麺の弾力を楽しむために、冷やしものも頼むとベスト。その際に天ぷらものを頼んで、かけの方にも天ぷらを落とすと、バリエーションを楽しむことができる。写真は野菜天せいろ。丁寧に揚げられた野菜かき揚げと海苔揚げが美味しい。

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最初、飯尾醸造を訪れたときにも、飯尾君が「ぜひ連れて行きたい店が」という。けれども、せっかく海の近い宮津に来ているのに、しかもなんでさぬきうどん?と不思議だった。

けれども食べてみて疑問は氷解。香川でも滅多に食べられないうどんだ。つゆは昆布ベースなので讃岐とは全く違う。麺の食感も、最近多いとにかく弾力ぶりぶりというものではなく、はんなり・ぶりんっ という妙味。

ちなみにこの大将、飯尾醸造のお酢をたくさん使ってくれている。

「貿易の関係で粉のコンディションが悪いときとかは、お酢が助けてくれるんですわ。うどんを打つときに酢をよういれるんです。これが魔法なんですわ(笑)」

ちなみに卓上には、飯尾醸造の富士酢と紅芋酢をブレンドしたものが置かれている。これをうどんにかけると、びしっと合う!酢酸で味がめちゃくちゃになるかと思いきや、まったくそんなことはない。出汁と醤油のうま味の世界に、また違う線が一本入るのだ。

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ご主人には、出汁の話をいろいろ教わった。

「最近、ええ昆布があまり手にはいらんのですわ。関西では昆布はねかせます。打ちが使ってるのは5年くらい寝かせてますなぁ。うちの家にはもう100キロ以上寝かせてあります。そういう単位じゃないと問屋もええのを持ってきてくれんのでねぇ。

いま昆布の世界も後継者不足で、ええ仕事をしてくれる業者さんが減ってきてます。生産者の手取りが低いんでしょうねぇ。けど、問屋の仕事も重要で、やっぱりきちんとしたものを選別してくれる。漁師さんが飛び込みで昆布を売りたいと来ることがありますが、うちでpHを測ると、ちょっとこれはうどんには向かんねぇ、日本料理にはええでしょう、と言うような話になることが多い。やっぱり、漁師さんがいろんなレベルのものを持ち込んできたのを、整理・選別して、寝かせて持ってくるという問屋の機能は重要ですわ。

ただしね、何も知らないで買おうとすると、だまされる世界です。関東ではどうかしりませんが(笑) 何枚かに一枚、別の産地のもんをもぐりこまされるとかは、よくあることです。そういうのを見つけてきちんといえるくらいの眼を持たないと、買う方もあかんのです。僕もようだまされました、、、(笑)」

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うちには秘密はなんにもない、といいながら、つけ汁(辛汁)のあんばいを見せてくれるご主人。

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あるところでぴたっと止めて味見。

「かえしの量、これくらいでもいいか、と思うでしょう?」

うん、ちょうどいいと思う!

「でもね、これにもう少し足すんですわ」

と、けっこうどぼどぼと足していく! ええええちょっとしょっぱいんじゃ、、、

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けれど、その塩梅を強くした汁のほうが、びしっと全体がまとまった味になっている。

「水気をふくんだうどんをつけるんで、強い加減にしておいたほうがええんです。で、これに最後、魔法のお酢(笑)」

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飯尾醸造の玄米黒酢を、適量投入。

おおおっ お酢が入ることによって、輪郭がさらにハッキリくっきりと浮かび上がってきた!酸味は感じないレベルで、しかし味全体には明確に差が出たのである! うーむ 素晴らしい!

ご主人が、おみやげに真昆布と利尻昆布を持たせてくださった。

「真昆布のほうはうちで数年、寝かせてますから」

貴重なものをありがとうございました、、、(涙) 宮津を訪れるものは、かならずこの店で宮津風のうどんを食していくべきである。

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さて一路、飯尾醸造の棚田へ。

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飯尾醸造は、自分のところで仕込むお酢につかう米を契約農家に無農薬栽培してもらっている。しかし昨今、地域の高齢化で耕作放棄値が目立つようになり、蔵人の手でなんとかできないかということで、自分たちで田んぼを借りて栽培もするようになっているのである。

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右が飯尾彰浩君、左が稲作担当責任者の伊藤さん。若き日はぶいぶいいわせていたというナイスガイである。

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みての通り 手植えである。

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この地域はイノシシやヌートリアなどの獣害が激しいため、電柵が欠かせない。下の写真でポールが立っているのが電柵だ。

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(ニコンD700 AiAFニッコール 85mmF1.4 )

 

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日本の調味料メーカーで、自前で原料を栽培しているところはいくつかある。でも、お酢に関してここまでやっているところはそうないだろう。しかも、完全無農薬なのだ。 かなり大変ですよ。

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こちらは契約栽培の田圃。天橋立を望むことができる。

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田が黒っぽいと思われただろうか。これが、古紙を原料にした紙マルチ。田植え時に敷いていき、そこに苗を植えていく。黒い紙が水温を暖め、そして雑草が出てこないように抑制してくれる。稲がしっかり根を張って草負けしなくなったころには分解してくれるという、無農薬栽培には欠かせない優れものだ。

ただし 高い。飯尾醸造ではこの紙マルチは全額を蔵の負担で契約農家に配っている。そして、農家からの米の買い取り価格はびっくりするほどに高い。よくやっておられるなぁ、と思う。安いお酢を買ってる場合じゃないのである。こういう蔵を支えてこそ消費者ですよ。

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楽しみな夕ご飯は、飯尾家にお呼ばれ。

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超絶絶品な、焼き豆腐の煮たの。もうね、本当にこれがあれば他のは無くてもいいくらいに美味しい。

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するめいかの小さいやつ。名前、なんだっけなぁ、、、

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トビウオの旬。酢締めされたのがキュウリと合って美味しい。

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この辺でもハタハタが揚がり、よく食べるという。けど、ハタハタ寿司にはせず、煮るか焼くかだという。ほろほろした身が甘辛い汁に絡むと最高で、速効でメシをおかわり。

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かきチシャの炒め煮。かきチシャは日本に比較的昔からあったレタスの仲間。次々に出てくる葉をかいていくものだが、こうやって加熱して煮含めたのは初めて。とても美味しいものだ。もちろん隠し味に酢が使われているのだが、それがドンピシャ。

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あれだけ並んでいたのに、二人でほぼ食べてしまいました、、、

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飯尾家の心地よさに感謝。

さて本日は牧場へ移動します。

09:50

2009年07月07日

焼くと、みるいタケノコ香がプワンと立ちのぼる絶品の月山筍をいただく。

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貴重な貴重な月山筍が、山形県の庄内から送られてきた。

以前、週刊アスキーの「旅三昧」で水先案内をしてくれた、ネット上で山菜といえばここしかないという知名度の「山菜屋.com」の遠藤さんが送ってくれたのである。

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1kg3800円と、ちょっと高いかなと思いがちな価格だけれども、食べてみたらぶっ飛ぶ旨さなので、この季節だけのものとして買い求める価値がある。

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けど残念、僕がぼやぼやしている間にもう旬を過ぎてしまって〆切になってしまったようだ。いまはだだちゃ豆の受付をしているようだ。うーむ

■山菜屋.com
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http://www.sansaiya.com/

茹でたりしてもいいんだろうけど、せっかくの味が抜けてしまうのが勿体ないので、魚焼きロースターで皮が焦げるくらいまで焼く。熱いうちに、火傷に注意しながら皮を剥く。こいつに塩をつけて食べるだけで、もう極楽気分の美味しさだ。新鮮なものは筍特有のえぐみが少なく、ホワイトアスパラのような旨味と香りが、凝縮された筍の中に宿っているといえばいいだろうか。

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この月山筍の皮がまた美しい。

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そして裸に剥かれた筍の肌がまた、きめ細やかで美しい。

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今年の山菜シーズンは結局、東北には行けなかったのでかなりフラストレーションが溜まっている。この時期の庄内の旅は最高なのだ。

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これはギョウジャニンニク。

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こんな自然の中、タラの芽を採りに切り立った崖に登ったりする。

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こんな庄内の山村をちょこまかと巡りながら、農家さんが山から採ってくる山菜を目利きをして選り分け、料理屋や消費者に提供するのが卸の役目。農家から直送すればいいじゃないかなどというのは素人考えで、一農家が集めきれる山菜の量はたかが知れている。また、集めるのが大変なので選別・発送などまで手が回らない。

そういう小さな農家の軒先まで行って集荷をし、複数種類を取りそろえ、サイズなどを揃えて出荷する機能は必須なのである。

農業関連ビジネスがブームになっている今、またもや「農家から直接」とか「中間段階を中抜きして」などという空疎なキーワードが出てきているようだが、アホらしい。これまでの流通に中間が存在してきたのは必要とされる背景があり、その背景はいまだ変わっていないのである。

優秀な卸が居てこそ産地が生産に集中できる。おっと脱線したけれども、そういうわけで山菜屋.comを、僕は応援している。

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この方が山菜農家さんから信頼される遠藤さん。取材の時はお世話になりました~

月山筍うまかった。そのまま食べるのと、パスタなどの具で楽しみました。ご馳走様でした!

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2009年07月09日

日本には識られざる観光名所の予感がする地域がまだまだある。大分県は由布院よりこちらの方が面白いかも! 塚原高原の可能性はでかい! その3 なぜかこんな場所で本格派お好み焼きと、野の花ペンション

大分は湯布院の裏側を登ったところにある、なんとも涼やかな高原リゾート・塚原のつづき。

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さあさあ、次のお店へと、観光協会長の藤沢さんにせかされて歩を進めたのは、本当に広大な牧場的景観の中にポンと出てくる絶好のロケーション。お好み焼き「恵里菜」である。

■恵里菜
http://yufuin-tsukahara.com/shop_rest/erina/index.html

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塚原牧場とは、この恵里菜の女将のお父さんが開いた牧場のことだそうだ。

「あらっ 写真?綺麗に写してちょうだいね!」

と明るい女将は、若い頃からお好み焼きの本場である大阪に出て、様々な飲食の修行してきた人だ。その苦労人生の話を聴きながら鉄板上で繰り広げられる技をみていたが、実にすばらしいお好み作法だった。

「やまけんさん、ここはね、人を案内すると『なんでここでお好み焼き?』と必ずきかれるんですけど、食べるとみんな満足して帰るんです」と藤沢さんがいう。お好み焼きは関東風・関西風・広島風のすべてをカバーしているというが、いい加減食べ過ぎてきているので、関西風でいろいろ具が入っているのをみんなでいただくことにした。

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お好み焼きの具にも使っている、鮮度のいいエビの頭を、すぐ脇で煎餅に焼いてくれる。これがまた名物らしい。

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ちなみに僕が気になったのはこの店のマッチ。なんか、グッドデザインなのである。

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焼き上がり!

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すでに時間がおしていたので、秒速で口に入れる。む、みっちりと中身の詰まった、しかしふんわり感も損なわない微妙な焼き技術。豚からシーフードからじゃがいもから具材てんこ盛りの中身だが、バラバラにならず一体感のあるお好みである。

「ほんとは、ここは夜ずーっとお酒を飲みながらおつまみを出してもらって楽しむ店なんですけどねぇ」

と藤沢さんがいうが、確かにほんとにそうしたいところだ!

女将に再訪を誓って、撤収。

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さてまだ食の旅は続く。4件目の昼飯は、ペンション&レストランの「野乃花」だ。

■野乃花(ののか)
http://yufuin-tsukahara.com/shop_rest/nonoka/index.html

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元・銀行マンのご主人と奥様が開いた、まさに成功物語を地でいく店だ。こういう店は、趣味的だけど飯がまずいとかそういうことが多いものだが、野乃花はきっちりちゃんとしたお料理をいただくことが出来る。

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これらの野菜・野の草花類は、庭園内の菜園でとれたものばかり。また米や魚なども半径50km圏内で獲れたものばかりだという。

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嬉しかったのがこの鮎の干したのを揚げたものだ。

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頭までパリパリと楽しめる。

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そしてなぜかこの文脈で追加してもらった、名物のナスのグラタン。

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これが実に美味しいのである、、、奥様のウデは確かなり。

この塚原にきてから4食目(!)だけども、するすると入っていくのは、野の草を摘んできたものや、菜食中心のメニューだからだろう。ホテル・旅館料理に飽きた人には、塚原にチョイと足を伸ばしてご飯を食べに来るというのは、実にいい選択肢だと思う。

それにしても旨いのが、塚原の水。

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適度な柔らかさ、きりっと輪郭のある水だ。 堪能しました。ちなみに野乃花では宿泊もできる。その個室を見せていただいたが、ベッドカバーに見事なキルティングがかかっているのだが、これも店主夫妻のお手製だそうだ。

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こういうモノの価値はまったくわからないのだけど、ここまでやるのは大変だったろうな、、、冗談好きなご主人に、「次回は呑みながらゆっくり話しましょう」と声を掛けていただき、お別れを。

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昼に4食、腹は膨れた。けれどもなぜかそんなに重くはない。やっぱりこの涼やかな気候と、菜食中心の献立のせいだろうか。

「じゃあね、最後にとっておきの素晴らしいお宿を紹介しますね」

と連れて行っていただいたのが、forest inn BORN〈フォレスト イン ボン〉だ。

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forest inn BORN〈フォレスト イン ボン〉

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いやー
これは、1週間くらい静かに滞在したい隠れ家である!
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うーん ここに泊まればよかったよな、、、

若旦那は、塚原のヨン様と呼ばれているそうな(笑)

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とまあ、3回にわたって書いてきたけれども、この間じつに1時間半程度(笑)4食食べて、食べないけど見せていただいたりも含めると7件くらいの施設を見学。

結論としてこの塚原には、ぜったいに再訪しようと思った。観光地としての知名度は湯布院が圧倒的に強いだろうけれども、その分、陳腐化も早いのではないだろうか。その湯布院から来るまで登ること20分程度。そこにはまだダイヤの原石のような空間が横たわっている。

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次回は、この塚原をもっとよくしたいと思っている人達の店や空間を、もっと余裕を持って廻りたいと思っている。

案内してくれた県庁の都甲さん、そして塚原観光協会の藤沢さん、どうもありがとうございました!

■塚原編 第一回と第二回
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2009/06/post_1336.html

http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2009/06/post_1341.html

12:49

2009年07月21日

素晴らしき大阪・泉州の水ナス農家二軒のポートレートをここに!

泉州の水ナスといっても、人によって、種によって、育て方によって味は全然変わるのだ。ということをイヤと言うほど思い知った一日であった。

■大和屋君子さん

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今度、説明つきで再度掲載するからね。

そしてもう一軒、僕の母の親友の息子さんの友達という繋がりで知り合うこととなった、ネット上でも有名な北野農園さん。

■北野農園

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先に挙げた大和屋さんはなんと就農9年目と年季は浅いのに、地元のJA担当者さんが「この人がダントツですわ」というレベルに。そして若き血が猛る北野君は実家の農業を継ぐ形で2年前に就農。農業がきちんと喰っていける価格帯になれば、もともと農家出身の子息達が戻ってくる。わざわざ農外の企業が参入するなんて必要なんてない。農家の子が継げば、農機具などのインフラもあるし、技術伝承もすんなりいく。

「農業ビジネス」なんてくだらないブームは早いとこ、消え去って欲しい。

あ、文字は書かないなんていいながら、書いてしまった、、、カンヅメに戻ります。

19:06

2009年07月23日

愛媛の内子町の石畳地区の文化 それは、「この辺のカレーは、イリコだしのスープでじゃこ天か竹輪が具にはいっとるンよ」。

表題の通りである。愛媛にて生産者の人たちと交流したとき、島根県の隠岐の島で「さざえカレー」というのがウケてるんだという話をした。

「その土地で、何もしないでも穫れるようなものがカレーの具になるんだ」

そしたら会のあと、数人の女性が残って僕に言ったのだ。

「あのね、うちの地区ではイリコだしをとってカレー造るんですよ。もちろんじゃこ天いれます」

うぎゃーーーーーーー食いたい!と言って、その次の次の来訪で、噂のカレーに合うことが出来た!

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「今日はじゃこ天が冷蔵庫になかったから、竹輪だけどね」

いや十分十分!

イリコだしだから、ラーメンでいえば魚介系スープベースである。ルーは市販のものだけれども実に滋味、滋味。慈しみ深い味である、、、しかも肉っ気がないからなんとも腹にもたれないのもイイ。

それにこのらっきょうが絶品。

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とてもいいものをいただきました。この石畳については、原稿が仕上がったらきちんと書きますね。

この日は大洲市の醤油蔵である梶田商店にもおじゃました。

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彼の造る醤油はいずれ、ものすごい評価を得ることになるだろう、と予言しておきたい。その彼の醤油を使って造っているという、こだわりのじゃこ天。

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身震いするほどに旨い。上品さがあるのに、意図的に粗っぽさも感じさせる。先月のJALの機内誌に載っていたのはここのじゃこ天である。

梶田くんが「大洲にもおしゃれな場所があるんですよ」と連れて行ってくれた、ほんとにおしゃれなセレクトショップ&カフェ。

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セレクトショップ SA-RAH

Sweets Cafe Ridi

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カフェを独りで切り盛りする彼女は、コーノ式(といっていたけど、ドリッパーはハリオ)でコーヒーをドリップしてくれる!

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しかも、でてくるケーキ類が実に素晴らしく美味しい!

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いま、眠くて意識がもうろうとしてるので店の名前を失念。あとでフォローしますが、惚れました、、、また行きたい。

そして、収穫直前の小麦と、生産者の太陽のような笑顔!

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来月も愛媛に行きます。もう、ずっぽり。

ということで今日はもう原稿書けねぇ、、、 明日、ていうか今日は、二時間の会議のために山形へ行きます。移動時間は往復で6時間。うーむ、、、 でも電車の中で集中して原稿書ける。よしとしよう。

じゃあ、寝ます。

02:02

2009年07月29日

高知に来ています。 短角牛に加えて褐毛和種の土佐種、ブランド名「土佐あかうし」にずっぽりはまります。

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全国的に珍しい、河川べりに展開されるあかうしの放牧場。なんとも宝のような風景。川は吉野川。

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僕が生まれた年にこのあかうしの世界に入った、れいほく畜産の中町さん。

「昔は土佐のあか牛が一番市場で人気が高かった。単純に美味しかったからだよ。」

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経産牛と去勢牛の食べ比べ。

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断然、経産牛が美味しいです。

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環境保全型農業で米ナスを栽培する窪内さん。

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米ナスにはアントシアニン色素がないので、紫ではなく黒。テリテリに輝くのが美しい。品種は県で育成したものだ。

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農薬は本当に最低限しかつかわず、ほぼ天敵の利用だけで防除をしている。ハウス内にバンカーという、天敵昆虫が棲むための環境を作り、せっせと害虫を食べてもらう。

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そしてあかうしを生産する山の上へ。

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土佐あかうしには、熊本の褐毛和種にはない特徴があって、目の下にできる「毛分け」という黒いぶち。これが土佐種の特徴なのだ。それにしても可愛い。

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澤田ご夫妻。奥さんのちえさんは僕の農業新聞に書いていた連載を熟読してくれていたそうだ。

「会えて嬉しい!」

こちらこそ!

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香り米のおにぎり、最高でした。

では、これから知事と会ってきます。

09:51

2009年08月03日

愛媛県内子町の石畳地区は、素晴らしき癒しパワーを内包した異空間!住民ひとりひとりが地域を形作るモデルケースだ!

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愛媛県大洲市のJAが、来年4月に大型直売所をオープンする。そこの立ち上げプロジェクトの仕事を今年も請け負うことになり、これから毎月のように愛媛に通うことになる。

全国には2万カ所を超える直売所があるらしい。「らしい」というのは、正式に悉皆調査をしたデータがないため、どれだけ店舗があるのか誰もわからないのだ。中には年間20億円以上販売するようなモンスター直売所もあり、百花繚乱。

直売所のビジネスモデルはなかなか興味深い。直売所の胴元は、だいたい農協か生産者の集団で、場所とレジ打ちなどの店員を確保する。そこへ生産者が直接、自分で袋詰めまでした商品を持ってくる。価格と自分のIDをバーコードシールなどに刻印し、出荷物に貼って棚に陳列するところまで自分で行う。価格は自分で自由につけるのが基本だけど、売れ残った商品は自分で持ち帰らなければならない。だから売れる品目・売れる価格帯をみなが研究する。販売手数料として、売上の7%~10%くらいを直売所に納める。市場流通だと、中間流通に30%、小売に35%ほど持って行かれてしまうけど、直売所だと手数料が安い。従って、農家には手取りが多くなり、消費者は割安に、しかも新鮮な農産物を手に入れられる。これが直売所というビジネスの概略だ。もちろんそんなに単純なものではなくて、いろんな例外があったりするのだけど、おおむねこんな感じ。

ただし、これだけ沢山あると、同一地域内での食い合いにもなっていく。事実、商圏人口に比してあきらかに直売所が多すぎる地域では、期待した売上に到達しないケースも多発している。

だからこれからは、食い合いにならない棲み分けと、その地域ならではのオリジナル商品の開発が欠かせない。

ということで、僕の会社の今回の仕事は、大洲市にできる直売所で販売するオリジナル商品の開発というのが軸なのである。いやー すごい楽しみ。だって大洲周辺には、おもいもよらぬ面白き食文化があるのだもの。

さてこの日も様々な検討をした後、いつも泊まるビジネスホテルオータではなく、隣町である内子町の石畳地区へと向かう。

(続きは下記↓をクリック)

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既報のとおりだけど、農業者むけの講話をしたときに、石畳の農家民宿のお母さん方が待ちかまえてくれて、「あのね、うちのほうではじゃこの出汁でカレーを作るんですよ。いちど食べにきて!」というのだ。そういう誘いにはとても弱い僕である。

大州・内子を走り回ってきたキャリアのウバガイ部長様も「こっちのほうはようこんのー」と首をかしげながら、どんどんと道を上っていく。かなり高度が上がったなぁ、という地点に、本日の宿泊地「石畳の宿」があった!

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この石畳の宿は、この集落に住む農家のお母さんお父さんがたが運営する農家民宿だ。知る人ぞ知る宿で、実はそんなに宣伝する必要もなく、お客さんがどんどん予約を入れてくるところ。それもそのはず、この地域は本当に魅力が一杯なのだ。

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「あー 宝泉さん!」

と市役所の河野さんが声を掛ける。この地域で産まれ、そしてこの地域をずっと守り続けている市の職員・宝泉さんである。

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日が沈まないうちに、ささっとこの石畳地区を廻らせて貰う。まず連れて行ってくれたのが水車小屋だ。

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「いやー 実はこの水車小屋、地域のみんなでこつこつと手作りしたんですよ。」

うええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ?

手作りかよ!?

実は「水車小屋ねぇ、ふうん、、、ま、綺麗だけどね」くらいに思ってみていたのだけれども、手作りだとぉおおおお? それはビックリである!

それだけではない。この辺の景観はすべて石畳に起居するみなさんがこつこつと整備し、綺麗に維持していると言うことなのだ!

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大洲周辺によくみられる屋根付き橋ももちろんある。端正な佇まいだ。

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この水車小屋周辺からさらに上に登っていくと、天空を望む山上の風景がまたとてもよい!

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弓削神社という、池の中にお社があって、そこまで屋根付き橋で渡るという、風情のある神社の佇まいが美しい。

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さてと、陽もとっぷり暮れて、メシの時間である。

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宿の部屋はまた実に渋い。もちろん古民家を移築して建てたものだ。

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さてここの食事は、地元のお母さんたちが毎日、交代しながらつくってくれるものだ。

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定番のお煮しめ

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そして愛媛ならではの、具材たっぷりのちらし寿司。

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ううむこの具材細やかな刻み加減にまぶし加減が素晴らしい。味も甘すぎず美味しい(愛媛の味付けは全体的に甘いのだ)。

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そして圧巻だったのが、山野草の天麩羅!

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「えっ そんなものまで?」とビックリするようなものが天麩羅に揚げられる。ドクダミの葉やカラスエンドウの葉から始まり、ツツジの花とか、、、これがまたどれもちゃんと特有の香りがあり、美味しく食べられる!

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そして、美味しいおうどん。

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東日本や日本海側では、山あいの町では蕎麦で〆ることが多いけど、四国ではうどんが普通だ。美味しかった、、、

あれ?しかしカレーが出てこないぞ!? 俺、じゃこで出汁をとったカレーを食べにきたんじゃなかったっけ?

「あらあらあらあら、そうだったっけねぇ、、、 センセ、明日の朝ご飯でもいいかしら?よければウチで造って持ってくるわ!」

とリーダー格のお母さんがニコニコというものだから、そりゃもう是非お願いしますということに。本日はここのスタンダードコースである。

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「じゃ、のみますか」と宝泉さん、にごり酒を出してくる。

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いきなりぞろぞろとここの集落の人達が集まりだして、寄り合いである。そう、大洲市の直売所では、この石畳の方からもいろいろと出荷していただきたいなぁ、というオルグ活動をしにきたというのも今日のミッションなのである。

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話が弾む中で非常に驚いたことがある。僕のブログの過去ログによく登場する、山形県の職員にして地域興しの達人である高橋ノブさん。この方がこの石畳によぉーーく出没しておられるのである!

「えっ ノブさんのこと知ってるの?いやぁ、彼のおかげでワシらは手打ち蕎麦屋を始めたんでねぇ、、、」

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そう、この日は営業していなかったが、休日などは一日に100食を超えることもあるという人気のそば屋が、地区内で営業されているのだ。蕎麦も自前で生産しているという猛者が、この地域にはいる。

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仕事を終えたお母さん方も集まり、ああだこうだとお話し。その中で、石畳らしい美味しさの話になった時、ちょうど素晴らしい甘味が出されたのである!

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和栗の渋皮煮。もちろんこの石畳で獲れた栗をつかったものだ。なんとこれは宝泉さんのお母様が造るもので、この地区でも名人なのだそうだ。

この渋皮煮が、もうドえらく旨いのである!

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ええいもう一段寄るぞ!

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あまりに滑らかな栗!ネットリと風味の深い栗の実が舌に絡みついてくる。甘いが、くどい甘さじゃない。んー 至福のご馳走。

「これ、すげーーーーー旨いじゃないですか!」

「あら、そう?」

と宝泉ママはニコニコ。

ここでぴーんとひらめいた。この栗の渋皮煮をつかって、誰もが食べたくなるようなある商品、つくれるじゃーん、、、その話題で30分くらい盛り上がる。うーむ面白かった!

来年4月までの間に、商品開発がうまくいったらここで公開したい。もうね、すげープレシャスなものができるはずですよ。

もう腹もパンパンだけど、餅。

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さらに、餅(笑)

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揚げた餅を、濃いめのうどんだしでいただくのが実に美味い。

こうして世は更けていったのである。そして朝!

夢に見た、じゃこで出汁をとった、ちくわが具材のカレーをいただいたのである。それも二杯、、、

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何も言うことはない。旨いですよ。愛媛には松山だけじゃなく、ものすごく宝のような地域がある。ゆったり癒しの空間を味わいたければ、大洲と内子、そして石畳へどーぞ。後悔しないと思いますよ。ただし、うまいもんの事前勉強は忘れぬよう。

16:49

2009年08月11日

昨年度の食料自給率は41%。1%上がったけれども、今年はおそらく大不作になります。では、我々はどうすべきなのか!?

平成20年度、つまり昨年度の食料自給率の数値が公表された。カロリーベースで2年前が39%、一昨年が40%ときて、昨年は41%となった。1ポイントずつではあるが、順調に自給率が向上しているように「みえる」。

■平成20年度食料自給率について
http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/fbs/pdf/point.pdf

「ようにみえる」としたのは、そんなに単純ではないからだ。

カロリーベース自給率の1ポイント上昇の要因は、

1 国内産糖(さとうきび)及び大豆の生産量が増加
2 国際価格の高騰によって一部農産物の輸入量が減少(大豆とチーズ)

したからだという。しかし実はこの中には出ていないが、米の消費量は大きく減退したという。実質的には日本全体が自給率を上げるような食生活にシフトしたわけではなく、外圧的なもので数ポイントの増減があるだけ、なのである。だから額面通りに「上がったぞ」と喜べる状況ではない。

それになにより、来年度に出る今年の自給率はほぼ間違いなく下がるはずだ。なぜか?

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今年の7月からの状況が、曇天続きで米、野菜や果物に大きな影響がでていることはご存じだろう。全国的に日照不足になっており、北海道では平年の二倍以上も降雨がある。かつ、中旬以降は記録的な低温下にあり、豆やじゃがいもなどの生育に大きな害が出ることがほぼ確実だ。

植物には、なにより日照が必要だ。積算日照・積算気温というが、一日一日太陽が出てくれる積み重ねで光合成が行われ、植物の身体ができ、実を生らせてくれる。その基本的な要素である日照がこれだけ不足している。

米に関して言えば、米穀データバンクによる7月現在での作況指数予想は96だというが、おそらくこれでは済まないだろう。出張で行った先々で「今年はヤバイ」「平成5年の大不作がふたたびくるぞ」という声を聞く。今後の天候の回復状況によっては持ち直す可能性もあるが、しかしこの台風・集中豪雨によるダメージもかなり深刻である。

つまり、今年度後半の国内での食料供給は、通常より(いや、もう「通常」なんて言葉は意味がないのかも知れない)大幅に少なくなる。そうなると、中国餃子問題などで減少していた輸入農産物の量が増大することは間違いない。それらはまずスーパー店頭ではなく業務用、つまり外食産業から入ってくる。というか、すでに輸入野菜や加工食品の利用は外食産業では一時期よりかなり増えているのですぞ。

そしてキャベツ一玉400円!とかになるに至って、スーパー各社も輸入農産物を並べ始めるだろう。「国産が高いんだからしょうがない」となるわけだ。まあそれは仕方がない。

ただし、勘違いしないで欲しいことがある。

「これだけ値上がりしてるんだから、農家は大もうけだろう」

これは間違いである。まず、収穫できている農家自体が非常に少ない。平年並みなら1000箱分の収穫がある農家が、今年は300箱しか獲れないという状況を考えればいい。単価が上がっても、絶対量が少ないから儲からない。全国的に見れば、満足に出荷できる農家自体が少ないのだから、農家ピンチがずっと続くのである。

だから逆説的だけれども、消費者ができることは、こんな状況だからこそ国産を買い支えることなのだ。

「国産高い」

と敬遠することで、輸入農産物がどんどん並ぶようになる。その価格は、それほど高くないだろう。「国産はやっぱり高いから買わない」と輸入農産物ばかり買う消費者が多くなると、市場の値動きは「よし、じゃあ輸入品並みの価格にならなければ国産は買わないよ」となる。結果、農家が再生産できない価格に追い込まれてしまう。

で、ますます農家は減るのである。すでに国内の農家は減少しているが、昨年からの不況でさらに離農が進んでいる。そして、この不作によってまた離農者が増えるだろう。そうなったら困るのは日本の消費者だ。

昨年、あるスーパー関係者に講演をした。「あんたらが食品を安く買い叩くから、日本の食がおかしくなった」と喧嘩腰に厳しい話をしたら、終わった後に社長さんがこういった。

「仰るとおりです。実は毎年契約取引をしている産地に『来年もよろしく』と言っても、『もう高齢化で栽培できないので、勘弁してください』と言われるようになってしまったんですよ!お金を出してもよい食べものが手に入らない時代がやってくる、と我々も実感しました」

と。まだ日本という国のタンス預金は尽きていないから、見た目上は食べものが余っている。けれども足下には火が付いている。日本で「飢える」という言葉にはまだ現実味がないかもしれないが、それはある日突然、目の前にやってくる大火事・大地震のようなものなのだ。

じゃあなぜ高いのに国産を買うべきだというのか。別に「高いモノを買え」と無理な注文をしているわけじゃない。考え方を変えてみよう。

安い輸入農産物を買うと、その場は「安かった」と思うかも知れないが、その半分以上は輸出国へ外貨として飛んでいってしまい、日本には残らない。その外貨をまた獲得するためには、自動車や機械などを売るしかないが、そちらのほうも世界的に減退しているわけだ。

一方、高くても青森県産のニンニク一玉250円を買えば、生産・流通・販売の各段階にお金が落ちる。そのお金は、回り回って日本国内に還流される。経済も地産地消がいいのである。

この考え方は、自分でもやもやと考えていたのを、カガヤから教えて貰ったこの本で確信を得たものだ。経済の地産地消。

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そう考えると、この日本の消費のあり方がまさにこれから試されていくような気がするのだ。

あ、そうそう、このように天候不順が続くと農産物の栽培ができなくなる。だから、これからは植物工場が有望だ! 工場内でLEDなどで栽培でき、農薬もかけなくていい植物工場がこれからの農業の主役だ! という話題が一杯出てくるだろう。しかし、そんな与太話は信用しない方がいい。たしかに植物工場にはメリットも多い。けれども、現状ではエネルギー投入と作物のアウトプットを比較すれば、非常に効率が悪い。しかも植物工場品で、文句なしにレベルが高いと言える農産物には、正直なところ出会ったことがない。

経済産業省などから補助金がでている関係で、メーカーが売り込みをかけ、農業ビジネスに参入したいという企業が群がっているため、この分野が注目されている。しかし、、、お金の無駄にならないよう、よーく検討してね、という感じだ。今の盛り上がり方をみていると、数年前に「RFIDタグを使って世界が劇的に変わる!」と喧伝され、世の中それ一色になったのを思い出してしまう。結果、そうはなっていない。

久しぶりに固い内容だったけど、今年は日本の食にとって大きな分岐点になりそうなので、今後もポツポツ書いていきたい。

20:07

2009年08月21日

島根県は長~い県。だからいろんな食材・文化が点在してる!安来市はドジョウすくいの町ではなく、楽しい食文化の町であった! その3 出雲の醤油文化は深い!そして町のシンボル・どじょうを観た

出雲で醤油といえば、井上醤油店が有名だ。僕もしばらく前まで一升瓶で買い求め使っていた。「使っていた」というのは、いま僕が気に入っているだけでも7種類くらいの醤油があるのだけど、そうすぐに使い切れないから、「お、これ美味しい!」と思っても、リピート利用するのが翌年になっちゃったりする。

そこにもう一つ銘柄が仲間入りしそうだ。

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安来市にて 大正15年から醤油と金山寺味噌を仕込んでいる、その名も「大正屋醤油店」。

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四代目・山本周作さんが蔵を案内してくれた。これまた若いぜ!

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手に持っているのは原料大豆。上げている方が国産の丸大豆で、下にあるのが小麦だ。下の写真はこの原料を蒸す大釜。

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この蔵では、いわゆる速醸ではなくきちんとした仕込みを中心に醤油造りをしている。

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「きちんとした」というと語弊があるかも知れない。醤油の近代的な製法は、もろみの発酵を促進するために様々な技術を駆使して、数週間で醤油を仕込んでしまう。お酢を一日~二日で造ってしまう速醸と同じように、醤油も短期間で仕込むわけだ。それだと、奥深いうま味成分は生まれにくく、キレはあるが後を引かない醤油になってしまう。

大正屋が目指すのは、国産の丸大豆を使用し、しっかり時間をかけてモロミの旨さを引き出す方式だ。当然時間もお金もかかるけれども、周作さんはそれに注力したいという。

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実は九州地域と同じく出雲地方でも、刺身などにつける醤油には甘味料が使われている。原材料名の表記にステビアや甘草、糖類とあるならば、その醤油の甘みはそれら甘味料に由来するものだ。

元々、こうした地域の醤油の甘さは、再仕込み醤油という技法で作られてきたものだったはずだ。再仕込み醤油というのは、当年度に仕込んだ醤油のもろみに、なんと昨年度絞った生醤油を加えて再度仕込むという、いわば濃縮バージョンの醤油。当然仕上がりはこっくり濃い風味になり、熟成によってまろやかな旨味甘みが生まれる。が、その甘みを増幅するために糖類が添加されてきたのが、いまでは最初から糖類で味をつけるようになっている。これはやっぱり問題だ。

「島根県で受け入れられている醤油もいいんですが、やっぱりそうしたものに頼らない、丸大豆と小麦から産み出された美味しい醤油を世に出していきたいと思っています」

と周作さんが力を入れているのが、丸大豆生醤油と、火入れをした丸大豆醤油だ。これと、ご自慢の金山寺味噌を味わせていただいた。

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生醤油は火入れをしていないから、瓶の中で熟成が進む、いわば活きた醤油だ。この醤油をカップに注いでチュッと口に含むが、刺すような塩分は全く感じられない。丸い、とっても丸いイメージの旨味の塊。鼻に息を通すと、意図的に芳醇さを少し押さえたような、節度のある香りがグウッと抜けていく。いや、これは佳い醤油ですよ、、、

そして美味しかったのが金山寺味噌。

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観ておわかりのように、ネットリと味噌成分が多い金山寺味噌ではなく、大豆と小麦の形がポロポロと残った中に、野菜がべっこう色に漬かっている。

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スプーンですくって口にすると、もろみのつぶつぶがしっかり食感を残していて楽しい。うーん、ペースト状の味噌で、やけに甘さが口に残るような金山寺味噌が多いなぁと思っていたけど、これはいいね。ご飯と合わせて食べたいです。

この4代目・周作さんも30代の若手だ。この調子で突き進んでいってくれると、また日本の醤油文化の幅が拡がるんだろうなぁ、ものすごく楽しみだ!ぜひ頑張ってください。

■大正屋醤油店
http://www.taishoya.jp/

 

さて

移動中、雨が降ってきた。僕は自称・晴れ男で、週アスに連載していた「旅三昧」の取材の際の晴れ率は95%以上だったのだけども、連勝記録がストップ。うーむ本当に久しぶりである。

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さてこの田んぼに囲まれた地にとつじょ何も飢えられていない池は、一体何のスペースかおわかりだろうか?僕は魚については勉強不足なのだけども、この魚種についてノウハウを持っているところも少ないだろう。 DSC_4018

ドジョウである!

安来といえば、ドジョウすくいの源流とも言われる安来節の地だが、それだけに市がドジョウの養殖に取り組んでいるのである!

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ドジョウの養殖は実はかなり難しいそうだ。何が難しいかと言えばもちろん餌の配合などを中心とした飼料設計。これがペレット状の餌だ。

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餌の形状がマッシュだとロスが大きく水質汚染になるので、ペレットを利用している。そうしたノウハウの蓄積に、実に時間がかかっているようだ。

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この方が市から生産組合へ出向されているキーパーソン。いま出先なので名刺が無くてお名前を失念!後ほど修正します!

このドジョウ、最大の出荷先はやはり関東でドジョウ鍋の有名なアノ店やコノ店。だが、かなり安く買い叩かれているらしい。日常的に家庭でドジョウを食べる習慣がもっと根付かないと、拡がらないという状況らしい。それならばさっそくドジョウを食べよう!と思ったのだけども、安来市内にもそれほどドジョウ料理を食べられる場所がない。この日も旅程にはドジョウ料理が入っていなかった。これは残念なことだ。やっぱり、食材にスポットを当てるならば、食べられる店があることが重要。次回行ったときにはドジョウ鍋食べたいですよ~

とこうして安来の時間が過ぎていくのであった。

20:31

2009年11月09日

雪降る山形村の、新井谷のおじちゃん家での暖かなひととき。 やっぱり熊の肉はこの世で最高峰に旨い肉だぜ!を再認識したのであった! その2

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素晴らしき短角牛のポトフの余韻を味わっていると、やおらマタギのウチマギさんが立ち上がる。

「熊肉、食べっか。」

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

干し肉だけじゃなくて、生肉もあるのぉおおおおおおおおおおおおおおお?

とにかく、みな知らないだろうけど、熊肉ほど旨い肉なんてないんだぜ!?興奮、興奮!

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みよこの一本肉!

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これは「背肉」だそうだ。いちばん旨いぞ、との由。丁寧に筋と薄膜を取り除く。そしてスライス。

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DSC_2936 これに清酒「久慈川」をトポポと注ぎ、しばし和える。マタギの料理だけど、実に丁寧に和える、和える。

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DSC_2941 そこへすり下ろしたニンニクを投入。

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醤油も投入して和える!

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結構長い時間をかけてニンニク酒醤油を揉み込んだのを、薪ストーブの火で炙る!

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いやぁーーーーーーーーーーーーーーーーーー

もうここから先は写真、撮ってませぬ。だって喰うのに夢中だから!

「う、うめぇ!」

「やわらっかいねぇ~」

「いままで喰った熊の中でもこりゃ別格だね」

という声が乱れ飛ぶ。お腹いっぱいになってる人達ばかりなのに、この熊肉は飛ぶように売れていく! これほどに旨い肉は、本当に出会ったことがない!

いやーうちまぎさん本当にご馳走様でした、、、

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〆は、安家地大根のおろしをのせた、あたたかな蕎麦。

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この辺の蕎麦は、豆腐と玉子をつなぎにしたもので、一度に沢山打って茹でてしまい、玉にしておいたのを、あたたかい汁に入れて温めて食べる方式のが多い。それがまた、旨い。蕎麦は茹でたて、とかどうでもいいやぁ、と思ってしまう、優しい柔らかさなのだ。

こうして世は更けていったのである、、、

20:38

2009年11月30日

大至急! 皆様のネーミングセンスをお借りしたく。愛媛県大洲市に来年4月にオープンする直売所のネーミング大募集。本日〆切なのです!

DSC_7849 僕が立ち上げを支援している、愛媛県大洲市の直売所施設のネーミング募集をしている。なんと本日月曜日が〆切なのだけど、ぜひ読者の皆様のお力もお借りしたい。いちおう、最優秀賞には10万円です。

■JA愛媛たいきの直売所ネーミング募集について
http://ja-ehimetaiki.or.jp/gyouji.php?ID=000000000046

 

僕は本当は公募というのは好きじゃない。だって、縁もゆかりもない人(その場に行ったこともない!)が、適切な名前をつけられるはずがないからだ。けど、JAなど農業関係の新商品や施設の名前は、公募でネーミング募集してその中から決める例が多い。ブランド推進会議の一員として関わった、山形県の新しい米品種である「山形97号」も、公募になった。僕は委員として、「公募でいい名前がなかったらどうするの?せめて、プロのコピーライターの案を200案くらいを同じく公募にしてください」とお願いした。で、結局最終的には、一般から寄せられた「つや姫」という名前に決まった。正直、僕の好みじゃないし、この米の特性を100%活かしているかというと疑問だ。けど、決まってしまったから仕方がない。

で、今回も公募なのだ。「公募することは告知にもなるので、、、」ということで推進されている。どうせそうなるのだったら、いい案が出るように、全国の方々に応募してもらった方が、いい案が集まる可能性がある。

と、いうことで。 本日中ですが、ネーミングを公募します。

その前に、この1年半ずっと大洲市・内子町を歩いて見聞きし、食べたもの、出会った人の写真を掲載します。そこから出てくるイメージをぜひ反映して欲しいと思う。

ポイントとしては、JAの応募ページに書いてある文言はあまり参考にしないで欲しい。その文言とは

「新しい農産物直売所は、地域の農家と消費者を結び付けると共に、農家同士、消費者同士を結ぶ「きずなの里」になることを目指しています。
また、お客様への約束として「安心品質」「安心価格」「安心食文化」の三つの安心をコンセプトに掲げ運営して行きます。」

というもの。これは無視してください。だって、いままで集まっているネーミング案はこの文言に影響されていると思うから。

ぜひ、自由な案を募集します。では、大洲の風景をば、、、

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ご応募は、ネット経由ならメールがありがたいです。下記募集ページにあるメールアドレスにお願いいたします。

■応募について
http://ja-ehimetaiki.or.jp/gyouji.php?ID=000000000046

どうぞよろしくお願いいたします!

10:46

2010年04月26日

「賢い消費者」とは、できるだけ安く買い物をする人のことではないよ。 生産者・流通業者・消費者の全てが均等に「幸せ」を享受できたときこそ、始めて日本の民度が高いといってよい時代になるんじゃないかな。

相変わらず低温傾向が続いている。各産地の農産物の生育が非常に遅れていて、野菜の価格が高騰している。でも、問題はそんなもんじゃない。この春先の異常低温は、夏秋冬に収穫できる農産物にも大きな影響をもたらす。今年度は果樹に関しては莫大な損害が出るかもしれない。

どんなに技術が進歩しても、中・長期的に天気をコントロールすることはできない。気温が低ければ暖房を焚けばいいじゃないか、というけど、屋外の露地栽培では無理だし、ハウス内では「加温機」という機械を使って火を入れることで調整できるが、非常に高いコストがかかってしまう。そのコストを乗せた価格を、ただでさえ野菜が高いという消費者がちゃんと払うのだろうか?

野菜が高い!と言うが、これまでずっと野菜の価格は安かったのだ。90年代後半から野菜の価格はほとんど変わらず、それどころか右肩下がりなのだ。それが、すこし高騰したからといって「高い」「買えない」というのはちょっと不自然だ。「買えない」という言葉はすくなくとも、生産と流通の現場からみればちょっとのみにくい。

固定電話を家族で共有していた時代から、携帯電話の時代になり、世帯当たりの通信費用は数倍になった。それは「仕方がない」としながら、日々の身体を作ってくれる食べ物の価格が50円値上がりしたくらいで「買えない」というのはあまりにオーバーな話だ。

消費者さえよければいい、という発想が、この国の製品・サービスをますます低いものにしてしまうと思う。

さて、先日の記事への反応。ある県の農林部の職員さんだ。

さて、
ブログ読ませていただいております。

野菜価格の高騰は、東京だけでなく○○県でもすごいものですが、
ここ○○○では離島と言うこともあってさらにひどい状態です。

キャベツが高いからもやしが人気などという話を聞くと
無理にキャベツ食べなくても死にはせんし、
昔なら漬け物でも食ってしのいだに違いないと思ってしまします。

保存の利く野菜はともかく、ナスやピーマンは今の時期のものじゃないし、
やたらと旬でない食べ物まで高いとか騒いで、

国内外から余るほど仕入れて、価格を抑えておいて
足らなくなると上がるのが経済の大原則なのに
一々騒ぐことは、滑稽ですらあります。

こういう機会に自然の恵みである食物に感謝することを考えるべきです。
マスコミは、そういうことを国民に伝える視点が必要ではないでしょうか?

なんて、言っておりますが、アイスランドの火山灰が成層圏にまで上がると
今度は、局所的被害ですまなくなるのではないかと
冷夏や日照不足が起こらないとも限りません。

自然の力の前に無力な人間ですが、いざそういう事態になれば、
農業技術者として対応できるようにしておかなければなりません。

少し脱線しましたが、
生産を安定させ、天候不順の時でも対応できる生産体制を築くためには、
生産者の経費に見合う価格で仕入、販売するような仕組み作りが必要です。

やはり、日本の食は安すぎるのですね・・・

 

こちらはとある仲卸さんからのものだ。

 

最近のやまけんさんのブログでも何回か取り上げられていますが、
今回の野菜相場の高騰に対する農水省や量販店の対応は、
あまりに酷いですね・・・。
今日の農業新聞にも、農水大臣がイオンの店舗を視察して、
さらなる規格外野菜の販売推進を要請したとの記事が出ていますが、
どういった問題が起こっているのか、本当に理解されているのか、甚だ疑問です

胡瓜が良い例なんですが、最近、量販店や生協では、
曲がり胡瓜や不揃い胡瓜と称して、優品や良品を販売されているのですが、
今の胡瓜は秀品率が約90%です
その為、当然大口の出荷要請には優品や良品で出荷できるわけがなく、
優品や良品の使用を前提とした納品価格で、
赤字を出して秀品を我々流通業者が納品しているのが現状
です。

さらに、優品や良品を出荷しても、品質検査の名の元に、
曲がり方が酷い胡瓜に関しては、不良品として返品されるという、
???な対応をする量販店もあります。

また、大手量販店が揃って、野菜の緊急値下げ等を実施していますが、
これも自社の努力で実施している会社もあるでしょうが、
納入業者に負担を強いている会社も多数あります。

こういった現状を知らないで、選挙対策の為か、
その場だけの一般受けの良い対応に終始する今の政治には、
本当に疑問を感じます。
これを機会に、やまけんさんが言われているように、
国民一人一人が、食べ物の価値を、もう一度考え直してくれると良いのですが・・・。

専門用語が出てくるので解説しよう。

規格外野菜の販売推進というのは、通常ならスーパー等には出回らない、曲がりが酷かったり見た目の悪い野菜も、この高騰時は取引するようにという提言を農水大臣がしたということだ。

規格外野菜のことはこれまでもよく採り上げられているが、マスメディアも含め、誤解している人が多い。というのは、多くの論調が「これまで捨てられていた規格外野菜を有効活用する」という言い方をしていて、消費者も「ああ、規格外野菜を買って上げると農家が喜ぶのね」という意識で受け入れている。これは大間違いだ。

規格外の商品も、基本的には市場に出荷され、さまざまな取引先へ格安で販売される。例えば100円ショップとかね。ただし、仲卸さんの文中に「秀品率が90%」とあるように、最近の野菜生産技術は高度化しているので、曲がりのないもの、見た目のよいものが90%以上になっている。つまり、規格外の野菜なんて、市場流通の中ではそんなに出てこないのだ。

しかし、スーパーでは目玉企画として規格外品販売をしたい。そこで、「規格外品を50ケース!」というような買い方をしようとする。しかし、規格外品ばかりそんなに都合よく集まるはずがない。その場合、仲卸としては高く売るべき規格品を規格外品として販売するのである。

「そんなことしなければいいのに」

というのは、今日の取引における力関係を知らない人だ。昔とは違い、いまはスーパーや外食と言った購買側企業が全てのパワーを把握している。スーパーが「この単価でこれだけ持ってこい」といえば、あらがうことは出来ない。もし「無理です」「欠品します」ということになったら、なんと「欠品下分、売上を補償しろ」と言われかねない。欠品補償とは、つまり「売れたかもしれない分、お前が支払え」ということだ。

無ければ無いでいいじゃないか

そういう自然が通用しないのが今の取引なのである。

そして最近、イオンやイトーヨーカドーが揃って値下げをしているけれども、上で仲卸さんが書いているように、スーパー側の利益を減らすのではなく、取引先を叩いて値下げを実現していることもある。

 

とそういうワケなんだけど、「いいんだよ消費者が安ければ!」とか、「これまでさんざん税金で優遇されてきたんだから、生産者は守らなくていい」とかいう輩はまだまだ居る。とくに最近、山下一仁さんとか、自給率について書いている浅川さんなどの論客が活躍しているので、「農業は保護しないでいいんじゃん」と早とちりしている連中も多いはずだ。

けどね、農業を巡る論壇にも右と左が居る。どちらもバランスよく情報を摂取した上で判断してくれないと困る。極左の意見をもって「これが正しいんでしょ?」といわれても、、、という感じだ。

でも右でも左でもなく、ひとつの真実がある。それは先にも書いたとおり

「自然には逆らえない」

ということである。そして農業は、自然と寄り添うものだ。

高い野菜が嫌だと言う人は、自然環境が悪化する要因を身の回りで探してみよう。その要因が、自分が生み出したものであるかどうかを考えてみよう。もし、自分もその悪化に荷担していると感じたなら、ぜひ自分が自然環境が正常化するために何を出来るだろうかということを考えるところから始めてみよう。それがひいては安定した価格での食料供給に繋がるのだから。

いまさっき宮崎に着きました。水曜日までフル回転です。

13:24