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2005年09月09日

宮崎県西都市のアップルマンゴー・ピーマン農家さんへ義援金を送りたい。

宮崎県西都市のアップルマンゴーのエントリを見て、実際に取り寄せて食べた人は多かったと思う。美味しかったでしょう?

■宮崎マンゴー大襲来 あと少しで旬が終わる!http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2005/06/post_566.html

ずっしりと重く、香しいルビーの玉。これを育てるためには、ハウスを建ててマンゴーの木を定植し、気温の低い時期は重油のボイラーを焚き、というように百~千万単位の莫大な投資をしなければならない。このアップルマンゴーが一玉2000円~3000円、高いという人もいるが、あの味を出すには相応のコストがかかっている。

その産地は今、大変な苦境に陥っている。先日の台風は、例年以上に凄まじく農村を破壊した。宮崎の弟分、沼口君からの便りだ。

アニキ

電話見舞い有難うございました。

台風一過から、JA、市役所、普及センターの3機関で災害状況調査を行いました。台風の影響は風害よりも水害がひどくて、5箇所以上の堤防が決壊したみたいです。それによって多くの家屋浸水と土砂によるハウス倒壊が発生しました。残念なことに同市では避難し遅れた2名の方が命を失いました。


農業被害はマンゴーハウス(西都市の二つの地域に集まっている)が水没し、約3ヘクタール位は損害をこうむりました。10aあたり1千万以上する施設も濁流の水圧によって鉄骨が歪んでしまいました。来年の収穫見込みは全く検討もつかないようです。

施設野菜はハウスピーマンの苗の水没、ハウスの倒壊が見られ、風によって飛ばされるのを防ぐために満タンにしていた重油タンクが水没したため、その比重によって重油が周辺集落に流れ出てしまいました。悪臭が酷く、しばらくは周辺の住民が悩まされるのではないかと思います。


その他、露地野菜は胡瓜が数割被害を受け、ジュース用の加工人参は芽が出たばかりでほぼ壊滅状態と悲惨です。

今日、マンゴーハウスの状態を見に行ったところ、アニキの披露宴にマンゴーを快く提供してくれたマンゴー部会長のハウスも完全に倒壊し、呆然としてしまいました。私たちが出来ることは生産者への励ましや、災害復興のお手伝いですが、それすら十分に出来ない状況です。

可能であれば、アニキのブログで義援金を募って頂きたいと思ったのですが、そちらの都合などもあろうかと思いますので、また返事でも頂ければと思います。

近年、大きな地震など災害の絶えない国内ですが、こんな状況を目の当たりにするのは鹿児島水害依頼でした。今回はチョット悲惨です。添付写真はマンゴーハウスの被害状況です。近くに行っての写真撮影は気分的に出来ませんでした。

それではまた

この便りの他、僕が責任編集している農業用センサーのブログ「agrisensor」にも、彼のレポートを掲載しているので合わせてご覧いただきたい。

■agrisensor
宮崎県西都市より 『ハウスの土を測定してみました、だがしかし!(その2)』
http://blog.agrisensor.org/archives/2005/09/post_9.html

文中にもあるように、沼口君は僕の披露パーティに、最高級マンゴー15kgも届けてくれた。あっという間に来場者の口の中に消えてしまったそのマンゴーを育ててくれた部会長さんのハウスも倒壊しているという。おそらく、先日ぼくを宮崎に呼んでくれたピーマン農家の菅原さんのハウスも大変なことになっているだろう。

僕はあまりWeb上での被災支援等に真剣に向き合ってこなかった。しかしこれは人生で縁が出来た人への、最低限やるべきことだと思う。マンゴー部会、そしてピーマンの生産者さんへの義援金を、何らかの形で届けたいと思う。このWebサイトを見ている方でも、応援したいという方は、ぜひご協力をお願いします。

そこで読者さんの中で知っている方にお聞きしたいのですが、義援金をどこかの口座に安全に振り込んでもらう仕組みってあるのでしょうか。私の個人口座?それとも現地の人の口座?もっと客観的な口座があった方がいいと思うのですが、、、そういう個人口座以外の形で義援金を募る仕組みってあるのでしょうか。ご存じの方、教えて頂ければ幸いです。

口座等がきちんとでき次第、告知をさせて頂きたいと思います。
かといって、これは私の個人的動機から行うものですから、あくまで宮崎のマンゴー、ピーマンに少しでも愛情を感じて、なにか応援したいと思っている方のみ、ご賛同いただければと思います。

日本の農業が衰退していく中、「日本でコストが合わないなら海外から輸入をすればいい」という人も居ると思います。でも、海外から輸入したら、日本の円は海外に行ってしまって返ってこない。日本の生産者が作る農水畜産物を食べることは、日本の中でお金を環流させていくことでもあります。だから僕は日本の第一次産業に対して可能な限り応援をしていきたいと思っています。少なくとも、台風の爪痕・農業の厳しさを見ておくことは、消費の側に身を置く人たちにも意味のあることだと思っています。

では。

2005年09月14日

宮崎県西都市のマンゴー部会に義援金を。

読者様 しばらくこのエントリをトップに掲載させていただきます。 (やまけんより)
先のエントリにも書いたとおり、過去にこのブログでも採りあげた、宮崎県の極上アップルマンゴーの生産者の皆さんへの義援金を、私的に送りたいと思います。志を同じくする方は、ぜひご一緒しましょう。なお、どのように先方にお渡ししたかというところまできちんとこのブログでお伝えします。

実は宮崎県内の農業関係者の間でも、マンゴーハウスの惨状はあまり伝わっていなかったようで、僕のエントリをみて、あまりのひどさに呆然とされた方が多かったそうです。こうした農村の被害については、マスコミの報道も一部分になってしまうので(仕方のないことですが)その惨状は暫くすると記憶の彼方へと忘却されがちです。

しかし本当の被害はこれからなのですね。

(お話し続きは下記↓をクリックしてくださいね)

今回被害にあったハウスは、マンゴー農家さんが、10aにつき1千万円かけて作った物です。その資金は農協や県の助成などから借りている訳ですが、当然、毎年のマンゴーの売上げから返していかなければならないものです。来年度以降、本当に返していけるアテがあるのかどうか、今の段階では何とも言えない状況なのです。だって、復興するにはまた10aあたり1千万ちかく必要になるのだから、、、

農業の大変なところは、このように設備投資がかかるということです。工業の設備であれば、台風に負けないがっちりとした施設を組めますが、農業施設とくにハウスは、ビニールハウスなど自然のエネルギーを得ることも必要なため、強度はそれほど高くないことが宿命づけられています。また工業製品に比べると、農産物の価格は市況に合わせて乱高下するため、安定した収入を得ることが非常に難しい。しかも最近では「乱高下」はなく、「乱下」しかないのです。100円ショップで野菜が買えると知った消費者は、野菜も100円が標準価格だ、と思ってしまう。従って市場にはこれから一層の下げ圧力がかかるからです。これでは農家は収益を得ることが不可能です。

ということで、実は今回の義援金をお渡ししたとしても、マンゴー部会長さんが来年も生産を行うことができるかどうかはわからない。そのことはお伝えしておきます。でも僕は、彼ら彼女らを応援する都市部の人間が居るということを、志として伝えたいために、義援金を送ります。

僕のブログではたまにこうしたシリアスなネタも混ぜてきましたが、今後も不定期に書いていきたいと思います。いよいよこの国の農業の形が大きく変わらざるを得なくなってきているからです。読みたくない人は飛ばして下されば幸い。


で、義援金についてご賛同いただける方は、こちら↓をお読み下さいネ。

義援金の口座ですが、いろいろ考えたのですが新しい口座を作る時間的余裕がないので、とりあえず私の銀行口座に振り込みをしていただくことにしました。アドバイスを下さった皆様、ありがとうございました!

東京三菱銀行 新橋支店 
普通口座 4448027
口座名義 山本謙治

です。

つきましては、「振り込んだよ」というメールをkuidaore@goodtables.jpまで送って下さい。差し支えなければ、お名前のみを先方にお知らせします。お名前を先方にお伝えしていいかどうかもお伝え下さい。

では、よろしくお願いします!

2005年09月26日

宮崎県西都市のマンゴー部会長さんに、義援金が手渡されました。

表題の件で奔走している、西都市農協の沼口君から連絡が来たので、下記掲示します。
今回の義援金にご協力いただいた方々には、心から厚く御礼申し上げます。
そして農村・農業という不確実性に翻弄される産業に対して、今後も継続的にご関心と意志を持っていただければ、これほど嬉しいことはありません。

マンゴー部会が来年以降どうなるかわかりませんが、その道のりは不定期にここでレポートしていきたいと思います。どうか今後も意識をつないでいただければと思います。

では、以下沼口君からのメッセージです。

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アニキへ

先日、島地部会長の都合に合わせて義援金を渡しに行ってきました。その顛末を報告いたします。


『義援金に協力して頂いた方々へ心から感謝の意を…』

謹啓 台風14号にて被災した宮崎県西都市マンゴー部会の方々へ義援金をご協力頂き誠に有難うございました。先日、マンゴー部会長の島地良次さんに皆様より預かった義援金を渡して参りました。台風被災その後の状況とともに報告させて頂きたいと思います。

~義援金を渡した当日~
実は被災した数々のマンゴーハウスの内、島地部会長のハウスは全壊したハウスの1つでした。堤防が決壊して溢れ出た土石流が押し寄せ、その水圧は完全に彼のハウス倒壊させてしまったのです。そのため、彼のハウスはいまだ手付かずの状況であり、精神的にも落ち着けない状態が続いているのでは無いかと車中で思いながら、彼のもとに車を走らせました。島地部会長は2箇所でマンゴーを栽培しており、あと1箇所は被災を免れていました。

彼は被災を免れたハウスで奥さんとともに防除作業をされている最中で、2週間ぶりにハウスに入れたと言ってましたが、快く作業を止めて頂き、話をする事が出来ました。

彼はマンゴー部会長という立場であるため、台風被災後は生産者への支援活動を指揮する傍ら、行政への災害助成金など要請活動をずっと続けられているようでした。

マンゴーは亜熱帯作物であるため、寒さにあうと枯れてしまいます。寒くなるまでには生き残ったハウスの復旧を終えなければなりません。そのため、行政支援をお願いして一刻も早く復旧を終えるしかないとのことでした。そのためにはあまり時間が残されていないと心配していました。

私は都会に住む方々から多くの支援が寄せられたことを彼に伝えました。被災した方の殆どが何から手を付ければ良いのか分からない状況であり、部会長自身もそのような気持ちが続いてるようでした。ここは気持ちをシンプルにして『来年もマンゴーを届けたいっ!』この気持ちで乗り越えましょうと励ますことしか出来ませんでした。
bukaichou2.jpg

今回、山本氏により集めて頂いた義援金はあくまで個人的な繋がりで成り立っていることを伝えると凄くビックリされていました。また、多くの方がマンゴーを楽しみに待ってますョと重ねてお伝えした次第です。
被災後、ため息が止まらないと仰ってた奥さんは、この義援金の話を聞きながら部会長の隣でニコッとされたのが凄く印象的でした。近いうちにマンゴー部会全員の集会を行う予定で、その場で生産者全員に報告させて頂きますとのことでした。心から感謝の意とともに来年に向けて出来る限りの復興に努めていきますとのことです。

※写真は当日の写真です。島地部会長夫婦です。

今回、山本氏のブログの場をお借りして義援金に協力して頂いた皆様方、お見舞いの言葉を頂いた方々には厚く御礼申しあげます。また、今後の復興状況はこの山本氏のブログを通じて随時、報告させて頂きたいと思います。来年の生産量は定かではない状態ですが、必ず復活すると思います。それではまた。     

敬具

沼口明典より

2006年04月27日

河北新聞の「ニッポン開墾」に

宮城県を中心に、東北でかなりのシェアを誇る新聞社「河北新報」の特集記事である「ニッポン開墾」で、僕のところに取材に来て頂いた。その内容が記事になっている。本日紙面が届いたが、Webにもアップされていた。関心のある方は観て下さいね。

http://blog.kahoku.co.jp/kaikon/archives/2006/04/post_63.html#more

このこっぱずかしい写真は、事務所のある八重洲の通りで、意味もなくノートPCを拡げ(しかもステッカーが恥ずかしい)話をしている僕である。滑稽だ、、、

2006年07月20日

信濃川の氾濫の沈静と小林さんの畑の復旧を願う

長岡のジンからショックなニュースが飛び込んできた。

ここ連日の雨で信濃川が警戒水域を超え、河川敷の畑・水田は残らず冠水しました。 もう解除されましたが信濃川に架かる長生橋も通行止めになってたくらいですから、近年では珍しいくらいの増水です。

小林さんの畑はちょっと高い位置にあるのですが、完全に水没してます。
今日で水が引けばまだ何とかなるかもしれませんが、当分巾着ナスは絶望的です。

なんと、数エントリ前で書いた小林さんの畑が完全に水没してしまったということなのだ、、、
ナスは生命力が強いので、すぐに水が引いて太陽がでれば、樹勢が回復すると思うのだが、どうだろうか。もしかすると、小林さんの今年の巾着茄子の収穫が、もうゼロということもありうる。これが自然に隣接する環境で営む農業の恐ろしさなのだ。農家は常に、1かゼロかの瀬戸際にいる。

小林さんの畑が復旧することを心から祈っています。もし復旧したら、新潟県外にも通販をしてくださいね。ジン、続報を待っています。

08:52 | TrackBack

2006年12月14日

白菜や大根、産地廃棄を「よくない! なんとかしたい!」と思うなら、、、一つだけ方法がある。

IMG_2915.JPG
熱は相変わらず下がらない。うーん、、、視界がボヤッとするのが非常につらい。
でも少しだけ鼻が通るようになったので、夕食のおかずの香りがきちんと味わえた!これだけでもかなり前進。昨日のおかずは白菜と豚肉の重ね蒸し、これをポン酢で食べるのだけども、あまりに白菜が旨いので何もつけずに何口も食べてしまった! 当然だ、白菜は今年、最適な栽培条件の中でたっぷりの太陽光を浴びて育ったのだから、、、

白菜は今年、買いなのだ。

さて
実は2週間ほど前、いきなりあるラジオ局の番組から電話があり、インタビューを録音することになった。テーマは「大根や白菜を産地で廃棄しているっていうけれど、どうなの?」ということだ。アナウンサーの男性に繋がると、こんな感じのやりとりになった。

「いやねぇ、白菜も大根も美味しいじゃありませんか。なんで廃棄なんてしちゃうんだろう?」

(山)「そうですねもったいないですが、出荷される量に比して買われる量が少ない場合には、市場原理で価格が下がってしまうんですよ。今年後半は天候がかなり理想的に推移したので、収穫量が増加してしまったんですね。しかも暖冬気味(当時)なので、鍋物需要が動かないのか、売れないんですよ。そうなると、産地としては出荷しても赤字になるだけなので、収穫を手控えるんです。」

「うーん わかりますけどねぇ。 でも食べ物ですよぉ。 生産者はなんとも思わないんですか!?」

あ、来た! こういう質問をしてくる人たちの常套手段だ。生産者に責任や悪役を押しつけようとしている。申し訳ないがこういう手合いには荷担できないのだ。

(山)「いや、悔しいに決まってるでしょ。あのですね。生産者さんがいちばん困ってるし悲しいんですよ。自分が生産したものが販売できないんだから。でもね、いま出荷しても、市場までの運賃や箱代にもならないんですよ。出荷するだけ損をするんです。生産者を責めるのはおかしいですよ。」

「うーん そうですか、、、 でもね、漬物にするとかできないの? 白菜の漬け物、美味しいでしょ?」

(山)「産地では大量に白菜が出来ているわけですから、個人的に漬物にするくらいじゃ無くなりませんね。漬物業者はいま、フル稼働で生産していると思いますよ。けど、生の白菜が売れていないのに、白菜の漬物が売れるってこと、ありますかね?問題解決にはならないんですよ、、、」

「それとか、困ってる人にあげるとか、、、」

うわーーーーー 出た!
究極のキーワードである。

(山)「ええとですね、困っている人に届けるという役目を誰がやってくれるのか、ということが問題になりますね。段ボールに詰めて出荷するだけでも赤字になるというのがいまの状態です。で、困っている人にあげるというコストを、産地にもてというのでしょうか。難しいと思いますよ。」

「うーん じゃあどうすればいいんでしょうか?」

そして僕は、彼や番組制作者さんがおそらく予想していなかった、そしてあまり望ましくない答えを述べるのだった。想像通り、「なるほどぉ!それは名案ですね!」とは言われなかった。

そして先日、ある大学で農業の今後に関する講演をしたときのことだ。ある男子学生が僕のところに来て、義憤に満ちた顔で、さきのアナウンサーのような質問をしてくれた。

「困っている人にあげるとか、どこかに送るとかできないんですか?」

(山)「それにかかる予算を誰がお金出したらいいと思う?」

「うーん、、、国とか、、、」

彼にも僕はある答えを述べた。 「うーーーん」 といいながら彼は頷いて帰って行った。
ちなみに彼は真摯な態度。さすが加藤先生の大学の生徒であると思った。

さて
そうしてさきほどある新聞社から、同様の質問が来たのである。熱があって上手くはなせないので明日以降にしてくださいと連絡したのであった。


さて
産地で大量に野菜が廃棄されているというニュースを見ている人は多いだろう。トラクターなどで潰される野菜の映像をみて、胸の内で「食べ物が廃棄されるなんてもったいない」と思う、これは至極当然のことだ。僕も悲しくなる。

しかし問題は、その悲しみが、あらぬ方向へ怒りとなって向くことが多いことだ。そして、生産している側に矛先が向くことが非常に多い。

「農家はいったいなにをしているんだ!」

そして先ほどのやりとりのような話になるのだ。
しかし、農家の立場は先に書いたとおりだ。彼らが一番苦しいのだから、そうやって責めることは全くなんにもポジティブな結果を生まない。

ちなみに農家がなぜ廃棄しているかというと、農水省が定める重要野菜緊急需給調整事業における処理だ。ごくごく簡単に省略して説明するが、国として定めた野菜の重要品目というのがある。国民生活上、この野菜が一気になくなったらマズイだろう、という品目群で、とうぜん大根とキャベツも入っている。

この法律では、その重要野菜の需給が逼迫、つまり不作で市場である程度以上の高値をつけるほどになった場合(数年前にキャベツが異常な高値になった、ああいう場合)には、事業に参加する農家に補助金で補填をするので、安く市場に放出するようにということになる。

そして今年はその逆だ。農家が、まったく生活できないほどのダメージになるくらいの安値が市場でついてしまった場合、廃棄処分をすることで需給を調整し、農家には補填金が交付されるというものだ。ただしその交付金で食っていけるというレベルの高額なものではない。農水省のWebなどに事業の内容があるので、関心のある人は読んでみるといいだろう。

農家の仕事では、毎月定収入が入ってくるということはありえない。
米の生産なんざ、一年に一回しか収穫できないわけだから、収入のタイミングも一年一回なのだ。それではあまりに大変だから、農協という組織が前渡し金というのを払い、米を収穫・販売したときにそこから差し引くという制度ができているのだ。

キャベツや大根が、今年のように豊作になりすぎると、一作分を放棄することになる。最近の産地は巨大化しているから、その年キャベツがダメならもう後半の収入はほぼ無しという人だっているかも知れない。そうした人たちが泣く泣く潰すのがあの光景なのだ。それを理解して欲しい。

残念ながら現在の科学では、今年が不作になるか豊作になるかということを予測することは不可能だ。半年先の天気予報がビシッと当たるようになればこんなことは回避できることになるだろう。だから産地廃棄をイヤだと思う人は素晴らしい気象予報士になってください。

で、 消費者ができる、産地廃棄をなくすための方法が、一つある。 それは誰にでも可能なことだ。

それは、、、


白菜や大根等、豊作になっているものを、いつもなら一つ買うところを2つ買うこと。


だ。

ずっこけた人もいるだろうが、、、
そもそも 野菜の価格は需給のバランスによって決まる。買う人がいないからこのようなことになっているのだ。だから、今年は積極的に白菜と大根を食べまくって欲しい。実はそれが最良の方法なのだ。

でもきっとこういわれるだろう。

「一人(または二人)暮らしなのに大根2本、白菜2個なんて食べきれない!」

「料理をする暇なんか無い!」

「余らせて腐らせちゃう、、、」

と仰るなら、産地廃棄という行為を憎む矛先を、自分にも向ける必要があるのではないだろうか。

食べきれなくても買うことによって支えられるものがあるのだ。
家で腐ってしまった白菜は、でも産地で腐るよりも尊い。生産者にいくばくかのお金が渡るからだ。
そして、「白菜一個売れた」という実績が、スーパーなどのPOSデータに残る。
10万人の消費者が、いつもより余計に白菜を1つ多く買えば、10万個の白菜消費になり、絶望していた市場が活性化する可能性がある。

また、「料理をしないから」というのが実に難しい問題だ。

実は白菜や大根が売れ残るのは豊作だからというだけではない。料理をする家庭が減り、大根一本、白菜一個という単位で買い求める家庭が無くなってきているからということが大きいのだ。今、東京圏で白菜を丸ごと売っているスーパーは少ない。半分もいい方で、1/4カット、悪くすると1/8カットが主流だろう。
最近の主婦は「食材が余るともったいない」という感覚が強くなってきているそうだ。僕からすれば、余ったら翌日のおかずに回すか、白菜なら塩をふって浅漬けにすればいいじゃん、と思うのだが、そう言うことを実行する人はあまりいないらしい。

ということで丸ごとの野菜が売れていないのだ。外食・中食を自分の食の中心にしていると、どんなに野菜メニューを中心にとっても、野菜を食べる量は知れている。野菜をたっぷり食べる、と言う行為は、究極的には家庭でしか為し得ないことだと僕は思う。

料理といったって、この時期には「鍋」という方法がある。白菜と大根と豚肉だけで鍋は成立するではないか。

それに白菜や大根を漬物にするのは死ぬほど簡単だ。でかいボウルか綺麗なバケツに、重量の3%の塩をふった白菜・大根を入れて、上に重しを載せておいておくだけだ。日の当たらないベランダに置いておけば温度もちょうどいい。

、、、と一気に書いていて疲れてしまったのでこの辺にするが、とにかく産地廃棄をよくないと思う人がいたら、その品目を少しでも多く食べて欲しい。根本的にはそれ以外の方法はない、と僕は思っています。

日本の農業生産者は凄まじい勢いで減少しつつある。儲からないんだから当然だ。このままいくとおそらく10年後、国産農産物というものがすごい高嶺の花になり、他国の野菜や穀物ばかり並んだスーパーばかりになる。たしか日本人は、BSE騒動や鳥インフルエンザ騒動の時に「食の安全を!」と叫んだはずだ。

あれは幻だったんだろうか? そうでないと思いたい。

17:17 | TrackBack

2006年12月18日

悲しい知らせ。山形県の蕎麦文化向上に人生を捧げた蕎麦の神様が逝く。ご冥福を祈ります。

僕も大好きな山形県の蕎麦を、質のいいそば粉を供給するということから支え続けた”神様”がいる。いや、居た。

鈴木製粉所の鈴木彦一社長さんが、12月11日に亡くなられた。享年68歳、まだ早い、、、心からご冥福を祈ります。

山形にて、鈴木さんにお会いしに行ったエントリは下記。ぜひご覧ください。

■山形遊行編その2 幻の蕎麦を幻の達人の手で打っていただいた!「蕎麦打ち虎の穴」の巻
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2004/02/post_155.html

山形蕎麦の関係者さんから、異口同音に聴くのが、鈴木製粉がなければ山形県の蕎麦の質と、技術向上はなかっただろうということだ。鈴木さんは、一般向けには決して蕎麦を打たないという。製粉所という立場上、お客さんは蕎麦業者さんとなる。その蕎麦業者さんを飛び越えて消費者に蕎麦を打つことは営業妨害になるから、ということらしい。

そして鈴木さんは蕎麦屋の有志に、蕎麦打ちを教えていた。つまり彼は、そば屋に技術を教えるという、蕎麦の超グランドマスターだということになる。僕が先のエントリにあるように、素人ながら教えていただいたことが行幸だと思う。江戸前のその技術で打たれたその蕎麦を、僕は都合4枚くらい食べた。それまでに、自分や同行の人たちが売った蕎麦を5枚食べていた。食べ比べてみて愕然とした。粉もなにもかも同じなのに、打ち方だけでこんなにも、香りのほどけ方や舌触り、全体の印象が変わるものなのか、、、

まさに神業を見た思いだった。

最後までひょうひょうと力み無く、そして淡々と対応してくださった鈴木さんに、改めて感謝を捧げたい。
生前の鈴木さんの蕎麦を食べることの出来たことを幸運に思う。

心からご冥福を祈ります。天国でも素晴らしい蕎麦を打ってください。

19:14 | TrackBack

2008年03月24日

そろそろ日本の農業を守るということについて、真剣に書いていこうと思う。 世界では、食料の輸出をストップする国がたくさん出てきているということをご存じですか?

めでたく本も出たので、これまで出版までは封じていた、時事問題とくに農業関連のお話を書き進めていきたいと思う。僕の新しい本のタイトルは「日本の「食」は安すぎる」というものだ。
このタイトルに僕はどういう意味を込めているのか。
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最近、食の安全関連の本がよく見かけられるようになったが、その多くが「どうすれば安全な食品を、、、」とか「○○○はいけない」とかそういう内容であるようだ。それらの本は無意識的に「消費者のために世の中をどうすればいいか」を書いているように感じられる。

しかし、そういうアプローチは世の中を何も変え得ないのではないか、と思う。
つまり、これから必要なのは「消費者どのように変わるべきか」ということなのではないか、と問いたいのだ。

その一番わかりやすいアプローチが「価格」だ。

日本の食品の価格は、実は世界的にみても、安いといえるかどうかはともかく、「高くはない」といえる。よく、諸外国の物価と比較して、日本の食品が高いということが言われるが、年収や家計費との食費の関連でみていくと、実はそれほど「高い」とはいえないはずだ。

それに、ここ10数年の食品価格は明らかに安かったと思う。それは、内外価格差で安く買うことができる輸入食品が原材料になることで実現しえた価格だからだ。その辺は改めて言うまでもないと思う。
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しかし、状況は変わった。

・いままで輸入していた先、つまり輸出国の力が相対的に強くなってきている。
・また、国際的に原油と穀物の価格が上昇している。

これによって、今までのような安い価格では食品を製造販売することができなくなっている。
日本の食品は、原油と輸入穀物にかなり依存している。たとえば日本の畜産は8割以上の飼料を外国に依存しているのである。それら輸入原料が高騰することで、原価が上がっている。
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しかし消費者はこれまでの価格(輸入品ベースで安くなった価格)をゼロと考える。輸入品がたとえば30円上がったとすれば、ゼロ+30円と考えるだろう。けれども実際は、国産コストは輸入品より高いため、ゼロではなくたとえば20円程度の元々のコストがかかっている。これに高騰分を足して50円でようやく元がとれるということになる。しかし、それを理解する消費者がどのくらいいるだろうか。

そうした考え方から、スーパーなども価格をなんとか据え置きにしようと、メーカーや納品業者に対して強いプレッシャー(価格を上げるなという)をかけている。そのプレッシャーに勝てず、もうやっていけないと廃業するメーカー、生産者は非常に多い。日配品、たとえば豆腐や納豆の業界はひどいもので、10年前の業界の顔ぶれが相当に変わってしまったという話だ。

本でも書いているけれども、そんな追い詰められたメーカーや生産者が、まじめに安全な食を作り続けるということを遵守できるだろうか?彼らからすれば、正当な価格を支払ってくれない非情な顧客に、そんな義理を立てる必要があるのか?と思うのではないだろうか。

そう、安全なものを求めることは庶民の権利だ。
でも、安全なものを作る人たちを支えることは庶民の義務なのではないか。

だから、まず「日本の食をなんとかしたい」と思うのであれば、まずは純粋に「価格を上げる」ということころから始めなければならない。それを実行できるのは消費者しかいないのである。
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すくなくとも日本の食を考えるということであれば、ここらへんを出発点とするのが妥当だと思う。そんなことを細かく書いたのが僕の本である。

もちろん、ここへ来て株価の話やら社会格差とかいろんな話が出てきているので、日本という国を総合的に考えなければならない。が、あまりにも一般の空気が「消費者は保護されるべき存在」のままなので、あえて本書をぶつける次第だ。

ちょっと話題を変える。
日本農業新聞という新聞をご存じだろうか?農畜産業の業界では最大の新聞で、実は1月1日からこの紙面で「やまけんの舌好調」という食エッセイを、土曜日を除く毎日連載していたりする。
こんなのだ↓
WS000012.jpg
まあ僕の連載はどうでもいいのだけど、この日本農業新聞は、食に関心のある人にはもっと読んでいただきたい新聞である。

実を言うと、、、、僕は現在、この新聞しかとっていないのである。そのことを連載担当の方にお話ししたら

「ええっ 業界関係者とはいえ、ヤマケンさんみたいな非農家でうちの新聞しかとってないってひとは、初めてかも、、、」

とびっくりされてしまった(笑)

しかし、実は日本で広範に食に関係する情報を採ろうと思ったら、この新聞は外せないのである。考えて欲しいのだが、加工食品や外食の情報は、日経MJ等の、どちらかといえばマーケティングよりの紙面から情報を得ることができる。しかし、加工食品や外食などの根幹である「素材」「原料」の情報を採ることができるだろうか? 一般紙では現実的に難しいだろう。

もちろん、本当の原料事情は、たとえば米とか麦とか大豆の専門誌(そういうのもあるのだ)をみなければならず、しかもそういうメディアは専門用語に彩られていて、正直いって素人には歯が立たない。その点、日本農業新聞は紙面を見ていただければわかるが、非情に平易に書かれていることが多い。和牛の評価の記事なんかは専門用語びっしりだけど、1ヶ月読み続けていればなんとなくわかってくるものも多い。

それ以上に、記事執筆の視点で、重要なものが多い。
たとえば、現在農業新聞で連載中の特集「食ナショナリズム」は多くの人が読むべき情報だ。
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実は現在、世界で進行しているのは、穀物の輸出国であった国が、自国の食料消費をまかなうために輸出をストップしているという事態だ。少なくとも8カ国が禁輸に踏み切っている。詳しくはリンク先をみていただきたい(本当は紙面を買ってあげて欲しいのですけど)。

それが、当たり前なのだ。
世界的に天候が不安定になり、エタノール燃料にコーンを使われることになり、食べ物が枯渇していくかもしれないという状況で、自国の食料確保を優先するのは、当然のことなのだ。

一方で、多くの日本人が「太陽が明日も昇るように、食べ物もどこからか手に入るさ」と思っている。

しかし、まだ気づいていないようだが、日本はもう「国産が高ければ海外から買えばいい」とは全然言っていられない状態なのである。

こんなことに関する情報を、わざわざ記者を各国に派遣して特集記事として書いている新聞がほかにどれだけあるだろうか(いや、僕が読んでいないだけかもしれないので、すでに取り組んでいる新聞社さん、すみません。)。ということで、農業新聞、お奨めである。

もちろん、日本の経済の根幹を成り立たせている製造業、とくに輸出でその糧を得ている自動車産業などを優先しなければならない事情がある。それを考えないで食をどうしろこうしろというのは無責任であることも承知だ。
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しかし、、、オーストラリアの大干ばつ、米国のコーン需要の増加、荒れ狂う異常気象によって減産が続く諸外国の穀物、そして気温上昇とともに頻発するようになった家畜や作物をおそう伝染病、、、

今後、おそらくいや確実に、世界の食はもっと高くなっていくのである。製造業に頑張ってもらい、お金を稼いでいただく一方で、足下の自国の食状況を改善することに本気で着手しなければならないはずだ。

そして、その改善の方向性について言いたいことがある。

いま、メディアなどで農業などについて「こうすべきだ」と盛んに言われている事柄群がある。
たとえば、

「農業は株式会社組織が中心となってやったほうがいい」とか、
「土地を集約して大規模化した方がいい」とか、
「農協という存在が悪なのだ、もう農協はいらない」とか、
「卸売市場はもういらない、中抜きをして流通の効率化をすればいい」とか、
「農家は儲かってる。車もたくさん持ってるし、、、」とか。

誰でも上記にあげたうちのいくつかは「え、そうなんじゃないの?」って思うだろう。

でも、第一次産業に少しでも身を置いた人なら、「そんなに単純な話じゃないよ!」と思うはずだ。

たとえば「農協組織が悪」だなんておかしい話だ。農協組織の○○がよくない、という話ならわかるが、とにかく農協を潰せば農業がよくなるという論には、「あんた何をもってそういうワケ?」と問わざるを得ない。僕の経験からすると、農協不要という人に限って「なんでそう思うの?」と聴くと、「えーっと、、、」と口ごもって、具体的な問題点を言えないことが多い。

農協が足かせとなって農家の活動や収益が制限されていることはたくさんある。しかし、その逆に農協があることによって農家の経営が成り立っていることも、制限されていることと同じかそれ以上にあるのだ。そうしたことをもっときめ細かく識り、理解するところから始めなければならないのではないだろうか。

しかし今やもっと重大な問題は、先に挙げたようなステレオタイプな農業批判を隠れみのに、もっと重要なことがなおざりにされているということだ。先に挙げた輸出国の禁輸状況もしかり。マスメディアや経済界は意図的に、本質的な問題から的をずらし、国民に間違ったメッセージを送っているいるというのは思いこみ過ぎだろうか。
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今、高齢化が進んで耕作を放棄せざるを得ないような農地を、巧みに間接的に買い集めているような新興企業がけっこう出てきているという。そうしたところに、かなりの銀行などのマネーが注入されているようだ。

こうした状況が、僕は非常に怖い。そんな輩に日本の食料生産を任せてしまっていいんだろうか。
この国は本当に今、岐路に立っている。そしてそのことは、国民に知らされていない。

だから、これから遠慮無く、こういったことについて書いていきたいと思う。食い倒れ的エントリしか読みたくねーヨ!という方には目障りかもしれませんがね。申し訳ありませんね、これは私の個人的メディアなので、書きたいことは書かせてくださいね。

そんな決意表明をしながら、明日は宮崎県の地鶏調査に行って参ります。


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