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2005年09月09日

宮崎県西都市のアップルマンゴー・ピーマン農家さんへ義援金を送りたい。

宮崎県西都市のアップルマンゴーのエントリを見て、実際に取り寄せて食べた人は多かったと思う。美味しかったでしょう?

■宮崎マンゴー大襲来 あと少しで旬が終わる!http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2005/06/post_566.html

ずっしりと重く、香しいルビーの玉。これを育てるためには、ハウスを建ててマンゴーの木を定植し、気温の低い時期は重油のボイラーを焚き、というように百~千万単位の莫大な投資をしなければならない。このアップルマンゴーが一玉2000円~3000円、高いという人もいるが、あの味を出すには相応のコストがかかっている。

その産地は今、大変な苦境に陥っている。先日の台風は、例年以上に凄まじく農村を破壊した。宮崎の弟分、沼口君からの便りだ。

アニキ

電話見舞い有難うございました。

台風一過から、JA、市役所、普及センターの3機関で災害状況調査を行いました。台風の影響は風害よりも水害がひどくて、5箇所以上の堤防が決壊したみたいです。それによって多くの家屋浸水と土砂によるハウス倒壊が発生しました。残念なことに同市では避難し遅れた2名の方が命を失いました。


農業被害はマンゴーハウス(西都市の二つの地域に集まっている)が水没し、約3ヘクタール位は損害をこうむりました。10aあたり1千万以上する施設も濁流の水圧によって鉄骨が歪んでしまいました。来年の収穫見込みは全く検討もつかないようです。

施設野菜はハウスピーマンの苗の水没、ハウスの倒壊が見られ、風によって飛ばされるのを防ぐために満タンにしていた重油タンクが水没したため、その比重によって重油が周辺集落に流れ出てしまいました。悪臭が酷く、しばらくは周辺の住民が悩まされるのではないかと思います。


その他、露地野菜は胡瓜が数割被害を受け、ジュース用の加工人参は芽が出たばかりでほぼ壊滅状態と悲惨です。

今日、マンゴーハウスの状態を見に行ったところ、アニキの披露宴にマンゴーを快く提供してくれたマンゴー部会長のハウスも完全に倒壊し、呆然としてしまいました。私たちが出来ることは生産者への励ましや、災害復興のお手伝いですが、それすら十分に出来ない状況です。

可能であれば、アニキのブログで義援金を募って頂きたいと思ったのですが、そちらの都合などもあろうかと思いますので、また返事でも頂ければと思います。

近年、大きな地震など災害の絶えない国内ですが、こんな状況を目の当たりにするのは鹿児島水害依頼でした。今回はチョット悲惨です。添付写真はマンゴーハウスの被害状況です。近くに行っての写真撮影は気分的に出来ませんでした。

それではまた

この便りの他、僕が責任編集している農業用センサーのブログ「agrisensor」にも、彼のレポートを掲載しているので合わせてご覧いただきたい。

■agrisensor
宮崎県西都市より 『ハウスの土を測定してみました、だがしかし!(その2)』
http://blog.agrisensor.org/archives/2005/09/post_9.html

文中にもあるように、沼口君は僕の披露パーティに、最高級マンゴー15kgも届けてくれた。あっという間に来場者の口の中に消えてしまったそのマンゴーを育ててくれた部会長さんのハウスも倒壊しているという。おそらく、先日ぼくを宮崎に呼んでくれたピーマン農家の菅原さんのハウスも大変なことになっているだろう。

僕はあまりWeb上での被災支援等に真剣に向き合ってこなかった。しかしこれは人生で縁が出来た人への、最低限やるべきことだと思う。マンゴー部会、そしてピーマンの生産者さんへの義援金を、何らかの形で届けたいと思う。このWebサイトを見ている方でも、応援したいという方は、ぜひご協力をお願いします。

そこで読者さんの中で知っている方にお聞きしたいのですが、義援金をどこかの口座に安全に振り込んでもらう仕組みってあるのでしょうか。私の個人口座?それとも現地の人の口座?もっと客観的な口座があった方がいいと思うのですが、、、そういう個人口座以外の形で義援金を募る仕組みってあるのでしょうか。ご存じの方、教えて頂ければ幸いです。

口座等がきちんとでき次第、告知をさせて頂きたいと思います。
かといって、これは私の個人的動機から行うものですから、あくまで宮崎のマンゴー、ピーマンに少しでも愛情を感じて、なにか応援したいと思っている方のみ、ご賛同いただければと思います。

日本の農業が衰退していく中、「日本でコストが合わないなら海外から輸入をすればいい」という人も居ると思います。でも、海外から輸入したら、日本の円は海外に行ってしまって返ってこない。日本の生産者が作る農水畜産物を食べることは、日本の中でお金を環流させていくことでもあります。だから僕は日本の第一次産業に対して可能な限り応援をしていきたいと思っています。少なくとも、台風の爪痕・農業の厳しさを見ておくことは、消費の側に身を置く人たちにも意味のあることだと思っています。

では。

2005年09月14日

宮崎県西都市のマンゴー部会に義援金を。

読者様 しばらくこのエントリをトップに掲載させていただきます。 (やまけんより)
先のエントリにも書いたとおり、過去にこのブログでも採りあげた、宮崎県の極上アップルマンゴーの生産者の皆さんへの義援金を、私的に送りたいと思います。志を同じくする方は、ぜひご一緒しましょう。なお、どのように先方にお渡ししたかというところまできちんとこのブログでお伝えします。

実は宮崎県内の農業関係者の間でも、マンゴーハウスの惨状はあまり伝わっていなかったようで、僕のエントリをみて、あまりのひどさに呆然とされた方が多かったそうです。こうした農村の被害については、マスコミの報道も一部分になってしまうので(仕方のないことですが)その惨状は暫くすると記憶の彼方へと忘却されがちです。

しかし本当の被害はこれからなのですね。

(お話し続きは下記↓をクリックしてくださいね)

今回被害にあったハウスは、マンゴー農家さんが、10aにつき1千万円かけて作った物です。その資金は農協や県の助成などから借りている訳ですが、当然、毎年のマンゴーの売上げから返していかなければならないものです。来年度以降、本当に返していけるアテがあるのかどうか、今の段階では何とも言えない状況なのです。だって、復興するにはまた10aあたり1千万ちかく必要になるのだから、、、

農業の大変なところは、このように設備投資がかかるということです。工業の設備であれば、台風に負けないがっちりとした施設を組めますが、農業施設とくにハウスは、ビニールハウスなど自然のエネルギーを得ることも必要なため、強度はそれほど高くないことが宿命づけられています。また工業製品に比べると、農産物の価格は市況に合わせて乱高下するため、安定した収入を得ることが非常に難しい。しかも最近では「乱高下」はなく、「乱下」しかないのです。100円ショップで野菜が買えると知った消費者は、野菜も100円が標準価格だ、と思ってしまう。従って市場にはこれから一層の下げ圧力がかかるからです。これでは農家は収益を得ることが不可能です。

ということで、実は今回の義援金をお渡ししたとしても、マンゴー部会長さんが来年も生産を行うことができるかどうかはわからない。そのことはお伝えしておきます。でも僕は、彼ら彼女らを応援する都市部の人間が居るということを、志として伝えたいために、義援金を送ります。

僕のブログではたまにこうしたシリアスなネタも混ぜてきましたが、今後も不定期に書いていきたいと思います。いよいよこの国の農業の形が大きく変わらざるを得なくなってきているからです。読みたくない人は飛ばして下されば幸い。


で、義援金についてご賛同いただける方は、こちら↓をお読み下さいネ。

義援金の口座ですが、いろいろ考えたのですが新しい口座を作る時間的余裕がないので、とりあえず私の銀行口座に振り込みをしていただくことにしました。アドバイスを下さった皆様、ありがとうございました!

東京三菱銀行 新橋支店 
普通口座 4448027
口座名義 山本謙治

です。

つきましては、「振り込んだよ」というメールをkuidaore@goodtables.jpまで送って下さい。差し支えなければ、お名前のみを先方にお知らせします。お名前を先方にお伝えしていいかどうかもお伝え下さい。

では、よろしくお願いします!

2005年09月26日

宮崎県西都市のマンゴー部会長さんに、義援金が手渡されました。

表題の件で奔走している、西都市農協の沼口君から連絡が来たので、下記掲示します。
今回の義援金にご協力いただいた方々には、心から厚く御礼申し上げます。
そして農村・農業という不確実性に翻弄される産業に対して、今後も継続的にご関心と意志を持っていただければ、これほど嬉しいことはありません。

マンゴー部会が来年以降どうなるかわかりませんが、その道のりは不定期にここでレポートしていきたいと思います。どうか今後も意識をつないでいただければと思います。

では、以下沼口君からのメッセージです。

----------------------------------------

アニキへ

先日、島地部会長の都合に合わせて義援金を渡しに行ってきました。その顛末を報告いたします。


『義援金に協力して頂いた方々へ心から感謝の意を…』

謹啓 台風14号にて被災した宮崎県西都市マンゴー部会の方々へ義援金をご協力頂き誠に有難うございました。先日、マンゴー部会長の島地良次さんに皆様より預かった義援金を渡して参りました。台風被災その後の状況とともに報告させて頂きたいと思います。

~義援金を渡した当日~
実は被災した数々のマンゴーハウスの内、島地部会長のハウスは全壊したハウスの1つでした。堤防が決壊して溢れ出た土石流が押し寄せ、その水圧は完全に彼のハウス倒壊させてしまったのです。そのため、彼のハウスはいまだ手付かずの状況であり、精神的にも落ち着けない状態が続いているのでは無いかと車中で思いながら、彼のもとに車を走らせました。島地部会長は2箇所でマンゴーを栽培しており、あと1箇所は被災を免れていました。

彼は被災を免れたハウスで奥さんとともに防除作業をされている最中で、2週間ぶりにハウスに入れたと言ってましたが、快く作業を止めて頂き、話をする事が出来ました。

彼はマンゴー部会長という立場であるため、台風被災後は生産者への支援活動を指揮する傍ら、行政への災害助成金など要請活動をずっと続けられているようでした。

マンゴーは亜熱帯作物であるため、寒さにあうと枯れてしまいます。寒くなるまでには生き残ったハウスの復旧を終えなければなりません。そのため、行政支援をお願いして一刻も早く復旧を終えるしかないとのことでした。そのためにはあまり時間が残されていないと心配していました。

私は都会に住む方々から多くの支援が寄せられたことを彼に伝えました。被災した方の殆どが何から手を付ければ良いのか分からない状況であり、部会長自身もそのような気持ちが続いてるようでした。ここは気持ちをシンプルにして『来年もマンゴーを届けたいっ!』この気持ちで乗り越えましょうと励ますことしか出来ませんでした。
bukaichou2.jpg

今回、山本氏により集めて頂いた義援金はあくまで個人的な繋がりで成り立っていることを伝えると凄くビックリされていました。また、多くの方がマンゴーを楽しみに待ってますョと重ねてお伝えした次第です。
被災後、ため息が止まらないと仰ってた奥さんは、この義援金の話を聞きながら部会長の隣でニコッとされたのが凄く印象的でした。近いうちにマンゴー部会全員の集会を行う予定で、その場で生産者全員に報告させて頂きますとのことでした。心から感謝の意とともに来年に向けて出来る限りの復興に努めていきますとのことです。

※写真は当日の写真です。島地部会長夫婦です。

今回、山本氏のブログの場をお借りして義援金に協力して頂いた皆様方、お見舞いの言葉を頂いた方々には厚く御礼申しあげます。また、今後の復興状況はこの山本氏のブログを通じて随時、報告させて頂きたいと思います。来年の生産量は定かではない状態ですが、必ず復活すると思います。それではまた。     

敬具

沼口明典より

2006年04月27日

河北新聞の「ニッポン開墾」に

宮城県を中心に、東北でかなりのシェアを誇る新聞社「河北新報」の特集記事である「ニッポン開墾」で、僕のところに取材に来て頂いた。その内容が記事になっている。本日紙面が届いたが、Webにもアップされていた。関心のある方は観て下さいね。

http://blog.kahoku.co.jp/kaikon/archives/2006/04/post_63.html#more

このこっぱずかしい写真は、事務所のある八重洲の通りで、意味もなくノートPCを拡げ(しかもステッカーが恥ずかしい)話をしている僕である。滑稽だ、、、

2006年07月20日

信濃川の氾濫の沈静と小林さんの畑の復旧を願う

長岡のジンからショックなニュースが飛び込んできた。

ここ連日の雨で信濃川が警戒水域を超え、河川敷の畑・水田は残らず冠水しました。 もう解除されましたが信濃川に架かる長生橋も通行止めになってたくらいですから、近年では珍しいくらいの増水です。

小林さんの畑はちょっと高い位置にあるのですが、完全に水没してます。
今日で水が引けばまだ何とかなるかもしれませんが、当分巾着ナスは絶望的です。

なんと、数エントリ前で書いた小林さんの畑が完全に水没してしまったということなのだ、、、
ナスは生命力が強いので、すぐに水が引いて太陽がでれば、樹勢が回復すると思うのだが、どうだろうか。もしかすると、小林さんの今年の巾着茄子の収穫が、もうゼロということもありうる。これが自然に隣接する環境で営む農業の恐ろしさなのだ。農家は常に、1かゼロかの瀬戸際にいる。

小林さんの畑が復旧することを心から祈っています。もし復旧したら、新潟県外にも通販をしてくださいね。ジン、続報を待っています。

08:52 | TrackBack

2006年12月14日

白菜や大根、産地廃棄を「よくない! なんとかしたい!」と思うなら、、、一つだけ方法がある。

IMG_2915.JPG
熱は相変わらず下がらない。うーん、、、視界がボヤッとするのが非常につらい。
でも少しだけ鼻が通るようになったので、夕食のおかずの香りがきちんと味わえた!これだけでもかなり前進。昨日のおかずは白菜と豚肉の重ね蒸し、これをポン酢で食べるのだけども、あまりに白菜が旨いので何もつけずに何口も食べてしまった! 当然だ、白菜は今年、最適な栽培条件の中でたっぷりの太陽光を浴びて育ったのだから、、、

白菜は今年、買いなのだ。

さて
実は2週間ほど前、いきなりあるラジオ局の番組から電話があり、インタビューを録音することになった。テーマは「大根や白菜を産地で廃棄しているっていうけれど、どうなの?」ということだ。アナウンサーの男性に繋がると、こんな感じのやりとりになった。

「いやねぇ、白菜も大根も美味しいじゃありませんか。なんで廃棄なんてしちゃうんだろう?」

(山)「そうですねもったいないですが、出荷される量に比して買われる量が少ない場合には、市場原理で価格が下がってしまうんですよ。今年後半は天候がかなり理想的に推移したので、収穫量が増加してしまったんですね。しかも暖冬気味(当時)なので、鍋物需要が動かないのか、売れないんですよ。そうなると、産地としては出荷しても赤字になるだけなので、収穫を手控えるんです。」

「うーん わかりますけどねぇ。 でも食べ物ですよぉ。 生産者はなんとも思わないんですか!?」

あ、来た! こういう質問をしてくる人たちの常套手段だ。生産者に責任や悪役を押しつけようとしている。申し訳ないがこういう手合いには荷担できないのだ。

(山)「いや、悔しいに決まってるでしょ。あのですね。生産者さんがいちばん困ってるし悲しいんですよ。自分が生産したものが販売できないんだから。でもね、いま出荷しても、市場までの運賃や箱代にもならないんですよ。出荷するだけ損をするんです。生産者を責めるのはおかしいですよ。」

「うーん そうですか、、、 でもね、漬物にするとかできないの? 白菜の漬け物、美味しいでしょ?」

(山)「産地では大量に白菜が出来ているわけですから、個人的に漬物にするくらいじゃ無くなりませんね。漬物業者はいま、フル稼働で生産していると思いますよ。けど、生の白菜が売れていないのに、白菜の漬物が売れるってこと、ありますかね?問題解決にはならないんですよ、、、」

「それとか、困ってる人にあげるとか、、、」

うわーーーーー 出た!
究極のキーワードである。

(山)「ええとですね、困っている人に届けるという役目を誰がやってくれるのか、ということが問題になりますね。段ボールに詰めて出荷するだけでも赤字になるというのがいまの状態です。で、困っている人にあげるというコストを、産地にもてというのでしょうか。難しいと思いますよ。」

「うーん じゃあどうすればいいんでしょうか?」

そして僕は、彼や番組制作者さんがおそらく予想していなかった、そしてあまり望ましくない答えを述べるのだった。想像通り、「なるほどぉ!それは名案ですね!」とは言われなかった。

そして先日、ある大学で農業の今後に関する講演をしたときのことだ。ある男子学生が僕のところに来て、義憤に満ちた顔で、さきのアナウンサーのような質問をしてくれた。

「困っている人にあげるとか、どこかに送るとかできないんですか?」

(山)「それにかかる予算を誰がお金出したらいいと思う?」

「うーん、、、国とか、、、」

彼にも僕はある答えを述べた。 「うーーーん」 といいながら彼は頷いて帰って行った。
ちなみに彼は真摯な態度。さすが加藤先生の大学の生徒であると思った。

さて
そうしてさきほどある新聞社から、同様の質問が来たのである。熱があって上手くはなせないので明日以降にしてくださいと連絡したのであった。


さて
産地で大量に野菜が廃棄されているというニュースを見ている人は多いだろう。トラクターなどで潰される野菜の映像をみて、胸の内で「食べ物が廃棄されるなんてもったいない」と思う、これは至極当然のことだ。僕も悲しくなる。

しかし問題は、その悲しみが、あらぬ方向へ怒りとなって向くことが多いことだ。そして、生産している側に矛先が向くことが非常に多い。

「農家はいったいなにをしているんだ!」

そして先ほどのやりとりのような話になるのだ。
しかし、農家の立場は先に書いたとおりだ。彼らが一番苦しいのだから、そうやって責めることは全くなんにもポジティブな結果を生まない。

ちなみに農家がなぜ廃棄しているかというと、農水省が定める重要野菜緊急需給調整事業における処理だ。ごくごく簡単に省略して説明するが、国として定めた野菜の重要品目というのがある。国民生活上、この野菜が一気になくなったらマズイだろう、という品目群で、とうぜん大根とキャベツも入っている。

この法律では、その重要野菜の需給が逼迫、つまり不作で市場である程度以上の高値をつけるほどになった場合(数年前にキャベツが異常な高値になった、ああいう場合)には、事業に参加する農家に補助金で補填をするので、安く市場に放出するようにということになる。

そして今年はその逆だ。農家が、まったく生活できないほどのダメージになるくらいの安値が市場でついてしまった場合、廃棄処分をすることで需給を調整し、農家には補填金が交付されるというものだ。ただしその交付金で食っていけるというレベルの高額なものではない。農水省のWebなどに事業の内容があるので、関心のある人は読んでみるといいだろう。

農家の仕事では、毎月定収入が入ってくるということはありえない。
米の生産なんざ、一年に一回しか収穫できないわけだから、収入のタイミングも一年一回なのだ。それではあまりに大変だから、農協という組織が前渡し金というのを払い、米を収穫・販売したときにそこから差し引くという制度ができているのだ。

キャベツや大根が、今年のように豊作になりすぎると、一作分を放棄することになる。最近の産地は巨大化しているから、その年キャベツがダメならもう後半の収入はほぼ無しという人だっているかも知れない。そうした人たちが泣く泣く潰すのがあの光景なのだ。それを理解して欲しい。

残念ながら現在の科学では、今年が不作になるか豊作になるかということを予測することは不可能だ。半年先の天気予報がビシッと当たるようになればこんなことは回避できることになるだろう。だから産地廃棄をイヤだと思う人は素晴らしい気象予報士になってください。

で、 消費者ができる、産地廃棄をなくすための方法が、一つある。 それは誰にでも可能なことだ。

それは、、、


白菜や大根等、豊作になっているものを、いつもなら一つ買うところを2つ買うこと。


だ。

ずっこけた人もいるだろうが、、、
そもそも 野菜の価格は需給のバランスによって決まる。買う人がいないからこのようなことになっているのだ。だから、今年は積極的に白菜と大根を食べまくって欲しい。実はそれが最良の方法なのだ。

でもきっとこういわれるだろう。

「一人(または二人)暮らしなのに大根2本、白菜2個なんて食べきれない!」

「料理をする暇なんか無い!」

「余らせて腐らせちゃう、、、」

と仰るなら、産地廃棄という行為を憎む矛先を、自分にも向ける必要があるのではないだろうか。

食べきれなくても買うことによって支えられるものがあるのだ。
家で腐ってしまった白菜は、でも産地で腐るよりも尊い。生産者にいくばくかのお金が渡るからだ。
そして、「白菜一個売れた」という実績が、スーパーなどのPOSデータに残る。
10万人の消費者が、いつもより余計に白菜を1つ多く買えば、10万個の白菜消費になり、絶望していた市場が活性化する可能性がある。

また、「料理をしないから」というのが実に難しい問題だ。

実は白菜や大根が売れ残るのは豊作だからというだけではない。料理をする家庭が減り、大根一本、白菜一個という単位で買い求める家庭が無くなってきているからということが大きいのだ。今、東京圏で白菜を丸ごと売っているスーパーは少ない。半分もいい方で、1/4カット、悪くすると1/8カットが主流だろう。
最近の主婦は「食材が余るともったいない」という感覚が強くなってきているそうだ。僕からすれば、余ったら翌日のおかずに回すか、白菜なら塩をふって浅漬けにすればいいじゃん、と思うのだが、そう言うことを実行する人はあまりいないらしい。

ということで丸ごとの野菜が売れていないのだ。外食・中食を自分の食の中心にしていると、どんなに野菜メニューを中心にとっても、野菜を食べる量は知れている。野菜をたっぷり食べる、と言う行為は、究極的には家庭でしか為し得ないことだと僕は思う。

料理といったって、この時期には「鍋」という方法がある。白菜と大根と豚肉だけで鍋は成立するではないか。

それに白菜や大根を漬物にするのは死ぬほど簡単だ。でかいボウルか綺麗なバケツに、重量の3%の塩をふった白菜・大根を入れて、上に重しを載せておいておくだけだ。日の当たらないベランダに置いておけば温度もちょうどいい。

、、、と一気に書いていて疲れてしまったのでこの辺にするが、とにかく産地廃棄をよくないと思う人がいたら、その品目を少しでも多く食べて欲しい。根本的にはそれ以外の方法はない、と僕は思っています。

日本の農業生産者は凄まじい勢いで減少しつつある。儲からないんだから当然だ。このままいくとおそらく10年後、国産農産物というものがすごい高嶺の花になり、他国の野菜や穀物ばかり並んだスーパーばかりになる。たしか日本人は、BSE騒動や鳥インフルエンザ騒動の時に「食の安全を!」と叫んだはずだ。

あれは幻だったんだろうか? そうでないと思いたい。

17:17 | TrackBack

2006年12月18日

悲しい知らせ。山形県の蕎麦文化向上に人生を捧げた蕎麦の神様が逝く。ご冥福を祈ります。

僕も大好きな山形県の蕎麦を、質のいいそば粉を供給するということから支え続けた”神様”がいる。いや、居た。

鈴木製粉所の鈴木彦一社長さんが、12月11日に亡くなられた。享年68歳、まだ早い、、、心からご冥福を祈ります。

山形にて、鈴木さんにお会いしに行ったエントリは下記。ぜひご覧ください。

■山形遊行編その2 幻の蕎麦を幻の達人の手で打っていただいた!「蕎麦打ち虎の穴」の巻
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2004/02/post_155.html

山形蕎麦の関係者さんから、異口同音に聴くのが、鈴木製粉がなければ山形県の蕎麦の質と、技術向上はなかっただろうということだ。鈴木さんは、一般向けには決して蕎麦を打たないという。製粉所という立場上、お客さんは蕎麦業者さんとなる。その蕎麦業者さんを飛び越えて消費者に蕎麦を打つことは営業妨害になるから、ということらしい。

そして鈴木さんは蕎麦屋の有志に、蕎麦打ちを教えていた。つまり彼は、そば屋に技術を教えるという、蕎麦の超グランドマスターだということになる。僕が先のエントリにあるように、素人ながら教えていただいたことが行幸だと思う。江戸前のその技術で打たれたその蕎麦を、僕は都合4枚くらい食べた。それまでに、自分や同行の人たちが売った蕎麦を5枚食べていた。食べ比べてみて愕然とした。粉もなにもかも同じなのに、打ち方だけでこんなにも、香りのほどけ方や舌触り、全体の印象が変わるものなのか、、、

まさに神業を見た思いだった。

最後までひょうひょうと力み無く、そして淡々と対応してくださった鈴木さんに、改めて感謝を捧げたい。
生前の鈴木さんの蕎麦を食べることの出来たことを幸運に思う。

心からご冥福を祈ります。天国でも素晴らしい蕎麦を打ってください。

19:14 | TrackBack

2008年03月24日

そろそろ日本の農業を守るということについて、真剣に書いていこうと思う。 世界では、食料の輸出をストップする国がたくさん出てきているということをご存じですか?

めでたく本も出たので、これまで出版までは封じていた、時事問題とくに農業関連のお話を書き進めていきたいと思う。僕の新しい本のタイトルは「日本の「食」は安すぎる」というものだ。
このタイトルに僕はどういう意味を込めているのか。
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最近、食の安全関連の本がよく見かけられるようになったが、その多くが「どうすれば安全な食品を、、、」とか「○○○はいけない」とかそういう内容であるようだ。それらの本は無意識的に「消費者のために世の中をどうすればいいか」を書いているように感じられる。

しかし、そういうアプローチは世の中を何も変え得ないのではないか、と思う。
つまり、これから必要なのは「消費者どのように変わるべきか」ということなのではないか、と問いたいのだ。

その一番わかりやすいアプローチが「価格」だ。

日本の食品の価格は、実は世界的にみても、安いといえるかどうかはともかく、「高くはない」といえる。よく、諸外国の物価と比較して、日本の食品が高いということが言われるが、年収や家計費との食費の関連でみていくと、実はそれほど「高い」とはいえないはずだ。

それに、ここ10数年の食品価格は明らかに安かったと思う。それは、内外価格差で安く買うことができる輸入食品が原材料になることで実現しえた価格だからだ。その辺は改めて言うまでもないと思う。
akitakomachi.jpg
しかし、状況は変わった。

・いままで輸入していた先、つまり輸出国の力が相対的に強くなってきている。
・また、国際的に原油と穀物の価格が上昇している。

これによって、今までのような安い価格では食品を製造販売することができなくなっている。
日本の食品は、原油と輸入穀物にかなり依存している。たとえば日本の畜産は8割以上の飼料を外国に依存しているのである。それら輸入原料が高騰することで、原価が上がっている。
s-IMG_0045.jpg
しかし消費者はこれまでの価格(輸入品ベースで安くなった価格)をゼロと考える。輸入品がたとえば30円上がったとすれば、ゼロ+30円と考えるだろう。けれども実際は、国産コストは輸入品より高いため、ゼロではなくたとえば20円程度の元々のコストがかかっている。これに高騰分を足して50円でようやく元がとれるということになる。しかし、それを理解する消費者がどのくらいいるだろうか。

そうした考え方から、スーパーなども価格をなんとか据え置きにしようと、メーカーや納品業者に対して強いプレッシャー(価格を上げるなという)をかけている。そのプレッシャーに勝てず、もうやっていけないと廃業するメーカー、生産者は非常に多い。日配品、たとえば豆腐や納豆の業界はひどいもので、10年前の業界の顔ぶれが相当に変わってしまったという話だ。

本でも書いているけれども、そんな追い詰められたメーカーや生産者が、まじめに安全な食を作り続けるということを遵守できるだろうか?彼らからすれば、正当な価格を支払ってくれない非情な顧客に、そんな義理を立てる必要があるのか?と思うのではないだろうか。

そう、安全なものを求めることは庶民の権利だ。
でも、安全なものを作る人たちを支えることは庶民の義務なのではないか。

だから、まず「日本の食をなんとかしたい」と思うのであれば、まずは純粋に「価格を上げる」ということころから始めなければならない。それを実行できるのは消費者しかいないのである。
IMG_0082.jpg


すくなくとも日本の食を考えるということであれば、ここらへんを出発点とするのが妥当だと思う。そんなことを細かく書いたのが僕の本である。

もちろん、ここへ来て株価の話やら社会格差とかいろんな話が出てきているので、日本という国を総合的に考えなければならない。が、あまりにも一般の空気が「消費者は保護されるべき存在」のままなので、あえて本書をぶつける次第だ。

ちょっと話題を変える。
日本農業新聞という新聞をご存じだろうか?農畜産業の業界では最大の新聞で、実は1月1日からこの紙面で「やまけんの舌好調」という食エッセイを、土曜日を除く毎日連載していたりする。
こんなのだ↓
WS000012.jpg
まあ僕の連載はどうでもいいのだけど、この日本農業新聞は、食に関心のある人にはもっと読んでいただきたい新聞である。

実を言うと、、、、僕は現在、この新聞しかとっていないのである。そのことを連載担当の方にお話ししたら

「ええっ 業界関係者とはいえ、ヤマケンさんみたいな非農家でうちの新聞しかとってないってひとは、初めてかも、、、」

とびっくりされてしまった(笑)

しかし、実は日本で広範に食に関係する情報を採ろうと思ったら、この新聞は外せないのである。考えて欲しいのだが、加工食品や外食の情報は、日経MJ等の、どちらかといえばマーケティングよりの紙面から情報を得ることができる。しかし、加工食品や外食などの根幹である「素材」「原料」の情報を採ることができるだろうか? 一般紙では現実的に難しいだろう。

もちろん、本当の原料事情は、たとえば米とか麦とか大豆の専門誌(そういうのもあるのだ)をみなければならず、しかもそういうメディアは専門用語に彩られていて、正直いって素人には歯が立たない。その点、日本農業新聞は紙面を見ていただければわかるが、非情に平易に書かれていることが多い。和牛の評価の記事なんかは専門用語びっしりだけど、1ヶ月読み続けていればなんとなくわかってくるものも多い。

それ以上に、記事執筆の視点で、重要なものが多い。
たとえば、現在農業新聞で連載中の特集「食ナショナリズム」は多くの人が読むべき情報だ。
natio.jpg

実は現在、世界で進行しているのは、穀物の輸出国であった国が、自国の食料消費をまかなうために輸出をストップしているという事態だ。少なくとも8カ国が禁輸に踏み切っている。詳しくはリンク先をみていただきたい(本当は紙面を買ってあげて欲しいのですけど)。

それが、当たり前なのだ。
世界的に天候が不安定になり、エタノール燃料にコーンを使われることになり、食べ物が枯渇していくかもしれないという状況で、自国の食料確保を優先するのは、当然のことなのだ。

一方で、多くの日本人が「太陽が明日も昇るように、食べ物もどこからか手に入るさ」と思っている。

しかし、まだ気づいていないようだが、日本はもう「国産が高ければ海外から買えばいい」とは全然言っていられない状態なのである。

こんなことに関する情報を、わざわざ記者を各国に派遣して特集記事として書いている新聞がほかにどれだけあるだろうか(いや、僕が読んでいないだけかもしれないので、すでに取り組んでいる新聞社さん、すみません。)。ということで、農業新聞、お奨めである。

もちろん、日本の経済の根幹を成り立たせている製造業、とくに輸出でその糧を得ている自動車産業などを優先しなければならない事情がある。それを考えないで食をどうしろこうしろというのは無責任であることも承知だ。
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しかし、、、オーストラリアの大干ばつ、米国のコーン需要の増加、荒れ狂う異常気象によって減産が続く諸外国の穀物、そして気温上昇とともに頻発するようになった家畜や作物をおそう伝染病、、、

今後、おそらくいや確実に、世界の食はもっと高くなっていくのである。製造業に頑張ってもらい、お金を稼いでいただく一方で、足下の自国の食状況を改善することに本気で着手しなければならないはずだ。

そして、その改善の方向性について言いたいことがある。

いま、メディアなどで農業などについて「こうすべきだ」と盛んに言われている事柄群がある。
たとえば、

「農業は株式会社組織が中心となってやったほうがいい」とか、
「土地を集約して大規模化した方がいい」とか、
「農協という存在が悪なのだ、もう農協はいらない」とか、
「卸売市場はもういらない、中抜きをして流通の効率化をすればいい」とか、
「農家は儲かってる。車もたくさん持ってるし、、、」とか。

誰でも上記にあげたうちのいくつかは「え、そうなんじゃないの?」って思うだろう。

でも、第一次産業に少しでも身を置いた人なら、「そんなに単純な話じゃないよ!」と思うはずだ。

たとえば「農協組織が悪」だなんておかしい話だ。農協組織の○○がよくない、という話ならわかるが、とにかく農協を潰せば農業がよくなるという論には、「あんた何をもってそういうワケ?」と問わざるを得ない。僕の経験からすると、農協不要という人に限って「なんでそう思うの?」と聴くと、「えーっと、、、」と口ごもって、具体的な問題点を言えないことが多い。

農協が足かせとなって農家の活動や収益が制限されていることはたくさんある。しかし、その逆に農協があることによって農家の経営が成り立っていることも、制限されていることと同じかそれ以上にあるのだ。そうしたことをもっときめ細かく識り、理解するところから始めなければならないのではないだろうか。

しかし今やもっと重大な問題は、先に挙げたようなステレオタイプな農業批判を隠れみのに、もっと重要なことがなおざりにされているということだ。先に挙げた輸出国の禁輸状況もしかり。マスメディアや経済界は意図的に、本質的な問題から的をずらし、国民に間違ったメッセージを送っているいるというのは思いこみ過ぎだろうか。
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今、高齢化が進んで耕作を放棄せざるを得ないような農地を、巧みに間接的に買い集めているような新興企業がけっこう出てきているという。そうしたところに、かなりの銀行などのマネーが注入されているようだ。

こうした状況が、僕は非常に怖い。そんな輩に日本の食料生産を任せてしまっていいんだろうか。
この国は本当に今、岐路に立っている。そしてそのことは、国民に知らされていない。

だから、これから遠慮無く、こういったことについて書いていきたいと思う。食い倒れ的エントリしか読みたくねーヨ!という方には目障りかもしれませんがね。申し訳ありませんね、これは私の個人的メディアなので、書きたいことは書かせてくださいね。

そんな決意表明をしながら、明日は宮崎県の地鶏調査に行って参ります。


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2008年10月27日

「農業ビジネス」はくそくらえだ。 その3

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ずいぶんと間が空いてしまったけれども、このテーマについて今しばらく書きたい。

先日、母校の学部の授業に招かれて、日本の食に関する講義をしてきた。以前、母校の工学部で授業をしたときは、みな死んだ魚のような眼をしている連中ばかりだったが、今回の商学部の学生達はなかなかに活きた眼をした子達で、ちょっと明るい気分になった。

で、講義が終わってから、数人の学生が質問をしにきてくれた。その中の一人の女の子が、「農業ビジネスに興味があるんです」という。

「ふうん、でも農業はビジネスにはならないよ。」

と言うと、彼女はこう切り返してきた。

「でも、会社運営して、大規模化して効率化していけば、大丈夫なんじゃないですか。」

あ、やっぱりここでも、その辺の駄マスコミや経済人が流布している通説いや俗説が信奉されているのだな、、、と思い、暗澹たる気持ちになった。とりあえず彼女には参考文献を教えて、それを読んだ上で質問したいことがあったら連絡してね、といっておいたのだけども、果たして彼女から質問はくるだろうか。楽しみだ。

さて
僕は農業ビジネスという言葉が大嫌いだ。そこには、「いままで産業として成立していなかった農業という暗黒大陸を、俺たちがきちんとビジネスに仕立ててやるぜ」というような驕りを感じるからだ。

驕り、というだけではおとなしすぎるかも知れない。はっきり言ってしまえば無知であるし、もしかしてその人間が確信犯にやろうとしているならば、悪だと言えるからだ

農業は、いろんなところで期待されているようなビジネスには成り得ないものだ。その理由は下記に示すとおり。

 

1. 農産物価格が安すぎて収支が合わない
そもそも90年代後半から、農産物の価格が安くなりすぎてしまった。中国などからの輸入食品をベースに食品価格が設定されるようになったからだ。今、輸入食品の安全性が云々されているにも関わらず、国産品をベースにした食品価格に戻すという動きはない。「安全じゃないとイヤだけど、値段は安くなきゃ買わない」というわがままな消費者ばかり居て、その消費者に対して安値を武器に販売している小売・外食事業者しかいないのに、農業が儲かるはずがないのである。

 

2. 天候に代表される気象条件に左右されるため、計画通りに進まない
昨今のビジネスでは短期的に収益を出すことが求められる。経営計画があり、それに沿って運用されることが望ましい。でも、その時点で農業には合わない。農業は依然として気象という複雑系に左右されるからである。
「天候が悪かったから計画通りに栽培ができませんでした。」または、「天候がよくて栽培はうまくいったが、全国で豊作だったので、相場が安くなり、期待していた収益が出ませんでした。」ということが当たり前なのである。
だから、天候に左右されない施設栽培にしようという企業は多い。閉鎖系の植物工場を作って、一年中葉物野菜を作ります、という新規参入企業のニュースがけっこう耳に入ってくる。でも、残念ながら植物工場で生産された野菜で、美味しいものに出会ったことがない。
ある僕の友人のバイヤーが
「やまけん、先日うちの近くで新規参入してきた会社が植物工場でみず菜を作って持ってきたんだけどね。『一束で450円で販売します!』なんて馬鹿な値段(高い)つけてきたんだよ!つきあいがあるから一回は置いてあげるけど、絶対に売れるわけない。食べ物を舐めすぎてるよ」
という話をしていた。机上の計算だけをして農業ビジネスを組み立てようとするからこういうことになるのである。

 

3. 大規模化・効率化はこれ以上難しい
さて、先の学生さんの質問にもあったが、企業化して大規模化や効率化をしていけば、農業がビジネスとして成り立つのではないかという話がよくされている。これを頭から否定する気はない。僕の識っている人にも、関東で20haの稲作をしている人や、東北で大規模な園芸品目の運営をしている農園がある。
しかし、それらは簡単に企業がポンと参入して実現できるようなものではない。まず、「大規模化」なんてそんなに簡単にはできない。日本の農地は戦後、マッカーサーによって農地解放され、それまで小作人だった農民にも小さな面積がばらばらと分け与えられた。それによって、まとまりのない、飛び地主体の農地が日本のベースとなってしまった。
じゃあ、これを集約して大規模化しようということだが、、、仮にとある区画の農地の権利者全員から合意をもらって、土地を一本化できたとする。しかし、それが平地であるということは滅多にない。この日本は元来、起伏に富んだ地形の国なのだ。
「大規模化・効率化」というからには、区画を一枚の畑なり田圃にして、それが例えば10ha程度の面積になっている。そうすると大型機械を走らせて、効率的な農業運営ができる。それは確かだろう。
しかし、その前提として、その10ha程度の面積が平らでなければならない。畑作ならそんなこともないけれども、稲作であれば湛水をするわけで、水平がでてなければならない。そうなったときに、大規模化に伴う土木工事の予算は、10haを平準化する場合、数千万円から、ヘタすると億単位になっちゃうのではないだろうか。
実はもう70~80年代に、こうした大規模な畑地灌漑事業はすでに行われた。もちろん膨大な国家予算を投入して、、、だ。いまの日本の田圃や畑の一枚あたりの面積は小さい、などと言われているが、それでもその灌漑事業前と比べると大規模化しているのである。では、これ以上の大規模灌漑事業を、この日本で行うだけの国家予算て、あったっけ?国家事業としてはもうこれ以降、農地にかけるものは少ないはずだ。だとすれば、参入しようとしている企業が投資してやることになる。本当にできるかぁ?ということだ。

 

ずいぶん端折ったので、つっこみどころはあると思うが、農業ビジネスなんか成立しないと僕が言っている理由の代表的な問題は上記のとおりだ。

このなかで一番大きな理由はなんといっても1なのである。農産物が安すぎる。価格を生産者が決めることができない。だから、農業ビジネスなんてのをやるまえに、農産物を高く売ることができる飲食店や小売店を成立させて欲しい。そうすれば、それにあった生産を行う農場を運営するということができるわけだから。

生産側、流通側から入ってこようとしている企業は、一歩ふみとどまって考えるべきである。

ところで、日経新聞などの経済マスコミや経済諮問会議で、株式会社が農地を取得できるように規制緩和を進めるという議論が、あたかも既成事実のように語られている。けれども、非常にこれは危険だと思う。

僕には、そういっている経済人・財界人が本当に農業を発展させるために、そんなことを言っているようには思えないからである。それについては後日書こう。

そういえば、僕がこのタイトルで記事を書き始めてから、「おいおいやまけん、そんなこと書いて、農業ビジネスやろうとしているところから仕事が来なくなったらどうするの?」という声を何回も聴いている(笑)

当初から読んでもらえればわかると思うのだけど、、、きちんとしたビジョンで農業に取り組むつもりのある企業さんには、もちろんきちんと応対している(数件、連絡が無くなったところがあるのは事実だ)。むしろ、「もっと詳しく聞きたい」というようにレスポンスしてくれる企業の方が多いかもしれない。でも、「ぜひ情報交換を」と言いながら、まったく情報も何も持ってこずに話だけ聴こうとする輩が多いというのも、また事実だが。

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2008年11月24日

ふたつの専門流通団体 「大地を守る会」 と 「らでぃっしゅぼーや」の立ち位置を考える

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土曜日の朝日新聞朝刊にて、大地を守る会の藤田会長がどでーんと大きく掲載されたらしい。藤田会長とは、僕が大学生の時からおつきあいさせていただいているので非常に長いのだが、最近では社会起業家として、いろんなメディアを賑わせているようだ。

そして、いやー とうとうかぁ、、、というニュースが、先日もたらされた。

らでぃっしゅぼーやがJASDAQ上場の最終段階に入ったということだ。

同じ時期に、この二者が、対照的なニュースとして採り上げられているのが興味深い。

特にこの時期、このタイミングでらでぃっしゅが上場というのは、今後の食の業界の動向をうらなう意味でも非常に大きな意味を持つと思う。

 

らでぃっしゅぼーやの動静に関しては、ここ数年ホットだった。もともと日本リサイクル運動市民の会というNPOの活動から生まれたこの会社は、有機・特別栽培農産物や、無添加食品等をメインの商材として、創業当初から個人宅への宅配サービスを行ったパイオニアだ。

この業界で最も古くからそうした事業を展開しているのは、「大地を守る会」だが、大地の方は当初、生協のようなステーション制(地域でグループを組んで、そこに一括してドサッと荷物を届ける。グループのなかで分配する)だったと聴く。宅配に重点を置いたのはらでぃっしゅだったということだ(もちろん現在では大地も宅配中心だ)。

初期のらでぃっしゅぼーやの代表を務めていたのは高見さんという人と、徳江さん。徳江倫明さんは僕の師匠のような人であることはこれまで再三述べたとおりだ。その徳江さんが離れた後のらでぃっしゅぼーやは、青汁のキューサイに買われることとなった。その時、新しく社長に就任した緒方さんに、徳江さんと一緒にお会いしたことがある。博多のイカの活け作りを食べたが、やたらめっぽう旨い店だった。なかなか味には確かな方であった。

その後、2006年にキューサイからMBOの形で独立。筆頭株主はなんとベンチャーキャピタルのJAFCOである。このあたりで、以前から有機・無添加食品の関係者の人達から、

「そりゃぁ やばいよなぁ、、、ベンチャーキャピタルなんて、高く売ることしか頭にないんだから、、、らでぃっしゅぼーやの理念とか、どうなるんだろ?」

とささやかれた。この間、いろいろとリストラがあったり、昔から付き合いの深かった事業者が離れていったりということもあったようだ。現に僕も、「らでぃっしゅとはもう付き合いたくない」と離れていったメーカーさんを知っている。

らでぃっしゅの内部にいる同世代の友達と会って話をしている時も、

「うーん、、、 俺たちにできることは、いまやるべきことをやるだけだよ」

というなんとも辛そうな言葉が出てくることが多かった。それでも、以前かららでぃっしゅぼーやを支えてきたコアな若手メンバーはきちんと残っていて、踏ん張っているようだ。

先日、らでぃっしゅの生産者団体であるRadixの会の東北集会に行ったとき、僕は変わろうとしているらでぃっしゅと、その変化にどう対応しようかと牽制する生産者の丁々発止のやりとりを観た。それはある意味、健全なやりとりだったと思う。僕の友人でもあるらでぃっしゅの農産課長は、数字をあげなければならないという会社の方針と、生産者たちとの信頼関係をなんとか両立させていこうと、ズタボロになりながら歩いていこうとしているようだった。

生産者団体であるRadixの会の代表である河野和義さんがこんなことを言っていた。

「我々はらでぃっしゅぼーやと取引をしているんじゃない。取り組みをしているんだ!」

単なる物品の売買ではなく、佳いものを作ることと、その生産を支えることを組ませるということだ。僕はこの言葉に感動した。Radixの会は日本でも有数の生産者団体だと思った。

らでぃっしゅぼーやの商品配送を行うRadicleの会の素晴らしさにも触れた。らでぃっしゅの会員9万6000会員への配送は、数社の運送会社が分担している。その運送会社がRadicleというチームを組んでいるのだが、単なる配送だけではない、ココロの配送とでも言うべき取り組みをしていた。

らでぃっしゅぼーやが上場することを待ちわびてきた株主達も多いだろうけれども、らでぃっしゅぼーやの素晴らしい要素が上場によって無くならないように、心から祈るばかりだ。

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「安心できる食」を販売する企業が上場するということは、いったいよいことなのだろうか?と考えたときに、まず頭に浮かぶのは大地を守る会の立ち位置だ。

学生時代に藤田会長に会ったとき、こんなことを話してくれた。

「大地を守る会はね、3者から成り立ってるんだ。まず消費者、そして生産者。そしてこの中間で両社を取り持つ大地。そして、消費者も生産者も、まずは大地の一口株主になってもらう。そうすれば、株主のために大地が働くということになり、消費者も生産者も等価として、双方のために働くことになるんだよ。」

僕はこの言葉にドキューンとしびれた。

今、この日本では、誰も疑問に思うこともなく「消費者のために」という言葉が舞い踊っている。けれども、そんな消費者中心主義はここ20年くらいの間に醸成されてきたものであって、おかしなものだ。「消費者のため」を追求すれば、全てのモノやサービスはタダとなるしかない。そしてどんな企業活動も成り立たなくなる。まさに今、そうなろうとしている。「新鮮で、美味しくて、しかも安全で、それでいて安いモノ」なんて存在しないのに。

けれども大地の理念は、「消費者」だけでもなく「生産者」だけでもない。まして「流通」だけでもない三者の関わりとしてあるのだ。

ちなみに、この一口株主制は現在ではとられていないようだ(商法上難しいらしい)が、理念としては変わっていないはずだ。

 

上場するということは、「株主のために」事業をするということになる、と僕は認識している。株主にはいろんな人達がいるだろうけれども、JASDAQに上場するという場合、純粋に経済活動から得ることができる利潤を期待する人達がメインの株主になるのだろう。

そうなった場合に、「安心できる食」を提供することや、「生産者との正しい関係性の維持」といったものが第一義になるのか、非常に不安である。これまで多くの企業が利益追求の末、そうした旨を捨てていっている状況をみれば、この不安は根拠のないものではない。

そういうわけで、らでぃっしゅぼーやが上場した後、これまで通りのらでぃっしゅぼーやであり続けるのか、もっと良くなるのか、そうではないのか、非常に注目すべきことだと思う。

個人的には、たくさんの友達がいることもあり、いい上場になって欲しいと願う。

頑張れ、モリサキ。

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2009年03月27日

石川県の元気な農業者紀行 超ド級に面白い農家達がこんなにいるのであった!

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石川県に呼んでいただいて、就農希望者や農業者さん達に講演することとなった。以前、和太鼓メーカーの浅野太鼓店に寄らせてもらったりした過去ログがあるが、その時はアグリファンド石川という、石川県内で元気な農業をしている生産者の集まりで呼ばれたのであった。その事務局担当者として、いろんなところに案内していただいたのが田中さん。JAバンク石川という、県レベルで農業者に資金を融資したりする金融機関の方である。車中でいろんな話をして、なんともまじめでナイスガイな方だった。今回、小松空港に降り立つと、その田中さんが車で迎えに来てくれていた。

「県の事業ですが、今日一日は視察されるということで、案内させていただきます。」

なんと休暇を使って案内してくださるという。一週間のコンプライアンス休暇というのをとらないといけないので、ちょうどいいんですと笑ってくれていたが、本当にありがたいことだ。

そして、石川の元気な農家巡りが始まったのである。

■「風来」 西田さんの野菜を観る

さてまず連れて行ってくれたのは、前回の講演の時に最前列できいてくれた西田さんの農場だ。と思ったら、自宅兼作業場兼、自然食品店になっている!

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「山本さん、どうもお久しぶりです!」と握手。西田さんはバーテンダー、ホテルマンなどのサービス業を経て、就農した人だ。しかもその農業スタイルが非常に面白いのだ。

何が面白いかというと、、、持っている畑がたったの3反歩なのだ!

3反歩というのは、900坪ということになる。だいたい、日本の農家の平均的な面積が1ha程度だが、その1/3くらいだろうか。その面積で、先の写真にあるように他種類の野菜を作付けしているわけだから、それぞれの量は多くない。

これが、彼の畑。

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ちょうど春作物に切り替わる前の端境期(はざかいき)だったため、作物は少ない。

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メインのハウスが3棟で、その残りを露地野菜用のスペースとしているようだ。それら野菜を複数品目、宅配パックにしたてて販売しているのがメイン。ちなみに栽培は無農薬であり、化学肥料使用しない。有機JASなどは取得しないでやっている。

それにしても3反歩で野菜というのはなかなかにすごい。「よくそれで食っていけますね!」と驚くと、彼は言うのだ。

「家族が食べていけるだけの分しか栽培しません。それ以上やって儲かると言うことは、つまり働き過ぎってことですよ。」

もちろん、生産した野菜はすべて自力で販売する。県内の農場で研修した後、まずは自分で生産した野菜をリヤカーに乗せての振り売り(行商)から始めたそうだ。

「新規就農する人には、まず振り売りをしろと言いたいですね。振り売りができるようになったら、何でも売ることができます。」

京都などではまだ振り売り文化があるが、金沢でもやるんだぁ、と思ったが、最近は少ないそうである。そこで振り売りができるようになれば、一人前のコミュニケーション能力を持つことができるということなのだ。

「あと、野菜をそのまま売っているワケじゃありません。うちの母がキムチを付けるのが得意で、うちの白菜やキュウリなどをキムチにして販売します。奈良漬けや、鯖のこんか漬け(へしこ)なども。やっぱり、野菜だけではなくて、加工したものも織り交ぜないと。」

という言葉通り、店内のショーケースには自家製の漬物類が並んでいた。
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「さてさて、じゃあ昼ご飯にしましょう、今日はうちでお昼を食べていってください!」

おおっと アグリファンドの田中さんの方で、粋な計らいをしてくれていた。お店で食べるのも嬉しいけれども、農家のご自宅のご飯ほど旨いものはなかなかないのである。

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西田さんの奥様こころづくしの手料理。こいつがまた美味しいのである!
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みごとな押し寿司!この辺じゃみんな造りますよ、ということだが、なかなか手が込んでいる。笹の葉にくるまれているのをとると、下にも油揚げなどが押されている。そして、米が美味しい!

「うん、うちの田んぼで自家用の米ですけどね」

おそらく、親戚に農家がいる人以外は食べられないだろうけど、農家の自家用米は美味しいものばかりなのである。
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豚のショウガ焼きかと思ったら、ローズマリーと炒めた塩味。これがまた、アクのないスッキリとした豚肉で、非常に質がいい。仲間の養豚農家さんのものだそうだ。

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美味しかったのがこのフォカッチャ。これは後述する、井村さんという麦農家さんの小麦を使ったものだそうだ。薫り高いし、だいいち焼き加減が絶妙。奥様、かなりの料理上手である。

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紫キャベツと春キャベツの炒め物。食べてみると、独特の癖のある、旨味の強い調味料が使われている。おおおっと、これは魚醤の風味。そしてここは北陸ということは、、、

「これ、いしるが使われてません?」

「ピンポーン!いしるをさっと回しがけしてます」

いしるは、イカを原料とした魚醤だ。数ある魚醤のなかでも、イカの香りが強く出る、独特の風味だ。マイルドなキャベツが、非常にエッジの効いた味になる。

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風来のキムチと牡蠣、卵とニラのスープ。実にこっくりとしていて美味しい!いや、やはり農家の食事は最高である。

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「農家は面白いですし、食のことを伝える役目も持っていると思う。だから、うちはできるだけ消費者とコミュニケーションをとるようにしています。」

例えば、小さな畑にいろいろ植えられているのをマップにして宅配ボックスに入れている。

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そうすると、それをみたお客さんが「観に行きたいな」と思い、実際に足を運んでくれることもあるという。いちど来たお客さんは、精神的な絆ができるから、ファンになってくれるのである。

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料理上手の奥さんも一体になり、風来は頑張っている。このようなミニマムな営農形態で、きっちり食べていける農業を展開しているのは非常に面白い。野菜やキムチを食べてみたい人は、彼のWebを訪問して欲しい。

■無農薬野菜 風来 http://www.fuurai.jp/

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(ちなみに、上の写真左側の笑顔の方は、後で登場されるので説明はしないでおきます)

さて美味しい昼食をいただいた後、一路 平松牧場へと向かう。

平松牧場は、加賀市で酪農を営みつつ、ジェラートハウスを併設し、牛乳のみならず加工乳やアイスクリームなどにして、直接販売するという経営をしている。

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実は今、最も大変な農畜産業といえば、酪農である。トウモロコシなど、畜産の餌となる穀物が高騰している一方で、乳価は安く引き下げられている。これから少しは乳価が揚がるが、それでも店頭でミネラルウォーターよりも安い価格で牛乳が販売されている現状はおそらく改善されないだろう。

だから、酪農の経営では、生乳をせいさんして乳業メーカーに売るというこれまでのスタイルから、自分で加工して価値を高めて販売するという方向に転換しようとしている経営体が多いのだ。

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ジェラートやソフトクリームなどを作るのが、なんとこの牧場の息子さんと娘さん。家族経営は強い!
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ジャージー種とホルスタイン種の生乳をブレンドした牛乳をいただく。もちろんパスチャライズ殺菌なので、美味しい。ジャージャー種の乳100%だとちょっとくどいが、ブレンドすると非常に美味しく飲める。
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ラムレーズンのジェラートも美味しゅうございました。

「あらセンセイ、ようこそいらっしゃいました!」と顔を出してくださったのが、農場長の奥様である。

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さっそく、隣りにある牛舎を見学させていただく。DSC_6845

観光農園としても機能しているからか、牛以外にもいっぱいいる!こいつはロバ。

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ウサギも可愛い!

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そしてホルスタイン。DSC_6854

実は、いろんな牛の品種があるけれども、ホルは神経質なのが多い。けれどもこの平松牧場のホルスタインは気のよさそうな子ばかりだ。ストレスを与えない飼い方をしているからだろうか。

そしてジャージーちゃん。とっても可愛い品種なのである。

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しかも人なつっこい。カメラを舐めんばかりに近づいてくる!
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ひえっ危ない!カメラが舐められるところであった、、、

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「そうだねぇ、うちはもう、濃厚な餌を与えて、たくさん乳を絞ってというやり方に疲れちゃったんだよね。だから最小限の頭数で、いい乳を絞るってことを考えてやっているから、牛も健康ですよ!」

と、平松牧場の長・忠利さんが仰るのである。

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畜産業は、野菜や稲作よりもリスクが大きな業種だ。なぜなら、生き物を飼うという非常に不確定な要因と、牛舎や牛の導入など、初期投資の大きさが桁違いなのだ。みな莫大な借金を抱えて経営をしているのに、乳価は自分たちで決められず、生産原価を割ってしまう勢い。このままだと日本の酪農はどんどん減っていくだろう。事実、昨年と今年で、離農する酪農家が非常に多いのである。

だから、乳を自分で売っていくという方向性に梶を切りたい農家さんも多い。しかしそれもまたリスクである。そのリスクを背負って勝負に出ている酪農家を、応援してあげて欲しい。ナショナルブランドの、何が入っているのかわからないアイスクリームを買うのではなく、ちょっと足を伸ばして、酪農家が経営するアイスクリーム屋さんで買うだけでも十分だ。

■平松牧場のWeb http://w2272.nsk.ne.jp/~kaoru.h/

さてお次は米を中心とした生産法人である六星。ここはものすごく可能性を秘めた法人である!

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以前、この六星から送られてきたかぶら寿司のことを掲載したことがある。かぶら寿司とは、北陸を代表する魚である鰤(ブリ)の切り身を大きなカブに挟み、麹でつけ込んだもの。日本で最も美しい漬物といえるであろう一品である。詳しくはこちらを。

■2006年01月04日 明けましておめでとうございます! (かぶら寿司)
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2006/01/post_708.html

つまり六星というこの生産法人は、米を中心にしながら野菜も積極的に生産し、なおかつこんな大きな直売所と工場まで建てて、加工品まで手がけているのである。

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この生産法人の若き社長が、この軽部さん。DSC_6900
実は東京出身で、結婚を機に、嫁さんの実家を継ぐ形でこの六星に来た方である。もちろん他業種からの転身。だから、経営マインドをもって農業に取り組んでいる。

「あのですね、最近メディアが簡単に農業参入を謳ってます。ニートは農業をやれ、とかね。でもね、そんなに甘い産業なわけがないですよ!無責任にあおらないで欲しいですね。」

という。実に実に同感! 最近のメディア(テレビ・雑誌)は本当に無責任にそして無根拠に、農業ビジネスがイイなどと書いているように見える。書かれていることの多くが空虚である。ま、それはまた今度書こう。

で、この六星には、僕の大切な友人カップルが在籍している。川嶋タケ君と、菜穂ちゃんカップルである。農大出身の彼らは、全く躊躇無く就農を志す。どこにどんな農業者がいるのか情報がまったくないまま、全国を探している中で出会ったのが、この六星の会長さんだという。つまり軽部社長の義父さんだ。

実はこのカップルとの出会いが、数年前に僕と仲間達とで運営した「就農塾」のヒントになっている。「就農希望者向けの情報や講座が少ないんですよ」ということだったのだ。今では色んなところが就農希望者向けの情報を提供しているが、3年前はまだそんな状況ではなかったのである。

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この日、タケはなんと僕と入れ替わりで横浜に出張。残念!久しぶりに会う菜穂ちゃんは実に充実した顔だったので、一安心である。

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六星ではいま、お弁当の販売も行っている。いずれはイートインも、ということだそうだ。とてもいいと思う。なぜなら六星の農産加工品はことごとく美味しい。数年前に大根を送ってもらい、十数種類の大根の食べ比べをしたことがあるが、実はこの六星の大根がぶっちぎりで好評だったのである。

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六星の強みは、社員に若い世代が圧倒的に多いことだ。10人ちかくの30代以下バリバリ若手が居る。そして社長も若い! 今後、大いに期待である。

■六星のWeb http://rokusei.se.shopserve.jp/

 

さぁて 長くなるのでいったんこの辺で。

18:28

2009年04月02日

また一つすばらしきメーカーが消えた。富士食品の納豆を懐かしく思う。食べ物が「安いこと」はそんなによいことか?生産者・メーカーが存続できないほどに安いことは、社会の悪ではないだろうか。

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ショッキングなニュースが飛び込んできた。北海道の富良野市にある、すばらしき納豆メーカーである富士食品が倒産したというのだ。また一つ、良心的なメーカーが、スーパーなどの購買者と消費者によって潰されてしまった。とても残念だ。

過去ログ
■2004年07月09日 こんなに旨い納豆があったのか! 富良野編完結 「富士食品」http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2004/07/post_284.html

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富士食品との出会いは、過去ログにもあるように、非常に偶発的なものだった。その後、週アスで連載していた旅三昧の取材で、社長とも仲良くさせていただいたものだ。

北海道産の大豆を使った商品を積極的に出し、あくなき追求心で佳い商品を追っていた納豆メーカーだ。

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納豆バカ一代である会長からは、

「あのね、ツーッと納豆をつまんで引っ張ったときに、伸びた糸に節ができないのがいい納豆だよ」

という名文句をいただいたものである。

富士食品を語る上で欠かせない商品がある。それが「なうぴー」。

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モナカの皮に味を付けた納豆を入れたものだ。

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地元の学校給食で普通に出ていたというこのナウピー、初めて食べたときの衝撃は忘れられない。

他にもいろいろあるのだけど、なっとうちょこには参った。

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これがまた、旨いのである。変な味ではない。最近ではやはり大豆の発酵食品であるテンペをお菓子風にしているのをよくみかけるが、そんな感じ。

とにかく納豆を美味しく、ということに意欲を燃やしたメーカーであった。

その富士食品が、倒産してしまったという。周辺の人たちに連絡をして話を聞いた。結局、納豆や豆腐、こんにゃくなどのいわゆる「和日配」は本当に大変な状況なのだ。

日配(にっぱい)というように、毎日食卓に上るような食材であり、鮮度が要求される商品は、消費者が価格に非常に敏感だ。特売で一円でも安いスーパーに客が殺到するのは見慣れた光景だ。だから、スーパーや飲食店、給食などもとにかく価格を安くするということに腐心する。

農産物と同じで、日配商品もまた、その価格決定を支配するのは買う側だ。スーパーのバイヤーが「うーん、やっぱこの商品は128円でしょ」という風に、どれだけのコストがかかっているかとは関係なく決めてしまうことも多い。

そんなの断ればいい、と言うかもしれないが、断れるものなら断っているところだ。日配商品は薄利多売の世界だから、売場を持っている取引先を断ることが難しい。豆腐業界の社長さんの話では、工場のライン単位で取引先が決まっている場合、取引停止になると明日から赤字になる。だから、なんとしても食い下がるしかない。取引先も巧妙で、「活かさず死なさず」という絶妙なラインで手綱を握ってくるという。

それに輪をかけているのがこの不況だ。もはや、「よい大豆を使って、安心できる納豆を」ということは価値として認められない。とにかく4個パック98円以下でなければ売れない、というようなぎりぎりの値下げを強要されるのである。

「だったらいいよ、安い材料仕入れて、保存料とか駆使して、安く造るからね」

という割り切りをできるメーカーであれば、よかったかもしれない。けれどもまじめなメーカーは、割り切ることができずこだわりを通そうとして、倒れてしまうことになるのだ。ちなみに北海道ですでに5軒の納豆メーカーが倒れているという。

こうした状況を造りだしているのは、第一に安いモノばかり買う消費者、第二に食品価格を叩く小売や外食などの販売業者、そして第三に消費者におもねるマスコミである。

中でもマスコミがたちが悪い。新聞やテレビなどのメディアで食の問題を報道する際に、無意識的に「消費者が弱者である」というようなメッセージを流しているからだ。この消費者中心の社会では、本当の弱者はメーカーや流通業者だと僕は思う。それなのに、不景気になると彼らは「消費者のために、食品は安くあるべき」という間違ったメッセージを造りだしている。そして富士食品のような佳いメーカーが潰れる。青果物を流通する市場の卸売業者の営業利益率も、なんと平均0.5%程度だという。そんな薄利でよくやっていられるものだと思うし、異常なことだと思う。

不景気のもとでは、消費者も苦しいけれども、ものをつくるひと、運ぶひと、売るひとも一様に苦しいのである。消費者を立たせれば、生産者・メーカーが潰れる。それが続けば、どうしたって佳いものは造られなくなる。

「でも、現実的に食品が高くなるのは困る」

という人も多いだろう。なぜかこの国の消費者は、節約というと真っ先に食費を削ろうとする。携帯電話には一万円近く支払っているのに、毎日口にする豆腐や納豆、調味料には10円の差を大きく感じる。本当に不思議な話だ。毎日食べるということは、その食品が身体をダイレクトに構成している、根本的な要素になっているということだ。そんな大事なものに投資をせず、10円単位の差額をケチって、レベルの劣る食品を選択する。値段には意味がある。安いモノには安い意味があると僕は思う。安くするために払う犠牲は、多くの場合は身体に影響を及ぼすものだ。

「そんなこといっても、所得の低いひとはどうすればいい?」

ということをよく訊かれる(そういう質問をしてくる人自身は、所得が低いわけではないことが多いのが、非常に苛立つのだが)。でも、ご存じだろうか、この国ではエンゲル係数はもうながいこと25%以上になっていない。お金の使い道は、おもに食べ物以外に振り向けられているのだ。エンゲル係数40%以上になってしまっている人であれば「困る」と言うのは当然だろうが、そうでもないのに「値上げが困る」というのはオカシイは梨ではないか。消費者のエンゲル係数よりも、いまはメーカーや生産者の利益率の方が低い状況なのだから。

納豆が3個一パックで98円程度の普及価格帯のものがあるとする。一方で、国産の大豆を使用した納豆が50円増しの148円で売っているとしよう。だれもが「50円なんて高い!」と言うかも知れないが、、、3人家族がウィークデーの朝食に納豆を食べるとして、50円×25日程度=1250円である。たったの、と言ってはいけないけれども、1250円の差額にしかならない。スターバックスのコーヒーが300円前後。それを4回節約すれば佳い納豆を求めることができる。

消費者の選択は消費者自身が決めるべきことだ。でも、その選択によっては、佳いものが産み出される構造を壊してしまうこともある。それを消費者は、自覚すべきだと思う。

 

さて富士食品がなくなってしまったのはとても残念だけれども、でも当事者の皆さんは、いつか再起をと思っているらしい。ぜひ、何らかの形で再起して欲しいと心から願う。会長、社長、ぜひ頑張って下さい。何かできることがあれば、やります。

20:15

2009年04月10日

食べ物の安売りは、世の中を佳くはしない。小売業者のやり方には、憤りを覚える。

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イオンが新聞広告に「反省文」を出したことは、人から聞いた。流通業界のトップであるイトーヨーカドーとイオンは、どちらも相次いで主力商品の値下げを敢行している。そして、西友が298円弁当を発売するという。

これらのプロモーションを観て、消費者はいったいどういう感想を抱くのだろうか。

「イオンは反省しているんだな、偉いぞ!」

「298円弁当は、一括調達や効率的な生産で、内容は変わらず安くなるんだってさ。素晴らしいね!」

などと受け取っているのだろうか。

僕には、腹立たしく思えてならない。小売業界は、食べものの価値をまた下げようとしている。しかも、彼ら自身は「頑張ってます」というメッセージを出しているけれども、真実は、彼らの前にいる生産者やメーカー、流通業者を絞り尽くすことで、これを実現させているからだ。

小売業者が「いいこちゃんぶって」いるケースはこれまでも多々あった。例えばよく「台風落下リンゴ」というのが販売されることがある。収穫直前に台風を受けてしまい、落下して傷つき、売り物にならなくなってしまったリンゴを、私たちは無駄にしません!買ってください!というアレだ。「あ、これは買ってあげなきゃ」と思って手に取った人もいるだろう。

でも、それは実は生産者のためにはなっていない。

台風落下リンゴの価格は安い。「安くても、売り物にならないものなんだから、ちょっとでも助かるでしょ?」と思うなら、大間違いだ。安いということは、生産者に渡されるお金だって安いのだから。スーパーは、断言するけれども、自分自身は損をしないように利益を載せている。または、それ自体で収益がでなくても、集客の目玉になれば、告知効果になるからそれでいい。

もっとまずいことは、格安で販売される台風落下リンゴの横にある、ぴかぴかの、高い値段がついている無傷のリンゴが売れなくなることだ。生産者という存在をマクロにとらえてみたら、台風で落下したリンゴを安く仕入れられ、それが売れることでもともと高く売れるはずだった佳い品物が売れなくなるという状況のほうが困るのだ。

だから、本当に台風や雹(ひょう)害で困る地域を助けたいと思うならば、落下リンゴではなくて、産地表示をみて、その産地のリンゴを買ってあげる方がいくぶん貢献できるはずだと僕は思う。

まあ、これは一例だ。小売業者(だけではないけれども)は、巧妙に消費者を欺き、自分の利益を最大化しようとする。企業活動としてはもっともなことだけれども、言い換えてみれば、生産や流通の段階の知識をあまりもたない消費者をだましているということに他ならない。

そしてこの時期に来た「値下げ」だ。値下げの犠牲になっているのは、イオンやイトーヨーカドーではない。中間にいる流通業者と生産者、製造業者である。

先日、納豆メーカーの富士食品が倒産してしまって悲しい、というエントリを書いたら、思いもかけず、いろんなところから連絡をいただいた。その多くが食品メーカー、農協、そしてなんと小売業者ご自身!

「大手スーパーは「消費者の味方,価格据え置き・応援値下げ」なんてやっていても
自分のマージンは確保していることがみえみえで、余りおつきあいしたくありません。
最近は「イオンはダイエー化しつつある」なんてことを聞いたりしますね。」

「やまけんさん!「富士食品」書いていただきありがとうございます。あんな良い会長の会社が潰れるなんて、悔しいです。」

「今日のブログは、私たちの今の悩みそのものでした。まさしく和日配の現実です。」

まだまだあるのだけれども、、、

メーカーは、怒ってますゾよ。

「美味しくて、新鮮で、栄養があって、安全で、、、そういう食べものを、安くちょうだい!」

などというわがままな消費者と、その消費者におもねって、とにかく「消費者がこの価格じゃないと買ってくれないんだから」という理由で、価格を押しつける小売業者。これが続くと、常識はずれの安値にするために、劣悪な材料や、膨大な添加物や、偽装といったことをする業者が現れる。それは、本当は消費者と小売業者自身がつくり出したものなのに、一方的に非難・糾弾され、退場を迫られる。

そして、この国には大手のメーカー数社しか残らない、寡占状態になる、、、この状況が長く続けば、そうなってしまう。おそらく想像力のない人は「それでいいじゃん、何が悪いの?」と言うだろうが、、、

西友の298円弁当、怖くて僕は食えない。イオン、イトーヨーカドー店頭でも、安売りしているモノは買いたくない。僕は生産者・流通業者叩きに荷担したくないからだ。

14:10

2009年04月17日

うどん用国産小麦のニューフェース・「きたほなみ」のうどんを食べてみた。北海道は北見農協のきたほなみを、望月製麺所がうどんに試作してくれた!

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ラーメンサラダ「ラーサラ三郎」が好評の望月製麺の泉田さんから、「ホクレンの寺尾さんからきたほなみが届いたので、試作したのを送りまーす」という連絡がとどいた。

きたほなみは、北海道で開発されたうどん用小麦品種だ。従来つくられていたホクシンという品種は、味はよいものの、少し黒ずんだ色になり、コシもまだ十分ではないという評価だった。それを克服し、さぬきうどんにも使われているオーストラリアの純白系コシがやたら強いASW品種に負けないものを創ろうということで育種された品種だ。

ホクレンで僕を札幌の旨いもん漬けにする張本人である寺尾さんは、この4月から北見支所に異動。北見といえば飲食店の裏に積んである「北見F1たまねぎ」という段ボールを見たことがある人も多いはずだ。北見のタマネギは一大産地である。しかしきたほなみも創っているとは知らなかった!

さっそく、釜揚げを溶き卵に投入する「釜玉」と、冷水で締めて醤油で食べる二通りで試食してみた。釜玉といえばさぬきうどんの山越だなぁ。うーん あれは旨かった!

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で、結論からいうと、きたほなみのうどんは実にイケル! 釜玉うどんにすると、水で締めていないのでやわやわになってしまうかと思いきや、湯との境界部分は柔らかく、しかし噛みしめるとブリンとしたコシがきちんと通っていて、気持ちよい。

きたほなみを試食した友人の話では「灰分が少ないこともあって、香りにはやや欠ける」という評価だったけれども、香りが少ないと感じることもなかった。実に美味いうどんではないか!

さてお次は冷やして醤油うどんで。

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む、、、

釜揚げの方が旨い、、、

さぬきうどんの冷や冷やの旨い店は、うどんの芯がブリンとしたコシになっているけれども、こちらは全面的に均一なコシ状態で、歯ごたえはあるものの、ちょっと退屈な食感である。

しかし、それは製法によるものであった。上記を望月製麺の泉田社長に連絡したら、こうお返事があったのである。

 

真空ミキサーで練っているので小麦粉と水が均一に結着しているのでそうなり、それが手打ちとの違いになります。(ミキサーを使用している側からすると、良い事です)
私が試食した時は腰があり、食感的には「外麦(プライムハード)」に近づけようとしてますね!確かに「香り」「味」は現在の道産小麦より弱い感じがしました。「北ほなみ」のスペックは判りませんが、「小麦たんぱく」が多くなると私的には「味」は無くなるように思われます。ただ、「タンパクの内容」にもよりますので、そこが難しい所です。
今回は5kしかありませんでしたのでこれだけでは判断できません。いろいろ練る時間、水の量、塩の量などまだ、調整して行かなければ結論は出せませんが…

ふうむなるほど!

泉田さんが言うように、コシの元となる蛋白質が多くなったことで、逆に香り成分は減少しているようだ。しかし、香りがブワッと立つパンやパスタに比べ、うどんにしたときには、近年では食感やのどごしが優先して評価される傾向にある。そういう文脈では、きたほなみはかなりイイ線いってること間違いない。

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とにかく僕は、日本の伝統的なたべものであるうどんのほとんどが、外国産麦で出来ているという状態が気持ち悪いのである。自分の国で創られた麦で美味しいうどんが出来ること。それを食べると言うことが、ようやく本当に「日本のうどんを食べた」ということになるのではないか、と思う。

きたほなみに、ひきつづき期待をしたい! 寺尾さん、泉田さん、ありがとうございました!

12:33

2009年05月11日

島根県は実は超・立派な農業県! 意欲的な生産者さん達に会ってきた! その3

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島根県の反田組の若頭から連絡があって、実は先日書いたごぼうがあと一ヶ月くらいで収穫だそうだ。ので、もしかすると都内でも買えるかもしれない。その際はまたここに書こう。

ちなみに現在の牛蒡はこうなっているようだ。

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すでにビニールのトンネルは取りさられ、大きく成長フェーズになっている。素晴らしい!収穫が楽しみである。

さて
一夜明けて、同じホテルに泊まった木次乳業の佐藤社長に見送られながら、講演時間まで産地を廻らせていただく。

まずはJA斐川(ひかわ)。斐川町は松江と出雲の間にある街。斐伊川という、宍道湖に流れ込む大きな川があるため、肥沃な土地がしかも平野で拡がっている、農業にはとても条件のよい地域だ。

そしてこの街は、農協が新しい商品を企画・開発し、農業者を引っ張っているよい事例に数えられるのである。

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この方が営農部長の石川さん。昔、食品関連の展示会に参加したときに、斐川にはなーんも売るもんがない!そしてなーんにも顧みられない!ということに衝撃を受け、米などを漫然と造るだけじゃなく、積極的に商品開発に関わらなければならないと開眼したという。

そこから試行錯誤を続け、さまざまな斐川のキラーコンテンツが産まれたという。いま、非常に人気が高いのがハトムギ。斐川では全国的にトップレベルの作付け(100ha!)をしており、最近、雑穀商品で有名なメーカーであるベストアメニティ社の契約栽培をしているという。

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ハトムギは漢方の「よくいにん 」という立派な効果をもつ作物。これを発芽させたもので麦茶にしている。

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味も芳ばしくてよし、しかも発芽しているので栄養成分も期待が出来る。発芽ハトムギと通常ハトムギでは3倍程度の有効成分量の差があるということだ。

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営業一課の飯塚さん。
この農協の人達は、眼がとても活き活きしている。
第一、事務所内の女性達がはきはき、シャキシャキと仕事をしておられた。

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僕はいろんな農協に行っているが、女性事務員達の挙動、挨拶の対応のしかたなどでだいたい、その農協で働く人達のモチベーションがみてとれるようになった。やっぱりやりがいのある、責任を持たせる仕事の仕方をする農協は、勢いがいい。適度なハリが、事務所内の空気に満ちているのだ。 ここ、佳い農協だと思う。

実際、隣接した直売所には毎朝開店前に行列ができるほどだという。

「山本さん、実はうちのもう一つの名物がこれなんですよ!」

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なんと、ひまわり(向日葵)油 である!
最近、菜種油などの国産油脂植物に多分に関心を持っている僕だけれども、向日葵油はなかなかお目にかからない。そう、実は向日葵は観賞用でもあるけれども、油脂植物なのである。

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このいかにも高級そうな一品は日清オイリオのギフトに選ばれた商材だという。日本で500円! うん、それくらいしていいと思う。

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これ、僕の事務所にも贈っていただいたので、後日ぜいたくに揚げ物に使ってみたい。その際にはレポートしよう。

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その他にも、向日葵油を塗った手延べうどんやそうめんなど、つぎつぎと開発商品が出てくる。これは面白いなぁ! 課長さんも、展示会で得たショック・屈辱を昇華してバネにして、いろんな食品メーカーと対峙して、ここまで来たという。いい顔の農協職員がいる地域は、農業も活気があるのである。「農協って悪いんでしょう?」という単純な二元論は、役に立たないのである。

さて次の産地への移動中、あまりにいい感じの風景に車を停めていただき、撮る!

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気持ちいい景観だなぁ、、、
農業を守らなければならない理由として僕は何より、この農村風景に価値があるという一点を重視したい。東京の荒涼とした風景の中にしか生きられなかったら、僕は死んじゃう、、、出張の多さで、こうした景観に触れることでかなり気持ちのリフレッシュを出来ていることは否めない。

さて次は「今在家(いまざいけ)」という地域の農業生産法人だ。

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平野部ながら、稲作農家が集まって集落営農をしている組織だ。 
稲作主体で、組合員の土地を区切って再配置しながら作付けしている。

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ただし稲作だけでは、、、ということで、観光ぶどう園・いちご園を展開している。そこで年に数回、消費者向けイベントを 行う際に「だんだんネギ焼き」というのを造るそうだ。うわーーーーーーーそれ食べたい!と思ったけど今日は無理とのこと。残念だ!

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こちらのネギは典型的な青ネギ。

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これをたっぷり使ったお好み焼きのようなものらしい。今度はぜったいに食べるぞだんだんネギ焼き!

さてここが直売施設。

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いちご園は高設ベンチでの栽培。

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選果場内では組合員のお母さん方が選別作業をしている。

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品種、なんだったっけ。章姫だったかな、、、

「この辺が美味しいから、食べてご覧!」

とお母さんが声をかけてくれる。

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中までしっかり完熟していて美味しい! コクのある甘みである。イチゴは糖度よりもコクだよね。

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こちらがぶどう園。かなりいろんな種類のぶどうがハウス別に植えられていた。

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視察時はまだ若芽が出るくらいの時期だったが、今頃はもうそろそろ花から実に変わりつつあるだろうか。

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さてここから会場に向井、講演開始。

そして次回は、、、久しぶりにサシのたっぷり入った黒毛和牛を食べることになる。しかしながら絶品!きちんとした血統できちんとした肥育をかけた黒毛は旨いというのを再認識したのである。

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こうご期待!
これから淡路島に行って参りま~す。

12:47

2009年06月18日

京都府の宮津市・飯尾醸造の田んぼが綺麗です

丹後にある、短角牛と黒毛和牛の交雑種(F1)を生産している牧場の視察があるのだが、それなら手前の宮津で一泊と思い、飯尾醸造さんを訪れています。

まずは恒例の「こんぴらうどん」にて食事。

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この店の超絶な出汁の美味しさを知るためにも、何も入れない「かけ」は食べておくべき。

キュッと冷水で締めて冷やした麺の弾力を楽しむために、冷やしものも頼むとベスト。その際に天ぷらものを頼んで、かけの方にも天ぷらを落とすと、バリエーションを楽しむことができる。写真は野菜天せいろ。丁寧に揚げられた野菜かき揚げと海苔揚げが美味しい。

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最初、飯尾醸造を訪れたときにも、飯尾君が「ぜひ連れて行きたい店が」という。けれども、せっかく海の近い宮津に来ているのに、しかもなんでさぬきうどん?と不思議だった。

けれども食べてみて疑問は氷解。香川でも滅多に食べられないうどんだ。つゆは昆布ベースなので讃岐とは全く違う。麺の食感も、最近多いとにかく弾力ぶりぶりというものではなく、はんなり・ぶりんっ という妙味。

ちなみにこの大将、飯尾醸造のお酢をたくさん使ってくれている。

「貿易の関係で粉のコンディションが悪いときとかは、お酢が助けてくれるんですわ。うどんを打つときに酢をよういれるんです。これが魔法なんですわ(笑)」

ちなみに卓上には、飯尾醸造の富士酢と紅芋酢をブレンドしたものが置かれている。これをうどんにかけると、びしっと合う!酢酸で味がめちゃくちゃになるかと思いきや、まったくそんなことはない。出汁と醤油のうま味の世界に、また違う線が一本入るのだ。

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ご主人には、出汁の話をいろいろ教わった。

「最近、ええ昆布があまり手にはいらんのですわ。関西では昆布はねかせます。打ちが使ってるのは5年くらい寝かせてますなぁ。うちの家にはもう100キロ以上寝かせてあります。そういう単位じゃないと問屋もええのを持ってきてくれんのでねぇ。

いま昆布の世界も後継者不足で、ええ仕事をしてくれる業者さんが減ってきてます。生産者の手取りが低いんでしょうねぇ。けど、問屋の仕事も重要で、やっぱりきちんとしたものを選別してくれる。漁師さんが飛び込みで昆布を売りたいと来ることがありますが、うちでpHを測ると、ちょっとこれはうどんには向かんねぇ、日本料理にはええでしょう、と言うような話になることが多い。やっぱり、漁師さんがいろんなレベルのものを持ち込んできたのを、整理・選別して、寝かせて持ってくるという問屋の機能は重要ですわ。

ただしね、何も知らないで買おうとすると、だまされる世界です。関東ではどうかしりませんが(笑) 何枚かに一枚、別の産地のもんをもぐりこまされるとかは、よくあることです。そういうのを見つけてきちんといえるくらいの眼を持たないと、買う方もあかんのです。僕もようだまされました、、、(笑)」

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うちには秘密はなんにもない、といいながら、つけ汁(辛汁)のあんばいを見せてくれるご主人。

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あるところでぴたっと止めて味見。

「かえしの量、これくらいでもいいか、と思うでしょう?」

うん、ちょうどいいと思う!

「でもね、これにもう少し足すんですわ」

と、けっこうどぼどぼと足していく! ええええちょっとしょっぱいんじゃ、、、

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けれど、その塩梅を強くした汁のほうが、びしっと全体がまとまった味になっている。

「水気をふくんだうどんをつけるんで、強い加減にしておいたほうがええんです。で、これに最後、魔法のお酢(笑)」

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飯尾醸造の玄米黒酢を、適量投入。

おおおっ お酢が入ることによって、輪郭がさらにハッキリくっきりと浮かび上がってきた!酸味は感じないレベルで、しかし味全体には明確に差が出たのである! うーむ 素晴らしい!

ご主人が、おみやげに真昆布と利尻昆布を持たせてくださった。

「真昆布のほうはうちで数年、寝かせてますから」

貴重なものをありがとうございました、、、(涙) 宮津を訪れるものは、かならずこの店で宮津風のうどんを食していくべきである。

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さて一路、飯尾醸造の棚田へ。

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飯尾醸造は、自分のところで仕込むお酢につかう米を契約農家に無農薬栽培してもらっている。しかし昨今、地域の高齢化で耕作放棄値が目立つようになり、蔵人の手でなんとかできないかということで、自分たちで田んぼを借りて栽培もするようになっているのである。

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右が飯尾彰浩君、左が稲作担当責任者の伊藤さん。若き日はぶいぶいいわせていたというナイスガイである。

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みての通り 手植えである。

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この地域はイノシシやヌートリアなどの獣害が激しいため、電柵が欠かせない。下の写真でポールが立っているのが電柵だ。

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(ニコンD700 AiAFニッコール 85mmF1.4 )

 

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日本の調味料メーカーで、自前で原料を栽培しているところはいくつかある。でも、お酢に関してここまでやっているところはそうないだろう。しかも、完全無農薬なのだ。 かなり大変ですよ。

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こちらは契約栽培の田圃。天橋立を望むことができる。

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田が黒っぽいと思われただろうか。これが、古紙を原料にした紙マルチ。田植え時に敷いていき、そこに苗を植えていく。黒い紙が水温を暖め、そして雑草が出てこないように抑制してくれる。稲がしっかり根を張って草負けしなくなったころには分解してくれるという、無農薬栽培には欠かせない優れものだ。

ただし 高い。飯尾醸造ではこの紙マルチは全額を蔵の負担で契約農家に配っている。そして、農家からの米の買い取り価格はびっくりするほどに高い。よくやっておられるなぁ、と思う。安いお酢を買ってる場合じゃないのである。こういう蔵を支えてこそ消費者ですよ。

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楽しみな夕ご飯は、飯尾家にお呼ばれ。

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超絶絶品な、焼き豆腐の煮たの。もうね、本当にこれがあれば他のは無くてもいいくらいに美味しい。

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するめいかの小さいやつ。名前、なんだっけなぁ、、、

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トビウオの旬。酢締めされたのがキュウリと合って美味しい。

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この辺でもハタハタが揚がり、よく食べるという。けど、ハタハタ寿司にはせず、煮るか焼くかだという。ほろほろした身が甘辛い汁に絡むと最高で、速効でメシをおかわり。

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かきチシャの炒め煮。かきチシャは日本に比較的昔からあったレタスの仲間。次々に出てくる葉をかいていくものだが、こうやって加熱して煮含めたのは初めて。とても美味しいものだ。もちろん隠し味に酢が使われているのだが、それがドンピシャ。

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あれだけ並んでいたのに、二人でほぼ食べてしまいました、、、

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飯尾家の心地よさに感謝。

さて本日は牧場へ移動します。

09:50

2009年07月07日

焼くと、みるいタケノコ香がプワンと立ちのぼる絶品の月山筍をいただく。

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貴重な貴重な月山筍が、山形県の庄内から送られてきた。

以前、週刊アスキーの「旅三昧」で水先案内をしてくれた、ネット上で山菜といえばここしかないという知名度の「山菜屋.com」の遠藤さんが送ってくれたのである。

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1kg3800円と、ちょっと高いかなと思いがちな価格だけれども、食べてみたらぶっ飛ぶ旨さなので、この季節だけのものとして買い求める価値がある。

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けど残念、僕がぼやぼやしている間にもう旬を過ぎてしまって〆切になってしまったようだ。いまはだだちゃ豆の受付をしているようだ。うーむ

■山菜屋.com
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http://www.sansaiya.com/

茹でたりしてもいいんだろうけど、せっかくの味が抜けてしまうのが勿体ないので、魚焼きロースターで皮が焦げるくらいまで焼く。熱いうちに、火傷に注意しながら皮を剥く。こいつに塩をつけて食べるだけで、もう極楽気分の美味しさだ。新鮮なものは筍特有のえぐみが少なく、ホワイトアスパラのような旨味と香りが、凝縮された筍の中に宿っているといえばいいだろうか。

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この月山筍の皮がまた美しい。

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そして裸に剥かれた筍の肌がまた、きめ細やかで美しい。

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今年の山菜シーズンは結局、東北には行けなかったのでかなりフラストレーションが溜まっている。この時期の庄内の旅は最高なのだ。

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これはギョウジャニンニク。

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こんな自然の中、タラの芽を採りに切り立った崖に登ったりする。

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こんな庄内の山村をちょこまかと巡りながら、農家さんが山から採ってくる山菜を目利きをして選り分け、料理屋や消費者に提供するのが卸の役目。農家から直送すればいいじゃないかなどというのは素人考えで、一農家が集めきれる山菜の量はたかが知れている。また、集めるのが大変なので選別・発送などまで手が回らない。

そういう小さな農家の軒先まで行って集荷をし、複数種類を取りそろえ、サイズなどを揃えて出荷する機能は必須なのである。

農業関連ビジネスがブームになっている今、またもや「農家から直接」とか「中間段階を中抜きして」などという空疎なキーワードが出てきているようだが、アホらしい。これまでの流通に中間が存在してきたのは必要とされる背景があり、その背景はいまだ変わっていないのである。

優秀な卸が居てこそ産地が生産に集中できる。おっと脱線したけれども、そういうわけで山菜屋.comを、僕は応援している。

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この方が山菜農家さんから信頼される遠藤さん。取材の時はお世話になりました~

月山筍うまかった。そのまま食べるのと、パスタなどの具で楽しみました。ご馳走様でした!

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2009年07月09日

日本には識られざる観光名所の予感がする地域がまだまだある。大分県は由布院よりこちらの方が面白いかも! 塚原高原の可能性はでかい! その3 なぜかこんな場所で本格派お好み焼きと、野の花ペンション

大分は湯布院の裏側を登ったところにある、なんとも涼やかな高原リゾート・塚原のつづき。

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さあさあ、次のお店へと、観光協会長の藤沢さんにせかされて歩を進めたのは、本当に広大な牧場的景観の中にポンと出てくる絶好のロケーション。お好み焼き「恵里菜」である。

■恵里菜
http://yufuin-tsukahara.com/shop_rest/erina/index.html

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塚原牧場とは、この恵里菜の女将のお父さんが開いた牧場のことだそうだ。

「あらっ 写真?綺麗に写してちょうだいね!」

と明るい女将は、若い頃からお好み焼きの本場である大阪に出て、様々な飲食の修行してきた人だ。その苦労人生の話を聴きながら鉄板上で繰り広げられる技をみていたが、実にすばらしいお好み作法だった。

「やまけんさん、ここはね、人を案内すると『なんでここでお好み焼き?』と必ずきかれるんですけど、食べるとみんな満足して帰るんです」と藤沢さんがいう。お好み焼きは関東風・関西風・広島風のすべてをカバーしているというが、いい加減食べ過ぎてきているので、関西風でいろいろ具が入っているのをみんなでいただくことにした。

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お好み焼きの具にも使っている、鮮度のいいエビの頭を、すぐ脇で煎餅に焼いてくれる。これがまた名物らしい。

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ちなみに僕が気になったのはこの店のマッチ。なんか、グッドデザインなのである。

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焼き上がり!

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すでに時間がおしていたので、秒速で口に入れる。む、みっちりと中身の詰まった、しかしふんわり感も損なわない微妙な焼き技術。豚からシーフードからじゃがいもから具材てんこ盛りの中身だが、バラバラにならず一体感のあるお好みである。

「ほんとは、ここは夜ずーっとお酒を飲みながらおつまみを出してもらって楽しむ店なんですけどねぇ」

と藤沢さんがいうが、確かにほんとにそうしたいところだ!

女将に再訪を誓って、撤収。

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さてまだ食の旅は続く。4件目の昼飯は、ペンション&レストランの「野乃花」だ。

■野乃花(ののか)
http://yufuin-tsukahara.com/shop_rest/nonoka/index.html

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元・銀行マンのご主人と奥様が開いた、まさに成功物語を地でいく店だ。こういう店は、趣味的だけど飯がまずいとかそういうことが多いものだが、野乃花はきっちりちゃんとしたお料理をいただくことが出来る。

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これらの野菜・野の草花類は、庭園内の菜園でとれたものばかり。また米や魚なども半径50km圏内で獲れたものばかりだという。

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嬉しかったのがこの鮎の干したのを揚げたものだ。

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頭までパリパリと楽しめる。

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そしてなぜかこの文脈で追加してもらった、名物のナスのグラタン。

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これが実に美味しいのである、、、奥様のウデは確かなり。

この塚原にきてから4食目(!)だけども、するすると入っていくのは、野の草を摘んできたものや、菜食中心のメニューだからだろう。ホテル・旅館料理に飽きた人には、塚原にチョイと足を伸ばしてご飯を食べに来るというのは、実にいい選択肢だと思う。

それにしても旨いのが、塚原の水。

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適度な柔らかさ、きりっと輪郭のある水だ。 堪能しました。ちなみに野乃花では宿泊もできる。その個室を見せていただいたが、ベッドカバーに見事なキルティングがかかっているのだが、これも店主夫妻のお手製だそうだ。

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こういうモノの価値はまったくわからないのだけど、ここまでやるのは大変だったろうな、、、冗談好きなご主人に、「次回は呑みながらゆっくり話しましょう」と声を掛けていただき、お別れを。

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昼に4食、腹は膨れた。けれどもなぜかそんなに重くはない。やっぱりこの涼やかな気候と、菜食中心の献立のせいだろうか。

「じゃあね、最後にとっておきの素晴らしいお宿を紹介しますね」

と連れて行っていただいたのが、forest inn BORN〈フォレスト イン ボン〉だ。

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forest inn BORN〈フォレスト イン ボン〉

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いやー
これは、1週間くらい静かに滞在したい隠れ家である!
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うーん ここに泊まればよかったよな、、、

若旦那は、塚原のヨン様と呼ばれているそうな(笑)

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とまあ、3回にわたって書いてきたけれども、この間じつに1時間半程度(笑)4食食べて、食べないけど見せていただいたりも含めると7件くらいの施設を見学。

結論としてこの塚原には、ぜったいに再訪しようと思った。観光地としての知名度は湯布院が圧倒的に強いだろうけれども、その分、陳腐化も早いのではないだろうか。その湯布院から来るまで登ること20分程度。そこにはまだダイヤの原石のような空間が横たわっている。

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次回は、この塚原をもっとよくしたいと思っている人達の店や空間を、もっと余裕を持って廻りたいと思っている。

案内してくれた県庁の都甲さん、そして塚原観光協会の藤沢さん、どうもありがとうございました!

■塚原編 第一回と第二回
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2009/06/post_1336.html

http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2009/06/post_1341.html

12:49

2009年07月21日

素晴らしき大阪・泉州の水ナス農家二軒のポートレートをここに!

泉州の水ナスといっても、人によって、種によって、育て方によって味は全然変わるのだ。ということをイヤと言うほど思い知った一日であった。

■大和屋君子さん

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今度、説明つきで再度掲載するからね。

そしてもう一軒、僕の母の親友の息子さんの友達という繋がりで知り合うこととなった、ネット上でも有名な北野農園さん。

■北野農園

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先に挙げた大和屋さんはなんと就農9年目と年季は浅いのに、地元のJA担当者さんが「この人がダントツですわ」というレベルに。そして若き血が猛る北野君は実家の農業を継ぐ形で2年前に就農。農業がきちんと喰っていける価格帯になれば、もともと農家出身の子息達が戻ってくる。わざわざ農外の企業が参入するなんて必要なんてない。農家の子が継げば、農機具などのインフラもあるし、技術伝承もすんなりいく。

「農業ビジネス」なんてくだらないブームは早いとこ、消え去って欲しい。

あ、文字は書かないなんていいながら、書いてしまった、、、カンヅメに戻ります。

19:06

2009年07月23日

愛媛の内子町の石畳地区の文化 それは、「この辺のカレーは、イリコだしのスープでじゃこ天か竹輪が具にはいっとるンよ」。

表題の通りである。愛媛にて生産者の人たちと交流したとき、島根県の隠岐の島で「さざえカレー」というのがウケてるんだという話をした。

「その土地で、何もしないでも穫れるようなものがカレーの具になるんだ」

そしたら会のあと、数人の女性が残って僕に言ったのだ。

「あのね、うちの地区ではイリコだしをとってカレー造るんですよ。もちろんじゃこ天いれます」

うぎゃーーーーーーー食いたい!と言って、その次の次の来訪で、噂のカレーに合うことが出来た!

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「今日はじゃこ天が冷蔵庫になかったから、竹輪だけどね」

いや十分十分!

イリコだしだから、ラーメンでいえば魚介系スープベースである。ルーは市販のものだけれども実に滋味、滋味。慈しみ深い味である、、、しかも肉っ気がないからなんとも腹にもたれないのもイイ。

それにこのらっきょうが絶品。

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とてもいいものをいただきました。この石畳については、原稿が仕上がったらきちんと書きますね。

この日は大洲市の醤油蔵である梶田商店にもおじゃました。

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彼の造る醤油はいずれ、ものすごい評価を得ることになるだろう、と予言しておきたい。その彼の醤油を使って造っているという、こだわりのじゃこ天。

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身震いするほどに旨い。上品さがあるのに、意図的に粗っぽさも感じさせる。先月のJALの機内誌に載っていたのはここのじゃこ天である。

梶田くんが「大洲にもおしゃれな場所があるんですよ」と連れて行ってくれた、ほんとにおしゃれなセレクトショップ&カフェ。

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セレクトショップ SA-RAH

Sweets Cafe Ridi

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カフェを独りで切り盛りする彼女は、コーノ式(といっていたけど、ドリッパーはハリオ)でコーヒーをドリップしてくれる!

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しかも、でてくるケーキ類が実に素晴らしく美味しい!

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いま、眠くて意識がもうろうとしてるので店の名前を失念。あとでフォローしますが、惚れました、、、また行きたい。

そして、収穫直前の小麦と、生産者の太陽のような笑顔!

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来月も愛媛に行きます。もう、ずっぽり。

ということで今日はもう原稿書けねぇ、、、 明日、ていうか今日は、二時間の会議のために山形へ行きます。移動時間は往復で6時間。うーむ、、、 でも電車の中で集中して原稿書ける。よしとしよう。

じゃあ、寝ます。

02:02

2009年07月29日

高知に来ています。 短角牛に加えて褐毛和種の土佐種、ブランド名「土佐あかうし」にずっぽりはまります。

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全国的に珍しい、河川べりに展開されるあかうしの放牧場。なんとも宝のような風景。川は吉野川。

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僕が生まれた年にこのあかうしの世界に入った、れいほく畜産の中町さん。

「昔は土佐のあか牛が一番市場で人気が高かった。単純に美味しかったからだよ。」

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経産牛と去勢牛の食べ比べ。

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断然、経産牛が美味しいです。

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環境保全型農業で米ナスを栽培する窪内さん。

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米ナスにはアントシアニン色素がないので、紫ではなく黒。テリテリに輝くのが美しい。品種は県で育成したものだ。

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農薬は本当に最低限しかつかわず、ほぼ天敵の利用だけで防除をしている。ハウス内にバンカーという、天敵昆虫が棲むための環境を作り、せっせと害虫を食べてもらう。

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そしてあかうしを生産する山の上へ。

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土佐あかうしには、熊本の褐毛和種にはない特徴があって、目の下にできる「毛分け」という黒いぶち。これが土佐種の特徴なのだ。それにしても可愛い。

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澤田ご夫妻。奥さんのちえさんは僕の農業新聞に書いていた連載を熟読してくれていたそうだ。

「会えて嬉しい!」

こちらこそ!

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香り米のおにぎり、最高でした。

では、これから知事と会ってきます。

09:51

2009年08月03日

愛媛県内子町の石畳地区は、素晴らしき癒しパワーを内包した異空間!住民ひとりひとりが地域を形作るモデルケースだ!

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愛媛県大洲市のJAが、来年4月に大型直売所をオープンする。そこの立ち上げプロジェクトの仕事を今年も請け負うことになり、これから毎月のように愛媛に通うことになる。

全国には2万カ所を超える直売所があるらしい。「らしい」というのは、正式に悉皆調査をしたデータがないため、どれだけ店舗があるのか誰もわからないのだ。中には年間20億円以上販売するようなモンスター直売所もあり、百花繚乱。

直売所のビジネスモデルはなかなか興味深い。直売所の胴元は、だいたい農協か生産者の集団で、場所とレジ打ちなどの店員を確保する。そこへ生産者が直接、自分で袋詰めまでした商品を持ってくる。価格と自分のIDをバーコードシールなどに刻印し、出荷物に貼って棚に陳列するところまで自分で行う。価格は自分で自由につけるのが基本だけど、売れ残った商品は自分で持ち帰らなければならない。だから売れる品目・売れる価格帯をみなが研究する。販売手数料として、売上の7%~10%くらいを直売所に納める。市場流通だと、中間流通に30%、小売に35%ほど持って行かれてしまうけど、直売所だと手数料が安い。従って、農家には手取りが多くなり、消費者は割安に、しかも新鮮な農産物を手に入れられる。これが直売所というビジネスの概略だ。もちろんそんなに単純なものではなくて、いろんな例外があったりするのだけど、おおむねこんな感じ。

ただし、これだけ沢山あると、同一地域内での食い合いにもなっていく。事実、商圏人口に比してあきらかに直売所が多すぎる地域では、期待した売上に到達しないケースも多発している。

だからこれからは、食い合いにならない棲み分けと、その地域ならではのオリジナル商品の開発が欠かせない。

ということで、僕の会社の今回の仕事は、大洲市にできる直売所で販売するオリジナル商品の開発というのが軸なのである。いやー すごい楽しみ。だって大洲周辺には、おもいもよらぬ面白き食文化があるのだもの。

さてこの日も様々な検討をした後、いつも泊まるビジネスホテルオータではなく、隣町である内子町の石畳地区へと向かう。

(続きは下記↓をクリック)

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既報のとおりだけど、農業者むけの講話をしたときに、石畳の農家民宿のお母さん方が待ちかまえてくれて、「あのね、うちのほうではじゃこの出汁でカレーを作るんですよ。いちど食べにきて!」というのだ。そういう誘いにはとても弱い僕である。

大州・内子を走り回ってきたキャリアのウバガイ部長様も「こっちのほうはようこんのー」と首をかしげながら、どんどんと道を上っていく。かなり高度が上がったなぁ、という地点に、本日の宿泊地「石畳の宿」があった!

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この石畳の宿は、この集落に住む農家のお母さんお父さんがたが運営する農家民宿だ。知る人ぞ知る宿で、実はそんなに宣伝する必要もなく、お客さんがどんどん予約を入れてくるところ。それもそのはず、この地域は本当に魅力が一杯なのだ。

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「あー 宝泉さん!」

と市役所の河野さんが声を掛ける。この地域で産まれ、そしてこの地域をずっと守り続けている市の職員・宝泉さんである。

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日が沈まないうちに、ささっとこの石畳地区を廻らせて貰う。まず連れて行ってくれたのが水車小屋だ。

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「いやー 実はこの水車小屋、地域のみんなでこつこつと手作りしたんですよ。」

うええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ?

手作りかよ!?

実は「水車小屋ねぇ、ふうん、、、ま、綺麗だけどね」くらいに思ってみていたのだけれども、手作りだとぉおおおお? それはビックリである!

それだけではない。この辺の景観はすべて石畳に起居するみなさんがこつこつと整備し、綺麗に維持していると言うことなのだ!

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大洲周辺によくみられる屋根付き橋ももちろんある。端正な佇まいだ。

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この水車小屋周辺からさらに上に登っていくと、天空を望む山上の風景がまたとてもよい!

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弓削神社という、池の中にお社があって、そこまで屋根付き橋で渡るという、風情のある神社の佇まいが美しい。

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さてと、陽もとっぷり暮れて、メシの時間である。

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宿の部屋はまた実に渋い。もちろん古民家を移築して建てたものだ。

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さてここの食事は、地元のお母さんたちが毎日、交代しながらつくってくれるものだ。

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定番のお煮しめ

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そして愛媛ならではの、具材たっぷりのちらし寿司。

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ううむこの具材細やかな刻み加減にまぶし加減が素晴らしい。味も甘すぎず美味しい(愛媛の味付けは全体的に甘いのだ)。

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そして圧巻だったのが、山野草の天麩羅!

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「えっ そんなものまで?」とビックリするようなものが天麩羅に揚げられる。ドクダミの葉やカラスエンドウの葉から始まり、ツツジの花とか、、、これがまたどれもちゃんと特有の香りがあり、美味しく食べられる!

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そして、美味しいおうどん。

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東日本や日本海側では、山あいの町では蕎麦で〆ることが多いけど、四国ではうどんが普通だ。美味しかった、、、

あれ?しかしカレーが出てこないぞ!? 俺、じゃこで出汁をとったカレーを食べにきたんじゃなかったっけ?

「あらあらあらあら、そうだったっけねぇ、、、 センセ、明日の朝ご飯でもいいかしら?よければウチで造って持ってくるわ!」

とリーダー格のお母さんがニコニコというものだから、そりゃもう是非お願いしますということに。本日はここのスタンダードコースである。

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「じゃ、のみますか」と宝泉さん、にごり酒を出してくる。

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いきなりぞろぞろとここの集落の人達が集まりだして、寄り合いである。そう、大洲市の直売所では、この石畳の方からもいろいろと出荷していただきたいなぁ、というオルグ活動をしにきたというのも今日のミッションなのである。

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話が弾む中で非常に驚いたことがある。僕のブログの過去ログによく登場する、山形県の職員にして地域興しの達人である高橋ノブさん。この方がこの石畳によぉーーく出没しておられるのである!

「えっ ノブさんのこと知ってるの?いやぁ、彼のおかげでワシらは手打ち蕎麦屋を始めたんでねぇ、、、」

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そう、この日は営業していなかったが、休日などは一日に100食を超えることもあるという人気のそば屋が、地区内で営業されているのだ。蕎麦も自前で生産しているという猛者が、この地域にはいる。

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仕事を終えたお母さん方も集まり、ああだこうだとお話し。その中で、石畳らしい美味しさの話になった時、ちょうど素晴らしい甘味が出されたのである!

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和栗の渋皮煮。もちろんこの石畳で獲れた栗をつかったものだ。なんとこれは宝泉さんのお母様が造るもので、この地区でも名人なのだそうだ。

この渋皮煮が、もうドえらく旨いのである!

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ええいもう一段寄るぞ!

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あまりに滑らかな栗!ネットリと風味の深い栗の実が舌に絡みついてくる。甘いが、くどい甘さじゃない。んー 至福のご馳走。

「これ、すげーーーーー旨いじゃないですか!」

「あら、そう?」

と宝泉ママはニコニコ。

ここでぴーんとひらめいた。この栗の渋皮煮をつかって、誰もが食べたくなるようなある商品、つくれるじゃーん、、、その話題で30分くらい盛り上がる。うーむ面白かった!

来年4月までの間に、商品開発がうまくいったらここで公開したい。もうね、すげープレシャスなものができるはずですよ。

もう腹もパンパンだけど、餅。

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さらに、餅(笑)

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揚げた餅を、濃いめのうどんだしでいただくのが実に美味い。

こうして世は更けていったのである。そして朝!

夢に見た、じゃこで出汁をとった、ちくわが具材のカレーをいただいたのである。それも二杯、、、

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何も言うことはない。旨いですよ。愛媛には松山だけじゃなく、ものすごく宝のような地域がある。ゆったり癒しの空間を味わいたければ、大洲と内子、そして石畳へどーぞ。後悔しないと思いますよ。ただし、うまいもんの事前勉強は忘れぬよう。

16:49

2009年08月11日

昨年度の食料自給率は41%。1%上がったけれども、今年はおそらく大不作になります。では、我々はどうすべきなのか!?

平成20年度、つまり昨年度の食料自給率の数値が公表された。カロリーベースで2年前が39%、一昨年が40%ときて、昨年は41%となった。1ポイントずつではあるが、順調に自給率が向上しているように「みえる」。

■平成20年度食料自給率について
http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/fbs/pdf/point.pdf

「ようにみえる」としたのは、そんなに単純ではないからだ。

カロリーベース自給率の1ポイント上昇の要因は、

1 国内産糖(さとうきび)及び大豆の生産量が増加
2 国際価格の高騰によって一部農産物の輸入量が減少(大豆とチーズ)

したからだという。しかし実はこの中には出ていないが、米の消費量は大きく減退したという。実質的には日本全体が自給率を上げるような食生活にシフトしたわけではなく、外圧的なもので数ポイントの増減があるだけ、なのである。だから額面通りに「上がったぞ」と喜べる状況ではない。

それになにより、来年度に出る今年の自給率はほぼ間違いなく下がるはずだ。なぜか?

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今年の7月からの状況が、曇天続きで米、野菜や果物に大きな影響がでていることはご存じだろう。全国的に日照不足になっており、北海道では平年の二倍以上も降雨がある。かつ、中旬以降は記録的な低温下にあり、豆やじゃがいもなどの生育に大きな害が出ることがほぼ確実だ。

植物には、なにより日照が必要だ。積算日照・積算気温というが、一日一日太陽が出てくれる積み重ねで光合成が行われ、植物の身体ができ、実を生らせてくれる。その基本的な要素である日照がこれだけ不足している。

米に関して言えば、米穀データバンクによる7月現在での作況指数予想は96だというが、おそらくこれでは済まないだろう。出張で行った先々で「今年はヤバイ」「平成5年の大不作がふたたびくるぞ」という声を聞く。今後の天候の回復状況によっては持ち直す可能性もあるが、しかしこの台風・集中豪雨によるダメージもかなり深刻である。

つまり、今年度後半の国内での食料供給は、通常より(いや、もう「通常」なんて言葉は意味がないのかも知れない)大幅に少なくなる。そうなると、中国餃子問題などで減少していた輸入農産物の量が増大することは間違いない。それらはまずスーパー店頭ではなく業務用、つまり外食産業から入ってくる。というか、すでに輸入野菜や加工食品の利用は外食産業では一時期よりかなり増えているのですぞ。

そしてキャベツ一玉400円!とかになるに至って、スーパー各社も輸入農産物を並べ始めるだろう。「国産が高いんだからしょうがない」となるわけだ。まあそれは仕方がない。

ただし、勘違いしないで欲しいことがある。

「これだけ値上がりしてるんだから、農家は大もうけだろう」

これは間違いである。まず、収穫できている農家自体が非常に少ない。平年並みなら1000箱分の収穫がある農家が、今年は300箱しか獲れないという状況を考えればいい。単価が上がっても、絶対量が少ないから儲からない。全国的に見れば、満足に出荷できる農家自体が少ないのだから、農家ピンチがずっと続くのである。

だから逆説的だけれども、消費者ができることは、こんな状況だからこそ国産を買い支えることなのだ。

「国産高い」

と敬遠することで、輸入農産物がどんどん並ぶようになる。その価格は、それほど高くないだろう。「国産はやっぱり高いから買わない」と輸入農産物ばかり買う消費者が多くなると、市場の値動きは「よし、じゃあ輸入品並みの価格にならなければ国産は買わないよ」となる。結果、農家が再生産できない価格に追い込まれてしまう。

で、ますます農家は減るのである。すでに国内の農家は減少しているが、昨年からの不況でさらに離農が進んでいる。そして、この不作によってまた離農者が増えるだろう。そうなったら困るのは日本の消費者だ。

昨年、あるスーパー関係者に講演をした。「あんたらが食品を安く買い叩くから、日本の食がおかしくなった」と喧嘩腰に厳しい話をしたら、終わった後に社長さんがこういった。

「仰るとおりです。実は毎年契約取引をしている産地に『来年もよろしく』と言っても、『もう高齢化で栽培できないので、勘弁してください』と言われるようになってしまったんですよ!お金を出してもよい食べものが手に入らない時代がやってくる、と我々も実感しました」

と。まだ日本という国のタンス預金は尽きていないから、見た目上は食べものが余っている。けれども足下には火が付いている。日本で「飢える」という言葉にはまだ現実味がないかもしれないが、それはある日突然、目の前にやってくる大火事・大地震のようなものなのだ。

じゃあなぜ高いのに国産を買うべきだというのか。別に「高いモノを買え」と無理な注文をしているわけじゃない。考え方を変えてみよう。

安い輸入農産物を買うと、その場は「安かった」と思うかも知れないが、その半分以上は輸出国へ外貨として飛んでいってしまい、日本には残らない。その外貨をまた獲得するためには、自動車や機械などを売るしかないが、そちらのほうも世界的に減退しているわけだ。

一方、高くても青森県産のニンニク一玉250円を買えば、生産・流通・販売の各段階にお金が落ちる。そのお金は、回り回って日本国内に還流される。経済も地産地消がいいのである。

この考え方は、自分でもやもやと考えていたのを、カガヤから教えて貰ったこの本で確信を得たものだ。経済の地産地消。

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そう考えると、この日本の消費のあり方がまさにこれから試されていくような気がするのだ。

あ、そうそう、このように天候不順が続くと農産物の栽培ができなくなる。だから、これからは植物工場が有望だ! 工場内でLEDなどで栽培でき、農薬もかけなくていい植物工場がこれからの農業の主役だ! という話題が一杯出てくるだろう。しかし、そんな与太話は信用しない方がいい。たしかに植物工場にはメリットも多い。けれども、現状ではエネルギー投入と作物のアウトプットを比較すれば、非常に効率が悪い。しかも植物工場品で、文句なしにレベルが高いと言える農産物には、正直なところ出会ったことがない。

経済産業省などから補助金がでている関係で、メーカーが売り込みをかけ、農業ビジネスに参入したいという企業が群がっているため、この分野が注目されている。しかし、、、お金の無駄にならないよう、よーく検討してね、という感じだ。今の盛り上がり方をみていると、数年前に「RFIDタグを使って世界が劇的に変わる!」と喧伝され、世の中それ一色になったのを思い出してしまう。結果、そうはなっていない。

久しぶりに固い内容だったけど、今年は日本の食にとって大きな分岐点になりそうなので、今後もポツポツ書いていきたい。

20:07

2009年08月21日

島根県は長~い県。だからいろんな食材・文化が点在してる!安来市はドジョウすくいの町ではなく、楽しい食文化の町であった! その3 出雲の醤油文化は深い!そして町のシンボル・どじょうを観た

出雲で醤油といえば、井上醤油店が有名だ。僕もしばらく前まで一升瓶で買い求め使っていた。「使っていた」というのは、いま僕が気に入っているだけでも7種類くらいの醤油があるのだけど、そうすぐに使い切れないから、「お、これ美味しい!」と思っても、リピート利用するのが翌年になっちゃったりする。

そこにもう一つ銘柄が仲間入りしそうだ。

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安来市にて 大正15年から醤油と金山寺味噌を仕込んでいる、その名も「大正屋醤油店」。

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四代目・山本周作さんが蔵を案内してくれた。これまた若いぜ!

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手に持っているのは原料大豆。上げている方が国産の丸大豆で、下にあるのが小麦だ。下の写真はこの原料を蒸す大釜。

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この蔵では、いわゆる速醸ではなくきちんとした仕込みを中心に醤油造りをしている。

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「きちんとした」というと語弊があるかも知れない。醤油の近代的な製法は、もろみの発酵を促進するために様々な技術を駆使して、数週間で醤油を仕込んでしまう。お酢を一日~二日で造ってしまう速醸と同じように、醤油も短期間で仕込むわけだ。それだと、奥深いうま味成分は生まれにくく、キレはあるが後を引かない醤油になってしまう。

大正屋が目指すのは、国産の丸大豆を使用し、しっかり時間をかけてモロミの旨さを引き出す方式だ。当然時間もお金もかかるけれども、周作さんはそれに注力したいという。

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実は九州地域と同じく出雲地方でも、刺身などにつける醤油には甘味料が使われている。原材料名の表記にステビアや甘草、糖類とあるならば、その醤油の甘みはそれら甘味料に由来するものだ。

元々、こうした地域の醤油の甘さは、再仕込み醤油という技法で作られてきたものだったはずだ。再仕込み醤油というのは、当年度に仕込んだ醤油のもろみに、なんと昨年度絞った生醤油を加えて再度仕込むという、いわば濃縮バージョンの醤油。当然仕上がりはこっくり濃い風味になり、熟成によってまろやかな旨味甘みが生まれる。が、その甘みを増幅するために糖類が添加されてきたのが、いまでは最初から糖類で味をつけるようになっている。これはやっぱり問題だ。

「島根県で受け入れられている醤油もいいんですが、やっぱりそうしたものに頼らない、丸大豆と小麦から産み出された美味しい醤油を世に出していきたいと思っています」

と周作さんが力を入れているのが、丸大豆生醤油と、火入れをした丸大豆醤油だ。これと、ご自慢の金山寺味噌を味わせていただいた。

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生醤油は火入れをしていないから、瓶の中で熟成が進む、いわば活きた醤油だ。この醤油をカップに注いでチュッと口に含むが、刺すような塩分は全く感じられない。丸い、とっても丸いイメージの旨味の塊。鼻に息を通すと、意図的に芳醇さを少し押さえたような、節度のある香りがグウッと抜けていく。いや、これは佳い醤油ですよ、、、

そして美味しかったのが金山寺味噌。

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観ておわかりのように、ネットリと味噌成分が多い金山寺味噌ではなく、大豆と小麦の形がポロポロと残った中に、野菜がべっこう色に漬かっている。

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スプーンですくって口にすると、もろみのつぶつぶがしっかり食感を残していて楽しい。うーん、ペースト状の味噌で、やけに甘さが口に残るような金山寺味噌が多いなぁと思っていたけど、これはいいね。ご飯と合わせて食べたいです。

この4代目・周作さんも30代の若手だ。この調子で突き進んでいってくれると、また日本の醤油文化の幅が拡がるんだろうなぁ、ものすごく楽しみだ!ぜひ頑張ってください。

■大正屋醤油店
http://www.taishoya.jp/

 

さて

移動中、雨が降ってきた。僕は自称・晴れ男で、週アスに連載していた「旅三昧」の取材の際の晴れ率は95%以上だったのだけども、連勝記録がストップ。うーむ本当に久しぶりである。

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さてこの田んぼに囲まれた地にとつじょ何も飢えられていない池は、一体何のスペースかおわかりだろうか?僕は魚については勉強不足なのだけども、この魚種についてノウハウを持っているところも少ないだろう。 DSC_4018

ドジョウである!

安来といえば、ドジョウすくいの源流とも言われる安来節の地だが、それだけに市がドジョウの養殖に取り組んでいるのである!

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ドジョウの養殖は実はかなり難しいそうだ。何が難しいかと言えばもちろん餌の配合などを中心とした飼料設計。これがペレット状の餌だ。

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餌の形状がマッシュだとロスが大きく水質汚染になるので、ペレットを利用している。そうしたノウハウの蓄積に、実に時間がかかっているようだ。

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この方が市から生産組合へ出向されているキーパーソン。いま出先なので名刺が無くてお名前を失念!後ほど修正します!

このドジョウ、最大の出荷先はやはり関東でドジョウ鍋の有名なアノ店やコノ店。だが、かなり安く買い叩かれているらしい。日常的に家庭でドジョウを食べる習慣がもっと根付かないと、拡がらないという状況らしい。それならばさっそくドジョウを食べよう!と思ったのだけども、安来市内にもそれほどドジョウ料理を食べられる場所がない。この日も旅程にはドジョウ料理が入っていなかった。これは残念なことだ。やっぱり、食材にスポットを当てるならば、食べられる店があることが重要。次回行ったときにはドジョウ鍋食べたいですよ~

とこうして安来の時間が過ぎていくのであった。

20:31

2009年11月09日

雪降る山形村の、新井谷のおじちゃん家での暖かなひととき。 やっぱり熊の肉はこの世で最高峰に旨い肉だぜ!を再認識したのであった! その2

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素晴らしき短角牛のポトフの余韻を味わっていると、やおらマタギのウチマギさんが立ち上がる。

「熊肉、食べっか。」

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

干し肉だけじゃなくて、生肉もあるのぉおおおおおおおおおおおおおおお?

とにかく、みな知らないだろうけど、熊肉ほど旨い肉なんてないんだぜ!?興奮、興奮!

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みよこの一本肉!

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これは「背肉」だそうだ。いちばん旨いぞ、との由。丁寧に筋と薄膜を取り除く。そしてスライス。

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DSC_2936 これに清酒「久慈川」をトポポと注ぎ、しばし和える。マタギの料理だけど、実に丁寧に和える、和える。

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DSC_2941 そこへすり下ろしたニンニクを投入。

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醤油も投入して和える!

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結構長い時間をかけてニンニク酒醤油を揉み込んだのを、薪ストーブの火で炙る!

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いやぁーーーーーーーーーーーーーーーーーー

もうここから先は写真、撮ってませぬ。だって喰うのに夢中だから!

「う、うめぇ!」

「やわらっかいねぇ~」

「いままで喰った熊の中でもこりゃ別格だね」

という声が乱れ飛ぶ。お腹いっぱいになってる人達ばかりなのに、この熊肉は飛ぶように売れていく! これほどに旨い肉は、本当に出会ったことがない!

いやーうちまぎさん本当にご馳走様でした、、、

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〆は、安家地大根のおろしをのせた、あたたかな蕎麦。

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この辺の蕎麦は、豆腐と玉子をつなぎにしたもので、一度に沢山打って茹でてしまい、玉にしておいたのを、あたたかい汁に入れて温めて食べる方式のが多い。それがまた、旨い。蕎麦は茹でたて、とかどうでもいいやぁ、と思ってしまう、優しい柔らかさなのだ。

こうして世は更けていったのである、、、

20:38

2009年11月30日

大至急! 皆様のネーミングセンスをお借りしたく。愛媛県大洲市に来年4月にオープンする直売所のネーミング大募集。本日〆切なのです!

DSC_7849 僕が立ち上げを支援している、愛媛県大洲市の直売所施設のネーミング募集をしている。なんと本日月曜日が〆切なのだけど、ぜひ読者の皆様のお力もお借りしたい。いちおう、最優秀賞には10万円です。

■JA愛媛たいきの直売所ネーミング募集について
http://ja-ehimetaiki.or.jp/gyouji.php?ID=000000000046

 

僕は本当は公募というのは好きじゃない。だって、縁もゆかりもない人(その場に行ったこともない!)が、適切な名前をつけられるはずがないからだ。けど、JAなど農業関係の新商品や施設の名前は、公募でネーミング募集してその中から決める例が多い。ブランド推進会議の一員として関わった、山形県の新しい米品種である「山形97号」も、公募になった。僕は委員として、「公募でいい名前がなかったらどうするの?せめて、プロのコピーライターの案を200案くらいを同じく公募にしてください」とお願いした。で、結局最終的には、一般から寄せられた「つや姫」という名前に決まった。正直、僕の好みじゃないし、この米の特性を100%活かしているかというと疑問だ。けど、決まってしまったから仕方がない。

で、今回も公募なのだ。「公募することは告知にもなるので、、、」ということで推進されている。どうせそうなるのだったら、いい案が出るように、全国の方々に応募してもらった方が、いい案が集まる可能性がある。

と、いうことで。 本日中ですが、ネーミングを公募します。

その前に、この1年半ずっと大洲市・内子町を歩いて見聞きし、食べたもの、出会った人の写真を掲載します。そこから出てくるイメージをぜひ反映して欲しいと思う。

ポイントとしては、JAの応募ページに書いてある文言はあまり参考にしないで欲しい。その文言とは

「新しい農産物直売所は、地域の農家と消費者を結び付けると共に、農家同士、消費者同士を結ぶ「きずなの里」になることを目指しています。
また、お客様への約束として「安心品質」「安心価格」「安心食文化」の三つの安心をコンセプトに掲げ運営して行きます。」

というもの。これは無視してください。だって、いままで集まっているネーミング案はこの文言に影響されていると思うから。

ぜひ、自由な案を募集します。では、大洲の風景をば、、、

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ご応募は、ネット経由ならメールがありがたいです。下記募集ページにあるメールアドレスにお願いいたします。

■応募について
http://ja-ehimetaiki.or.jp/gyouji.php?ID=000000000046

どうぞよろしくお願いいたします!

10:46

2010年04月26日

「賢い消費者」とは、できるだけ安く買い物をする人のことではないよ。 生産者・流通業者・消費者の全てが均等に「幸せ」を享受できたときこそ、始めて日本の民度が高いといってよい時代になるんじゃないかな。

相変わらず低温傾向が続いている。各産地の農産物の生育が非常に遅れていて、野菜の価格が高騰している。でも、問題はそんなもんじゃない。この春先の異常低温は、夏秋冬に収穫できる農産物にも大きな影響をもたらす。今年度は果樹に関しては莫大な損害が出るかもしれない。

どんなに技術が進歩しても、中・長期的に天気をコントロールすることはできない。気温が低ければ暖房を焚けばいいじゃないか、というけど、屋外の露地栽培では無理だし、ハウス内では「加温機」という機械を使って火を入れることで調整できるが、非常に高いコストがかかってしまう。そのコストを乗せた価格を、ただでさえ野菜が高いという消費者がちゃんと払うのだろうか?

野菜が高い!と言うが、これまでずっと野菜の価格は安かったのだ。90年代後半から野菜の価格はほとんど変わらず、それどころか右肩下がりなのだ。それが、すこし高騰したからといって「高い」「買えない」というのはちょっと不自然だ。「買えない」という言葉はすくなくとも、生産と流通の現場からみればちょっとのみにくい。

固定電話を家族で共有していた時代から、携帯電話の時代になり、世帯当たりの通信費用は数倍になった。それは「仕方がない」としながら、日々の身体を作ってくれる食べ物の価格が50円値上がりしたくらいで「買えない」というのはあまりにオーバーな話だ。

消費者さえよければいい、という発想が、この国の製品・サービスをますます低いものにしてしまうと思う。

さて、先日の記事への反応。ある県の農林部の職員さんだ。

さて、
ブログ読ませていただいております。

野菜価格の高騰は、東京だけでなく○○県でもすごいものですが、
ここ○○○では離島と言うこともあってさらにひどい状態です。

キャベツが高いからもやしが人気などという話を聞くと
無理にキャベツ食べなくても死にはせんし、
昔なら漬け物でも食ってしのいだに違いないと思ってしまします。

保存の利く野菜はともかく、ナスやピーマンは今の時期のものじゃないし、
やたらと旬でない食べ物まで高いとか騒いで、

国内外から余るほど仕入れて、価格を抑えておいて
足らなくなると上がるのが経済の大原則なのに
一々騒ぐことは、滑稽ですらあります。

こういう機会に自然の恵みである食物に感謝することを考えるべきです。
マスコミは、そういうことを国民に伝える視点が必要ではないでしょうか?

なんて、言っておりますが、アイスランドの火山灰が成層圏にまで上がると
今度は、局所的被害ですまなくなるのではないかと
冷夏や日照不足が起こらないとも限りません。

自然の力の前に無力な人間ですが、いざそういう事態になれば、
農業技術者として対応できるようにしておかなければなりません。

少し脱線しましたが、
生産を安定させ、天候不順の時でも対応できる生産体制を築くためには、
生産者の経費に見合う価格で仕入、販売するような仕組み作りが必要です。

やはり、日本の食は安すぎるのですね・・・

 

こちらはとある仲卸さんからのものだ。

 

最近のやまけんさんのブログでも何回か取り上げられていますが、
今回の野菜相場の高騰に対する農水省や量販店の対応は、
あまりに酷いですね・・・。
今日の農業新聞にも、農水大臣がイオンの店舗を視察して、
さらなる規格外野菜の販売推進を要請したとの記事が出ていますが、
どういった問題が起こっているのか、本当に理解されているのか、甚だ疑問です

胡瓜が良い例なんですが、最近、量販店や生協では、
曲がり胡瓜や不揃い胡瓜と称して、優品や良品を販売されているのですが、
今の胡瓜は秀品率が約90%です
その為、当然大口の出荷要請には優品や良品で出荷できるわけがなく、
優品や良品の使用を前提とした納品価格で、
赤字を出して秀品を我々流通業者が納品しているのが現状
です。

さらに、優品や良品を出荷しても、品質検査の名の元に、
曲がり方が酷い胡瓜に関しては、不良品として返品されるという、
???な対応をする量販店もあります。

また、大手量販店が揃って、野菜の緊急値下げ等を実施していますが、
これも自社の努力で実施している会社もあるでしょうが、
納入業者に負担を強いている会社も多数あります。

こういった現状を知らないで、選挙対策の為か、
その場だけの一般受けの良い対応に終始する今の政治には、
本当に疑問を感じます。
これを機会に、やまけんさんが言われているように、
国民一人一人が、食べ物の価値を、もう一度考え直してくれると良いのですが・・・。

専門用語が出てくるので解説しよう。

規格外野菜の販売推進というのは、通常ならスーパー等には出回らない、曲がりが酷かったり見た目の悪い野菜も、この高騰時は取引するようにという提言を農水大臣がしたということだ。

規格外野菜のことはこれまでもよく採り上げられているが、マスメディアも含め、誤解している人が多い。というのは、多くの論調が「これまで捨てられていた規格外野菜を有効活用する」という言い方をしていて、消費者も「ああ、規格外野菜を買って上げると農家が喜ぶのね」という意識で受け入れている。これは大間違いだ。

規格外の商品も、基本的には市場に出荷され、さまざまな取引先へ格安で販売される。例えば100円ショップとかね。ただし、仲卸さんの文中に「秀品率が90%」とあるように、最近の野菜生産技術は高度化しているので、曲がりのないもの、見た目のよいものが90%以上になっている。つまり、規格外の野菜なんて、市場流通の中ではそんなに出てこないのだ。

しかし、スーパーでは目玉企画として規格外品販売をしたい。そこで、「規格外品を50ケース!」というような買い方をしようとする。しかし、規格外品ばかりそんなに都合よく集まるはずがない。その場合、仲卸としては高く売るべき規格品を規格外品として販売するのである。

「そんなことしなければいいのに」

というのは、今日の取引における力関係を知らない人だ。昔とは違い、いまはスーパーや外食と言った購買側企業が全てのパワーを把握している。スーパーが「この単価でこれだけ持ってこい」といえば、あらがうことは出来ない。もし「無理です」「欠品します」ということになったら、なんと「欠品下分、売上を補償しろ」と言われかねない。欠品補償とは、つまり「売れたかもしれない分、お前が支払え」ということだ。

無ければ無いでいいじゃないか

そういう自然が通用しないのが今の取引なのである。

そして最近、イオンやイトーヨーカドーが揃って値下げをしているけれども、上で仲卸さんが書いているように、スーパー側の利益を減らすのではなく、取引先を叩いて値下げを実現していることもある。

 

とそういうワケなんだけど、「いいんだよ消費者が安ければ!」とか、「これまでさんざん税金で優遇されてきたんだから、生産者は守らなくていい」とかいう輩はまだまだ居る。とくに最近、山下一仁さんとか、自給率について書いている浅川さんなどの論客が活躍しているので、「農業は保護しないでいいんじゃん」と早とちりしている連中も多いはずだ。

けどね、農業を巡る論壇にも右と左が居る。どちらもバランスよく情報を摂取した上で判断してくれないと困る。極左の意見をもって「これが正しいんでしょ?」といわれても、、、という感じだ。

でも右でも左でもなく、ひとつの真実がある。それは先にも書いたとおり

「自然には逆らえない」

ということである。そして農業は、自然と寄り添うものだ。

高い野菜が嫌だと言う人は、自然環境が悪化する要因を身の回りで探してみよう。その要因が、自分が生み出したものであるかどうかを考えてみよう。もし、自分もその悪化に荷担していると感じたなら、ぜひ自分が自然環境が正常化するために何を出来るだろうかということを考えるところから始めてみよう。それがひいては安定した価格での食料供給に繋がるのだから。

いまさっき宮崎に着きました。水曜日までフル回転です。

13:24

2010年11月04日

TPPの問題は日本人一人一人が考えなければいけないことだぜ。 製造業vs農業という構造でTPPを考えることはおかしいことだ。TPP論議で最も重要なことは「農業」ではなく、日本人のこれからの「たべもの」をどうすべきかという視点のはずである。

赤肉サミットの準備をしながらずっと心に引っかかっていたのがTPP(環太平洋経済連携協定)関連の話題。昨日の段階で政府は、TPPへの参加についてとりあえず参加するか否かの判断は先送りする、ただし情報収集のため各国との協議を行うということで当面進行することとなった。

ほっと一息であるけれども、ここしばらくの論調はとても危うかったなぁと思う。こんなもん、アカンヤナイカですよ。

松山全日空ホテルでは朝刊サービスがあって、いま一通り目を通したが、TPPに関する話題はほとんど出てこない。どうも大手マスコミの論調としては「製造業と農業、どちらをとるか」という二極対立の構造に仕立てることで、なし崩し的にTPPを推進する側に回ろうとしているように見える。前原外相が「農林水産業は日本のGDPで1.5%を占めるに過ぎない。そのために他の98.5%が犠牲になっている」という発言自体があきれてしまう話だった。

農林水産業を経済指標だけで計れば、国にとってはお荷物であるということはアタリマエのことである。けれども先進国で農業を保護していない国なんてない。他の国がTPPを推進しようとしているのは、関税以外の方式で国内の第一次産業を保護する手立てをきっちり確立しているからであって、日本のように無策のうちに手を離そうとしているわけではない。

「農林水産業だって産業なんだから、自立しなければならない」

というのは一見、平等で正しい考え方に見える。けれども、実は世界の潮流とはまったくかけ離れた考え方で、きわめて日本的(いまの日本という意味だ)な特殊な考え方であると思う。つまり今の日本はナニゴトにも経済が優先するというのが標準的な考え方なのだろう。経済がたべものや他の文化を規定する国。本当はそういったあり方に対して国民がノーと言わなければならないのに、意思表示の仕方を忘れてしまった国。いまのところはまだ美味しいものがあふれているけれども、いつまで続くんだろうね。

はっきりと言ってしまうけれども、今後も農林水産業が「自立」することはないと思う。いや、そもそも「自立」しなければならないという理由がない。それは農林水産業というよりも、「たべものを確保すること」は国にとっては永遠にコストセンターであるのが自然だと考えるからだ。

第一次産業は全世界の歴史の中で、文明の最初の成長段階で重要視される産業だ。人は食べるものがなければ活きていけないのだから、これを確立しなければその後の発展を考える余裕もない。しかしいったんそこが確立されると、人はみなより安楽な労働・サービスを求めるようになって第二次・第三次産業が発展していく。その間、第一次産業は生産性の向上に反比例して、だんだんと社会における優先度を低められていく。それが極まると、もう「どこの誰が作ったたべものか」は関係なく、価格という判断材料だけでグローバルに世界中から食料を調達することになる。そうして第一次産業は国民からもスポイルされていく。

でも、いったん狂牛病(BSE)や残留農薬問題が発生すると、それまでスポイルしてきた無関心の手のひらを返し、一斉に「たべものはかくあるべきだ」と声高にさけぶ輩が出てくる。おかしな話だ。市場経済の原理でたべものを考えれば、どうしたって品質は低下するに決まっているではないか。それを進めてきたのは自分自身である。

日経新聞が「日本の農力」として不定期連載をしているが、先日3回掲載された内容はそれまでのものよりはずいぶんと食に関わる産業に対する理解度が深化したと感じた(上から目線でゴメンナサイ。でもそれまでがあまりに酷かったからね)。その中で画期的だったのは、「日本の農業は規模拡大してうまくいくというものではない」というようなことが書かれていたことだ。全くその通りで、大規模化・集約すればコストが下がるというのは日本においては幻想である。またコストが下がったとしても、オーストラリアなどの輸出国の価格と比べたらまったく話にならないレベルである。だったら無理なコスト削減を産地に強いないで欲しい。

「TPPを機に、日本の農業の体質を強くし、儲かる農業を創出させていこう。そうすればTPPに参加したって、諸外国と渡り合えるようになる」

という言葉を信用してはいけない。日本農業の体質強化なんて言葉はここ20年ずーっと言われつつけて、果たされていないことなのだ。それに、TPPに参加するということになった場合、中国やロシアに対して有効な外交政策を打ち出すことができないような現・民主政権に、貿易面でも本当に優位性を発揮留守ことができるのか、僕には非常に疑問である。でも、いったん開いた門を閉じることはとても難しい。そもそもそんな重要な問題を論じるレベルに、いまの内閣があるのかどうかを考えて欲しい。

農林水産副大臣の篠原さんのブログ(http://www.shinohara21.com/blog/)を読むと、どう考えても現時点ではTPPへの参加は拙速に過ぎるでしょ、という見解が示されている。いまの民主に篠原さんがいることを本当に有り難く思う。

今シーズン、ある農機具メーカーの福島営業所のコンバイン売り上げがとうとうゼロ、一台も売れなかったという事態に陥ったそうだ。トヨタの車が一台も売れない、パナソニックのパソコンが一台も売れないというと驚かれるだろうが、農業関係者からすれば「とうとう来たか!」という事態だ。

これまで講演や自著で、「ここ10年でいままで農業を支えてきた人たちは「安楽死」させられていく」と言ってきたが、本格的にこれからそれが進むだろう。2010年農業センサスでは、ここ5年で農業者が22.4%減少したと報告されたが、字面で見れば22%というのに実感はわかない。けど、これからは一年ごとに、雪だるま式に離農者が増えていくはずだ。

日本人が食べたいと望む品質のたべものを手に入れられなくなる日が、確実に近づいている。僕はそれを回避したい。

農業、水産業、林業などの第一次産業は、国民がその存在意義を理解をして、お金をだして支えるべき営みだと思います。経済原理だけでその価値をとらえることだけは、決してしてはならないものだと考えます。

ホテルのチェックアウトタイムなので、また後ほど。

10:57

2010年11月06日

TPPについての反応

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いま、山形に来ています。やっぱり蕎麦がうまい!

けど、このエントリはそうではなくて、先日走り書きしたTPPについて、メールでの反応。

まずは、農工大の客員教授、福井先生。

さて、TPPの件 この呆れてしまう議論 特に前原氏は大臣の器ではないですね・・・

先日、商工会議所の部長級の方々と議論をしました。

理解いただいたことは 次の三点でした。
1.農業を業だけの視点で議論すること自体ナンセンス
2.農的営みによる 食料の安全保障は別物としてとらえるのは当たり前
3.農的営みによる 治山 治水が 国土の保全となっていることも別に考える

この点で、私は 国土安全保障省をつくり 国土の保全、そして食料の安保などを一括で責任を持ち、10~20兆円ぐらいの予算を計上する必要があると指摘したところ賛同いただきました。
例えば、上流部の農的営み 治水 治山に大きく貢献する農的営みには 例えば一反当たり200万円ぐらい支払う(これは、ある意味山間地のじいちゃん ばあちゃんの半公務員化とでも言えるかもしれません)
そして、段階的に 100万円 50万円と貢献度によって直接補償をする。
また、食糧安保につても 検討するなど 革命的な措置が必要だと思います。
尚、ギリシャの時代 プラトンがアリストテレスに質問した答えが面白いですよ。
国家にとって一番大事なものは何か?
当たり前だろう 食糧だ 食料を自国で確保することが 国の一番最初にするべきこと。
といった問答です。

次に農家。おなじみ三浦半島の長島勝美君。

ブログを読んで、
確かに書かれていることは納得します。なんの対策を講じずこのままで良いわけではありません。
前原さんの言われる通り、農業以外の産業もこの国にとって大いなる財産であるのは間違い有りません。

農家は少なくなるとお思います。でも真の農業者は増えると思います。
ドイツネタで申し訳ありませんがEC加入後(EU前の話)のドイツもそのような状況に飲み込まれました。
農家という家族単位の生産者は淘汰され減少しました。
このような産業構造の中のドイツに研修へ行ってそれを肌で感じることは実は私のテーマでもありました。
今でも日本の農業人口とドイツの農業人口を比べると日本の方が多いんですね。
国土は98%、ドイツの方が少し小さいのですが、自給率9割をしめるドイツの方が従事者はすくないんです。

農業は経済活動だけを評価するモノではないと思います。
農業は文化です。芸術性もあり生産性もある。
しっかりと管理された田畑はやまけんが知っている通りとても美しいモノです。
それが生態系を保存しているところもあります。
コウノトリやトキを復活させても日本の農業が無くなれば彼らの生存する場所も失います。
決して絶滅危惧種だけの問題ではありません。

一生産者として、私はこの日本国民を信じます。
TPP加入してもかまいません、でも日本文化や原風景を守る国民性が私たちにはあるはずです。
ドイツ人を妻に持つ私が言うのも変ですが、日本で根付いた農業は他国では出来ません。ここでしかできないんです。
TPPに反対はしません、でも他産業者や国政、国民が農耕民族である原点をいかなる形で守るのかその責任を負う覚悟があれば良いと思います。
もちろん私たち農業者も変化を迫られます。
その変化に柔軟に対応できる知識や技術を持ち合わなければ成りません。
私は今は国民よりも同業者の方を信じていません、変化に耐えうる人は少ないと危惧しています。

新規参入が増え農業に活力を持たせることが今の農業に求められていると思います。
ドイツに研修へ行くと決めてから、このような問題がいつ来るのかと思っていま
した。
私にとっては遅いくらいです。
生き残れる農業していきたいと思います。

いろんな意見がありますね。もっとどしどしどうぞ!

17:55

2010年11月12日

TPPって、このままなし崩し的に進めてよいテーマではないよ! 金沢の農家・西田さんからの指摘。

TPPについて、石川県は金沢で有機農業を営む風来こと西田さんからメールをもらった。彼は全部で2反歩という小さな面積を最大限に活かして農業を続けている人だ。

■石川県の元気な農業者紀行 超ド級に面白い農家達がこんなにいるのであった!http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2009/03/post_1290.html

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農家視点で冷静にTPP問題を観ると、「反対とか言う前に余りに唐突」であるという、非常にまっとうなご意見なので、本人承諾をもらって掲載します。ほんと、唐突だと思う。こんな重大なことをこんなに準備期間も検討もなしに決めていいの?と言う問題なのだと言うことを国民の皆さんに分かってほしいものです。

 

やまけんさんご無沙汰しております。また唐突なメール失礼します。石川県の西田@風来です。

いつも「出張食い倒れ日記」楽しく読ませていただいています。読んでると日本ってホントいいな~と思ってきます(^_^)

TPPについての話もとても参考になりました。

私は今回のTPPについては賛成・反対という前に唐突だな~と思い、また議論に何か違和感を感じていました。

TPPに参加することで、農業界が発奮して国際競争力がついてくる・・という意見もありますが、果たしてそうなんでしょうか?

確かにこれまでの農業政策には目に余るものがあります。トラクターは絶対通れないだろう!!というような長い橋や4車線の立派な農道など農業土木を筆頭に思うこと沢山あります。(中でも最悪なのが戸別補償制度かな(^_^ゞ )

ただ、私はやり方を変えたからといって日本の農業生産物に国際競争力がつくとは思いません。それは農業は1次産品だからです。1次産品は土地があって出来るもの。その面積で穫れる量はどんな
に頑張ったて限りがあります。(だからといってこのままでいいとはもちろん思いませんが・・)

そして国際競争力って結局はもっと安くしろということなのでしょうか?そうすることによって食の安全性がより遠のくと思うのは私だけでしょうか?

経済性だけでいいのか? 環境の視点から、文化の視点から、そして命の視点からはどうか、そんな検証も必要だと思います。

2008年10月にNHKスペシャル「世界同時食糧危機(1)」というのをやっていました。内容は・・・

「エルサルバドルは数年前に農産物の輸入自由化を行い、安い輸入穀物に頼る政策を方針化。そのため国内の農家が廃業に追い込まれる。そこに穀物価格の高騰、そこで国内のコメ生産を上げようとしてもすでに不可能になっていた。

「農業省に勤務する公務員でも食糧を買えず、貧困層では母親の母乳が出ないために乳児が栄養失調になっている現状。一方で、穀物メジャーと米国農家は空前の繁栄の様子が映し出される。穀物価格高騰は、投機マネーが穀物を金融商品化したことによるとのこと。」

こんな感じでした。

やってみた失敗した・・ではすまないのが食の問題だと思います。あえて言うなら困るのは農家なの?

少し感情も入ってしまってますが、農家から感情とプライドを除いたら農産物はまだに単なる製品になってしまうと思っているので・・。(^_^ゞ

また果たしてグローバル化はいいことなのか?国家観はあるのか?そんな問題が突きつけられているよう思います。

そんなグローバル化の真逆である、ミニマム主義の我が風来ですが最近「ミニマム主義で行こう!!」というブログを始めました。よかったら遊びにきてくださいね。
http://ameblo.jp/minimamshugi

長々と書いてまとまらなくなってしまいましたが、想いを言いたくなってしまって・・m(_ _)m

最後にそんなブログから先に書いたものを添付します。ご笑読いただければ幸いです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ミニマム主義で行こう!!」ではミニマム主義について順々に書いて行こうと思っていたのですが、昨日農のことに触れ、またこのところTPPのこともありますので閑話休題ということで、テーマ「その他」で今日は書かせていただきますね。

「TPPは環太平洋戦略的経済連携協定のことで貿易自由化を目指す枠組み。関税をほぼ例外なく撤廃する取り決めのことで、日本では参加の是非が日本国内で議論されているが、今回のAPECで日本のTPP協議が開始された」by YAHOO NEWS

今のところ国内の議論としてはTPPに参加するとハイテク・自動車などの輸出産業に有利、農業は大打撃となるというのが大勢かと思います。

でもそこで止まってしまっているよう思います。ニュースの中には牛丼が安くなるとか、ゴルフパターが安くなるとか、う~むと思う例ばかり・・あまりにも楽観的すぎる(`_´)

ハイテク産業に有利というのはどのくらい有利なのか?そして農業が大打撃となるとどうなるのか?もっと踏み込んで考えてみないと、まさに国の未来にかかってきます。

今、対アメリカでどれぐらいの関税がかかっているかというと輸出ハイテク製品で5%、車で2.5%、対して日本に輸入される米には700%以上、小麦は200%となってます。

正直、ハイテク製品、車にはこれだけしか関税をかけられていないのか?と思いました。もちろん元が高価だと関税の額も大きくなるのは分かります。対して米とか小麦の関税の高いこと・・しかしここまでしないと国内の米が守れないというのが事実。そして10年(TPPでは10年後に関税完全撤廃)やそこらでこの差が埋められるとは思いません。

もちろん今の農業政策のままでいいとは思いません(というか多いに不満)が、今回のTPP議論はあまりに唐突という感が否めません。

そして見る視点。短期的に見て、長期的に見てどうなのか? 経済的な視点だけでいいのか? そのあたりが大きく問われてきています。それに対する国家観がないまま突入していくのはあまりにも怖い。補給線が断たれた上で遭難してしまいそうです。

西郷隆盛さんの言葉で「国の防衛は第一に食(農)、次に教育、そしてそのふたつがあってはじめて守られるべき国となり軍備が必要になる」というのがあるのですが、この言葉、今でも通じるのではないかと思います。国とは何か?がまさに問われているよう感じます。

国破れて山河あり・・今は山河ではなくアスファルト。一度アスファルトに埋められた土地は二度と田畑にはなりません。

先日、新聞の投稿欄に、農家に向かって「農で食べていけるのか?」と言った男性に対して「それではおまえは何を食べているんだ?」と言い返したという話が載っていて、思わず「うまい!!」と言ってしまいました。

もちろんその男性と農家の「食べていく」の意味は違います。しかしそろそろ考えるべきなのではないでしょうか、どちらが本当に大切かということを・・(了)

19:18

やっぱり日本経済新聞の論調をあんまり信じちゃいけないね。 「日本の農業も、構造改革して強くなれば、TPPを締結しても大丈夫」といいたいのだろうけれども、それは間違っているよ。

先日、日経新聞も農業に関してまともなことを書くようになったということをここに書いたけれども、そう言い切るのは早計だったようだ。

日経新聞内にいる記者の方から「自分の所属する新聞ながら、こんな内容の記事を書いて農業を貶めるとは、ちょっと腹にすえかねる」というメールと共に、11月9、10日に掲載された一面コラムのことを教えてもらった。

全文引用すると差し障りがあると思うので、日経新聞のWebサイトなどで読んで欲しいが、ようするに上・下ともに下記のようなことを書いている。

  • 日本の農業はそんなに弱いのか?それは経営者としてのセンスを持っていない農業者ばかりだからではないだろうか。
  • 「TPPに賛成」という立場の石川県小松市の農家・長田さんの「TPPは大規模化の好機かもしれない」という話を例に取り、大規模化すれば米については国際的にも価格優位性を持つ可能性がある、そのためにも守るのではなく攻めの姿勢に転じなければならないのではないか。
  • ここ5年で農業人口は大きく減ったが、規模が大きい農業者ほど数が増える傾向。ここに農業が苦境を脱する鍵がある。
  • TPP等による自由化に備えて、ばらばらになっている農地を集約する仕組と、新規就農者に農地を開放するということに施策を集中すべき。
  • 農協は「大規模化しても海外には勝てない」というが、農協の米取り扱いシェアは5割程度。農協の声が農家の声と思ってはいけない。

いやー さすがに一流新聞、世論誘導が上手いなと関心してしまった。これを読む限りでは、日本農業はTPPを推進することで逆に農業の構造改革が進み、旧態依然とした農業界の革新も進むといわんばかりだ。

でも、かなりの詭弁が入ってるぜこれ。信じちゃいけない。(だって当の日経に務めている人が「これはオカシイ」と指摘するくらいだからね。)

■談話に引いている人が適切でないんじゃないか?

まず、この編集委員の吉田忠則という人が談話を引いている石川県の長田さんという農家は、僕もお会いしたことあるけどものすごーく特殊な例ですぞ。普通の農家はやってらんないと思っていろんな策を講じ、玄米ギャバ商品や米ぬか抽出物を塗料にしたりという試みを成功させてきた人物だ。バイタリティに溢れていて、名刺交換しただけでも何か伝わってくるものがあった。

けどね、たしかに農業の先進事例として彼を挙げるのはいいと思うけれども、それをもって「こういう人たちがたくさん出てくれば農業も大丈夫」という脳天気な論にするのは間違っている。たとえて言うと、

「グッチやプラダといった素晴らしいブランドの製品は不況でも売れているのだから、全ての商品がそこを目指せばいい」

と言っているようなものだ。ファッションだって、激安のディスカウント品、普通に安い一般品からちょっと高級品、そして超高級品というヒエラルキーがある。そのそれぞれの客層があって、グッチやプラダを持てる人はそう多くない。だからファッションの話をする際にトップレベルのブランドの話だけをしたって意味がないわけだ。

それと同じで、新聞やテレビなどが脳天気に「農業にこんな素晴らしい成功事例がある!」と紹介するのは、トップブランドや隙間を狙ったニッチなものばかりなのだ。そういうのを観て、何もしらない人が「こういうことをすれば農業もうまくいくのではないか?」と錯覚をする。一般の農業者はあきれてるよ。

少なくとも、長田さんが「TPP賛成」と言っているから、他の農業界も同意見だよというような書き方に見えるのはやめてほしいものだ。とはいってもやめないだろうなぁ、この吉田忠則編集委員は確信犯的に世論誘導しようとしているんだからね。そもそも、長田さんはTPP賛成ということを全面的に言っている訳ではないと思うけどね。言葉を大きくとりすぎていないだろうか?

■極端な事例を「これが農業の真実だ」と言うのはオカシイよ

ちょっと脱線するけど、農の関連業界に居る人間からすれば「それはあまりに極端な事例だ」と思うようなことも、マスコミなどが報道すると「これは素晴らしい、これが農業の主流になればいいのに」と思われるようになってしまう。それは非常に問題だと思う。

そのいい事例が、先般ベストセラーになった「日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率」という本だ。著者は「農業経営者」という雑誌の副編集長の浅川さん。この雑誌はとても面白くて僕も定期購読をしているのだけれども、正直なところ農業界に右翼と左翼があるとすれば、極左といっていい立ち位置だ(スミマセン表現が適切でないかもしれませんけど)。この自給率論も正直、この本だけ読んで「そうだったのか!」と思われちゃ困るなぁと言う内容と思う。せめて農業関連の右翼の著書(いい本を紹介できればいいんだけど)にもきちんと目を通した上で、自分の意見を持って欲しいところだ。案の定、この浅川さんの本を読んだ「だけ」なのに堂々と「食料自給率の真実はこれだ!」と言う人が多くて、ちょっと危ないなと思っている。真実もあるけど、言い過ぎじゃないのって部分が多いからね。

■「規模の大きい農業者ほど数が増えている」のは結果論でしかないよ!

編集委員の人が「農業人口が減る中、規模の大きな農業者ほど増えている」として、「やっぱり規模拡大をしていくことが今後の方向性なのだ」と論を持って行こうとしている。これは明らかに間違っている。

規模の大きな農業者が増えているのは、そうならざるをえないから増えているのだ。ご存じの通り農業者人口は、65歳以上の人たちが6割を超える。その人達は毎年、年齢的な問題から離農せざるをえなくなる。そうなると、自分の土地を同じ集落内の若い人(といっても、50代がほとんど)に委託するのが普通だ。だから、どんどんと大規模化した生産者が増えていくのは当たり前のことなのだ。

だいいち、農水省は数年前から集落営農というのを進めていて、一つの集落内の生産者が法人を組織し、そこに農地を集約していくことを推進している。そうしないと補助対象として優遇されないということでかなりの集落が法人化を進めた経緯がある。

つまり、「大規模化した農家が増えてきているから、大規模化する方向が正しいのだ」というような書き方をしているのは明らかに間違っているのだ。現実的には「大規模化せざるをえないように追い詰められた」結果、そうした農業主体が増えているということである。「日本では少子化が進んでいる」というデータをみて「少子化こそ日本の進むべき道ということだ」と言うようなものではないだろうか。

■「規模拡大をしても海外には勝てないはウソ」というのはウソだ!

そして、問題は、その大規模化した農業主体というのもうまくいっていないケースが多いということだろう。今年新潟県では米が大不作だったから、おそらく来年度をまたずに離農する人が増えると思う。そうなったとき、その人達の農地を引き受けることができる若い衆はそんなにいないのが現実だ。

どんなに規模拡大しても、効率化できるものとできないものがある。日本の都府県での稲作については、10町歩(ha)が50町歩に増えた時、大幅な効率化が成るというものではない。むしろ大規模化することによって効率が下がるということが多いという事例も多い。

ただしもちろん、地権者が細かくばらばらに散らばっている農地を、もう少し流動性をもたせるための施策が必要だという点については賛同する。ただし、それは編集委員が言うような「新規就農組に対して門戸開放」のためではない。

まだ「企業が参入することによって農業が強くなる」というのを信じている人が多いようだけども、それはあり得ない話なんですよ。なんでかというのを、実は「農業ビジネスはやめときなさい」という新書に書こうとしているのだけども、時間が無くて原稿書けてない(ゴメンナサイ)ので、ここでは詳しく論じません。(ふっふっふ 本を買って欲しいからです。来年になるけどね)

最後に、TPPなどが目指す市場開放によって、食はこんなに恐ろしい状況になるよということを論じた本を紹介します。

 

「筆者は大半の経済学者と異なって、市場の価格メカニズムを中心にした市場経済学の適用範囲は、さほど広くないし、また広くあっては社会を危機にさらすと考えている。」
- 前書きより引用

ということでお腹が空いたので帰ります。

明日は福岡の八女に行って参ります。それにしても、TPPについてまともなことを書いてくれる一般紙はないんだろうか。

20:14

2010年11月18日

またやったな民主党、、、第一次産業をなめやがってふざけるな。事業仕分けにおける「共同農業普及事業」の扱いで、民主党がいかにバラバラの寄せ集めかがわかった。

昨日の事業仕分けにおいて、あまりニュースにはならなかったけれども日本の第一次産業にとって重要な予算が仕分けされてしまった。

「普及指導員の配置および普及指導活動の実施等」というもので、各県にいる7500人弱の普及指導員への国からの35億円の補助金を「抜本的に見直し」せよということだ。一言で言えば、全国で農家に対し技術面や経営面でサポートをしている「普及員さん」という人たちの活動予算を大きく仕分けてしまったということだ。

昨日の仕分け会議終了後の時点で、各地で僕がおつきあいしてきた普及員さんからメールが届いた。みなが言っているのが「仕分け担当者は現場を知らないくせに、ペーパーで書かれたことだけで判断をしているが本当にあれでいいのか」ということだ。

普及員という人たちの仕事、一般の人は知らないだろう。各県の公務員であり、農畜産業の生産者に対して様々な支援を行っている人たちだ。「支援」といってもその一言の中身は深い。技術指導であったり経営面でのサポートであったり、地域内の女性グループの活動を補佐したりと幅は広い。

そもそも農畜産業は「一人で出来るもん」という仕事ではなく、関係機関との許認可調整がイヤと言うほどあるもので、農家がひとりで対応出来ることには限界がある。例えば民主党政権になってからの政策の柱である戸別所得保障制度だって、実際に国は行政上の処理フローなどを各地方に任せてしまっているため、対応におおわらわとなる。農家も不安で「来年の作付面積を増やしていいのか減らせばいいのかわからない」など、いってみれば生死に関わる判断をしなければならない。そういうところで行政と現場をつなぐ相談役として機能したり、もっと末端の業務までいけば書類の書き方から何からを指導する役割を果たしている。

なーんて書いていったら、1万字くらい必要になるなこれは。普及事業の内容は日本の農畜産業のバリエーションの多さに比例するんだから、膨大なんだよ。

しかし、35億円程度の金額を杓子定規に仕分けてしまう行政刷新会議の見識を疑うね。結果のペーパーをみると、「国が交付する必要があるのか?県で対応しろ」「普及員数が減少しているのだから額も減少すべき」等書いてある。あのね、そもそも普及員数が減っているのは各都道府県の予算緊縮によって人減らしをされた結果である。そして、各都道府県も財政難だから、普及員の給与は一律で大きくカットされている(一昨年あたりから何人の普及員さんが嘆いていたことか)。

各地の普及所も人員を減らし、広域に合併を進めている。その分、ひとりあたりが面倒をみる農家数も数十人単位で増えていく。つまり業務量は増加しているのだ。各都道府県が埋めきれない予算を国が補助しているわけで、合理性はあるどころか、農畜産業をこの国で続けていく意志がある政権であるなら、増額してあげるのがスジではないだろうか。

WGの結果レポートをみると、評価者のコメントにあきれたものがある。

「参入障壁の問題もあるので、規制緩和とともに考え直すべき」

誰が言ったんだこれ。テレビ見てた人はぜひ教えてください(そもそも映像がどっかにアップされてないかな)。他産業や新規の参入障壁と普及事業は全く関係ないでしょ。というより、新規参入者への指導・支援も普及員がやってるんだよ?「農業の問題は新規参入に障壁があるということだ」と唱えていれば、知ってる人のフリが出来ると思っている無知な人の発言でしかない。日経新聞かおまえは。

しかももっと言ってよかですか。この事業仕分けの次のテーマが「漁業担い手確保・育成対策事業」と「「緑の雇用」現場技能者育成対策事業」という、同じ第一次産業の漁業と林業における新規参入支援の事業なのだが、これも

「予算要求を半額程度縮減・見直し」

である。新規参入支援まで仕分けしてるじゃないか!

片方では「日本の農業を強くする」と言っておきながらもう片方では、世界的にみても高水準にある日本農業を支え創ってきた仕組み自体を弱体化させようとしている。業界にずっといる人間が本当に必要だと思う予算が縮減されていくのを見ていると、この事業仕分けというショーは本当にやっていく意義があるのか?と疑問を呈さずにいられない。

あー 腹が立つ。民主党って本当にバラバラの、統一した意思を持たない政党だね。

12:42

経団連米倉会長 TPPについて「農業団体も自己矛盾的な発言をしている」と談話したようだが、アンタはアホか。

朝日新聞によれば、経団連の会長が「日本の米はうまいから中国でも売れると強気を言っていたのに、TPPで農産物の全生産高の半分がなくなるという。どこに真意があるのか」と言っているらしい。

アホか。経団連トップという地位にある人間が話す内容とは思えない。

「日本の米の食味は国際的にみて非常に高いので、中国などへの輸出が期待できる」

ということと

「TPPにより完全障壁を撤廃すると、日本の農産物が打撃を受ける」

は全く矛盾しない。そもそも、日本の米は輸出できるということは確かだが、それが「日本でできる米のほぼ全量が輸出で売れるほど」だなんて誰も言ってない。そんなの一部の富裕層向けに決まってるでしょ。それに対してTPP締結したとき、米や麦、北海道の甜菜や九州・沖縄のサトウキビなどから生産する砂糖などが全く成り立たなくなるといっているのであって、全く同じレベルの話として持ってくるこの人の神経がわからない。

それに輪をかけてこの人は「生産性を上げるために農地集積が重要だし、担い手育成のために参入要件の緩和も必要になってくる」(時事通信より)などと言っているようだ。まだこんなこと言ってるのか。

農地を集積して大規模化しても、そもそも数百・数千倍の規模を持つ諸外国にはコストでは太刀打ちできません。それに「集積する」とひとことでいうが、日本の田圃や畑は平地が少なく、高低差があるのが普通だ。つまり集積には限界があるし、限界を超えるためには何兆円かかるかわからないほどの土木事業が必要である。そんなお金、出してくれるのかい?

また参入要件については、いつものとおり経済界は「参入障壁がなくなれば俺たちが日本の農地を買い取って、農業側からの反対が言えないようにしてやるよ」という意志がみえみえである。実際はすでに要件は緩和されていて、要件を満たさないから参入できないという主体はないに等しい。

なんかここのところ経済界への反発ブログになっちゃってるけど、いま日本のマスメディアの論調が経済主導できていることは非常に怖く、ファシズムの手前を感じる。なので、今後もこの話題は書いていきます。

13:39

2010年11月25日

某省庁の若手も、日本農業に対してこう言っている。頑張れ若手官僚!

時間がないのでメール引用のみ。先日都内某所で会った某農○○産省の若手職員からのメールです。ありがとう。

私は入省するまでに、たくさんの現場に足を運んできました。同期の中でも、現場に足を運んできた数だけは負けない自信があります。

現場の話に耳を傾けるようになるまでは、自分も農(農業というと狭いので・・・)の大切さに気付けなかったし、多くの学者が言っていることが正しいと思いこんできました。小規模、兼業、高齢化、これらすべての言葉に対して、当たり前のように良くないもの、日本の農業の弱点と思っていた自分が恥ずかしくなりました。

大規模化が間違っているとは思っていません。
しかし、ミクロの話とマクロの話を分けて考えなければ駄目だろうといつも思っています。
規模拡大して専業でやっていこうとする方々も素晴らしいし、応援していかなければいけないと思います。
けれど、日本の農業は大規模化していくべき、という議論は全く違う話ではないかと思っています。

今までたくさんの方に話を聞いてきて、大規模農家の方にすら、規模拡大一辺倒の政策はおかしいと考えている人が多い!ということを感じてきました。
農を語る前に、そこには地域というものが存在するのであり、地域に住んでいる人がすべて同じような人といろんな人が住んでいるのと、どちらの町に住みたいですか?と聞けばおそらく多くの人はいろんな人がいる地域と答えるのに、農の話になるととたんに、大規模化を推し進めることが大切、となる。どうも単純な構図にして議論するのが好きな人が多くて、色々あるのが理想、と考えるのは嫌いな人たちが多いように思います。
どういう人を育てるかにばかり目を向けて、人と人とのつながりがどうなっているのかということに農政が目を向けてこれなかったんだろうと思います。


大規模農家である長野県の永井進さんという農家が、
「地域のいろんな人に支えられて今までやってこれた。だから、地域の方々にはずっと農に携わっていてほしいし、自分が一人でその土地を走り回るような光景にはしたくない。みんなで土地を耕す風景を残していきたいし、だから自分が出来る限りの応援をみんなにしたいんだ。」
と語っていたのが非常に印象的です。

色々あるのが理想というのは、それが強い地域を作るとか、いかにも経済学者的な落とし所ではなくて、単純に、一番幸せな地域とはどんなかたち?という問いかけに対する答えでもあるような気がしています。
百歩譲って農業の構造改革が進んで、日本に強い農業なるものが出来上がったとします。
けれど、そのことと、農業をやっている人たちの幸せ、地域の幸せといったものが最大化されたかということは全くの別問題であるかのように思います。

ただ、幸せとかいったものは人によって無限のかたちがあるし、数字にできないから、数字ではかれるものを主張する人たちの意見が強くなるような気がしています。
例えばTPPの議論を見ても、賛成派と反対派は実は最初から同じスタートラインに立っていない
賛成派の方が議論に打ち勝つのは楽な位置からスタートしているんじゃないかと思います。多分自分だって、もしも議論で言い負かすことが最大の目的であれば、賛成派をとります。そのくらい賛成派の方が主張しやすいのではないかと思っています。

こうなると、感覚的にどっちが正しいかと思っている人の賛成反対比率と、実際にどっちの立場に立つかの比率にずれが生じてくる。大切だとは思うけれど、確かにそういわれたらそうだな、といった半分あきらめモードの人が出てくる。

実際に就職活動等で、自分の意見よりも、答えやすい流れの方を意識して話してしまう人が多いように思いました。

だからこそ、そもそも自分自身の感覚としてどう思うのかという感覚を大切にしないといけないと思います。証拠や裏付けが必要となる学者の方などは大変かと思いますが・・・。
現場の話や、自分の感性というものは、論理性のある文章よりもとても説得力が弱いかと思いますが、だからと言って、うまく言えないけれどこっちが正しいと思うという原点だけは、見失わないようにしたいと思います。もちろん、その言葉にしづらいことを多くの人に伝わるように説明できるようになることが目標ですが。

こんな若手がまだまだいっぱい居る。もっと声を上げて欲しいね!

13:13

2010年12月02日

宮崎では冬の風物詩、大根干しのまっただなかです。

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宮崎県の有料道路で小林あたりを疾走していると、大根干しをする棚があちこちに建てられていた。

たくあん用の大根はこうやって収穫後、天日で干す。数日かけて陽と風にさらしていると水分が抜け、あの堅かった大根がU字型にクニャッと曲がるくらいになる。そうなったら漬け込み開始だ。

その、干し大根用のやぐらがこんな規模で建っている。

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近くに行くと「ええ?」という位の高さ。3階建ての家くらいはあるそうだ。これに梯子をかけて作業するから、落下事故が絶えないらしい。

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宮崎県の名産といえばみんなはマンゴーとか言うかもしれんが、俺にとっては大根です。農家の庭先で大根を大量に機械にかけてマッチ棒状態に刻み、それをむしろのようなものに散らして干すと切り干し大根になる。

大学院時代に農業関連学会の大会で宮崎に初めて足を運んだとき、農家の軒先でこの作業をしていたのでフラッとみせてもらった。

「うおーこうやってできてるのかぁ」

と感動していると、おばあちゃんがビニール袋にいっぱい切り干し大根を詰めてくれた。それをそのまんま口いっぱいに頬張り、しばらく唾液でうるかしながら噛んでいると、何とも言えない甘さと旨みがにじみ出てくる。あれは本当に旨かった。

宮崎の大根農家の皆さん。棚から落下しないように気をつけてくださいねー

11:43

メディアが掲載する「農家の年収」てやつはちょっとおかしいぞ。「年収」ではなくそれは「売り上げ」です。そっから諸経費を引いたら、、、

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先日、親友の結婚パーティーにて会ったT田君らと農業にまつわる最近のメディアの無理解について盛り上がった。

いちばん「おかしいよねアレ」となったのが、表題のもの。よく若手農家とかイケメン農家を持ち上げる特集とかやるときに、

『なんと年収1600万円!』

とか、一般の人が観たら「なんだそりゃ!?すっげー儲かってるジャン!」

という風に見えるやつ。

確かに僕の知っている篤農家(とくのうかと読む。高い技術を持つ農家のこと)さんの中には、年間で1500万以上稼ぐ人もいる。けどね、そんな人、そう多くない。

真実は、先の話でいけば「年収」ではなくて「売り上げ」が1600万円、ということである。経費を差し引く前の売り上げ額を「年収」と取り違えているケースが多いのではないだろうか。

また、「年収1600万円!」と言われると「こいつ一人でかぁ」と思われるだろうが、実際にはその農家一戸の全売り上げであることがほとんどのはずだ。農家は通常、家族労働が前提である。40代の男性が主力であったとしても、嫁さんも、両親も総出で働くのが普通だ。それで合わせて1600万円の売り上げ。

そこから経費を引いてみる。種子購入代、肥料に農薬、農業用機械の燃料費や償却、施設園芸ならハウスや高設ベンチなどの資材、軽トラ燃料、大きいとこならパートさんの人件費、などなど。おそらくそれで普通半分は飛ぶでしょう。そしたら一家の年収が800万円程度。

けどね、実はこれ、人件費が入ってない。家族労働分を時給1000円くらいで入れてご覧なさい。ちなみに労働時間は8時間以上だし、土日休みとかないからね。

「年収1600万円!」とは全然違うでしょ。それでもやっていけているのは、いろんな意味で生活コストが安くすんでいるということと、家族の誰かが働いて兼業収入を充当しているから。

「兼業農家はけしからん!」

などと言うやつが多いけど、逆だよ。兼業しないと現金収入がないんだよ。農業といういとなみをその辺の会社組織と同じように考えたら成り立たない。そういうことに無理解な人たちが平気で農業のことを語り、それを一般市民が鵜呑みにして、日本の高品質な農業がつぶれていく。粗悪なメディアが変わっていくことは出来るんだろうか。

11:44

2010年12月03日

昔は、農業の方が強かった。それもまた真実というメールをいただきました。

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ここしばらく農業側について擁護する論調でブログを書くことが多いが、九州の某県から下記のようなメールが来たのでご本人の承諾を得て紹介します。

今回、農業と他産業の対立構造に一言申し上げたくメールさせてもらいました。

私の父(58歳トマト専業農家)が農業高校に通っていた頃、教師の給料が今から考えられないほど低く生徒(農家の子弟が多い)から嘲笑されるくらいだったそうです。父の同級生で卒業後に農業に就かず町役場に勤務した方は変人扱いされたとも聞きます。

現在では、公務員は希望者多数の狭き門となっていますが、「公務員なるのがばからしい」くらい農業の地位が高い時代があったようです。
勤め人になった人も農業につけなかったから仕方なく勤めに出たケースが多かったのではないでしょうか。

農業したくてもできなかった。
故郷で暮らしたかったけど離れなければならなかった。

食料自給率や文化の消失という国家リスクはおいておいて、こういった農業・農村に対する憧憬と憎悪が今の農業つぶしの深層心理にありそうな気がします。
でも、そういった歴史はあまり語られませんよね。

そうかといって、輸入農産物が入ってこなくなり、食料不安が起き、再び農家の地位が上がればいいなどとは思いません。野菜泥棒・米泥棒の世の中になってしまうでしょう。

農村は、昔はいい目をみていたこと、これまで農地という既得権の上にあぐらをかき、他者を排除する閉鎖的村社会を作り上げてしまったことに目を向けなければならないと思います。
もちろん、そうではない方がたくさんいらっしゃることは承知しています。

そう、実は農業が立ちゆかなくなってきたのはここ30年くらいのことだ。高度経済成長のとっかかりは、ものを作って売れば売れる時代だった。前の会社で、花の卸売会社でセリをしていた先輩が言っていたことが懐かしい。

「やまけんちゃん、産まれる時代を20年間違えたなぁ、俺がセリ台に立ってた頃はサ、なぜかいつも机の中には聖徳太子(以前の一万円札ね)が20枚くらい入ってて、それ持って銀座に行ってたもんだよ」

まじかよーと、バブル崩壊後の時代を恨んだものだけど、昔は本当に生産者も流通業者も儲かっていた時代があった。作家の筒井康隆さんが「農協月にいく」を書いたように、土地高騰の余波も受け、農業関係者にとっては「金はある」という時代があったことも事実である。

ただし、その記憶をもちつつも、これからのたべものをどうするという話は別のものとしてする必要がある。

「農業をどうするか」ではなく「たべものをどうするか」という視点で話していかなければならない。

いま、愛媛にいます。朝、すげー嵐で200mも移動できんかった。いまは陽が差してます。

11:32

2010年12月17日

ひつじぐもの面倒をみてくださっている看守さん

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僕の短角牛である「ひつじぐも」は、春から秋までは広大な牧野で放牧されるが、草が枯れて雪が積もる冬の間は里に下りる。僕も加入している、大清水牧野組合で短角牛のオーナーになっている人の牛は、オーナー用の牛舎に入り、看守さんがついて世話をしてくれる。思えば二戸を初めて訪れた時、ここをみせてもらって「俺もオーナーになりたい!」とお願いしたわけだ。

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この方が、オーナー牛舎の面倒をみてくれている看守さんだ。

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ご夫婦で看守小屋に寝泊まりして世話をしてくれる。僕が近寄ると後ずさる牛も、看守さんには近づいていく。日々の世話をしていると通じるものがあるのだろう。

 

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残念ながら看守さんと話をしても、30%くらいしかわからない。津軽半島の突端のほうと岩手の旧南部藩のご年配のことばは、関東の人間が聞き分けるには本当に難易度が高い。

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小屋の脇に積まれた牧草のサイレージ。サイレージというのは、牧草を収穫して発酵させたもので、昔は専用の建物を建ててそこへ草を詰め込み、発酵させていた。それがいまではごらんのように、畑で刈り取った後にビニール資材で何十にもラップする。空気と遮断されるので、植物内の水分で自然に乳酸発酵が進むわけだ。これを開けると、独特の古漬けのような香りがする。冬期はこれを牛に与える。肉牛には輸入コーンを与えて太らせるのが普通だが、繁殖用の雌牛は肉牛と違って、カロリー満載の餌を食べることはないのである。

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奥の小屋には大量のワラが。これは敷料といって、牛舎の床に敷き詰めるものだ。おがくずと裁断したワラをまぜたものを敷いておく。糞尿を吸ってしっとりした敷料は定期的にかき出して掃除してやらねばならない。

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看守小屋の外に、洗濯物のようにして大根の葉がかけられていた。

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これを「ほすな」という。「干し菜」のことだ。岩泉町では有名な在来野菜である安家地大根の葉をこうしてほすなにし、冬の間の貴重な野菜として汁に入れたりして食べる。

と思ったらなんとこの干し菜は牛用だそうだ。

「ほすなを牛に食べさせると、母牛の胎盤が出やすくなる」

ということだったのだ!なんとも深~いノウハウである。

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順調にいけば3月あたりには、また仔牛が産まれる。看守さん、ひつじぐもをどうぞよろしくお願いします。

11:40

2011年01月13日

「株式会社は農地を購入できないから、新規参入が進まない」ということを言っているやつは信用するな! 農地法専門家からのメールご紹介。

先日の朝日新聞の記事は、いろんなところで反響を呼んでいるようだ。実は朝日新聞の別の部署の記者さんと話す機会があったのだけど、「あれはちょっと、ねぇ、、、」と眉をひそめておられた。

さてあの記事について、農地法に関する仕事に就く専門家からメールをいただいた。許可をいただき、転載します。ただしこの方の身元は、諸般事情あって秘匿させていただきます。

お世話になっております。ブログ拝見いたしました。心強いです、ありがとうございました。

朝日新聞について法律で語ると、1昨年12月の農地法改正、記事にあるように「パソナが農地を借りれるようになった」部分ですが、この時の改正で「下限面積50a」の要件も撤廃されております、塩道さんでも借りられたハズなのです。ではなぜ農業委員会が許可してくれなかったのか?農地法の壁は?と言うと、次の部分、、、

「勤め先のパソナが周りの畑と一緒に借りてくれ、塩道さんも社員として使えるように・・」

の部分でしょう。要は50aの下限面積要件が問題だったのではなく「パソナの社員だったから許可してもらえなかった」ということです(申し訳ありません、昨日電話で言えばよかったです)。それにしても朝日の記事は意図的過ぎですね。 農地の取得には「農業に常時従事すること」が原則ですので、OLしつつは無理。私に言わせていただければ「その程度で「農業始めようと」なんて口にするな!「趣味の園芸、もしくは、勤めつつ家庭菜園しようと思ったが農地法の壁に」でしょ!」となります。

確かに、農業始めるには「専業」にならないといけないというリスキーな部分がありますので、勤めながら農業が出来るように(企業を認めてるのですから)同じく個人にも「借地であればOK」とするぐらいの改正はいるのかもしれません。

そうすれば、例えば農業法人で働きながらトマトの技術を学び、自分の小さいハウスでも作ってみることが出来る!という方法は可能になります(ある地区を特例で認めて「経営者育成事業」なんていいかもしれません)。

やまけんさん、わたしはエセ専門家の方々がなぜあんな風に知ったかぶりで話せるのか不思議でなりません。先日もツイッターで田原総一朗が「農業の近代化とは何ですか?」の質問に「輸出です」と答えてました。その程度の認識なのかと目を疑ってしまいました。エラソーに「日本の農業の就業年齢は、、、」とか言ってますが、「なぜ地域や作物ごとに分けないのだろう?」「この人達は製造業を語るときに自動車もミシンもテレビも一括りにして「製造業は、、、」と話すのだろうか?」と不思議に思います。

ところで、朝日新聞のあの記事を書いたチームは、本気で「農地法の壁が新規参入を阻む障壁となっている」と考えているらしい。というのは、先日、都内某所にて農業ジャーナリストの勉強会があって、そこでとある政治家がTPPに関する話をしてくれた。その際に、朝日新聞の記者が「農地流動化のためには株式会社が農地を取得できるように、また過半数以上の議決権をもって資本を自由に投下できるようにしないといけないのではないか」ということを質問していたのだ。

ただし、その政治家は非常に農地法等の扱いに熟達した方で、一言痛烈な言葉で返しておられた。

「そういうことをいうから企業って信じられないんですよ。農地は買わなくても農業できるように、数年前に大きく法改正したんだから。」

拍手喝采、でした。けれどもTPPは簡単に賛成反対できるようなものではない。非常に難しい選択だと言っておられた。確かにそうだ。現実はマスメディアが簡単に白黒つけられるようなシロモノでは、ないように思う。

21:13

2011年01月26日

結局、日本という国はメディアそうがかりで農業をつぶそうとしているとしか思えない。「日本の農業を強くするから、保護は要らない」ということの欺瞞は、アメリカの農業政策の歴史を観ればよくわかるのだ。

なんだか、いや~な展開である。朝日新聞が本紙やアエラで総がかりの農業改革(改悪だけどね)論やTPP推進の論陣を張っている。どこのメディアもはためには推進・反対の両論を併記することで中立を装っているけれども、最後には「しかし変わっていかねばならない」的な書き方で、さらなる変革を要求することを忘れない。中にいる記者さんが「本当におかしい」と眉をひそめるくらいにね。

 

改めて強調しておきたいのだけど、TPPの議論をする際に「日本の農業は保護されすぎ」「農産物の開国をしなければ」とさも常識のように言う輩が多いが、大間違いである。一番基本的な部分を誤認している人が多すぎるので改めて書いておくが、

日本の食料自給率はカロリーベースでたったの40%、すでに60%も輸入しており、先進国では最下位。ということは、もっとも食料を輸入している国なのですよ。

※ちなみに最近、「食料自給率はまやかし」という論調の本が売れに売れているが、あれはとても極端な「農業左派」の論理だと思います。為替レートでくるくる変わるんだから、金額ベースでみるのは危険でしょ。「カロリーベース」「重量ベース」などの単位換算をきちんと明確にした上での自給率議論をするのが妥当と思う。

安い輸入品が入ってこないようにかけている関税が高いというのがメディアでよく言われる。たとえば米は490%、小麦は210%、バターが330%、牛肉は38.5%。推進派は「このあまりに高い関税を撤廃すればもっと消費者は安い食品を買うことができるじゃないか。」というわけです。一件もっともに見えますなぁ。

けれどもご存じだろうか、こうした高関税品目は日本ではわずかだ。米、小麦、砂糖原料、でん粉原料など、全農産物のたった1割だけが高い関税をかけているのだし、実はその関税率の平均をとれば11.7%(東大の鈴木宣広教授による)である。

そして他の9割の農産物は関税はないに等しい。つまりすでに開国しまくってる。だから中国から野菜があんなに輸入されていたし、今もされている。みなスーパー店頭では国産野菜ばかりならんでいるから気づかないだけで、飲食店や中食の業務用食材は半分以上が輸入品だぜ。それわかってないでしょ?

「農業」といってしまうとみな冷淡になるけど、これを「たべもの」に置き換えて考えようよ、というのが僕の言いたいことだ。日本人は、自分達の主要なたべものが他国産になることに非常にデリケートな民族だと僕は思っている。平成の米不足の年のこと、思い出してみて欲しい。中国餃子事件のことや、狂牛病問題の時のパニックも。みんなのど元過ぎれば忘れるけど、日本人ほど自国の食べ物にうるさい民族もいないはずだ。それを突くと国民感情が振れることをわかっているから、推進派はみな「保護されている農業VS他産業」という図式で話そうとする。これは策略である。

「農業が潰れる」ということと、「たべものがほとんど外国産になってしまう」というのでは国民の受け取り方が違うと思う。 「たべもの」を考えると、みんな危険性を感じませんか?

先の関税の話だが、日本では関税によって保護され生産が続けられている食品が非常に多い。例えば北海道で栽培される甜菜(てんさい)や沖縄・九州で栽培されるサトウキビから作られる砂糖。これも約200%程度の関税がかかっている。小麦も210%。これを、少し安くなるからといって関税撤廃したらどうなるか。農家が職を失うだけだと思っている人が多いけど違う。その流通をする業者さんなども含め、とんでもない人口が失業する可能性がある。その人達は、ただでさえ失業率の高い日本の市場にどっと出てくるのだ。日本の景気はさらに悪化する。それを支えるほどのメリットを本当にTPPで享受できるのかい?

関税は悪いもの、撤廃しなければいけないものというのはいったい誰が言っているのか。日本にモノを売ろうとしている国がそう言っているだけである。その言葉を「うん、たしかにフェアじゃないね」とすんなり受け入れようとしている日本という国は、本当に脳天気で人のよい国である。どこにそんな「他国に優しく自国に厳しい国」があるんだろう。

「世界の孤児になる」という言葉に躍らされるのは早計だ。どこの国も、自国を最優先に考えて、国際的にみれば反則気味の手を使って産業を守るのが普通なのだから。フランスやアメリカなどの農業国ではものすごい金額の直接所得補償で農家を守っていることはこれまでも書いてきたとおりだ。関税という収入源をもらえるのであれば、それは大切にしていった方がいい。それは日本の収入源なんだから。それを手放すなら、その関税分の収入を補完できる他の財源を明確に示して欲しい。

で本題だけど、アメリカの農業政策で、いまの日本の状況と似た状況にあった瞬間がある。それについて書こうと思ったんだけど、そろそろ飛行機に乗る時間なので後ほど。今日も宮崎です。口蹄疫の次は鳥インフルエンザ。鹿児島でも発生が確認されたが、この国の食のリスクが非常に高まってきている。

実は、一般の人がこういうことを「識る」ことと「あの報道おかしいんじゃない?」と疑問を持つことはとても強力なパワーになるので、ぜひ理解をいただきたいと思う。

09:30

2011年01月27日

「日本の農業はもっと強くなれるから、保護は要らない」というのは欺瞞だ。アメリカの農業政策の歴史を観ればよくわかる。

TPPや、企業の農業への新規参入の話の中でよく出てくるのが「日本の農業はもっと強くなれる」というものだ。土地をまとめて規模拡大し、効率的な経営をすれば強くなれる、と。日経などの新聞ではこれまで何度もこうしたことを書いてきているのでそれが真実だと思わされている人もこの国では多いだろう。けれども、そんなことを本気で信じている農家はほとんどいない。

もしそれが可能なことだったら、農業がこんなにもゆっくりと着実に凋落していく過程で、誰かがそれを実現しているはずである。

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■「大規模効率化」の夢はいい加減に捨てた方がいい

土地をまとめるということが難しいのは、現状の農業者にとっても非常に難しい問題だ。細かく区切られてしまった日本の農地は、いろんな思惑でバラバラのままだ。純粋に農業を続けたい農家もいれば、よく批判されているように、いずれ道路拡張などで転用・転売できる日のことを夢見てとりあえず所有し続けている農家など、いろんな人によって区切られている。そうした所有の問題があることは事実。

しかし、それが農業の大規模化の阻害要因であるならば、まず既存の農業者に限定して、土地を流動化する施策をすればいい。彼らはこれまでプロフェッショナルの技術を持って営農してきているのだから。どこの馬の骨ともわからない他産業の素人軍団に貴重な農地を与える必要がどこにあるんだろうか? 「農地の流動化」と「新規参入の促進」を無条件に結びつける人たちの言葉には、ここにひとつの論理的飛躍がある。

ちなみにいま、すでに一部では農地は大きく流動化している。茨城県稲敷市のとある米どころの集落には米農家が100軒以上あるが、そのうち実際に農機を動かして農業をしているのは何戸だかご存じだろうか?

答えは、たったの2軒の農家、である。じゃあその2軒は若い生産者がいるのかといえば、どちらも50代後半。数千万円の農機を購入して、中国人研修生の力を借りてやっとこさ50ha以上の広大な面積をてがける。とはいっても一枚一枚は小さな田んぼで集約されていないので効率は悪い。日本の国土は起伏に富んだ地形が多いので、平らにならすことなど不可能なのだ。

「大規模集約化すれば強くなれる」 と言うのは簡単だが、これはあくまで「すれば」の仮定であって、現状ではほぼ無理。だって隣の田んぼとの高低差を、ブルドーザーやユンボを入れて平らにするだけで数百万。本当に「大規模」といえる規模といえば一枚の圃場が5ha以上となるだろうが、高低差のある圃場をつなげて平らにすれば数千万以上になるかもしれない。すでに採算のとれない米や、10kg箱ひとつ2000円程度の単価にしかならない野菜を何年作り続ければその初期コストをペイできると考えているのだろうか?

そういうことだ。

 

■所得保障制度はパンドラの箱だ

さて、実は昨年から農家に対する戸別所得保障制度というのが動き始めている。昨年度は「モデル事業」、そして今年度は本格実施の初年度となる。

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戸別所得保障というのを簡単に説明すると「農産物の販売価格が標準を下回っている場合に、その差額を補填する制度」である。

これまではいわゆる「減反」のように、たくさん市場に出回ると安くなるから、作るのやめてください。作らなかったら補助金払いますという方式(生産調整という)の補助制度だったのが、その反対の「作って出荷した分の価格を支えます」という方式になったわけだ。前者が市場価格をコントロールするための調整であったのに対して、後者は生産者個々の業績に応じてダイレクトに支払われる補助になるので直接支払いとよばれる。

この補償制度も施行されたので農村はもう大丈夫、という言い方をする人が多いのだが、実はすでに問題が生じ始めている。

まずこの戸別所得補償でもっとも影響が大きいのは米なのだが、米の価格は下がりっぱなしである。この制度のことは買手である米穀卸や量販店などもよーくわかっているので、「米が安くなっても、補償金が入るから大丈夫でしょ?」といってどんどん買い取り価格を下げてくるのだ。直接所得補償制度が施行された品目については、市場価格は下がるのである。

そして一番の問題は、この制度ではしれっと書かれている「標準価格」のことである。何を持って「標準」とするのかは、生産者がどうこうできるものではない場所で決められる。生産費と標準価格の差額が補填されるわけだから、肝心の標準価格と呼ばれるものが下がっていけば、生産者は生活ができなくなる。

「やまけんさん、それはオーバーだよ、いくらなんでもそういうことにはならないでしょ?」

と考える人もいるだろう。でも僕はこの点については悲観している。

昨年度中に邦訳されて出版された農業関連の本でもっとも秀逸だった、「雑食動物のジレンマ」(マイケル・ポーラン著)の上巻を引用したい。

1970年代に農務省の長官となったバッツが、コーンなどの基本的な穀物に直接支払い制度を導入したのだ。それまではかつての日本と同じく政府が買い上げての「価格を安定させる政策」をとっていたのだが、国の財政負担が大きいこともある、これを一気に直接支払いに変革した。

「農家は、融資から直接支払いへの転換を一大事だとは考えなかった。どちらにしろ、トウモロコシの価格が下がっても、政府が目標価格を保証してくれるのだ。だがその実、これは穀物価格の下限を取り除くという画期的な事件であり、推進者はそのことをわかっていたはずだ。

以前の融資・穀物制度の下では、価格が暴落すればトウモロコシは市場に出されなかった。けれども新制度の下では、トウモロコシがどのような価格でも、農家は売るように奨励され、政府がその差額を支払う。結局、政府が実際に支払うのは差額の内のいくらかだけとなったのだが。

以来、導入された農業法案のほぼすべてにおいて、世界市場でのアメリカ産の穀物の競争力を高めるという名目で、目標価格が引き下げられた。」

おわかりだろうか。補償があると思うから農家はどんどん作物を作る。結果、市場に出回りすぎて価格もどんどん下がる。そして差額補填の基準となる標準価格はどんどん下がっていき、農家は逼迫していくのだ。

この本ではネイラーというコーン農家が登場して、このような低価格スパイラルに陥って脱出できない農家の悲哀を語らせている。

「価格が下がった時に、生活レベルを変えずに月々の光熱費などを払い、借金を返し続けたいなら、一つの選択肢しかない。それは生産量を増やすことなんです」

農家が生計を立てるためには、一定のキャッシュフローが必要になる。トウモロコシ価格が下落した時に収支を合わせる唯一の方法は、さらにトウモロコシを売ることなのだ。

(中略)

これが、生産量を高く、価格を低く保つシステムなのだ。さらにこのシステムは、実は価格を下げ続けるようにつくられている。それは、農家に目標価格の不足分を支払うことは、できるだけ多くのトウモロコシを生産し、どんな価格であれ、市場にすべて出すことを奨励するからだ。当然、価格はさらに下がり、そうなるとネイラーのような農場主が収入を下げないためには、トウモロコシをさらに作るしかない。

こうしてトウモロコシの山は大きく鳴り続け、1970年の一億160万トンから、現在の二億5400万トンへと増加した。この安価トウモロコシの山を動かすこと つまりそれを消費する人間や動物、燃料とする車、吸収する新製品、輸入する国を探すこと が、工業化した食体系の重要な課題となった。 トウモロコシの供給量は需要量を圧倒的に上回ってしまったのだ。」

後半部のくだりが、なぜ日本の畜産においてアメリカ産の餌用コーンが餌の50%以上を占めるのかを語っている。

それはともかく、直接支払制度はこうした諸刃の剣なのである。米の価格はこれからどんどんさがっていくだろう。

「でも、足りない分は補助が出るんでしょう?」

そうとは限らないということは、おわかりいただけただろうか。僕は個人的に、この記憶すべき転換を忘れない。

10:03

2011年01月28日

新燃岳の噴火で、近隣の農場がどうなっているか。宮崎から写真届く。

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宮崎県内の複数の農業関係者から、同じ写真が送られてきた。撮影したのは、業務用冷凍野菜の大規模生産者の若息子なのだけども、これはすさまじい状況だ、、、

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これは砂利道、砂の道、ではない。灰が降り積もることで、中央を表示する白線などがまったく見えない状態の道路だ。

そして田畑にはびっしり灰が降り積もっている。

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とりあえず現状で栽培されている作物は、葉物についてはほとんどが出荷不可能となるだろう。火山灰の付着度合いにもよるが葉物野菜はいちいち洗浄して出荷とはならないだろうからだ。また、日本という国はワケのわからない風評被害というか、「お客様に不安を与えてはいけない」などと先回りして不買をするスーパーばかりだからだ。買って上げた方がいいのに。このブログ読んでる人は宮崎産農産物(特に県南地方のもの)が並んでいたら、買ってあげてください。

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ホウレンソウの惨状。業務用加工むけなら大丈夫かとも思ったが、どうも張りが出ていないところをみると、出荷はちょっと難しいだろう。

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タマネギのビニールマルチがみえないほどに降り積もった火山灰。いや灰と言うより石だな。

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実は問題はこれから先のことだ。かつて三宅島で火山噴火した際に、火山灰が農産物の生産に与える影響を分析したデータがあるのだが、それによればpHはやや酸性で、やはり土壌の化学性や物理性を悪化させるという結果が出ていた。つまり灰が相当量混ざってしまった土壌を改善するために、土壌改良資材の投入などそうとうコストと時間がかかることが予想される。

実は昨日からいろいろ関係機関へ被害状況を問い合わせているが、「まだそれすらはっきりしません!」という状況だ。

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こういうときに買い支え運動が自然に起こるようになると、日本の民度を信じることができるのだが。ひとまず簡略ですがアップします。

07:25

2011年03月21日

宮城・岩手・福島へは長期的な支援をしていこう。 そして畜産飼料が手に入らない苦労について、理解をして上げて欲しい。 岩手県のホロホロ鶏生産者・石黒さんからのメールを紹介する。


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いつもより50%以上、画像のサイズを落として掲載することにします。通信環境も節約したほうがいいと思うので、、、

ホロホロ鳥という面白い名前の鶏肉をご存じだろうか。東京や大阪でも高級なフレンチ・イタリアンにいくとけっこうメニューに載っているのをみたことのある人もいるだろう。フランスでは『鳥の貴婦人』とも呼ばれる、実にデリケートな食感の食鳥である。実はこの鳥を日本で営利生産している経営体は一カ所しかなく、それが岩手県花巻市の石黒農場だ。

その石黒さんからメールが来たので、紹介をしたいと思う。まずは読んでいただきたい。この中に、今後の被災復興にむけた支援で重要な視点が二つあるのだ。

山本謙冶様

ご無沙汰しております。突然のメール申し訳御座いません。
岩手県のホロホロ鳥生産者 石黒農場です。

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私ども、人・ホロホロ鳥ともに無事です。

同じ岩手でも、沿岸の方々に比べると、ここは被災地とは呼べないです。ライフラインも整い、布団に寝れて、なによりも温かいご飯が食べれます。

柴田書店さんから、メールいただき、ブログ拝見いたしました。
岩手の現状と畜産業の現状を的確に捉えてくださりありがとうございます。

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やはり、なんと言っても、餌の問題は未だに解決されていません。知り合いの卵屋さんでも、餌が無く卵を産まなくなったので、半分殺処分をしている状態です。
豚でも、餌の手配は出来たものの、現物は届いていない状態です。
大手の養鶏場になると、事態はさらに深刻になっていると思います。

我が家は、米・雑穀・麦・糠等に取り組んでいたおかげで、なんとかなっております。

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一番ありがたいのが、農家さんからの、協力で、くず米や、糠等 かなりの量を分けていただきました。本当に感謝です。小さい農場なので、なんとかなっているのだと思います。

餌も、秋田経由で入ってくるのとの情報は、入っております。でも知人を頼ったら、周辺県の業者さんのところには、牛・豚・鳥用の餌が充分にあると聞きました。 燃料もあるそうです。こちらの苦況が伝わっていないのかもしれませんが、ぜひ動いてもらえると助かります。人の命が第一ですが、家畜も生き物。命を粗末にする事なく、被災している方々にも食べてもらえるかもしれない。
こんな、非常事態だからこそ、協力体制をつくらないといけませんね。

一昨日より、考え方をちょっと変えて動き出しております。
災害は起きてしまいました。いつまでも嘆いているわけにはいきません。
復興に向け、皆で歩き出さなければなりません。そうでなければ経済が衰退してしまいます。
中・長期的に考えをしなくてはいけません。ある程度、落ち着いた時に、恐ろしい事が、起きるような気がします。
業種によりますが、東北の経済が心配です。人が動かない、物が動かない、お金が動かない。

そこで、お金だけではなく、人と物を動かす仕組みを考えています。ある所で、試験的に始めた試みの、東北版を模索中です。

具体的には、
○岩手や宮城に来ていただく仕組み作りです。
1.レストランで東京(その他全国各地)からの予約を受け付ける。
2.コース料理として1名5000円とし
予約してくれる人は、料金を振り込んでいただく。
3.その費用で、レストランは地元の食材を中心に仕入れ、
被災者の人たちに無償で食べていただく。
4.予約してくれた方は、岩手に元の日常が戻ったら、おいでいただき、
2500円のランチコース料理を食べていただく。
このような仕組みつくりです。

○お世話になっている残間里江子さんが組織しているクラブウィルビー
にて、「産直・岩手・東北」を立ち上げて、買っていただき、その中の半分の品を被災地に、半分をご自分で取り寄せるような仕組みつくりをお願いしております。お金だけではなく、物を動かそうという考えです。

様々な組織が被災地に支援とぞくぞく行っておりますが、ただ見物して帰って来ているようところもあります。支援物資もかなり集まっています。ただ、どこのどの避難所で何が必要なのか整理できてないまま、闇雲に行くのは、無駄だと思っています。
非常事態なので、仕方ありません。皆さんのなんとかしたいという気持ちもわかりますし、私だって、行ってお手伝いしたいと思っています。

でも、1週間が過ぎました。ライフライン・物流も復活してきました。
次の事も考えないといけないと思っています。とにかく、全国的に飲食店はお客様がいなく悲鳴をあげていると聞きます。
予約はキャンセルだと聞きます。
この状態がいつまで続くのだろう。
プロ野球に象徴されるように、いつまでも、なんでも中止なんていうのは、
経済を悪くするだけだと思います。
そう考えると東北だけが被災者ではなく、日本全体が被災者なのかも。

ほぼ毎日、鳥の処理をしています。
売り先が全く無いので、全て冷凍しております。
早く、物流が復活してくれる事を願っています。
油も早く欲しいです。餌も早く欲しいです。

でも、こんな悩みが出来る事自体、自分は幸せだと思っております。
みんなで頑張らなくては。生かされた意味を感じながら・・・

なにかいい知恵はないでしょうか。お知恵をおかしください。

長々とすみません。

--------------------------------------
(有)石黒農場 石黒幸一郎

こんなメールだった。いままさにマスコミ報道も「過剰な自粛よりも経済の活性化を」ということで、あまりイベントなどを自粛しないようにということを言い始めているのでよいタイミングで問題意識をもったメールが来たと感じた。

いまだに孤立している被災地の支援を優先させなければならないし、その間はお祭り騒ぎなどしていられないというのも日本人として同感だ。しかし、沿岸部の被災地と内陸の近接地双方が直面しているのは、今後の復興に向けた動きは長期戦になるということだ。

つまり、我々のごとき支援できる立場にいる者は、いまだけではなくこれから長く支援できるように心づもりをしていかなければならないということなのだ。その形はいろいろな者が考えられる。被災地への義援金での支援だけではなく、しばらくいて事態が落ち着いてから岩手や宮城に足を運んで、ご飯を食べる。地元の企業にお金を落として帰ると言うことも立派な支援だ。そのための余力をぜひ残しておいて欲しいし、実際に足を運んで欲しい。

石黒さんが文中で述べていた支援の仕組みは、実現したら僕のブログでも紹介しようと思う。こうしたネットワーク作りの上手なひと、経験者がいたらぜひ手を挙げていただきたい。岩手の人たちを紹介します(便乗詐欺はやめてね)。

ということで、さらに被災地近隣の情報が入ったら速報していきます。

13:29

茨城の鹿島から、飼料が運ばれます! それと、東日本の稲作・畑作には予想外の影響があるかもしれないという、養豚農家・鹿熊さんからの連絡

いま、TBSラジオデイキャッチの収録(もちろん被災関連)をした直後に、茨城の鹿熊さんから連絡があった。そのメッセージは二点。

「ホロホロ鳥の石黒さんの記事読んだよ。いま、鹿島の飼料センターに青森・岩手・宮城からのトラックが着いてるそうだ。荷積みしてそっちへ向かうところだからもう少しガンバレ!って伝えてくれるかい?一ヶ月分以上の備蓄があるから何とかなるはずだ。こういうときは農業者同士、助け合わなきゃな。

それと、やまけんは稲作・畑作にはあまり影響なしと書いていたけど、そうでもないかもしれないよ。

茨城のうちの田圃が、地割れで用水が使いもんにならない。これから稲の種を蒔く時期だけども、その用水の手当が出来ないかもしれないし、いまから田おこしから初めて間に合うかどうかわからない。そうなると、米は一作分、出来なくなる。

茨城だけじゃなくて、岩手、宮城、福島、栃木、群馬、千葉もそういうところが結構あると思う。」

うーん、そうだったかぁ、、、これは本当に被害深刻だ。先日の「今後の見通し」エントリにも手を入れざるを得ない。

とりいそぎ以上、速報します。

14:40

2011年03月23日

ひろっきい生還! 秋田から被災地へ、きりたんぽはどのように運ばれたか。ひろっきいからの報告を伝えます。

とにかくよかった。ひろっきい、お疲れ様。下記に引用します。

東北関東大震災被災地への直接支援協力の
お願い連絡をさせていただいた皆様へ

こんにちは、伊藤裕樹(ひろっきい)です。
先日は急なご案内をさせていただき恐縮です。
また、直接支援へご賛同いただきご送金いただいた皆さま、
さらには、ご友人に私からのメールをご転送くださった皆さま、
本当にありがとうございました。
この場をお借りし、厚く御礼申し上げます。

以下、遅くなりましたが、先日に実施いたしました被災地への
直接支援活動の概略ご報告をさせていただきます。
内容としましては、本日までに現地向けに行った当方の活動の
途中報告となります。
ご送金いただいた皆様への、個々のご返信並びに会計報告は
これから進めさせていただきます点、ご了承ください。

今回の直接支援により、今すぐ必要としている方に、ご賛同
いただいた皆様の気持ちとともに1食分のきりたんぽを、
確実に届けることができたと感じています。
ご案内させていただいた皆さまに、改めて感謝させていただく
とともに、被災地の皆さまの復興をご期待申し上げます。

なお、ご送金の受付は、勝手ながら3月末までとさせて
いただきます。
今回の活動実費以上にご支援が寄せられた場合には、
次のような活動に向けさせていただくことを検討中です。
 ・被災地での聴覚障害や視覚障害をお持ちの方への
  食料品を中心とした物的支援
 ・被災地からの長期滞在避難者を受け入れている
  周辺自治体への食料品を中心とした物的支援
 ・その他、大槌町の行政機関を中心に相談、など

最後になりましたが、皆さまのご健勝をご祈念申し上げます。

---------------------------------------------------------
東北関東大震災被災地への直接支援活動の途中ご報告

 実施日:3月19日夕刻出発、21日未明帰宅
 訪問場所:岩手県大槌町周辺の避難場所(釜石市の北隣り)
       ・大槌高校 ・大槌町旧金沢小学校
       ・小槌地区運動公園内体育館
       ・大槌町学校給食センター
       ・大槌町渋梨かみよ稲穂館
       ・大槌町栗林公民館
       ・釜石市両石の民家
       ・釜石市両石の鵜住居の民家、など
 支援物資:きりたんぽ6,150食(4ヶ月常温保存可能)
      地鶏スープ6,150食(3ヶ月常温保存可能)
      おにぎり100個(家族で握ったもの)
      水400リットル(自宅の井戸水から採取)
      灯油300リットル、
      ガソリン60リットル、軽油100リットル
      薪ストーブ3台と煙突、ノコギリ
      紙皿5,000枚、汁物容器500個、割箸5,000膳
      サランラップ1,000m、食器用洗剤10本、
      手洗い用石鹸50個、生理用ナプキン5パック、
      子供用紙おむつ300枚、大人用紙おむつ300枚
 運搬方法:4tトラックで、3名で現地入り
 その他:20日(日)7:00に第1目的地の大槌高校へ訪問
     避難所責任者より、「行政指定の大規模避難所には、
     食料品を中心に支援物資が届き始めている。一方、
     指定されていない避難場所や自治会館、内陸部の
     避難者がいる場所には何も届いていない」との
     話を聞き、届け先地域を絞り込み
     実際、大槌高校には灯油80リットルのみを提供
     その後は、人が集まっているところに立ち寄り、
     目的を伝え、必要なものを聞き、提供できるものを
     荷降ろし、の繰り返し

以上、要点をご報告させていただきます。
直接津波が押し寄せた地域は、電気・水道・ガスはもちろん
復旧していません。
自衛隊や消防団を中心に、瓦礫とヘドロを道路脇によせ、
少しずつ、道路をつないでいる状況です。
三陸という地形のため、ひと山越えた隣の地域にも、
徒歩でしか行けない状況はまだまだ続いています。
多くの人が徒歩で、身内の安否確認をしています。
帰路に、津波で全て流されたが裏山によじ登り無事だった
男性を乗せ移動しました。
途中、彼の自宅があった場所を通過しましたが、他から
流されてきた瓦礫や車などが折り重なっていました。

以上


伊藤裕樹(ひろっきい)

12:14

2011年03月25日

陸前高田の自根キュウリ農家・小泉忠治さんはご無事だったようだ!ほっと一安心、、、しておくか。陸高は自根キュウリの貴重な産地なのだ。なんとか、復興を祈りたい。自根キュウリのポリポリ感たるや、、、

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昨年6月に、家の光協会の「やさい畑」の連載のため、陸前高田にキュウリの取材にうかがった。そのときの篤農家さんが、この小泉忠治夫妻だ。今回、その安否を気にしていたのだが、避難所の名簿にお名前を発見し、ほっと一安心をしているところだ。奥様のお名前をうかがっていないので、ご夫婦とも無事なのか、それとも同姓同名の人がいるのかも、と考えるとぬか喜びは出来ないのだけども、おそらく無事だろう、と思うことにする。

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自根キュウリ、というとなんのことかわからない人もいるだろう。「自根」とは読んで字のごとく「自分の根」ということ。つまり接ぎ木をしていないキュウリのことだ。

キュウリはそれほど病気に強い作物ではない。自根で育てようとすると様々な病害にやられてしまい、長いこと収穫が出来なかったり収量が落ちたりする。そこで、この国でキュウリを営利栽培する場合、98%程度(←僕の目分量ですが)はカボチャの仲間の台木に接ぎ木をする。カボチャは、育てたことがある人ならご存じの通り生命力が旺盛で、キュウリが弱い病気にも比較的耐性があるのだ。これにより、3ヶ月~5ヶ月以上の長期どりが出来るようになった。

しかし、いいことずくめではない。接ぎ木栽培をすると、カボチャ台木の特性によりキュウリの性質に違いが出てくる。例えばカボチャの性質を受け継いでか、皮がちょっと厚く堅くなる。ブルームと呼ばれる白い粉をふく品種が最近みられないが、これも台木の性質によるところが多い。

そして最大の違いは食感である。おそらく昭和の終わり頃以降に産まれた若い世代は台木キュウリしか知らないはずなのでわかりようもないのだが、接ぎ木キュウリと自根キュウリでは、ポリポリ感が全く違うのである!自根キュウリはポリリン、ポリリンと歯に絶妙な心地よさをもたらす食感があるのだ!これにはいろんな説があるのだけども、キュウリが根茎から吸い込む肥料成分と、カボチャ台木が吸うそれに違いがあるから、と言われている。

さて、そんな自根キュウリだけれども、市場ではそんな「食感が素晴らしくて」ということは、ほとんど評価されない。結局は「そこそこの品質で、安定して出荷できるもの」に評価が集まるのだ。病気に弱く収量があがらない自根キュウリはどんどん接ぎ木に置き換わっていった。

、、、しかし、陸前高田ではそんなことはなかった!のだ。

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陸前高田ではまだ数十人の農家さんが自根キュウリを作って、いた。しかも行ってみて驚いたのだが、ハウスではなく露地栽培が多いのだ。キュウリの露地栽培では、雨の跳ね返りなどからウイルスが媒介される病気が怖い。だから、自根キュウリはハウス栽培で行っていると思っていたから驚いた。

「この辺じゃこれが普通だねぇ」

とおっしゃられたが、ごらんの通り丁寧にうねの間に敷きワラをしている。びっしりと、土が見えないほどに。この敷き方にも実に芸術性を感じたものだ。

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忠治さんと、右にいるのは八木澤商店の河野社長だ。もちろん、お友達。

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キュウリの品種は色々使ってきたそうだが、このときメイン品種だったのは「大望」。

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この立派な自根キュウリを育てるための肥培管理などの詳細は、昨年の「やさい畑」秋号に掲載しているので、関心のある方は取り寄せしていただきたい。

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この皮の薄さをみよ!この皮と果肉の食感バランスこそが、自根キュウリ最大の特性なのだ。

この自根キュウリを使った料理が、こんなにも並んだ。

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中でも僕が感動したのがこれ。

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キュウリとサバ缶の煮物だ!

「キュウリとサバ缶?なにその取り合わせ!?」と驚く人もいるだろう。 もちろん僕も驚いた(笑)

実はこの地方では、サバの水煮缶はむちゃくちゃポピュラー。三陸の海の幸でもあるし、地元の魚を缶詰にしているようなものだ。だから、郷土料理のひっつみ汁にもサバ缶を汁ごと入れたのを味のベースにしたりする。で、この料理はキュウリとサバ缶を甘辛く煮たものだ。

キュウリは、あたりまえのことだけどウリ科の野菜だ。瓜は、軟らかく煮て食べても美味しい。すなわちキュウリも煮て美味しく食べることが出来る。この煮物は、いったん自根キュウリをブツに切ったものを湯でこぼし、ある程度やわらかくなったのをサバ缶と共に油で炒め、その後、醤油やみりん等でとろとろになるまで煮たものだ。案外長い時間煮ないと、とろとろにはならない。これを冷まして食べるのが、実に最高なのである!実はこの日、どんぶり一杯食べてしまい、おかわりも所望してしまった。

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この小泉家の家も畑も失われたのか、気になるところだけれども、避難されているのだからおそらくそうとうのダメージがあったのだろう。小泉さんに連絡する手段がないのだけれども、僕はあの自根キュウリの誇らしげにぶら下がる圃場を一生忘れません。

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日本にはまだ、農の匠が存在している。でも、いついなくなるかわからない。その思いをずっともって取材をしてきたけれども、いよいよその危機感が強くなってきた。果たして陸高の自根キュウリの、あのポリリン、ポリリンという食感とまた巡り会える日は来るのだろうか。来ると信じたい。

17:20

2011年03月27日

東北のレストラン関係者の現況 石黒農場のその後とロレオール、被災地への炊き出し隊が頑張っている。

数日前にホロホロ鳥の石黒農場のレポートを掲載したが、石黒さんからその後の状況の連絡がきた。

山本謙治様

その後、御連絡しないで申し訳ございません。日々動き、もがいています。
ブログありがとうございます。反響あります。

飼料の件は、未だに入荷しておりませんが、なんとかなっております。やっぱり、小規模農場は弱いですね。

物流も未だにクール便の再開は、県内メドが立っていない状況なので、我慢できずに、本日、山形まで走り、震災後初めての出荷してきます。山形からなら、クール便扱ってくれるとの事なので。

皆さんから、あたたかいメールや電話いただいております。本当に恵まれた農場だと思います。
今から行くとか、餌送ったとか、必要な物送るとか数え切れない励ましいただいております。

注文も100店以上から予約が入っております。

岩手に来るレストランプランは、お堅い人に相談したら、止まってしまいました。平等性に欠けるとかで・・・
でも、ちょっと違った方向で進行中です。

それならば、独自でと思い、ロレオールの伊藤さんに話を持ちかけ、こちらはもうすぐ動きそうです。スピードが大事だと思う。

山形の奥田さんが、炊き出しキャラバンをしていて、月曜日から岩手入りするとの事、 ホロホロ鳥も使っていただけるようお願いしました。ラ・毛利さんも、熱い方なので、岩手に来ると言っておりましたが、奥田さんとスケジュールが合わず、次回持ち越しとなりました。

石黒農場では、ホロホロ鳥を使ってくれているレストランに、ホロホロ鳥を安く買ってもらい、その分を「美味しいものを食べる為の義援金」として、 プールしてもらい、第1弾として3ヵ月後をメドに被災者を招待し、各地からシェフに集まってもらい、料理してもらう会を企画しました。本日、商品と一緒に送ります。細かい事は、全くきまっていませんが、自分にプレッシャーをかけています。

岩手ツアーは、旅行業界のほうで動き出してくれています。その方のメールの一部。

「現地が落ち着いたら、行ってあげること、また その復興振りをみんなにつたえることが私たち業界につとめる人間の役目だと思います。」

ありがたいです。

今日は、久しぶりの売り上げです。正直、うれしいです。

石黒幸一郎

うーん 最後の「久しぶりの売り上げです」を読んで、グッと来てしまった。被災している人にも、家がない人もいれば、家も仕事もあり、食っていかなければならない人もいる。その人達をせめて、東日本に住む人たちで支えていかなければ、と思ってしまった。

さて石黒さんのメール文中に出てくるロレオールの伊藤さんからも熱きメールがきた。

山本謙治 様

無事でした!
震災後にメールを長々と書きましたが、ねぼけ眼で作業していたため、送信寸前に消去してしまいました。
その後、沿岸に炊き出しに行き、その光景をまのあたりにしてから・・・あまりにも・・・・・
何をどう伝えてよいかわからず・・・・・メールできず、遅くなりました。
現地の状況はというと、私の文章力では表現するにはむずかしく
軽はずみな表現になるといけないので、控えさせていただきます。

当店は内陸部にあるため、揺れだけですみ、グラス類、皿、一部備品とうの破損と建物は多少のヒビ、冷暖房の水漏れ程度でした。
大変な地震でしたが、おかげさまで当店スタッフまた皆の家族とも無事でした。
ライフラインも3日程度で復旧しましたのですぐ営業の準備はできました。
しかし、ガソリンと震災の影響で道路状況の悪化と流通が麻痺しているので仕方ありませんが、お客様が動きません。なんといっても精神的なダメージが大きいようです。

仕入の方はほとんど地場のものしか使わないので野菜は問題ありません、ただ、肉は県内の流通でもクール便が動かないとだめです。岩手は広すぎます・・・
魚は残念ながら壊滅的です、海に魚はいますが獲る手立てがありません。しかし、被災した沿岸ではもう動き出している人たちもいます。家も船もながされても・・・・・

炊き出しは、これくらいなら自分もできると思いスタッフに言ったところすぐにいきましょうということで・・・
店の体制は整いましたがお客様が動けないので、今までお世話になった方々へのせめてもの恩返しです。
私も県水産関係や工業技術センターの関係でいろいろと関わってきたので出来る限りの事はしたいと思います。これからしばらく炊き出しは続けようと思います。

先週、今週は気仙沼、志津川、歌津、石巻に行ってきました。避難所ではこども達が本当によく働いています。
よくよく、こども達をみると体を動かして何かを紛らわせているようなところも感じます。ほんの少しだけ垣間見せるその姿をみると胸が締め付けられます。これからが避難所生活もストレスがたまり大変になると思います。

今は庄内アルケッチャーノの奥田君と一緒にいろいろまわっています。われわれシェフ連合も長期的なスパンで考えています。
炊き出しのための食材提供をしてくれるメーカーさん、生産者さんが増えてきています。

そして東京あたりからも炊き出しに同行させてほしいと言ってくれるシェフの方々がいること。とても心強くおもいます。
ただ、永いお付き合いをお願いしたいので、現場をよくみていただき、復興していくなかから生まれてくる生産物を少しでも買って使っていただけるようにお願いしていきたいと思います。

先日は辻口シェフもわざわざ来てくれました、しかも3t車にラスクを満載して2万5千個も。多忙なスケヂュールをぬって夜通し車をはしらせて・・・ありがたいです。来週は大船渡・小石浜と釜石のまだライフラインがなにひとつ復旧していない小学校でやってきます。

今回の震災による影響と原発の追い討ちで日本の経済も変わるのでしょうね。
食に関してもスローフード、地産地消という言葉もだいぶ聞きなれ、飽食の時代からの転換期にきたのではと思っていました。
食に関わるすべてのこと、様々な問題を整理し本当の意味でお互いを思いやる仕組みに少しづつでもいいから変わっていくことを切に願っています。まさにやまけんさんの言うエシカルで。

これから復興にむけて歩みはじめますが、岩手あるいは東北の食を発信しつづけていこうと思います。三陸沿岸は地形的に交通網もよくないですが、来県していただいて食事をしてもらい買い物をしていただくのが一番のことだと思います。やまけんさんも東北のものを買う機会がありましたら、なにかひとつでもいいですから上乗せして買ってくださいね!

われわれも単なる支援ではなく一緒に歩んでいけたらと思います。先日、石黒君と別件で連絡をとりました。すぐに取組みをはじめましたので、それについては、また報告します。多忙な毎日をお過ごしと思いますが、どうかご自愛ください。

ロレオール 伊藤

炊き出し隊が頑張っている状況はテレビなどでも観ていたが、東北部のシェフ達(東京も)がどんどん向かっているようだ。現地に入っていない我々は、せめて伊藤さんが書いておられるように「東北のものを買う機会があれば、上乗せして買う」を実行したいと思う。

ご両人、状況に負けず頑張ってください!こちらでやれることがあったらすぐに連絡を。

13:19

2011年03月30日

宮崎にいます。いろいろ考え、いろいろな声が入ってくる。

だんべうどん編の途中だけど、宮崎入りしています。

宮崎というか九州に来ると、もう本当に震災の話は遠く離れた物事というような空気だけれども、それはそうだ。宮崎は昨年4月以降、口蹄疫と鳥インフルと新燃岳の噴火という、トリプル被災に遭ってきた。宮日新聞の朝刊を開くと、一面トップは原発関連、その横に家畜伝染病予防法(家伝法)の改正案が衆院で通ったことが掲載されている。

今回の家伝法の改正では、口蹄疫の患畜を早期発見するための措置と、全額補償の基準、生産者に対して埋却予定地をあらかじめ確保しておくこと、それに加えて都道府県の自治体レベルでも準備をすること等が盛り込まれた。これは宮崎県の戦いの中から導き出された尊い教訓に沿ったものと言える。口蹄疫はまだどこで発生するかわからないし、その可能性は大いにあり得る。宮崎ケースを風化させず、語り継いで全国の畜産農家が備えをする必要がある。

そして宮崎県内で多発していた鳥インフルは一応の落ち着きを見せたようだ。新燃岳は依然として活動が活発で、中の見開き面を使って灰の処理法などのQ&Aが掲載されていた。灰は重いので、大きなビニール袋にたくさん入れてしまうと破れてしまうので注意、など。

宮崎県は昨年からずーっと災害に見舞われてきた。しばらくは彼らを安寧が包むことを祈りたい。しかし、昨日午後に京屋酒造の渡邉社長と久方ぶりにお会いしたら、「こんな宮崎でも、震災ショックが来ています。福岡で飲食店がふるわず、昨対比40%減だそうですよ!」とのこと。

西日本はぜひ、被災地を暖かく見守りながらも、活発な経済活動を営んでいただきたいと切に思う。

さて、ホロホロ鳥の石黒さんより、「餌が届きました。これで大丈夫」との連絡あり。ラ・毛利の毛利シェフはいま、食料満載の車で岩手入りし、被災地で炊き出しをしているそうだ。彼の大学は大船渡にあった水産学部だったのだ!

実は先日、飼料の配送を行う会社から連絡があって「餌はあるんだけど、何十トン運んでもすぐにはけちゃう。つまりまだ供給が足りてない!」とのこと。今回の餌不足、じつは原料穀物の在庫は各地に十分にあったそうだ。しかし不況のさなか、どの飼料会社も生産自体をぎりぎりまで効率化するために少ない人員で回すため、増産体制が直ちにはとれなかったとのこと。なおかつ物流上の問題としても、最低限のルートを最低限のトラックで運ぶ体制になっているため、いざ東北へと言っても、余分に回すためのロジスティクスがとれなかったのではないか、という話だった。

経済から冗長性が無くなると、不測の事態の際の被害が大きくなるということである。日本が今後立ち向かっていかなければならないことが、あまりに山積しているようにみえてきた。

では、日南の産地へ行って参ります。

09:49

2011年04月06日

復興の先達・宮崎の農家たちの苦闘に学ぶことがあるかもしれない。 新燃岳を間近にのぞむ四位農園のホウレンソウは元気に育っている!

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3.11以降、すっかり東北および東日本の震災・原発関連に目が集まっているけれども、昨年度中にトリプル被害(口蹄疫・鳥インフル・新燃噴火)を被った宮崎県の苦闘はいまも続いている。こういう状況は「忘れないこと」が重要だ。それに、中身は違えども被災したということで、何かしら学ぶことがあるはずだ。

2月後半、新燃岳の噴火後それほど経たないうちに、小林市に拠点をおく四位農園を訪れた。四位と書いて「しい」と読む。実はここ、県の関係者が「ホントはここは宮崎の秘密の四番打者という位置づけの、超優良法人なんです」という農業生産法人だ。

最初に訪れたとき、社長の息子さんが対応してくれたのだが、そのときにほ場に植えられたホウレンソウの味にびっくりした。市販されている市場流通品よりも食味がよい。実はここが、表にはあまり出てこない農業法人なのには理由があって、小売向けの市場流通品は一切出していない。生産のほとんどが外食などに向けた加工用品なのだ。従って市場流通規格は関係なく、ホウレンソウを歩留まりMaxになるまで大きく育て、独自の洗浄・茹で・冷凍処理をして出荷している。出荷先企業は名を聞けば「おおおっ」というようなところばかりだ。

ホウレンソウの味がよいのは、市場規格を二回りほど上回る大きさに仕立てているから。ホウレンソウは大きければ大きいほど旨いのに、市場の規格はぜんぜん味が乗らない、未熟な状態で出荷している。ここのは業務用だからそこにこだわる必要がないわけだ。これが家庭用に出回ればいいのに、と思ってしまった。

さてこの四位農園が、新燃岳の降灰に立ち向かっているということで、無理を言って40分だけおつきあいをいただいた。

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初めてお会いした四位社長は、実にタフな人という印象だった。

「山本さんね、降灰した畑が大変なことになってるって思うでしょ?それは逆です。作物はもっと強い!」

あたりが一面灰色になるような降灰状況を写真で見ている僕らからすれば「大変だったでしょう」と声をかけたのに呼応しての一言だ。

「きっとね、そういう『思いすぎ』の部分が風評被害を生むんじゃないかと思うんですよ。僕らは降灰に直面して、いったんは畑を放棄しようかとも検討しましたが、いろんな手を打っているうちに状況は好転していきました。」

まず、ホウレンソウの洗浄ラインを一から見直し、灰を振るい落とす風力選別ともいうべき行程を追加。その後に通常より厳重な洗浄ラインを敷き、これまで以上に徹底した衛生管理体制を作って製造をしているとのこと。

もともとこの四位農園はものすごく高いレベルの品質管理で定評がある。出荷前の自前のサンプル検査は専用の検査室を持っているほどで、農業生産法人というよりも製造業といえる内実である。

「まあ今日ゆでたてのホウレンソウを食べて見てくださいよ。」

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冷凍前の茹でホウレンソウをいただいてみる。口に残るようなシュウ酸は全くなし。硝酸をほどよく使い切り、ホウレンソウの葉茎の味に転嫁された佳い味わいだ。

「しかもね、降灰後の畑地に新しく播種をしたら、ちゃんと発芽して育ってくれてるんですよ!帰りがてら観に行きましょう」

と車に乗る。

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ごらんのとおり右に新燃岳がみえるような距離感だ。

一見すると砂利道のように見えるかもしれないが、これはれっきとした舗装道で、そこに灰が積もってこんな風になっていた(この写真は2月後半時点なので、いまはもっと状態がいいと思う)。

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あれが新燃岳だよ、と指さす方向の雲の奥に、新燃岳があるわけだ。これは風向きによってモロに直撃する位置である。

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しかし、そのほ場にあるホウレンソウはしっかり元気に育っていた。

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少し灰をかぶっているような状況ではあるが、それでも植物体はぴんぴんしていた。

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灰はpHが4~5と酸性に傾く恐れがあったのだけれども、それほど影響は出ていないそうだ。四位農園では化成肥料に頼らず、有機質肥料を中心に施して地力を上げる農業をしてきたからだろうか。

「pH調整なんて簡単だし、そんなに騒ぐもんじゃないよ。むしろ僕は、この広域への降灰で大気が酸性化することによって、病害の原因になる菌や虫の発生が抑えられるんじゃないかって思うよ。」

おおっ そんな見方をする人は初めてだ!たしかに、もしかすると病害予防には少し酸性の方がよいかもしれない(そんな単純な話ではないかもしれんが)。

「とにかく、余計に心配しすぎるのも風評被害ですよ。自然に沿った形で対処していけば、作物は応えてくれる。うちのホウレンソウは元気です。」

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そう自信を持って言い切ってくれた四位社長に感謝。

いま、東北の被災地の生産者たちは、風評被害なども含め大変な危機に直面している。これを単純に「大丈夫さ,がんばって」などとは声をかけることはできない。けれども先に困難に直面した人たちがこうして再起を賭している姿を見ることは、無駄ではないはずだ。

宮崎の生産者はがんばっている。その力の余波が東北にも届くことを祈っている。四位社長様、忙しいところ、ホントにありがとうございました!

14:24

2011年04月10日

陸前高田・大船渡方面では、日常的に炊き出しをしている料理人さんへの物的・金銭的支援と、食材の支援が必要だ

※11日現在、まだ宅配が復旧していないため、大船渡ポルコロッソへの発送はとりあえずお控えください。

これからとある農地にむけて外出で詳しく書いている余裕がないので、事実のみたんたんと。

陸高の現況ですが、友人の医師であるみづえ様より。一昨日まで現地入りしていた知り合いの医師の方がこう言っているそうです。又聞きで申し訳ないが、伝えることが重要だと思うので引用。

「今避難所での一番の健康リスクは食事。
おにぎりとパンばかり届くので3食それのみで1ヶ月。
感染症や老人の褥瘡も増えている。
タンパクとビタミン不足が顕著。
市や県は国にお弁当の支給をお願いして待っているが何も進展なし。
むしろ、県内の産業復興のためにも、ロジを民間にアウトソースし、
県内の野菜や食材をうまく集めて民間仕出し会社に食事を作らせ、
せめて夕食のみでいいので、バランスのとれた食事を配れないだろうか。
自衛隊とボランティアの炊き出しのみでは限界。
どこかロジの強い機動力のあるNPOなどないでしょうか。」

つまり食生活が戻りつつある地域とは違ってまだ単調な食事が続いており、栄養面での心配がみ
られるということです。私個人の心配としては、おそらくミネラル類、野菜類の不足が問題なのだと思います。
どうしても送られる食品には日持ちや配送のしやすさから、生鮮でないものが多いのでしょう。緑黄色野菜が不足しているのではないかと推察します。

また、もう一つの問題が、物資だけではなく炊き出しを日常的にしている現地の料理人さんへの金銭的支援。先日、Twitterでつぶやいた大船渡のポルコロッソや前沢のロレオール伊藤シェフは、各地から届く物資だけでは足りず持ち出しが多くなっており、人件費も一線も出ないので、じり貧です。こうした人たちに少しでも現金が届くと、炊き出しの持続が可能になるでしょう。

そこで、食い倒れ日記としてはやはり食べ物を何とかしている人への助けになるようなことをしたい。来週現地で自治体とも協議しますが、こうした店への義援金および物資提供を募りたいと思います。

それまでの間の時間も貴重なので、いま送るモノがあるという方は是非下記のブログなどみてこの二店にむけ、何かご協力いただけると助かります。やまけん紹介と言えばつながりますし、対応いただけるのであればこちらからも伝えます。


①大船渡 ポルコロッソ(イタリアン) 山崎シェフ
http://ameblo.jp/porcorosso-blog/
大船渡と陸高の間くらいにある店で津波は免れました。日常的に炊き出ししています。

配送先:
〒022-0003 岩手県大船渡市盛町字下舘下18?1(0192-26-4478)大船渡市民文化会館気付け
山崎純様

※まだ宅配が届く状態ではないようです。局留め・支所止めになってしまうようなので、情報を整理してもう一回掲示しますので、ポルコロッソへの発送はお待ちください。

「野菜、肉、米、味噌、しょうゆ、塩とかの調味料も不足気味です。是非ご支援お願いいたします。」

とのこと。

②前沢 ロレオール 伊藤シェフ
下記ご覧ください。
http://laureole7.com/

とりいそぎアップ。

06:20

2011年04月11日

【重要] 岩手県沿岸部の物資支援の窓口について 県職員さん側で調整中。

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Twitter等でお知らせしている通り、毎日に近い頻度で炊きだしに取り組んでいる、被災地近隣の料理人さんたちが居る。この人たちは、基本的な食材や燃料等は配給になっているものを使えるようだけども、調味料やこまごまとした素材は自分の店の倉庫から持ち出している。

また、当然ながら炊き出し活動に対する金銭的な援助・日当が払われるということも現時点ではないため、長期にわたる活動をすることは彼らが経営的に潰れるということに直結する。

このため、食材等物資と、金銭的な手当を支援することが必要と考える。プロの炊きだしは有用であり栄養の適正配分にもつながると思うからだ。

僕がいま把握してコミュニケートできるのが、既出の前沢「ロレオール」の伊藤シェフと、大船渡「ポルコロッソ」の山崎シェフだ。山崎シェフは実はまだ会ったことがないけれども、ヨシヒコ氏を通じて面識に近いものあり。この二名以外にも、現地で頑張る人が居ると思うので、13日夜に県庁の面々と情報交換をしてこようと思う。

で、この方々に物資・支援金が配分されるようになんとか仕組みを作りたい。すでに小学館の「美味サライ」編集部が、つきあいのある食品メーカーさんらから、被災地むけに物資提供できるものを、編集部が調整をして届けるという取り組みを始めた。そこに、ロレオールもリストしてもらっている。

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問題はポルコロッソで、大船渡のいちばんインフラがやられた地域にあるため、現地まで届けることができないという。シェフより「ヤマト便ならくるかも!」という連絡を間接的にもらっているが、不確定な状況だとせっかく送った物資が届かないこともあるだろう。実際、愛媛の勝手に松山ミシュランガイドのイケちゃんが送ってくれようとした物資は、うまく届けられない状況だったそうだ。

そこで、この辺は岩手県の職員さんに調整役に入ってもらおうと思う。県職員は公務として被災地へ毎日のように巡回しているので、その車荷台に積めて、適切な場所に落としてもらうことができるはずだからだ。「公務員かよ~」というなかれ。僕のブログに登場してきた、ココロ熱き岩手の面々だから信頼できます。ていうか、俺の識ってる県庁職員はほとんどが燃えている。正直、この燃え方で県の行く末を背負ってると、いずれ倒れるんじゃないかと心配するくらいです。

ということで、岩手県向け物資配送の関連については、おそらく今夜中には確定してアップできると思うので、もう少しお待ちください。

とりいそぎアップ。

17:08

岩手県への支援物資の受付先を調整しました。 Save IwateのWebをみて、個別に連絡していただくことになります。詳細は本文みてください。

はい、決まりました。岩手県職員の方々との協議の結果、食料などの物資を送っていただける方は、下記Webにアクセスし、下記に記す手順でご連絡をください。

WS000001

■SAVE IWATE
http://sviwate.wordpress.com/

  1. SAVE IWATEは3月13日に発足した、被災地の支援を専門に行う民間団体です。現在、各避難所と連絡を取り合いながら必要な物資を聞き取り、集まった物資から各地向けに小分けし、週2~3回の頻度で各被災地へデリバリーをしています。今回のはなしは県職員が個々に対応する範囲を超えてしまう可能性が大きいため、この団体に物資提供の窓口をお願いすることになりました。
  2. 物資をいきなり送るのではなく、まずはこのページの左側カテゴリのトップにある「支援物資について」をご覧ください。その時々に避難所から寄せられた「これが必要」「これはもう十分」という情報が掲載されています。ここで必要とされているものをお送りいただければと思います。物資はいろんなところから寄せられているため、現状では足りているものがたくさん来すぎると、倉庫スペースが足りなくなったりとデメリットもあります。「必要とされているモノを送る」という発想でお願いいたします。
  3. 連絡方法は、SAVE IWATEトップページにある問い合わせメルアドあてに、「◎◎をどれくらい送ることができるのですが」というような形で、提供できる具体的な品物について記述し、メールしてください。重要なのは数量です。現在使える倉庫スペースがそれほど大きくない(10坪程度の倉庫、テント数基、自衛隊等と共用の倉庫)ため、例えばいきなり大量の生鮮野菜など送られても無駄になる可能性あり。1トンのニンジンを一度に送るよりも30kgのニンジンを20回小分けにして送るほうが喜ばれるようです。
  4. 各地から来たメールの中身をリストし、SAVE IWATEメンバーが各被災地からあがってきた要望に合うメールに対して優先的に返信をし、具体的な発送の相談をします。従って、返信は必ず来るともいえないし、数日後や数週間後に来るかもしれません。少ない人数で処理しなければならないため、これはご容赦を。 くれぐれも勝手に送らないでくださいね。
  5. ちなみに、現況では冷蔵・冷凍の設備がありません!従って、低温度帯で運ぶ必要のあるものは、ちょっと無理かもしれません。

ということになります。ポルコロッソ山崎シェフとの連絡はかなりの頻度で行っているので、細かな対応ができると思います。ちなみにこの団体の事務局長の加藤さんは、私を岩手に導いた佐藤ヨシヒコ氏とは20年来の仲だそうです。さきほど話をして、しっかり信頼できると判断いたしました。

なお、支援物資の項をみてもらえれば現時点で必要なものはリスとされていると思いますが、当面欠乏しているというものについて書いておきます。

  • 女性用の下着。L~LLサイズの大きいモノで、ローライズじゃなくて深いモノ、つまり御年輩の婦人用下着が足りないようです。おしゃれなモノじゃなくて実用本位のもの。
  • 靴や長靴など、履き物。

ちなみに、個人的なささやかな量でも大歓迎とのこと。息長く支援していくためにも、被災地で必要とする情報がこういう窓口で採れる状況はありがたいですね。

なお、前沢のロレオールさんへの食材提供については、この限りではありません。前沢は流通も崩壊していないので、提供できる食材がある場合はロレオールに直接連絡をしていただければと思います。ただし、炊き出しに頻繁に出かけたり、営業もしているので、迷惑にならぬようFAXなどのほうが佳いかもしれません。また、レスがなくても待っていてくださいね。

これら物資の受け付けとは別に、炊き出し隊に向けた金銭的支援については、明日以降現地でよい方法を模索してまとめてきます。

以上、明日のパッキングに時間がかかって書くのが遅くなりました。ゴメンナサイ!

22:26

2011年04月14日

炊き出二日目ダイジェスト。

一日目が終わってないけどごめん。炊き出し二日目、ほとんど寝ていないであろうロレオールとオーボンヴュータンのスタッフとともに陸高へ向かう。

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一日目と同じ避難所にて朝食を作る。

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なんと深夜のうちにアル・ケッチァーノの奥田さんが「俺も行くよ」と車で駆けつけ、スープ作りを手伝ってくれる。ロレオール伊藤シェフと奥田さんの関係は、はためからすると兄弟みたいだ。

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オーボンヴュータン軍団の統率力もすごい!やっぱり有事下では、徒弟制の方がスピード感ある仕事ができるということだろう。カップに入れているのはフルーツポンチ?スミマセン名前がわかりませんが、避難生活中はあまり食べられないであろう色とりどりのフルーツだ。

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下は、旨そうなコンフィチュールを皿盛りするところ。

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この日の主菜はほうれん草入りオムレツ、カレースープ、オーボンヴュータンのパンとコンフィチュール、そして果物、カフェオレだ。

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ロレオールスタッフのセキちゃんとオーボンヴュータンの若衆と僕は、もう一つの避難所に焼き上がったオムレツなどを運搬し、配膳。無我夢中にやってる内に終了。その間はもちろん写真は撮れず。朝ご飯は避難所の全員が食べられるのではなく、55名分セットした。

そして、夕飯と朝食という二回分の炊き出し終了!

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ロレオールとオーボンヴュータンのスタッフ皆さんお疲れ様でした!

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オーボンヴュータン河田シェフ一行はここから直接東京へ戻る。

「おそらく明日も営業なんだろうなぁ、、、」とセキちゃんつぶやく。って、君んとこもじゃないか(笑)

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避難所は高台にあるので、見下ろすと津波被害にあった地域が明瞭に見渡せる。

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ほんとうに1メートルの高度差が明暗を分けているのがよくわかる。すべて、なぎ倒されている。

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出発前、しんのすけから「おまえは、そこに住んでいた人の記憶を踏みにじるような悲惨な写真ばかり撮って来ちゃだめだぞ。」と言われてきた。全くその通りと思うのであまりそういう部分は掲載したくないが、現況はこんな感じだということで一枚。

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かつでそこに住んでいたであろう人たちが、住居跡に佇んでいるのをそこここにみかける。車中、みんな重い気持ちになる。

帰途、伊藤シェフ&奥田シェフともに爆睡。お疲れ様でした。ホロホロ鳥の石黒さんも結局二日目まで残って僕たちを運搬してくれた。ホントにお世話様でした!

07:17

炊き出しボランティアなどしたい人へ。

ちょうど、旧知の料理人より「岩手の大船渡と気仙は魚で世話になったので、とにかく観に行きたい、料理人にも会いたい」という連絡があった。同様の要望を持つ人もいると思うので、僕なりに理解と咀嚼をした形で書いておきたい。

陸路で車で来るのが基本となるが、飛行機は飛ぶ。大阪(伊丹)・札幌は定期便があり、東京からも羽田~いわて花巻空港の臨時便がある。ただしこの臨時便チケットをとるのは一苦労。5日前くらいになってようやく飛ぶか飛ばないかがJALのWebに掲示されるので30分ごとに観るようにしてとった。すごい勢いで売り切れちゃうのだ。

ただし、花巻空港はかなり内陸にあるので、そこからの陸路をどうするか考えないといけない。僕は岩手に友人がたくさんいるし、県のアドバイザー的な仕事もしているので、公務として運んでくれる人がけっこういる。けど、そういうんじゃなければ、やっぱりレンタカーだとかを借りて基本は自分の足で動くというのがベースになるだろう。レンタカーの台数もかなり逼迫してるようだけど、借りられないことはない。ガソリンもそろそろ供給が戻ってる。

花巻から被災地までは結構な距離。今回は花巻~前沢のロレオールに1時間かけて入り、仕込みをしてから出発、2時間かけて陸前高田に着いた。これくらいの時間はかかる。

炊き出しボランティアをどこが必要としているか、という情報は、現地のコーディネータ的存在を知っていないければ伝わってこないのでなかなか難しいとも思う。多くの避難所で、交代制で料理を作ったりという体制ができつつあるので、勝手に押しかけても迷惑になってしまうこともある。必要とされているところに日時を決めて行くというのがよい。

ボランティアは「足りてる」「足りてない」などいろんなレベルの情報が飛び交っているが、基本的には足りてない。長期間にわたり、被災者と人間関係を築きながら働ける立場の人が少ないからだ。だからなんにせよ歓迎はされるとおもう。

炊き出しは材料・火力・水など自前調達できることが望ましいが、避難所によってはプロパンガス数口と、わりと潤沢に積み上がった野菜や卵の段ボール箱があることも。なのでやはり、事前のコーディネータ的存在とやりとりをし、現地情報を得た上で企画することが重要。

とりいそぎアップします。

23:02

2011年04月15日

岩手県沿岸部の被災地で求められているモノ 「持ち運べるGPSが欲しい!」 点在する食事の配達などで、地理感のないボランティアでも即戦力になるからだ!

※ブログ掲載後すぐにある企業と調整に入りましたので、一時受付を休止します。必要であれば再度掲示します。ご連絡くださった皆様、ありがとうございました。

具体的な要望があがってきたので書いておく。大船渡沿岸部の被災地で炊き出しをしているポルコロッソ山崎シェフを紹介したが、彼のところはその規模を活かしてたくさんの食数を調理し炊き出しを行っている。それも単純に一括で調理してということではなく、避難所のニーズを聞いて各所に合った食事内容を作り分けているという。

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※朝日新聞さんゴメン 無断掲載お許しください

避難者は一カ所にまとまっているわけではない。家が残っている人たちは基本的に避難所ではなく家に住んでいることが多い。そこへ炊き出しを配送してあげなければならないケースも生じるわけだが、配送する人が場所を知らないで右往左往するという事態が多発しているそうだ。

その土地の地理に精通している人ほど上に立って指示しなければならない役割の人であり、彼らが配達に時間をとられるのは避けたい。そうなると、ボラで入っている人(地理は全くわからず)でも配達業務ができるようにするには、詳細なマップ機能のついたGPSが必要になるわけだ。彼の文書から抜粋。

  • 炊出し品を現地の避難所に配送すティアスタッフは、多くが市外や県外から参集しており、受持ち地域の地理に詳しくない。
  • また、ボランティアの入れ替わりがあり、新しく来た人にはその都度住宅地図等を配布し場所を説明しなければならず、業務量の多いコアースタッフには負担となっている。
  • 会の運営資金は、すべて寄付金等でまかない、そのほとんどは食材調達や配送用ガソリン購入に充てられているため、新規にGPS機器を購入することは困難である。

すでにヨシヒコさんは持ち歩けるカーナビであるガーミンに被災地のマップを切り出し、各家の情報を書き込んだものを作成して、これをカーナビに喰わせて被災地詳細ナビゲーションシステムを構築しようとしている。けれどもそのGPSはもちろん自前である。

ということで、GPSというかカーナビ(着脱可能なのがいいと思う。たとえばNUVI1460 )が求められている。もし「提供しよう」という人がいるなら、つなげますので連絡いただければと思います。

07:06

被災地向けGPS、ガーミン社より5台貸与決定。その迅速な対応に感心しました。情報やお手持ちのカーナビ提供を申し出てくださった皆様、本当にありがとうございました。

ヨシヒコさんから連絡きまして、表題の通りガーミンのカーナビ5台が無償貸与される運びとなりました。ガーミン社への手続きなど教えてくださった方、ご自分のカーナビを提供してくださるというお申し出をしていただいた方々に深く感謝。ヨシヒコ氏からもくれぐれもお礼をということでした。

ちなみにスマートフォンでGoogleマップなど使えばどうかという連絡も多々いただきましたが、通信環境が確保できない場所ではクラウド型のサービスは無力になってしまうため、難しいようです。インターネット通信が空気のような存在となっているけれども、震災などそれが成立しない状況になると、ローカル側にデータがないというのはちょっと怖いものですね。ちなみにガーミンのカーナビnuvi1460は、SDカード内にマップデータを保存し使えるようです。ただしマップデータを修正したり現況に合わせる作業が必要とのこと。県職員にもITスキルが求められる時代なんですねぇ。ヨシヒコさんがんばってね。

ちなみにこのカーナビ利用は気仙沼周辺でガーミン5台で始めますが、有効であれば今後拡大する可能性大。そうしたら他社製品でも使わせて欲しいということになるかもしれません。その際にはまた告知しますので、またご協力いただければありがたいです。

連絡くださったみなさんに個別に御礼メールを出したいのですが、ゴメンナサイ、ちょっと無理そうです。この場にて御礼言わせてください。本当にありがとうございました。

18:54

2011年10月31日

埼玉県川越市でマジックアワーを迎えたサトイモ畑の景色に思う。反TPP集会に足を運んで。

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■ニコンD700 +ニッコール50mmF1.4 F4.0 1/400

今日は川越市で、埼玉県の入間地区の農業委員さんが集まった会で講演をさせてもらった。入間といえば僕の母校である自由の森学園があるし、川越は毎日通学して通り、途中下車して高校生の味方・シャノワールで親友と延々だべっていたところだ。60歳以上の方がほとんどで、13時半からという最も眠くなる時間帯だったが、講演は大受け。ねる人少なくてよかった~

帰り道に、サトイモ畑がいい感じに枯れてきていた。時はまさしく日が沈みかけたマジックアワー。タクシーの運転手さんにちょっと待っててもらって、畑で作業しているお母さんに「写真撮らせてください~!」とお願いして、畑の中へ。緑色のピンとしたサトイモよりも、収穫間際の、全栄養を根茎に蓄えた感がいっぱいの茎葉のさまがとてもいい、と思ってしまったのだ。

埼玉県て、東京の隣という印象しかないかもしれないけど、北や秩父方面にいけば、まだ町の中に畑が残っている。僕はその景観に子供の頃から慣れてきた。小学校への通学路には桑畑があって、桑の実が赤く熟すと帰り道でつまんで食べていた。麦も植えられていて、子供心になんで寒い秋冬にこんな緑の葉が出てくるのか不思議だった。そんな、町中の畑というのがある、というだけでもこの国は佳いと思う。

さて、講演ではTPPがらみの話から農業界が世間に対して正しく自分たちのやっていること、置かれている状況をPRしなければならないということをお話しした。TPP議論で農業界に対する批判をみると、どれもこれも正しくない、正鵠を射ていない問題が多い。例えば再三ここで挙げているように「大規模化すれば外国とも戦える」や「企業が参入すれば農業はまともな産業になる」といったことが、さも真実であるかのように語られている。

でも、それがここ20年以上ずーっと続いている気がする。僕が大学生の頃から変わっていないということだ。それはなぜなのかというと、マスメディアや論壇ではわかりやすいストーリーであったし、おそらく農業側にとっても、そういう間違った言説が流布することで、真の問題が気取られないからいいやという都合のいい考え方もあっただろう。

けれども、もうそういう時代は終わったと思う。これからは、たべものを生産し、流通し、それを国民が食べるという当たり前のことの真実を積極的にPRしていくべきだ。

先日、某大手広告代理店に務めている後輩が面白いことを言っていた。

「PRってパブリック・リレーションズて意味です。それをわかってないでPRっていってるヤツがすごく多い」

あ、そうだった。社会に対して、自分のことを理解してもらうための働きかけをPRというのだった。忘れてましたよ、、、それを、農業界たとえば農協組織が正しく有効にやってきたかというと、実にプアな広報戦略しかやっていないと思う。だって、ビジネスマンのほとんどが「農協って悪いヤツらなんでしょ」「農協潰せば農業よくなるんでしょ」と言っちゃう国なんだから。も