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2007年06月28日

うおっと 駒澤大学前にこんな店があったか! 盛岡じゃじゃ麺専門店「おでって」


さて、「壱番館」の三件隣にある、じゃじゃ麺の店へレッツゴーである!

■盛岡じゃじゃ麺 おでって
03-3487-4848
東京都世田谷区野沢2-34-2 サンワイズ野沢1階

シングル 360g
セミダブル 540g
ダブル 720g

という堂々の盛りラインナップが揃っている。
店自体は非常に小さくラーメン屋のような呈である。

赤い手ぬぐいが飾ってあるが、これこそ盛岡一高の応援団特製手ぬぐいである。そう、ここのオーナーも一高出身なのである。異様に母校プライドの高いのが一高の特徴といえよう。
さきの壱番館の小野さんとこのおでってのオーナーは同級生、そしてその後輩なのが、下の写真左手の「あっちゃん」である。

この人と話をしていると、岩手県人に対するイメージは大きく変わると思う。
関東に住んでいる人にとって、岩手県人はおとなしい、というイメージがないだろうか? なんとなくゆったりおおらか、ご飯も穏やかな味のものが多いと思っているだろう。しかし、岩手は広い。山間部に行けば、ギョウジャニンニクを漬け込んだ醤油で肉を食い、海へゆけばキンキンに鮮度の高い魚を騒がしく食べる、賑やかな人が多い。予想を裏切ってダイナミックなのだ。このあっちゃんも、他の人に話す隙を与えず、最後は「盛岡一高万歳」「岩手最高」という結論に持ち込む試合巧者であった!

ちなみに店内には、じゃじゃ麺の初心者用に、詳細な食べ方が掲示されている。初めての人も安心である。

テーブルのうえにはじゃじゃ味噌、ラー油、昆布酢、たまり醤油、塩、ニンニクのすり下ろしなどがびっちりと載っている。これらをどう使うかが、自分オリジナル仕様のじゃじゃ麺を食べるために大きく響いてくるのである。

「じゃあ最初は、水餃子!これが旨いんだ。」


運ばれてきた水餃子。
皮は厚め、モチモチ系である。

具材はあまりくどさのない上品な肉。なんだろうなぁ、と思っていたら、三件となりから小野さんがやってきた。

「手が空いたんで覗きに来ましたよ。あ、その餃子の具はね、普通の挽肉に鶏の手羽とセセリ(首肉)を入れてるんですよ。だから旨みたっぷりでしょ?」

なるほどぉぷりぷりした肉の食感はそこから来ているのであった。

さあそして本日のメインディッシュ、じゃじゃ麺の登場である!

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
久しぶりにみたぜぇ 盛岡じゃじゃ麺!
一見してその特徴としてわかるのは、きゅうりの切り方が白龍とも香醤とも違うことだ。
種の部分を除き、歯応えが残る厚みにカットしてある。麺は盛岡の製麺業者に依頼し送ってもらっているそうだ。じゃじゃ味噌はもちろん、この店のオリジナル。小野さんとオーナー、そしてあっちゃんがケンケンがくがくしながら創り上げたものだそうだ。

ちなみにこのじゃじゃ麺、僕はセミダブルでいただいた。注文は「セットのセミダブル」である。セットとはなにか?実はこの店では「セット」というと、茹で野菜と塩豚というものがドンブリに入って出てくる。上の写真の左側の小ドンブリがそれだ。

このように厚めに切った塩豚とキャベツなどが入っているのだが、その底の方にこゆいスープが眠っている。このスープ部に、じゃじゃ味噌のかかっていない麺を、つけそばにして食べるというのがここの特徴なのである!

この汁漬けそばが実にグッド!
完全魚介系の出汁が利いている。

「これはね、うちが魚屋ですから、色んな魚の部位を煮詰めて濃厚なスープを作ってるんです。クロマグロの部位も入ってますよ。おそらくラーメンやさんではコストが高すぎて使えないでしょうね」

というそのスープは確かに濃厚、しかしギトギトしていないので美味しくあっさりたべられる。なんといっても麺に玉子やかん水が使われていない素直なものなので、実に食べ口が優しいのである。

さて満を持してじゃじゃ麺へと向かう。

この美しい盛りに、ラー油、にんにく、酢をかけ廻して、ぐっちゃぐっちゃにかき混ぜる!

でろでろの肉味噌まぶし麺をすすり込む。

あ、これはいいね! 「おでって」のじゃじゃ味噌は、非常に上品だ。白龍の濃厚さや香醤のギットリ感はやや薄く、肉の含有量が気持ち多く、そして味は綺麗にまとまっている。この店が立地する駒澤大学の味といっていいかもしれない。

「はい、おそらく盛岡の人が食べたら『ちょっともの足りないねぇ』と言うかも知れませんけど、でもこの味はアリだと思うんですよ」

と小野さんが仰るように、これは大アリである。
おそらく東京のじゃじゃ麺初心者に確実に旨い!と言わせる味だといえる。それに、もっとコテコテのが欲しければ、テーブル上のじゃじゃ味噌を追加し、ニンニクをゴテッと入れ、ラー油を5周りくらいかければ好みのものが出来るだろう。なんといってもじゃじゃ味噌継ぎ足し可能なのが嬉しい。

さあ、それではお楽しみのチータンの時間である。
卓上に載っている玉子を割り入れ、味噌と、残りの具とかき混ぜ、箸をドンブリにいれたまま店の人に「チータンお願いします」と渡す。

と、麺の煮汁をたっぷりそこに入れて返してくれるのである。これをかき混ぜていると、肉味噌かき玉汁のできあがり。これがチータンタンである。

はぁ~
しみじみ旨い。

この店、いかにもモデルみたいな女の子とかが一人で入って、ニンニクをぶち込んで食べている風景が日常的に展開されているそうだ。

「あれはかっこよかった。思わず声かけそうになったもん」

とあっちゃんが言っていたが、たしかにそれはありそうな風景だ。
じゃじゃ麺は、格好を付けて食べるものではない。日常の中で食べるものである。

「あのね、盛岡では『じゃじゃる』っていう動詞があるんですよ。昼にじゃじゃ麺食って午後の授業に出たら、ニンニク臭くて先生が『おめーら、じゃじゃったべ?』と訊いて、『もーやってらんね』って授業を適当にしちゃうんですよ(笑)」

「じゃじゃる」という言葉ができるくらいに、もうこの食べ物は郷土食化しているのである。
まだ体験していない人は、ぜひ早めに「じゃじゃる」べきであろう。

Posted by yamaken at 12:00 | TrackBack

2007年06月27日

うおっと 駒澤大学前にこんな店があったか! 盛岡じゃじゃ麺専門店「おでって」と、その三軒隣の魚屋「壱番館」


4WD車の雑誌で有名な4×4マガジン社で、僕の食い倒れガイド(全国版)を担当してくれたM島さんから久々に連絡があった。

「やまけんさん、盛岡じゃじゃ麺、好きですよね? 僕の飲み仲間がぜひ連れて行きたい、東京のじゃじゃ麺屋があるっていうんで、行きましょうよ!」

彼は会社を辞め、北砂であたらしい仕事をしている。今読むと、よくあんな殺人的なスケジュールでこの本が出たもんだと思わざるを得ない。そういえばこの本を出す時に、デジタル一眼レフカメラを購入したのだ。M島さんに相談して、EOS KISS Digital N を購入。交換レンズにはEF-S10-22mmという超広角レンズを購入した。その頃はレンズに広角・標準・マクロという区分けがあることも知らず、よくわからないままにプログラムモードでカシャカシャやっていたのだ。今は昔、、、

さて目指す店は駒澤大学駅から歩いてすぐの、246と環七の交差点付近にあるという。M島さんの飲み仲間というのは、やはり4×4社をお辞めになったO木女史。年齢を訊いてびっくりの美女である!

「あのね、やまけんさん盛岡じゃじゃ麺は「白龍」も「香醤」も行ってるでしょう?これから行く店は、その両店のどちらでもない味なんですよぉ~」

白龍は盛岡市のじゃじゃ麺のオリジナル店である。
そして香醤は繁華街で夜遅くまで営業してくれている、コッテリ味の店だ。

■白龍
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2005/03/post_500.html

■香醤
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2007/02/post_974.html

その両店の中間値を目指す、てことなのだろうか、興味がわく!
ちなみにこの近辺にはじゃじゃ麺を出す店がもう一軒ある。三軒茶屋にある「じゃじゃおい軒」である。

■じゃじゃおい軒
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2004/01/1.html

「じゃじゃおい軒も美味しいんだけど、これから行く店はまた違う味なんですよぉ~。 ただ、最初からじゃじゃ麺だとそれで終わっちゃうんで、その三軒となりにある魚の美味しい店にお連れします。実はそこのご主人が、そのじゃじゃ麺の味も監修しているんですよ。もちろん盛岡出身です。」

話がややこしくなってきた!
整理すると、その新しい盛岡じゃじゃ麺屋は盛岡出身の人がオーナーで立ち上げた店だ。しかしそのオーナーは料理人ではないので、友人である魚料理店のご主人に味の監修をお願いした。そしてじゃじゃ麺屋の立地は、魚料理店の3軒となりである。

「しかもね、その二人は出身校が一緒、盛岡一高の同級生なんですよ。」

ほほーう
なるほどね。学閥とはことほどさように強い絆なのである!

「ここです、ここがその魚料理の店「壱番館」です!」


■くいもの市場 壱番館
東京都世田谷区野沢2-34-1

魚が旨い店ということで、和風居酒屋風のしつらえを予想していたら全然違った!

ご主人の小野さん。カウンターとテーブルだが、品書きには鮮魚のポワレだとか、洋風のメニューもずらずらと並ぶ。

「刺身も寿司も、洋風料理も美味しい店なんですよ! あとね、今日はやめときますけどカレーが絶品なんですよ。でも、じゃじゃ麺があるから、ここは軽~く」

とO木女史が仰るが、この店、予想外に実にしっかりと、気の利いた美味しい魚を食べさせる店だったのである!

メニューを見ると、たいがいの品が1000円前後。ネタにもよるが、この日出てきた魚の内容を見ると、かなりリーズナブルな内容だった!

白海老のブルスケッタ

オクラと叩いて、カリッと仕上げたバゲットに乗せ、オランデーズ風のソースを軽くかけてある。

薄く焼いたベーコンを敷いてあるのが、ワインを誘う、、、けど後があるので呑まなかった!

金目の昆布締め。

「普通の、水分が脱水しきっちゃう昆布締めじゃなくて、水分を残した〆め方です」

というとおり、確かにジューシーで身のしっとり感が残っている。

マコガレイとあん肝も美味しゅうございました。

そしてこいつが実に秀逸。
ハモの骨切りを軽く炙って、梅肉を添えたものだ。

梅肉も火を通してあることに注目。焦げ目のついた紀州の梅干し(本干し)はサツマイモのような風味がつく。これを、身側はほぼ生のハモに巻く。ちなみにハモは皮付き。

身がふんわりと口の中で広がり、細かな骨の食感を感じつつ、酸味のおとなしくなった梅肉の塩分を愉しむ。これはイケル!

「ハモは皮が美味しいんですよ。ぜんぶ愉しむ方法としてこういうのを考えました」

キンキの刺身。

金目に似てるくせに、身の旨さはまったく違う。モロモロモロ~っと溶けていくのだ!

鳥貝の生。ビシッと皿にたたきつけるとクニョーリとのたうつ。身は限りなく甘し!

ツユイサキ と エボダイの炙り。

ツユイサキの清廉な味わいがたまらん。エボダイも、干物を食べるのと世界が違う!
こんなに旨い刺身になるんだよな、、、

鰹とマグロ。

サザエ、どこのだったかな。ちなみに全部、出てくる魚は産地を言ってくれていた。

佐島のタコ。穴子のツメをたっぷり塗ってある。

サザエ。

ウニをアワビの貝にぎっしり詰めて焼いたもの。

ウニには当たり前のように、ミョウバン無し。
貝の下の方には海藻を詰めて底上げしているかと思ったら、まったくしてない。最後までウニがぎっしり。

「この、貝のキワの部分の焦げてるところが旨いんだよね!」

と、一同でがじがじとスプーンでこそぐ。

キスの昆布締めとコハダ。まだシンコには早かったが、寿司も旨し!

小野さん、いろいろと魚の解説をしてくれながら、ネタをひろげては料理にしてくれている。

「これ、なかなか手に入らない純国産の筋子です!」

筋子の汁が酢飯に滲むのが溜まらなく旨い。何も漬けずに純粋に筋子の熟れた塩分で堪能できた。

赤なまこ。これも国産の立派なものだった。

断面の滑かさ、美しさ、そしてシクーっと歯の通っていく食感がイイ。

「はい、じゃあそろそろじゃじゃ麺もあるからここまで!」

といって出てきたのが、島らっきょうの浅漬けを天ぷらにしたもの。

いやー
マジで旨い。駒澤大学でこんなに旨い魚を食えるとは思わなかった!
訊けば近くに魚の卸があり、それ以外にも重要なネタは小野さんがじっこんにする産地から直取引で買い求めているそうだ。

それにしても、この料理群を愉しんでいる間中もずっと、話題は岩手県、そして盛岡一高のネタであった。

「やまけんさん、福田パンをブログに書いてたけど、俺たちは給食であのこっぺを食べてて、不味いパンの代名詞だったよ!」

えええええ マジすか?

「いまNHKでやってる連続ドラマ、盛岡が舞台で主人公がじゃじゃ麺食べてるシーンが出てくるけど、あのじゃじゃ麺の肉味噌は赤色すぎて、盛岡じゃじゃ麺とは違う! あれは中華料理のジャージャー麺の味噌だ! 実はNHKに相当の抗議電話が殺到してるらしい。岩手を舐めたらいかんよ!」

などと、岩手話しで盛り上がり続けたのである。

「さぁーて、じゃあ3軒となりでじゃじゃ麺を食べましょうか!」

(つづく)

Posted by yamaken at 12:00 | TrackBack

2007年06月26日

ミートホープ事件に思うこと多し。企業の責任が重くなると同時に、消費者の責任も明確化していかなければならないのではないか。

先日、TBSラジオの「アクセス」にて、ミートホープ事件について話して欲しいという依頼があった。

僕は、「ミートホープの責任問題を追及する立場は、色んなところで出てきているので、僕が話す必要はないと思う。逆に、ミートホープのような企業が出てしまった背景や構造をきちんと見つめ直そう、という趣旨の話をしていいならば、出ますよ」とお話しした。

まず最初に、ミートホープが豚肉を牛肉に混ぜたり、といった一連の行為は明らかに犯罪であり、罰せられなければならない。これは明確なことである。

ただ、こうした食品関連の偽装・虚偽行為を最終的に無くしたい、と人々が考えるのであれば、そろそろ当該企業の糾弾や、管理の仕組みや法整備以外にも目を向けるべき時期なのではないか、と思う。

2000年以降、雪印や無登録農薬問題、そして最近ではイチゴの農薬残留問題等、凄まじい数の違反事例が出てきているが、いっこうに無くならないのはなぜか。なぜ、人は過ちを犯し続けるのか。

それは、”過ちを生まなければ生きていけない構造”が出来上がっているからではないだろうか。

ミートホープ社の社長が記者会見で「安値を求めてきた消費者にも責任がある」という旨の発言をして、新聞各紙から「消費者に責任をなすりつけた」と糾弾されているが、実は食品製造に携わる人々は、ミートホープの所行を嫌悪しながらも、その発言には「その通りだと思う」と感じる人が多いのではないか。僕も、僕を含む消費者にも責任の一端があると思う。ミートホープ社の社長という、一番の当事者が発言してしまったから「けしからん」とされてしまったが、これは客観的に観るべき問題だと思うのだ。

現在、食品加工業者がきちんとした素材を扱って利益が出るような市場構造になっているかというと、ちょっと怪しい。スーパーなどの小売事業者は、店舗拡大競争を依然として繰り広げているため、いまだに「安値」を消費者に対する最大の価値と見なしているようにみえる。

そうなると、スーパーなどがメーカや卸から加工食品(生鮮も)を仕入れるとき、当然価格を下げてくれという要望を出すはずだ。実際に漬物や肉加工品に対して、一部の高級スーパーや百貨店以外はギリギリの利益率での商売をしているところが多いときく。

いまは消費者主権の世の中なので、その消費者に直接販売しているスーパーが流通の中で大きな力を持っている。メーカーがある商品を切らしてしまった場合、スーパーは売り場に開いた穴の分を、メーカに補償しろということがある。売れるはずだったんだから、お前が払えということだ。

そんなこんなでメーカがきちんとした利益を確保することはなかなかに厳しいご時世となっている。その中で、ミートホープのような行為に手を染めざるを得ない企業が出てきているというのが、一つの「構造」なのではないだろうか、と思うのだ。

こういうことを書いたり言ったりすると、

「じゃあ、やまけんはミートホープや不正を働く企業を正当化するのか?」

と言われることが多い。事実、先のラジオ番組でも女性アナウンサーが感情的な声で「でも、牛肉入りって書いてあるコロッケの中身が違ってるんですよ!?そんなことが許されるんですか?」と割り込んできた。

そんなこと、言ってないでしょ!
最初に述べたように犯罪行為は罰せられることであり、それを正当化するつもりなんてさらさらない。事実、法律の枠内で真面目に商売している業者のほうが圧倒的に多いのだから。

僕が言いたいのは、「構造」を変えない限り、同じように不正をはたらく企業や人は出続けるだろうということだ。だって、儲からないんだもん。一言で言えば、日本の食べ物は安すぎるのではないか?ということだ。これを言うと「庶民の敵」とレッテルを貼られそうだが、まず僕自身も庶民である。そして、誰もが忘れているだろうが、メーカや流通業者も庶民なのである

庶民が望むのは、自分の働きに応じた報酬を得ることが出来て、それを使って自立した生活を営むことだろう。では、自立するに足る報酬を得ることが出来なかった場合、、、その人はいかなる行為に走るだろうか?不正行為や犯罪行為に手を染めざるを得ない人が出てくるのは、一つの循環になってしまうのではないだろうか。

僕は「食品を高く買え」と言っているわけではない。
僕が言いたいのはこういうことだ。

「現在の食品価格は食品製造業者が不正を働く必要を感じない価格レベルとは大きく乖離している」

僕だって庶民だから、食品の価格がこれ以上上昇するのはイヤだ。
しかし、食品製造、流通に関わる人たちが不正をはたらかざるを得ないような価格帯になってしまっているのであれば、自分の安全を守るためにも、投資として食品購入にもっとお金を払ってもいいと思う。

第一、今の世の中は消費者が価値の中心となっているようにみえる。
本当は、消費者も、生産者も、メーカも、流通業者も、すべて対等の立場であるべきではないか?

イタリアのシチリア島に行ったとき、昼になるとほとんどの店が鍵をかけて休業状態になった。日曜日にも店が閉まってしまい、不便きわまりなかった。日本とあまりに違うサービスレベルに茫然としながらも、僕は一種爽快感を覚えていた。

この国では、商売をする側が、自分に都合のよいようにやっている。消費者は不便だけど、商売している人たちは満足しているわけだ。不便と満足を相反するエネルギーだと考えると、エネルギー不変の法則のように、均衡が保たれているように見える。そして日本という国は、消費者が満足する方向に大きくエネルギーがかかり、サービス提供者側は枯渇している。

もうすこし、消費者側にかしぎすぎている社会の傾きを是正する必要があるのではないだろうか。
その一歩として、食品の正当の価格を考えてみるというのは、案外有効なのではないかと思っている。一番身近でわかりやすいから。

消費者はお金を払って商品を買う立場だ。「お金を払う」という、現世において最も重要度の高い行為をする側だから、パワーを持っているというのは当然だ。でも、その支払っているお金の額が妥当なものかどうか、ということを考えないと、社会を歪ませる側に荷担することになってしまうのではないだろうか。
それを考えることが、「消費者の責任」としてあるのではないかと思うのだ。

ちょうど、徳江さんもミートホープについて書いている。専門家の立場からの視点を読んでおくといいと思う。参考までに。

Posted by yamaken at 11:38 | TrackBack

2007年06月25日

ニッポン食堂と築地・カリカリで梅山豚を堪能した夜

エスプーマの記載箇所に、読者さんからのご指摘で新しい情報を追加しました。
梅山豚の塚原牧場にいった3日後の木曜日、目黒雅叙園にてニッポン食堂というイベントが開催された。日中は各食材提供産地のブースが出て、格安で食材販売をしていたようだ。そして夕刻から、東西に別れた料理人と食材生産者が競う形でのビュッフェスタイルの立食会が行われたのである。

会場に入ると早くも塚原さんが声をかけてくださる。スクリーンには、よくもまあ3日でここまで編集を、というような立派な映像が流れている!映像の編集者ってすごいなぁ、、、

さて
注目の料理だが、梅山豚は東軍のシェフ達が使用していた。
中でも、キラーコンテンツ的に旨かったのが、イタリアン「ビンゴ」の小林シェフが焼く、梅山豚のサルシッチャだ!

実際、このサルシッチャは旨かった。まずイタリア南部のサルシッチャによく入るウイキョウ(フェンネル)シードの香りがしない。肉の純粋な旨みを味わうために余分な香りを入れなかったのだろう。塩も控えめだが、肉の旨みが濃いので満足感が高いのだ。このサルシッチャの行列はずーっと続いていた。




小林シェフは実際に塚原牧場に行ってその飼養現場を観て、その上で肉を食べて「これはいい!」と仕入れを決定したそうだ。サルシッチャにしたとき、何も入れずともジュースがジュッと溢れるのは梅山豚だけだ、ということで使い続けているのだそうだ。

陳健一さんの赤坂飯店ブースは、麻婆ナス。

これがまたコッテリした味付けで、香りもばらまきながら作っていたので、人が押し寄せる押し寄せる。


つきじ田村からは、野菜を使った椀が。

この椀、純和風の出汁かと思いながら一口すすると、鰹出汁以外の、肉由来のイノシン酸の旨さが拡がる。おやっと思ったら、オカヒジキと水菜の下から梅山豚やニンジン、ジャガイモの千切りといった具材がわさっと出てくる。ちなみに今回使用された野菜はすべて有機農産物(JAS有機認証を取得したもの)ばかりだった。これはなかなか大変なことだ。

ビンゴ小林シェフの、メロンのアイスクリームにメロンのヌーベをかけているところ。

メロンの上質なものを使っているようで、フレッシュな香りがよかった。最近、エスプーマに使うガスはすべてCO2添加になったと何かで読んだが、CO2、、、使いすぎると大気に悪そうだなぁ。


注:新しい方式の規制緩和で、CO2式は今後、減っていくかも知れないというご指摘を読者の岩淺さんからいただきました。

日本でこれまでCO2利用方式が多かったのは、欧州で使用されている亜酸化窒素(N2O)が、日本では食品添加物として認められていなかったからです。

2005年の法改正により、日本でも亜酸化窒素型が利用できるようになり、逆にCO2型は減ってくるのではないでしょうか。CO2型はどうしても酸味が残るため、亜酸化窒素の方が汎用性があり使いやすいと聞いたことがあります。

以上、ありがとうございました!

と、こんな感じで東軍・西軍の料理を味わった。
個人的には東軍の料理の方が、より食材の味を生かしていたように思う。西軍からは、豚では沖縄のあぐーが50%入った豚などが出ていたのだが、料理がチャーシューや角煮、トウチ炒めなどコッテリしたもので、肉質のよさを感じると言うよりは味付けのよさを感じさせるものだった。また牛肉は、東軍の岩手短角牛に対して宮崎の黒毛和牛、それはいいのだけどレア目に焼いたものを冷製にした一皿で、舌にベトッと脂分がのこるものだった。

でも、イベントとしてはかなりまとまったものになったような印象。短時間でよくここまで仕上げたものだなぁ、と思った。

さて
実はこのあとに寄った店で絶品の梅山豚料理が出たのだ、、、

徳江さんはこの日、このニッポン食堂のシンポジウムのコーディネータをしたりしていて、ろくに料理を食べていないので、「ちょっと飯くっていこうよ」と、塚原社長らと食事に誘ってくれたのだ。

「俺の住んでる築地の近くに、いいインド料理屋さんがあるんだよ。実は梅山豚も入れてるんだ」

というのが、インド料理「カリカリ」。

もう遅いのに、実に丁寧な店主さんが、「どうぞどうぞ」と入れてくださる。
梅山豚の料理はまだメニュー化の少し前で、試作段階だそうだ。それを試しに食べて欲しい、ということで、お願いすることにした。
そのまえにサグチキン。

インパクトの強さはあまりなく、マイルドな味。スパイス使いもきっちり北インド。
赤坂スワガットのような、ナッツ入れまくりの濃厚さはないが、それだけに食後感が重くならないカレーだ。

そして出てきた梅山豚料理だが、、、
これが絶品だったのだ!

おそらくタンドリーチキンのようにヨーグルトなどのペーストに漬け込み、タンドールで焼いたと思われる逸品。ただしタンドリーチキンはきっちり脱水されるまで焼くが、このタンドリー梅山豚は、内部に熱が入るギリギリの状態で、極めてジューシー。

味付けも香辛料が強すぎるものではなく、肉の旨みと脂のあっさりした感じがよく味わえる。

「これ、旨いですよ!」

と絶賛して帰ってきた。はやくメニューに登場して欲しいものだ。必ず再訪する。ただ、梅山豚の卸価格を考えると、おそらく3ピースで1500円位にはなってしまうと思うが、でもそれでも価値ある料理だ。

23時、解散。徳江さん塚原さん、お疲れ様でした。いいもの食べさせていただきました、、、

Posted by yamaken at 12:20 | TrackBack

2007年06月20日

中国系豚の極みか! 梅山豚の里、茨城県猿島にて塚原さんの情熱に心を灼かれた!


明日21日(木)、ニッポン食堂というイベントが開催される。詳細は当該Webをみていただきたい。僕は午後5時くらいまで、別の会議に出なければならないのだけど、夕刻から参加する予定だ。

このイベントは、先日もブログを紹介した、有機農産物流通の世界の師匠である徳江倫明さんから「おーい、ちょっと今後おもしろくなりそうなイベントがあるから、行こう」とお呼びをいただいたのだ。

で、それに先だって、いきなり凄いお誘いがきた。

「あのさ、このイベントで使う食材に梅山豚(メイシャントン)を出すんだけど、その事前取材で茨城の塚原牧場に行くから、一緒に来ないか?」

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
これは何を置いても行かねばならない!と決意して、早朝5時半に、茨城は猿島に向けて、徳江さんの駆るレガシーワゴンに同乗させていただき、出立したのである。

塚原さんとは、数年前、前の会社にいた時代に、ある有機農産物の卸の勉強会でご一緒させていただいた。

「あの頃は暇だったんですよ」

と笑っておられたが、その時の、にこやかなスーツ姿の塚原さんからは養豚業者っぽい雰囲気がみじんにも感じられなかったことを思い出す。

さて、梅山豚(メイシャントン)をご存じだろうか?

梅山豚は、あの金華ハムの原料として有名な金華豚と同じく、中国で育成された豚である。当然ながら肉質美味なものだが、原種100%の個体は日本国内には100頭前後しか居ない。それも、農林水産省管轄の牧場の他には、茨城の塚原牧場でしか営利生産されていない。

塚原牧場の梅山豚で注目すべきポイントは3つある。

まずは何より、品種として稀少であるということが第一だ。以下、塚原牧場のWebから引用させていただこう。

 梅山豚は、中国太湖豚系の原種豚で、その味わいとさらりとした上質の脂肪分から、最高級の豚肉とされてきました。  この梅山豚を私共がはじめて日本に輸入してきたのは、平成元年のことでした。その後、中国政府は梅山豚を輸入禁止品目に指定したため、現在日本で飼育されている梅山豚は、私共塚原牧場と農林水産省を合わせて、100頭前後です。 (塚原牧場のWeb http://www.meishanton.com/intro/intro01.html より引用)


第二に、この塚原牧場では、なんと、全ての出荷用の肉豚を、豚舎のみで飼うのではなく、仕上げ段階で森林放牧をして育てているのだ

以前にも富士宮で放牧豚の経営を紹介したことがあるが、豚を放牧で育てるのは肉質の面で非常にプラスになることが明らかだが、適切な密度で育てないと環境に負荷がかかってしまうことになる。しかし、塚原牧場では頭数を絞り、また茨城の北関東に拡がる森林部を利用して適正な飼い方を展開している。

そして第三に、餌がすごい。僕は、畜産物の味は
品種×飼料×飼い方
で決まると考えている。ちなみに農産物の場合は品種×肥料×栽培方法である。

塚原牧場は、品種は梅山豚、飼い方は豚舎・放牧の複合形態、そして餌は、、、
なんとリサイクル原料を用いた自家配合飼料100%なのである!

畜産関係者ならば、この一文の表す内容の凄みをわかっていただけるだろう。
具体的には塚原さんに会ってから、つぶさに農場経営の状況をみせていただいた印象からわかってもらえると思う。

茨城は広い。それにしても猿島の農場近辺にさしかかり、普通に住宅街が拡がっていることに驚く。元来、畜産業は町中で行われていた。それが、住宅中心の街並み整備が進むにつれて、悪臭がするということでだんだんと山林などに追いやられてきたという経緯がある。しかしこの塚原牧場の本拠は町中にあるのだ。

「ああ着いた着いた」

と車を降りても、悪臭など一片もない。駐車場には、すでに撮影クルーと打ち合わせをする塚原さんが居た。

「おおお ご無沙汰してます。 ようやく着てくれましたね!」

と長身で俳優のような整った顔立ちの塚原さんが迎えてくださる。
事務所に入って撮影の打ち合わせをする傍ら、塚原さんが行き着いたリサイクル飼料の原料を見せていただいた。

「うちは輸入コーンなどの濃厚飼料は一切与えません。全部、この食品由来のリサイクル飼料なんです。この配合に行き着くまでは本当に時間がかかりました、、、」

リサイクル原料の内容は、小麦粉、乾燥麦茶かす、ピーナッツオイル絞りかす、モナカの皮の残渣、パスタ粉砕物、乾燥サツマイモかす、パン粉である。麦茶の滓というのを訊いて、なるほど!と唸った。麦茶は大麦を炒ったものを煮出す飲み物だが、麦の栄養成分を抽出しているものではなく、その外側の香ばしさを煮出すものである。従って、絞り滓には十分な栄養成分が残っている。

「実はこの麦茶かすを豚の餌にする、というのが私の筑波大学の修士論文のテーマなんですよ」

と塚原さんが笑う。
他にも、かなり栄養価を考えられた内容構成になっている。しかし、こうしたものの原料が、どこから来ているかわからない、添加物だらけのものであることも考えられるのではないか?という疑問もあるだろう。しかしそこはさすがに塚原さん。全部の由来物をきちんと追跡・分析したうえで選定をしているのだった。

「例えばパン粉に使っているパンは、皆さんがあっと驚くような外食チェーンの廃棄物です。しかし、内容物を調べたところ、非常にいい原料を使っていて、添加物がほとんど使われていなかったのです。多頻度配送をしているチェーンだったので、添加物を入れる必要がないということだったんです。外から見ているだけではわからないことだらけですね、、、」

さつま芋に関しては、ある菓子製造業者から出てくる、芋の内部をくりぬいた皮を乾燥させたものがメインである。

さてこのようなリサイクル原料を用いた飼料を与えるのは、言うは易く行うは難しという言葉そのものだ。リサイクル原料を用いて栄養計算を行い、家畜が十分に成長するための飼料設計を行うことは可能だ。しかし「美味しい豚」をそこから産み出すというのは、「栄養が十分である」だけでは達成できないのである。リサイクル原料を用いてなおかつ美味しい豚を産み出すということは非常に高度な飼料設計技術を要する。それをやってのけたのが、塚原さんの凄いところなのだ。

この辺のすごさについては、徳江さんも書いておられるので、後に紹介したい。

「じゃあ早速、放牧場に行きましょう!」

事務所から15分ほどワゴンを走らせると、うっそうとした雑木林が拡がっている。

虫除けスプレーを念入りにかけた後、この林に分け入ると、、、
向こうの方に黒くうごめく気配がある。

居た!
こいつらが梅山豚なのである!

黒い体毛に覆われた、大きさとしては中型クラスの梅山豚たちが、草を一心不乱に食べている。

奥の方から、塚原さんが梅山豚たちを追ってこちらに来てくれる。

木立からブヒブヒゴウゴウと鼻声をたてながら歩いてくる梅山豚を見ていると、なんだか幻想的な気分になってしまった。

梅山豚の形質的な特徴は、下の写真のように、背中部分に一段のくびれが出ていることだ。

このくびれがハッキリ出ている個体が、血を濃く受け継いでいるものといえるらしい。
塚原さんのお父さんであられる会長が、この個体を指さして「こいつが一番旨いよ。この背中と腹の形をみればわかる」と仰っていた。

そしてなんとも特徴的なのがこの顔だ。

大きく垂れた耳に、潰れたような鼻。目にはしわがより、くしゃくしゃな顔立ちだ。
後ほど豚舎で原種のメスを見るともっとこの特徴が明らかになるのだけど、西遊記に出てくる猪八戒のモデルは梅山豚であるという話が頷ける顔なのだ。

それにしても、山間に遊ぶ梅山豚は本当に絵になる。徳江さんも、最近めきめき上達しているPENTAXのデジタル一眼レフカメラでバシバシと撮影をしている。

放牧されている梅山豚は、ストレスがないようで人間を全く怖がらない。体表を触ると、高い体温が伝わってくる。

豚は幼年期にじゃれて他の豚の尾を噛みちぎってしまうことがあるので、予め適度な長さに断尾する。梅山豚には割と尾がついていたので断尾していないかと思ったら、少ししているそうだ。

それにしても
この放牧は非常に贅沢なものだ。だって、クヌギが沢山おいしげる林で、秋にはドングリがゴロゴロと落ちるのだ。ドングリを食わせて育つ豚と言えば、スペインのイベリコ。それと同じような環境で放牧で育っているわけである。

「てことは、秋に放牧されて冬に屠畜された豚の肉が一番美味しいってことですかね?」

と訪ねると、塚原さんも笑って「そういうことです!」と頷いていた。なるほどぉ、、、
それにしても、岩手県の短角牛にしても、放牧は中間段階で、仕上げは牛舎で穀物を与えてしばらくして出荷する。仕上げの段階は舎で、というのが通常と思っていたのだが、ここ塚原牧場では仕上げを放牧で行うという。これが僕には新鮮だった(養豚業界では”当たり前のこと”だったらゴメンナサイ)。

しかし、確かに仕上げ段階で濃厚なドングリなどを食べて育つのであれば、味が出荷前にきっちり乗るわけで、これは理屈が通る気がする。それ以外にも、舎飼いよりもストレスが無くなることも肉質に佳い影響を与えるのだろう。

塚原牧場は、塚原さんのお父さんとお母さんが始められた農場だ。

右から会長、お母さん、そして農場長さんだ。みな明るくて、よく笑う。

この笑顔が、豚にもストレスを与えない大切な要因になっているのではないだろうか、そう思った。

「さて、じゃあ豚舎の方も見ていただきましょう。」

車で事務所に戻り、消毒服を着込んで隣接する豚舎に入る。

いまや、営業中の豚舎に入るというのは非常に危険だ。いや、人間にとって危険なんじゃなくて、豚にとって危険なので誤解無きよう。よその細菌を持ち込むことは、畜産にとっては御法度なのだ。豚が不潔だと思ってるひとは多いが、人間の方がよほど訳のわからぬ菌にまみれているのである。

「ほら、この子豚が梅山豚ですよ!」



うひゃー カワイイ!
確かに子豚の段階からすでに顔の造作に特徴が現れている。

「やまけんさん、この足の部分が白いのが、梅山豚の特徴なんですよ。」


たしかに足の部分は、長靴を履いているかのように白くなっている。
それにしても子豚はカワイイ。だっこしてのアベックフォトを、徳江さんが撮影してくれた。

こういう風景を目にして、かならず訳のわかってない人が訊くのが、

「こんなにカワイイ豚を殺すのって、可愛そうって思いませんか?」

という無神経な問いである。この日も実は別働隊の一人がそう訊いていた。

アホか。

畜産に関わるひとは全て、命をいただくことと毎日向き合っている。
それこそ、脳天気な消費者が全くなんの罪悪感も覚えずにパック入りの肉をぱくぱくと食べているその時に、向き合っているのだ。

部外者がつまみ食い的に見学に来て、カワイイ子豚をみて憐憫を覚え、いきなり畜産経営者に対して責めるような口調をするシーンをこれまで何度も見かけてきたが、そんなことを言える資格を、肉を食べる現代人は持たないのである。

ちなみに生まれてきた子豚のうちの何割かはすぐに弱って死んでしまうものだ。各地の豚舎に視察にいくが、その片隅でビニール袋に詰められた子豚の死骸の山をよくみかける。中にはまだヒクヒク動いているのもいる。何も手をかけずとも、命は失われていく。そして育てば育ったで、屠畜・解体されるために出荷される。畜産経営者は絶えず命を産み出し、その命を奪うところまで我々の代わりをしてくれているのだ。
そう、それは我々の代わりにやってくれていることなのだ。

そんな人たちに対して「可愛そうって思いませんか」などという失礼な質問はしてはいけない、と思う。少なくとも肉を食べている人がそんな質問をする資格など全く持ち得ないのである。

と、話がそれたけど、子豚はやっぱりカワイイ。
しかし豚の成育は非常に早い。このかわいい子豚が、数ヶ月でどぉーんとデカク成育するのである。


この豚舎で与えているのが、くだんの飼料である。

さきほどの原料を粉砕混合し、給餌するのである。

塚原さんに肥育日数を訊いたところ、驚くべき答えが返ってきた。

「梅山豚の肥育は300日かかります。」

なんと! 通常の三元交配LWDでは、200日前後で出荷するところではないか!
肥育に時間をかけると、肉にアミノ酸が蓄積されることはもちろんだが、一方で確実にその期間の餌代や管理コストがかかり、商売を成り立たせることが難しい。

「うちでは幸いなことに餌のコストを、自家配合で行うことでかなり低減できています。それと、月に出荷できる頭数が100頭あまりですから、幸いなことに稀少な豚として、肉質を認めていただいている業者さんは高い評価をしていただいてますので、、、」

とのことだ。

「さあ、それより肉を用意してますから、、、ヤマケンさん、食べずには帰れないでしょう?」

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
浅ましいと思って言い出さなかったが、実に実に期待していたのである!

事務所に戻ると、サンプルの肉が冷蔵から出されていた。

あまりにも見事なサシである、、、
見た目でいうのも何だが、本当に、イベリコ豚のペジョータクラスの肉質ではないか。
外では炭火が熾火になっていて、塚原さんみずからが焼いてくださる。



焼き目がつく前の、火が通ったという段階のやわやわな肉をいただく。

「僕は炭火焼きが一番美味しいと思うんですよ。しゃぶしゃぶを美味しいと言う人が多いんですけどね」

といいながら、塚原さんがゲランドの塩を出してくれる。
でもまずは塩すら付けずに肉をいただく。

柔らかな肉のテクスチャ、薄切りなので歯を立てても繊維の質は知れないが、塩分を全く使わずにいても非常に複雑に組成されたアミノ酸群が舌に溶け出る!そしてその脂は極めて端麗で、口中にざらつき残ることがない。

ホントに参るね。
徳江さんが撮影してくれた僕の顔を見てくれれば、大体の感想がわかるだろう。

このように、肉の入っていた皿に、いつまでたっても脂が固まらない。融点が非常に低いからである。

ゲランドの岩塩を軽くかけていただくと、角の立った塩分と肉のイノシン酸が結び付き合い、素のままでは立ち上がらなかった芳醇な旨みが立ち上る。

いや、この味について多くを述べても陳腐なだけだ。
肉として旨い。
放牧を核にした飼養形態が凄い。
そして、リサイクル原料を用いた餌の設計で、最高の肉質を得ていることが素晴らしい。

僕は、通常の三元交配であるLWDも大好きだ。
養豚経営を成り立たせるために、経済原則を考えるならばまずはLWDを選択するのが通常だ。
LWDは、強健性をもち、大きく育ち、子を沢山産む。養豚農家にとっては安心できる素材なのだ。
そのLWDに、選び抜いた餌をやり、育て方を工夫することで、LWDの肉質は確実に上がる。
事実、LWDの肉を送っていただいたのにもかかわらず、「これ、LWDじゃないですよね」と間違うことがよくあるのだ(お恥ずかしい)。

でも、一方では特に通常の飼養形態から逸脱することのないLWDを、ことさらに銘柄豚にして付加価値をつけようとする経営体も多い。食べてみてそれほど美味しいと思えない豚にでも、銘柄がつけば消費者には売りやすいのだ。

そういうものが乱立しているため、豚の世界でも、本物が他と明確に差別化をすることが難しくなりつつある。
しかし、塚原さんがとりくむ梅山豚は、あまりにもまっとうであり本物の要素が含まれている。

最後、徳江さんの言葉で、この塚原牧場の要諦である飼料配合の現場を見せていただいた。

「塚原さん、やまけんちゃんには餌の配合の現場を見せてあげて欲しいんだ」

快く引き受けてくださった塚原さんについていくと、先のリサイクル飼料の貯蔵と配合を行う工場がみえてきた。

以前、ここも二階建ての豚舎だったそうだ。

「大失敗した飼養管理形態でした。でも、こうやってちゃんと飼料工場として再生できているのでよしとしています」

と笑う塚原さん。

これが、メーカでパッケージ商品としての基準を満たさないと判断されたパスタだ。
これを粉砕し、こうなる。

芋かすや麦茶かすなどは、自分で設計した乾燥機で水分を飛ばし、粉砕して飼料に配合する。

いや、、、
圧巻である。
飼料の自家配合、稀少な品種を持っていること、そして放牧という形態。この、一つ一つをとってみても価値のあることを三位一体でこなしている希有な事例が、塚原牧場の梅山豚といえるだろう。

いま、国際的に穀物単価が高騰するなか、畜産業者は非常に苦しい立場にいる。肉質向上のために輸入濃厚飼料を中心に与えていた事業者はかなりの打撃を受けているだろう。
塚原さんの経営では、この日本という国で「余っている」原料を元に組み立て、素晴らしい肉質の豚を育てている。この国の「余剰」がどれだけ続くかわからないが、状況が変わればそれに対応した生産方法を塚原さんは産み出すだろう。それが、塚原牧場がすごい畜産経営であることの最大のポイントだと思う。


明日木曜日、この梅山豚がどんな料理人に、どのように料理されるのか、楽しみにしたいと思う。
■塚原牧場のWeb
http://www.meishanton.com/index.html
s-Ci070620113402.jpg

ちなみにレストランなどの業務販売主体の梅山豚だが、消費者も梅山豚をこちらで購入できる。

■フードトラスト食味選定委員会
http://www.shokumi.jp/
s-Ci070620133857.jpg

■ニッポン食堂のイベント情報
http://www.nippon-syokudou.com/
s-Ci070620112139.jpg

また、今回お誘いいただいた徳江さんには格別の感謝を捧げる。
徳江さんの凄いところは、らでぃっしゅぼーや時代につちかった全国の本物の農畜産物を作るネットワークが、世代を超えて生きていることだ。まだまだ教えていただきたいことがある。

ちなみに下記徳江さんのブログで、早くもこの日のことが書かれているが、なんと僕の撮影シーンがかなり掲載されている。恥ずかしいなぁ、、、
しかし、ごらんいただければわかるだろうが、徳江さんは一眼レフの初心者で我流で撮影しているにもかかわらず、非常に佳い写真を撮る! 一流は何やってもセンスがある、と脱帽せざるを得ない。

■徳江さんのブログ
http://blog.jseq.org/


明日、塚原さんはにこやかに笑いながらイベントの成り行きを見守るだろう。僕も楽しみだ。
塚原さん、招き入れていただき、本当にありがとうございました!

いやー ここまで気合いをいれたエントリを久しぶりに書いた。
疲れた、、、

Posted by yamaken at 13:43 | TrackBack

2007年06月19日

飛騨高山はただの観光スポットではない! 実にハートウォーミングな人々の生息する、愉しい食の満載空間であった! その2


さて、繁華街の裏路地にあるこの店、看板を撮影してくるのを忘れたので店名がわからないが、「ここ、けっこう穴場なんです」

とT君が言うように、ほぼ地元の人しかこなさそうなカウンターだけの店だ。

みなお茶漬けを粛々と頼む。僕はミックス茶漬けになめたけ入りという全部いれバージョンを所望する。

店の若旦那と会話が始まると、これがまた予期せず面白い方向に発展した。

「このからし豆腐ってなに?」

「ああ、この辺の人たちはね、からし豆腐を夏にたべるんだよねー。プリンみたいな豆腐の中に芥子が仕込まれててね、崩しながら食べてもよし、芥子の部分をガブリとやって泣いても美味しいものなんですよ(笑)」

ほおおおおおおおおおおおおおお
なんと風流な。それは食べてみたい!
この辺から食欲中枢がまたもや蠢き始める。

「じゃあね、からし豆腐ちょうだい!」

「え、まだ食べるんですかやまけんさん、、、」

「あのねぇ、気になったモノは速攻で頼まなきゃ!一期一会なんだよ!」

と訳のわからぬ理屈をほざきながら、旅情食欲がまたもや頭をもたげ始めたのである。

運ばれてきた、これがからし豆腐だ!

まさにプリンのような形状の冷や奴である。

「それを縦に切ってぱくっと食べてみてください」

と言うのをやってみると、、、

ヅン、と鼻の奥に刺激が炸裂する!

「ヴお、芥子だ!」

と、わかっているのになんだか嬉しい刺激が、眉間にしわを目一杯寄せさせる。

このようにプリン様の豆腐の中に、黄色い和辛子が詰められているのである。実に実に、風雅な食べ物ではないか。

「ふうん、外から来た人にはこんなのが珍しいですかねぇ?」

と若旦那が不思議な顔をしながら、嬉しそうだ。

「前の店で肉を食べていらしたっておっしゃったから控えてましたけど、この飛騨高山あたりの旨いものをちょこちょこ出しましょうか?」

「いやー もう遠慮無くやっちゃってください!」

この運び、嬉しいではないか!

「じゃあ、焼き茄子食べてみますか? この辺じゃ飛騨茄子っていう大きな茄子が主流なんですけど、焼いた中に味噌を詰めて食べるんですよ。」

おおおおおおおおおおおおおおおおおおお
旨そう!それはぜひお願いします。

程なくして焼かれてきたそれは、こんなプレゼンテーションであった!

なるほど、写真だと対比物がないのでわからないだろうが、通常の千両茄子の二本分くらいはありそうな大柄な茄子だ。丸ごと焼かれているが、腹が割られていて中に詰め物がしてあり、その上に鰹節が載せられている。

「その裂け目をがばっと開けちゃってください。」

というのでがばっと開けてみる。すると、甘く香り高そうな味噌が、顔を覗くではないか!

長葱と和えた甘味噌が縦に詰められているのである!
いやーこれは素晴らしいね。焼き茄子好きには応えられない。でも、今思うとこの焼き茄子を焼くとき、厄前に味噌を詰めるのか、それとも焼いた後に味噌を塗り込むのか、その手順を聴いておくべきであった。おそらく焼いた後に切開し、味噌を詰めるんだろうが、、、

これを、焦げた皮はそのままに、箸やスプーンなどでこそげながら食べていくのである。この飛騨茄子という大ぶりな茄子は、肉質はそれほどミッシリと詰まっている感じではない。おそらく膨満な柔らかい茄子だろうと推察する。いずれ再訪し、茄子の樹も見てみたいものだ。

そうそうこれを忘れてはならない。飛騨高山の定番・漬物ステーキだ。

じゅおおおお と焼けた鉄板で白菜などの古漬けが炒められたのに、溶き卵が廻しかけられ、じゅぶじゅぶと沸き立つのを供される。これを手元でかき混ぜていると、玉子が漬物に絡まりながら半熟状に熱せられるのである。こいつはやっぱり酸っぱくなった古漬けで作らないとダメ。乳酸発酵の酸味が玉子で和らげられ、これに醤油をかけながら食べるのが堪らなく酒を誘うのである(呑まなかったけどね)。

「あとはね、、、時間があるなら、山芋焼きをしましょうかね」

といって作ってくれたのが、山芋のすり下ろしを鉄板でふんわりカリッと焼き上げたものだ。

これもまた表面はトロトロ、鉄板との接面はカリッと焼かれており、そのコントラストが口中に心地よい。


さて
この店に来る前、繁華街をうろついていたときに、やけに気になる看板があった。それは「半弓道場」。半弓って、あの弓矢の半弓だよね。その店の前を通るたびに、中でドスっという音がしていた。

「きっとあれは、ダーツみたいに半弓を置いた飲み屋なんだろうなぁ」

と話していたら、若旦那がいやいや、と首を振る。

「いえ、あそこは本当に半弓を射るだけの道場なんですよ。僕なんかは入ったことがないんですけど、ぜひ遊びに行ってください!」

へえええええ
本当に弓の道場なんだ。でも、旅行者が入っていいの?

「あ、道場っていっても、300円で10本の矢を射ることができるっていうシステムなんです。誰でも遊べますから」

若旦那のおやじさんらしいこの店の大将も、「あそこは昔、大おばあちゃんがやってたのを、いまのばあちゃんが引き継いだんだよ」と、無性に歴史心を誘うことをいう。

「よっしゃ、じゃあ行ってきますよ!」

どうだろうか、この店構え。これが繁華街の小路地にあるのだ。ちょっと敷居をまたぎたくなってしまうではないか。
引き戸を開けると、、、
うわー 本当に半弓の道場である!

彼方に見える的に向かって、10本300円の矢を射るのである。
半弓はもちろん貸して貰う。

体力にあわせて、弱~強というように、弓の張りの強さが分かれている。
さてここから先は、正直なところ、半弓があまりに面白すぎて写真など撮っている余裕が全くなかった。なんて奥が深いんだ!
僕の場合、ゴルフの打ちっ放しで何回打っても右に飛んでいってしまうかのごとく、的の右横にしか当たらない。変な風にカーブしてしまうのだ。それを尻目に、「バスッ」といい音をさせて的に命中させるNECの広報M女史。カワイイ顔してやるじゃないか。T君も一本しか的にあたらず。テクニカルライターのI女史は一本もあたらず。いやー難しいわ。

僕らが10本を射終えた後、サラリーマンらしき集団が入ってくる。僕らが「いやー面白かった!」というのを聴いて、中の一人が「観光でいらっしゃった人?」と声をかけてくれる。

「いやー いきなり入ったとしたら、ラッキーでしたよ! この店、おばあちゃんの具合がわるくてしばらく閉めてたんだから。今日飲みに来たらいきなり空いてたから、僕も驚いたんだけど。いや、愉しんでもらえて好かった!」

と、握手を求められた!

飛騨高山に来て、なんとなく感じていた心地よさが何に由来するのかがよくわかった。みんな、地元の人たちがフレンドリーなのである!そのフレンドリーさは、観光客に対してへりくだっているものではまったくなく、自分の家に招き入れているかのような、そんな自然な暖かみを感じるものなのだ。

そういえば先のお茶漬け店の若旦那、嫁さん、おかみさん旦那さんもホスピタリティに満ちあふれていた。そしてこの半弓道場を後にして道を歩いていると、決定的なことが起こった。

後ろからチリンチリンとベルを鳴らして、自転車に乗ったおじいさんが来る。そのおじいさんが

「すみませんねぇ~ ごめんなさい、お休みなさいねぇ~」

と、道をあける我々に声をかけていったのである。おそらく現場にいたものしかわからない空気だろうけど、そのあまりに自然に発せられた緩やかな、柔らかい挨拶に、本当にノックアウトされてしまったのだ。挨拶をされただけで、心がホワッと柔らかくなる。それが、まったく無償のものなのだ。

恐るべし、飛騨高山。この地のキラーコンテンツは、まさしく観光地然としていない地元の人の空気なのではないか。

最後、飛騨高山ラーメンの有名店である「甚五郎ラーメン」へ。

ここはカレーも有名だというので、ラーメンとカレーを所望。

甚五郎の高山ラーメンは縮れの強い細麺に、濃厚な醤油スープ、かなり旨いチャーシューが乗った好感の持てる味。呑んだ後にグルタミン酸を摂取するのに最適な味である。
そして存外に、カレーがいけた。なんとキーマカレーである!

もうこの辺で僕も限界がきつつある。手ブレご容赦。

いやー食った食った。
道に迷いながら陣屋などを眺め、ビジネスホテルアクティへ戻る。最上階の温泉に浸かりながら、明日は朝早く起きて朝市に行こうと決心したのである。

Posted by yamaken at 10:15 | TrackBack

2007年06月18日

食い倒れin台湾編の水先案内人になってくださる方、いらっしゃいませんか?

週刊アスキー誌上に連載中の「旅三昧」で、初の海外取材となる台湾編(台北編)を企画中です。
ただしそれは水先案内人になって下さるひとが居れば、の話し。4回(週)分の取材を2泊3日程度で行うので、だいたい飲食店関連で10~12軒程度を廻るという多忙なスケジュールになります。

さすがに台湾・台北の最新情報をキャッチアップ出来ていませんので、現地に駐在していらっしゃったりする方で、「仕事の合間にガイドしてあげるよ」という方がいらっしゃると非常にありがたいのですが、いかがなものでしょうか?

日程はだいたい、8月上旬~中旬。週末を挟んだ2泊3日程度になります。その間の飲食代はもちろんこちらが出しますが、満足に謝礼をお払いすることは難しいかもしれません。なので、酔狂な食い倒れ取材にお付き合いいただける方、募集です!左記の私のメールまでご連絡をいただければ助かります。

台湾ご在住の食い倒れ日記読者さん、どうぞよろしくお願いします!

Posted by yamaken at 05:14 | TrackBack

2007年06月15日

日曜日は足利へ。

僕の親友である和太鼓奏者・石坂亥士の縁で、栃木県足利市の岡崎酒店さんから講演のお誘いをいただいた。「扶桑鶴」の大畑専務もじっこんとのことで、これは行かざるを得ない。

ということで、明後日の日曜日、下記のようなイベントに出講いたします。
石坂亥士は和太鼓を打ちます。
足利周辺の方、お会いできたら嬉しい!


machigainai.jpg
詳細はこちら。
http://beccan.blog56.fc2.com/blog-entry-444.html

■まちがいない2007【やまけんの飲み倒れ日記】

【山本謙治 講演会】
午後4時~4時50分
参加費/2000円
会 場/足利市民プラザ内 101号室

同日開催:利き酒など

日 時/平成19年6月17日(日曜日)
日 時/午後5時~午後7時
会 場/足利市民プラザ小ホール
参加費/3500円(おつまみ付き)

参加蔵元/
麓井酒造(山形県・麓井)、菊の里酒造(栃木県・大那)、
小林酒造(栃木県・鳳凰美田)、大澤酒造(長野県・明鏡止水)、
黒龍酒造(福井県・黒龍)、神沢川酒造場(静岡県・正雪)、
瀧自慢酒造(三重県・瀧自慢)、桑原酒場(島根県・扶桑鶴)、
山口酒造場(福岡県・庭のうぐいす)、富久千代酒造(佐賀県・鍋島)、
勝沼醸造(山梨県・アルガブランカ)

ゲスト/
籠橋宗範(赤城・宗月釜)
石坂亥士(神楽太鼓演奏)

チケット、お問い合わせ
shi-su 無依 0284-72-0737
和処 司  0284-21-5464
炭焼 利衛門 0284-73-5665
足利市民プラザ 0284-72-8511

Posted by yamaken at 19:49 | TrackBack

飛騨高山はただの観光スポットではない! 実にハートウォーミングな人々の生息する、愉しい食の満載空間であった!


飛騨高山なんて観光地なんだから、面白くもなんともないだろう、とたかをくくっていた。それはまったくの認識違いであった!なんとも面白い夜を過ごしたのだ。飛騨高山は面白い!人があまりにフレンドリーで、ホスピタリティに溢れているのだ。それを思い知った夜だった。

飛騨高山駅に着くと、某NEC関連の面々とご対面。なんと、今回一緒に仕事をするI女史が、名古屋~高山間のワイドビューの斜め後ろの席に座っていた人だった!

「あ! 電車のなかでお弁当二つも食べてましたよね? みてましたよ、、、」

見られていた、、、

NECメンバーは、かなりこの高山に通い詰めた(ほぼ常駐)O氏に、官公庁系の案件を一手に引き受ける部署の敏腕営業であるT氏(このT氏が後に超・重要な役割を果たすことになる)。そして広報のM女史である。

これにカメラマンのK澤さんが加わったのがフルメンバー。4人でJAグループの食肉加工センターの調査取材を行い、当時市場最高値をつけた飛騨牛の写真を見て、そのリブ芯の綺麗な楕円形を堪能。

枝肉(食品)のセリ場も見せていただき、取材終了。

さて
妙にずれてて面白い一日がここから始まった。
ビジネスホテルアクティという、さもないホテルにチェックイン。いい感じに煮染めたようなビジネスホテル。ホテル名を聴くと高山通となっているT氏が「ああ、もっといいところ教えてあげればよかった、、、」と、今更なことを言う。

角部屋の306号室を開けると、なんとそこは畳敷きの座敷!布団がすでに敷いてある。どうみても複数名用の部屋に一人で収まることになったわけだ。旅館かここは!と思いきや、インターネットへの接続は有線ながらケーブルが出ており、しかも激ハヤである。このアンバランス感がちょっと堪らない。
他メンバ2人と飯の時間にでながら「今時、すげー部屋だ」と話すと、二人とも「ほんとほんと。」と頷く。

「私のところなんか、意味もなく畳敷きの空間があるんです。」

「ん?畳敷きの空間っていうか、座敷でしょ?」

「え?違いますよ、和洋室っていうかんじで、ベッドです。しかも何故かネットが繋がりません。」

するともう一人が

「ええええ うちの部屋は洋室ですよぉ!ネット、いい感じで繋がりますし」

と、みなシングルで予約しているにもかかわらず三者三様バラバラな部屋のスタイルである。
しかも、この旅館風の部屋にもかかわらず、綺麗な液晶テレビの背面のSTBから出ているイーサネットコネクタをPCに接続すると、ばかっぱやい速度でネットを使える。なんなんだこのギャップ。畳の上にノートPCを置きながら激早接続を堪能したのである。

さて高山駅に集ってT氏と合流。T氏は一目見て食い歩き趣味を持つとわかる巨漢である。高山には10数回来ており、現地の農協職員さんに連れられて地元向け店に足を踏み入れていることもあり、かなりディープな店を知っている模様。

「飛騨牛を食べるのであれば、JA直営の店と、民間の店があります。どちらも質的には差はないと思います、、、」

協議の結果、民間の店である「丸明」へ行くこととする。観光通りを歩いて駅から5分程度の近くに、「丸明」はあった!

「これが飛騨の伝説的な種牛である「安福」の等身大銅像です」


ぬおおおおおおおおおおおおおお
いまだに最高品質の遺伝資源としてその血統が重んじられる安福の銅像である。思わず拝みたくなってくる。

黒毛和牛は脂ギトギトで食べたくない、と日頃言っている僕だが、食べようよというシチュエーションで食べないバカではない。たまには脂を摂取する原始的快楽を感じてみたいとも思うのである。

「丸明」は焼き肉屋にしては綺麗な概観、大きな店舗である。精肉店も併設しており、総合的な肉の卸小売とみた。

ここで一つ事実が発覚。
実は飛騨の水先案内を務めるT氏、僕の大学の後輩であるという!

「なんだよSFCかぁ、後輩じゃん! よっし今日は沢山食うよ!」

さっきまで「Tさん」と呼んでいたのが一気に「T君」に変化し、臨戦態勢である。
しかし、この「丸明」、かなり値付けがリーズナブルである。


タン、カルビ、ハラミ、レバー、ホルモン、ミノなどをどんどこ注文。







特筆すべきは、T君お奨めのホルモンだ。


脂身そのままつけおいて甘辛のモミダレにあえたそれに焼き目を付けようとするが、脂がとめどなく流れて焼き目はつかない。


脂が溶けかかったのを口に放り込むと、臭みのない新鮮な脂がほとばしり、ホルのクニャンとした歯応えがまた官能的によい。

黒毛和牛の代表的な味といえる飛騨牛のA5肉は、当然ながらA5クラスの味であった。

サーロインステーキ4500円程度は、薄切りカットが少し残念。1.5センチ厚であればもっと旨く焼けたかも。

表面は焼き色をつけ、中の脂が溶け出す融点ギリギリに持っていき塩で食べる。たしかに脂の風味が、他の銘柄牛とはちょっと違う繊細さを持っている気もする。黒毛和牛の肉質の差異は、餌と飼養管理方法によって変わるものだと推察する。逆に言うと、○○牛という銘柄、産地によって左右されるものではないと考えるのだ。国産和牛とかいうけども、餌の80%以上が輸入穀物なのだし、牛舎に繋がれて飼われるのだから、産地の別もあまり意味がない。黒毛和牛は、たしかにそのDNAは国産だけど、中身は国産と言い切ってよいものなのか、非常に苦しいと僕は思っている。

でも
さすがにこのジュビジュビに染み出てくる脂には、思わず味覚的快楽を覚えてしまう。あーあ。

「いやー 堪能したね!」

4人で食べて、ホルモンやハラミを追加して、なんと2万円とちょっと。安いなぁ、、、
観光で飛騨高山を訪れる人は行っておくべきスポットだろう。

さて丸明を出て、T君が「さっぱりした高山ラーメンを食べましょう」と繁華街を案内してくれる。

高山の繁華街は適度にこじんまりしていて、すべて歩きで行き来できる広さだ。
この日は人通りが少なかったが、年間で4~500万人もの観光客が訪れる(なんと、沖縄よりも多いそうだ!)ということで、かなりの飲食店が軒を連ねている。

「あれっおかしいなぁ、こっちの路地だと思ったんですけど、、、」

と数度いったりきたりを繰り返していると、なんとその店は水曜日休業であった。
残念!

「まあそれじゃ、お茶漬けでも食べようよ」

「あっ やまけんさんサスガです!この辺じゃお茶漬けでしめるってのをよくやるんですよ!」

ということで、繁華街の中の小さな小さな、観光客が入らないような店に足を踏み入れたのである。

(つづく)

Posted by yamaken at 11:41 | TrackBack

飛騨路を走っております。

帰宅後、写真を追加しました

久々に写真無しエントリ。E-410は持っているのだけど、USBケーブルを忘れまし
た。E-410の不満点の一つなんだけど、USBの形状が通常と違っていて、汎用ケー
ブルが使えないのです。あーあ。

新幹線のぞみを名古屋で降り、ワイドビューひだ号にて飛騨高山に向かっており
ます。飛騨って遠いのねぇ~名古屋から2時間かかるのか!と思ってたら弁当を
買い逃し焦る。着時間は14時!それまで食わないってのは俺には、、、
と思ってたら車内販売が来てくれたので一安心。

弁当4種のうち何を選ぶか。腹が減っている時は判断力が鈍くなっているのだが、
今回は飛騨牛の調査ということもあったので「飛騨牛めし」と「飛騨路名物 松
茸の釜飯」をダブル買い。オトナになってよかったことは、弁当を二つ買えるこ
とです。ホント。

車窓の景色が、切り立つ飛騨の峡谷にさしかかっているのに目もくれず弁当を開
ける。松茸釜飯には松茸の薄切り3枚と鶏胸肉、タケノコ薄切り、ワラビ、フキ
などが廃されている。

お約束のように缶詰の赤いチェリーが一つ乗っているが、
いつも思うのはこんなもんない方がいいのに、ということ。弁当にデザートは必
要無いのになぁ。甘味が欲しい人は別で買うのだから、弁当は白飯と、それを食
い進むための推進力をもつおかずに特化すべきである。

具材をかき分け茶色く炊き込まれた飯を頬張る。悪くない味だけど、松茸の香り
はせず。具材と飯を別々に炊いているからだろうけど、松茸の実物が三枚乗って
いるよりも、香りのしっかり移った飯であるほうが満足度が高いのではないかな、
と思う。また、具材のタケノコ、グリーンピース、ワラビの食感に不満。釜飯と
いう料理は、飯の中にがオカズが入っている訳で、具材の食感が重要になる。
柔らかな米に対して、多少なりともカリッと歯の立つ感覚が欲しいところだが、
具材が全てくんなりしていて、おもしろみにかける。残念感の強い弁当であった。

一方、それほど期待していなかった飛騨牛めしのほうが、予想外の逸品だった。

牛めし系の弁当は山形の「牛肉と真ん中」に尽きると思っていたが、ど真ん中が
ついていないポイントをきっちりと抑えた内容である。甘辛く煮付けられた適量
のバラの薄切り肉に多量のささがきゴボウ。このゴボウが牛の旨みを吸って、推
進力のあるオカズとなっている。牛肉には味がしっかり染みているが、しぐれ煮
ではない、フレッシュ感ある仕上がり。

しかもそぼろ肉ではなく、存在感のある薄切り肉なので、薄切りにもかかわらず
しっかりした食い応えを感じる。山形の「ど真ん中」は、米沢牛を一頭潰したと
きにあまり高値のつかない部位を中心に使っているという、非常に無駄のないよ
い発想の弁当だが、それゆえこのように存在感のある肉は使えない。飛騨牛めし
は1050円と、牛肉をメインにした弁当としては通常価格帯である。

付け合わせの赤カブが嬉しかったが、欲を言えば付け合わせの里芋、しいたけ、
ニンジンの煮物は思い切って廃して、もっと飛騨の名物漬物を多用すればよいと
思う。牛肉の濃厚な旨みに、あっさりした風味の煮物など合わない。思い切って
古漬け(本物の)を添えるほうが気が利いているだろう。

満腹。車窓からの風景も美しく、いい気分である。
これから仕事なんだけどね、、、
居眠りしていきます。

Posted by yamaken at 11:12 | TrackBack

2007年06月13日

今日はこれから岐阜へ行ってきます

飛騨高山にて、牛さんの調査に行って参ります。

それはそうと、さすがに高くてあまり需要ないだろうと思っていた東京バルバリ屋形船ツアーに、すでに5人の申し込みと、何件かの打診があったのにビックリ。まあ、隅田川花火大会の特等席だし、お得感があるのかも。

では、新幹線に乗っていきまーす

Posted by yamaken at 09:33 | TrackBack

2007年06月12日

7月28日隅田川花火大会 東京バルバリ貸し切りの屋形船でプチオフ会

ここんとこ時間が無くてオフ会企画など一切やっていなかったのですが、東京バルバリの小林オーナーから下記のごとき連絡がきました。

「やまけんさんやりましたよ! 隅田川花火大会の日に屋形船一艘借り切りました。ここで、うちの小池シェフが腕を振るう特製弁当を食べながら花火を眺めるってイベントやりましょうよ!」

ほっほーう それはなかなかスゴイ!

後日届いたチラシがこれである。
chirashi-new.jpg
ちなみに東京バルバリ、ぼんぼり日本橋を率いる小林さんの本当の会社は「シャンティーオブライフ」。建築やデザインを請け負う会社なので、こういうポスターも、店内メニューのデザインも全部手作りなのである。カッチョイイ!

7月28日(土) PM3:00集合
で、会費が3.5万円、、、

うーん スゲー高い! と思ったら、この中の25000円はまるごと屋形船貸し切り代なのだそうだ。だから、いわゆる天ぷらとか深川飯的な屋形船メニューは全て出る。その上で、小池シェフ特製のバルバリ弁当が出るという超・豪華企画なのである。

まあ、隅田川花火大会を間近で見ることが出来るというだけで、屋形船料金としてはかなりイイ線だと思う。で、僕のブログを読んでくれている人で10名程度なら入れるということなので、告知しておきます。

え、私? もちろんお付き合いがありますので、参加させていただきますよぉ、、、
だからプチオフ会という感じですな。関心のある人は僕にメールください。
テーマとしては「揺れる屋形船の上で食い倒れ写真は撮れるか?」という感じで行こうと思ってます。

Posted by yamaken at 16:17 | TrackBack

ひさびさのオフ 伝説のタベアルキスト・マッキー牧本さんとの邂逅。 東京バルバリで肉林の迎撃!


大学生の頃からdanchuを愛読していた僕が、特に「この人、面白いなぁ」と思って読んでいたのがマッキー牧本さんのコラムなどだ。「タベアルキスト」という肩書きは、当時まったくなんのことやらわからず、そんな職業があるんだなぁなどと思ってもいた。

そのマッキー牧本さんからメールをいただいたときは、本当にびっくりするやら感激するやらで、姿勢を正してしまった。

「今度、メシでも食いましょう」

しかしその頃といえば、本業の農産物関連の仕事と、いろいろオファーをいただき始めた各種執筆が折り重なるようにして繁忙になっていった時期だった。友人とも飲めず、食い倒れ日記も書く暇が無く、ストレスをため込んでいた時期である。

「ぜひぜひいきましょう!」

と返事しながら実現せずじまいだったのである。
そしてようやく仕事のバランスもとれて、一息ついたかなぁ、というタイミングでマッキーさんからメールが!

「写真、綺麗ですね。どうやって撮ってるんですか?」

もうこれを逃してはイカン!
実際に写真撮ってるところをお見せしますよ!ということで飯を食うことになったのである。
さてどこにお連れしようかな、、、
マッキーさんは肉焼き関係ではかなり造詣が深い。だか