さて三浦での壮絶な食い倒れから一夜明けると、天使のような可愛らしい小悪魔が僕を起しにやってきた。泊めてもらっている長島農園の勝美君の息子だ。
「やまけんのおじちゃん!」
と呼ぶのを、
「お兄ちゃんと呼ぶんだよ」
と諭しながら一緒に遊ぶ。
父さんである勝美君が僕の一つ下だからお兄さんも何もないのだが。
「じゃあ、やまけんが持って帰る用の野菜を獲りに行こうか。」
と、母屋の下にある、葉物畑と作業所に降りる。これからの季節は畑からだんだん緑が消えていく時期だ。

大根、ホウレンソウ、白菜、葱などの一部葉物が越冬する中で、実のものは消えていく。茄子・トマトなどの夏野菜が今では通年で食卓に上るが、全てハウス栽培ものである。それが悪いわけではないが、夏野菜は身体を冷やすための機能を持っている。それを冬に沢山食べるのはバランスを崩すので、これからの季節はゴボウや人参などの根菜類と、ホウレンソウ、春菊、小松菜などの葉野菜、そして結球野菜を中心に食べていくといい。それが身体を暖め、人体のホメオスタシスを保つエネルギーになるのだ。
「面白いのを植えたんですよ。」
と言って勝美君が人参を抜く。

通常より細めの人参は、どうやら西洋品種である。
「そう、フレンチのシェフが植えてくれって種を下さった品種なんだけどね。これがすごく味が濃くなるんだよね!」

今日本で通常手に入る人参は西洋品種である。和人参は、京人参といわれている真っ赤なヤツだが、今日栽培量は少ない。ヨーロッパの品種は、大陸性ということもあってか、かなり香りが強いのが特徴だ。洗って食べると、確かに強い香りと高い糖度を感じる。それ以上に雑味成分の少なさに驚く。人参は香りや甘さだけではなく、雑味をどれほど感じるかで栽培段階の技術が知れる。ほとんどを化学肥料で作ったり、有機質肥料の品質が悪いと生で食べられたものではない。
と、勝美君の親父さんが軽トラで下ってきた。
「よぉ ヤマケン、来てたのかぁ、朝飯食ったなら手伝えや。」
と笑いかけてくれる。軽トラには三浦大根が積んであった。

三浦大根はその名の通り三浦の特産品種だ。青首とは違い、一本の中ほどの部分がこんもりと太る品種で、青首と比べて抜くのが結構大変なため、最近では作付けが減っている。
本来は1メートル程度まででかくなる品種なのだが、長島農園ではメインが小売なので、一般家庭用に小型に作っているようだ。一般にはナマス用として有名だが、この三浦大根は煮ると肉質がみっちりとして香りが強く、細胞組織の官能的な崩れ方がして、凄まじく旨い。一本を持って帰ることにした。
「白菜ももっていくでしょ?」
無論である。少し離れたところにある1反ほどの白菜・ブロッコリー畑に行く。

まだ霜が降りていないこの暖冬で、巻きが若干甘いかと思われたが、すぼまりを握ってみると悪くない充実度合いだ。

「これくらいの暖冬だと病気も発生しやすくなるし、通常なら殺菌剤をばらまいているところだけどうちはやらない。だからこんな風に菌がついて溶けちゃってる株も少しあるけど、ほんの少しだけで周りには伝播しないでしょ」
という彼の言の通り、たまに軟腐(なんぷ)と呼ばれる状態になっている株があるが、ごくわずかだ。土壌バランスを保つことで作物の抵抗力を向上させることに成功している。彼の土作りに関する知見は僕の志向とは少し違うのだけど、こと彼自身の置かれた横須賀の農地環境では絶対的な信頼性がある。
母屋への帰り道、フェンスに干した大根の列があった。

これは漬物用大根品種。一般には販売されない漬物用大根の特徴は、細く長く、肩の部分(葉の付け根、上部)と同じ太さが先の方まで持続していることだ。これは風乾する時に水分が抜けやすくするためだ。三浦大根のような中太りの品種では、水が抜けるのに時間がかかり、かつ水分抜けのバランスが悪いのだ。

「完全に水が抜けたら、3本くらい送りましょうか?」
「いやいや、それじゃタダの干し大根じゃん。麹で漬けてたくあんになってから送ってよ。」
「何いってんの!まだあの極上の酒粕があるんでしょ?大根の粕漬けをやりなよ!」
そうかそうだそういう手があった!島根の銘酒「扶桑鶴」の大吟醸に使われた練り粕がまだあるので、粕漬けし放題なのであった!そういうことならばと大根送ってもらうことをお願いする。
この後、裏の湿地帯に行き、しいたけのホダ木を見て回る。湿気も適度で、かなりコンディションのいいしいたけが顔を覗かせている。型がいいのをそのまま囓ると、生の菌茸類特有のシコッとしてフカッとした歯触りと、シイタケの強い香りが口中に拡がる。

これをスライスして酸の効いたドレッシングで和えると最高なのだ。
「お土産用にはヒラタケがありますよ。」
と一杯のヒラタケももらい、長島家を後にする。結局、三浦大根、白菜、西洋人参、長ネギ(ホワイトスター)、ヒラタケを米袋に詰め、超重量荷物になってしまった。京急線の途中で会えそうな友人に分けてやれば少し軽くなるだろうと連絡をするが繋がらない。結局重量物を担いで家に帰った。
さっそく白菜を割くと、中から何とも言えぬイエローの中心部が。

白菜の旨いのは、なんと言ってもこのイエローの中心部だ。まだ日光に当たっていない軟白されたそれは、黄ニラのような丸い香りがある。昆布を一枚いれた鍋でさっと湯がいて皿に取り、ポン酢で食べる。

ヒラタケは鞄に詰めていたので変形してしまった。

鋳鉄製のスキレットを熱してベーコンの油を出し、ニンニクの香りを出してからヒラタケを入れる。塩・胡椒に少量のバジルペーストを加えてバルサミコを垂らす。

茸をこうして脱水し、旨味を凝縮する炒めものは大好きだ。勝美君のヒラタケは旨味が多く、食感もシコシコ感が強く実によい。
もうお気づきだろうけど、これは昨晩の暴食を中和するための野菜三昧だ。解毒、解毒。食べ物から採ったダメージは食べ物で癒す。最終的には断食をするのが僕の方法だ。
さて
ここまで長島農園の風景を出しているのは意味があって、今後、勝美君と野菜に関する対話的なエントリをしていこうと思う。無論、勝美君だけではなく、僕が親しくする素晴らしい農家の方達の声を少しずつ、このblogでも公開していきたいと思うのだ。
なぜかということを解説するまでもないだろう。読んでくださっている皆さんの大半が、農の現場を知らない。食べ物を理解するということは、素材レベルにまで遡ってなんぼだと思う。台風や輸入問題やいろんな事件が起こった今年だったが、農の大切さを少しでも記憶に留めて欲しいので、これから地道にそうした活動を、blogを通じて始めていきたいと思う。
これ、姉妹blogである「俺と畑とインターネット」とどちらかで不定期にやります。まずはこのエントリを受けて、最近の勝美君の畑事情を本人からアップしてもらうことにしよう。
勝美君、農家にとって冬とは、「越冬」という重要なフェーズだと思うけど、今年は暖冬が続いているようで勝手が違うようだね。三浦大根や白菜などのコンディションはどうなのだろう?世間一般からすれば「暖かいほうがいいんじゃないの?」と思われがちだけど、その辺を中心に、これからの冬の季節の野菜作りについて書いてくれませんか。(メールでくれたらアップするよ)
では、では。
先日のエントリに呼応して、長島勝美君から連絡がきた。
これについては今後、姉妹blogにて公開していく。
■俺と畑とインターネット
http://www.yamaken.org/mt/oreto/
自然死に瀕している日本農業の中、着々と次代を築こうとしている若い世代の生産農家もいる。そうした人たちにスポットを当てていきたい。関心のある方はぜひご覧いただきたい。
1年半に渡り食い倒れ日記を書いてきて、こんなに悲しいことを書くことになるとは思わなかった。

駿河若シャモ振興会の会長にして、13日に開催されるはずだった静岡オフ会の主催者である鈴木恵美子さんが1日、交通事故で亡くなった。
■駿河若シャモ
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/000076.html
静岡県職員の岩澤さんから電話を受けた時、数秒間、何が起こったのかよくわからなかった。実を言うと、お骨の前で焼香をしてきた今でも、実感が湧いてこない。ただ、なにを考えようにも力が湧かない。
駿河若シャモの生産農家の中でも、突出した飼養管理技術を持ち、また強いこだわりと愛情をもって若シャモを育ててこられた。静岡県中小家畜試験場が産み出した駿河若シャモという品種を、誰に育ててもらうのかという時に、「私がやろう」と真っ先に名乗りを上げてくれたという。ちなみに彼女は「開運」で有名な土井酒造の娘さんで、まさか地鶏の生産農家になろうとは、と皆が驚いたという。それから10年間、技術が確立し、これから一番波に乗る時期だったのに、もう恵美子さんは逝ってしまった。
オフ会参加当選者の方々には連絡済みなのだが、オフ会は「延期」させていただくことにした。皆が恵美子さんの冥福を祈ってくれた。ただしこれはあくまで「延期」である。中止ではない。いずれ彼女の遺志を噛みしめながら若シャモを味わう会をぜひやろう。
本日、リテールテックでの講演後、掛川に赴いた。迎えに来てくださった岩澤さんの車で掛川駅から40分、山奥に分け入る。遺骨になった恵美子さんに会って、ご主人と息子さんに鶏舎を見せて頂いた。僕は今までここに足を運ぶチャンスがなかった。とうとう恵美子さんが生きている間に来ることができなかった。それがとても残念だ。
線香をあげさせて頂いた後、掛川駅近くの、恵美子さんがじっこんにしていた飲み屋で酒を飲んだ。店の主人が、恵美子さんの若シャモのスープで半田そうめんを汁そばにしてくれた。おそらく最後になるであろう恵美子さんの若シャモのスープの味は、とてもじゃないが言葉にはできない。
色んな地鶏を食べたのだが、僕の好みに最も合うのは、お世辞抜きに恵美子さんの若シャモであった。他の人が育てた若シャモも旨いが、彼女が丁寧に育てたシャモは別格だった。あのみたこともないオレンジ色のレバーには、シャモにストレスを感じさせない細やかな気配りが反映していた。ご遺族は今後、シャモのことも含めいろいろと考えていきたい、と言うことだったが、なにぶんいきなりの話だ。まずは無理をせず、ゆっくりとして頂きたいと思う。
こんなことになってしまうこともあるのだ。食べることも、人と出会うのも、一期一会だ。一日も無駄に生きてはいけないのだと、今更ながら思った。僕からのお願いだが、若シャモを食べたことがない人もぜひ、今日は鈴木恵美子さんのことを想って頂きたい。日本最高峰の養鶏家の一人だ。
こんなこと言っても意味がないのだけど、頼むから皆さん事故には気をつけてください。残された人がなんともやりきれない。病気で入院していれば、励ますこともできる。でも事故はいきなり根こそぎ、全てを奪い取ってしまう。
今日はもう、何も考えられない。明日からまた元気にblogを書きますが、今夜はもう何もダメだ。勘弁してください。
仕事の話だけど。
面白いプロジェクトを始めます。名前はagrisensor(アグリセンサー)。
僕や堀江君のWebで掲載されている気象情報フラッシュは、ウェザーバケットという24時間自家発電しながら無線で気象情報を飛ばしてくれるロボットのデータを表示している。バケットのように、センサーとデータロガーのついた観測ロボットを使って、その情報をリアルタイムに収集するという仕組みだ。
このように、様々な情報を記録するセンサーを個別に設置するだけではなく、その情報をリアルタイムにネットにアップロードできるとなると、センサーのネットワークを活用した色んなことが可能だ。例えば、農業の世界では、1メートル標高が違うだけで微気象が大きく変わる。だから自分の畑に霜が降りるかどうかということを知りたい時には、究極的にはアメダスのデータを観ていてもあまり意味がないことがあるのである。んで、自分の畑の数カ所に気温や湿度センサーがついていれば、リアルタイムデータが採れるので、精度の高い予測と対応(防霜対策)が可能になる、、、なんてのがわかりやすい例だ。
でもこのセンサーが高かったのだ。信頼できる精度がある気象センサーロボットなんて数百万レベルだったのである。それを価格破壊したのがウェザーバケットという製品だ。
で、ウェザーバケットは気象ロボットだが、センサー技術はいろいろある。pHを計るセンサや土壌水分量センサなど、色んなマニアックなモノがある。これまでそうしたセンサは業務用の世界に向けて販売されていたのだが、それをもっと個人寄りの展開にしていこうという話が出ているのである。それを仕掛けていこうとしているのが、日本の分析・測定機器メーカの大手である堀場製作所だ。先日、見事に株価が2000円台に乗ってしまった。買いそびれた、、、
その堀場製作所とのコラボで、農業向けセンサー機器のディスカッションをし、ひいては新製品開発に繋げるためのコミュニティblogを作ることになった。それがagrisensorである。農家さん向けですが、関心のある人、ご覧下さい。実はこのセンサーネットワーク、醸造業や加工食品業からも注目されている。そういう異分野もどんどん話に入ってきてくれればと思う。
■agrisensor
http://blog.agrisensor.org/
という、本業のお話しでした。
堀場製作所とコラボで進めている農業向けセンサー機器の研究ブログであるagrisensor(アグリセンサー)の記事を更新しました。
■agrisensor
http://blog.agrisensor.org/
民間の気象情報会社であるウェザーニューズ社が、かなり刺激的な事業プランを立ち上げたというのが本日の更新記事なのですが、、、
その一つ前のエントリで、北海道の十勝でジャガイモ生産をしている十勝やっち君が、非常に困った問題に直面しています。十勝やっちだけの問題ではなく、十勝一帯に拡がる恐れのある問題なのですが、、、
ある企業が販売した種芋に、芋類の生産の最悪の敵といわれるシストセンチュウがくっついて伝染した可能性があるということなのだ。まだ調査中なのでなんとも言えないということらしいのだが、、、このセンチュウはジャガイモ栽培には壊滅的な力を持っていて、十勝全域が今後ゆっくりと汚染されてしまうことをおそれる声も多い。そんな現場にいる十勝やっちの生の声がコメントされています。
ということで、ご関心の向きは覗いてみて下さい。
うーむ とうとうこのサイトを紹介する日が来たなぁ。
実は本日から、僕と仲間が主催する「就農塾」というセミナーが開講する。これを始めるきっかけは、昨年の秋に東京農大の4年生2人と出会ったのがきっかけだ。彼らは農業法人への就職を決めていたのだが、
「やまけんさん、農大生は農業に就職したいのが一杯いるんですよ!でも情報がないんです」
と言うのだ。それがきっかけとなって、実は就農塾が立ち上がったのである。
で、そのきっかけになった二名の農大生、タケとナオは、今どきなかなかいないカップルである。彼らの就職先はなんと東京から遠く離れた北陸のとある農業法人だ。
「お前ら、そんなに早く人生決めちゃっていいのかぁ!」
「うん、、、いいんじゃないかと思うんすよ、、、へへ」
とテレながらタケとナオは旅立っていった。
その二人にぜひ、ブログを書いて欲しい。農大を卒業したとはいえ、農作業は素人である。その二人がどのように農業に就職し、日々を過ごしていくのか。すごく面白そうではないか!ということで、就農塾のWebにブログツールをインストールし、彼らに開放した。それがこのブログだ!
■僕らの農業就職日記
http://shunou.under.jp/wordpress/
等身大の若いカップルが農業という世界に飛び込んでから体験することを、生身のままで書いてくれと言うのが彼らに対するオファーだ。同時に、就農塾の受講生にとっては「先輩・チューター」という位置づけになる。これほど役に立つ現場情報も無いだろうと思うからだ。
ブログは公開されているので、ぜひ農業への就職とはどんなものかと思う皆さんもご覧下さい。この一連の物語は、いずれ就農塾の講義内容と共に書籍にまとめることができればなぁ、と思っている。
彼らがどういう物語を紡ぎ出すのか、何を隠そう僕自身が楽しみだ。
宮崎県のマンゴー部会長に対する義援金にご協力いただいた皆さん、本当にありがとうございました。
総額617,585円、38人の方々からいただきました。
このお金は、宮崎県西都市の農協職員の沼口くんから、部会長さんに直接手渡しさせていただきます。
「僕の職場でカンパを募ったってこんなに集まらんですよ!」
と沼口君は感謝に堪えない様子でした。部会長から何か皆様へメッセージがあれば、このブログでお届けしますね。
もちろん義援金という形にはならなくても、農村の厳しい現状に対する意志を持って頂いた方々にも感謝。
先日、こだわり農産物の宅配ネットワークである大地を守る会の藤田会長とメシを食べた時にこの話題になりましたが、心に残ることを言われました。
「ヤマケン、俺たちはそう言う時にね、ただお金を送るだけじゃなくて、彼らが今出荷できるモノ、それは作物でもそうでなくてもいいんだけど、それをちょっと高めに売るんだよ。消費者はもちろんその状況しわかった上で買って、支えるんだ。」
そういうネットワークがすでに日本にも、まだまだ10万人規模だけれども在る。そうしたパワーを少しでも世の中に拡げて行かなくてはいけないなと思いました。
一方、農家の友人から指摘されたのは、ハリケーン・大型台風などの発生を助長してきた環境破壊の中でも最たるものが現代農業だということ。気象・気候を含めた環境をより佳く改善していけるような農業体制を作らないといけないのではないかと、痛烈なメッセージもいただきました。確かにそういう側面があるのは間違いないことです。ハウスで加温して作物を育てるというのは無理があるのでは、ということですね。ただ、この問題はヒトの生き様と経済とのバランスに大きく関わってくること。急激に変えていくことは難しい。沢山の矛盾をはらみつつ、人間は生きていくものなのだなと思います。本件はもう少し時間ができたら(いつのことだ!?)考察をしていきたいと思います。
とにかく
今回の義援金にご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました!お名前を先方にお知らせしていいと書いてくださった方は、部会長にきちんと伝えますね!後日、沼口君からレポートしてもらいます。
先日、北海道のアグリウェザー社が開発している低価格な気象ロボットシステム「ウェザーバケット」の話をしたが、農業用のセンサー機器の開発についてあれこれ書いているブログ「アグリセンサー」にて、そのシステムを公開している。
■アグリセンサー
「新章開始!ウェザーバケットによる本格的センサーシステムの行方」
http://blog.agrisensor.org/
現在は実験的に北海道の数カ所。
もうすこししたら(っていつじゃぁ~)我が家のバケットも再設置するので、そしたら江東区の木場周辺の人たちは、ローカルな気象予測ができます!お楽しみに。
このブログでもお馴染みの北海道は十勝・更別(さらべつ)の農家である十勝やっちが、昨年に続いてジャガイモをブログ読者さん中心に販売するそうなので、僕のブログからもリンクを張っておきます。
■十勝やっちのブログ
我が家で取れたジャガイモ販売します!!
http://d.hatena.ne.jp/yatti/
■昨年の過去ログ
フライドポテト好敵品種 「ホッカイコガネ」を食べたいか!?
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/000506.html
で、今年は、ホッカイコガネとメークイン、そしてさやかという3品種を販売する。
僕は十勝やっちと申すものです。
やまけんさんのご協力により今年度もじゃがいも販売することになりました。
今回は昨年販売した「メークイン」「ホッカイコガネ」とともに、やまけんさんの出版した「やまけんの全国出張食い倒れガイド」でもご紹介された「さやか」という品種をあわせた3種類のジャガイモをセット販売として売ることにしました!
いずれも煮崩れしづらく調理しやすいのが特徴です。
しかし3品種とも得意な調理法があり、メークインは煮物、ホッカイコガネはポテトフライ、さやかはポテトサラダが得意なのです。今回はそのじゃがいも、メークイン・さやかを2kgづつ、ホッカイコガネを3kg計約7kgのじゃがいもをセットで販売します!
このジャガイモ、実はしばらく前に僕のエントリでフライドポテトを楽しみながら載せたばかりである。

■じゃがいもの季節、フライドポテトの季節がやってくる!
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2005/09/post_628.html
ちなみに僕の超お奨めはなんといっても「ホッカイコガネ」である。通常、ホクホクと粉っぽい肉質をしていると煮崩れがしやすい。しかし、粘質系と言われるネットリとした食感を好まない人もいる。しかしホッカイコガネは、ホクホクとしていながらも煮崩れがしにくいという、極めて扱いやすい特質を持っているのだ。だから煮て良し焼いてよし、そして何より揚げると素晴らしく旨い!
「メークイン」はいうまでもなくネットリとした粘質系の代表とも言えるジャガイモだが、十勝やっちの畑で獲れるメークはネットリとしながらもホッコリ感もある。フライドポテトにしても旨かった。「さやか」は色が白く、味わいも淡泊なため、ポテトサラダにすると映える。
やっちの畑から収穫された今年度産の芋はすでに味見させてもらったが、極めて良好!昨年は10箱限定だったが、今年はもっと数量があるようなので、ぜひ食べてみて頂きたいと思う。
十勝やっち、寒い冬がやってくるけどガンバレ!
昨年、宮崎県を襲った台風で、西都市のマンゴー農家のハウスが倒壊、莫大な被害を出した一件を覚えておられるだろうか。このブログで義援金を募ったところ63万円集まり、部会に寄付させていただいた。その後、部会長の島地さんから御礼の連絡をいただいていたのだが、それから初の出荷期を迎えて、東京市場の見学に来る際に事務所に寄ってくださったのだ。

左から島地部会長、尾崎さん、楯さん、そして宮崎経済連東京事務所の永友さんだ。
「本当にあの時はありがとうございました、見も知らぬ方々から、義援金をいただきまして、部会員一同本当に驚き、ありがたく思いました。おかげさまで部会から離農者は一人も出ていません。
ハウスは10アールあたり1500万円程度の費用がかかります。大体ひとり40アールくらいの面積がありますので損害が多大です。今回、補助がつくことになりましたが、それでも個人負担分だけで1千万円程度はかかるみこみです。また、気温が低い時期にはボイラーを炊きますが、原油価格の高騰で42円→69円程度になり、生産費用がかなり上昇しました。宮崎県全体のマンゴー生産量は増加しましたが、うちの部会では約1億円の減収となります。
しかし、マンゴーの樹の生命力はすごいもので、ハウス倒壊し冠水してしまったにも関わらず、一本もダメになった樹はありませんでした。倒壊後、部会員や関係者が共同で対応したのがよかったと思います。義援金の存在もそうですが、私たち一人一人だけでは絶対に立ち直れませんでした。
まだまだ問題が立ちふさがっておりますが、負けないで頑張って農業を続けます。本当にありがとうございました。」
ちなみに現在、宮崎マンゴーはかなりの高値で取引されている。写真に写っているのは3Lという規格で、化粧箱に入れて販売されるものだ。これが2玉でなんと1万5千円、しかもそれは卸売価格だ。

「ただ、こうした高値で売れるものは全体の2割です。それ以外のものは安くなりますし、売り方を考えないといけません」
消費者からすれば、自宅用には小さいモノや色・形の悪いモノなどをもう少し値頃に買いたいところだ。ただ、そうなると生産費用がまかなえないくらいのレベルに落ちてしまうこともあるという。まだまだ宮崎マンゴーは高嶺の花、である。ただ、それくらいの方がいいのかもしれないが。

これはマンゴーゼリーだが、輸入の同等のものよりもマンゴー含有率が高いそうだ。
「通常は5%程度果肉を使えば上等らしいですが、これは20%以上マンゴーを使っています。自信作ですよ」
ということだ。
今回、僕はこの3Lのマンゴー2玉とゼリーをお土産にいただいてしまった。
正直いって僕だけいただくのは申し訳ない。
本当は義援金を出して下さった39名のみなさんと共有したいところだ。
部会長さんも言う。
「義援金をいただいた皆さんに本当はマンゴーでお返ししたい。でも、本当に申し訳ないのですがいまそれは難しい状況です。せめて御礼の言葉をお伝えしたい」
ということだった。義援金にご協力頂いた皆様、申し訳ない、代表して私がいただくことにします。きちんと撮影してブログに載せます。
ご一同、百貨店の売り場を廻るということで事務所を後にされた。
昨今、農業ビジネスが熱い、みたいな感じで投資意欲や参入意欲が高まっているようだ。新聞記事も新しい動きがある、ということをいろいろと記事化している。けれども、農業で経営を成り立たせていくのはそんなに簡単なことではない。株式会社が参入したところで、ノウハウと販路を持っていない限り成功は難しい。
でも、農業は尊い営みだ。
日本の農業を取り巻く状況は厳しさを増しており、矛盾も多く、困難の時代が続くだろう。それにも負けずに立ち向かう人達を少しでも応援したいと思う。
各種の計測機器を農業に活用する試みをしているアグリセンサーブログにて、ウェザーバケットを用いて新たなシステムを構築するプロジェクトが始まっている。
■ウェザーバケットがやって来た!
http://blog.agrisensor.org/archives/2006/04/post_16.html
■観測データを公開しよう!
http://blog.agrisensor.org/archives/2006/04/post_2.html
■気温のグラフを書いてみよう!
http://blog.agrisensor.org/archives/2006/04/post_17.html
これを実施しているのは、古くからいろいろとご一緒させて頂いているナガトモさんだ。PHPを用いてバケットから取得したデータをグラフ化し表示するという仕組みを公開している。
バケットのデータはCSVファイルの形式でローカルに保持されるため、サーバの運用とプログラミングの心得のある人であれば、簡単に気象情報を各種加工して公開するプログラムを書けるはずだ。
バケットに関心を持ってくれる人も出てきた。
■Kilala’s .TEXT
http://kilala.mydns.jp/dottextweb/archive/2006/04/11/715.aspx
このブログを書いているひでぼさんについては、実はあるソフトウェアを作って頂き、お世話になっている。これも近く書かせて頂くつもり。
農業に対してITができること、はいろいろある。
15年前くらいに、農業分野にITを導入してうんたらかんたらというブームがあった。
相当な補助金などが出て、PCを配りまくったり、大きなシステムが構築された。
でも、本当にITが農業分野で活用できるようになってくるのは、これからだと思う。
今年はこちらの方面でもいろいろやらねばならなさそうだ。楽しみ。
小野寺美佐子さんからだだちゃ豆をおくっていただいた。小野寺さんは山形県の鶴岡市で農業と農家民宿を営む女性で、この世界では有名なひとである。
■過去ログご参照のこと
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2005/09/post_620.html
先日、農協組織である全農庄内に講演に呼ばれたとき、ちょっと離れてはいるが美佐子さんの宿に泊めてもらうつもりだった。しかし東京に戻らなければならない一大事が発生してしまい、急にトンボがえりせざるを得なくなったのだが、そのとき彼女は空港まで駆けつけてくれたのだ。情の厚い美人女将。はやいとこ宿に泊まりに行きたいんである。
その美佐子さんが電話で言うのだ。
「やまけんさんが前に載せてくれただだちゃ豆の写真は美味しくなさそう!今度いちばんいい時期のを送るから、もう一回載せて、のぅ。」
最後の「のぅ」というのが、どうやらこの鶴岡あたりの方言で、関東では「ねぇ」というのに対応刷ると思うのだが、美佐子さんの「のぅ」は実に味わい深い響きをもっているのだ。
ということで改めて届いただだちゃ豆を茹でる!
一口食べて、叫んでしまった!
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお 旨い!」
なんと味の濃い、そして茶豆特有のあの芳ばしい香りの強い豆なのだろうか!
美佐子さんはJAS有機の認定を取得した米も栽培しているので、ということは有機肥料中心の肥培管理をしているはずだ。このだだちゃ豆の濃い味と香りは、土壌と肥料に由来するものだろう。絶品である。
美佐子さん、ご馳走様でした!
可能であれば9月くらいにそちらに伺いたいと思います(8月中は無理っぽいです)。
すでに各メディアで報道されている通り、ウィルコムが凄まじいマシンを発表した。PDAやスマートフォンなどの、「携帯以上、パソコン未満」と言うべき端末とは一線を画したものだ。何といってもこのマシン、WindowsVistaが動く。つまりPCである。HDDも40GB搭載されている。それなのになんと470 g。そして、ウィルコムが誇る、差し替え式のW-SIMを刺せば、定額で高速なインターネット通信ができるということに留まらず、OSの起動状態にしておけば、通話も可能だという。これまでになかったタイプの利用シーンを考えることができる、超弩級端末だと思う。
ちなみに何回かこのブログにも書いたけれども、僕は熱烈なウィルコムユーザーである。携帯電話は、友人のを使っているだけで頭が痛くなるので「これはヤバイ」と思い、自分で契約して使ったことは一切ない。現行のPHSはご存じの通り、電磁波の量が1/20程度で、病院内でも通信端末として使用されているほどである。
僕が携帯電話の番号を聴かれた時に「えーっと、070の、、、」と言い出すと、必ず言われるのが、
「なに、まだPHSなんか使ってるの?」
という台詞だ。そのあとに「ホントに繋がるの?」という言葉がくるのが通例。しかし、そういう人の99%(あえて100%とは言わないが)が、実際にはPHSを使ったことがないか、もしくは初期のPHSしか使ったことがない人だ。
ウィルコムのPHS網は、人口カバー率はすでに99%である。つまり、都市部であれば日本全国で繋がる。ただし、携帯電話のようにどでかいアンテナで数万人が使えるような電波をドカーンと出す方式ではないため、人が住んでいない地域は基本的に難しい。だから、僕がよく行くような、地方の農村地帯で、日中だけ人が作業しに畑に入るというような場所では繋がらないことが多い。でも、それは特殊ケースだ。
それに、通話品質は固定電話以上によい場合が多い。それは使ってみればわかるはずだ。ずっと長い間、携帯電話の音声品質には我慢ができなかった。
そして、ネット接続性能。よくドコモやauなどで数メガバイトという早さを書いているけれども、価格と安定性を考えると最も実績があるのはウィルコムでしょう。
なんでここまでオイラがウィルコムを応援するかといえば、世の中にもっとPHSユーザーが増えれば、もっとサービス内容が佳くなるはず→自分のためになるからであり、そして食い倒れ日記の古くからの読者である喜久川社長のことが大好きだからである。
これまでも、他のウィルコムファンの方々には「あれは反則だろう」といわれた、初代W-ZERO3に本格的な塗装で食い倒れロゴをあしらった、通称「シャアぽん」を覚えておいでだろうか。 
今だから言うが(前にも書いたかも知れないが)、これは僕のブログ読者の某携帯電話塗装会社の方が「塗ってあげますよ」と、ご厚意でやってくれたものだ。ちなみに初代期以降のW-ZERO3は、表面加工の関係上、こんな抜本的な塗装はできない状態らしい。残念ながら最近はこの初代マシンは使っていないのだけど、このマシンは永遠にとっておくこと確定である。
その後、W-ZERO3[es]、そしてアドバンスドesこと”アドエス”も所有し、使っている。もちろん今回のD4も、出たら真っ先に使うぞ!と宣言するつもりだが、、、
それ以外にも、もう少ししたら面白い発表をさせていただくので、楽しみにしてもらいたい。それは、、、
「ウィルコム端末を使った農業アプリケーションの開発」
である。
ここ2年ほど、W-ZERO3を使って農業関連のアプリを動かすことができないか?という実験をやってきたことは過去ログでも既報済みだ。
長島農園プロジェクトと銘打ち、長島農園の勝美君に、栽培履歴情報をW-ZERO3を用いて記録してもらうということをしてきた。
栽培履歴とは、農産物をどのように栽培したかという記録のことだ。どんな種子をどこに蒔き、肥料は何で、農薬は何をいつどれくらいかけたということを記録・記帳するものだ。長島君は農協には属さないので、独自でこうした情報を記録する必要があり、これまでは紙ベースのものや、PDA(なんとCLIEだ!)を駆使してきた。けれども、今後のことを考え、きちんとデータとして残すことができるものが欲しいということで、共同プロジェクトと銘打って始めたのだ。
まず最初の段階では、W-ZERO3をインターネット端末として用い、農作業の栽培履歴を採ることから始めた。
画面がちょっと汚くなってしまっていると思うけど、これはWebアプリケーションとして動作する農薬情報の記録・判定システムだ。あるプロジェクトで開発されたシステムを試験利用させていただいた。
結果、もちろん完全に動作するのだけど、Webアプリを動かすということになると、初代W-ZERO3ではレスポンスが遅いね、ということになった。というのは、ブラウザを用いたネット越しでのやりとりになるので、きびきび動かないということだ。
この辺は通信速度と端末の動作スピードの双方が進化すればOKになるとは思うのだが、初代機の時点では難しいね、ということに相成った。
ならば、、、W-ZERO3上で動くネイティブアプリケーションを開発してしまおう!ということになったのだ。幸いなことに、昨年度はがむしゃらに働いたので、少しばかり利益が出そうになったので、プログラムを製作することにした。今、テスト中なので、もう少ししたら公開する。
公開する、というのは、フリーソフトとして配布するということだ。これについては、僕の夢だったのだ。夢というのは、、、
農業版のOFFICEとも言えるようなソフトウェアを、世に出したいという夢があったのだ。もちろん僕はプログラムを書くことはできないけど、そのプロデュースをしてみたいと常々思っていた。
今回作成中のシステムは、PDA業界では超・有名な方に開発を委託している。それもご本人の了解をいただいたら発表したいと思うが、もの凄い方だ。仕組みとしては、W-ZERO3(これまで出ている全シリーズで動作する)上で農作業の記録を行い、それを母艦PCに接続してシンクロすることで、エクセルで管理することができるデータベースにするものだ。もちろん、記録したデータは、品目ごとに栽培記録データを印刷するなどが可能である。
いやー 一度言ってみたかったのですよ、「日本初」という言葉を!でも、日本初じゃなかったりして、、、
ま、初じゃないかもしれないけど、W-ZERO3上で動く農業アプリケーションソフトを、もうすぐ公開します。それも、フリーソフトとして公開します。周りに農業関係者がいたらぜひ教えてあげてくださいね。
ということでウィルコム頑張れ!次世代型PHSにも期待してるぞ!
石川県に呼んでいただいて、就農希望者や農業者さん達に講演することとなった。以前、和太鼓メーカーの浅野太鼓店に寄らせてもらったりした過去ログがあるが、その時はアグリファンド石川という、石川県内で元気な農業をしている生産者の集まりで呼ばれたのであった。その事務局担当者として、いろんなところに案内していただいたのが田中さん。JAバンク石川という、県レベルで農業者に資金を融資したりする金融機関の方である。車中でいろんな話をして、なんともまじめでナイスガイな方だった。今回、小松空港に降り立つと、その田中さんが車で迎えに来てくれていた。
「県の事業ですが、今日一日は視察されるということで、案内させていただきます。」
なんと休暇を使って案内してくださるという。一週間のコンプライアンス休暇というのをとらないといけないので、ちょうどいいんですと笑ってくれていたが、本当にありがたいことだ。
そして、石川の元気な農家巡りが始まったのである。
■「風来」 西田さんの野菜を観る
さてまず連れて行ってくれたのは、前回の講演の時に最前列できいてくれた西田さんの農場だ。と思ったら、自宅兼作業場兼、自然食品店になっている!
「山本さん、どうもお久しぶりです!」と握手。西田さんはバーテンダー、ホテルマンなどのサービス業を経て、就農した人だ。しかもその農業スタイルが非常に面白いのだ。
何が面白いかというと、、、持っている畑がたったの3反歩なのだ!
3反歩というのは、900坪ということになる。だいたい、日本の農家の平均的な面積が1ha程度だが、その1/3くらいだろうか。その面積で、先の写真にあるように他種類の野菜を作付けしているわけだから、それぞれの量は多くない。
これが、彼の畑。
ちょうど春作物に切り替わる前の端境期(はざかいき)だったため、作物は少ない。
メインのハウスが3棟で、その残りを露地野菜用のスペースとしているようだ。それら野菜を複数品目、宅配パックにしたてて販売しているのがメイン。ちなみに栽培は無農薬であり、化学肥料使用しない。有機JASなどは取得しないでやっている。
それにしても3反歩で野菜というのはなかなかにすごい。「よくそれで食っていけますね!」と驚くと、彼は言うのだ。
「家族が食べていけるだけの分しか栽培しません。それ以上やって儲かると言うことは、つまり働き過ぎってことですよ。」
もちろん、生産した野菜はすべて自力で販売する。県内の農場で研修した後、まずは自分で生産した野菜をリヤカーに乗せての振り売り(行商)から始めたそうだ。
「新規就農する人には、まず振り売りをしろと言いたいですね。振り売りができるようになったら、何でも売ることができます。」
京都などではまだ振り売り文化があるが、金沢でもやるんだぁ、と思ったが、最近は少ないそうである。そこで振り売りができるようになれば、一人前のコミュニケーション能力を持つことができるということなのだ。
「あと、野菜をそのまま売っているワケじゃありません。うちの母がキムチを付けるのが得意で、うちの白菜やキュウリなどをキムチにして販売します。奈良漬けや、鯖のこんか漬け(へしこ)なども。やっぱり、野菜だけではなくて、加工したものも織り交ぜないと。」
という言葉通り、店内のショーケースには自家製の漬物類が並んでいた。
「さてさて、じゃあ昼ご飯にしましょう、今日はうちでお昼を食べていってください!」
おおっと アグリファンドの田中さんの方で、粋な計らいをしてくれていた。お店で食べるのも嬉しいけれども、農家のご自宅のご飯ほど旨いものはなかなかないのである。
西田さんの奥様こころづくしの手料理。こいつがまた美味しいのである! 
みごとな押し寿司!この辺じゃみんな造りますよ、ということだが、なかなか手が込んでいる。笹の葉にくるまれているのをとると、下にも油揚げなどが押されている。そして、米が美味しい!
「うん、うちの田んぼで自家用の米ですけどね」
おそらく、親戚に農家がいる人以外は食べられないだろうけど、農家の自家用米は美味しいものばかりなのである。
豚のショウガ焼きかと思ったら、ローズマリーと炒めた塩味。これがまた、アクのないスッキリとした豚肉で、非常に質がいい。仲間の養豚農家さんのものだそうだ。
美味しかったのがこのフォカッチャ。これは後述する、井村さんという麦農家さんの小麦を使ったものだそうだ。薫り高いし、だいいち焼き加減が絶妙。奥様、かなりの料理上手である。
紫キャベツと春キャベツの炒め物。食べてみると、独特の癖のある、旨味の強い調味料が使われている。おおおっと、これは魚醤の風味。そしてここは北陸ということは、、、
「これ、いしるが使われてません?」
「ピンポーン!いしるをさっと回しがけしてます」
いしるは、イカを原料とした魚醤だ。数ある魚醤のなかでも、イカの香りが強く出る、独特の風味だ。マイルドなキャベツが、非常にエッジの効いた味になる。
風来のキムチと牡蠣、卵とニラのスープ。実にこっくりとしていて美味しい!いや、やはり農家の食事は最高である。
「農家は面白いですし、食のことを伝える役目も持っていると思う。だから、うちはできるだけ消費者とコミュニケーションをとるようにしています。」
例えば、小さな畑にいろいろ植えられているのをマップにして宅配ボックスに入れている。
そうすると、それをみたお客さんが「観に行きたいな」と思い、実際に足を運んでくれることもあるという。いちど来たお客さんは、精神的な絆ができるから、ファンになってくれるのである。
料理上手の奥さんも一体になり、風来は頑張っている。このようなミニマムな営農形態で、きっちり食べていける農業を展開しているのは非常に面白い。野菜やキムチを食べてみたい人は、彼のWebを訪問して欲しい。
■無農薬野菜 風来 http://www.fuurai.jp/
(ちなみに、上の写真左側の笑顔の方は、後で登場されるので説明はしないでおきます)
さて美味しい昼食をいただいた後、一路 平松牧場へと向かう。
平松牧場は、加賀市で酪農を営みつつ、ジェラートハウスを併設し、牛乳のみならず加工乳やアイスクリームなどにして、直接販売するという経営をしている。
実は今、最も大変な農畜産業といえば、酪農である。トウモロコシなど、畜産の餌となる穀物が高騰している一方で、乳価は安く引き下げられている。これから少しは乳価が揚がるが、それでも店頭でミネラルウォーターよりも安い価格で牛乳が販売されている現状はおそらく改善されないだろう。
だから、酪農の経営では、生乳をせいさんして乳業メーカーに売るというこれまでのスタイルから、自分で加工して価値を高めて販売するという方向に転換しようとしている経営体が多いのだ。
ジェラートやソフトクリームなどを作るのが、なんとこの牧場の息子さんと娘さん。家族経営は強い!
ジャージー種とホルスタイン種の生乳をブレンドした牛乳をいただく。もちろんパスチャライズ殺菌なので、美味しい。ジャージャー種の乳100%だとちょっとくどいが、ブレンドすると非常に美味しく飲める。
ラムレーズンのジェラートも美味しゅうございました。
「あらセンセイ、ようこそいらっしゃいました!」と顔を出してくださったのが、農場長の奥様である。
さっそく、隣りにある牛舎を見学させていただく。
観光農園としても機能しているからか、牛以外にもいっぱいいる!こいつはロバ。
ウサギも可愛い!
そしてホルスタイン。
実は、いろんな牛の品種があるけれども、ホルは神経質なのが多い。けれどもこの平松牧場のホルスタインは気のよさそうな子ばかりだ。ストレスを与えない飼い方をしているからだろうか。
そしてジャージーちゃん。とっても可愛い品種なのである。
しかも人なつっこい。カメラを舐めんばかりに近づいてくる!
ひえっ危ない!カメラが舐められるところであった、、、
「そうだねぇ、うちはもう、濃厚な餌を与えて、たくさん乳を絞ってというやり方に疲れちゃったんだよね。だから最小限の頭数で、いい乳を絞るってことを考えてやっているから、牛も健康ですよ!」
と、平松牧場の長・忠利さんが仰るのである。
畜産業は、野菜や稲作よりもリスクが大きな業種だ。なぜなら、生き物を飼うという非常に不確定な要因と、牛舎や牛の導入など、初期投資の大きさが桁違いなのだ。みな莫大な借金を抱えて経営をしているのに、乳価は自分たちで決められず、生産原価を割ってしまう勢い。このままだと日本の酪農はどんどん減っていくだろう。事実、昨年と今年で、離農する酪農家が非常に多いのである。
だから、乳を自分で売っていくという方向性に梶を切りたい農家さんも多い。しかしそれもまたリスクである。そのリスクを背負って勝負に出ている酪農家を、応援してあげて欲しい。ナショナルブランドの、何が入っているのかわからないアイスクリームを買うのではなく、ちょっと足を伸ばして、酪農家が経営するアイスクリーム屋さんで買うだけでも十分だ。
■平松牧場のWeb http://w2272.nsk.ne.jp/~kaoru.h/
さてお次は米を中心とした生産法人である六星。ここはものすごく可能性を秘めた法人である!
以前、この六星から送られてきたかぶら寿司のことを掲載したことがある。かぶら寿司とは、北陸を代表する魚である鰤(ブリ)の切り身を大きなカブに挟み、麹でつけ込んだもの。日本で最も美しい漬物といえるであろう一品である。詳しくはこちらを。
■2006年01月04日 明けましておめでとうございます! (かぶら寿司)
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2006/01/post_708.html
つまり六星というこの生産法人は、米を中心にしながら野菜も積極的に生産し、なおかつこんな大きな直売所と工場まで建てて、加工品まで手がけているのである。
この生産法人の若き社長が、この軽部さん。
実は東京出身で、結婚を機に、嫁さんの実家を継ぐ形でこの六星に来た方である。もちろん他業種からの転身。だから、経営マインドをもって農業に取り組んでいる。
「あのですね、最近メディアが簡単に農業参入を謳ってます。ニートは農業をやれ、とかね。でもね、そんなに甘い産業なわけがないですよ!無責任にあおらないで欲しいですね。」
という。実に実に同感! 最近のメディア(テレビ・雑誌)は本当に無責任にそして無根拠に、農業ビジネスがイイなどと書いているように見える。書かれていることの多くが空虚である。ま、それはまた今度書こう。
で、この六星には、僕の大切な友人カップルが在籍している。川嶋タケ君と、菜穂ちゃんカップルである。農大出身の彼らは、全く躊躇無く就農を志す。どこにどんな農業者がいるのか情報がまったくないまま、全国を探している中で出会ったのが、この六星の会長さんだという。つまり軽部社長の義父さんだ。
実はこのカップルとの出会いが、数年前に僕と仲間達とで運営した「就農塾」のヒントになっている。「就農希望者向けの情報や講座が少ないんですよ」ということだったのだ。今では色んなところが就農希望者向けの情報を提供しているが、3年前はまだそんな状況ではなかったのである。
この日、タケはなんと僕と入れ替わりで横浜に出張。残念!久しぶりに会う菜穂ちゃんは実に充実した顔だったので、一安心である。
六星ではいま、お弁当の販売も行っている。いずれはイートインも、ということだそうだ。とてもいいと思う。なぜなら六星の農産加工品はことごとく美味しい。数年前に大根を送ってもらい、十数種類の大根の食べ比べをしたことがあるが、実はこの六星の大根がぶっちぎりで好評だったのである。
六星の強みは、社員に若い世代が圧倒的に多いことだ。10人ちかくの30代以下バリバリ若手が居る。そして社長も若い! 今後、大いに期待である。
■六星のWeb http://rokusei.se.shopserve.jp/
さぁて 長くなるのでいったんこの辺で。
さて、大急ぎで次の生産者さんのところへ。お次は、石川といえば必ずこの人が出てくると行って過言ではない林農産さん。
西田さん家でお昼を一緒に食べていた人である!
正体は、35haの規模で稲作を行っている、地域でも有名な篤農家だ。
「まあまあ、まずは作業場を観てくださいよ。」
と案内された作業場内には、6名の社員さんが立ち働き、お餅の加工をしていた。
石川県は稲作中心の産地だ。稲作とは切っても切れないのが餅加工。
「市販の大メーカーの餅なんて、餅じゃないからねぇ」
というように、実は石川県内でも、周りの消費者や農家までもが餅を買いに来るという。味が圧倒的に違うのである。
事務所内に入ると、笑っちゃう社訓が額装されていた。
「補助金はモルヒネ」!!!!!!!!!!!!!!!
名文句である。もちろん林さんの手によるものだ。彼のWebをみると、それについてこのように解説されている。
「一般に、農業は弱い産業だから国が守ってあげなければならないと言う事で、 補助金と言う名で色々な助成をしています。林さんちでは、親の代から農業補助金事業は受けるなという家訓があり、 法人化してからも、それを守っています。したがって、営農資金は全額、自己資金と借入金です。 でも、どうしても自然に入ってくる補助金もあるので、中毒患者にならないように、 補助金はモルヒネという表現にしました。
林さんちが、まがりなりにも経営出来ているのは、 補助金中毒にならず、自主独立の気持ちがあるからです。ここ3期は、おかげ様で法人税も支払えるようになりました。 ようやく国道の真中を走れるぜ!」
立派である。その林さんが目指すのは、「23世紀お笑い系百姓」である。
「インディアン、アボリジニ、アイヌといった自然と共生している民族は、 何をするにも孫の事、そして重要な事を決定する時には7世代先の事を考えるそうです。林さんちも、 それにあやかり200年先の事を考えて行動しようと考えました。
しかも楽しく笑ってやれる方法は 無いかと日々努力しています。「バカは世界を救う」頭の良いと言われる方々が地球をダメにしている今、 今こそ、お笑い系百姓の立ち上がる時です。まったく今までにない感性の林さんちに触れて見て下さい。」
詳しくは彼のWebをみていただきたい。随所に痛快にバカバカしい写真や意匠がちりばめられている。
■林さんちのお米、玄米、おもち
http://www.hayashisanchi.co.jp/
はいどうぞ、とかき餅の揚げたのを出していただく。もちろん林さんちの餅だ。
味は実に素朴そのもの。米の持つ甘さと旨味に、黒大豆の香ばしさがアクセントに。いまや中小メーカーのせんべいやかき餅の原料までも外国産米になってしまっている一方で、農家が造るこうした加工品は非常に重要であり、相対的にホンモノ度が増しているといっていいだろう。
林さんの農業について僕がとやかくいうのも不適切である。しかし、話題に上った中で、これだけはみせておきたい。
この地図は、林農産が所有または賃借している農地を塗ったものである。35haといえば相当に規模が大きいが、それが広く一枚になっているわけでは全くない!飛び地になっているのがわかるだろう。上の写真で林さんが指を指しているあたりは住宅街。
「ここでやるために、農薬や肥料を減らした特別栽培をしているんですよ。住民への配慮を逆手にとってね」
と明るく言うけれども、そういうところでオーバーヘッドコストもかかる。
最近、いろんな雑誌で農業ビジネス特集が賑わっているけれども、本当にきちんと調べて、識者の監修で書いてるのかよ、と疑問に思うものが非常に多い。テレビで放映されている農業関連の話題も、無知なディレクターによってバイアスのかかったものになっていることもあるそうだ(先日、日本農業新聞の記者さんが、番組内で台本通りに読むことを半強制されたということを告発していた。)。
そういうところでよく言われるのが、「土地を大規模化・集約して効率的な農業をすれば」ということ。でもね、日本の農地がそんなに簡単に大規模化・集約できるわけがないのである。地権者が何人も居て、しかも地形も平坦ではなく、集約しようとすれば大規模な土木工事を必要とするような農地が多いのに、よくもナンセンスなことを言えるなぁ、と思ってしまう。
「ま、我々は自分のできる範囲でいい米作りをやるってことですよ。笑いながらね!」
と林さん。うん、笑いは重要だよね!
さて大急ぎで次なる地へ。お次は、僕も「石川にこんな人がいたのかよ!」と驚いてしまった人だ。
井村辰二郎さんは、ちょっと驚きの農業経営をしている。麦・大豆・米で100haの規模で営農しているのだが、なんとその多くの面積がJAS有機である。
このブログを読んでいる人ならおわかりだろうが、現在日本で最も管理された農作物は、認証を受けた有機農産物である。認証を受けるために農家は圃場ごとに膨大な資料を作成・提出しなければならない。そして、基本的には化学合成肥料・化学合成農薬を使わない農法で生産しなければならない。最近、「有機といっても、別表に掲げる、認定された農薬は使ってもいいとされていて、結局は安全とは言えない」という議論が散見される。でも、だからといって有機認証を取得していることを貶めるのは、ちょっと筋道が違うように僕は思う。
で、北海道でもないのに100haの規模でJAS有機を取得し、麦・大豆などの重要作物を生産する人がいると言うことに、僕は驚いてしまったのだ。
井村さんは地元の広告代理店に勤めた後、97年に実家を継ぐ形で就農。らでぃっしゅぼーやを始め、慣行農産物以上の基準を持った取引先から引く手あまただそうである。
しかも、自前でメーカーと組んで商品開発を積極的に行っている。
これらぜーんぶ、井村さんの原料素材で造られたものだ。
本当に珍しい、有機の大麦は、このように麦茶となり販売されている。
「いま開発中のものを食べてみてください!」
とその場で開けてくれたのが、豆乳プリン。超微粉加工したものを使っているらしいが、一昔前にはやった大豆の微粉加工機よりももっと細かくできるらしく、舌触りがざらつかない。とても美味しいプリンであった。
もうひとつ、井村さんが取り扱っている石臼が面白かった。
こんなハンディタイプで、麦でも大豆でも挽けてしまう電動石臼である。うーむ事務所に一段欲しい(何に使うんじゃ!)。
と、駆け足で農家を廻ってから、金沢の繁華街「かぶ菜」に向かったのである。ようやく、メシ。
金沢での一夜が明けると、もともと出ていた熱がさらに高くなっている感じで、ホテルのロビーに降りるだけで足下ふらふら、頭が痛くて大変な状況だった。日頃から、化学合成薬を飲まないことにしているのだけれど、これは仕事にならないということで急遽、迎えに来てくれた県の方にお願いして薬屋さんへ。幸いなことに、生薬でいいものがあるというのでいかにも効きそうなものをゴックン飲み干す。ちなみにこの薬の効果は、帰途に着き飛行機内でだんだん発揮されたのであった(涙)
さて金沢行の最初は、夜の飲みでお会いした、五郎島金時芋の生産農家である河二(かわに)さんの加工場だ。
背景が黄色いのは、作業場と入り口を隔てたビニールカーテンがあるからだ。
壁にばーっと並んだオーブンで五郎島金時を焼き、皮をこそげてペーストにして、さましてパックする。単純作業だが、この「焼く」というところがポイントだそうだ。
「実はさつまいものペースト加工では、蒸すのが一般的なんですわ。なぜかというと、蒸すと水分が足されて分量が少し増える。けれども、焼き芋にすると水分が飛んで重量が2割くらい減ります。だから損するわけですわ。でもね、味は焼いた方がはっきりわかるほど旨い。だからうちは焼きでこだわってます。」
その甲斐あってか、いまのところ引く手あまた。通年で出荷するための在庫量を確保することが大変なほどだそうだ。
五郎島金時の生産農家は50軒。出荷量は限られているから、焼き芋加工については競合は出てきようがない。しかしそれでも、仲間内の農家さんから、B級品の芋を出荷してもらうのは大変だという。ここは頑張ってほしいものだ。
このところ全国的に動きが多いのは、いままで農産物の原体としてしか出荷してこなかった生産者自身が、二次加工・三次加工をして付加価値を高めたものを販売することで、成功している事例だ。蕎麦がいい例で、蕎麦を収穫して出荷しても手取りは低いが、製粉して自分のところで蕎麦屋を開いて売れば、当たればものすごい収益になる。もちろん美味しくないとダメだけどね。つまり、一次産品の生産者が、その後の部分もやるという時代に成りつつあるのだ。
面白いもので、飲食業界もそれを歓迎するような状況になってきている。いままでは菓子製造業者が小豆を買って、煮て裏ごししてあんこにしていたわけだけれども、もうそんなことをする和菓子業者がどれだけいることか。こだわったところはやるとしても、量産型の業者はあんこになったものを購入して味を調えるということをしているところが多いわけだ。つまり、食材の加工がだんだん上流へと集約されてきているということだ。
もうひとつ、以前も書いたかも知れないが、食材加工については保健所の指導が厳しくなっていて、工場に泥のついた芋を持ち込んだりすることが厭われている。だから、農家が加工したものを仕入れるのは時代の趨勢に叶っているのである。
とはいえ、加工を行う農家の施設も、衛生基準に適合していなければならないのは当然だ。そうした壁を乗り越えた農家が、第二次・第三次加工の領域に踏み込んでいるということなのである。
河二さんにはぜひ、ペースト加工が軌道に乗ったら、今度は自前で菓子製造までやっていただければ、と期待する。そりゃさぞかし旨いだろうなぁ、、、
さて、県の人から「講演前のランチは、ぶどうの木という店で、、、」と言われていた。ぶどうの木という店名には覚えがあったが、果たして金沢だったっけ?と思いながら店へ。
いやーようこそ、と迎えて下さったのが、本(もと)さんだ。
「え、本さんって農家さんなんですよね?」
「ええ、ぶどう農家ですよ! ま、いろいろ手を広げてますが、、、」
と言うのだけれども、手を広げているなんてもんじゃない!この瀟洒な建物全てが、彼が展開する「ぶどうの木」の店舗やレストランや、ウェディング施設なのである!
本さんは本当にぶどう農家だけれども、ぶどうを生産して出荷するだけではダメだと、自ら加工したり、飲食店を出店するようになったという。それはよくある話だけれども、徹底ぶりが非常にすごい。
洋菓子の並ぶ店内に入ってみると、こんな感じだ。


店の主力商品であるコンフィチュールやぶどうのジュース、ドレッシングなどが並ぶ。数種ではない。数十種類のアイテムが並ぶ!圧巻なボリュームである。

下の写真が、 小松空港でも販売している、バカ売れ商品のジンジャーシロップだ。
その場で焼き上げている洋菓子類も秀逸。
うーん すごい!しかも、必ずしもアクセスのいい場所ではないのに、お客さんがひっきりなしに訪れている。それもほぼ女性ばかり!だから本さんもこのショップについては、女性スタッフにいろいろ任せて店作りをしているということだった。
「スタッフがやりたい、ということは基本的にはやらせるんですよ。まあ中には途中で「自信が無くなりました」っていって辞めていく子もいますけどね」
ということだが、この繁盛ぶりをみると、彼の人的マネジメントの腕がすごいのだろうと夢想してしまう。
こちらはオーベルジュ。
そして、ウエディングスペース!
実はこれら施設はすべて「農地」である。農地の中に、椅子があってたまたま料理を出したりしているという寸法。だから、もちろん収穫のできる、きちんとしたぶどうが至る所に栽培されているのである!
「ぶどうの木の生命力はすごいんでね!どんなところでも生育するんですよ。」
その本さんがこの地で最初に植えたぶどうの木が、河に面した入り口にまだ植えてある。
「この木なんかね、道路を隔てた川から養分を取って生きている。すごい生命力ですよ!」
と、ぶどうの話をしているときの本さんの顔はやはり生産者の顔なのであった。
ちなみに、この「ぶどうの木」という名前とコンフィチュールの組み合わせ、どこかで効いたと思ったら、、、なんと、銀座にある専門店「コンフィチュール・エ・プロヴァンス」は、このぶどうの木の直営店なのであった!
一昨年、コンフィチュールブームが来たときの立役者となった同店に足を運んだ人も多いだろう。なんと、ブロバンスに現地法人を立ち上げ、コンフィチュールを現地生産して輸入・販売しているのは本さんである。いやーびっくりした。
「フランスにずっと一緒に仕事をしてきた、信頼できる人がいましてね。その人と一緒に現地法人を立ち上げてやってます。大変ですけどね~」
いやしかしコンフィチュール商品を買った人で同店の商品を知らない人はあまりいないだろう。日本橋高島屋にも出店しているのだから。
「まあまあ、それじゃオーベルジュでご飯食べましょう」
このオーベルジュも、ウエディングの人気が非常に高くなってきた頃、一般客が予約をとれないことでクレームが多くなり、それで急遽、ウェディングスペースを造ったという、ものすごいエピソードがあるくらい人気があるようだ。確かに、メシは旨い!
ジンジャー&ぶどうシロップの炭酸割り。
本日の魚(カワハギ)のタルタルと野菜のサラダ仕立て。カワハギには肝を裏ごししたものがまぶされていて、しっかり美味しい!
ホワイトアスパラとホタテ貝、フランスから空輸したモリーユにトリュフ。ちなみにこのトリュフは本さんが向こうで職人と一緒に掘ってきたものだそうだ。
「残念ながら、金沢の食材じゃありませんが」かごしま黒豚のグリル。
これがなかなかの火入れ加減で、黒豚の質感がしっとり、旨味も活性化して美味しくなる適度なものだった。
いやー
もう圧巻である!
金沢の元気な農家の中でも「あの人は別格!」といわれる存在であることはいろんな人から聞いたが、本当にすごい。農家を軸に置いた事業家である。
でも、本業はぶどう農家。農に対する情熱があって初めて事業があるというところに、共感を覚える。
「ほら、そこのぶどうの枝から芽が出てますね」
ぶどうが生る季節には、この施設すべてで鈴なりになったぶどうを観ることができるという。よし、次はシーズンにこよう!
ちなみに「ぶどうの樹」というビュッフェスタイルで有名なレストランが、福岡にある。それとここの「ぶどうの木」とは別ものである。
■ぶどうの木
http://www.budoo.co.jp/index.html
まずは銀座のコンフィチュール店を、再度覗きにいってこようかな。
この後、県のイベントで90分講演、そしてパネルディスカッション。ふらふらになりながら帰宅したのであった。またいくぞ、金沢!
京都大学の農学部で教えている大石から、毎年のように「やまけんはすぐき漬け、みにこないのかぁ?」と言われていたのだ。
すぐき漬けは、「すぐき」というカブの一種を乳酸発酵させた本漬け(古漬け)である。おおむね京都でしか造られていないようで、独特の文化として根付いている、ということくらいしかわかっていなかったので、「うん、そのうちなぁ」と流してしまっていた(汗)
実を言えば、理由があった。彼が仲良くしている京野菜の農家である田鶴さんは、上賀茂地区で賀茂茄子を生産している代表的な人物だ。何が代表的かというと、田鶴家は京都府から「賀茂茄子の種採り農家」として認定されている。つまり、賀茂茄子の正当な系統を保存・育成していると認定されている農家さんなのである。
昔からブログをご覧の方はご存じの通り、僕はナス好きである(笑)そして、学生時代から大石と親しくしていた僕は当然ながら彼の大家さんである田鶴家の賀茂茄子をよくいただき、その旨さに悶絶していた。しかし、田鶴家の賀茂茄子は秋口の「これから旨くなってくるんよね~」という時期には片付けられてしまう。なんで!?といえば、それは「すぐきのため」。冬のメイン品目であるすぐきの種まきから逆算すると、賀茂茄子をかたづける時期が決まるということなのである。
なんだよ~ 賀茂茄子優先してくれよぉ~ などと不届きに思って、すぐき漬けに対するプライオリティが一段低くなっていたことは否めない。
しかし!
今回、じっくりとその過程をみせていただき、しかも仕上がってきたすぐきをたべたことで、やっぱりすぐきは京都の重要な文化であり、しかもそれは「農家の文化」であることがよーくわかった! わかりすぎるほどにわかった! ので、心を込めてこのエントリを書いていきたい。
ちなみに時点は昨年の12月6日。冬まっさかりの寒~いさむい時期のお話しである。
京都駅から北山に移動して、大石の車にピックアップしてもらったのが3時半くらい。もう陽がかげってきてしまっている。
「すぐきは本当は、農家が自分の家で漬けるものであって、漬物メーカーがやるようなものじゃないんだよね。この辺を走ると、市街地でもけっこう小さな畑があって、すぐきを”てんびん”で漬けてる風景がみられるよ。ほら、あの辺とかね」
と大石が言うように、上賀茂周辺の住宅街に混じって、畑にびっしりと緑の葉っぱが生い茂り、そのむこうに桶が数個、据えられている。面白いのはその桶には蓋がしてあるのだけど、その蓋の上に長い棒が渡されて、棒の先端にはコンクリのおもりがついている。つまり、てこの原理で蓋を押しているのだ。これが「てんびん」。あとで写真が出てくるので、そちらで観てもらえればいいと思う。

そうこうしているうちに、田鶴家の畑に到着。大石が京大で創ったサークルは、この田鶴さんを始め、農家さんの作業を本格的に手伝わせてもらう活動をしている。
すぐきは、先ほども書いたようにカブの仲間だ。地上部にはしゃもじ状の葉が盛大に生い茂る。そして土中には、正円とはほど遠い形の蕪が生っている。
「よっしゃ、じゃあ、夜の作業が始まる頃だから、田鶴家に行ってみようか!」
すぐきの作業は一日がかり。基本的な流れは、すぐきを収穫して皮を剥き、下漬けする。下漬けしたすぐきをてんびんでギュッと重しをかけながら、さらに塩漬けする。適切に塩漬けされたものを、こんどは室(むろ)といわれる部屋にいれ、火を焚いて温度を上げて乳酸発酵を促す、、、というものだ。これから夜の作業。下漬けしたすぐきを、塩漬けにするところである。
上賀茂神社から近い市街地へ。ここが田鶴さんの家である。田鶴一家のお父さん、お母さんがいらっしゃったので挨拶。
「ああ、ようきてくれました、、、大石君の紹介なら、ゆっくりみてってくださいね。ちょうど漬かったのがあるから、観てください」
と、お母さんがさっそく、売り物になるくらいに漬かった樽を開けてくれた!
おわかりだろうか、べっこう色の細いのは茎で、オリーブグリーンのが葉である。二カ所だけ白い株の部分が覗いている。圧倒的な重さで押し漬けしなければ、こんなふうに真っ平らにならないだろう。それにしても印象的なのは深い発酵色だ。乳酸発酵特有の香りがプンとむずがゆく鼻を刺激する。
株を掘り出すと、驚くほどに白く見える。丸くない、スコップの先のような形にぷっくり膨れた形だ。
「ほら、一玉でお売りするときはこんなかんじ。」
ちなみにすぐき漬けには、葉の部分が欠かせない。葉の部分と株の部分を合わせてすぐき漬けなのである。その理由は、後ほど述べることになる。
「さーて、圧巻のてんびん風景を観に行こうか!」
田鶴家のすぐき漬けは、本宅のはす向かいにあるはなれの作業場で行われている。実は大石は、そのはなれの家を借りて一家で住んでいるのである。何回か泊めてもらった大石家の脇に、いろいろと樽やなんやかや積み上げてある作業場があるのは知っていたが、まさかこんな風景になっているとは思わなかった!
これが、てんびんだ!
おわかりだろうか、棒の根本は、壁に渡されたストッパー用の木に差し込まれ、すぐきを漬けた樽の上の蓋を押している。
てんびん棒の先には、コンクリの塊が何個もつり下げられている。てこの原理によって、数十キロの重みがすぐきにかかっているのである!
作業場ではすでに田鶴さんが、寒い中に湯気を盛大にあげながら立ち働いていた。
下漬けされたすぐきを詰めた樽を運び、新しくつけ込む樽に棒を渡し、おもりをかけていく。
作業場の屋根の下に入ると、どーんとでっかい樽が二つ鎮座している。もちろん、てんびんをかけた状態でだ。
よくご覧いただくと、蓋と天秤棒の間には角材が三本入った状態。にもかかわらず、もうかなりすぐきから水分が出ている。
野菜はその身体のほとんどが水分なのである。それがよくわかる光景だ。
外でてんびん掛けされている樽も、最初はこんな風に外にはみ出すくらいである。
これが、てんびんによってギュウギュウと押されていくのである。
樽の前には、漬け込みを待つすぐきがうずたかく積まれている。
ご覧の通り泥付きのままのを、一部だけ面取りしている。なぜ一部だけなのかは、明日教えてもらうことになるのだが。
「そうそうヤマケン、この風景が初めてってことは、生のすぐきを食べたことはないってことだよね」
と大石が言って、ポケットナイフで規格外品のすぐきをしゃりしゃり切ってくれた。
うーん、まさしくカブである。ちなみにこれは売り物にならないものなので、本当はもっと立派です。でもこの一片を囓ると、ほのかに甘く、軽くツンとした香り(アブラナ科に特有のイソチオシアネートだ)がある。
「うーん なんでこんな普通のカブが、あんなに酸っぱい漬物になるんだ?」
「ふふふ、不思議だろう~ まあ、ゆっくり解説するよ」
大石は、田鶴家に寄宿してからずっとこのすぐき造りの手伝いをしている、いわば田鶴家の重要な戦力である。はやく「すぐき漬けの神髄」なんて本出してくれよ(笑)
さて、作業は続くが、僕たちは祇園へ食事へ。
さてお話しはまた明日へと続くのである。
「じゃあ、朝5時においで~」
農家の朝は、早いのだ、、、
■撮影データ
使用カメラ:オリンパスE-3
使用レンズ:12-60mm、25mm、50mmマクロ
昨日、大イベントをやったので、月曜日の朝は三浦半島の長島農園で迎えた。先日ラ・グラディスカを離れた堀江純一郎シェフと相部屋で、12時まであれこれ語り合い、朝はやめに起きて長島君の作業を見せてもらう。
ルッコラの野生種と言われている、ルッコラ・セルバチコ ドイツではサルヴァティカ。この野菜も、僕が学生の頃はまだまだ造る人がいなかったものだが、ここ10年でかなり出回るようになってきた。とはいえ、一般のスーパーではまず売れないので、直売やレストラン需要が中心だ。
このサルヴァティカに、「蜂蜜の香りがする花が咲いてるのよ!」とお母さんが教えてくれた。ちなみに長島農園との出会いは、勝美君よりもお母さんとのほうが早い。平成7年に横須賀で開催された、農業情報ネットワーク全国大会というイベントで、僕がインターネット産直フォーラムという分科会をコーディネートした時だ。まだ僕は大学院生だったけれども、大入り満員のフォーラムになった。その時の実行委員が長島・母だったのである。その頃、勝美君はドイツでの農業修行のまっただ中だった。
その後、全中という農協組織の友人宅に遊びに行ったとき、帰国し野菜の栽培品目数を増加しつつあった勝美君が、野菜を送ってくれていた。その、パワフルで多彩な野菜を味わって、この人に会ってみたいと思って足を運んだのが、彼との出会いである。いまや各方面からひっぱりだこの彼だが、全く変わらない、佳いやつである。
で、サルヴァティカの花だ。

これが、本当に素敵な香りがするのである!
蜂蜜というのは確かによく言い当てている。かなり濃厚な甘い香り。堀江君は花びらを食べて「うん、やっぱり花びらも甘い」といっていたが、口にすると本当に香りとおなじ甘い味がした。
ルッコラは大根やキャベツと同じアブラナ科作物だ。アブラナ科の花は綺麗だけれども、ここまで香るのも珍しいな、と思った。
勝美君は、サルヴァティカは出始めの頃よりも、数回葉をむしったあとの、とう立ちまぎわの方が香りとコクが強くなり好きだそうだ。もちろん、それをわかってくれるところにしか出荷はしない。
あ、とう立ちっておわかりだろうか? 植物の花芽が出て伸びてくることを「薹が立つ」という。薹が立つと、それまで柔らかかった葉や根茎が硬くなり筋張ってしまい、食用に適さなくなることをいう。よく女性に向けて放たれる悪い言葉に「トウが立ってるけどね」というのがあるが、それである。菜の花なんかは、薹が立ったのを食べるのだけどもね。
例えばこれは、ほうれん草が薹立ちしてきている図。
これはディルの花。
さて勝美君に別れを告げて、三浦の高梨農場へ。海岸沿いの気持ちよい空の下を駆け抜ける。
高梨農園は、三浦半島で年間150品目以上を作付けする、超絶マニアック農家である。しかも、ほぼ全てを家の前の直売所で売り切る。こんな農家、観たことがない。
「今頃は一番何もない季節なんでねぇ、、、」
と言いながら、畑で抜いたルタバガ。堀江君は食べたことがないということで、持ち帰らせてもらっていた。
金色の草原がある、、、と思ったら、これもアブラナ科の花。でもここまで細かくわーっと黄色くなる花ってなんだろう、と思ったら、、、
「これはスティックセニョールですね!」
あ、なるほどね、スティックセニョールならこうなるわな。花として観たときに、とっても綺麗。
大根の花は、農家にとっては「穫り遅れたってことで、ちょっと恥ずかしい」ものだったりするけど、これも綺麗。
いろんなアブラナ科植物群生。
ジャーマン・カモミール。これがまた、小さな可愛らしい花なのに、香りの強さは天下一品である。
という、野菜というより花三昧な朝を送って、京急線三崎口駅より堀江君と別れ、日本橋に到着す。さて仕事しよう。
ちなみに今朝、長島農園の農家の食事にて。
すでに割れている卵の殻、青っぽい。アローカナ種という鶏の卵かと思ったら、、、
「なんかね、烏骨鶏なんだけど、アローカナと混じっちゃったのよ!」
という! アローカナと烏骨鶏のF1! それは珍しい、、、
もちろん健全な卵の味。ご馳走様でした!昨日の大イベントの模様は、また後日アップします、、、
■撮影データ
ボディ:ニコンD700
レンズ:60mmMicro、24-70mmF2.8、70-200mmVR
70-200の望遠の描写、かなり佳い!
岩手県二戸市にて、僕は短角和牛の母牛のオーナーになった。彼女が産んでくれた第一子はメス。「さち」と名付け、昨年の11月から肉牛農家の漆原さんに預け、肥育段階に入っている。先日会いにいったときと比べて、ぐぐぐぐっと身体が大きくなっているので、驚いてしまった!
えええええええええええええええええええええええええ
でっかい! ガタイのいい杉澤君の体躯と比べてもこれである!
もうすでに400kgになっているという。可憐な少女だった時代はもう過ぎて、大人の会談を上り始めたという感じだろうか。うーん なんか複雑。
この「さち」は、予定で行くと来年の7月あたりに肉牛として出荷可能な体重に達する見込みだ。「幸多かれ」と名付けた「さち」と言う名前なのに、僕はこの子を食べようとしている。できれば、と畜場にも行って立ち会い、彼女が命を失い、解体され、肉となって行く過程をきちんと見届けようと思っている。卒倒してしまうかもしれないけれどもね。さちの肉は、僕のゆかりの料理人達に料理してもらって、食べる会を開催したいと思う。その際はぜひご応募下さいね。
現代社会において大型化畜の肉を食べるということは、ある意味、とても罪作りな行為だ。黒毛和牛は、肉牛となるその生涯で4トンから5トンの穀物を食べるが、そのうちの2トン程度は米国産のデントコーンである。日本人は知らないうちに他国の穀物を凄まじい分量で消費している。それを直視しなければならない。
現代社会で動物の肉を食べることを否定するということはできない。だから、少なくとも肉が目の前に運ばれる過程くらいは識っておくべきだ。命をいただいているということを理解するのは、無言の義務だろう。
短角牛は、米国産コーンをそんなに食べずとも身体を大きくしてくれる。漆原さんの牧場では、雑穀などを与えて、味と増体をバランスさせている。

さちはこれからさらに体重を増やしていくフェーズに入る。またできれば毎月リポートしていきたい。
漆原さんの農場には、勝手に繁殖したのか、大量のスイセンが群生している。その中に、アサツキとふきのとうがこれまた大量に伸びていた。んー 掘って帰りたかった、、、
さて一路、浄法寺の役場の前にある農協へ。
僕の短角牛たちは、組合や漆原さんに預託している。発生する預託料や様々なお金を決済するためには、農協に口座を持っているほうが先方にとってやりやすい。ということで口座開設。農協に口座を作るのは、農業関連の仕事をしてきたのに初めて!ちょっと嬉しい気分だ。
「んじゃ、新しい子を観に行きますか!」
と杉ちゃんが、短角牛のオーナー牛舎へ車を向けてくれる。既報のとおり、僕の短角牛の第二子が先日産まれたのである。今度の牛はオス。
「名前を付けてくれる?メスはひらがなだけど、オスは漢字でね」
ということだったので、僕が付けた名前は、、、
「国産丸」である! なんでこの名前かというと、この子は母牛と牧野で草を食べて育った後、二戸で肥育するのではなく、山形町の友人の農家に預けたいと思っている。そこでは、国産100%の飼料を与えてもらうつもりだ。つまり、完全に国産の飼料しか食べていない短角牛となる予定なのである! だから、「国産丸」。
母牛は、以前はとても神経質だったけれども、成長とともにどっしりしてきた。僕が近寄っても以前のように逃げたりせず、ゆうゆうとサイレージした草を食べている。
で、この子が国産丸! とっても可愛いのである!
ありがたいことに、今回は育児放棄はしていなかった。乳房がまだ詰まっていないからか、ちゃんと国産丸に乳をやってくれている。
看守さんに聴いても、成長の経過は順調とのこと。嬉しいことだ。
この母牛は、乳量が多すぎて乳房が詰まってしまう特性を持っているので、今年の冬の市場で売ってしまった方がいいと言われていたのだけど、もう少し経過を見て再度、考えることとなった。正直、ホッとした、、、
稲庭高原はまだまだ雪の壁が溶けていない。帰り道、最高の水がわき出ている岩誦坊(がんしょうぼう)へ水くみに。
シャッタースピードを遅くして、水の流れを綺麗に撮ってみた。腕が無くても、構図が、とても美しい絵になる湧き水なんだなぁ、、、
さて夜はもちろん短角牛専門の焼肉屋である「短角亭」。
まずはカルビ。

そして僕が最も好きなモモ肉。

これが出ると、焼かないで生の状態でバクバク食べてしまう。

そしてこの日はとてつもなく分厚い、短角のタンを出してもらった!

短角のタンは滅多に食べられないぞ。その辺のオージー牛のタンとは全く価値が違うのである。食感、迸る肉汁の旨さ、最高である。

ハラミ。いたずらにサシが入っていないので、肉の旨さがきわだつ。
この日はレバーが入らなかったのだが、その分このハツと、この後に出たミノが大きな存在感を占めた。
もうおなじみの槻木(つきのき)専務。安定した品質の短角牛が欲しければ、まずはこの短角亭へいくのが手っ取り早い。
岩手県の問題は、せっかく短角牛という素晴らしい資産がありながら、それを食べられる店が県内にほとんどないということだ。盛岡では、じゃじゃ麺の「白龍」の近くにある「大地」ともう数軒でしか食べられない。黒毛である前沢牛を食べる店はあるのに、短角がないというのはちょっとね。ということで、二戸駅からすぐの短角亭を目指してくるのが最も近道である。
この夜は、十文字チキンカンパニーの社長である保雄さんがご乱入。そして十文字さんが、盛岡で外食店を展開しているコラゾンカンパニーの工藤社長を電話で呼んでくれる。
「いまどこ?盛岡? じゃあ二戸までおいでよ!」
という凄まじい強引さで呼んでくれたのだが、この工藤社長がきちんと来るところがスゴイ!
工藤さんは僕と同い年と言うことがわかり、ググググっと距離が近くなる。
「やまけんさんのブログは読んでますよ~ 今度はうちにも来てください!」
と、自分の店で製造している冷麺やじゃじゃ麺を下さる!
これが、別途書きたいと思うけど、美味しい! 麺の硬度やタレをきっちりと作り込んでいる。今度、コラゾンの店に行ってみたいと思う。
思いも寄らない、楽しい夕餉。
満腹になって、定宿のパークホテルに帰ったのである。
■撮影データ
ボディ:ニコンD700
レンズ:AS-Sニッコール28-70mmF2.8、60mmマイクロF2.8

島根県で、とある生産者向けの会で講演を依頼された。どうせ島根に行くならば、と前日泊にして、いろいろとご案内をいただくこととなった。最近こういうパターンで、自治体の方にアテンドしてもらって、地域の篤農家さんを廻ることが多く、ありがたい話だ。
やっぱり、いい農家さんという存在をもっとも把握しているのはなんだかんだいって自治体だったりする。僕の情報源は県の農業改良普及員さんのネットワークだけどね。
この日お相手をしてくださった県の皆さん。県の担当者が熱ければ、取り組みも熱くなる!自治体批判が多いけど、頑張ってる職員さんはたくさん居る。最近、自治体の会計とかの締め付けが厳しいけれども、あんましそうすると、彼らのモチベーションが下がっちゃうんじゃないだろうか? 僕は国の官僚も含め、十分な報償を得て欲しいと思う。そうじゃないといい仕事する気にならないんじゃないかねぇ?
この日は折り悪く、大陸からの黄砂がものすごい量、ふりそそぐ日だった。おかげで写真を撮っても鮮鋭な画像にならない。上の写真もどうもくすんだ感じだが、これは黄砂の影響だ。

こころなしか水平線もはっきりしない。
そんな中、県南に向かう。上野写真の中央のひげの御仁、僕と同じ山本さんは、なんと農業試験場出身で、かなりいろんな作物の育種に取り組んできた人だ。中でも、島根の酒米品種である「佐香錦」の育種に携わっていたというので、車中で盛り上がってしまった!
そんな彼らがいま取り組んでいるのが、稲作の「除草剤ゼロ運動」だ。稲作において最大の作業が除草つまり草取りだ。田植えと稲刈りは機械化が可能だが、除草作業は完全な機械化が難しい。やったことのない人にはわからないだろうが、じっとり蒸し暑い田の中で、ちくちく突き刺さる稲の葉にかゆくなりながら、田の土に足を取られないように移動して草を取るのはかなりの重労働なのである。従って、除草剤という強烈な効き目の農薬をふることで、おおかたの雑草を枯らせてしまう。
いまは稲作では収入が少なく生きていけないので、週末だけ田の世話をするという農家が多い。そうなると、手で除草するよりも除草剤の力を借りるなってしまうのが当たり前の流れだ。
それに対し、島根では「除草剤を使わないで米を作る」という取り組みをしているのだ。実にあっぱれである。第一その方が農薬の購入費もいらないし、健康面のリスクも少なくなる。とはいえ、除草作業は過酷を極めるので、大変だ。
こういうことを県が推進する場合、本当にそれを実行しても問題ないかどうかということを極めて厳密に証明する必要がある。つまり試験研究機関が除草剤ゼロで行った場合の作業体系を吟味し、農家のリスクを最小限にできるとなった上で、推進できるのだ。彼らの苦労は並大抵ではなかったろうと思う。
「ま、そういうこともやっておりますが、今日は面白い農家さんを訪ねようと思います。まず一件目は、他産業の、土木業からの参入組です、、、」
ん、、、とテンションが下がる。
もう何回も書いているからおわかりだろうけど、他産業からの農業参入に関しては、僕はあまり肯定的にみていない。
「あ、でもやまけんさん、ここの人に会えばわかると思いますけど、よくある参入組ではないんですよ、、、」
という謎かけをもらいながら、出雲空港から1時間半程度かけて移動した先に、その農業主体「反田組」があった。
「反田組」は土木工事をしていた土建屋さんだ。その二階の事務所に通されると、活きのいい若い男性がお茶を運んでくれる、、、と思ったら、この人が農業部門の責任者である反田孝之さんだったのである!
話を聴いていて、さっき「参入組かよ、、、」と心の中で舌打ちしたのを撤回した。この人は、決して「他産業からの参入」ではない。お父さんが起こした建設業の会社を継ぐために入ってはいたが、昔からどうしても農業をやりたくて、有機農業家に師事。その後、千葉県に単身移住して畑を借り受け、夜は街で仕事をして朝昼は畑で様々な作物の栽培実験に明け暮れたという。その上で島根に戻り、桜江オーガニックファームという農業部門を立ち上げたというのだ。きけば、なんとこの人も僕と同い年! 最近、とみに同い年ネットワークが充実しつつある、、、
反田組の主力商品はゴボウ。この地域は砂質土壌の土地があって、柔らかくアクの少ないゴボウが出来るのだそうだ。感動したのは有機JASを取得していることだ。この国の有機JASは大変なのだ。佳くやっておられると思う。最近、「有機農産物だって安全とは言えない」みたいなことをあげつらう識者がいるけれども、だからなんだよ、と思ってしまう。有機農業はやっぱり尊いものですよ。なんだかんだ言って、この世で最も管理・監視の目にさらされるのが有機農業なのだから。
この「はんだ牛蒡」、僕もお土産にいただいたが、確かにアクが少なく繊維感が柔らかい。ただし、アクがコッテリ入っていて、しかもゴリゴリした食感の牛蒡が好きな僕としては「もっとハードで佳い」と思う。それを伝えたら、
「うーん 難しいですよね。お客さんの多くは柔らかいのがいいと言うし、またアクが少ないことに関心をひかれるんです。でも、僕も実は悩んでます。アクがないけど、旨味があるという状態をどうやって作り出すか、チャレンジですね」
もちろんこのはんだ牛蒡、通常レベル以上の味なので、ぜひ試してみられたい。とはいっても、もうシーズンが終わったのでこの夏が過ぎてからね。青山の紀伊国屋スーパーに並ぶそうだ。ご立派!
もう一つ感動したのが、独自開発商品の「赤ずいき漬け」。

サトイモなどの茎部をつけたものだ。実はこの赤い色は全くの天然色。塩で漬けるだけでこの色が出るそうだ。しかも乳酸発酵しており、梅干しと間違うほどに酸っぱい!
「嫁さんがこれの製造責任者なんですけど、けっこう評判いいんです。」
それはそうだろう、乳酸発酵した本漬け(古漬け)の地位ががたがたに低くなっている今、こんな本格的な味はなかなか出会えない。
「じゃ、圃場をみていただきますか」
と出発。はんだ牛蒡の圃場は、大きな川の横にある河川敷圃場であった。
「ここの牛蒡はコンディションが佳くないから、あまり見せたくないんですけど、、、」
「葉が巻いちゃってるでしょう、これ、気温が上がりすぎて水分不足になっちゃってるんです。トンネルのビニールを開けて通気しなきゃいけない。」
たしかに、葉面がくるっと巻かれている。この日は異様に好天だったのが災いしたらしい。
「有機農業に惹かれていろんな人がやってくるけど、作業自体は地味で反復作業が多くて、大変。特にこの辺は夏の暑さが半端じゃないから、覚悟がないとやっていけないんですよ。社員が何人か居ますが、新入りが来たときには『ようこそ地獄の一丁目へ!』と言って迎えるんです(笑)」
という。
その通り、農業生産は派手な仕事ではない。畑の広さの分だけ、反復作業の連続である。家庭菜園や、それに毛が生えたくらいの面積で野菜を楽しく造っていただけではわからないつらさがそこにはあるのだ。
土を握りしめてみると、本当に砂質だ。さつまいもなんかも佳いんだろうなぁ。反田組では牛蒡のほか、サトイモや麦も植えている。
それにしても、こんな人物の農業を「他産業からの参入組かよ」と侮ってしまった自分が恥ずかしい。とても正道を貫く、農業バカであった。実に立派だ。
いま僕の会社で開発している農作業日誌アプリケーション「畑のあしあと for W-ZERO3」についても、これからもっとブラッシュアップしていきたいと思っているので、彼のアドバイスをもらえるようにお願いをして、別れを告げた。いや、強烈であった。(つづく)
島根県の反田組の若頭から連絡があって、実は先日書いたごぼうがあと一ヶ月くらいで収穫だそうだ。ので、もしかすると都内でも買えるかもしれない。その際はまたここに書こう。
ちなみに現在の牛蒡はこうなっているようだ。
すでにビニールのトンネルは取りさられ、大きく成長フェーズになっている。素晴らしい!収穫が楽しみである。
さて
一夜明けて、同じホテルに泊まった木次乳業の佐藤社長に見送られながら、講演時間まで産地を廻らせていただく。
まずはJA斐川(ひかわ)。斐川町は松江と出雲の間にある街。斐伊川という、宍道湖に流れ込む大きな川があるため、肥沃な土地がしかも平野で拡がっている、農業にはとても条件のよい地域だ。
そしてこの街は、農協が新しい商品を企画・開発し、農業者を引っ張っているよい事例に数えられるのである。
この方が営農部長の石川さん。昔、食品関連の展示会に参加したときに、斐川にはなーんも売るもんがない!そしてなーんにも顧みられない!ということに衝撃を受け、米などを漫然と造るだけじゃなく、積極的に商品開発に関わらなければならないと開眼したという。
そこから試行錯誤を続け、さまざまな斐川のキラーコンテンツが産まれたという。いま、非常に人気が高いのがハトムギ。斐川では全国的にトップレベルの作付け(100ha!)をしており、最近、雑穀商品で有名なメーカーであるベストアメニティ社の契約栽培をしているという。

ハトムギは漢方の「よくいにん 」という立派な効果をもつ作物。これを発芽させたもので麦茶にしている。
味も芳ばしくてよし、しかも発芽しているので栄養成分も期待が出来る。発芽ハトムギと通常ハトムギでは3倍程度の有効成分量の差があるということだ。

営業一課の飯塚さん。
この農協の人達は、眼がとても活き活きしている。
第一、事務所内の女性達がはきはき、シャキシャキと仕事をしておられた。

僕はいろんな農協に行っているが、女性事務員達の挙動、挨拶の対応のしかたなどでだいたい、その農協で働く人達のモチベーションがみてとれるようになった。やっぱりやりがいのある、責任を持たせる仕事の仕方をする農協は、勢いがいい。適度なハリが、事務所内の空気に満ちているのだ。 ここ、佳い農協だと思う。
実際、隣接した直売所には毎朝開店前に行列ができるほどだという。
「山本さん、実はうちのもう一つの名物がこれなんですよ!」

なんと、ひまわり(向日葵)油 である!
最近、菜種油などの国産油脂植物に多分に関心を持っている僕だけれども、向日葵油はなかなかお目にかからない。そう、実は向日葵は観賞用でもあるけれども、油脂植物なのである。
このいかにも高級そうな一品は日清オイリオのギフトに選ばれた商材だという。日本で500円! うん、それくらいしていいと思う。

これ、僕の事務所にも贈っていただいたので、後日ぜいたくに揚げ物に使ってみたい。その際にはレポートしよう。
その他にも、向日葵油を塗った手延べうどんやそうめんなど、つぎつぎと開発商品が出てくる。これは面白いなぁ! 課長さんも、展示会で得たショック・屈辱を昇華してバネにして、いろんな食品メーカーと対峙して、ここまで来たという。いい顔の農協職員がいる地域は、農業も活気があるのである。「農協って悪いんでしょう?」という単純な二元論は、役に立たないのである。
さて次の産地への移動中、あまりにいい感じの風景に車を停めていただき、撮る!
気持ちいい景観だなぁ、、、
農業を守らなければならない理由として僕は何より、この農村風景に価値があるという一点を重視したい。東京の荒涼とした風景の中にしか生きられなかったら、僕は死んじゃう、、、出張の多さで、こうした景観に触れることでかなり気持ちのリフレッシュを出来ていることは否めない。
さて次は「今在家(いまざいけ)」という地域の農業生産法人だ。

平野部ながら、稲作農家が集まって集落営農をしている組織だ。
稲作主体で、組合員の土地を区切って再配置しながら作付けしている。

ただし稲作だけでは、、、ということで、観光ぶどう園・いちご園を展開している。そこで年に数回、消費者向けイベントを 行う際に「だんだんネギ焼き」というのを造るそうだ。うわーーーーーーーそれ食べたい!と思ったけど今日は無理とのこと。残念だ!

こちらのネギは典型的な青ネギ。
これをたっぷり使ったお好み焼きのようなものらしい。今度はぜったいに食べるぞだんだんネギ焼き!
さてここが直売施設。

いちご園は高設ベンチでの栽培。

選果場内では組合員のお母さん方が選別作業をしている。

品種、なんだったっけ。章姫だったかな、、、
「この辺が美味しいから、食べてご覧!」
とお母さんが声をかけてくれる。
中までしっかり完熟していて美味しい! コクのある甘みである。イチゴは糖度よりもコクだよね。
こちらがぶどう園。かなりいろんな種類のぶどうがハウス別に植えられていた。
視察時はまだ若芽が出るくらいの時期だったが、今頃はもうそろそろ花から実に変わりつつあるだろうか。

さてここから会場に向井、講演開始。
そして次回は、、、久しぶりにサシのたっぷり入った黒毛和牛を食べることになる。しかしながら絶品!きちんとした血統できちんとした肥育をかけた黒毛は旨いというのを再認識したのである。
こうご期待!
これから淡路島に行って参りま~す。
いま、淡路島に向かう車中。三宮から乗り換えて二時間ほどかかるらしいが、、、乗った新幹線に、社内で使える無線LANがあった! ワイヤレスゲートというサービスを使っているのだが、それでログインできるようなので試してみたらつながった。座席位置によって快適なスピードとはいえないときもあるようだけど、つながるというのは精神衛生上とてもよろしい。
と書いていたけど、ブツブツ切れる。んー 結局このエントリは投稿できなかった!残念。
先日、山形の朝日町の阿部さんと、白鷹町の佐藤洋子さんからあいついで山菜を送っていただいた。我が家はしばらくの間、まさに山菜フィーバー。
コシアブラ。特有の香気が堪らない。
コゴミ。最も美しい山菜のひとつだろう。
アイコ。山のアスパラという人もいる。アクもなく実に美味しい山菜。
「でも、山菜ってどうやって食べるの?」
と聞かれることが多いけれども、、、簡単だよ! ゆでりゃいいんだよ茹でりゃ。迷ったらおひたし。ごまクリームとかあったら醤油と砂糖を加えたので和えて、ごま和え。たいがいの山菜はそれで美味しい。天ぷらもいいけど、面倒なら茹でればいいのである。
ちなみにアイコ(上)はマヨネーズとの相性がいいので、マツダのマヨネーズタイプと飯尾醸造の紅芋酢、醤油で和えた。
茎の部分のみずみずしさ、葉の部分の香りがたまらない。やっぱりアイコ大好き。
コシアブラはちょっと手抜きして、大地を守る会の万能だしつゆで和えただけ。山菜自体の香りが強いからこれで十分。
阿部さん、洋子さん、ごちそうさまでした!
今回の仕事では、広島から車で小一時間かかる大和町での、とある商品の製造工程を視察した。それについてはしかるべき時期にどかーんと書くけど、とてもとても佳い食品。やっぱり、生産者の心が入っているものには、感情移入してしまう。
大和町は稲作地帯だ。他の商品はあまりない。従ってみるべきものは田んぼだけである(笑)
視察の合間に畦道を歩く。畦に咲く、さもない草花が大好きなのだ。
D700に60mmマクロF2.8をつけて歩く。
「花マクロ 」という、花をドアップできれいに撮るジャンルがあるが、うまい人は皆、超絶な写真を撮るのであこがれていた。けど、ドアップで撮ると僕の場合だいたい失敗する。修行が足りない!
今回は結構絞り込んでF9くらいでモノに迫る。そうするとけっこう僕の意図通りに撮れる殊に気がついた。
オリンパスのフォーサーズシステムで撮影をすると、ボケの量がフルサイズより少なくなる。D700はニコンの35mmフルサイズ機なので、ボケの量が圧倒的だ。F9に絞ってこれなら、僕にはこれで十分だ。
さてその後、この人と合流。
竹鶴酒造の杜氏・石川達也である。
実は竹鶴の代表的な商品に、地元・広島産の雄町米を使った酒があるが、その一つの産地がこの大和町なのである!
「あ~ やまけんがいるなら、生産者さんのところに寄って、その後うちにメシでも食いに来いよ」
と言ってくれたのである。
「それにしてもやまけんが大和町に来るとはなぁ、、、 ここは松田さんという方の田んぼなんだ。」
これが酒造好適米である雄町の姿だ。松田さんの田は一枚が6反歩と広い。効率的に作業ができそうである。
「よく来てくれましたな」
と松田さんがご登場。この人が、竹鶴の酒を支えている。
大和町での農業の四方山話を聞いて、辞去する。土間の黒板に「インカのひとみ」とかかれていたので「あれ、インカのひとみ栽培するんですか?と聞くと、「うちの妻がね」とおっしゃる。
インカのひとみは、果肉が黄色く栗のような薫りのするジャガイモ「インカのめざめ」のいとこのような品種だ。収穫後、貯蔵に気をつけないとすぐに芽が出てしまいますからね、と話しておいた。
さて一路、酒の町・西条へ。広島を代表する酒・賀茂鶴酒造がある町だ。タツヤンのおやじさんはこの賀茂鶴の偉いさんだったこともあって、彼の実家はここにある。
なぜか石川家に来ると、自分が醸した竹鶴を飲むのかとおもいきや、だいたいタツヤンが最近オオッと思った酒を飲むことになる。石川達也には自分のことよりも、佳い仕事をしている他の倉の酒を応援することの方が大事らしい(笑)
今回はこれだ!
「開春」は島根県の酒。右側のラベルは読みにくいが、「開春山口」と読む。
実は大和町からずっと山口君という、とてもひとの好さそうな(そして事実好い男だということだ)男が同道してくれていた。
「やまけん、実はこの山口君は、神亀酒造でわしが辞めた後にちょうど入れ替わりのタイミングで入ってきたんだけどな、島根県の酒造に杜氏として入ってて、ものすごい酒を造っているんだよ!」
とタツヤンが太鼓判を押す男である。彼こそが、この「開春」の蔵の杜氏なのである。僕が「君」付けで書くということは、、、そう、彼も僕と同い年!またいたぞ同年代頑張ってる組!
この二本、どちらも 生もと(きもと)での仕込みである。僕が苦手な無濾過生原酒。しかも今年の新酒。 あ~、それ、苦手。俺は一年は寝かせてある、火入れが終わった落ち着いた酒がいいんだよなぁ、、、 と思いながら杯を口に運んでビックリした!
素晴らしい! 実に立ち姿の綺麗な飲み口に、複雑なうま味だ! 竹鶴の生もともそうだけど、なんでこの造り方をした酒はどれも穏やかなうまさと複雑さを秘めて居るんだろうか。
かなりビックリしてしまった。
「これを燗にしたらもっと旨いんだよ!」
とタツヤンがまるでわがことのように言う。全くこの人は、、、
でもその気持ちもよくわかる、素晴らしい酒である。実は僕は晩酌はほとんどしない、というか皆無である。酒を飲むなら、その分のカロリーのご飯一杯分や料理に回したいと思ってしまうくらい、酒よりメシ優先派である。しかし、この酒は買っておきたいと思う。熟成させたらとんでもないことになるんじゃないかと思うからだ。
「はーい、じゃあ早めのご飯にしましょうね」
と、石川達也夫人である良枝ちゃんのこころづくしをいただく。
タコは自分の家で茹でるのが普通らしい。香りがパアッとたってふくよかなお味。
うれしいのはベラ。
えーと、広島ではなんていうんだっけ。こいつを塩焼きにしたのを、甘酢に焼き浸しにしたやつが旨い。瀬戸内の名物だ。
食後は、タツヤンが最近はまっている阿波番茶。
これは阿波番茶の茎茶だ。
阿波番茶を知らない人もいるだろう。国内では珍しい発酵茶である。日本の茶は紅茶やウーロン茶のように発酵させない緑茶が主体だが、徳島の阿波番茶の産地では、茶葉を乳酸発酵させて造る。
それはきっと、茶が最初から含んでいる酵素の力でそうなるんだろうと思っていたら、違うらしい。
「阿波番茶の発酵は微生物によるものなんだよ。そして工程の中に「茶を摺る」というのがあって、生もとの酒造りと関係があるんじゃないかと思って見に行ったんだよ!」
ということだった。茶葉を摺った後、密閉して嫌気性醗酵にする。2つ前のエントリで、デントコーンサイレージの乳酸発酵について書いたが、ここでも同じようにするのだ。いにしえの日本人の知恵とと経験と工夫は驚くばかりなのである。
「もうほとんど残りがないんだよなぁ~」
葉の部分の茶はもうすこし濃い色になるはずだが、茎の部分を煮出したのはこういう色になる。緑茶と発酵茶の中間色か。濃い山吹色である。
これは実に佳い、、、
緑茶と違って何杯も飲んでいたいと思うような、健康的なまろみがある。
煎茶を愛飲する人も多いだろうが、過剰な窒素を投入して造られた茶にあたったりすると、調子を悪くする人もいる。農薬の害について言う人がいるが、僕はそんなものよりも窒素肥料の過多による害の方が多いと思う。
なんと阿波番茶の茶の木は、まったく肥料も農薬もやらない放任栽培なのだという。
「いや、『栽培』って言っていいのかなぁ、、、なにもせんのよ。」
うーむ、それは素晴らしい。商売にはならないだろうが、この阿波番茶、僕も一度は見に行ってみたい文化である。
濃厚なプリンのおやつ。
相変わらず綺麗な、石川家の嫁・良枝ちゃん。
ハードな出張スケジュールの合間だが、実にいい時間を過ごさせてもらった。
どうもありがとうございました!
今週はこれで明日、群馬に行くだけだ。来週は北海道。
島根県は実に凄みのある農業県だと実感したのは、旅程の最終地点であるかつべ種畜牧場に踏み込んだときだ。
「種畜」とは、要するに種を提供するオス牛だ。肉質の善し悪しのほとんどは、血統によって決定されるといっても過言ではない。そして、オス牛の血とメス牛の血のどちらが重要視されるかというと、オス牛だったりする。メス牛はどうでもいいというわけでは勿論ないけれども、オスの特質のほうがより重要視される。
黒毛和牛の評価軸において最高とされるA5というランクを目指し、各都道府県レベルで種雄牛を所有している。農業新聞をみていると、どこそこの県の牛がものすごい数値をたたき出したというニュースが載るように、種畜の評価は一大事なのだ。
ではその種畜というのはどこで産み出されるのかといえば、試験研究機関であったり、民間のブリーダーであったり。そう、勝部さんの牧場は種畜を送り出すエリート養成牧場なのである。
この方が代表の勝部信二さんだ。そしてこちらが息子さん。どちらも牛のエキスパートである。
とにかく種畜を造るなんて、言葉は簡単だけど、すさまじく大変な仕事だ。佳い血統と佳い血統を掛け合わせればいい種畜が出来るというものでもない。動物には、遺伝的に病気に罹りやすい特質をもっていたり、母方の系統によっては全然、父方の特質が出なかったりもするからだ。
しかし、勝部さんのところはすでに多数の都道府県に種畜を届けている。すごい技術と経験の蓄積である、、、
その勝部さんの言葉で僕が驚いたのは、こういうくだりだ。
「いやぁ、しかし黒毛和牛ってのは、4トンも穀物を喰ってようやく育ちます。穀物の需給が今後どうなるかわからないこんな時代に、もしかしたらばちあたりな家畜を育ててるんじゃないか。10何年後には、黒毛を育てることが罪みたいなことになっているんじゃないかと、思うですよ」
いやー
黒毛和牛の種畜を造っているところでこんな風にしみじみ言われるとは思わなかったので、感動してしまった!
まったく、黒毛和牛というのは日本が世界に誇る特別な牛であると同時に、最も罪な家畜でもあると思う。個人的には、黒毛和牛ばかりがもてはやされる現状が問題だと思うのだが。マスコミが、食べてもいないのにA5のサシがバンバン入ったやつを繰り返し「最高!」とほめあげ、映像・画像で消費者の欲望を刺激しまくることがオカシイと思う。
「ま、それはともかく、うちの肉を食べて欲しいから、いまからうちが昵懇にしている店にいきましょう!」
と言うことにあいなったのである。
■えんまん亭
島根県出雲市天神町74-2
0853-30-7713
この店は、開店当初から勝部さんとがっちり組んで、直接取引に近い形でかつべさんの牛の肉を使ってきた店だという。ここで、勝部さん自ら肉を焼いてくれるという、豪華な夕べである!
本当の、黒毛和牛の牛タン。

黒毛の牛タンなんて、そうそう食べられるもんじゃない。みよ、この凄まじきテクスチャーを!
「はい、タレじゃなくて塩で食べて下さいね!」
いやもうそりゃ 当たり前ですよ!

結論から言ってこのタンが一番うみゃ~い!
シクッという歯ごたえ、サシが乗りすぎているようで実はそうでもない絶妙な加減。いやこいつぁ旨いです。
レバー。焼いても佳かったのだけど、あえて自己責任で生でいただく。ていうかもちろん全く問題なし、とろける甘み。実はレバーは、身元がはっきりしていない場合はそんなに積極的に食べないことにしている。だって、肝臓って毒をせっせと無毒化する内臓ですよ。黒毛和牛はそうとうにストレスフルな飼い方をしているわけで、肝臓のダメージはでかい。だから、黒毛の内臓とくにレバーの廃棄率は高いときいている。ダメージを被っていて、と畜場の段階で「こりゃ食用にはならん」とされるのだ。
でも、勝部さんとこのは文句なし。綺麗な血色、クリアな香りである。
えーと、部位どこだっけ、、、すみませんよくわかりませんが、適度な歯ごたえのある部位でした。
そして満を持して出ましたロース!
ヒレ肉。
うん、美味しい。いわゆる小ザシビッシリ状態ではないので、この程度のサシの肉であれば黒毛もいける。そしてなにより、脂の質がいい。口溶けがよく、ギトリとした感じがあまり残らない。勝部さんとこは、種畜を造るだけじゃなくて、肥育の技術も高いのだと思う。ご本人は「いやいや、肥育は普通に育てるだけだよ」というが、同行していただいた普及員のかた曰く「勝部さんのところは種もメス牛も佳いものを揃えていて、産まれてくる子牛のレベルが高いので、そんなことが言えるんです。まずその前提条件を整えられる牧場自体が少ないんですから、、、」とのことだった。
さてホルモン大会。
ウルテのバリバリ感がすごかった、、、
ご飯ものは、牛そぼろがたっぷりのったビビンパ。こういう、不人気な部位を美味しく使っているサイドメニューを見かけたら、ぜひ食べてあげましょう。そうじゃないと、人気のある部位しか売れず、農家が生きていけません。
そして、牛ラーメン。ラーメン好きじゃないから小さな器でいただいたけれども、うん、〆になかなか佳し。
勝部さんが来月上京するらしいので、是非会おうということになった。いろいろ話をしたいことがあるのだ。
そしてこの勝部さんの牧場で最大のサプライズが、「経産牛は旨い!」ということである。これについては次回に書きたい。
明日から北海道。足寄に行ってきます。更新できるかどうか不明、、、
大分県といえばだんご汁ととり天である。
とり天はカラシ酢醤油で食べるものと思っていたけど、どうやら地域によっても違いがあるらしい!そうか、そうなのか、、、まだまだ大分の深遠なる郷土食の世界は深そうだ。
さて
自治体主催の仕事で呼ばれると、その地域で元気のある農家達が集まってくることが多い。そして今回は若手生産者ばかりである。大分県大分市にて、青年生産者会議の面々と語り合う夕べをもった。
、、、若い!
そして、なんかみんなけっこうイケイケである!

中には、君もしかしてホストもしてますか?というような格好いいやつらもいるのである。
懇親会での呑みも、はじけっぱなし。
関サバに関アジ。

「りゅうきゅうはいかがっすか!? 」とひょうきんなやつが言う。
テキスト書いている余裕が無くてもうしわけないけど、とにかくパワー溢れるやつらだった。でも、もちろん全体から観れば、農業後継者はどんどん減っている。今回集まった若手もみな栽培品目が違う。野菜、酪農、肉牛繁殖、茶、果樹、そしてタバコなど、とにかくいろいろだ。だから一つの品目に限定して手を挙げてもらうと、一人か二人。農業は裾野がとてつもなく広く、全ての農産品目に精通している農家なんてそういない。というかとても無理なことだ。
何人かの意欲的な若手生産者から「今度おくりますから!」という言葉をもらった。期待してるよん。ほんと。
貴重な貴重な月山筍が、山形県の庄内から送られてきた。
以前、週刊アスキーの「旅三昧」で水先案内をしてくれた、ネット上で山菜といえばここしかないという知名度の「山菜屋.com」の遠藤さんが送ってくれたのである。
1kg3800円と、ちょっと高いかなと思いがちな価格だけれども、食べてみたらぶっ飛ぶ旨さなので、この季節だけのものとして買い求める価値がある。
けど残念、僕がぼやぼやしている間にもう旬を過ぎてしまって〆切になってしまったようだ。いまはだだちゃ豆の受付をしているようだ。うーむ
■山菜屋.com
http://www.sansaiya.com/
茹でたりしてもいいんだろうけど、せっかくの味が抜けてしまうのが勿体ないので、魚焼きロースターで皮が焦げるくらいまで焼く。熱いうちに、火傷に注意しながら皮を剥く。こいつに塩をつけて食べるだけで、もう極楽気分の美味しさだ。新鮮なものは筍特有のえぐみが少なく、ホワイトアスパラのような旨味と香りが、凝縮された筍の中に宿っているといえばいいだろうか。
この月山筍の皮がまた美しい。
そして裸に剥かれた筍の肌がまた、きめ細やかで美しい。
今年の山菜シーズンは結局、東北には行けなかったのでかなりフラストレーションが溜まっている。この時期の庄内の旅は最高なのだ。
これはギョウジャニンニク。

こんな自然の中、タラの芽を採りに切り立った崖に登ったりする。

こんな庄内の山村をちょこまかと巡りながら、農家さんが山から採ってくる山菜を目利きをして選り分け、料理屋や消費者に提供するのが卸の役目。農家から直送すればいいじゃないかなどというのは素人考えで、一農家が集めきれる山菜の量はたかが知れている。また、集めるのが大変なので選別・発送などまで手が回らない。
そういう小さな農家の軒先まで行って集荷をし、複数種類を取りそろえ、サイズなどを揃えて出荷する機能は必須なのである。
農業関連ビジネスがブームになっている今、またもや「農家から直接」とか「中間段階を中抜きして」などという空疎なキーワードが出てきているようだが、アホらしい。これまでの流通に中間が存在してきたのは必要とされる背景があり、その背景はいまだ変わっていないのである。
優秀な卸が居てこそ産地が生産に集中できる。おっと脱線したけれども、そういうわけで山菜屋.comを、僕は応援している。
この方が山菜農家さんから信頼される遠藤さん。取材の時はお世話になりました~
月山筍うまかった。そのまま食べるのと、パスタなどの具で楽しみました。ご馳走様でした!
泉州の水ナスといっても、人によって、種によって、育て方によって味は全然変わるのだ。ということをイヤと言うほど思い知った一日であった。
■大和屋君子さん
今度、説明つきで再度掲載するからね。
そしてもう一軒、僕の母の親友の息子さんの友達という繋がりで知り合うこととなった、ネット上でも有名な北野農園さん。
■北野農園
先に挙げた大和屋さんはなんと就農9年目と年季は浅いのに、地元のJA担当者さんが「この人がダントツですわ」というレベルに。そして若き血が猛る北野君は実家の農業を継ぐ形で2年前に就農。農業がきちんと喰っていける価格帯になれば、もともと農家出身の子息達が戻ってくる。わざわざ農外の企業が参入するなんて必要なんてない。農家の子が継げば、農機具などのインフラもあるし、技術伝承もすんなりいく。
「農業ビジネス」なんてくだらないブームは早いとこ、消え去って欲しい。
あ、文字は書かないなんていいながら、書いてしまった、、、カンヅメに戻ります。
表題の通りである。愛媛にて生産者の人たちと交流したとき、島根県の隠岐の島で「さざえカレー」というのがウケてるんだという話をした。
「その土地で、何もしないでも穫れるようなものがカレーの具になるんだ」
そしたら会のあと、数人の女性が残って僕に言ったのだ。
「あのね、うちの地区ではイリコだしをとってカレー造るんですよ。もちろんじゃこ天いれます」
うぎゃーーーーーーー食いたい!と言って、その次の次の来訪で、噂のカレーに合うことが出来た!
「今日はじゃこ天が冷蔵庫になかったから、竹輪だけどね」
いや十分十分!
イリコだしだから、ラーメンでいえば魚介系スープベースである。ルーは市販のものだけれども実に滋味、滋味。慈しみ深い味である、、、しかも肉っ気がないからなんとも腹にもたれないのもイイ。
それにこのらっきょうが絶品。
とてもいいものをいただきました。この石畳については、原稿が仕上がったらきちんと書きますね。
この日は大洲市の醤油蔵である梶田商店にもおじゃました。
彼の造る醤油はいずれ、ものすごい評価を得ることになるだろう、と予言しておきたい。その彼の醤油を使って造っているという、こだわりのじゃこ天。
身震いするほどに旨い。上品さがあるのに、意図的に粗っぽさも感じさせる。先月のJALの機内誌に載っていたのはここのじゃこ天である。
梶田くんが「大洲にもおしゃれな場所があるんですよ」と連れて行ってくれた、ほんとにおしゃれなセレクトショップ&カフェ。
と
カフェを独りで切り盛りする彼女は、コーノ式(といっていたけど、ドリッパーはハリオ)でコーヒーをドリップしてくれる!
しかも、でてくるケーキ類が実に素晴らしく美味しい!
いま、眠くて意識がもうろうとしてるので店の名前を失念。あとでフォローしますが、惚れました、、、また行きたい。
そして、収穫直前の小麦と、生産者の太陽のような笑顔!
来月も愛媛に行きます。もう、ずっぽり。
ということで今日はもう原稿書けねぇ、、、 明日、ていうか今日は、二時間の会議のために山形へ行きます。移動時間は往復で6時間。うーむ、、、 でも電車の中で集中して原稿書ける。よしとしよう。
じゃあ、寝ます。
全国的に珍しい、河川べりに展開されるあかうしの放牧場。なんとも宝のような風景。川は吉野川。
僕が生まれた年にこのあかうしの世界に入った、れいほく畜産の中町さん。
「昔は土佐のあか牛が一番市場で人気が高かった。単純に美味しかったからだよ。」
経産牛と去勢牛の食べ比べ。
断然、経産牛が美味しいです。
環境保全型農業で米ナスを栽培する窪内さん。
米ナスにはアントシアニン色素がないので、紫ではなく黒。テリテリに輝くのが美しい。品種は県で育成したものだ。
農薬は本当に最低限しかつかわず、ほぼ天敵の利用だけで防除をしている。ハウス内にバンカーという、天敵昆虫が棲むための環境を作り、せっせと害虫を食べてもらう。
そしてあかうしを生産する山の上へ。
土佐あかうしには、熊本の褐毛和種にはない特徴があって、目の下にできる「毛分け」という黒いぶち。これが土佐種の特徴なのだ。それにしても可愛い。
澤田ご夫妻。奥さんのちえさんは僕の農業新聞に書いていた連載を熟読してくれていたそうだ。
「会えて嬉しい!」
こちらこそ!
香り米のおにぎり、最高でした。
では、これから知事と会ってきます。
このたび、高知県の「スーパーバイザー」という制度の適用第一号を拝命しました。その委嘱式、知事から委嘱状をいただくことに。第一号ということでテレビも二社入り新聞各社も参集し、なかなかにものものしい雰囲気。
そんな中、県庁内で写真といえばこの人という角田さんと出会うことが出来た。
実はこの土佐あかうしのプロジェクトに関わる畜産課のメンバーはみなカメラ好き。しかもニコンユーザー。車中はカメラの話ばかりだった。ということで、委嘱式の模様を僕のカメラで撮影していただいた。角田さんありがとございました。
高知県知事の尾崎さんは42歳のナイスガイ!
高知県産品のPRについて軽く意見交換。ゆっくりお話しをしてみたいものだ。
角田さんのカメラワークが面白い。このときは「手」に注目したようで、知事のも僕のも、手を撮っておられた。
自分が写ってる写真を見るのは久しぶりだ、、、(笑)
さて委嘱式後、JA南国市の直売所である「かざぐるま市」で加工食品を販売しているお母さんグループ「四季」のお手製弁当をいただく。

高知では「りゅうきゅう」と呼ぶ、はすいもの茎のお寿司(緑色のやつね)がざくざくした爽やかな食感で美味しい。ずいきのようなものだ。あと、四方竹というこの辺でしかとれないタケノコも美味しい。
そして、最近ようやく知名度が上がってきた地鶏・土佐ジローの県下最大の養鶏家にして最も熱い人といわれる嶋崎博子さんの鶏舎を視察させていただく。
県下最大といっても、この写真に写っている鶏舎で600羽ていど。採卵鶏としては小さい規模。しかし、ここはすべて平飼いで、地鶏のJAS規格を上回る、一羽当たりの飼育密度が1平米あたり6羽というゆったりさなのだ。
※地鶏のJAS規格では1平米あたり10羽以下。
贅沢な飼い方、そして鶏舎にはいるときはこんこんとノックをして中の鶏に「はいりますよー」と声をかける。
土佐ジローの雛は可愛い!
こちらが成鶏のオス。そう、オスを入れているということは、ここの卵は有精卵なのである。
無精卵と有精卵の違い。メスは条件が整えば、交尾をしなくても卵を産む。その場合は無精卵。で、雄と雌が交尾してできた卵は有精卵で、雛がかえる。
嶋崎さんが「この子は広報担当のさくらちゃん。愛想がいいのよー」

たしかに人を怖がらない。そしていきなり5メートルほど飛ぶ。
土佐ジローの卵はすごく小さい。通常規格でいえばSSサイズ。
一玉70円~90円はする。高いと言う人は言えばいい。でも、その価値ある卵ですよ。
ちょっと食べてって!と出してくれたのが、土佐ジローの成鶏の肉と、高知県名産のショウガをたーっぷりつかったそぼろ。

これが実に最高。ショウガの量が半端じゃないのがまたいい。 肉も挽肉ではなく、大きめに切ったものだから、食感もいい。これはもう売れますよ。
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
これはマイッタね! ここしばらくこんなにものすごい風味の深い卵のプリンは食べていない。
ちなみにこの前に、違う生産者の卵の殻入りプリンを食べてきたのだけど、ちょっと比べものにならない。とにかく「風味が深い」のである。
嶋崎姉妹。
ここの飼養管理の細やかな配慮は女性ならでは。鶏舎内のクリンネスも素晴らしい。いや感心しました。
さて一路空港へ。少し時間があいたので、空港の目の前にある高知大学農学部の放牧場へ。レンタカーを借りたことがあるひとは、高知龍馬空港のすぐ目の前に、あかうしが放牧されているのに気づいた人もいるだろう。

高知大学の准教授、松川先生。
「黒毛の研究してきたんですけど、あかうしは可愛いですよぉ!黒毛は神経質なんですけど、あか牛は気性が優しいんですよ。」
さていつものごとく突入。
なんだモー、と近接してくるやつ。
褐毛和種はとにかく性格が穏やかでフレンドリー。
「子供が小さい母親は神経質になっているんで、気をつけてください」
といわれたけど、その子供がわらわらと寄ってくる。
「あ、オスが気づいたようです。そっちにいくかもしれないので、気をつけてくださいね!」
と声がかかる。そう、この放牧場では種雄牛の検定もしていて、この一頭の雄が雌たちに種をつけていく。土佐の褐毛和種は通常は人工授精なのだけど、この実験区では「撒き牛」という方式なのだ。
1トンを越す、小山が動いているかのような体躯。立派な睾丸がぶらさがっている。そして土佐あかうしの特徴である目の周りの黒ブチ「毛分け」がしっかりはっきり。
草をもはもはと噛みながら、もう目の前に!軽く警戒して、僕が危害を加えるモノかどうか見に来ているのだろう。
おそるおそる額を触るが、とくにいやがらない。あーよかった。
それにしてもこいつ、実にメスにもてる。
いつもメスがすりすりと寄ってくるのだ。
夢のようなひとときだった。
松川先生、ありがとうございました、、、
さて、原稿書きますよ。もうやばいですよ、、、
愛媛県大洲市のJAが、来年4月に大型直売所をオープンする。そこの立ち上げプロジェクトの仕事を今年も請け負うことになり、これから毎月のように愛媛に通うことになる。
全国には2万カ所を超える直売所があるらしい。「らしい」というのは、正式に悉皆調査をしたデータがないため、どれだけ店舗があるのか誰もわからないのだ。中には年間20億円以上販売するようなモンスター直売所もあり、百花繚乱。
直売所のビジネスモデルはなかなか興味深い。直売所の胴元は、だいたい農協か生産者の集団で、場所とレジ打ちなどの店員を確保する。そこへ生産者が直接、自分で袋詰めまでした商品を持ってくる。価格と自分のIDをバーコードシールなどに刻印し、出荷物に貼って棚に陳列するところまで自分で行う。価格は自分で自由につけるのが基本だけど、売れ残った商品は自分で持ち帰らなければならない。だから売れる品目・売れる価格帯をみなが研究する。販売手数料として、売上の7%~10%くらいを直売所に納める。市場流通だと、中間流通に30%、小売に35%ほど持って行かれてしまうけど、直売所だと手数料が安い。従って、農家には手取りが多くなり、消費者は割安に、しかも新鮮な農産物を手に入れられる。これが直売所というビジネスの概略だ。もちろんそんなに単純なものではなくて、いろんな例外があったりするのだけど、おおむねこんな感じ。
ただし、これだけ沢山あると、同一地域内での食い合いにもなっていく。事実、商圏人口に比してあきらかに直売所が多すぎる地域では、期待した売上に到達しないケースも多発している。
だからこれからは、食い合いにならない棲み分けと、その地域ならではのオリジナル商品の開発が欠かせない。
ということで、僕の会社の今回の仕事は、大洲市にできる直売所で販売するオリジナル商品の開発というのが軸なのである。いやー すごい楽しみ。だって大洲周辺には、おもいもよらぬ面白き食文化があるのだもの。
さてこの日も様々な検討をした後、いつも泊まるビジネスホテルオータではなく、隣町である内子町の石畳地区へと向かう。
(続きは下記↓をクリック)
既報のとおりだけど、農業者むけの講話をしたときに、石畳の農家民宿のお母さん方が待ちかまえてくれて、「あのね、うちのほうではじゃこの出汁でカレーを作るんですよ。いちど食べにきて!」というのだ。そういう誘いにはとても弱い僕である。
大州・内子を走り回ってきたキャリアのウバガイ部長様も「こっちのほうはようこんのー」と首をかしげながら、どんどんと道を上っていく。かなり高度が上がったなぁ、という地点に、本日の宿泊地「石畳の宿」があった!
この石畳の宿は、この集落に住む農家のお母さんお父さんがたが運営する農家民宿だ。知る人ぞ知る宿で、実はそんなに宣伝する必要もなく、お客さんがどんどん予約を入れてくるところ。それもそのはず、この地域は本当に魅力が一杯なのだ。
「あー 宝泉さん!」
と市役所の河野さんが声を掛ける。この地域で産まれ、そしてこの地域をずっと守り続けている市の職員・宝泉さんである。
日が沈まないうちに、ささっとこの石畳地区を廻らせて貰う。まず連れて行ってくれたのが水車小屋だ。
「いやー 実はこの水車小屋、地域のみんなでこつこつと手作りしたんですよ。」
うええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ?
手作りかよ!?
実は「水車小屋ねぇ、ふうん、、、ま、綺麗だけどね」くらいに思ってみていたのだけれども、手作りだとぉおおおお? それはビックリである!
それだけではない。この辺の景観はすべて石畳に起居するみなさんがこつこつと整備し、綺麗に維持していると言うことなのだ!
大洲周辺によくみられる屋根付き橋ももちろんある。端正な佇まいだ。
この水車小屋周辺からさらに上に登っていくと、天空を望む山上の風景がまたとてもよい!

弓削神社という、池の中にお社があって、そこまで屋根付き橋で渡るという、風情のある神社の佇まいが美しい。


さてと、陽もとっぷり暮れて、メシの時間である。
宿の部屋はまた実に渋い。もちろん古民家を移築して建てたものだ。
さてここの食事は、地元のお母さんたちが毎日、交代しながらつくってくれるものだ。
定番のお煮しめ
そして愛媛ならではの、具材たっぷりのちらし寿司。
ううむこの具材細やかな刻み加減にまぶし加減が素晴らしい。味も甘すぎず美味しい(愛媛の味付けは全体的に甘いのだ)。
そして圧巻だったのが、山野草の天麩羅!
「えっ そんなものまで?」とビックリするようなものが天麩羅に揚げられる。ドクダミの葉やカラスエンドウの葉から始まり、ツツジの花とか、、、これがまたどれもちゃんと特有の香りがあり、美味しく食べられる!
そして、美味しいおうどん。
東日本や日本海側では、山あいの町では蕎麦で〆ることが多いけど、四国ではうどんが普通だ。美味しかった、、、
あれ?しかしカレーが出てこないぞ!? 俺、じゃこで出汁をとったカレーを食べにきたんじゃなかったっけ?
「あらあらあらあら、そうだったっけねぇ、、、 センセ、明日の朝ご飯でもいいかしら?よければウチで造って持ってくるわ!」
とリーダー格のお母さんがニコニコというものだから、そりゃもう是非お願いしますということに。本日はここのスタンダードコースである。
「じゃ、のみますか」と宝泉さん、にごり酒を出してくる。
いきなりぞろぞろとここの集落の人達が集まりだして、寄り合いである。そう、大洲市の直売所では、この石畳の方からもいろいろと出荷していただきたいなぁ、というオルグ活動をしにきたというのも今日のミッションなのである。
話が弾む中で非常に驚いたことがある。僕のブログの過去ログによく登場する、山形県の職員にして地域興しの達人である高橋ノブさん。この方がこの石畳によぉーーく出没しておられるのである!
「えっ ノブさんのこと知ってるの?いやぁ、彼のおかげでワシらは手打ち蕎麦屋を始めたんでねぇ、、、」
そう、この日は営業していなかったが、休日などは一日に100食を超えることもあるという人気のそば屋が、地区内で営業されているのだ。蕎麦も自前で生産しているという猛者が、この地域にはいる。
仕事を終えたお母さん方も集まり、ああだこうだとお話し。その中で、石畳らしい美味しさの話になった時、ちょうど素晴らしい甘味が出されたのである!
和栗の渋皮煮。もちろんこの石畳で獲れた栗をつかったものだ。なんとこれは宝泉さんのお母様が造るもので、この地区でも名人なのだそうだ。
この渋皮煮が、もうドえらく旨いのである!

ええいもう一段寄るぞ!
あまりに滑らかな栗!ネットリと風味の深い栗の実が舌に絡みついてくる。甘いが、くどい甘さじゃない。んー 至福のご馳走。
「これ、すげーーーーー旨いじゃないですか!」
「あら、そう?」
と宝泉ママはニコニコ。
ここでぴーんとひらめいた。この栗の渋皮煮をつかって、誰もが食べたくなるようなある商品、つくれるじゃーん、、、その話題で30分くらい盛り上がる。うーむ面白かった!
来年4月までの間に、商品開発がうまくいったらここで公開したい。もうね、すげープレシャスなものができるはずですよ。
もう腹もパンパンだけど、餅。

さらに、餅(笑)
揚げた餅を、濃いめのうどんだしでいただくのが実に美味い。
こうして世は更けていったのである。そして朝!
夢に見た、じゃこで出汁をとった、ちくわが具材のカレーをいただいたのである。それも二杯、、、
何も言うことはない。旨いですよ。愛媛には松山だけじゃなく、ものすごく宝のような地域がある。ゆったり癒しの空間を味わいたければ、大洲と内子、そして石畳へどーぞ。後悔しないと思いますよ。ただし、うまいもんの事前勉強は忘れぬよう。
島根県安来市より招聘を受けて、地域の食品関連事業者さん達をひたすら巡り歩いた。安来は鳥取の米子に隣接する県境の市だ。文化圏もどちらかというとそちらより。だから地域の人達は笑いながらこういう。
「安来市には空港が二つもあるんですよ。出雲空港と米子空港、どちらも同じ距離なのでね!」
これは本当。ある意味、非常に恵まれた土地である。
車で30分ほど走って、大規模干拓地に造成された中海ブルーベリー園へ。

測量業者さんが、雇用対策にと始めた農業ビジネスなのだけど、なんと最近、にわかに本業の仕事も多くなり、人手不足でてんてこまいしているという。それはいい話だ。ハイブッシュ系を中心に5種類程度のブルーベリーを計2000本ポット養液栽培している。いきなり2000本とは非常に大きな規模で驚く。
写真のように、根の必要量までに伸張できる程度のバッグに土を入れ、点滴チューブで養液を適量流して生育させる方式だ。永年果樹として植えるとその場から動かすことが難しいが、これなら適宜移動させることができる。

あいにくの曇天続きと雨が続いていることで、味は若干淡かったが、十分に美味しい。品質的にはOKだが、「とにかく人手が足りません!」ということだった。
ブルーベリーは難しい作物だ。鮮度が要求されるし、イチゴほどの需要はまだ開拓できていない。ただ、栄養成分もあり、観光農園として人を呼べる作物だ。企業参入とはいうものの、かなり純粋に運営を進められている。今後を期待したい。
さて、お次は僕の大好きな、アレだ!
(つづく)
安来市内にはJAなどの経営する直売所がかなりある。そうしたところへ出荷する小規模な個人農家が結構いらっしゃるらしい。直売所では価格が安いので生計を立てるには厳しいと思っていたが、農協への共撰出荷ではなく直売所主体の農家さんも最近では多くなってきている。
ここ安来での篤農家にもそんな人がいると言うことで、竹谷さんご夫妻のところへ案内してもらった。
このハウスで育てている作物がなんだかおわかりだろうか。こいつである。
熊本では「肥後グリーン」と呼ばれているメロン。アールスメロン(マスクメロンと呼ばれているやつね)に比べるとややさっぱりした甘みだが、独特の果肉の食感があって実に美味しいメロン。一本の樹に一個しか生らせない贅沢な造りで糖度と旨みを載せている。
メロンは超・元気なご主人が栽培していて、それ以外の野菜品目は奥さんがメインで取り組んでいる。JA組合員の中でも活動家として頑張っている名物おかみ。
こちらはダイコン菜。根ではなく葉を食べる。
イチゴは、本定植を前にランナーを出しているところ。

「直売をやりはじめてからねぇ、はじめて農業が楽しい!って思えるようになってきたのよ。どこに売ってるかわからない、自分で値段をつけられない、っていうのは面白くないの。10箇所の直売所に出荷してるんだけど、どうしたら売れるかを考えるのが楽しいのよ」
とニコニコ。
「おう、これなぁ、一玉1000円で売ってるメロンだけど、10日後に完熟するから食べてごらん!あんただったらいくらつける!?」
とご主人。
あとで糖度を測ったら、まだ完熟前で16度。これは佳いメロンです。
いま、日本には農家のグループやJAが営む直売所が20000カ所はある、と言われている。農家が自分で袋詰めして持ち込み、価格を決め、値札シールをつけて直売所に並べる。直売所側は手数料を10~20%程度取ったうえで販売する。売れ残りは農家自身が引き取るという仕組みだ。
農家にとっては中間手数料がかからず、消費者も地場の農家の新鮮なものが安く買えるため、全国的に拡がっている。
僕は必ずしも直売所方式「だけ」がいいとは思っていない。やはり日本全国に生鮮物を行き渡らせるためには、広域的な卸売のシステムがあった方がいいし、だいいち戦後から高度経済成長が終了するあたりまで、営々と作られてきた卸売市場というインフラがいますでにあるのだから、それを基幹的に使うのが最も社会コストが低いのである。
しかし、ここしばらくの直売所の隆盛をみると「これは産地側のレジスタンス活動なんだな」と思う。
スーパーなどの小売業者が圧倒的に力を持ち、適正価格(生産者が再生産できる価格)を全く無視して安く買いたたく。「消費者のため」と言いながら、生産者がまともなモノを作れない状況に追い込み、日本の食文化を破壊していく。
「だったら、俺たちが自分で値付けをして売ってやるよ」
という意思表示が直売所運動であり、それはある程度奏功しているように思う。何より、竹谷さん夫婦のように長らく農協での共撰出荷に携わってきていた人たち自身が
「楽しい!」
と生き生きしているのをみると、これまでの農業が辿った道を顧みざるを得ない。そんなことを考えたひとときだった。
Food Action Nipponという自給率向上に向けた取り組みがあるのをご存じだろうか。
こういう↓マークのやつである。
■フードアクションニッポンのWeb
http://syokuryo.jp/index.html
例の、「食料自給率の高い人は美しい、、、黒木メイサの自給率は64%、、、」っていうCMのアレである(あのCMみて「マジ?」と思ってしまった)。農林水産省の自給率オヤジと言われた塩川さんに「ご協力お願いします」と言われたので、断りようもなく引き入れられてしまった。
何をやっているかというと、食料自給率の向上に資する食品や取り組みを表彰(顕彰)する「FOOD ACTION NIPPON アワード2009」の委員になっている。小泉武夫先生を筆頭にもの凄いメンバーを集めたものだと思うが、なぜかその中にひょっこり入っているのだ(笑)
一年目ということもあってかなり大変な選考になると思うけど、真の意味で「食料自給率の向上に資する」取り組みってなんだろうか、ということを突き詰めて顕彰しなければならない。そうなると、実はけっこう考えなければならないことが実に多いのだ。
例えば、大メーカーが自分のとこの国産こだわり商品を出してきたとする。そのメーカーが全体としては外国産の素材を99%使っていて、1%だけそのこだわり品だった場合は、顕彰の対象になりうるだろうか?普通は「なんだよそりゃぁ」となりますな。けれども、その1%の部分が実に消費者の意識をドラスティックに変えるようなインパクトのある商品だった場合はどうする!?意義はあるんじゃないの?など、これからかなり議論をしていかなければならない選考過程になると思う。すでに事務局の方から予想以上の応募件数と聴いている。うーむ選考が楽しみだぁ、、、もちろん、買収は効きませんよ(笑)
さてなんでこんな話をしたかというと、安来で面白い取り組みに出会ったからだ。撮ってもわかりやすいコンセプト。「安来で獲れた素材だけで造ったお弁当です!」というものだ。
「やまけんさん、これからお連れする「うえだ」は、本当に力を入れて地産地消に取り組んでいるんです!」
飲食業社が地産地消を旨に営業していくのは、なかなか難しい。野菜や米ならなんとかなるが、それ以外の肉や魚などをすべて地場産で取り揃えるのが難しいからだ。ましてや大手メーカーの寡占化が進む調味料となれば、、、ということを頑張っているお店ならぜひ応援したいと思い、夜の部へと進んだのである。

■お食事処 うえだ
島根県安来市安来町1643
0854-22-2148
会の始まる前に1Fへ降りて、ご主人とお話。ご主人はもともとは飲食業とは関係のない分野で、県内トップセールスの営業マンだったそうだ。飲食業に入ったとき、どうせなら人のためになる食を、と思いながら、信頼する料理人である「女将」こと天野さんと一緒に地元の生産者さん達とのネットワークを築き上げた。
その結晶がお弁当「やすぎの幸」だ。
お弁当を目の前に、ご主人が朗々と解説をしてくれる。

けど、おいらは腹が減った!ので、ソロソロと 弁当の中身をあける。

二段の弁当の中身はとってもカラフル。彩り美しいだけではなく、かなり美味しそうな 野菜中心の弁当だ。
ご覧の通り、生産者の名前がぎっしりと書いてある。しかも、単に地元の生産者の素材を使っているというだけではなく、エコファーマー(環境保全型農業を実践する生産者に与えられる認定)や特別栽培農産物を中心としたラインナップ。つまり、「地元」だけではなく環境負荷や品質にもきちんと気を配っているということだ。

いますぐ喰いたい!と思ったのだけれども、実はこの場は安来の役場や農業関係者が集まった宴会なのですよ宴会。 なので、宿でいただくことにした。
ちなみに「うえだ」は宴会または仕出し料理の店だ。だからふらっと行って「お弁当ください」とか言ってもダメらしい。もし安来に行くことがあるなら、電話してなにか食べられないか聴いてみるといいだろう。お一人様だけだと難しいかも知れないが、、、
さて宴会料理も実に美味しいものであった。

おナスはエビとの相性抜群でございます。
そして竹谷さんとこの奥さんが育てていた大根菜。
ゴマ和え、勿論美味しゅうございました。

ドジョウ?ではなくウナギをつかったうざく。

島根の甘酢はやはり甘みが 強めだが、それが飯に合う。

地元の養鶏農家さんの平飼い玉子。これが実に美味しかった!

お寿司は具材も豪華だが、米が赤米なのである。赤米を出すところはけっこうあるけど、旨いのにあたることはあまりない。しかしここの赤米寿司は実に美味かった! モチ感だけじゃなくうるち米の食感も強く、なんら不思議のない寿司飯だった。
そしてデザートはミスター竹谷の肥後グリーンである!
本来は10日後に食べ頃になる、ということはいま食べてもそれほど旨くないはずだが、すでに糖度16度に達している果肉は実に甘い。 追熟させるとさぞかし風味が乗り、トロッととろけることだろう。それだけに取り立ての実だったのが残念~ 一番食べ頃のメロンを食いたかったぁ!
この日いたメンバーに、もともとは肉牛生産農家への指導で廻っておられていた若手の方が居た。島根県は黒毛和牛の大産地だ。おもわず黒毛和牛品種の系統の変遷について話が盛り上がった。今度ゆっくり話をしてみたいものだ。
そんな楽しい会のあと、宿に戻って弁当をあけた。申し訳ないが一枚も写真を撮ってない。夢中で食べてしまったからだ。
動物性タンパクが大好きな僕にはややヘルシー過ぎる弁当だが、実に美味しかった。本当にご馳走様でした。
それにしても安来市、かなり恐るべしである。
山形は庄内、鶴岡にて農家民宿「母家(おもや)」を営む小野寺さんご夫妻から、だだちゃ豆が届いた。
これは、本物。何が本物かというと、種苗会社が持っている種ではなくて、小野寺家にずっと伝わるオリジナルな種を蒔き、毎年種採りして伝え続けているものなのだ。
京野菜などでもそうだけど、一般流通する伝統野菜は、さすがに品質を均質化するために種子を一種に固定して、地元の種苗会社などがそれを農協などに供給するような体制になっているところが多い。それはまあ仕方のないところだ。
しかし本来、在来種は家々に伝わる種がベースになったものだ。品質が家によって違うのが当たり前。その差を愉しむのもまた一興。ワインの本場では畑によって味が違うというのと全く同じだ。そろそろ日本は「安定した収量、安定した品質」という呪縛から逃れなければならない。
鶴岡ではだだちゃ豆を買うとき「あ、この人のところだったらもう少し後に出てくるだだちゃが美味しい」などと識別するそうだ。なぜかといえば、エダマメにも早生・中生・晩生があって、時期によって微妙に品種が変わる。農家さんの家でもそれぞれの品種を伝えているわけだ。小野寺家で育苗しているところを見せてもらったとき、すでに3品種が植えられていた。
もちろん、種が違うというだけではなく、それにどのような肥料を入れるかという肥培管理、そして育て方によって味が変わる。小野寺家は昔から、化学肥料・化学合成農薬を使用しない農法を基準として持つ大地を守る会と取引をしてきた。有機肥料の扱いに長けている農家が作るだだちゃ豆。そりゃあ最強である。
有機だからといってそれが確実に美味しくなるとは限らない、と、科学農法信奉者が言ったり、それを鵜呑みにした人々が有機肥料を否定するシーンがよくあるが、大きな間違いだと思う。格闘技では、技術が同じであれば体格が大きい方が有利だ。それと同じで、野菜に関しては栽培条件が同等に確保されれば有機肥料のみで栽培した方が断然美味しい。
小野寺さんのところのだだちゃ豆、一般で買えるのかどうかわからないが、彼女たちの民宿「母家」にはぜひ泊まって欲しい。豪農の立派な古民家の部屋を堪能し、ホテルでは味わえない農家の味を楽しめる。
■母家 (菜ぁ)
http://www17.plala.or.jp/e-naa/
喜作さん・美佐子さん、ごちそうさまでした!
成谷自然食の会でのひとときで、もしかしたら新井谷のおじちゃんが来てくれるかも、と期待をしていた。おじちゃんは、大地を守る会の和食屋「山藤」の料理人である梅さんが敬愛する山の人であり、山形村の人々が集まる囲炉裏端を持つ重要人物だ。ちなみに山藤で食べられる川魚や松茸はこのおじちゃんが穫ったものである。
昨年は松茸を携えてきてくれたのだが、今回も食事の終わり頃に来てくれた!
しかも、、、
「ちょっとしか穫れないんだけどさ、今年の最後のシメジだよ」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
本物のホンシメジだ! いやーーー こんなに沢山あるのは初めて観た!
ありがたいことです。おじちゃんほんとにありがとう。井のなかチームと眞貝シェフにお裾分けをしたが、それでも一杯残り、我が家では汁もの、パスタなどで堪能しました。キノコからこんなにすごい味が出るとは、、、
それにしても、このおじちゃんの笑顔が俺は大好きなのだ。
ね、絶品じゃないですか?
来る11月2日、僕の短角牛である国産丸が、この山形村の牛飼いの牛舎に入ることになる。その際、泊めていただくお願いをした。いまから楽しみだ。
おじちゃん、今後もよろしくお願いします!
感動の郷土色「まめぶ」を堪能した後は、いよいよ短角牛だ。肥育農家の落安さんの牛舎へ向かう。
山形村では、大地を守る会と短角牛の契約取引を行っている。日本では非常に珍しい、国産100%の飼料を給餌した短角牛を出荷しているのだ。

落安さんは、大地との契約取引が始まってからの最初の短角牛生産部会長を務めた人だ。牛舎に入っても全く糞尿の匂い無し。非常に綺麗な管理をしているのが見て取れた。
しかし、山形村の短角牛を巡る状況は厳しい。
山形村の短角は大地を守る会との契約取引だけではなく、高級スーパーである明治屋にも出荷している。ただここのところ、メインの大地の取引が、不況の影響もあって大きく落ち込んでいる。
大地のシステムは10万世帯の会員からの事前発注システムだ。短角牛はつねにレギュラーメニューとして掲載されているけれども、もちろん安い値段ではない。一般の流通が、生産者を叩きまくった割安な価格をつけているのに対し、大地の場合は生産者の生活を保障しうる正当な価格をつけているからだ。
しかし、家計における食費の割合を下げようとする人達が多い中、やはり短角牛の受注数は減っているという。そうなると大地としても、売れる見込みのない短角を仕入れるわけにはいかない。
「だから、この牛舎の一番端っこにいる牛たちは、本当はもう出荷しているはずなんですよ。でも売れないので、溜まっているわけです。」
そうなると、えさ代が毎日かかっていくので、コストがどんどん上がっていく。畜産という仕事は、数年をかけて産物を得るものだ。1年先の景気など、どうしたって予測できない。常に大きなリスクを抱えながら生産をしている。消費者は危機が来れば財布の紐を締めて緊縮できるけれども、生産者はそうはいかない。消費者一人一人がこうした事情を理解して、できれば「支える消費」に加わってほしいものだと思う。
道の向こうには、収穫期を迎えたデントコーン畑が拡がっていた。これぞ国産の餌のエース。カロリーも十分で、短角なのにサシも入るくらいの佳い餌だ。他国に依存しない、他国の取り分を横取りしない畜産を日本が行う日は、いつになったらくるのだろうか。それは、生産者の意識よりは消費の意識の問題なのだと改めて感じながら、牧野に向かった。
去年は二戸が誇る浄法寺の稲庭牧野の広大な風景を楽しんだが、今年は晴れ渡った空の下、最高のコンディションで久慈市山形村の牧野を訪れることができた!
僕らが到着すると、放牧されていた牛たちが「何なに?何かくれるの~!!!」と勘違いして寄ってくる。
参加者一同、初めてみる短角牛の大きな体躯におっかなビックリしている。
でもせっかくの牧野。ホカホカの糞に気をつけながら、どうぞ足を踏み入れてくださいな。
皆さんたっぷりと短角牛のいる風景を堪能。
畜産の世界では、鶏や豚は中小家畜、牛は大型家畜と分類されている。その中でも大型家畜である牛や馬は、やっぱりその存在感が大きく、正しく相対するととても癒される。僕がなんでここのところ牛達との時間が長いのか、参加者にはわかってもらえたことと思う。
久慈振興局の畜産部長さまよりご挨拶をいただき、牧野を後にする。参加者一同、長かったようであっという間に過ぎた行程に思いをはせる。バスは二戸駅に隣接する「なにゃーと」へ到着。
解散式を行い、スタッフの皆さんに大感謝の拍手を送る。
久慈・二戸の双方の振興局が手を取り合って調整してくださったこの企画、他の県の関係者からみると「すごく異例なこと、でもお見事!」という評価らしい。僕も行く先々で「あの企画はすごいです」とよく言われる。県の出先機関が、管轄の違う区域をまたがってこのようなイベントを行うことは、予算の配分や人員の配置に至るまでを連携しなければならず、定常業務外のことばかりのはずだ。それを厭うことなく遂行して下さった皆様に、心から感謝したいと思う。
ありがとうございました。
そして、参加して下さった皆様。今回一番遠いところというと、大阪からの参加が2名!いつも不思議だけど、なんで皆さんこんなに探求熱心なのだろうか。無理して盛り上げる必要ないほどにノリのいい皆さんと一緒にいて、僕は大変幸せでした。また一緒に遊びたい人ばかり。
こうして岩手県北部の探訪ツアーは大団円を迎えることとなった。皆さん、ありがとうございました!
追伸:
すでに決まっていることとして、年明けに岩手県の雑穀料理セミナーを東京で開催します。これは言ってみれば料理教室!ご飯と一緒に炊くだけじゃなく、雑穀ならではの美味しい料理を一般向けにお教えします。時期が来たら募集しますので、どうぞよろしくお願いします!

高知県にて。
高知はカツオのたたきを焼くのに稲ワラを使うから、稲刈り後の藁の活用度合いは高いようだ。
時期的に刈り干しも終わり、自家用の稲ワラを干しているのだろうか、写真のような風景が点在している。
ばあちゃんが、大豆を積んで乾燥させている。
「その大豆、品種は何?」と尋ねたら、「これはね、緑豆なんだよ」といってみせてくれた。
この辺では普通は緑豆はつくらないらしいが、興味があって植えてみたんだそうだ。
「あのね、その道のカーブの向こうに、樹齢のながーい柿の木があってね。写真撮る人がようくるんよ。いってみな!」
と教えてくれるけど、、、俺にとっては、ばあちゃんの方が絵になるよ。

家庭菜園家向けの雑誌である「やさい畑」(家の光協会刊)に、全国の篤農家を訪ねる連載を書いている。プロ農家ではなく菜園家に向けた内容なのだけど、大半の菜園家はプロ農家にあこがれを持っているので、こうした「プロ農家に訊く!」という感じの内容は楽しく読んでもらえるようだ。
僕自身、学生時代(大学院も含め6年間)に畑をもって農作業をしていたので理解できるのだけど、一般に農作業の難易度を上げるファクターは「面積」だ。10坪とかの菜園クラスであれば、まあ特に大変なことはないのだけど、これが1反歩(10メートル×100メートル程度)を超える程度になると事情が変わってくる。ニンジンの間引きをしたり、草とりをする時に、作業にかかる時間が長くなる。作業が楽しみではなくなる一線を超えると、それはもう「仕事」になってしまう。
今、全国的に適度な広さの菜園を持つことがブームになっているが、とても佳いことだと思う。作業の楽しさを味わいながら、野菜をつくる手間の多さと大変さを識ることで、多くの一が「なんでこんなに大変な思いをして作ってる野菜が、スーパーであんな安い価格で買えるの?」という疑問を持ってくれるからだ。ということで、菜園好きな方、ぜひ「やさい畑」をよろしくお願いします。
で、いま発売中の号には、辛味大根の中でも知名度の高い「ねずみ大根」が掲載されているので、ぜひお読みいただきたいと思う。栽培方法についての詳細は誌面をみていただきたい。
上田駅からさらに20分ほどローカル線で乗り継いだところに坂城町がある。JAちくまの担当者である半田さんの車でしばらくいった街道沿いに、ねずみ大根畑があった。
でも、車を降りて一言目は「えっこれほんとに大根畑?」というものだった。
なぜかというと、大根の葉にしてはとても刻みの細かい葉で、ルッコラの野生種であるセルバチコのような見た目なのだ。

でも根本を観るとたしかに大根。こんな品種は初めて観た。
この畑は、ねずみ大根振興協議会の会長を勤める成澤明雄さんのものだ。
彼が持っているのがねずみ大根。全国にある辛味大根は、例外なくこうした小さい、とても可愛らしい形状なのだが、その中でもねずみ大根の可愛さは群を抜いている。
ご覧のようにまさしくネズミのような形で、ご丁寧にしっぽまでちょろりとついている。
地元でも、ちゃんとこのしっぽがついていないとダメなんだそうだ。
辛味大根といわれるものは新潟や山形などにもあるが、やっぱり信州が本場だと思う。というのは、この辛味を活かした郷土料理の決定版があるからだ。それはなにかというと、「おしぼり」。
おしぼりとは、辛味大根をおろしたのをサラシなどで絞った汁のことだ。このおしぼり汁に味噌や醤油を加えたもので、地粉で打ったうどんをすするというのがこの辺の押しも押されぬ郷土食なのである。ここ坂城町一帯でおしぼりうどんを出す店がいくつかあるのだが、この日連れて行ってくれたのが「かいぜ」という店。
お休みなのにわざわざ取材のために開けてくれた!ありがとうございました、、、
店の周りに、異様に低樹高の仕立てをしたリンゴが植わっている。
ここのおかみさんは、ご主人が栽培しているねずみ大根を使っておしぼりうどんを作っているという、実に理想的な関係。
「おしぼり汁はね、おろし方が大事なの。うちはジューサー使うのよ」
あれ、手でおろすんじゃないの?
「時間をおくと辛味が揮発しちゃうから、すぐに絞れるジューサーのほうがいいの。それにね、直角を保つことができるから」
直角?
「そう、大根をおろすときの角度で辛さが決まるのよぉ~。じゃあ実験。おろし金に対して斜めにおろすのと、直角におろすので辛さが変わるのよ!」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
ほんとだ! 斜めにしておろすと、おろしがねにあたる面積が大きくなるから、早くおろすことができる。けど、辛味が薄い! それに対して、おろしがねに直角にあてておろした方はビリビリと辛い!
大根の辛さは細胞を破断することによって、酵素の力でイソチオシアネートの辛味が立つ。その細胞の破断の仕方によっても辛味が変わるのだ!
みんな「ほんとだほんとだ!」とワイワイ。
これ、ねずみ大根のたくわん。実は、ねずみ大根はおろさずに食べるとあまり辛味は感じない。みっちりと肉の詰まった、細かな食感のたくわんになる。歯触りの密度感が美味だ。
そしてこれがおしぼりうどんである!
手前の泡立つ白い汁がおしぼり。運ぶ寸前にジューサーでギュイーンと絞った汁だ。
このおしぼりをつけて食べるうどんは、長野県産の粉で打ったもの。さぬき系とはまた全然違い、コシよりも風味を優先させたうどんだ。この黄色みがかった色が実にそそる。
「まずはおしぼりになにも入れないで食べてみて!」
という皆さんのお言葉に、このおしぼりのみにうどんをつけて啜りこむ。
口に含んだ瞬間、おしぼりの汁は甘さをまず感じる。この甘さは収穫してから少し貯蔵した大根でないと出ない。でん粉質が糖に変わらないと甘さが出ないのだ。この辺は芋と一緒だな。そしてその甘みのあとに、ヅヅヅヅーン!と辛味が上ってくる。まずは口腔内で辛味を感じ、そして最終的には鼻に来る。ヅガーン!と刺さってくる刺激だ!ここでむせたら大変なことになると我慢、我慢、、、
それにしても大根の汁がこんなにも多様な味わいを呈するとはとても面白いことだ。何もいれないでおしぼりだけで食べるうどん、マニアックだけど、一口目は試してみた方がいい。
そして、おしぼりうどんにはこんな薬味がついてくる。
信州味噌、鰹節、長ネギ。
これを足して食べるのが旨いのだけど、JAの半田さんは厳しくて、「味噌はそんなにいれちゃダメ!味噌うどんになっちゃうでしょ!」とチェックがはいる(笑)
でも僕は味噌タップリが好きだ、、、味噌の旨みと辛さのコンビネーションが実にいいのだ。
この日、採りたての成澤さんの大根もしぼってみたのだが、まだ辛味ばかり強すぎて、みんな「辛い辛い辛い辛い!」としびれてしまった。おしぼりにはちょっと置いた大根が合うのだ。
ちなみに手打ちのおしぼりうどんが800円。十割蕎麦が1000円。どちらも食べたいヒト向けにわがままセットというのがあって、1000円で半々で食べられる。ここのおかみさん、かなりの達人で、十割蕎麦も実に旨かった。自信をもってお奨めできます。
年の瀬のいまごろ、新もののねずみ大根もほどよい辛味におちついているのではないだろうか。ああ、また食いたい、、、あの辛味はクセになるのだ!本当に美味しかった!沢山食べ過ぎて、瞬間的に胃が痛くなったけど、東京につく頃にはもうお腹が減っていた。ジアスターゼの効用で、腹が減ったのか。
「かいぜ」のご夫婦ツーショット。どうもごちそうさまでした!
相変わらず低温傾向が続いている。各産地の農産物の生育が非常に遅れていて、野菜の価格が高騰している。でも、問題はそんなもんじゃない。この春先の異常低温は、夏秋冬に収穫できる農産物にも大きな影響をもたらす。今年度は果樹に関しては莫大な損害が出るかもしれない。
どんなに技術が進歩しても、中・長期的に天気をコントロールすることはできない。気温が低ければ暖房を焚けばいいじゃないか、というけど、屋外の露地栽培では無理だし、ハウス内では「加温機」という機械を使って火を入れることで調整できるが、非常に高いコストがかかってしまう。そのコストを乗せた価格を、ただでさえ野菜が高いという消費者がちゃんと払うのだろうか?
野菜が高い!と言うが、これまでずっと野菜の価格は安かったのだ。90年代後半から野菜の価格はほとんど変わらず、それどころか右肩下がりなのだ。それが、すこし高騰したからといって「高い」「買えない」というのはちょっと不自然だ。「買えない」という言葉はすくなくとも、生産と流通の現場からみればちょっとのみにくい。
固定電話を家族で共有していた時代から、携帯電話の時代になり、世帯当たりの通信費用は数倍になった。それは「仕方がない」としながら、日々の身体を作ってくれる食べ物の価格が50円値上がりしたくらいで「買えない」というのはあまりにオーバーな話だ。
消費者さえよければいい、という発想が、この国の製品・サービスをますます低いものにしてしまうと思う。
さて、先日の記事への反応。ある県の農林部の職員さんだ。
さて、
ブログ読ませていただいております。野菜価格の高騰は、東京だけでなく○○県でもすごいものですが、
ここ○○○では離島と言うこともあってさらにひどい状態です。キャベツが高いからもやしが人気などという話を聞くと
無理にキャベツ食べなくても死にはせんし、
昔なら漬け物でも食ってしのいだに違いないと思ってしまします。保存の利く野菜はともかく、ナスやピーマンは今の時期のものじゃないし、
やたらと旬でない食べ物まで高いとか騒いで、国内外から余るほど仕入れて、価格を抑えておいて
足らなくなると上がるのが経済の大原則なのに
一々騒ぐことは、滑稽ですらあります。こういう機会に自然の恵みである食物に感謝することを考えるべきです。
マスコミは、そういうことを国民に伝える視点が必要ではないでしょうか?なんて、言っておりますが、アイスランドの火山灰が成層圏にまで上がると
今度は、局所的被害ですまなくなるのではないかと
冷夏や日照不足が起こらないとも限りません。自然の力の前に無力な人間ですが、いざそういう事態になれば、
農業技術者として対応できるようにしておかなければなりません。少し脱線しましたが、
生産を安定させ、天候不順の時でも対応できる生産体制を築くためには、
生産者の経費に見合う価格で仕入、販売するような仕組み作りが必要です。やはり、日本の食は安すぎるのですね・・・
こちらはとある仲卸さんからのものだ。
最近のやまけんさんのブログでも何回か取り上げられていますが、
今回の野菜相場の高騰に対する農水省や量販店の対応は、
あまりに酷いですね・・・。
今日の農業新聞にも、農水大臣がイオンの店舗を視察して、
さらなる規格外野菜の販売推進を要請したとの記事が出ていますが、
どういった問題が起こっているのか、本当に理解されているのか、甚だ疑問です。胡瓜が良い例なんですが、最近、量販店や生協では、
曲がり胡瓜や不揃い胡瓜と称して、優品や良品を販売されているのですが、
今の胡瓜は秀品率が約90%です。
その為、当然大口の出荷要請には優品や良品で出荷できるわけがなく、
優品や良品の使用を前提とした納品価格で、
赤字を出して秀品を我々流通業者が納品しているのが現状です。さらに、優品や良品を出荷しても、品質検査の名の元に、
曲がり方が酷い胡瓜に関しては、不良品として返品されるという、
???な対応をする量販店もあります。また、大手量販店が揃って、野菜の緊急値下げ等を実施していますが、
これも自社の努力で実施している会社もあるでしょうが、
納入業者に負担を強いている会社も多数あります。こういった現状を知らないで、選挙対策の為か、
その場だけの一般受けの良い対応に終始する今の政治には、
本当に疑問を感じます。
これを機会に、やまけんさんが言われているように、
国民一人一人が、食べ物の価値を、もう一度考え直してくれると良いのですが・・・。
専門用語が出てくるので解説しよう。
規格外野菜の販売推進というのは、通常ならスーパー等には出回らない、曲がりが酷かったり見た目の悪い野菜も、この高騰時は取引するようにという提言を農水大臣がしたということだ。
規格外野菜のことはこれまでもよく採り上げられているが、マスメディアも含め、誤解している人が多い。というのは、多くの論調が「これまで捨てられていた規格外野菜を有効活用する」という言い方をしていて、消費者も「ああ、規格外野菜を買って上げると農家が喜ぶのね」という意識で受け入れている。これは大間違いだ。
規格外の商品も、基本的には市場に出荷され、さまざまな取引先へ格安で販売される。例えば100円ショップとかね。ただし、仲卸さんの文中に「秀品率が90%」とあるように、最近の野菜生産技術は高度化しているので、曲がりのないもの、見た目のよいものが90%以上になっている。つまり、規格外の野菜なんて、市場流通の中ではそんなに出てこないのだ。
しかし、スーパーでは目玉企画として規格外品販売をしたい。そこで、「規格外品を50ケース!」というような買い方をしようとする。しかし、規格外品ばかりそんなに都合よく集まるはずがない。その場合、仲卸としては高く売るべき規格品を規格外品として販売するのである。
「そんなことしなければいいのに」
というのは、今日の取引における力関係を知らない人だ。昔とは違い、いまはスーパーや外食と言った購買側企業が全てのパワーを把握している。スーパーが「この単価でこれだけ持ってこい」といえば、あらがうことは出来ない。もし「無理です」「欠品します」ということになったら、なんと「欠品下分、売上を補償しろ」と言われかねない。欠品補償とは、つまり「売れたかもしれない分、お前が支払え」ということだ。
無ければ無いでいいじゃないか
そういう自然が通用しないのが今の取引なのである。
そして最近、イオンやイトーヨーカドーが揃って値下げをしているけれども、上で仲卸さんが書いているように、スーパー側の利益を減らすのではなく、取引先を叩いて値下げを実現していることもある。
とそういうワケなんだけど、「いいんだよ消費者が安ければ!」とか、「これまでさんざん税金で優遇されてきたんだから、生産者は守らなくていい」とかいう輩はまだまだ居る。とくに最近、山下一仁さんとか、自給率について書いている浅川さんなどの論客が活躍しているので、「農業は保護しないでいいんじゃん」と早とちりしている連中も多いはずだ。
けどね、農業を巡る論壇にも右と左が居る。どちらもバランスよく情報を摂取した上で判断してくれないと困る。極左の意見をもって「これが正しいんでしょ?」といわれても、、、という感じだ。
でも右でも左でもなく、ひとつの真実がある。それは先にも書いたとおり
「自然には逆らえない」
ということである。そして農業は、自然と寄り添うものだ。
高い野菜が嫌だと言う人は、自然環境が悪化する要因を身の回りで探してみよう。その要因が、自分が生み出したものであるかどうかを考えてみよう。もし、自分もその悪化に荷担していると感じたなら、ぜひ自分が自然環境が正常化するために何を出来るだろうかということを考えるところから始めてみよう。それがひいては安定した価格での食料供給に繋がるのだから。
いまさっき宮崎に着きました。水曜日までフル回転です。
例によって例のごとく、その1のエントリから間隔があいてしまってすみません。
八女市星野村の後藤ふみこさんの体験工房にて、郷土料理をたらふく食べた、、、とおもったら!
「まだお腹いっぱいにしちゃダメよ~ これからふな焼きを作って、それから芋まんじゅうを作るんだから!」
えええええええええええええ そう来たか! そう、実はこの旅はもともと、前回来訪時に食べて感動した八女の郷土料理である「里いもまんじゅう」の作り方を教わるためのもの。それを、前回仕事の際にアテンドしてくださった農業改良普及指導員の龍さんに打診したら、「じゃあこの辺の素晴らしい作り手の人達を網羅しましょう!」なんてことになったのだ。でも時間的には半日しかないので、廻る先は限られてしまう。数ある中から選ばれたのがこの後藤ふみこさんと、大道谷の宿なのである。
で、この後藤ふみこさんの工房には、郷土料理をたらふくいただいた土間とは別に、厨房スペースがある。その前にホットプレートをおいて、準備が整っていた!
「じゃあね、ふな焼きをつくりましょう。小麦粉を溶いて焼いただけの、この辺の子供達が昔から食べてるシンプルなおやつなの。」
といいながらふみこさん、なにやら緑色の葉をちぎっている。これは積み立てのヨモギ!
「小麦を溶いて焼くだけだから、何か香りのあるものを入れると無限に味が拡がるのよ」
これを小麦粉をゆるく溶いた中に入れる。小麦粉の溶き加減は当然、家々によって違うようだ。ちなみにふみこさんのところでは、お客さんに振る舞う際に冷めても固くならないように、とある天然のものを入れる。そうするとてきめんに食感が長持ちするらしいのだけど、それは企業秘密(笑)
よーく熱したホットプレートに流す。この流れ方をみればだいたい生地の硬さがわかりますな。
ところでふな焼きの「ふな」は舟のこと。なんでかというと、まだ大きな釜などで煮炊きしていた頃は、ふな焼きを焼くのは大きな鉄鍋。この辺は茶どころだから、釜入り茶を作るための大きな釜がどこにでもあったのだ。その釜をばっちり撮った写真がないのが悔やまれるのだけど、下の写真でふみこさんが持っている蓋の左側、竹竿が載っているのが大釜だ。
底面がおおきく湾曲した大釜に油を敷いて、粉を溶いたものを焼き、半分にパタンと折れば、形はちょうど舟のような木の葉型になる。それで「ふな焼き」というのだそうだ。
蓋をしてしばし焼き、加減を見る。軽く焼き目がついたらできあがり!
半分はそのままでいただき、半分はなんと黒砂糖を巻いていただく、ご当地のおやつスタイル!
さてこのふな焼き、実に実に味わい深いのだ。粉を溶いてヨモギを入れて焼いただけですよ!それなのにヨモギのあの何とも言えない緑っぽい香油成分がばっちり溶け出して、なんとも高貴なお焼きになっている。生地もふんわりつるりとして、よい食感。これは熱々を食べるに限るね!

黒砂糖を巻いたバージョンを食べながら「おーそうそう これをガキん頃は食べよったね~」とほほえむ、朝日屋酒店の高橋君(左)と 肥料コンサルタントの富松(右)。僕が久留米・八女に行くときにはほぼ必ず同行してくれる二人だ。
スペシャルふなやきはさらに続く。星野村にきて茶を食べないわけにはいかない!
摘んできたばかりの柔らかな茶葉である!
茶葉を入れたふな焼きは、実に乙なものだ。スーパー店頭で焙じながら販売しているのをよくみかけるだろうが、ブワンブワンと香ばしい薫りがする。あれを「茶の香り」と思う人が多いようだけど、実はちょっと違う。あれは茶に火を入れることで発する「火香」というもので、つまり焼けた香りだ。ウナギの蒲焼きが香りで人の食欲を喚起するように、茶も火香で人を寄せることはある。けれどもそれはどちらかといえば茶を劣化させた香りでもあるわけだ。それに、焙じすぎると奥ゆかしい本来の香りは消え去ってしまう。最近は深蒸しのお茶ばかりが売れているようだけど、これも茶の香りが消えてしまう製法だ。
蒸し時間の短い、茶業界でいう「伸び」のお茶を低温の湯でじっくり煎れると、カツオダシのようなこっくりした旨味の茶が出る。これをいただくと、喉元から呼吸のたびになんともいえない香りが戻ってくる。これが茶葉の香りなのだ。
茶葉入りのふな焼きは、生の茶葉に小麦の生地越しに柔らかく火を通していくので、この香りが失われない。だから実に上等な味がする! けれども火香がないので、茶葉が口に入らないと味はしない。
「ちょっといま天気が悪くて収穫量が少ないから、これだけでも集めるの大変だったのよ」
とふみこさん言うとおり、至上の贅沢なのである。
ふな焼きはあまりにプレーンな料理だから、いろんな食べ方ができる。写真は鉄火味噌。これを塗って食べてもよし。
九州じゃ標準の漬物である高菜漬けを混ぜて、酸味のあるのを楽しむもよし、だ。
あーしかしお腹いっぱいどころじゃないよぉ、、、
「あら大変!これから芋まんじゅうなのに。じゃあ厨房で一緒に作りましょ」
意外に大きな厨房の中で、あらかじめ作っておいてもらった生地を使って里芋まんじゅうを仕上げる。里芋まんじゅうの生地は、小麦粉と団子粉(米粉ですな)と少々の重曹を練った生地で作る。
ご覧の通り生地にはよもぎを茹でてミンチにしたものをいれた、緑バージョンだ。
「でもねぇ、ちょっと時間がたっちゃったから、酸化して色が悪くなっちゃってるわ。ごめんねぇ」
というけれども、この時点では綺麗な翡翠色。手前にあるのが里芋を塩ゆでしたものだ。この具材である里芋を「塩ゆで」するのがポイント。普通、しょうゆとかで甘辛く煮染めてしまうでしょ?けど、塩味という淡泊な、しかしばっちり塩梅を効かせた味にするのが旨い里芋まんじゅうをつくるコツなのだ。
平らにのばした生地を周りから伸ばして包んでいく。
まるめてできあがり!

そのまま蒸し器に入れて、蒸していく。

「生地が余ってるから、おまんじゅうも作りましょ!すぐできるから!」
えーーーすぐできるって、、、 でも本当にすぐに、ホイホイと作ってしまうのがお母さんの技。
あんこを小さく丸めたのを生地で包んで、おまんじゅうのできあがり。もうひとつ、味噌を包んだ味噌まんじゅうも。ほんとにあっという間だ。
さてそうこうしているうちに、里芋まんじゅうが蒸し上がった!
おおおっ なるほど、たしかにヨモギの色が少し深くなりすぎている。
「本当はもっと綺麗なのよぉ、、、」とふみこさん悔しそう!ごめんね手間取っちゃったからね、、、でもこれでも十分だぜ!
半分に割ると、綺麗な塩ゆで里芋の断面が!このコントラストが実にいいでしょう!?
さっそくいただいてみる。ふみこさんの里芋まんじゅうは生地がネッチリモッチリしているタイプ。クニーッと歯が入っていって、そして里芋のネローンとした食感に行き着く。ツルリとした皮から、里芋に舌が到達するとほどよい塩気が味覚を楽しませてくれる。
なんとシンプルにして美味しい料理なんだろうか!
追っかけるように蒸し上がったおまんじゅうも。
こちらは重曹入りの、ふわーっとしあげたおまんじゅう。手前が味噌入りまんじゅう。
いやもういうことありません。本当にご馳走様でした、、、
実はこのあとすぐに大道谷の里へ行かなければならなかったので、いそいで辞することに。ふみこさんどうもありがとう! 「来てくれてありがとう!」と言ってくれたけれども、それはこちらの台詞です。ほんと、居てくれてありがとうございました。
もし福岡は八女に足を運ばれるなら、ふみこさんの体験工房にぜひ行って、郷土の味を習ってみることをお薦めする。僕の文章では伝わらないほどに素晴らしいよ、ホント。
むしろで遮光された茶畑をみつつ、一路 大道谷の里へと向かうのであった。

宮崎応援エントリは続く。さる4月26~28日、僕は宮崎県にいたのだった。和牛や養豚経営との関わりではなくて、野菜の仕事だけれども。
冒頭の写真はサヤインゲン。ツルの伸びない、わい性のインゲンである。学生の頃に自分で作っていたときはツルあり品種だったが、支柱を長くしないといけないので面倒だった。師匠の農場で初めてツル無しインゲンを見たときに「なんて簡単でいい作物なんだ!」と感動したことを覚えている。
しかも、ツルあり品種の、いわゆるドジョウインゲンは、なんとなく表面が薄曇りして食感もそれほど強くないのに対し、ツル無し品種はツルンとして、プチンプチンとした食感。そのかわりあまり長くならないけど、僕の好みはこちらのほうなのだ。
生産者の田中さん。なかなか正面から撮らせてくれなかった!
「俺が写真をとるとよう、なんか変なものが写るんだよ。まあ、俺を撮っても何も写らないだろうけどさ」
と笑っていた。
田中さんのメイン品目はゴーヤー。まだはしりの時期で小さかったけれども、イボの立派なゴーヤーがなりはじめていた。ちなみに宮崎では昔からこの苦い野菜を「にがごり」と呼んできた。
ちょっと移動して、マンゴー生産者の島地さんのところへ。
島地さんのことを覚えている人は、僕のブログのそうとう昔からの読者さんだろう。2005年に宮崎をおそった大型台風によって西都市のマンゴー部会のハウスは倒壊し、水浸しになり、大きなダメージを受けた。西都市にいた沼口君からの要請もあり、このブログ上で義援金を募集したところ、なんの見返りもないにもかかわらず60万円くらい集まり、部会に寄付させていただいた。その時の部会長が島地さんだ。いまや部会長から地域全体の果樹生産の役に着いているそうだが、根っからの生産者である。あのときの義援金を出してくれた人たちに心から感謝してくれていて、僕が西都周辺で講演をしたりする際にも「必ず」顔を出してくれる。義理の深い方なのである。
マンゴーはこうやって、果実の重みに耐えるよう、吊り下げ栽培をする。
昨年は日照不足で不作、今年もすでに小玉傾向だそうだ。農作物は工業製品とは違い、自然環境のエネルギーで育つ。だからそのエネルギー源である自然環境の力(太陽光・気温・雨・風など)のバランスが崩れると期待通りのものが収穫できないのだ。
ちなみに一玉数千円する宮崎県産マンゴーの「太陽のたまご」とよばれる最上級品は、大玉でしかも糖度基準があり、それを満たすものしか名乗れない。それは全体の10%に満たない程度で、他のものはガクンと値が下がる。マンゴー農家はじゃんじゃん儲かっているだろうと思ったら大間違いなのだ。
ハウスから別れを告げると、僕らの乗った車が見えなくなるまで見送ってくれた。宮崎の農家はやっぱり義理人情に厚い。
西都と言えばピーマンの大産地だ。この後、数軒のピーマン農家さんを廻る。
西都市は国内でパプリカピーマンを作り続ける産地。パプリカは90年代終盤から国内栽培が盛んに試されたが、オランダや韓国からの輸入品に勝てず撤退する産地がほとんどだった。そんな中、宮崎は輸入パプリカより一回り小さい中型カラーピーマンを打ち出すことで生き残ってきた。
もちろん、ふつうの「シシ型」と呼ばれるピーマンの大産地でもある。
さて
この日もっとも驚いた光景がある。
西都市農協の八代君が連れて行ってくれたハウスの中に拡がっていた世界は、、、
なんと! 驚愕の風景であったのだ!
ばっ バッ、、、 バナナ!????????
それも沖縄の在来品種である島バナナのような小振りなものではない、ドカーンとどでかい一房が垂れ下がった、まごうことなき大型バナナである。
いやーたまげた。宮崎の環境だとできるんだなぁ、、、
生産者さん、アテンドをお願いしていたんだけど、なぞの行方不明。電話すると「おー まあ適当にみといてや」ということだったので、うろうろ。その辺に落ちていたバナナの実が勝手に熟して黄色くなっていたので、拾っていただいてしまった。
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
これは旨い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
こいつぁビックリした! フィリピンのミンダナオ島から来るキャベンディッシュ種などとは違う品種らしいのだが、果肉のでん粉質が多いのか、もちもちした食感。しかもなんともいえぬ奥行きのある香りがする。
「イケますよね、これ?」
イケルでしょう、、、バナナ好きとしては堪らないよ、これ。たまたま落ちてたのが自然成熟して黄色くなってるものだけど、ムロに入れてちゃんとエチレンかけたらどうなるんだろう。次回訪問時にはきっちり熟したのをいただきたいと強く願う!
今日も宮崎は暑いだろうか。現地で防疫・処分で動く方々の健康を願いつつ、それを見守る宮崎県民の農家の豊作を願う。
これから高知二泊三日行ってきます。
先日の宮崎県エントリで紹介した、正真正銘の国産バナナ生産者・遠山さんから、どかーんと5kgのバナナが届いた! 遠山さんありがとうございます!
バナナは「ハンド」の状態で段ボールに6房ほど入れてくれていた。
西都市での視察時には「でかいじゃん」と思ったが、通常のキャベンディッシュ種と比べてみると、やはり少し小型。とはいっても、沖縄の島バナナと比べたら十分に大型だ。
エチレンかけているのかどうかわからないが、まだ真緑色。試しに一本割ってみたけれども、もちろんまだ「サクサク」としている状態だ。
だんだんと黄色く色づいてくるのを段階的に食べて、その味の違いを楽しんでください、という伝言。はい、毎日チェックして食べさせていただきます。
たった一日ですでに手前の房がいろづいてきているのがおわかりだろうか。しかし、これだけ来ると、そんなにバナナハンガーあるわけないし、大変だぁ、、、
ということで、これからの変化も逐次報告するのでお楽しみに。
遠山さん、JA西都の八代君、どうもありがとうございます!