普通では視察することが叶わない、農産物関連のバックヤードを見学できるということで、久しぶりに横浜の港方面へ。想像以上にもの凄い現場を観ることができたが、公表は不可よ、ということで残念ながらここには掲載できない。ま、仕方ないわな。
見学後、久しぶりに山下公園で居眠り。ここんところ、出張に次ぐ出張であまりに精神が疲れている。集中力が長続きせず、仕事の効率が悪くなっているのを実感している。本当にそろそろゆっくりできるように仕事を整理しないとダメだな。
横浜は、某シンクタンクに勤務しているときに、社員寮が日吉にあったからよく遊んでいた。横浜駅周辺はともかく、中華街~馬車道あたりは東京とは違い、なんともおしゃれで優雅な感じがする。平日の午後でも山下公園には初老の夫婦や若いカップルがベンチに座り、思い思いの時間を過ごしている。そんな後ろ姿を観るだけでも心地よい。
あまり横浜方面に出てくることも少ないので、せっかくだからと馬車道のヴィノテカ・サクラに予約を入れておいた。
この店の榎本シェフとは、オリーブオイルのテイスティングセミナーで席をご一緒させていただいたことがあり、いつか足を運ばせていただこうと思っていたところだ。
割と時間が早いこともあって、お客さんがほとんど居なかったが、シックで重厚な作りだ。店名の通り、どちらかというとワインに力が入った店らしいが、僕はあまりワインを呑む人間ではない(量的に)ので 、料理中心で行かせてもらう。
「がっつり食べますよ!」というと「ぜひぜひ!」と言っていたのに、オーダーしたら「まじでそんなに食べるんですか?」と驚いていたのが笑えた。
なかなかに煌めくメニューだ!
と思ってみていたら、わざわざ「飯尾醸造のお酢」とメニューに断り書きされた一皿。これを前菜にお願いした。
■生ハムを添えた 京都飯尾醸造の酢の 具だくさんサラダ
サービスの女性が丁寧に目の前でサラダにしてくれる。
そういえば、イタリアではドレッシングを作っておいて、それをかけるということをあまりしない。ワインヴィネガーやレモンの汁を絞り、オイルをかけて塩をして、ざっくり混ぜる。アルキメーデの重いわく、
「ドレッシングは混ぜるから均一な濃度になるけど、イタリア式だと塩の粒が残って舌にあたったり、味の濃度にムラがでて、変化が出るんだ。飽きずに食べられるよ」
ということだった。
生の四角豆なんぞまで入ったサラダ、なかなかに美味しい。ちなみに飯尾醸造の果実酢の中から、好きなお酢を選ぶことができる。僕はアミノ酸の量がもの凄く多いという黒豆酢。嫁は無花果酢だった。
■根菜類のバーニャカウダ
バーニャカウダソース、旨い!
でも、もっと野菜が欲しいョ、、、
■淡路産マイワシと秋田山内産みずのコブの黒オリーブ風味
これは出色のできばえ!
この日、二番目に 心に残ったのがこの一皿。脂ののった新鮮な鰯に合わせるのは、なんと東北の山菜の雄、ミズにできるコブ。サクサクした食感、ちょっぴりネトッとするのが鰯の香りとオリーブの塩味でなんとも豊かな味になっている。これは、旨いね!
そして、、、
この日、セコンドよりもパスタよりも鮮烈に旨かったのが、こいつだ!
■駿河湾産赤座エビ入りスクランブルエッグ
いやー
メニューを見たときから、なんだか異様な輝きを放っていたのだ、この一品は!
スクランブルエッグなんてフツーの料理にスカンピを合わせる、、、何じゃそりゃ?という感じだが、これはよほどに旨いに違いないと思ったのだ。
大正解! 頭の部分にはエビの味噌がカリカリに焼き付けていて、これをちょっと剥がしてエッグに載せていただく。エビ味噌の、芳ばしく濃厚な香りが卵のふんわり優しい味にとけ込み、そしてスカンピの尾の身の部分の食感と旨味に合わさって、これぞ絶品である。
うーん この日はこれがクライマックスであった!
この辺で他のテーブルにお客さんが入ってきたので、ストロボ不使用へ。
■リングイネ 北海道産秋刀魚のコンフィと青菜のソース
■ウンブリチェッリ フランス産シャラン鴨の赤ワイン煮込みソース
■銚子産金目鯛と秋田産芋の子のヴァポーレ からすみがけ
■熊本産赤牛フィレ肉のグリル根菜類のソテー添え ラスパドゥーラ添え
うーむ
やっぱりこの日最高だったのは、赤座エビスクランブルエッグであった!
今でも、あの美味しさが舌の上によみがえってくる、、、
榎本シェフに「食い過ぎですよ、、、」と言われるが、そんなに食ったかな。二人で三万円程度だったが、ワインを僕だけ、白と赤一杯ずつ、にしては確かにかなり食ったほうなんだろうな。
きっと、他のお客さんはワインを目当てにくるから、そんなに料理ばかりは攻めないんだろう。ということは、俺みたいな客はあんましいい客じゃないんだろうなぁ、、、ゴメンナサイね。
横浜にもいい店がありますな。また足を運んでみたい。
しかし実は、馬車道をうろうろする間に、気になるカレー屋があったんだよなぁ、、、
次回は一日コースにしよう。
帰宅後、馬車道散歩中に、有名ないなり寿司専門店「泉平」(いずへい)で買い求めたお好みパック(かんぴょう巻き+いなりずし)をお夜食に(笑)
ながーく巻いたいなり寿司を切って盛るという特徴的なプレゼンテーションがいい。
オフクロが愛媛出身の僕は、幼い頃からいなり寿司の酢飯にはニンジンやレンコン、鰺の焼いたのをほぐしたのが入っていた僕にとって、江戸前のいなり寿司(具は基本的に入らず、油揚げが濃く甘い煮付けになっている)は好ましいものではなかった。でもここのおいなりさんは、酢飯の酢が強く効いているので、甘辛の揚げの味に飽きることがない。美味しゅうございました。
久しぶりの横浜、堪能しました。ご馳走様!
僕は、いわゆる専業のライターではないので、文章の書き方はできるだけ人の真似などして勉強をしている。先日、相次いで二冊の新書を手に取ったが、驚いたことにその二冊は、まったく装いや目的感が違っているように見えながら、ほぼ同じような到達点を目指す(と僕は思った)本だった。
一冊はこちら。
| 調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940) | |
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ノンフィクション作家である野村さんが、テーマに沿って調査・取材し、それを書くための方法論を書いている。
最初にご本人が述べておられるように、最近では最低限の礼儀や作法をわきまえないで取材をするような、失礼な人が多い(僕も人のことは言えないが)。そんなことにならないようにと、ライター向けのマナーブックを作ってくれたようなものである。実に勉強になった。ものを書こうと思っている人は読んで損のない本だ。最近よくみかける、中身がスカスカな新書とはレベルが違う、とても内容の厚い入門書だと思う。
もう一冊はこちらだ。
![]() | 空気の読み方~「できるヤツ」と言わせる「取材力」講座~ (小学館101新書) (小学館101新書 8) 神足 裕司 小学館 2008-10-01 売り上げランキング : 14374 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
福岡の書店にて「お、コータリさんが新刊を出した!」と買い求めた。秋葉原無差別殺傷事件を例にとりながら何を言うのかと思えば、「人間には場の空気を読み、コミュニケーションをとる力、つまり”取材力”が必要だ」という。ははぁ、そうきましたか。そして話しは、彼が膨大な事件取材を行う中から得た教訓の海へと続いていく。
そう、野村さんの本のような、かっちりした造りではないが、到達しようとしている地平はなんとなく同じような気がする。しかも、コータリさんは、必殺兵器である西原理恵子さんの漫画を帯や章扉に持ってくる。大盤振る舞いだ。このサイバラさんの漫画がサイコーに笑える。これだけでも買う価値がある。(←ただし、コータリさんについてよく知る人でないと笑えない可能性はあるが、、、)
ちなみにこの本の中には、僕らしき人間も登場する。光栄な話しだ。コータリさん、また寿司を食べに行きましょう。
それ以外に、、、
| メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書 (298)) | |
![]() | 松永 和紀 光文社 2007-04-17 売り上げランキング : 5628 おすすめ平均 ![]() 健康情報のいい加減さ メディアを中心とした自己中心的で恣意的な情報の取捨選択・操作による「メディア・バイアス」が働く構造や実態を解き明かし、それに騙されない視点や思考を提示。 類書の中では一番Amazonで詳しく見る by G-Tools |
今更の感もあるが、食品に関するヒステリックな告発や偽装、事故の報道が多いが、本当に危ないもの、騒いだ方が佳いものを峻別することは必要だ。その一助になるだろう本を紹介したい。
まだ読んでない人は絶対に読んだ方がいい。著者の松永さんとは、某大学で開催された食品関連のパネルディスカッションに、お互いパネリストとして呼ばれて、お会いした。信頼できる方だと思う。
石川県の先進的な農業者が集まったアグリファンド石川という会に呼んでいただいて講演をする。小松空港に着くと、事務局をしているJAバンクの田中さんが迎えに来てくれていた。
「山本さんは昔、太鼓を叩いていらっしゃったとか。実は石川県には太鼓の博物館があるので、寄ってみますか?」
うがっ このブログのプロフィールに高校時代のことまで書いているからか、そんなことが筒抜けになっているのであった、、、そう、高校から大学時代まで、和太鼓にはまっていた。その頃のメンバー二名が、いまでも活動を続けている。
石川県には、太鼓打ちにとっては聖地といっていい存在がある。浅野太鼓店楽器店という、日本の和太鼓製造のシェア80%以上を持つ太鼓やさんだ。火曜日は博物館は休館なのだけど、ショールームならみられるはずだから、といってみた。しかし、石川の人たちは優しいなぁ、、、浅野太鼓店の方々が、「せっかくだから、博物館にも寄っていってください」と、休館日にもかかわらず入場させてくださった。
写真は5尺8寸の、日本でも最高級に大きな宮太鼓。その前に立つのは太鼓打ちの木下さん。事務所の人間だよという感じでお茶をだしてくださったのだが、地元でも日本中でも有名なプロの太鼓奏者であった! この5尺の和太鼓は、余裕で数千万円はしてしまう。博物館には3尺3寸の太鼓が、叩いていいように置かれていて、軽く音を出させていただいた。うーん、学生時代に無理をしてでもここに来るんだったな、、、と懐かしい気分に浸ってしまった。
昼食は、金沢市民の台所である近江町市場。観光地化されてるよなぁ、と思ったけど、田中さんによれば「市民もしっかり利用しています。中にちらほら観光客空いて野処もありますが、そういうのは観ればすぐにわかります」とのこと。
市場といっても卸売市場ではなく、誰でも買える小売店が並んだもの。こういうのを西日本では市というケースが多い。それにしても、地元の素材をバンバン売っているのが嬉しい!
加賀野菜といわれる伝統野菜の中でも、関東のものとかなり違うのがレンコン。
関東のレンコンはシャッキリ感が好まれるが、こちらでは煮物などにしたときにホックリすることが求められる。でん粉質の多い、ホクホクしたレンコンが好まれるのだ。 
カブも特色がある。関東で主流の洋種の小カブではなく、和カブが多い。北陸の冬の風物詩であるかぶら寿司に使われる大きなカブなども、東日本ではほとんど店頭にはならばない。
加賀野菜の一つ、源助大根。小ぶりなので主婦も好んで買っていくが、れっきとした伝統野菜だ。最近、いろんな種苗会社がこぶりな大根を開発・販売している。これは、独身世帯や夫婦だけの世帯など、世帯が縮小いるので、大きな大根だと一本買いがされなくなってきているからだ。けど、残念ながらそうした、無理に小さくした品種で旨いものには出会ったことがない。でもこの源助大根は元々このサイズ。そして、旨い!
石川丸茄子、買ってくるのを忘れてしまった!
これも加賀野菜。美しい色の金時草は、サッと茹でてダシを含ませておひたしにすると美味しい。
もちろん、石川だから魚も素晴らしい!カニの時期はまだ11月以降らしいが、普通に魚が新鮮で、魚種が豊富だ。
すっかり腹が減ったところで、昼食。
「山本さん、このへんでは廻る寿司でも美味しいって知ってました?」
もちろん!
石川や富山では回転寿司でも、東京のそれとは段違いなのである。 
まだまだ時期的には早いけど、ここは北陸、エビを食わずしてどうする! こちらで甘エビを食べると、東京で食べる甘エビが「もうイっちゃってる」ということが否応なくわかってしまう。余分な香り抜き、溶けたような甘さなし。スキッとした甘さと控えめなエビの香り、これが金沢だ。
ブリ、旨し。田中さんのお子さんはマグロなんぞ食べずにブリばかり所望するそうだ。
くぉおおおおおおおお
白エビ!
これも東京で食べる白エビと全く印象が違う。東京では白エビの甘さが立つけれども、金沢ではよりフレッシュだから、シツコサを全く感じない。あくまで上品である。
赤エビ。エビの種類が豊富なのもこの辺の魅力だ。ああ、ガスエビが食いたい。
高級魚のどぐろ。けっこう厚く切りつけて握ってくれた。端麗な風味、気品があるがしっかり載った脂、そして全く嫌みのない香りがする。北陸でのノドグロ人気がよくわかる。
最後に透明感のあるブリトロ。天然物だろうか、シツコサがない。もちろんこのほかにも15皿くらい食べました。ごちそうさまでした!
羽田から小松空港までの一時間半。そんなに移動してないよな、と思うのに、文化は全く違う。九州や沖縄といった、みるからに全く違う文化圏よりも、身の回りの美味しいもののレベルが段違いになっている北陸のほうが、ある意味では距離感を感じる旅になっているような気がした。数年後には金沢まで長野新幹線が伸びるらしい。早くしてほしいものだ。
ずいぶんと間が空いてしまったけれども、このテーマについて今しばらく書きたい。
先日、母校の学部の授業に招かれて、日本の食に関する講義をしてきた。以前、母校の工学部で授業をしたときは、みな死んだ魚のような眼をしている連中ばかりだったが、今回の商学部の学生達はなかなかに活きた眼をした子達で、ちょっと明るい気分になった。
で、講義が終わってから、数人の学生が質問をしにきてくれた。その中の一人の女の子が、「農業ビジネスに興味があるんです」という。
「ふうん、でも農業はビジネスにはならないよ。」
と言うと、彼女はこう切り返してきた。
「でも、会社運営して、大規模化して効率化していけば、大丈夫なんじゃないですか。」
あ、やっぱりここでも、その辺の駄マスコミや経済人が流布している通説いや俗説が信奉されているのだな、、、と思い、暗澹たる気持ちになった。とりあえず彼女には参考文献を教えて、それを読んだ上で質問したいことがあったら連絡してね、といっておいたのだけども、果たして彼女から質問はくるだろうか。楽しみだ。
さて
僕は農業ビジネスという言葉が大嫌いだ。そこには、「いままで産業として成立していなかった農業という暗黒大陸を、俺たちがきちんとビジネスに仕立ててやるぜ」というような驕りを感じるからだ。
驕り、というだけではおとなしすぎるかも知れない。はっきり言ってしまえば無知であるし、もしかしてその人間が確信犯にやろうとしているならば、悪だと言えるからだ。
農業は、いろんなところで期待されているようなビジネスには成り得ないものだ。その理由は下記に示すとおり。
1. 農産物価格が安すぎて収支が合わない
そもそも90年代後半から、農産物の価格が安くなりすぎてしまった。中国などからの輸入食品をベースに食品価格が設定されるようになったからだ。今、輸入食品の安全性が云々されているにも関わらず、国産品をベースにした食品価格に戻すという動きはない。「安全じゃないとイヤだけど、値段は安くなきゃ買わない」というわがままな消費者ばかり居て、その消費者に対して安値を武器に販売している小売・外食事業者しかいないのに、農業が儲かるはずがないのである。
2. 天候に代表される気象条件に左右されるため、計画通りに進まない
昨今のビジネスでは短期的に収益を出すことが求められる。経営計画があり、それに沿って運用されることが望ましい。でも、その時点で農業には合わない。農業は依然として気象という複雑系に左右されるからである。
「天候が悪かったから計画通りに栽培ができませんでした。」または、「天候がよくて栽培はうまくいったが、全国で豊作だったので、相場が安くなり、期待していた収益が出ませんでした。」ということが当たり前なのである。
だから、天候に左右されない施設栽培にしようという企業は多い。閉鎖系の植物工場を作って、一年中葉物野菜を作ります、という新規参入企業のニュースがけっこう耳に入ってくる。でも、残念ながら植物工場で生産された野菜で、美味しいものに出会ったことがない。
ある僕の友人のバイヤーが
「やまけん、先日うちの近くで新規参入してきた会社が植物工場でみず菜を作って持ってきたんだけどね。『一束で450円で販売します!』なんて馬鹿な値段(高い)つけてきたんだよ!つきあいがあるから一回は置いてあげるけど、絶対に売れるわけない。食べ物を舐めすぎてるよ」
という話をしていた。机上の計算だけをして農業ビジネスを組み立てようとするからこういうことになるのである。
3. 大規模化・効率化はこれ以上難しい
さて、先の学生さんの質問にもあったが、企業化して大規模化や効率化をしていけば、農業がビジネスとして成り立つのではないかという話がよくされている。これを頭から否定する気はない。僕の識っている人にも、関東で20haの稲作をしている人や、東北で大規模な園芸品目の運営をしている農園がある。
しかし、それらは簡単に企業がポンと参入して実現できるようなものではない。まず、「大規模化」なんてそんなに簡単にはできない。日本の農地は戦後、マッカーサーによって農地解放され、それまで小作人だった農民にも小さな面積がばらばらと分け与えられた。それによって、まとまりのない、飛び地主体の農地が日本のベースとなってしまった。
じゃあ、これを集約して大規模化しようということだが、、、仮にとある区画の農地の権利者全員から合意をもらって、土地を一本化できたとする。しかし、それが平地であるということは滅多にない。この日本は元来、起伏に富んだ地形の国なのだ。
「大規模化・効率化」というからには、区画を一枚の畑なり田圃にして、それが例えば10ha程度の面積になっている。そうすると大型機械を走らせて、効率的な農業運営ができる。それは確かだろう。
しかし、その前提として、その10ha程度の面積が平らでなければならない。畑作ならそんなこともないけれども、稲作であれば湛水をするわけで、水平がでてなければならない。そうなったときに、大規模化に伴う土木工事の予算は、10haを平準化する場合、数千万円から、ヘタすると億単位になっちゃうのではないだろうか。
実はもう70~80年代に、こうした大規模な畑地灌漑事業はすでに行われた。もちろん膨大な国家予算を投入して、、、だ。いまの日本の田圃や畑の一枚あたりの面積は小さい、などと言われているが、それでもその灌漑事業前と比べると大規模化しているのである。では、これ以上の大規模灌漑事業を、この日本で行うだけの国家予算て、あったっけ?国家事業としてはもうこれ以降、農地にかけるものは少ないはずだ。だとすれば、参入しようとしている企業が投資してやることになる。本当にできるかぁ?ということだ。
ずいぶん端折ったので、つっこみどころはあると思うが、農業ビジネスなんか成立しないと僕が言っている理由の代表的な問題は上記のとおりだ。
このなかで一番大きな理由はなんといっても1なのである。農産物が安すぎる。価格を生産者が決めることができない。だから、農業ビジネスなんてのをやるまえに、農産物を高く売ることができる飲食店や小売店を成立させて欲しい。そうすれば、それにあった生産を行う農場を運営するということができるわけだから。
生産側、流通側から入ってこようとしている企業は、一歩ふみとどまって考えるべきである。
ところで、日経新聞などの経済マスコミや経済諮問会議で、株式会社が農地を取得できるように規制緩和を進めるという議論が、あたかも既成事実のように語られている。けれども、非常にこれは危険だと思う。
僕には、そういっている経済人・財界人が本当に農業を発展させるために、そんなことを言っているようには思えないからである。それについては後日書こう。
そういえば、僕がこのタイトルで記事を書き始めてから、「おいおいやまけん、そんなこと書いて、農業ビジネスやろうとしているところから仕事が来なくなったらどうするの?」という声を何回も聴いている(笑)
当初から読んでもらえればわかると思うのだけど、、、きちんとしたビジョンで農業に取り組むつもりのある企業さんには、もちろんきちんと応対している(数件、連絡が無くなったところがあるのは事実だ)。むしろ、「もっと詳しく聞きたい」というようにレスポンスしてくれる企業の方が多いかもしれない。でも、「ぜひ情報交換を」と言いながら、まったく情報も何も持ってこずに話だけ聴こうとする輩が多いというのも、また事実だが。
「富士酢」の飯尾醸造の5代目見習い・飯尾あきひろ君から連絡があったイベント。ブラウンライスというカフェ&デリは、以前、当の飯尾君から特製プリンを送ってもらったことがある。
なんと北海道の共働学舎のブラウンスイス種の牛乳に、栃木の養鶏家・高橋さんの卵を使ったという、オールスター戦さながらのこだわりプリン、旨かった!
で、そのブラウンライスの周辺を会場にして行われるイベントらしい。
詳しい話は、こちらのフライヤーをご覧下さい。
■当日のフライヤー
このイベント、かなり素晴らしいものらしい。飯尾君からは「ぜひ告知してあげてください」という連絡があった。メールから引用。
当日はもちろん富士酢プレミアムも持って行きますし、
なぜかピクルス作りイベントもやることになりました。うちはともかく、素晴らしい生産者の皆さんがいらっしゃいます。
藤原養蜂場のはちみつ試食も面白いですし、
若い農家である、なごみ農園の宮田さんのワークショップなども。ただ、個人的に一番楽しみなのが特製シュークリームです。
共働学舎のブラウンスイス牛乳と高橋丈夫さん(カブトエビ農法で米を作られています)の卵が入ったもの。
まだ食べたことはありませんが、あのプリンと同様の原材料で丁寧につくるものなので期待できます。
しかも、250円という値段のようで、「もっと高くすれば?」とクレームをつけたとこです。
限定300個とのこと。
うーむ
特製シュークリーム旨そうじゃん! 買おう、買おう。この日、午後から友人宅に行くことになっているので、その前に立ち寄りたいと思う。
Radixの会という生産者の集団がある。名前を観てぴんと来る人もいるだろうが、有機・特別栽培農産物や無添加食材などを宅配する「らでぃっしゅぼーや」と取引をする生産者達の集まりだと考えていい。
らでぃっしゅぼーやは、このジャンルでは大地を守る会と双璧をなす存在で、それぞれが9万世帯以上の会員を有している。歴史的には大地を守る会の方が先にできているが、個人宅への宅配、つまり個配サービスを最初に展開したのはらでぃっしゅぼーやの方である。
以前にも書いたかも知れないが、僕は大地を守る会の藤田会長とは、大学で畑を拓いていた時代からおつきあいをさせていただいているので、大地との関わりは長い。一緒に仕事をさせていただいたこともある。一方でらでぃっしゅぼーやとの関わりはあまりなかった。
最初にらでぃっしゅぼーやの関係者と知り合ったのは、有機農業関連の世界に関して、師匠と思っている徳江倫明さんと、前の会社で一緒に仕事をしてからだ。徳江さんは、らでぃっしゅぼーやの代表取締役をしていた人だ。その関係で、長崎のとある産地に見学に行ったとき、森崎という同い年の男と出会い、意気投合した。いま、この森崎はらでぃっしゅぼーやの生産関連の部長になっている。他にも数人、友達ができた。しかし、まだらでぃっしゅぼーやの会員になって個配を受けたことがない、、、(汗)今、申込書を記入する余裕もないのだ、、、といっている割に、ブログは書いている。
さてこのらでぃっしゅぼーやの生産者が相互に情報交換をするための会がRadixの会だ。とはいっても、らでぃっしゅぼーやとは独立した会として運営をしている。
僕はこのRadixの会は、有機農業に関するもの凄い叡智を蓄えた集まりではないか、と考えているのだ。
彼らは年に数回、各地で勉強会・講習会を行う。有機農業の技術は、通常の化学肥料・化学合成農薬を使う慣行農法とは違うので、全く体系が変わってしまう。残念なことに、日本では農学のアカデミズムの世界では、有機農業はまともに扱われてこなかった。従って試験場やJAの営農指導員が有機農業を指導することはほとんどない。
だから有機・特別栽培の技術は、独自の体系をつくっていくしかなかったのである。ここ15年くらいで世の中が変わり、特別栽培(以前、減農薬・減化学肥料と言っていた栽培方法だ)品は若干増えてきた。けれども、その技術体系の礎を作ってきたのは、いろんな攻撃に遭いながらもジッと耐えてきた有機農業家達なのだ。
Radixの会も、その流れを創ってきた大きな一派なのである。
「やまけんさん、そのRadiixの会の東北地方の若手生産者が交流する会があるから、来ませんか?」
と声をかけてくれたのは、Radixの事務局を切り盛りする島田ちゃんだ。森崎が「彼女がいるからRadixは廻ってるンや」という人材である。
そして、まだ稲刈りシーズンには1ヶ月ほど早い頃、秋田県の大潟村に飛んだのである。
大潟村には何回目になるだろうか、、、八郎潟という大きな沼を干拓してできた、開拓地。国策として生産増大のかけ声がかかっていたころに全国から入植者を募集して、大型機械を使って一枚1ヘクタールという大規模な田圃で営農する稲作を進めた地域だ。それからわずかの間に、日本では米が余り始め、減反を強いられるようになった。いろんな意味で象徴的な地といえる村なのだ。
この大潟村を見下ろす寒風山の、回転展望台前の駐車場に、東北各県から若手生産者たちが集まってきた! 皆、本当に若い。そこここに僕も識っている人がいる。のでちょっとホッとした。
展望台に登り、今回ホストとなる大潟村の生産者さん達が、村の成り立ちを説明してくれる。
みんな揃ったところで、いよいよ大潟村へ移動。まずは彼らの圃場へ直行し、稲の様子を見学だ。
ちなみに、この会には生産者だけではなく、らでぃっしゅぼーやの配送会社のスタッフまでが参加している。
その数は実に1/3くらいにはなるだろう。そう、実はこの配送スタッフがらでぃっしゅぼーやの生命線でもあるのだ。それについては後で書こう。
稲の栽培についての説明が続く。
気持ちいいほどに晴れた青空の下、実に活発な技術情報交換がなされていた。さすがにこういう会に参加する生産者たちは、みな「どうなってるんだ」「こうなってるんか」といろいろ手を伸ばす。
さて
田圃を堪能した後は、なぜかいきなり「フットサル大会」である。
なんとこのフットサル大会で、夜に食べるBBQの具材、特に肉の内容が決まるという、、、もしビリになると、ブロイラーの肉しか食べられない、、、(笑) このためか、みな異様に気合いの入った大会となったのだ!
いやー
僕も少しだけ入ったけど、走れない、、、後半、足の甲をグギっとやってしまって半リタイア。しかしさすが、農業生産者と配送スタッフ。どのチームにも試合巧者が居て、白熱した戦いを繰り広げていたのである。
BBQはかなり真っ暗な場所で開催されたので、写真撮影は放棄!
肉はまあいいとして、庄内の生産者グループが持ってきてくれた、本もののだだちゃ豆が旨い!うちのグループは庄内の佐々木君という若手が居たので、たっぷり食べることができた。超・絶品な豆だった、、、
しかし、この時最も面白かったのは、3団体の米の食べ比べ。飯盒で炊いたご飯を食べ比べたのだが、すでに一年前の米なのにも関わらず、どれも実にレベルの高い味だった!
この時、「やっぱりRadixの人達の栽培レベルは高いんだな、、、」と素朴に実感してしまった。誰だって、クエバワカル。
さて、大潟村唯一のホテル、サンルーラル大潟にチェックインして、宴会だ。
らでぃっしゅぼーやの、ある種の”顔”といえる後藤さんがブワーッと盛り上げる。ここからが本番か!
それにしても、Radixの若手農業者の層の厚さ、そしてパワーには恐れ入った!
みな、実に個性豊かであり、そしてみな自分の創っているモノに対する自信と誇りを隠さない。今ここにいる連中だけを観ると、後継者不足ってなんだよ?という気になってしまうから不思議だ。日本の各所で、超・高齢化している農村を廻っている僕なのに、、、
ちなみに、Radixの会の代表は、このブログの過去ログ、岩手県400キロの旅編に出てくる、陸前高田の超・こだわり醤油醸造元である「八木澤商店」の河野さんだ。この日は、奥さんの光枝さんがいらしていた。
八木澤商店は、こだわり醤油を使った旨い漬物を作ろうとして、自根キュウリを求めたが、周りで誰も作ってくれない。「じゃ、俺が作ってやるよ!」と自社で無農薬の自根キュウリ栽培を始めてしまったという、そら恐ろしい人達である。そんなもの凄い人がトップにいる団体なのである。
こんな風に夜は更けていった、、、
5人くらいの相部屋で眠りかけたところで、ふと目が覚めると、らでぃっしゅの森崎が、大潟村の志田さんと熱く語っていた。いや、志田さんが森崎ににじり寄っていた。
「最近のらでぃっしゅはどうしたんだ! 」
「いや、そうじゃないんだ。俺たちはこう考えてるんだ、、、」
この時、眠さ150%だったので、うおー聴きたいと思いながらもそれを子守歌に寝てしまった。けど、この熱い議論は、信頼関係があってこそできるもんなんだろうなぁ、と思ったのだ。
さて、朝。 なんと午前中は、しっかりと「Radixの明日のために」を考え、議論する場が用意されていた。
あっ これって9月のことだったっけ! 時の経つのが早すぎるぜ、、、
ネットサービスの「関心空間」というのがあるが、このような形で、Radixの生産者たちが情報交換や情報発信をできるような仕組みができるとしたら、どんなサービスがあったらいい?というものだった。これをKJ法的にカードで意見を出し合い、整理していく。
そして発表するのである、、、ううむ、このノリ、なんだか懐かしい。
「実はこんな感じで、毎年やってるんです。前日にスポーツ大会をやるのは、いきなりチーム組んでもうち解けないから。二日目にこれをやるっていうのがいいんですよ!」と島田ちゃんが言う。確かにね!
しかもいいな、と思ったのは、チームには生産者、らでぃっしゅぼーやの人間、そして配送会社の人達がまんべんなく入っていることだ。
らでぃっしゅぼーやの配送は、各ブロックごとに別々の配送会社が担当している。が、その配送会社同士の繋がりも濃い。
各会員の自宅へ個配を行う配送スタッフは、いってみればらでぃっしゅぼーやの顔そのものである。会員にとっては、配送スタッフこそがらでぃっしゅとのインターフェースなのだ。その彼らが、積極的に商品や生産者の情報を届けようとしているのが、素晴らしいところだ。
「我々がもっと生産者さんのことを識れば、それを伝えることができるんですよ!ですから、いろいろ教えてください!」
という姿勢を持つ配送スタッフが多かったこと多かったこと。
偽装請負やらなにやら、自分の仕事に誇りを持てないような状況に追い込まれている人が多い中、らでぃっしゅの配送スタッフの活き活きした顔は、かなりまぶしく格好良く写ったのである! これは今回の収穫だった。
さて、ここで会は〆となり、解散。
有志が、志田さんの田圃や大潟村の集荷施設の見学へ行くという。そして、なんと配送スタッフが志田さんの田の草取りをするという! いいねぇ、いいねぇ!
志田家にて、素晴らしき昼食。 都合、30人くらいに振る舞ったんじゃないだろうか?ご馳走様でした、、、
おにぎり、美味しゅうございました。
まだ季節じゃないけど、きりたんぽ鍋、美味しゅうございました!
子供達のポニョの踊り、可愛かったです、、、
9月初旬の秋田では、稲の熟度はこんな感じだ。
今年はねぇ、例年には出ないいもち病が出たんだよ、と教えてくれた。温暖化の波は、病害虫の出方も大きく変えている。日本の農業技術体系すら変わってしまうかも知れないなぁ。
配送スタッフ達が、長靴を履いてヒエを抜く。
田に入ったことがある人ならわかるだろうが、稲の葉は葉物のように鋭く、先っぽがつんつんと肌に触れると、あとで堪らなくかゆくなる。ヘタに葉を引っ張ると切れてしまうこともある。だから手袋と、事務員さんがするような肘ガードが必要なのだ。なかなかに大変な作業なのである。
陽が少しずつ落ちてきて、作業終了。
彼らの米の集荷施設を覗かせてもらう。ここでも、他地域からのグループの人達と積極的な情報交換が。
「冷温貯蔵するならさぁ、○○を使うといいよ。安く上がるし」
「あー、あれは使わない方がいいな」
最初にちょっと書いたけど、やっぱりこのRadixの会というのは、素敵な団体だと実感した。
僕は、らでぃっしゅぼーやという経営体については、実はあまりいい印象を持っていない。それには理由があるのだけど、後日また触れることになるだろう。もちろん森崎を始め、昔からいる社員である友人達のがんばりを観ると、応援しなければ!と思う。しかし、らでぃっしゅは今や上場を目指している企業である。株式の公開と、会員に対する食の安心の提供が両立するんだろうか、どうもしっくりこないのだ。
けれども、その懸念はともかく、らでぃっしゅぼーやを支える生産者団体であるRadixの会は素晴らしい!と強烈に感じてしまった。もっと親しくなりたいものだ。
そして、、、
今回最も感動したのはらでぃっしゅぼーやの配送スタッフ達の思いだ。今の日本にこんな仕事をする人達がいるんだろうか。
彼らに家に来て欲しいから、やっぱり僕もらでぃっしゅの会員申し込み、しなきゃな。そう思ったのである。 
初鹿野さんにご馳走していただいた馬肉丼のエントリで、このブログ1500記事目を迎えました。
マイルストーンをどのように刻んでいくかは人それぞれですが、2003年の7月から始まっているこのブログも、5年と3ヶ月になるわけです。一時より更新頻度は落ちましたが、仕事でもないのによう書くなぁ、と自分でも呆れます。
でも、このブログを書くことが、人生最大の息抜きになっているのです。
最近、そうしたつれづれを書いていなかったな。
ここんとこ半年くらい、超・繁忙でした。
おかげさまで「日本の食は安すぎる」が順調に版を重ねて、いま4刷り目です。本の評判がなかなかよくて、色んなところから講演の依頼をいただくのはいいのだけども、これまで以上のオーバーペースで受けてしまい、基幹業務である農林水産関連の調査が進まず、クライアントさんに大迷惑をかけてしまっていた。そのプロジェクトもようやく先頃に終息して、一息つける状況になったわけです。
11月一杯までは過密スケジュールが続きますが、思い切って12月、1月、2月は自分のための充電期間にすることに決定! と思っていた矢先に、雑誌の仕事が二本入りそうなので、それほど休めないかもしれない、、、
でも、下期にはまた新しいチャレンジをしようと思う。
チャレンジというのは、写真についてのことだ。
過去からずっと読んでくれてる人は、最近のこのブログを「写真ばっかりじゃねーか!」と思うだろう。とはいっても昔から画像が多かったけどネ。
2005年に4×4マガジン社から、初めての食い倒れムック本を出したときに、編集者さんに「やっぱり一眼レフで撮ったほうがいいよ」と言われて、キヤノンのEOS KISS Digital Nを買って以来、グングンとカメラの面白さに目覚めてしまった。 
昨年から全システムをオリンパスのE-システムに刷新してからは、写真への熱の入れように拍車がかかってしまった。週刊アスキーの連載で、プロカメラマンの八木澤さんと一緒に仕事をすることで、プロがどんなライティングで撮っているのかを間近でみることができたのが、最も大きなポイントといえるだろう。あのひとときで得たモノはでかかった!
オリンパスのカメラは、都合3台所有している。デジタル一眼レフで最小・最軽量のE-410(上の写真はそのレンズキットで撮影)、その後継機のE-420、そしてプロ向け上級記のE-3だ。
レンズは標準ズーム二本、超広角レンズ、マクロレンズ二本、魚眼レンズ、望遠レンズと、僕の用途で必要なものはほぼ買ってしまった。会社のもうけをかなり写真関連の製品につぎ込んでいる。アホか、と笑いたくなってしまう。
今年も利益は少し出そうだから、またカメラにつぎ込むことになる、、、そこで、新しいチャレンジをしようと思うのだけど、失敗したら恥ずかしいので、それがうまく定着したら、ここで報告しよう。
写真の傾向も少しずつ変わってきていると思う。
以前はとにかく食べ物の写真を撮りたかったけれども、2006年後半ごろから、食べ物を造る人を撮ることも、同じくらいに好きになってきた。
割と自分でも好きになれる写真が撮れているなぁ、と思ってよーく考えてみたら、なんのことはない。運のいいことに、篤農家さんや素晴らしい技術をもった生産者さんとの出会いに恵まれているからだ。そうした人からは目に見えない力が溢れている。誰が撮っても決まるはずである。僕は運がいいのだ。
それにしても、忙しくなりすぎると、ハプニング的に出会う被写体は多くなるけれども、自分が「これを撮りたい」と思うものを自由に写真撮れないというつらさがある。
だから、今年度下期は、あの茫洋とした、何もやることがないといってもいいくらいに時間があった、独立後間もない頃の気分に戻ってみたいと思っている。
そして、それはブログを書きまくる、ということを意味している。何でだかわからないけど、ブログを書くことは何字になっても全く辛くないのである。
1500記事到達。次回は2000記事目にまた何か書きたいものだ。
先日、タキイ種苗という種会社の関係で、山梨県の石和温泉で開催される種屋さん向けの勉強会の講師をさせていただいた。
「まあ、石和温泉(は観光地)だしな、、、」
と、あまり気乗りもしなかったのだけども、行ってみたら実に素晴らしい旅館で、しかも聴衆の皆さんともかっきりうち解けることができ、とてもいい会だった。
関東・甲信越ブロックの種屋さんが集まっていたのだけど、地元・石和温泉の種屋さんもいらっしゃっていた。「初鹿野」と書いて「はじかの」と読む、「初鹿野商店」さんという屋号の種苗店さんだった。
「いやぁ、この辺にならではの料理ってありますかねぇ?」
と酒の席で話を振ると、「うーん」と考え首をひねりながら、「馬肉を牛丼みたいにしたのを、中華そば屋で出しますけどねぇ、、、」と仰るではないか!
おお、馬肉の煮込み! 長野県上田市にて、永井農場の進君が連れて行ってくれた、駅からほど近い「肉うどん」のことが思い出される!山梨でも馬肉を食べるかぁ。
ぜひそこへ行きたい、と思っていたら、初鹿野さんが「明日、お連れしますよ」と言ってくださった。ありがたや、ありがたや。
しかし残念なことに、この日はデジタル一眼レフカメラを持参しなかった。まあ、観光地だしね、ということで特に出会いを期待していなかったからだ。こういうことがあるから、旅はまったくわからない。仕方なく、ウィルコムのPHSに付いている内臓カメラで撮影したので、画質は期待しないでくださいませ。
旅館のロビーに迎えに来てくださった初鹿野さん、すてきな奥様も連れての登場。
「うちの店の隣りにある店なんですよ」
といいながら連れて行ってくださった。
この、何の変哲もない中華そば屋にて、馬肉が振る舞われるという。
「中華そばと半肉丼のセット、ていうのがいいと思いますよ」
壁のメニューを見ると、独立した「肉丼」もあるが、中華そばとのかねあいからすれば半セットがいいかもしれない。それをお願いする。ほどなく運ばれてきたのがこれだ!
「肉丼」には、薄切りの馬肉を醤油味で煮染めたものが無造作に載っている。タマネギなどの野菜は、具としては入っていない。
均一な肉の厚みを見る限り、冷凍したものをスライサーでカットして、煮込みをかけたのだろう。ご飯をいただくと、甘味の強い醤油味。ああ、卵を落としたい、、、馬肉特有のソフトな風味。牛丼よりもこちらの方がむしろクセが無く、美味しいのではないか。
中華そばは濃い醤油味のオーソドックスな味つけ。実に庶民的に素敵な店だ。ひっきりなしに入ってくるお客さん。昼間から肉皿をとってビールを呑んでいるじいさんなど、いろんな人達が当たり前のように食べている。実に佳い!
馬肉丼、美味しかった!
けれどもむしろ、初鹿野さんのお話を聞くのが楽しかったのだ。会話の最中にビックリ仰天したのだけれども、実はこの初鹿野さん、ボウリングのプロボウラーでもあるのだ! 今でもプロであり、種苗店の仕事が終わると、ボウリング場へ出かけていくという。
いやー 世の中には本当にいろんな人がいるものだ!
食事の後、隣にある初鹿野商店を訪問。
「この辺の野菜の在来品種とか、ありませんかね?」
と訊いてみると、実はこのあたりでは「鳴沢菜」(なるさわな)という、野沢菜のような、アブラナ科の漬け菜があるそうだ。買わせていただこうと思ったら、一袋いただいてしまった。これは我が家でも植えてみよう。
綺麗にディスプレーされた種。
僕が昔から、種の世界に望みたいのが、この野菜はどんな味なの?ということがもっとよくわかるような表示だ。どれをみても説明文には
「食味よし」
「糖度高い」
などの、どれにも書いてあるようなことしか無い。こんなのでは、どの種を選んでいいのかわからない。そんな話を、前日の夜にした。
「ですから、我々のような種屋が、説明をもっとできないといけませんね」
と初鹿野さんも仰っていた。種の情報をもっと手厚く。今後に期待したい。
いやーそれにしても馬肉の煮込み文化は、思ったよりも広範囲である。長野・山梨以外にも、もっともっとありそうだな。次はどこで出会えるだろうか。
初鹿野さん、ご馳走になりました! ボウリングも頑張ってください!
「やまけん、日曜日の午前中は家にいる? あ、いるの。じゃあ、うちのおばちゃんが漬けた、超ド級に臭~いなれ鮓、送るわ。」
と和歌山から連絡があった。
なれ鮓は、塩をした魚をご飯に載せて、醗酵させたものだ。ご飯には酢をしない。しばらく漬けておくと乳酸発酵が始まり、自然に酸っぱさが出てくる。これがお寿司の起源といわれている。
以前、和歌山でなれ鮓の食べ比べという無謀なことをした(笑)
■2004年02月05日
和歌山が世界に誇る発酵食品 「なれ寿司」7種を食べ比べた県外人は俺ぐらいだろう。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2004/02/7.html
ずいぶんと尊大なタイトルで、我ながら恥ずかしい。ここでたべたなれ鮓は、市販の物ばかりだったから、実はこんなに偉そうにいえないのである。なれ鮓とは、そもそもご家庭一軒一軒でつけ込む、庶民の保存食であった。だから、店売りのものをどうこういったってしょうがないという部分があるのだ、ということは、この後に勉強することとなったのだ。
それにしても和歌山のなれ寿司は鯖(サバ)を使うので、滋賀県の名物・鮒(フナ)寿司とは全く味わいが違う。鮒寿司は実に美しい、女王様のような味だ。それにくらべてサバのなれ鮓は暴力的に男性的な味だと思う。フナとサバとを比べてみると、なんとなくわかるではないか!
その和歌山でも、最近は本当のなれ鮓ではなく、「早なれ寿司」というものばかりが食べられている。略して「早寿司」。和歌山で中華そば(普通、和歌山ではラーメンとは呼ばない)を食べる際に、必ずといっていいほど、卓上に乗せられている。
上の写真は 、いま和歌山で最も旨いと僕が思っている中華「丸三」の卓上。左下が海苔巻きで、右上の笹紙に包まれているのが早寿司だ。
こんな風に、鯖の切り身を〆たものに、ショウガの甘酢漬けが一片乗せられている。邪道だけども、僕はこの早寿司を中華のスープにつけながら食べるのが堪らなく好きなのだ。
さて、この早寿司はまあ、いってみれば実にソフトな食べ物だ。醗酵させてないから、普通の押し寿司的な感覚で食べることができる。しかし、なれ鮓をこれと同じような味だと思っていたら、大間違いである。先に挙げた過去ログを見てもらえればおわかりの通り、サバというストロングな魚を醗酵させると、実に強い香りというか臭気が発生する。
よく、和歌山のご年配の農家さんと話をすると、笑い話のように出てくるのが
「母ちゃんがなれ鮓の桶から出してきたやつを開けたら、匂いで涙が出てきた」
というものだ。でもこれ、オーバーな表現じゃない。なれ鮓も、つけ込んで2~3ヶ月で食べることもあれば、半年以上漬けた物、すごいのになると数年モノまであるという、実に期間的レンジの広い食べ物なのだ。できれば「年」以上の単位のを一度食べてみたい、、、と思うけれども、怖い。
このなれ鮓、もう和歌山市内の家庭ではあまり作られていないそうだ。30代以下の若い世代は滅多に食べないという。
「ばあちゃんの家で出てくるけど、食ったことない」
というようなことが多いのだ。そんな中、和歌山市内で一県だけ、このホンモノのなれ鮓を製造販売する店がある。「弥助寿司」というこの店、2006年の12月、週刊アスキーの取材で行ったことがある。目の前で見せていただいた漬け込みは、実に感動的だった。
ご飯をギュッと握り込む。なれ鮨では、ご飯はギュギュギュと密度濃くしないといけないそうだ。
ここにサバの切り身を載せる。おそらくこの時点でサバには塩をしているのだろうと推測する。
サバとご飯が密着するように力を入れて握り込む。 
こうしてできたサバのご飯握りを、アセの葉という、和歌山一帯に自生する笹の一種に巻いていく。これが実に美しい技なのだ。
これがアセの葉。
こうやって巻き終わったモノを、樽に隙間無く入れる。
入れたら、重しをして寝かせる。
おそらく寝かせっぱなしというのではなく、いろいろこの過程でやるべきことがあるんじゃ無いだろうかと思う。そして、3ヶ月経ったのがこれだ。
断面を観ると、ご飯がギュギュギュッと締め込まれているのがわかるだろう。こうしておかないとトロトロに溶けてしまうのだろう。
これが、なれ鮓である。
アセの葉から、発酵臭が立ちのぼる。苦手な人は苦手だろう。僕も一瞬、たじろぐ。
けれども、これを突破して、一片のなれ鮓を口に放り込んだ瞬間に、全く違う味覚の世界が拡がるのだ。
「うおっっ! なんだこのうま味は!!!!!!!」
そう、普通のご飯に出汁を抱き込んで炊いたとしても、こんなに濃く深いうま味は発生し得ないだろう。ご飯と魚の乳酸発酵によって、強烈なアミノ酸が増幅発生しているのだ。こればかりは食べてみないとわからないだろうな。
さて、
本題からずいぶん脱線して懐かしい過去ログから写真まで掘ってしまった。津田君から送られてきた、おばちゃんが漬けてくれたなれ鮨だ。
ご家庭で漬けたとは思えないほどに美しいアセの巻き方! 上に載せた木の葉も、送られてきたときのままだ。美しいなぁ、ほれぼれする!
しかし、津田君が言うようにこの時点でものすごい香り、いや臭気が立ちこめる!
もうこの時点で、うちの嫁さんの鼻がちょっと曲がっているくらいだ(笑)
僕もちょっとたじろぐが、アセの包みを開ける。
よーく熟れたものだと、ご飯がどろどろになっているようだが、これはそんなことがない。サバの身も崩れて居らず、丹精な佇まいである。
ご覧の通り、断面はギュギュッと隙間無く握り込まれている。
さて、お味の方は、、、
パクリ! と一気に頬張ると、おかしなことにあの臭さが周囲から消え去る。ああ、そうか、きっとその臭気が自分の口中から鼻腔にまで抜けているから、鼻が外から吸気する空気のなかにはまったく臭さを感じないのだろう。そう、きっと僕自身が臭くなっているのだ。
そして、硬く握り込まれたなれ鮓に歯を立てると、ポロッとご飯の粒子が崩れていく。その一粒一粒から、豊穣な酸味とうま味が溶け出してくる! 鯖の肉の味は生のときほどのクセを感じない。醗酵段階を経て、文字通り馴れているのだろう。
ああ、美味しい、、、
相変わらず顔をしかめている嫁さんに、サバの端っこを無理矢理食べさせる(笑)
口に含んだとたんにしかめっ面は消え失せ、「あら、美味しい!」という声が。臭いものを食べるときには、自分が臭くなればいいのだ、ということがわかった。
それにしても、このなれ鮓は、僕が今まで食べてきた中でもっとも美味しいものだった!とうとう、家庭のなれ鮓を食べることができた。実に嬉しい! この後、和歌山人がよくやるという、なれ鮨を茶漬けにして食べるというのにチャレンジ。クセが全く消えて、上品な素晴らしい美味しさだ!感動してしまった。
津田君、ありがとう!おばちゃんによろしくお伝え下さい。次回は、年を越したモノが食べたいです、、、
「ぜんのう」といえば、僕ら青果物の関係者の世界では全国農業協同組合連合会の略称だけど、世の中には他にも「ぜんのう」がある。
「全国納豆協同組合連合会」 である。そう、納豆の生産メーカーが集まる組合だ。ここ数ヶ月、納豆のドアップ写真を載せたりしているのは、そこに講師として出講を依頼され、「ギャラはあまり出せないから、各社の納豆1年分で」ということで受けたからなのだ。
その全納連の青年同友会のイベントが開催された。講演に先立ち、まずは集まったメーカーから出品された、45種程度の納豆の品評会である。
会場内にズラリ並んだ納豆たち。こいつを一粒ずつ食べて、5段階で鑑定していくということである。うーむ素敵!絶対このイベントに参加させてくれ!とお願いして、早めに会場入りしたのである。
公式な納豆のテイスティングは初めてだが、メーカーの人達がどのように評価しているのかをじっくり見ていると実に面白い。ある人は糸をツーッと箸で引いて、どんな太さか、滑らかに伸びるかなどを観ているようだった。ある人はガバッと、なんのてらいもなく口に運んでいる。
40種以上というのは結構大変なようだけど、僕はとても楽しくテイスティングした。だって、一つ一つまったく味が違うんだもん!楽しくてしょうがない。
しかしそれにしても感じたのは、やっぱり味を考えると大粒の納豆が段違いに旨いということだ。ご飯に載せてザバザバとかっ込むことを念頭におけば、小粒の納豆が食べやすい。けど、一粒一粒をきちんと味わってみると、小粒のものは味気ない。やはり肥大するということには意味があるのだ、と思った。
僕の講演後に行われた、ベスト5の発表では、過去ぼくがここに掲載した(つまり送ってくれた)メーカーさんがズラリと並んだ。サスガである!
その中でも特に僕が旨いと思ったのは、千葉県館山市にある小さなメーカー、「あづま食品」(〒294-0034 千葉県館山市沼1411)が作る「小糸在来」という納豆だ。
小糸在来というのは、大豆の品種。この日知り合った大豆卸の方がいうには、「小糸在来は最強の納豆用豆ですよ!」ということだった。果たして、僕のテイスティング評価でもナンバーワン。なんともたおやかに上品。
懇親会で「旨かった!」と声をかけたら、後日事務所に段ボールで届いてしまった(笑)。しかも時同じくして、新潟の大力納豆さんからも詰め合わせが! ひえええ 納豆長者である。
上が、鶴の子大豆という、これまた大粒で美味しい品種を使った、大力納豆の「吟選 つるの子」。都内では、たしか恵比寿三越で注文対応で、一箱400円程度である。
このグレードの納豆には、タレなど使わずに塩で食べるのが最も特徴がわかる。もちろん食塩じゃなくて、旨い塩がいいと思う。間違ってもかっ込んだりせずに、一粒ずつ噛みしめ、味わい、嚥下する。ああ、豆とはこんな味だったか、納豆菌の働きにて生じたうま味はこんなにも濃いのか、と感動できるはずだ。
そしてあづま食品の小糸在来。やはり、素晴らしく美味しい。大力納豆のつるの子とは、豆の蒸し加減が少し違うのだろう。小糸在来のほうが柔らかい。しかしふっくらとしていて、舌先で強く歯の裏に押せば潰れる柔らかさ。そして、美しいとしかいいようのない、クリアで綺麗な豆の旨さ、納豆のアミノ酸がじわりとにじんでくるのだ。
この小糸在来がどこで買えるのかわからないが、これはマジで旨い。あづま食品さんに連絡をして買い求めたい人もいるだろうが、納豆屋さんは通常は卸売しかしない。「3パック送って」などという小口はメーカーにとって迷惑だと思う。最低でも段ボール箱入りで買って、皆で分けるという風にして欲しい。そうしたって、安い買い物だ。以前ぼくが、富良野の富士食品でやった失敗を踏まぬようにして欲しい。
ちなみに今、確認したら、50gの小糸在来納豆2個パックが12個入りの段ボールでの宅配は、やっているそうだ。ただし、千葉県君津市の生産者がつくる小糸在来大豆がもうそろそろ無くなるそうで、新豆が出てくる来年初頭まではあまり出荷できないとのことだった。
ところで、講演後に行われた全納連の青年同友会の懇親会は、みんなが弾けまくる大宴会だった。
これだけパワーのある人が集まっていたら、この業界も心配要らないな。
楽しいひとときをありがとうございました!
茨城県の塚原牧場で育てられている梅山豚については過去何度も採り上げてきた。梅山豚は日本にその原種が100頭程度しかおらず、そのほとんどが塚原牧場に居る。で、この貴重な原種を出荷するわけにはなかなかいかないので、通常はこの原種にデュロックという雄を掛け合わせたものを、出荷用の梅山豚として販売している。それだと、血液が薄まって50%はデュロックだから、梅山豚らしさが出ないのではないかと思われるかも知れないが、中国系豚の血はかなり濃いようで、梅山豚のもつサシの入り方、コクのあるうま味の強い肉質はほぼ完全に継承される。
しかし、実は梅山豚の血統が100%の、つまり原種豚もたまに販売に回されることがある。100%の梅山豚はやっぱりもの凄い肉質を発揮する。超プレミア梅山豚といっていいだろう。
さて、僕が前の会社にいた頃からだから、8年来のおつきあいになるオーガニックサイバーストアが10周年を迎えるとのこと。
「やまけんさぁ、塚原牧場の梅山豚のしゃぶしゃぶセットを販売するんだよ。商品説明書いてくれる!?」
と、社長の池田さんに依頼された。
んー でもそれって、昨年度に週刊アスキー誌上で販売した商品と同じだしなぁ、、、と浮き世の義理を感じていたら、
「そうじゃないんだよ。今回、特別に梅山豚100%の肉を出荷してもらうんだ!」
ということなのである!
それはスゴイ。ということで、オーガニックサイバーストアおめでとうさん記念に、商品説明を書かせていただきました。
あと40セットくらいしか残っていないらしい。梅山豚100%を食べてみたい人は、試してみる価値はあると思う。
■商品販売ページ
http://store.shopping.yahoo.co.jp/organic/oca1432.html