なぜかウィルコムの仕事で、山形県新庄市へ向かう。
山形県は歴史的にウィルコムと深く関わってきた地域だ。人口密度の薄い山間部が多く、携帯電話キャリア各社も採算性の悪い地域で、アンテナの整備が進んでいない地域が多かった。そういうところへ、導入コストが携帯各社にくらべ非常に安いPHSのシステムが上手くはまり、ウィルコムだけが通信インフラとして機能してきた地域が多いのだ。庄内地方もそう。鶴岡ではウィルコム端末のアンテナが山の中でバシバシ立つので感動したことがある。新庄市もその一つだ。
なんと新庄市の中学校では高速なインターネット接続がまったくできないそうだ。「光ファイバをひけないエアポケットの地域」だという。そこでウィルコムが、次世代型高速通信システムであるXGPのアンテナを中学校の裏に立て、XGPカードをプレゼントするという。XGPは20Mbpsという、リアルタイムでHD映像を転送できるくらいの超高速回線なので、中学生が何人接続しても大丈夫だ。
で、市町村の情報関係者に、中学生も加わったメンバーに、新庄市の基幹産業でもある農業における情報化とネットワークの大切さについて講演をしてくれと言うご依頼を受けたのである。はい、やりましょう!
まずはウィルコムの役員さんから市長へのXGP端末を渡すの儀。
市長は山尾順紀さん。いま、限定された人しか使えないXGPを手にしてるんだからもっと嬉しそうにすればいいのに、と思うが、ノリが悪い。うーんと思ったのだが、新庄市の上手いモノの話題になった瞬間に、表情が全く変わった!
「新庄にはですねぇ、鶏モツラーメンという独特な料理があるんですよ。それとやっぱり蕎麦ですね!新庄市は県内で最も蕎麦の生産量が多い市でもあります。」
なんとこの市長さん、ものすごく食べることがお好きだそうで、自分で造った新庄市グルメマップがあるという!
これ、なんと親切なことに、駅を中心に「ここで100m」とか、駅からの距離を示したマップだ。そういうの大切だよね。
それにしてもこれをみると新庄市にはけっこうそそられるものが多い。
「ラーメンも蕎麦もイタリアンも、どんなジャンルでもお薦めがありますよ!最近は庄内が有名だけどね、新庄にも面白くて美味しいモノが沢山あるんですよ!」
と熱い! しかも聴けば、ご自身が蕎麦打ちをするという。実はこの後、各所で「市長さんは蕎麦打ち名人ですよ」と耳にした。うーん 次回はぜひ蕎麦を打ってください市長さん!
で、昼食に向かったのだ。
鶏モツラーメンを出す店は多々あるのだけど、ここは若い店主が営むニューウェーブ。かなり研究熱心な店だそうだ。
注文してほどなく運ばれてきたのは、お薦めの鶏モツワンタンラーメン。おお、本当に鶏モツが乗っている!
汁は透明感の強いあっさり醤油系、これにエビが包まれたワンタンと共に、別鍋で煮込まれた鶏モツが乗っている。
あれ、しかしチラシやメニューの写真に載っているようなキンカン玉子が載っていない!うーん残念。玉子喰いたかった、、、
鶏モツときくとちょっとくどそうなイメージがあるかも知れないが、別に煮てくるからか、スープに臭みとかは皆無。あっさりとしたスープだ。ラーメンを運んでくれた女性が「お酢をかけると合うんですよ!」というので試してみたら、まったく味が変わり、引き締まった美味しいものに返信!じつにいいですな。鶏モツラーメン、気に入りました。
で、恒例のもう一軒ハシゴで「手打ちそば庄司」へ。

正しき山形のそば屋の呈である。

「今田舎」と「昔田舎」。要するに田舎蕎麦しか無くて、昔田舎はすんげー太い。今田舎はそれほど太くないけど細くはない。三番目の板に書いてある「かいもづ」ってなんだかおわかりだろうか?これは「かいもち」のことで、つまりはそばがきのことなのだ。
二件目だけど頑張って板蕎麦あいもりの大をお願いする。
ありがたいことに、新そばだそうだ!
おそらく最上早生だろうか、今田舎を啜り込むと、ブワッと蕎麦の香りが満ちた!
昔田舎のストロングな太さ、そして表面のざらざら感がすごい。
とても、ズルズルと啜り込むことができない!
つゆにズブリと全部浸して食べるのが吉。だって、江戸前のようにやたら辛いつゆではなく、ほどよい濃さのつゆだから。それが山形蕎麦のいいところだ。
中学校での講演終了、みなさん楽しかったですか?
学校裏の、ウィルコムのアンテナを見学。
ウィルコムにしてはどでかいアンテナ。これが、かなりの広さをカバーするXGP対応アンテナだ。俺も使ってみたいゾXGP。
さて、帰途に着きつつ、駅前の青果市場を覗いてみる。
からとり芋はとっても美味しい、山形の在来野菜だ。アル・ケッチァーノの奥田さんがこれをグラタンにしてたのが最高にうまかった。
とっても立派に育った原木ナメコ。これ、買ってくるの忘れた、、、残念!
山形人には欠かせない食用菊「もってのほか」。美しく美味しい。
さて、かなり早めだけど夕食だ。新庄市の美味しいもの第三弾!
地元のそば屋「一茶庵」の駅前分店。ここで新庄の味を座敷で楽しませてもらった。
まずはなんと馬モツ(ばもつ)の煮込み!実は新庄では馬をよく食べるのだそうだ。昔、と畜場があって、農耕馬の動けなくなったのをと畜して食べていた名残で、馬刺しや馬モツを食べさせる店がけっこうあるのだという。しらんかった、、、
このモツ、臭みも少なく、しっかりしっとり煮込まれている。煮汁でビタビタになっている状態ではなく、このように煮含めたのがしっかり食感も残った形で供される。しみじみ旨いですよぉ。
そして、でたぁ!
これが、「かいもづ」ですよ!ぽってりとそば粉を練り上げて、表面を焼いて焦げ目をつけている。
これを挽き割り納豆で食べさせるという寸法だ。そう、新庄市の名物は納豆なのである。
みよ、このかいもづのトロリ感を!
このまま食べると、ムースのようなフワトロな生地が溶け、蕎麦の香りが拡がる。実に素晴らしい、最上のかいもづである。
納豆の海に漬けて食べるとこれまた最高。納豆って、複雑なアミノ酸を湛えているから、本当に美味しいソースなのだ。
お次は、東北部のすばらしき汁もの、納豆汁!
納豆をすり鉢で当たってペースト状にして、味噌汁に溶き入れたものに山菜や豆腐、こんにゃくなどを入れるものだ。納豆が嫌いな人でもまったく違和感なく食べられる味で、納豆の匂いはあまり目立たず、味噌汁の旨味がブワンと増幅される。旨かった!
でました馬刺し。
そりゃあなた、美味しいに決まってますよ、こんな肉。
〆はまたもや蕎麦。しかしあたたかなつけ汁に入っている具は、鶏肉と原木ナメコ!これがまた佳いダシをにじみ出させていて、美味しい一品だったのである。
これを猛スピードで平らげて、速攻で17時14分の新幹線へ。いまさっき戻ってきたのでありました。
明日はまた早朝から岡山に飛ぶので、ここらで帰ります。
新庄の皆様、今日は本当にありがとうございました!
キノコの写真を美しく撮ることで、この人を超える人はいないだろうと思うのがKINOKO WEBというブログを書く、大作さんだ。ご自身、すでに何冊かの著作を出しておられ、白バックで切り抜きするためのキノコ写真を大量に撮っておられる。それにしても素晴らしい写真ばかりなのだ。
■KINOKO Web
http://blog.goo.ne.jp/kinokoweb/e/edd9bf5fa0e0fe00d6105eeb867ecf2a
上記リンク先のドウシンタケの写真、素晴らしいでしょ? 植物ではなく生き物とも言い難い、菌類であるキノコの不思議で可愛らしい生態を、愛情もって写す名人だ。数年前に、彼が所属する千葉菌というキノコ研究会に入会して、撮影風景を観に行かせていただいた。その時以来、久しぶりにお会いして、キノコ採種のたびに連れて行っていただいた。僕にとってはまさしく撮影技術の勉強である。
場所は軽井沢。そうなると、丸井の溝口さんに紹介していただいて、以来すっかり仲良くなった永井農場にも寄らねば。有名な星のリゾート内に新しくできたモールに、ジェラート屋を出したと言うし。それに、軽井沢に住む親友のしんのすけ宅にも寄せてもらおう、といろいろ画策して盛りだくさんの旅となった。
久しぶりの大作さん、常にニコニコとパワフルなのはお変わりない!
まずは軽井沢駅から来るまで5分程度のところにある「スターグリル」へ。
「ここ、東京でキノコ料理に定評のある『マッシュルーム』で働いていた内堀君がシェフを務める店なんですよ」
と大作さん。マッシュルームといえば都内でキノコ料理といえばここしかないという、シェフが自分でキノコ採種にいって料理するという店である。そこで働いておられた方ならば、やはり天然のキノコが食べられるのだろうか!?と期待に胸を躍らせながら入店。
「ほんとはフレンチをやるはずだったんですが、なぜかオーナーの意向でいきなりハンバーグとステーキの店をやることになりまして、、、でも、ちょこちょことキノコ料理やったりできるので。今日も、いくつかお出ししますね!」
とのこと。うーんやっぱり大作さんときてよかった。
ハンバーグは150gから250gまで選べるが、ここはやっぱり250gでしょう!がっつりお願いする。ソースはオリジナルソースとジャポネーゼ風、そして季節のソースの三種から選べる。子供連れもまったくOKで、お子様ランチもある。これがまた充実した内容で驚いた。新しい店なので、軽井沢の人はまだあまり識らないだろう。でも、ここは超・穴場だということがすぐにわかった!
付け合わせのサラダがまずもって、ちゃんとしている。市販の業務用ドレッシングではなく、調理場で創ったフレンチドレッシングである。
そして、、、これはメニューにはない料理。
「12種くらいのキノコをスープにしました。ぜんぶ、僕が採って保存して置いたものです」
このスープの複雑玄妙な味が実に佳かった!
子供にもわかるような単純な味、ではない。いくつもの天然キノコから染み出たアミノ酸、甘み、渋みなどが複雑に絡み合い、そしてヌメリのあるきのこからとろみが溶け出し、なんともいえない気持ちよさを舌の上に残す。
まちがいなく天然の旨味である。
「ソテーしたキノコです。ハタケシメジだけは栽培ものですが、その他は全部天然です、、、」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
これ、まともに食べたらいくらかかるの?という豪華な内容だ!わかる人にはわかるだろうが、セップ茸やホンモノのマイタケなども入っている、、、どのキノコも持ち味が違い、食感も違う。炒めるときにまとわれた油脂によって、香りと旨味が凝縮される。まさしくご馳走だ。
そして、、、
これが軽井沢ハンバーグ! こちらは150gだ。
そしてこっちが250g。かなりいいボリュームだ !
しかもですな、別添の皿にはいっているのがトマトベースのオリジナルソースなんだけど、このハンバーグに最初からかかっているブラウンのソースは、、、
「これ、普通はお出ししていないんですけど、セップのペーストです。」
なんとなんとなんと! それは素晴らしい!じゃあ、ということでソースはかけずにこのセップペーストだけでいただく。
分厚いハンバーグの断面に、いろんなモノが入っている。ん?キャベツが入ってる。あと、、、ナッツ、これはクルミ?
「はい、軽井沢ハンバーグという名前をつけていまして、この辺の高原野菜や食材をいろいろ加えています。」
頬張ると、まず外側のセップのペーストが含んだ天然のグルタミン酸と、なんともいえないくぐもったような風味が鼻に抜けていく。噛みしめると、適切に火の通った、噛み応えのあるハンバーグの食感。肉を自分のところでミンチにしているんだろうか、きっちり食べ応えのある強さだ。いたずらに脂を加えていないようで、ジュワワッと出てくる脂はほどよい。だから、食べていて嫌気がささず食べきることが出来る。これはフレンチの香り漂う大人のハンバーグだ。
オリジナルソースもトマトの酸味が効いており、へんにくどいドミグラスっぽくなくて美味しい。エスプリに満ちたハンバーグである。あっというまに食べきってしまった。
デザートのシューアイスも手抜き無し。これは勿体ない店だ!
メニューにはハンバーグとステーキがどーんと載っているので、大半の人がそれらのセットを頼んで終了するだろう。しかし、ここはあらかじめ予約をして、その際に「キノコのコースを食べたい」とお願いして来るべき店だと思う。ちなみにキノコのコースはちゃんとメニューに特別コースとして記載されている。
今回掲載したのは、大作さんと一緒にうかがったことで特別に出してもらっているというのがあるので、セップのソースとかが普通につくとは思わないようにおねがいしたい。しかし、これ、マジで旨い。きけば相当に手の込んだソースだそうだ。これを特別料金でメニュー化した方がいいんじゃないの?あ、すんごく高くなるのか。でも俺はそれでもまた食べたいな!
内堀シェフ、本当にご馳走様でした。まだ試行錯誤しているらしいが、次回再訪時にはもっと素晴らしい店になっているような気がする。
■スターグリル
http://www.stargrill.jp/index.html
〒389-0102 長野県北佐久郡軽井沢町 軽井沢1057-16
Phone 0267-31-0710 Fax 0267-31-0720
Open 11:00 〜 21:00
さてしかし内堀さんいわく、「キノコは軽井沢でもほとんどない!」そうなのだった。今年は、キノコが発生するのに重要な9月の雨があまり降らなかったので、発生が少ないということなのだ。うわーん 知ってたけど、ショック。
キノコは植物とは違い、菌である。倒木などに菌が入り込み、樹の内部に菌糸をめぐらせ養分をじっくり吸収する。それが、低温とか雷の電気ショックとか、そういう刺激を受けることによっていきなり発生し、胞子を飛ばす。で、発生しない場合は、ひっそりと眠っている。今年は発生する要件が満たされなかったわけだ。いま、築地市場などでは松茸がキロ30万円くらいの値がついている。こればかりはコントロールできないのだ。だから、気候変化は重大なのである。
「でも、何とかならないかと思って、いま地元のキノコ採り名人のフジマキさんに電話しました。案内してあげるって言ってくれているんで、合流してください」
と、初対面バリバリの人の携帯番号を携え、合流地点へ。
フジマキさんは地元の工務店を営みながらキノコ採種を趣味とする方だそうだ。
「今年はないよぉ。けどま、歩いてみるか?」
と、ぶっきらぼうに見えつつ、やたらと面倒見のいい感じ。一行を彼の縄張りのとある山へ連れて行ってくれる。
※ご存じの方も多いだろうが、山は誰かの所有物になっていることがほとんどだ。そこで生えている山菜やキノコを無断で採るのはいけないことである。今回はそうした問題のないスポットで採種しています。でも勿論、フジマキさんが採種をする大切なスポットなので、どこだか場所は書けません。
「やぁ、やっぱり無いなぁ、今年は8・9月あたりはどーんと出たんだけど、もう無理だな。だいたいちょっと遅すぎるんだよ。」
と言いながら歩く。そうか、、、と残念に思いつつも、歩いていると結構キノコが見つかる。それも、見つけるのはもっぱら本城家の子供達なのである。
「あ!みつけた!」 と次から次へとモユがキノコを見つける。大したものだとフジマキさんも大作さんも感心。
どのキノコも、名前わかりません、、、スミマセン
そして大作さんも大物発見! 撮影風景を見せていただく。大作さんは三脚を使ってじっくり構図を決めて撮影する。機材はキヤノン5DmarkⅡ。使用レンズは最近出たばかりの100mmマクロF2.8を中心に、70-200mmなどだ。
それはわかっていたので、今回ぼくは、通常ではあまり使っていないタムロン90mmマクロF2.8を持参。90mmという焦点距離は、料理撮影には微妙に長い距離になって使いにくく、ニコン純正の60mmマクロF2.8を使うことが多い。けど、タムロン90mmマクロはだれもが銘玉と褒めそやすレンズだ。きっとこれでなければ撮れない絵があるだろうと思って持ってきた。それが正解だった。
大作さんが撮影後、「やまけんさんもどうぞ」と言ってくださる。大作さんが工夫して決めた構図をそのままいただいてしまったので、この写真は僕の写真とはいえない。勉強させていただいた一発。
これは絞り開放でAvモードで撮影。特に露出は補正しなかった。この時F3.5と表示されていた。
「僕は絞り込んだ方が、背景の物語もわかるので好きですね。F11くらいに絞った写真も見せてもらえませんか」
と大作さんが仰るので、F11に絞って撮影。
おおおっ たしかにこっちのほうが佳い! うーん 開放ボケに気持ちよくなりがちだけど、絞った方がいい場合もある。第一、35mmフルサイズだと、おなじF11でもフォーサーズやAPS-C機よりもボケが段違いに大きい。これは発見でした。
それと久々に三脚を使ってみたのだけど、ちゃんと構図を決めてから撮影するようになるから、いろいろ考える。それが、手持ちでぱしゃぱしゃ撮るのとまったく感覚が違うのだった。今後、多用してみたいと思う。

ところで、フジマキさんの正体がわからず行動していたのだが、「まあ俺も写真撮って本にしてるから、帰ったらネットで検索してみてよ」とおっしゃるので、検索してみた。そしたら、キノコの本を多数出しておられる藤巻富雄さんであった!

キノコ写真とキノコ衛生指導員として非常に有名な方なのであった!
「まあ来年またおいでよ。一緒に採りに行こう」
この暖かな出会いに、心から感謝。ありがとうございました!
それにしてもモユたちのおかげで、チャナメタケやムラサキシメジといった食べられるキノコが結構採れた。夜はしんのすけ家でピザを焼く。
しんのすけの人生史上で最も賢明な選択であったにちがいない、良妻賢母であるアヤちゃんが白神酵母でピザ生地を発酵させていてくれた。これを延ばして、豪華なキノコのピザに。

これを焼くのは、薪ストーブ。上部にオーブンとなるスペースがあるのだ。
「わざわざピザ窯を造る人が多いらしいけど、一年に何回使うかってかんじだからもったいないよ。薪ストーブ、スゲー使えるよ」
としんのすけ。うん、ほんとだ。俺も欲しい、、、 すぐに輻射熱でぶくぶくとチーズが沸き、生地がカリカリにやけていく。
どうどうの完成!
本気で旨かった、、、キノコの野生の風味と旨さが凝縮。生地のパリパリ感も味も最高。これ以上はない美味しさでありました。
素晴らしき週末。キノコの御指南いただいた大作さん、フジマキさん、美味しいハンバーグをご馳走になり、フジマキさんを紹介してくれた内堀シェフ、そして本城家に御礼を言いたい。本当にありがとうございました!
さて今週と来週はかなりヘビーな出張ローテーション。
明日から明後日は愛媛出張。木曜日は日帰り(!)で山形県の新庄市。片道3時間半はヘビーだなぁ、、、金曜日・土曜日は某誌の取材で岡山。そして日曜日は横浜市主催の地産地消フォーラムというシンポジウムで講演。週が明けて月曜日は国産丸を山からおろすために岩手県二戸市に入ってから久慈市山形町へ。3日は先日告知したホオズキサミット。4日は岩泉の視察。
うーん どこかで熱を出さないように、気をつけねばならない。原稿執筆案件については、編集部の皆様、どうか尻を叩いてください。今の時点では〆切をぜんぶ忘れています。
どうぞよろしくお願いいたします、、、
金曜日、横浜市にて日本のスローフード協会が主催する、テッラ・マードレか開催された。世界のスローフード関係者が集まるイベントということで、そのワークショップの一番早い時間に僕が日本の流通の現状について話をすることになったのだ。
昔からの読者さんであればお気づきかも知れないが、僕はこのブログの中で「スローフード」という言葉を余り使っていない。というか、例えば「ロハス」という言葉もほぼ使っていない。はやりが嫌いだからである。このブログは10年以上続けていくことになると思うのだが、10年経って見返したときに、「うわぁ、今はないこんな言葉を使ってたんだなぁ」という思いをしたくないからだ。
しかし、スローフードという言葉は、世界的にはかなり定着し、運動としても着実に進んでいるようだ。親友の野崎准教授によれば各国ではかなり盛り上がりを見せているらしい。が、日本では温度差があるなぁ、というのが印象だ。
しかし、ここのところ、日本にスローフードというキーワードを広めた張本人でもある島村菜津さんとお近づきになれたり、スローフードジャパンの事務的な動きをする方々とおつきあいするようになったりしたので、先日のスローフードディナーやこの講演を受けることとなったのでした。
いやーそれにしてもさすがはスローフード。当日、僕の会に40人程度はいるらしいということだったのに、10時半からスタートのはずなのに、集まったのが3人。なぜかというと、受付が大混雑していて、すごい行列ができているのに人をさばけない状況だったのだ。

ま、イタリア発祥だからなぁ。と柔らかく受け止めて、ぼちぼち集まったところでスタート。みなさん、飽きずに聴いてもらえましたか?
スローフード協会の会長であるカルロ・ペトリーニの基調講演。
ひさしぶりに、典型的に元気なイタリアのオッサンの姿をみた思いだ!しかも通訳の方が、テンションの高いカルロと同じくらいのテンションで熱い通訳をしてくれたのが素晴らしかった。
個人的にはカルロの熱狂的な話の後に上映されたフィルムがとても格好良かった。
各国のスローフード協会の人達の活動の様子や、イベント風景のダイジェスト。これを見ていると、日本の動きって、なんだか盛り上がってないよなぁ、と思ってしまう。
続いて、岩崎政利さんの講演。長崎県のはちまき山の畑で、様々な伝統野菜の自家採種を続けてきた岩崎さんにはいまスポットが当たっていて、つぎつぎと本を出しておられる。もう8年ほど前に圃場を見せていただいたときには、なんと僕の農業の師匠からもらったというフランスニンジンの種が採種され続けていて、感動したものだ。
会場をぐるりと回ると、いろんな人が声をかけてくれる。
北海道で、八列トウモロコシを栽培する川合さん。ブログを読んでくれているそうだ。八列トウモロコシは、北海道で栽培されていたフリント種のコーン(つまりスイートコーンではない)で、収穫してすぐに食べないとすぐにでん粉がデロデロになってしまう。だから東京では絶対に美味しい八列を食べることが出来ないというものだ。

彼の畑は川に面した高台で、他所との隔絶ができているので、純粋な種を採り続けることが出来るらしい。次回北海道に行く際には遊びに行こうと決心。
らでぃっしゅぼーやで、昨年までは生産者組織・ラディックスの会の事務局をしていた竹内さん。お名前は識っていたけど、会うのは初めてだ。キューサイ買収前からの熱い血潮を持ったメンバーの話は、いつ聴いても素晴らしい。
農林水産省で大臣官房の食料安全保障課長になった大澤さんは、最近マスコミなどで食料自給率論に対していろんなことを言われているのに、丁寧に反駁・論を展開しておられた。
例えば
「国際的に通用しないカロリーベースの数字だけを偏重している」
「金額ベースの自給率は割と高いが、それは隠してカロリーベースのみ公表している」
とかだ。これらは正直言って根も葉もない話だ。一般のなにもわかっとらんマスコミが、自給率大切論に傾いたところへカウンターパンチを打って、部数を上げようとしているだけの話にしか見えない。それにひとつひとつ国としてのスタンスを説明した大澤さんはエライ! こういうのこそテレビや新聞で採り上げるべきである。
そして、嬉しい再会。

しょっつるの諸井醸造の諸井社長が「やまけんさん、さがしてたんですよ!」と。手に持っているのは、ハタハタ以外の原料で造った魚醤。イワシ、カキ、マグロの残渣(アラ)が原料になっている。
「これをちょっと試していただいて、ヤマケンオリジナルブレンドのイメージを造ってください!」
おおおおおおおおおおおおおおおおお
そうだった!オリジナル魚醤を造ろうという計画があったのである。よし、是非やろう。
と、そんな感じで盛り上がったのである。
閉会後、宮崎から上京したJA関係者を連れて神泉・アルキメーデ。
アルキメーデもこれまでは6000円のコース一本だったが、やっと改めて(笑)、前菜、パスタ、セコンドのそれぞれを、自分の腹具合と相談しながら選べるようになった。前菜とパスタだけ、というのも可能。うん、それがいいよぉ。
この日のドルチェ、栗のプリンが絶品。甘いモノを旨いと思ったのは久しぶりだ。
という、めまぐるしい一日であったのでした、、、
久しぶりに感動的な出会いをしてしまった。
一つ前の「焼豚玉子飯」のエントリのシゲハンに行く前に、近所のファーマーズマーケットの調味料コーナーで、気になる商品をみつけたのだ。「化学調味料を使っていません」と謳ったダシ醤油、うどんつゆ、焼肉のタレなどだ。
こうした商品は多々あるけれども、裏面の一括表示を見てみると、タンパク加水分解物などの、いわゆる化学調味料ではなけれども、まあ同類だよなぁ、と思えるものが並んでいることが多い。で、「なーんだ」と思ってしまう。
何回か書いているけど、僕はいわゆる味の素やグルソー、タンパク加水分解物などを特に嫌いというわけではない。もちろん我が家の調味料棚にはそう言ったたぐいのものは並んでいない。ただ、焼肉のタレなどの複合調味料を買うと、かなりの割合でアミノ酸が添加されているので、間接的な摂取を排除することはほぼ無理だろう。だいいち、外食産業で使っていないところの方が少ないのだから。
けれども、例えば在来野菜や郷土の料理を味わうときには、できれば使用しないで欲しい。それは、アミノ酸調味料を使った味は、もはや素材が内在している味以外の味になってしまっているわけだからだ。以前、東北である郷土の鍋料理をいただくことになったのだが、その調理を見せてもらったら、最後にドバドバとグルソーを足して「うん、いい味になった」と出してくれたものだ。実は農村部ではこの傾向が強く、ダシ入り醤油などは農村の主婦の料理を助けるということで積極的に使われてきた経緯がある。でも、そういうのを郷土料理として評価してよいのだろうかというと、やはり気になる。
と、そんなことを一秒くらいで考えながらその棚に並んだうどんつゆを手にとって裏を眺めた。
お!?
アミノ酸やタンパク加水分解物などが見あたらない。これ、ホンモノ? そうした瓶がうどんつゆだけではなくソースなども含め、10種類程度並んでいる。
かなり気になったが、瓶ものは重い。出張時に際限なく買うと、家で嫁が不機嫌になる(笑)すでにうちの調味料棚は溢れているのだ。なので、買わずに店を出た。
そしてシゲハンに向かったわけだが、、、シゲハンの駐車場に車を止めてふと顔を上げると、なんと目の前に大きく「山蔵」と書かれた看板がでているではないか!
「ヤマケンさん、ここが製造元みたいですね、、、嘘みたいな展開ですけど」
ほんとだ! これは、、、縁としかいいようがない!ちょうどシゲハンがまだ開店前だったので、これ幸いとばかり覗いてみることにしたのである。

■伊藤本舗のWeb
http://www.sanzo.net/index.htm
ここで製造しているのかどうかはわからないが、瓶のラベル貼りと発送業務、倉庫作業についている人達がわらわらと働いている横に、製造商品がズラリと並び小売もできるスペースがあった。
「へぇ~、今治にこんなメーカーがあったのか、、、」
と感心しながら商品を改めてみせてもらった。
「化学調味料は使っていません、」
実に潔い思い切りである。ラインナップはかなり幅広い。 Webをみてくれればわかるだろうけど、鯛だし醤油、柚子ポン酢、白だし醤油、炒り子だし醤油、煮物醤油、麺のつけダレ、ノンオイルドレッシングなど様々。これら全てが化学調味料不使用なのである。
僕はこれらを買うことにした。

で、昨日ようやく全ての購入商品を味見できた(なかなか家にいないので、味見するのも時間がかかるようになってしまったんです)。
一言いえば、非常に気に入った。 というのは実に、愛媛っぽい味なのである。愛媛っぽい味、、、というと、まずやはりちょっと甘めだということ。それと、風味が濃ゆいというのもある。麺のつけダレやうどんつゆはまさに四国で食べるスタンダードな味である。
大正通りソースというのがまた旨かった。Webの説明をみると、煮干し・鰹・昆布の和風だしをベースに新鮮な野菜と果物、18種のスパイスをブレンドしたそうだ。この、煮干し・カツオ・昆布のだしをベースにしているというのが泣ける。それでよくこんなにもきっちり味のエッジが立ったソースになるものだとびっくりした。
面白かったのがノンオイルドレッシング。原材料をみると、バナナ・いよかん・りんご・ゆず・にんにく・たまねぎ・白菜・キャベツ・にんじんに糖類、醤油、醸造酢、風味原料(鰹・昆布)、赤ワイン・食塩という内容。白菜が入ってるのって面白いなぁ。これをキャベツの千切りにかけて食べてみたけど、実に独特でオリジナルな味!うーむこれも愛媛っぽい!のか?
さて話はそこに留まらない。
瓶で持ち歩くと重くて大変なので、宅配便で送ることにしたのだが、会計をしてもらっているときに横の冷蔵ケースを見ると、中華麺の玉が入っている。
「あれ?この中華麺も売り物?」
と尋ねると、「はい、これは国産小麦でつくった麺なんです!」と、とってもはきはきした好感度の高い女性が教えてくれる。
「ふうん、じゃあ、これも化学調味料使ってないの?」
と訊くと残念そうな顔をして、
「実はいま、無化学調味料のタレを開発中なんですが、まだ完成していなくて販売はしていないんです、、、」
という。でも、僕が買った「麺のつけダレ」を使って、つけ麺にするのであれば問題はないので、そのまま買わせてもらったのだ。
「ここはなんでこういう無添加に取り組んでいるんですか?」と訊くと、「社長がこだわっていまして、、、」という。そうか、やっぱりこういう取り組みはトップがどう考えるかで決まるんだよな、と思ったのである。
さて、東京に戻ると荷物が届いていた。箱を空けてビックリ。中華麺の横にラベルの貼っていない、どうみてもラーメン用のタレが入っている。そして丁寧なお手紙が、、、
手紙には、お買い上げありがとうございますの御礼と共に、開発中の無添加ラーメンスープをお送りしますので、是非ご賞味下さいませと書いてある。署名入りの直筆、実直なお人柄が伝わってくる字体である。
俺は感動した!
やっぱり、ひとの心を動かすのはこれなのだ。
さっそくラーメンをいただいた。このラーメンの食品表示がまた素晴らしい。
しょうゆ、真鯛だし、昆布だし、還元水飴、チキンエキス、食塩、砂糖、酒粕ペースト、みりん。
まずは、つけ麺風にいただいた。

これが愛媛のラーメン。ちぢれていない ストレートタイプで、濃すぎない風味が美味しい。麺のつけダレは中華麺の個性を美味しく食べさせてくれる、やはり愛媛風の甘やかで強い味。
そしてラーメン。
もうシンプルに香菜とネギだけをちらして食べたけど、佳いね!いろんな味が混濁してごちゃごちゃになったラーメンスープを好まない僕としては、ちょうどいいお味と風味、そして旨味です。
これ、商品化されたら僕は買いますよ。
なによりこのメーカーの心意気が素晴らしいじゃないか。宅配の担当をしてくれた方が自分の判断で送ってくれたのかわからないけれども、とても嬉しい。
次回愛媛訪問時にもできれば足を運びたいものである。
ご馳走様でした!
いやー いろんなイベントをやってきて、初めて満員にならないという自体になるかと思ったスローフードディナー 短角牛ナイトだったが、最後の数日間で驚異的な伸びを見せて見事満員となりました。お越しいただいた皆様、本当にどうもありがとうございました!
場所は、みなとみらい線の元町・中華街駅の4番出口からすぐ目の前にある、マリンタワー。僕も社会人一年目は横浜に住んでいたのでこの辺はよく遊びに来ていたけれども、こんな素敵なスポットはなかった!
34階の展望タワーもいいが、実はこのタワー内のホテルが非常にカッコイイ店ばかり。今回、3Fのスペースを1週間くらい貸し切りにして、スローフードディナーを連夜開催するのだ。
スタッフの皆さんに挨拶してさっそく厨房を覗くと、奈良の「イ・ルンガ」から駆けつけてくれた堀江純一郎シェフが、明日の「奈良ナイト」のための手打ちタヤリンの準備をしていた。
彼の家で短角ディナーを食べたときのエントリにはこの緑色の正体を明かせていなかったけれども、もう彼の店がオープンしたから解禁だ。これ、ヨモギを練り込んだタヤリンなのである。
うーむこれもくいたい。けどこれは本日の夜のお客様分。そうそう、まだ席に余裕があるらしいので、今夜の飯が決まっていない人はぜひ行ってあげてください。
ところでこのマリンタワーのレストラン、実にシックでエレガントでいい!今年の5月にオープンしたばかりということもあって、もったいないくらいのいいスペースだった。
本日のメニューはこんな感じ!
(以降、私が写っている写真はすべてカメラマンさんの撮影です)
お客様も揃ってスタート!まずはヤマブドウジュースのスプマンテ割りを乾杯して、前菜を食べながら短角牛の基礎知識のお話し。15分ほど私めが話しをさせていただいたのでした。
皆さん熱心に聴いてくださって本当にありがとうございました!
■前菜三種盛り
三谷牧場のモッツァレラチーズ、ハーブとシシリアンルージュのサラダ
三谷牧場は、前にここで紹介した金のヨーグルトの生産者だ。かれがシェフの好みに応じて造るモッツァレッラは、堀江君の気に入ったようだ。ソースはシシリアンルージュという、トマトソースのためにあるような調理用トマト。
スネの茹で肉スライス バニェットソース添え
「この料理の印象が強かった!」と某・料理雑誌の発行人さんが仰った、すね肉のバニェットソース添え。あまじょっぱいソースが、柔らかく茹でられたすね肉に見事にマッチしている。
ロースのタリアータ 雑穀サラダ添え
堀江君は、この岩手雑穀もまた気に入ってくれているようだ。クスクスのように使っているけど、クスクスよりもしっかりとした食感と食べ応えがある。タリアータにしたロースの質も上々。
そしてお次は、僕の印象に最も残ったリゾット。
短角のブロードを使ったパルミジャーノのリゾット
短角牛の姿は見えねども、短角の超良質なブロードをたっぷり吸ったイタリア米は、十分に短角の存在感を醸し出していたのである。
堀江君によれば、「短角牛というのは、一言で言うとコンソメをとってみると驚くほど美味しい牛。コンソメをひいたときに美味しいというのは、つまり肉が美味しいということです。黒毛和牛だとこうはいきません」とのこと。
そう、短角牛の赤身部分には、黒毛和牛の赤身の2倍もの遊離アミノ酸を含んでいるという分析結果が出ている。そのアミノ酸がコンソメに引き出されたとき、無敵の味わいになるのだろう。この料理、ぼくの心に染みました。
ウデ肉のラグー ロンブリケッリ
ウデ肉のラグーを絡ませているのは、太めの手打ちパスタであるロンブリケッリ。よくあるの手打ちパスタは玉子とオリーブオイルで打つが、これは強力粉と塩、水だけで打ったもので、いってみればうどんだ(笑)
しかしこれがラグーと絡むと超絶に旨い! 堀江君のラグーがまた、味がビシッと決まっていて素晴らしい出来だったのだ。
ネック肉の赤ワイン煮 熟成ジャガイモのピューレ
うーん これは素晴らしい!
ネックが元来持っているゼラチン質と硬い繊維が、煮込みによってネットリと溶けるような食感に変化している!
前回、料理人向けのセミナーで造ってもらったときよりも美味しいと感じてしまった。座ってゆっくり食べたからかな?
ドルチェはやまぶどうのムース 栗のモンテビアンコ仕立てだ。
いやー旨かった。コースが終わったところで堀江シェフと、マリンタワーの総料理長である木島シェフに出てきていただく。盛大な拍手!
ということで無事、終了。皆様よろこんでいただいたようで本当によかった。
今回のイベントに関しては、とにかく集まっていただいた皆さんへの感謝!としかいいようがない。どうもありがとうございました!
さて明日はスローフードイベントで朝から講演だ。
大洲市に来年4月にオープンする直売施設の立ち上げのため、愛媛に通う日々が続いている。松山空港から大洲市までは高速を使って1時間半くらいかかるのだが、もちろんその途上で参考になりそうな施設を視察する。のみならず、愛媛の食シーンの探求も欠かせない。いや、趣味じゃないよ、仕事だよ~!
この日は今治市内の先進事例を調査した後、昼食。僕をこの仕事に引きずり込んだ張本人である、大洲市役所の河野さんが先導役だ。この河野さん、大洲市に初めてプロレス興業を成立させた人で、みちのくプロレスを呼んで大入り満員にさせたという輝かしき実績を持つ御仁である。僕と彼の会話は、ほぼプロレスの話題(それも猪木のジャーマンはどの試合が美しいかとかなんとか)か、もしくはガンダム系の話題ばかりなのである。
さてその河野さんがイチオシなのが、僕が産湯を浸かった地である愛媛県今治市の新しき名物「焼豚玉子飯」(やきぶたたまごめし)である!
「ヤマケンさんが生まれた頃には無かったと思いますけど、最近のご当地系グルメでは外せないネームバリューです」
という。そう、実はしばらく前に朝日新聞の別紙「Be」の誌上で掲載されたB級グルメランキングでも、割と上位に焼豚玉子飯がランクインしていた。
焼豚玉子飯とは、ご飯の上に薄切りの焼豚を載せ、目玉焼きをのっけたところに甘辛いタレをまわしかけたもの、といえばいいだろうか。目新しいわけではないけれども、そういう組み合わせを堂々と料理とした事例がいまだ無かったという、アイデアものだ。
「今日は、元祖の店の味を受け継ぐと言われている重松飯店にいきましょう!」
という。地元民にはシゲハンの愛称で識られる名店だ。
11時半に行くが、あいにくまだ準備中。なんだよーとうろうろうろうろ。本日第一号の客となって入店。
他にもすんごく惹かれるモノがあるのだけど(中華ウナギ丼に注目!)、ここは目もくれずに焼豚玉子飯である。しかしここで、右下の「大盛り300円UP」というのに目がいく。300円増しってけっこうな金額だぜ!?てことは、相当にすごい盛りになるのか、、、650円の焼豚玉子飯がどうなるのか、みてみたい!
ということで大盛りを頼んだのである。
待つことしばし、ていうかそれほど待たない。まずは普通盛りが出てきた。
うむ、実にB級感と、われらのようなコッテリガッツリ系好きにはたまらないプレゼンスである!
しかし、そのすぐあとにおばちゃんが持って来てくれたドンブリをみて、さすがに俺も驚いてしまった。
でけえ!
目玉焼きが三つ!その下の、白飯の裾野が広い! 普通盛りとの差がこんなである。
いやー 久しぶりだよこんなの。
でもね、俺は白米には強いんだよ! 沖縄のカフェ・くるくまにて怒濤のカレー3皿を喰ったときのごとく、俺は燃えた。
みてのとおり美しい料理というわけじゃない。けど、旨い!焼豚にかかっているタレが、甘辛いコッテリとした味(いわゆる照り焼きソース系をもっと深みを増した感じ)で、それがこれでもかというくらいにかかっている。大量の白飯を喰い進めるのに不足無し。
しかも、目玉焼きの半熟の黄身を焼豚とご飯にまぶしつけて食べれば、黄身のコクがプラスされてこれまた食が進むのだ! うーんこれは実に佳い。
ということであっさり完食。久しぶりに燃えた。
しかしここで畳みかけるのが河野さんである。
「あのですねぇ、今治ではブロガーとラーメン屋さんが中心となって、名物ご当地ラーメンを創ったのが話題なんです。食べに行きましょう!」
うーん この河野さんのノリは、昔のプロレスが「3本勝負」とかやっていたのに似ている。
この店、木曜日だけ今治ラーメンを出すという企画なのである。今治ラーメンとはなにか、については検索してください。このブログをよく見ている人はご存じの通り、僕はそれほどラーメンには執着がないのです。
しかし、このあっさりした中にも芯のあるスープは実によかった。愛媛の特徴的な食感のよい麺とのからみもいい。
さすがに腹がきついが完食。完全に血液が胃の動きに集中し、車の中ではフッと意識を失い、熟睡してしまったのである。
その夜は、なんと芋煮。
東北で盛んに行われる「芋煮」だが、なんと愛媛にも存在するのだ!しかもこの大洲市が、素晴らしく旨いサトイモの産地として有名! ちなみに大洲式の具は、サトイモに鶏肉、醤油の甘辛い汁が定番の組み合わせなのである。
しかもこの季節のみ、大洲を代表する河川である肱川の河原が芋煮用に開放される。
芋煮や他の料理に酒を用意してくれる業者に頼んでおくと、こんな風にセッティングしてくれるのだ。
こうしてやけにハイカロリーな一日が終わる。愛媛の秋はこんな風に楽しむのである。
いやー今回ばっかりは無理かと思っていたけど、明日の短角牛ナイトはめでたくフルハウスになりました。どうもありがとうございました!
奈良のイ・ルンガ堀江純一郎シェフも気合い十分で明日、参ります。(今の時点でまだ電車の切符手配してなかったけど(笑))
ではみなさま、会場でお会いしましょう!
かなりマニアックな食材になるかも知れないが、食用ホオズキのサミットというのが開催される。岩手県の短角牛の里としてこれもまた有名な岩泉町が会場となる。龍泉洞が有名な、実に素晴らしい地。
■全国食用ホオズキサミットin岩泉
http://www.hayano.ecnet.jp/summit/summit.html
で、何を間違えたか僕が基調講演をします(笑)
前にも書いたが、この地で観光関連の仕事をしている早野商店というところに、僕の大学時代の後輩が婿に入ったのだ。んで、その美人嫁が食用ホオズキに魅入られて、商品化にいそしんでいるという。それがかなりイイ流れになってきたらしく、サミットをすると言うことだ。
以前は一部の飲食事業者にしか識られていなかった食用ホオズキだが、最近では様々な産地で生産されている。今朝も、別件で宮崎の農業生産法人の社長と話していたら「うちもオレンジチェリー始めました」と言っていた。かなり一般に認知されてきたということだろう。
僕は、最近はやりの野菜スイーツが好きじゃない。とくにトマトをジャムとかゼリーとかアイスクリームにしたもので、美味しいと思えるものに出会ったことがない。あんなにグルタミン酸を多量に含んだ、いわばだし汁のようなものを甘くして美味しいわけがない。けど、この食用ホオズキは独特の香りと甘みがスイーツとの相性がいいように思う。期待したい。
食用ホオズキに関心のある産地はぜひ、集まっていただければ楽しく情報交換ができることだろう。こられる人、岩手で遊びましょう!
感動の郷土色「まめぶ」を堪能した後は、いよいよ短角牛だ。肥育農家の落安さんの牛舎へ向かう。
山形村では、大地を守る会と短角牛の契約取引を行っている。日本では非常に珍しい、国産100%の飼料を給餌した短角牛を出荷しているのだ。

落安さんは、大地との契約取引が始まってからの最初の短角牛生産部会長を務めた人だ。牛舎に入っても全く糞尿の匂い無し。非常に綺麗な管理をしているのが見て取れた。
しかし、山形村の短角牛を巡る状況は厳しい。
山形村の短角は大地を守る会との契約取引だけではなく、高級スーパーである明治屋にも出荷している。ただここのところ、メインの大地の取引が、不況の影響もあって大きく落ち込んでいる。
大地のシステムは10万世帯の会員からの事前発注システムだ。短角牛はつねにレギュラーメニューとして掲載されているけれども、もちろん安い値段ではない。一般の流通が、生産者を叩きまくった割安な価格をつけているのに対し、大地の場合は生産者の生活を保障しうる正当な価格をつけているからだ。
しかし、家計における食費の割合を下げようとする人達が多い中、やはり短角牛の受注数は減っているという。そうなると大地としても、売れる見込みのない短角を仕入れるわけにはいかない。
「だから、この牛舎の一番端っこにいる牛たちは、本当はもう出荷しているはずなんですよ。でも売れないので、溜まっているわけです。」
そうなると、えさ代が毎日かかっていくので、コストがどんどん上がっていく。畜産という仕事は、数年をかけて産物を得るものだ。1年先の景気など、どうしたって予測できない。常に大きなリスクを抱えながら生産をしている。消費者は危機が来れば財布の紐を締めて緊縮できるけれども、生産者はそうはいかない。消費者一人一人がこうした事情を理解して、できれば「支える消費」に加わってほしいものだと思う。
道の向こうには、収穫期を迎えたデントコーン畑が拡がっていた。これぞ国産の餌のエース。カロリーも十分で、短角なのにサシも入るくらいの佳い餌だ。他国に依存しない、他国の取り分を横取りしない畜産を日本が行う日は、いつになったらくるのだろうか。それは、生産者の意識よりは消費の意識の問題なのだと改めて感じながら、牧野に向かった。
去年は二戸が誇る浄法寺の稲庭牧野の広大な風景を楽しんだが、今年は晴れ渡った空の下、最高のコンディションで久慈市山形村の牧野を訪れることができた!
僕らが到着すると、放牧されていた牛たちが「何なに?何かくれるの~!!!」と勘違いして寄ってくる。
参加者一同、初めてみる短角牛の大きな体躯におっかなビックリしている。
でもせっかくの牧野。ホカホカの糞に気をつけながら、どうぞ足を踏み入れてくださいな。
皆さんたっぷりと短角牛のいる風景を堪能。
畜産の世界では、鶏や豚は中小家畜、牛は大型家畜と分類されている。その中でも大型家畜である牛や馬は、やっぱりその存在感が大きく、正しく相対するととても癒される。僕がなんでここのところ牛達との時間が長いのか、参加者にはわかってもらえたことと思う。
久慈振興局の畜産部長さまよりご挨拶をいただき、牧野を後にする。参加者一同、長かったようであっという間に過ぎた行程に思いをはせる。バスは二戸駅に隣接する「なにゃーと」へ到着。
解散式を行い、スタッフの皆さんに大感謝の拍手を送る。
久慈・二戸の双方の振興局が手を取り合って調整してくださったこの企画、他の県の関係者からみると「すごく異例なこと、でもお見事!」という評価らしい。僕も行く先々で「あの企画はすごいです」とよく言われる。県の出先機関が、管轄の違う区域をまたがってこのようなイベントを行うことは、予算の配分や人員の配置に至るまでを連携しなければならず、定常業務外のことばかりのはずだ。それを厭うことなく遂行して下さった皆様に、心から感謝したいと思う。
ありがとうございました。
そして、参加して下さった皆様。今回一番遠いところというと、大阪からの参加が2名!いつも不思議だけど、なんで皆さんこんなに探求熱心なのだろうか。無理して盛り上げる必要ないほどにノリのいい皆さんと一緒にいて、僕は大変幸せでした。また一緒に遊びたい人ばかり。
こうして岩手県北部の探訪ツアーは大団円を迎えることとなった。皆さん、ありがとうございました!
追伸:
すでに決まっていることとして、年明けに岩手県の雑穀料理セミナーを東京で開催します。これは言ってみれば料理教室!ご飯と一緒に炊くだけじゃなく、雑穀ならではの美味しい料理を一般向けにお教えします。時期が来たら募集しますので、どうぞよろしくお願いします!
今週の日曜日は久しぶりにゆっくりできた。 ウィークデーは出張がガンガンはいるので、できるだけ週末は仕事を入れずにしないとバランスがとれない。けど、現実的にはそうもいかず、なんだかんだと用事が入って休めないことがほとんどなのだった。
土曜日は、僕が所属する青果物流通研究会の例会。
民間種苗会社の谷川さんから、種苗会社の現状と、在来種の種はこれからどんどんコストがかさみ、もしかすると無くなっていくかもしれないというお話し。
そして後段は日本経済新聞の樫村さんの話。同紙に連載されている「日本の農力」の主力となっている人だ。日経新聞に対しては、自由化路線支持の流れの中、農業に対して非常にバイアスのかかった報道をする大手という印象を持っていたが、この人は実に小気味よくずばずばと農業の直面する問題と課題と未来に対する考察を話してくれた。数年前までの日経の農業面はあんなにひどかったのに、ここんとこ徐々に方向が修正されている?と思っていたのだが、こういう人がいるからなんだろうか。
で、研究会メンバーは日曜日に日比谷公園で開催される「土と平和の祭典」に参加。
このイベント、シンガーの加藤登紀子さんが協力しているイベントだ。そして、我が青果物流通研究会は加藤さんの夫で数年前に亡くなった藤本敏夫さんが設立した団体。そのご縁もあって、研究かいに参加している仲卸さんが取扱品を持って集まり、テントの一角で野菜や卵を販売したのである。
熊本県の天水から、夏みかんと温州みかんの掛け合わせ品種「肥のあけぼの」を持ってきていた生産者団体「マルヨ青果」の面々。青年部副リーダーの上村さんが、外国人に対して立派な英語でプレゼンしているのが頼もしかった。
名古屋北部市場の仲卸「山武」は、渥美半島のミディトマト、ゴボウを持ってきていた。このゴボウがやたら太くてよかったので、思わず買ってしまった。
ちなみに前日、赤松農相が名古屋北部市場を視察。「産直で中抜きする大手スーパーが多いらしいが、市場の機能を発揮することも重要だ。」と、イオンなどを牽制するような談話をしていたそうだ。これは実に重要な話。
みな、中抜きは世の中のためと思っているようだが、中抜きなんて非効率な商法は、本当は社会コストを引き上げるものだ。卸売市場という物流拠点を使う方が何倍も効率的な取引になるのだから。赤松さん、流通関係者にとってはいいアピールをした。
横のブースにはなんと大地を守る会、らでぃっしゅぼーや、PALシステムと、知った顔ばかり並んでいる。ちょっとした同窓会のような感じで、沢山の人と再会した。
山形県は米沢のファーマーズクラブあかとんぼの面々が、置賜風の芋煮を出していた。米沢牛がたっぷり入って300円。トロケルような芋がごろんと入っていて旨かった。キノコが入っているが、現地では「キノコはイラね」「白菜入れろ」「それは邪道だ」などということで真剣なけんかがおきるほど、具に対するコダワリが各地で違うそうだ。
和歌山から来ていた「みかんの会」津田君と上田君は、持ってきていた温州みかんを最後はたたき売りして完売。お疲れさん。
「こんなイベント誰が集まるかぁ、って思ってたけど、東京だとこんなに人が集まるんだね!関西だったら終わり頃になって、おばちゃんが「安くなった?」って集まるくらいだよ。やっぱり大都市は違う!」
とビックリしていた。そう、そんなものなのだ。こうした都市型マルシェは、とにかく農村と霧離れていればいるほど成功する。逆に言えば産地が近い場所だと当たり前すぎて成立しない。
莫大な補助金がついたマルシェ・ジャポン・プロジェクトというのが走っていて、赤坂サカスだとかアークヒルズ、みなとみらいなどでマルシェを展開しているようだ。さてこの動きは定着するんだろうか。
そんなことを思いながらビックカメラ有楽町店B2Fのカメラ売場へ行き、ライカM9が欲しいなあとつぶやきながらレンズの価格にビビる。
歩いて有楽町から銀座に抜け、インズに入っている喫茶北欧にてホットサンド。
コンビーフキャベツとハム卵が旨い。
ピコでコーヒーを飲み、歩いてジムに行き、ウェイトを挙げてプールで泳ぐ。久しぶりにフルの休日。さて、仕事しますか!
あと一週間になってしまった!! けど、まだ席がたーくさん空いてます。こういうイベントやるなかで初めてのことですが、ヘルプ求むです!来週水曜日のディナーがまだおきまりでない貴方、岩手の短角牛を食べに来ませんか?
ちまたではミシュラン京都・大阪版で賑わっていますが、イタリアで一つ星を獲得して帰ってきた堀江純一郎シェフが、得意の肉料理をガッツリ造ってくれます。
以下は、プロの料理人に向けて短角牛の様々な部位を料理するセミナーの模様、いままで公開していなかったイベントでした。
料理内容は当日のものとは大きく変わりますが、イメージということで、、、
すみませんどうぞおいで下さいませ!
【スローフードディナー開催概要】
http://slowfoodnippon.com/event03.html
岩手二戸の短角牛ディナー
~日本の自然の恵みたっぷりで育った安心・安全な赤身肉の美味しさをまるごと食す
~
農産物流通コンサルタント 山本謙治 & イ・ルンガ 堀江純一郎
日時: 10月21日(水)19:00~21:30 (開場 18:30)
会場: 横浜マリンタワー3F スローフードディナー特設会場
神奈川県横浜市中区山下町15番地
人数: 40名
会費: 12,000円(サ・税込、料理、ワイン付)
協力: 岩手県、㈱グッドテーブルズ
◆メニュー
◎前菜盛り合わせ:
三谷牧場のモッツァレラチーズ、ハーブ、トマトのサラダ
【すね肉】 ゆで肉スライス バニェットソース添え
【ロース】 タリアータ 雑穀サラダ添え
◎プリモ:
【短角のブロード】 パルミジャーノのリゾット
【腕(かた)】 ラグー ロンブリケッリ
◎セコンド:
【ネック】 赤ワイン煮 熟成じゃがいものピューレ
◎ドルチェ:やまぶどうのムース 栗のモンテビアンコ仕立て
◆ドリンク
やまぶどうジュースのスプマンテ割り、
料理に合わせたワイン付き
お申し込みはこちらからお願いします。
http://slowfoodnippon.com/event03.html
成谷自然食の会でのひとときで、もしかしたら新井谷のおじちゃんが来てくれるかも、と期待をしていた。おじちゃんは、大地を守る会の和食屋「山藤」の料理人である梅さんが敬愛する山の人であり、山形村の人々が集まる囲炉裏端を持つ重要人物だ。ちなみに山藤で食べられる川魚や松茸はこのおじちゃんが穫ったものである。
昨年は松茸を携えてきてくれたのだが、今回も食事の終わり頃に来てくれた!
しかも、、、
「ちょっとしか穫れないんだけどさ、今年の最後のシメジだよ」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
本物のホンシメジだ! いやーーー こんなに沢山あるのは初めて観た!
ありがたいことです。おじちゃんほんとにありがとう。井のなかチームと眞貝シェフにお裾分けをしたが、それでも一杯残り、我が家では汁もの、パスタなどで堪能しました。キノコからこんなにすごい味が出るとは、、、
それにしても、このおじちゃんの笑顔が俺は大好きなのだ。
ね、絶品じゃないですか?
来る11月2日、僕の短角牛である国産丸が、この山形村の牛飼いの牛舎に入ることになる。その際、泊めていただくお願いをした。いまから楽しみだ。
おじちゃん、今後もよろしくお願いします!
山の精力剤・ヤマブドウの原液を浴びるように飲んだ一行、バスの中でもずいぶんと元気がでてきた感じだ。そして車は一路、山の中へと分け入っていく。僕が岩手県北との最初の邂逅をした、記念すべき地である久慈市山形町へと向かうのである。
山形町はしばらく前まで「山形村」だった。久慈市との合併によって「町」になってしまったのだが、僕の心の中ではいまだに「山形村」である。なので、このエントリでも山形村として記載させていただく。
山形村は、聞いた話に寄れば電気がひかれたのが全国でも最後から二番目くらいという土地で、平地のほうが少ないくらいの中山間地だ。だからこそ、本当に美しい山村の風景が満載。今回は僕も参加者のアテンドで忙しくしていたので思うように撮れなかったが、ネイチャーカメラマンや農村をとりたい人には本当にうってつけの場だと思う。
美しい水の流れる川では当然、美味しいアユやヤマメ、イワナなどが穫れる。村の人たちは漁の解禁されている期間に魚を捕り、腹を割いて冷凍したのを冬に美味しく食べている。
さて山形村の素晴らしきものは多々あるけれど、今回の目玉と位置づけている郷土料理「まめぶ」をいただくとすれば、ここだ。
地元の人たちが料理教室をしたりする施設である「そばの匠館」。ここを拠点に山形村の郷土食を伝える「成谷自然食の会」がある。この方々が作る郷土料理が絶品なのだ!
すでにセットされている山形村の味。今年はものすごいラインナップだった!
アユの塩焼きに煮物、キノコの「かっくい」の酢の物にほうれん草、揚げ茄子のにんにく醤油漬け、山菜おひたしに漬物。
そしてなんと手前には松茸ご飯! これに、「まめぶ」と蕎麦がつくのである! 久慈グランドホテルの豪華な朝ご飯に驚いたみんなも、「絶体食べなきゃ!」と決意を新たにする。
「松茸ご飯は持ち帰ってもいいようにポリ容器に入れました」というお心遣いがありがたい。
まもなく運ばれてきたのが本日のメインイベント、まめぶである!
岩手県はとてつもなく大きな県であり、四国全域と同じくらいの面積をもつ。当然、東西南北で食文化は大きく違い、特徴的な郷土食の宝庫だ。県北部だけでもそうとうに様々なものがある。その中でも、山形村の「まめぶ」は、この辺にしかない非常に珍しい料理だと思う。
みてのとおり地味な茶色ベースの椀物だ。にんじんや大根、ゴボウなどの根菜が中心になるが、この日はにんじん、ユウガオ、この辺の常備食である自家製凍み豆腐、そして生のキノコが入っている。
この料理のスゴイのはまず出汁だ。なんと、本物の野生のホンシメジを干したものでベースの出汁を取っているのである!
この季節になるとスーパー店頭で「キノコの季節です」などといってパック入りのキノコ類を売っているけれども、あんなものは旬でもなんでもない。おがくずやコーンコブなどを固めた床にキノコの菌をつけて栽培した菌床栽培ものがほとんどであり、旬もなにもないものである。ああした荷姿で売られているブナシメジをホンシメジと誤解している人が多いので本当に泣きたくなる。
だって、本物のホンシメジはすさまじい味と食感なのだ! 菌床栽培ものとはぜんっぜん違うのだから。
そのホンシメジの干したものは、この山形村でもご馳走だ。松茸の北限地であるこの辺はキノコの宝庫で、むかしから山の民はみな自分のキノコ穫りスポットを持っていた。しかし収穫はここ数年で激減しているという。温暖化の影響や山の荒廃といった複合的な要因があるだろう。
しかし!
この日、成谷自然食の会のお母さん達は、ふんばって本物の干しシメジを用意してくれたのである。しかも、、、
なんと、具にまで生のホンシメジを使ってくれたのだ!
ええとですね、このお椀一杯で、東京の料理店で出したとしたら、2000円は下らないんじゃないだろうか。そんなくらいのすごいことですよ!
しかもこのまめぶ団子、地粉を練った中に黒砂糖とクルミの実を入れた、甘い団子なのである! ホンシメジの出汁のきいたしょっぱいつゆに甘い団子。このコントラストにクルミのカリッとした歯触りと油分がものすごくマッチするのだ!
「いやーーーーー これは旨い! 本シメジの出汁なんてもうほとんど食べられないですよ!」
と眞貝シェフが唸る。あちこちの席で「これは美味しい!」「ホンシメジの出汁なんて初めて食べました、、、」という声が上がる。
そうでしょう、そうでしょう、、、 本当によかった。
そして追い打ちの蕎麦! 「うひゃーもう食べられない!」という声の中、僕は2枚半たべました。
山形村の蕎麦は、なんとつなぎが卵と豆腐! 水は一滴も入らないのだ。だからだろうか、実に腹持ちのいい蕎麦になる。ただしこの辺ではあらかじめ茹でおきしたものを玉にして、時間をおいて食べることが多い。江戸前のようなゆでたてを食べるものではない。この方式でしか味わえない、なんとも山の地らしい味がする蕎麦なのだ。
満腹!
それにしても限られた予算の中でこんなにもゴージャスな料理をしてくれた成谷自然食の会の皆様には本当に感謝したい。ありがとうございました。
二日目の朝ご飯は、昨年に引き続きホテルの調理場がすごーく頑張ってくれて、実に充実した内容だった!
なんと朝からイカ刺し!イクラは人造モノではないよ。ホンモノだよ。鮭も久慈で揚がったもの、ホウレンソウも久慈市名産、ボリと呼ばれる美味しいキノコの酢の物、豆腐も地元の堅めの豆腐に塩ウニ&トビッコのせ。フノリ入り味噌汁に、九戸の素晴らしき納豆メーカー「タイシ」の納豆だ。牛乳もヨーグルトももちろん地物。いや、これは素晴らしい食事! みな口々に「ここでもうスパートしたいけど、昼ご飯までにお腹へるかな、、、」と不安がっていたのだった! ビバ 久慈グランドホテル!素晴らしかったです!
さて二日目の最初はヤマブドウの圃場見学だ。洋野(ひろの)町大野の生産者である下河原重雄さんの畑にお邪魔する。
地元の改良普及員、役場の方々が迎えてくださる中、あれ?このかたがた、昨年も、、、というお二人が!

昨年のツアーでお邪魔した、自分達で工夫して造ったヤマブドウ 絞り機を駆使してジュースを絞ってくださった、渡辺正敏さん&サトさんご夫妻である!
「今回も、ジュース絞り器を持って参加していただきました!」
の紹介にやんやの拍手である。
実は今回のツアーで盛り上がった食材は、実はこのヤマブドウだったかもしれない。短角牛については事前に僕のブログで色々書いているから、みな勉強してきてくれている。しかしこのヤマブドウについては、Web上にはあまり詳細に書かれたモノがないからか、ダークホース的に「これは面白い!」という評価をしてくれたようだ。
ヤマブドウは二本に自生するブドウの一種で、全国的に山間部に生えていたり栽培されていたりするものだ。ただ、もともと冷涼な気候で育つ北方系のブドウであり、東北部での栽培は適地といえる。
自家栽培の歴史はまあまあ長いものの、商品作物として栽培体系がきっちりまとまっているというわけではない。どの地域でも生産方式についてはばらつきがある。つまりまだ作物としては未分化であり、地域によって味も何もかもが違う。各地にヤマブドウワインがあるけど、文句なしに旨いといえるのに出会ったことがない。北海道にはヤマブドウとワイン用品種を掛け合わせたものがあるが、これは若干洗練された味になる。
で、この下河原さんとこのヤマブドウは実に美味かった。酸味が強い。渋味もある。糖度が15度はあるのだが、それより酸味が勝つ。みなプチプチとつまむが、樹によって味が違う。
下河原さんは、樹ごとに味を見て、糖度が16度程度になったものから収穫していくそうだ。
見ての通り粒が小さく、可食部はほんの少しである。キュッと噛んで中身を粋だし、皮と種をペッとはく。口中がジュワッと酸味に満ちる。しゅわーっとする。しかしその奥には甘さと渋みと、いろんな複雑な味が眠っている。工藤ちゃんら料理人達は、むしろそのまま呑む用ではなく、料理やカクテルなどへの使い道として大きな可能性を感じたようだ。
さて収穫されたヤマブドウを、渡辺さん特製の絞り器でジュースにしてもらう!
摘んだヤマブドウはまずビニール袋で揉んで潰してから寸胴で加熱。熱いのを絞るのだそうだ。
ジュブジュブになったのを、サラシに投入。
さらしの口をぎゅーっと絞って固定。
口径がぴったりの漬け物石をサラシの上にのせ、それをてこの原理で押して絞るのだ!
この機械、本当によく考えられている!
溜まった果汁をさっそくボトリングだ。
いや、市販のヤマブドウジュースとはまた別物ですな。酸・渋・甘のすべてが絶妙なバランス。
「これ以外なにもいらないですよ!」
とみなグイグイ行っている。
そういえば昨年も好評だった地サイダー「光泉サイダー」があったのだが、、、
ありり?ラベルデザインが変わってる!それもなんかチープな方へ、、、ちなみに昔のはこちら↓
前の方がいいと思うけどなぁ、、、
光泉サイダー割りもイケルが、ちょっと甘くなり過ぎ。むしろただの炭酸でヤマブドウを割るのが旨いのだ。
以前、雑穀&ヤマブドウフェアをしてくれたアクアパッツァでは、1Fに新しくできたジェラテリアのメニューに「ヤマブドウのジェラート」を投入。日高シェフが「自信作だから食べにおいで!」と誘ってくれるほどで、よく売れているという。僕もいただいたが、カシスをさらにコッテリさせたような風味に、もっと複雑な酸味。ジェラートには文句なしに合う。スプマンテのヤマブドウジュース割りも同店でよく出る食前酒メニューとなっている。
久慈振興局でヤマブドウ担当をしている川原さんも手応えを感じているようだ。
「こちらの思いで中途半端なモノを造るより、使う人に直接アドバイスを聞きながら商品を開発するのが一番いいということがわかりました」
と、上京する際にはレストランに足を運ぶ日々が続いているようだ。
それにしても、、、
今回の参加者のハートを射貫いたのは、なんといっても生産者である下河原さんの、この笑顔だ。
「ヤマブドウはとても強い力を持ってます。食べ過ぎて鼻血を出す人もいるくらいなんですよ」
という、山の強精剤・ヤマブドウ。その魅力はまだこれから発揮されるものだと思う。
(続く)
ちょうどいい、というべきかなんというべきか、スローフード協会のテッラ・マドレというイベント主催者から「短角牛を食べる夕べみたいなイベントをしてくれませんか?」と頼まれました。
で、せっかくなので、下記エントリで短角牛料理をガシガシ作ってくれた堀江シェフを招いてのイベントをやります。10月21日夜、横浜で開催。
■自宅モードの堀江純一郎の料理を撮った。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2009/07/e-p1_3.html

告知はスローフード協会がやるということで任せているのだけど、開催2週間前なのにぜんぜん告知してくれてなくて非常に不安! なのでブログでも告知することにしました。人数が集まらなかったらうちの会社がかぶることになってしまいそうです。ぜひ21日夜にまだ予定が入っていない人、食べに来てください~!
【スローフードディナー開催概要】
http://slowfoodnippon.com/event03.html
岩手二戸の短角牛ディナー
~日本の自然の恵みたっぷりで育った安心・安全な赤身肉の美味しさをまるごと食す
~
農産物流通コンサルタント 山本謙治 & イ・ルンガ 堀江純一郎
日時: 10月21日(水)19:00~21:30 (開場 18:30)
会場: 横浜マリンタワー3F スローフードディナー特設会場
神奈川県横浜市中区山下町15番地
人数: 40名
会費: 12,000円(サ・税込、料理、ワイン付)
協力: 岩手県、㈱グッドテーブルズ
◆メニュー
◎前菜盛り合わせ:
三谷牧場のモッツァレラチーズ、ハーブ、トマトのサラダ
【すね肉】 ゆで肉スライス バニェットソース添え
【ロース】 タリアータ 雑穀サラダ添え
◎プリモ:
【短角のブロード】 パルミジャーノのリゾット
【腕(かた)】 ラグー ロンブリケッリ
◎セコンド:
【ネック】 赤ワイン煮 熟成じゃがいものピューレ
◎ドルチェ:やまぶどうのムース 栗のモンテビアンコ仕立て
◆ドリンク
やまぶどうジュースのスプマンテ割り、
料理に合わせたワイン付き
お申し込みはこちらからお願いします。
http://slowfoodnippon.com/event03.html
やまけん、テッラマードレにて講演をします。
http://www.slowfoodjapan.net/terramadre_jp/terra_jp2.html

さて素晴らしき雑穀に囲まれた昼食後、一路 久慈市へ。前回は二戸市中心のコースだったが、今回は久慈市を中心にするということで、宿泊が久慈市なのだ。
この日、天気予報は時により雨ということだったが、我々が外にいる間はかなり保ってくれた。そして道の駅オドデ館での休憩中、虹が!
旅の成功を予兆しているかのような綺麗な瞬間だった。
さて久慈市は海の町、でもある。久慈で有名なのが野田の海塩。さきの昼食時の短角のタンソテーに野田塩を使った眞貝シェフが「あの塩、旨いッスね!」と漏らした塩だ。その工房を訪ねた。
なんとこの小さな工房で一人で製塩しているという。
塩の作り方は単純といえば単純。沖合の綺麗な海水を取水して、釜で煮詰めていく。
結晶ができるくらいに煮詰まってきたら完成。脱水機で水分を抜けばできあがりだ。ちなみに水分はニガリ。舐めると苦い!

佳い郷土食には良い塩が必要だ。野田塩はしょっぱさよりも先にミネラル分の旨味が感じられる、とても美味しい塩だ。
しかし野田塩の意義はそれだけじゃない。実は短角牛と塩は密接な関係にあるのだ。
短角牛は、岩手県に在来していた「南部牛」を、明治時代に米国のショートホーンという肉牛と交配してできた品種だ。ルーツとなる南部牛は、農耕用など荷役に利用されていた。その使途として重要なのが、この野田の塩を山間部へ運ぶという役務だったのだ! それが証拠に、道の駅 のだ の駐車場入り口にででーんとあるのがこの彫刻!
このように、塩ベコという名前で呼ばれる南部牛が、塩を運んでいたのである。これが短角牛のルーツ。だから今回は野田を訪ねたのである。
それにしても野田、なかなか侮れない。こんなゆるいキャラを造っているのである。
野田村の「のんちゃん」。
「これ、おそらく「ユルキャラ」ってことばが生まれる前からありますよね」と眞貝シェフ。ふふ、そうだろうなぁ。
さてここから30分程度で久慈市内へ到着。自己紹介などをしながら社内で楽しく交流。宿泊は久慈グランドホテル。非常に綺麗なホテルでみんな嬉しげ。
夕食は、「ビストロくんのこ」。くんのことは岩手の言葉で琥珀(こはく)のこと。実は久慈市は琥珀の大産地。その琥珀を加工・販売する会社が運営するレストランだ。特別に短角やヤマブドウをつかったディナーを供してくれるのである。
ウェルカムドリンクはヤマブドウジュースと白ワインのカクテル。
この特別コースがとても佳かったのだ。いつも僕のイベントでやる「カルパッチョの食べ比べ」。
短角の深みのある赤身の味がよくわかる。
野田の名産であるホタテ貝も実にふっくら肉厚でよろしゅうございました。
そしてメインはローストビーフ。
レアめの火加減で、また短角らしい赤身の味わいがよくわかった。一頭丸買い焼肉で有名な大阪「牛心」の伊藤社長が「最近食った肉のなかでピカイチの味やね」と言ってくれてホッとする。
いや、実に素晴らしい食卓でした。この後、2Fに飾られていた琥珀のインテリアをみんなで見せていただく。下世話にも価格をきいてぶっとんだ。琥珀がいっぱいぶら下がったシャンデリアが2000万円!ひえええええええええええ
ホテルに戻り、深夜にも空いている唯一の居酒屋であるつぼ八にて二次会。ほぼ全員参加。みなうち解けて、実にいいメンツの集まりになった。
こうして一日目は過ぎていったのである。
岩手に来ています。まずは二戸市からスタート!
最初の行程は、昨年と同じく岩手県における雑穀栽培の権威・高村英世さんの生産圃場へ!
昨年の日程より一週間早いが、赤が美しいアマランサスは満開、刈り取り時期になっていた。
タカキビも収穫時期。名前のごとく、非常に高くて2メートルを超す草丈だ。
キビのはせがけ。
モチアワも収穫時期だ。

ヒエを干すための「ヒエ島」の内部をみせていただく。
ヒエの実の部分を内部へ、柄の部分を外の雨に当たるところへと折り込んで保存する、昔からの伝統的な乾燥方法だ。
さてアマランサスの収穫体験。
これがアマランサスの実。赤いのじゃなくて、白いつぶつぶ。これを乾燥させるとできあがりだ。

たっぷり雑穀収穫体験を愉しんだ後、合同庁舎の調理室に移動して、雑穀料理教室を開催!前回は出していただいた食事を食べるだけだったのを、せっかくだから自分たちで手を動かして作ってみようという企画なのである。
教えてくれるのは「雑穀料理伝え隊」の皆様。それぞれ地元の「食の匠」認定を撮っている方々だ。
まずは本ブログでおなじみの安藤直美さん。
お腹が減ったのでまずは雑穀ご飯のおにぎりをみんなで握る。岩手県北部のおにぎりは丸く握るのがスタンダードらしくて、東京に出た人たちは三角形のおむすびに違和感を覚えるのだそうだ。
ほらこのとおりまん丸お月様!
みんなで握ってまずは食べる!炊きたての雑穀飯は美味しい!!!!
そして班に分かれて、雑穀料理の体験。直美さんは雑穀サラダ。

そしてこの方は小笠原さん。ヒエッシュフライとけんちん汁を作ってくださる。
こちらはなんと高村さんの奥様! 実はこの民子さんのへっちょこだんごが最高という噂をずっときいていたので、感激!
さて地元の「つたえ隊」だけではなく、東京からの料理人軍団にも腕を見せてもらう!
「井のなか」の佐久間さんと工藤君たちは、短角牛のシンタマに雑穀のペーストをベースにしたものと菜種油でタルタル風をつくってくれた!
そして、新顔肉焼きストの眞貝シェフ。しばらく前まで丸ビルの某レストランにいて、いまは次の店の準備中なので「行きます行きます!」と参加してくれた。
ヤマブドウジュースを煮詰めて、短角のタンのソースにする。
「酸味と甘みが素晴らしい味なので、煮詰めるだけで味付けはいらないですね」
雑穀プレートもできあがり!
そしてすばらしく滋味あふれるけんちん汁!
いただきまーーーーーーーーーーーーす!
雑穀料理、素晴らしい美味しさでした!
ということでまだこれで昼間での間。これから二日目の出立なので、いってきまーす!
で、高知市内にて畜産関係者さんへ講演。終了後、土佐あか牛を使ってくれているという焼肉店「牛王」へ。
この牛王では、メニューにちゃんと「土佐あかうし」と書いて肉を出している。実はそう言う店、高知でも少ない。生産量が圧倒的に少ないからということもあるけど、ちゃんと表示して売る店がないというのは悲しい。この辺は岩手の短角牛も同じなんだけどね。
この日用意してくれた土佐あか牛の肉。生のままでそのまま食べる。サシがビシッと入っているからべっとりするかと思いきや、そんなことはなくサラリと脂が溶けていく。
土佐あか牛の特徴は、脂肪融点が低いため、脂がスッと溶けて口に残らないことなのだ。だから黒毛のサシでたまに出会うくどいやつのように、一枚か二枚でもういらない、という感じではない。この日も肉が足らず、ズンズンとお変わりし続けてしまったのである。
若き店長(真ん中)、頑張ってください!
さて 仕事も溜まっているし、一次会で失礼いたします、、、としようと思ったのだが!
ひまわり乳業の文さんが「まあ、やまけんが来ちょるのに、一次会で終了はいかん」と、ホテルとは逆の方へ!でも文さんには文句なしでおつきあいしないとな、と歩いていく。文さんと会った懐かしい「バリムーン」があった55番街を横にみつつ、大通りに面したところの奥まった1階に、目指す店があった。
「旬菜と肴 なとな」
高知市追手筋1丁目9-30
088-823-7887
いやもうね、これぞ高知の「はちきん女性」という小股の切れ上がったいい女将が、美味しい料理をふるまってくれるのですよ。
もう腹一杯食べていたのだけども、大皿に盛られたイタドリの煮物をみて食べたくなる。
シャクシャクした食感が楽しい。
「ダイコンっ葉を漬物にしたのとお浸しにしたの、両方食べてみる?」
うん、うん、食べます。
シラスの塩加減で食べさせる大根葉。そしてお浸しには小さな根も。
司牡丹の純米酒の燗をいただきながら、文さんと僕とで、焼肉屋の後にフルコース開始である。
「清水のサバの活きのいいやつあるよ!葱とミョウガと絡めてたべてみる?」
はい、食べたい!
本当に激烈に鮮度がいい! 東京じゃあサバは締めないとくえないからなぁ、、、こちらの海が羨ましい。
「今のサバを炙って塩たたきにしたの食べたい?」
うん、食べたいです。
炙って軽く火が入ったサバがまた実にクセが無く美味しい。塩ももちろん高知で製塩している海塩だ。最近では高知でもみんなたたきは塩味がトレンドらしい。
「じゃあ次は鰹。戻りガツオがまだ脂がのってないから、タタキじゃなくて、ゴマとかミョウガとかと揉んだやつ!」
はい、いただきます。
うーん
うめぇ、、、 この女将、実に試合巧者である。
実はひっきりなしに小鳥のさえずりのようにおしゃべりをしながら勧めてくれる料理の形容が、絶対に断れないような旨そうなものばかりなのである。
そして実際に、美味しい。調味料はギリギリまで控えめの塩梅。子供の頃に「こうして欲しかった」というような素材の組み合わせ。
「さっきの大根菜の塩漬けといっしょに握ったおにぎり食べる?」
はいたべます。

お吸い物には、なんていったか忘れたが(たしかニロギ?)、小さな魚が丸一匹入っている。
他の料理は基本的にはイリコ出汁だが、お吸い物は一番だしを引くという。これがきっちり料理屋さんのお味。
大きなタッパーにナスの煮たのを発見。ナス好きとしては喰わねば!
炒めた後に煮含めたのか、照りてりとしていて、味もしっかりしみて美味しゅうございます。これはイリコ出汁での煮浸し。
「おいっしい有精卵の卵焼き、食べたい?」
食べたい食べたい!
「カパッと3つ玉子をあけて、青ネギぱらぱら、醤油と○○○(→忘れた)、あまり混ぜちゃダメ。黄身と白身がそれぞれ別の味になるから、それを味わうのがあたしの卵焼き。」
これがまた言葉も出ないほど絶品な出来だった。
文さんとしばし「うーむ、、、」と唸ってしまった。この店、佳い。
〆はこの卵焼きの玉子をつかった玉子ご飯。
最初は玉子だけで、醤油はほんの3滴くらいにしてね!どばってかける人は好かん、、、と言われたので、嫌われたくないのできっちり3滴くらいに収める(笑)
玉子の風味をきっちり味わったら、鰹節とシラスと青ネギを投入。
いやもう、至福。シラスの塩気が最後の一粒まで米粒をかっこませるのである。
それにしても女将が佳い。女将の名は原愛弓さん。高知の山のてっぺんにある家で育ったそうだ。お祖母ちゃんの家ではあか牛を飼っていたという。
彼女の料理と会話に痺れた客がよなよな通う。そんな店であることがすぐにわかる。
いや、これはまた再訪しないとね。実に美味しゅうございました。
こうして、針で刺したら破裂しそうな腹をかかえてホテルに帰着したのであります。文さん、ご馳走様でした!
高知県は山間部に放牧して酪農を行う、いわゆる山地酪農のパイオニア的な存在がいる地だ。中でも早くから取り組んだのが岡崎牧場という、高知の市街地からすぐのところに位置する牧場だ。
先のエントリに書いた、写真入りの低温殺菌牛乳の鹿島さんが、DeerLandという加工所・スイーツショップの前で迎えてくれた。

「3年前に畜産関連の勉強会でヤマケンさんの話を、娘と一緒に聴いたんですよ!」
おおっとそうだったか !ご無沙汰しておりました! 鹿島さんは岡崎牧場に婿として入った人だ。
DeerLandと駐車場から出て歩くと、急な勾配の坂を上りながら農場を観ていくコースになる。高知市内から車でやってきて、アイスを買って牧場を見学して楽しむというのができるスポットなのだ。
当初、山地酪農で放牧主体の酪農を実践していたが、乳価がどんどん安くなり、消費側が牛乳を大事に買い支えない状況になる中で、さすがに完全なる山地酪農を維持できなくなってきたという。それは牛乳のあり方が変わってしまったからだ。
「うちは傾斜がきついので、上り下りをする牛にとっては体力を消耗します。そうなると、乳量が減るんです。乳価が下がり乳量も減ると、経営が成り立たなくなります。ですので今は時期を限定して放牧に出しています。」
それはそうだろう、だってこんな傾斜なんだもの!

でも、鹿島さんのところの牛の牛乳はとても質が良く美味しい。 部分的な山地放牧でも十分に牛の体調がよくなるのだろう。
これが牛のご馳走である日本芝。
木の根もとのえぐれているのは、牛が舐めてこんなになってしまったのだそうだ。
「ミネラルとかがあるんでしょうね、牛が好んで舐めるんですよ。」
ちょうど、ひまわり乳業の集乳車が来ているところだった。ここが牛舎。

フリーバーン牛舎という、仕切りのない開放型の牛舎。牛たちがめいめいに好きな場所で好きな体位をとることができる。微生物資材を使ってうまく発酵させているので糞の匂いはほとんどしない。
ブラウンスイス種や土佐あか牛とくらべるとちょっと神経質にみえるけれども、ホルスタインも綺麗な牛だ。
さてDeerLand店内にて手造りの乳製品をいただこう!
左から奥様、娘さん、社員さん。やはり乳製品の商品開発は女性がやらないとね! 娘さんが手に持っているソフトクリーム、ごくあっさりとしていて僕好みのお味でした。あっさり味がいいんです、あっさりで。

そしてお約束のプリン!

島根のわたなべ牧場とおなじように蒸しプリン。生乳がいいとやっぱり美味しいですな。子供に食べさせていいお菓子ってこういうものだろう。ただしカラメルの味がちょっと濃すぎでバランスが少し悪い。これは今後、手造りのカラメルソースの開発をするそうで、早晩解消されるだろう。楽しみだ!
鹿島さんとの再会は嬉しいものだった。そして、鹿島さんがまた完全なる山地酪農に回帰できるような、消費側からの支えをできる世の中に、早くなればいいなぁ、と強く思った。
岡崎牧場の皆様、ご馳走様でした。またプリン食べに行きます!
高知龍馬空港に着き、県畜産課の二人と合流して向かうのは、僕と彼らを結びつけてくれたひまわり乳業の吉澤社長(文さん)のところだ。
文さんとはなんとも不思議な縁で繋がっている。むかーしむかし、親友ののざけん(愛媛大学准教授)に高知を案内してもらっているとき、市内の55番街という飲み屋があつまるところにある「バリムーン」というバーに連れて行ってもらった。
「ここはな、高知のおもろい人たちが集まる店なんよ」
と言われたとおり、なんとなく新宿ゴールデン街のごとき濃い交わりのありそうな店だった。そのカウンターで一人カクテルを飲んでいたのが文さんで、のざけんとは顔見知りだったらしくぼくも名刺交換をさせていただいた。そのときひまわり乳業が、四国を代表する素晴らしき乳業メーカーだということを教えてもらった。
時は流れ、週刊アスキーで高知編をやろうということになったとき、カメラマンの八木澤さんが驚くべきことを口にした。
「あのさ、やまけんちゃん。俺の大学の親友が高知でひまわり乳業っていうメーカーの社長をやってるんだ。今度の取材、ちょっと行ってみないか?なんなら案内してくれるように頼むから」
え?それって吉澤さんのこと?
あれ?なんで識ってるの?
という衝撃のシンクロニシティがあり、見事高知にて彼らは20年ぶりの再会を果たすのである。その後も文さんは僕を高知の経済界の勉強会などに呼んでくれたのだが、その際に県の畜産家の二人が同席していた。僕の話を聴いて、「これはぜひ土佐あか牛のために呼びたい!」と思ってくれた。 そんなこんなで、僕は高知県との縁ができた。
「今日はね、先日発売した商品を是非飲んで欲しくてね!牛乳は飲み比べないといかんからね。お腹が冷えんように」
と、3種の牛乳を出してくれる。
右は超高温殺菌(UHT)の「ひまわり牛乳」。真ん中が生産者指定の「鹿島さんの低温殺菌牛乳」。そして左が新商品、「乳しぼりをした日がわかる低温殺菌牛乳」。
ひまわり乳業は低温殺菌牛乳がメインの会社なんだけど、それでもUHTの商品がやはりメインになっているんだなぁ、というのは意外。
「まあ、飲み比べればすぐに違いがわかるんだよね」
といいながらトポトポと鹿島さんの低温殺菌牛乳とUHTの牛乳を飲み比べ。
うーん 飲み比べるとやっぱりすぐにわかるぜ殺菌方法。UHTの方はあきらかに独特のコゲ臭がする。それを牛乳本来の味と捉える人もいるようだけど、余分な味だ。
対して鹿島さんの低温殺菌牛乳のほうは、なんの引っかかりもなく爽やかに飲める素晴らしい味だ。
そしてその後、文さんが「これはおそらく、商品としてきちんと出ているのは日本でも初めてやと思うんだけど、、、」といいながら口を開けたのがこれだ。
ちなみにこれ、何がスゴイかおわかりだろうか?下の写真を見ると、製造年月日、消費期限、そしてそのしたに搾乳日という表示がある。
実は、多くの人が識らないのだが、製造日=搾乳をした日、ではない。酪農家が搾乳した生乳はその後、タンクローリーで集乳される。集乳車と呼ばれるローリーは複数農家を廻ってタンクを一杯にして、乳業メーカーに持ち込む。メーカーは受け取りの際に菌数の検査などをして、問題がなければ受け取ってでっかい貯蔵タンクに生乳を貯める。
大きいメーカーだと、すさまじい量の生乳を集乳する。ひまわり乳業の場合は高知を中心とする四国の酪農家から集めるので一日で集乳できるが、大手メーカーが使う生乳は全国的な集乳ネットワークがあるので、一日で届くとは限らない。
また、貯乳タンクは巨大で複数あるため、一日の製造量を作り終わって余った生乳は翌日、翌々日というふうに繰り越されていく。もちろんその間、菌数などの管理はされるので、衛生的に問題はない、とされる。それに、大手の牛乳は120℃の超高温殺菌をすることがほとんどだから、それで有害菌は死滅する。その代わりに牛乳のあっさりした風味も消し飛ぶ。
ということで、ひまわり乳業のこの製品はかなりスゴイ商品なのである。
「うちの場合、なんと朝の2時とか3時に搾乳をしている酪農家さんがいるんで、ローリーが底を廻って、うちの工場に朝5時くらいには着くんです。それを低温殺菌してパック詰めして、商品ができあがるのが7時くらいですかね。それを自社便で出荷すると、まあ四国圏内は当日朝に店に並びます。大阪あたりまでなら、当日販売が可能なんですよ。」
うーむ そりゃすごい! 朝どれ野菜とかいろいろあるけど、牛乳の「朝しぼり」はそうそうお目にかかれるもんじゃない。ひまわり乳業のようなコンパクトさがいい方向にふれた結果の商品だ!
さてこの牛乳を飲んで、一同びっくり!
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお 全然違う!」
鹿島さんの低温殺菌牛乳との差はそんなにないだろう、と思って飲んだのだが、さらにさらにあっさりして、余分な引っかかりを感じない! 断っておくが鹿島さんの低温殺菌牛乳のレベルはとても高い。牛乳は低温殺菌で作ると、UHTとくらべあっさりした風味になっていく。
「よい牛乳って、濃い牛乳?」
と勘違いしている人が多いが、ホンモノはあっさりしていくものなのだ。
とはわかっていたが、この「乳しぼりをした日がわかる低温殺菌牛乳」はまったくもって未体験のさっぱり感。それがとても美味しい!
「いやー 飲み比べてみるとはっきりわかりますね!目が覚めたような感じです」
と県職員の公文さんもいう。なんか、解像度の低いモニタから高いモニタまで三台並べて見比べているようだ。解像度が上がるごとに、違う世界が開けてくるのだ。
一体何がこんな味に差をつけて居るんだろう?
「やっぱりね、鮮度やと思うんです。僕もつくってみるまではこんなに味に違いが出るとは思わんかったんですけどねぇ。作ってみてビックリです。」
ふうむ、それはつまり貯乳タンクに入っている段階が短ければ短いほど、味もフレッシュになるということなんだろうか?
「そうなんだと思うんですよ。パック詰めしてからの劣化もあるとは思いますけど、やっぱり製造工程を短くすることが重要なんやろうねぇ。これは本当に、世の中でそんなにない製品やと思います。」
ちなみに、この商品を東京に輸送して一日余分にかかったとしても、店頭にならぶ牛乳製品よりもフレッシュなはずだ。ものすごい製品である。時間は品質なり。いやマイッタ。四国に行く人はぜひひまわり乳業のこの牛乳をスーパーなどで手に入れてみて欲しい。その際にはかならず、他の製品と「飲み比べ」をすることをお奨めする。
ちなみにこのひまわり乳業は先日のテレビ番組「県民ショウ」で採り上げられたらしい。乳酸菌飲料の「リープル」という商品があるのだけど、高知の人たちは「これは全国どこでも売っている」と思っているのだけど、実は高知にしかないという超・ドメスティックな人気商品なのだ。そういうヒット商品を多々生み出しているひまわり乳業だが、僕はその中でもヨーグルト製品をイチオシしたい。
この写真じゃわからないだろうが、ひまわり乳業のヨーグルトもすべてノンホモ。脂肪級の均質化をしていないため、ヨーグルトを発酵させている最中に乳脂肪分が上に浮かぶ。そして、サワークリームの層が2ミリくらいできるのだ。スプーンを入れるとまずクリームの層がデロっと割れて、そのしたにヨーグルト層が出てくる。このコントラストを楽しめるのが最高なのだ。
それと最近のヒット商品が、高知名物sのしょうがやゆずなどのゼリーをつかったヨーグルト。
蓋を開けると、柔らかなゼリーにしたゆず層があらわれる。
もちろんそのしたにヨーグルト層。
「うちは、ヨーグルトとコーヒー牛乳はうまく造る自信がありますき」
と文さんが自信を持って言うほどあって、実に美味しい。高知空港でも、2Fの右奥の軽食堂の入り口でヨーグルト全品と瓶牛乳を売っているので、おみやげに買い求めると佳いだろう。ただしノンホモのヨーグルトはあまり振ると層が崩れてしまう。ひまわりのヨーグルトは寒天を入れてないので、柔らかいのだ。だからクリーム層を味わいたい人はそーっと持って帰るようにして欲しい。
今回の高知はこんなふうに、大量の乳製品を味わうところから始まった。