のざけんと昼食。最近蕎麦に目覚めたというので、東京では最も旨いと僕が思っている山形蕎麦の出羽香庵に連れていく。ここは、山形県庁の職員さんが「間違い無く旨い」と薦めてくれた店。そのときは山形に講演に行って、旨い蕎麦を食べさせろと言って2件はしごしたのだ。計7人前くらいの蕎麦を食べた計算になったが、マジで旨いので一気に山形蕎麦ファンになってしまった。東京でも食べたいと訴えたら教えてくれたのだ。ここはもともとは山形の名店「庄司屋」が、虎の門に山形のアンテナショップを出すので、恥ずかしくない蕎麦をということで出店したところ。従って、地元よりいい粉を使っているということだった。当然旨い。それまで虎の門・新橋界隈で僕が贔屓にしていた「竹泉」に行く気が全く無くなってしまったほどの旨さなのだ。
のざけんも当然ながら旨いと言って帰っていった。愛媛大学の講師になったわけだが、かなり充実した、予算的にも恵まれた環境みたいだ。よかった。
某県の要職にある大学時代の先輩に、重要な人物が話を聞きたがっているというので、帝国ホテルに行った。事前になにも情報がなかったので、どこかの流通関連の社長さんとお茶でもするくらいかとおもったら、先方は3人で、そうそうたる企業の社長クラスであった。完全に不意打ちだ。僕の格好はジーンズに黒Tシャツ、ブルックスブラザーズのジャケットという超カジュアルであり、相当にばつが悪かった。
場所を移して飯ということになる。銀座8丁目、ニッコーホテルの裏手の5階、日本料亭のような名前である。入るとやたらに女の子が多い。でてくる料理はたしかに懐石だが、女の子がひっきりなしにサーブに訪れる。ほかにも客は入り出すのだが、どうも様子がおかしい。と思ったら一人の女の子が
「あの~ 女性はまだつかなくてもよろしいんでしょうか?」
と訊く。なーんだ。つまりここは懐石付きの銀座クラブだったのだ。招いてくれた人も関西の人で、知人に店を聞いたらしく、この趣向は知らなかったそうだ。一同爆笑。意図的にはまず体験できない、微妙な緊張感を味わった。
それよりなにより、某企業の社長さんたちの話が相当におもしろかった。1人の人は
「中国に200ヘクタールの土地を買って、日本ではできないことをやりたい。金以外の価値を尊ぶ社会をつくりたい」という。
もう一人の社長さんは
「新しい物流システムを関西に構築したい。力を貸して」という。
二人の仲のよい社長さん仲間で、お互いにまったく相容れない価値観の話をしている。おもしろい。でも、おそらくどちらの話にもあまり力にはなれないだろうな、、、と思うのであった。
午前中にトレーニング(ベンチプレス、ケーブルウェイトでローイング、ダンベルカール、そしてボクシングエクササイズ、最後にプール30分)を済ませ、会社に荷物を置いて髪を切りに行く。
なじみの美容師が店長をしている店が池上にある。わざわざ木場から池上に1時間かけていくのは、他の美容師と信頼関係を築くのが面倒だからだ。しかし、それ以外にも楽しみができた。
JR蒲田から池上線に乗り換えるのだが、その周辺に結構おいしい店が多いという。
まず気になったのは、支那そばとカレーが有名な「インディアン」。Webやラーメン本ではかなり有名。支那そばは魚貝系のスープで、透き通っているらしい。カレーはセットにでき、客のほとんどが支那そばと半カレーセットを頼むという。掲示板等をみると、「美味い」という評価と「スープの味が薄い」「カレーが苦い」というネガティブな評価に二分される。まあほとんどが美味いという評価だが。
そこで本日行ってみた。髪を切って気持ちよくなった後、まずは本店を攻めようと、池上の隣駅の蓮沼へ。駅前すぐに店発見。しかし!なんと定休日。うーんしかし張り紙によれば、蒲田西口の支店は営業しているそうだ。ではそちらへ。蒲田はあまり降りたことがなかったが、かなり猥雑な活気のある商店街があり、かなり俺好みの街とみた。気になる店が多いのだ。アーケードの商店街の中に、なんと富士吉田うどんスタイルのうどん屋を発見。「縁(えにし)」という店で、これはどこかで情報をみたことがある。かなり気になる!
そこを抜けると、怪しいタイ料理パブがあった。うーんタイ料理大好きの俺としては見逃せない。その2軒となりには、かなり大衆的な鰻屋があった。鰻とどぜうを食わせるらしい。うな丼1,180円。もうもうと立ちこめる鰻の脂による煙が、食欲を責め立てる。次回こちらから攻めてみよう。
さてその先に「インディアン蒲田西口店」があった。店にはいると食券販売機が。支那そばと半カレーセットが1000円だが、支那そばとカレーセット(つまり半カレーではなく通常の盛りのカレー)でも1150円だ。150円しか違わないのであれば、それは通常盛りを頼んだ方がいいではないか!ということでまよわず支那そばとカレーセット。
ここではまず支那そばが運ばれ、それを8割がた食べるとカレーが来るようになっている。4分ほどで支那そばが来る。噂通り澄み切ったスープ。ドンブリは持てないどころか、唇をつけられないほどに熱い。味は薄いのだろうか、、、とこわごわレンゲでスープをすすると、、、素晴らしい!これは味が薄いのではありません。旨味が強いので、塩分が控えめでも魚貝の出汁の味が前面に出てくるのです。美味い美味い。しかも大ぶりのチャーシューは煮豚系と思われるのに味が濃く、チャーシューをかじりながら麺をすするとちょうどぴったしなのだ。この構
成に落ち着くまで、かなりの研究があったのだろうと推察する。
そして、しばらく後に期待のカレーが!かなり濃く深いチャコール色。ご飯は、よくある半楕円の型ぬきをしてある。嬉しいことに福神漬けとらっきょうがとり放題(これは重要)。カレーを一口食べる。瞬間、焦げる寸前までじっくりと炒めたルーの芳香が鼻に抜ける。これも本当に素晴らしくオリジナルなカレーである。このカレーとスープを交互に口にするとさらに味わいが拡がる。カレーの主体が小麦粉のルーで、香辛料が突出していないので、スープとひきたて合うのであった。
ん~ とれびあん!
大満足して店を出た。そのまま駅に向かうと思いきや、やはり気になってしまい、富士吉田うどんの「縁」に入り、肉入りつけうどんを食べてしまった俺であった。結論:蒲田はスバラシイ!
5年ぶりにまさみさんに会う。まさみさんは、僕が大学時代にやっていたヨガの先生である。ヨガというと、「身体が柔らかくなる」とかいう安易なイメージが流布されているが、そんなものではない。準備運動が腕立て伏せなどから始まり、強烈な体位(アーサナ)をとって内蔵に刺激を入れ、一定の呼吸を行うことでエネルギーを回していく。そうすると日常的には入らない刺激が身体の各部に入り、活性化していくのだ。僕はこのまさみさんのクラスに5年ほど通っていた。
5年ぶりに会うきっかけは、彼女が出版した本を購入したからだ。「本気の扉」というその著書は、これまでも彼女から聴いていた話に、最近の彼女の境地が綴られている。人生に希望をもてない人や、何かしらブレイクスルーを必要としている人に紹介したい、インパクトの大きな本だ。何せまさみさん自身が、重病を煩っていたり、大きな問題を背負っていた人で、そこからヨガを通じて問題を克服してきたという歴史があるから、ものすごい説得力がある。
5年ぶりに会う彼女をもてなすために、今僕が最も自信を持って人を招待できる店、門前仲町の寿司「匠」に連れていく。ここではいつも最初から握ってもらう。一つ一つのネタが真剣勝負である。
■寿司「匠」(門前仲町)
生まぐろ大トロ
あいなめ
いしがき貝
白イカ
金目鯛の昆布〆
ミル貝
コチ
白エビ
バフンウニ
生いくら
大トロ炙り
日本酒:るみ子の酒(三重県、純米酒)
まさみさんは「全部美味しい!」と言ってくれた。あまり量を食べない彼女だが、平らげてくれて僕も嬉しい。今日は特にウニとイクラがよかった。匠では、ウニを軍艦巻きにはしない。勿論海苔でウニの香りが消えてしまうからだが、それにはウニの吟味が必須だ。ここのバフンウニは、ミョウバン液に漬けていない本物のウニなので、口に入れたとたんにとろける。濃厚なクリーム、と言っていい。最高なのだ。それとイクラは、今年度産の生イクラの初物だそうだ。イクラの初物なんて初めてだが、本当にフレッシュな風味で、いつも食べているのはやはり塩蔵品なのだな、と感じた。今日は板前の加藤ちゃんが張り切ってくれて、いくらは通常の軍艦の上に桂剥きの胡瓜を巻いてくれ、目にも涼やかだが口にするともっと涼しく風流な香りが通り過ぎた。文句なしだ。これだけ食べて、ビールと日本酒を楽しみ、1人6千円以下なのだ。築地・銀座を含めて今最も推薦できる寿司屋だ。
寿司をたっぷり堪能した後、近くにあるバー「オーパ」にてカクテルを楽しむ。
久しぶりにまさみさんに自分の甘い部分を指摘される。
「今いる場所、環境で自分を深めて行かなくちゃ、別の環境に移ったって同じことの繰り返し。3年かかて深めてきたことがまた最初からやりなおしになるから、薄っぺらいまんまよ」
「組織や人との関係をきちんと作っていくことに向き合っていかなくちゃ」
久しぶりのまさみさんの言葉は、誰よりも思いやりを感じる。やはり自分の背骨を自分で矯正するにはまだ未熟だ。こうやって観てもらうことが必要だと再認識した。
最後の一杯はマティーニ。ゴードンのジンとノイリープラットのベルモットでドライに。ここのバーテンダーのエース格の兄ちゃんのマティーニは魔法のように滑らかで旨い。最後にレモンピールを絞る手つきは本当に手品師のようで、まさみさんが目を丸くして見つめている。
「なにあれ、おまじない?」
レモンピールの説明をすると、嬉しそうに「お洒落ねぇ、、、」とうっとりしてくれた。本当にお世話になった女性にこうしてご馳走させてもらえることがこんなに幸せなことだとは思わなかった。また招待しよう、と思った。
マリレンとオリビエが9日にフランスに帰国する。その壮行会で、お台場のZESTへ行く。集まった面々で僕が知っているのは加賀谷のみで、初対面の人ばかりだ。でも、皆とてもオープンマインドな人たちばかりで、すぐに打ち解けた。
中でも面白かったのはMさんという人で、フランスにも行っていたが、アフリカのブルキナファソに行って、アフリカのドラムであるジンベを習っていたとのこと。ジンベは僕も持っていて学生時代に少しやっていたけど、アフリカまで行くことはなかった。今度、いろいろ教えてもらうことにした。
ZESTのメキシコ開拓風料理はどれもそつなく旨かった。しかも一人3000円くらいで、びっくりするほど安かった。
終盤、マリレンとオリビエに、持参した日本茶をご馳走する。もちろん僕がいつも扱っている、静岡の葉桐の茶で、本山の築地勝美さんが生産した「やまかい」という品種茶だ。この茶は、やぶきたなどの品種と比べ、濃いダシのような旨みが抽出できるのが特徴。しかも今年度産の築地さんの茶はすばらしい出来で、フルーツの香りがする。ZESTの店員の兄ちゃんに湯をもらいたいというと、ポットで快く持ってきてくれた。ナイスガイ。60度程度まで湯温を下げ、2分ほど抽出する。オリビエ、マリレンとみんなも、茶を喜んでくれた。もうすこし時間をかけるか、湯温を上げたほうがよかったかもしれない。
面白い出会いと別れが交錯する。でも、フランスにすぐに会いに行くぞ。
大崎のゲートシティにて仕事。3時に終了後、昼食を抜かしてしまったので店を物色していると、なんとゲートシティ内に「カフェハイチ」を発見してしまった。カフェハイチは、もともと新宿にあるハイチ家庭料理の店なのだが、最近はいろんなところに展開しているのをみかける。学生時代、ヨガで新宿に週二回通っていた頃は、2回ともこのハイチで食べて帰っていたものだ。ハイチ料理といっても、中軸になるのは看板メニューのドライカレー。ほぼ水分が無くなるまで炒め込まれた挽肉カレーがご飯の上にのっているだけのものなのだが、この味が他では味わえないものなのだ。濃い茶色の具には挽肉とタマネギしか見えないが、スパイス含め、謎の工程に満ちあふれているはずだ。一回目はピンとこない味なのだが、3回通うと癖になってしまうのだ。ルーの持ち帰りができるので、学生時代に何度も持ち帰り、同じ味を出そうとチャレンジしたが、どうしてもたどり着けない。しかもこの店、カレーとビッタシ合うご飯を用意している。粒のエッジが立っている、蛋白が少な目の米だ。単純に美味しい米と、カレーに合う米というのは意味合いが違う。ハイチカレーの米は、ここのドライカレーに最適化された米だと思う。ということから、下手にまねをするよりハイチで食べるのが一番だという結論に達したのだった。
久しぶりに入ったハイチ(大崎店)だが、レシピは同じでも店舗により味の違いがあるはずだ。それも念頭に、やはり頼んだのはドライカレーとハイチコーヒーのセット。このコーヒーが、深入りのオールドビーンズのようなコクのある味わいで、カレーとの相性が絶妙なのだ。
カレーが運ばれてくる。器の柄も、中央にこんもりと盛り上げたご飯も、それを覆い隠すようにトップに塗り込められたドライカレー、そしてその上にかかるドライパセリの緑の色彩も昔と同じだ。味はといえば、なんとなく特有の香りが薄いかとも感じたが、これは記憶の誤差範囲内だ。旨い。すごく懐かしい。
カレーを食べ終わるいいタイミングで、コーヒーが運ばれてくる。これについてくるブランデーを少量加えると風味が増す。僕はいつも10回振る。ただし大崎店のコーヒーは、独特の風味が薄くなっている。普通っぽい味と香りで、少し残念。
とはいえ、この味と満足感は代え難い。僕の胃袋からすると少な目の量なのだが、これは食事というより「おやつ」だ。それもすごくほっとするおやつなのだ。チャージさせてもらった。ごちそうさま。
■カフェハイチ 大崎ゲートシティ店
ドライカレーとコーヒーセット 850円
以前の記事に、この店のことを書いたが、蕎麦にはウルサイ人が多いので、もうちょっと詳しく書いておきたい。
新橋・虎ノ門周辺に行く時には、満腹であろうとなんだろうと寄ることにしているのが、最上質の山形蕎麦を出すこの店「出羽香庵」だ。何と言っても、山形県がアンテナショップとして出しているスペース内に出店しているのだから、県としても最も自信のもてる布陣を敷いてきたと考えてよい。そう、この店は地元の名店「庄司屋」の出店なのだ。その上、県庁の人が「地元より旨いかも」と太鼓判で推薦してくれたので、まずいはずがない。
新橋・虎ノ門界隈には蕎麦の名店が多く、僕も好きな店が沢山ある。しかし、この店で食べてから、周辺の店にはほとんど行かなくなった。一度、この出羽香庵で大盛を食べた後に、もう一つのお気に入りにハシゴして、そこでも大盛を食べたのだ。しかし粋で勝負しているはずの江戸前の蕎麦なのに、出羽香庵と比較すると、愕然とするほど野暮ったいのだ。以来、ぴたりと他の店に入らなくなった次第。
この出羽香庵の画像をまだアップしていなかった。ちょうどいいことに、農協関連の団体の方々と昼飯を食べようということになり、この店に決めた。撮影撮影。
この店に来る際には、時間帯を選ばないといけない。12時になると、周辺の蕎麦好きビジネスパーソンが押し寄せ、果てしない行列になる。ので、11時50分には入店することが望ましい。もしくは、1時以降だ。今回も11時45分に待ち合わせ、比較的スムーズに入店。ちなみにこの店、外観はほんとに展示会のブースってかんじのチープなつくり。食券制で、券売機で買って入店することになる。何にしようか、、、今までここでは、板そばか大盛板そばしか食べていない。本日はかき揚げを単品で頼んでみることにした。
■そば処『出羽香庵』
〒100-0013 東京都千代田区霞ヶ関3丁目8-1
虎ノ門三井ビル 1F
TEL:03-3504-8715
FAX:03-3504-8744
営業時間:AM11:00~PM7:00
やまがたプラザゆとり都内
休業日 土・日曜日・祝祭日・年末年始
地下鉄:銀座線虎ノ門駅(3番出口)から徒歩1分
板そば 900円
大盛板そば 1200円
かき揚げ 400円

ピークタイムにはものすごい速さで茹でられているので、すぐに出てくる。画像ではそばの上に一本、赤い線が入っているのがわかるだろう。これは備え付けの七味だ。一般品にくらべとても香りのよい七味で、これをこのようにそばの上で一文字に線を引き
、そばをすすると、香りと辛みが最高のマッチングなのだ。
ちなみにそば屋にしては高い値段設定だが、盛りは普通盛りでも通常の蕎麦屋のセイロ二枚分くらいなので、許容範囲だ。
で、この店、つゆが実に旨い。江戸前そばとの違いは案外ここに集約されるのかもしれない。これは全くの私見だが、そばづゆは、北に行くほど雑味の少ない、透明感のあるストレートな味になるような気がする。福島のてんぐ屋の女将が打つそばもしかり、岩手県紫波郡のロードサイドにある名店「はらぺこ亭」もしかり。このつゆで、湯ごねの麺をすすると、その剛直かつしなやかな太さのそばに程よくからみ、品のよい味の強さで迫ってくるのだ。
ただし、この日は色気をだしてかき揚げを頼んでしまった。これは失敗。ここのかき揚げ、単品ならいいかもしれないが、そばと合わせると、そばの存在感がなくなる。かき揚げの具にホタテが入っているのがバランスを崩す要因となっていると思う。残念だ。
次回はシンプルに、大盛板そばで攻めよう、と思いつつ去るのであった、、、
今夜はとても密度濃く、長い夜だった。一言でいうと、
「名門酒造の杜氏とともに、江戸前の名居酒屋と、飛ぶ鳥を落とす勢いの焼き鳥名店で痛飲・痛食した。」
ということになる。行った店は「山利喜」そして「バードコート」だ。
一緒に食い倒れたのは、純米酒業界ではおそらく知らぬ人のいない、広島の名門「竹鶴」の若き名杜氏、石川達也氏である。何でこんなすばらしい方と知り合えたかというと、僕は竹鶴酒造の次女とマブダチで、学生時代に熊本の師匠の農場に行く前に、よく寄って飯を食べさせてもらっていたのだ。その頃、石川杜氏はあの生きる伝説の蔵元「神亀」の修行から、実家のある広島のこの酒造に移ったばかりだったと記憶している。以来、つかず離れずだが、最近とみによく会い飲み食いするようになってきた。本日も、あるイベントのために上京するので、ついでに飲み明かそうという算段だったのだ。
昼間、別件で本郷の喫茶「ルオー」にて食事。ここの看板「セイロンカレー」は間違いなく正統派喫茶店カレーで、襟を正したくなるような筋の通ったやさしさのある味だった。大盛りを食べ、まだ時間があるので、いったん体制建て直しでそれぞれねぐらに帰り、体調を整えてから、出陣。
一軒目は下町・森下を攻める。大江戸線・新宿線の出口を出てすぐのところに、名店が密集している交差点がある。甘めの味噌味ダレで馬肉を供する桜鍋の「みの家」、下町の蕎麦屋を語るときに欠かせない名店「京金」、劇旨カレーパンの「カトレア」、そして名居酒屋「山利喜」、、、「魔のトライアングル交差点」と言っていいだろう。
目指すのは、石川杜氏も私もまだ行った事の無い「山利喜」だ。←この公式HPには、ダウンロード可なメニューのPDFがある。

19時の時点ですでに店外に6人ほど並んでいるゾ、、、人気店である。5分ほど待つと、2Fni相席で通される。目に入ったのは、壁の端から端まで並んでいる、勢いのある品書き短冊。ここの短冊の勢いは良い!期待感をあおる。

■山利喜(森下)
焼きトン6本盛り合わせ
青柳とワケギ、ウドのぬた
煮込み
ガーリックトースト
青菜おひたし
なすの冷製ゴマ和え
小鯵唐揚げサラダ仕立て
まず、運ばれてきた焼きトンにノックアウトされる。タレは粘度が高い独特のものだが、甘すぎず旨みが濃い。これに添えられているのはなんとマスタードである。このマスタードがかなり利きがよく、鼻にくるのだが、ワインビネガーが香る上質なマスタードだ。これを焼きトンの串につけて頬張ると、普段の串焼きとは次元が変わる旨さだ。

ここのお勧めはブーケガルニを使用しているという煮込み。ガーリックトーストを添えるとよいと書いてある。小さな土鍋に盛られてきたその煮込みは、フツフツと沸いている濃褐色のシチュー。油膜が分離しているのがはっきりわかる濃厚さだが、モツ(←シロだと思う)を口に運ぶと、以外にあっさりしたアタリだ。小口切りの葱とモツ片の相性は最高。嚥下する瞬間ふと、ハーブの香りが通り過ぎる。これがブーケガルニの効用か。お勧めのガーリックトーストをドロドロの汁に浸して食べると、これは最高な酒のアテである。

ちなみに酒は、新潟の正統派本醸造の「鶴の友」。アル添していても旨いもんは旨いという好例だ。その後、品書きにギネスの樽生があるのを発見し、速やかに注文。最後は上喜元。
この店の料理は、ハズレが無い。石川杜氏と分析した結果それは、ちょっとした一手間のかけ方が心憎いほど上手いのだということになった。例えば青菜おひたしには、ほうれん草だけではなく京菜、菊の花など数種の青菜が用いられている。それらを単に皿に盛るのではなく、出汁で洗い、供している。当然微妙な歯ざわりとほのかな鰹出汁が香り、絶品のおひたしになる。それと、料理全体に言えるのは、控えめと派手の境界線上にある、絶妙なバランスの味付けなのだ。鯵のから揚げの甘酢の塩梅(あんばい)もそう。
、、、ただし、本日のメインは、あくまで2店目の「バードコート」。銀座「バードランド」で修行した野島さんが北千住に開き、すぐに予約の取れない店になってしまったという伝説の名店だ。この日も、石川杜氏が電話をすると「うわー9時半からしか空いてません」と言われてしまう。それでも行くということにして、山利喜で下地をつくっていたのである。しかし想像以上に山利喜が良かったので、これ以上居ると下地以上になってヤバイということで、北千住への移動をはじめる。〆て9500円。大満足である。
(バードコート編に続く)
(一つ前のエントリから続く)
さて、森下の名店「山利喜」から北千住に移動。その昔、ヘンリー・ミラーの小説「北回帰線」をもじって「北千住回帰線」なるパロディを書こうとしていたことを思い出す、、、
北千住はバリバリのダウンタウンだが、目指す地鶏焼き「バードコート」は、銀座にあっても不思議のない店だ。超有名人気店なので、知っている人も多いだろう。銀座の名店「バードランド」で修行していた野島さんが独立して開店したのがここ「バードコート」なのだ。
そしてもう一つ縁がある。今夜いっしょに飲み食いしている「竹鶴」の杜氏である石川達也さんは、大学生の頃に無名時代の「バードランド」で働いていたことがあるのだ。
「いやあ、あの頃のバードランドを知っている人間からしたら、頂点に駆け上がるのは時間の問題だって思えるよ。当時からそれだけの価値がある店だったよ。一流の店になることを目線に置いていたから、最初から目指すところが違っていた。」
そして「竹鶴」も今や地酒界のスターになっている。すごい縁というものだ。今から伺うバードコートの野島さんとは一緒に働いてはいないとのことだが、店には「竹鶴」が置いてあるという。北千住の駅前をしばらく歩くと、以外に周りにとけ込んだ風情で店がある。入店すると、もうギュウギュウに人が詰められている。その中で2人分、焼き手の野島さんが炭火に向かっているリングサイドの席に通される。
驚いたのは、決して広くはない厨房内に立ち働く人が6人と多いこと。サービスは野島さんの奥さんの千寿子さんが一人で担当している。厨房内では、焼きの一瞬も逃さぬ緊張感に満ちている。野島さんが霧吹きで串に調味液を振り、備長炭にかざす。串は最適な温度(すなわちアツアツ)のまま、即座に客の前に並べられている。スペシャルリングサイドにいるので、僕たちには直接焼き手である野島さんから皿を出して頂く光栄。

■バードコート (北千住)
豆腐
地鶏刺身
砂肝の煮こごり
自家製レバーペースト&パン
豆腐の味噌漬け
地鶏焼き(7~9種)
親子丼
鶏雑炊
酒: 小笹屋竹鶴(雄町12BY)
神亀(12BY)
ちなみに地鶏は大好きで、色々食べてきた。宮崎の地鶏料理が好きで、常に地鶏の腿焼きとタタキを食べたいがために養鶏農家と友人になったこともある。最近最も旨いと思ったのは、駿河若シャモ。このシャモ、生産量が少なすぎて出回らないのだが、これを岐阜の料亭の友人に紹介したら、鶏嫌いの板前が「旨い」と言っていた。いや、ま、つまり「俺は鶏にはうるさいんだぞ」と言いたいのです。スンマセン。ちょっとやそっとではビックリしないよ、と思いながら席についていたのである。ちなみにこのバードコートで仕入れているのは、奥久慈シャモという地鶏だ。これは初めていただく。
で、最初に結論を言うのもなんだが、、味わううちに、このバードコートは、焼き鳥としていただく店ではないと思った。同様の意見は多数の方がもたれているようだが、極めて洗練された地鶏創作料理の店と言った方がいいと思うのだ。
まず驚嘆したのが前菜で出てきた砂肝の煮こごり。煮こごりのゼラチンが無色なので、醤油で煮ているのではないことがわかる。薄塩のガラスープで軽く煮て、そのまま冷やしているのだろう。しかし異様に大きな砂肝である。噛んでビックリ、ちまたの砂肝によくあるジャリ感が全くない!レバーと一緒に付いてくる肝の感触のような、もっちりした歯触りなのだ。独特の香りも押さえられていて、上品極まりない。色々食べてきたけど、こんな砂肝は初めてなんである。

これは当然、串のほうも旨かろう、、、と思っていると、すごいのが出てきた。デカイのである。鶏は今まで自分でもさばいてモツを観てきたが、こんなにでかい砂肝は初めて観た。もちろんデカイだけではなく旨い。噛むと、表面の軽い焦げがカリッとしたクリスピー感を出しているものの、後はスーッと歯が通る柔らかさで、ジュワッと肉ジュースが染み出してくる。これは文句なしに旨い、、、
この砂肝の印象が強く残ったのだが、他にもソリ、ペタといわれる、滅多に出てこない部位や、適度に脂を落としてこんがりと焼いたボンジリなど、貪るようにいただいた。首肉の部分は、そのシコシコした食感と濃い味に涙が出そうになった。

総じてこの店の串はあっさりと塩味で食べさせる形式だ。鶏に脂が乗ってはいるものの、それをしつこく感じさせない調味をしている。最後のつくねはタレと黄身で食べさせるが、僕にはもう少し下品でもいいかなと思う上品さだった。勿論、その上品さは味を損ねるものではない。一本の文脈としては完全である。

〆は親子丼と雑炊。親子丼は、これも非常に上品な味。コースの流れの〆として、一つの完成形を体現しているのは確かだ。
タップリ頂くと、周りのお客さんはみな帰り、石川杜氏と僕、そして野島さんご夫妻と店の人たちとでの語らいが始まってしまった。野島さんが、静かに石川杜氏をリスペクトしている様子がよく伝わってくる。とても実直な語り口でにこやかに話される。一流の人間に共通する、あの謙虚さが確実にある。
「僕は知識がまったくないところから出発してますから。色々教えてください。」
とんでもない話である。僕のことを石川さんが紹介してくれ、野菜の話になる。
「焼いて美味しい野菜ってのを色々試したいんですけど、なかなかいい農家さんに出会えないんですよね、、、」
そういう話ならば得意である。いろいろとご紹介することを約束する。とてもよい出会いをいただいた。勘定をお願いしようとすると、受け取ってくれない。石川さんに付いてきてバカ食いして、ご迷惑をおかけした。本と野菜を送らねば、、、
店をでて、我々の姿が見えなくなるまで見送ってくれるスタッフの皆さん。いい店だ、、、きちんとお返しをしようと心に決めた。
最後に石川杜氏、どうもありがとう。また飲みに行こうネ。
出先で仕事が終わり、京王線で新宿経由で帰ろうとするが、何か無性に飲みたくなる。HP勤務の友人である原田君に電話すると、嫁さんと山手線に乗っているという。
「じゃ 30分後に新宿で」
となり、彼らの行きつけの店「日ごろ」に向かう。新宿の端のそのまた奥の方にある小さな家庭料理の店なのだが、沖縄出身と京都出身のオネエサンが作ってくれる料理は酒のアテとして一級品なのである。
■日ごろ
新宿区西新宿7-16-2
TEL:N/A
特にここで旨いのは、原田君が「オフクロと同じ味だぁ」というハンバーグ。コンガリと焼かれたぽってり肉塊に、自家製のドミグラスソースがかかっている。このドミソースが半端ではなく旨い。いわゆる凝った洋食屋の旨さではなく、ムチャクチャ高級なおふくろ料理という風情なのだ。このハンバーグで丼3杯はイケル。
もう一つ出色のできばえなのは、なんと子持ち昆布のフライ。そんなの食ったことないではないか!と食べてみたら本当に卒倒しそうなほど旨かった。子持ち昆布を正方形に切り、それを3辺重ねる。これにみっちりと卵とパン粉をまとわせ、弱火でじっくりと火を通す。この火の通し加減が絶妙で、きちんと脱水されていて、味がギュウギュウと凝縮されている。昆布の卵ひとつぶひとつぶにホッコリと火が通り、ぱりんぱりんと噛み締めるたびに幸せな音を弾けさせるのだ。うう、ホントに旨い、、、これを作るのが実に面倒。厨房では、鮮度を落とさぬために海水に漬けて保存。注文を受けると、5分ほど真水に漬けて塩抜き。その水気を丁寧に拭いて重ね、串に刺し、揚げあがったら余分な油分をペーパーにすわせて、ようやくサーブ。これほど手の込んだアテはなかなかないだろう。本当に気が利いている。
ちなみにご存じだろうか?子持ち昆布とは、実はニシンの子をワカメに人工的にくっつけたものなのだ。昆布と言いながら実はワカメ。本日のトリビア。40へぇ~くらいかね。
その他にもたらふく食べて勘定。店を出てすぐのところに博多ラーメンの「天神」がある。どうにも引き寄せられ、ネギ海苔ラーメンで替え玉を2杯。もっと食えるけど、明日から熊本出張なので、胃を空けておこう、と帰ってこれを書いてます。
そう、明日から熊本出張! 食い倒れ実況中継をお楽しみに、、、
原田君、また飲みに行こうな!
友人とペルー料理を食べに行く。店は、川崎の「インティライミ」である。この店は友人の柴田さんに教えてもらった。彼は静岡県の家畜衛生保健所というところに勤務する獣医さんだが、大の食いしん坊であり、僕の静岡地区の食い倒れ先導者である。ベルマーレ平塚ファンと同時に南米サッカーファンで、首都圏の南米料理の店のほとんどを知っている。そんな彼がお薦めの店なので、間違いないはずだ。

■インティライミ
アンティクーチョ(牛ハツの串焼き)
セビッチェ
セコ・コン・フリホーレス
アロス・コン・レチェ(米をミルクで煮たデザート)
ペルービール
インカコーラ
まず最初に、僕がペルー料理で大好きな「アンティクーチョ」。牛ハツの串焼きだが、ハツを漬け込むスパイスが最高で、どんなステーキよりも旨いと思う。これにパセリとニンニクを刻んだ薬味を乗せて食べると、ビールが停まらずヤバイことになる。

セビッチェは、南米版お袋の味噌汁的位置付けで、むこうではこれを上手く作れないといい嫁さんになれないというそうだ。しかし実態は味噌汁ではなくたっぷりの白身魚とたまねぎ、香菜を大量のレモン汁で味付けしたマリネだ。実に酢が利いていて最高。僕は汁まで飲んでしまうのが普通だ。この店、味もいいが、盛りがまたよいのも気に入った。

ジャガイモのマッシュにチーズクリームソースをかけた定番の一品の後、ご飯ものとしてしばし逡巡する。友人の柴田さんは
「アロス・コンポージョがいいよ」
と言うが、さんざん迷った挙句、セコ・コン・フリホーレスという、牛肉シチューと豆の煮込みをご飯にかけたものをオーダー。牛肉の塊がごろんと3切れ乗るその豪快にしてマイルドな煮込みを食べると、さすがの僕もおなかにキタ。珍しいことだ。アロスコンポージョは次回にしよう。店員の対応もよく(おそらく、僕から話し掛けていたからだと思う)、大いに気に入った。

一緒に食べた友人はフランス語堪能で、ブラジルのカポエイラを習い、かつアフリカのブルキナファソまで出向いてジンベ(西アフリカのドラム)の修行をしたというツワモノ女性である。彼女にはジンベのすばらしい音源を借りた。旨い飯と良い友と良い音楽。言うこと無い祭日だったのだ。
酒を3合飲んで酔っ払っている。にもかかわらず書くのは、残したい料理に出会ったからだ。
なぜか料亭で旨いものを食べたことがあまりない。料亭だと旨いに決まっていると先入観があるからだろうか。もしくは、自分ではお金を払わない(失礼)からか?もちろん中には、日本橋「ゆかり」のように超絶技巧に裏打ちされた日本料理の粋を、手ごろな価格で味あわせてくれる料亭もあるが、少数だと思う。
そして今日、赤坂の料亭「浅田」に行った。某企業の面白いおっちゃんが、その出身地のためになにかプロモーションなりをしたいということで、彼の知る面白い企業の人間を呼んでの会食だ。会食自体の内容も面白かったが、ここでは述べない。また、締めの蕎麦に至るまでに並んだ料理についても述べる必要を感じない(焼き鱧と甘海老しんじょとマツタケの椀に、鯛のオカラ蒸しは旨かった)。しかし圧倒的に驚いたのは、蕎麦だ。
「美味しいお蕎麦が出ますよ」
と美人仲居さんが言う。出てきたのはおそらく二八の割合で打たれた太麺。それはいいのだが、薬味と一緒に盛りづゆが二種出てくる。ひとつは通常の返しを使ったものだが、もうひとつはほぼ無色の汁だ。
「こちらは、昆布出汁に塩のつゆです。結構人気があるんですよ。」
正直言うと、こういうところで塩を押し出すのは好きではない。どっちかというと醤油の発酵味と香りでグイグイと蕎麦を手繰っていきたいと思ってしまう。けど、せっかくだし,,,と思い、この昆布出汁のつゆで蕎麦をすすってみた。
やられた、、、
実に旨いのである。昆布は羅臼か。一晩水に漬けて濃い味の出汁を引き、濃縮させているようだ。旨味成分が溶出している割に、ぬめりと生臭味が出ていないのが料亭の技か。さらに塩で味がついているわけだが、この塩梅が実にナイス。塩梅というくらいで、塩というより醤油のような旨みを感じさせるのだ。そしてつゆだけではなく蕎麦もかなりレベルが高い、歯ごたえがしっかりとしており、江戸前の食べ方ではなく、ムチャムチャと噛んで楽しむのがいい蕎麦だ。
通常の鰹とかえしの盛りづゆで試すが、こちらは今ひとつと感じた。鰹の香りが濃いのはいいが、かえしに使われている醤油の香りが引き立ってこない。ここで失敗をしてしまったのが、
「昆布だしと鰹だしを合わせると旨いのでは?」
と思い、混ぜてしまったことだ。大失敗だった、、、全然旨くない、長所を相殺しあってしまう。
そこをすかさず美人仲居さんが
「おかわりいかがですか?」
ときたので、また大盛りでお代わりをする。今度は最後まで昆布だしで食べた。
その後出てきた蕎麦湯は、そば粉が足してあり、かなり濃い蕎麦湯で実にすばらしかったのである。
そこで耳より情報。美人仲居さんによれば
「このお蕎麦は昼もやってます」
とのこと!料亭で飯を食べてしまうと支払いが大変なことになるが、ランチなら手頃。
今度、酔っていないときに出陣を決めた。しばらく山形蕎麦にはまっていたが、加賀蕎麦もイケルのである。赤坂に在住の人はぜひ行ってください。
兄弟分の工藤ちゃん、その弟分の浅見君、雑誌編集者の神吉さんと一緒に、四ツ木の大衆酒場「伊勢芳」に行く。ずっと前から工藤ちゃんが「とにかく盛りがいいから連れて行きたい」と言ってくれていた店だ。特に有名と言うわけではないが、とにかく安くて盛りがよくて旨いらしい。それは俺向きなのである。
とにかく車を走らせ、葛飾区四ツ木に。店に入ると、あの「山利喜」を凌ぐほどにびっしりと壁に貼られた品書きに圧倒される。非常にいい感じだ!

■伊勢芳
上まぐろ刺身
カンパチ(活け〆)刺身
小柱刺身
ツブ貝刺身
モツ煮込み
エビフライ
アジフライ
天ぷら盛り合わせ
ぬか漬け
オコゼの塩焼き
イカ焼き
鶏唐揚げ
ナス揚げ
あさりバター炒め

これに、各人がご飯を食べて(おいらは大盛りご飯を二杯食べましたゴメン)、一人4000円である。やっすーい。特筆すべきは煮込み。およそ煮込みっぽく無い風体で供されるそれは、味噌味がこってりとしており、適度に下品で旨い!神吉さんもむちゃくちゃ気に入っていた。

それときゅうりとナスのぬか漬けは、ちょっと見ないくらいに古漬けである。酸味が強く、劇ウマだった。

刺身類も鮮度良く、それなのに一皿500円程度で、びっくりしてしまう。


いい店だ。こういう店がある限り日本で生きていける、、、
「こうかいぼう」は、門前仲町界隈では文句なしに1,2位を争うラーメン屋である。本日はラーメンとチャーシューご飯セットの大盛を食べてきた。その魚貝中心の深いコクのスープにはいつも満足感を覚える。
始めていった今年の8月に雑記したものがあるので引用しておこう。この界隈に来たらぜひお試しいただきたい。場所等は、ネットで検索すれば沢山ひっかかるはずだ。
そう、この「こうかいぼう」の2軒となりに、ラーメン「蘭丸」が開店している。寿司匠の加藤ちゃんによるとこっちも旨いそうだ。今度攻めてみよう。
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実はラーメンはそれほど好きではない。勿論嫌いというわけでもなく、地方にいったりすれば人気の店を一通り回る。しかし、マニアではないということだ。理由は単純で、あまり美味いと思うラーメンに出会ったことがないからだ。ラーメンとはスープと麺の複合体だが、私は麺に重きを置く。スープは麺を美味く食べるためのものである。しかし最近の主流であるこってりとしたスープは、私には過剰に感じるのだ。
しかし、つけ麺は大好きである。どうみても麺が主役だからだ。また、汗かきの私がラーメンを食べると、全力疾走後のような汗をかくのに対して、つけ麺はそうならない。と思っていたら、今月号のdanchyuでつけ麺が特集されていた。そこに、門前仲町にある「こうかいぼう」が紹介されているではないか。ということで行ってみた。
綺麗な作り(趣味のよい喫茶店のようだ)の店内に入る。ラーメンの店だが、迷わずつけ麺を選ぶと、主人と思われる男性が「1.5倍の大盛りと、2倍の特盛りもございます」とのこと。ここも迷わず特盛りとする。
しばらく待って出てきた麺。チャーシューが結構多めと、メンマとネギ、ノリが麺に載っている。麺量は、正直言って私が「特盛り」と思う量ではない(少ない)が、まあいいだろう。あとはこの特盛りで幾ら増しになっているかが問題である。スープが出てきたところで主人が「麺を食べ終わられた後で、付け汁にスープを足せますので」という。これをスープ割りと言うらしい。そば湯よりもゴージャスだ。
さて麺を汁に浸し、食べる。スープは魚貝の利いた味と香りで、かなりマイルド。店の紹介を書いた札にも「当店のスープは毎日のみそ汁のようなものを目指しているので、最初は塩が物足りなく感じるかも知れません」と書いてある通り。しかし、満足感がないわけではない。コクは十分、まろみもあり、上等な味である。少なくとも私の嫌いなギットリヌトヌト系ではなく、ほっとする。チャーシューもこの店の売りらしいが、麺の上にある状態では冷えているので、旨味は感じない。スープに入れて温めるとスープの温度が下がるので好ましくない。メンマも
同様。ただしメンマは大ぶりで味付けも爽やかでよい。肝心の麺だが、中太のストレート麺。卵・鹹水は薄めだがモチモチ感は強く美味しい部類である。量も、最後にさしかかると満腹感が出てきた。
そして、くだんの割りスープをやろうと顔を上げた瞬間、店主が「はい!」と間髪をいれずにやってくる。少し待つと、なんとスープが足されるだけではなく、ネギも入れてくれた、吸い物椀のような一品が出てくる。これがやたらと美味い!つけ麺スープの際には際だっていなかったが、魚節系の香りと旨味が強く出ている。本当にみそ汁感覚である。しかし、ガラと豚のげんこつも使っているということで、きっちりとコクも出ている。これは美味い。おそらくつけ麺よりもラーメンの方が満足度が高いのではないかと思った。
勘定をすると、つけ麺特盛りと焼き餃子(結構ふつうの味)で1250円。つけ麺の普通盛りが700円。餃子が350円ということは、特盛りで200円増しということだ。これは十分にリーズナブルな価格だと思う。
ちなみに、この店は接客態度が100点満点である。店主と奥さん、そしてもう一人の男性の3人だが、それぞれ客にきめ細かい心配りをしている。いい店だ。久々にラーメンを食べて、すがすがしく感じた。
<好きな店>わくい亭:本所吾妻橋
都営三田線の本所吾妻橋駅は、こう言っちゃあなんだが、用もなしに行くような処ではない。しかし旨い酒と肴があれば、遠かろうが何だろうが行きたくなる。そんな店が本所にはあるのだ。
それが「わくい亭」。大衆居酒屋なのだが、料理がめっぽう旨く、酒の品揃えも実に気が利いているのだ。
場所は本所吾妻橋の駅からどんなに早足で歩いても8分はかかる。飾らない一軒家の引き戸を開けると、カウンターおよび周りのテーブルに満杯の人。ここは大体6時半くらいから混み出すので、エイヤっと覚悟を決めて会社を出ることが必須だ。
席を確保したら、黒板に勢いよく書かれた品書きに急いで目を通す。ここの黒板は、旨い店に共通する、あの煌めく品書きだ。輝かんばかりの、一読しただけで全てを頼みたくなってしまうような、食欲がしたたり落ちる品書きなのだ。もしそそるネタがあれば即座に店のお姉さんに頼むのが吉。すぐに料理が品切れになってしまうのだ。
この煌めく品書きが、なんとレシピ集として出版されている。実にいい本だし、良いレシピ集だ。僕は著者である女将の涌井純子さんのサイン本を持っている。自分の本との交換で、、、
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ちなみに、全般的に魚のお薦め度は高い。鰯の刺身と〆サバがあれば頼んでみよう。特に〆サバは実に馴れた塩梅でイイ。あと、エリンギと何かを炒めるメニューが載っていることが多いのだが、これは実に◎。絶妙な歯ごたえとしっかりしたアタリで、酒のアテに最高だ。
〆サバは絶妙な塩梅だ。

それに加えて定番料理を2品選ぶとしたら下記だ。
何が何でもメンチカツ!

ここにきたらまず着座するなりメンチカツを頼んで欲しい。すぐになくなってしまう超人気メニューだからだ。これを目当てに行ったのに「売り切れだよ~」と言われること数度。最近では電車の中から「とっておいて!」とお願いするようにしている。
これが運ばれてきた時、初めての人は目を疑うだろう。とにかくデカイのである。皿から殆どはみ出している。アツアツジュワジュワのメンチは、しかもやたら滅法に旨いのである。ソースでも醤油でもよい。添えられた鮮やかなカラシ牛肉特有の臭みが巧く消されている。練り込んだ挽肉にありがちなノッテリした感触ではなく、「肉を噛んでいる」と思える歯触りがある。これは挽肉だけではなく細切れ肉を粗く叩いたものが入っているからだそうだ。そしてこのメンチが、日本酒に合う。しかも冷えても旨い。脂が固まって不味くなると思いきや、そんなことはない。実に不思議で旨いメンチなのだ。洋食屋で食べるメンチも好きだがここのメンチの充実感に優るものに、未だ出会っていない。
誰もが絶句する絶妙のカニサラダ(ごめん、画像ナシ)
量ばかり言うのもなんなのでまず味のことから書くと、このカニサラダは絶品だ。レタスとキュウリとセロリ、タマネギそしてカニのほぐし身をドレッシングで和えただけのシンプルな構成だけに、最重要なのはドレッシングの塩梅だ。それが憎いほど決まっている。フレンチ系だが若干クリームっぽく、それぞれの素材にきちっと絡んで、しっかりと味付けをしている。つまらないレストランで出てくるグリーンサラダを想像してはいけない。しっかり味の付いた一品料理だ。
そして、、、恐るべき量なのだ。ハーフで頼んでも、フグ刺しの皿くらいの大きい平皿に山盛り出てくる。僕はいつも2人で行く時もこれを頼むが、相方は呆然とするケースが多い、、、
その他も色々あるのだが、、、
この店で酒を頼む際には、いろいろと悩むことになる。ビール、日本酒は勿論ながら、ワインの品揃えも豊富だからだ。だが、実はこの店には、他であまりみない、イイ酒がある。
「千代の光」の本醸造だ。
これは僕がこの世で最も好きな酒だ。本醸造だから、純米酒ではない。けど、旨い。これについては余計なことは書かないでおく。だって、品切れになると困るから、、、
外回りの仕事が一段落ついた後、産業総合研究所の江渡君と加賀谷と落ち合い、現在作成中のデータベースシステムについて会議をした。
江渡君は、ネットワークやメディアアートの世界では超有名な、日本有数の頭脳だ。彼の業績はここをご覧いただきたい。ちなみに僕は彼の結婚式の友人代表スピーチをしている。マブダチなんである。
打ち合わせ後、江渡君いきつけの焼鳥屋、「東京やきとり亭 六義園店」に行くことに。江渡君もなかなかに食事にうるさい人なので、期待できる。
産総研の入っているビルからすぐのところにあるやきとり亭では、看板に誇らしげに「名古屋コーチン」と書かれている。名古屋コーチンの焼き鳥は相当に単価が張るだろうなぁと思いながら入店する。
焼き物を出す店だが、店内はきれいに調度されている。酒の冷蔵ケースを覗くと、いくつかの銘柄焼酎とワイン、日本酒にはおきまりの黒龍と、明鏡止水がおいてある。品書きを観ると、なんと僕の好きな静岡の銘酒「正雪」本醸造があるので、これは絶対に飲もう。
あとは江渡君の手引きで注文。3000円・2000円のコースとかもあるが、1000円で正肉、だんご(つくね)、腿肉の三種が来るセットに、単品で正皮、肝、元気鍋、釜飯を頼んだ。
肝心の焼き鳥だが、いわゆる木串での焼き鳥ではない。焼き場でいい感じに仕上げた肉を数片ずつ皿に載せて持ってきてくれる。このため正肉などは串に刺さず肉片が3切れ乗ってくる。地鶏は大好きだが、コーチンはとにかく高くてイカンなぁと思う。コストに見合う味かといわれると、何ともいえないというのがいつも抱く気持ちだ。しかし、この店では苦労しながらも、割安に食べさせる工夫をしていると思う。一皿の分量は少ない(僕にとっては)が、満足感はそれなりに味わえる用になっている。基本的には塩味ベース。肝のみがタレで供される。ここの肝が旨かった。肝自体は勿論だが、タレが旨いのである。濃厚な色のタレは舐めてみると醤油の香りが立つが、それほど甘くない。特に水飴っぽいとろみが余りなく、しつこくない。これを飯にかけて食べたい。



焼き鳥が出てきた後は元気鍋。コーチンとキャベツ、ごぼう、ネギ、ニラ等がスープで煮込まれた鍋を、コーチンの卵入りポン酢で食べる。コーチンの肉はほんとにチョビッとしか入っていないが、これはスープを味わう料理だろう。具を食べ終わるとうどんを入れてくれるが、そのうどんがなんと稲庭うどんの最高峰、佐藤養助商店のものだ。絶対に機械打ちをしない、本当の稲庭うどんだ。これを鍋で熱くして啜る。


釜飯は一般的な鶏釜飯だが、奇をてらっていない味で好感がもてる。この辺で江渡君が「もう食べられない」とギブアップ。そういうやつは大好きである。残りは俺様が食べました。

ビールと日本酒を飲んで、3人で12000円強。コーチンの店としてはリーズナブルな店だと思う。
店を出てのんびりと歩く。別件があったので巣鴨まで歩いて打ち合わせ。その後、乗り慣れない三田線に乗ったら、反対方向に5駅くらい行ってしまった。戻っているうちに最終電車の時刻になり、大江戸線の清澄白川駅で電車が終わってしまった。自転車がある門前仲町まで徒歩20分。かなり気温は低いが、Tシャツでぐんぐん歩いた。これはこれで、いい気分だった。
関西の友人から、東京に出張に出てくる際に、大手町周辺で何か旨いランチが食べられるところを教えろと言われた。そんな貴重な情報、むやみには教えたくないが教えてあげよう。
もしランチで3500円というA級グルメを堪能したいなら、東京駅八重洲口から歩いて5分たらずの料亭「日本橋ゆかり」を推したい。ここはとある料理研究家の先生から教えてもらったのだが、とにかく素晴らしい。松花堂弁当スタイルの2段のお重に、ビッシリと日本料理の粋を凝らした品々が並ぶ。ちょっと高いと思うかもしれないが、満足度で言えばここ以上のものはないだろう。
もうちょっと手軽に洋食を楽しみたいのであれば、八重洲口から300メートルほど歩くが、丸善ビルの屋上にあるゴルフ練習所の横に、クラブハウス風のレストラン丸善がある。ここのハヤシライスはすこぶる旨い。オーソドックスで、何も奇をてらうところがないのでなんとも説明しにくいのだが、実直に旨い。ドミグラスは濃厚にして優しい。昼時に並ぶと、列にいるのがご年配の方が多いのだが、これも「優しさ」と「懐かしさ」故だろうか。
八重洲方面から離れて大手町周辺となると、私が仕事でよくいくことが多いJAビルの地下に足を運んでみるとよいだろう。丸の内線の改札からすぐのところに食堂街があり、インド料理「ガネーシャ」がある。ランチ時には、800円くらいでカレー二種とナンとターメリックライスが付いてくる。味は超一流のインド料理店には劣るが、ライスとナンはお代わり自由で、僕はだいたいいつもライス3杯とナン2枚食べる。
この辺が、女性にもお薦めできる名店群なのだが、、、
僕がもっとも愛している店は他にある。その名は「リトル小岩井」。JAビルとは反対側の丸の内線の改札に近い、小さな喫茶店コーナー&サンドイッチデリである。そう、構えは実に綺麗な店なのだ。正面から見ると、テイクアウト用のサンドイッチがずらりと並び壮観にしてなかなかしゃれた雰囲気である。

名前からしてもどうやら岩手県の小岩井牧場の関係らしく、ショーケースには小岩井牛乳が並んでいる。サンドイッチも人気が高く、昼時にはOLがテイクアウトコーナーに並ぶ姿がいつも見られる。
が、しかし。
この店のウリはサンドイッチではない。実はこの店、スパゲッティ屋なのである。スパゲッティといっても、イタリア風アルデンテの世界では全くない。昨今絶滅したかと思われていた、あの喫茶店でよく出たスパゲッティの店なのだ!こういったスタイルの店は、実は水面下に結構ある。有楽町の「ジャポネ」はかなり有名で、僕もここのナポ(ナポリタン)は大好きだ。これらの店に共通するのは、下記だろう。
・麺は極太。おそらく2.5MMくらいの太さだろう。有名な名古屋のスパゲッティハウスヨコイの使っているボルカノ食品のスパだろうか?
・麺はあらかじめ茹で上げているもの(!)をフライパンで具と炒め、ものの数秒で仕上がって出てくる。
・メニューには必ずナポリタンとジャポネ(しょうゆベース)、インディアン(カレーね)がある。
・これらをゆめゆめ「パスタ」といってはいけない。あくまで「スパゲッティ」である。とはいうものの、リトル小岩井の看板には「パスタ&デリ」って書いてあるんだけどね(笑)
いまどき「茹で上げ麺」である。しかも超極太。これはふやけて太くなっているわけではない。元から太いのである。その証拠に、噛むときちんと歯ごたえがある。
さてリトル小岩井もこの流れを汲むスパゲッティ屋で、メニューには先に述べた基本3種に加え、ナスの味噌炒めと麺をからめた「辛みそ」や、とうていジェノバペーストなど使っていなさそうな「バジリコ」などがある。しかし、はじめていくならやっぱりナポ!だろう。
昼食時にいくと、とにかく並ぶ。回転がやたら速いのでそれほどは待たないで済むが、とにかく並んでいる。その9.5割がおっさんである(写真参照のこと)。

この地下街は昼時にはOLや会社員達でごった返すのだが、ひときわ長い列がここにはできる。そんなにも支持を受けている店なのだ。単なるB級ではないことがおわかりであろう。
席につき「ナポ大盛り」と頼むと、コールスローの小皿が出てくる。ここのコールスローは特に旨いというわけではないが、たまに別皿でも注文してしまう。そしてだいたい3分以内でスバゲティが運ばれてくる。何度も言うがパスタではない。スパゲッティである。極太、真っ赤っかである。具はベーコンと玉葱とピーマン。これに卓上の粉チーズをブワッとかけて麺を啜る。ああ、、、これだこの味だ!学校給食でよくでてきたソフト麺並みにぶっとい麺は、程よいコシでぷつりと切れる。甘すぎないトマト味は、ケチャップではなく、特製ソースの存在をにおわせる。まあとにかく馬鹿にしないで食べてみてほしい。B級と侮れないくらいに旨いのだ。しかも、大盛り50円増しにすると僕でも確実に腹いっぱいになれる。ちなみにナポは650円である。

もぐもぐもぐもぐもぐもぐ
ひたすら麺を啜り、唇を真っ赤に染める。相席でびっしりサラリーマンが座る店内は、ただ麺を口にいれもぐもぐもぐもぐと食べる人たちで一杯なんである。このB級さ加減、とっても大好きである。もしうちの会社が大手町にあったら、確実に僕は週に3日はここで食べているだろう。
ちなみにここのサンドイッチもなかなかイケル。旨いのはコンビーフをキャベツのみじん切りとマヨネーズと和えてイギリスパンに挟んだコンビーフサンド(180円)と、コロッケロール(210円)である。ハムエッグサンドはボソボソしていて旨くないので要注意だ。
どうだろう?参考になっただろうか?東京駅周辺はなかなかのワンダーランドなのである。
某社の方々と会食。なぜか銀座の土佐料理の店へとご案内いただく。銀座の裏通りには,名だたる地方メーカーの直営店舗が多い。例えば秋田県の稲庭うどんで僕が最も好きなメーカーである寛文五年堂の直営店もこの辺にあるのだ。そして今日の店は「ねぼけ」という、人を食った名前の店だ。しかし店の前で驚いた。この立地で自社ビル、一軒家である。
<
■土佐料理 ねぼけ 銀座店
http://r.gnavi.co.jp/g688000/map1.htm
土佐料理といえばとにかく鰹と皿鉢料理(さわち)だ。鰹は戻り鰹が旨い時期だし、贅を凝らした皿鉢は、懐石と違って一度にドンと出てくるので、酒を飲みながらどれをつまもうかと迷い箸をし、ゆっくりとつつくのに最適だ。
障子で仕切られた座敷に上がり舌鼓を打つ。鰹はやはり新鮮だ。本当は一腹すべて食べたいが、、、

豪勢な皿鉢。鯨の刺身(尾とコロ)、鯨の大和煮、鯛、鰹の皮付き刺身、イトヨリの南蛮漬け、茹で海老、とこぶしの甘露煮、うなぎ寿司、さばの棒寿司。
旨かったのはイトヨリの南蛮漬け。竜田揚げにしたイトヨリを土佐酢で〆ている。皮付きの鰹も旨い。鯨の大和煮はトロトロと溶ける。

皿鉢をつつき、「土佐鶴」を飲みながら某氏が言った。
「山本さん、食事とは快楽です。官能なんです。だから食事とセックスは同じ。」
そこから怒涛の快楽主義映画の話(フェリーニ、リーフェンシュタール、そしてマトリックス、、、)が続いた。確かに、食とは快楽以外の何者でもない。彼の薦めるる映画を今度観てみよう、、、
なんと仰天のニュースだ。
http://www.asahi.com/special/farmsteal/TKY200311010108.html 大学時代に僕に畑を貸してくださっていた農業の師匠、藤沢市の飯島正博氏のぶどう園に泥棒が入っていたのだが、なんとそれを捕まえたと言うことだ!朝日新聞に写真入りで掲載されるなんて、かっちょいいぞ飯島さん!
ちなみにこの飯島さんの農園で僕の本の表紙を撮影したのだ。ニンジンの写真も飯島さんのものである。うーむあとで電話をしてみよう。
以前に竹鶴酒造の石川杜氏に連れられて大満足の一夜をおくった北千住「バードコート」を再訪した。単に食事をするためだけではなく、僕の雑誌連載の企画にご登場願うため、ご挨拶も兼ねている。とはいってもメインは食いしん坊であり、編集者と共に眼を爛々と輝かせながら入店した。奥様でホールご担当の千寿子さんが案内してくださる。店主の野島さんはまさにリング上で串と真剣勝負の真っ最中だった。
にもかかわらず、合間にこちらの話に相づちを打って頂いたりして、非常に恐縮。野島さん、本当にこんな売れっ子なのにも関わらず、腰が低く物腰柔らかで、謙虚な方なのだ。ちょっと有名になるとすぐ天狗になってしまう人が多い中、こういう方に出会うと我が身を反省せねばと思うことしきりである。
バードコートでは、焼き鳥は勿論絶品中の絶品なのだが、他のアテも丁寧に吟味されており、旨い。特に僕が好きなのはレバーペーストだ。下の写真のように、大きめのバター片のように切って出てくる。これをバゲットにコテコテと塗りつけて口に運ぶ。全くレバー臭のしない、典雅で強い旨味と甘み、そして深いコクがやってくる。これには実は赤ワインが合うような気がする、、、高そうなので頼んだこと無いけど。バゲットは適当なタイミングで追加してくれるので、かなり楽しめる。お得な一品だ。

そして今回旨かったのは、これも初めてだが、食後のプリンだ。詳細は尋ねなかったが、当然奥久慈シャモのタマゴなのだろう。味は、、、画像のごとくである。これにもコクとまろみがあり旨い! もう完全にノックダウンなのであった。駿河若シャモとは全く違う奥久慈シャモ。何が違うかと言えば筋繊維の強さ。奥久慈シャモは繊維感については若シャモを寄せ付けない。噛むとプチンプチンと音を立てて弾けそうな感触なのだ。

平日でもほぼ予約をしないと入れない店になりつつあるバードコート。日・月は休日。しかも焼き鳥としては破格の値段を覚悟する必要がある。でも、死ぬ前に一度は行っておくべき店だと思う。
以前にも「現在東京で一番旨いと思う蕎麦屋」として紹介した出羽香庵が入っているのは、地下鉄虎ノ門駅からすぐのところにある三井ビルの1Fにある「山形プラザゆとり都」だ。ここは、山形県の特産物を直売している、いわば県のアンテナショップだ。
山形の郷土食は、首都圏で余り知られていないと僕は感じている。実は山形県は非常に特殊な食文化を持つ地域だ。枝豆と小茄子に関する美意識は、おそらく日本で一番と言える民族(?)が山形県民であることは間違いないと思う。枝豆は一世を風靡した「ダダ茶豆」クラスの枝豆品種がゴロゴロしているのだ。なすについて言えば、山形の人にとって、よく関東でスーパーに並んでいるサイズのなすは「収穫し忘れてでかくなってしまったナス」なのだ。そう、やはりナスも小さい内が味が濃いので、彼らは贅沢にも小茄子を標準としているのだ。
そんな山形の食文化に触れるために非常にいい入り口がこの山形ゆとりプラザだと言えよう。常設されている販売コーナーでは、関東では通常手に入らない食材が豊富だ。赤カブに代表される漬け物類に始まり、向こうでは標準的に食べられている充填豆腐、珍しい加工納豆である塩納豆や南蛮納豆、蕎麦だけではなく麦キリなど、バリエーションに富む乾麺類、そして納豆汁の素や打ち豆、乾燥山菜などなどなど、ここに挙げるのも難しい。
常設コーナーの他に、季節毎にたつ企画コーナーがある。ここではラフランスなど旬の商材が並ぶのだが、ふと立ち寄ると、秋の味覚であるキノコ(茸)が並んでいた、天然ではなく栽培ものだが、それにしても通常の栽培品とは趣が違う。そう、山形は山菜特に菌茸(きんたけ)類の宝庫なのだ。300g程度で300円~380円と安い。普通にスーパーで売ってるものとは違い、傘をほぼ開ききったナメコと、独特の質感のクリタケを買い求める。となりにあった辛味大根(50円!)も買う。帰り道で和牛コマ肉を買った。
帰宅後、茸は石突を取り割き、葱と牛肉と一緒に鰹出汁で煮込み、濃い目の盛りづゆにする。別鍋で低アミロース麦を原料にした乾うどん(これは国立作物研究所の所長さんにいただいたものだ)を茹で、もちもちとした食感を得られる12分にざるにあげ、冷水で洗う。これに、同じく山形の辛味大根おろしと葱を薬味に、一気にきのこうどんを啜るのである。一口すすってすぐ、口にきのこの出汁と香り、旨みが広がった。その後、ヌメリとしゃっきりの入り混じった歯ごたえが感じられる。思わず鍋にもう一束、うどんを追加してしまった。
きのこのシーズンは長くない。虎ノ門周辺に居る方は一度いってみて欲しい。
僕は通常は甘いものは苦手である。でも、時折無性に甘いものが食べたくなる。ただし和菓子にはそれほど惹かれない。もっぱら洋菓子というかケーキ類である。ちなみにそれほど吟味して食べる訳ではなく、コンビニのシュークリーム程度で十分である。でも、美味い不味いの別はわからないでもない。例えばガトーショコラだったら、代々木上原の小粋なフレンチ「カストール」の藤野シェフが作るのが一番だ。ま、食べればわかる、ということだ。
そんな僕が最近、打ち合わせに常用している洋菓子店がある。門前仲町の深川不動尊の参道にある「ペリニィヨン」である。変なところにィがついているが、あくまで「ペリニィヨン」だ。ここの何が美味いかというと、ペリニィヨンロールというロールケーキが見事にバカ旨なのである。ショーケースに並べられた色とりどりのケーキの上段に、見事な存在感で置かれているフルサイズのロールケーキ。断面にはフレッシュフルーツがこれでもかと言わんばかりに入っている。このロール、1本丸ごと買おうとすると、1800円もするのだ! さすがに1800円は買えないのだが、嬉しいことに1人前にカットされたものを380円で求めることができる。喫茶コーナーもあるので、よくここで打ち合わせをし、絶品ロールを食べるのだ。
このロールケーキ、何が違うといえば、スポンジの質だろう。僕はこんなにフンワリ、しっとりとして、かつ卵黄の香りがクンと漂う上質なスポンジを食べたことがない。そしてそのスポンジが抱く生クリームと、フレッシュフルーツとの妙なる組み合わせは、まさに夢見心地である。
すごい実力の店だ、、、と思っていたら、この店、なんとあの洋食の名店である京橋ドンピエールの系列店だという。道理で、、、
ちなみにこの店に来るのは簡単だ。地下鉄門前仲町駅の出口1番を出ると、そこにはすぐ深川不動尊の大鳥居がある。そこをくぐって、奥にみえる不動尊に向かって30メートル歩いた左側にあるのだ。この通りの名前がすごい。だって「人情深川ご利益通り」なのだ。そしてこの通りの反対側に、僕の会社の入っているビルがあるのだ!
記憶して欲しい。「人情深川ご利益通り」には、いい洋菓子と食い倒ラーが同居していると、、、
なんと先日の洋菓子の記事にちょっと書いた、日本におけるガトーショコラの権威である代々木上原「カストール」のシェフである藤野さんから、コメントをいただいてしまった! これはやばいでしょう。手抜きできません。
ということで、今回はこの「カストール」を紹介させていただこう。でもなぁ 本音を言うとあまり紹介したくないんよ、本当に好きな店のことは、、、まあ仕方がないか。
僕はフレンチ大好きだが、本当に好きになった店はそんなに無い。カジュアルスタイルだったら代官山の「プティ・ブットン」、ゴージャスクラシックにこってりした鴨を食べるなら福岡は博多の「メゾン・ド・ヨシダ」などあるが、血眼になっていい店を探すというほどではない。だから、店に出会うときも、誰かに誘ってもらってということが多い。そしてこのカストールもそうだった。
僕をこの店に誘ったのは、この食い倒れ日記のWebを運用してくれているプロコムジャパンの社長さんである矢島さんだ。この人はMac関係のコミュニティでは結構有名な方。いろいろとお近づきになるので、ということで、食事に誘ってくださったのだ。僕が魚が好きだと言うのを聞きつけてくれたらしく、この店でということになった。
実はこのとき、正直言って「フレンチかぁ、、、」と、あまり期待していなかった。でもせっかくのお誘いだ。体調をフルに整えて店に向かった。代々木上原の駅から歩いて3分くらい。すぐ近くに小さな店が構えてある。ドアを開けると、綺麗で品のある空間が拡がっていた。
そして、ピンクのスパークリングワインで幕を開けたスペシャルコースの、とある一皿が、僕の五感を極限まで開かせた。その皿とは、、、

この一皿が、2001年~2002年度における僕にとってのフレンチ部門のベスト・オブ・ベストディッシュである。角切りのフォアグラを中心に、甘めに煮付けたレンズ豆を周りに配し、ジュレで固めてある。その横に、なんとも魅惑的な玉子の黄身色の小さなブリオッシュにこんがり焼き目をつけたトースト。そして、珍しく白いイチジクのコンポート。直感的に、ブリオッシュの上にフォアグラのテリーヌとイチジクを少量のせて口に運んだ。
衝撃が走った。
フォアグラの、濃厚に拡がる旨味にレンズ豆の甘さ、イチジクの風味が重なる。しかしそれらの旨味と風味に立体感を与えているのが、ブリオッシュの香りだ。バターと卵黄の香ばしさと食感が、二次元的な味覚に縦軸を与え、立体的な小宇宙を現出させている。いや、オーバーに書いているわけではない。本当に背筋に何かが走る旨さだったのだ。甘さと深みと軽やかな香り。なんとも複雑な味の世界が、一瞬にして目の前にあったのだ。これは、中国の武威山の超高級茶である岩茶の大紅砲を初めて飲んだ時に感じたショックと同じだ。ほかの人にはわからないだろうけど、視界が狭くなるのだ。
後でシェフとお話をした時に、やはりこの料理のキーはブリオッシュであるとおっしゃっていた。
「ブリオッシュはね、美味しく作ると、本当に美味しいんですよ。」
つまり、美味しく作っているところがほとんど無いと言うことか、、、本当に僕は生まれて初めて旨いブリオッシュを食べました。まあとにかくこの一皿に出会ってから、この店に通うようになったわけだ。しかし当たり前のことだが、旨いのはこの一皿だけではない。
カストールの素晴らしいところは「安定感」だ。藤野シェフは、そのキャリアの中で自分の「型」をエスタブリッシュした方だと思う。彼の中では季節ごとの「旨いものリスト」があり、それをムニュに反映する。春は岩手のホワイトアスパラガス。冬の今ごろは鹿。12月後半くらいからは青森で獲れる野鴨。彼の素晴らしいのは、メイン食材の仕入を一般の流通ではなく、産地とピンポイントでしていることだ。この店の売りの一つであるホワイトアスパラも、岩手県のご高齢の農家さんから直接買っている。そしてジビエなんぞは猟師さんと綿密なコンタクトを取りながら調達しているのだ。だからこの店に冬に行くなら、迷わずジビエを食べることをお薦めする。本当に素晴らしいから、、、
唯一僕が少し残念なのは、藤野シェフが素材の旨みを最大限に活かす調理をするため、濃い味好きの僕にはちとばかりオトナシイ味だということだ。しょっぱいと思うくらいに強い塩加減のソースでガツンと攻めて欲しいなとイメージをして一口目を食べると、ちょっと物足りなく感じることもある。
が、しかし。
不思議なことに、一口二口と食べ進めるごとに、舌の上に旨味が相乗されていくのだ。食べ終わる寸前にはいつも「なんと豊潤な味世界なんだ!」と唸りつづけてしまう。だから、やはり計算された味なのだ。ちなみに写真にあるのは野鴨だ。どうだ、この端正にして野趣にあふれるプレゼンテーションは、、、このソースは、こってり好きの僕のために、通常の澄んだソースに内臓を加えて煮詰めたものを用意してくれたときのものだ。これは絶品だった。
もちろん魚の仕事も素晴らしい。ここの名物である鰯のソテートマトソースも絶品だが、白身魚のソテーにブールブラン・ソースの組み合わせは、ベーシックな組み合わせながら感動してしまうほどに旨い。
藤野シェフは福岡出身で、玄海灘の新鮮な魚貝に囲まれて育った人だから、すごーくウルサイのだ。そんなシェフが魚料理で手抜きをするはずが無い。出来るだけシンプルなソースでいただくことが一番のポイントだと思う。写真の一皿は、、、うーむなんだったか忘れた。でもそーすはブールブランだったと思う。藤野さん、間違えてたらゴメン。
さあそして女性にはお待ちかねのスウィーツである。藤野シェフの名声をとどろかせたのは、実はお菓子。先述のガトーショコラである。重くなく軽くもない、実直にして旨いガトーは、左党の僕でさえも旨いと思う。
写真の一皿は、たしか昨年食べた一皿で、チョコレートのパイ皮でホワイトチョコのクリームを挟んだ一品だ。どう考えても他所ではお目にかかれないゴージャスリッチな味わいに、後一歩で気絶しそうだった。同伴の女性も悶絶していたと言っておこう。
ちなみにコースのお値段などはお店のWebを見ていただきたい(ちなみに藤野シェフはパソコンマニアで、高速回線が店にも引かれているのだ)。ぼくは大体ワインを1杯程度しか飲まないので、12000円程度が普通だ。前菜、メイン、デザートのコースをとって、別に単品で食べたいものを一皿と言う感じ。量的にも十二分に満足する内容になっている。とくにジビエを頼んだ場合は確実に満腹になる。狩猟民族的に獣を食った!という気にさせてくれること請け合いだ。
それと、フォアグラや野鴨などは、必ずあるわけではないので要注意だ。
おお!
今、店のWebで秋のコースを見たら、すんげぇ旨そう!
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20周年記念秋のメニュー
マム キュベ ナパ(食前酒)
さまざまな野菜とホタテ貝の魅惑のマリアージュ
または
玄海灘で取れたフグにトリッフの香りをのせて
栗のポタージュ 栗のクルトン
知床で獲れたエゾ雌鹿のロースト
2つの香りをつけた人参 ソースポワブラード
または
野鴨や野鳥のロースト ソースサルミ
きのこと大麦添え(11月15日以降に新潟で獲れた物)
または
シェフ本日こだわりのお勧め料理
またはお魚料理
思い描くデザート
白または赤の銘柄ワイン
オレンジピールとコーヒー
\8,000円
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これで8000円は安っ! いかなきゃ、、、
ああそうそう、この店のサービスもとてもよい。2名の女性がサーブしてくれるのだが、実にきめ細かく好感の持てるサービスである。
この店、ランチもやっている(僕は試したことが無いが)ので、もしお近くにお住まいの方が居れば、ぜひ試して欲しい。予約を取るときにはジビエがあるかどうか、旬のお薦めは何か、を聞いておくといい。藤野シェフの世界観を味わってみて欲しい。
そして、これが肝要なのだが、美味しかったら、ぜひシェフを呼んで直接感想を伝えて欲しい。その飾らない人柄とトーク自体も、御馳走なのだ。
シェフ、また行きますよ、、、野鴨、3週間くらい熟成させといてくださいネ。
IFOAMジャパンという、世界的に有機農産物の基準を策定する団体の日本支部が主催するオーガニックフォーラム2003という年次報告会に出席した。有機農産物とかオーガニックという言葉はかなり流通しているが、実はJAS法の下、厳密な規定がなされている。この有機という基準はほぼ世界共通のものなのだが、長く欧米主導で検討がなされているため、日本やアジアのような、湿気が多く雨がよく降り、土地集約型農業(つまり狭い土地をこれでもかと使いまくること)を旨とする地域には現実的でないことが多い。また、「有機」や「オーガニック」と名乗るためには、第三者の認証を受けなければならず、非常に手間とコストがかかる。このため、案の定日本では積極的に有機認証をとる農家が少ない状況だ。
この日の報告の中でも、統計値として有機農産物が全農業生産に占める割合はたったの0.15%と発表された。前年度は0.1%なので、0.05%の増加である。虚しい。もちろん、「有機って名乗らなくたっていいもんね」という人たちが、減農薬減化学肥料、もしくはほとんど有機と同じくらいの基準で生産している農産物は、増加しているのではないかと推測する(理由はまた今度)。けど、そういう農産物は統計を取る方法が無いので、判断できない。
なのに街角では、カフェとかレストランで「近所の農家のオーガニック野菜を使っています」というような文句が溢れている。これ、もし認証されていない野菜のことを、雰囲気だけで言っているとすると、表示法違反なんだけどなぁ、、、
などと思いながら午前の部が終わり、昼食時間。科学技術館には併設の食堂しかなく、いやーな感じなので、徒歩7分の毎日新聞社ビルの地下まで歩くことにした。今日はなんとなくパワー不足を感じるので豚カツが食べたい。そう思って地下街をさまよう。盛り蕎麦とカツ丼のセット1000円。うーんなんだかパンチが足りない。赤坂飯店の中華定食。ん~違う。
ふと見ると、よくある地下街のスタンドカレー屋が。しかも店名はカタカナで「タカサゴ」。メニューのサンプルをみると、カレーは楕円のアルミ皿に盛られてくる。うーむこういうのはやはり気になる。カツカレー900円を大盛りにして頼むか。
「いらっしゃい!」
カツを揚げること3分半。すぐにカツカレー大盛りがカウンター越しに手渡された。カレーはほとんど固形の入っていないマイルドソース系。黄色に近い茶色。味わうと、予想通りパンチはあまりない、まろやかなカレーだった。これはカツは余分だったな、、、と思いながらもくもくと頬張った。食べながら、午前の部の最後に話をしてくださった、韓国の有機農業協会代表の先生のお話を思い出す。彼はしきりにこう言っていたのだ。
「有機農業をやっていると、精力が授かります!統計でも出ていますが、精子の数が都会の人の数十倍なんです!」
これを日本語でむちゃくちゃ大きな声で話していた。ものすごいインパクトだった。うむ、たしかに有機農業云々は、効率性といった産業の側面でも、政治性・思想性の問題でもない。それは「生命」の問題なんだよなぁ、と。こんなことを考え腑に落ちたのも、僕にとってのカツカレーという存在が、直接的なパワーのシンボルだからかもしれない。
牛肉関係の仕事で芝浦へ行く。昼飯をすっ飛ばしてしまったので、2時過ぎに遅いメシを物色する。今夜は親友のしんのすけと飲むので、軽くすませようと、この時点では思っていた。品川駅港南口周辺を見渡すと、新しい路麺屋の看板がみえた。海鮮かき揚げ蕎麦330円生卵サービスというのにグラッとくる。
腹が減っていようが満腹だろうが素通りできないのが、こういう街中の路面にあるそば・うどん屋、つまり「路麺屋」である。駅校内のスタンド生そばと同じで、ぼくはついつい入ってしまうのだ。こういう初めての路麺店で僕が注文するものは決まっている。「天玉蕎麦またはうどん」だ。かき揚げ天と卵、そして蕎麦の組み合わせは、いわゆる普通の蕎麦屋では味わえない路麺独特のものだ。
と思いこの品川駅前の店で注文するが、瞬間的に嫌な予感がよぎる。新しく出来たであろう綺麗な店内。パートのおばちゃんの制服。そして円い型枠を使って揚げた、同じ形のかき揚げ天ぷらが並ぶバット。これはもうアウトである。しかも卵は最初から黄身が割れている。不味い。怒りを覚えながら2分ですすりこんで店を出る。
このblogを見た人からよく「何でも美味しく感じるんでしょ」と言われるが、僕が美味しいと思う店は10軒に1軒程度しか遭遇しない。そして、近くにいったら再訪したいと思う店は、そのまた10軒中の1軒しかない。さらに、用事が無くても行きたいと言う店になるとそのまた5軒中の1軒くらいだろうか。ということで、僕が旨いと思う店は実はそうそうないのだ。今日のようなハズレ店の累々たる屍の上に、金字塔的名店があるのである。
しかしあまりにもまずい天玉蕎麦に腹が立ち、会社への帰り道をちょっと曲げて新橋の路面屋をハシゴし、口直しをすることにした。夜は親友との飲みだが、それとこれとは別なんである。その路麺屋とは、JR新橋駅東口地下改札の前にある「日本亭」だ。

この店の蕎麦は旨い。ちょっと麺が柔らかめの時が多いのだが、昼飯時に行けば回転がよいため、茹で立ての時にぶち当たることもあり、こういう時は素晴らしいパフォーマンスを発揮する。なぜこの店が旨いのか、秘密がある。実はこの店の隣に、座って食べる通常の日本蕎麦屋があるのだ。そう、この日本亭では、そこの生蕎麦を茹でているのダ!系列店なんだかどうだか知らないが、とにかく日本蕎麦屋の打ち立て麺を使っているのだから不味いはずがないのである。なおかつ僕が路麺を判断する際の三原則をきっちりと守っている。
1.かき揚げに型枠を使っておらず、形がいびつであること。
これは体験的事実である。型枠に流し込んで効率的に同じものを作り置きしていくタイプの店で旨いかき揚げ蕎麦に出会ったことがない。
2.つゆは若干の甘めの醤油強めをもって良しとする。
天玉蕎麦を基準に考えると、つゆは甘めで、醤油が強いのがよい。
3.新店と古い店が隣り合っていたらまず古い店
まあこれは単純な理由だ。路麺は激戦の時代を迎えている。古い店構えの場合、歴戦の強者であると言える。今回も新しい店に入って失敗したのだから、、、
2.について補記する。最近、路麺店でも関西風のつゆを出してくる店が多いが、全く歓迎できない。大阪駅構内で食べる立ち食いうどんは旨いが、関東で食べる関西風つゆのうどんは不味い。これは、つゆだけ関西風にして、他のパーツを関東バージョンそのままにしているからではないだろうか。特にかき揚げ天ぷらとの相性は×だ。第一、大阪駅の構内でかき揚げ天ぷらをみかけたためしがない。向こうでは天ぷらといえば海老天で、それ以外は無料の揚げカスがあるのが通常だ。関西の人は経験的にベストな相性をわかっているのだ。
ある蕎麦専門誌の調査によると、関西と関東の蕎麦・うどん店の違いは、醤油と塩と昆布と鰹の利用配分だ。関西は昆布と塩、そして少量の薄口醤油がベース。関東は鰹節と醤油がベースということで、仕入れ値に占める率が全く違うのだ。結論として関西風のダシは関東の路麺のかき揚げには合わない。
さてそれではこの日本亭のかき揚げ蕎麦はどうだろうか。かき揚げ天蕎麦は480円、先の品川駅そばの店より150円も高い。が、そんなのが関係無いと思う完成度だ。

かき揚げは大きめのかなりいびつな形。ざっくりと切り分けたタマネギ片が多い。それに小エビが絡まり、フンワリとしている。蕎麦はいつものごとく若干柔らかいのだが、それが甘めのつゆに良く合っている。黄身を崩してかき揚げの上に塗り、蕎麦と共に口にすると、何とも懐かしく温かい味わいだ。どんなに不味いものを食べてしまった後でも口直しになる、安定した火力。
ちなみにこの店と、この店の麺の秘密を教えてくれたのは、前の会社の上司である辻さんという人だ。この人には仕事のことよりも「正しい日本のサラリーマンの飲み方」を教えてもらった。辻さんは希代の蕎麦好きで、この人に連れて行ってもらった新橋の名店にて、うどん一辺倒だった僕も蕎麦に開眼するはこびとなる。そのことも、いずれ書こう。
9月某日
中華料理の希須林は有名なのでご存知だろう。希須林は都内中心に数店舗展開をしているが、それぞれにハイクラスなもてなしをすることで人気がある。しかし僕は実は行ったことが無かった。
なぜかといえば、最近はやりの中華店は軒並みヘルシー嗜好(つまり油っぽくなく、素材を活かして味つけがあっさりしている)の店が多く、僕には物足りないからだ。ヌーベル・シノワーズなんてほとんど興味が無い。中華料理は火と調味料で素材をねじ伏せていく料理だと思っているので、ガッツリ食べられるものでなければならないと、個人的感覚としては思う。ただし化学調味料はあまり使わないで欲しいが、、、(料理番組などでもドコドコ投入するのは料理人としていかがなものかと思うゾ)
希須林も同じように家庭料理っぽい中華なんだろうな、と思っていたわけだ。しかし、中央線沿線の阿佐ヶ谷に住む食人・飲人夫婦の神澤・板橋夫妻に「メシ行こう」と誘われたら、行かずにいられない。例によって兄弟分の工藤ちゃんと出かけた。
阿佐ヶ谷にあるのは希須林の中でも元祖といえる「小澤」という店だ。その辺のことはようわからんが、最初にはじめた人らしい。店は阿佐ヶ谷駅から5分ほど歩き、路地を少し入ったよくわからない場所にある。中は綺麗なつくりで、中華という構えでは全く無い。よくある「綺麗な自宅にお呼びしました」風の店だ。二階に通されるとさらにその綺麗な調度が印象的な室内だった。清潔感のある制服を着て、きちんとしたサービスをしようという気がバンバン伝わりすぎてくるウェイター&ウェイトレスをみて、
「うーむ 俺の苦手な中華かも、、、」
と若干心配になりながらも、品書きはナカナカに魅力的なものだった。
本日のオーダー
魚と野菜とナッツの希須林サラダ
雲白肉(ウンパイロウ)
酢豚
穴子の唐揚げ中華ソース
揚げ海老マヨネーズソース和え
麻婆豆腐(劇辛)
上海焼きそば
(続きは下記↓をクリック)
魚と野菜とナッツの希須林サラダ は、よくある中華サラダ。これはもう優しい味付けで、この店のこれから出てくる料理の方向性がみてとれる。
雲白肉(ウンパイロウ) はニンニクネギ風味のソースが上品だった。
酢豚は旨かった。ケチャップを使わない、黒酢ソースだが、これが臭みのない豚のカリカリ揚げにマッチして非常に美味であった。

穴子の唐揚げ中華ソース は、雲白肉と同じソースだということだが、旨そうなので頼んでみた。結果は上々。穴子は江戸前かと思うが、瀬戸内以外で水揚げされる穴子は揚げ物に合う。これに少し酸味のある中華醤油のソースが非常に合っていて、食が進む。

これに気をよくして頼んでしまったのが麻婆だ。ちなみにおいらは大盛飯、他の方々は普通の茶碗で飯を頼む。

ただしこれは今ひとつだな。コクが薄かった。おそらく数年前の、マイルドな麻婆豆腐しかなかった時代ならショッキングだったのだろうが、花椒や本物の豆板醤といった食材がふんだんに供給されるようになった現在では、満足度としてはやや平板な印象だ。
それとは対照的に満足度の高い一品が、海老マヨであった。

海老に粉をまぶして揚げ、エバミルクとマヨネーズ等を合わせたソースに絡めて供するこの一品だが、実に旨かった。本日一番いい皿。横浜の聘珍樓で9年ほど前に食べたのが最高だったが、こちらはこちらで旨い。
もうこれで板橋夫妻はお腹一杯だったらしいのだが、僕は全然足りなかったので焼きそばをオーダー。

横浜中華街の梅蘭のように卵のカリカリで蓋をした焼きそばだ。これはこれでまずまずの味。
といった感じで食い荒らしたわけだが、、、

結論としては、まあ満足。というのは、この店のTPOと僕のそれが合っていないというだけだ。やはり冒頭に述べたように僕はギンギンぎらぎらトンカツソース系の人間なので、もっとこってりしたものが食べたいわけだ。けど、この小澤の店内を見回すと、年齢層は高い。ゆったりと構えた家族や夫婦がゆっくりと楽しんでいる。そういう人たちにはこれ以上の店はないだろう。重たくならず、さっぱり、あっさりと素材の味を最大限に引き出した調理方法。そして家族的なあたたかいサービスと店内の調度。そういったものを味わうのに最適化されている店なのだ。
ただ、素晴らしいと思ったのは、化学調味料バンバンの調理では全くないということだ。奇をてらわず落ち着いた味付けは非常に好感がもてた。
そしてこの後、阿佐ヶ谷のディープゾーンに潜入し、気の利いた日本酒が飲める「善知鳥」(「うとう」と読む)にて酒を飲むが、この店のカレーが絶品で旨かったのだ!大盛でカレーを平らげる僕を観て、板橋さんは今にも吐きそうな、気持ち悪そうな顔をしていた、、、
大阪にお住まいのバナナさんから、築地市場の旨い店を案内しろというお達しである。わかりました。
日本最大の卸売市場は大田市場なんだが、テレビで出てくるのはいつも築地市場ばかりである。それは水産品については築地がトップだからだ。水産物は絵になるからね。あと、市場に隣接している商店街、いわゆる「場外」の店舗群があまりに雑多で猥雑に賑わっている様が、これまた絵になるからだろう。
ただし、何か目的意識をもっていかないと、ブラブラ歩きになってしまうのも築地である。例えばいいマグロや数の子を入手したい、などの目的を持っていくとよい。
さてそんな築地市場の旨いものだが、、、場内と場外を分けて考えないと、はじめていく人は混乱するだろう。築地へのアクセスとして一般的なのは地下鉄日比谷線の築地駅か、大江戸線の築地駅だ。日比谷線から行くと、場外をちょうど通ることになる。表通りにはいかにも旨そうな店が建ち並んでいる。大半は立ち食いで、路上にテーブルなどが並んでいる。まあここはスルーして中にはいってみよう。
さて場内だが、初めての人は地理感がないだろう。いいサイトがあるのでこれをプリントアウトしていって欲しい。
この中でどれがお薦めか?これは個人の好みにもよるのだが、、、
まず1号棟の並びで有名なのは、洋食「豊ちゃん」だ。ここは雑誌などでカツ丼の特集があるとよく出てくる店なのだが、有名なのはカツ丼だけではない。「アタマ」というと、カツ丼の具とご飯が別々に出てくるが、これも人気。そして洋食メニューではオムカツカレーやオムカツハヤシといった、オムレツ+カツ+なんとかという超絶メニューもある。オムカツカレー大盛りにすると、僕でも食べるのがやっとという量になるので注意が必要だ。ただし、これは私見だが、オムは劇ウマなんだが、カツはバランスが悪くなるので、オムカレーorハヤシがお薦め。カツがよければアタマで食べて欲しい。
その数軒となりにカレーの「中栄」がある。ここは特別格別に旨い!というわけではないのだが、なんともほっとする味なのだ。なんといっても今どき400円でキャベツの千切りが乗ったカレーは食べられないだろう。ほかにハヤシもあり、「合いがけ」といえば両方が盛られて600円になる。
さて1号棟から市場内部に入っていくと、行列ができている棟に当たるだろう。寿司屋などが密集している地帯に入るのだ。テレビで有名なのは寿司大や大和寿司といった店だ。ま、率直に言えば、どこに入ってもまあ満足はするのではないだろうか。築地にあるということで、不味いネタは出てこないだろう。
しかし、「この店でしかあれは食べられない」というネタを探すのであれば、絶対はずせない店がある。「寿司文」である。この店の売りはなんと言っても「江戸前の仕事をしたネタ」なのだが、その中でも秀逸なのが「煮貝(にがい)」だ。アワビを柔らかく煮て、ツメといわれる濃厚なタレをつけて供されるネタだ。もう、この握りを食べると、ほどよく甘辛く、限りなく深いツメの味と、1時間くらいは噛みつづけていたくなるような天使の歯ごたえが至福を誘う一品なのだ。
あと、ここは穴子も素晴らしい。絶品である。穴子については、僕の行きつけの寿司「匠」よりも旨いと断言したい。ま、これも好みだけどね、、、
この寿司文での注文だが、僕は上寿司2000円に煮貝の握りをつけてもらう。それで大体3000円程度だ。特上はネタがよくなるということなのだが、グレードがあがるよりも、よく仕事をしている青魚などが出てくる上のほうが僕は好きだ。本当に満足度の高い店だ。
ま、まずはこんなところかな。問題は、僕なら昼メシで3軒くらいはハシゴできるのだが、バナナさんには無理だろうなぁということだ、、、
明日以降、場外の案内もしてみよう。
北千住のバードコートにて、野島さんご夫妻と僕、農家の長島勝美君とで語らいをさせていただいた。その内に野島千寿子さんが「ま、座って飲もうか!」と日本酒を出してくださった。しかも福岡の名門酒造「杜の蔵」の秘蔵酒だ。そこから勢いがついてしまい、4人で叫んだのが
「肉がくいてぇ~!」
だった。そう、昼から野菜しか食べていないのだ。
「よし、焼肉行こうか!」
と野島さんが電話をかけたのが「京城(けいじょう)」という焼肉屋。超有名店らしい。しかし、すでに行列が出来てるよ、とのことだった。一同シュンとなる。その後20分ほどいろいろ考えたが、すでに焼肉腹になってしまっている我々は納まらない。並んでもいいからこの京城にいこうということになった。
北千住の駅からすぐ横丁に曲がり、北千住のあの猥雑なイメージを背負ったストリートに入る。するとすぐに出てくる、ピンクと紫の中間のような「京城」の電光看板。
「うおーー いかがわしそうな看板!」
「でしょ?でもね、すごいんだよこの店!」
そりゃあそうでしょう、伝説の焼き鳥屋「バードコート」の主人が「旨い!」っていうんだから、旨いに決まっているだろう。
そして店の前に行くと、「おおっ?行列が無いぞ!入れ替え時間にあたったぞ!」そう、この店、2時間で入れ替えになるらしく、運良く入店できるタイミングにあたったのだ!こういう運については、はずさないのである。入店すると、野島さんはなじみらしく、番頭さんと挨拶。二階に通る。注文も何もかも野島さんにお任せする。
■焼肉 京城
松坂牛のネギトロ
センマイ刺し
ネギ塩タン
上ロース
上カルビ
ハラミ
ササミ(牛肉)
サーロインステーキ(5000円!)
とりもも
しいたけ
ペチュキムチ・オイキムチ
カルビクッパ
冷麺
石焼きビビンパ
ユッケビビンパ
この京城、俺は知らなかったのだが、超有名店だった。ザガットサーベイなどのそうそうたるグルメガイドで最高得点を獲得している名店なのだ。希少価値のある松坂牛の取り扱い免許を取得しており、全国で唯一の近江牛販売店指定店なのだそうだ。
こんなに怪しげなロケーションにあるのに、、、

そしてまず出てきたのがネギトロ。これ、マグロではない。松坂牛のすき身をネギとたたいて、海苔に巻いて食べるのだ。牛肉でこういう食べ方をして旨いものに当たったことが無い、、、と思いながら口にしたが、お話にならないほど旨い!牛肉なのに、脂が舌の上の温度で溶けていく。

焼肉が運ばれてきてまたびっくりした。タンはこれまで僕が食べてきたものの中で最高のものだと思う。ロースに至っては、一口目を生のまま食べたが、空前の旨さだった。焼くとこれがまた旨い。
ちなみに僕は牛肉は最高レベルのものを食べてきている。和牛の肥育農家に友人が多数居るからだ。A5という、牛肉の等階級で最も上のクラスの肉を何度も嫌と言うほど食べてきた。いつも脂が多すぎて本当に嫌になるのだが、、、しかし、この京城の肉はそれらを上回っていた。理由はわかる。熟成(エージング)だ。牛のような大型家畜の肉は、屠殺後の硬直が解けて、肉が分解していく過程でアミノ酸になり、旨味が乗っていく。この店では、枝肉を買い入れて専用冷蔵庫で熟成しているに相違ない。その熟成加減がやたらと深く、旨味成分がこれでもかというほど乗っているのだ。これは、牛の産地でも家庭でも絶対に出せない味の秘密なのだ。
その後、カルビ・ササミと食べ進む。ササミといっても牛の部位だそうだが、そんなの知らないなぁ。これが絶品。サシの入り方と味ののりが極めてバランスよい。


そして圧巻だったのはサーロインステーキだ。
「この肉を焼きます」
といって盛って来たのは、サシ(脂肪)が入りまくって薄ピンク色にしか見えない極上肉だ。そしてそれが鉄板にジュウジュウと音を立て、たまねぎのおろしソースをトッピングして運ばれてきた。こいつを食べてまた絶句。一枚5000円ということだが、この味ならば満足してしまう。
一通り肉を食べ、各自食事。僕はカルビクッパを食べるが、一杯700円というおかしな安い値段なのに、実に牛のスープが濃く、旨い一品だった。もうノックアウトである。
会計は一人10000円程度だがどう考えても安い。と思ったら、野島さんに奢られてしまった。いかん!今後何かでお返しをしなければ、、、
野島さんとは固い握手をしてお別れ。今度は門仲に招待せねば、、、御馳走様でした!
先日来、代々木上原のフレンチ「カストール」の記事には「やまけんもフレンチ食べたりするんだぁ」という反応ばっかりである。そうなのだ僕だってフレンチ大好きなのだ。
で、この店もなんと20周年を迎えたとのことで、スペシャルコースが登場した(残念ながら11月一杯で終了とのこと。間に合って良かったぁ)。これを食べ逃したら一生後悔するだろう。しかもジビエが届く冬だ。ということで万難を排して行ってきた。
代々木上原駅から歩いてすぐ。こぢんまりとして落ち着いた店内にはいるとシェフが、
「ホームページ見てますよ。」
と迎えてくださる。
そういえば僕が「青森の真鴨」と紹介していたのは「新潟」の間違いであった。シェフにご指摘頂いたのでここに謹んで訂正させていただく。
いつも気持ちよくサービスをしてくれる浅利さんと椎名さんがメニューを説明してくれる。
先回も掲載した20周年のスペシャルコース、こういう布陣だ。
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20周年記念秋のメニュー
・マム キュベ ナパ(食前酒)
・さまざまな野菜とホタテ貝の魅惑のマリアージュ
または
玄海灘で取れたフグにトリッフの香りをのせて
・栗のポタージュ 栗のクルトン
・知床で獲れたエゾ雌鹿のロースト 2つの香りをつけた人参 ソースポワブラード
または
野鴨や野鳥のロースト ソースサルミ きのこと大麦添え
・思い描くデザート
・白または赤の銘柄ワイン
・オレンジピールとコーヒー
\8,000円
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という超お値打ちメニューだ。(繰り返すがこの価格でのサーブは11月末日までである。)
僕は前菜にホタテ、連れはフグとする。そしてメインだが、鹿か鴨かの悩ましい選択をすることになる。鴨を頼む場合は、1匹を2つに割る都合上、偶数の顧客がオーダーする必要があるのである。だから、鴨にする場合は2人共に鴨だ。本日は鹿か鴨かの択一というわけだ。
が、まだ鴨は熟成がそれほど深くないという。
「今日は山本さんに出せる鴨もあるけど、それでも10日目くらいだね。」
と、熟成中の鴨とまだ落としたての丸の鴨をバットに入れて持ってきてくださる。うん、熟成の進んだ鴨の方が濃い色味で旨そうだ。でも、僕はやっぱり20日間は熟成させてトロトロとした味になったものを食べたいので、また鴨を食べに来ることにして、今日は鹿を選択した。ちなみに鹿はほぼ一ヶ月くらい熟成させたものだそうだ。鹿も真鴨も、どちらも漁師から直接取り寄せた完全な野生の獣だ。真のジビエである。
さて
コースが始まった。そしていきなり本日のクライマックスがやってきた。
■さまざまな野菜とホタテ貝の魅惑のマリアージュ

かねてから思っていたのだが、この店では前菜だけが少し印象的に弱かった。僕は前菜が大好きで、前菜が旨ければ全て佳しとなるという傾向がある。
ところが、本日の前菜はとてつもなく素晴らしいものだったのだ!色とりどりの温野菜。ズッキーニの薄切り、深紅のビーツ、銀杏、ピンクの大根、ムカゴにフレンチドレッシングを浸みさせたものなどが散りばめられた中、ソテーされたホタテと半ドライトマトのソースとバルサミコのソースが合わせられている。この大胆にして繊細なデザインは、野菜使いの最近の流行である。サービスの浅利さんによれば、ウインザーホテル洞爺にオープンしたフランスのシェフ、ミッシェル・ブラス氏の店で受けた素晴らしい影響が、この前菜に現れているそうだ。しばらく前からフランスでは狂牛病のあおりも受けて野菜ブームになっており、著名なアラン・パッサールも野菜専門の店「アルページュ」を出すなどしている。僕の仕事的にみても非常に嬉しい流行なのだが、カストールのこの皿には、流行とは全く別物の見事な技術が凝縮されていた。野菜の一品一品の特性に合わせた味つけが施されており、驚きと共に味わった。特に、むかごを半割にしドレッシングで和えたものが、小さいのに強く印象にのこるものだった。ホタテにも、半ドライトマトのソースとバルサミコの二種のソースが合わせてあり、酸がホタテの横に拡がる旨味を際だたせている。このひと皿のためにまた来よう、と思った。
■玄海灘で取れたフグにトリッフの香りをのせて

連れが頼んだもう一つの前菜も少し食べてみた(行儀わるくてスミマセン)。フグの前菜は藤野シェフが得意とするところだ。酢漬けの紅芯大根(中心が赤い大根。酢に漬けると、赤の色素が溶け出し、全体が赤くなる)の薄切りを下に敷き、表面をあぶったフグの切り身を載せ、そこにフグの骨のスープをジュレにしたソースと、ブロッコリのソースを載せている。更にマス(だと思うんだけど)の薫製も添えられている。
こちらは前菜らしい前菜。ただ、素材の味を活かす藤野シェフの方向性は素晴らしいのだが、僕にはひと味たりないのだなぁ、、、そのキーワードはやはり「酸」だと思うのだが。紅芯大根と一緒にフグを口に運ぶと非常によいが、それを最初に説明した方が良いかも知れないな、と思った。女性はきっと、パーツごとに食べてしまう人が多く、フグはフグだけで味わってしまうだろう。そうすると、フグの旨味が平板な二次元のままで、のっぺりとした印象しか残らない。横に拡がる旨味は酸と出会って3次元になるのだ。大根と一緒にいただくとこれは上々なひと皿だ。
これを読んだ人は2人以上で行って、行儀悪いけどこっそり皿を交換して、二種味わってみてください。素晴らしいです。
■栗のポタージュ 栗のクルトン

さて秋の味覚、栗の旨味が凝縮されたポタージュだ。これも昨年いただいたものよりもコックリ旨味が深く、美味しく感じた。栗とタマネギ、鶏のフォンとのことだが、非常に濃厚。カップ一杯のこの料理の存在感はデカイ。ドンブリ一杯欲しいと言ったら怒られるだろうなぁ。
■知床で獲れたエゾ雌鹿のロースト 2つの香りをつけた人参 ソースポワブラード

そしていよいよメインである。写真を見ておわかりの通り、ここのジビエは非常に気前よく盛りつけてくれる。鹿も、200gくらいはあるのではないか。しかも、ロースの部位を
「大きめの2片はロースト、小さいのは同じ部位をソテーにしています。」
とのこと。同じ部位なのに料理法で全く味が変わるので、お客がびっくりするそうだ。果たして口にすると、全く違う味わいだった。ローストはオーブンで熱を通した後にベンチタイムを置くためか、やや落ち着いた味である。熱がじっくりと通っていくからだろう。肉汁もしっとりとなじみ、上品な味わいだ。対してソテーは、表面のコゲも強めで旨味が濃く、内部はミディアムレアでとろりとした感触。味はソテーの方が濃く感じるのだ。しかし、鹿特有の香りが立つのはローストだ。肉汁が落ち着いているせいか、肉を噛みしめ、立ち上る獣香の強みはローストのほうが上だ。うーむ どちらも旨い。
そしてこれまた付け合わせのニンジンが最高に旨い。クミンと八角風味で煮付けたものと、さっと火を通してある薄切りの二種だ。野菜使いがやはり一枚変わった感じがする。これでもっと味の濃い野菜を仕入れられれば、もっと存在感の強い付け合わせになるだろう。ニンジンなどの根菜は特に栽培方法によって味が左右されるからだ。唯一の死角は、肉に添えられた生のクレソンだ。通常の市場にある栽培品だろう、味も香りも薄く清涼感が感じられない。口を洗うには静岡の安部川流域などの清流に自生しているものがベストマッチと思うが、、、これは都内のレストランでは叶わないので仕方がない。残念だ!
とはいえそんなのは重箱の隅をつつくようなもので、全体としては完成されすぎたひと皿だ。ジビエではあるが、初心者にもまったく抵抗無く受け入れられるだろう。まず今の季節は鹿。そしてもう少し寒が深まってきたら鴨を食べる。これ以上の至福はないだろう。
■パン3種
この店はパンも自家製で素晴らしく旨いのだが、今日はこれまでのイーストとは違う種での仕込みのパンが出た。中に緑豆を入れた丸パンは、いつもよりしっとりとした感触で好ましい。無論、これまで通りの小型カンパーニュっぽいパンもあり、僕は大満足だった。
■思い描くデザート
さて、第2のクライマックスは実はこのデザートだった。運ばれてきたのは、セルクルで整形されたチョコレート地の円柱に、バニラアイスが乗ったものだ。これにナイフを入れると、、、
中に仕込まれていたオレンジ風味のチョコトリュフが熱く溶けたものが溢れだしてくるのだ!このチョコケーキ地と熱いチョコソース、そしてバニラアイスが渾然となったものを口に運ぶ。甘いものがそれほど好きではない僕でも、思わずため息がでる美味しさだ。もうこれは説明できないな。本当に素晴らしい!前菜とこのデザートだけでも行く価値あるな。
この状態からナイフを入れると、、、

こうなるのダ!ちっとわかりにくいか!

このチョコデザートの仕込みをしているのが、サービスの浅利女史だ。浅利さん、マジウマでした。
メインの安定性はもうわかっているので、今回はとにかく前菜とデザートにサプライズであった。この二皿は激賞したい。ちなみに20周年記念コースの料理自体は来月も続くらしいのだが、ビックリ価格の8000円(これでワインも付くのだ)は11月一杯、つまりこの週末だけだ。もしこの記事を見て旨そう!と思ったらすぐに予約の電話を入れた方が良い。
僕は12月中か年明けに鴨を食べに行きたいと思っている。20日以上熟成させたやつが食べたい。ソースは酸味を利かせた濃い目のものがいいな。もし一緒に行きたいという人は連絡ください。でもワリカンだぞ。今から楽しみだ、、、
最後に藤野シェフ、20周年おめでとうございました。また行きます。
僕の親友の石坂亥士(がいし)が、ソロの太鼓パフォーマンスを開催した夜だった。
■ 11月28日(金)19:00
Dragontone 遥かなる祭禮音風景
於:日暮里 「和音」
亥士と僕は高校の同期生だ。僕の高校は全国でも珍しく、体育の時間に郷土芸能を教える学校だった。和太鼓の躍動感と音に僕たち6人の仲間が溺れ、グループを結成した。高校卒業後も前衛舞踏家と共に即興演奏のパフォーマンスを3時間ぶっつづけで演じたりしていた。僕は高校卒業後、プロの太鼓打ちになろうとっていたが、あるきっかけから食べものの仕事をする方向へ転じた。依頼、太鼓の撥(ばち)は封印したままである。いっしょにやっていた友人はいずれも何らかの形で芸能を続けている。その中で最もストレートに太鼓に向き合っているのが亥士だ。
彼はせんだってメキシコへ招かれ、数回の公演旅行をしてきた。相当に素晴らしい内容だったらしく。あらゆる年齢層の客に大受けをとったらしい。その公演タイトルが「ドラゴントーン」だ。今日はこの凱旋公演である。演奏はとてもよかった。高校時代からずっと一緒に歩いてきた友だからそれ以外にいいようが無い。会場の都合で宮太鼓のでかいのはつかえないのが残念だったが、神楽太鼓での演奏で十分に意気を感じた。
終了後に「和音」でひきつづいて行われた懇親会でサプライズが待っていた。和服のチャーミングな女性が居ると思ったら、亥士が
「このひと、田口ランディさんだよ」
という。メキシコ取材旅行中の彼女が亥士のライブに行き、意気投合し、飲み仲間になってしまったそうだ。驚いた、、、
ランディさんは本のカバーの写真をみるよりチャームがあって楽しいひとだった。話の流れがなぜかモンゴルやトゥヴァの歌唱法ホーミーのことにおよび、なんと彼女は日本ホーメイ協会の特別審査員であることがわかった。僕がホーメイをすることを訊くとまたびっくり。少しだけ音を出したら、
「あたしより上手いからあたしはもうやんない」
と聴かせてくれなかった。残念。今度飲もうと誘ってくれた。楽しみだ。
中々に面白い夜だったが、収拾がつかなくなるので帰ることにした。しかしここは日暮里だ。日暮里といえば、手打ちラーメン「馬賊」だ。すでにネット上ではいろいろな情報があるから見て欲しいが、この店は僕にとっては感慨深い店なのだ。
民俗芸能めぐりを辞め、進学を志して入ったのは、埼玉のとある町にある小さな小さな予備校だった。その予備校はもうない。そこで、一人の激烈な教師に出会ったのだ。古文と論文を教えていたその教師は、予備校なのに学問を教えていた。受験勉強と学問のぎりぎりの境界上のその教えは、僕たち受験勉強の落ちこぼれには極めて刺激的だった。この人の話を聴きに通ったようなものだ。
そしてみな、それぞれの勝ち得た進路に進み、しばらく経った。僕はその教師を忘れられなかった。大手のシンクタンクに就職が決まり、それを報告するため、あるルートから教師に連絡をし、会えることになった。都内の大手予備校で教えていた彼に久しぶりに会うと、「飯をくおうや」と自分のワーゲンゴルフで猛烈な運転をし、つれてきてくれたのが、この日暮里の馬賊なのだ。当時からほぼ綺麗といえない店内だったが、人でごった返していた。
「ここの坦々麺は旨い」
と言っていたが、僕は当時からつけ麺が好きだったので、馬賊つけ麺を食べた。不均一な麺の太さなのに驚くほどコシがあり、透明感のある味だった。
その後、喫茶店でいろいろ彼と話した。今彼が何に関心を持っているか,についての話になって驚いた。僕の手首を握り、
「よく集中しておけ」
というと、さまざまな気を流し始めた。ピリピリ来る気。ビリビリの気。柔らかな気。瞬時に、彼がそっちの世界に足を踏み入れていることがわかった。
「わかるか?俺はゴミ問題と水の問題を、こいつで何とかしたい」
僕にはなんともいえなかった。その世界は大好きだ。けれど、今僕の主テーマではない。
「よっくわかりますけど、俺は違うところでやりたいことあります。」
「そうか、がんばれ。」
その後、彼の消息はつかめないのだ。家族がいたはずだが、、、
そんなことを思いながら馬賊に入る。相変わらず汚い店内は人で溢れている。つけ麺650円は前から変わっていない。運ばれてきたスープはやたらと塩辛いので注意が必要だ。しかし、麺をこいつに合わせると、ビタッと合う味になるのだ。
この店の麺は、よく中華で見かけるような手で生地を引っ張って畳んで、延ばしていく麺だ。店内には「ダーン!」という生地を板にたたきつける音が断続的に鳴り響いている。無論、それに驚く客は一人も居ない。
運ばれてきた麺を塩の効いた汁につけて啜る。やたら下品な汁に上等な麺が絡み、不思議に旨い。それとこの店は餃子が旨い。大ぶりサイズのこの餃子の餡は、どう考えても1日寝かしてあるような熟成味がする。さすが手打ち麺の店だけに、粉モノは強いといえる。
餃子の熱さにしびれながら、本当にいろんなことを思い出す夜だと思った。
豚骨ドロドロ系に嫌気がさして、ラーメンについてはあまり踏み込まないでいたのだが、最近のブームは好ましい。魚系のダシを多用し、化学調味料無添加(無化調)と、僕にとってはとてもありがたい流れになってきている。現在の僕の活動のベースである門前仲町には名店「こうかいぼう」があって、どうしてもラーメンが食べたい時はここに行くのだが、その2軒となりに「蘭丸」ができ、かなりの人を呼んでいた。これまで入る機会が無かったのだが、寿司匠の加藤ちゃんが
「あそこの特製塩そばは旨いっすよ!」
と断言するので、行ってみた。
■支那そば屋蘭丸(門前仲町店)
東京都江東区深川2−13−1
・塩そばとチャーシューご飯のランチ 1080円
店にはいるとすぐに食券販売機がある。選んでカウンタに座る。3人の若衆が寸胴鍋の温度についてチェックをしている。どうやら一人が新入りみたいだ。チャーシューはバラ肉を筒に丸め、スープと一緒に煮ているゆで豚系でかなり大きめ。
程なくして特製塩そばが出てくる。表面には油の層が出来ているが、いい感じに澄んだスープだ。すすってみると、貝のグルタミン酸のダシがぶわっと拡がる。これはかなり濃い旨味だ。スープには魚貝系特に干しホタテなどを使っているようだが、ここまで旨味を出すのはコストがかかるだろう。その結果、通常の支那そばより200円高になっているのだと推測。けど、支那そばはまだ食べてないが、こちらを頼む価値はあるだろう。ちぢれ細麺、メンマ、先のチャーシューとの相性もよい。ランチセットのチャーシュー丼も美味しくいただく。昼食として満足できるレベルである。ただ、塩そばのタレはもう少し塩を抑えても良いかもしれない。塩味が濃く、かつ旨味が濃いため、ちょっと安っぽい印象を受けてしまう。もう少し塩を控えれば、上物度が数倍上がると思う。
お隣の「こうかいぼう」の魚貝ダシ醤油×中太麺の組み合わせと、この「蘭丸」特製塩そばのどちらを食べようかと悩ましい選択が増えることになった。門前仲町の裏通りでわかりにくいところにあるが、密かに熱い通りになってきた。
友人がMacを買うというので、話題のアップルストア銀座店に行ってきた。Powerbook、iBookなどが整然と並んだ空間だった。2Fには画像や動画編集などのテーマ別のスペースが。4Fには周辺機器がと色んな趣向が凝らされている。
しかし、すぐに飽きてしまった。やはりバリエーションが狭すぎる。それに、何か魔術の匂いがしない。大学生の頃、西新宿にあったPowerLabという小さなMac専門店は、本当に狭い店だったが、Powerbookの改造パーツやドックなどを中心にマニアックな品揃えがあり、非常に心をくすぐる空間だった。呪術空間的な色彩があったのだ(その頃僕はPowerbookDuo280cをひょんなことからApple本社から貰って使っていた)。
でもそのくすぐったい感覚が、このアップルストアの4つのフロアからは感じられなかった。ちょっと残念だ。密かにiBookへの購買欲があったのだが、失せてしまった。
ストアを出て、腹が減ったのでメシをということになった。僕は銀座はテリトリーではない。理由は簡単高いからだ。けど、気になる店はある。フレンチをベースにした「マルディグラ」が旨くて豪快ということは良く聞いていた。電話をしてみると、予約が一杯の中、席が用意できるというので行ってみることにした。
そうだ、あらかじめ言っておくと、店内が暗かったので画像は補整をかけても全く品質が悪い状態だ。美味しそうにみえないが申し訳ない。
新橋寄りの、クラブがわんさかある通りの目立たない入り口を地下に降りると、20席くらいの小さな空間があった。フリースのジャケットにブルージーンズで行ってしまったのだが、ドレスコードはないということでホッとした。
肉料理の豪快さは有名だが、気になっていたのは香菜のみのサラダなど野菜料理だ。何かの雑誌の野菜特集でもこの店が採り上げられていたのだ。
■マルディグラ
・香菜の爆弾 1300円
・季節の野菜のグリル 1600円
・黒のブーダンと白のブーダン 1500円
・豚のアメリカ風BBQ 2600円
グラスワイン 1000円/杯
農産物の仕事をしている身としては、こういう店で野菜料理を頼みたくはないのだが、やはり習性だろうか、試してしまう。料理人が野菜に対してどのようなアプローチをしているのかを見てみたくなるのだ。
「香菜の爆弾」はここの看板で、フレッシュの香菜とエシャロットをドレッシングで和えただけのものだ。通常はツマのような扱いの香菜がメインになっている訳だ。これが文句なしに旨かった。決め手は強めの味付けだ。カリカリに揚げたみじん切りのニンニクとオイル、そしておそらく魚醤で味を付けているが、塩気がバン!と効いている。好みの味だ。よく野菜というと、
「素材の味を活かして、、、」
という言葉を隠れ蓑に、淡い味付けに終始してしまう店が多い。これは語法がおかしいと常々思っている。本当にいい素材であれば、塩を強くしようがソースをかけようがなんだろうが際だつのである。素材を素材の味以上にするのが料理の技法であって、素材の持ち味に終始してしまったら意味がない、と僕は思っている。ただ、和食の場合は違うけどネ。上記は、特にヨーロッパの料理において、という注釈である。
とにかくこの香菜爆弾は旨かった!もっとデカイドンブリに一杯食べたいくらいだ。香菜はその辺の市場で売っている市販品ではないだろう。香りが強く、土耕栽培の産直品だと思われる。
この調子なら野菜のグリルも期待できるかな、、、と思ったが、それは違った。運ばれてきたのは、ズッキーニ、ナス、トマト、パプリカ、スナックえんどう、長ネギ、カボチャ、ニンジンがグリルされているのに、3種のオイル(ガーリック、チリ、ECヴァージンオリーブ)が添えられたものだ。
一通り食べてみてがっかりした。まず、カボチャとネギを除いて全ての野菜が季節はずれもいいところだ。今の時期に出回るズッキーニやナスは旬とは言えないし、パプリカは輸入物だろう。僕ならば大胆に大根のグリルを主軸に、甘いカブ、ゴボウ、ナガイモ、寒ニンジン、太ネギなどを配するだろう。それらが今もっとも旨い野菜だからだ。このひと皿からは創意のかけらも感じられなかった。
と、野菜についてはそう言うコメントになるのだが、この店はやはり肉、肉、肉!なのだと思う。
■「黒のブーダン 白のブーダン」
ブーダンは腸詰めだ。黒は、いわゆる豚の血のソーセージだ。僕はこいつが大好きなのに、あまり国内では売っていない。マルディグラの黒ブーダンはなぜか米が入っていて、あまりこってりしていない感じで食べやすい。本当はもっとしつこい血の味がする方が好きなのだが、、、 白のブーダンは、豚肉がスフレのようにフンワリしており、非常に上等な味。付け合わせのほうれん草も強気の塩加減で、素晴らしかった。
そして極めつけが豚スペアリブのBBQだ。
■アメリカ風BBQ (←本当は何かアメリカの地名が入った名前なのだが、、、忘れました)
デカイ皿に、どんと関節ごとに分断されたスペアリブが35cm分くらい載っている。何だかシュリンプペーストの香りがするタレ、がまぶされており、食欲をそそりまくる。ナイフとフォークを捨ててかぶりつくと脂が柔らかに溶け、旨味が拡がる。文句なしに野趣が溢れており、旨い。よくよく火を通しているようで、髄までかみ砕ける。この肉の味付け、脂とワイン(UNTIを頼んだ)の強さがバチンとぶつかり、堪まらない。骨までしゃぶってしゃぶりつくした。
この塩気まんまんの料理の後に甘いものは食べたくない。デザートは断り、コーヒーで締めた。
この店は、ワインと肉を楽しむ店らしい。そう割り切れば非常によい店だ。価格も、2名で12500円くらい。銀座ではまずまずのラインだろう。特にメリハリの効いた味付け、おおぶりな盛りつけは目にも美味しい。
ただし、満足度ベースで言うと、前菜の一皿単価が高いと感ずる。野菜を食ったからかなぁ、、、今度はピンチョスと、多くの人が旨いというトスカーナ風フライドポテトを食べてみよう。ちなみに主菜については満足だ。次回訪れたら★の数が変動する可能性は大である。
この店、すでにかなりの評判をとっているのだから、今度は地価の安い郊外で新店を出して欲しいモノである。
ロメスパの話は以前、大手町の「リトル小岩井」でしたのでご存じだろう。「路傍の麺屋」を略してロメンという訳だが、そのスパゲティ版がロメスパと呼ばれているわけだ。ロメスパファンは全国に分布しており、喫茶ナポと称したり、いろいろなカテゴリがある。しかし、共通しているのは、「いわゆるパスタと称するものとは違う」ということだ。茹で上げて置いてある麺(極太であることが多い)を、中華鍋のようなフライパンで具と共に炒め、ナポであれば店ごとに特色のあるケチャップソースで絡め、もしくは醤油ベースのタレや塩味など、様々な味付けを施す。そして大体の店は、盛りつけの美しさなどはまったく考えずに「どさっ」と盛ってくる。焼きそばと行った方がいいかも知れないこの料理が、しかし人気を呼んでいるのも事実だ。
その東京近郊の王者と言えるのが、有楽町の「ジャポネ」だ。ちょうど、銀座の関連会社で打ち合わせがあったので、久しぶりに行ってみることにした。大手町のリトル小岩井には良く行くのだが、ジャポネは数年ぶりだ。
ジャポネは、数寄屋橋交差点を東京駅八重洲方面に曲がって100mほど歩いた左側の「銀座インズ3」というビルの1Fにある。本屋とこぎれいなカフェの影にそっと存在しているので、初めての人はわかりにくいかもしれない。この下の画像のように、はためからは裏側の空間に存在しているのだが、、、

この角を曲がると、1時を回っても人が切れることがない、サラリーマンや得体の知れないオッサン、そして老人の集うロメスパ店が現出するのだ!

このようにカウンター席のみなのだが、ここにギュウギュウと人が肩寄せ合いながらスパをもくもくと摂取するのである。ちなみに女性もかなり並んでいる。メニューも非常に楽しい。
■スパゲッティ&カレー 「ジャポネ」
東京都中央区銀座西1丁目2番地先 銀座インズ3 1F
03-3567-4749
メニュー:
================================================
■和風
めんたいこ 550円 (明太子・シソ・椎茸・オニオン・のり・ほうれん草)
ジャポネ 500円 (肉・椎茸・オニオン・のり・ほうれん草)
ジャリコ 550円 (海老・肉・シソ・トマト・椎茸・オニオン・ほうれん草)
ヘルシー 550円 (野沢菜・かいわれ・オニオン・椎茸・ほうれん草・ごま・赤唐辛子)
================================================
■梅のり 550円 (練り梅・のり・シソ・椎茸・オニオン・ほうれん草)
醤油味
塩味
================================================
■中華風
チャイナ 500円 (ザーサイ・椎茸・オニオン・ほうれん草)
醤油味
塩味
================================================
■洋風
ナポリタン 500円 (海老・椎茸・オニオン・ほうれん草)
インディアン 500円 (カレーソース)
バジリコ 550円 (海老・肉・シソ・トマト・椎茸・オニオン・ほうれん草)
================================================
魅惑のラインナップである!
ちなみに客の7割方が注文するのが「ジャリコ」だ。醤油味ベースで具がタップリ、麺もバッチリ大盛だ。ほうれん草と書いてはいるが、僕は小松菜の時にしかあたったことがないなぁ
あとここの明太子はすごい。550円で割に合うのか?と疑問に思うほどの明太子が乗ってくる。しかも通常、麺はあまり味付けないで明太子のせるでしょう?ここは具と麺を塩味で炒めまくって、その上更に明太子をドカン載せするのだ。痛風の人には絶対に食べさせられないのである。
ところでこの店、「盛り」については非常に範囲が広い。メニューの記載では
レギュラー(並)
↓
ジャンボ(大盛) 150円増し
↓
横綱 250円増し
となっていくのだが、実はこの先に「理事長」というクラスが存在する!なんでも麺がレギュラーの4倍以上らしく、「横綱」を食べきった実績がないと出してくれないらしいのだ(笑)
僕は横綱は食べたことがあるが、この僕でさえ相当に腹一杯になる。その上のクラスだから、かなりなものである、、、
さて、下が「ジャリコ」の大盛だ。ちなみに上にかかっているのは粉チーズだ。粉チーズも、塩・砂糖入れみたいな容器にドカッと入っていて、自由にかけられる。ただし注意!炒めの工程であまり水分は足されないので、沢山チーズをかけると、パサパサ感が強くなってしまうのダ!

どうだろう?旨そうでしょう?油ギットンギットンだけど、旨いよ!化学調味料もボンボン入っていると思うけど、旨いのダ!麺はスパゲッティと思えないほどにぶっとく、噛むとネッチンネッチンという食感。でも、何とも言えず旨~いのである。ま、完全にB級グルメですが、それが好きな人には絶対にお薦めな店です。まあ、初めての人は「ナポ(ナポリタン)」から頼んでみてください。
昔、オヤジに連れて行って貰った喫茶店で、瓶に入ったコーラと共に出てきた、あのケチャップまみれのナポリタン。
その拡張版が食べられるのである、、、
ちなみに僕の隣に、60代と思われるじいさんが座った。彼のオーダーは、
「ジャリコの塩、大盛。」
えええええ そんなのあるのぉ? ジャリコって醤油味でしょう?
でも至極当然のごとく、店長は
「はい」
と差し出す。じいさん、大盛の麺を一本も残さずたいらげる。おそらく週に3回は、この店に来ているのだろう。こういう店が銀座にあるのが、嬉しい。何だか、幸せになった。
記事を書いたちょうどこの日(金曜日)が銀座に用事がある日だったので、またジャポネに行く。すでに2時を回っているのに、カウンターはほぼ埋まっている。なんでだ?
「ナポ、横綱!」
「はいぃ~」

こういうスタンドの、出入りの激しい店なのに、言葉遣いは丁寧なのである。観ていると、いかにも銀座って感じのOLのお姉ちゃんも来て、持ち帰りナポんかを頼んでいる。もうがっちりとこの地に根を下ろして存在が確立された店なのである。
ちなみに今日は、僕の後に来た人が
「ヘルシースパ大盛、激辛でね!」
とオーダーしていた。ヘルシーなのに激辛なんかい!? いや、激辛ってのがヘルシーと言えるんかい!?
どうやらいろいろと細かいオーダー方法があるのだな。知らんかった、、、
さて何年かぶりのナポ横綱だ。

どうだろうか?先日はジャリコ大盛の画像を掲載したが、その縦方向にベクトルが1.5倍伸びた感じである。タップリ入った小松菜の緑色が、興をソソル。
ちなみにこの調理過程だが、デカイフライパンに具を入れて麺を軽く炒めた後、ケチャップをレードル(お玉ね)で3杯(!)放り込んでいた。うーむこれをすべて胃の腑に収めるわけだ。ここのナポは、トマトケチャップ味はそれほどしつこくはない。想像ほど甘ったるくないのがイイ。
ネッチリ感も強く、そこに小松菜がシャキンとアクセントになり、どんどんいける。横綱と頼むと周りの人から一瞬じろりとみられたが、正直言ってこれくらいの分量なら一応なんということはないんである。
しかし、、、困ったことがある。熱くなるのである。何かを食べるということは、栄養を摂取する以前に、その物理的な「熱」を摂取するということだ。少なくとも300gはある麺を鉄鍋でアツアツに炒め抜いたものをワシワシと食べるのだ。冬なのにドドっと汗が噴き出してくる。
しかもこういう時に限って隣にOL風綺麗な女の子が2名ならぶ。うーむ。もちろん、汗だくになりながら、涼しい顔で切り抜けた。
やはりここのナポは旨い。しかし、しつこいようだがチーズのかけすぎには要注意だ。水分が少ないので、ぼそぼそして食べにくくなり、喉に詰まる。
ああ次に行けるのはいつかなぁ。よく考えてみたら、これまでナポとジャリコしか食べたことがない。次回はあのすさまじい明太子にしてみよう。いや、噂のヘルシースパの激辛も試してみたい。それと、、、
銀座というと、表向きはおとなの店、お値段もチョット高めで、庶民風ではないというイメージが濃い。けど、ほんとはそんなことはない。ちょっと歩いて裏通りに行けば、すぐに庶民的な店が並ぶ。例えば和光から100m東銀座方面に歩いた地下道にシネパトスという地下映画館(というとまさにアングラっぽいな)があるが、その脇に並ぶ店は面白い。大人のおもちゃ屋さんの隣の隣に安い寿司屋があって、きちんと握ってくれたりする。そういう店が面白いのだ。
さて本日は同僚を連れて仕事のあと、遠回りをして、例のロメスパの名店「ジャポネ」へ。僕は明太子ジャンボ、彼はジャリコのレギュラーを食べる。この同僚は面白いヤツなのだが、食べながらマジで感動していた。
「男が必要とする焼きスパの全てがここにありますよ!」
そうだろそうだろ。
ちなみにこれが明太子ジャンボだ。

そして意味ないけどアップ。


蒲田(もっと大盛→大森の先という意味)
↑
大森(大盛)
↑
大井(多い)
という序列になっている。昔は上にもう一つ「川崎」というのがあった。これは蒲田のはるか先、ということで、超大盛の意味だ。しかしこれは、「口害のため、自粛します」という理由で無くなってしまった。 ニューキャッスルの盛りは、実は大森が普通盛りに相当するので、僕には川崎がちょうどよかった。残念だ。
ちなみにこれが外にあるメニュー看板だ。この脱力系のコメントに注目。
「くせにしちゃってごめん」と、「手作りカレー」の「ー」の意味のない長さが、たとえようもなくよいのである。

久しぶりにはいって、「大森」と一声かけると、名物のオヤジが
「足りないだろ。蒲田にしときなよ。」
と言う。人の顔を見る人だ、、、でも、俺がこの前に大盛りスパゲッティ食べてきたとは思わないんだろうなぁ、、、ということで、「蒲田」を頼んでしまった。
ちなみにこれが大森と蒲田だ↓
■大森

■蒲田

久しぶりの辛来飯は実に旨かった。ドライカレーのネットリしたルーだけを切り出したような、粘質の舌触り、そこに野菜・バナナなどのざらざらしたテクスチャーが残っていて、いかにも濃い味だ。このカレーを、どこかの掲示板で「ぼそぼそしていて美味しくない」という人がいたが、そうかなぁ。僕は好きなのだ。
こうして銀座裏通りの密かな名店をはしごしてしまった。かなり腹の中が脂ぎった感じであり、消費せねばと焦るのであった。
「羽子板市をみないで文化を語ってはいけない」という友人に連れられ、浅草寺へ。

羽子板というものが、専門の市が立つようなものだとは思っていなかったので新鮮。一通り観ると、店ごとに羽子板の盤面のデザイン、歌舞伎役者や舞妓の描き方が微妙に違うのがわかって面白い。

でも、僕の関心はそっちよりも、寺の裏手に出ているテキ屋街だ。お好み焼き、焼き鳥、煮込み、カルメラ焼きなどの屋台が並んでいる。ここのモツ煮込みが、なかなかいい具合にマズイと友人が言う。それはかなりソソル。テントの中で寒がりながら、マズイ煮込みで一杯やるというのは、いい構図ではないか。
一通り観て回る中に、カルメラ焼きの屋台があった。うらぶれた感じの、ハンチング帽をかぶったじいさんが絶妙な手つきで焼いている。砂糖をお玉に入れ、コンロの火でグラグラと煮立てる。それも、結構な強火で、はらはらするくらいの時間、煮立てつづけている。そしてこちらのはらはらが限界にきそうなところでお玉を火からはずし、重曹を少し入れ、かき回す。その間、濡れ布巾にお玉の底をあてたりして温度調節に余念がない。重曹をいれて少しすると、シュワワっと泡のテクスチャが変化してくる。だんだんと色が白っぽくなり、固形を目指しだすのだ。みるみるまに盛り上がり、楕円のボール型に。お見事だ!これは伝統芸能といっていい業だと思う。

ということで買う。2つで200円。アツアツのを食べると、砂糖の甘味とホロホロの崩れ感がたまらない。でも、甘いので半分でギブアップだ。

さて寒いのでモツ煮込みに向かう。やきそば、煮込み、おでんなどの集合屋台に入る。冷やしラムネを頼み、モツ煮込みと焼きそば。煮込みは500円で、内容物が多い。モツのシロが多量に入ってきた。味噌仕立ての煮込み汁だが、、、 本当にまずい!なにがまずいかといえば、汁に旨味がほとんどないのだ。味噌と醤油といくばくかの酒で、モツを煮たというくらいのものだ。なおかつ、モツはところどころに、まだ煮えきってなさそうなのがある。毎日足しながら煮ているからだろう。

しかし、美味しい。まずいとおいしいの線引きは難しいのだが、このモツ煮は、料理としてはマズイのだけど、食事としては美味しいのである。これは重要なことだ。焼きそばも、中太麺にキャベツ、紅しょうがをソースで味付けした代物だが、これも不味くて美味しい。いや、けっこうこの焼きそばは食えた。

この屋台には、焼きそばの鉄板や煮込みの鍋前にいる若い衆と、客から注文をとって指図するおっちゃんで構成されている。ここのおっちゃんはあまりうらぶれたところのない、かれているけど活発なエネルギーを発散している。それをぼんやり観ながら、さっきのカルメラの屋台のおっちゃんを思い出した。あのハンチング帽、そしてずっと歓声を上げながらみていた我々に対して、最後まで愛想の一つも飛ばさなかったあのおっちゃんは、やはりテキ屋界の裏街道というか、最後の場末にたどり着いているのだろうか。だとすると、テキ屋界でのキャリア組という連中はどこにいるのかな、、、

マズイ煮込みを食べ終わり、ブラブラと流しながら、浅草の1駅むこうの本所吾妻橋「わくい亭」へと向かいながら、まだ同じことを考えつづけていた。
いい店、というには、味や雰囲気、価格といった構成要素が安定していることも重要だ。客人が来た時に連れて行って絶対に外さない店は数軒キープしているが、わくい亭は客人より自分で率先していきたい店だ。まっとうな仕事をしている、正当派の居酒屋なのだ。
で、羽子板市を後に、わくい亭に向かったのだった。8時前に入ったが、満杯。カウンターを少しずつ詰めてもらい、なんとか座る。女将に熟成かぼすをお土産に渡しながら「メンチある?」と訊くと、「あるある。」よかった、、、
本日のメニューはいつもの煌めきはなぜかみえなかったものの、定番系のつまみが豊富で、質が高かった。
■イカの塩辛
これが絶品なのだ。自家製の、あま塩で本当に一夜漬け的なあっさり塩辛。しかし、ワタの部分にゴマペーストか何かが練りこまれており、実にクリーミー。日本酒が加速するのだ。

■寒ブリの刺身と〆鯖
〆鯖が美味い店は例外なくいい店だ。このわくい亭も、柑橘系を混ぜた酢でやわらかく〆めているらしく、ふんわりとした酸味がうっすらと薫るだけで、殆ど生に近い食感。勿論臭みなど一片もなく、とろけるような脂の乗りである。

この妖艶な切り口を見よ!↓

■あんこうの煮こごり
本日の出色はこれだ。あんこうの実を敷いた煮こごりは、口に入れると瞬時に溶け、強いが淡い旨味がジワッと舌に浸みる。思わず日本酒「千代の光」本醸造で口を緩めた。

■ワイン(赤) ミッシェル・リンチ
ここは実はワインも佳いものがある。今日はミッシェル・リンチ。相方が是非というので所望。これが大当たりだった。「ヨソじゃ1万円はとるよ!」というその値段は5000円。味は最高だった。デキャントしない、まだ粗いうちの尖った渋味が、特大メンチカツとがっちり四つ相撲をとる旨さだったのだ。

■ネギ玉
いい店はいいオムレツを出すものだ。ネギ玉は、長ネギ小口切りがたっぷり入ったオムレツ。バターたっぷりのオーソドックススタイルながら、滋味万点、トロリと中は半熟の心憎い火加減だ。

■じゃこご飯
7皿くらい平らげて、客も僕らともう一組だけになり、そろそろと思ったら、女将がご飯釜の前にいる。

「あ、飯たべた~い。」
とおねだりすると、
「ほい、じゃこご飯。」
と言って、ちいさな茶碗によそってくれる。これが最高に旨かった!じゃこと醤油のシンプルな炊き込みご飯(混ぜご飯か?)だが、酒の〆に格別の味だった。
いつ行っても裏切りがない店というのはいいものだ。こういう店をあと50軒くらい、心のリストに載せておきたいところなのだが、、、
昼から、大ご馳走をいただいてしまった。

いつもお世話になっている石井先生から、ほんのお手伝いだけしかしていないのに、ご馳走に預かる。場所は、東京・丸ビルの中華「筑紫樓」だ。来たことがなかったか、フカヒレと北京ダックが有名な店だとのこと。ランチタイムでもう席は一杯。しかもOLが並んでいる所をみると、お得度が高いのだろう。間違いなさそうだ。

当然ながら個室、、、石井先生はにこやかに「この店の味はねえ、君向きだよ!」とおっしゃる。果たして官能の昼餉(ひるげ)が繰り広げられたのであった。
■前菜盛り合わせ
大豆の煮物
チャーシュー
ワカサギの中華マリネ
鶏・トマト・キュウリの酢の物
クラゲ

実に完成度の高い前菜。小振りな高級クラゲの淡い味とカリッとした歯ごたえが堪らなかった。焼き物が旨い店らしく、チャーシューも肉汁が閉じこもっていて旨い。しかし、この前菜の中でひときわ僕が工夫を感じたのは豆の煮物だ。大豆を煮豆にしており、甘いものがあまりすきでない僕は一瞬「むむ」と思ったのだが、食べてみると全く甘くない。五香粉と八角と醤油の香りがするが、他にもまだあるはず。

給仕さんに訊いてみると、中国人のフロア責任者がにこやかに来てくれて「クローブ(丁字)も使っています。」とのこと。たかだか煮豆といわれそうな料理に丁寧に手を入れており、恐れ入る。
■スープ 鶏の上湯と海老ワンタン

このスープにワンタンは不要だったかも知れない。非常に上質な鶏の旨味タップリの上湯。ワンタンは豚挽き肉と海老だが、豚の香りが上湯の上品さを消してしまう。でも旨かった。
■魚 モンゴウイカ、ズッキーニ、ヤングコーンのクリーム炒め

生クリームというよりエバミルクで炒めたイカは、念入りな下処理がされているらしく、ポニョポニョクニュリンとした絶妙な食感。優しいミルクの香りが解け合って至極美味。
そしてクライマックスその1がやってきた。
■フカヒレの姿煮

問答無用だ。姿煮が、中ぶりのもの2枚入っている。フカヒレ自体には食感はあっても味がないので、決め手はフカヒレを煮るソースの旨さだ。一口すすって、やばいと思った。やまけん好みの旨味濃目過多の芳醇ソースだ!これだけで飯がどんぶり2杯はイケル。
フカヒレも勿論、レンゲで救うだけでちぎれるホロホロの柔らかさ。
「もやしを混ぜて下さいネ。」
と置かれたもやしは、丁寧にヒゲ根を取り除いたもの。これを混ぜ込むとシャキシャキ感がプラスされてなお美味。うーむ

そして第2のクライマックスが来たのだ。
■北京ダック

、、、何も言うことはない。甜麺醤(てんめんじゃん)や海鮮醤(はいせんじゃん)をベースにした甘味噌が、ダックの絶妙な皮と肉のぱりぱりに合わさり、それがフンワリとした純白の饅頭(マントウ)に包まれて供される。ネギが香りをプラスし、キュウリが清涼感をそよぎ、口の中の幸福一杯が止まらない。ああ、この北京ダックを10個食いたい、、、

■チャーハン

クライマックス2品の余韻に浸る中、運ばれてきたチャーハン。タイミングからすると、前の2品の後だけに分は悪い。しかし、全く手抜きがない。絶妙に焦がした長ネギのみじん切りとXO醤の旨味をベースに、蟹・海老・卵を炒めている。貝柱の旨味が油に乗り、それを米粒が吸い、油と熱でコーティングされる。旨い!
■デザート 杏仁豆腐

疾風怒濤のコース、〆のデザートがいまいちすきでない僕だが、ここのプリンタイプの杏仁豆腐は非常に美味しくいただいた。
いや~ 丸ビルのような流行のスポットには出入りしないので知らなかったが、楽しめるなぁ。実に素晴らしい中華だった。いずれ自腹で、ここの名物らしい「フカヒレそば」を食べに来よう。石井先生、本当にごちそうさまでした!
牛タンといえば、ミーハーだけど「太助」が好きです。
高校を卒業し、自転車で東北の民俗芸能を観る旅をした時、仙台の繁華街で食べた「太助」の牛タンは、忘れ得ぬものとなった。以来、畜産関連の出張などで宮城を通る際には、途中下車してでも食べに行っている。
この太助、都内にもいくつか支店を出していることはご存じだろう。僕の会社の近くでは日本橋にあるが、本日、水道橋にもあることを発見。腹が減っていたので、牛タン2人前と麦飯大盛、テールスープを喰らう。
太助の牛タンは、その辺で売っている牛タンを買って再現できるものではない。前にも書いたが、大型動物の肉は、捌きたてでは食感がブリブリしているだけで、味は決して美味しくない。低温で置いておくと、肉が分解する過程でアミノ酸の旨味を産み出し、柔らかく薫り高くなっていくのだ。だから旨い焼き肉屋とは、自分の冷蔵庫を持って、肉を自家熟成させているところを言うのだ。
太助では、丸のタンをごくごく厚めにカットし、かみ切りやすいように表面に3本ほどの筋を入れ、調味液に浸して、それを円柱形にぺたぺたと固めて「肉の柱」を作る。それにラップをかけて熟成し、味が乗り柔らかく薫り高くなったところで炭火で焼いていくのである。普通の牛タンをあの厚さにカットしてそのまま食べると、まず噛み切れないことは間違いない(実は大学時代に実験済みなのだ)。そして熟成だけでなく、あの味付け調味液にも秘密があるはずだが、これは全く組成がわからん。
そして!実は牛タンもさることながらこれが一番のキーポイント!というのが、キャベツの浅漬けと一緒に数本盛られてくる、青唐辛子のみそ漬けだ。タンにこいつを巻いてかぶりつく。タンの旨味と塩味、そして味噌の香りと、唐辛子の辛みが合わさり、目眩がするほどに旨いのだ。鼻孔に流れる味噌の香りが食欲を倍加させる。僕はいつも「唐辛子漬け多めにね!」と頼む。
この牛タンを、とにかくガツガツとたべる。これは絶対に上品に食べてはいけないものなのだ!そうすれば、元気が出てくる。そう、本日はある落ちこんだコの激励をしていたのだが、そのコも牛タンを食べているうちにみるみる元気になってきた。
「あ、お腹空いてただけだったんダ!」
とのたまったそのコは、元気を回復した。
その後、大仁田プロレスを後楽園ホールにて観覧。ちょうど入ったその時に、メインイベントが始まった。ショボイだろうと思っていたが、全くそんなことはなかった。後楽園は大入り満員、立ち見が居た。若い女性も多い。大仁田が場外でパイルドライバーを決めるたびに会場が大きくうねる。試合が決した後も、「ワイルド・ボーイズ」のテーマにのせて大仁田が、
「おいおめーら、プロレスは、プロレスは、プロレスは、美しい! 俺たちは、俺たちは、俺たちは、同士だ!」
と絶叫すると、会場にすさまじいエネルギーが竜巻のようにうねっていった。
牛タンとプロレスは、元気回復薬だ。
そして牛タンは、やはりメジャー路線だけども、「太助」に限るのだ。
門前仲町「晴弘」は、支那そばの名店としてdancyuにも掲載されたことのある、有名店だ。支那そばは勿論旨いが、酒の品揃えも素晴らしく、芋焼酎は品書きの表面にラインナップがびっしりと書き込まれている。そして、グレンリベットやマッカランといったシングルモルトが、1杯500円で飲めてしまう、恐ろしいほど酒をわかった店なのだ。それに合わせる酒肴も秀逸の一言で、芋の煮物などは、昆布ダシの強く効いた、実に滋味溢れる仕上がりだ。

■晴弘
江東区富岡1-21-9 竹内第一ビル1F
03-3642-8037)
地下鉄東西線の「門前仲町」の一番出口を出て、永代通りを左手(木場)方面へ直進。富岡八幡宮の次の通りを左折してすぐ。
月曜定休
※飲食は1時間以内にすること。ちなみに酔っぱらいは嫌われる。
前の店で飲みまくって酔っぱらい、何気なくラーメンが食べたくなり、寒い中、自転車を走らせて富岡八幡宮横を通り、暖簾をくぐる。カウンターにつき、すぐに
「つけ麺、メンマ増し!」
と注文する。一人で来る時は酒抜きである。 そう、しばらく前からこの店の品書きに加わった「つけ麺」が、とてもよい感じなのだ。つけ麺はブーム以前から大好き。ここのつけ麺は、実は支那そば本体よりも旨いと密かに思っている。ここの支那そばは細麺だが、つけ麺は中太麺で、とてもよい風味なのだ。

卵の香りがプンとし、腰の通った麺を熱いスープにくぐらせ、青ネギをまとわせてすすりこむ。強めの塩と香りの高い醤油の旨味が旨い。この店は素材をすさまじく吟味しているから、醤油の旨味が非常に強く、素晴らしいのだ。

そして、このつけ麺のクライマックスは、実は麺を食べ終わってからにある。銀色の紅茶ポットのような器になみなみとたゆたっているのは、この店の味付け前の濃厚なスープそのものである。背脂も浮き、実にコラーゲンタップリ感のあるスープだ。こいつを、つけ汁の残りに注ぎ足し、アツアツをフーフーしながら啜る。これが絶品!本当に旨いのだ。しばらく前に編集者の師匠を連れてきた時には、「そばより何よりこれが一番旨い」と言っていた。それは本当かもしれない。

さて、本日も同じように割りスープを楽しんでいたら、珍しく店主のおっちゃんが話しかけてきた。
「うちのつけ麺、悪くないでしょ?」

ああ、このおっちゃんが話しかけてきてくれたのは初めて。ていうか、客と話すのをみるの自体初めてである。うーむ、覚えられたか!ていうか、つけ麺、悪くないどころかスゴ旨っす!
「いや実はね、2月から、もっとパワーアップするから!」
なに?一体なんのこと??
「あのねぇ、製麺機を買うことにしたんだよ!自家製麺をやるよ!」
ええええええええ まじぃ????
なんと、晴弘が自家製麺だ。これは大ニュース!
そう、今まで実は、晴弘の唯一の弱点は麺だと思っていた。オーソドックスな醤油味の支那そばには、極細麺が使われている。この麺、旨いんだけど、やはりパンチが効かなさすぎ。なので、僕はいつもつけ麺にしている。
それが!なんと自家製麺になると!
つけ麺のリニューアルが最優先らしいのだが、当然他のラインナップも変わってくるだろう。なんと、この名店の誉れを獲得した今でも、研究開発に余念がないのだ、この店は!
支那そばやの鏡といえるだろう、、、
2004年2月を、晴弘ファンは、刮目して待て! いよいよ「晴弘」が、次なるフェーズへとステップを進めようとしている、、、
寿司 匠にて、年内の食べ納め。とはいっても、31日に匠のスタッフ忘年会に出席するのだが、、、ま、客としての納めだ。親友の竹澤と、その同僚の香ちゃんと飲む。
師走ということもあり、混んでいなかったので、日曜日ながらいい仕事をしてくれた。

加藤ちゃんには首都圏の部 グランプリ受賞の旨を伝える。「うわっ ありがとうございます!」彼はインターネット接続環境を持っていないので、見せてあげられないのが残念。
いつものネタをやりつつ、マグロの赤身ヅケを所望。この店はこういう、仕事をするネタの旨さが絶品に光るのだ。この艶やかな照りをみて欲しい。大トロもいいが、このヅケ赤身の香り高さこそが、コハダと並ぶ江戸前寿司の代表格だと思う。

穴子は、例の「臼杵の熟成カボス」でいただく。スダチと違い、柔らかみがあるので、たっぷりめにかけてもらうとよい。これも、今年であったイイ食材だ。

さて、本日の〆は、この店のスペシャリテだ。生いくらが旨いことは以前にも書いたと思うが、ここのいくらにはバージョン違いのスペシャル版がある。これは手間と時間がかかるので、あまり混んでいない時で、かつ常連でないと出てこないと思った方がいい。

加藤ちゃん、いくらのオーダーを聞き、やおら串にキュウリを刺し、桂剥きを始める。薄~く薄く、向こう側が透けてみえる薄さに剥いていく。そして、、、こうなるのダ!

どうだろう?キュウリの桂剥きで軍艦にした生イクラだ。キュウリだけでは軍艦がはずれてしまうので、細く切った海苔をシャリに巻いておき、その上にキュウリをかぶせるという、徹底した技術開発だ。見栄えの美しさで、まずはイチコロだ。この時点で香ちゃん、うっとりである。
口にすると、キュウリの清涼感と歯触り、そしてイクラのプチプチが重なり、実に妙味である。このblogを見た人は、店内を伺ってから、加藤ちゃんに「できます?」と訊いてみて欲しい。とにかく一度食べておいて損はない。
もう3人すっかり堪能して酔っぱらう。そしてこの後さらに、支那そば「晴弘」に向かい、くだを巻き続けたのであった、、、

下ネタではありません。
年末のご挨拶に市場に行った帰り、三ノ輪で地下鉄に乗る前に食事をしようと思ったわけだ。師走で活気のある商店街を冷やかし歩く。うなぎを店前で炭火で焼く店があったり、八百屋も威勢が良いし、とても好ましい商店街だ。朝から1時半まで何も食っていなかったので、中華定食をがっつり食べたいと思う。
見つけたのが、「福楽門」という店。いろいろ品書きを見たが、旨そうだ。なんだかテレビに出たとか書いてある。なんだろう、、、と思い、店に入る。

「いらっしゃい」
とおじさんが迎えてくれる。厨房には少し若めの中国人女性。おそらく夫婦か。
店内は本格中華の色が濃いので、こう言う店はオーソドックスに攻めたほうがいいはずだ。
「八宝菜定食。」
と頼む。
と、目に飛び込んできたのが、厨房のカウンター上に張られている暖簾だ。
「金玉満堂」

これはどう言う意味なんだろう、、、でも、下ネタではなさそうである。かくして運ばれてきた八宝菜は、なかなかのものだった。

金玉の謎は残るが、店を出てしばらく流す。なんだかまだ食い足りないと思って歩いていると、けっこう路麺店が多い。よし、ソバでも啜るかと思い歩く。薄汚い、今にも倒れそうな立ち食いうどん屋に惹かれるが、それは侘しさに惹かれているのであって、決してよい結果を生まないことはわかっている。そう思いながら選別して歩くと、地下鉄日比谷線の三ノ輪駅まで来てしまう。本当は、少し歩いて吉原大門の前にある天丼「伊勢屋」に行きたいところだが、ちと時間がない。
と、そこに路麺をみつけた。

「峠のそば」 というその店、どうやらチェーン店らしいのだが、更科系の蕎麦を生そばで食べさせるらしい。つまり立ち食い店ながら、茹で麺ではなく、いちいち生蕎麦をゆでて供するということだ。面白い。ここにすることにしよう。

前にも書いたと思うが、初めての路麺店で試すのは天玉と決めている。今日は、生そばを味わいたいので天玉蕎麦である。生そばをゆでるせいか、やはり時間はかかる。品書きを隅々まで読みながら4分ほど待ち、仕上がった蕎麦は、「おっこれは!」と思う、僕好みのたたずまいをみせていた。

まず、絶対条件である、「いびつなかき揚げ天ぷら」。型に入れて揚げた天ぷらは概してまずい。ここの天ぷらはたまねぎ・人参を薄い密度でふんわり揚げていて、これも僕の好みだ。
出汁はいさぎよい関東風。少し甘めのが、実に滋味深い。そばにはこれでよいのだ。そして、蕎麦は、、、本当に生蕎麦だ。更科の上品で繊細な食感と喉越しを感じる。玉子の黄身をかき揚げにまぶし、グズグズになる手前の揚げを麺と一緒にすすりこむ。旨い!
この峠のそば、実にツボを心得ているなぁ と思い、きっちり満腹になった腹を抱えて地下鉄に乗った。さて、今年は旨い路麺にどれくらい出会えるだろうか。
ものすごいカレー屋と出会ってしまった、、、皆さんは小麦粉をこんがり炒めたルーを使った和風のカレーと、インド系のさらさら汁カレー、どちらがお好きだろうか。僕はどちらも好きなのだが、本格インド料理は油分が多い上にインパクトが強いことが多いので、連日食べるのは厳しいかなと思っていた。たとえば湯島の名店「デリー」のカレーは大好きで、コルマカレー大盛のホットなんかたまに食べるくらいで十分だった。
が!
毎日食べてもいいかも、、、というインドカレーがあったのダ、、、
いつもどおり、池上の美容室に髪を切りに行ったのである。で、カレー好きの友人Yと、このBLOGでも採り上げた「インディアン」に行こうと、蓮沼駅前の本店まで行ったのである。実は、蒲田西口店と池上の店にしか行ったことが無かったのだ。本店の味を見てみたい!(ちなみに池上にもインディアンがあるのだが、系列が違うらしい)
、、、しかし、ふられてしまったのだ。19時に行った時点で閉店。蒲田西口店も閉店。空腹にカレーの話ばかりしていたため、やるせなく怒る友人Y。まあ、適当に蒲田駅周辺を歩いて、カレーを見つけようということになったのだ。僕としては、駅からすぐのところにある、「カレー屋ケンちゃん」的トラディショナルなカレースタンド「南蛮カレー」380円を食って腹を満たすかと思っていたのだが、そこに至る途中にある怪しげな店の前で友人Yが「この店気になる」と言う。
それがインドカレー「タージマハール」だ。

タミール語らしき看板と、やけにチープでフレンドリーな「営業中」の電飾、そしてメニューにはそれなりにリーズナブルな価格(チキンカレーが950円等)が載っている。しかししかし、ドアのガラスがよくわからない感じの曇りガラスというかそんな感じで、中が見えにくい。もうすんごくアヤシイのである。こういう店は、大きなあたりかその反対かどちらしかないだろう、、、
しかし友人Yはここにいたく惹かれたのである。白状すると僕もだ。その店の前で逡巡していると、20代とおぼしきカップルがその店から出てくるではないか!
「おお!結構まともな店なのかも。」
で、入ることにしたわけだ。
店内は狭く、L字型カウンターだけのつくり。インドの写真やらシヴァ神などの神像がお定まりのようにテーブル上に鎮座している。店の人は格別の愛想があるわけではない、ご年配のおいちゃん一人。
メニューはチキン、ポーク、キーマ、ムング豆とラム、ナスなど。べて850~1000円くらいで食べられるような構成になっている。ここまでの段階で、小麦粉のルーをつかう日本風カレーの店ではなく、インド料理スタイルのカレーだろうことは想像がつく。
メニューをぐーんとにらんで、Yはムング豆とラム。僕はチキンとした。おいちゃん、やおら炒めものの音をさせながらカレーを作っていく。ものの4分くらいで出てきたカレーは、実に空腹をそそる香りとプレゼンテーションだったのだ。
■ムング豆とラムのカレー

■チキンカレー

出てきたカレーは、さらさら汁系の極みという感じ。上には油が浮くが、さらりとした仕上がりである。湯気と共に香るのは、各種スパイスの混沌とした宇宙の香り、その中でも特にクローブ(丁字)が一際落ち着いた香りを呈していた。
そして秤(はかり)に載せてきっちりと重さを確認しながら「はい。」とだされたご飯は、赤飯のような赤紫のツブツブが。
「これはね、古代米。まあ、黒米っていうよね。高いんだけど、ちょっとづつ混ぜてお出ししてるの。」
この古代米入りライスにしゃぶしゃぶのカレー汁を一さじかけ、口に運ぶ。
「!!!」
二人、顔を見合わせてしまった! 旨い! さらりとした見た目からは想像できない濃さと深みのある刺激と、鼻を抜けるクローブとコリアンダーの香り。しかし、単純にインド風カレーと言い切ってしまうにはあまりにもオリジナルな味である。
食べ進むうちにじわじわと汗が出てくる。ラム肉には下味が施され、軟らかく煮られており、食べやすく旨味十分。チキンもカレーと別々に調理したようで、柔らかふっくらに仕上がっている。しかもこの後もう1皿食べることになるのだが、都合3品のカレーの味がすべて違う。きちんと素材の素性によってスパイス・味を作り分けておられるのだ。
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■タージマハール 蒲田店
東京都大田区西蒲田7-70
03-3734-0913
※蒲田駅西口を出て左へ歩き、東急線のガードの角にある「南蛮カレー」を右に入り、ガード沿いに20メートルほど。一筋違いの通りをもっと奥に行くと、富士吉田うどんの「縁」と、インディアンカレー蒲田西口店がある。
スペシャルインドカレー(チキン) 1000円
ムング豆とラムカレー 950円
※共にサラダが付く。
※他にも、「小松菜カレー」「七面鳥カレー」「ワニカレー」「ダチョウカレー」等、通年で50種類以上のメニューがあることが判明。毎日攻めても新技が出てくるという、、、
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店内には客が我々しかおらず、期待値をはるかに上回る美味しさだったので、つい声が出る。
「おいちゃん、旨いよ、これ!」
「ああそう、ありがとう。」
と、鋭い眼ながらもほっこりと表情を崩し、とつとつと、このカレーとその生い立ちにまつわる話をしてくれたのだ。
このお話が、まさに珠玉の玉手箱だったのだ。
「この店を始める前はねぇ、蓮沼でラーメン屋をやってたんだよ。焦がしネギを薬味にしたラーメンが流行ってるけど、昭和35年にもう俺がやってたんだよなぁ、、、台湾で食べたのが旨くて、やってみたんだよ。
俺は元々、阪急に勤めてたんだ。食堂で洋食を作ってたんだけど、大阪の方の大きな店が入ってくることになって、首になるんじゃないかと思って、自分から「辞めます」って言ったんだ。そしたら「何で辞めるんだ?」て訊かれたから、とっさに「ラーメンやります」って言っちゃったんだよなぁ。
でも開店資金がなくて、当時のお金で200万必要なところ、親族から100万しか集まらなくて、それでもなんとかして店を出したんだ。それが当たって、3年で元金は返したよ。」
「でも、何か違うことをやりたくなってねぇ、、、海外を旅するのが好きで、いまでも必ずインドには年2回行ってるんだけど、その時もインドに旅行に行ったんだよ。各地を歩いて、向こうのカレーが旨くて、これをやってみようかと思って、帰国して店を出したんだ。

当時はこんな汁のカレーなんて無かったから、お客は『これはカレーと違うよ!』なんていわれたんだよなぁ、、、でも、そのうちエスニックとか激辛とかのブームがやってきて、お客さんがついてくれて、今じゃあ新橋ともう一カ所に息子達が支店を出してるんだよ。」
「ホントはぇ、20年前にイタリアのピザをやろうと思ってたんだ。ナポリにいって、ギリシャにも回って、あの辺の料理を食べて、ピザが旨かったんだよ。石釜でね。でも、買おうと思っていた店を不動産にだまされて買えなくて、仕方なく断念したんだよ、、、」
「俺はね、10年経ったら何か新しいことをやろうと思って、それまでのことを全部清算しちゃうんだ。保険だって10年で解約しちゃうんだよ。10年間保証してくれてありがとうねって。10年単位の中で色々あったよ。ピザはダメだったけど、、、カレーは10年を超えて、ちょっと延ばしちゃってるね。今は65才だけど、これからはね、アマゾンの方のを何かやってみたいんだよ。」
なんてかっこいいオヤジなんだ! すさまじい生き様である。もう、二人してノックアウトされてしまった。30分くらいずっと話をしてくれたが、その間、力みは微塵もない。落ち着いて淡々とした、力の抜けた凄みを本当に感じた。
※ちなみに余り旨いんで、キーマカレーも頼んで食べました。
一方で徹底したコスト削減というか、経営センスが光る。カウンターには、ナプキンではなく街頭で配られる武富士のティッシュを籠に入れたものが載っている。それだけではない。トイレのトイレットペーパーはカラ。焦ってよくみると、貯水タンクの上に武富士のティッシュが積まれているのだダ!(笑) 友人Yはトイレの中で爆笑してしまったそうだ。
蒲田周辺は、本当になんというか、カレーの聖地と言えるかも知れない。A級なのかB級なのかはよくわからんが、実にソソル!しかも蒲田というロケーションで食べてこそ、この奇妙な満足感を感じるのだが、、、
結局カレー食べるのに1時間以上も腰を落ち着け、おいちゃんと記念写真を撮りつつ店を辞した。汗は引いていたが、代謝の活性と、痛快・爽快なお話を聴けたという満足感で一杯になりながら、寒風ふきすさぶ蒲田を後にしたのであった。
何を隠そう、肉の中では鴨の肉が一番好きだ。野趣溢れる香りとしっとりとした歯触り、分厚くコクのある脂。煮ても焼いてもスモークしても旨い。が、これまで一番美味しい鴨料理と思ったのは、大学時代に住んでいた長屋の、僕が里親のように慕って、週に4日くらいは飯をごちそうになっていた山田家のかあちゃんが作ってくれた「鴨丼」だ。薄切りの鴨肉を甘辛く煮付け、汁と一緒に飯にかけて食べるだけなのだが、、、アレを超える鴨料理にはまだ出会ったことがない。
しかし、本日まったく違うジャンルと言える、秀逸極まりない激旨鴨丼を食べた!のでここにレポートしたい。
まあ、偶然出会ったわけではない。うちの協力会社さんが、僕のこのblogをみて、「美味しい店がありますよ!」と教えてくださったのだ。それが、巣鴨とげぬき地蔵通りにある割烹「加瀬政」だ。
この店、実は結構有名らしく、dancyuにも採り上げられている。この冬の季節は、鱈(タラ)の全ての部位を使ったじゃっぱ鍋や、味噌仕立てにして鴨の卵をつけて食べる桜鍋などが垂涎のメインコースであるらしい。
で、この店のランチに、鴨の卵を2個使用した鴨丼なるものがあると言うことなのダ!
鴨は、ご存じの通り野鳥である。この卵、実に旨い。僕の母校の大学キャンパスには、鴨が越冬をする池があって、用務員さんが餌付けをしていた。池には巣箱を浮かべていたのだが、そこに卵が生み付けられていることが多々あるらしい。んで、ある日その卵を一ついただいたことがある。これを目玉焼きにしてみたのだが、、、絶品中の絶品だった。それはそうだ、飼い慣らされた家禽としての鴨ではなく、虫や雑草をたくましく食べている野生の鴨の卵だ。ネットリとした黄身の濃さに、うちふるえたものだ。
この加瀬政の鴨卵は福井から取り寄せているらしい。その質がいかなるものか、楽しみなんである。
何年かぶりに、とげぬき地蔵を歩く。カレーうどんで有名な古奈屋(こなや)もこの界隈。いくつか支店が出ているが、最近食べてないなぁ。鴨丼を食べてから、おやつにカレーうどんを食べてもいいが、時間がないなぁ、昨晩もインドカレーを2杯食ったのだが、、、
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割烹「加瀬政」
http://www.hirame.com/kasemasa/index.html
〒170-0002 豊島区巣鴨3-14-16
03-3918-1286
営業時間11:30~14:00 ・ 17:30~21:00
月曜定休(但し縁日(4,14,24日)と重なった場合は翌日 )
電話03-3918-1286
鴨丼 1550円
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寺をこえたすぐ先に、店を発見。ランチタイムを少し外したので店はそれほど混んでいない。調度は綺麗で清潔感があり、好感がもてる。レジや壁に、木にさした干し柿がつるされていて、これは果たして食用なのだろうかとスンゴク気になる。

さて、これがランチメニューだ。はっきりいって鴨丼以外を頼む手はないだろう。一期一会かもしれないから、大盛で注文を通す。

待つこと5分。お新香はきちんとした古漬けのたくあん・ショウガのみそ漬け、キュウリの古漬けで好感が持てる。そして出てきたみそ汁と綺麗な朱塗りの碗に入った鴨丼。蓋をとると、、、
ドドーンと最初に目に飛び込んできたのが、ご自慢の鴨の卵の黄身だ!


極めて濃いレモンイエロー、ドーム型に盛り上がる大きな黄身が、鴨肉とネギを卵とじにした上に鎮座している。素晴らしいプレゼンテーションだ。まずは、黄身をそのままに具に箸を入れる。鴨肉は腿肉と抱き身(胸)のミックスだ。鴨肉にはしっかりと火が通り、味が染みこんでいる。割り下は甘めで、江戸前の醤油がプンと香る、程よい決め味だ。
「旨い!」と唸る。
すると、なんと奥から、主らしい割烹着を着たおっちゃんが出てくる。
「鴨丼、旨い?」
「いや、ウマいっすよ。でもまだ黄身を割ってないんだけど、、、これ、まぶしたほうが旨いんかな?」
「いやまあ、好きなようにしなヨ。」
このオッサン、ただ者ではないと一目で感じる。完全に肩の力が抜けている。全身脱力のしなやかさが見て取れるのだ。急いで黄身に箸を入れる。
そして驚愕した。
黄身が濃~い!!! 箸で黄身の中身(割ってから)をつかんで上に上げると、カスタードクリームのような粘着度でトロトロと流れ落ちていくのだ!下の画像を見て頂ければその粘着度合いの一端が知れよう。

これを鴨肉にマブしてご飯とともにかっこむ!
「う、うまい!!! ムチャクチャ旨~い!」
極めて濃厚な黄身の風味が、甘辛味を柔らかく包み、コクをさらに増すのである。やはり、通常の鶏卵ではなく鴨の卵を使うからこのような濃厚度あいが確保できるのだろう。

主は言う。
「鴨はね、この時期くらいに寒いとあんまり卵を産まないんで大変なんだよ、、、」
なあるほど。
と、さっきまですんごく気になっていた干し柿(↓)のことを訊く。

「あの干し柿は食べられるの?」
「出さないよ。」
一言である。しかも脱力。微塵にも余分な力みがない。何たる余裕か、、、昨晩のインドカレー「タージマハール」のおいちゃんといい、昭和のオヤジどもはちょっと格好いい。
さて、この店の夜のメインコースである、タラのじゃっぱ鍋と、桜鍋は絶対に食べたい。
「だったら早めに予約しないとダメだよ。だって次の年末の予約がもう今から入ってるくらい何だから。」
ええええええ
なんなんだそれは、、、 とビックリしつつ、絶対にくるぞという念を再確認したのである。
全国の鴨ファンの皆様、ここの鴨丼は旨い。鴨の卵は偉大である。
今日は11時から銀座で一日仕事をした。そうなったら昼飯は、当然ながらロメスパ「ジャポネ」しかない。本日はジャリコ横綱である。

もはや横綱レベルでは全く意外性がない自分が居る。いずれ未開の地である「親方」へ、そしてその先にある「理事長」への彷徨が始まるだろう、、、
さて、仕事、、、
(仕事終了)
2時から6時までの長尺の会議が終了。頭を使い、腹が減る(横綱食っといてほんとか?)。気力が萎えてきたので、銀座で何か元気快復を図りたい。以前にも書いたように銀座は周辺部が好きだ。中央に行けばいくほど高くてコストパフォーマンスが悪くなる。
そこで向かったのは東銀座、歌舞伎座の横。けっこう有名な店だが、絶品なオムライスを供する喫茶店「YOU」である。
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喫茶YOU
東京都中央区銀座4-13-11
03-3541-5204
営業:8時~22時30分(日祝9時~) 基本的に無休
※とにかく歌舞伎座を出て左に歩いてすぐのところにあるので、
道は間違えようが無い。
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オムライス、、、それも、故・伊丹十三監督の不朽の名作「たんぽぽ」に出てきたオムライスの流れを汲む、トロトロオム乗っけ系のオムライスである。同じような系統に、これまた有名なグリル満点星のオムライスがある。こちらはピラフをきちんと炊くところからはじめており、上にかけるのはドミグラスソースと、非常に高度な洋食技術がてんこもり。間違いなく美味しいけど、オムライスって、もう少し手軽なほうがいいなぁ、という人には「YOU」がお薦めだ。
プルプルのオムレツをケチャップライスの上に載せ、客席でそれにスプーンを入れて、中から流れ出るトロトロを楽しむというスタイルのオムライスでは、何は無くともそのオムレツの出来がすべてを左右する。オムレツをプルプルに仕上げるコツ、、、それは、技術とかそういうものの前に、「思い切り」が必要である。何の思い切りかというと、「高カロリーへの恐怖を捨てる」という思い切りだ。
オムレツをプルプルに仕上げるのは、フライパンを繰る技術を抜かせば、それほど難しいことではない。卵液に水分を足せばいいのだ。それにより、卵の凝固点が下がり、柔らかく仕上がる。これはだし巻きも同じことだ。ただ、だし巻きと違い、西洋風に仕上げるためには乳製品との相性が最高だ。中でも生クリームは、風味と濃厚さは言うまでも無く、その適度な粘性がフンワリトロトロに仕上げてくれる、卵との相性抜群な相思相愛関係的恋愛対象なのである。
その代わりクリームの量をけちってはいけないのである。例えばここ「YOU」で使用するのは、卵の半分量のクリームだ。これに、焼き上げる際のバターを足すと、カロリー的にはかなりなものになる。家庭料理とレストラン料理の差とは、技術はもちろんのことだが、実はこういった「思い切り」の違いが大きな部分を占めると思う。たま~にお菓子作りをすると、投入する砂糖の量にびびってしまうのと似ている。
まあしかし、食い倒ラーはそんなことを斟酌してはいけないのである。ここ「喫茶YOU」では、普通盛りのオムライス、大盛り、そして特大(400円増し)が選べるようになっている。当然食べるのは「特大」しかないに決まってるジャン!と自分を鼓舞する僕です。
そうして運ばれてきたオムライスを見ていただきたい。まさに美の極致であろう。優雅にして典雅。気品すら感じる、一切のこげ目の無い、ライトイエローのオムレツが、その柔肌を惜しみなく横たえているのである。

このオムライスを表現するのは、申し訳ないのだが官能小説的にならざるを得ない。
(以下、18歳以下は閲覧禁止である)
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柔肌の中心部にスプーンの切っ先を入れる。 プニョリン ポニョリン と 震える柔肌を金属の硬質な輝きが舐めながら切開していく後には、トロトロと溶けた中心部が恥ずかしそうに覗く。横一文字に開かれた割れ目はしかし、未だ恥ずかしそうに閉じた花蕾のままだ。それを優しくちょっと強引に押し広げると、中から耐え切れない吐息のような湯気が「ホウ」と立ち上るのだった、、、さらにトロトロの周縁から中心部にかけて深紅のケチャップを塗り広げると、柔肌は暴力的に蹂躙された様を呈し、先ほどまでの清楚さは消え失せ、途端に蠱惑的な表情で私を誘うのだった、、、
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うわぁあああああああ~
もう我慢できねぇえええええ~
喰わせろぉおおおおおお~
と、このような興奮を毎回楽しめるのである! これが一回1200円!(←普通盛りね)
■蹂躙(じゅうりん)前の柔肌

■蹂躙後の夜の姿

本題に立ち返るが、味も実に綿密に設計されている。クリームたっぷりのオムレツのトロトロ感と、適度に濃厚な風味は実に最高。土台のケチャップライスはケチャップ控えめだがしっかりとした味で、食感はオムのそれと反対にかなり固めの仕上がりだ。これはオムのトロトロ感を際立たせるための設計だろう、実に心憎い仕上がりである。

「特大」は普通盛りの約二倍だろうか、食べ応えも十分過ぎるほどである。また、その辺のカフェなんかよりずーっと居心地がよいのもこの店の特徴だ。70年代モダンジャズが流れる2Fでオムライスを食べ、昨日よりも寒さを増した東銀座界隈を眺めていると、なんだか日常の些事が流れていくような気がする。そんな夕方だった。
白状するが、社会人になるまで、本当のてっちりを食べたことがなかったのだ。横浜駅近くにある割烹で初めてフグのコースを食べて、僕はもう泣きそうになった。フグ刺しは勿論旨いが、鍋の実にして熱が入り、フンワリほっこりシコシコと旨味を湛えたフグのぶつ切りを食べた時、たしかに河豚を食べて誇らしげに死んでいく人の気持ちがわかったような気がしたのだ。
だから今でも河豚のお誘いには弱い。僕を何かに使いたい人は、ぜひ河豚攻めを薦める。あ、そういえば大分の臼杵のゴトーちゃんのところにも河豚食べに行かなきゃなぁ、、、
さて本日は銀座コアビルのB2にある「日本料理 いらか」にて河豚コースである。ありがたいことに、情報交換会ということでご接待いただいた。
■日本料理 いらか 銀座コア店
http://r.gnavi.co.jp/g021402/

けど、申し訳ない。フグについては、僕は大したことは書けない。だって「美味しい」としかいいようがないのだもの。
ふぐ刺し。いわゆる「てっさ」は、この世でポン酢との相性が一番いい食べ物ではあるまいか。


てっちりは、フグコースのクライマックスだ。
仲居さんが取り分けてくれるフグ鍋を受け取り、ポン酢に浸したフグの身を口にした瞬間、自分の顔から陽光が放射されるのが自分でわかった。だってすぐに仲居さんがにっこりと「美味しい?」と訊くのだもの。 「美味しい、、、」

申し訳ない。河豚に関しては、それ以外に書きようがない。
本当に美味しい。 本当にご馳走様でした!

河豚(フグ)鍋をいただいた後に、もう少し何か食べたいと思う。でも、せっかくの河豚の後に、ラーメンという選択は適切ではないだろう。やはりここは握りを3貫程度つまんで帰るというのが、粋というものだ。
匠の暖簾をくぐり、とりあえずネタケースを眺める。冬のこの時期、大ぶりのネタが目立つ。カワハギなんぞ、肝がフォアグラ大だ。この店の売りであるキンメも半身がやたらとでかい。
さっと選んで、
「赤身のヅケと〆鯖とキンメ。あとお茶ね。」
と通す。
3貫全て以前の記事で写真を掲載しているからここでは割愛するが、どのネタも一年の中で最も旨い時期を迎えていると断言できる。締まりがよく、かつ旨味と脂の乗りが最高潮に達している。
と、加藤ちゃんがボソッと、
「今日、煮ハマがあるんだよね、、、」
と言う。高いので滅多に仕入れない鹿島の地蛤(ハマグリ)を、今日はフンパツしたらしい。煮ハマと言えば、江戸前寿司の要と言えるネタの一つだ。しっとりと甘辛く煮たハマグリの握りは、噛めば噛むほど味が出てくるので、永遠に噛んでいたくなるネタの代表格だ。僕の好きな筑地場内の「寿司文」の煮ハマと煮貝(アワビ)は、江戸前の粋であると言いたいネタだ。
さてこの煮ハマ、匠では高い部類に入る1貫700円だ。でも、酔っぱらってるし、河豚はご馳走になってしまったし「食うよ~」と頼んじゃうのだ。
あいよ!っと握られた蛤は、実にほんわりと柔らかな姿形でシャリの上に横たわっていた。

よくみかける煮ハマは、もう少し照りが出るほどに煮詰めてあって、歯ごたえがあるような感じ。しかし加藤ちゃんの煮ハマは
「柔らかめに煮て、少しだけあぶって出します。」
この最後のあぶりが効いていて、人肌程度のぬくもりが、旨味を倍増させる。大ぶりに拡がった握りを一口でほおばると、歯を立てた途端に柔らかな身からジュースが滾(こん)と湧き出てくる。しっかりした味の一歩手前の繊細で淡いアタリだ。それに穴子のツメを一捌け塗っているのが、実にまだらに効いてくる。
「、、、本当に、旨いねぇ、、、」
しみじみとしてしまった。
あまりに美味しいので、本日はバカ食いする気になれない。4貫で大満足して帰ることにする。
帰る前に加藤ちゃんに言われた。
「やまけんさんがインターネットに書いてくれたおかげでお客さんがそれを見て来るんだけど、住所とか書いてないからわからないんだってさ!」
あー そうだっけ?
■「寿司処 匠」に至る路
・地下鉄東西線で、船橋方面に向かって先頭車両に乗り、門前仲町で降りる。
・目の前の階段を上がり、出口2番を地上に出る。
・出ると目の前にある大通りが永代通り。それを右に5メートル歩く。フルーツ屋の角を右に入る。20メートル歩くと突き当たるので左へ曲がる。そのまま15メートル歩いて右に暖簾が出ている。
電話番号:03-3643-1224
※このページを見て行く人はぜひ「出張食い倒れ日記を見てきた」と申告してちょーだい。特典は付かないと思うけど。
無論、煮ハマがあったら速攻で頼むべきだ。あまり数を仕入れないハズだからネ、、、
4月から始まる、とある雑誌の新連載のための取材企画をした。詳しい内容はまだ発刊前なので書けないのだが、発刊日を迎えたらババーンと出すので、本屋で見かけたら平積みにするように!
で、その会場となったのが練馬。練馬といえば独特の品種「練馬大根」でも有名な農業の名門地域だ。西武池袋線の駅から歩いて3分もしない住宅街の中に、ひょっこりと農地が現れる。それも、当たり前のようにだ。一つ一つは面積が小さいが、それが点在している。都市と農地が共生する、とてもいい空間があった。住民も、農地が身近にある喜びをわかっているのだろう。僕の住む木場には全く農地がないので、実に羨ましくなった。
さて、その企画取材の場となったのが、保谷駅から徒歩すぐのところにある小さなビストロ「La毛利」だ。
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南欧食堂 La毛利
http://r.gnavi.co.jp/g465600/
〒178-0064 東京都練馬区南大泉3-27-9 吉田ハイム1F
03-3923-0817

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4人がけのテーブルが2つに2人がけが1つ、そして8人がけが1つという、こじんまりした店内だが、実に暖かで好感のもてるもてなしを受けることができる。
オーナーでシェフの毛利さんは、僕の一つ上の34歳、目上の方にこう言うのもなんだが、素晴らしきナイスガイである。見事に陽のパワーが放射されているのだ。

実はこの日は、素材の仕込みが必要な取材で、毛利さんと僕とで朝の9時半から3時間、野菜を切ったり煮たりしていた。その間ずっと話していたのだが、彼の剛直なシンプルさと、てらいのない人柄が大いに気に入ってしまった。フレンチとイタリアンの双方を修行し、自分の店をいきなり立ち上げてしまったというところからは豪快さがうかがえるが、向こう見ずとかそういうのではない、丁寧な面を持った上での豪快さと見受けた。
取材が6時くらいにあがって、へとへとだが、そのまま打ち上げに入らせていただく。店は通常の営業に立ち返る。あわただしく開店準備をするなか、テーブルにドンドンと並べてくれた料理は実に素直に美味しく温まる皿ばかりだった。
■自家製パンとチーズ3種
彼の店ではパンは自分で焼いている。昼・夜二回オーブンに入れるパンはしっとりした仕上がり。実にストレートな旨さなのだ。

■燻製オードブル 自家製ベーコンとスモークチーズ、スモークサーモン
毛利さんは自家製の燻製を出している。僕も燻製好きです、と言うと、燻製談義に火がついてしまった。彼の燻製は、店内の中華鍋でスモークする温燻方式だが、「うそっ」と言うほどに旨い仕上がりだ。微妙な火加減で、たんぱく質から旨味が最も引き出される温度帯で火を入れている。

■温野菜スープ煮
実は毛利シェフも自家菜園を持っている。そのせいか、野菜のつかい方は実に旨い。写真の温野菜は白菜・じゃがいも・大根だけのシンプルなものだが、火加減が絶妙で、それぞれの素材に合った温度と時間で、優しい味が引き出されている。

■はまぐりのワイン蒸し煮
唐辛子を強めに効かせたハマグリはビリっとしながらふっくらと蒸しあがり、塩気と合まってビールが進んで仕様が無い。

■ひな鳥のロースト
「はいよっ」とばかりに出てきたのは、なんとも豪快に雛鳥一匹だ。比内地鶏のヒナの腹に米と栗をフィリングとして詰めてローストしてある。塩が効いている皮目と、柔らかく滑らかな中身と、汁を吸ったライスのコントラストが楽しく美味しい。

■ブイヤベース
超・大皿にドンドンと盛られた鯛・チヌ・渡蟹・エビなどから出た旨味がギュッと凝縮されたスープをパンに浸して貪る。上品に食べなくていいんだぁとホっとしながら、魚にかぶりつき、骨をしゃぶる。

■豚肉とりんごの白ワイン煮
所要があり帰らねばならなかったので、その旨を伝えようと厨房を覗くと、
「あともう一つ、すぐ仕上がるから居てくださいよ。」
という。そして出てきたこの一皿が、彼の優しさ、暖かさをよく表している一品だと思った。

ご馳走様!
この店、お任せコースがなんと3500円である。ワインを飲んでも一人5000円で確実に満腹・満足になること請け合いだ。パワーが欲しいとき、暖かさを求めている時、この「南欧」的パワーに満ちた空間に行ってみてはどうだろうか。
所用で大手町に行く。時間17時、ちょうど小腹が空きまくって仕方がない。ということでいつもの通り「リトル小岩井」に行くのであった。さすがにこの時間、行列はないけど、それでも店内にはお客さんが途切れることがない。
で、メニューを眺めてビックリした。なんと、トッピングメニューが選べるようになっているのだ!

トッピングできるのは温玉(温泉玉子)、メンテルバター、ガーリックチップの三種。すべて50円増しだ。1ヶ月くらい来ない間に、こんなことになっていようとは思わなかった!店員の兄ちゃんにきくと、「ええ、つい最近始めたんです。」とのこと。
さっそく本能的に温泉玉子の黄身がトロリとケチャップと合わさった旨味を想起してしまう。
「ナポ大盛に温玉!」
程なくして出てきたのがこいつダ↓

そして玉子を割ったのがこいつダ↓

予想通り、ケチャップの濃さに黄身の濃厚さが絡んで劇ウマ!これは素晴らしい。ただ、温泉玉子のはずだが、あまり白身が固まっていない。生卵と温泉玉子の中間という感じ。でも、これで普通の温泉玉子なみの堅さだと、スパとうまくからまないな、とも思う。きっと厨房で試験が繰り返されたのだろう。
と、ここで激しく後悔!
なんで俺は、 「トッピングメニュー全部盛り」 を試さなかったんだろう、、、出張の谷間だから自分に手加減をしてしまったかもしれない。金沢でよく食べたから、この谷間は節制を、、、などと思っていた自分がそこに居た。
いかん!イカンいかんいか~ん!!!
ということで次回はじぇったいにトッピング全部盛りをするゾ!
しかしこのトッピング、ロメスパにおいては革新的ではないか。ジャポネではこれ、ないもんね。リトル小岩井の味は、ジャポネよりは全体にあっさりしているので好みが別れるところだった。しかし、このトッピングを駆使することにより、全く違う味の地平が切りひらかれるかもしれない!
大手町周辺の人は、要チェックである。
すっげー気になっていたのだ!とうとう、東京にあの盛岡じゃじゃ麺の専門店ができたというニュース! 「元祖盛岡じゃじゃ麺専門店 じゃじゃおいけん」というその店、三軒茶屋の思いっきり小さな店らしいのだが、ココロザシの高い若店主により営まれているという。うーむ食べに行きたい。
と、そこに「三軒茶屋には美味しいカレーを出す「とんがらし」という店がある。」と、カレー好きYからの情報が。それぢゃあ、ぜひこの二軒をハシゴしよう!ということで、急遽三茶に出向いたのであった。もちろんこんなハシゴ企画にYがのってくれるはずもなく、事前に僕が一人でじゃじゃ麺を食べ、その後カレーをということなんだけどね、、、
さて
盛岡じゃじゃ麺という食べ物をご存じだろうか?中華料理屋で出てくるジャージャー麺とは違う。盛岡オリジナルの素晴らしい麺料理だ。通常、日本の中華料理店でジャージャー麺というと、ラーメンの麺と同じような灌水(カンスイ)入り、玉子麺を茹でた上に、キュウリの千切り、もやしの茹でたのを置いて、そこに甜麺醤(てんめんじゃん)タップリの肉みそをかけたものを指す。
一方、盛岡のじゃじゃ麺は小麦粉・塩のみで練った、うどんを平べったくしたモノ、、、というかきしめんみたいなプレーンな麺だ。そして、その麺が茹で上がると、水に通すことなく熱いままをドンブリに盛り、キュウリやネギをトッピングし、ここに肉みそをかける。スタイルは同じなのだが、肉みその味や先述の麺の違いなどから、全然別物だと言える。
この盛岡じゃじゃ麺を創り出したのが、盛岡市内にある老舗「白龍(パイロンと読む)」だ。僕は今から8年前の大学院生時代に、講演のついでに東北一周をしている最中にこの店に行って食べた。あまりに美味しくて、普通盛りを食べた後に大盛をもう一つ食べた!
この店で面白いのは、じゃじゃ麺を食べ終わる頃、少し肉みそを残しておき、テーブルの上の生卵を割り入れてかき混ぜ、厨房に「チータンお願いします」と言うと、うどんの茹で湯を入れてくれるのだ。これがかき玉肉みそスープ「チータンタン」である。こいつが実に旨いのである!以来、じゃじゃ麺の店が沢山できるのだが、この「白龍」こそが、チータンのスタイルも含め、盛岡じゃじゃ麺の発展に多大な影響を与えているわけだ。
で、実は、本場中国のジャージャー麺は、実は盛岡じゃじゃ麺スタイルらしい、という説がある。こちらを参照して欲しい。
僕はこのWebを1年くらい前からチェックしているのだが、とにかく情報量がスゴイ!ジャージャー麺に対するあくなく執着心を感じる、お見事な論考ページだ。いや、論考どころか中国や台湾にも実際に足を運んでジャージャー麺研究をしておられる。世の中、素晴らしい食い倒ラーが居るものだ、、、
さて話を戻すと、その盛岡じゃじゃ麺の店が東京にできた!と言うわけだ。
■「元祖盛岡じゃじゃ麺専門店 じゃじゃおいけん」
http://member.nifty.ne.jp/yudai/oiken/
↑この方のWebで、店へのアクセスや食べ方が説明されているので、読んでください。
で、申し訳ないんだが、この日、デジタルカメラを忘れた!なので久々に活字オンリーである。うーむこういう時のためにカメラ付きケータイというのがあるわけだなぁと納得。
三軒茶屋の南口から歩くこと5分。コスモ石油の裏手にその店はあった。中にはいると本当に小さい。カウンターが9席くらいの店だ。その時店内にはお客は居なかった。
「いらっしゃいませ」
メジャーリーグ・マリナーズのイチローをもう少しぼんやりさせたような、長身の若い店主が迎えてくれる。愛想笑いのヘタそうな、ひたむきな一直線のまなざしを持っていう。
「中盛り。」 ←この後にカレーも食べるのでセーブした
麺が鍋に入る。わりと小刻みに箸でかき混ぜながら茹でているのをみると、くっつきやすいのだろう。麺がゆだるまで店内を眺める。直筆らしい筆字で書いた、じゃじゃ麺の食べ方などの解説がある。そして、ところどころに詩のような、決意表明のような文句をしたためた色紙がある。きっとこの店主が書いたのだろう。
と、男性客が一人入ってくる。すぐ後に女性の一人客も入ってくる。女性は、中盛りにビールを頼んでいる。かっこええなぁ。
と、じゃじゃ麺が出来上がってくる。うーん 写真がないのが残念だ、、、実に盛岡じゃじゃ麺なのだ。白いきしめんのような麺の上にきゅうりとネギの小口切りが乗り、無造作に肉みそがぽってりと載っている。さて、食べる作法だが、、、とにかくこれをかき混ぜるのダ!上品に食べてはいけない。じゃじゃ麺は絶対によくかき混ぜて食べる食べ物なのだ。
これでもかと言うくらいにかき混ぜ、全体が肉みそに絡まったら、食べる。温かい麺に絡んだ肉みそは、ゴマがタップリ入っており、風味が香る。味はそれほど濃すぎず、上品な肉みそだ。キュウリとネギの食感が素晴らしいアクセントになり、どんどん食べ進むことができる。
僕としては、白龍の肉みそのギトギト感が欲しいところだが、この店のスタイルはこのあっさり上品系肉みそなのだろう。それに異論はない。実に美味しいじゃじゃ麺だと思う。
ここで異変発生。隣の男客にもじゃじゃ麺が運ばれたのだが、彼はやおらすり下ろしニンニクを放り込んでかき混ぜている。そのニンニクの香りが暴力的に僕を揺さぶるのダ!いや、実はニンニクは絶対に入れるべきなのだ!でも、、、おいらこの後、人と会うんだよネ、、、と、やまけんらしくない弱気姿勢で、入れてなかったのだ。うーんニンニクいれてぇ と思いながら自制する俺様だった。
最後の一口を残し、卵を割り入れてかき混ぜ、店主に「チータン」と言って渡す。当たり前のように茹で湯を入れてくれ、あのチータンタンが運ばれてきた。湯気の立ち上るそれを啜ると、小麦粉が溶けた湯の、茫洋とした拡がりの中に肉みそとネギ、そして混沌からカタマリへと遷移し始めた生卵がからみ、喉を焼きながら通っていく。 これに出会いたかったのだ、、、
一気に食べ、勘定(650円)をする。店主に旨かった、東京に店を出してくれてありがとうと声をかける。
「盛岡の方ですか?」
と目を輝かせながら若店主が言う。
「いや、違いますけど、白龍のファンなんです。」
と言うと、にっこり笑ってくれた。
この店主、目力がナカナカひたむきで佳い。じゃじゃ麺の味はこれからもっと深みを増していくだろう。この店、カメラを持って近く再訪しよう。そしてこの次は絶対に、特盛りににんにくを落として食べよう!と決意しながら、カレーの「とんがらし」へ向かうのであった、、、
(続く)
眼下に広がる青い海面が突如として、一面の白い絨毯に変わる。雪の北海道に来るのは何年かぶりだ。
JAの岡坂さんから「雪の北海道を舐めてはイケマセン。完全防備で来ること。」と言われていた僕は、数年ぶりにモモヒキ(ボディタイツという名前で売っていた)と、二重にした靴下、そしてゴアテックスのキャラバンシューズで防寒していた。飛行機を降り、にこやかに出迎えて下さった岡坂さんはしかし、上下作業服に無造作にパーカーを羽織り、ゴム底の運動靴という軽装であった。
「いやぁ今日は暖かいから大丈夫だよぉ」
言ってること違うじゃないですか!

さて本日はとっても重要な仕事の日だ。が、すでに岡坂さんは僕が何のために帯広に来ているか、よーくご承知なのである。
「じゃあ、行きますか、黒い豚丼。」
そう、黒い豚丼というのがあるんだそうだ、、、
「俺が子供の頃からオヤジに連れて行かれてよく食べてたのが、そこの豚丼なの。俺の記憶だと、そうだねぇ、店を建て替えるまでは普通の豚丼出してたと思うんだけど、なぜか建て替え後から真っ黒な豚丼になっちゃったんだよね。でも俺はそっちも好きだったから、俺がよく食う豚丼はそこのなんだ。だけど、人によって食べらんない人が居るんさ!だから山ちゃんがどうなんだか、楽しみなんだよ、、、」
おおおお
そいつぁ楽しみである!
空港から20分程度、帯広市街のハズレのあたりに、その店はあった。
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■豚丼専門店「鶴橋」
帯広市柏林台東4-1
TEL0155-34-1155


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紫の暖簾をくぐって店内に入る。1時を回っているのに満員状態である。
「あらあらごめんなさいねぇいつもは空いてるのに今日はすごいことになってるのよ。」
とお母ちゃんが迎えてくれる。厨房内には眼力の鋭い腰の据わったオヤジと、その息子さんらしき方がフライパンを振っている。それにお母ちゃん、むすこさんの嫁はんという構成らしい。
品書きは豚丼の並と特盛り、みそ汁は別注文で豆腐となめこが選べる。ちなみに帯広の豚丼専門店は、なぜかみそ汁が別注文の店が多い。でも岡坂さんによれば「付いてくるところもあって、よくわかんない。」んだそうである。
当然のごとく「特盛り」をたのみ、みそ汁は「なめこ」を選ぶ。

超満員のお客さんを捌くために厨房はフル回転している。のぞき込んでみると、タレが入っているとおぼしきホーローびきのボウルがある。その横で息子さんが、でかいフライパンで肉を焼き、タレで煮付けている。そう、この店のスタイルは炭火焼きではなくフライパン方式なんである。

「なんか、炭火焼きだとあっさりしちゃっててね、、、旨いとは思うんだけど、満足しないのサ。」
それは前回「ぱんちょう」で食べた時に僕も感じたことだ。炭火だと、余分な脂が落ちることもあるのだろうが、全体的にあっさりめに仕上がる。タレをネットリ絡ませたコッテリ豚丼が好きな人には、フライパン方式の方がいいようだ。
30分くらい待っていると、とうとう出てきた!
うわっ

マジで黒~い! そして、香りが半端じゃない。香ばしいというのをちょっと通り越した、少しコゲ香の入った強くねっとりとした香り、いやクラクラしそうな「匂い」が立ち上っている。豚を食う。
「おお、ニガ旨い!」
みたとおりちょっと苦い!けど、その苦さと濃さ、甘辛さが渾然一体となって、強い刺激を味覚細胞を襲ってくる。次にこの黒タレがかかったメシを喰らう。

「タレだけでご飯がいけちゃう~」
すんごく濃厚なタレがご飯に絡むと、苦さは消え、程よいまろやかな「まぶし飯」になるのである。これは旨い!
「ああそう、山ちゃんも好きかい、よかったよぉ。俺もタレだけでご飯たべれちゃうんだよね。」
いやこれマジでウマいっす。
実は黒い豚丼というのを訊いて、その黒の由来は何だろうと大体の想像はしていたのだ。おそらくカラメルで黒とコクを出しているのだろうなと。砂糖を炒めてできるカラメルは、実は様々な料理にコクとテリを出す秘密兵器だ。岡山名物の海老メシ(東京では、カレーショップの「いんでいら」と八丁堀のダイニングバー「ラティーノ」で食べることが出来る。)も、こげ茶色の炒めご飯だが、カラメルが大量に使われている。
この「鶴橋」の豚丼もそれではないかと。最初の一口は苦さを感じるかも知れないが、その奥から深みのある香りと旨さが立ち上がってくる。コッテリ好きには堪らない第4の味覚を刺激されるような感じだ!
食べてみた感じ、カラメルとして使っているかはともかく、予想通り糖類を加熱してできたコゲ味ではあろうと感じた。夜の宴席におつき合い頂いた、岡坂さんのご同僚のノムさん曰く
「鶴橋の豚丼のタレにはさぁ、ザラメと黒砂糖を合わせて使ってるらしいんだ。」と仰っていた。フームなるほど。
この豚丼についてくる真っ黄色のたくわん、実は豚丼との相性がばっちり。豚丼→タクワンという連鎖でいくらでも食べられてしまう。空港レストラン「白樺」の豚丼についてきたキュウリのキューちゃんもそうだが、やはり豚丼は浅漬けではなく古漬けとの相性がよいのであろう。
しかしこれ、家庭ではとうていまねできん!と思う。食べ終わった後のドンブリは真っ黒黒状態。割り箸に付着したタレはおそらく絶対に洗っても落ちん!

特盛りはかなりの分量があるが、通常の僕であればもっと食べられる量だ。しかし、ここの豚丼には大満足だ。もう何も食べなくても大丈夫だ。
「岡坂さん、おれ、これ好きっす!」
「そうですかヨカッタ!俺の嫁さんはここ、ダメなのよ!」
このように好みがまっぷたつに別れる「黒い豚丼」、帯広を巡るなら絶対にはずせないところだ。また一つ、ぼくの豚丼ライブラリに欠かせない店が登録されたのであった。
さあ、仕事だ仕事!
さて、この季節に絶対に一度は訪れ、鴨を食べる店があるということは以前にも書いた。代々木上原の「カストール」である。いつも藤野シェフに鴨が入手できたかどうか、そして熟成度合いが一番よくなるのはいつ頃かということを伺って、ベストタイミングを見極めて食事に行くのだ。
今年は鳥インフルエンザの影響もあって、この前のシエラザードのエントリで書いたように、野鴨の入手が困難だ。しかしここでは新潟の信頼おける猟師さんとの付き合いがあるので、きちんとしたものが手に入る。今年初めての鴨を食べに行こうと、気合を入れて体調を整えたのであった。
店に入るとすぐに、サービスの浅利さんと椎名さんが暖かく迎えて下さる。でもって、シェフもすぐに厨房から出てきて一言、
「あんなに寿司ばっかり食べてちゃダメですよ(笑)」
シェフ、今度一緒に行きましょう。
本日は鴨のメインは決まっているが、その前に素晴らしい2皿を堪能することができた、、、
先ず案内されたのはタラの白子だ。お分かりだろう、北海道で「これでもか!」という旨い白子をいただいてきた身に、フレンチの技法で切り込んでいただけるのだ。うーむ
そしてもう一皿、、、
「とてもいいトリュフが入手できました。これとフォアグラをあわせてパイ包みにしたものを、、、」
と言って浅利さんが持ってきてくださったのがこのトリュフだ!

ずしっと大きく存在感のあるトリュフが、強く馥郁(ふくいく)たる香りを漂わせている。こんなにもトリュフの香りを味わったのは初めてかもしれない。ヤラレタ。この2品双方をいただくことにする。
ハウスワインをいただきながら待っていると、世にも美しい色彩の立体絵画が運ばれてきたのであった。

美しいだろう?白子は軽くソテーし、オーブンで中心に火が通るか通らないかの絶妙な加減で熱を入れてある。鮮やかなトマトソースとオリーブオイルのソースに白子を乗せ、上にリーキ(西洋ネギ)の細切りを揚げたものを載せている。

ナイフを入れると、堪らず内からトロリと白子が溶出する。これをソースにからめ、揚げリーキをのせて口に運ぶ。むせ返りそうになるほど濃厚な白子に、ソースと添え物が豊かな響きを与えている。北海道で食べた白子(タチ)の寿司が馬頭琴による孤高の独奏の趣だとすれば、この一皿は伸びやかに相乗し合う弦楽四重奏だと言えるだろう。
さてこの夢のひと時をさらに深くさせる一皿が運ばれてきた。このシンプルなミートパイ然とした外見を先ずは見て欲しい。

「では、ソースをかけますので、ナイフを中央に入れていただけますか?」
浅利さんが脇について、僕がナイフを入れるタイミングで、銅鍋に湛えた暖かなソースをパイの内側に注いでくれる。

※注)本来、鍋の底を客前に向けることはしてはならないことですが、絵柄を考え、無理を言って浅利さんにこういう向きでソースをかけて頂きました。
内を切り開くと、フォアグラの厚い層に、トリュフを贅沢に敷いているのが顔を出す。パイを切り、ソースによくからめて口に運ぶと、第三の素材が顔を出した。ジャガイモのマッシュが、フォアグラの脂と旨味、トリュフの幻惑的な香りを吸い込んで、ねっとりと舌にまとわりついてくるのだ。

「美味」とはこういう料理を言うのだろう。それ以上の美辞麗句を並べるのは野暮天というものだ。
正直言ってもうこの時点で相当に満足している。でも、本日はメインイベントがあるのだ。野生のパワーをいただく一皿。野鴨である。

この凝縮された世界観を見て欲しい。手前に長く切りそろえた抱き身と、奥右手にはパートフィロで包んだもも肉、砂肝、ハツと小麦。左手には付け合せとしてアンディーブのソテーだ。定番のソースサルミには、ヤマケン対策でもある肝(レバー)が溶かし込まれ、ただただコク味を増している。堪らず抱き身にソースをまとわせ、かぶりつく。濃い芳香と血の風味、ワイン色の力をゆっくりと咀嚼し、嚥下する。

パートフィロを破ると、適度に火の通ったもも肉とモツ群が顔を出す。これらはかみ締めるほどに弾力を見せ、旨味を染み出させてくる。
望外、というものだろう。本当に期待したのを上回る感動を与えてくれるコースである。

今回は僕らが最後の客だったこともあってか、早々にシェフが「どうでした?」と出てきてくださる。本日の同行は、新しく連載を書くことになった「やさい畑」編集の方である。ひとしきり日本の野菜談義に花を咲かせる。いずれ、藤野シェフにも僕のこの連載にからんでいただきたいとお願いする。シェフは、ただにこやかに笑っておられた。

この短い期間に、鹿と野鴨という二種のジビエをいただくことが出来た。書店のグルメコーナーを見ると、ジビエ特集をしている雑誌がある。いろんな店で面白い皿を出しているらしい。幸いなるかな、僕にはすでに基点となる店が二つもある。ここをベースにしながら、たまにはこの領域をちょっと出て、散歩をしてみようと、思う。
ジビエの季節は長くない。染井吉野が咲く前までに、もう2回くらい、その生命をいただけるだろうか。

この日記でもレビューしているが、蒲田近辺に隆盛を誇る「インディアン」という店がある。なんだか混乱しそうだが、大阪「インデアン」や帯広「インデアン」とは違い、「インディアン」である。供するモノも違う。ラーメンとカレーなのである。この店でそのどちらか片方だけを食べる人というのは、まずいない。ラーメンとカレーを食べることに最適化された味なのだ。
とりあえず初めて耳にする方は、まず僕の過去ログを読んで頂きたい。
インディアンの本店は、東急池上線で蒲田の隣駅「蓮沼」を降りたすぐのところにある。その噂は耳にするものの、僕はこれまで蒲田西口店と、池上駅近くにある類似店(どうやら支店というわけではないらしい)にしか行ったことがないのだ。これは片手落ちというものだろう。あのこだわり抜いた味を創り上げた張本人が居る店に行かずして、インディアンは語れないのであった。で、いつものように髪を切りに行ったついでに、池上駅からとなりの蓮沼駅まで歩いていくことにしたのであった!
蓮沼駅の改札を降りてすぐのところにあるインディアン。外見はこれだ!

このように幼児を連れた親父が並んでいるところをみても、地元民に愛されていることが見て取れる。程なく入店すると、そこには眼光するどい親父がいるのであった。この方が武田さんであろう。

時折ちらっちらっと店内に鋭い眼を走らせるのだが、これは別に客に睨みを利かせているというわけではない。インディアンでは、ラーメンかカレーの片方だけを頼む客はほとんどいない。ほぼ全ての人が、ラーメンとカレーを頼む。その場合、まずラーメンが出てくる。それを半分以上たべたところで、カレーが出てくるのだ。このタイミングには意味があるらしく、確かにこの順番で食べると、非常にそれぞれの個性が際だつのだ。店主のチラッチラッという視線は、このカレーを盛るタイミングを計る視線なのだ。
さてこの店の品書きがこれだ↓

これをみたら、だれしもラーメンとカレーの両方を食べたいと思うだろう。お腹に自信のない人は、ラーメンと半カレーのセットにすればよいのだ。とにかく、この両方を食べないとこの店を味わったことにはならない。
さて僕は当然ながらラーメンとカレーのセットを頼む。店の大将の他に、奥さんらしい方が皿を運んでいる。厨房の奥には若い女の子が皿洗いなど下働きをしている。どうやらこの女の子は娘さんらしい。時折大将を「お父さん」と呼ぶのでわかったのだが、この娘に対する態度が実にご立派なのだ。皿を洗っている娘さんに対して、静かに平静な口調で、
「その皿、洗ってくれる?」
「もう洗ったけど?」
「もう一回洗って。」
とダメ出しをしているのだ。怒るでもなく、淡々とダメだし。娘も口答えするわけでなく、皿を洗い直す。親子の絆の中で、プロ意識を叩き込んでいるのだろうが、この平静さ、実に素晴らしいと思った。いずれ僕もこんな親子関係を築きたいものだ。
さて自分の娘以外に向けるまなざしもことのほか優しいことに気づいた。先に入店した幼児2人が、キャッキャッと騒いでいるが、大将の顔色は変わらない。そして、何も言われなくともピンクとブルーの子供用茶碗を出した。そして、皿の温め用の寸胴にスッと入れて、若干で引き出した。そう、この店ではラーメンとカレーの皿は、温め専用の寸胴に張った湯で極限まで温められる。運ばれてきた時に触れないくらいに熱くしてくれるのが、この店の素晴らしい特徴なのだ。ていうかまず、温め用の寸胴鍋でコンロを一つ占有しているのがスゴイではないか。しかし、2人の子供のための茶碗は、若干温めただけで引き出している。子供に熱い茶碗は危険だからだろうが、なんだかこういった細かい気遣いをみると、この大将の人格がしみじみと浮き彫りになるように思うのだ。
と思っているとラーメンが出てくる。

スープはもう完全に魚貝系オンリーの味である。しかし旨味は実に実に濃い。塩分が控えめなので、それがまたスープの旨味と魚ダシ香を際だたせている。みてくださいこの透明度の高いスープを!

麺は中太で若干のちじれが入っている。チャーシューはホロホロに煮込まれたロースで、薄めのスープと対極的に味が濃いので、このチャーシューをかじりながら麺を啜るのが絶妙のコンビネーションなのである。ほうれん草もいい味だしていて、具と麺とスープのマッチングは最高である。
ひとまずは一心不乱にラーメンを啜る。そして半分以上食べたところで、カレーが運ばれてくるのである。

非常に濃い茶褐色の外観が、味の奥深さをそのまま表現している。この店を訪れ、初めて口にした人が一様に驚くのが、その「苦み」である。焦げる寸前の極限までルーを炒めこんでいるらしく、強いほろ苦さと香りが鼻を抜けるのだ。しかし、旨い!強烈な感覚に目覚めた後は、多くの人がインディアンマニアになってしまうほどに旨いのである。

そして、このカレーを食べながらラーメンのスープをすする。これが絶品なのである。ラーメン単体でいただいていた時のスープの旨味に、スパイスとルーの香ばしさが混ざり、全く違う味世界が口中に現出されるのである。ここからはカレーを食い、スープをすすり、の繰り返しになる。
うーむ
実に旨かった! やはり本店の味は、まったく隙がない。 一点気になったのは、店内に魚貝系のヒネ香がしていたことだ。サバ節などの素材がちょっと酸化したような香りだ。スープをとった後の滓が醗酵してしまっているのかと思うが、これはあまり褒められたものではない。
ま、しかしそれは些末なことだ。大将の細やかな気配りは、どんなに人気店になってもペースを崩さない一徹さがみてとれる。その意識は娘さんにも伝わっていることだろう。
またいくぞインディアン!おいらもマニアになりました。
いや、怒涛の夜であった。JASの最終便で帯広に行くはずだったのだ。しかし空港で1時間待たされた後、大雪のため欠航ということになってしまったのである。JA幕別の岡坂さんが夜、飲みに連れて行ってくださるはずだったのに、、、もしかするとこれがいったん最後の帯広の夜になるかもしれなかったのに、、、
と、憤懣やるかたなく居たため、憂さを晴らそうと思ったわけである。羽田周辺の旨い店、、、うーん と思って気づいたのが、前も取り上げた川崎のペルー料理「インティライミ」である。実はこの店の記事を書いた後、ウェイターの東君から、記事に対する御礼のメールをいただいたのだ。
彼がリニューアルしたインティライミのWebを見て頂きたい。
http://www.intiraimi-rest.com/
「インティ料理の感想へのリンク!」というところに僕の記事へのリンクがあるのダ!光栄である。
さてそういうことで悪仲間を集めて川崎を襲撃したのであった。悪仲間とは、大学の同期でプランナーの加賀谷と、彼の友人のバシ師匠、そして、この食い倒れ日記の僕の似顔絵を書いてくれているプロのデジタル漫画家、金子重人である。
そう、金子は週刊少年ジャンプのネット版でデジタル漫画を連載している。ぜひ見て頂きたい。こんなやつが書いているのである。

ちなみに彼は幼少の頃、アルゼンチンに住んでいたことがあるのだった。
さて騒がしく料理を頼むことにする。ペルー料理でまず欠かせないもの、それはセビッチェとアンティクーチョだ!
■セビッチェ(魚貝のマリネ)
今回はセビッチェと、ムール貝のマリネも加えた豪華版を頼んだ。激ウマである。インカ独特のとうもろこしのボイルがついてくるのだが、これがまた旨いのだ。

■アンティクーチョ(牛ハツの串焼き)
そしてこのアンティクーチョを食べるために、この店に来ていると言って過言ではない。独特のスパイスで刺激的な味にしあげた串焼きは、実にジューシー&スパイシー。

これにアヒという唐辛子ベースのソースと、パセリとニンニクのソースを乗せて食べるのがまた最高なのだ。

■パパ ア ラ ウアンカイナ(じゃがいものチーズソースかけ)

じゃがいもを茹でたのにチーズソースをかけた一品で、これもお袋の味系の料理である。これしみじみ旨いのだ。ジャガイモは男爵系ではなくメークインである。ちなみにペルーというかアンデスはジャガイモやトマトなどの「ナス科植物」の原産地である。きっと現地では多種多様なじゃがいもでこの料理を作るのだろうな。
とはいえこの日本のメークで食べるウアンカイーナも実にしみじみとした旨さを湛えている。
ビールはクリスタルという銘柄が旨い。高地のビールだからか、味わいは軽く、どんどんいけてしまう。

さてワイワイと騒いでいると、ママさんらしき人が「美味しいですか?」と話し掛けてきてくれる。前回はみかけなかったこのママさん、貫禄もたいしたものだがエキゾチックに美しい方だ。
「セビッチェが大好きなんですよぉ!」
というと、「よく知ってるわねぇ」とびっくりして喜んでくれた。
そして、メニューには名前だけ載っている料理を「あたしからのサービス」と、持ってきてくださったのだ!

ママさんとはすっかり仲良くなってしまった。実は彼女は日本人。幼少の頃をペルーで過ごしたらしいのだが、きっとすごいストーリーがありそうだ。こんどゆっくり聴いてみよう。
ママさんのお薦めディッシュはこれ↓光量が足りなくて良くわからないと思うが、要するにビーフカツの横に、バジリコスパゲッティが添えられているという、ものすごい一皿だ。これがペルーでは大人気の料理だと言う。しかしこのカツとバジリコスパが旨いのなんの!スパはかなーり茹ですぎの麺だが、これに真緑色のペーストが絡まっている。イタリアンでは絶対にありえない味だが、むちゃくちゃに親しみやすい味なのである。ペルー料理は、本当に日本人の口に合う。

■アロス・コンポージョ

本日一番楽しみにしてきたのは、このアロス・コンポージョだ。言ってみれば鶏肉炊き込みご飯だが、この店を紹介してくれた友人の食いしん坊・柴田さんが絶賛する一品である。
ご覧の通り色が緑色なのは、このペルー料理最大の特色とも言える素材のためである。
「これはね、香菜(コリアンダー)のペーストを使ってるのよ。普通は瓶詰めになってるのを使うところが多いんだけど、うちではいつもフレッシュの香菜をミキサーにかけて、毎回新しいのを作っているの。これを沢山入れないと美味しくならないから、高くついてもそうしてるのよ!」
なんと素晴らしいではないか。このコリアンダーペースト、南米食材点にいけば入手可能で、僕も買い求めたことがある。しかし、すぐにカビが生えてしまうので扱いが難しい。しかしここではフレッシュを使っているという。うーむ レシピを教えて欲しいものだ。
コテコテにコリアンダーの緑がまぶされたライスを口に運ぶ。瞬間、鶏の旨味とコリアンダーの風味が口に溢れる。まさしく美味である!香菜が苦手な人は厳しいかも知れないが、好きな人には最高だ。頼まない手はないだろう。先の友人柴田氏によれば、
「セビッチェの汁やウアンカイーナのチーズソースを絡めて食べるとまた最高!」
とのことであった。今回、その二品を先に食べてしまっていたので、試すことが出来なくて残念。どうもペルー料理も、各種ソースやペーストを絡ませて食べると、旨さ倍増する感じである。
■アヒーデガジーナ(ペルー風チキンカレー)

この料理、日本向けにカレーと書かれてはいるものの、パプリカなどで赤色がついているらしくほぼ辛みがない。カレーというより鶏シチューご飯添えという体である。ペルー料理は実はこういう落ち着いた味の料理が多く、だからこそ日本人にも親しみやすい。今回はこの前にアロス・コンポージョという曲者を食べてしまったため、味的にはちょっと物足りなくなってしまったのだが、あまり風味の効いたエスニックが好きで無いという人にはお勧めできる。
■名前忘れた、炒め物
ここまで4人でガンガン食べているのだが、実はこの店、一皿の盛りが非常に多い。通常なら、セビッチェなどの前菜をとったら、あとはご飯付きの料理を一皿取るだけで2人で満足してしまうような分量なのだ。だから、総体的に非常にコストパフォーマンスが高い店なのである。しかし、このヤマケン一行がそれで終わるはずがない。すでにバクバク食べている僕らにウェイターの東君は「大丈夫ですか?」と訊く。そんなこと訊かれたら僕としては「まだまだ行けるよ」といわざるを得ない。そこで彼がリコメンドしてきたのがこの料理だ。名前は長すぎて忘れた。とにかく牛ヒレ肉の細切りとタマネギ、トマト、フライドポテトなどを、酸味のきいたソースと共に炒めたものをご飯にかけた料理だ。

これが存外に旨かった。フライドポテトが炒め物に入っているなんてちょっとびっくりだが、向こうでは割と当たり前らしい。ミックスベジタブルがピラフに入っているとつい手抜きか?と思ってしまうのと同じ感覚だが、ここのポテトはカリカリに揚げたてのものが使われており、ソースが絡んでもカリカリが抜けず、非常に食感が楽しい。その食感とマイルドな牛ヒレの旨さ、そしてソースの酸味が食をソソるのである。
■デザート群
いや さすがに腹一杯である。もう食えん。でもまだデザートが残っているのだ。この店でお薦めのデザートは、カボチャの粉を使ったドーナツといわれていたのだが、前回は売り切れだった。今回頼むと、すかさずママの解説が入った。
「うちのドーナツはね、手間がかかってるのよ、、、カボチャとお芋を干して、それを粉にするの。そこに、日本にはないペルーのハーブ(名前忘れた)を入れて練って揚げるのよ。これはこの辺でもうちしかやっていないんじゃないかしら。」

というむちゃくちゃに手のかかったドーナツは、見た目とは裏腹に非常に軽い食感。クリスピーにサクサクと食べられるので、まったく重くならない。かぼちゃと芋の風味がするが、食感はまったく違うものだった。そこに謎のハーブが効いていて、かなり面白い、日本では出てこない味である。
それと、これは有名なアロス・コンレチェ。

アロスは米、コンレチェは「With Milk」の意味だそうだ。その名のとおり米をミルクで甘く煮たものだ。タイ料理のカオニャオのデザートと一緒であるが、シナモンが効いていてこれまた不思議な食味。
そしてとどめは、最高に甘くて濃いプリンだ。これ、コンデンスミルクとミルクと玉子と何かが入っているスペシャルなプリンなのだ。いい感じに固めに仕上がっていて、とにかく甘いが、コクがあって非常に旨い。コーヒーと合うだろうな。
なんか、ヌメっとしたテクスチャが妖艶で綺麗でしょう?

とまあ、食い散らかした食い散らかした、、、ビールも相当空けてしまった。
勘定をお願いすると、、、ここにはかけないほど安かった。一人4000円行かない値段なのだ。これはいくらなんでもママのお情けが入っていると思うが、量が多いから、僕と一緒に行かなければ誰でも2皿で満足するだろう。
この店では、第三週の金曜日に、アンデスの民族音楽「フォルクローレ」のバンドのライブをしている。いつも満員立ち見御礼らしい。次は3月19日だ。いこうかなぁ、、、
そう、面白いことに、実はこの日、僕のblogの読者であるMさんがこの店に来ていたのだ。なんとこのインティライミからすぐのところにいらっしゃると言う美女であった。わざわざお手製のフォンダンショコラをいただいてしまった。これがまた実に玄人っぽい出来で旨かったのであった。うーむ最高。ご馳走様でした!
大変に満足して、突風吹き荒れる川崎を歩いた。突風は、嵐のように食いまくった我々の興奮と共鳴したかのように吹き荒れていた。明日は北海道にいけるのだろうか?と思いつつ、家路に着く僕の心には、まったく憂さというものが消えていた。

ジャポネで、「ヘルシーの激辛、横綱」という、極めて健康を損ねそうな一品を食べてきた。事の発端は僕のジャポネの過去ログを観て欲しいのだが、ナポをたべる僕の横に座った人が
「ヘルシーの大盛り、激辛!」というわけのわからないオーダーをとっていたのだ!むちゃくちゃ おもろいなぁ 何がヘルシーなんだろうと言う感じだ。
そうしたらなんと!そのご本人様からコメントをいただいてしまったのである!
はじめまして。 ジャポネで検索して飛んできました。
文中に出てきた“ヘルシー激辛、大盛り!”の
注文をしたのは私です。となりで横綱の画像を
とっていらっしゃったので覚えています。ヘルシースパ激辛は是非試してみて下さい。
鷹の爪が6~8本入っていましてそれも焼かれているので食べられます。
鷹の爪は思ったほどは辛くありませんが汗だくは必至です。(^ ^;
食べた後に胃が温かくなるのも冬場はありがたいです。Posted by: COZY at 2004年02月13日 19:26
な、なるほどぉ~~~~~
COZYさんどうもありがとう!ということで頼んできました!!

相変わらず厨房ではバカデカのフライパンでぶっとい麺が炒められまくっている。
若干緊張しながら
「ヘルシー激辛、横綱!」
とオーダー。 うーむ やばい傾向だ。 席に座るまでは「ジャンボ(大盛り)」で済ませようと思うのに、いざ注文をしようと口を開くと、一段階上の階級を口にしてしまうのである!
注:この店で横綱とは、大盛りの1.5倍である。
さて運ばれてきたのがこいつだ。

このおびただしい鷹の爪攻撃を見よ!
しかもこの鷹の爪たち、まっ黒になるまで炒められている。そのせいかカリっと揚がっており、食べやすい。コゲ香はもちろんするが、美味しく食べられるぞ。そして、、、
やっぱ辛い!
辛いし、炒め油のマーガリンがギトギトだし塩味強いし、全然ヘルシーではないぞ!
でも旨い!
野沢菜の漬物が入っているのが実に好いな。大盛りのカイワレもナイスポイント。しばし黙々と啜りこむ。
しかし、、、塩味で横綱だと、やっぱり終盤戦は味が単調になってしまう。横綱だからいいが、この上の階級である「親方」やそのまた上の「理事長」クラスになると、この味では飽きてしまうと思った。
しかし、貴重な情報であった。COZYさん今度私を見かけたらぜひお声をかけてください!ひきつづきジャポネファンでありつづけるやまけんより、、、
農林水産省のトレーサビリティ実証実験事業の最終段階で、全国の農業関係者600人の前でのプレゼンテーションを行った。11団体全部が集まる大きなイベントだ。こういう多人数の前で話をするのはもう慣れているので全く緊張はないんだけど、そんなことよりも何を昼飯に食べるかのほうに気が行く俺様であった。こんな感じである↓

このイベントが神保町の日本教育会館というところで実施されたのだが、神保町といえばカレーの名店が集まる土地なのである。中でも本格的なインドカレーを出してくれるのが、駿河台交差点からすぐのところにある「エチオピア」だ。この店のことはWeb上にもたくさん載っているので、情報はいくらでも探せると思う。

味は南インドっぽいといえばいいんだろうか。スパイス類の薫りがダイレクトに鼻孔を直撃する、実に本格インドカレーである。中でもクローブの効きが強く、独特の薬膳味がするのだ。神保町に足を運ぶ際には、5回に一度は僕も食べることにしている。湯島の「デリー」のコルマカレーと並ぶ価値がある店だと思う。
この日は混み合う時間帯をさけて11時の開店直後に行ったため、すぐに席に座れた。しかしこの店は、オーダーが入ってからカレーの最終調理にはいるらしく、出てくるまで非常に時間がかかる。店内は典型的スタンドカレーの様相なのだが、その辺が違うところなのだ。

で、僕はこの店では野菜カレーが好きだ。野菜カレーといえば、どうみても手抜きっぽい冷凍加工野菜を使ったものが多いなか、エチオピアでは実にきちんとした野菜を多量に使ってくれるのだ。ナス、インゲン、にんじん、ミニトマト、ガルバンゾ豆がふんだんに入っている。本物の野菜カレーといえよう。

みての通りの外観だが、ルーには小麦粉はいっさい使われていないはずなのにトロ味がついている。これは純粋にスパイスの粘質感だろう。先に記載したようにクローブの薫りが強いが、それだけでは説明のつかないプロフェッショナルな奥深さが間違いなくある。一緒に食べに行った青果物仲卸業の友人は静かに
「これは、お金を出して食べる価値のあるカレーだね」
と言った。その通りで、スパイス使えばいいという物ではない。プロフェッショナルであれば、多種多様のスパイスをまとめてどのような世界観を現出させるかを競うべきだ。その点、エチオピアはスバラシイのである。

実は11日と12日の両日、この店に通ってしまった。やはり好きなんである、、、でもなぜかこの店を出た瞬間に、デリーのコルマカレーも食べたくなる。 うーん 悩みどころなのであった、、、
そうそう12日にこの店に友人を連れて入るところを、blog読者であるsatokoさんに目撃されてしまった。うーん 世界は狭いなぁ、、、
このblogでは、美味しかったものしか書かないことにしていたのだが、、、あまりにびっくりしてしまったので書く。
新橋と言えば、実は東京における蕎麦の激戦区だ。おっちゃんビジネスマンが多いからだろう。僕が好く行くのは「竹泉」という店だが、虎の門と新橋の中間にあり、ちょっと遠い。幸いなことに系列店が新橋駅から近いところにあるので、次善の策としてはそちらにいくこともある。それが「本陣房」だ。系列といっても、資本関係があるわけではないと思う。蕎麦の世界では有名な「一茶庵系」といわれる系列だ。詳しくは検索してみて欲しい。就職したての頃、竹泉で部長に誘われ、蕎麦を食べた。その感動が今でも忘れられない。漆塗りの膳に盛られた薬味と蕎麦と辛づゆの見事な様式美。蕎麦は完膚なきまで角が立っている。そしてなによりこの店の「田舎そば」が旨い。せいろに比べ黒々とした太麺を口一杯頬張り、かみ締めると、蕎麦の香がむんと充満するのだ。
去る3月3日、山形の蕎麦導師である芳賀さんが上京された。東京の蕎麦を食べにお連れすることになり、どこにしようかと考えた挙句、本陣房にした。竹泉は遠いからだが、これが後悔の大元になる。
本陣房に入ると、第一のショックが。
「本日は端午の節句ですので、メニューが変更になっています。」
といい、田舎蕎麦が出ず、かわりに桜を練りこんだ蕎麦になっているという。そんなもの、食べたくないワイ。変わりそばというのがよくあるが、あれは蕎麦ではない。茶蕎麦もしかりだ。
「田舎が無いのか、、、では、せいろにするかぁ、、、いやでもせいろだけじゃあ、足を運んでいただいたかいもないし、、、」
ということで、鴨せいろにしたのであった。

運ばれてきてまず、芳賀さんと僕とで行うのは、何も付けないそばを1,2本すすることだ。そして、、、「しまった、、、」という念が僕を満たす。全く蕎麦の香りがしない。角はまあまあ立っているが、ダレた味である。芳賀さんも、「これはいけませんね」とおっしゃる。ああ、大失敗だ。

蕎麦が不味いと、鴨汁も旨いと思えないから不思議だ。ちなみに本陣房、安くは無い。鴨汁せいろで1300円かな。それでこのクオリティでは、納得がいかないぞ。まだ蕎麦粉の香りが抜ける時期ではないだろうに。
今度竹泉にいってチェックしようっと。それでだめなら新橋界隈では、山形蕎麦「出羽香庵」にしかいかないぞと誓うのであった。

広島つけ麺ブームの元祖である「新華園」については先日書いたが、そこに連れて行ってくれた竹鶴酒造の専務から、ちょっと身に余る光栄な報告が!
「その後、社長が新華園に行ったら、親父や奥さんが山謙氏のことをひどく気に入ったと言っていたらしいですよ。食いっぷりがいいとか等々。次に行ったら写真撮影もOKかも…。」
えええええええ まじでぇ~???
その後に別件で電話で話した石川タツヤンも 「うんうん そうらしいよ。あの旨そうな食いっぷりは親父さんの目にとまったらしいネ」 と仰る!
まったくもって望外なことである。 謹んで新華園様には、私の著書をお送りしようと思う。
(つまんない本じゃぁ!って怒られたりして↑)
ムチャクチャ嬉しくなったと同時に、無性に冷麺が食べたくなった。仕事が早くひけたので、竹と加賀谷を呼びつけて東京の店に行こうと誘う。二人とも来るそうだ。
実は帰郷後、ちょっと広島のつけ麺(冷麺)について勉強した。色々あったがプロの手でまとめられているのがこのサイトだ。
■ 広島 仁義あり、麺々 (http://www.tjtj.net/tsukemen/)
これをみてもやはり新華園が元祖であることは間違いない。そしてその新華園ではつけ麺とは言わず、冷麺と呼ぶことも記載されている。
それはともかく、新華園ほどじゃなくても、東京で食べられる店はないものか、と思ったらありました!東京八重洲地下街の「ラーメン激戦区」というコーナー(あくまで名前が「激戦区」なのだ)に「ばくだん屋」というのがあるらしい。
■ばくだん屋 (http://www.tokyoinfo.com/shop/shop/bakudan/)
ここで竹と集合。加賀谷が間に合わなさそうなので先に食ってしまうことにする。店はまあまあ回転している方だが、つけ麺を頼む客よりも通常のラーメンを食べる人の方が多いようにみえる。つけめんは普通、大盛り、特盛りなど4段階くらいあった。もちろん僕が頼んだのは特盛り(1000円だったと思う)だ。辛さは10段階だそうだが、様子見で5にしておいた。
※ちなみに今回、デジカメ持参を忘れたので竹の携帯カメラをお借りしました。竹サンキュウ。
まず最初にタレが出てくる。

割箸でかき混ぜてみると、表面を覆う赤い唐辛子油が真っ赤っかでいかにも辛そうだ。しかしすすってみると、それほど爆発的な辛さはない。そしてじわじわと口中に辛みが浸透してくるのは、本家と似ている。
麺が運ばれてくる。

画像ではわからないだろうが、キャベツの盛りはそれほど良くない。その他の具については、アイテムは共通している。麺をすくってみると、これも新華園風の、白色系中太ストレート麺だ。
麺をタレにつけてすすり込む。うーむ。なるほど。広島つけ麺のチェーンがどういう方向性を目指しているのかはよくわかった。
僕程度の理解では浅いのは承知の上で言うと、新華園の味はやはり見習うべきベースになっており、リスペクトされていると言っていいだろう。かなりその味を踏襲しているとは言えると思う。では旨いのかというと、、、残念ながらもう、行かないだろうな。それはこの立地からしても仕方がないんだろうけど、チェーン店の味なのだ。野菜やチャーシューの切り方、盛り、キャベツの茹で具合等に対する気の張り方が、あまりにも欠落していると思う。
それと大きな要素がタレの味だ。竹鶴の専務いわく
「他の店のは、『甘ダルイ』味なんですよ、、、」
それがよーくわかった。本当に甘ダルイ。これは何かなと思ったのだが、旨みであるグルタミン酸を強くつけすぎなんだな。新華園のタレは、実はスーパードライといえるほど、ストイックな味付けである。甘みがあまりなく、辛みと酸味で食べさせる。また、旨み成分もそれほど強いわけではない。これはおそらく長年の経験のなかで培われた、最適バランスなのだろう。
後発店としては、それを独自に改良し旨みを追加しているのだろうが、麺にからむと微妙にダルイ味になる。というか、それが持ち味なのだろうから、文句いう筋合いはない。自分にあうか、あわないかだけだな。
僕としては、他にノーチョイスであれば食べようかな、というくらい。でも、死ぬほど食べたくなったら、新華園にいくためだけに広島に行ってもいいや!と思うので、もう行かないかな、という感じなのであった。
ああ、マジで再訪したいぞ新華園、、、親父さんに怒鳴られたい、、、
先日、新橋の「本陣房」がだめだというエントリを書いたら、少なからず反響があった。その中に一つ、メールで教えていただいた情報が引っかかった。
「虎ノ門交差点近くにある『兵六』の蕎麦は、名店というのではないけど値段の割に美味しいと、私の周りの人も皆いってますよ。」
「兵六」。虎ノ門交差点を新橋方面に戻り次の大きな信号の手前にあるこの店。あまりに大通りに面しているので、「けっ こんな店が旨いわけがない」などと思ってしまっていたのだ。しかし、旨いのだという、、、これは、行ってみるしかないだろう。新橋~虎ノ門でまだ行ってない店を開拓すべきタイミングでもあるし。
ということで本日、赤坂見附での会議終了後、徒歩で虎ノ門に戻り、兵六ののれんをくぐる。夕方の営業が始まったばかりなのか、客は多くない。予約客が二階席の空くのを待っている。店内は明るく、それほど高級感はない。ということは、市井のお蕎麦屋を任じているということだ。

そう、蕎麦屋にも格があると思う。高い格を表現してもイイと思う。それだけの満足度が得られればネ。本陣房なんて、あれは上格だ。なのにあの蕎麦の内容じゃあこまっちまうってぇもんだ。その点、この兵六はまったく飾って無くてよろしい。
しかし夜の営業らしく、蕎麦の品書きがなく、つまみや酒の品書きしかない。ま、最初の店で頼むのはせいろだからいいのだが、、、
「せいろ、大盛りできる?」
「はい、できます!」
とおねーちゃんが注文をとってくれる。客が少なかった生もあるが、4分ほどで蕎麦があがり運ばれてくる。これを見てちょっとびっくり!
せいろが横長の大型版で、その上にどひゃっと蕎麦が盛られている。非常に良い盛りである。

と思ったら、なんとこれは普通の盛りで、大盛り分は別ざるが付いてくるのダ!

蕎麦は非常に細切りされている。なんだか、山形の鈴木製粉の大師匠のごとき細切り指向である。角がビンと立ち、美人な蕎麦といってよい。

すかさず蕎麦を1,2本何もつけずにすする。2口噛む段階では香りは溶出してこない。3口目、あの蕎麦の香りがホロリと溶け出て立ち上る。
上々ではないか!
遠慮をやめ、蕎麦をたぐってつゆに漬けてすすり込む。つゆはかなりの辛づゆであるが、みりんも効いており、正統甘辛調で心地よい。蕎麦のコシが効いているので、細麺でもこの辛づゆでぴったりだ。
一気にすすり込み、つゆを一回お代わりし、大盛りざる分も食べ終えると、そば湯が出てきた。僕はかならずそば湯をチェックするようにしているのだが、ここのそば湯は佳い!見てくださいこの濃度。

これはわざわざ打ち粉やそば粉を足して濃度をあげてくれている蕎麦湯である。良心的である。白湯のようなそば湯を出す店もあるが、やはりこういう気遣いがあるほうが嬉しい。
いや、実に満足。これだけの実力がある店を、ぼくは先入観で見逃していたのであった。無論、最上級ということではない。けど、実に好ましい。小腹を満たすゾ、でも旨くなきゃイヤよ、という蕎麦好きの主眼にがちっと見合う、技量とスピードと盛りである。ま、これで1000円程度なら支払ってもいいな。と思いながら会計をしてもらう。
そこで僕は、女神の声を聴いた。
「大盛りで、770円になります。」
ええええええええええええええ
そんなの安いのぉおおおおおおおおおおおおお
思わずもう一枚食べて帰ろうかと思うくらいに安い!大盛りでこれだと、普通盛りはいくらなんだろう?ちょっと驚愕ものである。
先の話、言い直そう、最上級の店ではないが、最も好ましい店であることは間違いない!
小粋な香りのキレのある細切り蕎麦を俊速で出し、盛りは切符良く、かつ安い! これ以上に何を望むというのだろうか?
俺は気にいったぞ兵六!何で今まで入らなかったんだぁ~~~~~~~~~ 反省。

あまり知られていないが、門前仲町には、かなりのレベルで誇ることの出来るバーが存在する。木場に住みたての頃に友人の柿沢夫妻に連れて行ってもらって知ったのだが、その門前仲町らしからぬ雰囲気と味に驚倒した。以来、愛用している。
名前は「オーパ」。知っている人は知っているであろう、銀座にある著名なバーの支店だ。支店といっても限りなく完成度の高い単独店である。その完成度をかもし出しているのが、トップバーテンダーの水ちゃんだろう。本名は忘れた。初めてこの店を訪れるのであれば、どうか必ず、彼が作るマティーニを飲んでいただきたい。ビシッと決まった、その辺じゃ絶対に飲めないような素晴らしいマティーニを飲むことができることを約束しよう。
僕がマティーニに目覚めたのは、もう7年くらい前になるが、年の離れたある女性に、銀座の超一流バーに連れて行っていただいたときのことだ。日本のバーテンダーで知らぬ人の居ないそのバーの名物がマティーニだ。実はそこのトップバーテンダーは酒が飲めない。しかし、彼の作るカクテルは最高だ。そしてマティーニを飲ませていただくと、、、もう声も出ないのだ。たとえて言えば、シルクの飲み口といえばいいんだろうか。ジンという強いアタックの酒を、こんなにも滑らかに口当たり好く飲ませる技術があるなんて、、、と、芯からびっくりしたものだ。以来、マティーニを計るときは必ずこの店を基準にしている。ちなみに、現存する中では、その人が最高齢のマティーニ名人であることは、ほぼすべてのバーテンダーが口をそろえて言う人だ。なので、なかなかこのものさしに合うマティーニは出てこない。
そして、、、このオーパの水ちゃんが作るマティーニは、このものさしにピタリと沿うのである。見事なのだ。
マティーニはジンとベルモットから成るカクテルなので、それぞれ銘柄を指定できる。僕はいつもゴードンのジンに、ベルモットはノイリープラットの組み合わせで、ベリードライにしてもらう。これに、アンゴスチュラ・ビターズを2滴ほど入れてもらうというのが、僕の黄金率だ。
数々の魔法を施した後、ステアした液体をカクテルグラスにあけ、我々の前にもってきてくれた後に、本当に魔法のような手振りをする。レモンピール(皮)を絞るのである。このとき、蝶が飛ぶように、手品のように皮をつまみながら動かす。下の写真は撮影したものだが、低照明下だったので手の動きがちょうど軌跡になっている。こんな感じなのだ。

これを見て、僕のヨガの先生であるまさみさんはウットリとしていたものだが、実はこのまじないには意味がある。レモンの皮に含まれている油分は、比重の重いものには苦味があり、比重の軽い液体には爽やかな香りが含まれている。従って、苦味のある比重の重い部分がグラスの中に入らぬような角度で、微妙にずらしながら爽やかな香り成分だけをグラスにあてる。それを一瞬でやると、ああいう手つきになるのである。
こうして出来たマティーニは、それこそシルキーな飲み物に変化する。可能な限りすぐに飲むのがよい。これだけ個性の強い酒を15分以上かけて飲むのは野暮というものだ。旨さが分離してしまう。
さて本題はこれからだ。実は先日来、行っても行っても水ちゃんが出てこない。訊けば、
「バーテンダーコンクールに出場するために休みをいただいておりまして、、、」
とのことだった。そうかコンクールだったか。ではその結果を楽しみに待つとしよう、、、
数日後、結果をききに行った。
「関東の部では優勝しました! 6月に全国大会に出場します!」
やったぜ水リン! ということは、現在関東のバーの新進バーテンダーではトップってことではないか!スバラシイ人にカクテルを作ってもらっているものだ。
こういうのは実に嬉しい。そういうキャリアも肩書きも何も関係なく、ただ「旨い」と思ってつき合ってきた相手が世に認められていくというのは、自分の味覚がまんざら悪いもんじゃないということの証になる。いや、絶対に全国大会でも優勝してくれよな。
「これが、大会に出したオリジナルカクテル 『Spring Hill』 です。」

と出してくれたのが、実に綺麗な綺麗なカクテルだった。その名の通り、春をイメージし、桜のリキュールと洋梨のリキュールをベースにしたカクテル。甘いのだが、その甘さは後を引かないでホロリと消える。その代わり、桜の香りの余韻だけが喉の奥に残る。
「これは、、、旨い! これだったら全国もイケルでしょう!」
「いやぁ、全国大会は6月なんですよ。季節が変わるので、もっとさっぱりしたものに変えたいんですが、優勝者は出品作を変更できないんです。どうなることか、、、」
「そうなのかぁ、、、 よし、わかった!俺、そのコンクール応援に行くよ!」
「え、ほんとうですか???」
マジで行くことにした。 会場はなんと神戸であるが、関係ない! ついでにインデアンカレーも食べられる! ということで応援に行くことにしたので是非がんばって欲しい!
これがコンクールの概要である↓


ちなみにオーパの場所だが、
・門前仲町から永代通り沿いに「富岡八幡宮」の大鳥居までいく。
・境内に一礼した後、失礼ながら鳥居に背を向け、永代通りの向こう側を眺めてみよう。
・寿司屋と居酒屋の間に小道がみえる。その奥左側の2Fに、ピンク色の看板で「O-PA」というのがみえるはずだ。
日曜日は休みなので注意。金曜日などはビジネスマンで混むので気をつけて。
ビールはバスペールエールの生が飲める。シングルモルトの揃えもスバラシイ。また、女性には季節のフルーツのシャンパンカクテルがお奨めだ。今は苺、秋には巨峰や洋なしなどが楽しめる。
しかし、僕のセレクトはやはり、、、1杯目にSpringHillをいただき、2杯目にマティーニを飲み、さっと出る。そして支那そば晴弘でつけ麺をやって〆める、、、というコースなのである。

以前、竹鶴酒造の石川杜氏と一緒に行った森下の居酒屋「山利喜」は、その後かなり通っている。なんと言っても火力が安定しているというか、絶対にはずすことがない。ベースメニューである焼きとん各種と、この店の超名物である煮込みについては、席に着くなり頼んでしまう定番である。しかも、それ以外に細かく旬を感じさせるメニューが出るので、退屈したり飽きたりしないのだ。全日本居酒屋選手権を開催したらトップ3に食い込むのではないだろうか、というのは居酒屋評論家に任せるが、俺的にサイコーな店なのである!
■大衆酒場「山利喜」 (←最後の「喜」は本当は七を三つ書く漢字である。)
都営新宿線or大江戸線 森下駅 森下交差点すぐ。

問題なのは5時の開店時に、すでに店の前に数人が並んでいるという人気である。このスタートダッシュで着席出来ない場合、かなり待たされる率高し、なのだ。この時、行列を尻目に、5年くらい履き古したようなスエット姿のごま塩頭じいさんが、いい味出しながら
「おいら一人だから先に行かせてもらうよ、な~にすぐに空くからサ」
なんて言いながらさっさと入ってしまったりする。常連客は一人で来るのである。1Fにはカウンター(結構憧れだ)があるので、そこでさっと飲んでさっとつまんで帰るということだ。おおらかな日本が残ってる、、、
そう、山利喜は、上の写真にあるように、あくまで「大衆酒場」なのだ。ゆめゆめ気取った店ではないし、それを期待してくる店ではないのである。
この日は5時半に着いたが、すでに最初のローテーションには入れず15分ほど待つ。この店は2階建てで、座敷とテーブルで構成される2Fが比較的落ち着けるのでお奨めだ。1Fは完全に大衆酒場的様相、2Fはちょっと落ち着いた割烹居酒屋という風情である。ただ、1Fでディープさを味わうのもまたオツなもの。今日は1Fに落ち着いた。
山利喜のメニューだが、これがまた、モノクロながら渋い色彩を放っている。

やきとんや煮込み、なすぬか漬けなどのオーソドックスメニューの合間に、スルリと「イタリア産生ハムクレソンサラダ」や「生野菜焼きみそ添え(エシャレット・アンディーブ・きゅうり)」、「白身魚のカルパッチョ」のような気の利いた洋食系の皿が並ぶ。これがダテではないのである。この店の看板の一つでもあるのだが、店員にソムリエさんがいるのだ。彼が定期的にフランスやイタリアを回ってワインを買い付け、かつつまみのメニュに目を配っているおかげか、大衆酒場なんだけど次元が数ランク上という状況になっているのである。
この店で酒を選ぶのは結構苦労する。なんといってもギネスの樽生が飲めるのと、日本酒はかなり気が利いた地酒を燗にしてもらえるのと、そしてソムリエ氏によるグラスワインが500円で飲めるのである。とは言いながらいつもスタートはギネスハーフパイントなのであった。

この後頼むのは、まずおひたし(江戸っ子風に「おしたし」と言うようにしている)だ。たかがおひたしと思う無かれ。350円でスバラシイクオリティのおひたしが出てくる。野菜業者の僕が言うんだから間違いない。つい先日は、無造作に3種類くらいの青菜を取り混ぜたおひたしが出てきた。ホウレンソウ、小松菜、三つ葉というような個性のある青菜をそれぞれ茹で、それをダシ洗い(水ではなくダシに漬け洗いながら味を含ませる技法)したものを出してくる。シャクリという絶妙の食感に気が入ったダシが合わさって、これで350円は安かろうという出来映えだった。
今日のおひたしは花わさび。わさびの先端部だが、ビリッと辛みが効きつつも、さわやかな香りが突き抜けていく。シャコシャコという歯触りが楽しく、存外に酒が進むのである。

そうしてビールを飲んでいるうちに、あの超絶煮込みがやってくる。ここの煮込みはブーケガルニを使っているということだが、難しいことヌキで言うと、これ上等なシチューです。いろんな味要素がどろどろに溶けているので、味の輪郭は若干ぼやけているが、コクがあるのにあっさり感を抱く、不思議な煮込み。下品と洗練の境界線を綱渡りするスリリングな煮込みなのである!これを別注のガーリックトーストに乗せて口に運ぶと、「ここ、スペインだっけ?」と錯覚してしまうこと間違いない。

グツグツと土鍋が沸き返っているのをにらみながらモツとネギを頬張ると、紛れもない日本人であることにほっとしてしまうのであった。

さてそうこうしているうちに、焼きとんが運ばれてくる。焼きとんとは読んで時のごとく豚の内臓を串焼きしたものである。必ず食べるのはカシラ・ハツ・タンそしてレバーである。注文の際にタレか塩かを選べるが、僕のお薦めは断然タレである。年配の方や通ぶった御仁が「塩」と頼むのをよく見かけるが、この店はタレじゃなきゃダメ!甘辛の醤油ダレの皿の横に、黄色いフレンチマスタード(種なしタイプ)が盛られているのだが、こいつとタレの相性が、まさに、グンバツのバツグンなのである!この組み合わせは、石川タツヤンと僕とで驚嘆した味。これなら20本食べられるぞ! ここの焼きとんはレバーから無くなるコトが多いので、まずレバーは食べるべし。

それと、シコシコとした触感と肩ロースをしのぐ旨みの載った「カシラ」、「ハツ」を堪能する。

「軟骨のたたき」は、いわゆるツクネなのだが、この色っぽい扁平さを見よ!鶏ツクネに比べるとむっちゃくちゃに濃い系の味だ。

「テッポウ」は確か直腸だったかと思うが、、、この店のは臭みが少なく、クニュクニュとした歯触りとむっちりと千切れる食感が純粋に味わえる。モツ嫌いでも食べられるはずだ。

この辺でソムリエ氏によるワインのサーブが入る。いつ行っても、前と同じ銘柄であることはない。残念ながら僕はワインについては素人なので勧められるがままにいただく。本日のこのワインはビオ(EU圏での「オーガニック」の意味)のものであるとのこと。ライトボディだが、さわやかすぎず渋すぎずのちょうどいい軽やかさを持つワインだった。ちなみにボトルでとっても3500円程度なので安い部類だ。もう少し出せば、ソムリエのお薦めワインが出てくる。ただしこれは当たりはずれが当然ある。一度、とても旨いワインを飲んだので、次にまた頼んだが、全く別の個性のものが出てきた。それがまた楽しみでもあるのだが、、、今日のはまあまあ正解であった。

さて居酒屋といえば僕が一番好きなのは「ぬた」である。この店のぬたは赤みそ系を使った、かなりドライな仕上がりの酢みそ味だ。貝類とワケギ、グリーンアスパラに酢みそをかけたぬたをジーッと見ているだけで、僕は酒が飲める。この辺からは本来は日本酒がよい。神亀の燗があるので、これをヤルか、もしくは「鶴の友」が良いだろう。

そして運ばれてきたのがスペアリブである。大きい塊が3切れで980円とリーズナブル。これは注文が入ってから焼き上げるので20分くらいかかる。従って着席した瞬間の第一回注文で入れておくのがベストである。

で、このリブがマジ最高なのよ!何とも言えない味付けなのダ!口の周りをべとべとにしながら軟骨部分までがりがりと囓って食べてしまうのであった!うぉー今また喰いたくなった!
気が利いてるなと思うのは、必ずオレンジの輪切りがついてくることだ。スペアリブには柑橘がベリーグッドマッチングなのである。こいつの果汁を絞りかけながらリブにかぶりつき、ふかふかとした肉とバリバリとかみ砕く軟骨のダイナミズムを味わうためにも、健全な歯を維持しておきたい!と改めて誓うのであった。

そうそうこれを忘れていた。「鯛の酒盗和え」である。細切りにした真鯛の切り身に、鰹の内臓の塩辛である酒盗をまぶしたつまみなのだが、これが秀逸!酒盗の塩から臭さがまったくなく、クリームっぽいねっとり感とほどよいこなれた塩味、そして鯛の甘さが相まって、これと神亀の燗酒を合わせたら、何もいらないと言いそうになるのだがやっぱり他にも食べたいんだけど、でもうーんやっぱりこれは旨い!っていう感じなのであったぁ!
最後は春キャベツとベーコン、クルトンのサラダ。季節メニューだ。柔らかな春キャベツにうっすらと湯通しをし、酢のきいたフレンチドレッシングでベーコンと大量のクルトンと和えている。美味しい、、、

大体これだけ喰って飲んで、2人で8千円程度なのである。僕並みには食べないという人だったらもっと手軽に飲めるだろうことは間違いない。超優良店であるというのがおわかりだろう。
本当は次回のオフ会はここでやりたいのだが、前述のように並ぶのが厳しい。時間厳守だしね。ただ、山利喜は儲かっているらしく、別館というのができた。こちらだったら予約も効くらしい。考えどころだね、、、と思いながら明日あたりまた行きたいなぁと思うのであった。
僕が住む部屋は木場と東陽町の間にあるのだが、この辺は実にヤマケン的に最高だ。なぜ木場に住むことにしたかと言えば、旨い店が沢山あることを知っていたからなのだが(←これはマジ)、その後の探索で、予想していたよりも旨い店がそこここに点在しているのであった。それらは実はまだこのblogでも取り上げていない。小出しにしていこうと思っている訳なんだが、、、
で、八百屋である。どの町にも必ずある八百屋だが、近年はスーパーマーケットという業態に押され、衰退の一途を辿っている。車で乗り付けてワンストップショッピングができるというスーパーの利点と、何となく店の人とコミュニケーションをとりたくないという現代人的理由が絡まっているのだろう。
しかし、八百屋に並ぶ商品とスーパーに並ぶ商品とでは、いろいろと違いがあることが多い。それはなぜかと言えば、仕入れ方の違いに行き当たる。スーパーも八百屋も、青果物を卸売市場というところから仕入れるのが基本だ。ただし、スーパーの場合は複数店舗を持っているのが基本だし、扱いの単位がデカイ。従って仕入れの基準は規格(大きさ、外見)が揃ったものが多量に仕入れられるか、ということになる。例えばトマトがあったとして、品質がよいけど数が少ないトマトと、品質そこそこだけど規格が揃ったトマトが沢山あるとすれば、よりスーパーで売りやすいのは後者になるのだ。店内で2つの別の値付けをしたトマトがあると面倒だからだ。(←この説明はかなりデフォルメしているのでご容赦されたい。実際はもっと複雑だ。)
それに対して八百屋は、ほとんどが個人経営だから、仕入れ単位が少ない。それに一国一城の主である経営者が仕入れることが多いから、目利きをしてよいものを競り落としてくることができる。また、店先でやたらと安い特価品が出ているのをみかけるだろうが、ああいうのはB品とよばれるものだ。つまり形が良くなかったりという外見の規格分けで安く売られているものだ。そういうのを仕入れて目玉として販売しているのも、消費者には嬉しい。このように八百屋の店先は、スーパーのそれとはちょっと違う特色があり、楽しいものなのだ。
ただし上記は、その八百屋のおっちゃんが目利きであれば、という条件付きだ。商品や産地に対する知識でスーパーなどを上回らなければ、八百屋にはその存在理由がないといっても過言ではないだろう。八百屋もいろいろあるが、中には本当にやる気が見られないところも多いわけだし。
そんな中、東京都下の八百屋を集めて、産地や野菜に対する知識を勉強しあう会がある。八百屋塾というのだが、これは小売組合などの肝いりで設立されているらしく、僕も参加したいのだが入れなかった記憶がある。ただし会報が出ているのでそれを見ると、いつもレクチャーしてくれる有名な元気そうなおっちゃんがいる。
「江東区の東陽で八百屋を営む野本さんが、、、」
とよく紹介されているのだ。でも、、、あれ?このおっちゃん、見たことあるじゃん?なんとこの野本さんが営む八百周は、僕の家から80メートルのところにあるのだ! ひえええつくづくこういう縁の巡り合わせにはついている俺であった!
ということでよくその店で立ち話をしながら買うようになって今に至る。
■八百周 (お店のWebも一応ある。)
東京都江東区東陽3-20-3
03-3644-3819
※地下鉄東西線の木場駅か東陽町駅を降りて永代通りを5分 「東陽三丁目」の交差点にある。

このおっちゃんが野本さんだ。一見頑固そうだけど、そんなことはない。とても人なつっこく、プリティなおっちゃんなのである。

野本さんの左側の壁にかかっている「野菜よろず相談所」というのれんを見て欲しい。これがこの店最大の特徴だ。並んでいる商品にはすべて「理由」がある。「このきゅうりは旨いんだよ、茨城の○○っていうグループが作ってるんだけどね、熱心なんだ!」とか、そういう話をしながら販売するのだ。これこそ八百屋の鑑だ。
ちなみに置いてある商材は僕の目から見ても非常に面白い。下の写真ではわからないだろうが、「ロジモノ」と小さく書いてあるものが多い。ロジとは露地のことで、つまりハウス栽培ではなく、太陽のもとで育てているということだ。品目にもよるが露地物のほうが旨い場合がある。特に葉物は、寒気に当たった方が旨みがのりやすいので、ハウスものより露地物が旨い。しかし、露地だと温度変化・環境変化が激しいので、農家にしてみればリスクヘッジのためにハウス栽培にしてしまうことが多いのだ。

この店ではロジモノをかなり評価している。店頭に並んでいる半分以上が露地物であった。そして、サプライズ品は店の奥にある。
「おう、今日はいいもんがあるよ!千葉の露地栽培の春菊。こいつは旨いよ!」
と言って出してきたのがこれだ。

写真左下にも写っているが、根っこが長くついていて、いかにも露地モノという感じ。茹でてゴマ和えにしてみたが、通常のハウスもしくは水耕栽培品とは違って歯触りがきっちりとしている。もう春なので香りはそれほど鮮烈でないが、いい春菊だ。
ちなみにこのお方は本まで出している。
「野菜相談うけたまわります」
ISBN:4883400107
205p
創森社 (1995-06-20出版)
先記した八百屋塾のホームページにこのおっちゃんの記事もあった。こんな人である。
このおっちゃんは僕の職業が青果物流通であることを最近、ひょんなことから知ってくれた。
「なんかさ、山ちゃんは農産物とITがどうのこうのなんだろ?こないだね、ウチの関係の勉強会にさ、ワイズシステムって会社の社長さんがトレーサビリティの話をしに来たんだよ。知ってる?」
「わははははは それってウチの会社の社長だよ、おっちゃん!」
「え!なんだそうなのか、、、じゃあ山ちゃんもやってんのかいトレーサビリティ?」
という顛末である。今度、僕の本を謹呈しないとな。
この夏にはおっちゃんと僕でメロン対決をやる。どっちが旨いメロンを出せるかの勝負なのだ!絶対に勝つぞぉ
このblogからリンクを張っている「くいしんぼうのアンテナ」の著者Reitaroさんもいい八百屋さんと仲がいいらしい。ぜひ皆さんも近所の八百屋さんを見直してくださいませ。
焼き鳥は大好きなんだが、一方でバードコートのような高級店も大好きながら、他方ではやはりある種下世話に串をつまめる店が好きだ。かといって、ブロイラーに毛が生えたようなまずい焼き鳥では興が冷める。やはり串自体は旨く、店の大将とツーカーの関係ができて丁々発止できる店が一番佳い。
そこで、僕のとっておきの店を一つ紹介しようではないか。この店、焼き鳥が旨いのもあるが、なんと言っても〆の五目釜飯が、おそらく日本有数に旨いこと間違いなしの店なんである。 しかも! 店の大将のキャラが最高! 食い方がまずかったり筋の通らない客を怒鳴りとばす、筋金入り江戸っ子オヤジなのである!この大将との心の交流が好きで僕なんかは通っているのである。
■鳥長
東京都中央区日本橋人形町2-26-14
11時~13時 ・ 17時~22時
土日祝(但し第4土曜っていうか給料日後の土曜日は営業している)

この店に行く時に絶対に気をつけなければならないことがある!それは、、、焼き鳥の串が出てきたら、すかさず食べること!おしゃべりに夢中になって皿の上で串が冷えてくると、大将がイライラしてくるのが傍目にもわかる。そのうち怒号が飛ぶ。僕が目撃したなかで一番すごかったのは、ある中年客3人がずっと話に夢中で、砂肝が手つかずで皿の上に放置されていた。大将、チラッチラッと目をとばす。ヤバイ、、、そのうちにその客が大将にオソロシイ一言を、、、
「あのさ、これ冷えちゃったからもう一回焼き直してくれない?」
この時の大将の爆発ぶりは忘れられない。顔が真っ赤になって、文字通り爆発であった。
「こっちが備長炭できっちり焼いてるのに、なんでさっさと食わねえんだヨっ!うちは客を選ぶ店なんだからなっ!」
言葉尻だけだと乱暴傲岸に聞こえるかもしれないが、しかし居合わせた他の客は大将の味方なのであった。これは全くその客に非がある。可能な限り食事は料理人の意を汲んで食べるべきだ。話がしたければ店を選んで欲しい。同席した常連みんながそう思っているのであった。

さてこの店、大将がかようなキャラの人物だが、上記ルールを守りさえすれば気持ちよくサービスをしてくれる。焼き鳥はお任せでもいいし、自分の好きなモノを頼んでもよい(その場合は2本単位になる)。常連になれば完全にお任せにすると、普通出さないモノも出してくれるようになる。大将との関係性構築の内容いかんにより、全く対応が変わってくるという典型的な店だ。
僕はいつも座ると大将が、「いつも通り?」と聴くので、その時の体調に合わせて「ガンガン行って」というか、もしくは「バンバン行って!」あるいは「ボンボン出して!」の3パターンである。ま、要するにあるモノ全部だしてくれよというおねだりなのであったが、初心者はやらない方がいい。「あぁ?」と顔をしかめられること間違いない。
一応注文のスタイルを。まず飲み物だが、あまり期待しないで欲しい。焼き鳥の店なので飲み物はシャビーだ。瓶ビールもしくはチューハイとなる。で、この店のチューハイは青リンゴ系のサワーを使った薄いものだが、これをジョッキで飲むのが乙。これを頼む時に、
「チューハイ 2つ!」 などというのが普通だが、もし覚えられるなら、この「2」の部分を
「チューハイ ニャンコ!」 と言ってみよう。これはセリ用語である。ニャンコは2。以下、
「チューハイ ゲタ! (3)」
「チューハイ ダリ! (4)」
というような感じだ。この時僕は、人数分+1の数で頼む。つまり2人で入店した場合は「ゲタ」で頼む。なぜかおわかりだろうか?当然、大将の分をおごるのである。これもまあ僕と大将との信頼関係なので、初心者はまねしない方がいいかもしれないが。
次に頼むとよいのが鶏刺しである。

この美しい笹身の肌を見よ!湯通しなどしない、完全な生である。ピンク色の肉がねっとりトロリと溶ける、バカ旨の刺身なのだ。

これに添えられているのは本わさびなので、醤油皿にサシをのせ、うえにチョンとサビを乗せて頂く。醤油にも追い鰹が仕込んでいるらしく旨みが濃い。甘めの味が、ねっとりしているが淡泊なサシに絡むと、口中が色っぽくてやるせなくなるのだ。
続いて焼き鳥に移る。備長炭で焼かれる鶏は、すべて大将の好みでタレと塩が使い分けられているので、何も言う必要はない。

ここの焼き鳥は秘伝のタレをくぐらせ表面だけはやや焦げ目つき加減にするのが流儀だ。お任せにするとまず焼かれてくるのが、合鴨串だ。
■合鴨

塩味のこの合鴨は、「私、鴨は苦手なんです」という人がほぼ全て「お、美味しいっ!」と落ちていったほど、癖が無く旨みだけが残る絶妙の焼きである。
そして一番この店のネタで旨いのは、やはり王道の「かしわ」=正肉である。
■かしわ

モモ肉とこの店秘伝のタレの相性は、本当に最高だ。柔らかいのである。トロットロなのだ。それはブロイラーのような頼りないぶよぶよ柔らか状態ではない、確信犯的柔らかさなのだ。そして甘い肉汁とタレが絡み、コゲが旨さを倍加させるのだ。これを僕は3本くらいは食べてしまう。これには山椒が合うので、チョッチョッとかけていただくのが佳い。

かしわと一緒に出てくるツクネは、はやりの軟骨入りではあるが、細かくミンチにされているらしく口に当たるほどではない。七味をチョイと乗せて食べるのが吉である。
さて焼き鳥といえばレバーに砂肝だろう。レバーは、当たり前なんだけど臭みの全くない、トロトロの濃厚な旨みの塊状態だ。いい具合のコゲが旨さを倍増。
■血肝(レバー)と砂肝


そして、比較的空いている時なら出してもらえるが、貴重な「ちょうちん」である。つまり腹の中にある卵の黄身だ。
■ちょうちん


気味悪がる人もいるのだが、要するに黄身の塊なのだ。他ではあまり食べられない卵管もくっついていて、これがまた乙なのだ。このくらいの店レベルであればモツの生臭みなんかは全くないので、そんなことを心配する必要はない。黙って前に並ぶ串を頬張るだけなんである。
■手羽、野菜


■ネック(首肉)

これはあまり出てこない串だ。ネックは首、鶏で一番動いている筋肉だから、実は一番旨い場所かもしれない。シコシコした歯触りとかみしめるとジワッと染み出てくる肉汁に、思わずため息なんであった。
そして、秋頃に旨さのピークになるのがこのエメラルドだ。
■エメラルド(ぎんなん)

もうこの時期だと貯蔵品だからエメラルド色ではないが、、、秋のぎんなんは本当に最高!大将はこのぎんなんを薄皮つきの状態で串焼きし、火が通ったところで神ワザで薄皮を瞬時に剥き、塩をふって出してくれる。ホコホコホッコリとした粒を噛むと歯にニッチャリとくっつく感触、甘くてちょっとほろ苦く、特有の香りがコタエラレン。
さて、、、そろそろメインディッシュに行こう。食べ進みながら、適当なタイミングで「五目釜飯」を頼もう。炊きあがりまでに15分かかるから、それを見越していい時期をみつけてオーダーすること。そうすると、専用お釜に、あらかじめ浸水させてあった米をお玉で量り投入。そして別鍋で仕込んである熱い鶏スープをひとすくい。最初の段階で投入すべき具剤をぽんぽんと放り込んで点火。吹いてきた段階で火加減の調整をし、水分がかなり飛んできたところで、第二段階の具(鮭、切り干し大根、錦糸卵、ウズラ卵等々)を配置。蒸しを十分行い、「はいよ~」とできあがるのである。
■五目釜飯


まず蓋を取ったら、しゃもじでご飯の周りをザッザッとほぐし、天地を返すように釜肌から混ぜ込んでいこう。上下をよく混ぜた方が旨いと思う。
中には絶妙の火加減の入った鮭切り身があるのでこれをほぐして飯粒にまぶすべしだ。

まあとりあえず食って欲しい。他の店の釜飯を食べる時、いつも感じるのは、旨味不足。おそらく鶏スープが貧弱だからだ。この店の釜飯は味がとにかくしっかりしているのだ。それはクエバワカル。だからもうこれ以上言うまい。
この釜飯が、全日本五目釜飯の部のベスト5に入るであろうことは間違いないと思うのだが、その秘密の一つが、具材である切り干し大根だ。釜飯に入っているのをあまり見かけないだろう?この切り干しが、鶏スープと醤油の旨みを吸って、飯粒に旨みをマッチポンプ式に供給しているのである!切り干しの使用がこの店の最大のポイントであると断言!

釜飯にネギたっぷりの鶏スープ、お新香とで、もうこれでもかと言わんばかりの量でくるので、大体だれでも満足できるだろう。

これだけ食ってチューハイを2杯くらい飲んで、7000円は行かない。僕の場合はなぜかどれだけ食べても、ある値段がいつも提示されるんだが、これはまぁここには書かない。それでもここで紹介する店のご多分に漏れず安いと思うので、安心して足を運んで欲しい。
裏技として、釜飯の上にかしわ(正肉)の串を2本乗せて食うと、もう言うことはない。最高である。
「ヤマケンちゃん、今日もきっちりやっつけたかい?」
「おう、飯粒一つ残ってねーよ!」
そういって釜の底を見せると、大将は二カッと喜んでくれるのだ。
鳥長は僕のパワースポットだ。とにかくひたすら旨い焼き鳥を摂取し、日本有数の釜飯をガツリ食べたいならば、まず迷わず行ってみて欲しい。
ただし場所は若干わかりにくい。どうしても行きたければ連絡ちょーだい。ま、ホントは教えたくないんだけどね、、、
竹鶴酒造の石川杜氏に茶を送ったら、そのカウンターで「あ~ いやいや、今度こそびっくりさせてやるから待ってろ」と何かを送ってきてくれるらしい。なんだろうなぁ、筍かなあと思っていたら、宅配便が来た。発泡スチロールの箱。魚か?しかしチャポチャポ音がする?なんだそりゃ、、、と思って開けて、びっくりした。
なんとぴちぴちに生きている白魚である!


いやこれはさすがにびっくりしたぁ、、、 この白魚、広島の安芸名産なのである。走り幅跳びの選手なら飛び越えられそうな細い川を、ちょうど今の時期だけ、白魚が遡ってくるのを獲る業者が、1軒だけあるのだそうだ(タツヤン談)。
「あ~ いや、 先日は駿河若シャモでびっくりさせようと思ったら、その前にばれてしまったからなぁ、、、今回はびっくりしたみたいだから、成功だな!」
いやマジびっくりだよぉ だけどこんな大量の白魚、どうしよう? 寿司匠に持っていくか?いやでも足が速いだろうし、食ってしまおう!と素早く判断。まずは当然、躍り食いだろう。
一袋をざるにあけると、ピチピチとはね回る白魚君がいとおしい。透き通ったその身体と、結構ユーモラスな顔をみると、食うのに忍びない、、、なんてことは全く思わないのであった。やったぜお店ではお猪口一杯分くらいしか食べられない白魚を、どんぶりで食ってやる!と、意気込みまくっているのであった。

ざるにあけたのをグラスボウルに移す。ここにポン酢をかけて食ってしまおう。

ポン酢は、最近愛用している大阪の「旭ポンズ」である。これに千鳥酢を足して頂くことにする。

ポンズをかけると、身体に染みるのか、ビチビチ跳ねる具合がいっそう高まる。ふふふ、苦しいだろう、、、いま食べて楽にしてやるからナ。

口に運ぶと、ブリンブリンと動くんだけど、プチっと噛むと旨味が拡がる。当たり前だが、臭みなどいっぺんもない。ほんのり上品な甘さもある。なんとも風雅な食べ物だ。
しかーし!ボウル一杯ある白魚を食べるってのは、、、なんともボリューミーである。食っても食っても無くならないぞ。10分もすると、白魚はどうやらポンズの海で息絶えたようになる。合掌。
さて仕事から帰宅後、今度は加熱料理にしてみる。
一つは卵とじだ。根三つ葉とともに甘辛ダシで閉じて頂く。もちろんまずいはずがない。

もう一つは僕の得意技、炊き込みご飯だ。鍋にダシを張り、ミルキークイーンを白魚とともに炊き込んだ。

結果、白魚君達が残らず口を開けたまま横たわる、シュールなご飯ができあがった。

こいつらを成仏させるには美味しく食べてやるしかない!いただきました!2合の炊き込みご飯は2回にわけて僕に消費されたのであった。大丈夫、完璧に成仏できること間違いない。

タツヤンにお礼を言うと、
「あ~ いやいや、まだまだ広島にはおどろくもんがいっぱいあるゾよ!」
と得意そうに言う。うーむ どんどん驚くから送ってくれ! しかし俺からは次回は何を送ろう、、、当分この応酬が続きそうなのであった。
実はこのblogは、無料blogサービスではなく、きちんとしたホスティングサーバにMovableTypeをインストールして運用している。そのホスティング及び運用をしていただいているのが、原宿のファッション関連ビル群の中に事務所を構える「プロコムジャパン」という会社である。四駆の専門誌である4×4マガジンのDTPをメインにしている実力派企業だ。そして、社長の矢島さんは、商売柄もあるが、マックの世界ではかなり著名な人で、かつグルメな方なのである。実は代々木上原のカストールも彼に最初に連れて行って頂いている。
そんな矢島さんがまた、旨い店を教えてくれた。プロコムジャパン事務所から歩いてすぐの炭焼きステーキ「Chacoあめみや」である。千駄ヶ谷駅から東京体育館の脇を抜け、ローソンの斜め前くらいの地下にあるのがこの店だ。
■chakoあめみや
http://homepage1.nifty.com/chaco/

ステーキ専門店といえば、とにかく重要なのは肉の熟成だ。アメリカはNYの名店「ピータールーガ」では、卸売業者から一番いい肉を買い取った後、自前の巨大冷蔵庫で20日以上の風乾熟成をする。そうなうと表面はもうガビガビになるが、それをこそげて中の深紅の部分を炭火で焼き付けるのである。うーむ 行ったこと無いから本当に行きたい。(カストールの藤野シェフは行っているらしい、、、)
日本においてもこのような熟成加減をしている店がある。神戸のステーキ「みやす」などは、ちょっと高めだが本当に超絶品の肉を食べることができる。熟成された肉は旨味の含有量が絶対的に違うのである。
では、普通に精肉店で買える肉もすべて熟成していればいいのに、、、と思うのが人情。しかし、店頭に置かれているものは熟度が浅い。まあこれはしょうがない。すぐさま販売して現金化したいという流通上の問題と、熟成が進むに従って水分が減る=重量が減るということで、手取りが下がってしまうわけである。ということで、やはり一般人が熟成しきった肉を食べることは、通常できない。ということで、ステーキ専門店の専門店たるゆえんは、この肉の熟成をしているかしていないかであると言える。
もう一つは焼き方だろうな。ステーキに関しては炭火が一番旨いと思う(フライパンで旨いステーキが出来ないということではない)。鉄板上で油を介して表面に熱を入れるのと、遠赤外線と強力火力で、脂を落としながら焼いていくのでは、好みもあろうが、やっぱり炭火焼きが食べたいものだ。
さてそういうことで、このChacoにはいると、まず入り口横に暖炉に炭火がおこっており、網の上で肉が焼かれているのである。

この日はランチだったので、比較的安価に肉を食べることが出来る。夜は黒毛和牛、米国産牛、オージーから選べるらしいが、ランチタイムはオージービーフ。しかし繰り返すが、肉は熟成が肝要なので、まったく問題無しである。
■ランチメニュー
A.ミニヨンステーキ(125g)・・・・・・¥.1200
W (250g)・・・・・・¥.1800
B.ハンバーグステーキ(170g)・・・・・¥. 950
ミックス(A+B)・・・・・・・・・・¥.1700
C.リブステーキ(200g)・・・・・・・・¥.1500
D.ヒレステーキ(170g)・・・・・・・・¥.2700
E.サーロインステーキ(200g)・・・・・¥.2700
付:サラダ・パンorライスコーヒー、紅茶orシャーベット
僕はもちろんガッツリと「リブステーキの250g、ミディアムレア」である。これで2000円。まあリーズナブルなんではないだろうか。店内は非常にオールドファッションドで落ち着いている。下町洋食をゆったりさせた感じだ。シェフ自らが、肉を焼きながらサーブをしてくれる。
そして程なく焼かれてきたステーキがこれだ。


ナイフを煎れると、深い深紅の色合いがのぞく。うん、トロトロとした肉の旨味が薫る。パセリバターを溶かし、醤油をつけていただくと、オージービーフとは思えないほどジューシーに肉汁が染み出てくる。旨いではないか!

矢島さんが「これにね、和芥子をつけて、芥子醤油で食べるのが旨いって、以前いっしょに食べたお金持ちな方に教わったんですよ」とおっしゃる。試してみると確かにこれは旨い!これもオールドファッションドだが、じんわり旨さである。
しかーし!250gでは全然足りないのであった。メニューを見ると夜の部には、なんと1Kgブロックを焼いてくれるサービスがある。これは何人で頼んでもかまわないもので、焼いたモノを切り分けるのだが、できればこれを2人くらいでやっつけたいモノである。さすがに僕も、ステーキを限界まで食べたことはないのだ。
この店なら、夜にきっちりと食べに来てもいいな。またこよう。
店を出て、千駄ヶ谷にあるスター○ックスに勤務する竹と店長に遊ぼうよ、と電話するが、平日の1時半に出られるわけもなく、もう一枚ステーキを食べたい衝動を我慢しながらブラブラとした昼下がりであった。
僕が住む木場~東陽町あたりでは、なぜか餃子とタンメンを売りにする店が多い。その中でも最強の座にいるのが今回紹介する店、その名も「来来軒」である。漫画じゃあるまいし、来来軒なんてネーミングはないだろうと思うのだが、本当である。そしてこの店は、下町的底力に満ちた、まさに「タンメンギョーザの王道」を行く店なのである。
この店、実はかのdanchyu誌の数年前の餃子特集で紹介されたことがある。それを見て、当時木場の某社にコンサルの仕事で通っていた僕が攻め、感動してしまった。これが実はその後木場に住む大きなきっかけとなったのである。これはマジの話なのだ!そして住んでみたらもっと沢山いい店があったという、ラッキー満点な人生なのであった。
さて、東西線木場駅の出口1番を出るとすぐに永代通りがある。これを東陽町方面に3分歩くと、「東陽3丁目」という交差点に出る。ここに先日紹介した八百屋「八百周」があるのだが、その角を右に曲がって100メートルほど歩くと、「東陽弁天アーケード通り」というローカルな商店街がある。その一角にあるのが、この来来軒だ。

まあ、近くを通れば必ずわかるはずだ。なぜならどの時間でもほぼ確実に行列が出来ているからである。この店は強烈なことに、昼のピークタイムはもちろん、午後3時くらいに行っても行列が出来ている時がある。そして6時には麺が無くなってほぼ終了してしまうというオソロシイ店なのだ。だから、時間に気をつけていかないと、15分以上待たされてしまう。しかし、回転も速いのでまあ我慢できないほどではない。

店内にはいると、カウンターとテーブルで23,4人くらいが入れるような感じである。厨房内には、見事なまでに共通の遺伝子を受け継いでいるとしか思えない一卵性双生児的兄弟であろう2人のパンチパーマのおっちゃんと、これまたその遺伝子を強烈に引き継いでいるのが明瞭な息子(20代後半くらいか)、そしていかにも下町風おばちゃん2~3人という布陣である。写真では残念ながらこちらを向いているところはさすがに写せなかったので、来店して確認していただきたい。まず笑ってしまうこと間違いない。
で、この店では圧倒的大多数が「タンメンと餃子」を頼む。たまにラーメンとか頼んでいる人もいるが、食ったことがある僕としては、とにかくこの店ではタンメンとギョーザを食べるべきであるとしか言いようがない。
ちなみにタンメンが650円、ギョーザが450円である。ラーメンはたしか450円くらいとリーズナブルなんだが、組成が全く違うので考慮外にして欲しい。 とにかく席に座ったら、こう言おう。
「タンギョー。」
これは「タンメンとギョーザ」という注文である。では、二人で入って、タンメンと餃子をそれぞれ人数分頼む時はどうか。
「ニコニコ」
である。二個以上になる場合は「サンコサンコ」などと増やしていけばよい。では、タンメンが2つで餃子が1つでいいな、と言う場合はどうか。
「ニコイチ」
となる。そう、タンメンの数が最初にくるのである。この原則を覚えておけば怖いモノはない。というか、別にこういう符丁を使わなくても「タンメンとギョーザ」でいいんだけどね。何というか、常連の驕りでした。スミマセン。
ということで本日もタンギョーである。ピークタイムにはいると、注文が入っているいないに関わらずギョーザが焼かれているので、比較的早めにギョーザから運ばれてくることが多い。

ダンチュウにも掲載されたここの餃子は、厚めの皮に野菜たっぷり餡が詰められたものだ。餡は一日寝かせているらしく、確かに熟度の高い印象を受ける。しかし全体的にはあっさりしている。これに皮のモッチリ感と、焼きの際に油多めで最後は揚げギョーザ風にぱりっとさせているのが特徴である。
そして木場周辺のギョーザ店では、大体どこでもラー油を自家製で作っている。唐辛子と陳皮などの材料をふんだんに使ったラー油はかなりストロングであり、それだけで十分調味料なのである。

これと酢と醤油で、黄金律的なタレを作ってギョーザを絡ませるわけだが、僕としては酢多め、ラー油多め、醤油少なめという加減をお奨めする。そして、ギョーザに箸で小さく穴をあけ、タレを浸透させて頬張るというのが佳い。

ギョーザを3個くらいやっつけていると、タンメンが「あいよっ」運ばれてくる。このタンメンが出色のできばえなのである。ダンチュウでは餃子特集で出たが、むしろタンメン特集で出すべきではないか?と思うコトしきりである。なんと言ってもこの迫力なのだ!↓

この圧倒的な盛りの野菜類を食ってしまわないと、麺にはなかなか行き着けない。しかし安心めされい、ここのタンメンをタンメンたらしめているのが、特注の麺なのだ。この店の最大の特色であるタンメンの麺が、実に暴力的に極太なのである!

どうだ!この麺、実に迫力がある。ズズっとやって噛むと、ブリンブリンとした弾力が歯に抵抗しやがってかなり食いでがある。おそらく強力粉を少し練り込んであるはずだ。ラーメンの麺というよりは超硬質デュラムセモリナ粉でコシを出しながら打たれたパスタのような堅さ加減である。スープの中に長く置いてもなぜか伸びた感じがしない。
そして、このスープがまた佳い!透明感溢れるスープは、先の店内写真の向かって右側のおっちゃんが担当。ちなみに麺とスープで担当が分かれており、このどちらかが欠けてもタンメンが成り立たない。一度、長期に休みをとっていた時期があったのだが、どうやら「相方が手を怪我しちゃってサ、スープが作れねーんだヨ」ということだったらしい。
基本的な作り方としては、向かって右のおっちゃんが中華鍋で野菜類を炒める。でもすぐさま巨大寸胴のスープをお玉で注ぎ、煮に入る。併行して左側のおっちゃんが麺茹で開始。塩を振って味を調えたら、どんぶりにスープ投入。この時白い粉が一緒に投入されるのだが見ないフリをする。そこに極太麺投入、そして上に大量の野菜を乗せてできあがりである。
で、このスープがすさまじく笑えるのだ。なんて言ったって、よっく見ていると、スープが少なくなったら水道の蛇口をひねって水をドボドボ足しているんだもん!
「あああ~ 薄めないでくれよぉ~」
という心の叫びも虚しく薄められてしまう。それだけではない。一度仕上げをやった中華鍋のスープがあまると、巨大寸胴にそれを戻すのである。もうムチャクチャ。
しかし!それでもなんでも、なぜかいつも旨いのである!極太麺のブリブリ感と野菜のしゃきしゃき感、適度なコクと透明感のあるスープ、そして合間に囓るギョーザの旨味。下町といえば、タンメンギョーザしかないのであった!
ちなみに、タンメン後半戦にはいると、ラー油をこのようにスープにいれて食べるのが準公式作法といえよう。お好みで酢もどーぞなのだ。

タンギョーで1200円。おっちゃんは下町生まれらしく「ホイ、せんにしゃくえん」と発音してしまうのがまた小気味よい。
まあタンメンとギョーザのために木場くんだりまで来るという人もいないかもしれないのだが、実は木場にはもっと色々あるので、1日かけて攻めるつもりであればとっておきコースをこれから教えてあげよう。
そうそう、後日またゆっくり書くが、実はギョーザだけで言えば、この来来軒から100メートル離れたところに「宝屋」という店があって、こちらの方が旨い! 来来軒とはジャンルが微妙に違う餃子で、薄目の繊細な皮に、ニラの効いた濃い餡の組み合わせの餃子で、こいつがビールと最高に合うんである。
しかし、、、致命的なまでに麺類がマズイ。もう、笑っちゃうくらいにマズイのだ。スープは「お湯じゃねーの、これ?」というものだし、麺も延び延びなのだ。従って、僕のお薦めコースは
・まず宝屋にて、ギョーザ二人前とビールを速攻で食べる。
・食べたら勘定を済ませてダッシュで来来軒に移動。
・タンメン単品を頼んで汗をダラダラかきながらすすりこむ。
・汗を冷やしながら、アーケード街の酒屋にて輸入ビール「ヘンリーワインハード」一本280円を飲みながら汗を乾かし、ブラブラする。
というものだ! いろいろ試行錯誤したけど、これが最高!
ま、希望者がいれば、引率することにしようではないか。もちろん、味と満足度は保証しよう。
原宿と千駄ヶ谷の間に、気の利いたパスタ専門店がある。それも先日のステーキChacoのエントリにも紹介した、このblogのサーバを運用していただいているプロコムジャパンの方々に教えてもらった店だ。
ちなみに原宿なんてところは大嫌いだ。あんな荒削りな欲望むき出しの若衆が行き交う街は本当に疲れる。表参道でもなんとなく居心地が悪いのに、、、従って原宿近辺の旨い店というのは僕のデータベースには入っていない。しかし、原宿駅から千駄ヶ谷方面に歩いていくと、アパレル関係の小さな事務所群に混じって、よさげな店がちらほらと出てくる。イタリアンでは著名な日高シェフの「マンジャペッシェ」もこの辺だ(以前、ディナーをいただいたことがあるが残念ながら感動しなかった。)。そのマンジャペッシェのすぐ近くの交差点からほど近くに、パスタ「SPAGO」がある。

↑暗くてよくわからないな、、、
SPAGOと言えば、はやりのカリフォルニア・キュイジーヌの店の屋号でもあるが、この店はそれとは関係がないらしい。純粋なパスタ屋さんである。日本においては、イタリアンというよりスパゲッティ屋というのが先に独自の進化をしてきた経緯がある。「壁の穴」しかり。あの系統の和風パスタが先にメジャーになってきたわけだが、麺類好きの日本人にはそれがぴたりとはまっていたのだろう。最近blogによくコメントをくださるkurakiさんのWebもパスタ専門。やはり日本人は麺好きなのだ。そして、このspagoも実に和風の旨いパスタを食わせてくれる店なのだ。

店内には原宿風オシャレ系な人たちばかりというわけではなく、その辺の普段着のおっちゃんが一人でぶらっと入ってきたりするくらいなので、僕も緊張しないで済む。厨房にはきっちりコック帽をかぶった壮年板前という感じのコックさん。

厨房をのぞき込むと、スパゲッティ屋で通すだけあって、麺を茹でる大きな釜が鎮座している。見ていると、この釜で麺を茹で、竹のザルで湯切りをしている。蕎麦屋じゃないか!という感じで、和風の風情だ。

さてこの店には味ベースがいくつかある。ガーリックかジンジャーの和風、トマトベース、アーリオ・オーリオなどだが、僕はもっぱらジンジャーである。一番最初に来た時はジンジャー風味の大盛りと、トマトソース系の普通盛りを二杯食べたが、、、旨いなぁと思ったのは和風スパなのだ。
じゃあ何が旨いかというと、、、なんでもてんこ盛りの「アサリとシメジ・シイタケ・ナットウ・キムチ」(1500円)というスーパーメニューだ!

僕はこれが大好きなのであった、、、なんといっても、のってくるモノがスゴイ。ボンゴレベースのジンジャーソースにキノコ類まではわかるが、それに納豆とキムチである。破壊的な味つけではないか。これに100円増しで大盛りにするわけだ。そうすると、こうなる。

写真だと量がわからないな、、、なんというか、縦に盛り上がったスパゲッティである。麺がゆだると皿に盛り、その上からソースを回しがけ、具を盛るという典型的な和風スタイルだ。この方法で行く場合、麺の湯をきっちりと切ってソースを麺が吸い込めるようにし、かつソースの味付けを若干濃いめにしておかないと頼りない味になる。果たしてこの店の味付けは濃い。以前、同行したうちの同僚女性が「なんでこんなにしょっぱいのぉ?」とのたまったが、味は限りなく濃い方がいいというのが僕の好みである。

さて何も考えず、納豆とキムチをかき混ぜまくって食べる。旨い!味の統一感など全く無視!複雑怪異な味世界が拡がるわけだが、これが旨いのダ。白ワインを加えたソースで熱を通されたシイタケとブナシメジはとろっとした感触で食いでがある。麺も特注業務用なのか、アルデンテがかなり長いこと持続する1.8ミリ程度のスパゲッティだ。当たり前だがゆで加減も最高。柔らかくむっちりとしたアルデンテだ。

あとはひたすらむさぼり食べるだけである。卓上にある唐辛子油、粉チーズ、乾燥バジル・パセリをぶち込み、ひたすら喰らう。原宿の果てで、これまた欲望むき出しにしてスパと格闘する自分は、もしかしたらあの雑踏ですれ違う若者と同等かもしれないなぁと思うのであった。
市ヶ谷の上智大学そばにある人気フレンチ「オー・グー・ド・ジュール」はあまりにも著名なので、改めて述べるまでもないだろう。なーんちゃって実は僕も行ったことがなかった。この度ランチではあるが、ゆっくりと味わうことができ、感動したのでしたためておきたい。
店は市ヶ谷からほど近い立地にありながら、大通りをひょこっと入ったところにあるため、たたずまいが全体的に落ち着いている。

エントランスにウェイティングバーがあるので、ランチ時にも待ち客が並び、なかなかの盛況である。ランチどき、予想通り女性客ばかりである。春の陽気を反映してか、パステルカラーのカーディガンを羽織ったマダムかプチマダム系の女性客もしくは雑誌編集者然としたキャリアウーマンが席を陣取っている。

相方はまだ二度目だというが、すでにウェイターが顔を覚えていて、談笑が始まる。こういうことは非常に大事だ。一度来た客を覚えているというのは、サービスをする人間の基本的技能である。そこから、如何に気持ちのいいサービスができるかという深化が始まるからだ。
ランチコースは3通りある。3千円台のAコースはメインがビーフストロガノフ。4000円台のBコースは魚と肉がつく。そしてお任せコースは6000円台で、かなり選りすぐったメニューとなる。ここは一発おまかせか?と思ったが、初めてなのでBコースでオーソドックススタイルな実力を見せて頂きたいと思う。でも足りなさそうなので、ビーフストロガノフを1皿アラカルトで追加するのであった。
結論からいうと、最近のフレンチらしく、素材に気を遣い素材にかぶるような味付けをせず、あくまで自然に技巧を凝らしている非常によいコースをいただいたのであった。
■前菜:長ナスのコンソメ煮と魚介のタルタル・ドマトジュレ載せ

こうした小粋な前菜が大好きだ。前菜ばかり5皿くらい食べて腹を満たしたくなるくらいに好きだ。そしてこの前菜が実に気が利いていた。長ナスは一度素揚げをし、賽の目に切った後にコンソメで煮てある。これをセルクルで底に敷き、上にカニやホタテのタルタルを載せ、一番上にはトマト水のジュレを載せている。写真で上に透明なジュレがみえるだろう。トマトの断面に塩を塗り、浸透圧で透明な水分を抜いたのがトマト水だ。透明感のある液体なのにトマト味が濃いので、よく使われる。
この一皿の完成度が異様に高く、期待感が高まってしょうがない。長ナスには微妙に歯応えが残りつつトロリ感もあり、魚介のタルタルをまとめる油分の多いソース、そしてジュレとの相性が抜群である。
そして相方が頼んだのが実に美しい一品であった。ズッキーニの花にサーモンなどを詰めたものらしいが、味見していないので愛でるだけであった。
■花ズッキーニの詰め物

■鯛のポアレ タプナードソース

鯛はかっちりと火を通してあり、和食のヘシコ(サバや鰯のぬか漬け)のような香りと渋みを呈するタプナードペーストが載せてある。ややぼそぼそ感が強かったが、タプナードの渋い味わいが悪くない。付け合わせの野菜は菜花とグリーンピースとミニアスパラのソテーだが、菜花は油との相性抜群。個人的にはピースは今ひとつ、ミニアスパラも見栄えだけで味は優しすぎて食べた気がしない。
■鴨(ムニュを覚えてないので正式名ワスレタ)

そして実にうまかったのがこの鴨だ。鴨にはふんわりと熱が回っており、ジュ(肉汁)が染み出している。これがソースを薄めてしまっているのはちょっと残念。しかし、肉自体に旨味と汁気が湛えられており、優しい感触でムリムリと咀嚼できる。
思わず
「鴨の品種、なんですか?」
と訊いてしまったが、ウェイター氏が笑って
「よく訊かれるんですけど、これは特別の品種ではない、フランスからの輸入ガモなんです」
とのことであった。旨いよぉ、、、この鴨。

しかも付け合わせの野菜のスープ煮が実に滋味溢れるものであった。ソースが素材感を活かしたあっさりめのものであるのも相まって、全体に食べてに対決姿勢をとらせない、温かい皿である。
■ビーフストロガノフ

オプションのストロガノフは、ロシアの正調ストロガノフではなく、ドミグラス系のものだ(ロシアではサワークリームで煮る、白いストロガノフが正調とされる)。でも日本人にはこっちのほうが合うのではないか。ブイヨンとバターをしっかり含んだライスと、赤ワインの香りと旨味が残るストロガノフの相性は最高である。
そして、実は真のクライマックスはデザートであった。
「フルーツのロールケーキ、チーズのタルト、シャーベット、、、」
というラインナップの中で、「ん?」と思ったのはやはりロールである!そう、比較対照として、門仲ペリニィヨンのロールケーキがある。しかも、ロールケーキをメニューとして出すなんてあまりきかない。ということは相当に自信作なのであろう。
■フルーツのロールケーキ

果たして予感は当たった! このロールはスゴイ! ペリニィヨンのロールのスポンジがふんわり系であるのに対し、オーグードジュールのはみっしりみっちりと繊維が詰まった、しっかりしたスポンジだ。ふわっと黄身の香りが立つのが最高である。
そして、、、なんとこのロールに仕込まれているのは、カスタードクリームなのダ!実に濃厚な、バニラの香りたっぷりのカスタードが、これでもかと詰まっている。

苺、キウイ、ラズベリーなどがみっしり配されており、ゴージャス極まりない。持ち帰りの値段を聞いたら、
「20センチくらいで4000円となります」
と言われて萎えてしまったが、まあその価値はあるだろう。
いやぁ、実に佳い店だった。人気店には理由があるなぁ。サービスも心地よく、柔軟に対応してくれ、ウェイターも料理について理解があり、何より客を喜ばせることを至上としたいい雰囲気が漂っている。極めて陽のエネルギーに満ちた空間であった。
帰り際シェフが相方に顔を出して下さったが、質実剛健そうな方だった。上智大学の大学生は、舌が肥えるだろうなぁ。ウラヤマシイ。
大満足!しかしフレンチはいくら食っても、その後にジャンキーな味の何かが食べたくなるなあ、、、と、足は銀座に向かい、ジャポネのナポ大を頼む俺もいたのであった。
そういえばこのblogでは、始めたのが昨年の国内出張シーズンからだったため、まったく外国ネタを書いていない。僕もたまには外国に行く。ほぼアジア!ていうかほぼタイ!それも都会のバンコクは素通り!ドン・ムアン空港には30分しか滞在せず、速攻で南の島であるサムイ島に直行する。サムイは極楽である。適度に観光地化されており、ウソ!と思う低料金で1週間、満ち足りたリゾートライフを送ることができる。もちろん行きつけの店もある。パラダイスカフェというその店では、毎日通っていたため、また勝手な料理を作ってもらうまでになった。朝起きて、豪華なビュッフェスタイルの朝食を食べる。絵はがきに出てきそうな白い砂と蒼いそら、エメラルドグリーンの海そのものがあるビーチに出て、ひたすら身体を焼きながら寝る。熱くなると海に入って身体を冷やす。喉が渇くとフレッシュパパイヤ(マラコーという)とコンデンスミルクとミキシングした冷たいシェイクを飲む。腹が減ったらパッタイ(焼きビーフン)を食べる。この悦楽的繰り返しである。
でも、、、 最近は行けないのである。ストレス溜まるのである。心の澱が溜まるのであった。
がぁああああ! っつーことで、本日は突発的(でもないんだけど)に、大学時代からの友であるノサク氏と、タイ料理を食うことにしたのであった。
ていうか食ってきた。その後、バーで酒を痛飲してきた。従って今、久しぶりに酔っぱらいモードで書いている。オーグードジュールのエントリでは親友の竹澤曰く「フレンチに合わせたせいか、お前らしい疾走感がない文章だ。駄文!」という批判を受けたので、本日は酔いに任せてホトバシりライティングベリーマッチである。
六本木は大嫌いベスト10に入る街である。しかし悔しいことに、気の利いた店もある。その一つがこの「バンコクレストラン」である。
都内のタイ料理屋をいろいろ食い歩いても、やはりこの店のパッタイが一番しっくり来る。これは、技巧の問題ではないような気がする。大体においてタイ料理は化学調味料ドバドバだし、既製品のペーストとかが味ベースに使われていたりするのだが、この店はそんなことを超越して、タイの味がする。一時期よく通っていたのだが、ほぼ2年ぶりに食いに行くことにしたのであった。

六本木の表通りをすらっと通り抜け、墓地の裏にあるちょっといかがわしげな通りに入る。けっこう有名店もある通りで、僕の知り合いが二人で入って、進められた酒を飲んで肉を食ったら二人で5万円取られたという「たん屋 又兵衛」も隣接している、Wooビルという小さな雑居ビルを目指す。

その2階に、バンコクはある。僕が親しくしていた店長と、ムエタイの話題で盛り上がった給仕の彼はいるだろうかと入ると、まったくスタッフに覚えのある顔がないのでちょっとがっかりする。タイ料理の店では結構あることだ。それでも「サワディー クラップ!」と挨拶をして入店。すかさずメニューをみると、、、ああ、全く変わっとらん。
まあ、しかし頼むモノは決まっているのである。メニュを閉じて
「クロウスター2つ」
「ソムタム」
「ヤム・ヌア」
「パット・パッカナー」
「パッタイ・クン」
と矢継ぎ早に頼むと、新顔イケメン系タイ人ウェイター君はニカっと笑ってビールをとりに行った。クロウスターというのはビールだ。タイのビールというとシンハ・ビールが有名だが、向こうの人は「クロウスターの方が旨いぞ」と言う。若干クロウスターの方がさわやかというかインパクトが薄いのだが、それ故タイ人は好きなのかもしれない。ちなみに関係ないが、シンハビールとはいわずにタイ人らしく「ビア・シン!」と怒鳴るのが正しい。
そしてタイ料理は、これも風土の関係もあると思うが、やたらと出てくるのが早い。急いで片づけないと行けないのである。こうして至福の楽園時間が始まる。
■ソムタム

これは青い未熟パパイヤのサラダである。青パパイヤは沖縄や鹿児島の離島でも獲れるので、最近手に入りやすくなっている。このパパイヤの皮を剥き、梨のような実に包丁で切れ目を入れ、それをそぐようにしてゴボウの笹がきのようにし、他の材料と混ぜてサラダにする。しかしこいつがバカ辛い!ピッキーヌーという世界でもベスト5には入ると言われる小さく辛い唐辛子が入るので、ツボにはまるととんでもないことになるのである。サムイ島でのある夜、僕の舌の味蕾を突き刺したピッキーヌーは、1時間以上その脳天唐竹割り系の激痛を伴う辛みを持続させ、食べたものを全て戻してしまうまでの刺激であった。
この店では若干の手加減をしているので、のたうち回るほどではないが、かなり辛いことは間違いないし、ピッキーヌーが入っているので(小さくて青い唐辛子だ)、ご注意されたい。
■ヤム・ヌア

ヤムはサラダ。ヌアは牛肉。炙った牛肉を薄切りにし、野菜類とサラダにしたものだ。これがまた辛いのでかなりの注意。唐辛子は3種入っているのでその汁に辛みが移って刺激度満点である。いつも思うのだが、タイ料理は、食っている人間がビールを消費する量を加速するためにこんなに戦略的に辛くしているんじゃないか?その通りビールが加速されるのだが、ビールでは全く辛さは解消されないのであった。
とはいえ辛いだけではない。タイの和え物料理は、ライムなどの酸味と糖分、そして魚醤ナンプラーの塩味と発酵系の調味料の複合ワザで味を付けてくるのだが、極めてサッパリしていながら酸・甘・辛が調和しており、実に最高な世界観なのだ!
■パット・パッカナー

パット(最後の”ト”はあまり発音しない)は炒めると言う意味、パッカナーとは、タイでしか見たことがない葉野菜である。軸が太くアスパラのような見かけで、歯触りも強く味は非常に濃い。日本でも作れないことはないらしいが、以前錦糸町のタイ食材輸入商にきいたところ、タイ産じゃないと強い味にならないらしい。そう、ちなみに僕はちょっと仕事でこのタイ食材卸に、沖縄産のタイ食材を紹介する手前まで行ったのだ。関係ないか。

このパッカナー炒め、実に最高!多量のニンニクぶつ切りとオイスターソースとで瞬間的に炒めるこの単純な料理こそ、タイを彷彿とさせる一皿なのだ。
■パッタイ

これこそ、若者時にタイでバックパッカーしたことがあるヤツらが全員郷愁をもって思い出すであろう麺料理だ。センレックという中くらいの太さの米麺を炒めた焼麺で、パクチーとピーナツを砕いたものがコク出しと香り付けにかかっている。ただ、これは出された時にはまだ完成していない!頼むと出てくる調味料セット↓を駆使して、自分風に仕上げて食べるのが向こうのお作法なのダ。

僕はまず大量に砂糖をぶちかける。これはなんと言っても譲れない。パッタイには砂糖である、これに唐辛子付けのナンプラを若干落として、ライムを搾ってかき混ぜる。砂糖の甘みが何とも言えない郷愁をそそる味に昇華するのである。パッタイの味ベースはカピという蝦を原料にした発酵調味料なのだが、実に日本人にピッタリ来る味だ。タイ料理と言えばトムヤムクンと反応してしまう人には、ぜひこのパッタイ砂糖がけを食べて頂きたいと強く思うのであった。
ウェイター君に、2年前までいた人のことを訊いてみた。
「あぁ、もうここの店長は2人替わりました、今は僕の時代デス!よろしくお願いします!」
と、あくまで爽やかに微笑みながら流ちょうな日本語で話してくれる。そうか、僕が慣れ親しんだ店長はもうタイにかえっちまったのか。いつもおまけしてくれたのになぁ、、、あのムエタイ好きのウェイター君もいないのか。あいつは「アレが食べたい」というと、本当に僕が食いたいものを持ってきてくれるというテレパシー関係だったのになぁ、、、
と思っていたが、この若いハンサム店長は「今は僕の時代デス!」と言うだけあって、
「これ、サービスデス!」
と、トムヤムガイ(トムヤムスープに鶏が入っている)を持ってきてくれる。ううむサービスは受け継がれているのう。
さて宴は進む。
■パット・マクワ・ヤーウ

マクワはナスのことだ。ヤーウは何だかヨウワカラン!とりあえずナス炒めなのだが、こいつは実に世界の至宝と言うべきナス炒めである。海老のみじん切りと鶏のみじん切りと、ナスと唐辛子を炒め合わせて、オイスターソース(ナンマンホーイという)で味を付けたモノだ。ホーリーバジルともう一つ香りのスパイスが入っているがワスレタ!

これをタイの長粒米である「カオソイ」にのせて食べると悶絶するどんぶりご飯になるのである。
■ゲーンキョウワーン・ガイ

タイを代表するグリーンカレーである。今日は鶏肉(ガイ)で攻めた。このバンコクのゲーンはタックライやバイマックルーなどのスパイスやペーストをの自家製でやっているらしく、香りが非常にフレッシュ&マイルド。タイ料理初心者にはぜひお勧めしたい。
うーん くったぁ、、、本当はこの後、プーパッポンカリー(ワタリガニのカレー)とガイ・ヤン(鶏の台風炭火焼き)、カオトムプラー(魚の雑炊)を食いたいところだったが、2名ではさすがにそこまでは行けなかった。
じゃあ、アレを食べたいな。そう僕と数人の友人の間では伝説なのだが、あの昔のウェイター君に「アレ食べたいなぁ、なんて言うんだっけ、アレ!」と言ったら、「おお、アレか!」と言って、本当にそのものを持ってきてくれたという曰く付きのデザートだ!
■タピオカのカボチャココナッツミルク煮

僕はタピオカとかその辺の甘ったるいのは嫌いである。、、、はずだった。しかし!このカボチャの黄色が若干溶け出した、温かいココナツミルクの海にタピオカがコロコロと浮かぶこのデザートだけは、地獄の辛さの後の楽園のようで大好きなのだ!
そして本日、頼もうと思った矢先に、あのニコニコイケメン店長がこれを持ってきてくれたのだ!

「お代わりしてクダサイ!」
「おう、早速お代わり!」
二杯食って撃沈である。甘くてあったかくって、トロッとしてて、ホッとして、実に最高なのである!
新店長、気に入った!記念撮影である。

向こうも「こんなにタイ料理好きな人初めてデス」と言っている。店長は替わったが心は変わらず。タイに行けない鬱憤を六本木ではらすぞ!
ちなみに本日ビールもしこたま飲んで、二人で12000円でした。タイではいくらくっても3000円は超さないが、日本ではこんなもんじゃあないでしょうか。
腹をさすりながら防衛庁前まで行き、バー「abby」にてシングルモルトとカクテルをいただく。ノサク氏と仕事とプライベートの話をしながら、限りなくポジティブ感が増幅する一夜だった!

もうすでに説明するまでもない居酒屋の名店 森下「山利喜」だが、唯一の欠点は、5時の開店時間に並ばないとかなり入店が厳しいことだ。最初の1クールを逃すと結構大変なのであった。
そういうこともあってか、新館が建ったのはそう古いことではない。これまた駅から遠くないところに、本店のいかにも「大衆酒場でーっす」という概観とは違って、なかなかこぎれいな割烹的たたずまいなのである。でもこれまで入ったことはなかった。やっぱり本店かなって思ってたのだけど、どうやら「新館でしか食べられないメニューもある」ということだ。それは攻めてみなければならないだろう!ちょうどいいことに、世界一の某データベース企業さんとの情報交換会をという話があったので「いい店ありますよぉ、、、」と行ってきたのであった。

森下の地下鉄を出てすぐにある森下交差点に面している本店とは違い、その交差点を北に100メートルほどいったところに新館がある。ごらんのようになかなか綺麗な概観。看板をみると「酒場 山利喜 新館」と書いてあるが、、、本店の「大衆酒場」から「大衆」が抜けているのは何か意味があるのかしら?
1階はカウンターのみ。2人から3人の場合はカウンターで、煮込みがグラグラと湯気を立てている大鍋を見ながらやるのがいいだろう。今回僕らは5名なので2階かと思いきや、
「3階でお願いしマース!」
おお、3階建てかヨ!山利喜、相当に儲かっているに違いなし。
まず頼むのは、何はともあれ煮込みである。

煮込みの味は本店と変わらない。よかった!そして矢継ぎ早に頼んだ焼きトン(かしら・ハツ・レバー、てっぽう)の味も本店と変わらない!
「これなら安心して使えるじゃねーか!」
これで行列回避ができる!一安心なのであった。
■ソラマメとパルミジャーノのサラダ

若干ソラマメの方が負けてしまうが、気の利いたドレッシングで旨い。後日本館で同じ物を食べたら、ドレッシングがバルサミコベースだったが、酸味が強くてイマイチ。新館のほうが旨かったぞ?
■ラムのロースト

これがいわゆる、「新館にしかないモノ」だ。付いてくる焼きニンニクを崩しながら食べると吉。焼き加減上々、肉も質が高く、居酒屋で食べるラムのレベルではない。

ただ、ソースがちょっとなぁ。ドミグラスっぽい洋風ソースなのだ。かなり頑張ったつくりだと思うけど、そこは純居酒屋風に塩のみか醤油ベースにして欲しいゾ。旨いと思うし。
■へしこ

へしこは鯖や鰯のヌカ漬けといえばいいだろう。日本酒に激烈に合う一品だ。

■ミミガー
沖縄の耳がぁああも旨い。白髪ネギと塩ダレでもみこんでいる。

■アンキモ
定番のあんきももきっちりとした味。

■コハダ

小粋の象徴コハダをなぜか最後の一品に頼んでしまった。
結論。
山利喜新館も、本館同様使えます。ただ、あくまで大衆居酒屋的雰囲気を楽しみたいなら、本館1Fがいいだろう。多人数で確実に席を確保したい人には、18時までに入るのであれば新館の予約が可能である。飲み物も本館とほぼ同じものが置いてあるので心配は無い。
、、、実は昨晩も行ってきたのでちょっと飲みすぎでテンションが低い。けど、何度も書くように非常にレベルの高い居酒屋なので、安心して楽しんでいただきたい。
親友のしんのすけの手伝いで、ある学校で生徒に菜園で野菜を作らせ、それを販売するという授業のお手伝いをすることになった。授業の趣旨はもっと説明を要するのだが、しんのすけのblogでいずれ明らかにされるだろう。
昨日、初めて中高生の前で教壇に立つ。心配していたような荒んだ空気もなく、非常に自発的な生徒達に丁々発止で植物の生理について教えていたら、あっというまに時間が過ぎていた。終了後、どっと疲れがでる。本当に疲れたぁ~。いつも農業関係者さんに90分以上の講演をしているが、全く別種の作業。向こうからの反応に更につき合い、授業の中身が形作られていくというのは、相当に大変な作業であった。
で、二人で「ビール飲んでこか」と相成った訳だ。ちょうど、これまた慶應SFCの同期生だった寺田が経営に参画しているレストラン「CICADA」が近くにあるという。かなりスノッブな土地柄だが、たまにはいいもんだと寄ることにした。
CICADAの前に、天王洲アイルにあるTYハーバー・ブリュワリーという地ビールレストランを紹介すべきだな。ここの地ビールは旨い!そして料理もかなり気が利いててスバラシイ!きちんとキメに使える(何のキメだ!?)ロケーションとサービスでありながら、プライスもリーズナブルって感じの店で、同期の友人がこんな店をやってるんだなぁと感慨にふけったのはしばらく前の話だ。その際に、違う店も出すんだヨという話でCICADAのことを聴いてはいたんだった。
「ふうん 広尾かぁ、、、(俺が行かない土地柄だなぁ)」
と思ってたわけだが、行けることになると単純に嬉しいのであった。
■CICADA
住所:東京都港区南麻布5-2-40
TEL03-5447-5522

店構えは、場所柄、落ち着いた渋いいいセンス。元は有名なイタリアンだったらしい。

店に入って空席を確認。まだ17時だし、すぐに入れると思ったら、、、
「20時半には満席の予約ですので、それまでのお時間限定でよろしいですか?」
うーむすごいな、水曜日から予約客で一杯なのであった。人気店である。ま、ビールを飲んでつまみをとるだけでいいや、と思っていたので席を作ってもらう。

店内は、外観からは想像できないほど広い。調度もぐっと落ち着いてて、一流の雰囲気である。ウェイター・ウェイトレスはみな地中海風無国籍のような服を着ているが、一人一人違う格好で、それがまたよい。
まずは何はともあれビールだ!ここのビールは旨いはず。TYハーバーで醸している上面発酵の、酵母の味の濃いビールを飲ませてくれるはずだ。
このCICADAには、TYハーバーでは飲めない「オーガニックラガー」という銘柄がある。まずはこれで攻めてみる。

シンプルなグラスのたたずまいが美人である!飲むと、熱処理をしているせいか酵母の発酵香は押さえられているが、その分爽やかな苦みと甘みが複雑に混ざって、脳を刺激した。
「旨いねぇ、、、」
ここのビールは「プハッ 旨い!」という類ではない!一気飲み厳禁なのであった。
さてこの店のメニューは、細長い紙がクリップで留められた、なかなかカッコイイ体裁なのである。そして書き込まれているドリンク・料理ともに、激しく興味を引き立てるものばかりなのであった。

本日は軽くビールを飲むという趣旨なので、それほどずっしり食事をするつもりはない。従ってタパスを数皿頼んでという感じにしようと思う。
しかし、メニューの内容はタパスだけでも全品頼みたくなるものだった。耳慣れない単語がメニューに点在しており、給仕の女性に教わる。この小柄な女性の料理の説明、リコメンドが完璧であった。説明の仕方、旨そうなシズル感の持たせ方、好感の持てる控えめなフレンドリーな態度、スバラシイ!
「いちいち『ちょっとお待ち下さい』といって厨房に訊きに行ったりしないのがいいね」
としんのすけが言う。
「はい、勉強はしていますので、、、」
そうだろうなあぁ。 この店では少なくとも、給仕の人間のレベルは高いと見た。これだけでもかなり満足度が高い。
さて料理は本当にタパス(前菜)のみにしてしまった。ゴメンね寺田。こんどがっつり食べに行くよ。
■ガルバンゾ豆のペースト(名前ワスレタ)と特製パン

この豆のペースト、僕の好物だ。ガルバンゾ豆を時間をかけて柔らかく煮て、ミキサーでニンニクやスパイス類、ヨーグルトなどと合わせてドロドロにする。この店では特製のパン(2次発酵させていない、ソリッドでスパイシーなパンだ)をつけて食べさせる。
こいつが実に「旨い!」と思わず叫んでしまうほどのできばえであった。ペーストは滑らかに油分を含んでいる。旨味が濃く合わせている素材を訊きたいと思うほど、さすがのプロのテイストである。これにつけるパンがまた旨い。強めの塩味がペーストの旨さを倍増させる。

「このパンは大麦とスパイスが入っています。これがやみつきになるっていうお客様が多いんですよ!もう少し追加を持ってきますね!」
と、説明&サービスはまたも心地よい。もう俺なんか、このペーストどんぶり一杯食べたいと思うのであった。
■カラマリのロースト、プロシュートと香草パン粉詰め

カラマリは油との相性がいいのでフリットで食べたかったのだが、ローストしかなかったのでこれを頼む。イカ飯のように胴にフィリングがパンパンに詰められた状態だが、中身がプロシュートとパン粉である。味付けは濃さと淡さの絶妙なバランスの綱渡りで、文句なしに旨い!
ただし、カラマリは4つ串焼きになっているだけで、脇には野菜がボワンと盛られている。生の水菜、ルッコラ、アンディーブなどだが、これになにもドレッシングがかかっていないのは意図的なのだろうか?ちょっと芸がないと思ってしまった。かといって「素材を活かしてそのままで」食べるにはパワー不足の野菜なので、もう少しひねりを加えて欲しいと思う。
■ワカサギのフリット バジルアイオリ添え

カラマリでフリットが食べられなかったのでワカサギでいただく。しかもバジルアイオリって、相当にそそる響きではないか!アイオリはご存じだろうか。マヨネーズの原型で、オイルと黄身を練って、マヨと違うのはそこにニンニクを溶かし込んでいく。あと、酢は使わなかったと思う。
果たしてバジルアイオリはニンニクがぷんぷん、これをスパイシーなワカサギにたっぷりつけて食べると、カリッという音と濃厚なアイオリの油分と香りがトロリと舌に乗ってくる。
うーん 本当に素晴らしいではないか!
■ポテトのロースト(なんとかという唐辛子ペースト添え)

なぜかこの日は肉を食べる気がせず、気の利いたタパスで攻めてしまったが全ての料理が手が込んでいて旨かった。シェフはアメリカ人らしいが、地中海料理をベースにした気持ちの良い無国籍風で、日本人にも外国人にも歓迎されるレベルの高さだ。
店内は僕らがビールを飲み始めてすぐに満席になった。外国人が非常に多いのと、その中でもドレッシーな装いでくる一団もあり、この店の位置づけが高いことを印象づける。
4品のタパスとビール二杯ずつで一人4000円。十分に楽しませてもらった。今度はがっつり食べに来よう。
広尾、、、スノッブで嫌だと思ってたけど、ちょっと距離が近くなったと思う夕暮れ時だった!