ホームカミングデーの心地よい興奮と疲れが全く癒えぬままに、朝5時に起きる。本日は、ハム&ベーコン講習会の第二回目だ。舞台は静岡県菊川にある中小家畜試験場。このblogにも「ハム太郎」の名前でコメントを残してくださっている関哲夫さんが、僕の燻製の師匠だ。
5時半に兄弟分の工藤ちゃんと、その弟分の浅見君が車で迎えに来てくれる。ひどい土砂降りが幸いしてか道は空いており、3時間で菊川着。本日はこれに加えて、居酒屋ライターの神澤さんと、週間少年マガジンに連載されていた「ボーイズbe」の原作者(!)である板橋さん夫妻と一緒だ。ちなみに神澤さんは著書「日本酒ソムリエが通う東京のizakaya」を上梓されたばかり。これがまたいい本だ。日本酒に興味を持ち始めの女性にお奨めである。
さて講習の始まりだ。
あらかじめ、関師匠が10数人分の豚肩ロース肉を、ハム用のピックル液(ソミュール液ともいう)に漬け込んでおいてくれている。これをケーシングで包んで整形し、数時間スモークをかけ、そして70度の温度でゆっくりとボイルをすればハムの出来上がりだ。
ベーコンはボイルをせず、スモークをやや強めにかけながら温度を上げ、火を通してしまうのだ。師匠も書いておられるが、ピックル液の味が一緒なのに、味わいは全く違ってくる。不思議なのだ。
用意された肉塊たち

我らがハム太郎、この道20年の関師匠

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ケーシングで整形する。

これが家畜試験場自慢の手製スモーカー。数々のノウハウに裏打ちされた完成度。

スモーク終了。

70度に保った湯でボイルして出来上がり。出来たても美味しいが、冷蔵庫で締めると、全く違う味わいになる。
今回、ハムは関師匠が仕込んでくれていたわけだが、ベーコンは参加者各自が仕込んだ。
この美女が居酒屋・日本酒ライター神澤女史である。

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兄弟分の工藤ちゃんと浅見君も、でっけーのを漬け込んできた。

そしてこれが出来上がりのベーコンだ。この豊かな飴色の風合いを観よ!

おいらのベーコン。小さいのを3本作った。これ、正解。

ケーシングしてスモーカーに肉を入れてからここまで3時間だ。前夜からの疲れと移動の疲れで、かなりヘロヘロだ。でも旨い燻製を作ることが出来たと言う達成感と、なにより肉隗の重みが、疲れを忘れさせてくれる。
師匠!どうもありがとうございました!!東京へ帰る道のりはひたすらいびきと与太話であった。
静岡県には、素晴らしい食い道楽人がいる。岩澤さんという県の職員さんなのだが、この人は静岡県内の全酒造に顔が利く方で、相当な飲んべえ&食い道楽。現在は、先日もベーコンを作りに行った中小家畜試験場にて、駿河若シャモという地鶏の育種をしています。この若シャモはおそらく現在最も旨い地鶏である。それはまた今度書くが、今回は岩澤さんにまた素晴らしい食材を紹介してもらったので、そちらを採り上げたい。
先日のハム・ベーコン講習会で知り合ったのが、静岡県の浅羽町というところの商工会の方だった。この浅羽町の地域食材の動きはとても活発で、目玉は豆腐。原料の大豆は町内の農家さんが自家生産し、その大豆を使って豆乳と豆腐を作り販売をしているのである。メーカーさんはその名も「どんどこあさば」。
特筆すべきなのはその技術。超微粉化という技術を使っていて、大豆をミクロレベルの粉にし、呉汁にするという方式をしているのだ。その粉を湯に溶いて呉汁にする。つまりおからを出さない、大豆成分を丸ごと汁にしてしまうという方式なのだ。実はこの技術自体は結構広まっていて、事例も多いのですが、肝心の旨い豆腐が少ない。粒状感が残って、舌にざらついた食感になったり、くどい甘みが残ったりというように、あまりいい評判を聞かない。元々、微粉にしてしまうことでおからが出ない=産業廃棄物が出ない、という発想で機械メーカが作ったようなものだからかもしれない。
しかし!
この浅羽町の豆腐は、旨い。製法上、絹ごししかできないが、マジで旨い。

まず地域の農家が地域の豆腐屋向けに生産している訳だから、手抜きナシの良質の大豆を原料にできる。原料大豆の品種も色々あるが、フクユタカがメインだ。この品種、旨く栽培するととにかく濃厚なタンパクが採れる。それを微粉加工し丸ごと使っている。ちなみに通常の方法で豆乳とオカラを分ければ、豆のエッセンスだけが豆乳に残るので、滑らかだし雑味が入らない。オカラは滓(かす)なので、それ自体の味はじゃまになるわけだ。しかし、良質な大豆を使えば、オカラ部分が入っても味がまったく濁らない!それどころか濃厚さが増し、独特の滑らかさを醸している。味は甘みが強く、豆乳味が濃い。香りも立っている。
ちなみに豆腐も旨いが豆乳がまたメチャ濃厚で旨いのだ!スーパーで売っている豆乳は調整豆乳といって、加工しているものだ。あれをコップ一杯飲んで「まずーい」というイメージを持っている人に試して欲しい。ここの豆乳は、おちょこ一杯分くらいで十分と思ってしまうほどに濃い。そして、なんとも上品。濃くて上品ってすごいことですよ!そのまま飲んでも旨いが、醤油を少し垂らすと、超絶に旨い。これをホワイトソース代わりにしてグラタンにすると、もったいないけど最高である。無論、この豆乳を鍋で熱してニガリを混ぜれば、おぼろ豆腐になる。ちなみに豆乳を買うとパックのニガリが付いてくる。もう言うことないのである。

この浅羽町の豆腐、ネットで購入が可能だ。しかも価格が無茶安で、豆腐が1丁150円、豆乳は500mlで380円~480円。原料大豆にはなんと黒豆もあり、この黒豆豆腐はまた違った風味で楽しい。これからの季節、1週間程度は冷蔵庫で持つので、一度に沢山買い込んでも送料分は惜しくないだろう。
ちなみに今の季節だけ、黒豆の枝豆が収穫できる。ぼくはきっちりいただいた。
黒豆の枝豆は最近ブームだが、味が濃く、茶豆とは違った風味があって素晴らしい。そうそう、知らない人が結構多いようだから言っておこう。
「枝豆とは、未成熟な大豆のことである。」
これ、知らない人けっこういるんだよね、、、
ともあれ、旨くて安くて環境にもよい。関心の有る方はぜひ一度取り寄せて頂きたい。スーパーで買う物とは段違いである。
本日の朝は、立て続けに遠方から食材が届いた。静岡県からは先日の中小家畜試験場より「駿河若シャモ」の腿肉と胸肉、ササミ、肝が1羽分届いた。これは大御馳走である。塩をもみこんでいただこう。
それと同じタイミングで届いたのが、広島県東広島市の安芸西条という地域を原産地とする柿で、その名も「西条柿」だ。送り主は、もうこのblogではおなじみの、広島の名門酒造「竹鶴」の杜氏である石川達也さんだ。この柿は主に山陰地方で栽培されている柿で、弾丸形の美しい、きりっと締まった姿形をしている。実はもともとは渋柿であり、ドライアイスを用いてポリ袋に入れ、渋抜きをした形で送られてくる。渋が完全に抜ける日程が書かれているので、その後に袋を開けて食べる寸法だ。
これまで柿を夢中になって食べたことなどなかったのだが、この柿はヤバイ。袋から出した段階で甘い香りが漂う。皮をむいてかじりつくと、本当にびっくりした。サクリとした歯ざわりと、ヌメリとした滑らかな食感が同時にくる、あの感覚。そしてパッと広がる香りはとても強く、その後に強烈な甘味が口に広がる。甘い!なんと糖度は20度にも達するそうで、これはアールスメロンと同等かそれ以上の甘さだ。明日、糖度計をつかって計ってみよう。
石川杜氏に電話すると、
「いやいやいや、あ~、広島にも旨いもんはあるっちゅうことで送っといた。」
うわー広島にも旨いもんはあるどころか、旨いもんだらけじゃないか!しかし、おかげさまでまた味のボキャブラリーが増えた。
西条柿は、掛け値なしに旨い。良いものをいただいた。御馳走様でした。
断言してもよいのだが、「地鶏」と呼称されている無数の鶏種の中で、現在最も美味しいと思うのは「駿河若シャモ」である。現在は生産農家が限られており、また生育日数が通常のブロイラーと呼ばれる鶏種の2倍、最低でも120日かかるため、極めて知名度が低く入手困難な状況だ。
しかし、それほど待たずに日本を代表する地鶏品種になるだろう。
この地鶏、静岡県の超絶飲ん兵衛&食道楽である県職員の岩澤さんが送ってくれたものだ。岩澤さんについてはこちらにも書いているが、とにかく静岡県内すべての旨いものに通じており、また酒造や生産者から絶対的に信頼されている方である。
僕はこの岩澤さんから、
「山ちゃんには静岡の旨いもんをとにかく食わせるから、どんどん世の中に拡めてくれや。」
という任をおおせつかっている。従って飲みかつ食い、そして世に宣伝しなければならないのである。
すでにこの若シャモについては、岐阜県を代表する名料亭「四鳥」に紹介し、その板長である秀ちゃんからは「こ、こいつは旨い!」と絶賛され、取引が始まっている。その辺のいきさつはここにある通りだが、僕もいささか貢献しているのである。
さてこの地鶏だが、特徴としては黒シャモという系統を品種改良して育種したということと、肥育期間を120日~150日まで長く取り、味を濃厚に凝縮させてから肉にするということに尽きる。
スーパーで普通に売られている鶏肉はブロイラーと呼ばれるものだと言うことはご存知だろう。しかしそれら鶏肉が、工場のような窓も無い環境で育てられているところを実際に見た人はいないだろう。60日~90日くらいの短期間で成育し出荷する。効率を優先しリスクを抑えるために医薬品を多量に投与する。その現場を見ると、おそらく食べる気をなくすこと請け合いだ。
無論、それが「悪い」と言っているわけではない。僕も、ブロイラーのあの柔らかくボロボロとした食感も嫌いではない。しかし、「鶏を食べる」という時、どうしても想起するのは、平飼いにした地鶏なのだ。駿河若シャモは、それこそ平飼いの環境で育てている農家さんが多いので、ストレスなく育ち、その肉質は適度に噛み応えがあり、そしてとてつもなく濃い味がする。
この黒い鶏が、駿河若シャモだ。黒いということは旨いと同義なのか、というくらい「黒○○」というのが多い。黒豚、黒麹焼酎、ウコッケイも黒い鶏だ。ちなみにこの写真は、静岡県中小家畜試験場の芝生で撮影したものだ。かなり大柄な鶏で、肉もかなり採れるので歩留まり率は高い。ガラからは極めて濃厚なスープが採れる。
ちなみにこの写真に写っているのが、生産農家の中でもトップクラスと言われている鈴木さんだ。彼女は素晴らしい生産農家さんで、何人ものシェフ・板前が名指しで彼女の飼育する鶏を欲しがる。それもそのはずで、鈴木さんは基本的に無投薬。つまり化学薬品を投与しない。飼料によって「嫌なにおいが鼻につく」ことがあるので、デリケートな飼料を配合している。また、出荷に際しては、飼育日数が何日目だから出荷、という選び方はしない。玉子を生む直前のメスが旨いので、お尻を触って玉子の出産間際の鶏を出荷する。「こだわり」とかそう言うレベルではないのだ。そして彼女の鶏は、やはり柔らかい味がして、旨い。
ちなみに驚くべきことに、彼女は静岡の銘酒「開運」の酒造の娘なのである。僕が手にしているのがその酒だが、なんと12000円もするものである。役得、、、
ま、それはともかく本日は、岩澤さんが飼育した若シャモだ。しこたまいただくことにするのであった。
この若シャモ、一番旨い食い方は、炭火焼に尽きる。一口大に切った腿・胸・肝に天然塩を摺り込み、しばらく置いてなじませ、炭火をぐわっと起こし、強火で炙る。焼けた端から油がジュウジュウいっている肉片を口に放り込む。炭火で燻されスモーキーになっている肉片を噛むと、控えめな肉汁と若干の酸味、旨み成分が口に広がる。レバーはこれまた最高だ。臭みは一片もない。これには軽く塩を振るだけだ。
クライマックスは、釜飯だ。兄弟分の工藤ちゃんからもらった釜飯用のミニ釜に1合米を仕込み、腿肉で取った濃厚な出汁を米にたっぷり吸わせる。肉は甘辛く煮付け、炊き上がる直前に汁ごと釜にあけ、蒸らす。こうして出来た釜飯は実に最高だった。
添え物はもちろん肉で取ったスープだ。ガラがあればもっと面白いのだが今回はガラなし。このスープがまた絶品なのだ、、、
ま、この若シャモ、観るより味わってみなければ、旨さのほどはわからないだろう。本当にびっくりの味なのだ。ただし、一般的に入手は困難を極める。売っているところがないからだ。でも、僕はとりあえず岩澤さんと鈴木さんから「欲しいときはいつでも言いな」と言われている特権階級男である。どーしても食べたい人は相談されたい。
僕の師匠の農園である熊本・阿蘇にあるぽっこわぱ農園から、ハーブティー二種が届いた。レモンバーベナとレモングラスの二種である。これは、ぽっこわぱの研修生であるようぞうちゃんが丹精したハーブ群を用いたもので、僕が先日行った時に一緒に収穫・乾燥させたものだ。

お茶にも色々あるけれど、蒸しや揉み、そして醗酵といった専門的工程を経ずに作ることが出来るハーブティーは、誰でも作ることができ、敷居が低い。ただしその分、原料のハーブの香りと味が良くなければ、全てが成り立たない。そう言う意味では、やはり農場が丹精したハーブを用いたハーブティーは、家庭菜園ものとは別格の味と香りと思う。
特にこのぽっこわぱ農園ではバイオダイナミック農法を実践しているため、完全に有機肥料しか使っておらず、化学合成農薬は一切使用しない。土壌のパワーはすさまじく、ハーブに必要な香油成分を満開させる土質である。ハーブに重要なのは油だ。植物の醸す香油成分が最高潮に達する瞬間を見極めて収穫し、すぐさま専用の乾燥機にかけ、水分含有量を落とす。この時、若干の熱をかけるのだが、この見極めが難しい。温度が高すぎたり時間をかけすぎると香油成分が飛んでしまうのだ。ようぞうちゃんはこの辺の試行錯誤の真っ最中とのことだった。

バーベナを開封し、葉を5,6枚耐熱グラスに入れて熱湯を注ぐ。くすんだ色に乾燥していた葉がみるみる色づき、もともと畑に生えていたような色彩がよみがえる。湯にはレモン色の濃い成分が抽出される。飲んでみると、ほのかに甘い。レモングラスよりも強い成分を感じる。
バーベナの薬効である「鎮静」が僕を包み込んでいく。こうして遠く離れた阿蘇のふもとの土と、シンクロすることができるのだ。
なお、ぽっこわぱ農園では野菜の産直を行っている。ハーブティーも所望すれば入ってくるので、リクエストしてみてはいかがだろうか。
北海道の某農園から、たまねぎと馬鈴薯(ジャガイモ)が届いた。本日はちょっと疲れがたまったので休暇を摂っている。ちょうど良いので食べ比べをしてみることにした。
ジャガイモは北海道から男爵とメークインの2種が届いている。これに加えて関西の某所から、現在まだあまり市場に出回っていない新品種「インカの目覚め」をいただいているので、この3種を食べてみよう。
3種のじゃがいも、といっても男爵とメークはスタンダードな品種であり、説明は要らないだろう。さてもうひとつの新品種「インカの目覚め」だ。ジャガイモ界(というものがあるのか知らんが)では長らく男爵とメークの二大巨頭体制が続いてきた。本当は「出島」などの副次的な品種も出回っているのだが、スーパーなどでは品種名が表示されることは少なく、単に「じゃがいも」としか書かれていないので、一般の人はあまりよくわからないのではないだろうかと思う。
しかし最近、この二大巨頭時代が崩れつつある。じゃがいもがあまり売れないというのが根底にあるのだろうが、新品種の売り出しが盛んだ。一昨年あたりからキタアカリをいろんなスーパーで目にするようになった。農業者の間ではもう数年前から「キタアカリが旨い」という情報が飛び交っていたが、生産量が増え、安定供給可能になった一昨年あたりから、本格的に店頭に並ぶようになったわけだ。キタアカリで特筆すべきなのは、芋が美味しそうな淡い黄色であることと、男爵系のホッコリ感と、それまでにはなかったネットリ感が混在する、複雑な肉質にあるだろう。そして味は独特の風味があり濃厚。芋があまり得意でない僕でも、丸ごと加熱してかじりたいという気持ちにさせるものがある。
キタアカリ以外にも、インカレッドのように皮が赤い(紫っぽい赤色だ)品種もよくみかけるようになった。これは実はでん粉の採取用だったり加工用だったりするのだが、転じて小売にかけてみると、面白い物好きなお客さんが買っていくのである。
このように百花繚乱とまではいかないが、だんだんと2大巨頭体制から脱しつつあるジャガイモ界に鳴り物入りで登場したのが「インカの目覚め」だ。僕はこの芋をあるJAの人から聞いたのだが、
「とにかく旨いよ。まっ黄色で肉質はきめが細かくて、栗の香りがするんだよ。」
という紹介のされ方に、思わずよだれが出てしまった。残念ながらその時期は収穫の数ヶ月前だったので現物がなかったし、また生産量が極めて少ないため、分けてはもらえなかった。
「そうだな、男爵200ケースに1箱の割合で分けてあげるよ!(笑)」
そりゃ無理だ、、、
ところがこの秋、とある関西の某所から、
「手に入ったよ~」
と連絡あり。無理にお願いをして、5玉だけ送ってもらったのだ。感想は下記に記そう。
ジャガイモはできるだけ皮をむかずに調理して、後から皮をむくのが望ましい。そうしないと旨みが逃げてしまうからだ。そして、煮るよりは蒸すか焼いて熱を通したほうが美味しい。今日は焼くことにした。最近よく使われるようになったダッチオーブンという鉄鍋があるが、その小型版のフライパンであるスキレットを使う。油はいらない。洗ったジャガイモを並べて蓋をし、弱火でじっくり加熱する。蓋も鋳鉄製で重いので、ぴっちり密閉できるので、食材の水分で蒸しあげることができるという寸法だ。20分ほど火を通し、並べてみた。
こうしてみるとインカの目覚めが一際目立つ色なのがわかる。実に食をそそる黄色なのだ。天然塩のみで3種を食べてみる。男爵はホッコリ感と粉っぽさが同居したあの食感だ。メークも適度なネットリ感があるが、この生産者のはメークらしくなく食感と味わいが豊かなメークだと思った。
さてインカの目覚めであるが、確かに独特の香りがする。香ばしい独特の香りはしかし、栗の香りではないかな。過大に期待していると肩透かしを食らうかもしれない。それより食感が面白い。キタアカリに比べて粉状感が強いのだが適度に粘りもあるので、喉に詰まるということはない。ただ、甘いのでポテトサラダには向くまい。コロッケには良いかもしれない。
これは非常に面白いけど、売り方が難しいじゃがいもだ。特性を最大限に発揮するためには姿のまま出すのが一番よい。これを一般的な加工用にしてしまうとあまり生きてこないような気がする。もう少し手に入れば、いろいろと料理を試してみるのだが、、、
ちなみに先日燻したベーコンと一緒に薄切りにしたインカの目覚めを炒めてみたときは、非常に香ばしく美味しかった。油との相性は絶品、焦げ目を軽くつけるのは大正解と言える。
なんにしても、初めて口にする人には相当インパクトの大きい品種だ。一般に出回るのはおそらく来年からだと思うが、もし店頭で見かけた人は「買い」である。

さてジャガイモの次はたまねぎだ。たまねぎの名産地として知られる淡路島から送って頂いたものと、北海道からのものを食べ比べしてみよう。ま、こういう「対決」的なタイトルは本当はよくないのだろうが、やっぱり比較してみたくなるのが人情というものだ。
ちなみにたまねぎの栽培時期は本州と北海道では正反対である。本州では猛暑を避ける意味合いもあって秋に播種~定植し、翌年の初夏に収穫。北海道ではこれが逆になり、ちょうど秋の今頃に収穫期を迎える。つまり、今回届いたのはおそらく今年度産のものである。従って今回はそれを差し引く必要がある。
この画像にある2つがそれで、画面右が北海道、左が淡路島である。産地・時期により品種も変わるので同等条件とは言えない。今回は双方とも品種名がわからないので、とにかく食べてみる。外観はさほど変わりはない。

皮を剥いてみる。淡路のものは白く(美肌?)、北海道ものは既に緑色の縦線が入っている。ちなみに先を包丁で落とした時、北海道ものはすぐに切り口に白っぽい液が滲み出してきた。

真ん中の部分2.5cmくらいをスライスし、焼いてテイスティングすることにした。こうして断面をみるとまったく組成が違う。北海道産は淡路島産にくらべ鱗片(りんぺん)が薄く細かい。木で言えば年輪が多いということになる。ここで端っこの部分をスライスし、生で食べてみる。淡路産のものは刺激が少なく柔らかい味である。北海道産のものは、口に入れたとたんに強い刺激がこみ上げてくる。これは硫化アリルという化学物質で、タマネギの細胞が壊れた時に生成されるものだ。北海道ものはまだ貯蔵期間が短いため、成分が落ち着いていないのだろうか。非常に荒々しい強さがある。

真ん中の部分を、オリーブオイルをひいたスキレットで焼く。塩胡椒もせず、ただ焦げ目が着くまで焼いて食べる。タマネギの甘みは加熱しないと発生しない。加熱調理をして、そのものの味をみなければならない。
焼きの最中で、北海道産はプックリと内側の鱗片部が盛り上がってくる。水分が多いため、加熱により膨張しているのだろう。鍋からも水分が蒸散するジュウジュウという音が絶えない。

焼き上がり。焦げ目の付き方にも差異があることが見て取れる。北海道産は派手に焼き色がついている。

テイスティング。良く研いだナイフで縦横に切り分け、内側から試食する。予想通り味には大きな差が出た。あれだけ刺激成分を多く含んでいた北海道産だが、味の濃さという点では淡路産の方が強い。甘みもそうだ。北海道産はやはり水分が多く、細胞組織も柔らかい感じで、歯触りがしっかりしていなかった。淡路島産はどうどうたる甘みと香りと歯触りのバランスを誇っていた。北海道産も最適条件下で貯蔵し、水分含有量を落とし熟成させればまた違ったかも知れない。
ジャガイモ3つにタマネギ2個分を食べるとさすがに腹一杯になってきた。しかし農産物はやはり面白いものだ。産地×品種×栽培方法という方程式で、無限に味が変わってくるのだ。どれ一つとして同じものが生まれない。今回は平たく言えば淡路島産の方が旨いということになるが、条件が全く違うので、断言するのは的はずれだ。第一、大きな面積を機械を使って集約的に管理していく北海道方式と、小さい面積で丹念に手をかける本州方式では次元が変わる。そして北海道産のタマネギがなくなったら、廃業せざるをえない業者が沢山いるのだ。
従って食べ比べしてはみたものの、どちらがよいかという話はできないのである。また新しいタマネギが生産者レベルで入手できたら試してみようと思う。
山形の超優良農家から、葡萄が送られてきた。彼は山形県北部のとある地域で有名な農家の息子だ。ブドウよりもラ・フランス農家として名高く、僕も少々だが売らせてもらったのだ。彼の家は新宿に本拠のある某高級フルーツショップに独占的に納めている関係があって、彼の名前をおおっぴらに出すことはできない。従ってゲリラ的に販売したのだった。
山形で講演があった際に彼の農園を訪ねてみた。蔵王を望む静かな大地で、洋ナシと葡萄を作っているだけではなく、立派な「家」を運営していたことが印象に残っている。ちなみに、某スーパーチェーンのバイヤーさんが僕の会社に来た時に、ちょうど彼の葡萄があったので出してみたら、
「この時期になんでこんなに立派で美味しい葡萄が!」
とびっくりされ、ぜひ取引したいと言われたことがある。その話をしたが、やんわりと
「量が採れませんから」
と断られた経緯がある。そんな男だ。ちなみに彼と彼のお父さんに連れて行ってもらった蕎麦屋は絶品だった、、、
実は、ぶどうの本場は山梨県だと言われることが多いが、最近多くの農産物関係者から、「ブドウの好適地が北上しつつある。これからは山形県がよくなるだろう」ということを聴く。お察しの通り地球温暖化の関係だ。山梨の平均気温が上がり、山形がブドウの栽培好適地になっているということだ。だからといっていますぐに果物王国の王座が移動するわけではないだろうが、山形のブドウは、彼の農場をみる限りではレベルが高い。
彼から送られてきたのは6種。蔵王乙女、カッタクルガン、ロザリオビアンコ、レディースフィンガー、アリサ、シナノスマイルだ。おそらく聞きなれない名前ばかりだろう。ブドウはやたらに品種が多いのだが、なぜか店頭には巨砲やピオーネ、マスカットといった一部の品種しか並ばない。もっと面白いブドウは一杯あるのだ。例えばカッタクルガンというのは、つややかなライムグリーンの品種で、皮ごと食べられるブドウだ。皮に渋みがなく、かみ締めると皮のサクサク感と実の柔らかさがあいまって非常に美味しい。
そんな中、僕が一番好きなのは蔵王乙女だ。レッドクイーンと伊豆錦の交配種で、その名の通り、蔵王山麓で育種されたという。ややあっさり目の味だが、上品で気品のある甘味と酸味が心地よい。彼に電話をすると
「いや~ 今年は天気が悪くって、モノが悪くて申し訳ないです。」
と謙遜する。確かに今年は果樹農家には厳しい年だったが、よく健闘しているではないか。帰り道に寿司 匠に寄って、レディースフィンガーを一房分けてあげた。でも、お気に入りの蔵王乙女は僕が独占で食べるのだ。それだけは譲れないのであった。
鹿児島の産地から、島バナナが会社に送られてきた。島バナナをご存じだろうか?通常スーパーに並んでいるバナナより数段旨いと私が思っているバナナ品種である。こんなに立派な枝でお目にかかれるとは、幸福至極というものだ。
ご存じの方には釈迦に説法だが、我々がよく目にするバナナは、キャベンディッシュという品種のものがほとんどである。スーパーに普通に並んでいるアレである。フィリピンのミンダナオ諸島やエクアドルなどで栽培されている。台湾バナナはまた少し品種が違う。実はこのキャベンディッシュは、いってみれば栽培品種であり、品種改良の末に出来たものだ。ちなみにフィリピンなどの栽培地ではこのキャベンディッシュはほとんど食べられていない。完全に輸出用なのだ。キャベンディッシュも確かに旨いし圧倒的なシェアを占めているのだが、これだけがバナナではない。茶色っぽい色のモラードバナナやモンキーバナナなど、多種多様だ。そして純国産種といえるのが、島バナナである。といっても台湾や沖縄にあるものなので、純国産とは言えないかな。
はっきり言ってこの島バナナ、激・劇・激旨である。通常のバナナの3分の1程度の小さい実を剥くと、プンと香る甘酸っぱい匂い。ネットリとした果実は甘みと酸味があり、キャベンディッシュに比べると強い個性を感じる。そう、全ての点において強いのである。やはり規格化・大型化された栽培方法で作られているのと、沖縄や鹿児島で小規模に栽培されているのでは違うのだろう。
ではなぜそんな旨いバナナをあまり首都圏で見ないのか、、、それは簡単な話だ。本州に回すほどの量が獲れないのである。沖縄や鹿児島で栽培される島バナナは、収穫の季節が台風の季節と重なる。台風にやられると、パキンと樹ごと折れてしまう。そこでジ・エンドである。なもんで、収穫量は島の人たちで食べる分で終了なのだ。そういう部分もなんとも牧歌的なのだが、極めつけは熟成方法だろう。通常、輸入したバナナは青くて食べられない。食べると死にそうに不味いのだ(僕は食べたことがある。瞬間的に吐き出した。なんともいえない渋みとエグ味が口中に広がり、大変だった。)。それを「室(むろ)」とよばれる部屋に入れ、エチレンガスを噴霧し、一定時間吸収させる。それにより熟成が進み柔らかく甘くなるのだ。
しかーし、島バナナの熟成はというと、枝を適当な大きさに切って、タコ糸で縛り、軒先に吊るして置くのである。で、茶色い点々(シュガースポット)が斑点状につき出したら、食べごろ。それだけである。最高だ。ビジネスにはとてもならん。そこがいいのだ。
会社に届いた島バナナはまだ熟成の途上だ。けど、我慢しきれず一つもいだ。皮を剥き、アイボリーの果肉を齧る。爽やかな酸味とフレッシュな香りがパッと散る。そう、キーワードは酸なのだ。決して甘さではない。甘さをコントロールするのは酸味なのだ。さてこの島バナナ、食べごろになるまでこのままの姿でいられるだろうか?
先日写真で紹介した島バナナが完熟を迎えた。一気に皮が弾け、茶色いシュガースポットだらけになる。みためは悪いが、数メートル先からわかる強い香りが、完熟を伝える。こうなったら後は一気に食べてしまわなければならない。
もし、本日8時以降に門前仲町にこられる人がいたら、食べさせてあげますよ。他のバナナが食べられなくなること請け合いである。
ところで先日の枝一本の写真、あれだけの島バナナで一体いくらくらいだと思われるだろうか。
答えは2~3万円である。
会社で、ある小売向け出荷の大根の葉っぱの状態が悪く、返品が20ケースほどあった。1ケースに6~10本入っている。これ、減農薬減化学肥料の美味しい大根である。見栄えを気にしないので有ればまったく問題はありません。
すでに知り合いの店に箱ごとあげることにしてますが、必要な人がいれば無償でおわけしますよ。なんなら箱ごと。ただし、門仲に来て手渡しでないと難しいですが、、、
ご連絡下さい。
実を言うと、僕も知らなかったのだ。
カボスといえば、鮮やかな緑色で、ちょっと強めの酸味と香りがパッと立つ果実を想像されるだろう。しかし、実はあれはまだ未成熟果。強い酸を前面にだすためにはあの堅さ・熟度で出荷し流通されるが、樹においておけば、熟成が進んで真っ黄色になるのだ。
ここまで熟成が進むと、果汁はとてもまろやかで、尖った酸味は感じられない。円く、ふくよかで腰の入った香りがする。これがカボスか、と目から鱗が落ちた思いだ。
このカボスは大分県臼杵(うすき)市の産。ひょんなことから知己を得た後藤さんが送ってくれたものだ。彼女は地元では有名な製薬会社の経営をしている。色んな関係から、このカボスのような、本当に身体によい食材をビジネスに載せていくことが、日本社会に必要なのではないかと真剣に考えているのだ。まろやかな酸味は、全ての料理を引き立てる。塩分や糖を制限されている人の食卓でも、カボスの絞り汁は使うことが出来る。もちろん酸味は立派に塩の代替委になるのだ。
こういうスタンス、僕は大賛成である。アメリカのファイブ・ア・デイ運動(一日5品のやさいを食べようという健康運動で、それなりに成功を収めている)に例を引くまでもないが、国家が国民の健康を向上しなければ、国が破綻するという危機がいずれ訪れるはずだ。事実、アメリカの成人病患者がこのまま増え続ければ、早晩国家予算を保健医療費で食いつぶしてしまうと言われている。
健康とは、人間生活の基本であり、それはまず食から生まれるものなのだ。それをヨーク考えてからFTA等を論じるべきである。開放は良い。その後、内部をどのようにすべきか、というビジョンを伴っているならば。ま、そう言う話はいいか。
ということで熟成カボス、最高なんである。後藤ちゃんを三顧の礼で迎えるため、寿司 匠に連れて行く。無論、カボスを持って。通常匠では白身や貝に天然塩とスダチを使うのだが、これにカボスを使って貰う。という算段だ。
結果はいうまでもないだろう。淡泊な平(たいら)貝の握りに一塗りしたカボスのかぐわしさは、貝の切り身を一枚も二枚も高級にしてしまった。文句なしの旨さだ。スダチや若いカボスだと、刺激が強すぎてこうはいかない。単なるアクセントになってしまうのだ。熟成カボスは、りっぱな調味料である。それも、他には望めない麗しい香りのたつ、万能調味料だ。
匠には大きいのを10玉置いてきたので、今週中に行って「カボスで!」と所望すれば、出してくれるはずだ。その際には、遠い大分県臼杵市を思い浮かべて頂きたい。
今年はみかんが旨いはずの年だった。みかん(温州みかん)は不思議な性質をもっていて、日本中のみかんの樹が揃って、1年ごとに美味しい年と不味い年を交互に繰り返すのだ。これを「隔年結果」と言う。一般の方はご存知ないだろうが、みかん業界では常識である。
で、今年は本来はあたり年のはずなのだが、夏の低温期のダメージが後を引き、イマイチだと言われている。たしかに店頭で買うみかんは、優等生的で旨くない。僕のところにも、「美味しいみかん、教えてよ」という声が寄せられた。
ということで、僕の知っている産地数ヶ所のを食べ比べてみた。正直、今年はやはり例年よりは品質が落ちる。ただ、それをさっ引いて考えた上で、僕の好みに合うところのものを紹介しよう。
■愛媛県西宇和農業協同組合 八協共撰
・特選みかん 3kg箱入り


「共撰」というのは、共同選果場の略。みかん産地ではこの共撰単位で物事が決まっていくという、農協の最小クラスターと言っていい共同体だ。愛媛県の早生みかん最大の産地である西宇和の管内にも11もの共撰場がある。その内訳は下記の西宇和農協Webでみられる。
http://www.rakuten.co.jp/ja-nishiuwa/
この中で、市場で高値で取引されるブランドは、「日の丸」や「川上」だ。ミミにしたことのある人も多いだろう。けど、旨い共撰は他にもある。
僕がしばらく前に、愛媛の産地で販売に関わらせて頂いた年には、それはもう嫌と言うほど様々な産地の様々なみかんをたべた。その中でもベストと思ったのは、「八協共撰」というところのみかんだ。この八協、地元では「八協のみかんが欲しいなんて、珍しいねぇ」と言われる、どちらかというと小さな共撰さんだ。しかし、ここの生産者の中でも優秀な人たちのほ場を下見し、糖度が13度以上確定している農家さんのみのものを選果している。
愛媛では、地面を覆う被覆シートの導入が進んでいる。これを使うことにより、水分を切ることができるので、味が凝縮される。そして、太陽光が反射してみかんに当たり、旨くなるという算段だ。八協でも導入が進んでいるはず。
八協の関係者には僕の名前が割れているかも知れないと思って、会社の名前とかはださずに連絡していたのだが、ばれてしまった。そう、僕は以前にも楽天のフルーツ食べ比べの企画で、西宇和を採り上げたことがあるのだ。その御礼を言われてしまった、、、
届いた八協みかんは、小玉のSS~Mサイズだ。これはポイントなのだが、小玉のみかんの方が断然味が乗って旨い。スーパーでは何故か無難な大きさのMM~Lが売られることが多いのだが、SやSSサイズのものがあったら、そちらの方が旨いと思った方がよい。
果たして八協みかんは甘かった!甘いだけではなく、深いコクがある。同時に凝縮された酸がたち、甘みがいっそう際だつ。ただ、昨年にくらべるとややビビッド感が弱い。それは気候の性で仕方がないのだが、、、今年のみかん戦線の中では、贈答に使える美味しいみかんだと思う。
ちなみに、このみかんはWebショップなどでは買えない。
西宇和農業協同組合 特産センター
(TEL) 0120-478186
に電話をし、「八協の青箱3Kgのみかんが欲しい」と言ってみて欲しい。
ちなみに3Kg で2500円程度だと思う(思う、というのは、僕にはちょっと安く売ってくれたと思うから)。 市価から比べるとかなり高めだ。でも、僕なら水っぽいみかんを10玉食べるより、こちらの1玉を選ぶ。いうまでもないが、ここで宣伝したところで、僕には一銭もはいってこないよ!
という、ジャスト・アン・インフォメーションでした。
この写真のスケール感を感じて欲しい。真中にある小さく見える大根が、通常サイズの大根である。

つまり、この画像には巨大大根と巨大人参が写っているわけなのだ。片手で持ち上げるのがかなり厳しい重さ(おそらく10Kg以上はある)だ。

根菜類は、肥料養分があって順調に育てば、かなり底なしにでかくなることはなる。本物の三浦大根は、通常の出荷箱に入りきらないほど大きくなったりする。しかし、これは普通の青首系の大根で、ここまで大きいのはあまりみない。
これ、千葉の産地から洒落で送られてきたものなんだが、だれも持ち帰る者が居ない。そりゃそうだ電車で持ち帰ると周囲の視線が痛そうだ。ということで、適当に切って持ってかえって、煮大根を仕込んでみることにした。
皮を剥いて輪切りにしながら、思わず笑ってしまった。
だって、大きすぎて一つの鍋に一片しか入らないのだ!

いっておくがミニサイズの鍋ではないぞ。業務用の23センチ・28センチ鍋だ。昆布と醤油三種類(関東の醤油、鹿児島の「ははゆずり」、そして愛知県の3年寝かせたタマリ醤油)だけで煮る。醤油には旨味成分がタップリ含まれているので、大根を煮る時はこれだけでよい。1時間ほど煮て、一晩冷やして煮汁を含ませると、旨そうなベッコウ色に煮上がった。しかし、鍋は大根のみで一杯だ。

皿に盛ると、いつもテイスティングに使う皿が、大根だけで一杯である。

しかし意外や意外。
食感スカスカかと思いきや、かなり美味しい大根に仕上がっている。
青首系は、大きくしても味がくずれないものなのだな。勉強になった。ま、とても技術のある生産者のところの大根なんだけどね。
と、ベトコンの笑いの後には、巨大ネタを提供してみました。
これから年末にかけて、八百屋やスーパーでは大根・ニンジン・小松菜が最も売れる時期となる。冬は、身体を暖める野菜が旬を迎える。前述の3種はその最たるものだ。ゴボウも含めて根菜と青菜で、コンディションを整えよう。
追伸:
煮物、あまりに巨大すぎてまだ食べ終わりません、、、2日経過。
寿司匠の冬ネタを接写した。
まずはずせないのが富山の寒ブリだ。今の時期、大間のマグロの大トロより旨いかもしれない。このきめの細かい、ピンクの艶やかな身は、本当に色っぽい。

そして、秋頃から出てきていたが、牡蠣の昆布〆。写真で出すのは初めてだな。冬に入ってますます味が乗っている。

あと、釣りアジが相変わらず旨い。釣りアジとは読んで字のごとく、網ではなく竿で釣るアジだ。兵庫県淡路島沖。網で獲ると、アジ同士で身がぶつかり合い崩れてしまう。釣ったアジの食感は、
「いままで食ってたアジってなんだったんだ、、、」
と呆然とするものである。ビロードの絨毯のような滑らかさなのだ。

そして、夏の間がまんしていた真鯖が、いよいよ本番シーズンを迎えた。〆鯖は、最後のストッパーに最高である。脂ののり、高貴な香りともに素晴らしい。

ちなみにこの画像だけシャリとネタのバランスが美しくないが、これは僕用のシャリの大きさ「やまけんサイズ」だからだ。いつも僕のはシャリ大なのだ。けど、寿司としてのバランスは悪いので、初心者にはお薦めできないので、、、
今年末は匠の忘年会に呼ばれている。料理人たちが自分達のためにやる忘年会、、、アンコウとスッポンは今のところ判明したラインナップだ。何があろうと、これだけははずせないのだ、、、
ご存じの通り、米国で初めて、BSEを発症した牛が確認されようとしている。年末に来た、業界激震のビッグニュースだ。
このニュースでまた、消費者が安心・安全に対して意識を集中するのだろうか。その辺はウォッチしていかなければならないが、そろそろ多くの人が気づき出したのではないだろうか、
「安全な食べ物は安くはならない。」
ということを、、、
ということを、この食い倒れ日記に書くのはモード違いなので、兄弟blog「俺と畑とインターネット」に書いておきましたので、愚痴とおもって観て下さいな。
http://www.yamaken.org/mt/oreto/
本当に、新聞紙上でみる以上にインパクトのある事件なんですよ。このBSE騒動。どうなることやら、、、
石井食品に行った。「イシイのオベント君」のアレである。慶應義塾大学の国領二郎先生のご紹介で、社長さんと名刺交換をしたのだが、その後、情報交換ということでうかがう。
この会社、実に意識の高い会社だ。99年あたりから、全取扱商品に食品添加物の「無添加」を徹底している。部分的な無添加ではなく全商品にというのはものすごい。日本酒業界で、埼玉県の名酒造「神亀」が、醸造アルコール添加が当然だった酒造業界において、全仕込み量を「純米」に切り替えたときと同じようなインパクトだ。
加工食品は、その保存性や食味の観点から、添加物を使わないで作るなどという発想は、夢物語に終りがちだ。しかし石井食品は実行した。それは、バイタリティ溢れる石井社長の、良い意味でのトップダウンの発現と言えるだろう。敬服せざるを得ない。
ただし、うちの社内の子持ち女性・男性に聞いてみたところ、一様に言うのが、
「無添加はいいけど味がねぇ~。」
なぬ?味はよくないの? そういえばもう10年くらい、レトルトや冷食の商品を食べてないからなぁ、、、と、素晴らしいことに本日は石井食品の商品をお土産にいただいたので、味わってみたい。
■石井食品のおそうざい
今晩のハンバーグ 和風おろし
フリーズ亭 エビ塩 中華丼
丹波の黒豆
無漂白栗きんとん


黒豆とくりきんとんは絶品の一言だ。
黒豆は、工場のある丹波産を使用。豆はプロフェッショナルらしくふっくらと仕上がっている。皮の裂けもほとんどなく、美しい。煮汁の甘さも上品で、くどくない。煮豆が苦手な僕でも旨いと思う。
栗きんとんは、原材料の確保に奔走されたらしいが、実に秀逸だ。きんとん餡のネットリクリーミーな粘りと、とろけるような芋の甘味が素晴らしい。栗は韓国産だが、無漂白で丁寧に処理されており、香り高く口の中でほどけていく。
高級料亭のおせち料理との比較ではなく、本当の普及価格帯でここまでのグレードに仕上げているのは、ご立派としか言いようがない。
さて、定番のハンバーグはどうだろう、何年かぶりに食べてみた。

んんん このハンバーグのどこがまずいのだろう?旨いじゃんか。100%鶏肉だから、味わいが淡白ではあるが、妙な人工的風味もなく、優しくふんわりしていて、好ましい味だと思う。
無論、自分で合挽き肉で作るハンバーグが一番旨いとは思うが、この石井食品のハンバーグは、何と言っても湯煎で5分で出来てしまうのだぞ。嬉しいじゃないか、、、
そして、中華丼も食べてみた。

ご覧いただいてわかるとおり、非常にまっとうな概観。添加剤が使われていないということは、着色もされていないということだ。本当に、素直な色あい。なんだか「おうちで食べるご飯」そのものだ。味は非常に優しい。薄味の出汁で具材を煮ている。白菜、きくらげ、たけのこなどの具材は自然味があり、特にエビはぷりぷり感が強く上物である。普通、こういう商品に入っているエビは、申し訳程度にお飾りとして存在しているだけと言うのが多いが、ここのははっきりと「旨いエビ」と言える。うーむ。これはフリーズ亭という名前どおり冷凍モノなので、こうした自然な味と食感を出せるのだろう。僕には塩味が薄すぎるが、これは高齢者を想定してのもの名のだと思われ、非常に良い。唯一惜しいのが、野菜の味だな。これはいい素材を仕入れることができるかどうかにかかっている。
うーむ
石井食品、素晴らしいではないか!僕は応援するゾ!
それにしても黒豆の食いすぎで口が甘い、、、
このところ、親友の加賀谷とよく会ってお茶をする。彼が月島、僕が木場なので、中間地点の門前仲町で会うことが多い。そして最近のひそかなスポットが、フレッシュネスバーガーだ。
この日はまず、気持ちの良い陽光を浴びながらと言うことで、よくドラマの撮影現場に使われるリバーシティの大橋のたもとで駄話をしながら、茶を飲む。

そしてフレッシュネス。ぼくはファーストフードは嫌いではない。とくに牛丼は大好きだ。ただし、「子供が10歳になるまでにバーガーの味を舌に覚えこませる」などとのたまう某大手ハンバーガーチェーンは大嫌いなので、この先一生食べたいと思わない。
その大手チェーンに価格競争ではかなわないため、高級志向を目指すのが、他チェーンの戦略となっている。それは正しい。モスバーガーはその仕入担当者さんのお話を聴いたことがあるが、立派な思想がある。
で、フレッシュネスはモス路線でもなく、独自の商品展開をしていると思う。びっくりしたのは昨年後半に投入された「スパムサンド」だ。

スパムとは、沖縄やハワイでは当たり前に食べられているあのランチョンミートのことだ。セブンイレブンの傑作おにぎりの一つ、「ソーセージおにぎり」は、「スパムすび」を原型にしていることをご存知の方も多いだろう。そう、スパムとマヨネーズに醤油、ご飯の相性は最高なのだ。
フレッシュネスの「スパムサンド」は、これを柔らかいフォカッチャ風のバンズで挟んだものだ。具材は厚手のトマト、千切りレタスに半熟目玉焼きに照り焼き系のソースと、手が込んでいる。こいつが、実に旨いのだ、、、半熟の黄身が焼きスパムにからみ、照り焼きソースの甘辛とあわさると、実にこたえられない。この商品を開発した人間がどんな人かは知らないが、素晴らしい一本を獲られてしまった。
ファーストフードは良いものとは思わない!けど、スパムサンドは好きだ! うーん 困ったもんです。
踊るうどんに引き続き、愛媛県の旨いものを回想したい。何度も言うが、僕が産湯をつかったのは愛媛県の港町である今治市だ。母親の実家は、今治では有数の企業家的な存在だったらしく、祖父はこの辺でドレメ(ドレスメーカー、つまり洋裁の工場)を最初に立ち上げた人だったそうだ。昔は、その工場の縫い子さんを連れて裏山に上り、たくさん生えていたマツタケをすき焼きにして腹いっぱい食べていたそうだ。その頃に生まれたかった、、、
さて
僕は幼き頃の食体験をつぶさに記憶しているのだが、幼少のみぎりに最も好きだったのが、穴子飯だ。瀬戸内では街中で、水揚げされた魚を担いで行商するおばちゃんが沢山いたのだそうだ。そんなおばちゃんから買った魚が食卓を彩っていたわけだ。海はもちろん瀬戸内海である。

この海、大型魚はいないが、小型それも雑魚といえるような魚がめっぽう旨い。例えば瀬戸内の鰯(いわし)の刺身を食べたら、江戸前の入梅鰯なんか食べたくなくなると思う。その大きな差が「微細さ」と「香り」だ。瀬戸内の魚は、とにかく味が細やかだ。細胞の組成が通常の10分の1位なんじゃないかと思うくらいに、こまやかな味がする。雑魚の中の雑魚といえる小さなベラを酢漬けにしたものなんて、涙ものの旨さだ。そして、とても美しい香りがする。こればっかりは食べないとわからないと思うが、、、
たとえば江戸前の寿司ネタのシャコが好きな人がいるだろうか?僕はあんな味気ないバサバサしたものを食べたいと思わない。しかし瀬戸内のシャコは、外観は気味悪くどでかいヤツをさっと塩茹でにするだけで、殻をバリバリと割って、中の瑞々しさがほとばしらんばかりの身にむしゃぶりつくと、甘い甘い汁がジュワっと口に広がり、こっくりとした旨味を感じ、そして甲殻類に独特の香りが鼻腔を上っていくのだ。それで、10匹300円くらいなのだから笑ってしまう。
そのこまやかさと香りを最も体現しているのが、穴子(あなご)だと独断で言い切ろう。僕が瀬戸内の魚で最も愛するのがこれなのだ。寿司ネタで穴子といえば江戸前と、江戸前寿司の職人は言う。けど、僕は江戸前の穴子が旨いとおもったことがあまりない(もちろん皆無ではないが)。僕の感触では、江戸前は天ぷらに合う。けど、焼きには合わないのではないか。最終的な香りにすこし泥臭さというか、大味な感覚が残る気がする。
瀬戸内の穴子は、私見だが天ぷらには向かない。味が細やかなので、ダイナミックさが感じられないのだ。しかし、焼くと最高だ。柔らかな甘みと、凝縮された旨味、そして気高い香りがするのだ。思わず抱きしめたくなる穴子、それが瀬戸内あがり。愛媛で旨いものリストを作るとしたときに、間違いなく上位にくるのが「穴子飯」というか「穴子ご飯」なのだ。幼稚園や小学校低学年の頃から、ぼくはこれが食卓に上るのが待ち遠しくて仕方が無かった。大きくなると、なかなか遠方の親族と疎遠になってしまうが、今治との距離も大きくなってしまった。
しかし、ちょっと前に愛媛で仕事があり、なつかしの叔父・叔母の家を訪問したのだ。もちろん、事前に「頼むから穴子飯を作ってくれ」とお願いして、、、
叔母が「謙ちゃんが想像してるんと違うかも知れんヨ」と言いながら運んできてくれたそれは、もう見た瞬間から食欲大全開の代物だった。

↑どーだ!旨そうでしょ?
これ、コツがある。穴子は割いた身を買ってきてよいのだが、その際に頭と骨も所望する。これはスーパーなどでは無理だろうが。そして、その頭と骨をみりんと醤油で炊き、穴子の旨味を完全に濃縮したタレを作るのだ。そしてそれを塗りながら網で身を焼く。タレを飯にツツと一回しかけ、大ぶりの穴子をババンと乗せ、三つ葉を散らす、、、
これが、僕の愛する穴子飯だ。たいがい、記憶の中の味覚は美化されて、それを超えることはないものだが、叔母ちゃん特製の穴子飯はすこぶるつきの旨さだった!
残念なのは、これは家庭の味だということで、店でこういうのが出てくるのはマレだ。かまぼことか、じゃこ天とか、いろいろとみやげ物があるが、ぜひともこういう、普通の家庭で出てくるものを旅人に食べさせてあげたいものだ。それが結局のところ、一番美味しいものなのだから、、、
ご家庭で食べている米、いろいろあると思うが、比較的最近によく見かけるようになったミルキークイーンという品種をご存知だろうか。炊いていない状態の米粒がミルクのように白濁した色味であることからネーミングがついたこの品種、今最もぼくが好きな米だ。昨日、ある友人から届いたので、早速食べてみた。

ミルキークイーンは、もち米とうるち米(普通のお米のことね)を掛け合わせた品種。掛け合わせ(交配)は、それぞれの長所を引き出すためになされるものだが、ここでのねらいは「低アミロース化」。アミロースとは、でん粉質の一種で、この含有量が高いほどボソボソ感が強く食感の硬い米となる。このアミロースを低くすればするほど、ネットリ感の強い米になるのだ。
で、ミルキークイーンは、もともとアミロース値が低いもち米の特質をうるち米に発現するようにチューニングされた品種なのだ。だから、ネットリもちもちの食感と、独特の香りを持っている。冷えても硬くならず、美味しい米なのだ。詳しいことを知りたい方は、
をご覧いただきたい。 僕はこの研究所の所長さんと別件でお話をしたことがある。所長室に行くと、1時間ばかり話をして、5時のチャイムが聞こえたところで、
「さてと、、、」
と、パタンと資料類を閉じて、部屋の片隅にある冷蔵庫を開け、ビール瓶を3本抱えて、
「じゃあ、本音で話しましょうか。」
ということに相成った。そこから2時間半くらいいろんなことをお聞かせいただいた。途中で、
「うちではね、低アミロース小麦ってのも作っていて、これで作ったうどんが旨いんだよ!」
と言って、本当に研究所の給湯室で茹でて食べさせてくれた。これがまた劇ウマだったのだが、、、
話を元に戻そう。
ミルキークイーンは素晴らしい品種だが、当然のことながら誰が作っても旨いというものではない。僕はいろんな産地のを、それこそ15種くらい食べてきたが、最も旨い、と思うのは福島県のある生産者団体のものだ。ただし、その生産者団体、生産量が極めて少ないため残念ながらここでは明かせない。残念だ、、、そこのは、ネットリとモッチリ感だけではなく、米の細胞壁の強さというか、しっかりした噛み応えがあり、香り、風味共に素晴らしいものなのだ。洋食にでも和食にでもあわせられるオールラウンダーで、毎食食べても飽きなかった。

さて本日はその品種ではなくて、秋田県の有望な若手農業者のミルキークイーンを紹介したい。名前を伊藤裕樹、通称「ひろっきい」という。昨年末に親友の本城しんのすけから紹介され、意気投合した人である。
出羽大内産 伊藤家のお米
総責任者 伊藤裕樹

※伊藤さんのWebより画像引用↑
彼は、実は週末農家だ。東京ではなんと、経営コンサルタント会社の代表取締役であり、かつ最近流行りのコーチングの専門家である。で、週末や繁忙期になると、秋田県大内町の実家(専業農家)の田んぼに舞い戻り、ご両親と作業をする。関東圏からするとかなり大きな規模で稲作をやっているのだ。で、彼が作ったミルキークイーンを食べてみようと、買い求めてみたわけだ。

発送直前に精米してくれているのがとても嬉しいところだ。早速炊いてみた。ミルキークイーンは、通常の米よりも少し水を少なめにしたほうが旨く炊ける傾向がある。僕の愛用しているミニお釜を使って、細心の注意を払いながら炊いてみた。

炊き上がり~蒸らしときた段階で、少し水が多かったと認識する。やはりこればかりは都度、新しい米を買うたびに、水加減を試行錯誤する必要がある。
米だけでかみ締める。あのネットリ感と、程よく強い甘さ、そして女性的な香りが鼻を抜ける。旨い。この米には、若干強めの味のおかずが合う。そこで、兄弟分の工藤ちゃんが作ってくれた自家製ベーコンを厚めに切ってカリカリに焼き、目玉焼きを2個つくり、これをミルキークイーンにのせていただいた。

ねっとりした黄身と燻したベーコンの脂が染みた米は、テリテリと輝き、なんともしっかりと旨味をましていった。納得の味である。今度は少し水加減を落として食べてみよう。米を代えるだけで、毎日の朝が楽しみになる、、、
ひろっきいの米は、通販で買える。興味のある人は試してみては如何だろうか。ただし、ミルキークイーン以外の米は、まだ食べてないゾ。
出張の合間に料理をする。そうでないと気が狂う。
さて関西の人には表題のような質問をしても「何いうてんの」と笑われるだけだろう。けど、関東の人はおそらくこの名前をほとんど知らないのではないか。
「うすいえんどう」
もちろんえんどう豆の一種だ。さやごと食べる鞘豆とは違い、グリーンピースのように肥大した中の豆を加熱して食べるものだ。関西の「豆ご飯」は、このうすいえんどうを使ったものである。その味わいは、グリーンピースよりも絶対的に繊細で、甘味がある。
産地として有名なのは和歌山県だ。和歌山の人はこのうすいえんどうの話をすると、急に遠い目つきになって、
「あれをね、卵とじにすると美味しいんよぉ、、、」
などと仰る。これを、和歌山出張のついでに買ってきた。無論、豆ご飯を作るのである。
豆ご飯の作り方はそれほど難しくないが、絶対はずせないポイントがある。
1.豆はご飯と一緒に炊いたほうが、見た目は悪いが旨い。
ご飯と炊くとどうしても色味が悪くなるので、別に塩湯でして炊きたてご飯に混ぜると言う人も居るが、僕は一緒に炊いたほうが、豆の味がご飯に移って旨いと思う。
そしてもう一つ、これが実に重要なのだが、
2.豆をとった鞘(さや)を茹でてダシをとり、このダシでご飯を炊くこと。
これを言うと皆びっくりするのだが、、、本当の話である。
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■鞘から豆をはずす

むいた豆は、薄めの塩水につけて下味をつける。
■鞘を茹でてダシをとる

中火でゆっくり煮込んで豆の味を出し尽くす。途中、味見をしてみると、びっくりするような甘い、いいダシが出ているはずだ。
■材料が揃う

写真の下のグラスに湛えられたダシを見て欲しい。こんなえんどう豆色になるのだ。
これでご飯を炊くだけだ。今回は秋田県「ひろっきー」のミルキークイーンで炊いてみた。
■炊く

水加減は豆がある分、少し多めにしたほうがいいだろう。それと、鞘からとったダシには当分が含まれているため、ガス火で炊くと焦げやすいので注意。僕のは小型のお釜なのでコゲがしっかりと出来た。
あとは、食べるだけだ。

ご飯に豆の甘さと緑々しい香りが鼻腔を抜けていく。豆はほくほくとして、淡い味わいだ。決してキラーアプリケーションではないが、本当にほっとする料理なんである。
和歌山県のうすいえんどうは旨い!
ご馳走様でした!
和歌山ラーメンには付き物の「早寿司」。これは、鯖(さば)の切り身を一口大の押し寿司にしたもので、和歌山のラーメン屋さんにはこれが山と積まれていて、客が会計時に食べた個数自己申告するという、おおらかなスタイルになっている。
さてこの早寿司、何が「早い」のだろうか。名前には意味がある。早いの反対には遅いがある。そう、実はこれは対語だ。早寿司の対極には、「なれ寿司」があるのだ。
「なれ」は「熟れ=熟成」の意を持つ。ご存知の方も多いだろうが、寿司とはもともと、魚を長期保存するために発酵させた食べ物であった。魚に塩をし、発酵を促進する米や麹などと一緒に漬け込み、乳酸発酵させたものだ。琵琶湖周辺の名物である「フナ寿司」もルーツは同じだ。
さて和歌山県の「熟れ寿司」には、当然ながら鯖が使われる。鯖に塩をして下漬けする。これを、ぎゅうぎゅうに押し固めて空気を抜いた飯の上に乗せ、重石を載せて発酵させる。押し固めて重石を載せるのは、空気を出来るだけ抜いて嫌気性発酵させるためだ。この辺の詳しい事情は、僕が敬愛してやまない、東京農大の小泉武夫教授の著書を読んでいただきたい。彼は世界随一の熟れ寿司文化探検家である。
とにかくこうしてできた熟れ寿司は長期保存可能な食品となる。特徴はとてもわかりやすい。「におい」である。とにかく、初心者には手におえないにおいであると言ってよい。僕も発酵食品は大好きで、たいていのものは美味しく食べられる。けれども時々「こいつぁダメだ!」と唸るものに出会うこともある。
けど、フナ寿司は大好きだし、熟れ寿司も大丈夫なはず、と思っていた。そう、何だかんだ講釈をたれたが、実はいままで手に入らなくて食べたことが無いのである。
以前、和歌山の農業者さんたちに講演をさせていただいたことがある。その講演後、予算をやりくりして、みなさんがぼくに熟れ寿司を買ってくださると言う。もちろん所望したわけなんだが、、、車を飛ばして老舗といわれるところに行くと、その普通の民家のような店のおっちゃんが「熟れ寿司はちょうど切れてて、早寿司しかない」という。そのときは仕方が無いので早寿司を20本買い求め、電車の中で5本食べ、家で10本食べ、会社に5本だけ「お土産だよぉ」と言って持っていった。
そんなわけで今回初めて食べたのだ!
食べさせてくださったのは、名前はいえないが僕の和歌山で最大級に敬愛する友人T氏である。このT氏が、熟れ寿司を食べたいという僕のリクエストを訊いて、なんと5種類の熟れ寿司を用意してくれたのである!買い求めに行ってくれたのは彼の美しい嫁はんである。
みよ!和歌山を代表する(と思われる)熟れ寿司、早寿司のラインナップである!

この中で本当の熟れ寿司は3本。有名な「弥助寿司」と「丸正(だったかな?)」そして「八つ房」のものである。その他は早寿司だ。
これらの熟れ寿司&はや寿司を買いに行った奥さんがコロコロと笑いながら言う。
「お店の人がね、『あのね、これはとぉっても臭くて、奥さんみたいな若い女の子はよう食べられんと思うよ』って言うんですよぉ。自分が売ってる商品なのにねぇ、、、」
そう、売り込みかけるどころか「大丈夫?ほんまに大丈夫?」と訊かれまくったという代物なのだ。面白すぎる!実はこの熟れ寿司、和歌山で出会う人たちに片っ端から聞いても、20代の人たちは一様に「食べたこと無いんです」という。T氏はかろうじて、おばあちゃんちで作っているのを食べていたそうだが、「やっぱり臭かったですよ」とのことだ。ますます興味深い。
さて何はともあれ食べてみたい。3種の「熟れ」を切ってみる。「弥助」の熟れ寿司を切ろうとビニールをはずす。店の人が「におうからねぇ」と厳重にラップを巻いてくれたそうだ。紙の包みをとると、アセという葉に包まれた棒寿司が出てくる。

もうこの時点で、あたりには異臭が漂っている。それもそのはずで、空気に触れやすい面は発酵が進んでこんなドロドロ状態である。

あたりに漂うのは、匂いというより「臭い」という感じで称したほうがいいだろう。本当に臭い。まさに異臭である。友人T氏は「くっさぁ~」と避難している。これを奥さんが全メーカー分一口大に切り、皿に取り分ける。
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おそらくこんな感じで多種の熟れ寿司、はや寿司を食べ比べると言うのは、和歌山に居てもないことだろうなぁ。なんという贅沢か。
さて ソファにすわり、T氏と共に思い切って口に運ぶ。瞬間、未曾有の体験が僕を襲った。
すんげぇ 臭いである。
強烈の一言だ。
この瞬間のT氏を写した2枚の写真を見ればそのショックはわかると思う。
■これが、口に入れた瞬間。

■臭いが鼻に回った瞬間。

きっとフナ寿司と同じようなすっぱい発酵なんだろうと思ったのだが、淡水魚のフナと海の鯖とでは、動物性蛋白のありようが全く違うらしい。鯖はむちゃくちゃに複雑にしてストロングな臭いを発生させると見える。
しかし、、、臭い臭いというだけではない。非常に高度にして複雑な味がある。いや、まさしくこれは旨い、と3種の熟れを食べて思うようになった。
弥助寿司の熟れは、かなり発酵がキツイ。鯖の切り身を下に当てるとピリっとやばそうな刺激がくるくらいに熟れているのだ!対して八つ房の熟れは非常に上品。発酵臭はするものの、食べやすい。丸正はその中庸の位置か。
ここでびっくりしたことがある。熟れ3種を食べた後に、それぞれのメーカーの早寿司を食べたのだ。ゆっくりかんだ瞬間、T氏と僕は顔を見合わせた。
「味が無い。」
そう、あまりにストロングな味を咀嚼していたためか、舌の感覚のダイナミックレンジが極限まで拡がった状態が出来上がったのだ。複雑な旨味の織り成す技だ。で、その直後に、発酵を経ていない、シンプルな味付けの早寿司を食べたものだから、味の要素が感じにくくなってしまったのだ。これはT氏も同意見。てことは、やっぱり熟れ寿司って豪華なものなのだ!
いや本当にびっくりした。
この熟れ寿司&早寿司、全部ぼくが持ち帰りさせていただいた。その後1週間、毎日食べました。もうこの味、香りに馴れてしまって、刺激がすごく心地よい。ビギナーには進められないが、、、
もし和歌山を旅することがあったら、ぜひ街の人に聞いて熟れ寿司を買って帰ってみて欲しい。すぐに月と同じくらいの距離に飛び出せることを請合おう。でも、本当に美味しいよ!こういう複雑な旨味を、たまには舌に刺激として与えないと、正常にして繊細な味覚は出来ないと思う。とても高度な味わいだと、この熟れ寿司については断定したいと思う。
今月は出張月間なわけだが、その先々で様々な郷土食材を味わう機会に恵まれることになる。北海道帯広と札幌、そして遠く東京にて鱈の白子をいただいたのは先日だが、野菜でとなると中々興味深い。そして、今回ちょっと採り上げたいテーマが見つかってしまった。それは、山形県と福井県の双方で名物になっている「赤蕪(かぶ)」である。
蕪という作物は、実はむちゃくちゃに種類が多い。店頭に出回っているのがいわゆる中玉から小玉の白いカブばかりなのであまり実感が湧かないかもしれないが、地方にいくと、その地元にしかない品種が多いのだ。中には、「ほんとにカブかぁ?」という形のものも多い。大根のように細長い形であったり、聖護院蕪のように巨大に丸い蕪も、実は各地にある。
そうした蕪の中でも極めて面白いのが赤蕪だろう。スーパーで赤蕪の酢漬けを売っているのをみて、「着色してるんでしょう?」という人も多いのだが、赤蕪とは天然の紅色素を含んだ蕪である。漬けこむと赤い色素が滲み出て紫がかった深紅の美しい色合いになる。そしてなぜか風味も白い蕪よりも強いことが多い。そして、山形県と福井県には、それぞれが誇る郷土野菜としての赤蕪が存在するのだ。
山形県で有名なのは、「温海(あつみ)かぶ」と「藤沢かぶ」という品種だ。どちらとも、焼畑で作られるそうだ。その辺、このWebに詳しい↓
http://www.slowfood-yamagata.jp/home/album/20031130.html
今回は、山形の農業改良普及員さんである一戸女史が連れて行ってくれた、生産者グループがつくった加工食品を販売するイベントにて、「これは買っちゃダメ。あ、こっちが本物。」と教えていただきながら、「藤沢かぶ」をセレクトした。このように、まるで大根のような姿形の赤蕪なのである。

対する福井県では、「河内(こうち)蕪」が有名なのであった。これは僕も知らなかったのだが、福井の農業改良普及員さんである土屋さんが、わざわざ手配して取り寄せてくださった。
なんとこの蕪も焼畑農法で作られる。赤蕪は焼畑でつくると旨いのかなぁ 詳細はこのWebを参照のこと↓
http://info.pref.fukui.jp/nourin/syunfile/syun5/akakabu.html
この河内蕪、やたらめったらに生産量が少なく、入手は難しいらしい。だから福井県外にはそれほど知られていないということか。土屋さんいわく、
「かなり硬くて、ボリボリと派手な音がします。」
とのこと。それは硬い物好きの俺好みなのであった。
ご用意いただいたのは上記のWebに書いてある生産者さんの赤蕪漬けである。この飾らぬパッケージが秀逸である。

さて この二つを食べ比べてみようではないか。
■外観
外観、といっても漬物になっているものを刻んでしまうので、あまり意味は無いのだが、、、
山形の藤沢蕪は大根に近い形であり、これを櫛形に切っていただくことにした。画像をみていただければおわかりのとおり、大根のような断面である。

福井の河内蕪は、形はオーソドックスな丸型らしい。今回の漬物は最初からカットされている。大きさを観ると小玉のものが使われているらしいが、本来的にはもう少し大きい玉が多いらしい。

双方の画像を見ていただければおわかりのように、なぜか双方同じような色である。どちらも深紅というよりは少し紫の入った魅惑的な赤だ。
■食感
山形の藤沢蕪は、形こそ大根だが、食感は当然ながら蕪である。ただししゃきしゃき感があり、通常の蕪のようなクニョッとした感覚は皆無。代表的な赤蕪の食感と言ってよいだろう。この食感が欲しくて、漬物を食べるのである。
福井の河内蕪は、土屋さんがおっしゃるようにかなり歯ごたえ