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僕が短角牛のオーナーになった日
やったあああああ 二戸市の僕の短角牛に、第一子誕生!
命名「さち」。我が短角和牛の母牛から産まれた可愛い可愛い子供に名前をつけた。岩手県二戸市は今日も温かな春日だった。
衝撃を受けてしまった、、、牛さんの世界にも”育児放棄”が存在する! どうも神経質な子だと思っていた僕の母牛が、子牛の”さち”に乳を与えてくれないのである。ショックだ、、、
褐毛和種という和牛 南国・土佐にて希少な褐牛の肉を堪能する!
岩手へ
3.5Kgの短角牛リブロース肉塊きたる。
熊本・阿蘇 あかべこ紀行はとにかく美しい世界だった!
日帰り岩手 プレミアム短角牛のプレス発表と福田パンとの再会
僕の短角牛に第二子が産まれた! 今度は雄。男の子が生まれたのです、、、
僕の短角牛たち。 さちはこんなに大きくなり、第二子「国産丸」はこんなふうに育ってます。
京都「南山」にて京タンクロの会発足。 牛肉には「交雑種」というジャンルがある。そこはまだ未分化な世界なのだった。
美味サライのプレミアム短角牛販売で、豪華にも短角牛セットのプレゼント企画がある!
島根県の元気な農業者の極めつけは、かつべ種畜牧場の勝部さんに決定である! 久しぶりに黒毛和牛を美味しいと思った一夜だったのだ!
畜産システム研究会の会場となったのは北大の静内キャンパス。なんと470haもの敷地内は、動物ワンダーランドだったのである! 肉牛のヘレフォード種と短角種、そして本物の道産子・馬を観た!
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2007年08月06日

二戸との出会い、そしてこの美しい生き物に惹かれた訳


前のエントリで書いたとおり、このたび短角牛の母牛のオーナーとなった。
色んな人がメールをくれて、

「肉にするときは呼んでね!」

というのだけども、誤解しないでね、僕がオーナーになったのは母牛ちゃんです。短角牛の場合、メスが産まれると基本的に肉にはせず、母牛として育てます。母牛は順調であれば生涯で10産くらいしてくれます。だいたい一年一産くらいだろうか。では、その産まれた子牛をどうするのか。それを出荷することになるのです。

母牛を育てて子をとり、その子牛を家畜市場の開催にあわせて出荷し、買って貰う。これを「繁殖農家」といいます。

その子牛を買い取り、成体となるまで餌を食わせ込むことを「肥育」といい、出荷に足る体重に達した牛を肉牛として販売する農家を「肥育農家」といいます。

酪農や豚の場合はこの繁殖と肥育を一つの経営体が行う「一貫経営」が中心なのですが、日本の肉牛の場合は通常、繁殖と肥育という二つのステージに分かれています。僕がオーナーになったのは「繁殖」の方です。

では僕の母牛ちゃんから産まれた子牛をどうするつもりなのか、、、ということが重要なのですね。

さて
僕と短角牛との出会いは、岩手県久慈市山形村という、岩手なのに山形という、なかなかに混乱する名前の村との関わりがその端緒となった。この山形村では、こだわり農産物・食品の宅配ネットワークである「大地を守る会」に村ぐるみで短角牛を供給している。山形村の短角といえば、下記エントリに登場したアレである。

■2006年11月27日 岩手県山形村の短角牛を使った「日本一高い牛丼の会」開催。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2006/11/post_937.html

実際にはこのエントリを書く前の2005年に、このエントリに出てくる「山藤」の料理長の梅田さんと共に山形村を訪れている。今年も行った。昔からの伝統的な食文化がきちんと残っている素晴らしい村で、生涯お付き合いをしたいと思ったのだ。

だから短角についてもこの山形村で突っ込むことになるだろう、と思っていた。

しかし、面白いことに今年、二戸で講演をした際の岩手大旅行で、大きな出会いがあったのである。それが、短角牛オーナー制度である。

■2007年02月14日 岩手県北を巡る旅 浄法寺・短角牛の素晴らしき世界を観た!
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2007/02/post_967.html

実はこのエントリで、せんだって二戸市と合併した浄法寺という町の短角牛農家さんを回らせていただいたわけだが、記事には書いていないがそこで「オーナー制度」を実施している牛舎を訪れたのだ。

オーナー制度とは、自分の家に短角牛を飼うことが出来ない人が出資し、各種の世話を組合に肩代わりしてもらうことで牛を所有する制度だ。これを実施しているのが、浄法寺の農家さんたちが立ち上げた「大清水牧野農業協同組合」である。

この時、案内してくれた杉澤さんは浄法寺の役場の畜産担当職員で、農家ではない。でも、

「俺もここで一頭の牛を所有しているんですよ」

と言う。

「それって、僕でもオーナーになれるんですか?」

と尋ねると、杉澤さんはうーんと難しい顔をしてこういった。

「一応、市外の方はお断りしています。それと、和牛商法問題とかが過去にありましたので、いろいろとトラブルがあってもいけないと言うことがあるので、非農家の方にオーナーになっていただくのは難しいということになってるんですよ。」

なるほど、それはそうかもしれないな、とその時僕は半分諦めた。
でも、「もし空きが出て、しかも市外人でもいいというご意向が出てきたらぜひお願いします!」と言って帰ってきたのだ。

数ヶ月後、その杉澤さんから「もしかしたら、オーナーになっていただけるかも知れない」と話が来たのだ。杉澤さん自身は、どんどん減少していく短角牛の将来と、協同牧野という組織の今後を考える中で、僕のような人間が短角のオーナーに取り組むということがプラスになるのではないか、と考えてくれていたようなのだ。

「おおまかな考え方としては、組合のキーパーソンに了承してもらいました。もし都合がよければ、母牛候補を観に来ませんか?」

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
マジですか?

と昂奮しながら7月の5,6日に二戸を訪問した。
僕は基本的に晴れ男なんだけど、この日は豪雨。二戸駅から、日本で唯一の短角牛専門焼肉店である「短角亭」の槻木(つきのき)専務が運転してくださる車で、40分ほどの時間をかけて大清水牧野へ登っていく。ぐんぐんと山道を登り、雨でけぶる風景がダイナミックな平原に変わってきたところに、牧野の監守さん達が暖をとる事務所があり、そこに杉澤さんが待っていてくれた。

「そこに、母牛候補の二頭を追い込んでおきましたから、まずは見てください。」


通常は広大な牧野を移動している牛たちの中から二頭、僕向けの牛を二頭選抜してくれていたのだ。その二頭がこの子達だ。

「牛を選ぶ際には、骨格と肉付きを見ます。僕としてはこちらの牛をお奨めします。」


残念ながら僕には素性のよい母牛を選ぶ眼がない。ここは杉澤さんにお願いするしかない!

「じゃあ、この子をお願いします!」

「わかりました!」

この子がその牛ちゃんである。

両耳に耳標(じひょう)が付いている。これは牛肉トレーサビリティ法(本当の名称はもっと長いのですが)によって定められた10ケタの「個体識別番号」を記載する耳標と、10ケタでは覚えられないので、牧野で独自に管理する番号を記載したものだ。

とにかく凄まじくどしゃぶる雨の中、まだまだ実感のわかない対面であった。
でも、別れの間際にこの子の体にそっと触れた手が、実に生暖かかった。体温がある、動物なのだ。この子のオーナーとなるというのは、とてつもない責任を負うことでもあるのだなぁ、と思ったことを記憶している。

「雨じゃなんですから、ちょっと小屋に行って話しましょう」

ちょっと離れたところにある小屋に移動。ふーと息をつく。なぜかわからないがこの時、二戸の振興局の方もご参加。

さてこの人が浄法寺役場の杉澤さんである。
前回案内して貰ったときに比べて、髪を切ったせいか爽やか度が非常にアップしている!

しかしその爽やかフェイスから出た一言は、はやる気持ちをちょっとダウンさせるものだった。

「実はヤマケンさん、昨日までは、本当に昨日までは順調に進んでいたんですが、ちょっと再度、組合内の意見を調整しなければならない状況になりました。」

やはり部外者、それも県外の非農家がオーナー制度を利用することに難渋を示す組合員さんもいるようなのである。

「ハッキリとダメとかそういうことではありませんので、組合としてきちんと話をして決めたいと思います。ですからもう少し時間を下さい。その間に、今回のオーナー制度がどのようなものかを理解していただくことが必要だと思いますので、少々レクチャーさせていただきます。」

(つづく)

01:37 | TrackBack

2007年08月08日

二戸との出会い、そしてこの美しい生き物に惹かれた訳 その2 ちょっとお勉強パートが長いけど、後半に焼き肉ショット満載どす。

さて、
僕がオーナーになるのは短角牛のメス牛である。なんと、二戸の短角牛では、メスは肉用にまわされることはなく、ひたすら子牛を産む役目を負うことになる。そしてこのメス牛が順調にいけば9~10産してくれるという。子供が生まれたら、通常はその子を市場に出荷する。もしくは自分で肥育農家に委託して、自分用の肉にしてもいい(食べきれないけどね)。

P7050036.jpg
つまり、素牛(もとうし、と読みます)の購入代金と、各種の手続きの代金、そして日々の餌代、管理代金を合わせた額が支出。そして産まれた子牛を販売して得られるのが収入。収入が支出を上回れば、生産農家に利益が出るわけである。この辺の具体的な数字もおいおい開示していきたい。ま、ハッキリ言って一頭のオーナーになるくらいでは、利益は数回の東京~二戸間往復運賃程度である。

でも、短角のオーナーになるというのは、そんなお金では測れない価値がある、と僕は思うのだ。

「えーそれでは。牛を飼う、というときに、避けて通ることが出来ないいくつかの制度や決まり事があります。」

このくだり、
牛を家畜として飼うということがどういうことなのかを知るのにはちょうどよい話なので、ここに来るまでの間に杉澤さんと交わしたメールやりとりも踏まえてまとめてみよう。

今回必要となる論点は下記の4つだ。

1.牛の登録登記について
 牛の登録登記とは、牛の住民票になるわけですが、現在は大清水牧野の組合長の名義で登録されておりますが、これをやまけんさんの名義に登録します。これによって、やまけんさんの所有する牛が誕生します。


→つまり、日本における家畜としての登録は僕の名義でできそうだということだ。


2.個体識別情報について
 牛には全国でその牛にしかない、10桁の番号がつきます。これを個体識別番号といいます。インターネット上にその情報公開データベースがあり、検索するとその牛の様々な情報が閲覧出来るシステムです。日本で産まれた肉牛は全てこのデータベースに登録することが必要となります。
 ただし、大清水牧野のオーナー牛制度は、牛舎を所有しない方が牛を所有する特殊な制度であるため、個人の名前では登録出来ないということになっているようです。しかし、飼養管理者である大清水牧野名義であれば、登録は可能となります。


→個体識別情報とは、牛肉トレーサビリティ法で記録と表示が義務づけられた10ケタの番号のことだ。スーパーでパック入りの牛肉を買うとき、国産の牛であれば必ずどこかにこの10ケタの番号が付いているはずだ。
 個体識別番号はインターネット上でも検索できるようになっており、ここで検索したら僕の情報が出てくる!という風にしたかったのだけど、ここには所有者ではなく直接の飼養管理者を登録しなければならないらしい。残念!


3.共済制度について
 共済制度とは、牛の保険制度です。牛が怪我をした場合や、事故等により死亡した場合等に摘要されるものです。これに加入できないと怪我の治療に要した経費は自己負担となりますし、死亡した場合の保証は無しとなってしまいます。
 これに関しては飼養管理者である大清水牧野として加入できる見込みです。


→生き物や植物を扱う農林水産業では共済制度が非常に重要になる。とくに牛はそのライフサイクルの中で医者にかかることが非常に多く、その全てを普通に個人負担で支払っていたら大変なことになってしまうのだ。


4.安定基金制度について
 安定基金制度とは、子牛市場で平均販売価格が国の基準より安かった場合、販売者に対して支給される補給金制度です。これには国や県の補助金が使われているのですが、他県の方への摘要は出来ないという回答が、関係機関からありました。このため、何らかの原因により価格が下落した場合であってもの保証は無しとなります。これについては、大清水牧野で加入ということは出来ないため、ご了承願うこととなります。


→今回の重要なポイントはここだ。
安定基金に加入できないということで、子牛の市場価格が変動し、格安になってしまった場合、加入農家であればいくばくかの損失補填を受けることが出来るが、僕は損失をそのまま受け止めるしかない。投資信託が元本割れしてしまうのと同じようなものだ。


このように制約は多々あれども、おおもとといえる登録を僕の名前ですることができるならばOK!である。損失が出たときにモロにそれを被ることになる、、、結構です。僕はこのオーナー制度を通じて、日本で牛を飼うこととはどんなことか、を体感したいと思っている。そこには数々の喜びがあると思うのだけど、一方で悲しみ・苦しみも多々あることだろう。それらの一切合切をひっくるめて負いたいと思っているのだ。

「あ、でもまだ決まったわけではないんですよね?」

「はい、まあ何とか大丈夫とは思うんですけど、、、ちょっと待ってて下さいネ、調整しますから。」


P7050039.jpg実はこの時、杉澤さんからこういう提案を受けた。

「やまけんさん、実際には僕が登録をして、僕の口座にやまけんさんが各種の経費を振り込むという、代理人形式での、いってみればバーチャルなオーナーということになってもいいですか?それならば共済、安定供給基金も問題なく加入できますし、組合内部でも問題はまったく無くなって、話が早いんです。」

なるほど、そういう手はある。
けれども僕は聴いた瞬間から、それはないな、と思っていた。

バーチャルなオーナー、では正直、自分が牛の生命を預かっているという実感がわいてこないのではないか。むしろ、価格安定の補償などを持たず、ヒリヒリするような感覚で出荷を決心したり、実際に市場価格の乱高下の影響で損をするくらいじゃなければ、自分の中に畜産に対する主体的なスタンスが出来ないじゃないか。そう思ったのである。

「杉澤さん、安定基金に入れなくても、自前でオーナーになる道を選びたいと思います」

「そうですか、わかりました。じゃあ、なんとか組合内部でOKとなるように頑張ります。」

と、力強く頷く杉澤さん。

「私個人としては、ヤマケンさんがオーナーになってくれるのは大歓迎です。岩手県は短角の最大の産地ですが、黒毛和牛の人気に押されて、その頭数はどんどん減少しています。広大な牧野を維持していくためには、空きスペースをつくるより、ちゃんと牛がいて育つことが何より必要です。
 でも、どこの誰でもいいという訳にはいきません。和牛商法ではないかと思われる人もいるかも知れません。また、安定基金の問題などをちゃんと理解していただき、リスクがあることをわかってもやりたい、という人でないと我々も飼養管理を受託できません。
 その点、ヤマケンさんは短角の特性を理解した上でオーナーになりたいと仰ってる。これは有益な新しい試みだと思います。私も真剣に、組合の皆さんに話してみますから!」

そう言って、力強く笑ってくれたのだ。杉澤氏、かなりのナイスガイである。

P7050037.jpg続いて二戸の振興局のお二人からは、牛肉トレーサビリティ法での個体識別番号の詳細についてレクチャーをしていただいた。
とにかく農林水産業の中でも、牛という大型畜種については非常にいろんな機関が関係しているのである。


ちなみに、このテーマで僕がこれから書くエントリを読む際に、予め了承して欲しいことがある。それは、このオーナー制度はどこでもやっているわけではない、ということ
また、県外人であり非農家である僕がこのようにオーナーになるというのは、現状ではかなり特別な例であるということだ。

上記1~4に記した各種制度については、杉澤さんが関係機関にすべて打診をし、公式見解をもらいつつ調整した結果である。ただし一般の人が同様に制度を活用できたり、飼養管理を委託できるかということは現在では未明であることを、ご理解いただきたい。

逆に言えば、僕がこのオーナー制度で問題を起こさずにやっていけたら、オーナー制度の一般への門戸も開かれるかもしれない。そんな、いいモデルケースになれるように頑張ろうと思う次第だ。

「さあて じゃあ短角牛を食べに行きますか!」

ざぶざぶの雨を避けながら車に乗り、ふもとまで降りる。浄法寺まで20分、浄法寺から二戸まで30分程度で、二戸駅近くにある奇跡の焼肉店「短角亭」へ。

■短角亭
〒028-6103 岩手県二戸市石切所字荷渡56-2
(二戸市合同庁舎から徒歩1分 )
電話番号 0195-23-0829
営業時間 11:00~22:00
http://www.yamacho-meat.com/eat/index.html

日本全国を見ても、短角牛に特化した焼肉店はここしかないだろう。
しかも、通常メニューには掲載されていないが、運がよければ短角の内臓肉を食べることが出来る店なのである。しかも、都内の焼肉店の単価から比べると、凄まじく激安、、、 焼き肉好きの皆さん、東北新幹線で東京~二戸間往復を負担する価値は絶対にあると思いますヨ!

短角牛の肩ロース!
赤身中心とはいうが、もちろんサシも入るのである。

これはハラミ。
短角のハラミなんてそうそう食べられないのですぞ。


出た!世にも貴重な短角のモツである。

上からギアラ、ホルモン、レバー。実は写真には撮らなかったけど、タンがまた最高なのである。
そしてこれがまた珍しい、ハツもと。

心臓の脇の大動脈、つまり血管である。
凄まじく心地よい歯応え。モツ臭さは皆無。軟骨のハード版という感じだろうか。


これら短角にベストマッチなのが、浄法寺地区の特産であるヤマブドウで醸造した「浄法寺ワイン」。杉澤さんが持ち込んでくれた。
このマークは、浄法寺にある天台寺の住職に就いていた瀬戸内寂聴さんの手によるものだ。

こちらは白。白いヤマブドウはないのでこれは違う国産品種だが、リースリングっぽい爽やかな甘さが食前にいい。肉をバンバンたべる食中は、ヤマブドウを原料にした赤がいい。

予想では、失礼ながら大した酒質ではないだろうと思っていた。
間違っていた! この濃厚な山の風味、短角牛の肉質とベストマッチである! 余り本数がないようだが、もし二戸に訪れることがあれば試してみて欲しい。ただし、短角亭には常備されているわけではないと思うので、ご注意を。

センマイはきちんと皮を剥いて白センマイに。変な臭みナシ。

とにかく短角牛の内臓は手に入りにくい。
これについては後日詳述したいが、牛の流通とは極めて複雑怪奇なのである。
だから、この短角亭でも、予め頼んでおいたとしても入らない場合がある。

岩手で焼き肉の〆といえば、そりゃ冷麺でしょう。こちらのは盛岡冷麺をベースにしているから、韓国のガッチリとしたコシのある麺とはちがい、プルンとした麺である。

もちろんビビンパにはユッケを。赤身肉のもも肉を叩いたのがたっぷり載ってくる。


ああ、素晴らしき肉に埋もれた一夜であった。
あとは杉澤さんに組合内部の意見をとりまとめていただき、僕を短角牛オーナーとして受け入れていただけるように祈るばかりなのである。

そして約1ヶ月後、またもや二戸を訪れることになったのである。

(つづく)

03:27 | TrackBack

2007年08月13日

二戸との出会い、そしてこの美しい生き物に惹かれた訳 その3

さて、岩手県二戸市は、本当に綺麗なところだ。
仕事柄、日本中の農業の産地を訪れる。あたりまえのことだけど、地方都市の駅前には農地はない。平地部でも中山間部でも、車で少し走らせたところに素晴らしい景観が拡がっている。そういう風景はたくさんみてきたけれども、今年の2月に初めて講演のために訪れた二戸の佇まいには感動した。駅から車で3分で、味わい深い山と川と田んぼの風景が拡がっているのだ。

■二戸駅前。東北新幹線が停まる駅である。それなのに、駅前ロータリーから大通りに出る交差点に、信号がない!なんとものどかなり。

■田んぼの風景。駅から10分くらいの間、山間地に入る前にこういう、見晴らしのよい場所がある。でも、それが結構あるので、いちいち車を停めてたら大変だ。


でも僕は、こういう風景が好きなのだ。完全な山間部ではなく、自然と人為が釣り合いしているような風景。

今年は温暖化の影響で、稲の生育も早まっているかと思ったが、初期の曇天が効いているのか、例年並みだということだった。


■山間部の農地にはいると、こんな風景だ。そこに人はいないけれども、人の営みがある。

■中程に見える、うす緑色の作物がなんだかお分かりだろうか。

これ、実はたばこの葉だ。
あたりまえのことだけど、たばこは植物なのです。二戸は国内最大級のたばこ産地。たばこは食べられないし、第一僕は一切たばこを吸わないので、個人的には全く価値のない作物。けれども二戸の農業の中では、実に重要な作物なのである。

さて
なんで山に向かっているかというと、とうとう二戸市浄法寺の短角牛担当の杉澤さんから、嬉しい連絡が届いたのだ。

「やまけんさん。大清水牧野農業協同組合で、正式にやまけんさんをオーナーとして迎え入れることが了承されましたよ。牛を観に来ますか?」


よーし!
とうとう、僕と短角牛との正式なお付き合いが始まろうとしているのである。

(つづく)

10:38 | TrackBack

2007年08月21日

今週は激烈スケジュールにて

エントリ書くの細々になりそうです。

それはそうと オリンパスのE-410を大満足で使っていますが、キヤノンが昨日発表したEOS 40Dはすさまじいスペックですね! EF-Sレンズも一通り持っているので、思わずほしくなりました。ボディもほしいしレンズもほしい。デジタルカメラの沼は本当に深いな、、、

このブログを始めたころの2003年とか2005年くらいまで、一眼レフカメラを使ってない頃なんて、画質もへったくれもないけど、きれいな写真をとることに関心が出てくると、本当に泥沼です。

ところで
自分を奮い立たせるために書いておきますが、10月に新書を出します!
9月中には絶対に書きあげるぞ!

ということで
メシ食って仕事だ!

11:26 | TrackBack

2007年09月03日

牛を飼うということを考えた時、偉大な先人・木次乳業の活動を学ばずにはいられない。


昨晩書いた木次乳業のプリンのエントリで、創業者の佐藤忠吉さんが「うちの牛乳は美味しすぎない」というようなことを書いていた、という部分、誤解を招いたらいけないなと思って、佐藤さんの話しを森まゆみさんが聞き書きされた本を調べた。

自主独立農民という仕事―佐藤忠吉と「木次乳業」をめぐる人々
自主独立農民という仕事―佐藤忠吉と「木次乳業」をめぐる人々森 まゆみ

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(以下、引用)

「農村は都市の植民地じゃありゃせんけん。生産するものが不健康で何がまともなものが作れるかいな、と気迫があった。消費者の奴隷にはならない。こびる必要もない。こびると必ずごまかしが入ってくる。ですから、『パスチャライズ牛乳は大量生産できません』『日本で一番うすくて美味しくない感じの牛乳です』と名乗りました」

(引用 終)

ふふふ、佐藤さんはもっと過激なことを書いていたんだなぁ!と思わず微笑んでしまった。

昨年度に木次乳業を訪れた時のことは今でも鮮明に思い出すことができる。


山あいの地にヒョッと出てきた工場で出会った佐藤貞之社長(佐藤忠吉さんの息子さんということだ)は、本当にひょうひょうとした感じの、力の抜けた方だった。難しい話しは一切抜き。

「時間もないみたいだし、牛を観に行こうか!」

と、自らの車で、山に登っていくワインディングロードをぐわんぐわんとばかっぱやく登っていく。

「山地酪農の地」と誇らしげに書かれた看板。しかしその牛舎には一匹も牛がいない。

「そりゃそうだ、今の時間はまだ牛は山にいるから」

ということで、山をとことこと登っていく。

大きなカーブを2回、まわったけれども牛は居ない。
うーん、いったいどこにいるんだろう、、、と思ってカーブを曲がりきったところに、彼らはいきなり居た。

うわっと僕ものけぞったけど、その時彼らの表情からも「なんだなんだ」「だれだだれた」「知らない顔だぞ」「興味津々」というような感情のようなものが見えた!

それにしてもブラウンスイス種は美しい。

長く牛舎用に改良されてきたホルスタインは、骨格や肉付きが運動に向いていない。山地に放牧されると、乳房が地面にすりつけられ、乳房炎になってしまって乳の質が落ちてしまったり、環境になじめずに病気になったりしてしまうそうだ。(ただし、先日高知県で山地酪農を見学したときは、3代くらいかけてホルスタインを山地向けに改良していた、そういうところもあるということだ。)

で、佐藤さんが出会ったのがブラウンスイス種。腰高なので乳房を引きずらないし、骨格も運動向きなのだ。しかし乳量はホルスタインほどは出ないし、あっさりした乳質になりやすい。そうした牛の質と乳質によって、山地酪農牛乳の殺菌法と味がデザインされていったのだ。

「この子達は牛舎に戻りたがっとるんですな。いま、扉を開けますけん。どどっと出てくるから、向こうの方に歩いとってください」

と佐藤さんがいうので最初のカーブで待つ。そうすると、山あいの小路を行進する、なんとも可愛らしい一段が見えてきた。


おおっこっちに来たぞ。あれ、とことこなんてカワイイ歩き方じゃないぞ、さすがに大型家畜。デカイ!どすどすと歩いてくる。

「ん? あの人誰?誰?興味津々!」とばかりにこっちに殺到!うわーーーーーーーーー


あまりに近接遭遇なのでちょっと丘の上に避難。とにかくすごい迫力なんである。
面白かったのは、同行の女性編集者I女史にまとわりついていたこと。彼女は困り切っていたが、牛が鼻をおしつけてくるのだ。きっと香水の香りに関心を示したんだろう。「やっぱ女の子が好きなのかなぁ」と思ったが、乳を出す牛はすべてメス牛である。謎。

放牧が終わってから、牛舎でも健全な餌を食い込ませているようだ。

「さて昼飯でも食べましょうか」

と佐藤社長が社員食堂に誘ってくださる。
じつは木次乳業の社食については、某畜産団体の友人が「感動ものですよ」と教えてくれていたのだ。

小さな食堂には社員さん達が集っておられた。
恐縮なことに社長みずからがサバをやいたのを取り分けたりしてくれる。

ご飯とおかずのラインナップを観ればお分かりの通り、非常に健康的な食卓だ!


木次乳業とはこういう会社だ。
ちなみに木次の牛乳商品全てがブラウンスイス種の山地酪農牛乳ではないのでご注意。
通常の木次のは、ホルスタインの生乳を低温殺菌したものだ。



豊富な商品をもつ木次乳業。取材の時に商品集合写真を撮っておいて本当によかった!

さてこんなに長々と木次乳業のことを書いているから、木次の牛乳を飲んだ方がいいよ!ということを僕が言っているのかと思われるかもしれない。でも違うのだ。

先の本を読むと、大きなオチが付いているのである。

(引用)

「ただし東京のお人が、遠くの出雲の牛乳を飲む必要はじぇんじぇんございません。関東でいい乳業メーカーを自分で探しなさい」

(引用終)

ガツーン!
と衝撃が来る。

そうなのだ。島根の牛乳製品を東京で飲もうとしたら、輸送コストもCo2排出も、そして余分な衛生管理も必要で人件費がかかる。そんな社会コストをかけるよりも、関東の人間は関東でいい乳業メーカを探し、飲むべきということだ。「ううん、でもそう言うところがないのよ」という人も多いだろうが、だったら頼みに行くなり、そういう牛乳が飲めるよう行動を起こしていくべきだ、ということを確認させてくれる言葉だ。これは水に関しても言える。PET入りの水を輸入したり、日本の名水を飲むのもいいけど、本来的には自分の住んでいる家の水道の蛇口から出てくる水が不味いなら、水源から家までの水質浄化を求めて行動を起こすべきである。僕も家では浄水器をつけて、極力買ってきた水は飲まないようにしている。外ではそうはいかないのが残念だけど、本質はそういうことなのではないだろうか。

しかし牛乳については関東近郊でもいい乳業メーカがあるし、手に入る。僕は大地を守る会の低温殺菌牛乳を飲んでいるが、これは静岡の函南(かんなみ)から来る乳製品で、その施設も見学させて貰ったことがある。本当は東京近郊に欲しいところだが、、、

ということで、
プリンの話しから異様に大きく脱線してしまったが、冒頭で紹介した本は素晴らしい内容だ。読んでおいて損はないと思う。

改めて木次乳業さん、ありがとうございました。

10:43 | TrackBack

2007年09月28日

週アス短角牛まるごと一頭焼肉企画、とうとう本日出荷だ!

週アスと展開している、岩手県二戸市の短角牛一頭山分け販売企画、なんと4日間で全セット完売したわけだが、とうとう本日出荷! 山長ミートでカットされた肉とタレが、今回購入者にむけて発送されるのである。

しかも今回、朗報が。なんと肉が思ったより多くとれたので増量するとのこと!


今回頼んだ人は本当にラッキーだ、、、マジで今回の価格は捨て値ですよ。捨て値。
俺も両方のセットを頼んだけど(もちろんお金はらうんだよ)、喰いきれるか?という量だ。

それにしても、特殊な販売方法だ。もしこれで予想より肉がとれなかったら、、、他の牛の肉を混ぜる、ということは今回の趣旨からは出来ない。そういう、シビアな読みが必要だったので、実はかなり胃が痛くなるようなヒリヒリした感覚だったのだ。でも、農畜産物は全部、とれてみないと、中身を割ってみないとわからないというのが真実だ。それを許容してくれないと、消費者もいい目を見られないということがあるように思う。

そう言う意味でも、今回このリスキーな企画にのって買ってくれた人たちには感謝したい。
岩手県の短角牛関係者の人たちも、かなり今回の件は注視してくれているそうだ。
少しでも短角牛が拡がるステップになればと思う。

今回の増量の件、詳細はアスキー出張所↓にて。
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00:40 | TrackBack

短角牛ステーキ&焼肉セット、出荷完了!とのこと、、、

本日は日帰りの大分出張。
大分空港からタクシーで一時間かけて別府まで行き、講演90分、温泉にもつからずにとんぼ返りでまた戻って空港で寿司だけつまんで東京へ戻るという強行軍。疲れたー

その間に、アスキー365の担当アダチさんから嬉しいメールが。

「無事に15:40、出荷完了という連絡が入りました!」

よかった、、、
短角をお買い求め頂いた皆さん、1kgでの販売でしたが、おおむね1.1kgくらいになっているようですので、お楽しみに!
そして山長ミートの槻木専務、お疲れ様でした!

で、もう一つ重要な連絡が。

「BSE検査も合格しました!」

そう、だんだんと沈静化しているように見える、狂牛病と言われていたBSE問題だが、日本ではほとんどの食肉処理の段階で、BSE検査が行われている。今回出荷する短角牛、まあ当然ともいえるが、この検査は楽勝でクリアした。その証明書がこれだ。
WS000009.jpg
短角牛は、産まれてから8ヶ月くらいを牧野に放牧されて育つ。この間は、母牛の乳と草のみを食べて育っているわけだ。その後、しっかりした骨格が出来た段階で肥育農家に引き取られ、牛舎で穀物や乾草などの飼料を与えられて育つ。

ちなみに今回の肥育農家は漆原さんという、二戸で最も大規模に短角牛を肥育している方だ。
P8010134.jpg
彼の牛舎では可能なかぎり配合飼料を使わず、麦原料をベースにした飼料を与えている。それをこの目で見てきたから、BSE検査など大丈夫だと思っていたので、まあ、よかったよかったという感じだ。

で、このBSE検査は、2000年代前半は国からの補助金で行われていたが、今後は打ち切りとなる。
補助の打ち切り後どうなるかというところに焦点が集まっていたわけだが、各市町村の対応としては「消費者が不安視するから継続した方がいいだろう」とかいうものが多いように見受けられていた。

しかし、新聞各紙でも報道されたが、農林水産省がわざわざ各県に「どっかが自主的に続けると消費者が混乱するから、一斉に辞めて欲しい」というような通達を出した。これは非常におかしなことだ。BSEのリスクは「極めて低くなった」ということは明らかだと思う。しかし、それはそれで不安が残っている消費者も多いわけだ。それに対して自主的に検査を続けようとする意向を、国が通達をして潰そうとするのはさすがにまずいでしょう。この辺、皆さんはどう思われますかね。

ということをちょっとだけでも考えながら、今回の短角牛を味わっていただけると、より一層今回の企画に参戦していただいた意義があるような気がする。

まあ、小難しい話しはどうでもいいや、という気もするけど、僕としては今回の短角牛企画は、そもそも黒毛和牛一辺倒の世の中に対するアンチテーゼという意味も持っているのだ。

黒毛和牛の飼育で食べさせる餌は、その大部分が輸入穀物のコーンなどである。対して短角牛は、岩手県で育っているものに関して言えば、彼らのライフサイクルの1/3は、その土地の草を食べて育つ。どっちが本当の意味の「和牛」だろうか

ということで、明日みなさんぜひきっちり味わってくださいませ。
私は久しぶりに七輪に炭火をいれて肉を焼くつもりです。

そうそう
アスキーの方で、「短角牛セットを写真に撮ったのを送って下さい企画」を行うらしい。
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やまけんさん、
焼いた!喰った!の速報を書いていただく際に
実際に食した方の
「食い倒れフォト&コメント」も送っていただくよう
ぜひブログにお書き添えください。

フォト&コメントの送り先は
asc365-929@ml.ascii.co.jp(応募締切2007年10月8日)
です。
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とのことなので、ぜひたくさんのご応募お待ちしております!
では、明日に向かって寝るぜ!
おやすみなさーい。

23:07 | TrackBack

2007年09月30日

激闘 短角牛! 今宵僕は600gの肉に溺れた、、、

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肥育農家の漆原さん、そして精肉卸の山長ミートさん謹製のステーキセット、、、素晴らしかった!
まさにグレート! これでひとつ肩の荷が下りた、、、
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肉は本当に大幅増量。
焼肉セットは150g余分に入っていたくらいだ。予想より肉がとれたという、嬉しい誤算。

我が家はもう、どんなに換気しても焼き肉の香りしかしません。
ブログアスキー出張所の方に詳細報告アリ。とくとご覧くださいませ↓
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00:33 | TrackBack

2007年10月09日

僕が短角牛のオーナーになった日


ちょっと間が空いてしまったが短角牛のこと。
某日、二戸市浄法寺総合支所の短角牛担当である杉澤さんから、嬉しい連絡が届いたのである!

「やまけんさん、組合内で正式に、やまけんさんに牛のオーナーになって貰っていいだろう、という合意がとれましたよ!正式な手続きはこれからしますが、とりあえず大清水牧野農業協同組合のオーナー名簿にはやまけんさんの名前で牛を登録しておきますので!」


やったぁああああああああああああ!

まだ雪の降る2月に初めて短角のオーナー制度に出会って以来、そう簡単にはオーナーにはなれないだろうと、なかば諦めていた短角牛のオーナーになることができるのである!

ちなみに少し間が空いてしまったので復習をしておくと、短角牛のオーナーになるというのは、短角牛のメス牛の所有者になるということである。まだ正式な金額がこちらに届いてないのだけど、購入にかかる費用がおそらく20数万円。

そのメス牛は二戸市浄法寺町の大清水牧野という広大な牧草地帯に放され、生まれた仔牛と共に夏を過ごし、冬はオーナー牛舎で2月下旬から始まる出産ピークに向け体調管理されるのである。料金は、夏の放牧料が親子で1日240円程度で、冬は餌代も含めた牛舎での管理費用が一日500円程度。これを年ごとに決済していくわけだ。

牧野に居る間、短角牛のメスの群れの中に一匹の勇壮な種雄牛が放たれる。
つまり完全なるハーレム。雄牛はじゅんぐりに、発情期を迎えたメス牛に種を付けて回る。余程のことがなければ、晩秋の雪が降る前に種が付くわけだ。
で、子牛が生まれたら、秋まで育成して、家畜市場に出荷する。いい値段が付けば、母牛の購入代金や餌・管理代と相殺でき、母牛が数回お産をする中で損益分岐点を超えるということになる。


もちろん、子牛を市場に出荷するだけではなく、子牛を信頼置ける肥育農家に預けて、肉牛として太らせてもらうこともできる。その場合は預託料金を肥育農家に支払うことになる。そして、市場での買参権を持つ肉屋さんに頼んで、自分の牛として買い入れてもいいわけだ。

むろん、僕は最初に生まれてくる子牛はこの形式で、最後まで自分の牛として、肉にするところまでを見届けたいと思っている。1頭の牛を肉にすると、250Kgくらいになるから、とてもじゃないが数人で食べ尽くすことは出来ない。その時には、大オフ会を開催する予定なので、ぜひ色んな人に集まっていただきたいと思う。

で、
牛の所有とは別に、この国には牛を飼う場合の制度がある。日本で生まれ育つ牛が全て登録されている個体識別データベースに申請・登録しなければならないということと、あとこれは農業者の任意ではあるが、共済制度に加入するといったことだ。ただしこの辺は、実際に牛の管理をしてくれる大清水牧野農業協同組合が登録を肩代わりしてくれる。

僕の牛の個体識別番号は1231175826だ。
この番号を、全国の牛を管理している家畜改良事業団という団体の検索システムに入力すると、牛の出生・移動履歴を観ることが出来る。

■家畜改良事業団の個体識別情報検索ページ
https://www.id.nlbc.go.jp/top.html

ここで僕の牛ちゃんの番号を入力してみると、大清水牧野農業協同組合の組合員である二戸市浄法寺町の堀口さんという繁殖農家さんのところで産まれ、そして現在は大清水牧野にいるということになっているのがわかるだろう。そして草が枯れ、雪が降る時期になるとまた大清水牧野オーナー牛舎というところに入ることになる。そうした移動の履歴がいちいち記録されるのである。

「オーナー制度では、牛の管理を全面的に大清水牧野農業協同組合が行っているためヤマケンさんの名前は出ないんですけど、大清水牧野農業協同組合のオーナー名簿上はやまけんさんの名前で登録していますからね。」


ということである。
ちなみにこの娘が僕の雌牛ちゃんである。
角がキュッと外に伸びた、清廉なイメージの若娘なのである。
これで、晴れて彼女は僕の牛ちゃんになったということなのだ。
そうなってみると本当にこの娘牛に対する、なんともいえない感情が芽生えてきた!
あまり頑張りすぎ無くていいから、健やかに育ってくれよな、、、
という気持ちになってしまう!

これから可能なかぎり、牧野に通いたいと思う僕なのであった。

08:39 | TrackBack

2008年03月24日

やったあああああ 二戸市の僕の短角牛に、第一子誕生!

岩手県二戸市より、嬉しい知らせが届いた!
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僕がオーナーとなった短角牛母牛の、待望の第一子の誕生である!

「4月くらいにずれ込むかなぁ、と思ってたんですけど、産まれましたねぇ。メス牛です。実は時同じく、私の牛も子を産みました。」

と、二戸市浄法寺の役場の短角牛担当である杉澤ちゃんが連絡をくれた。

メスである。メスの場合、肉にしないで繁殖用の母牛として確保するということもできるのだけど、、、
公約通り、この子は謹んで肉用に育てたいと思う。
それにしても、生まれてきた仔牛のかわいらしさを観ると、この子をいずれ肉にするということの重みがズシッと重くのしかかってくる。畜産農家は常にこの重さと対峙しているわけである。この喜びと愛情と辛さを、逃げずに感じきっていきたいと思う。
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この仔牛の命名権は僕にある。ひらがなで名付けるそうだ。考えなければ、、、

ちなみに
関心のある人もいるかもしれないので、この母牛オーナーになってからかかったお金がどのくらいかを書いておこう。

まず母牛となった短角雌牛の代金は282,450円である。

この牛を世話してもらう代金が一日500円。11月から3月末まで152日で76,000円。これに諸費用を加えて8万円程度となっている。子牛の預託金額についてはどうなるのか?この辺はまた再度レポートしようと思う。

ああ、それにしても子牛が生まれてしまった。
いずれは食べてしまう子牛である。でもカワイイ。とりあえず会いに行かねばなるまい、、、
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11:49 | TrackBack

2008年04月23日

命名「さち」。我が短角和牛の母牛から産まれた可愛い可愛い子供に名前をつけた。岩手県二戸市は今日も温かな春日だった。

 
既報の通り、3月16日に僕の短角牛に、子供が産まれた。初産にして、待望のメスの子だ。二戸市浄法寺支所の短角牛担当・杉澤君に「名前、どうする?」と聴かれていたのだけど、この間ずっと悶々としていた。

何に悶々としていたかというと、この牛は最終的には肉にして食べようと思っているのである。その牛に対して名前をつけるということが、なんとも苦しいのだ。可愛らしい名前、考え抜いた名前をつけることで、余計に「でも食べるんだよなぁ、、、」という現実が迫ってくる。

前にも書いたとおり、メスが産まれたということで、今僕がオーナーになっている牛と同様に、子供を産むための繁殖雌牛として、長く生きてもらうのでもいいじゃないか、と思いそうになったことがある。やっぱりと畜に出したくないのだ。けれども、それでは当初から考えていた、「畜産農家の方々がどのような思いで牛を育て、出荷しているのか」を学ぶことができない。

だから、僕はこの子供を、最終的には肉として出荷し、自分で食べようと思っている。

しかし、、、実際に会ってみて、本当に参ってしまった。可愛いのだ、、、2008-04-22№[0096]
なんだかもう、本当に参っちゃうくらいに可愛らしい子牛ちゃんなのである。
バンビのような、クリッとした愛らしい目に、綺麗に揃った足がほんとに可愛い。2008-04-22№[0136]
きちんとおでこにはきれいなつむじが巻かれている。
名前をつけるという行為はとてもつらいことだなぁ、、、と思ってしまった。名前をつけさえしなければ、この子は「牛」なのである。けれども名前をつけてしまったら、モノではなく自分が向き合う対象になってしまうのだ。

でも、僕は名前を決めた。2008-04-22№[0060]
命名「さち」である。

ちなみに牛の個体登録においては、名称はひらがなでの登録になる。「さち」とは、この子に幸多かれと思ってそうしたのだけれども、そう思えば思うほどに、肉にするという行為が今から辛い。2008-04-22№[0058]
これがさちの鼻紋である。指紋と同じように、牛の鼻はすべてユニークで、識別可能なのだ。
2008-04-22№[0104] 
今回驚いたのは、母牛の変わりぶりだ。
以前は本当にデリケートな娘で、僕が近づくと、餌を持ってちらちらさせようが何をしようが、全く寄ってきてくれなかった。警戒心が強いのだ。
しかし今回は、そんなことはなかった。とくに人間にすり寄ることはないが、餌の乾草を与えようとすると、手から食べてくれる。子供を産んで、堂々とした感じだ。やはり、人間の世界と同様に、母は強いと思った。
2008-04-22№[0098] 
牛は子供への愛情が強い。自分の子以外の子牛がすり寄って乳を飲みに来ても、追い返してしまうそうだ(なかにはその間隙を縫ってちゃっかり別の母の乳を呑む子もいるそうだが)。

この母子は、5月のはじめには、放牧に馴致(じゅんち)させるために牛舎の前の放牧場に出される。外の世界との邂逅である。それで十分に馴れたら、いよいよ「山上げ」。稲庭岳に拡がる大清水牧野の、180haの広大な牧野に放たれるのである。

ところでこの日は、種雄牛センターに寄って、僕の可愛い娘に種をつけやがった雄牛に会いに行った(笑)2008-04-22№[0208] こいつがその失礼千万な雄である。でもまあ、可愛い子供も産まれたし、許してやろう。居並ぶ雄の中ではなかなか優しい目をしている。短角牛は、本交といって、人工授精ではなくきちんと雄と雌が○○○をして子を産む。

とはいっても大ハーレム状態だ。40頭のメスの群れにオスは一頭。この浮気者め、、、2008-04-22№[0240] 大清水牧野にはまだ雪が残っていた。5月にはいると、バラ線(有刺鉄線)を上げて牛が逃げないように囲いをつくり、そこに牛を放つ。2008-04-22№[0242] 牧野には爽やかな風が吹き、発電用の風車が回っていた。ここに短角牛が放たれ、悠々と草をはむ風景を、みんなに見せてあげたいものだ。

そうそう、今回は県との仕事で来ている。今年の9月か10月に、首都圏からこの短角の放牧風景や雑穀の収穫などを観てもらうためのツアーを企画することとなったのだ。別途お知らせするので、心の準備をお願いします。

もちろんそのツアー内では、これまでブログに書いたいろんな処を廻ることとなる。
2008-04-22№[0018] 
「つぶっこまんま」の雑穀お膳も食べていただくことになるし、
2008-04-22№[0264]
「短角亭」では、たっぷりここでしか食べられない短角の肉や内臓を食べていただくことができる!
2008-04-22№[0266] 
生のギアラ。最高だ!
2008-04-22№[0270] 
何枚かは火を入れずに食べてしまったレバー。臭みのたぐいは一切無し。
2008-04-22№[0282]  2008-04-22№[0278]

2008-04-22№[0286] 2008-04-22№[0288] 朝6時56分の新幹線で東京から二戸に行き、午前中は役所で打ち合わせ。つぶっこまんまにて昼食、そして山に上がって子牛に会いに行き、牧野等を廻って短角亭へ。東京行き最終便の20:12の新幹線で帰る。どっぷり浸かれてしまうけれども、一日行程も可能だ。

二戸との本格的な付き合いが始まりそうだ。

12:52 | TrackBack

2008年07月05日

衝撃を受けてしまった、、、牛さんの世界にも”育児放棄”が存在する! どうも神経質な子だと思っていた僕の母牛が、子牛の”さち”に乳を与えてくれないのである。ショックだ、、、

仕事の合間を縫って二戸へ。実はきたる14日(月)に、都内某所で短角牛のイベントを開催する。23日に行ったオフ会とは違い、お客さんを料理人&料理マスコミ限定とするものだ。

当日に調理をするのはなんと、、、ラ・グラディスカの堀江純一郎シェフ。今、イタリアンの世界で、しかも肉の焼き手として注目されている人である。その準備もあり、新幹線に乗って二戸へ。社内では原稿三昧。

20:47に到着後、すみやかに短角亭へ移動し、当日お話しする講演内容を打ち合わせしながら食事。P7036221 写真は、本当は昼にしか出ない短角牛丼ランチセット。これが実に好評だという。確かにカルビなど焼いたのがどさどさと載っていて旨い!

翌日の二戸は、雨の予報だったが、駅周辺では晴れ間まで見えていた。P7046234P7046227 P7046232 二戸駅前から浄法寺行きのバスに乗って30分くらい上ると、市役所の浄法寺支所に到着。僕の短角母子を世話してくれている杉澤君と落ち合って、山に登る。

山の天気はめまぐるしく変わる。残念ながら登り出すとすぐにガスがかかっていて、一種幻想的な雰囲気のなかに短角の群れがいた。P7046349 ええと、やまけんちゃんの牛はどれだったっけな、、、と探す。短角の群れはだいたい45頭くらいで、その中に一頭、雄種牛が入っているというハーレム状態だ。P7046341
短角に限らず、牛は群れるのでだいたいの位置を把握しておけば、広大な面積の牧野をあっちこっち廻る必要はない。

「日差しが強いと林の中で涼むから、外から見てもよくわからないんだ。今日はかえって探しやすいよ」

とのこと。 P7046243 「ああ、いたいた。あれがさちちゃんだよ!」P7046252 
おお、本当だ、「さち」だ!
僕が命名した「さち」。3ヶ月ほど逢わないうちに、いかつい身体になってたらやだなぁと思っていたが、さすがに雌牛だけあってそんなことはない。

やっぱりうちの子はかわいいぜ~P7046260 しかし、、とても気になることが起こっていたのだ。さちに限らずこの牧野には母子関係にある牛が10組くらいいるのだけど、子牛は乳を飲みたいので、母のところにすり寄っていく。近くに母牛がいない時には、「もぉおおおおお」と声を上げて母を呼ぶ。そうすると母牛もなんらかのコミュニケーションを返して、ご対面となることが多い。

しかし!

P7046414僕がオーナーとなっているこの母牛ちゃんは、さちに乳を飲ませようとしないのだ!

さちが彼女を見つけて近寄っていく。乳にむしゃぶりつこうとしているのだが、、、 P7046374母はぷいっと去っていってしまうのだ。 P7046375 哀れ取り残されるさち、、、P7046376 なんてこったい!
最初のうちは僕も冗談ぽく杉澤君に「おいおい、育児放棄かよ」と言って笑っていたのだが、そのうち杉澤君がマジ顔で「うーん本当に乳を飲ませたがらないでいるなぁ」という。

どうやら、彼女の乳がちょっと腫れている状態らしい。

「本当はそういう、張っている時ほど乳を飲ませた方がいいんですけど、彼女はまだ初産だからそういうことがわからないのかも知れないね。」

えええええええええええええええ
なんだよぉ、、、そんなのありなのか、、、

ちなみにその周りでは当たり前のように授乳風景が繰り広げられている。P7046313
牛は愛情細やかな生き物だそうで、1年以上乳を飲ませるらしい。草も食べるし乳も食べる。それで大きく育ってくれる生き物なのだ。

でも、僕の母牛は今、さちに乳を与えてくれない。かといって愛情をかけていないわけではないらしく、隣りに寄り添ってはいる。P7046385 P7046386  でも、さちがお乳を求めると、プイッと移動してしまうのである。仕方なくさちは草をたべる。でもお乳が飲みたい。「おうううぅうううう」と悲しそうに泣く。みていて切なくなる光景だ。P7046412あろうことかさちは、他の牛さんの乳にすり寄っていくようになった。

「もらい乳」である。これは通常は成功せず、追い払われてしまうそうだ。事実この時すり寄っていった雌牛は、まだ未経産牛だった(妊娠したことがない雌牛ということ)ので、乳に吸い付いたとしてもなんにも出てこないのである。 P7046416うーむ

牛さんの世界にもいろんなことがあるらしい。

「まあ、次の衛生検査でいろいろ調べますから、また対策しておきますよ」

と言われて山を下りたのである。 P7046405 さちよ、強く生きてください。

18:53 | TrackBack

2008年08月21日

褐毛和種という和牛 南国・土佐にて希少な褐牛の肉を堪能する!

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和牛には黒毛和種、短角和種、そして褐毛和種、無角和種の4種類がある。褐毛は正式には「あかげ」と読むらしいが、この褐毛和種を育てている地域が主に二つある。一つは有名な熊本のあかべこ。阿蘇山で放し飼いの風景を見たことがある人も多いだろう。

そしてもう一つが高知県。山間部が多い高知県内では、放牧で牛を飼う山地酪農をしているひとが結構いるのだけれども、肉牛である褐毛和種についても、母牛と仔牛については放牧で育てているところがある。

今回は高知県の畜産試験場で、本物の褐毛を見せていただいた。のみならず食った!

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これは雌牛。ブラウンスイスにもにたチャーミングな牛ちゃんだ。 P8179359n
冒頭の写真はこの褐毛種を肥育した去勢牛のサーロイン。みておわかりのとおり油が相当に載っている。これは、黒毛和種と同じように穀物で肥育しているからだ。いってみれば、短角牛と黒毛の中間くらいのサシの乗り方。アミノ酸のうま味もたっぷり。実に美味しいけれども、個人的には粗飼料のみで肥育した褐毛を食べてみたいと思った。

今回の店「はがじぞう」では、なんと超希少な、褐毛のタンを食べさせていただいた!すげー旨い!健康な和牛のタンは、食感がシャクシャクしていて最高である。P8169019P8169044 
この褐毛種を粗飼料肥育してみたい、、、
一頭、飼うから粗飼料だけで育ててくれませんか?とお願いして帰ってきた。

短角牛の次は褐毛か、、、来月は阿蘇の褐毛和種も見学にいきます。

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13:37 | TrackBack

2008年10月05日

岩手へ

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いよいよ今日から一泊二日間の、岩手県北部 二戸・久慈市を廻る旅だ。若干寝不足気味、、、新幹線の中で眠ることにしたい。

今回の抽選で漏れてしまった皆様、本当に申し訳ありませんでした。一人一人にメールを差し上げたかったのですが、まったくその余裕が無くて失礼いたしました。オフ会というのが始まった最初の頃からお付き合いいただいていた人たちもたくさんいたのだけれども、なんとも心苦しいことです。

こういう企画をすると、いつも辛い。応募者全員が参加できるイベントを企画すればいいのだけれども、なかなかそうもいかない。ジレンマですね。

さて、今回さちには会えるだろうか。

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前回、僕がオーナーになっている母牛が、さちに乳を与えない!という事件があったことを覚えているだろうか。あの後しばらくして、乳房炎も直り、乳を与えているという連絡がはいった。

しかし、今回のことで、この母牛の系統は乳房炎になりやすい血統かもしれないという懸念を、世話をしてくれている杉澤ちゃんから連絡を受けた。

実は先日、中四国農政局主催の畜産関連の講演をした際、夜の席で畜産ご関係者の皆さんから「短角のメスが生まれたなら、肉にして食べるなんてもったいないことを言わないで、繁殖用の母牛にしたらいい。2頭の母牛をもてばいいじゃないか」ということを言われた。で、ここしばらく「食べる」と決めたさちを、母牛にしようかと真剣に考えた。その矢先に、杉ちゃんから言われたのだ。

「やまけんさん、次に子牛が生まれても、また乳房炎になる可能性があります。この子は繁殖メス牛にはしない方がいいかもしれません」

うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん

そうかぁ、、、

ということで、やはり可愛いさちは、肉牛として肥育することになりそうだ。それはまたちょっと辛いことではある。

ともかく

顔を見てきます、、、

では、これから行ってきます!

06:49 | TrackBack

2008年11月16日

3.5Kgの短角牛リブロース肉塊きたる。

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雑誌連載用に撮影した、短角牛のリブロース。いつもお世話になっている山長ミートの槻木専務が「たまには嫁さんにも食べさせてやんな」とポンと渡された。といっても、ポンと手渡せる重さじゃない。発砲スチロール箱にズシッとくる重さ。会社に戻って社員に切り分けて、自宅用に持って帰ってきてこの厚みだ。
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このリブロース、短角牛にしてはかなりサシの入りがいい。

「短角は赤身が旨いって言ってる立場からすると、こんなサシ入りの肉じゃダメなんじゃないの?」

といわれそうだが、実は短角の脂は、粗飼料を多給されているからか、くどさがあまりない。だから、これだけ脂が乗っていても、嫌にならず美味しく食べられる。
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実は昨日、我が子牛の「さち」にも会ってきた。

放牧されていた山を降りて初めての牛舎の中に入ったことで、環境が激変し、ちょっと興奮状態にあった。もちろん、近づこうとしても全く馴れてくれない。

さちが肉牛として仕上がるのは、再来年の夏あたり。その間、ゆっくりお付き合いをしようと思う。

ちなみにさちの母親は、すでにもう次の子を孕んでいるはずだ。僕の短角牛オーナーの二シーズン目が始まろうとしている。

23:51 | TrackBack

2009年02月13日

熊本・阿蘇 あかべこ紀行はとにかく美しい世界だった!

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柴田書店の「専門料理」の連載が3年目を迎えているが、ここ3ヶ月くらいは短角牛ではなく、「褐毛和種」の話題となる。「褐毛」と書いて、正式には「あかげ」と読む。「かつもう」と読む人も多く、常用漢字的にはどうしたって「かつもう」と読んだ方が自然なので、それでも間違いではないとされるが、正式には「褐毛=あかげ」と読む。

この褐毛和種はれっきとした和牛の一つに数えられるが、実は熊本系と高知系の二種が存在する。どちらも朝鮮系の在来牛にシンメンタール種を掛け合わせたものだが、その後の細かな改良の歴史のなかで、熊本系はよりシンメンタール種の影響が濃く、高知系は朝鮮系の血が濃いという違いがある。肉質も味もちろん違う。これをこれから掘り下げていくつもりだ。

詳しくは、来月号からの「専門料理」を楽しみにして欲しい。
それにしても、取材で訪れた褐毛和牛の牧野はすばらしい景観だった。岩手県二戸市周辺の牧野は、さすがに冬のあいだは雪に閉ざされてしまい、短角牛たちは里へ降りる。いわゆる「夏山冬里」という方式だ。しかし、阿蘇では周年、つまり一年中放牧が可能な地域がある。これはもの凄いメリットである。その総面積は2000ha以上! びびってしまった、、、

「それだけの面積を切り開くのは大変だったでしょうねぇ、、、」

と訪ねると、牧野組合の方がフフッと笑って「まあ、阿蘇の放牧は歴史がありますからね。室町時代から続いてますから、、、」と仰る。

んー

スケールがでかい!
 
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ご覧の通り、見渡す限り牧野!なのである。
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牛たちは離れたところで草をはんでいる。「ホイホーイ!」と生産者さんが呼ぶと、ぞろぞろとこちらに向かってやってきた。
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「あれはね、今朝がた産まれたばかりの子牛なんですよ、」

と組合員さんが指さした方を観ると、バンビちゃんのように可愛らしい仔牛が、もう母親についてちょこまかと歩いている!人間の赤ん坊と比べるとあまりにも早い成長である。

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熊本系の褐毛和種は、高知系よりも体毛が濃い褐色だ。阿蘇の自然にぴったりマッチしている。女の子(メス牛)はとてもめんこい。性質もおとなしく、ホルスタインや黒毛のような神経質さを持ち合わせていないので、和む。

もちろん肉は、非常に旨い!
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サーロインやヒレよりも断然、モモが旨い!味が乗っていて、脂はほどよし。堪能しました。今年はこの熊本系の褐毛和種を一頭、持たせていただきたいというお願いをして、帰京した。
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右端が、全国的に有名な牛飼いのかあちゃんである那須マリコさん。彼女の存在なしには僕と阿蘇のあかべこ接近遭遇はありえないのであった。

さて、原稿書くか、、、

14:02 | TrackBack

2009年02月26日

日帰り岩手 プレミアム短角牛のプレス発表と福田パンとの再会

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今日は、岩手県が取り組んでいる、岩手県内産のデントコーンを7割給餌した短角和牛である、仮称プレミアム短角牛の正式名称を発表する日だった。

プレミアム短角牛については過去ログをごらんいただきたい。

http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2008/05/_623.html

http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2008/06/post_1180.html

http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2009/01/post_1260.html

正式名称は公募されたものの中から検討を経て決められるのだが、、、

実は僕が、選定委員長なのである。で、今日はその発表会。

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会場となった盛岡市内の「銀河離宮」は焼肉店。けっこうな数の報道関係者が集まっていて、テレビカメラも5社ほどが入っていた。

東北部のNHKなどではニュースが流れたようなので、ご存じの方もいるだろうが、正式名称は

「いわてプレミアム短角牛」

に決定! なんだ、仮称と同じジャン、と思われるかも知れないが、結局これが最もすわりがよかったわけである。

今年はこのプレミアム、50頭程度飼育される。のだが、もうすでにその大半に買い手がついてしまっているので、まだまだ増頭していかないといけないところだ。

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名称発表と質疑応答の後、さっそく食べましょうということで、マスコミ各者の人たちも含めて試食会に。

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シンタマのタタキと焼き肉が供されたのだけど、これが非常にフレッシュで柔らかな風味の肉だった。シンタマという部位だけにあっさりとした味。エージングが1週間と短いため、あまり味が乗っているという感じではないけれども、美味しい肉だった。県の畜産課のみなさんも「おお、よかった、、、これならいいかんじ!」と安堵の表情を見せていた。

デントコーンを中心に給餌するこのプレミアム短角、品質的にも安定するらしく、期待できるのだ。

この日のクライマックスはこれから。このイベントのしめくくりとして、岩手県知事が来場し、試食するのである。

実は、、、

知事は、週刊アスキーに昨年まで連載していた「旅三昧」を愛読してくれていたのである! 先日開催したアクアビーノでの雑穀やまぶどうコースの会や、昨年中、二戸・久慈の現地ツアーなどを開催したのは記憶に新しいと思う。これらのイベントを開催するための事業を、出先機関である振興局が県の財政に諮問したとき、他のおえらいさん達が「誰だそのやまけんてのは」状態だった中で、なんと知事が「お!あのやまけんか!?」とGoサインを指示したというのである。会いたいなぁ、と思っていたのが、とうとう実現した。

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「私は出張の時、よく週アスを買って移動中に読むんですよ。あのときもふと買って読んだら、やまけんさんの連載で二戸の短角を一頭まるごと山分け販売というのをやっていたので、ビックリしたんですよ。すごいことやってくれてるなぁ、と思って、、、」

あのプロジェクトか! そう、週刊アスキー誌上で、短角牛を一頭丸買いして、全部位を焼き肉セットにして販売、実に4日間で完売したあのプロジェクトである。やってよかった、、、

今年は丑年。牛の年である。そこで、知事が号令をかけて、岩手県では「モーモープロジェクト」というのが発動。岩手県には霜降りを誇る黒毛和牛も、赤身の素晴らしい短角和牛も、乳量を誇るホルスタインも、乳質を誇るジャージー種もいる。それらをガンガン、表舞台に出していこうというプロジェクトだ。このプレミアム短角の名称公募事業もその一環なのである。次の年度もいろいろやりましょう、ということに。お会いできてよかったです。

もう一人、今日輝いていたのは、プレミアム短角牛のメイン産地である岩泉で、短角牛の販売を請け負う岩泉産業開発の塚原さんという女性だ。 DSC_5481

うーん

アイドルである!

彼女は福島出身で、岩手のよさに惹かれて、仕事を探して岩泉産業開発に入社し、短角を頑張って販売しているという。頑張ってください!

さて、流通課でいろいろお話しをした後、T橋さんS田さんとともに駅に向かうが、その途中でじゃじゃ麺の白龍(パイロン)に。

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持ち帰り用3人前を購入。ついさっき食べました、、、もちろんチータンも作ったヨ!

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新幹線に乗って、一息ついて、T橋さんに買ってきてもらった福田パンとご対面。あらかじめ「この組み合わせで買っておいてください!」とお願いしておいたのだ。

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これこれ、「チキンミート&スパゲティ&野菜」。昨年、dancyuのパン特集で福田パンを訪れたときに、専務から「私のお薦め」と教えてもらった組み合わせに「オリジナル野菜」を組み合わせた一品だ。

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やっぱり旨い! チキンミートは、鶏そぼろに芥子マヨネーズと言う堪らない組み合わせのペースト。それを上半分にべっとり塗ったのに、スパゲティナポリタンを挟む。そこに、オリジナル野菜を挟み込んでいくというものだ。すげー組み合わせである! チキンミートの芥子マヨのピリッとした感じと、甘めのナポリタンが非常にマッチする。

もうひとつは、コンビーフ&れんこん。DSC_5501

んーーーーーーーーーー

これはちっと失敗だったかな!?

もうひとつは照り焼きチキン&タマゴサラダ&野菜。これはまあ実証済みなので意外性はない。今度はもっと冒険してみようっと。

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ということで日帰りながら、岩手を満喫した一日であった。

さて明日は茨城県の大子町に行って参ります。

00:59

2009年03月21日

僕の短角牛に第二子が産まれた! 今度は雄。男の子が生まれたのです、、、

息も絶え絶えに出張にいっているさなか、岩手県二戸市の杉澤君から吉報が届いたのだ。

「おめでとうございます、やまけんちゃんの短角牛に第二子誕生です。今度は立派な男の子ですよ!」

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おおお、やった! 第二子の誕生である!

第一子はメスの「さち」。普通なら母牛にして、さらに子牛を採るところを、肉牛にするべく肥育に回し、来年の4月ころに出荷時期を迎えるところだ。それに併行して、今度は雄牛。産まれてきてくれてありがとう!立派な体格ということだったので、いい肉牛になってくれることだろう。

ちなみに雄牛は、よほどの素質がない限り、半年以内に去勢されてしまう。雄のまま成長すると、身体がでかく、肉が硬く、匂いも悪いものに育ってしまい、肉牛として出荷ができない。去勢すると、肉が多くとれ、肉質もよいものに育つのだ。可愛そうだが、家畜である以上、避けられない運命である。実は昨年、僕は去勢シーンを目撃した。獣医師さんがピッと陰嚢を切開し、精管を切るのである。んーーーーーーーーーー 観ていて股間がもぞもぞとしてしまい、なんともやるせないシーンである。でも、肉を愛する人はこれをきちんと想像し、ありがたさを感じるべきである。

しかし、いいニュースばかりではなかった。

「残念なことに、やまけんちゃんの母牛は、やっぱり乳房に問題があるようです。昨年、さちに乳を与えないということがありましたが、今年も乳房が一つしか使えません。」

なんと、また起こってしまったか!

実はこの母牛は、生まれた子牛に呑ませる乳が濃すぎるのか、乳房が詰まってしまい使えなくなってしまうということが昨年起きた。

■衝撃を受けてしまった、、、牛さんの世界にも”育児放棄”が存在する! どうも神経質な子だと思っていた僕の母牛が、子牛の”さち”に乳を与えてくれないのである。ショックだ、、、
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2008/07/post_1183.html

今年も起きたということは、彼女の遺伝的特性だということだ。

「残念ですが、今年、母牛を交換しましょう。年末に開催される家畜市場で売りに出して、違う牛を購入してください。」

うーむ

やはり畜産はリスクの塊なのである。肉牛なんて安いもんじゃない。それが、乳を出してくれなかったり、疾患のある子供を産んだりすると、即座に経営に支障が出る。そんなリスクの塊である牛肉が安いなんて状況は、オカシイのである。

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とにかくいまは、この男の子がすくすく育ってくれることを祈るばかりである。

ちなみに、第一子のさちは今、漆原牧場にて肥育段階に入っている。一日600円の餌・世話代を支払ながら、大きくなり、来年の5月くらいに出荷となる。

あー もうお別れが見えてきてしまった、、、

4月、また二戸にて、彼らと会う予定なのであった。

19:28

2009年04月30日

僕の短角牛たち。 さちはこんなに大きくなり、第二子「国産丸」はこんなふうに育ってます。

岩手県二戸市にて、僕は短角和牛の母牛のオーナーになった。彼女が産んでくれた第一子はメス。「さち」と名付け、昨年の11月から肉牛農家の漆原さんに預け、肥育段階に入っている。先日会いにいったときと比べて、ぐぐぐぐっと身体が大きくなっているので、驚いてしまった!

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えええええええええええええええええええええええええ
でっかい! ガタイのいい杉澤君の体躯と比べてもこれである!

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もうすでに400kgになっているという。可憐な少女だった時代はもう過ぎて、大人の会談を上り始めたという感じだろうか。うーん なんか複雑。

この「さち」は、予定で行くと来年の7月あたりに肉牛として出荷可能な体重に達する見込みだ。「幸多かれ」と名付けた「さち」と言う名前なのに、僕はこの子を食べようとしている。できれば、と畜場にも行って立ち会い、彼女が命を失い、解体され、肉となって行く過程をきちんと見届けようと思っている。卒倒してしまうかもしれないけれどもね。さちの肉は、僕のゆかりの料理人達に料理してもらって、食べる会を開催したいと思う。その際はぜひご応募下さいね。

現代社会において大型化畜の肉を食べるということは、ある意味、とても罪作りな行為だ。黒毛和牛は、肉牛となるその生涯で4トンから5トンの穀物を食べるが、そのうちの2トン程度は米国産のデントコーンである。日本人は知らないうちに他国の穀物を凄まじい分量で消費している。それを直視しなければならない。

現代社会で動物の肉を食べることを否定するということはできない。だから、少なくとも肉が目の前に運ばれる過程くらいは識っておくべきだ。命をいただいているということを理解するのは、無言の義務だろう。

短角牛は、米国産コーンをそんなに食べずとも身体を大きくしてくれる。漆原さんの牧場では、雑穀などを与えて、味と増体をバランスさせている。

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さちはこれからさらに体重を増やしていくフェーズに入る。またできれば毎月リポートしていきたい。

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漆原さんの農場には、勝手に繁殖したのか、大量のスイセンが群生している。その中に、アサツキとふきのとうがこれまた大量に伸びていた。んー 掘って帰りたかった、、、

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さて一路、浄法寺の役場の前にある農協へ。

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僕の短角牛たちは、組合や漆原さんに預託している。発生する預託料や様々なお金を決済するためには、農協に口座を持っているほうが先方にとってやりやすい。ということで口座開設。農協に口座を作るのは、農業関連の仕事をしてきたのに初めて!ちょっと嬉しい気分だ。

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「んじゃ、新しい子を観に行きますか!」

と杉ちゃんが、短角牛のオーナー牛舎へ車を向けてくれる。既報のとおり、僕の短角牛の第二子が先日産まれたのである。今度の牛はオス。

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「名前を付けてくれる?メスはひらがなだけど、オスは漢字でね」

ということだったので、僕が付けた名前は、、、

「国産丸」である! なんでこの名前かというと、この子は母牛と牧野で草を食べて育った後、二戸で肥育するのではなく、山形町の友人の農家に預けたいと思っている。そこでは、国産100%の飼料を与えてもらうつもりだ。つまり、完全に国産の飼料しか食べていない短角牛となる予定なのである! だから、「国産丸」。

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母牛は、以前はとても神経質だったけれども、成長とともにどっしりしてきた。僕が近寄っても以前のように逃げたりせず、ゆうゆうとサイレージした草を食べている。

で、この子が国産丸! とっても可愛いのである!

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ありがたいことに、今回は育児放棄はしていなかった。乳房がまだ詰まっていないからか、ちゃんと国産丸に乳をやってくれている。

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看守さんに聴いても、成長の経過は順調とのこと。嬉しいことだ。
この母牛は、乳量が多すぎて乳房が詰まってしまう特性を持っているので、今年の冬の市場で売ってしまった方がいいと言われていたのだけど、もう少し経過を見て再度、考えることとなった。正直、ホッとした、、、

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稲庭高原はまだまだ雪の壁が溶けていない。帰り道、最高の水がわき出ている岩誦坊(がんしょうぼう)へ水くみに。

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シャッタースピードを遅くして、水の流れを綺麗に撮ってみた。腕が無くても、構図が、とても美しい絵になる湧き水なんだなぁ、、、

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さて夜はもちろん短角牛専門の焼肉屋である「短角亭」。

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まずはカルビ。

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そして僕が最も好きなモモ肉。

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これが出ると、焼かないで生の状態でバクバク食べてしまう。

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そしてこの日はとてつもなく分厚い、短角のタンを出してもらった!

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短角のタンは滅多に食べられないぞ。その辺のオージー牛のタンとは全く価値が違うのである。食感、迸る肉汁の旨さ、最高である。

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ハラミ。いたずらにサシが入っていないので、肉の旨さがきわだつ。

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この日はレバーが入らなかったのだが、その分このハツと、この後に出たミノが大きな存在感を占めた。

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もうおなじみの槻木(つきのき)専務。安定した品質の短角牛が欲しければ、まずはこの短角亭へいくのが手っ取り早い。

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岩手県の問題は、せっかく短角牛という素晴らしい資産がありながら、それを食べられる店が県内にほとんどないということだ。盛岡では、じゃじゃ麺の「白龍」の近くにある「大地」ともう数軒でしか食べられない。黒毛である前沢牛を食べる店はあるのに、短角がないというのはちょっとね。ということで、二戸駅からすぐの短角亭を目指してくるのが最も近道である。

この夜は、十文字チキンカンパニーの社長である保雄さんがご乱入。そして十文字さんが、盛岡で外食店を展開しているコラゾンカンパニーの工藤社長を電話で呼んでくれる。

「いまどこ?盛岡? じゃあ二戸までおいでよ!」

という凄まじい強引さで呼んでくれたのだが、この工藤社長がきちんと来るところがスゴイ!

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工藤さんは僕と同い年と言うことがわかり、ググググっと距離が近くなる。

「やまけんさんのブログは読んでますよ~ 今度はうちにも来てください!」

と、自分の店で製造している冷麺やじゃじゃ麺を下さる!

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これが、別途書きたいと思うけど、美味しい! 麺の硬度やタレをきっちりと作り込んでいる。今度、コラゾンの店に行ってみたいと思う。

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思いも寄らない、楽しい夕餉。

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満腹になって、定宿のパークホテルに帰ったのである。

 

■撮影データ
ボディ:ニコンD700
レンズ:AS-Sニッコール28-70mmF2.8、60mmマイクロF2.8

17:06

2009年05月05日

京都「南山」にて京タンクロの会発足。 牛肉には「交雑種」というジャンルがある。そこはまだ未分化な世界なのだった。

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さて一夜明けて、福山から京都に移動だ。実は、僕も松本大策さんもともに招かれている会があったのだ。それは、短角牛や近江牛を一頭丸ごと仕入れしている、産地ときちんと取り組みをしている京都の焼き肉屋「南山」の楠本社長からの依頼だ。

それは、「京タンクロ」という交雑種の牛肉を世に広めるためのブランド化事業の、専門委員に就任してくれというものだった。「タンクロ」とは、短角牛の雌に黒毛和牛の精液を掛け合わせて生まれた牛のことをいう。

日本では「和牛」と呼べるのは、黒毛・褐毛(あかげ)・短角・無角の四種の牛。それ以外は「国産牛」と表示することになっている。ちなみに国産牛で圧倒的に多いのはホルスタインの雄を去勢した、通称「ホルオス」。次に多いのが、ホルスタインに黒毛和種の精液をつけた交雑種。これをF1(エフワン)と呼ぶ。

では、先に挙げた4種の和牛同士を掛け合わせたものは、一体何と呼ぶか。答えは「和牛」。和牛同士の交雑は、分類としては和牛と呼んでよい。ただし、一般的ではないので特に「和牛間交雑」と呼ばれる。つまり、「タンクロ」は短角と黒毛の交雑なので、和牛間交雑である。

サシの多い黒毛と、赤身の旨い短角を交雑させたら、両者のよいとこどりになって、美味しい肉ができるのではないか!?と思われるだろう。まさしく狙うのはそのよいとこどり。この試みを実践しているのが、京都の丹後半島にある日本海牧場。実は建設業から和牛生産に参入した、企業参入組である。ここで生産されるタンクロを「京タンクロ」と名付け、京都の食品事業者からでた食物残渣などを与えて育てようというのが、今回の京タンクロの趣旨だ。

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専門委員として招聘されたのは肉のエキスパートたち。こんな中に僕がいるというのもおかしい気がするけど、末席に加われたのはありがたいことである。中でも、和牛を一頭まるごと仕入れして提供するというスタイルで有名な焼き肉「牛心」の伊藤社長は以前からその名前を識っており、この日会うことができてうれしかった!また、三重県のモクモクファームの社長さんもお会いすることができた。なんと僕のブログの読者さんだという、、、ありがたいことです。

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楠本さんは、まだ海のものとも山のものともわからないプレミアム短角牛を一頭丸ごと仕入れするという、産地にしてみればありがたい取り組みを続けてきた人だ。ぼくもなにがしかの貢献ができればと思う。委員会では、これから取り組むべき課題が次々と提起された。

委員会のあと、南山のはなれにて早くもお披露目会が開催される。

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もちろんお披露目式だけでは終わらない!「タンクロを食べる会」もきっちり開催されたのである。冒頭の挨拶はなんと京都府知事! 南山の常連客なのだそうだ!

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もちろん出てくる料理はタンクロゆかりのものばかり。

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そしておまちかね、短角・タンクロ・近江牛の食べ比べセット!

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上から短角・タンクロ・近江牛の順番である。同一部位のサシの入り方と肉の大きさ(短角とタンクロは隠れていてわかりにくいけど)がよくわかるだろう。短角牛は濃い赤身。放牧で育てられる期間が長いため、骨が太く、ロースが大きくならない。手前の近江牛はサシがぴっしり入っており、肉の歩留まりも他の二種より大きい。そしてタンクロは見事にその二者の中間に位置している。

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ここでしっかり食べ比べをできてよかった。タンクロは中間の味か、とおもいきや、ことはそう簡単ではない。

異なる種同士を掛け合わせるとき、メスとオスの組み合わせでも性質は変わる。タンクロは短角のメスに黒毛のオスをかけたものだ。この場合、実はオスの精液の性質が強く反映されるようで、タンクロにはどちらかというと黒毛っぽい味が前面に出ている。

同席した人たちと食べながら話をしたが、やはりみな同意見のようで、「タンクロはより黒毛っぽいね」という感想がでていた。もちろん、餌の内容や飼養管理によってこの辺は変わってくるはずだ。できれば、もっと短角よりの味になればいいのにな、と思う。

ただし、この感想は短角牛を認知しており、かつ大好きな人の意見。おそらく黒毛和牛の味が好きな人にとっては、黒毛的なサシのうまさと、赤身肉のうまさのバランスがとれたタンクロは非常にど真ん中の味だろう。事実他のテーブルでは、タンクロが旨いという声が多く上がっていた。

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京タンクロは、これから餌や飼養管理設計を変えていく段階にある。今年中に現地訪問も控えており、非常に楽しみだ。しばらく後を追っていきたいと思っている。

ところでこの日、いい出会いがあった。

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近畿地方では文句なしの有名ブランドになっている近江牛だが、その中でも選りすぐった生産農家の最高級格付けのものを扱っている卸・精肉業を営む「サカエヤ」の新保社長だ。

「うーん やまけんさんってずっと聴いたことあるなぁ、と思ってたけど、油屋の青木エマちゃんからこないだ聴いたんですわ!」

あ、エマちゃんから! いやーなるほどなるほど! この日、新保社長から貴重なレトルトカレーをいただいてしまった。

「近江牛の偉大な母牛がいたんですけど、昨日、19歳にして亡くなりました。その肉を使ったレトルトカレーなんです。不思議なことに、できた直後はまずくてまずくて食べられませんでした。が、日を追うごとに味がなじんで、今では絶品です。どうぞお試し下さい」

19歳の牛!堅くてくさくてまずそう、と思われるかもしれないが、真実は全く違う。経産牛はたしかに未経産牛よりは肉質が締まるけれども、それはほどよい食感ということ。そして、香りと味は未経産とは比べものにならないほど深くなるのである。このカレー、後日しっかり味早生手いただこうと、持ち帰ったのである。

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この日の締めは黒ハヤシ。京都市内の有名洋食店の名物だそうだ。しかしこの時点で僕は東京行きの新幹線に向けて、飛び出さねばならない時間。大急ぎで一盛りだけいただく。

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「あわただしい人ねぇ、、、」

とあきれられながら、ダダダダッとかっ込んでごちそうさま。美味しかった!

京タンクロを見守ることは、日本における交雑種を考えることである。以降、また取り上げていきたいと思う。

23:32

2009年05月29日

美味サライのプレミアム短角牛販売で、豪華にも短角牛セットのプレゼント企画がある!

美味サライ編集長の尾崎さんから、「ヤマケンブログの読者さんへも伝えてあげて下さい」とのことなので告知。

プレミアム短角牛の焼き肉セットとステーキセットをプレゼントしてしまうと言う!
プレゼントじゃなくて買ってもらえばいいのに、と思うけど、大盤振る舞いをしてしまうのがサライの社風なのだろうか。ちなみにステーキセットは1名、焼き肉セットは2名にプレゼントとなるようだ。

■美味サライ
http://serai-bimi.jp/

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ステーキセットは、ロース850gとヒレ150g、計1kgのセット。

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正直、4人でも5人でも十分な量だと思う。僕は厚みのある肉の方がステーキによいと思っていたが、監修に入った三國シェフが、食べやすいステーキカットはこれだ、という指定をしてくださったとのこと。こんな旨そうな写真をみると、「うーむこれでいいのだ」と納得させられてしまう。

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これが13000円というのは、相場からいえば安い! 週刊アスキーの一頭丸買い通販の際には、プレミアムではない通常の短角牛のステーキセットがあったが、それと余り変わらない価格。

そしてこちらが焼き肉セット。

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焼き肉用の様々な部位のミックスセットが700gに、ハンバーグ用挽肉が300g。こちらは何と言っても ハンバーグのレシピでしょう。美味サライの写真を見るべし!

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プレゼントの応募は、トップページの「お知らせ」欄に書いてあるのでご覧いただきたい。でもね、本当はこれ、プレゼントをあ手にするんじゃなくて、買った方がいい。だってプレゼント期間終了後に、落選して買おうと思っても、売ってないかも知れないからね、、、ステーキセットは30セット以下、焼き肉セットだって200セットあるかないか、だ。

ちなみにどちらのセットも、お届け日が6月20日(土)のみとなる。在庫が沢山あるわけではなく、プレミアム短角牛一頭をと畜して、カットして、ピンポイントで発送するので、不自由だけれどこれは仕方がない。もっと短角牛がたくさん買われるようになれば、需給バランスが整って解消される話なのだ。みんなでこの食材を買い支えましょう。

僕はここのところ短角食傷気味なんだけど、買います(笑) だって、今年度分の岩泉のプレミアム短角牛は、これで打ち止めなのですよ。だれか、短角牛パーティーやりましょう。

20:17

2009年06月01日

島根県の元気な農業者の極めつけは、かつべ種畜牧場の勝部さんに決定である! 久しぶりに黒毛和牛を美味しいと思った一夜だったのだ!

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島根県は実に凄みのある農業県だと実感したのは、旅程の最終地点であるかつべ種畜牧場に踏み込んだときだ。

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「種畜」とは、要するに種を提供するオス牛だ。肉質の善し悪しのほとんどは、血統によって決定されるといっても過言ではない。そして、オス牛の血とメス牛の血のどちらが重要視されるかというと、オス牛だったりする。メス牛はどうでもいいというわけでは勿論ないけれども、オスの特質のほうがより重要視される。

黒毛和牛の評価軸において最高とされるA5というランクを目指し、各都道府県レベルで種雄牛を所有している。農業新聞をみていると、どこそこの県の牛がものすごい数値をたたき出したというニュースが載るように、種畜の評価は一大事なのだ。

ではその種畜というのはどこで産み出されるのかといえば、試験研究機関であったり、民間のブリーダーであったり。そう、勝部さんの牧場は種畜を送り出すエリート養成牧場なのである。

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この方が代表の勝部信二さんだ。そしてこちらが息子さん。どちらも牛のエキスパートである。

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とにかく種畜を造るなんて、言葉は簡単だけど、すさまじく大変な仕事だ。佳い血統と佳い血統を掛け合わせればいい種畜が出来るというものでもない。動物には、遺伝的に病気に罹りやすい特質をもっていたり、母方の系統によっては全然、父方の特質が出なかったりもするからだ。

しかし、勝部さんのところはすでに多数の都道府県に種畜を届けている。すごい技術と経験の蓄積である、、、

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その勝部さんの言葉で僕が驚いたのは、こういうくだりだ。

「いやぁ、しかし黒毛和牛ってのは、4トンも穀物を喰ってようやく育ちます。穀物の需給が今後どうなるかわからないこんな時代に、もしかしたらばちあたりな家畜を育ててるんじゃないか。10何年後には、黒毛を育てることが罪みたいなことになっているんじゃないかと、思うですよ」

いやー
黒毛和牛の種畜を造っているところでこんな風にしみじみ言われるとは思わなかったので、感動してしまった!

まったく、黒毛和牛というのは日本が世界に誇る特別な牛であると同時に、最も罪な家畜でもあると思う。個人的には、黒毛和牛ばかりがもてはやされる現状が問題だと思うのだが。マスコミが、食べてもいないのにA5のサシがバンバン入ったやつを繰り返し「最高!」とほめあげ、映像・画像で消費者の欲望を刺激しまくることがオカシイと思う。

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「ま、それはともかく、うちの肉を食べて欲しいから、いまからうちが昵懇にしている店にいきましょう!」

と言うことにあいなったのである。

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■えんまん亭
島根県出雲市天神町74-2 
0853-30-7713

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この店は、開店当初から勝部さんとがっちり組んで、直接取引に近い形でかつべさんの牛の肉を使ってきた店だという。ここで、勝部さん自ら肉を焼いてくれるという、豪華な夕べである!

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本当の、黒毛和牛の牛タン。

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黒毛の牛タンなんて、そうそう食べられるもんじゃない。みよ、この凄まじきテクスチャーを!

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「はい、タレじゃなくて塩で食べて下さいね!」

いやもうそりゃ 当たり前ですよ!

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結論から言ってこのタンが一番うみゃ~い!
シクッという歯ごたえ、サシが乗りすぎているようで実はそうでもない絶妙な加減。いやこいつぁ旨いです。

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レバー。焼いても佳かったのだけど、あえて自己責任で生でいただく。ていうかもちろん全く問題なし、とろける甘み。実はレバーは、身元がはっきりしていない場合はそんなに積極的に食べないことにしている。だって、肝臓って毒をせっせと無毒化する内臓ですよ。黒毛和牛はそうとうにストレスフルな飼い方をしているわけで、肝臓のダメージはでかい。だから、黒毛の内臓とくにレバーの廃棄率は高いときいている。ダメージを被っていて、と畜場の段階で「こりゃ食用にはならん」とされるのだ。

でも、勝部さんとこのは文句なし。綺麗な血色、クリアな香りである。

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えーと、部位どこだっけ、、、すみませんよくわかりませんが、適度な歯ごたえのある部位でした。

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そして満を持して出ましたロース!

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ヒレ肉。

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うん、美味しい。いわゆる小ザシビッシリ状態ではないので、この程度のサシの肉であれば黒毛もいける。そしてなにより、脂の質がいい。口溶けがよく、ギトリとした感じがあまり残らない。勝部さんとこは、種畜を造るだけじゃなくて、肥育の技術も高いのだと思う。ご本人は「いやいや、肥育は普通に育てるだけだよ」というが、同行していただいた普及員のかた曰く「勝部さんのところは種もメス牛も佳いものを揃えていて、産まれてくる子牛のレベルが高いので、そんなことが言えるんです。まずその前提条件を整えられる牧場自体が少ないんですから、、、」とのことだった。

さてホルモン大会。

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ウルテのバリバリ感がすごかった、、、

ご飯ものは、牛そぼろがたっぷりのったビビンパ。こういう、不人気な部位を美味しく使っているサイドメニューを見かけたら、ぜひ食べてあげましょう。そうじゃないと、人気のある部位しか売れず、農家が生きていけません。

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そして、牛ラーメン。ラーメン好きじゃないから小さな器でいただいたけれども、うん、〆になかなか佳し。

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勝部さんが来月上京するらしいので、是非会おうということになった。いろいろ話をしたいことがあるのだ。

そしてこの勝部さんの牧場で最大のサプライズが、「経産牛は旨い!」ということである。これについては次回に書きたい。

明日から北海道。足寄に行ってきます。更新できるかどうか不明、、、

19:18

2009年06月29日

畜産システム研究会の会場となったのは北大の静内キャンパス。なんと470haもの敷地内は、動物ワンダーランドだったのである! 肉牛のヘレフォード種と短角種、そして本物の道産子・馬を観た!

※記事内を部分修正しました

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この週末は、北海道で開催された畜産システム研究会という組織のシンポジウムに参加していた。「畜産システム」というと、なんとなく高度に情報システム化された畜産方式の研究会と思われそうだが、むしろその逆で、林間放牧など、その土地土地の環境を活かした畜産方式を研究テーマとする会だ。

会場となったのは北大の静内キャンパスということで、僕はてっきり札幌にあるのだと思っていた。しかし、、、静内キャンパスは日高郡にあり、新千歳空港から2時間かかるのである! 今回、週末だったこともあって嫁さんに「シンポジウムの間は札幌で遊んでればいいんじゃない?」といって同行させていたので、直前にロケーションがわかった時、「なにそれー」となってしまった。

しかし、行ってみて気分一変。470haもの広大な敷地の中は、とてつもなく気持ちのいい空間だった。

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470haといってもわからないかもしれない。1haは100m×100mだ。それが470個。

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この中に、短角和牛と肉牛のヘレフォード種が放牧されている。今回の一つの目的が、ヘレフォード種の放牧風景をみたかったことがある。

この子がヘレフォード種。草を食べて育ってくれるということでは短角よりも効率がいいという品種だ。

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ごらんの通り、体は褐色で顔が白い、特徴的な模様をしている。このヘレフォード種、とても人なつこくて、寄ってくることはないにしても、あまり逃げない。短角はすぐ逃げるので、ヘレちゃんが実に可愛く思えてしまう。

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実際にみてもらうとわかるが、人間のことなんか気にしないで、とにかく地面に映えている草をムシッムシッと食べている。 だいたい、1haの範囲内で1頭くらいの牛を放牧で飼うのが適正だと言われている。それより多いと、草を食べ尽くしてしまい、糞や尿が環境が分解しきらない、窒素過剰になってしまうわけだ。DSC_0031 

適正な規模での牛の放牧は、都府県ではなかなか土地の確保が難しい。やはり北海道の広大な土地は、畜産にとって魅力的なのである。

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右側は短角のメス。左の子牛は、、、これは額が白くなっているのでタンヘレかもしれない。ヘレフォード種と短角の交雑種(F1)のことだ。

ここで基礎知識の話をすると、牛の場合はこういう交雑種をあらわす時、オスの名前を先に、そしてメスの名前を後に表記する。つまりタンヘレと言ったときには、短角のオス×ヘレフォードのメスということになる。逆ならヘレタンということになる。

煩わしいことに豚の場合はそれが逆になり、メス×オスの順に表記する。例えば世界で最も多い掛け合わせであるLWDの場合は、ランドレース(L)のメスと大ヨークシャー(W)のオスの掛け合わせをLWと表記し、LWのメスににデュロック(D)のオスをかけたのをLWDと表記する。わかりにくいかな、、、

それにしてもヘレフォード種は、愛情が細やかだ。母子の様子を見ていると、よく頬をすりあわせたり、愛情表現がよくみられる。

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ちなみに歩いて移動できる距離ではないので、移動は車。それも、僕は初めて乗ったけれども、メルセデスのハイパワー車であるウニモグ!

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山もこれでぐわぐわと入り込んでしまうことができるのである。

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右側がこの静内の牧場を統括する秦(はた)先生。なんと東京出身であられるそうだが、ほっかどうの魅力にとりつかれてしまったらしい。

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みよ、この広大な景色を!
とてもじゃないがこれを現代人が開墾仕切るのは難しいと思う、、、

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北海道を旅行するとよく、こういう草のロールをみかけるだろう。牧草を長期保存するためのものだ。高く生えた草を刈り取って細かく裁断し、こうしてロールにしたのち、厚手のビニールで密封する。そうすると内部で嫌気性の乳酸発酵をし、古漬け状態になり、長期保存ができるのである。しかも動物はこの古漬けの食味が大好きという、両得な餌である。

こうした、牧草などの低カロリーな餌を粗飼料(そしりょう)という。肉牛には粗飼料と濃厚資料という、薄い餌と濃い餌を与えて肉にする。しかし粗飼料は草だから一杯撮れるだろうと思いがちだが、都府県では農地が小さく、そこに安い牧草を植えるよりも米などを植えた方がいい。ということで、日本の畜産では、粗飼料は圧倒的に海外から輸入しているのである。もちろん濃厚飼料についてはほとんどが輸入。だから日本の畜産は海外依存といわれるのである。

僕は、乱暴ないいかただけど、国内で収穫できる粗飼料・濃厚飼料のみで生産できるだけの畜産物しか、つくらないという世界にした方がいいのではないかと思っている。そうしたら、おそらく一週間で畜産物は1回かそこらしか食べられない。けど、それくらいが適正じゃないかしらん。なんていいながら、僕は肉を週に複数回食べているけれどもね。

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はるかかなたに、キタキツネが見える。この視察の間、たぬきもみたし、エゾ鹿 などは群れで逃げもしないのを観た。

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そして圧巻だったのは、和種の馬である道産子(どさんこ)だ。

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ばんえい競馬で走る、足の太いどっしりした体躯の馬が道産子だと思っていたが、実はあれは輸入馬であるということを畑先生が教えてくれた。時代劇に出てくるべき馬は実は、この美しい体躯をもつ、純和製の馬なのである。

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「ひとなつこいのは近寄ってきますよ。できるだけしゃがんだりして、馬より小さくなって下さい」といわれたが、僕ははなから小さいので、すぐに好奇心旺盛な道産子が寄ってきてくれた。

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僕の長靴の匂いをかぐ馬。か、可愛い、、、

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カメラを構えていると、自然とその先端部であるレンズに鼻をこすりつけてくる。

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これを顔の鼻 と思っているのだろうか。かれらの鼻水がレンズ面につかないように、レンズフードをつけておくことは必須である(笑)

それにしても、本当に人なつっこい。一頭がくれば、他のも寄ってくる。

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フサフサした毛が印象的だ。生臭い息をブフッと吐きながら顔をすりつけてくる。

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なんとも透明感のある綺麗な眼。
肉牛を見に来たのに、僕は すっかり馬にやられてしまった!

さてその後のシンポジウムは大変勉強になった。

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会長である木村先生 。

そして着替えてきた秦先生。

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マルハニチロ畜産という企業ながら、 こうした放牧や有機畜産の支援をするeビーフ認証というのを運営している。

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そして、北海道における短角牛生産の第一人者である、襟裳の高橋さん。

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熱いお話しを聞けた。 その辺はまた今度。

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懇親会は、何ともうれしいことにヘレタンの肉を食べることができた!

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「黒毛がキロ当たり1500円以上するのに、このヘレタンを出荷しても、キロ450円(!)なんて安値になっちゃいます。サシが入らないからですね。みなさん食べてどう思いますか?」

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ヘレタンの肉、旨い! サシが入っている黒毛和牛の肉は、サシ(脂)が溶けてしまえば、あとはスポンジ状の赤身が残るだけだから、柔らかいのは当たり前。けれど、赤身部分にうま味は薄い。

それに対してヘレタンは、まずその赤身がしっとりと柔らかい。それに、純血短角ほどではないにしろ、うま味がしっかりとのっている。ヘレフォードはあっさりめの肉なんだろう。とにかく、いつまでも食べ続けられるようなうまさの肉だ。黒毛は4口くらいでいやになるけど、これはいい!

参加者が口々に「これで450円かよ、、、」とため息をつく。やっぱり日本の肉の価値基準はおかしいのである。

いろんなことを考えた週末なのであった。

10:28