
前のエントリで書いたとおり、このたび短角牛の母牛のオーナーとなった。
色んな人がメールをくれて、
「肉にするときは呼んでね!」
というのだけども、誤解しないでね、僕がオーナーになったのは母牛ちゃんです。短角牛の場合、メスが産まれると基本的に肉にはせず、母牛として育てます。母牛は順調であれば生涯で10産くらいしてくれます。だいたい一年一産くらいだろうか。では、その産まれた子牛をどうするのか。それを出荷することになるのです。
母牛を育てて子をとり、その子牛を家畜市場の開催にあわせて出荷し、買って貰う。これを「繁殖農家」といいます。
その子牛を買い取り、成体となるまで餌を食わせ込むことを「肥育」といい、出荷に足る体重に達した牛を肉牛として販売する農家を「肥育農家」といいます。
酪農や豚の場合はこの繁殖と肥育を一つの経営体が行う「一貫経営」が中心なのですが、日本の肉牛の場合は通常、繁殖と肥育という二つのステージに分かれています。僕がオーナーになったのは「繁殖」の方です。
では僕の母牛ちゃんから産まれた子牛をどうするつもりなのか、、、ということが重要なのですね。
さて
僕と短角牛との出会いは、岩手県久慈市山形村という、岩手なのに山形という、なかなかに混乱する名前の村との関わりがその端緒となった。この山形村では、こだわり農産物・食品の宅配ネットワークである「大地を守る会」に村ぐるみで短角牛を供給している。山形村の短角といえば、下記エントリに登場したアレである。
実際にはこのエントリを書く前の2005年に、このエントリに出てくる「山藤」の料理長の梅田さんと共に山形村を訪れている。今年も行った。昔からの伝統的な食文化がきちんと残っている素晴らしい村で、生涯お付き合いをしたいと思ったのだ。
だから短角についてもこの山形村で突っ込むことになるだろう、と思っていた。
しかし、面白いことに今年、二戸で講演をした際の岩手大旅行で、大きな出会いがあったのである。それが、短角牛オーナー制度である。
実はこのエントリで、せんだって二戸市と合併した浄法寺という町の短角牛農家さんを回らせていただいたわけだが、記事には書いていないがそこで「オーナー制度」を実施している牛舎を訪れたのだ。
オーナー制度とは、自分の家に短角牛を飼うことが出来ない人が出資し、各種の世話を組合に肩代わりしてもらうことで牛を所有する制度だ。これを実施しているのが、浄法寺の農家さんたちが立ち上げた「大清水牧野農業協同組合」である。
この時、案内してくれた杉澤さんは浄法寺の役場の畜産担当職員で、農家ではない。でも、
「俺もここで一頭の牛を所有しているんですよ」
と言う。
「それって、僕でもオーナーになれるんですか?」
と尋ねると、杉澤さんはうーんと難しい顔をしてこういった。
「一応、市外の方はお断りしています。それと、和牛商法問題とかが過去にありましたので、いろいろとトラブルがあってもいけないと言うことがあるので、非農家の方にオーナーになっていただくのは難しいということになってるんですよ。」
なるほど、それはそうかもしれないな、とその時僕は半分諦めた。
でも、「もし空きが出て、しかも市外人でもいいというご意向が出てきたらぜひお願いします!」と言って帰ってきたのだ。
数ヶ月後、その杉澤さんから「もしかしたら、オーナーになっていただけるかも知れない」と話が来たのだ。杉澤さん自身は、どんどん減少していく短角牛の将来と、協同牧野という組織の今後を考える中で、僕のような人間が短角のオーナーに取り組むということがプラスになるのではないか、と考えてくれていたようなのだ。
「おおまかな考え方としては、組合のキーパーソンに了承してもらいました。もし都合がよければ、母牛候補を観に来ませんか?」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
マジですか?
と昂奮しながら7月の5,6日に二戸を訪問した。
僕は基本的に晴れ男なんだけど、この日は豪雨。二戸駅から、日本で唯一の短角牛専門焼肉店である「短角亭」の槻木(つきのき)専務が運転してくださる車で、40分ほどの時間をかけて大清水牧野へ登っていく。ぐんぐんと山道を登り、雨でけぶる風景がダイナミックな平原に変わってきたところに、牧野の監守さん達が暖をとる事務所があり、そこに杉澤さんが待っていてくれた。

「そこに、母牛候補の二頭を追い込んでおきましたから、まずは見てください。」

通常は広大な牧野を移動している牛たちの中から二頭、僕向けの牛を二頭選抜してくれていたのだ。その二頭がこの子達だ。
「牛を選ぶ際には、骨格と肉付きを見ます。僕としてはこちらの牛をお奨めします。」

残念ながら僕には素性のよい母牛を選ぶ眼がない。ここは杉澤さんにお願いするしかない!
「じゃあ、この子をお願いします!」
「わかりました!」
この子がその牛ちゃんである。

両耳に耳標(じひょう)が付いている。これは牛肉トレーサビリティ法(本当の名称はもっと長いのですが)によって定められた10ケタの「個体識別番号」を記載する耳標と、10ケタでは覚えられないので、牧野で独自に管理する番号を記載したものだ。

とにかく凄まじくどしゃぶる雨の中、まだまだ実感のわかない対面であった。
でも、別れの間際にこの子の体にそっと触れた手が、実に生暖かかった。体温がある、動物なのだ。この子のオーナーとなるというのは、とてつもない責任を負うことでもあるのだなぁ、と思ったことを記憶している。
「雨じゃなんですから、ちょっと小屋に行って話しましょう」
ちょっと離れたところにある小屋に移動。ふーと息をつく。なぜかわからないがこの時、二戸の振興局の方もご参加。

さてこの人が浄法寺役場の杉澤さんである。
前回案内して貰ったときに比べて、髪を切ったせいか爽やか度が非常にアップしている!

しかしその爽やかフェイスから出た一言は、はやる気持ちをちょっとダウンさせるものだった。
「実はヤマケンさん、昨日までは、本当に昨日までは順調に進んでいたんですが、ちょっと再度、組合内の意見を調整しなければならない状況になりました。」
やはり部外者、それも県外の非農家がオーナー制度を利用することに難渋を示す組合員さんもいるようなのである。
「ハッキリとダメとかそういうことではありませんので、組合としてきちんと話をして決めたいと思います。ですからもう少し時間を下さい。その間に、今回のオーナー制度がどのようなものかを理解していただくことが必要だと思いますので、少々レクチャーさせていただきます。」
(つづく)
さて、
僕がオーナーになるのは短角牛のメス牛である。なんと、二戸の短角牛では、メスは肉用にまわされることはなく、ひたすら子牛を産む役目を負うことになる。そしてこのメス牛が順調にいけば9~10産してくれるという。子供が生まれたら、通常はその子を市場に出荷する。もしくは自分で肥育農家に委託して、自分用の肉にしてもいい(食べきれないけどね)。

つまり、素牛(もとうし、と読みます)の購入代金と、各種の手続きの代金、そして日々の餌代、管理代金を合わせた額が支出。そして産まれた子牛を販売して得られるのが収入。収入が支出を上回れば、生産農家に利益が出るわけである。この辺の具体的な数字もおいおい開示していきたい。ま、ハッキリ言って一頭のオーナーになるくらいでは、利益は数回の東京~二戸間往復運賃程度である。
でも、短角のオーナーになるというのは、そんなお金では測れない価値がある、と僕は思うのだ。
「えーそれでは。牛を飼う、というときに、避けて通ることが出来ないいくつかの制度や決まり事があります。」
このくだり、
牛を家畜として飼うということがどういうことなのかを知るのにはちょうどよい話なので、ここに来るまでの間に杉澤さんと交わしたメールやりとりも踏まえてまとめてみよう。
今回必要となる論点は下記の4つだ。
1.牛の登録登記について
牛の登録登記とは、牛の住民票になるわけですが、現在は大清水牧野の組合長の名義で登録されておりますが、これをやまけんさんの名義に登録します。これによって、やまけんさんの所有する牛が誕生します。
→つまり、日本における家畜としての登録は僕の名義でできそうだということだ。
2.個体識別情報について
牛には全国でその牛にしかない、10桁の番号がつきます。これを個体識別番号といいます。インターネット上にその情報公開データベースがあり、検索するとその牛の様々な情報が閲覧出来るシステムです。日本で産まれた肉牛は全てこのデータベースに登録することが必要となります。
ただし、大清水牧野のオーナー牛制度は、牛舎を所有しない方が牛を所有する特殊な制度であるため、個人の名前では登録出来ないということになっているようです。しかし、飼養管理者である大清水牧野名義であれば、登録は可能となります。
→個体識別情報とは、牛肉トレーサビリティ法で記録と表示が義務づけられた10ケタの番号のことだ。スーパーでパック入りの牛肉を買うとき、国産の牛であれば必ずどこかにこの10ケタの番号が付いているはずだ。
個体識別番号はインターネット上でも検索できるようになっており、ここで検索したら僕の情報が出てくる!という風にしたかったのだけど、ここには所有者ではなく直接の飼養管理者を登録しなければならないらしい。残念!
3.共済制度について
共済制度とは、牛の保険制度です。牛が怪我をした場合や、事故等により死亡した場合等に摘要されるものです。これに加入できないと怪我の治療に要した経費は自己負担となりますし、死亡した場合の保証は無しとなってしまいます。
これに関しては飼養管理者である大清水牧野として加入できる見込みです。
→生き物や植物を扱う農林水産業では共済制度が非常に重要になる。とくに牛はそのライフサイクルの中で医者にかかることが非常に多く、その全てを普通に個人負担で支払っていたら大変なことになってしまうのだ。
4.安定基金制度について
安定基金制度とは、子牛市場で平均販売価格が国の基準より安かった場合、販売者に対して支給される補給金制度です。これには国や県の補助金が使われているのですが、他県の方への摘要は出来ないという回答が、関係機関からありました。このため、何らかの原因により価格が下落した場合であってもの保証は無しとなります。これについては、大清水牧野で加入ということは出来ないため、ご了承願うこととなります。
→今回の重要なポイントはここだ。
安定基金に加入できないということで、子牛の市場価格が変動し、格安になってしまった場合、加入農家であればいくばくかの損失補填を受けることが出来るが、僕は損失をそのまま受け止めるしかない。投資信託が元本割れしてしまうのと同じようなものだ。
このように制約は多々あれども、おおもとといえる登録を僕の名前ですることができるならばOK!である。損失が出たときにモロにそれを被ることになる、、、結構です。僕はこのオーナー制度を通じて、日本で牛を飼うこととはどんなことか、を体感したいと思っている。そこには数々の喜びがあると思うのだけど、一方で悲しみ・苦しみも多々あることだろう。それらの一切合切をひっくるめて負いたいと思っているのだ。
「あ、でもまだ決まったわけではないんですよね?」
「はい、まあ何とか大丈夫とは思うんですけど、、、ちょっと待ってて下さいネ、調整しますから。」
実はこの時、杉澤さんからこういう提案を受けた。
「やまけんさん、実際には僕が登録をして、僕の口座にやまけんさんが各種の経費を振り込むという、代理人形式での、いってみればバーチャルなオーナーということになってもいいですか?それならば共済、安定供給基金も問題なく加入できますし、組合内部でも問題はまったく無くなって、話が早いんです。」
なるほど、そういう手はある。
けれども僕は聴いた瞬間から、それはないな、と思っていた。
バーチャルなオーナー、では正直、自分が牛の生命を預かっているという実感がわいてこないのではないか。むしろ、価格安定の補償などを持たず、ヒリヒリするような感覚で出荷を決心したり、実際に市場価格の乱高下の影響で損をするくらいじゃなければ、自分の中に畜産に対する主体的なスタンスが出来ないじゃないか。そう思ったのである。
「杉澤さん、安定基金に入れなくても、自前でオーナーになる道を選びたいと思います」
「そうですか、わかりました。じゃあ、なんとか組合内部でOKとなるように頑張ります。」
と、力強く頷く杉澤さん。
「私個人としては、ヤマケンさんがオーナーになってくれるのは大歓迎です。岩手県は短角の最大の産地ですが、黒毛和牛の人気に押されて、その頭数はどんどん減少しています。広大な牧野を維持していくためには、空きスペースをつくるより、ちゃんと牛がいて育つことが何より必要です。
でも、どこの誰でもいいという訳にはいきません。和牛商法ではないかと思われる人もいるかも知れません。また、安定基金の問題などをちゃんと理解していただき、リスクがあることをわかってもやりたい、という人でないと我々も飼養管理を受託できません。
その点、ヤマケンさんは短角の特性を理解した上でオーナーになりたいと仰ってる。これは有益な新しい試みだと思います。私も真剣に、組合の皆さんに話してみますから!」
そう言って、力強く笑ってくれたのだ。杉澤氏、かなりのナイスガイである。
続いて二戸の振興局のお二人からは、牛肉トレーサビリティ法での個体識別番号の詳細についてレクチャーをしていただいた。
とにかく農林水産業の中でも、牛という大型畜種については非常にいろんな機関が関係しているのである。
ちなみに、このテーマで僕がこれから書くエントリを読む際に、予め了承して欲しいことがある。それは、このオーナー制度はどこでもやっているわけではない、ということ。
また、県外人であり非農家である僕がこのようにオーナーになるというのは、現状ではかなり特別な例であるということだ。
上記1~4に記した各種制度については、杉澤さんが関係機関にすべて打診をし、公式見解をもらいつつ調整した結果である。ただし一般の人が同様に制度を活用できたり、飼養管理を委託できるかということは現在では未明であることを、ご理解いただきたい。
逆に言えば、僕がこのオーナー制度で問題を起こさずにやっていけたら、オーナー制度の一般への門戸も開かれるかもしれない。そんな、いいモデルケースになれるように頑張ろうと思う次第だ。
「さあて じゃあ短角牛を食べに行きますか!」
ざぶざぶの雨を避けながら車に乗り、ふもとまで降りる。浄法寺まで20分、浄法寺から二戸まで30分程度で、二戸駅近くにある奇跡の焼肉店「短角亭」へ。

■短角亭
〒028-6103 岩手県二戸市石切所字荷渡56-2
(二戸市合同庁舎から徒歩1分 )
電話番号 0195-23-0829
営業時間 11:00~22:00
http://www.yamacho-meat.com/eat/index.html
日本全国を見ても、短角牛に特化した焼肉店はここしかないだろう。
しかも、通常メニューには掲載されていないが、運がよければ短角の内臓肉を食べることが出来る店なのである。しかも、都内の焼肉店の単価から比べると、凄まじく激安、、、 焼き肉好きの皆さん、東北新幹線で東京~二戸間往復を負担する価値は絶対にあると思いますヨ!

短角牛の肩ロース!
赤身中心とはいうが、もちろんサシも入るのである。

これはハラミ。
短角のハラミなんてそうそう食べられないのですぞ。


出た!世にも貴重な短角のモツである。

上からギアラ、ホルモン、レバー。実は写真には撮らなかったけど、タンがまた最高なのである。
そしてこれがまた珍しい、ハツもと。
心臓の脇の大動脈、つまり血管である。
凄まじく心地よい歯応え。モツ臭さは皆無。軟骨のハード版という感じだろうか。

これら短角にベストマッチなのが、浄法寺地区の特産であるヤマブドウで醸造した「浄法寺ワイン」。杉澤さんが持ち込んでくれた。
このマークは、浄法寺にある天台寺の住職に就いていた瀬戸内寂聴さんの手によるものだ。

こちらは白。白いヤマブドウはないのでこれは違う国産品種だが、リースリングっぽい爽やかな甘さが食前にいい。肉をバンバンたべる食中は、ヤマブドウを原料にした赤がいい。

予想では、失礼ながら大した酒質ではないだろうと思っていた。
間違っていた! この濃厚な山の風味、短角牛の肉質とベストマッチである! 余り本数がないようだが、もし二戸に訪れることがあれば試してみて欲しい。ただし、短角亭には常備されているわけではないと思うので、ご注意を。

センマイはきちんと皮を剥いて白センマイに。変な臭みナシ。

とにかく短角牛の内臓は手に入りにくい。
これについては後日詳述したいが、牛の流通とは極めて複雑怪奇なのである。
だから、この短角亭でも、予め頼んでおいたとしても入らない場合がある。

岩手で焼き肉の〆といえば、そりゃ冷麺でしょう。こちらのは盛岡冷麺をベースにしているから、韓国のガッチリとしたコシのある麺とはちがい、プルンとした麺である。

もちろんビビンパにはユッケを。赤身肉のもも肉を叩いたのがたっぷり載ってくる。


ああ、素晴らしき肉に埋もれた一夜であった。
あとは杉澤さんに組合内部の意見をとりまとめていただき、僕を短角牛オーナーとして受け入れていただけるように祈るばかりなのである。
そして約1ヶ月後、またもや二戸を訪れることになったのである。
(つづく)
さて、岩手県二戸市は、本当に綺麗なところだ。
仕事柄、日本中の農業の産地を訪れる。あたりまえのことだけど、地方都市の駅前には農地はない。平地部でも中山間部でも、車で少し走らせたところに素晴らしい景観が拡がっている。そういう風景はたくさんみてきたけれども、今年の2月に初めて講演のために訪れた二戸の佇まいには感動した。駅から車で3分で、味わい深い山と川と田んぼの風景が拡がっているのだ。
■二戸駅前。東北新幹線が停まる駅である。それなのに、駅前ロータリーから大通りに出る交差点に、信号がない!なんとものどかなり。


■田んぼの風景。駅から10分くらいの間、山間地に入る前にこういう、見晴らしのよい場所がある。でも、それが結構あるので、いちいち車を停めてたら大変だ。


でも僕は、こういう風景が好きなのだ。完全な山間部ではなく、自然と人為が釣り合いしているような風景。

今年は温暖化の影響で、稲の生育も早まっているかと思ったが、初期の曇天が効いているのか、例年並みだということだった。



■山間部の農地にはいると、こんな風景だ。そこに人はいないけれども、人の営みがある。

■中程に見える、うす緑色の作物がなんだかお分かりだろうか。

これ、実はたばこの葉だ。
あたりまえのことだけど、たばこは植物なのです。二戸は国内最大級のたばこ産地。たばこは食べられないし、第一僕は一切たばこを吸わないので、個人的には全く価値のない作物。けれども二戸の農業の中では、実に重要な作物なのである。
さて
なんで山に向かっているかというと、とうとう二戸市浄法寺の短角牛担当の杉澤さんから、嬉しい連絡が届いたのだ。
「やまけんさん。大清水牧野農業協同組合で、正式にやまけんさんをオーナーとして迎え入れることが了承されましたよ。牛を観に来ますか?」

よーし!
とうとう、僕と短角牛との正式なお付き合いが始まろうとしているのである。
(つづく)
エントリ書くの細々になりそうです。
それはそうと オリンパスのE-410を大満足で使っていますが、キヤノンが昨日発表したEOS 40Dはすさまじいスペックですね! EF-Sレンズも一通り持っているので、思わずほしくなりました。ボディもほしいしレンズもほしい。デジタルカメラの沼は本当に深いな、、、
このブログを始めたころの2003年とか2005年くらいまで、一眼レフカメラを使ってない頃なんて、画質もへったくれもないけど、きれいな写真をとることに関心が出てくると、本当に泥沼です。
ところで
自分を奮い立たせるために書いておきますが、10月に新書を出します!
9月中には絶対に書きあげるぞ!
ということで
メシ食って仕事だ!

昨晩書いた木次乳業のプリンのエントリで、創業者の佐藤忠吉さんが「うちの牛乳は美味しすぎない」というようなことを書いていた、という部分、誤解を招いたらいけないなと思って、佐藤さんの話しを森まゆみさんが聞き書きされた本を調べた。
| 自主独立農民という仕事―佐藤忠吉と「木次乳業」をめぐる人々 | |
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(以下、引用)「農村は都市の植民地じゃありゃせんけん。生産するものが不健康で何がまともなものが作れるかいな、と気迫があった。消費者の奴隷にはならない。こびる必要もない。こびると必ずごまかしが入ってくる。ですから、『パスチャライズ牛乳は大量生産できません』『日本で一番うすくて美味しくない感じの牛乳です』と名乗りました」
(引用 終)
ふふふ、佐藤さんはもっと過激なことを書いていたんだなぁ!と思わず微笑んでしまった。
昨年度に木次乳業を訪れた時のことは今でも鮮明に思い出すことができる。


山あいの地にヒョッと出てきた工場で出会った佐藤貞之社長(佐藤忠吉さんの息子さんということだ)は、本当にひょうひょうとした感じの、力の抜けた方だった。難しい話しは一切抜き。

「時間もないみたいだし、牛を観に行こうか!」
と、自らの車で、山に登っていくワインディングロードをぐわんぐわんとばかっぱやく登っていく。

「山地酪農の地」と誇らしげに書かれた看板。しかしその牛舎には一匹も牛がいない。

「そりゃそうだ、今の時間はまだ牛は山にいるから」
ということで、山をとことこと登っていく。

大きなカーブを2回、まわったけれども牛は居ない。
うーん、いったいどこにいるんだろう、、、と思ってカーブを曲がりきったところに、彼らはいきなり居た。

うわっと僕ものけぞったけど、その時彼らの表情からも「なんだなんだ」「だれだだれた」「知らない顔だぞ」「興味津々」というような感情のようなものが見えた!
それにしてもブラウンスイス種は美しい。

長く牛舎用に改良されてきたホルスタインは、骨格や肉付きが運動に向いていない。山地に放牧されると、乳房が地面にすりつけられ、乳房炎になってしまって乳の質が落ちてしまったり、環境になじめずに病気になったりしてしまうそうだ。(ただし、先日高知県で山地酪農を見学したときは、3代くらいかけてホルスタインを山地向けに改良していた、そういうところもあるということだ。)
で、佐藤さんが出会ったのがブラウンスイス種。腰高なので乳房を引きずらないし、骨格も運動向きなのだ。しかし乳量はホルスタインほどは出ないし、あっさりした乳質になりやすい。そうした牛の質と乳質によって、山地酪農牛乳の殺菌法と味がデザインされていったのだ。

「この子達は牛舎に戻りたがっとるんですな。いま、扉を開けますけん。どどっと出てくるから、向こうの方に歩いとってください」
と佐藤さんがいうので最初のカーブで待つ。そうすると、山あいの小路を行進する、なんとも可愛らしい一段が見えてきた。


おおっこっちに来たぞ。あれ、とことこなんてカワイイ歩き方じゃないぞ、さすがに大型家畜。デカイ!どすどすと歩いてくる。

「ん? あの人誰?誰?興味津々!」とばかりにこっちに殺到!うわーーーーーーーーー


あまりに近接遭遇なのでちょっと丘の上に避難。とにかくすごい迫力なんである。
面白かったのは、同行の女性編集者I女史にまとわりついていたこと。彼女は困り切っていたが、牛が鼻をおしつけてくるのだ。きっと香水の香りに関心を示したんだろう。「やっぱ女の子が好きなのかなぁ」と思ったが、乳を出す牛はすべてメス牛である。謎。

放牧が終わってから、牛舎でも健全な餌を食い込ませているようだ。


「さて昼飯でも食べましょうか」
と佐藤社長が社員食堂に誘ってくださる。
じつは木次乳業の社食については、某畜産団体の友人が「感動ものですよ」と教えてくれていたのだ。

小さな食堂には社員さん達が集っておられた。
恐縮なことに社長みずからがサバをやいたのを取り分けたりしてくれる。

ご飯とおかずのラインナップを観ればお分かりの通り、非常に健康的な食卓だ!



木次乳業とはこういう会社だ。
ちなみに木次の牛乳商品全てがブラウンスイス種の山地酪農牛乳ではないのでご注意。
通常の木次のは、ホルスタインの生乳を低温殺菌したものだ。



豊富な商品をもつ木次乳業。取材の時に商品集合写真を撮っておいて本当によかった!

さてこんなに長々と木次乳業のことを書いているから、木次の牛乳を飲んだ方がいいよ!ということを僕が言っているのかと思われるかもしれない。でも違うのだ。
先の本を読むと、大きなオチが付いているのである。
(引用)「ただし東京のお人が、遠くの出雲の牛乳を飲む必要はじぇんじぇんございません。関東でいい乳業メーカーを自分で探しなさい」
(引用終)
ガツーン!
と衝撃が来る。
そうなのだ。島根の牛乳製品を東京で飲もうとしたら、輸送コストもCo2排出も、そして余分な衛生管理も必要で人件費がかかる。そんな社会コストをかけるよりも、関東の人間は関東でいい乳業メーカを探し、飲むべきということだ。「ううん、でもそう言うところがないのよ」という人も多いだろうが、だったら頼みに行くなり、そういう牛乳が飲めるよう行動を起こしていくべきだ、ということを確認させてくれる言葉だ。これは水に関しても言える。PET入りの水を輸入したり、日本の名水を飲むのもいいけど、本来的には自分の住んでいる家の水道の蛇口から出てくる水が不味いなら、水源から家までの水質浄化を求めて行動を起こすべきである。僕も家では浄水器をつけて、極力買ってきた水は飲まないようにしている。外ではそうはいかないのが残念だけど、本質はそういうことなのではないだろうか。
しかし牛乳については関東近郊でもいい乳業メーカがあるし、手に入る。僕は大地を守る会の低温殺菌牛乳を飲んでいるが、これは静岡の函南(かんなみ)から来る乳製品で、その施設も見学させて貰ったことがある。本当は東京近郊に欲しいところだが、、、
ということで、
プリンの話しから異様に大きく脱線してしまったが、冒頭で紹介した本は素晴らしい内容だ。読んでおいて損はないと思う。
改めて木次乳業さん、ありがとうございました。
週アスと展開している、岩手県二戸市の短角牛一頭山分け販売企画、なんと4日間で全セット完売したわけだが、とうとう本日出荷! 山長ミートでカットされた肉とタレが、今回購入者にむけて発送されるのである。
しかも今回、朗報が。なんと肉が思ったより多くとれたので増量するとのこと!


今回頼んだ人は本当にラッキーだ、、、マジで今回の価格は捨て値ですよ。捨て値。
俺も両方のセットを頼んだけど(もちろんお金はらうんだよ)、喰いきれるか?という量だ。
それにしても、特殊な販売方法だ。もしこれで予想より肉がとれなかったら、、、他の牛の肉を混ぜる、ということは今回の趣旨からは出来ない。そういう、シビアな読みが必要だったので、実はかなり胃が痛くなるようなヒリヒリした感覚だったのだ。でも、農畜産物は全部、とれてみないと、中身を割ってみないとわからないというのが真実だ。それを許容してくれないと、消費者もいい目を見られないということがあるように思う。
そう言う意味でも、今回このリスキーな企画にのって買ってくれた人たちには感謝したい。
岩手県の短角牛関係者の人たちも、かなり今回の件は注視してくれているそうだ。
少しでも短角牛が拡がるステップになればと思う。

今回の増量の件、詳細はアスキー出張所↓にて。

本日は日帰りの大分出張。
大分空港からタクシーで一時間かけて別府まで行き、講演90分、温泉にもつからずにとんぼ返りでまた戻って空港で寿司だけつまんで東京へ戻るという強行軍。疲れたー
その間に、アスキー365の担当アダチさんから嬉しいメールが。
「無事に15:40、出荷完了という連絡が入りました!」
よかった、、、
短角をお買い求め頂いた皆さん、1kgでの販売でしたが、おおむね1.1kgくらいになっているようですので、お楽しみに!
そして山長ミートの槻木専務、お疲れ様でした!
で、もう一つ重要な連絡が。
「BSE検査も合格しました!」
そう、だんだんと沈静化しているように見える、狂牛病と言われていたBSE問題だが、日本ではほとんどの食肉処理の段階で、BSE検査が行われている。今回出荷する短角牛、まあ当然ともいえるが、この検査は楽勝でクリアした。その証明書がこれだ。

短角牛は、産まれてから8ヶ月くらいを牧野に放牧されて育つ。この間は、母牛の乳と草のみを食べて育っているわけだ。その後、しっかりした骨格が出来た段階で肥育農家に引き取られ、牛舎で穀物や乾草などの飼料を与えられて育つ。
ちなみに今回の肥育農家は漆原さんという、二戸で最も大規模に短角牛を肥育している方だ。

彼の牛舎では可能なかぎり配合飼料を使わず、麦原料をベースにした飼料を与えている。それをこの目で見てきたから、BSE検査など大丈夫だと思っていたので、まあ、よかったよかったという感じだ。
で、このBSE検査は、2000年代前半は国からの補助金で行われていたが、今後は打ち切りとなる。
補助の打ち切り後どうなるかというところに焦点が集まっていたわけだが、各市町村の対応としては「消費者が不安視するから継続した方がいいだろう」とかいうものが多いように見受けられていた。
しかし、新聞各紙でも報道されたが、農林水産省がわざわざ各県に「どっかが自主的に続けると消費者が混乱するから、一斉に辞めて欲しい」というような通達を出した。これは非常におかしなことだ。BSEのリスクは「極めて低くなった」ということは明らかだと思う。しかし、それはそれで不安が残っている消費者も多いわけだ。それに対して自主的に検査を続けようとする意向を、国が通達をして潰そうとするのはさすがにまずいでしょう。この辺、皆さんはどう思われますかね。
ということをちょっとだけでも考えながら、今回の短角牛を味わっていただけると、より一層今回の企画に参戦していただいた意義があるような気がする。
まあ、小難しい話しはどうでもいいや、という気もするけど、僕としては今回の短角牛企画は、そもそも黒毛和牛一辺倒の世の中に対するアンチテーゼという意味も持っているのだ。
黒毛和牛の飼育で食べさせる餌は、その大部分が輸入穀物のコーンなどである。対して短角牛は、岩手県で育っているものに関して言えば、彼らのライフサイクルの1/3は、その土地の草を食べて育つ。どっちが本当の意味の「和牛」だろうか。
ということで、明日みなさんぜひきっちり味わってくださいませ。
私は久しぶりに七輪に炭火をいれて肉を焼くつもりです。
そうそう
アスキーの方で、「短角牛セットを写真に撮ったのを送って下さい企画」を行うらしい。
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やまけんさん、
焼いた!喰った!の速報を書いていただく際に
実際に食した方の
「食い倒れフォト&コメント」も送っていただくよう
ぜひブログにお書き添えください。
フォト&コメントの送り先は
asc365-929@ml.ascii.co.jp(応募締切2007年10月8日)
です。
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とのことなので、ぜひたくさんのご応募お待ちしております!
では、明日に向かって寝るぜ!
おやすみなさーい。

肥育農家の漆原さん、そして精肉卸の山長ミートさん謹製のステーキセット、、、素晴らしかった!
まさにグレート! これでひとつ肩の荷が下りた、、、

肉は本当に大幅増量。
焼肉セットは150g余分に入っていたくらいだ。予想より肉がとれたという、嬉しい誤算。
我が家はもう、どんなに換気しても焼き肉の香りしかしません。
ブログアスキー出張所の方に詳細報告アリ。とくとご覧くださいませ↓


ちょっと間が空いてしまったが短角牛のこと。
某日、二戸市浄法寺総合支所の短角牛担当である杉澤さんから、嬉しい連絡が届いたのである!
「やまけんさん、組合内で正式に、やまけんさんに牛のオーナーになって貰っていいだろう、という合意がとれましたよ!正式な手続きはこれからしますが、とりあえず大清水牧野農業協同組合のオーナー名簿にはやまけんさんの名前で牛を登録しておきますので!」

やったぁああああああああああああ!
まだ雪の降る2月に初めて短角のオーナー制度に出会って以来、そう簡単にはオーナーにはなれないだろうと、なかば諦めていた短角牛のオーナーになることができるのである!
ちなみに少し間が空いてしまったので復習をしておくと、短角牛のオーナーになるというのは、短角牛のメス牛の所有者になるということである。まだ正式な金額がこちらに届いてないのだけど、購入にかかる費用がおそらく20数万円。

そのメス牛は二戸市浄法寺町の大清水牧野という広大な牧草地帯に放され、生まれた仔牛と共に夏を過ごし、冬はオーナー牛舎で2月下旬から始まる出産ピークに向け体調管理されるのである。料金は、夏の放牧料が親子で1日240円程度で、冬は餌代も含めた牛舎での管理費用が一日500円程度。これを年ごとに決済していくわけだ。
牧野に居る間、短角牛のメスの群れの中に一匹の勇壮な種雄牛が放たれる。
つまり完全なるハーレム。雄牛はじゅんぐりに、発情期を迎えたメス牛に種を付けて回る。余程のことがなければ、晩秋の雪が降る前に種が付くわけだ。
で、子牛が生まれたら、秋まで育成して、家畜市場に出荷する。いい値段が付けば、母牛の購入代金や餌・管理代と相殺でき、母牛が数回お産をする中で損益分岐点を超えるということになる。
もちろん、子牛を市場に出荷するだけではなく、子牛を信頼置ける肥育農家に預けて、肉牛として太らせてもらうこともできる。その場合は預託料金を肥育農家に支払うことになる。そして、市場での買参権を持つ肉屋さんに頼んで、自分の牛として買い入れてもいいわけだ。
むろん、僕は最初に生まれてくる子牛はこの形式で、最後まで自分の牛として、肉にするところまでを見届けたいと思っている。1頭の牛を肉にすると、250Kgくらいになるから、とてもじゃないが数人で食べ尽くすことは出来ない。その時には、大オフ会を開催する予定なので、ぜひ色んな人に集まっていただきたいと思う。
で、
牛の所有とは別に、この国には牛を飼う場合の制度がある。日本で生まれ育つ牛が全て登録されている個体識別データベースに申請・登録しなければならないということと、あとこれは農業者の任意ではあるが、共済制度に加入するといったことだ。ただしこの辺は、実際に牛の管理をしてくれる大清水牧野農業協同組合が登録を肩代わりしてくれる。
僕の牛の個体識別番号は1231175826だ。
この番号を、全国の牛を管理している家畜改良事業団という団体の検索システムに入力すると、牛の出生・移動履歴を観ることが出来る。
■家畜改良事業団の個体識別情報検索ページ
https://www.id.nlbc.go.jp/top.html
ここで僕の牛ちゃんの番号を入力してみると、大清水牧野農業協同組合の組合員である二戸市浄法寺町の堀口さんという繁殖農家さんのところで産まれ、そして現在は大清水牧野にいるということになっているのがわかるだろう。そして草が枯れ、雪が降る時期になるとまた大清水牧野オーナー牛舎というところに入ることになる。そうした移動の履歴がいちいち記録されるのである。
「オーナー制度では、牛の管理を全面的に大清水牧野農業協同組合が行っているためヤマケンさんの名前は出ないんですけど、大清水牧野農業協同組合のオーナー名簿上はやまけんさんの名前で登録していますからね。」

ということである。
ちなみにこの娘が僕の雌牛ちゃんである。
角がキュッと外に伸びた、清廉なイメージの若娘なのである。
これで、晴れて彼女は僕の牛ちゃんになったということなのだ。
そうなってみると本当にこの娘牛に対する、なんともいえない感情が芽生えてきた!
あまり頑張りすぎ無くていいから、健やかに育ってくれよな、、、
という気持ちになってしまう!
これから可能なかぎり、牧野に通いたいと思う僕なのであった。
岩手県二戸市より、嬉しい知らせが届いた!

僕がオーナーとなった短角牛母牛の、待望の第一子の誕生である!
「4月くらいにずれ込むかなぁ、と思ってたんですけど、産まれましたねぇ。メス牛です。実は時同じく、私の牛も子を産みました。」
と、二戸市浄法寺の役場の短角牛担当である杉澤ちゃんが連絡をくれた。
メスである。メスの場合、肉にしないで繁殖用の母牛として確保するということもできるのだけど、、、
公約通り、この子は謹んで肉用に育てたいと思う。
それにしても、生まれてきた仔牛のかわいらしさを観ると、この子をいずれ肉にするということの重みがズシッと重くのしかかってくる。畜産農家は常にこの重さと対峙しているわけである。この喜びと愛情と辛さを、逃げずに感じきっていきたいと思う。

この仔牛の命名権は僕にある。ひらがなで名付けるそうだ。考えなければ、、、
ちなみに
関心のある人もいるかもしれないので、この母牛オーナーになってからかかったお金がどのくらいかを書いておこう。
まず母牛となった短角雌牛の代金は282,450円である。
この牛を世話してもらう代金が一日500円。11月から3月末まで152日で76,000円。これに諸費用を加えて8万円程度となっている。子牛の預託金額についてはどうなるのか?この辺はまた再度レポートしようと思う。
ああ、それにしても子牛が生まれてしまった。
いずれは食べてしまう子牛である。でもカワイイ。とりあえず会いに行かねばなるまい、、、

既報の通り、3月16日に僕の短角牛に、子供が産まれた。初産にして、待望のメスの子だ。二戸市浄法寺支所の短角牛担当・杉澤君に「名前、どうする?」と聴かれていたのだけど、この間ずっと悶々としていた。
何に悶々としていたかというと、この牛は最終的には肉にして食べようと思っているのである。その牛に対して名前をつけるということが、なんとも苦しいのだ。可愛らしい名前、考え抜いた名前をつけることで、余計に「でも食べるんだよなぁ、、、」という現実が迫ってくる。
前にも書いたとおり、メスが産まれたということで、今僕がオーナーになっている牛と同様に、子供を産むための繁殖雌牛として、長く生きてもらうのでもいいじゃないか、と思いそうになったことがある。やっぱりと畜に出したくないのだ。けれども、それでは当初から考えていた、「畜産農家の方々がどのような思いで牛を育て、出荷しているのか」を学ぶことができない。
だから、僕はこの子供を、最終的には肉として出荷し、自分で食べようと思っている。
しかし、、、実際に会ってみて、本当に参ってしまった。可愛いのだ、、、
なんだかもう、本当に参っちゃうくらいに可愛らしい子牛ちゃんなのである。
バンビのような、クリッとした愛らしい目に、綺麗に揃った足がほんとに可愛い。
きちんとおでこにはきれいなつむじが巻かれている。
名前をつけるという行為はとてもつらいことだなぁ、、、と思ってしまった。名前をつけさえしなければ、この子は「牛」なのである。けれども名前をつけてしまったら、モノではなく自分が向き合う対象になってしまうのだ。
ちなみに牛の個体登録においては、名称はひらがなでの登録になる。「さち」とは、この子に幸多かれと思ってそうしたのだけれども、そう思えば思うほどに、肉にするという行為が今から辛い。
これがさちの鼻紋である。指紋と同じように、牛の鼻はすべてユニークで、識別可能なのだ。
今回驚いたのは、母牛の変わりぶりだ。
以前は本当にデリケートな娘で、僕が近づくと、餌を持ってちらちらさせようが何をしようが、全く寄ってきてくれなかった。警戒心が強いのだ。
しかし今回は、そんなことはなかった。とくに人間にすり寄ることはないが、餌の乾草を与えようとすると、手から食べてくれる。子供を産んで、堂々とした感じだ。やはり、人間の世界と同様に、母は強いと思った。
牛は子供への愛情が強い。自分の子以外の子牛がすり寄って乳を飲みに来ても、追い返してしまうそうだ(なかにはその間隙を縫ってちゃっかり別の母の乳を呑む子もいるそうだが)。
この母子は、5月のはじめには、放牧に馴致(じゅんち)させるために牛舎の前の放牧場に出される。外の世界との邂逅である。それで十分に馴れたら、いよいよ「山上げ」。稲庭岳に拡がる大清水牧野の、180haの広大な牧野に放たれるのである。
ところでこの日は、種雄牛センターに寄って、僕の可愛い娘に種をつけやがった雄牛に会いに行った(笑)
こいつがその失礼千万な雄である。でもまあ、可愛い子供も産まれたし、許してやろう。居並ぶ雄の中ではなかなか優しい目をしている。短角牛は、本交といって、人工授精ではなくきちんと雄と雌が○○○をして子を産む。
とはいっても大ハーレム状態だ。40頭のメスの群れにオスは一頭。この浮気者め、、、
大清水牧野にはまだ雪が残っていた。5月にはいると、バラ線(有刺鉄線)を上げて牛が逃げないように囲いをつくり、そこに牛を放つ。
牧野には爽やかな風が吹き、発電用の風車が回っていた。ここに短角牛が放たれ、悠々と草をはむ風景を、みんなに見せてあげたいものだ。
そうそう、今回は県との仕事で来ている。今年の9月か10月に、首都圏からこの短角の放牧風景や雑穀の収穫などを観てもらうためのツアーを企画することとなったのだ。別途お知らせするので、心の準備をお願いします。
もちろんそのツアー内では、これまでブログに書いたいろんな処を廻ることとなる。
「つぶっこまんま」の雑穀お膳も食べていただくことになるし、
「短角亭」では、たっぷりここでしか食べられない短角の肉や内臓を食べていただくことができる!
生のギアラ。最高だ!
何枚かは火を入れずに食べてしまったレバー。臭みのたぐいは一切無し。
朝6時56分の新幹線で東京から二戸に行き、午前中は役所で打ち合わせ。つぶっこまんまにて昼食、そして山に上がって子牛に会いに行き、牧野等を廻って短角亭へ。東京行き最終便の20:12の新幹線で帰る。どっぷり浸かれてしまうけれども、一日行程も可能だ。
二戸との本格的な付き合いが始まりそうだ。
仕事の合間を縫って二戸へ。実はきたる14日(月)に、都内某所で短角牛のイベントを開催する。23日に行ったオフ会とは違い、お客さんを料理人&料理マスコミ限定とするものだ。
当日に調理をするのはなんと、、、ラ・グラディスカの堀江純一郎シェフ。今、イタリアンの世界で、しかも肉の焼き手として注目されている人である。その準備もあり、新幹線に乗って二戸へ。社内では原稿三昧。
20:47に到着後、すみやかに短角亭へ移動し、当日お話しする講演内容を打ち合わせしながら食事。
写真は、本当は昼にしか出ない短角牛丼ランチセット。これが実に好評だという。確かにカルビなど焼いたのがどさどさと載っていて旨い!
翌日の二戸は、雨の予報だったが、駅周辺では晴れ間まで見えていた。![]()
二戸駅前から浄法寺行きのバスに乗って30分くらい上ると、市役所の浄法寺支所に到着。僕の短角母子を世話してくれている杉澤君と落ち合って、山に登る。
山の天気はめまぐるしく変わる。残念ながら登り出すとすぐにガスがかかっていて、一種幻想的な雰囲気のなかに短角の群れがいた。
ええと、やまけんちゃんの牛はどれだったっけな、、、と探す。短角の群れはだいたい45頭くらいで、その中に一頭、雄種牛が入っているというハーレム状態だ。
短角に限らず、牛は群れるのでだいたいの位置を把握しておけば、広大な面積の牧野をあっちこっち廻る必要はない。
「日差しが強いと林の中で涼むから、外から見てもよくわからないんだ。今日はかえって探しやすいよ」
とのこと。
「ああ、いたいた。あれがさちちゃんだよ!」
おお、本当だ、「さち」だ!
僕が命名した「さち」。3ヶ月ほど逢わないうちに、いかつい身体になってたらやだなぁと思っていたが、さすがに雌牛だけあってそんなことはない。
やっぱりうちの子はかわいいぜ~
しかし、、とても気になることが起こっていたのだ。さちに限らずこの牧野には母子関係にある牛が10組くらいいるのだけど、子牛は乳を飲みたいので、母のところにすり寄っていく。近くに母牛がいない時には、「もぉおおおおお」と声を上げて母を呼ぶ。そうすると母牛もなんらかのコミュニケーションを返して、ご対面となることが多い。
しかし!
僕がオーナーとなっているこの母牛ちゃんは、さちに乳を飲ませようとしないのだ!
さちが彼女を見つけて近寄っていく。乳にむしゃぶりつこうとしているのだが、、、
母はぷいっと去っていってしまうのだ。
哀れ取り残されるさち、、、
なんてこったい!
最初のうちは僕も冗談ぽく杉澤君に「おいおい、育児放棄かよ」と言って笑っていたのだが、そのうち杉澤君がマジ顔で「うーん本当に乳を飲ませたがらないでいるなぁ」という。
どうやら、彼女の乳がちょっと腫れている状態らしい。
「本当はそういう、張っている時ほど乳を飲ませた方がいいんですけど、彼女はまだ初産だからそういうことがわからないのかも知れないね。」
えええええええええええええええ
なんだよぉ、、、そんなのありなのか、、、
ちなみにその周りでは当たり前のように授乳風景が繰り広げられている。
牛は愛情細やかな生き物だそうで、1年以上乳を飲ませるらしい。草も食べるし乳も食べる。それで大きく育ってくれる生き物なのだ。
でも、僕の母牛は今、さちに乳を与えてくれない。かといって愛情をかけていないわけではないらしく、隣りに寄り添ってはいる。
でも、さちがお乳を求めると、プイッと移動してしまうのである。仕方なくさちは草をたべる。でもお乳が飲みたい。「おうううぅうううう」と悲しそうに泣く。みていて切なくなる光景だ。
あろうことかさちは、他の牛さんの乳にすり寄っていくようになった。
「もらい乳」である。これは通常は成功せず、追い払われてしまうそうだ。事実この時すり寄っていった雌牛は、まだ未経産牛だった(妊娠したことがない雌牛ということ)ので、乳に吸い付いたとしてもなんにも出てこないのである。
うーむ
牛さんの世界にもいろんなことがあるらしい。
「まあ、次の衛生検査でいろいろ調べますから、また対策しておきますよ」
と言われて山を下りたのである。
さちよ、強く生きてください。
和牛には黒毛和種、短角和種、そして褐毛和種、無角和種の4種類がある。褐毛は正式には「あかげ」と読むらしいが、この褐毛和種を育てている地域が主に二つある。一つは有名な熊本のあかべこ。阿蘇山で放し飼いの風景を見たことがある人も多いだろう。
そしてもう一つが高知県。山間部が多い高知県内では、放牧で牛を飼う山地酪農をしているひとが結構いるのだけれども、肉牛である褐毛和種についても、母牛と仔牛については放牧で育てているところがある。
今回は高知県の畜産試験場で、本物の褐毛を見せていただいた。のみならず食った!
これは雌牛。ブラウンスイスにもにたチャーミングな牛ちゃんだ。
冒頭の写真はこの褐毛種を肥育した去勢牛のサーロイン。みておわかりのとおり油が相当に載っている。これは、黒毛和種と同じように穀物で肥育しているからだ。いってみれば、短角牛と黒毛の中間くらいのサシの乗り方。アミノ酸のうま味もたっぷり。実に美味しいけれども、個人的には粗飼料のみで肥育した褐毛を食べてみたいと思った。
今回の店「はがじぞう」では、なんと超希少な、褐毛のタンを食べさせていただいた!すげー旨い!健康な和牛のタンは、食感がシャクシャクしていて最高である。
この褐毛種を粗飼料肥育してみたい、、、
一頭、飼うから粗飼料だけで育ててくれませんか?とお願いして帰ってきた。
短角牛の次は褐毛か、、、来月は阿蘇の褐毛和種も見学にいきます。


いよいよ今日から一泊二日間の、岩手県北部 二戸・久慈市を廻る旅だ。若干寝不足気味、、、新幹線の中で眠ることにしたい。
今回の抽選で漏れてしまった皆様、本当に申し訳ありませんでした。一人一人にメールを差し上げたかったのですが、まったくその余裕が無くて失礼いたしました。オフ会というのが始まった最初の頃からお付き合いいただいていた人たちもたくさんいたのだけれども、なんとも心苦しいことです。
こういう企画をすると、いつも辛い。応募者全員が参加できるイベントを企画すればいいのだけれども、なかなかそうもいかない。ジレンマですね。
さて、今回さちには会えるだろうか。
前回、僕がオーナーになっている母牛が、さちに乳を与えない!という事件があったことを覚えているだろうか。あの後しばらくして、乳房炎も直り、乳を与えているという連絡がはいった。
しかし、今回のことで、この母牛の系統は乳房炎になりやすい血統かもしれないという懸念を、世話をしてくれている杉澤ちゃんから連絡を受けた。
実は先日、中四国農政局主催の畜産関連の講演をした際、夜の席で畜産ご関係者の皆さんから「短角のメスが生まれたなら、肉にして食べるなんてもったいないことを言わないで、繁殖用の母牛にしたらいい。2頭の母牛をもてばいいじゃないか」ということを言われた。で、ここしばらく「食べる」と決めたさちを、母牛にしようかと真剣に考えた。その矢先に、杉ちゃんから言われたのだ。
「やまけんさん、次に子牛が生まれても、また乳房炎になる可能性があります。この子は繁殖メス牛にはしない方がいいかもしれません」
うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん
そうかぁ、、、
ということで、やはり可愛いさちは、肉牛として肥育することになりそうだ。それはまたちょっと辛いことではある。
ともかく
顔を見てきます、、、
では、これから行ってきます!
雑誌連載用に撮影した、短角牛のリブロース。いつもお世話になっている山長ミートの槻木専務が「たまには嫁さんにも食べさせてやんな」とポンと渡された。といっても、ポンと手渡せる重さじゃない。発砲スチロール箱にズシッとくる重さ。会社に戻って社員に切り分けて、自宅用に持って帰ってきてこの厚みだ。
このリブロース、短角牛にしてはかなりサシの入りがいい。
「短角は赤身が旨いって言ってる立場からすると、こんなサシ入りの肉じゃダメなんじゃないの?」
といわれそうだが、実は短角の脂は、粗飼料を多給されているからか、くどさがあまりない。だから、これだけ脂が乗っていても、嫌にならず美味しく食べられる。
実は昨日、我が子牛の「さち」にも会ってきた。
放牧されていた山を降りて初めての牛舎の中に入ったことで、環境が激変し、ちょっと興奮状態にあった。もちろん、近づこうとしても全く馴れてくれない。
さちが肉牛として仕上がるのは、再来年の夏あたり。その間、ゆっくりお付き合いをしようと思う。
ちなみにさちの母親は、すでにもう次の子を孕んでいるはずだ。僕の短角牛オーナーの二シーズン目が始まろうとしている。
柴田書店の「専門料理」の連載が3年目を迎えているが、ここ3ヶ月くらいは短角牛ではなく、「褐毛和種」の話題となる。「褐毛」と書いて、正式には「あかげ」と読む。「かつもう」と読む人も多く、常用漢字的にはどうしたって「かつもう」と読んだ方が自然なので、それでも間違いではないとされるが、正式には「褐毛=あかげ」と読む。
この褐毛和種はれっきとした和牛の一つに数えられるが、実は熊本系と高知系の二種が存在する。どちらも朝鮮系の在来牛にシンメンタール種を掛け合わせたものだが、その後の細かな改良の歴史のなかで、熊本系はよりシンメンタール種の影響が濃く、高知系は朝鮮系の血が濃いという違いがある。肉質も味もちろん違う。これをこれから掘り下げていくつもりだ。
詳しくは、来月号からの「専門料理」を楽しみにして欲しい。
それにしても、取材で訪れた褐毛和牛の牧野はすばらしい景観だった。岩手県二戸市周辺の牧野は、さすがに冬のあいだは雪に閉ざされてしまい、短角牛たちは里へ降りる。いわゆる「夏山冬里」という方式だ。しかし、阿蘇では周年、つまり一年中放牧が可能な地域がある。これはもの凄いメリットである。その総面積は2000ha以上! びびってしまった、、、
「それだけの面積を切り開くのは大変だったでしょうねぇ、、、」
と訪ねると、牧野組合の方がフフッと笑って「まあ、阿蘇の放牧は歴史がありますからね。室町時代から続いてますから、、、」と仰る。
んー
スケールがでかい!

ご覧の通り、見渡す限り牧野!なのである。
牛たちは離れたところで草をはんでいる。「ホイホーイ!」と生産者さんが呼ぶと、ぞろぞろとこちらに向かってやってきた。
「あれはね、今朝がた産まれたばかりの子牛なんですよ、」
と組合員さんが指さした方を観ると、バンビちゃんのように可愛らしい仔牛が、もう母親についてちょこまかと歩いている!人間の赤ん坊と比べるとあまりにも早い成長である。
熊本系の褐毛和種は、高知系よりも体毛が濃い褐色だ。阿蘇の自然にぴったりマッチしている。女の子(メス牛)はとてもめんこい。性質もおとなしく、ホルスタインや黒毛のような神経質さを持ち合わせていないので、和む。
もちろん肉は、非常に旨い!
サーロインやヒレよりも断然、モモが旨い!味が乗っていて、脂はほどよし。堪能しました。今年はこの熊本系の褐毛和種を一頭、持たせていただきたいというお願いをして、帰京した。
右端が、全国的に有名な牛飼いのかあちゃんである那須マリコさん。彼女の存在なしには僕と阿蘇のあかべこ接近遭遇はありえないのであった。
さて、原稿書くか、、、
今日は、岩手県が取り組んでいる、岩手県内産のデントコーンを7割給餌した短角和牛である、仮称プレミアム短角牛の正式名称を発表する日だった。
プレミアム短角牛については過去ログをごらんいただきたい。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2008/05/_623.html
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2008/06/post_1180.html
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2009/01/post_1260.html
正式名称は公募されたものの中から検討を経て決められるのだが、、、
実は僕が、選定委員長なのである。で、今日はその発表会。
会場となった盛岡市内の「銀河離宮」は焼肉店。けっこうな数の報道関係者が集まっていて、テレビカメラも5社ほどが入っていた。
東北部のNHKなどではニュースが流れたようなので、ご存じの方もいるだろうが、正式名称は
「いわてプレミアム短角牛」
に決定! なんだ、仮称と同じジャン、と思われるかも知れないが、結局これが最もすわりがよかったわけである。
今年はこのプレミアム、50頭程度飼育される。のだが、もうすでにその大半に買い手がついてしまっているので、まだまだ増頭していかないといけないところだ。
名称発表と質疑応答の後、さっそく食べましょうということで、マスコミ各者の人たちも含めて試食会に。
シンタマのタタキと焼き肉が供されたのだけど、これが非常にフレッシュで柔らかな風味の肉だった。シンタマという部位だけにあっさりとした味。エージングが1週間と短いため、あまり味が乗っているという感じではないけれども、美味しい肉だった。県の畜産課のみなさんも「おお、よかった、、、これならいいかんじ!」と安堵の表情を見せていた。
デントコーンを中心に給餌するこのプレミアム短角、品質的にも安定するらしく、期待できるのだ。
この日のクライマックスはこれから。このイベントのしめくくりとして、岩手県知事が来場し、試食するのである。
実は、、、
知事は、週刊アスキーに昨年まで連載していた「旅三昧」を愛読してくれていたのである! 先日開催したアクアビーノでの雑穀やまぶどうコースの会や、昨年中、二戸・久慈の現地ツアーなどを開催したのは記憶に新しいと思う。これらのイベントを開催するための事業を、出先機関である振興局が県の財政に諮問したとき、他のおえらいさん達が「誰だそのやまけんてのは」状態だった中で、なんと知事が「お!あのやまけんか!?」とGoサインを指示したというのである。会いたいなぁ、と思っていたのが、とうとう実現した。
「私は出張の時、よく週アスを買って移動中に読むんですよ。あのときもふと買って読んだら、やまけんさんの連載で二戸の短角を一頭まるごと山分け販売というのをやっていたので、ビックリしたんですよ。すごいことやってくれてるなぁ、と思って、、、」
あのプロジェクトか! そう、週刊アスキー誌上で、短角牛を一頭丸買いして、全部位を焼き肉セットにして販売、実に4日間で完売したあのプロジェクトである。やってよかった、、、
今年は丑年。牛の年である。そこで、知事が号令をかけて、岩手県では「モーモープロジェクト」というのが発動。岩手県には霜降りを誇る黒毛和牛も、赤身の素晴らしい短角和牛も、乳量を誇るホルスタインも、乳質を誇るジャージー種もいる。それらをガンガン、表舞台に出していこうというプロジェクトだ。このプレミアム短角の名称公募事業もその一環なのである。次の年度もいろいろやりましょう、ということに。お会いできてよかったです。
もう一人、今日輝いていたのは、プレミアム短角牛のメイン産地である岩泉で、短角牛の販売を請け負う岩泉産業開発の塚原さんという女性だ。 
うーん
アイドルである!
彼女は福島出身で、岩手のよさに惹かれて、仕事を探して岩泉産業開発に入社し、短角を頑張って販売しているという。頑張ってください!
さて、流通課でいろいろお話しをした後、T橋さんS田さんとともに駅に向かうが、その途中でじゃじゃ麺の白龍(パイロン)に。
持ち帰り用3人前を購入。ついさっき食べました、、、もちろんチータンも作ったヨ!
新幹線に乗って、一息ついて、T橋さんに買ってきてもらった福田パンとご対面。あらかじめ「この組み合わせで買っておいてください!」とお願いしておいたのだ。

これこれ、「チキンミート&スパゲティ&野菜」。昨年、dancyuのパン特集で福田パンを訪れたときに、専務から「私のお薦め」と教えてもらった組み合わせに「オリジナル野菜」を組み合わせた一品だ。
やっぱり旨い! チキンミートは、鶏そぼろに芥子マヨネーズと言う堪らない組み合わせのペースト。それを上半分にべっとり塗ったのに、スパゲティナポリタンを挟む。そこに、オリジナル野菜を挟み込んでいくというものだ。すげー組み合わせである! チキンミートの芥子マヨのピリッとした感じと、甘めのナポリタンが非常にマッチする。
もうひとつは、コンビーフ&れんこん。
んーーーーーーーーーー
これはちっと失敗だったかな!?
もうひとつは照り焼きチキン&タマゴサラダ&野菜。これはまあ実証済みなので意外性はない。今度はもっと冒険してみようっと。
ということで日帰りながら、岩手を満喫した一日であった。
さて明日は茨城県の大子町に行って参ります。
息も絶え絶えに出張にいっているさなか、岩手県二戸市の杉澤君から吉報が届いたのだ。
「おめでとうございます、やまけんちゃんの短角牛に第二子誕生です。今度は立派な男の子ですよ!」
おおお、やった! 第二子の誕生である!
第一子はメスの「さち」。普通なら母牛にして、さらに子牛を採るところを、肉牛にするべく肥育に回し、来年の4月ころに出荷時期を迎えるところだ。それに併行して、今度は雄牛。産まれてきてくれてありがとう!立派な体格ということだったので、いい肉牛になってくれることだろう。
ちなみに雄牛は、よほどの素質がない限り、半年以内に去勢されてしまう。雄のまま成長すると、身体がでかく、肉が硬く、匂いも悪いものに育ってしまい、肉牛として出荷ができない。去勢すると、肉が多くとれ、肉質もよいものに育つのだ。可愛そうだが、家畜である以上、避けられない運命である。実は昨年、僕は去勢シーンを目撃した。獣医師さんがピッと陰嚢を切開し、精管を切るのである。んーーーーーーーーーー 観ていて股間がもぞもぞとしてしまい、なんともやるせないシーンである。でも、肉を愛する人はこれをきちんと想像し、ありがたさを感じるべきである。
しかし、いいニュースばかりではなかった。
「残念なことに、やまけんちゃんの母牛は、やっぱり乳房に問題があるようです。昨年、さちに乳を与えないということがありましたが、今年も乳房が一つしか使えません。」
なんと、また起こってしまったか!
実はこの母牛は、生まれた子牛に呑ませる乳が濃すぎるのか、乳房が詰まってしまい使えなくなってしまうということが昨年起きた。
■衝撃を受けてしまった、、、牛さんの世界にも”育児放棄”が存在する! どうも神経質な子だと思っていた僕の母牛が、子牛の”さち”に乳を与えてくれないのである。ショックだ、、、
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2008/07/post_1183.html
今年も起きたということは、彼女の遺伝的特性だということだ。
「残念ですが、今年、母牛を交換しましょう。年末に開催される家畜市場で売りに出して、違う牛を購入してください。」
うーむ
やはり畜産はリスクの塊なのである。肉牛なんて安いもんじゃない。それが、乳を出してくれなかったり、疾患のある子供を産んだりすると、即座に経営に支障が出る。そんなリスクの塊である牛肉が安いなんて状況は、オカシイのである。
とにかくいまは、この男の子がすくすく育ってくれることを祈るばかりである。
ちなみに、第一子のさちは今、漆原牧場にて肥育段階に入っている。一日600円の餌・世話代を支払ながら、大きくなり、来年の5月くらいに出荷となる。
あー もうお別れが見えてきてしまった、、、
4月、また二戸にて、彼らと会う予定なのであった。
岩手県二戸市にて、僕は短角和牛の母牛のオーナーになった。彼女が産んでくれた第一子はメス。「さち」と名付け、昨年の11月から肉牛農家の漆原さんに預け、肥育段階に入っている。先日会いにいったときと比べて、ぐぐぐぐっと身体が大きくなっているので、驚いてしまった!
えええええええええええええええええええええええええ
でっかい! ガタイのいい杉澤君の体躯と比べてもこれである!
もうすでに400kgになっているという。可憐な少女だった時代はもう過ぎて、大人の会談を上り始めたという感じだろうか。うーん なんか複雑。
この「さち」は、予定で行くと来年の7月あたりに肉牛として出荷可能な体重に達する見込みだ。「幸多かれ」と名付けた「さち」と言う名前なのに、僕はこの子を食べようとしている。できれば、と畜場にも行って立ち会い、彼女が命を失い、解体され、肉となって行く過程をきちんと見届けようと思っている。卒倒してしまうかもしれないけれどもね。さちの肉は、僕のゆかりの料理人達に料理してもらって、食べる会を開催したいと思う。その際はぜひご応募下さいね。
現代社会において大型化畜の肉を食べるということは、ある意味、とても罪作りな行為だ。黒毛和牛は、肉牛となるその生涯で4トンから5トンの穀物を食べるが、そのうちの2トン程度は米国産のデントコーンである。日本人は知らないうちに他国の穀物を凄まじい分量で消費している。それを直視しなければならない。
現代社会で動物の肉を食べることを否定するということはできない。だから、少なくとも肉が目の前に運ばれる過程くらいは識っておくべきだ。命をいただいているということを理解するのは、無言の義務だろう。
短角牛は、米国産コーンをそんなに食べずとも身体を大きくしてくれる。漆原さんの牧場では、雑穀などを与えて、味と増体をバランスさせている。

さちはこれからさらに体重を増やしていくフェーズに入る。またできれば毎月リポートしていきたい。
漆原さんの農場には、勝手に繁殖したのか、大量のスイセンが群生している。その中に、アサツキとふきのとうがこれまた大量に伸びていた。んー 掘って帰りたかった、、、
さて一路、浄法寺の役場の前にある農協へ。
僕の短角牛たちは、組合や漆原さんに預託している。発生する預託料や様々なお金を決済するためには、農協に口座を持っているほうが先方にとってやりやすい。ということで口座開設。農協に口座を作るのは、農業関連の仕事をしてきたのに初めて!ちょっと嬉しい気分だ。
「んじゃ、新しい子を観に行きますか!」
と杉ちゃんが、短角牛のオーナー牛舎へ車を向けてくれる。既報のとおり、僕の短角牛の第二子が先日産まれたのである。今度の牛はオス。
「名前を付けてくれる?メスはひらがなだけど、オスは漢字でね」
ということだったので、僕が付けた名前は、、、
「国産丸」である! なんでこの名前かというと、この子は母牛と牧野で草を食べて育った後、二戸で肥育するのではなく、山形町の友人の農家に預けたいと思っている。そこでは、国産100%の飼料を与えてもらうつもりだ。つまり、完全に国産の飼料しか食べていない短角牛となる予定なのである! だから、「国産丸」。
母牛は、以前はとても神経質だったけれども、成長とともにどっしりしてきた。僕が近寄っても以前のように逃げたりせず、ゆうゆうとサイレージした草を食べている。
で、この子が国産丸! とっても可愛いのである!
ありがたいことに、今回は育児放棄はしていなかった。乳房がまだ詰まっていないからか、ちゃんと国産丸に乳をやってくれている。
看守さんに聴いても、成長の経過は順調とのこと。嬉しいことだ。
この母牛は、乳量が多すぎて乳房が詰まってしまう特性を持っているので、今年の冬の市場で売ってしまった方がいいと言われていたのだけど、もう少し経過を見て再度、考えることとなった。正直、ホッとした、、、
稲庭高原はまだまだ雪の壁が溶けていない。帰り道、最高の水がわき出ている岩誦坊(がんしょうぼう)へ水くみに。
シャッタースピードを遅くして、水の流れを綺麗に撮ってみた。腕が無くても、構図が、とても美しい絵になる湧き水なんだなぁ、、、
さて夜はもちろん短角牛専門の焼肉屋である「短角亭」。
まずはカルビ。

そして僕が最も好きなモモ肉。

これが出ると、焼かないで生の状態でバクバク食べてしまう。

そしてこの日はとてつもなく分厚い、短角のタンを出してもらった!

短角のタンは滅多に食べられないぞ。その辺のオージー牛のタンとは全く価値が違うのである。食感、迸る肉汁の旨さ、最高である。

ハラミ。いたずらにサシが入っていないので、肉の旨さがきわだつ。
この日はレバーが入らなかったのだが、その分このハツと、この後に出たミノが大きな存在感を占めた。
もうおなじみの槻木(つきのき)専務。安定した品質の短角牛が欲しければ、まずはこの短角亭へいくのが手っ取り早い。
岩手県の問題は、せっかく短角牛という素晴らしい資産がありながら、それを食べられる店が県内にほとんどないということだ。盛岡では、じゃじゃ麺の「白龍」の近くにある「大地」ともう数軒でしか食べられない。黒毛である前沢牛を食べる店はあるのに、短角がないというのはちょっとね。ということで、二戸駅からすぐの短角亭を目指してくるのが最も近道である。
この夜は、十文字チキンカンパニーの社長である保雄さんがご乱入。そして十文字さんが、盛岡で外食店を展開しているコラゾンカンパニーの工藤社長を電話で呼んでくれる。
「いまどこ?盛岡? じゃあ二戸までおいでよ!」
という凄まじい強引さで呼んでくれたのだが、この工藤社長がきちんと来るところがスゴイ!
工藤さんは僕と同い年と言うことがわかり、ググググっと距離が近くなる。
「やまけんさんのブログは読んでますよ~ 今度はうちにも来てください!」
と、自分の店で製造している冷麺やじゃじゃ麺を下さる!
これが、別途書きたいと思うけど、美味しい! 麺の硬度やタレをきっちりと作り込んでいる。今度、コラゾンの店に行ってみたいと思う。
思いも寄らない、楽しい夕餉。
満腹になって、定宿のパークホテルに帰ったのである。
■撮影データ
ボディ:ニコンD700
レンズ:AS-Sニッコール28-70mmF2.8、60mmマイクロF2.8
さて一夜明けて、福山から京都に移動だ。実は、僕も松本大策さんもともに招かれている会があったのだ。それは、短角牛や近江牛を一頭丸ごと仕入れしている、産地ときちんと取り組みをしている京都の焼き肉屋「南山」の楠本社長からの依頼だ。
それは、「京タンクロ」という交雑種の牛肉を世に広めるためのブランド化事業の、専門委員に就任してくれというものだった。「タンクロ」とは、短角牛の雌に黒毛和牛の精液を掛け合わせて生まれた牛のことをいう。
日本では「和牛」と呼べるのは、黒毛・褐毛(あかげ)・短角・無角の四種の牛。それ以外は「国産牛」と表示することになっている。ちなみに国産牛で圧倒的に多いのはホルスタインの雄を去勢した、通称「ホルオス」。次に多いのが、ホルスタインに黒毛和種の精液をつけた交雑種。これをF1(エフワン)と呼ぶ。
では、先に挙げた4種の和牛同士を掛け合わせたものは、一体何と呼ぶか。答えは「和牛」。和牛同士の交雑は、分類としては和牛と呼んでよい。ただし、一般的ではないので特に「和牛間交雑」と呼ばれる。つまり、「タンクロ」は短角と黒毛の交雑なので、和牛間交雑である。
サシの多い黒毛と、赤身の旨い短角を交雑させたら、両者のよいとこどりになって、美味しい肉ができるのではないか!?と思われるだろう。まさしく狙うのはそのよいとこどり。この試みを実践しているのが、京都の丹後半島にある日本海牧場。実は建設業から和牛生産に参入した、企業参入組である。ここで生産されるタンクロを「京タンクロ」と名付け、京都の食品事業者からでた食物残渣などを与えて育てようというのが、今回の京タンクロの趣旨だ。
専門委員として招聘されたのは肉のエキスパートたち。こんな中に僕がいるというのもおかしい気がするけど、末席に加われたのはありがたいことである。中でも、和牛を一頭まるごと仕入れして提供するというスタイルで有名な焼き肉「牛心」の伊藤社長は以前からその名前を識っており、この日会うことができてうれしかった!また、三重県のモクモクファームの社長さんもお会いすることができた。なんと僕のブログの読者さんだという、、、ありがたいことです。
楠本さんは、まだ海のものとも山のものともわからないプレミアム短角牛を一頭丸ごと仕入れするという、産地にしてみればありがたい取り組みを続けてきた人だ。ぼくもなにがしかの貢献ができればと思う。委員会では、これから取り組むべき課題が次々と提起された。
委員会のあと、南山のはなれにて早くもお披露目会が開催される。
もちろんお披露目式だけでは終わらない!「タンクロを食べる会」もきっちり開催されたのである。冒頭の挨拶はなんと京都府知事! 南山の常連客なのだそうだ!
もちろん出てくる料理はタンクロゆかりのものばかり。
そしておまちかね、短角・タンクロ・近江牛の食べ比べセット!
上から短角・タンクロ・近江牛の順番である。同一部位のサシの入り方と肉の大きさ(短角とタンクロは隠れていてわかりにくいけど)がよくわかるだろう。短角牛は濃い赤身。放牧で育てられる期間が長いため、骨が太く、ロースが大きくならない。手前の近江牛はサシがぴっしり入っており、肉の歩留まりも他の二種より大きい。そしてタンクロは見事にその二者の中間に位置している。
ここでしっかり食べ比べをできてよかった。タンクロは中間の味か、とおもいきや、ことはそう簡単ではない。
異なる種同士を掛け合わせるとき、メスとオスの組み合わせでも性質は変わる。タンクロは短角のメスに黒毛のオスをかけたものだ。この場合、実はオスの精液の性質が強く反映されるようで、タンクロにはどちらかというと黒毛っぽい味が前面に出ている。
同席した人たちと食べながら話をしたが、やはりみな同意見のようで、「タンクロはより黒毛っぽいね」という感想がでていた。もちろん、餌の内容や飼養管理によってこの辺は変わってくるはずだ。できれば、もっと短角よりの味になればいいのにな、と思う。
ただし、この感想は短角牛を認知しており、かつ大好きな人の意見。おそらく黒毛和牛の味が好きな人にとっては、黒毛的なサシのうまさと、赤身肉のうまさのバランスがとれたタンクロは非常にど真ん中の味だろう。事実他のテーブルでは、タンクロが旨いという声が多く上がっていた。
京タンクロは、これから餌や飼養管理設計を変えていく段階にある。今年中に現地訪問も控えており、非常に楽しみだ。しばらく後を追っていきたいと思っている。
ところでこの日、いい出会いがあった。
近畿地方では文句なしの有名ブランドになっている近江牛だが、その中でも選りすぐった生産農家の最高級格付けのものを扱っている卸・精肉業を営む「サカエヤ」の新保社長だ。
「うーん やまけんさんってずっと聴いたことあるなぁ、と思ってたけど、油屋の青木エマちゃんからこないだ聴いたんですわ!」
あ、エマちゃんから! いやーなるほどなるほど! この日、新保社長から貴重なレトルトカレーをいただいてしまった。
「近江牛の偉大な母牛がいたんですけど、昨日、19歳にして亡くなりました。その肉を使ったレトルトカレーなんです。不思議なことに、できた直後はまずくてまずくて食べられませんでした。が、日を追うごとに味がなじんで、今では絶品です。どうぞお試し下さい」
19歳の牛!堅くてくさくてまずそう、と思われるかもしれないが、真実は全く違う。経産牛はたしかに未経産牛よりは肉質が締まるけれども、それはほどよい食感ということ。そして、香りと味は未経産とは比べものにならないほど深くなるのである。このカレー、後日しっかり味早生手いただこうと、持ち帰ったのである。
この日の締めは黒ハヤシ。京都市内の有名洋食店の名物だそうだ。しかしこの時点で僕は東京行きの新幹線に向けて、飛び出さねばならない時間。大急ぎで一盛りだけいただく。
「あわただしい人ねぇ、、、」
とあきれられながら、ダダダダッとかっ込んでごちそうさま。美味しかった!
京タンクロを見守ることは、日本における交雑種を考えることである。以降、また取り上げていきたいと思う。
美味サライ編集長の尾崎さんから、「ヤマケンブログの読者さんへも伝えてあげて下さい」とのことなので告知。
プレミアム短角牛の焼き肉セットとステーキセットをプレゼントしてしまうと言う!
プレゼントじゃなくて買ってもらえばいいのに、と思うけど、大盤振る舞いをしてしまうのがサライの社風なのだろうか。ちなみにステーキセットは1名、焼き肉セットは2名にプレゼントとなるようだ。
■美味サライ
http://serai-bimi.jp/
ステーキセットは、ロース850gとヒレ150g、計1kgのセット。
正直、4人でも5人でも十分な量だと思う。僕は厚みのある肉の方がステーキによいと思っていたが、監修に入った三國シェフが、食べやすいステーキカットはこれだ、という指定をしてくださったとのこと。こんな旨そうな写真をみると、「うーむこれでいいのだ」と納得させられてしまう。
これが13000円というのは、相場からいえば安い! 週刊アスキーの一頭丸買い通販の際には、プレミアムではない通常の短角牛のステーキセットがあったが、それと余り変わらない価格。
そしてこちらが焼き肉セット。

焼き肉用の様々な部位のミックスセットが700gに、ハンバーグ用挽肉が300g。こちらは何と言っても ハンバーグのレシピでしょう。美味サライの写真を見るべし!
プレゼントの応募は、トップページの「お知らせ」欄に書いてあるのでご覧いただきたい。でもね、本当はこれ、プレゼントをあ手にするんじゃなくて、買った方がいい。だってプレゼント期間終了後に、落選して買おうと思っても、売ってないかも知れないからね、、、ステーキセットは30セット以下、焼き肉セットだって200セットあるかないか、だ。
ちなみにどちらのセットも、お届け日が6月20日(土)のみとなる。在庫が沢山あるわけではなく、プレミアム短角牛一頭をと畜して、カットして、ピンポイントで発送するので、不自由だけれどこれは仕方がない。もっと短角牛がたくさん買われるようになれば、需給バランスが整って解消される話なのだ。みんなでこの食材を買い支えましょう。
僕はここのところ短角食傷気味なんだけど、買います(笑) だって、今年度分の岩泉のプレミアム短角牛は、これで打ち止めなのですよ。だれか、短角牛パーティーやりましょう。
島根県は実に凄みのある農業県だと実感したのは、旅程の最終地点であるかつべ種畜牧場に踏み込んだときだ。
「種畜」とは、要するに種を提供するオス牛だ。肉質の善し悪しのほとんどは、血統によって決定されるといっても過言ではない。そして、オス牛の血とメス牛の血のどちらが重要視されるかというと、オス牛だったりする。メス牛はどうでもいいというわけでは勿論ないけれども、オスの特質のほうがより重要視される。
黒毛和牛の評価軸において最高とされるA5というランクを目指し、各都道府県レベルで種雄牛を所有している。農業新聞をみていると、どこそこの県の牛がものすごい数値をたたき出したというニュースが載るように、種畜の評価は一大事なのだ。
ではその種畜というのはどこで産み出されるのかといえば、試験研究機関であったり、民間のブリーダーであったり。そう、勝部さんの牧場は種畜を送り出すエリート養成牧場なのである。
この方が代表の勝部信二さんだ。そしてこちらが息子さん。どちらも牛のエキスパートである。
とにかく種畜を造るなんて、言葉は簡単だけど、すさまじく大変な仕事だ。佳い血統と佳い血統を掛け合わせればいい種畜が出来るというものでもない。動物には、遺伝的に病気に罹りやすい特質をもっていたり、母方の系統によっては全然、父方の特質が出なかったりもするからだ。
しかし、勝部さんのところはすでに多数の都道府県に種畜を届けている。すごい技術と経験の蓄積である、、、
その勝部さんの言葉で僕が驚いたのは、こういうくだりだ。
「いやぁ、しかし黒毛和牛ってのは、4トンも穀物を喰ってようやく育ちます。穀物の需給が今後どうなるかわからないこんな時代に、もしかしたらばちあたりな家畜を育ててるんじゃないか。10何年後には、黒毛を育てることが罪みたいなことになっているんじゃないかと、思うですよ」
いやー
黒毛和牛の種畜を造っているところでこんな風にしみじみ言われるとは思わなかったので、感動してしまった!
まったく、黒毛和牛というのは日本が世界に誇る特別な牛であると同時に、最も罪な家畜でもあると思う。個人的には、黒毛和牛ばかりがもてはやされる現状が問題だと思うのだが。マスコミが、食べてもいないのにA5のサシがバンバン入ったやつを繰り返し「最高!」とほめあげ、映像・画像で消費者の欲望を刺激しまくることがオカシイと思う。
「ま、それはともかく、うちの肉を食べて欲しいから、いまからうちが昵懇にしている店にいきましょう!」
と言うことにあいなったのである。
■えんまん亭
島根県出雲市天神町74-2
0853-30-7713
この店は、開店当初から勝部さんとがっちり組んで、直接取引に近い形でかつべさんの牛の肉を使ってきた店だという。ここで、勝部さん自ら肉を焼いてくれるという、豪華な夕べである!
本当の、黒毛和牛の牛タン。

黒毛の牛タンなんて、そうそう食べられるもんじゃない。みよ、この凄まじきテクスチャーを!
「はい、タレじゃなくて塩で食べて下さいね!」
いやもうそりゃ 当たり前ですよ!

結論から言ってこのタンが一番うみゃ~い!
シクッという歯ごたえ、サシが乗りすぎているようで実はそうでもない絶妙な加減。いやこいつぁ旨いです。
レバー。焼いても佳かったのだけど、あえて自己責任で生でいただく。ていうかもちろん全く問題なし、とろける甘み。実はレバーは、身元がはっきりしていない場合はそんなに積極的に食べないことにしている。だって、肝臓って毒をせっせと無毒化する内臓ですよ。黒毛和牛はそうとうにストレスフルな飼い方をしているわけで、肝臓のダメージはでかい。だから、黒毛の内臓とくにレバーの廃棄率は高いときいている。ダメージを被っていて、と畜場の段階で「こりゃ食用にはならん」とされるのだ。
でも、勝部さんとこのは文句なし。綺麗な血色、クリアな香りである。
えーと、部位どこだっけ、、、すみませんよくわかりませんが、適度な歯ごたえのある部位でした。
そして満を持して出ましたロース!
ヒレ肉。
うん、美味しい。いわゆる小ザシビッシリ状態ではないので、この程度のサシの肉であれば黒毛もいける。そしてなにより、脂の質がいい。口溶けがよく、ギトリとした感じがあまり残らない。勝部さんとこは、種畜を造るだけじゃなくて、肥育の技術も高いのだと思う。ご本人は「いやいや、肥育は普通に育てるだけだよ」というが、同行していただいた普及員のかた曰く「勝部さんのところは種もメス牛も佳いものを揃えていて、産まれてくる子牛のレベルが高いので、そんなことが言えるんです。まずその前提条件を整えられる牧場自体が少ないんですから、、、」とのことだった。
さてホルモン大会。
ウルテのバリバリ感がすごかった、、、
ご飯ものは、牛そぼろがたっぷりのったビビンパ。こういう、不人気な部位を美味しく使っているサイドメニューを見かけたら、ぜひ食べてあげましょう。そうじゃないと、人気のある部位しか売れず、農家が生きていけません。
そして、牛ラーメン。ラーメン好きじゃないから小さな器でいただいたけれども、うん、〆になかなか佳し。
勝部さんが来月上京するらしいので、是非会おうということになった。いろいろ話をしたいことがあるのだ。
そしてこの勝部さんの牧場で最大のサプライズが、「経産牛は旨い!」ということである。これについては次回に書きたい。
明日から北海道。足寄に行ってきます。更新できるかどうか不明、、、
※記事内を部分修正しました
この週末は、北海道で開催された畜産システム研究会という組織のシンポジウムに参加していた。「畜産システム」というと、なんとなく高度に情報システム化された畜産方式の研究会と思われそうだが、むしろその逆で、林間放牧など、その土地土地の環境を活かした畜産方式を研究テーマとする会だ。
会場となったのは北大の静内キャンパスということで、僕はてっきり札幌にあるのだと思っていた。しかし、、、静内キャンパスは日高郡にあり、新千歳空港から2時間かかるのである! 今回、週末だったこともあって嫁さんに「シンポジウムの間は札幌で遊んでればいいんじゃない?」といって同行させていたので、直前にロケーションがわかった時、「なにそれー」となってしまった。
しかし、行ってみて気分一変。470haもの広大な敷地の中は、とてつもなく気持ちのいい空間だった。
470haといってもわからないかもしれない。1haは100m×100mだ。それが470個。
この中に、短角和牛と肉牛のヘレフォード種が放牧されている。今回の一つの目的が、ヘレフォード種の放牧風景をみたかったことがある。
この子がヘレフォード種。草を食べて育ってくれるということでは短角よりも効率がいいという品種だ。
ごらんの通り、体は褐色で顔が白い、特徴的な模様をしている。このヘレフォード種、とても人なつこくて、寄ってくることはないにしても、あまり逃げない。短角はすぐ逃げるので、ヘレちゃんが実に可愛く思えてしまう。
実際にみてもらうとわかるが、人間のことなんか気にしないで、とにかく地面に映えている草をムシッムシッと食べている。 だいたい、1haの範囲内で1頭くらいの牛を放牧で飼うのが適正だと言われている。それより多いと、草を食べ尽くしてしまい、糞や尿が環境が分解しきらない、窒素過剰になってしまうわけだ。
適正な規模での牛の放牧は、都府県ではなかなか土地の確保が難しい。やはり北海道の広大な土地は、畜産にとって魅力的なのである。
右側は短角のメス。左の子牛は、、、これは額が白くなっているのでタンヘレかもしれない。ヘレフォード種と短角の交雑種(F1)のことだ。
ここで基礎知識の話をすると、牛の場合はこういう交雑種をあらわす時、オスの名前を先に、そしてメスの名前を後に表記する。つまりタンヘレと言ったときには、短角のオス×ヘレフォードのメスということになる。逆ならヘレタンということになる。
煩わしいことに豚の場合はそれが逆になり、メス×オスの順に表記する。例えば世界で最も多い掛け合わせであるLWDの場合は、ランドレース(L)のメスと大ヨークシャー(W)のオスの掛け合わせをLWと表記し、LWのメスににデュロック(D)のオスをかけたのをLWDと表記する。わかりにくいかな、、、
それにしてもヘレフォード種は、愛情が細やかだ。母子の様子を見ていると、よく頬をすりあわせたり、愛情表現がよくみられる。
ちなみに歩いて移動できる距離ではないので、移動は車。それも、僕は初めて乗ったけれども、メルセデスのハイパワー車であるウニモグ!
山もこれでぐわぐわと入り込んでしまうことができるのである。
右側がこの静内の牧場を統括する秦(はた)先生。なんと東京出身であられるそうだが、ほっかどうの魅力にとりつかれてしまったらしい。
みよ、この広大な景色を!
とてもじゃないがこれを現代人が開墾仕切るのは難しいと思う、、、
北海道を旅行するとよく、こういう草のロールをみかけるだろう。牧草を長期保存するためのものだ。高く生えた草を刈り取って細かく裁断し、こうしてロールにしたのち、厚手のビニールで密封する。そうすると内部で嫌気性の乳酸発酵をし、古漬け状態になり、長期保存ができるのである。しかも動物はこの古漬けの食味が大好きという、両得な餌である。
こうした、牧草などの低カロリーな餌を粗飼料(そしりょう)という。肉牛には粗飼料と濃厚資料という、薄い餌と濃い餌を与えて肉にする。しかし粗飼料は草だから一杯撮れるだろうと思いがちだが、都府県では農地が小さく、そこに安い牧草を植えるよりも米などを植えた方がいい。ということで、日本の畜産では、粗飼料は圧倒的に海外から輸入しているのである。もちろん濃厚飼料についてはほとんどが輸入。だから日本の畜産は海外依存といわれるのである。
僕は、乱暴ないいかただけど、国内で収穫できる粗飼料・濃厚飼料のみで生産できるだけの畜産物しか、つくらないという世界にした方がいいのではないかと思っている。そうしたら、おそらく一週間で畜産物は1回かそこらしか食べられない。けど、それくらいが適正じゃないかしらん。なんていいながら、僕は肉を週に複数回食べているけれどもね。
はるかかなたに、キタキツネが見える。この視察の間、たぬきもみたし、エゾ鹿 などは群れで逃げもしないのを観た。
そして圧巻だったのは、和種の馬である道産子(どさんこ)だ。
ばんえい競馬で走る、足の太いどっしりした体躯の馬が道産子だと思っていたが、実はあれは輸入馬であるということを畑先生が教えてくれた。時代劇に出てくるべき馬は実は、この美しい体躯をもつ、純和製の馬なのである。
「ひとなつこいのは近寄ってきますよ。できるだけしゃがんだりして、馬より小さくなって下さい」といわれたが、僕ははなから小さいので、すぐに好奇心旺盛な道産子が寄ってきてくれた。
僕の長靴の匂いをかぐ馬。か、可愛い、、、
カメラを構えていると、自然とその先端部であるレンズに鼻をこすりつけてくる。
これを顔の鼻 と思っているのだろうか。かれらの鼻水がレンズ面につかないように、レンズフードをつけておくことは必須である(笑)
それにしても、本当に人なつっこい。一頭がくれば、他のも寄ってくる。
フサフサした毛が印象的だ。生臭い息をブフッと吐きながら顔をすりつけてくる。
なんとも透明感のある綺麗な眼。
肉牛を見に来たのに、僕は すっかり馬にやられてしまった!
さてその後のシンポジウムは大変勉強になった。
会長である木村先生 。
そして着替えてきた秦先生。
マルハニチロ畜産という企業ながら、 こうした放牧や有機畜産の支援をするeビーフ認証というのを運営している。
そして、北海道における短角牛生産の第一人者である、襟裳の高橋さん。
熱いお話しを聞けた。 その辺はまた今度。
懇親会は、何ともうれしいことにヘレタンの肉を食べることができた!
「黒毛がキロ当たり1500円以上するのに、このヘレタンを出荷しても、キロ450円(!)なんて安値になっちゃいます。サシが入らないからですね。みなさん食べてどう思いますか?」
ヘレタンの肉、旨い! サシが入っている黒毛和牛の肉は、サシ(脂)が溶けてしまえば、あとはスポンジ状の赤身が残るだけだから、柔らかいのは当たり前。けれど、赤身部分にうま味は薄い。
それに対してヘレタンは、まずその赤身がしっとりと柔らかい。それに、純血短角ほどではないにしろ、うま味がしっかりとのっている。ヘレフォードはあっさりめの肉なんだろう。とにかく、いつまでも食べ続けられるようなうまさの肉だ。黒毛は4口くらいでいやになるけど、これはいい!
参加者が口々に「これで450円かよ、、、」とため息をつく。やっぱり日本の肉の価値基準はおかしいのである。
いろんなことを考えた週末なのであった。
全国的に珍しい、河川べりに展開されるあかうしの放牧場。なんとも宝のような風景。川は吉野川。
僕が生まれた年にこのあかうしの世界に入った、れいほく畜産の中町さん。
「昔は土佐のあか牛が一番市場で人気が高かった。単純に美味しかったからだよ。」
経産牛と去勢牛の食べ比べ。
断然、経産牛が美味しいです。
環境保全型農業で米ナスを栽培する窪内さん。
米ナスにはアントシアニン色素がないので、紫ではなく黒。テリテリに輝くのが美しい。品種は県で育成したものだ。
農薬は本当に最低限しかつかわず、ほぼ天敵の利用だけで防除をしている。ハウス内にバンカーという、天敵昆虫が棲むための環境を作り、せっせと害虫を食べてもらう。
そしてあかうしを生産する山の上へ。
土佐あかうしには、熊本の褐毛和種にはない特徴があって、目の下にできる「毛分け」という黒いぶち。これが土佐種の特徴なのだ。それにしても可愛い。
澤田ご夫妻。奥さんのちえさんは僕の農業新聞に書いていた連載を熟読してくれていたそうだ。
「会えて嬉しい!」
こちらこそ!
香り米のおにぎり、最高でした。
では、これから知事と会ってきます。
このたび、高知県の「スーパーバイザー」という制度の適用第一号を拝命しました。その委嘱式、知事から委嘱状をいただくことに。第一号ということでテレビも二社入り新聞各社も参集し、なかなかにものものしい雰囲気。
そんな中、県庁内で写真といえばこの人という角田さんと出会うことが出来た。
実はこの土佐あかうしのプロジェクトに関わる畜産課のメンバーはみなカメラ好き。しかもニコンユーザー。車中はカメラの話ばかりだった。ということで、委嘱式の模様を僕のカメラで撮影していただいた。角田さんありがとございました。
高知県知事の尾崎さんは42歳のナイスガイ!
高知県産品のPRについて軽く意見交換。ゆっくりお話しをしてみたいものだ。
角田さんのカメラワークが面白い。このときは「手」に注目したようで、知事のも僕のも、手を撮っておられた。
自分が写ってる写真を見るのは久しぶりだ、、、(笑)
さて委嘱式後、JA南国市の直売所である「かざぐるま市」で加工食品を販売しているお母さんグループ「四季」のお手製弁当をいただく。

高知では「りゅうきゅう」と呼ぶ、はすいもの茎のお寿司(緑色のやつね)がざくざくした爽やかな食感で美味しい。ずいきのようなものだ。あと、四方竹というこの辺でしかとれないタケノコも美味しい。
そして、最近ようやく知名度が上がってきた地鶏・土佐ジローの県下最大の養鶏家にして最も熱い人といわれる嶋崎博子さんの鶏舎を視察させていただく。
県下最大といっても、この写真に写っている鶏舎で600羽ていど。採卵鶏としては小さい規模。しかし、ここはすべて平飼いで、地鶏のJAS規格を上回る、一羽当たりの飼育密度が1平米あたり6羽というゆったりさなのだ。
※地鶏のJAS規格では1平米あたり10羽以下。
贅沢な飼い方、そして鶏舎にはいるときはこんこんとノックをして中の鶏に「はいりますよー」と声をかける。
土佐ジローの雛は可愛い!
こちらが成鶏のオス。そう、オスを入れているということは、ここの卵は有精卵なのである。
無精卵と有精卵の違い。メスは条件が整えば、交尾をしなくても卵を産む。その場合は無精卵。で、雄と雌が交尾してできた卵は有精卵で、雛がかえる。
嶋崎さんが「この子は広報担当のさくらちゃん。愛想がいいのよー」

たしかに人を怖がらない。そしていきなり5メートルほど飛ぶ。
土佐ジローの卵はすごく小さい。通常規格でいえばSSサイズ。
一玉70円~90円はする。高いと言う人は言えばいい。でも、その価値ある卵ですよ。
ちょっと食べてって!と出してくれたのが、土佐ジローの成鶏の肉と、高知県名産のショウガをたーっぷりつかったそぼろ。

これが実に最高。ショウガの量が半端じゃないのがまたいい。 肉も挽肉ではなく、大きめに切ったものだから、食感もいい。これはもう売れますよ。
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
これはマイッタね! ここしばらくこんなにものすごい風味の深い卵のプリンは食べていない。
ちなみにこの前に、違う生産者の卵の殻入りプリンを食べてきたのだけど、ちょっと比べものにならない。とにかく「風味が深い」のである。
嶋崎姉妹。
ここの飼養管理の細やかな配慮は女性ならでは。鶏舎内のクリンネスも素晴らしい。いや感心しました。
さて一路空港へ。少し時間があいたので、空港の目の前にある高知大学農学部の放牧場へ。レンタカーを借りたことがあるひとは、高知龍馬空港のすぐ目の前に、あかうしが放牧されているのに気づいた人もいるだろう。

高知大学の准教授、松川先生。
「黒毛の研究してきたんですけど、あかうしは可愛いですよぉ!黒毛は神経質なんですけど、あか牛は気性が優しいんですよ。」
さていつものごとく突入。
なんだモー、と近接してくるやつ。
褐毛和種はとにかく性格が穏やかでフレンドリー。
「子供が小さい母親は神経質になっているんで、気をつけてください」
といわれたけど、その子供がわらわらと寄ってくる。
「あ、オスが気づいたようです。そっちにいくかもしれないので、気をつけてくださいね!」
と声がかかる。そう、この放牧場では種雄牛の検定もしていて、この一頭の雄が雌たちに種をつけていく。土佐の褐毛和種は通常は人工授精なのだけど、この実験区では「撒き牛」という方式なのだ。
1トンを越す、小山が動いているかのような体躯。立派な睾丸がぶらさがっている。そして土佐あかうしの特徴である目の周りの黒ブチ「毛分け」がしっかりはっきり。
草をもはもはと噛みながら、もう目の前に!軽く警戒して、僕が危害を加えるモノかどうか見に来ているのだろう。
おそるおそる額を触るが、とくにいやがらない。あーよかった。
それにしてもこいつ、実にメスにもてる。
いつもメスがすりすりと寄ってくるのだ。
夢のようなひとときだった。
松川先生、ありがとうございました、、、
さて、原稿書きますよ。もうやばいですよ、、、
あー 眠い、、、ちょっと休憩。
何人かの人から「しばらく前と今日のエントリで、牛さんを撮影しているのは、望遠レンズですか?」という質問が。
近寄ってきてくれない牛は300mmくらいの望遠レンズで撮らないと厳しいけれども、僕の場合、ものすごく接近して撮ってます。高知県庁のニコン好きの山崎さん撮影の証拠写真。

これが↓こうなる

そして、
これが↓こうなる。
あまり牛が近づいてくると、全体をとらえるためにはズームレンズだと広角にしなければならない。しかし広角で撮影すると全体にパースがついてしまって、もともと持っている迫力が少し薄れてしまうように思う。
ところでいとも簡単にたやすく牛の群れの中に入っているように思われるかも知れないけど、誤解しないように。牛はとてもデリケートな大型動物だ。
「わー 可愛い~」と寄っていって触ろうとして、ドンと暴れられると大変なけがをすることもある。
短角牛の牧野に入るとき、世話人の杉澤君は必ず僕に
「後ろ足で蹴られない角度で立ってくださいね」
と声を掛ける。牛はスローモーな動きしかしないと思っている人がいるようだが、それは間違いだ。あの巨軀を俊敏に駆って走り出したりジャンプする。蹴られたら肋骨の一本や二本は簡単に折れる。
岡山で短角牛を耕作放棄地に放牧して、荒れ地にならないように実験をしている友人は先日、短角牛の子を母から離そうとして、怒り狂った母牛に足を踏まれて骨折した。
日本一の和牛コンサルタントである、僕が尊敬する松本大策先生は、牛に近寄る時に「牛さん、牛さん。触ってイイ?触るよ~。お、かゆそうだね、掻いてあげようかぁ?」などと喋りながらだんだんと近寄り、スキンシップをする。
というように、どんなに経験を積んだ畜産関係者でも、見知らぬ牛に近寄る際にはそれなりに礼を尽くすのである。
だから素人の僕なんぞ、実はびくびくものである。僕が心がけているのは、とにかく牛の目線よりも下に位置すること。上の写真をみてもわかるだろうが、基本的にはしゃがむ。そうすることで、彼らより小さきものであることをわかってもらい、警戒心を解く。あと、目線は最初、合わせない。適当な場所でしゃがんで、目線を外したままずりずりとゆっくり近寄っていく。そのうちに彼らの方から歩み寄ってくるのを待つ。そんな感じだ。
さーて また書くか。
このブログでもかなり採り上げさせていただいた、島根県の木次乳業。パスチャライズ牛乳のパイオニア企業である。そして、牛舎でつなぎ飼いするのではなく、牛を山に放牧し草を中心に食べさせる「山地酪農」の取り組みを行う乳業メーカーでもある。
木次の山地酪農の特徴としては、牛にブラウンスイス種という乳用種をつかっていることだ。ブラウンスイスはヨーロッパで育成された品種で、乳糖を多く含む生乳ができ、そうするとチーズに向くのである。だから国内でもブラウンスイスを飼っているところはチーズ工房もやっているということが多い。
で、今回なんで木次にいったかというと、親友の津田君が「牛を放牧で飼いたい、できれば木次さんのブラウンスイスを」という依頼があったからである。
津田君は和歌山の有田でみかんの生産者団体を率いているが、地域の耕作放棄地が荒れるのを食い止めるために、牛を飼いたいという。実は全国的に、耕作放棄地が荒れるのを止めるために牛を放牧することは有効であるという事例が続出している。牛は繁茂している草を食べきり、景観を創り出してくれるのだ。
木次乳業の佐藤社長につないだところ、「ああ、普通はよそへ売ったりはせんけど、いいですよ」とご快諾いただき、晴れて面通しの日である。そしたら、呼んでもいないのに岡山県の高梁市から、これまた親友の徳田君が3人で来るという。なんでかというと、この徳田君のグループは先んじて牛の放牧事業に乗り出している。しかもなんと短角牛が欲しいというので、岩手県二戸市の杉澤君につないで、見事10頭の短角牛を導入。すでに3頭の子牛が生まれているのである。しかも、みるみるうちに景観が回復。荒れ果てた耕作放棄地がみるみるうちに綺麗になることで、地域の人たちの反応が変わってきているという。
本来、牛は放牧させて育てるものだった。はえている草を食べるから、あっさりした乳を出すし、肉もあっさりしたものだった。それを牛舎に押し込め、高カロリーのデントコーンなどの濃厚飼料を食わせることで、泌乳量や肉のサシを増やし、おかしな畜産物を創り出してきたわけだ。日本の耕地面積は狭いけれども、未利用高知が沢山ある。そこは放牧に供してまずいことはない。
さて 木次乳業の佐藤社長は相変わらず話の早い方だった。
「時間がないけん、すぐに牧場に行こうか。 あっと お茶が出てくるんだった。お茶一杯飲んで。あ、チーズが出てきたか。」
チーズをわらわらと食っていると、食い終わらないうちに「じゃあ行こう」と腰を上げる。出雲人はせっかちである(笑)
車に分乗するとき、木次乳業の営業者にプリントしてあるのをみて、津田君が大声を上げる。
「これみてよ、『赤ちゃんには母乳を』だって! 牛乳の会社だから、赤ちゃんにもうちの牛乳はいいよ、っていうのが普通だろうに、この会社はスゴイよ!」
実は津田家は僕の本を読んでくれたのち、木次乳業の製品を和歌山県内のスーパーで取り扱っているのを探してきて、それ以来ずっと買い続けているという。
「うちの子供はもう、木次以外のは飲まないよ、味がわかるんだね。こないだうちの親戚が集まったときにも牛乳の味が違うっていう話をしたら信じないから、色んな銘柄のを買ってきてブラインドで飲ませてみたんだよ。そしたら最後に「これがいい」ってのこったのはやっぱり木次だった。」
そう、飲めばわかる。パスチャライズ牛乳は、身体にいいとかじゃなくて味がいいのだ。
さて木次乳業本社から数キロ、木次が展開している「食の杜」へ。
5haほどの敷地内にはワイナリーを中心に、レストラン、豆腐工房、パン工房などが展開されている。
いま、農業法人などがこうした飲食を核にした複合施設の経営をしているケースが多い。以前、金沢で足を運んだぶどうの木もそうだが、農家の団体が経営しているとは思えないケースも多々ある。そうしたところが、しばらく前まではトントンと言った経営状態だったのが、ここしばらくはかなりいい状態になっているという話を聴く。
時代が荒れてきて、やはり生産者自身の匂いがするところを消費者が選ぶようになってきているのだろうか。
ご飯美味しかった!実はこのランチプレートのかなりの食材が「食の杜」で生産されている。説明がないとすらっと見落としそうだが、すごいことである。野菜や果物、米といった農産物だけではなく、畜産物があると一気に食卓が豊かになるのだ。
ごちそうさまの後、一瞬だけ山地酪農をしている日登牧場へ寄る。あいにく放牧から牛舎に戻っているところだったので、ここはスルー。
「さて、それじゃ山に行きましょう」
そこから小一時間。
島根県は奥出雲町のほんとうに端っこ、広島との県境にある八川の道の駅「奥出雲おろちループ」に「観光牧場」という看板がある。
この「観光牧場」の看板のあたりがまさに牧場。目をこらすと牛が動いているのがわかった。
ここは木次乳業が運営する牧場ではなく、北海道で放牧酪農をしていた成瀬悟さんが一家で移り住んで営む農場だ。面積はざっと20ha。濃厚飼料は一切やらず、粗飼料のみで牛を飼っている。
ブラウンスイスだけではなく黒毛やF1もいる。成瀬さんは北海道では弟子屈にて短角牛の生産もしており、しばらく前まではこの牧場にも短角がいたそうである。
津田君と、現場担当者の上田君が成瀬さんの話に聞き入る。
「餌は草だけだと栄養価が足りなくなるんで、一番いいのはみかんのジュース絞りかすとか、醤油かすも与えることなんです。」
という言葉に「おおっ!」となる。彼らはみかんの生産者団体で、ジュースかすはいまお金を出して引き取ってもらっている状態らしい。また和歌山は醤油の大産地。期せずして条件が揃っている!
さて「観光牧場」のどでかい看板の後ろにいるのが、候補となるブラウンスイス種だということでみにいった。
以降、また牛写真集です。

ブラウンスイスは実に人なつこい。土佐あかうしのことを書いたときに、あかうしは人なつこいので飼いやすいという話があったと思うが、ブラウンスイスも双璧をなすかもしれない。
ちなみに津田君のところでは一頭だけ購入しようと考えていたのだけど、佐藤社長がいうには
「牛は寂しがりやだから、一頭だけだと脱走したり、病気になってしまう。可愛そうだけん、そんなに高くないし、二頭飼いなさいや」
ということだった。成瀬さんもうなずく。牛は団体行動をする動物であり、決して孤独を愛さないらしい。津田君のところも最低限二頭を飼うことで進みそうだ。
本当にこの子たちは、カメラのレンズに鼻を押しつけてくる。フードをつけておいてよかった、、、(笑)
土佐あかうしの放牧写真と同じように、またもや至近距離である。ブラウンスイスの子達はあのときほど緊迫はしない。去勢牛だから子供もいないしね。それにしても眼がかわいい。
はあ、堪能しました。
やっぱり牛はいい、、、本当に佳い。
それにしても成瀬さんの経営はじつに忍耐のいる営みだ。放牧牛の肉は通常ルートではサシが少なく、肉の量も少ないから、買いたたかれてしまう。よくぞやっておられると思う。
さて、津田君はこの子達のオーナーになるのだろうか?楽しみである。
さて実は道の駅「奥出雲おろちループ」の向かい側にある小さい小屋にて、この放牧牛乳を使ったアイスクリームを食べられる店がある。
山地酪農牛乳やその製品をはじめて飲んだり食べたりする人が一様に言うのが、
「きっと濃厚で美味しいんでしょうね!」
ということ。でも、それは間違いだ。山に放って草を食べさせたものは、ごくあっさりとした牛乳になる。それはそうだ、濃厚な餌を与えていないんだもの。だからあっさり、さっぱりした味わいになる。
元来、濃厚なものはハレの日のご馳走である。そんなのを毎日飲む必要はない。いまの日本は毎日がハレの食卓になってしまっているのが問題でもある。米も肉も麺も牛乳も野菜も、インパクトのある、甘い、ねっとりした、コクのあるものがいいとされる。でもそんなのが全てになってしまったら食文化の崩壊だ。
ほんものはあっさり、軽い。
それが真実だと思う。
成瀬さんの奥様。
「でもね、ほんっとうに、やってくの大変ですよ。」
うーん そう思う。本当に本当に大変なことをやっておられると思う。だから、道の駅「奥出雲おろちループ」を通る人は、一瞬足を止めて牛乳を飲み、そしてアイスクリームを食べて一休みして欲しい。お願いすれば山地放牧も見せていただけるはずだ。そうして可愛いブラウンスイスに出会えば、畜産について考える一歩となるはずである。
貴重な体験をさせていただいた、木次乳業の佐藤社長、そして成瀬さんに深く感謝します。ありがとうございました!
放牧された短角牛のバックに、ご覧の通り綺麗な海が、、、まさに絶景、最高のロケーションだ。でもじつはここ、短角の里である岩手県じゃあない。ここは京丹後の網野町。海を望むこの放牧地は、「日本海牧場」という会社法人がとりくむ「京タンクロ和牛」の母牛のためのものだ。
短角牛に短角牛をかけると純粋な短角牛が生まれる。短角牛に黒毛の精子をつけるとタンクロという交雑種(F1)になる。このF1は割と美味しいのでよくつくられているけれども、市場取引では非常に安値で買いたたかれてしまう傾向がある。
通常のF1は乳用種であるホルスタインに黒毛の精液をつけるのがほとんどだ。でもそのF1と短角×黒毛のF1とでは、あたりまえだけど全然味が違う。もちろんタンクロは非常に美味しい。だから、京都の丹後ならではの育て方をしたタンクロを、なんとか普通のF1としてではなくブランド展開していこうというのが、この「京タンクロ和牛」プロジェクトだ。プロジェクトの推進をしているのは、西日本で短角牛のすばらしさを伝導している第一人者である焼き肉「南山」の楠本社長だ。僕もこの取り組みの委員を拝命したので、お手伝いをしているのである。
日本海牧場の牧野はほんとうに傾斜のきつい山に展開されている。
放牧されているのは母牛のみ。本当は生まれた仔牛もそのまま半年くらい親子放牧すると佳いと思うのだけど、面積や傾斜のきつさを考えると、ちょっと難しいらしい。

この短角ちゃんたちは、みな岩手県の市場で購入したものだ、じつはこのように短角が東北以外の産地に買われていくことはけっこうある。放牧に非常に適している牛田から、いままで短角をやっていなかった土地でも飼うのは楽だが、問題は販売だ。どこもまだまだ黒毛一辺倒の流通のなかで苦労している。
土佐あかうしや木次のブラウンスイスの際にも書いたけど、牛にも人なつこい品種とそうでないのがある。ここの短角はみな、温厚だ。いい環境で育っているから、ストレスがないのだろう。僕も安心して近づかせてもらった。

牧場で働く田茂井さん。長野県で酪農をしていたそうだが、実家の網野町で畜産をできると帰ってきたそうだ。この人に育てられれば、そりゃあ温厚になるという、優しき人である。
短角の歩くスピードは意外に速いので、きっと初めて見た人は驚くだろう。牛って敏捷なのだ。カメラを構えてぼやぼやしていると、鼻先まできてベロンとレンズを舐められることが多い。
放牧牛が食べるのは、野芝を中心とした、牧草となる草だ。数種類の種をまいておくのが基本らしい。
だいたい1ha(100m×100mだ)で一頭の牛をまかなえる。山という環境は放牧にもってこいなのだ。

それにしてもこの日本海牧場の牧野は圧巻に景色がいい。牛といっしょにここでぼーっとしていたいが、実際はばしばし写真を撮りつつあがったり下がったりする。
さて、これまで載せてきた写真の牛はみなお腹に子供をはらんでいる。それが出産すると、地上の牛舎に親子で入れて育成をする。

手前の子がタンクロだ。短角の褐色に、ところどころ黒が混じっているのがわかるだろうか。
この子は耳の付け根が黒い。それにしても可愛いでしょ?角が生える前のバンビのような赤ちゃん牛は本当に愛らしいのだ。

この子はかなり黒が入っている。
で、実はこの状態で成長するわけじゃない。どうも黒毛の黒色のほうが優性らしく、ある時点から真っ黒になるのが普通だ。こんなかんじ。
あんれまー あんなに可愛かったのに、こんなになっちゃうのか(笑)
でも、黒毛和牛はかなり神経質でさわるのが怖いのだけど、このタンクロちゃんたちは実にフレンドリー。この子は僕に興味を示して、ずーっと近くに居てくれた。感謝。

京タンクロは、できるだけエコフィードという、食品残渣などを餌に給餌する方法をとっている。右上は通常の配合飼料だが、その下が麦のふすま。左上がビールかす、左下はなんと有名な京都の豆腐店のおからを乾燥させたものだ。
尊敬する和牛コンサルタントである松本大策さんにならい、畜産の餌はとりあえず実際煮食べることにしている。で、これらぜんぶ実にフレッシュで旨い!ビール滓が旨いのはとくにビックリしてしまった。

こちらはサイレージ。草の古漬けだ。
短角牛の親子愛は非常に強い。とはいっても次の子をはらむとすぐにそっちに専心するようだけど、小さな子牛を守ってたつ母牛の姿には愛情を感じてしまう。
夜、間人地区の名旅館である「炭平」にて、丹後の宿泊・飲食業の女将さんたちと食卓を囲む。すでに京タンクロのプロジェクトに関心を持ち、しゃぶしゃぶを出す取り組みをしてくれているのだ。

ここででた京タンクロの肉が、びっくりするほど旨かった。これまで何回か食べてきたけど、熟成もベスト。いや、これは黒毛に伍するか、それ以上に旨い。

そして、丹後地方は京都府で唯一の特A米の産地でもある。この米が死ぬほど旨かった。
こちらは地方の名物、ばらちらし。しいたけと錦糸卵のしたにはそぼろが敷かれているが、なんとこれ、サバ缶でつくるそぼろだそうだ!すげー旨い。
京都と丹後と短角と黒毛。そして京タンクロ和牛が生まれる。日本の畜産にはまだまだ見知らぬ地平があるし、可能性があると思うのだ。
料理人向けの雑誌「専門料理」(柴田書店刊)で連載を書いているのだけども、そのテーマが牛肉だ。短角牛のことから始まり、赤身肉・ドライエージングビーフという、これまでの日本の牛肉流通とは別の価値観の話をしている。これが密かに反響があるらしく、編集部に某有名料亭などから「あのヤマケンさんがやってる牛肉の食べ比べ、うちでもやりたいんだけどな」という連絡があるらしい。実に面白くなってきた。
で、最近はまっている面白いキーワードが「経産牛」だ。お産を経た牛を経産牛(けいさんぎゅう)という。このブログでも数回書いているように、肉牛にはオスを去勢した去勢牛か、メス牛を肥育するという二通りある。メスのほうがきめ細かく肉質もよいと言われることが多いが、オスより生育スピードが遅く、肥育に時間がかかる。で、メスは通常は未経産牛、つまり子を産ませない状態で一定の期間肥育して出荷する。
一般的に、肉牛にする牛と、子を産ませる牛とは明確に区別され、肉牛は最初から濃厚飼料と呼ばれる穀物中心の餌を与えて育てる。子を産ませる牛を繁殖牛というが、こちらは長く健康に飼わないといけないので、粗飼料とよばれる草などと配合飼料をバランス佳く与えて育てることとなる。
通常、繁殖牛は4産、5産と子を産んでもらわないともとが取れない。えさ代がずっと掛かっていくわけだからね。そしてある程度の子を産んで、乳の出が悪くなったり、生まれてくる子供に問題が出たり、もしくは人工授精が上手くいかなかったりすると、「淘汰」される。淘汰とはつまり廃用牛として出荷してしまうことだ。その場合、と畜された肉はミンチなどになることが多い。これも以前書いたとおりだ。
しかし、経産牛は旨いという信念を持っている人達の中で、子を産み終わった経産牛に半年程度濃厚飼料を与え(再肥育という)、肉牛として出荷することがある。以前書いた、島根県のかつべ種畜牧場さんのお母ちゃん牛は、もの凄く旨かった。料理人達もみな「なんじゃこりゃ!?味も香りも濃い!」と驚いたものだ。
■ご参考:下記エントリの後半に出てきます↓
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2009/04/post_1306.html
実はこの肉を食べる前から、いろんなところで「経産牛は旨いよ」という話を聴いており、肉も分けてもらって食べてきた。そしてここのところ意識をして経産牛と未経産牛の食べ比べをしてきて、自分のなかにきちんとした尺度が生まれつつある。
経産牛は、未経産牛よりも風味が深くなり、脂の質も向上し、味も濃くなって旨いようだ、というのが僕の現時点での認識である。
こういうことを考えて書いていたら、北海道の十勝のとある牧場で、F1牛を経産牛にして肉にしている農場の人達から連絡があったのだ!
「やまけんさんのブログを見て思わずメールしてしまいました。私たちは牛肉本来の味を取り戻すことを目標に、F1(黒毛×ホルスタイン)のメスを経産肥育しています。肥育をやられている大先輩から経産の牛は美味いと教えられ、現在の経済効率優先の若齢肥育に疑問を持ち、美味しい経産牛を再現してみたいと思っています。」
この方によれば、経産F1を肥育すると肉色は濃い赤になっていき、サシはあまり入らない。そして味には深みが出てくるという。月齢が進むにつれて脂肪融点が下がり、不飽和脂肪酸とアミノ酸の含有量が増えていくらしい。この、F1の経産牛の肉、特別に生の状態で送ってもらえることになったのだが、どうせなら通常の未経産牛の肉と並べての試食会を開いてみたいと思って東京バルバリの小池シェフに肉を分けた。もちろん僕も食べた。
いやもう びっくりした。黒毛に特有のブドウのような香りも持ちながら、脂があっさりとしているので嫌気なく食べられる。同量の黒毛A4クラスの肉だと重すぎてイヤになってしまうところだ。
小池君からも「うーん こんなF1は初めてです。うちでもよく使いますけど、これは旨いですね。」という。
せっかくなので、このF1の経産牛肉をいろんな牛肉と食べ比べよう!と言う話をしたら、その牧場から社長と営業担当者の二名が上京してご一緒したいと言う。それならばこちらも布陣を整えようと、某料理専門誌二誌の編集者をお呼びして食べ比べを行ったのである。
その上士幌にある牧場の担当者さんとはメールや電話などでやりとりしていたのだが、その時は結構年配の人が担当しているんだなぁ、と思っていた。しかし、東京バルバリで待ち合わせてやってきたのは、実にパワフルな若者だったのだ!
会社名はノベルズ。しかしほとんどネットとかには企業情報は出てこない。それもそのはずで、できて間もない会社だ。親御さんの代からF1牛の肥育をこなしてきて、今回社長さん自身が、「経産牛に賭けてみよう」と作った会社なのだ。現在は市場出荷などが中心だというが、市場ではF1というだけで叩かれてしまう。経産牛のF1は旨いということをきちんと訴求できなければならないので、彼らの課題はマーケティングである。
ちなみにホルスタインのメスに黒毛の精液をつけたものがこの国で主流のF1牛。肉質は、牛肉の格付からすればそこそこのB2~B3クラスがメインとなる。F1牛は安い国産牛肉の代名詞なのだ。
しかし、、、まあ予想はしていたが、経産牛のF1は実に実に美味しかったのだ!それも、ロースだけじゃない全部位が!
今回のためにノベルズが提供してくれたのはこんな部位!
うちもも 5.5kg
いちぼ 3.4kg
しきんぼ 2.5kg
ともすね 2.2kg
まえすね 4.4kg
ネック 3.6kg
肩ロース 4.3kg
三角ばら 2.6kg
ともばら 3.7kg
うで 2.1kg
とうがらし 2.4kg
リブロース 3.2kg
サーロイン 3.2kg
ひえええええええええええええええ ほとんど全部位じゃん!
これに小池君が答えないわけがない。プレミアム短角牛全部位コースをヤッタ時を彷彿とさせる料理が並んだ!
■前菜
■シンタマのチーズソース。詳しい名前は失念、、、
■ウデ肉(だったと思う)のコンソメ仕立て
もちろんコンソメはF1経産牛からとったもの!
■ちりめんキャベツを添えた経産牛ラグーのパッパルデッレ
ここまでは小池君の料理センスがビカッと光るわけだが、どれも実に美味い。同席した料理雑誌編集者のみなさまも熱心に話を聴きながら舌鼓を打つ。
ちなみにこの日は、赤身に合うリーズナブルなワインということで下記3本を飲む。どれもエノテカのワインですな。

一番赤身肉に合うと思ったのは左端のカラバス2006年。個人的にはデキャンタージュされない尖った感じのうちに呑んだ方が美味しく感じた。
さていよいよ食べ比べだ。正直、われわれが感じた感想を書いても余り伝わりにくいと思うので、とりあえず列記。
■経産牛F1(一経産)と未経産の黒毛A4のカルパッチョ
左がF1。もうこの時点で編集者3名が「うーん 全然違う!」。脂の重さが、質的に違うのだ。
経産回数が多くなると、脂肪が黄色くなってくるというけれども、2産、3産くらいまではそうはならないらしい。脂は綺麗な白色、しかも融点は低い。
さて、焼きだ。
■経産牛F1
■短角牛(未経産)
そしてこの日のために冷凍保存しておいた、島根県のかわむら牧場から送られてきた9産したおばあちゃん牛!
■黒毛和牛(9経産)
■未経産の黒毛和牛
ざっと最初からの流れを言えば、経産牛F1は濃厚さとさっぱりのバランスのとれた、食べやすく満足感も高い牛肉。その次に短角牛をたべると、やはり若干あっさりしている。赤身中心だからこれは想定内。ということは、経産牛F1は赤身肉ファンよりは、黒毛的な味わいを好む人に対するいいソリューションだということだ。
そして、、、次に食べた、かわむら牧場から送られてきた9経産の牛は実に実に最高だった!冷凍だから比べるのが可愛そうかと思ったが、肉の味・風味はものすごい濃さだった。個人的にはベスト。ただし、濃厚飼料をたっぷり与えた味が全面に出てきているので、食べ続けるならば経産F1に軍配があがる。
面白かったのは、最後の黒毛和牛A4の肉に至って、みんなが「うへー きつい」と言いながら食べていたことだ。まったくこの肉だけ異質。少量しか食べない(一人一切れずつ)のにも関わらず、胸にずどんと落ちる重さがものすごい。しかも、あんまりいい重さじゃない。
ということで、この経産F1にはみなが「すごい可能性あるんじゃないの?」という声を上げた。経産F1も、そして9経産の黒毛も旨かったのだから、これはもう経産牛という、古くて新しいジャンルがもっと注目されていいと思うのだ。
というわけで、、、
明日から北海道に出張してきます。一日目は登別にて商工会関連の仕事。商談会プロジェクトなのだけど、二日目以降は畜産研究デー。18日の午前中に、ノベルズの牧場に足を運ぶこととなった。
リアルタイムは無理だが、報告します。
最近、牛ばっかだ、、、でも、大型動物って、写真映えするのですよ。大好き。ではいってきます、、、
6月に畜産システム研究会で訪れた北大の静内牧場を再訪している。放牧に向く肉牛である短角和種とヘレフォード種を完全放牧で飼っているキャンパスだ。
マルイの溝口さんと、望月製麺所の泉田さんも牧場まで来てくれた(というか送ってくれた)。北大の秦先生が迎えてくださり、ウニモグにて夕暮れ時の牧場内をさっと散策。

都府県に住んでいるぼくらには、470ha(東京ドーム99個分)の面積はにわかに想像がつかない。その中を、ゆうゆうと牛たちが生きている。

溝口さんも思わず「広いよねぇ、、、」。
間の悪いことに、なぜか〆切が17日昼あたりまで、という原稿が3本もあることが昨日に判明。牧場内はもちろんウィルコムのアンテナはない。今(23時)から書いてなんとか回線を借りて送信しまーす。


うえーん忙しいよぉ 今月は恐怖の出張月間。東京にいる間に処理できないうちに次の旅先へ出張、、、まあいいや。そうしている間にも、僕の牛たちは育っている。
岩手県二戸市で僕がオーナーになっている短角牛の子供「さち」と「国産丸」は、まったくもってすくすくすくすくと育ってます。
二戸市の稲庭岳にある大清水牧野。45頭程度の一群が放牧されている。
この日、いつもお世話になっている杉澤君は地元の祭りがあるので欠席。個体識別の名人がいないので耳標の番号をつてに国産丸を探そうとするが、見つけられん! 実は「ここにはいない!」と勝手に判断して他の牧野を探したりしたのだが、じつはきちんとここにいた。しかも僕は最初に僕のオーナー牛母子をきっちり写真に撮っていたことが判明(涙)
この二頭が僕の短角牛です。何しているところかわかりますか?授乳シーンです。牛はこうやって身体をたがいちがいにして授乳をするのです。
ということで今回は授乳シーン特集。
この子が黒いのは、短角の母に黒毛の精液をかけたタンクロだから。
この日も爽快な晴れ。牧野は最高に気持ちがいい。
実はこの日、岩手県北部では名門企業である十文字チキンカンパニーの十文字社長が「僕も時間空けますから、遊びましょう!」とついてきてくださった!もちろん手にはニコンD90を携えて、、、
この日はそもそも雑誌「専門料理」の連載につかう写真撮りだったので、大山カメラマンがバシバシと写真を撮る。
彼はキヤノンユーザ。5DマークⅡと40D。
僕が国産丸たちに近づいているところを撮りたいのだけど、なかなか上手くいかない。短角牛さんは基本的には人間を避けるのですよ、、、
ああ、シャイな子達、、、ブラウンスイスだったら何もしなくても寄ってくるのに。
さて
稲庭岳を降りて「さち」が肥育されている漆原さんの牛舎へ。
二戸もすっかり秋だ。
これは長芋。もうしばらくしたら収穫かな。
漆原さんは二戸市最大の短角牛肥育農家だ。もちろん腕前も確か。食物残渣を中心に、雑穀のヌカなどを与えて短角を育てている。
はい、さちはこんなにでかくなりました。
もう少女じゃないなぁ、、、
この子は来年のいまごろ、肉になります。まだ考えたくない。あーあ。
さておなじみ短角牛といえば山長ミートの経営する「短角亭」にて。
めったに食えない短角牛のタン。
美味しゅうございました、、、
明日から高知に行ってきます。
感動の郷土色「まめぶ」を堪能した後は、いよいよ短角牛だ。肥育農家の落安さんの牛舎へ向かう。
山形村では、大地を守る会と短角牛の契約取引を行っている。日本では非常に珍しい、国産100%の飼料を給餌した短角牛を出荷しているのだ。

落安さんは、大地との契約取引が始まってからの最初の短角牛生産部会長を務めた人だ。牛舎に入っても全く糞尿の匂い無し。非常に綺麗な管理をしているのが見て取れた。
しかし、山形村の短角牛を巡る状況は厳しい。
山形村の短角は大地を守る会との契約取引だけではなく、高級スーパーである明治屋にも出荷している。ただここのところ、メインの大地の取引が、不況の影響もあって大きく落ち込んでいる。
大地のシステムは10万世帯の会員からの事前発注システムだ。短角牛はつねにレギュラーメニューとして掲載されているけれども、もちろん安い値段ではない。一般の流通が、生産者を叩きまくった割安な価格をつけているのに対し、大地の場合は生産者の生活を保障しうる正当な価格をつけているからだ。
しかし、家計における食費の割合を下げようとする人達が多い中、やはり短角牛の受注数は減っているという。そうなると大地としても、売れる見込みのない短角を仕入れるわけにはいかない。
「だから、この牛舎の一番端っこにいる牛たちは、本当はもう出荷しているはずなんですよ。でも売れないので、溜まっているわけです。」
そうなると、えさ代が毎日かかっていくので、コストがどんどん上がっていく。畜産という仕事は、数年をかけて産物を得るものだ。1年先の景気など、どうしたって予測できない。常に大きなリスクを抱えながら生産をしている。消費者は危機が来れば財布の紐を締めて緊縮できるけれども、生産者はそうはいかない。消費者一人一人がこうした事情を理解して、できれば「支える消費」に加わってほしいものだと思う。
道の向こうには、収穫期を迎えたデントコーン畑が拡がっていた。これぞ国産の餌のエース。カロリーも十分で、短角なのにサシも入るくらいの佳い餌だ。他国に依存しない、他国の取り分を横取りしない畜産を日本が行う日は、いつになったらくるのだろうか。それは、生産者の意識よりは消費の意識の問題なのだと改めて感じながら、牧野に向かった。
去年は二戸が誇る浄法寺の稲庭牧野の広大な風景を楽しんだが、今年は晴れ渡った空の下、最高のコンディションで久慈市山形村の牧野を訪れることができた!
僕らが到着すると、放牧されていた牛たちが「何なに?何かくれるの~!!!」と勘違いして寄ってくる。
参加者一同、初めてみる短角牛の大きな体躯におっかなビックリしている。
でもせっかくの牧野。ホカホカの糞に気をつけながら、どうぞ足を踏み入れてくださいな。
皆さんたっぷりと短角牛のいる風景を堪能。
畜産の世界では、鶏や豚は中小家畜、牛は大型家畜と分類されている。その中でも大型家畜である牛や馬は、やっぱりその存在感が大きく、正しく相対するととても癒される。僕がなんでここのところ牛達との時間が長いのか、参加者にはわかってもらえたことと思う。
久慈振興局の畜産部長さまよりご挨拶をいただき、牧野を後にする。参加者一同、長かったようであっという間に過ぎた行程に思いをはせる。バスは二戸駅に隣接する「なにゃーと」へ到着。
解散式を行い、スタッフの皆さんに大感謝の拍手を送る。
久慈・二戸の双方の振興局が手を取り合って調整してくださったこの企画、他の県の関係者からみると「すごく異例なこと、でもお見事!」という評価らしい。僕も行く先々で「あの企画はすごいです」とよく言われる。県の出先機関が、管轄の違う区域をまたがってこのようなイベントを行うことは、予算の配分や人員の配置に至るまでを連携しなければならず、定常業務外のことばかりのはずだ。それを厭うことなく遂行して下さった皆様に、心から感謝したいと思う。
ありがとうございました。
そして、参加して下さった皆様。今回一番遠いところというと、大阪からの参加が2名!いつも不思議だけど、なんで皆さんこんなに探求熱心なのだろうか。無理して盛り上げる必要ないほどにノリのいい皆さんと一緒にいて、僕は大変幸せでした。また一緒に遊びたい人ばかり。
こうして岩手県北部の探訪ツアーは大団円を迎えることとなった。皆さん、ありがとうございました!
追伸:
すでに決まっていることとして、年明けに岩手県の雑穀料理セミナーを東京で開催します。これは言ってみれば料理教室!ご飯と一緒に炊くだけじゃなく、雑穀ならではの美味しい料理を一般向けにお教えします。時期が来たら募集しますので、どうぞよろしくお願いします!
オーナー牛舎に、柿木畜産の家畜運搬車が着きます。
ご覧の通り雪が降っている状況。寒くて草もあまり生えていないので、国産丸は、牧野から降りて来ています。

お母さん牛と一緒の部屋にいると別れがつらくなるので、一人分のスペースで草を食べていました。
「じゃ、やりますか」
と浄法寺の畜産担当、杉澤君が本当に慣れた手つきで縄を解き、柿木さんの運搬車に国産丸を引いていきます。
国産丸もおそらく何があったのか全然わからないような一瞬の出来事。
ここから1時間半ほどで、久慈市山形町の柿木畜産に到着です。
ほい、ほいぃ~ っと声をかけて、後をすこし押して上げると、戸惑いながらも国産丸が新しいおうちへと入っていきます。
やっぱりちょっと不安そう。
目を見開いて、自分がどこにいるんだろう?と思っているような感じです。
着いたらすぐに草と水を食べさせて上げます。
柿木のお父さんが、国産丸を観ながら「これはでかくなるよ、いい牛だ。300kgくらいは肉がとれるだろう」と言ってくれました。
国産丸は、これで晴れて、柿木家の牛になりました。
これから23~24ヶ月、彼は柿木家で暮らすことになります。その間に与えられるご飯は全て国産の大豆、小麦、乾草など。山形町の短角牛はすべて国産の餌で育つのです。人間よりも贅沢なご飯といっていいでしょう。
元気に暮らすんだぞ、国産丸。
中ヨークシャーというのは、豚の品種だ。牛に黒毛やアンガス、あか牛に短角牛などがあるように、豚にも様々な品種がある。世界中で肉豚として育てられているほとんどが多元交配豚。といっても多元交配という品種があるわけではない。純粋種と呼ばれる単一の血統の豚を掛け合わせて、それぞれのよい特性を持つ子を得るというものだ。
最もポピュラーな掛け合わせがLWDというものだ。
Lはランドレース種
Wは大ヨークシャー種
Dはデュロック種
まずLのメスにWの精液を人工授精する。そこから生まれた子供はLとWのよい特質を受け継ぐ交配豚になる。豚の場合はメス:オスの順番で表記するので、LWと呼ぶ。
このLWのメスに、Dの精液をつける。そうすると、LWDとなる。これが、世界中で最も経済性と品質が釣り合った品種だと言われている。
LWDが「一番旨い」とかそういうことじゃない。まず経済性というのは、養豚を行う生産者や販売業者にとっての経済性という意味だ。豚肉を買う消費者が販売時に受け入れられる価格が、生産やと畜、流通、販売をする人達にとって見合うかどうかということを突き詰めたときに、最も合理性が高いというのがLWDということである。
この合理性というのが、一般の人にはちょっとわかりにくいと思う。おそらく消費者としては「よくわからないけど、ぜーんぶ「黒豚」とか「あぐー」とか「イベリコ」とかにしちゃえばいいんじゃない?」と思うだろう。けれどもそうはいかない。ああいう確固としたブランドを有する豚の多くは、経済合理性からいうとかなり成り立ちにくい資質を持っているのだ。
例えば、沖縄の在来豚であるあぐーは、LWDに比べると非常に小型でしかも脂が多い。つまり精肉になる歩留まりが非常に低いということだ。ヘタをすれば2/3位は脂ということも珍しくない。
昔々は、動物性の油脂が非常に高価だったので、みなラードを採るために脂が分厚くなる品種を飼っていたし、血統もそうしたものばかり選抜していた(そういう豚をラードタイプという)。あぐーは脂も滑らかで融点が低く鳴りやすく、肉の部分もとても美味しい豚だけれども、100gあたりの単価をとんでもなく高くしないと釣り合わないのである。黒豚やイベリコはまた性質が違うけれども、飼うコストが高くついたりするので、やはり高くしなければ釣り合わない。
誤解を恐れずに言ってしまうと、美味しい豚というのは、作ろうと思えば作れるのだ。しかし重要なのは飼育時のコストに利益をのせて売ろうした値段が消費者に受け入れられるかどうか、の問題なのである。あぐーや黒豚、イベリコはマーケティングによって高価格が受け入れられるようになった希有な事例なのだ。
もうひとつ、品種の構成だけでは、美味しさは決まらない。僕は畜産においては、下記の公式で味が決まると考えている。
品種×餌×飼い方=味
つまり、よい品種構成をしても、餌がプアで育て方も不味ければ、佳い肉豚にはならない。その逆もまた然り。LWDという普通の掛け合わせであっても、餌と飼い方が高レベルであれば美味しくなりうる。
事実、日本には300以上の銘柄豚(「●●豚」とパッケージに表記されているもの)があると言われているけれども、その多くは普通のLWDを採用していて、餌の中身をグレードアップしたものが多いのだ。
だから、美味しい豚肉を選ぶと言うときには、品種と餌と飼い方に着目しなければならない。まあ、僕にもそんなジャッジはできないのだけれどもね。
さて、ここのところ中ヨークシャー種の復活の話題をよく耳にする。中ヨークシャーはイギリス生まれで、昭和30年代前半までは日本でもっともポピュラーだった品種だ。しかし昭和30年代後半の、日本の家畜(牛も鶏も含む)の改良が熱心に行われた時代に肉を生産する能力が高い品種が多数輸入され、中ヨークの生産は激減した。中ヨークは、肉質はよいのだけれども、脂が多く産肉能力も低いのだ。
ほんとうに日本における純粋種の中ヨークは絶滅危惧種とまで言われていたのだけれども、数年前からそれが「復活してきている」と言う話をよく耳にするようになった。それは「確かにそう言うことだなぁ」という理由で復活してきているのだ。
まず、LWD中心で経済合理性を追求してきた現在の豚肉が、合理性が高くなったゆえ、低価格化への一途を辿っているということだ。一時期のBSE騒動で豚肉価格は非常に上がったのだけど、そこから時も過ぎ、もう豚肉市場も飽和状態なのである。
そんな中、価格競争についていくことができない/または価格競争などしたくないという生産者さん達は、独自の路線を目指さざるを得ない。その独自路線の一つが「品種を選ぶ」ということだ。中ヨークは食味は非常に高く、生産自体も希少だ。高付加価値化の材料としては揃ってるじゃん、ということで取り組みが出てきたのだろうと思う。それも、全国で散発式に。おそらく現在取り組み途上のところも合わせると、再来年あたりには中ヨークの名前を沢山みかけることになるだろうな、と思う。
前置きが長くなりました。その中ヨークがらみで連続して二件、食べる機会があったので報告。
冒頭の写真は黒柳種豚場という、静岡県の浜松のほうにある種豚農家さん。黒柳琢生さんという。38歳だから僕の一つ下の学年だ。養豚関連の雑誌があるのだけども、そこの敏腕&キュートな編集者さんから僕の名前を聞いて、面識無しなのにいきなり電話をくれた。
「中ヨークシャーの純粋種を飼ってます。日本で一番うまい中ヨークにしようと頑張っているので、まず食べていただいて、評価をして欲しいんです」
ありがたいことにこういう依頼をよくいただく。断るはず、無し(笑) だいたい僕の実験基地である東京バルバリにて、小池シェフにお願いしていろいろと試作してもらう。今回もそうした。上京してもらい、京橋にて初対面。若くて意欲のある、実に前向きな生産者さんだった!
とにかく熱心に豚の話をしてくれる。彼の種豚場はお父さんの代からのものだが、彼自身が本当に豚の育種に力を入れていることが伝わってきた。
ちなみに、彼の中ヨークもいいと思うけれども、本業であるデュロックの種豚の成績が実にすごい。聞いてみたら、かなり有名なブランド豚の生産者に、種豚を供給しているではないか。ちょっとビックリしてしまった。

「でも、個人的には中ヨークで頑張りたいんです!
中ヨークシャーの系統は、私が知っていて現存しているものだけで10系統以上はあると思います。国内でもいろんな方が飼育されていますが、純粋種を肉豚として出荷する方は非常に少ないと思います。中ヨークを他の経済性の高い品種とかけ合わせた、交配豚の流通がほとんどではないでしょうか。
私の考えでは豚肉の場合、遺伝形質50%、飼料25%、豚の健康度20%、飼育管理5%位の割合で味が左右するのではないかと思っています。また中ヨークも品種の特性は共通して持ち合わせていても、肉として美味しい系統もあればそうでないものもあります。そして人の味覚も様々ですから、単に中ヨークといっても評価も難しいですし、何でも中ヨークが入っていれば差別化できるとは限らないと思います。
飼育頭数は少ないですけど豚にかける情熱・愛情・探究心は誰にも負けたくないと思っているんです!」
いいね! その勢い!
で、僕も彼の豚肉を始めてていただくのだけれども、小池スペシャルコースの始まりだ。
肩ロース肉と脂のミンチを使ったパテ・ド・カンパーニュ。肩肉は匂いが残りやすいけれども、臭みゼロ。脂の舌触りもいい。
小池君によれば、最近よくある淡麗系の豚肉より若干脂の融点が高め。でもきめの細かい、くどさのない脂で好感もてるということだった。
今回は内臓肉もドカンと送ってくれた。そのレバーパテ。
豚レバーは生育のコンディションによって匂いが強くなったりするけれども、これは実に純な風味。ネットリ美味しい。
高得点です。飼い方がよいのだね。
さて、フレンチの内臓料理の究極といえばこれでしょう、アンデュイエット!
豚の腸に、豚の内臓を詰めたもの。フランスで以前いただいたことがあるのは、くっさーくてちょっとすごかった。けど、小池スペシャルのこの中ヨークアンデュイエットは、クセもそれほどなく食べやすい。
「いや、実はかなり匂いを抜きました。来たままの状態の内臓はちょっと匂いが強かったです。ただ、匂いがあるのと臭いのとは違う。この中ヨークは野性的な血が残っているのではないか、その豚らしい匂いなのだと思います。句作はありません」
ということ。
バルバリは肉にコアな趣味をもつ人ばかりではなく一般のお客さんが中心だから、匂いをギリギリまで落とし、でも味があるという一線を目指さざるを得ない。それにしてもこのアンデュイエット、旨いよ。匂い消しだろうがニラが敷いてあって、それをあわせると絶妙。
さて、メインだ!
手前がロースで、奥が肩ロース。この時点で肩ロースの深みのある赤色が樹になるね。どちらも分厚い脂肪層がついているところが中ヨークのポイント。脂の表面側はカリッと仕上げて、内部はトロリとしている。基本的には低温調理的な質感。
ロース肉をいただいての感想だが、肉の締まりはいい。繊維のきめの細かさも実に高いれべる。脂は融点が少し高めと言うことだが、そのおかげか独特のさくさく、るりるり、とした食感がある。脂好きには堪らない味だと思う。肉の味は淡麗。黒柳君は淡麗系の豚に育てていきたいそうなので、その狙い通りの味はきちんと出ている。僕はもう最近、淡麗系の豚に飽きているので物足りないけどね。
しかし、奥にある肩ロースを一口食べてビックリ。風味がとても濃く、細くきめ細かい筋繊維のおりなす心地よい食感と相まって、極めて佳い!
「じつは肩ロースは脂の美味しくなる加熱タイミングと肉のそれとが微妙に違うので、ローストでは難しい。それで、ブレゼにしました。」
と小池君。細かな火入れをしただけの成果ががちっと出ているではないか。
いやー 断然、肩ですな。
「はい、僕自身、豚肉はロースやバラなどの、身体の内側の部位はそれほど好きじゃないんです。豚らしさが出るのは端っこの部位ですから、そちらを味わって欲しいなと思っているんです」
実はこの中ヨーク、肉豚としては非常に長い320日間の肥育をしているという。通常のLWDは270日前後だから、それに比べて味が乗るのは当然だ。しかしそれだけ飼うと、応分のえさ代がかかるから、諸刃の剣となる。今後この辺を何とかしていかなければならないわけだ。
小池スペシャルはまだ終わってなかった!カツカレー、、、(汗)
小池君いわく、「これくらいの薄さでしっかり熱をいれて脱水して食べるのが、この豚の一番美味しい食べ方かも知れませんね」とのこと。うん、そうかもしれないな。
「個人的には、肉が届いて少し試食した時、なんだか久しぶりに肉っぽさの強い、匂いのある豚だと思いました。けど、今日料理をしてみたら、熟成のせいかもしれませんが、しっとり淡麗系の特質ももっているとは思いました。なかなか面白いですね。あとは価格とのバランスだと思います」
まったくもってそう言うことだと思う。最終的にはお客さんが得る満足度と価格とのバランスが釣り合っているかどうか、に帰着する。
淡麗系の豚、つまり「脂がすぐ溶けてくどくないんです」とか「しゃぶしゃぶにしてもアクが出ない、透明感のある味なんです」というのが最近の銘柄豚の特色だ。全国、どこの試験場にいっても同じようなフレーズが多々出てくる。
けど、そういうのが多くなってくるということは、同じジャンルの豚は個性を出しにくくなるということでもある。そう言う意味では、淡麗系を狙おうとしている黒柳君の中ヨークは、いろいろと超えていかなければならないハードルがいくつかあるように思う。
けど、肩ロースの旨さはちょっとビックリした。中ヨークならではの脂の旨さも実によくわかった。なによりこれは中ヨークの純粋種なのだ。ラッキーであった。
できれば、デュロック種の販売でガンガン金を稼いで、中ヨークは趣味と割り切って無茶苦茶に高品質、一頭10万円で売れるようなのを目指す。当然、頭数は少なくなるけど、高級店に「それでもいいからくれ」といわせる位のものを目指したらどうかな、と勝手ながら言葉をかけた。
中ヨークを巡る冒険者、黒柳君の今後の活躍に期待。近いうちに、豚舎を見せてもらいに行こうと思う。
なお、今週中くらいなら、東京バルバリで同じ料理が食べられる、かもしれない。電話等で確認してみてください。
そして冒険者は、愛媛県にもいたのである。(続く)
前にも書いたと思うけど、高知龍馬空港を降り、空港のロータリーを出たところ、レンタカーの事務所の後ろに、フェンスで仕切られているけれども、広い緑地帯が拡がっている。これは実は、高知大学農学部のキャンパスで、土佐あか牛の放牧場になっている。高知を空路で訪れることがある人はぜひ、空港から歩いても行けるので、覗いてみて欲しい。もう冬なので牧草が少なくなり、ずーっと放牧してはいないかもしれないけど、運動のために放しているはずだ。
しばらくぶりに松川先生に会うことができた。前にあったのが7月末だけど、髪、伸びたなぁ~(笑)
■現在
■7月30日時点
「いやー あか牛のこと、どんどん書いてくださいね。毎回寄っていただいて結構ですよ」
と言ってくださる。
「今回、お気に召すかわかりませんけど、土佐あか牛ガールズを用意しておきました(笑)」
ガールズ!?
「学生で、とくにあかうしのの面倒をみてくれるのが3人いるんですけど、今日は一名が欠席で、二名です」
はい、本邦初公開、これが土佐あかうしガールズです!
履いているのはサンダル! 高知の畜産の現場ではサンダルが正装なのである(笑)
他にも、あかうしの世話をしている職員の方々が居るのだけど、ことごとく佳い顔をしておられる。
U字溝を逆さにして、ここに餌を入れると、成牛の雌牛にだけ届くよい餌場になるそうだ。こんなのを作る土木作業のようなことを、畜産の関係者はやらなければならない。
さて、土佐あかうしたちを観に行く。放牧場にいく途中、ヒエが生えている圃場があった。稲を育てていて雑草として生えてきたのか、それともヒエを栽培しているのかはわからなかったが、実は高知には四国にしかないオリジナルなヒエの品種系統が存在する。

高知県は急峻な山ばかりで、飼料用トウモロコシや牧草などをまとめてつくることが難しい。そこで、このヒエが注目されてきている。
高知県の畜産試験場で、これから僕が名付けた土佐あかうしたちに、このヒエを中心に与え、粗飼料中心で育てる実験を行う。そのことをぼーっと考えてしまった。うまく育ってくれるだろうか。

おおーう いるいる。
冬毛に変わろうとしている時期で、毛がボワボワしていて可愛らしい。まだバンビちゃんであるが、前回より確実にでかくなっている。
この子、珍しい。土佐あかうしと熊本の褐毛和種の一番の違いは、この子のように眼の周りが黒いブチとなる、「毛分け」というのが出てくることだ。でも、通常は毛分けはオスではっきりと出てくる。雌牛はこんなにはっきりはならないはずなのだが、、、
女の子なのに、ちょっと悪人ぽい顔になっちゃってかわいそう。
そんな雌牛の尻を追いかけるプレイボーイ登場。
そう、前回来たときに僕に近接遭遇した、あの種牛である。オスはやはりひときわ体格がよく、ごつごつした男前だ。
今回も、「おっとよそ者が来たな」とばかりに、草を食べて自然を装いながらも、僕の方にずりずりと近寄ってくる。
えーと、 ちょっと近すぎます。
でもこいつ、気は優しい。人間につんけんしてこない。
おそらくそんなことよりも、気に入ったメスに夢中なんだろう。そして、あろうことかメスもまんざらこいつに気がないわけではない。

種牛は30頭くらいのメス牛の中に放り込まれる。雌牛は一定期間で発情し、陰部がぽってりと膨れ、粘液が出て、オスを強烈なフェロモンで引き寄せる。そして、興奮したオスがどかーんと一発、突くのである。僕は以前、短角和牛の交尾を見たことがあるが、一瞬にしてド迫力でことを成し遂げていた(笑)
こんな近くではみられないけれども、高知龍馬空港に降り立った方はぜひ、あかうしを見に来て欲しい。あ、でもフェンスを越えて進入したらダメですよ。

なかなか勢いのあるビラ。学園祭みたいなのがあったらしい。来年はきてみたいものだ。
高知大学農学部。また遊びに行かせてねーん!
僕が短角牛の母牛と、彼女から生まれた子牛二頭のオーナーになっていることはこのブログを読んでいるひとはご存じだろう。実はそこにまた、牛ちゃんが増えてしまった、というお話しだ。
「今日は畜産試験場まで行きますよ!」と、いつもの高知県畜産課の熱血メンツ・公文&山崎の両氏と車に乗り込む。
「本所で角田さん拾っていきますから」
と、高知県庁の本所の玄関に行くと、ゴツッとしたガタイにガッツリしたお顔の写真家・角田和夫さんが機材を持って登場。角田さんは銀塩のモノクロ写真で世界を歩き、印象的なスナップ写真を世に送り出している方だ。
■角田和夫の世界
http://www.kcb-net.ne.jp/k-violin/index.html
「やまけんさんの写真、いいですよ!」
と褒めていただくけれども、いやもうこの人のかっちょええモノクロ写真の質感はとても僕には出せない。ぜひ上記リンク先のカッコイイ写真を観ていただきたい。
で、今回は佐川町にある畜産試験場へ。数年前の夏、ここで放牧されている土佐あかうしをみて、僕は断然興味をそそられたのだ。考えてみればその時の出会いがいま僕を高知に誘っている。
で、この畜産試験場のすぐちかくに、旨いうどんの店があるというのだ!
「僕も試験場の人に訊いただけなんで、よく識らないんですけど、、、」
と公文さんが連れて行ってくれたのが、これまた実に味わい深い立地の店である!
■手打ちうどん とがの藤屋
高知県高岡郡佐川町中組1325-1
店内はすでに満員な感じだったので外のテーブルへ。なんかものすごく風情のある民家を改装した感じだ。
どうやら手書きされている「ザブザブ」がお薦めらしいが、生醤油うどんの普通盛りとスタミナぶっかけの中盛りを頼む。こういうところで一品しか頼まないなんてことは俺には出来ない。そして普通盛りだけでお茶を濁すことも絶対にできない。しかしながらこの日どうやら僕らは選択を誤った。実はこの店、メニュー上段にあるタイカレーってのが旨いらしいのだ。うーむ 次回ぜったいに頼んでみようと思う。
で、この店、すげぇ盛りがいい!
だってみてよこのかき揚げのデカサ!

ちなみにこの日の公文、山崎、角田、やまけんの4名全てがカメラ好きで、しかもニコンユーザーという恐ろしい布陣(笑) 当然、撮影会と相成ったのである。
さて僕の方へは生醤油うどんが運ばれてきた。

ん、さぬき系のコシ、ギュッと締まっていて旨い。思ったより太めの麺で、つまりかなりボリューミーである。生醤油は若干淡い味わいで、たっぷりめにかけてもしょっぱくならない。高知県特産のおろし生姜を乗せてかき混ぜて啜り込む。
そして、スタミナぶっかけがこれだ!
うーむ
かなりいい感じのスタミナ加減じゃないか!?
やっぱりうどんには牛肉を甘辛く煮染めたのが一番旨い具材だ。その甘辛煮汁を絡めながら、天麩羅も食してしまうというのは、金のない学生時代には考えられない幸せ。幸福である。

まあ、コメントはいらんでしょう。大満足でありんす。
ちなみに仲居のおねえちゃんが可愛い人ばかりであった。厨房に立っている男衆も若く、かなり意欲的で勢いのある店だなと思った。周りはもう山というへんぴなところだけど、ひるときには周囲からどどーっと人が集まってくるらしい。素晴らしいことである。ここはまた再訪したい。
さて、腹一杯になったところで試験場へ、、、そこで僕らを迎えるのはなんと!
土佐あかうしの肉であった、、、聞いてないよっ!腹が、、、
この日、恒例の食味試験があったらしく、土佐あかうしだけではなくはちきん地鶏、ウインナーなども供されていた。しかし、黒毛和牛ならもう腹一杯のところには絶対に入らないのだけど、土佐あかうしのクセのないサシはするすると入っていく。食べても嫌にならない牛肉なのである。
さて、冒頭に書いたとおり、実はこの日、試験場で生まれた土佐あかうしの名付け親になることになった。前にここにきたとき、試験場の人に「お願いですから一頭、土佐あかうしのオーナーにならせてください!」とお願いしたのだ。
「うーん 試験場の牛を個人オーナーにするのはちょっと、、、」
と言われていたのだが、、、
「オーナーということではなくて、ヤマケンさんのご指示通りの餌の内容で育てる牛を二頭、都合しました!この二頭は生まれたばかりです。どんな飼料設計にするのか、一緒に考えましょう!」
ということになったのだ! ひゃーーーーー 短角牛につづき、こんどは土佐あかうしに僕の意志を反映することが出来る!
いま、土佐あかうしは黒毛和牛と同じような育て方をされている。できるだけサシを入れるために濃厚飼料を中心とした給餌体系になっているのだ。けど、土佐あかうしを牧草などの粗飼料中心で育てるという試みは、まだはっきりと試験研究されていないそうだ。
「だったら、粗飼料中心の飼育をしてみてはどうですか?」
というのが今回の趣旨なのだ。あーあ、可愛そうに。僕が名付け親になる土佐あかうし二頭は、コーンなどのご馳走をあまり食べられない一生を送ることになる。いや、そのほうが幸せかも知れないけどね。
ただしもちろん課題はある。
「高知県は山岳部が多く、斜面も急なため、岩手県のようにデントコーンを大量に栽培することが難しいんです。ですから、粗飼料をどのように入手するかが問題です。」
その対処方法もちゃんと、考えてくださっていた!
「四国には他の地域にはない野生のヒエの品種があります。稲作農家にとっては大敵ですが、このヒエをサイレージにしたものを与えるといいのではないか、と思っているんです。」
うおおおおおおおおおおおおおおおおお
それは素晴らしい!雑穀を食べて育つ土佐あかうしということである。もちろん雑穀と言っても、実が充実するまえに草ごと発酵させることになるので、穀物の扱いではないが、、、
「じゃあさっそく、ご対面と行きましょう。ちょうど鼻紋もとらなければなりませんし。」
と、生まれたばかりの二頭のいる牛舎へ。
この耳標番号が4029の子と、
4030という子が、
僕が名付ける子牛だ。
さてこれから何をするかというと、鼻紋をとる。人間の指紋のように、牛の個体を識別するために、鼻の紋をとり、登記するのだ。

虐待ではありませぬ。子牛ちゃんの顔をきゅっと小脇に抱え、インクをさっと鼻に塗る。
鼻の全面をなぞれるように湾曲したストッパーに紙をつけ、鼻にクッとあてて鼻紋をとる。
これが非常に難しいのだ!
「やまけんさん、やってみます?」
といわれるが、かなり悪戦苦闘。
5~6回チャレンジして、ようやく使えそうなのが出来た。ゴメンよ、手際が悪くて。
4029の子は、身体は大きいのだけど、目が大きくて優しい感じ。おとなしくてあまり暴れない。
「よし、この子の名前は「優男(やさおとこ)」にしましょう!」
4030の子は、身体はそれほどでかくないが、ギュッと筋肉が引き締まっている。そして鼻紋を採るときも暴れて、目つきもギッと鋭い。
「よしゃ、この子は「強力(ごうりき)」と名付けましょう!」
こうして高知県畜産試験場に、僕が名付けた土佐あかうし二頭が生まれた。これが、二頭の登記書だ。
先週上京した試験場の方が、最新の写真を写してきてくれた。
やっぱり、強力(右)のほうは目つきが悪い(笑)優男はやさしげな目だ。
さてこの子達はどんなふうに育ってくれるのだろうか。楽しみだ、、、
いま、鹿児島に着きました。空港 は土砂降り、もしかしたら福岡空港へ降りるかもというアナウンスがあったので冷や冷やしたけど、、、今週は鹿児島・鹿児島・福岡の八女。またもやハードです。
そんな一服していたところに、岩手県二戸市の杉澤君から吉報が!
さて、やまけん所有の短角牛が、2月25日にめでたく第3子を出産したとの連絡があり、先程オーナー牛舎に行ってきました。
第3子は昨年に引き続き、元気な♂の子牛でした。(写真を添付しております。)
ということで、今年も子牛の名前を付けて頂きたいと思います。漢字でね!
よろしくお願いします。
いやったぁーーーーーーーーーー
当初、産まれてくる子供に乳を飲ませなかったりと気を揉ませた僕の短角牛ちゃんだが、第二子である国産丸からはずいぶんと子育てが旨くなった。そして三頭目!この子は母牛としての能力がとても高かったと言うことだ。
さて、この新生児、生まれたてはバンビのような可愛らしさだ。
男の子は漢字で名前をつけるのがならわし。さて、なににしようかなぁ、、、
ちなみに僕が名付けた牛たちは、自分の所有する短角牛が「さち」、「国産丸」。そして高知県の土佐あかうし2頭が「優男」に「強力」。
これにくわえて実は、北海道の短角牛の名付け親にもなった。メスだったので「べっぴん」と名付けた。
さて、この短角牛第三子はなんて名前にしようかな。ちなみに、まだ思案の途上だけど、この子は肥育に仕上げるとき、岩泉町に預けたいと思っている。そうすれば、岩手県の主要な短角牛産地である二戸市浄法寺、久慈市山形町と岩泉町を網羅できるからだ。
そして、、、
実は今年の6月に、第一子のさちを出荷する予定だ。出荷とかけば聞こえはイイが、つまりと畜・解体して肉にするのである。
かねてから告知してきたとおり、この「さち」は自分の見える範囲で流通し、食べるつもりだ。いまのところ、ロース一本は静岡のさの萬さんにお願いして、ドライエージングにじっくり熟成させるつもり。それ以外の部分は、協賛していただけそうなレストランに販売して、「食べる会」をやりたい。また、まだこれは計画レベルにものっていないけど、以前やったように通販で焼肉セットにしてもいいかなぁ、とも思っている。
飲食店では、牛肉などを売りにしていても「お客さんが食べられなくなるから」と生きていた頃の家畜の写真などをディスプレイしないところが多い。けれども僕はそれをきちんとやりたい。自分が食べようとしている肉がどんな風に生きた家畜だったのかを、識った上で食べるということをやるべきではないかと思うからだ。
「牛肉」と言ったときに思い浮かぶのは、冷蔵コーナーに並ぶトレイに入った商品パッケージだ。
では
「牛の肉」と言ったら何を想起するか? 肉になる前の、大きな存在である牛の肉をいただくのだということが思い浮かぶのではないだろうか。
僕は、「牛の肉」を現前させながら、愛おしんで食べる会をやり、さちを送りたいと思う。そんなこといったら誰も参加しないだろうけど(笑)
そういうことで
今年は涙なしには暮れない一年になりそうだ。ともかく、名前を決めよう。名前を、、、
いよいよあと2ヶ月ちょっとで、さちとお別れすることになる。あー もう考えたくない。去年の時点では「まだまだ先の話だ」って思ってたけど、時の過ぎゆくのは予想外に早い。ということで、さちに逢いに行ってきた。
二戸振興局のみなさんと会議・打ち合わせをしてから、短角の世話をしてくれている杉澤君と落ち合うと、「副市長に面会しに行きましょう」という。二戸市副市長は先日交代されたのだが、前副市長は浄法寺のご在住で、ご自身も短角牛のオーナーだった。
そして、新しく副市長になったのは、、、
なんと、僕の母牛がお世話になっている大清水牧野組合の経理を担当されていた堀口さんなのである!ひえーこれにはビックリ!サプライズ過ぎるぜ杉澤君。
なんにしても、副市長が短角牛に精通した人であるということはとても素晴らしいことだ。岩手県北の二戸がこれから日本全国へ打ち出すべきは、短角牛と雑穀。その二つもっと力を入れて推進していくべきだ。その理念をこの人なら推し進めて行くだろう。堀口さんガンバレ!
昼飯は、やっぱりここでしょうの「米田工房 そばえ庵」。
自分の畑で育てた蕎麦や作物に、なんと自家製の醤油で作ったつゆで食べさせる希有な蕎麦屋。二戸を訪れるならぜったいに足を運んで欲しい店だ。このあたり公共交通機関はないのでレンタカーになるが、、、あと、あらかじめ連絡しておかないと蕎麦がないこともあるので要注意。ま、なければ20分ほど待つと、打ち立てが食べられるけどね。
カヨさん、相変わらずお元気でよかった!
いつも通り素晴らしい十割蕎麦、そして薫り高くキレのいいつゆ!
かけそばは限りなく優し~いお味。美味しゅうございました。
見送られつつ山を登って、いざ「さち」のいる漆原さんの牛舎へ。
さちは、こんなに大きくなりました。
なんつってもあと2ヶ月で仕上がるわけだからね、、、
さちとのしばしの交流。一日に一キロ増体していく彼女に、うちの嫁が「はやく育ったらそれだけはやく出荷になっちゃうんだから、もう食べちゃダメ!」と言っていた。うーん僕もそう思ってしまう、、、
(続く)
いま、高知県の土佐あかうしに入れ込んでいることはこれまでこのブログでも述べてきたとおりだ。僕が名前をつけた二頭の土佐あかうし(優男と強力)は順調に育っていて、もうしばらくすると僕がお願いした特製飼料を与えられて育つことになる。5月には彼らの顔を見に行けるので、いまから楽しみだ。
で、その土佐あかうしを店内で長期熟成して、それをステーキに焼いてくれる店が大阪にある。その名も「焼肉 又三郎」。
■焼肉 又三郎
http://www.matasaburo.com/
実はこの店の社長さんである荒井さんには会ったことがある。僕も委員として加わっている日本ドライエージングビーフ普及協会の設立記念パーティの時、ひときわ目立ついなせな浴衣姿で駆けつけていた女性がいた。どこの誰がこんな女性を同伴してきたんじゃ、と思ったら、そういうことじゃなくてそのご本人が大阪は長居という街で炭火焼き肉店を営む荒井さんだったのである。
「うちもドライエージングというか、じぶんとこで熟成庫を持って、長期熟成した牛肉を焼いてるんです。やまけんさんぜひ来てください~」
と美しい声で誘ってもらって、ずーっと行けてなかった。ようやくお目見えなのである。
それほど大きい店構えではなく、ちょっとみには普通の焼肉店っぽい外観だ。

しかし、店内にはいるといきなりすごい冷蔵熟成ケースが鎮座ましましているのである!
「ただいま熟成中」と書かれた中には、骨付きのロースがどかんどかんと置かれていたり吊されている。

そしてそのどれもが、菌がついているのか外側がガビガビになっていい感じに熟成していることを伺わせる!
実はこれ↑は今回我々の口には入らなかったのだけど、土佐あかうしの雌(メス)!土佐あかうしを卸す肉屋の「三谷ミート」の三谷さんが「これは最高ですよ、きっと」という肉質のものだ。だがまだまだ熟成に時間がかかるということでこの日は他の肉を食べることになった。といっても3月3日からだから、もうすでに4週間はたっている。それでも「まだ」なのだ。
もちろん但馬牛も。これ↑は香川県の黒毛だそうだ。黒毛を選ぶ際にもメスのみ、そしてAの3番のみを選ぶという。A5なんぞドライにしたって旨くないのだ。
こんな感じに、きちんと来歴を示すカードと共に肉塊が熟成されているのである。
日本におけるドライエージングビーフの先駆者である静岡県の「さの萬」では、研究の結果発見したドライエージングに向く菌群を庫内に入れて熟成の作用を促進させる。しかし又三郎さんではとくにそうした菌群を外から入れるという方法は採っていないそうだ。
「そうなんですよ、うちでは庫内に熟成させる菌が住んでるんですかねぇ。さの萬さんのところとは違って、うちの場合は外側をあまり切り取らなくても美味しくいただけますね。」
ふうむそうなのか。さの萬スタイルだと外側のガビガビが多くなり、30%程度は削らなければならないほどだという。又三郎方式は肉を扱う業者にとっては素晴らしい福音ではないか。
でも、それは食べてからの判断だよな、、、とにかくまずは食べなくちゃ!
この日じつは高知の人達と駅で合流するはずだったんだけど、すっかりそれを忘れてて先に店に来てしまった。「あーー もうお店なんですか!?じゃあこっちもいまから向かいますー」すみません皆さま。
高知県からはいつも僕の水先案内をしてくれる公文さんと、先述の三谷ミートさん、そして全農さんという布陣だ。
このひとが三谷さん。高知県内では手羽先のおっちゃんという方の顔で通っているが、実はあか牛を扱ってン十年、素晴らしきメキキのである。
さて、それでは宴です。この日は高知県から、オス去勢のサーロインを持ってきてもらい、これも試食。つまり、熟成されているものとそうでないものとを比べることが出来るという寸法だ。
どかんと運ばれてきた大型の七輪。ええ?七輪で客の目の前で焼くの?
「はい、これがうちのスタイルです」
炭火で焼くってむちゃくちゃ難しいけど、、、しかも七輪か!興味津々でみることにしたのである。
(つづく)
さていよいよ”焼き”である!
大型の七輪には、使い込まれて中央部が盛り上がった網が乗せられる。炭火はもうすでに熾火になり、炎は立っていない状態だ。そして、先ほどの肉塊から切り取られ、周りが整えられた肉がやってきた!

目測で450g程度か。部位はリブロース。
土佐あかうしとしては上クラスとなる、A3の肉である。この横に、本日、県の方から持ってきてもらった普通に真空パックで熟成したサーロインを並べる。
こちらはサーロイン。なので厳密に部位間の味わい比べはできないけど、まあでも特製はわかるはずだ。
又三郎の熟成肉の焼き方はそうとうに練り込まれている。炭火で肉に短時間だけ熱を当てて、アルミホイルでくるんで熱を回し、また短時間焼くというプロセス。都合3回炭火にあてる。
まず第一回目の焼き。表3分、裏返して2分。

この段階は内部に火を通すという意識ではなく、表面にあてた温度が内部にじんわり拡がり、全体が本格的な焼きに備えることが出来るようにする段階だそうだ。
一定時間焼いたらすぐにホイルにくるむ。もちろん火に当てっぱなしではなく、立ちのぼる炎にできるだけ肉があたらないように位置を入れ替えながら細かな熱調整をしている。
二回目の焼き。このあたりからきちんと火を入れるという意識になっていく。
ご覧の通り表面はきちんとアミノ・カルボニル反応が起こって焼き目がぎちっと着いている。これだけ焼き込むのだから、肉に相応の厚みがなければ今度はバサバサに焼きすぎてしまう。したがって肉のカットが非常に重要になるとみた。
三回目の焼きの終了。いったん厨房に運ばれ、カットされて出てきたのがこれだ!
三回の火入れによってじんわりと熱が入っている。輻射熱の入り方になる炭火だからか、不必要に生っぽくない、中央まで火が入りながら、ジューシーさを保っているのがはためにもわかる火入れである。お見事!
そして、こちらが熟成肉ではないほうのサーロイン。
さあ、食べ比べだ。
結論から先に言っちゃいます。
又三郎の熟成土佐あかうしは、おそらく日本でもっとも土佐あかうしを美味しく食べることができる店、と言って構わないのではないか、と思ってしまった!
ものすごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおく 美味しい!
ドライエージングビーフ(DAB)を食べたことがない人にはおそらく想起できないだろうけれども、DABには特有の香りが出てくる。それが熟成香というのかなんなのかわからないが、とにかくフレッシュな肉では味わえない、ミルキーでコクを感じる香りなのだ。そして長期保存によってだろうか、タンパク質の結合がゆるくなるようで、しっとり柔らかい食感・香見応えとなる。そして、赤身肉のタンパク質が分解していくことで豊富なアミノ酸が肉からにじみ出すように感じられる。この3つの印象が、DABの特徴といっていいだろう。
この又三郎の熟成土佐あかうしは、上記の3点に加えて、もともとベースとなっている土佐あかうしの旨さが存分に伝わってくるのだ! まず今回の牛はめったに出てこないメス。オスの去勢牛とメスとでは味は全然違って、きめ細やかな上質な美味しさといえばメスに軍配が上がる。その身質が元々もつ旨味が、熟成によってさらにグレードアップしているのだ。
独特の香ばしい薫り、まさしく芳醇な旨味、飽きの来ない適度な酸味、まったくくどさのない油分の快楽、そうしたものが一瞬にして舌を起点にして、脳内の快楽物質を踊らせてくれる。
文句なしです。
まあ食べる前からわかっていたことだけど、通常の土佐あかうし肉と食べ比べると、その違いはよくわかる。初めてDABを食べる人は、非DABの肉と食べ比べた方がわかりやすいかもしれない。それにしても、左のDABと右の通常熟成のテクスチャをみくらべると、肉の照りや色、脂肪部の盛り上がり方などが全然違う。もちろん同一個体・部位ではないので厳密な比較にはならないが、熟成肉のほうは全体的にしっとりとなじんでいるようにみえる。右側の通常肉のほうは、自由水となっている水分が多いのだろうか、キラキラとしている。
いやーシャッポを脱ぎました。4人でいっきにぺろりと二枚の大きな肉を食べ終わりました。旨かったけど、まだまだ喰いたい!ということで焼肉モードへ突入。
荒井さんみずから、ホルモンや様々な部位の焼肉を焼いてくださった。どれもこれも絶品!やっぱり牛肉への文化的理解度は関西の方に軍配があがるのだろうか。
タン刺しや刺身はどれも但馬(黒毛)のA5だというが、それを感じさせない味。久しぶりに旨い黒毛を喰った。
何か飲み物を、といわれたけど、ぼくはこういう席ではめったに酒を二杯以上呑まない。だって、カロリーを採るなら酒じゃなくて飯でとりたいもん(笑)
ので、ユッケピピンパ大盛り。なんだか旨かったのでもう一杯おかわりしたら、
「久しぶりに観ましたよそんな食欲の人。いまどき中学生もそんなオーダーしませんよ」
と大笑いされた。いや、実に吟味された肉だったので、まったく腹にもたれないのですよ、、、
三谷ミートさんと荒井さんの情報交換。肉のプロ同士、高度なやりとりがされていた。かっちょいー!
料理長はまだこの店で3年目くらいだという。そうなのかー!社員のみなさん明るく、そして仕事が終わった後には自然に肉の勉強会が始まる、そんな熱心な店だそうだ。
「だって、高知まであか牛をみにきてくれた時、店員さんがほぼ全員きてくださったんですよ!そんな店、めったにないです。」(公文さん)
佳い食材を欲しいと願う料理人は多いけど、佳い食材は居丈高に「もってこいよ」といっても手には入らない。やっぱり、産地に足を運んで、生産・流通と理解と情を通じている人に、佳いものは流れていく。これは不公平でもなんでもなく、当たり前のことだ。
「いいメスが入ったら、真っ先に又三郎さんに連絡しますしね」
という三谷ミートさんの言葉は、しごくまっとうな関係性のなかから生まれている。まず、土佐あかうしの真価を識りたいと思う関西方面の料理人さんは、又三郎さんを訪ねてみるといいと思う。その際は予約をして、肉のコンディションを聴いて、いちばんいい時期を教えてもらうことだ。後悔することは無いと思う。
ああ、またすぐに又三郎に行きたい、、、偽りのない実感だ。荒井さん、ご馳走様でした!大変に美味しゅうございました!
心斎橋のドゥ・アッシュといえば関西では有名なレストラン。僕は以前、辻調グループの卒業生向けの雑誌である「コンピトゥム」の中で、辻調の先生とドライエージングビーフについての対談を行ったことがあるのだけど、その対談の場がこのドゥ・アッシュだった。ここの支配人の坂口さんが辻調出身なのだ。
その時食べた、さの萬さんのホルスタインのドライエージングビーフ(DAB)は、絶妙な焼き加減であった! シェフの中田さん、若いのにやるなぁ、研究熱心だなぁと感じ入ったのを覚えている。以来、ドライエージング関連のイベントがあると彼は参加しに来てくれて、実に熱意のほどがうかがえる態度だった。何より、ドゥ・アッシュのスタンダードメニューに常にDABが記載されているそうで、関西方面で「さの萬」のDABが食べられる店としてはまずここを挙げれば間違いがないといってもいいだろう。
久しぶりに入ったけれども、実に壮麗なインテリア!昼時でもマダムで一杯だ、、、やっぱり西も東も消費を引っ張るのは女性だと実感する。
今回のメンバーは、昨晩にひきつづき高知県の畜産関係者に加えて、僕の大阪水先案内人のニシガイチ、そして以前、週刊アスキーの「旅三昧」の大阪編で出てもらったトラットリア「MAZE」のシェフ・潤ちゃんだ。

今回はランチでは普通でてこない特別メニューをお願いすることになってしまった。DABは時間がかかるので、ランチ対応はできないのだ。そこを、8名で伺うと言うことで塊肉を焼いてもらった。ありがとうね、中田シェフ。
アスパラベーコンの前菜。ベーコンは実体が見えないが、アスパラのポタージュとミキシングしてエスプーマにしてあるようで、口に含むと燻煙香がフッと立ちのぼり、肉の旨さが表れる。
マスと青リンゴのサラダ仕立て、インドの香りのスパイスと共に。いいねぇ、じらされて肉に対する精神的希求が高まっていくのを感じるよ。
そして真打ち登場。
ホルスタインのDABのステーキである。定石通り、表面だけ焼き目をつけて、あとはオーブンでじっくりと火を通してある。DABは水分の蒸発が激しく、普通に火入れをするとバサバサになってしまうことがある。普通のステーキならバンバンとストレスを与えるような火入れをしたものが僕は好きだが、DABに関してはギリギリの火加減が肝要だ。
今回いただいたDABは焼きについては文句なし!
ただし、元々の肉の熟度が少し浅いように感じた。もうすこし熟成香がブワッと香ってもいい。そう思ったら、帰りがけに中田シェフが「さの萬さんから、今日の分はもう少し追い込みたいんだけど、在庫の都合でこれしかないので申し訳ないと言われていたんですよ」とのこと。やっぱりそうかあ
それにしても、ホルスタインのDABと昨晩の土佐あかうしのDABは、味わいに違いが大きかった。単純にいってしまえば、やっぱり素となる牛のポテンシャルの高い土佐あかうしの方が、より芳醇で赤身肉の旨味も濃かった。もちろんそれは比較すればの話であって、ホルスタインのDABも通常の熟成をした肉に比べれば段違いの美味しさ、いや別の世界の美味しさになるのだけど、異なる品種をDABにして食べ比べするのは本当に面白いな、と思った次第だ。
それにしても中田シェフはひたむきにDABの焼き方研究に邁進している。前回来たときにいただいた肉が素晴らしくて、びっくりしたのだけれども、今回の火入れはまたそれを上回っていたように感じる。関西では有数のDABの焼き手といっていいのではないだろうか。
そんな余韻にひたる間もなく、僕は伊丹空港から帰京せねばならない。大急ぎで空港行きのバスに乗り込んだのであった。
実はむちゃくちゃなスケジュールを入れてしまっていて、心斎橋ドゥ・アッシュに入店したのが12時半、伊丹空港からの飛行機が15時なので逆算すると1時半くらいには店を出なければならないという、忙しい昼食になってしまった。中田シェフと握手の後、空港行きのバス停へ。
伊丹空港の手荷物検査を終え、東京行きのカウンターに着くと、最近はいつものことだけど「羽田空港混雑のため、15分遅れ」ですと。うーむ
しかしね、、、航空運賃も値下げ合戦で、各社とも体力が落ちているのでしょう。そんな中で空のスケジュールもギュウギュウなんだろう。ちょっとくらい値上げしてくれていいから、その分、安全確保をお願いしますね。JALも頑張れ。
と思いながら、空港内にある本屋さんで時間を潰そうとしたら、、、レジに居る女性の顔が、「ターミネーター サラ・コナークロニクル」に出てくるキャサリン・ウィーバー(実はターミネーターである、ゼイラ社の女社長ね)にそっくりだったのですげービックリした!ストーカーみたいにちらちらと見てしまった、、、髪型までにてたのは、もしかして本人も似てるのわかってるんだろうか?
そんなこんなで東京に戻り、一路神楽坂へ。
飯田橋駅の法政大学側の出口から、神楽坂下から道を登って右に曲がり、飯田橋の反対側の方へちょっともどったところに「神楽坂しゅうご」がある。
僕が短角牛や土佐あかうしについてガンガン書いている料理人向け雑誌「専門料理」(柴田書店)の読者さんは、やっぱりプロの料理人が多い。実はタイトルやテーマを変えつつ、連載そのものは4年目に入っている。
しかし最初の頃はまったく「読まれている」という実感がなかった。読者さんからの反響が全くなかったから、、、それが、一昨年から始まった「牛を飼う~日本の食を考える」という連載からは大きく変わった。野菜など農産物中心の話から肉の話に変わったわけだが、稀少な牛肉というテーマは多くの料理人にとって必要な情報らしい。いきなり、編集部や僕に直接連絡してくる人が出てきた。
そのうちの一人がここ神楽坂しゅうごの広瀬シェフだ。

北大農学部で静内牧場の責任者でもある秦(はた)先生との交歓の中で、先生が手がけているヘレフォード種×短角和種の掛け合わせの赤身肉の販売に協力した。その際、彼が真っ先に問い合わせをしてくれたのだ。
■2009年06月29日 畜産システム研究会の会場となったのは北大の静内キャンパス。なんと470haもの敷地内は、動物ワンダーランドだったのである! 肉牛のヘレフォード種と短角種、そして本物の道産子・馬を観た!http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2009/06/470ha.html
サンプルを食べた広瀬さんから興奮した電話が入ったときのことは忘れられない。
「これ、スゴイ肉じゃないですか!? 昆布をたべているみたいな、旨味の塊ですよ!」
というものだったのだ。あいにく、このヘレ短については季節繁殖なので12月を過ぎると肉の出荷が無くなってしまう。次回は6月からだ。なのでそれを待つ間、広瀬シェフは土佐あかうしも頼んでくれたのだ。
「いやー 土佐あかうしもすごーく美味しいですよ!赤身と脂のバランスがちょうどいいです。」
で、、、実は昼まで一緒だった、高知県の土佐あかうし取り扱い業者である三谷ミートの社長から「ヤマケンが来るっていってたからとっておきのメスのモモ送っといたよ。」と貴課されていたのだ!うひょー楽しみ。
もちろんこの日は秦先生と、以前北海道で馬の牧場を経営していたX女史ともご一緒させていただいた。秦先生としても、自分の牛を評価してくれた店がどんなところだったか知りたいわけだ。「いやーどんな料理が出るんだろうね」とワクワクドキドキ。
で、、、
この小呈な店が、実に驚くほど素晴らしい料理をだしてくれたのである!
プンタレッラのポタージュ。イタリアのほろにがい春の味であるプンタレッラの風味そのままに。チーズの塩気と舌の端に残るほろ苦さが食欲をそそってくれる。
イチゴとトマトチーズの前菜。これがまた、イチゴの生臭さをうまくオカズ化できている。
そして出ました土佐あかうしのメス牛のモモ肉タルタル。

これがですね、みなが「おおおおっ」と声を上げたほどの美味しさ。赤身肉の旨味成分の含量では短角牛に分があるとおもっていたけれども、このメスの土佐あかうしは、口に入れて舌に触りひと噛みした瞬間に、落ち着いた女性的な旨味を感じる。よくメス牛の味を去勢牛にくらべてきめが細かいと表現することにしているけれども、本当に肉の食感も味もキメが細かいのだ。
ジュレをまとわせたタルタルの技法もいい。ちなみに載っている青物などはほぼ広瀬シェフの実家の畑で作っている野菜だという!
「経費削減のためですよ、、、」と笑うけど、違うだろうなぁ。とっても食材に気を配っている。原価率高いだろうなぁ。
イベリコ豚の生ハム。
トリッパ
そしてこれも秦先生が紹介した、十勝の放牧豚。
どの料理にも季節感一杯の野菜ベースのソースが合わせられている。この放牧豚は空豆に、桜の花びらが。
そしてサウスダウン種の子羊のローストが!
骨にむしゃぶりついていただくのが最高!火入れも抜群。ソースはアンチョビニンニクベースだろう、羊の脂のキレをよく感じさせる塩味だ。
さーていよいよメインディッシュだ。土佐あかうしのローストにタケノコのフリットを添えたものが、こんなドカッと盛りで出てきた!
「これ、軽く焼き目を付けた土佐あかうしを、うちの実家の稲ワラで即席の燻製にしたんです。ワラの香りがついていると思います。」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ
そうきたか!

大きく肉を切り取りかぶりついてみる。稲ワラのクセのない燻煙の薫りをまとった土佐あかうしのモモ肉は、噛めばジュースをシュッと滲ませ、その汁を呑めばほどよい酸味と旨味、そして燻された薫りと絶妙な塩味が感じられる。
絶品だ!
いやーこれは素晴らしい。こんなのが食えるとは思いませんでした、完全に見誤っていた。広瀬シェフ、スゴイ!
〆のごぼうリゾット。ゴルゴンゾーラを少し混ぜていただくと、ごぼうの土の香りと発酵の美味しさが混ざり合ってたまらん。赤ワインに確実に合う味。
実はこの後、パスタも食べました。ラムのパンチェッタをタップリ入れたトマトソース、、、ものすっごい旨いじゃないの!
いやー こんな穴場的な店、今まで知らなかったのが残念だ。
大満足。こうして熟成肉と土佐あかうしをめぐる一泊二日の旅が終了した。肉ばかり食べていたのに、なぜか身体は軽い!黒毛ではこうはいかないはずだ。
6月からはいよいよ北大牧場のヘレ短も出荷される。その際にはまた食べにこようと思う。
広瀬さん、どうもご馳走様でした!
既報のとおり、さちが6月中頃には肉牛として仕上がり、出荷の見通しだ。牛はだいたい、生まれてから25ヶ月~30ヶ月程度で出荷適齢期を迎える。必ずしもその期間のものが美味しいということではなくて、現代の肉牛肥育技術においては、そのあたりで最も経済性と食味とのバランスがよい方法が成立しているということだ。本当はメス牛には二産くらい子を産ませてから半年肥育したものの方が旨いと言われていたりするが、経済的に合わないことが多いわけだ。
で、さちはメス牛として生まれ、通常なら繁殖牛(つまり子牛を産ませる)に廻るところだ。短角牛は個体数が少ないから、子を産んでくれるメスは貴重だからである。しかしこの娘の不幸は、僕がオーナーになった牛の子として生まれてきたことにある。
僕は「牛肉」という製品の価値が消費者に正しく伝わっていないと感じている。それは、単に白いパッケージに綺麗にスライスされた精肉が乗っている、パッケージ商品として売られている「牛肉」しかないからだ。
ほんとうは牛肉とは「牛の肉」である。ヒトの10倍以上の体重に育つ大型動物が蓄えた肉と脂を食べるという、実にありがたく、非日常なご馳走なのだと思う。
でも、「牛肉」という言葉はそうした命との連関をプツンと切ってしまい、消費者にビビッドな感情を与えない。コモディティとしての肉商品、それが「牛肉」という呼び名から受ける印象である。もちろんこれは豚肉や鶏肉においても全く同じである。
農の世界で仕事をする僕であっても、年の半分以上を都市で過ごしているため、食べ物と命との連関を見失っている部分がある。それをきちんと自分で認識するための方法として、「牛を飼う」ということを始めたわけだ。
だから、一頭目に生まれる牛は、メスであっても肥育に回して、肉にするのだと心に決めた。いまから思えば頑なに過ぎた。繁殖にまわしときゃよかったと後悔している。本当にゴメンよ、さち。
まあ、悲しんでばかりも居られない。6月のいずれかの日、預けてある牛舎から青森県のと畜場へ運び、と畜・解体を行うところは僕も一緒に行こうと考えている。
と畜されたさちは、一晩放血・冷却された後、部分肉へと解体される。そこからどうするか。
いま頭の中ではこう予定している。
牛からはステーキなど広範囲に使えるロースが二本、ヒレも二本とれる。二本というのは身体の右左から一本ずつということだ。このうち半身分のロース・ヒレは、静岡県の「さの萬」さんにお預けして、ドライエージング処理を45日以上かけてみようと思っている。そのドライエージング肉をどうするかはまだ決めていない。
のこるロース・ヒレ一本ずつと、モモやスネ、バラといった他の部位の行く末だが、、、
2年前に、週刊アスキー誌上で短角牛まるごと一頭通販を実施したのを覚えておいでだろうか? ロースとヒレのステーキセットと、その他の部位をミックスした焼き肉セットを、しめて250セット販売したものだ。週アス編集部の「4週間かけてじっくり売れば、売り切れるでしょう!」という予想を大幅に外し、なんと4日で完売してしまった、伝説の企画だ。
■アスキー365共同企画 「二戸産いわて短角和牛 一頭山分け企画」 を本気で開始する!
http://blogmag.ascii.jp/yamaken/09/000899.html
■完売御礼! って、もう? 4週やるはずの企画が、最初の週で終わってしまった。http://blogmag.ascii.jp/yamaken/09/000908.html
今回、ロースとヒレを除いた部位の半頭分を、この焼き肉セットにしたいと思っている。100人分くらいになるだろうか。これを通販したい。今回も週刊アスキーで通販出来れば、と思ったのだが、数量が少なすぎてペイしないらしく、企画がボツになった。ということで、このブログ自前でやります。
週アスでやったときと同じように、出荷日は短角の処理の都合で決めさせてもらい、当日必ず受け取りしていただくという制約を買ってくれる方に強いることになるのだけど、その価値はあると思う。
さて、残るロースとヒレ一本ずつとその他の部位・半頭分については、希望されるレストランさんへ販売をしたい。可能であれば、さちを偲びながら、全部位を食べるフルコースをやりたいと思っている。以前、プレミアム短角牛の全部位を食べる会を東京バルバリで実施したけど、同じようなイベントを複数軒でできたらいいな、と思っている。
特に最近、関西方面で赤身肉の関心が高まっているようなので、関西でこれを実施してくれる店がないかなぁ、とひそかに思っているところだ。
関心のある料理人さん、いらっしゃったら連絡を下さいね。
参考までに、短角牛のメスを解体した場合の、各部分肉の重量を下記に示します。価格は、かかったえさ代や加工手間賃などを加えて算出するので、お問い合わせ下さい。
※以下は半丸(半頭分)です。
※もちろんカット売り可能。1Kg単位を考えています。
| 部位名 | 重量(kg) |
| ネック | 4.0 |
| 肩ロース | 19.0 |
| 肩バラ | 6.0 |
| 肩(ウデ) | 16.0 |
| トウガラシ | 2.3 |
| 前スネ | 5.0 |
| 内バラ | 17.0 |
| 外バラ | 17.0 |
| リブロース | 6.0 |
| サーロイン | 10.0 |
| ヒレ | 4.0 |
| 内モモ | 10.0 |
| シンタマ | 7.8 |
| ランイチ | 9.4 |
| 外もも | 6.0 |
| シキンボ | 3.0 |
| ハバキ | 2.3 |
| トモスネ | 2.5 |
| 合計 | 147.3 |
さちの肉をどういただくか。これはとても重要な問題なので、いろんなひとのお知恵を借りながらやっていきたいと思う。
この連休はブログの更新がないから、きっとヤマケンはどこかへ行ってるんだろうな、、、と思っている人もいるだろうけど、実はずーっと木場に居ます。実は連休明け入稿の本が一冊あるのです。いえ、全部書き下ろしではなく、「編著」というやつで2章分担当しているのです。固まったら何の本か告知しますのでよろしくです。
んで、久しぶりに家で4日連続で飯を喰うという状況に。ほんと、久しぶりだ。鈍った身体を少しずつ戻していくためにほぼ毎日ジムにいって動かす。ウェイトは上がるが、走るのが持たない!元来、持久力が必要な運動が大・大・大嫌いなので、もうよほど面白いテレビ番組みながらとかじゃないと走る気が起きない、、、
と、格闘しながらイトーヨーカドー木場店へ。魚と野菜のあっさりした夕食が続いたので久しぶりに牛肉でも食べたいねと。しかし短角牛の肉は冷蔵庫にないので、珍しくスーパーで買うことに。いやほんと、肉をスーパーで買うっての、久しぶりだ、、、
そうしたら嫁さんが精肉売場でなにやら声を上げている。
「経産牛の肉を売ってるよ!」
え?
イトーヨーカドー経産牛と表示した肉を売るなんて、ホント? とショーケースを覗いてみる。本当だ、黒毛和牛の経産牛の雌の小間切り落とし肉が、100gあたり299円で売っている!
そりゃあもう、どかんと500g買いましたよ。
しかもそのショーケースの中に、価格だけじゃなくて「経産牛とは黒毛和牛を4~6回産んだメス牛を、半年ほどかけて再肥育したもので、黒毛和牛らしい美味しさのものです」というような説明文があった。うん、これは非常によいね。
ただ、、、 安すぎないかい? 他の、未経産牛や去勢牛の和牛肉に比べて大幅に安い。4-6産した黒毛のメスで半年再肥育したのって、普通は美味しくなるんだから、そんなに安くしなくていいと思うけどね。300円台でもいいでしょう。

肉質はご覧の通りサシビッシリという感じではない。いいねぇ。
もうシンプルに焼いて塩・ポン酢・愛媛県大洲市の「あほたれ」でいただきました。 黒毛特有のブワッとくる香りは薄く、一瞬「F1か?」と思うが、そんなことはないはずだ。なかなかいけます。これであの価格なら文句ないよね。マジで。
イトーヨーカドーにはこれからも経産牛取り扱って欲しい、と思うのでした。
さちの出荷日が6月23日に決まった。22日中に搬入し、23日にと畜さて放血・冷却の過程を経て解体されることになる。残念というかホッとしたというか、受け入れしてくれる食肉処理場は衛生面から見学を禁じているということで、現場をみることができないということになった。正直なはなし、ホッとしている自分がいる。ふたたびさちと会う時は肉になっている。生々しい話しだけれども、この「生々しさ」がいま、我々の生活からストンと抜け落ちている。それを再度確認するための行為なのである。
さてそんなさちの肉を、飲食店の皆様におわけします。各部位、どれくらいの量がとれるか、どれくらいの価格かというのを掲示します。おそらく皆さん、肉の卸売の単価ってあまりみないでしょう。いろいろ勘案して下記価格に決めました。飲食店の方でご希望のある場合は、左の記入欄にキロ数書いてFAX送っていただければ、、、って、FAX番号は開示してませんでした、ごめんなさい。メールいただければ対応しま
| 部位名 | 重量(kg) | 単価(円) | ご要望記入欄 |