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2007年08月06日

二戸との出会い、そしてこの美しい生き物に惹かれた訳


前のエントリで書いたとおり、このたび短角牛の母牛のオーナーとなった。
色んな人がメールをくれて、

「肉にするときは呼んでね!」

というのだけども、誤解しないでね、僕がオーナーになったのは母牛ちゃんです。短角牛の場合、メスが産まれると基本的に肉にはせず、母牛として育てます。母牛は順調であれば生涯で10産くらいしてくれます。だいたい一年一産くらいだろうか。では、その産まれた子牛をどうするのか。それを出荷することになるのです。

母牛を育てて子をとり、その子牛を家畜市場の開催にあわせて出荷し、買って貰う。これを「繁殖農家」といいます。

その子牛を買い取り、成体となるまで餌を食わせ込むことを「肥育」といい、出荷に足る体重に達した牛を肉牛として販売する農家を「肥育農家」といいます。

酪農や豚の場合はこの繁殖と肥育を一つの経営体が行う「一貫経営」が中心なのですが、日本の肉牛の場合は通常、繁殖と肥育という二つのステージに分かれています。僕がオーナーになったのは「繁殖」の方です。

では僕の母牛ちゃんから産まれた子牛をどうするつもりなのか、、、ということが重要なのですね。

さて
僕と短角牛との出会いは、岩手県久慈市山形村という、岩手なのに山形という、なかなかに混乱する名前の村との関わりがその端緒となった。この山形村では、こだわり農産物・食品の宅配ネットワークである「大地を守る会」に村ぐるみで短角牛を供給している。山形村の短角といえば、下記エントリに登場したアレである。

■2006年11月27日 岩手県山形村の短角牛を使った「日本一高い牛丼の会」開催。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2006/11/post_937.html

実際にはこのエントリを書く前の2005年に、このエントリに出てくる「山藤」の料理長の梅田さんと共に山形村を訪れている。今年も行った。昔からの伝統的な食文化がきちんと残っている素晴らしい村で、生涯お付き合いをしたいと思ったのだ。

だから短角についてもこの山形村で突っ込むことになるだろう、と思っていた。

しかし、面白いことに今年、二戸で講演をした際の岩手大旅行で、大きな出会いがあったのである。それが、短角牛オーナー制度である。

■2007年02月14日 岩手県北を巡る旅 浄法寺・短角牛の素晴らしき世界を観た!
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2007/02/post_967.html

実はこのエントリで、せんだって二戸市と合併した浄法寺という町の短角牛農家さんを回らせていただいたわけだが、記事には書いていないがそこで「オーナー制度」を実施している牛舎を訪れたのだ。

オーナー制度とは、自分の家に短角牛を飼うことが出来ない人が出資し、各種の世話を組合に肩代わりしてもらうことで牛を所有する制度だ。これを実施しているのが、浄法寺の農家さんたちが立ち上げた「大清水牧野農業協同組合」である。

この時、案内してくれた杉澤さんは浄法寺の役場の畜産担当職員で、農家ではない。でも、

「俺もここで一頭の牛を所有しているんですよ」

と言う。

「それって、僕でもオーナーになれるんですか?」

と尋ねると、杉澤さんはうーんと難しい顔をしてこういった。

「一応、市外の方はお断りしています。それと、和牛商法問題とかが過去にありましたので、いろいろとトラブルがあってもいけないと言うことがあるので、非農家の方にオーナーになっていただくのは難しいということになってるんですよ。」

なるほど、それはそうかもしれないな、とその時僕は半分諦めた。
でも、「もし空きが出て、しかも市外人でもいいというご意向が出てきたらぜひお願いします!」と言って帰ってきたのだ。

数ヶ月後、その杉澤さんから「もしかしたら、オーナーになっていただけるかも知れない」と話が来たのだ。杉澤さん自身は、どんどん減少していく短角牛の将来と、協同牧野という組織の今後を考える中で、僕のような人間が短角のオーナーに取り組むということがプラスになるのではないか、と考えてくれていたようなのだ。

「おおまかな考え方としては、組合のキーパーソンに了承してもらいました。もし都合がよければ、母牛候補を観に来ませんか?」

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
マジですか?

と昂奮しながら7月の5,6日に二戸を訪問した。
僕は基本的に晴れ男なんだけど、この日は豪雨。二戸駅から、日本で唯一の短角牛専門焼肉店である「短角亭」の槻木(つきのき)専務が運転してくださる車で、40分ほどの時間をかけて大清水牧野へ登っていく。ぐんぐんと山道を登り、雨でけぶる風景がダイナミックな平原に変わってきたところに、牧野の監守さん達が暖をとる事務所があり、そこに杉澤さんが待っていてくれた。

「そこに、母牛候補の二頭を追い込んでおきましたから、まずは見てください。」


通常は広大な牧野を移動している牛たちの中から二頭、僕向けの牛を二頭選抜してくれていたのだ。その二頭がこの子達だ。

「牛を選ぶ際には、骨格と肉付きを見ます。僕としてはこちらの牛をお奨めします。」


残念ながら僕には素性のよい母牛を選ぶ眼がない。ここは杉澤さんにお願いするしかない!

「じゃあ、この子をお願いします!」

「わかりました!」

この子がその牛ちゃんである。

両耳に耳標(じひょう)が付いている。これは牛肉トレーサビリティ法(本当の名称はもっと長いのですが)によって定められた10ケタの「個体識別番号」を記載する耳標と、10ケタでは覚えられないので、牧野で独自に管理する番号を記載したものだ。

とにかく凄まじくどしゃぶる雨の中、まだまだ実感のわかない対面であった。
でも、別れの間際にこの子の体にそっと触れた手が、実に生暖かかった。体温がある、動物なのだ。この子のオーナーとなるというのは、とてつもない責任を負うことでもあるのだなぁ、と思ったことを記憶している。

「雨じゃなんですから、ちょっと小屋に行って話しましょう」

ちょっと離れたところにある小屋に移動。ふーと息をつく。なぜかわからないがこの時、二戸の振興局の方もご参加。

さてこの人が浄法寺役場の杉澤さんである。
前回案内して貰ったときに比べて、髪を切ったせいか爽やか度が非常にアップしている!

しかしその爽やかフェイスから出た一言は、はやる気持ちをちょっとダウンさせるものだった。

「実はヤマケンさん、昨日までは、本当に昨日までは順調に進んでいたんですが、ちょっと再度、組合内の意見を調整しなければならない状況になりました。」

やはり部外者、それも県外の非農家がオーナー制度を利用することに難渋を示す組合員さんもいるようなのである。

「ハッキリとダメとかそういうことではありませんので、組合としてきちんと話をして決めたいと思います。ですからもう少し時間を下さい。その間に、今回のオーナー制度がどのようなものかを理解していただくことが必要だと思いますので、少々レクチャーさせていただきます。」

(つづく)

01:37 | TrackBack

2007年08月08日

二戸との出会い、そしてこの美しい生き物に惹かれた訳 その2 ちょっとお勉強パートが長いけど、後半に焼き肉ショット満載どす。

さて、
僕がオーナーになるのは短角牛のメス牛である。なんと、二戸の短角牛では、メスは肉用にまわされることはなく、ひたすら子牛を産む役目を負うことになる。そしてこのメス牛が順調にいけば9~10産してくれるという。子供が生まれたら、通常はその子を市場に出荷する。もしくは自分で肥育農家に委託して、自分用の肉にしてもいい(食べきれないけどね)。

P7050036.jpg
つまり、素牛(もとうし、と読みます)の購入代金と、各種の手続きの代金、そして日々の餌代、管理代金を合わせた額が支出。そして産まれた子牛を販売して得られるのが収入。収入が支出を上回れば、生産農家に利益が出るわけである。この辺の具体的な数字もおいおい開示していきたい。ま、ハッキリ言って一頭のオーナーになるくらいでは、利益は数回の東京~二戸間往復運賃程度である。

でも、短角のオーナーになるというのは、そんなお金では測れない価値がある、と僕は思うのだ。

「えーそれでは。牛を飼う、というときに、避けて通ることが出来ないいくつかの制度や決まり事があります。」

このくだり、
牛を家畜として飼うということがどういうことなのかを知るのにはちょうどよい話なので、ここに来るまでの間に杉澤さんと交わしたメールやりとりも踏まえてまとめてみよう。

今回必要となる論点は下記の4つだ。

1.牛の登録登記について
 牛の登録登記とは、牛の住民票になるわけですが、現在は大清水牧野の組合長の名義で登録されておりますが、これをやまけんさんの名義に登録します。これによって、やまけんさんの所有する牛が誕生します。


→つまり、日本における家畜としての登録は僕の名義でできそうだということだ。


2.個体識別情報について
 牛には全国でその牛にしかない、10桁の番号がつきます。これを個体識別番号といいます。インターネット上にその情報公開データベースがあり、検索するとその牛の様々な情報が閲覧出来るシステムです。日本で産まれた肉牛は全てこのデータベースに登録することが必要となります。
 ただし、大清水牧野のオーナー牛制度は、牛舎を所有しない方が牛を所有する特殊な制度であるため、個人の名前では登録出来ないということになっているようです。しかし、飼養管理者である大清水牧野名義であれば、登録は可能となります。


→個体識別情報とは、牛肉トレーサビリティ法で記録と表示が義務づけられた10ケタの番号のことだ。スーパーでパック入りの牛肉を買うとき、国産の牛であれば必ずどこかにこの10ケタの番号が付いているはずだ。
 個体識別番号はインターネット上でも検索できるようになっており、ここで検索したら僕の情報が出てくる!という風にしたかったのだけど、ここには所有者ではなく直接の飼養管理者を登録しなければならないらしい。残念!


3.共済制度について
 共済制度とは、牛の保険制度です。牛が怪我をした場合や、事故等により死亡した場合等に摘要されるものです。これに加入できないと怪我の治療に要した経費は自己負担となりますし、死亡した場合の保証は無しとなってしまいます。
 これに関しては飼養管理者である大清水牧野として加入できる見込みです。


→生き物や植物を扱う農林水産業では共済制度が非常に重要になる。とくに牛はそのライフサイクルの中で医者にかかることが非常に多く、その全てを普通に個人負担で支払っていたら大変なことになってしまうのだ。


4.安定基金制度について
 安定基金制度とは、子牛市場で平均販売価格が国の基準より安かった場合、販売者に対して支給される補給金制度です。これには国や県の補助金が使われているのですが、他県の方への摘要は出来ないという回答が、関係機関からありました。このため、何らかの原因により価格が下落した場合であってもの保証は無しとなります。これについては、大清水牧野で加入ということは出来ないため、ご了承願うこととなります。


→今回の重要なポイントはここだ。
安定基金に加入できないということで、子牛の市場価格が変動し、格安になってしまった場合、加入農家であればいくばくかの損失補填を受けることが出来るが、僕は損失をそのまま受け止めるしかない。投資信託が元本割れしてしまうのと同じようなものだ。


このように制約は多々あれども、おおもとといえる登録を僕の名前ですることができるならばOK!である。損失が出たときにモロにそれを被ることになる、、、結構です。僕はこのオーナー制度を通じて、日本で牛を飼うこととはどんなことか、を体感したいと思っている。そこには数々の喜びがあると思うのだけど、一方で悲しみ・苦しみも多々あることだろう。それらの一切合切をひっくるめて負いたいと思っているのだ。

「あ、でもまだ決まったわけではないんですよね?」

「はい、まあ何とか大丈夫とは思うんですけど、、、ちょっと待ってて下さいネ、調整しますから。」


P7050039.jpg実はこの時、杉澤さんからこういう提案を受けた。

「やまけんさん、実際には僕が登録をして、僕の口座にやまけんさんが各種の経費を振り込むという、代理人形式での、いってみればバーチャルなオーナーということになってもいいですか?それならば共済、安定供給基金も問題なく加入できますし、組合内部でも問題はまったく無くなって、話が早いんです。」

なるほど、そういう手はある。
けれども僕は聴いた瞬間から、それはないな、と思っていた。

バーチャルなオーナー、では正直、自分が牛の生命を預かっているという実感がわいてこないのではないか。むしろ、価格安定の補償などを持たず、ヒリヒリするような感覚で出荷を決心したり、実際に市場価格の乱高下の影響で損をするくらいじゃなければ、自分の中に畜産に対する主体的なスタンスが出来ないじゃないか。そう思ったのである。

「杉澤さん、安定基金に入れなくても、自前でオーナーになる道を選びたいと思います」

「そうですか、わかりました。じゃあ、なんとか組合内部でOKとなるように頑張ります。」

と、力強く頷く杉澤さん。

「私個人としては、ヤマケンさんがオーナーになってくれるのは大歓迎です。岩手県は短角の最大の産地ですが、黒毛和牛の人気に押されて、その頭数はどんどん減少しています。広大な牧野を維持していくためには、空きスペースをつくるより、ちゃんと牛がいて育つことが何より必要です。
 でも、どこの誰でもいいという訳にはいきません。和牛商法ではないかと思われる人もいるかも知れません。また、安定基金の問題などをちゃんと理解していただき、リスクがあることをわかってもやりたい、という人でないと我々も飼養管理を受託できません。
 その点、ヤマケンさんは短角の特性を理解した上でオーナーになりたいと仰ってる。これは有益な新しい試みだと思います。私も真剣に、組合の皆さんに話してみますから!」

そう言って、力強く笑ってくれたのだ。杉澤氏、かなりのナイスガイである。

P7050037.jpg続いて二戸の振興局のお二人からは、牛肉トレーサビリティ法での個体識別番号の詳細についてレクチャーをしていただいた。
とにかく農林水産業の中でも、牛という大型畜種については非常にいろんな機関が関係しているのである。


ちなみに、このテーマで僕がこれから書くエントリを読む際に、予め了承して欲しいことがある。それは、このオーナー制度はどこでもやっているわけではない、ということ
また、県外人であり非農家である僕がこのようにオーナーになるというのは、現状ではかなり特別な例であるということだ。

上記1~4に記した各種制度については、杉澤さんが関係機関にすべて打診をし、公式見解をもらいつつ調整した結果である。ただし一般の人が同様に制度を活用できたり、飼養管理を委託できるかということは現在では未明であることを、ご理解いただきたい。

逆に言えば、僕がこのオーナー制度で問題を起こさずにやっていけたら、オーナー制度の一般への門戸も開かれるかもしれない。そんな、いいモデルケースになれるように頑張ろうと思う次第だ。

「さあて じゃあ短角牛を食べに行きますか!」

ざぶざぶの雨を避けながら車に乗り、ふもとまで降りる。浄法寺まで20分、浄法寺から二戸まで30分程度で、二戸駅近くにある奇跡の焼肉店「短角亭」へ。

■短角亭
〒028-6103 岩手県二戸市石切所字荷渡56-2
(二戸市合同庁舎から徒歩1分 )
電話番号 0195-23-0829
営業時間 11:00~22:00
http://www.yamacho-meat.com/eat/index.html

日本全国を見ても、短角牛に特化した焼肉店はここしかないだろう。
しかも、通常メニューには掲載されていないが、運がよければ短角の内臓肉を食べることが出来る店なのである。しかも、都内の焼肉店の単価から比べると、凄まじく激安、、、 焼き肉好きの皆さん、東北新幹線で東京~二戸間往復を負担する価値は絶対にあると思いますヨ!

短角牛の肩ロース!
赤身中心とはいうが、もちろんサシも入るのである。

これはハラミ。
短角のハラミなんてそうそう食べられないのですぞ。


出た!世にも貴重な短角のモツである。

上からギアラ、ホルモン、レバー。実は写真には撮らなかったけど、タンがまた最高なのである。
そしてこれがまた珍しい、ハツもと。

心臓の脇の大動脈、つまり血管である。
凄まじく心地よい歯応え。モツ臭さは皆無。軟骨のハード版という感じだろうか。


これら短角にベストマッチなのが、浄法寺地区の特産であるヤマブドウで醸造した「浄法寺ワイン」。杉澤さんが持ち込んでくれた。
このマークは、浄法寺にある天台寺の住職に就いていた瀬戸内寂聴さんの手によるものだ。

こちらは白。白いヤマブドウはないのでこれは違う国産品種だが、リースリングっぽい爽やかな甘さが食前にいい。肉をバンバンたべる食中は、ヤマブドウを原料にした赤がいい。

予想では、失礼ながら大した酒質ではないだろうと思っていた。
間違っていた! この濃厚な山の風味、短角牛の肉質とベストマッチである! 余り本数がないようだが、もし二戸に訪れることがあれば試してみて欲しい。ただし、短角亭には常備されているわけではないと思うので、ご注意を。

センマイはきちんと皮を剥いて白センマイに。変な臭みナシ。

とにかく短角牛の内臓は手に入りにくい。
これについては後日詳述したいが、牛の流通とは極めて複雑怪奇なのである。
だから、この短角亭でも、予め頼んでおいたとしても入らない場合がある。

岩手で焼き肉の〆といえば、そりゃ冷麺でしょう。こちらのは盛岡冷麺をベースにしているから、韓国のガッチリとしたコシのある麺とはちがい、プルンとした麺である。

もちろんビビンパにはユッケを。赤身肉のもも肉を叩いたのがたっぷり載ってくる。


ああ、素晴らしき肉に埋もれた一夜であった。
あとは杉澤さんに組合内部の意見をとりまとめていただき、僕を短角牛オーナーとして受け入れていただけるように祈るばかりなのである。

そして約1ヶ月後、またもや二戸を訪れることになったのである。

(つづく)

03:27 | TrackBack

2007年08月13日

二戸との出会い、そしてこの美しい生き物に惹かれた訳 その3

さて、岩手県二戸市は、本当に綺麗なところだ。
仕事柄、日本中の農業の産地を訪れる。あたりまえのことだけど、地方都市の駅前には農地はない。平地部でも中山間部でも、車で少し走らせたところに素晴らしい景観が拡がっている。そういう風景はたくさんみてきたけれども、今年の2月に初めて講演のために訪れた二戸の佇まいには感動した。駅から車で3分で、味わい深い山と川と田んぼの風景が拡がっているのだ。

■二戸駅前。東北新幹線が停まる駅である。それなのに、駅前ロータリーから大通りに出る交差点に、信号がない!なんとものどかなり。

■田んぼの風景。駅から10分くらいの間、山間地に入る前にこういう、見晴らしのよい場所がある。でも、それが結構あるので、いちいち車を停めてたら大変だ。


でも僕は、こういう風景が好きなのだ。完全な山間部ではなく、自然と人為が釣り合いしているような風景。

今年は温暖化の影響で、稲の生育も早まっているかと思ったが、初期の曇天が効いているのか、例年並みだということだった。


■山間部の農地にはいると、こんな風景だ。そこに人はいないけれども、人の営みがある。

■中程に見える、うす緑色の作物がなんだかお分かりだろうか。

これ、実はたばこの葉だ。
あたりまえのことだけど、たばこは植物なのです。二戸は国内最大級のたばこ産地。たばこは食べられないし、第一僕は一切たばこを吸わないので、個人的には全く価値のない作物。けれども二戸の農業の中では、実に重要な作物なのである。

さて
なんで山に向かっているかというと、とうとう二戸市浄法寺の短角牛担当の杉澤さんから、嬉しい連絡が届いたのだ。

「やまけんさん。大清水牧野農業協同組合で、正式にやまけんさんをオーナーとして迎え入れることが了承されましたよ。牛を観に来ますか?」


よーし!
とうとう、僕と短角牛との正式なお付き合いが始まろうとしているのである。

(つづく)

10:38 | TrackBack

2007年08月21日

今週は激烈スケジュールにて

エントリ書くの細々になりそうです。

それはそうと オリンパスのE-410を大満足で使っていますが、キヤノンが昨日発表したEOS 40Dはすさまじいスペックですね! EF-Sレンズも一通り持っているので、思わずほしくなりました。ボディもほしいしレンズもほしい。デジタルカメラの沼は本当に深いな、、、

このブログを始めたころの2003年とか2005年くらいまで、一眼レフカメラを使ってない頃なんて、画質もへったくれもないけど、きれいな写真をとることに関心が出てくると、本当に泥沼です。

ところで
自分を奮い立たせるために書いておきますが、10月に新書を出します!
9月中には絶対に書きあげるぞ!

ということで
メシ食って仕事だ!

11:26 | TrackBack

2007年09月03日

牛を飼うということを考えた時、偉大な先人・木次乳業の活動を学ばずにはいられない。


昨晩書いた木次乳業のプリンのエントリで、創業者の佐藤忠吉さんが「うちの牛乳は美味しすぎない」というようなことを書いていた、という部分、誤解を招いたらいけないなと思って、佐藤さんの話しを森まゆみさんが聞き書きされた本を調べた。

自主独立農民という仕事―佐藤忠吉と「木次乳業」をめぐる人々
自主独立農民という仕事―佐藤忠吉と「木次乳業」をめぐる人々森 まゆみ

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(以下、引用)

「農村は都市の植民地じゃありゃせんけん。生産するものが不健康で何がまともなものが作れるかいな、と気迫があった。消費者の奴隷にはならない。こびる必要もない。こびると必ずごまかしが入ってくる。ですから、『パスチャライズ牛乳は大量生産できません』『日本で一番うすくて美味しくない感じの牛乳です』と名乗りました」

(引用 終)

ふふふ、佐藤さんはもっと過激なことを書いていたんだなぁ!と思わず微笑んでしまった。

昨年度に木次乳業を訪れた時のことは今でも鮮明に思い出すことができる。


山あいの地にヒョッと出てきた工場で出会った佐藤貞之社長(佐藤忠吉さんの息子さんということだ)は、本当にひょうひょうとした感じの、力の抜けた方だった。難しい話しは一切抜き。

「時間もないみたいだし、牛を観に行こうか!」

と、自らの車で、山に登っていくワインディングロードをぐわんぐわんとばかっぱやく登っていく。

「山地酪農の地」と誇らしげに書かれた看板。しかしその牛舎には一匹も牛がいない。

「そりゃそうだ、今の時間はまだ牛は山にいるから」

ということで、山をとことこと登っていく。

大きなカーブを2回、まわったけれども牛は居ない。
うーん、いったいどこにいるんだろう、、、と思ってカーブを曲がりきったところに、彼らはいきなり居た。

うわっと僕ものけぞったけど、その時彼らの表情からも「なんだなんだ」「だれだだれた」「知らない顔だぞ」「興味津々」というような感情のようなものが見えた!

それにしてもブラウンスイス種は美しい。

長く牛舎用に改良されてきたホルスタインは、骨格や肉付きが運動に向いていない。山地に放牧されると、乳房が地面にすりつけられ、乳房炎になってしまって乳の質が落ちてしまったり、環境になじめずに病気になったりしてしまうそうだ。(ただし、先日高知県で山地酪農を見学したときは、3代くらいかけてホルスタインを山地向けに改良していた、そういうところもあるということだ。)

で、佐藤さんが出会ったのがブラウンスイス種。腰高なので乳房を引きずらないし、骨格も運動向きなのだ。しかし乳量はホルスタインほどは出ないし、あっさりした乳質になりやすい。そうした牛の質と乳質によって、山地酪農牛乳の殺菌法と味がデザインされていったのだ。

「この子達は牛舎に戻りたがっとるんですな。いま、扉を開けますけん。どどっと出てくるから、向こうの方に歩いとってください」

と佐藤さんがいうので最初のカーブで待つ。そうすると、山あいの小路を行進する、なんとも可愛らしい一段が見えてきた。


おおっこっちに来たぞ。あれ、とことこなんてカワイイ歩き方じゃないぞ、さすがに大型家畜。デカイ!どすどすと歩いてくる。

「ん? あの人誰?誰?興味津々!」とばかりにこっちに殺到!うわーーーーーーーーー


あまりに近接遭遇なのでちょっと丘の上に避難。とにかくすごい迫力なんである。
面白かったのは、同行の女性編集者I女史にまとわりついていたこと。彼女は困り切っていたが、牛が鼻をおしつけてくるのだ。きっと香水の香りに関心を示したんだろう。「やっぱ女の子が好きなのかなぁ」と思ったが、乳を出す牛はすべてメス牛である。謎。

放牧が終わってから、牛舎でも健全な餌を食い込ませているようだ。

「さて昼飯でも食べましょうか」

と佐藤社長が社員食堂に誘ってくださる。
じつは木次乳業の社食については、某畜産団体の友人が「感動ものですよ」と教えてくれていたのだ。

小さな食堂には社員さん達が集っておられた。
恐縮なことに社長みずからがサバをやいたのを取り分けたりしてくれる。

ご飯とおかずのラインナップを観ればお分かりの通り、非常に健康的な食卓だ!


木次乳業とはこういう会社だ。
ちなみに木次の牛乳商品全てがブラウンスイス種の山地酪農牛乳ではないのでご注意。
通常の木次のは、ホルスタインの生乳を低温殺菌したものだ。



豊富な商品をもつ木次乳業。取材の時に商品集合写真を撮っておいて本当によかった!

さてこんなに長々と木次乳業のことを書いているから、木次の牛乳を飲んだ方がいいよ!ということを僕が言っているのかと思われるかもしれない。でも違うのだ。

先の本を読むと、大きなオチが付いているのである。

(引用)

「ただし東京のお人が、遠くの出雲の牛乳を飲む必要はじぇんじぇんございません。関東でいい乳業メーカーを自分で探しなさい」

(引用終)

ガツーン!
と衝撃が来る。

そうなのだ。島根の牛乳製品を東京で飲もうとしたら、輸送コストもCo2排出も、そして余分な衛生管理も必要で人件費がかかる。そんな社会コストをかけるよりも、関東の人間は関東でいい乳業メーカを探し、飲むべきということだ。「ううん、でもそう言うところがないのよ」という人も多いだろうが、だったら頼みに行くなり、そういう牛乳が飲めるよう行動を起こしていくべきだ、ということを確認させてくれる言葉だ。これは水に関しても言える。PET入りの水を輸入したり、日本の名水を飲むのもいいけど、本来的には自分の住んでいる家の水道の蛇口から出てくる水が不味いなら、水源から家までの水質浄化を求めて行動を起こすべきである。僕も家では浄水器をつけて、極力買ってきた水は飲まないようにしている。外ではそうはいかないのが残念だけど、本質はそういうことなのではないだろうか。

しかし牛乳については関東近郊でもいい乳業メーカがあるし、手に入る。僕は大地を守る会の低温殺菌牛乳を飲んでいるが、これは静岡の函南(かんなみ)から来る乳製品で、その施設も見学させて貰ったことがある。本当は東京近郊に欲しいところだが、、、

ということで、
プリンの話しから異様に大きく脱線してしまったが、冒頭で紹介した本は素晴らしい内容だ。読んでおいて損はないと思う。

改めて木次乳業さん、ありがとうございました。

10:43 | TrackBack

2007年09月28日

週アス短角牛まるごと一頭焼肉企画、とうとう本日出荷だ!

週アスと展開している、岩手県二戸市の短角牛一頭山分け販売企画、なんと4日間で全セット完売したわけだが、とうとう本日出荷! 山長ミートでカットされた肉とタレが、今回購入者にむけて発送されるのである。

しかも今回、朗報が。なんと肉が思ったより多くとれたので増量するとのこと!


今回頼んだ人は本当にラッキーだ、、、マジで今回の価格は捨て値ですよ。捨て値。
俺も両方のセットを頼んだけど(もちろんお金はらうんだよ)、喰いきれるか?という量だ。

それにしても、特殊な販売方法だ。もしこれで予想より肉がとれなかったら、、、他の牛の肉を混ぜる、ということは今回の趣旨からは出来ない。そういう、シビアな読みが必要だったので、実はかなり胃が痛くなるようなヒリヒリした感覚だったのだ。でも、農畜産物は全部、とれてみないと、中身を割ってみないとわからないというのが真実だ。それを許容してくれないと、消費者もいい目を見られないということがあるように思う。

そう言う意味でも、今回このリスキーな企画にのって買ってくれた人たちには感謝したい。
岩手県の短角牛関係者の人たちも、かなり今回の件は注視してくれているそうだ。
少しでも短角牛が拡がるステップになればと思う。

今回の増量の件、詳細はアスキー出張所↓にて。
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00:40 | TrackBack

短角牛ステーキ&焼肉セット、出荷完了!とのこと、、、

本日は日帰りの大分出張。
大分空港からタクシーで一時間かけて別府まで行き、講演90分、温泉にもつからずにとんぼ返りでまた戻って空港で寿司だけつまんで東京へ戻るという強行軍。疲れたー

その間に、アスキー365の担当アダチさんから嬉しいメールが。

「無事に15:40、出荷完了という連絡が入りました!」

よかった、、、
短角をお買い求め頂いた皆さん、1kgでの販売でしたが、おおむね1.1kgくらいになっているようですので、お楽しみに!
そして山長ミートの槻木専務、お疲れ様でした!

で、もう一つ重要な連絡が。

「BSE検査も合格しました!」

そう、だんだんと沈静化しているように見える、狂牛病と言われていたBSE問題だが、日本ではほとんどの食肉処理の段階で、BSE検査が行われている。今回出荷する短角牛、まあ当然ともいえるが、この検査は楽勝でクリアした。その証明書がこれだ。
WS000009.jpg
短角牛は、産まれてから8ヶ月くらいを牧野に放牧されて育つ。この間は、母牛の乳と草のみを食べて育っているわけだ。その後、しっかりした骨格が出来た段階で肥育農家に引き取られ、牛舎で穀物や乾草などの飼料を与えられて育つ。

ちなみに今回の肥育農家は漆原さんという、二戸で最も大規模に短角牛を肥育している方だ。
P8010134.jpg
彼の牛舎では可能なかぎり配合飼料を使わず、麦原料をベースにした飼料を与えている。それをこの目で見てきたから、BSE検査など大丈夫だと思っていたので、まあ、よかったよかったという感じだ。

で、このBSE検査は、2000年代前半は国からの補助金で行われていたが、今後は打ち切りとなる。
補助の打ち切り後どうなるかというところに焦点が集まっていたわけだが、各市町村の対応としては「消費者が不安視するから継続した方がいいだろう」とかいうものが多いように見受けられていた。

しかし、新聞各紙でも報道されたが、農林水産省がわざわざ各県に「どっかが自主的に続けると消費者が混乱するから、一斉に辞めて欲しい」というような通達を出した。これは非常におかしなことだ。BSEのリスクは「極めて低くなった」ということは明らかだと思う。しかし、それはそれで不安が残っている消費者も多いわけだ。それに対して自主的に検査を続けようとする意向を、国が通達をして潰そうとするのはさすがにまずいでしょう。この辺、皆さんはどう思われますかね。

ということをちょっとだけでも考えながら、今回の短角牛を味わっていただけると、より一層今回の企画に参戦していただいた意義があるような気がする。

まあ、小難しい話しはどうでもいいや、という気もするけど、僕としては今回の短角牛企画は、そもそも黒毛和牛一辺倒の世の中に対するアンチテーゼという意味も持っているのだ。

黒毛和牛の飼育で食べさせる餌は、その大部分が輸入穀物のコーンなどである。対して短角牛は、岩手県で育っているものに関して言えば、彼らのライフサイクルの1/3は、その土地の草を食べて育つ。どっちが本当の意味の「和牛」だろうか

ということで、明日みなさんぜひきっちり味わってくださいませ。
私は久しぶりに七輪に炭火をいれて肉を焼くつもりです。

そうそう
アスキーの方で、「短角牛セットを写真に撮ったのを送って下さい企画」を行うらしい。
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やまけんさん、
焼いた!喰った!の速報を書いていただく際に
実際に食した方の
「食い倒れフォト&コメント」も送っていただくよう
ぜひブログにお書き添えください。

フォト&コメントの送り先は
asc365-929@ml.ascii.co.jp(応募締切2007年10月8日)
です。
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とのことなので、ぜひたくさんのご応募お待ちしております!
では、明日に向かって寝るぜ!
おやすみなさーい。

23:07 | TrackBack

2007年09月30日

激闘 短角牛! 今宵僕は600gの肉に溺れた、、、

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肥育農家の漆原さん、そして精肉卸の山長ミートさん謹製のステーキセット、、、素晴らしかった!
まさにグレート! これでひとつ肩の荷が下りた、、、
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肉は本当に大幅増量。
焼肉セットは150g余分に入っていたくらいだ。予想より肉がとれたという、嬉しい誤算。

我が家はもう、どんなに換気しても焼き肉の香りしかしません。
ブログアスキー出張所の方に詳細報告アリ。とくとご覧くださいませ↓
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00:33 | TrackBack

2007年10月09日

僕が短角牛のオーナーになった日


ちょっと間が空いてしまったが短角牛のこと。
某日、二戸市浄法寺総合支所の短角牛担当である杉澤さんから、嬉しい連絡が届いたのである!

「やまけんさん、組合内で正式に、やまけんさんに牛のオーナーになって貰っていいだろう、という合意がとれましたよ!正式な手続きはこれからしますが、とりあえず大清水牧野農業協同組合のオーナー名簿にはやまけんさんの名前で牛を登録しておきますので!」


やったぁああああああああああああ!

まだ雪の降る2月に初めて短角のオーナー制度に出会って以来、そう簡単にはオーナーにはなれないだろうと、なかば諦めていた短角牛のオーナーになることができるのである!

ちなみに少し間が空いてしまったので復習をしておくと、短角牛のオーナーになるというのは、短角牛のメス牛の所有者になるということである。まだ正式な金額がこちらに届いてないのだけど、購入にかかる費用がおそらく20数万円。

そのメス牛は二戸市浄法寺町の大清水牧野という広大な牧草地帯に放され、生まれた仔牛と共に夏を過ごし、冬はオーナー牛舎で2月下旬から始まる出産ピークに向け体調管理されるのである。料金は、夏の放牧料が親子で1日240円程度で、冬は餌代も含めた牛舎での管理費用が一日500円程度。これを年ごとに決済していくわけだ。

牧野に居る間、短角牛のメスの群れの中に一匹の勇壮な種雄牛が放たれる。
つまり完全なるハーレム。雄牛はじゅんぐりに、発情期を迎えたメス牛に種を付けて回る。余程のことがなければ、晩秋の雪が降る前に種が付くわけだ。
で、子牛が生まれたら、秋まで育成して、家畜市場に出荷する。いい値段が付けば、母牛の購入代金や餌・管理代と相殺でき、母牛が数回お産をする中で損益分岐点を超えるということになる。


もちろん、子牛を市場に出荷するだけではなく、子牛を信頼置ける肥育農家に預けて、肉牛として太らせてもらうこともできる。その場合は預託料金を肥育農家に支払うことになる。そして、市場での買参権を持つ肉屋さんに頼んで、自分の牛として買い入れてもいいわけだ。

むろん、僕は最初に生まれてくる子牛はこの形式で、最後まで自分の牛として、肉にするところまでを見届けたいと思っている。1頭の牛を肉にすると、250Kgくらいになるから、とてもじゃないが数人で食べ尽くすことは出来ない。その時には、大オフ会を開催する予定なので、ぜひ色んな人に集まっていただきたいと思う。

で、
牛の所有とは別に、この国には牛を飼う場合の制度がある。日本で生まれ育つ牛が全て登録されている個体識別データベースに申請・登録しなければならないということと、あとこれは農業者の任意ではあるが、共済制度に加入するといったことだ。ただしこの辺は、実際に牛の管理をしてくれる大清水牧野農業協同組合が登録を肩代わりしてくれる。

僕の牛の個体識別番号は1231175826だ。
この番号を、全国の牛を管理している家畜改良事業団という団体の検索システムに入力すると、牛の出生・移動履歴を観ることが出来る。

■家畜改良事業団の個体識別情報検索ページ
https://www.id.nlbc.go.jp/top.html

ここで僕の牛ちゃんの番号を入力してみると、大清水牧野農業協同組合の組合員である二戸市浄法寺町の堀口さんという繁殖農家さんのところで産まれ、そして現在は大清水牧野にいるということになっているのがわかるだろう。そして草が枯れ、雪が降る時期になるとまた大清水牧野オーナー牛舎というところに入ることになる。そうした移動の履歴がいちいち記録されるのである。

「オーナー制度では、牛の管理を全面的に大清水牧野農業協同組合が行っているためヤマケンさんの名前は出ないんですけど、大清水牧野農業協同組合のオーナー名簿上はやまけんさんの名前で登録していますからね。」


ということである。
ちなみにこの娘が僕の雌牛ちゃんである。
角がキュッと外に伸びた、清廉なイメージの若娘なのである。
これで、晴れて彼女は僕の牛ちゃんになったということなのだ。
そうなってみると本当にこの娘牛に対する、なんともいえない感情が芽生えてきた!
あまり頑張りすぎ無くていいから、健やかに育ってくれよな、、、
という気持ちになってしまう!

これから可能なかぎり、牧野に通いたいと思う僕なのであった。

08:39 | TrackBack

2008年03月24日

やったあああああ 二戸市の僕の短角牛に、第一子誕生!

岩手県二戸市より、嬉しい知らせが届いた!
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僕がオーナーとなった短角牛母牛の、待望の第一子の誕生である!

「4月くらいにずれ込むかなぁ、と思ってたんですけど、産まれましたねぇ。メス牛です。実は時同じく、私の牛も子を産みました。」

と、二戸市浄法寺の役場の短角牛担当である杉澤ちゃんが連絡をくれた。

メスである。メスの場合、肉にしないで繁殖用の母牛として確保するということもできるのだけど、、、
公約通り、この子は謹んで肉用に育てたいと思う。
それにしても、生まれてきた仔牛のかわいらしさを観ると、この子をいずれ肉にするということの重みがズシッと重くのしかかってくる。畜産農家は常にこの重さと対峙しているわけである。この喜びと愛情と辛さを、逃げずに感じきっていきたいと思う。
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この仔牛の命名権は僕にある。ひらがなで名付けるそうだ。考えなければ、、、

ちなみに
関心のある人もいるかもしれないので、この母牛オーナーになってからかかったお金がどのくらいかを書いておこう。

まず母牛となった短角雌牛の代金は282,450円である。

この牛を世話してもらう代金が一日500円。11月から3月末まで152日で76,000円。これに諸費用を加えて8万円程度となっている。子牛の預託金額についてはどうなるのか?この辺はまた再度レポートしようと思う。

ああ、それにしても子牛が生まれてしまった。
いずれは食べてしまう子牛である。でもカワイイ。とりあえず会いに行かねばなるまい、、、
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11:49 | TrackBack

2008年04月23日

命名「さち」。我が短角和牛の母牛から産まれた可愛い可愛い子供に名前をつけた。岩手県二戸市は今日も温かな春日だった。

 
既報の通り、3月16日に僕の短角牛に、子供が産まれた。初産にして、待望のメスの子だ。二戸市浄法寺支所の短角牛担当・杉澤君に「名前、どうする?」と聴かれていたのだけど、この間ずっと悶々としていた。

何に悶々としていたかというと、この牛は最終的には肉にして食べようと思っているのである。その牛に対して名前をつけるということが、なんとも苦しいのだ。可愛らしい名前、考え抜いた名前をつけることで、余計に「でも食べるんだよなぁ、、、」という現実が迫ってくる。

前にも書いたとおり、メスが産まれたということで、今僕がオーナーになっている牛と同様に、子供を産むための繁殖雌牛として、長く生きてもらうのでもいいじゃないか、と思いそうになったことがある。やっぱりと畜に出したくないのだ。けれども、それでは当初から考えていた、「畜産農家の方々がどのような思いで牛を育て、出荷しているのか」を学ぶことができない。

だから、僕はこの子供を、最終的には肉として出荷し、自分で食べようと思っている。

しかし、、、実際に会ってみて、本当に参ってしまった。可愛いのだ、、、2008-04-22№[0096]
なんだかもう、本当に参っちゃうくらいに可愛らしい子牛ちゃんなのである。
バンビのような、クリッとした愛らしい目に、綺麗に揃った足がほんとに可愛い。2008-04-22№[0136]
きちんとおでこにはきれいなつむじが巻かれている。
名前をつけるという行為はとてもつらいことだなぁ、、、と思ってしまった。名前をつけさえしなければ、この子は「牛」なのである。けれども名前をつけてしまったら、モノではなく自分が向き合う対象になってしまうのだ。

でも、僕は名前を決めた。2008-04-22№[0060]
命名「さち」である。

ちなみに牛の個体登録においては、名称はひらがなでの登録になる。「さち」とは、この子に幸多かれと思ってそうしたのだけれども、そう思えば思うほどに、肉にするという行為が今から辛い。2008-04-22№[0058]
これがさちの鼻紋である。指紋と同じように、牛の鼻はすべてユニークで、識別可能なのだ。
2008-04-22№[0104] 
今回驚いたのは、母牛の変わりぶりだ。
以前は本当にデリケートな娘で、僕が近づくと、餌を持ってちらちらさせようが何をしようが、全く寄ってきてくれなかった。警戒心が強いのだ。
しかし今回は、そんなことはなかった。とくに人間にすり寄ることはないが、餌の乾草を与えようとすると、手から食べてくれる。子供を産んで、堂々とした感じだ。やはり、人間の世界と同様に、母は強いと思った。
2008-04-22№[0098] 
牛は子供への愛情が強い。自分の子以外の子牛がすり寄って乳を飲みに来ても、追い返してしまうそうだ(なかにはその間隙を縫ってちゃっかり別の母の乳を呑む子もいるそうだが)。

この母子は、5月のはじめには、放牧に馴致(じゅんち)させるために牛舎の前の放牧場に出される。外の世界との邂逅である。それで十分に馴れたら、いよいよ「山上げ」。稲庭岳に拡がる大清水牧野の、180haの広大な牧野に放たれるのである。

ところでこの日は、種雄牛センターに寄って、僕の可愛い娘に種をつけやがった雄牛に会いに行った(笑)2008-04-22№[0208] こいつがその失礼千万な雄である。でもまあ、可愛い子供も産まれたし、許してやろう。居並ぶ雄の中ではなかなか優しい目をしている。短角牛は、本交といって、人工授精ではなくきちんと雄と雌が○○○をして子を産む。

とはいっても大ハーレム状態だ。40頭のメスの群れにオスは一頭。この浮気者め、、、2008-04-22№[0240] 大清水牧野にはまだ雪が残っていた。5月にはいると、バラ線(有刺鉄線)を上げて牛が逃げないように囲いをつくり、そこに牛を放つ。2008-04-22№[0242] 牧野には爽やかな風が吹き、発電用の風車が回っていた。ここに短角牛が放たれ、悠々と草をはむ風景を、みんなに見せてあげたいものだ。

そうそう、今回は県との仕事で来ている。今年の9月か10月に、首都圏からこの短角の放牧風景や雑穀の収穫などを観てもらうためのツアーを企画することとなったのだ。別途お知らせするので、心の準備をお願いします。

もちろんそのツアー内では、これまでブログに書いたいろんな処を廻ることとなる。
2008-04-22№[0018] 
「つぶっこまんま」の雑穀お膳も食べていただくことになるし、
2008-04-22№[0264]
「短角亭」では、たっぷりここでしか食べられない短角の肉や内臓を食べていただくことができる!
2008-04-22№[0266] 
生のギアラ。最高だ!
2008-04-22№[0270] 
何枚かは火を入れずに食べてしまったレバー。臭みのたぐいは一切無し。
2008-04-22№[0282]  2008-04-22№[0278]

2008-04-22№[0286] 2008-04-22№[0288] 朝6時56分の新幹線で東京から二戸に行き、午前中は役所で打ち合わせ。つぶっこまんまにて昼食、そして山に上がって子牛に会いに行き、牧野等を廻って短角亭へ。東京行き最終便の20:12の新幹線で帰る。どっぷり浸かれてしまうけれども、一日行程も可能だ。

二戸との本格的な付き合いが始まりそうだ。

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