川崎は実はペルーだった!? インカの至宝「インティライミ」再訪

2004年2月23日 from 首都圏

jpg いや、怒涛の夜であった。JASの最終便で帯広に行くはずだったのだ。しかし空港で1時間待たされた後、大雪のため欠航ということになってしまったのである。JA幕別の岡坂さんが夜、飲みに連れて行ってくださるはずだったのに、、、もしかするとこれがいったん最後の帯広の夜になるかもしれなかったのに、、、

 と、憤懣やるかたなく居たため、憂さを晴らそうと思ったわけである。羽田周辺の旨い店、、、うーん と思って気づいたのが、前も取り上げた川崎のペルー料理「インティライミ」である。実はこの店の記事を書いた後、ウェイターの東君から、記事に対する御礼のメールをいただいたのだ。

 彼がリニューアルしたインティライミのWebを見て頂きたい。
http://www.intiraimi-rest.com/
「インティ料理の感想へのリンク!」というところに僕の記事へのリンクがあるのダ!光栄である。

 さてそういうことで悪仲間を集めて川崎を襲撃したのであった。悪仲間とは、大学の同期でプランナーの加賀谷と、彼の友人のバシ師匠、そして、この食い倒れ日記の僕の似顔絵を書いてくれているプロのデジタル漫画家、金子重人である。
 そう、金子は週刊少年ジャンプのネット版でデジタル漫画を連載している。ぜひ見て頂きたい。こんなやつが書いているのである。
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 ちなみに彼は幼少の頃、アルゼンチンに住んでいたことがあるのだった。

 さて騒がしく料理を頼むことにする。ペルー料理でまず欠かせないもの、それはセビッチェとアンティクーチョだ!

■セビッチェ(魚貝のマリネ)
 今回はセビッチェと、ムール貝のマリネも加えた豪華版を頼んだ。激ウマである。インカ独特のとうもろこしのボイルがついてくるのだが、これがまた旨いのだ。
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■アンティクーチョ(牛ハツの串焼き)
 そしてこのアンティクーチョを食べるために、この店に来ていると言って過言ではない。独特のスパイスで刺激的な味にしあげた串焼きは、実にジューシー&スパイシー。
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これにアヒという唐辛子ベースのソースと、パセリとニンニクのソースを乗せて食べるのがまた最高なのだ。
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■パパ ア ラ ウアンカイナ(じゃがいものチーズソースかけ)
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 じゃがいもを茹でたのにチーズソースをかけた一品で、これもお袋の味系の料理である。これしみじみ旨いのだ。ジャガイモは男爵系ではなくメークインである。ちなみにペルーというかアンデスはジャガイモやトマトなどの「ナス科植物」の原産地である。きっと現地では多種多様なじゃがいもでこの料理を作るのだろうな。
 とはいえこの日本のメークで食べるウアンカイーナも実にしみじみとした旨さを湛えている。

 ビールはクリスタルという銘柄が旨い。高地のビールだからか、味わいは軽く、どんどんいけてしまう。
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 さてワイワイと騒いでいると、ママさんらしき人が「美味しいですか?」と話し掛けてきてくれる。前回はみかけなかったこのママさん、貫禄もたいしたものだがエキゾチックに美しい方だ。
「セビッチェが大好きなんですよぉ!」
というと、「よく知ってるわねぇ」とびっくりして喜んでくれた。
そして、メニューには名前だけ載っている料理を「あたしからのサービス」と、持ってきてくださったのだ!
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 ママさんとはすっかり仲良くなってしまった。実は彼女は日本人。幼少の頃をペルーで過ごしたらしいのだが、きっとすごいストーリーがありそうだ。こんどゆっくり聴いてみよう。
 ママさんのお薦めディッシュはこれ↓光量が足りなくて良くわからないと思うが、要するにビーフカツの横に、バジリコスパゲッティが添えられているという、ものすごい一皿だ。これがペルーでは大人気の料理だと言う。しかしこのカツとバジリコスパが旨いのなんの!スパはかなーり茹ですぎの麺だが、これに真緑色のペーストが絡まっている。イタリアンでは絶対にありえない味だが、むちゃくちゃに親しみやすい味なのである。ペルー料理は、本当に日本人の口に合う。
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■アロス・コンポージョ
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本日一番楽しみにしてきたのは、このアロス・コンポージョだ。言ってみれば鶏肉炊き込みご飯だが、この店を紹介してくれた友人の食いしん坊・柴田さんが絶賛する一品である。
ご覧の通り色が緑色なのは、このペルー料理最大の特色とも言える素材のためである。

「これはね、香菜(コリアンダー)のペーストを使ってるのよ。普通は瓶詰めになってるのを使うところが多いんだけど、うちではいつもフレッシュの香菜をミキサーにかけて、毎回新しいのを作っているの。これを沢山入れないと美味しくならないから、高くついてもそうしてるのよ!」

 なんと素晴らしいではないか。このコリアンダーペースト、南米食材点にいけば入手可能で、僕も買い求めたことがある。しかし、すぐにカビが生えてしまうので扱いが難しい。しかしここではフレッシュを使っているという。うーむ レシピを教えて欲しいものだ。
 コテコテにコリアンダーの緑がまぶされたライスを口に運ぶ。瞬間、鶏の旨味とコリアンダーの風味が口に溢れる。まさしく美味である!香菜が苦手な人は厳しいかも知れないが、好きな人には最高だ。頼まない手はないだろう。先の友人柴田氏によれば、

「セビッチェの汁やウアンカイーナのチーズソースを絡めて食べるとまた最高!」

とのことであった。今回、その二品を先に食べてしまっていたので、試すことが出来なくて残念。どうもペルー料理も、各種ソースやペーストを絡ませて食べると、旨さ倍増する感じである。

■アヒーデガジーナ(ペルー風チキンカレー)
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 この料理、日本向けにカレーと書かれてはいるものの、パプリカなどで赤色がついているらしくほぼ辛みがない。カレーというより鶏シチューご飯添えという体である。ペルー料理は実はこういう落ち着いた味の料理が多く、だからこそ日本人にも親しみやすい。今回はこの前にアロス・コンポージョという曲者を食べてしまったため、味的にはちょっと物足りなくなってしまったのだが、あまり風味の効いたエスニックが好きで無いという人にはお勧めできる。

■名前忘れた、炒め物
 ここまで4人でガンガン食べているのだが、実はこの店、一皿の盛りが非常に多い。通常なら、セビッチェなどの前菜をとったら、あとはご飯付きの料理を一皿取るだけで2人で満足してしまうような分量なのだ。だから、総体的に非常にコストパフォーマンスが高い店なのである。しかし、このヤマケン一行がそれで終わるはずがない。すでにバクバク食べている僕らにウェイターの東君は「大丈夫ですか?」と訊く。そんなこと訊かれたら僕としては「まだまだ行けるよ」といわざるを得ない。そこで彼がリコメンドしてきたのがこの料理だ。名前は長すぎて忘れた。とにかく牛ヒレ肉の細切りとタマネギ、トマト、フライドポテトなどを、酸味のきいたソースと共に炒めたものをご飯にかけた料理だ。
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 これが存外に旨かった。フライドポテトが炒め物に入っているなんてちょっとびっくりだが、向こうでは割と当たり前らしい。ミックスベジタブルがピラフに入っているとつい手抜きか?と思ってしまうのと同じ感覚だが、ここのポテトはカリカリに揚げたてのものが使われており、ソースが絡んでもカリカリが抜けず、非常に食感が楽しい。その食感とマイルドな牛ヒレの旨さ、そしてソースの酸味が食をソソるのである。

■デザート群
 いや さすがに腹一杯である。もう食えん。でもまだデザートが残っているのだ。この店でお薦めのデザートは、カボチャの粉を使ったドーナツといわれていたのだが、前回は売り切れだった。今回頼むと、すかさずママの解説が入った。

「うちのドーナツはね、手間がかかってるのよ、、、カボチャとお芋を干して、それを粉にするの。そこに、日本にはないペルーのハーブ(名前忘れた)を入れて練って揚げるのよ。これはこの辺でもうちしかやっていないんじゃないかしら。」
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というむちゃくちゃに手のかかったドーナツは、見た目とは裏腹に非常に軽い食感。クリスピーにサクサクと食べられるので、まったく重くならない。かぼちゃと芋の風味がするが、食感はまったく違うものだった。そこに謎のハーブが効いていて、かなり面白い、日本では出てこない味である。

それと、これは有名なアロス・コンレチェ
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 アロスは米、コンレチェは「With Milk」の意味だそうだ。その名のとおり米をミルクで甘く煮たものだ。タイ料理のカオニャオのデザートと一緒であるが、シナモンが効いていてこれまた不思議な食味。

そしてとどめは、最高に甘くて濃いプリンだ。これ、コンデンスミルクとミルクと玉子と何かが入っているスペシャルなプリンなのだ。いい感じに固めに仕上がっていて、とにかく甘いが、コクがあって非常に旨い。コーヒーと合うだろうな。
なんか、ヌメっとしたテクスチャが妖艶で綺麗でしょう?
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とまあ、食い散らかした食い散らかした、、、ビールも相当空けてしまった。
勘定をお願いすると、、、ここにはかけないほど安かった。一人4000円行かない値段なのだ。これはいくらなんでもママのお情けが入っていると思うが、量が多いから、僕と一緒に行かなければ誰でも2皿で満足するだろう。

この店では、第三週の金曜日に、アンデスの民族音楽「フォルクローレ」のバンドのライブをしている。いつも満員立ち見御礼らしい。次は3月19日だ。いこうかなぁ、、、

そう、面白いことに、実はこの日、僕のblogの読者であるMさんがこの店に来ていたのだ。なんとこのインティライミからすぐのところにいらっしゃると言う美女であった。わざわざお手製のフォンダンショコラをいただいてしまった。これがまた実に玄人っぽい出来で旨かったのであった。うーむ最高。ご馳走様でした!

大変に満足して、突風吹き荒れる川崎を歩いた。突風は、嵐のように食いまくった我々の興奮と共鳴したかのように吹き荒れていた。明日は北海道にいけるのだろうか?と思いつつ、家路に着く僕の心には、まったく憂さというものが消えていた。


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