こんなスーパーがあったのか! 宮崎県が誇ってよい、エシカルに素晴らしき品揃えを誇るスーパー「フーデリー」と宮田武虎君の果てしなき食欲!

2009年12月30日 from 出張

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いったいなんのことだ、と思われるかも知れないが、今僕が最も注目しているスーパーマーケットは宮崎県にある。

レタス巻き元祖の一平寿司・村岡さんと、宮崎県の農商工連携事業の中で新しき宮崎の佳い食品ブランドを創っていこう、という事業を始めている。その中で、ぜひとも協力を仰ぎたいと僕が最初に思い浮かんだ人物が二人いる。一人はこのブログで過去たくさん出てきている、宮崎県の弟分である沼口君。土壌分析や残留農薬分析のプロで、営農指導もできる。そしてもう一人が、宮崎県のローカルスーパー「フーデリー」の副社長である宮田武虎君だ。

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たけとら君は僕と同い年(やった!)。彼との出会いは本当に偶然に満ちていた。ずーっと彼は僕のブログをみていてくれて、フーデリーには僕がブログで採り上げた商品がかなりの割合で並んでいる。

「これも、これも、ほらこれもそうですよ、やまけんさんのブログに載ってるのをみてすぐに取引の連絡をしたんですよ!」

書いてるほうにとっては実に冥利に尽きることながら、大丈夫かなぁ、と冷や汗も流れるところだ。でも、実は出会いは彼の嫁さんの方が先だった。


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以前、宮崎の農業会議の仕事で若手の法人経営をしている人達向けに話をしたとき、打ち上げを尾崎牛の尾崎さんの店でやった。その時、なんと偶然にも向かい側の部屋に宮田・妻と娘が来ていたのだ。手洗いに立った僕が帰ってきたときに顔を合わせいきなり「読者です」と挨拶された。なんだなんだ、いったいどういうこと?と要領を得ぬままに一次会が終わり、二次会は沼口主催のスパゲッティ。その会場に、今度は夫の武虎君がいたのだ。

で翌日、フーデリーに案内してもらってびっくり。なんとすごい品揃え!

量ではない。質が異様に高いのだ。最近ちょっと品揃えが悪くなってきている青山の某有名スーパーよりも断然、シズル感に溢れている。

そして、彼が言ったことが胸に大きく響いたのだ。

「やまけんさん、うちでは産直型の商品を掘り出しにバイヤーが全国飛び回ってますが、商談に行くとき必ず言うことがあるんです。それは『価格は生産者さんが再生産可能な価格をベースにしろ』ということなんです。最初の希望価格を値切ることは滅多にありません」

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

そんなことをいう同世代のスーパーの人間を始めてみた!

エシカルソーシングという言葉がある。エシカル(倫理的)なソーシング(調達・仕入)をすべしということだ。このフーデリーではまさしくそういったバイイングをすることで、生産者の信頼を勝ち取り素晴らしき店頭を作っているのだ。

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フーデリーは現在5店舗(たしか)を経営している中堅スーパーで、しばらく前までは「ハットリー」というスーパー業態として県内に展開していた。その時代はどちらかといえば「安く」を推し進めるスーパーという感じだったそうだ。

しかし、ここの跡取りである武虎君が嫁にもらったのが、実にナイスでセレブなキャリアウーマンである理恵ちゃん。

「宮崎には私が欲しいと思う食品が並んでるスーパーがない!だったら、自分たちで造っちゃいましょう!」

ということで、フーデリーの基本コンセプトは彼女が作ったようなものなのだ。

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野菜コーナーでは、市場経由で集める基本アイテムに加えて、地元の生産者グループが出荷する特別栽培農産物がズラリ。

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ピクルス用キュウリ。

「今度、普通にぽりぽり食べられるピクルスを開発したいんですよ!」

おお、俺も大好き。一緒に作ろうぜ!

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青果物コーナーから加工品の方へ足を向けると、ここで驚きが。

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なんと、店内で豆腐を実際に打っているのである!

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できたてほやほやの、湯気が上がるような豆腐が並ぶのだ。しかも、宮崎県産のフクユタカとか、ちゃんと豆の情報まで掲示されている商品もある。

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写真は二食豆腐。青豆豆腐と通常の豆腐をドッキングさせたものだ。どうやって作ってるんだろう、、、

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肉も、普通に和牛があると思ったら、赤身肉のほうも充実させていくつもりだという。この店では牛よりも鶏の方で掘り出し物がある。

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以前も書いたと思うが、刀根さんという生産者さんが、ブロイラー品種であるチャンキーやコブ種を80日程度の長い期間飼うことで、地鶏とはいわないが実に味わいのある鶏肉に仕上げているのだ。

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しかも餌がかなり吟味されている。実は武虎君の相棒格の人がいて、その人が飼料会社を経営しているのだ。刀根さんとこもそこの餌を使っている。よく吟味されているはずで、臭みが全くない。しかもかなりリーズナブルだと思う。

そして、加工食品部門は一気に宮田たけとら色が強くなる!食いしん坊の欲望をそのまま棚にぶつけた結果がこれだ!

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何が何だかわからねーよと言われそうだが、とにかくワクワクするような棚になっているのだ!こればっかりは行ってみないとわからないだろうなぁ、、、

しかし、この店最大の賑わいを見せているのは、なんといっても惣菜・弁当売場だ!

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大ちくわのサラダ巻き天麩羅、焼きそばつめ天麩羅。

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現在大ヒット中、肉巻きおにぎり。もう売り切れ寸前だ。

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惣菜パンの品揃えもすごい。

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「やまけんさん、好きなの選んで下さい!昼飯にぜひ食べていって下さいよ!」

マジですか、、、では遠慮無くやっちゃいますよ!

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ドカーン! もちろん一人で喰うワケじゃないよ、、、食べたいものを好きなだけ選んでしまった!

実は今この店でメガヒット中なのが、愛媛県今治市のB級グルメ「焼き豚玉子飯」だ。

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うおおおおおおおおおおおっ

これ、数ヶ月前に僕のブログに載ったのをみた方もいるだろう。

「実はやまけんさんのブログにのった週に、今治に向かってしまいました。速攻で「これ作れ!」って弁当の担当者に言って、、、」

すげぇ完成度じゃないか!

「でも、最初はうちの惣菜担当も上品な作り方して、目玉焼きがきれいなままのっかってるンですよ。それじゃダメだよ、というアドバイスがあって(例の飼料会社の社長さんだ(笑))、タレをちょっと目玉焼きの上からかけるようにしたんですよ。そしたらなんと売上が2倍!」

いやーーーー最高だねそのエピソード。

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それにしてもこの焼き豚玉子飯、佳くできてる。あの今治のシゲハンで食べたのを思い出してしまった。

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肉ものに関しては、とりあえず

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やっぱりサスガのできばえである。

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そしてビックリしたのが、これ!

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「あれぇ!?これ、釧路のスパカツじゃん!なんだよ、行ってきたのかい?」

「いや実は行ってないんです。やまけんブログをみて受けたインスピレーションで、、、」

おおお、インスパイア系かよ!

喰ってみると、スパに絡んだミートソースのガッツリ感が実に本家である泉屋ににている。やっぱり、食いしんぼうが作るとすべては同じところに帰結するらしい(笑)

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もちろん、九州が誇るコンビニであるエブリワンが源流となった爆弾おにぎりもある!

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こちらはフワッと握ったおにぎり。美味しい、、、

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惣菜パンも実にきっちりと最後までパンを食わせる力を持っている。よく、パンを開いてみたらカツがすげー小さいのでがっかりしたというのがあるけど、この店に限ってそれはない。

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これ、一番上が大分名物の鶏飯。左側が肉巻きおにぎり。手前がちくわサラダ巻き天と焼きそば巻き天だ。

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このちくわ巻きシリーズが実に美味い。うーむ。

もちろんこんなガッツリB級系だけじゃない。理恵ちゃんプロデュースの玄米正食系の弁当もある。

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いやもう満腹です、、、死ぬほど喰ってしまった。

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さてこの日は村岡社長とフーデリー宮田夫妻と僕とで話し込んでしまった。

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どんな面白いことが出来るだろうか、期待していて欲しい。宮崎に行ってみようという機になるほど楽しいプロジェクトを進行中である。

とにかく、もし宮崎に行くことがあったら、ちかくに「フーデリー」がないかどうか確かめてみて欲しい。ちなみに宮崎駅から近くだと、タクシーで1メーター程度で青葉店という店がある。ただ、イチオシしたいのは本部のある霧島店だ。ここの品揃えと惣菜は最高。惣菜・弁当は店ごとにオペレーションや品目が違うのだが、どうしても駅近くの青葉店はおしゃれで格好良い系になってしまう。ガテン系は霧島店を目指すべし、だ。

いま、全国の小売事業者がとにかく「安値へ」と流れている。不況がそれを後押しする。しかし、だ。安値にするということは、その商品を提供しているメーカーや物流業者、卸は今までよりももっと叩かれているということだ。

庶民を大切にする、ということが、生産・流通をしている人達を叩くことになる。そうなったら、この世の中は共倒れになってしまう。

確かに貧困率が相対的に上がっている今、安い価格で商品を売る業態がなければ大変ということはあるだろう。けれども、まだそこに手を出さなくとも生活していける中間層までが、安売り店に押し寄せていることが僕は大変な問題だと思っている。

食に投資をするだけの余力を持っている人は、できるだけ店を、そして商品を選んで欲しい。そうした観点からも、フーデリーは足を選ぶ価値のあるスーパーである。ああ、次の出張が待ち遠しい、、、