静岡の伸び新茶の4種飲み比べをした。

2004年6月 1日 from 食材

 先日、埼玉の実家に帰った時に、おふくろにお茶を煎れてもらい、飲む。その茶、何かがオカシイ。「このお茶、結構安いのよ」と言っているのに、妙に味が濃い。もしや、、、と思って袋の裏を見ると「茶加工品(アミノ酸等)」と表示されている!
 、、、何のことだと思われるかもしれないが、これはいわゆる「化学調味料」である。安いお茶であればあるほど、化学調味料を添加して旨みを人工的に醸し出しているケースは多い。皆さんも今自分が飲んでいるお茶をひっくり返してみてみるといいだろう。まあ、化学調味料がいちがいに悪い!と言うわけではないし、そんな茶はダメだというつもりもない。けど、自分のおふくろにはきちんとしたものを飲んでほしい。

「けどねぇ、普通の人にはいいお茶がどこで売ってるかなんてわからないものよ。」

とおふくろは言う。そうかもしれない。確かに今、お茶専門店で茶を買う人も少なくなり、大半はスーパーマーケットで購入する人が多い。そうなると、大メーカの商品ということになってしまい、「よい茶」を買うことは出来ない。
 僕にとっての「よい茶」とは、美味しいということは当然だが、できればブレンド内容と産地、茶の品種が明確になっているものだ。「静岡茶」とか「鹿児島茶」などと銘打たれていても、その中身は農家によって千差万別。それが製茶問屋で微妙な配合にブレンドされる過程で、味の方向性が決まり、販売されるわけだ。もちろん通常の小売店ではなかなかそこまでの情報は出てこない。だから、信頼できる小売店で買うということが必要になるだろう。僕の場合は、長年おつきあい頂いている製茶メーカの葉桐から直接買い求めているのだが、それはイリーガルな形で、通常はしてもらえない。

 実は以前、この葉桐のお茶の紹介をしたときにも、「一般で買えるところはないのか?」と問い合わせをいただいた。そこで一般の人でもすばらしいお茶を買える店として、無店舗でお茶の小売りを行っている「錦園」を紹介した。その後のレスをいただいてないので満足されたかどうかはわからないのだが、、、

日本茶専門店 錦園石部商店
http://www.nishikien.com/

 この錦園は、理系の技術職から脱サラしてお茶屋さんになってしまったという超こだわり系お茶やさんである。細身の身体でオフロードバイクを駆って、静岡市で最高のお茶がとれる「本山」の工場に通う彼と、何回も遭遇したことがある。実際に生産者の畑や、製茶工場まで通い、その年の本当にいいコンディションの茶葉を仕入れる。これができる小売業者が、この日本にどれだけいるだろうか?
 そうして仕入れた茶葉を、最終段階の調整(「合組(ごうぐみ)」)をし、かつブレンドする。ブレンドというとよいイメージがないかもしれないが、通常販売されている茶で、2種類以上のブレンドをしていないお茶は、ごくごく少数である。むろん、ブレンドの内容もいろいろある。とにかく安いお茶にするための水増しブレンドもあれば、よいお茶をより美味しく飲むために行う前向きなブレンドもある。石部さんが行うブレンドは勿論後者だ。ある香りの茶と、ある味の特性をもつ茶をブレンドすれば、相乗効果ですばらしい茶商品になる。そのためには、茶葉の特性に対する深い理解と想像力、そして経験と絶対的な味覚が必要になる。石部さんは、信頼に足る人だ。

 で、母の普段使い用には、この錦園の特選(1000円/100g)と、玉川横沢(1500円/100g)を試しに飲んでみて、ということで送っておいた。その際に、石部さんから連絡があった。

「お買いあげありがとうございました。ヤマケン用にも面白いお茶をいくつか送りますのでお楽しみに」

そうして数日後、送られてきたのだ。銘柄名が書いておらず、A,B,C,Dとだけシールの張られたブツが、、、明らかに試されている、、、気合いをいれてテイスティングしなければと言うことである。

 お茶のテイスティングも、基本的にはワインや日本酒と同じようなものだが、プロの味覚を総動員したテイスティングには所詮素人の僕はまったく敵わない。一度、葉桐の専務さんに、静岡の茶市場に連れて行っていただいたことがある。テーブルの上にめぼしい産地の茶葉が並び、白い磁器の器に茶葉を入れ、湯を注ぎ、その茶葉を網ですくって香りを嗅ぐだけである程度の判断をしていた。まさにプロである。
 ま、そこまでのテイスティングは無理だが、茶道具を総動員してやってみるだけやってみることにしたのであった。

(続く)