国会議事堂 議員食堂は食い倒ラーのパラダイスであった! その1

2004年6月15日 from 首都圏

 結論から言おう。国会議事堂は食い倒ラーの聖地である!さすがは日本の中枢だ。いや、国会議員がエライと言っているワケではない。議事堂の食環境が素晴らしいんである。

 コトの発端は、ご存じの通り、長島農園からドサッと送られてきたブルームキュウリを分けてあげますよ、というエントリに呼応して来てくれた二人の議員秘書との出会いである。

「国会議事堂やその周辺施設の地下食堂がスゴイんですよ!」

と力強く教えてくれたモロイさんは、衆議院議員秘書歴6年、元サッカー選手の、見上げるほどの大男である。こんな人が荒れる国会で乱闘騒ぎを演じたら、大仁田より強いんではないだろうか。この超肉体派が「スゴイ盛りなんですよ!」というのだから、本当にスゴイんだろう。 もう一人の秘書タナカ君は、議員秘書歴半年。熊本から上京してきているナイスガイである。

「うちのセンセイもまだキャリアは始まったばかりの議員です。やまけんさん、熊本に来てください!」

行く、行くわ。彼はもうすぐ熊本に3ヶ月ほど帰って向こうの仕事をすることになるらしいが、まだ東京に居る時でよかったのである。

 さて千代田線の国会議事堂駅から歩いてすぐ、議院会館がある。衆議院会館は2つあり、参議院会館が1つ、そしてその真ん中に、国会議事堂が堂々とそびえ立っているのであった。

田中君が議員会館の前で待ってくれている。そして中にはいると、先日はTシャツ短パン
だったモロイさんがびしっと決まったスーツ姿でにこやかに待ってくれていた。

「国会の中は入館許可証がいるので、準備しておきました。」

と、許可証を二枚(衆院用と参院用)貸してくださる。食い倒れのために許可証をとるというのはあまり前例がないことだろうなぁ。モロイさんすみません、ご迷惑おかけしました。

「まずは議事堂そのほか周辺施設の食堂事情を視察しましょう。」

と、衆院第一議員会館の地下食堂から回り始めたのであった。

「基本的に衆院の食堂は、量が多くて炭水化物ばっかりという仕様になってます。味は参院の方が恵まれていますね。」

ということだが、確かにメニューをみるとスパゲッティとハヤシライスのセットとか、これでもかと言わんばかりの炭水化物攻撃である。ダイエット中の女性を連れてきてあげたいと思うが、きっと引っ掻かれるであろう。

品書きの中では、「ジョウカレー」が目を引いた。

しばらく考えて、「上カレー」のことかと合点がいったが、しばらく何のことだかわからんかった。食いたくなったが「味は普通です」ということなのでスルーした。しかし、普通のカレー500円との差はいったい何なのか、いずれ証明せねばなるまい。

 次に廻った別の食堂では、うなぎ2枚入り鰻重が強烈なアピールをしていた。

これに吸い物やお新香が付いてで千円ちょっとだそうだ。やばい、やばいな、、、最近うなぎ、食べてない。気分を落ち着かせながらモロイさんの話を聴く。

「やまけんさん、国会内では蕎麦がお得です。なぜか蕎麦に関しては、外に本店がある名店が入っていて、味は同じなのに安く、しかも盛りがスバラシイのです。」

そう言っていくつかの店に案内してくれた。「藪伊豆」は日本橋あたりに本店があるらしい。
「本店では盛り一枚800円くらいしますが、ここでは300円台です。」
その価格差は確かにスゴイな。それだったら地下鉄料金を負担してでもこちらで食べた方がいいではないか!といっても、許可証が要るけどね。

 そう言いながら売店が建ち並ぶ一角をずんずん進む。前方に、行列が出来ている、のれんの掛かった一角がみえる。

「今日はとりあえず、一番盛りが良くてしかも旨い、『一茶そば』に行きましょう!」

店内にはいると、人いきれでギュウギュウである。しかし蕎麦だけあって回転はすこぶる速い。

システムは食券制である。番台があって、ハスキーボイスの通るおばちゃんに食べたいものを申告。ここのメニューがとんでもなく安い!大盛りがたったの310円なのだ。

思わず「大盛りにエビ天付けて」と言うと、「はい、430円ねぇ~。」と魅惑のハスキーボイスでおばちゃんが唸る。こういうおばちゃんはどこの店でも居るのである。

さて食券を持って列につく。厨房内には都合4人が立ち働いており、その動作はすさまじく早い。

「はいよ大盛り3枚~」

と声をはりあげるそばからドカッと盛られた大盛り蕎麦を観て、驚愕。すんごい大盛りである。値段ばかり高くて盛りの少ない老舗蕎麦屋の盛りに換算したら5枚分くらいあるのではないだろうか。

 そしてラッキーなことに、水で締めてざるにあげてある蕎麦が少なくなってきた。ということは!「ピピピピピピピピ」とアラームが鳴り、大量の茹で蕎麦をザザッとあけ、水で急速に洗い始めるおっちゃん。激写すると目が合い「おおっ 言ってよ顔作るから」と笑ってくれる。

やっぱり俺はツイている。茹でたてロットの蕎麦が食べられるのである!まだテラテラと光る蕎麦をワシッとつかんで巨大盛りになったせいろが目の前に来る。つゆとネギのセットはセルフで持っていく。これが、参議院会館の地下にある「一茶そば」の盛りである。

この写真だと、上のアングルから撮ってしまったので、盛りがわかりにくい。横から撮ればヨカッタ、、、しかし、ものすごい量なのである。僕が言うのだから間違いない。これで310円は、たとえ味が今ひとつだったとしても素晴らしいではないか!

 しかし、事実は小説より奇なり。蕎麦をたぐり、すすり込むと、まだ茹でたての余韻が残る温度と食感、そして正統派江戸前の辛づゆの風味。

「旨いじゃん!」

旨いのである!もちろん、一流店の角の立った蕎麦とかそんなのではない。国会議員という職業に対する最大の価値であるスピードと満腹感、その二次元軸に「旨い!」と縦軸を打ち込む潔さ。これはまさしく粋というものである。

しかもここの蕎麦、やたらと長い!切らずにつゆに浸そうとすると、いちいち立ち上がらないと麺の終点が見えないほどに繋がっているのである。縁起がいいなぁ。この蕎麦を恋人と一本の端と端で食べ合って「ぁ、キスしちゃったぁ」という微笑ましい風景が、連日繰り広げられるに違いない。アルワケナイダロ!なんと言ってもここは国会。体力よりも恐ろしい権力のタタカイが繰り広げられているのである。そのタタカイの糧食部隊の先兵、「一茶蕎麦」俺は気に入った。

ドンとお茶のようにおかれたポットには、熱いそば湯が湛えられている。いつもながらのそば粉濃度チェックをすると、なかなかに濃い!

そば湯を飲み、感動に浸る。

「実は蕎麦屋に関しては本当に充実していて、このほかにも旨い店がありますから、また来てください。」

了解である。入店してから5分たらず。僕ら一行は次なる聖地、寿司カウンターへと向かった。

(続く)